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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

モンスターハンター・絆を求めし者

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  1. 1 : : 2017/02/18(土) 08:13:11
    中3です。高校に合格して暇なので小説を書きたいと思います。かなり長くなりそうなので、1年は続けたいと思います、よろしくお願いしますっ!!
  2. 2 : : 2017/02/18(土) 09:05:09
    モンスターハンター・絆を求めし者
    モンスターハンター、それはモンスターと呼ばれる特殊な動物を狩り、その素材を使って武器や防具、家などを作る材料として扱っている。だが、モンスターは時に人間に牙を剥く。モンスターを狩る人間を人々はハンターと呼び、ハンターはモンスターを討伐したり捕獲、あまりにも強大な敵は撃退というクエストもある。つまり、人間はモンスターを敵として見ているのだ。
    しかし、数十年前に世界が震撼した事が起きた。それはあるハンターがモンスターを手懐けたという事件だった。しかも、その手懐けたモンスターとは角竜ディアブロスだったのだ。そのハンターは、ギルドでもかなりの腕前の双剣使いで、周りからの信頼性も高く、「世界一の双剣使い」と呼ばれる程の実力者だった。
    だが、ギルドはそのハンターを危険人物として拘束、そのまま処刑したという。そのハンターの名は
    ヒューム



    時は流れ、現代。
    ドンドルマと呼ばれる巨大都市の片隅に、白い石を積み重ねて出来たイグルーの様な家があった。中には蒼い髪の青年が眠っていた。すると開いた窓から小鳥が入ってきた。チュンチュンと鳴くと、青年が目覚めた。「んん…?もう朝か」彼の名はレイ。ドンドルマのG級ハンターだ。「おえっ…気持ち悪ぃ」レイはおぼつかない足取りでキッチンへと向かった。
    冷蔵庫を開けると水を取り出してゆっくり飲んだ。「ふぅっ…」口に付いた雫を拭うと椅子に座った。レイは昨日白一角竜と呼ばれるモノブロス亜種の捕獲を祝して宴会が行われたのだが、酒に弱いレイは初日から幾分二日酔い気味なのだ。「さて…今日はどうするかな」そう言いながらレイは紙を取り出した。それは、レイに送られた依頼が書かれた紙だった。だが、その依頼のほとんどが赤いスタンプが押されており、達成済みという事だった。「なになに…ドスファンゴにドスジャギィ…ってあれ?俺って新人ハンターだっけ?」レイは思わずギルドカードを取り出した。そこには「ドンドルマG級ハンター検定合格者、レイ殿」と書かれていた。「よかった、やっぱり俺G級ハンターだ」レイはほっと胸をなでおろした。「ん…?虎鮫ってもしかして…ザボアザギル亜種か?」レイはモンスター図鑑を本棚から出して両性種のページを開いた。「虎鮫ザボアザギル亜種、原種とは違い、砂漠や砂原に生息する大型の両性種で、砂中を強靭な四肢を使って泳ぐ様に掘り進む。体内に麻痺成分が含まれる体液を生成する臓器があり、獲物に吐きかけて弱らせる。また、体内に水や空気を吸い込んで風船の様に膨れ上がらせて叩き潰すという荒技を持つ」か、めっちゃ書いてあるな」レイはふとある事を思い出した。「…セキトを呼ぶか」
  3. 3 : : 2017/02/18(土) 10:21:38
    レイはとある家の前に来た。「セキト、起きてるか!?」玄関をノックしながら尋ねていると、後ろから声がした。「ねえ、僕は毎朝畑仕事してるって知ってるよね?」彼はセキト。レイとはハンター育成教室で出会い、最高の親友として、時には最高のライバルとしてお互いを鍛えてきたのだ。ドンドルマでもこの2人のコンビは最強のハンターとして名高い。「ああ悪いな、昨日の宴会で記憶全部フッ飛んだ」「じゃあ何で僕の家覚えてるの?」「これ見ろよ」セキトの冷静なツッコミを無視しながらレイはザボアザギル亜種の依頼書を見せた。「ザボアザギル亜種?そんな個体がいるんだっけ?」「あれ?お前ザボアザギル亜種と遭遇した事が無いのか?」「うん」「なんでこった…お前なら遭遇経験があると思ったんだけどなぁ…」「まあいいよ、僕は臨機応変に狩猟するから」「お前ちゃっかり俺にケンカ売ってるだろ?」レイはあまり臨機応変に活動する事が苦手なのだ。「場所は何処?」「確か旧砂漠だ」「どうする?僕らだけじゃちょっと不安じゃない?」「お前さ、俺らがG級ハンターって事を忘れてんのか?」「最近僕も腕が鈍ってるから」「鈍ってはいないと思う…」その時だった。
    「これから狩りに行くの?」「え?」振り返るとそこにはピンク色の髪の毛の女ハンターがいた。「ハルナ!?久しぶりだな!!」「どうしたの?最近旅に出たって聞いていたけど?」「もうハンター修行は終わったのよ、昨日は銀火竜の捕獲を受けたのよ」「えっ?マジで!?」「ええ、セキト君の依頼でね」「は?」「僕昨日臨界ブラキディオスを討伐したんだ、本当はリオレウス希少種を討伐しに行きたかったんだけどブラキウムシリーズを使っていたから…」「それより私もザボアザギル亜種の捕獲に行きたいんだけど」「大歓迎だぜ、じゃあ早速行くか?」「ちょっと待ってよ、僕朝から畑仕事してるからシャワーぐらい浴びたいんだけど」「私も防具準備してないし」「だーっ、もう分かったよ、じゃあ一時間後でいいか?」「うん」「分かったわ」「集合場所は大老殿でな」そう言うと3人は家へと急いだ。
  4. 4 : : 2017/02/18(土) 10:52:20
    レイ家の地下にある大きな鉄製の扉の前に来た。取っ手を引くと重々しい音を立てて扉が開いた。中は奥行き50メートル程あり、壁には一面様々な武器が飾られている武器庫だった。「さて、今日はどれにするかな?」取り出したのは氷炎魔剣ヴィルマクス。クシャルダオラとテオ・テスカトルの素材を使った双剣で、強烈な爆破属性と氷属性の双剣で、部位破壊しやす爆破属性と、氷属性に弱いモンスターには絶大な効果を上げていた。だが、ザボアザギル亜種は図鑑に載っていたが、水属性。つまり氷属性はあまり有効ではないのだ。「
  5. 5 : : 2017/02/18(土) 10:53:12
    すいません、間違えて投稿してしまいました(泣)
  6. 6 : : 2017/02/18(土) 13:46:34
    1章・虎鮫乱舞
  7. 7 : : 2017/02/20(月) 20:10:50
    飛行船に揺られる事数時間、レイ達は旧砂漠に到着した。「ううーん、やっぱり旧砂漠は嫌いだな」砂漠は極端に湿度が少ない為、喉が刺激されてレイは激しくむせかえった。
    「レイは暑さ無効のスキルがあるよね?」「ああ」レイの防具はクシャナXシリーズ。G級のクシャルダオラの素材を中心とした重厚な銅色の防具で、生半可な攻撃などは一切効かず、むしろ攻撃した本人がダメージを負う程頑強な防具なのだ。それでいて驚く程軽く、身動きがしやすいとレイが気に入っている。スキルは集中、暑さ無効、回避性能+1、抜刀会心、覚醒、毒倍加など様々。「僕も作りたかったけどクシャルダオラはどうしても慣れないな…」そう言うセキトの防具はブラキウムシリーズ。臨界ブラキディオスと呼ばれるブラキディオスの特殊個体で、今まで数多のハンターが狩猟に挑んだが、返り討ちに遭ったという。その強敵をたった1人で退けるセキトの実力も恐るべきものだ。「いいじゃない、私なんてアークXシリーズよ」ハルナの防具はアークXシリーズと呼ばれる防具で、G級の天廻龍と呼ばれる古龍シャガル・マガラの素材を使った物で、スキルは力の解放、切れ味レベル+1、無我の境地、スタミナ急速回復、火耐性弱化など。
    「支給品は来てんのか?」レイは拠点(ベースキャンプ)の隅にある青いボックスを開けた。「チッ、駄目だ、届いてねぇ」上位とG級の狩場では支給品が遅れる場合がある。その為多くは地図だけの時が多い。
    「虎鮫はどのエリアにいるか覚えてるの?」「確か…エリア4だったような」「以外に近いね」「エリア4ならまだクーラードリンクは要らないわね」「よし、行くぞ」レイ達はエリア1に続く自然トンネルを進んでいった。
  8. 8 : : 2017/02/20(月) 20:42:23
    エリア1に出ると、鹿に似た小型モンスター、ケルビが草を食んでいた。ケルビの角は砕いて煎じ、お茶にして飲むと漢方薬に似た効果があると言われ、白い肝はホワイトレバーと呼ばれる珍味である。攻撃しない限り自ら攻撃しに来るモンスターだはない為、今回はお互い気にしない事にする。
    「レイ、ザボアザギル亜種の特徴って覚えてる?」「だから言ったろ、俺昨日の宴会で記憶全部フッ飛んだって」「ゴメン、忘れてた、その設定」そんな会話がレイ達の日常だが、後にこの話が恐ろしい結果を生むとは知らなかった。
    エリア4に出ると、大型モンスター特有のピリピリとした気配が漂っていた。「…いるぞ」レイは限界まで声を潜めてセキトに言った。「ハルナ、お前はペイントボールを頼む」「任せて」セキトは慎重に覗き込むと、カエルと鮫を混ぜた様なモンスターが闊歩していた。「…あれが、虎鮫」元々ザボアザギルは凍土や氷海などの寒冷地に生息するが、亜種になると皮膚や鱗が異常な程厚くなり、暑さに強い。さらにモンスター界随一の皮膚の伸縮性で、膨らんだり、氷を纏ったりと様々な姿になる。
    「セキト、行くぜ」「うん」頷きあうと、レイとセキトは一気に飛び出した。
  9. 9 : : 2017/02/21(火) 18:25:37
    「うおおおおおおおおおお!!!」レイは雄叫びを上げながらザボアザギル亜種に突っ込んだ。その声に反応したザボアザギル亜種な振り返ると同時にコウリュウノツガイで頭部を斬り裂いた。セキトも遅れながらスラッシュアックスを前脚に叩きつけた。セキトの武器は冥海剣斧エンシード。ラギアクルス希少種の重殻と厚麟をベースにした黒いスラッシュアックスで、内蔵された電気エネルギーが雷属性に弱いモンスターに対して絶大な効果を上げていた。
    グオオオオオオオオオーーーーーーーッ!!!
    先手を取られたザボアザギル亜種は口を信じられない程開けて吼えた。
    「ぐっ!」至近距離で咆哮を聞いたレイとセキトは耳を塞いで立ち止まった。ザボアザギル亜種は動きが止まったセキトに向かって前脚で引っ掻いた。「うわっ!?」セキトは尻もちをつくが、狩りは一瞬の油断が命取りとハンター育成教室で何度も叩き込まれてきたので、セキトは素早く後転するとエンシードを構える。
    レイはコウリュウノツガイでザボアザギル亜種の後ろ脚を切り続ける。強烈な火属性のコウリュウノツガイは斬りつけると同時に炎が吹き上がる。「ふっ!!」セキトはエンシードをザボアザギル亜種の顎下からカチ上げた。そのまま振り回しに移行する。1撃、2撃、3撃、4撃。重い一撃が頭部に一寸の狂いもなく命中していく度に青い雷エネルギーが放出されていく。5撃、6撃、7撃、8撃。8撃目を浴びせると同時に遠心力を使って駒のように回り、そのまま斧モードから剣モードに切り替えた。スラッシュアックスはリーチが長い斧モードと攻撃力が高い剣モードに切り替えることができ、いつもは斧モードなのだ。セキトは手を緩めずに剣モードのエンシードでザボアザギル亜種を斬り裂いた。
    レイはコウリュウノツガイを空に掲げた。「ふうっ……」限界まで脱力し、集中力を高める。「はっ!!!」気合いの声を上げると真紅のオーラがコウリュウノツガイに纏わされる。これは双剣使いの最終奥義とも言える鬼人化だ。この状態は歩くだけでもスタミナを消費する為、強走薬などのスタミナ消費を抑えるアイテムが必須なのだが、レイは日々の走り込みによって培った驚異的なスタミナのおかげで長時間の鬼人化が可能になった。「ぜあ!!」レイは渾身の力でコウリュウノツガイをザボアザギル亜種の後ろ脚に斬りつけた。鬼人化する前もかなりの速度の斬撃だが、鬼人化により更に加速した斬撃は目では捉えられない。
    グオオオッ!!!
    ザボアザギル亜種は苦痛の声を上げた。その時。
    「はあああああ!」ハルナが駆け寄ってきた。そのまま大剣を構えて力を溜める。ザボアザギル亜種が引っ掻くよりも早くハルナの溜め3斬撃が前脚に叩き込まれた。
  10. 10 : : 2017/02/21(火) 20:27:39
    前脚に痛烈な一撃を受けたザボアザギル亜種は横に激しく転がった。「今だ、たたみかけろ!!」レイが叫ぶとセキト達は一斉に斬りかかった。セキトは属性解放突きを繰り出した。「うおおおおおおおおお!!」雷エネルギーが突きと共にザボアザギル亜種に撃ち込まれていく。そのまま属性解放突きフィニッシュを決めた。反動でセキトは大きくバランスを崩すが、なんとか持ちこたえた。ハルナは大剣をザボアザギル亜種の背びれに叩きつける。ハルナの武器はブリュンヒルデと呼ばれる大剣で、桜火竜リオレイア亜種の素材をベースにした大剣で、猛毒が染み込ませてある為、斬撃を放つと毒が噴出する仕組みになっている。ハルナはモンスターを状態異常にさせて狩るのが得意なのでブリュンヒルデが一番気に入っているのだ。
    溜め3斬撃から強薙ぎ払いを決めた。ザボアザギル亜種は何とか起き上がると怒りの咆哮を上げた。
    グオオオオオオーーーーーーーーーッ!!!!
    さっきよりも大きな咆哮に、レイはバランスを崩した。するとザボアザギル亜種は風船のように膨れあがった。そのままゴム鞠のように弾んで空へと消えた。「何!?」一番驚いたのはセキトだった。するとレイの周りにだった丸い影ができる。「おい、冗談じゃねぇぞ!!」レイは横っ飛びに緊急回避した。回避した瞬間真横で地響きがした。ザボアザギル亜種が隕石の様に落ちてきたのだ。するとザボアザギル亜種は口から黄色みがかった液体を吐き出した。「うわっ!!」セキトはギリギリで回避しだが、ブリュンヒルデを構えていたハルナは液体の直撃を浴びた。「ああっ……!?」ハルナは膝から地面に倒れた。「消化液か!?」「違う、麻痺液だ!!」レイは思わず叫んでいた。「ぼくが奴の気を逸らす、レイはハルナを!!」「分かった!」レイはコウリュウノツガイを収めてハルナへと駆け寄った。
    「僕が相手だ、ザボアザギル亜種!!」セキトが叫ぶとザボアザギル亜種も向かって来た。
  11. 11 : : 2017/02/21(火) 22:05:47
    セキトはエンシードをザボアザギル亜種の脇腹に叩きつけた。さらに縦斬りから横斬りに続ける。だが、ザボアザギル亜種も煩わしく感じたのか、再び膨らむ。だが今度は弾まずに転がって来た。「うおおっ!!」セキトはエンシードを収めて緊急回避した。
    「ハルナ!」レイはハルナを蹴りとばした。手荒い措置だが、これが最も気絶や昏倒状態に効果がある方法なのだ。「れ、レイ」「大丈夫か?」「ええ、油断してたわ」「飲め」レイは回復薬グレートを差し出した。「いいわよ、レイの分が無くなるわ」「安心しろ、俺は予備がある」「…今回は珍しく用意周到なのね」「…今回は?」レイは思わず睨んだ。ハルナはレイの回復薬グレートゆ蓋を開けて一気に飲み干した。「どうする?まだ戦うか?」「当たり前じゃない、でなきゃ私が暴走するわよ」「おお、怖」レイは思わず苦笑いを浮かべた。「おら、行くぜ」「ええ」ハルナとレイはセキト飲み干した援護へと向かった。
    その頃、王立書士隊とハンターズギルドが緊急会議をしていた。
    「これで7件目か…」「はい、今回の被害は甚大です、火薬と燃料合わせて300トンの火薬が忽然と消えました」「一体何が起きているのだ、一晩で300トンも消えるなんて人間の仕業とは思えんぞ」「では人間ではなけれ一体何者の仕業なのだ?火薬を食うモンスターなどがいるとでも言うのか?」「そ、それは…」若い隊員が顔を曇らせた。「ふん、もっと説得力のある話を考えろ」「いますよ」「何?」「火薬を常食にするモンスターは数十年前ですが、古文書に記録が残されています」「どれだ?」「これです、「黒き雨が降る時、世界は業火に包まれる、世界を一晩で焼き尽くす事が出来る龍の名は巨戟龍ゴグマジオス、世界を滅ぼす煉獄の災厄なり」「ゴグマジオス…!?」「巨戟龍が生きているのか!?」「分かりません、でも…可能性は否定出来ません」「…全ハンターズギルドに腕の立つハンターを緊急招集させろ、レイさんとセキトさん、ハルナさんも呼べ」「はい」「それと、つい最近天空山にリオレイアが現れたという情報が」「そんなものは後だ、とにかく急げ」「はっ!!」こうして、災厄に対抗するためのドンドルマ防衛作戦が始まった。
  12. 12 : : 2017/02/21(火) 22:12:46
    めっちゃ間違えてます。いとこに投稿させられました。ごめんなさいm(_ _)m
  13. 13 : : 2017/02/21(火) 22:18:38
    2章・消えたレイ
  14. 14 : : 2017/02/22(水) 20:21:32
    マズイ事になりました。
    インフル、インフルに発症してしまいました。
    しばらくお休みさせて頂きます。
    Twitter見てツイートお願いします。
  15. 15 : : 2017/02/22(水) 21:20:23
    読んでる友達から文句が来たので命を懸けて書きます。
  16. 16 : : 2017/02/23(木) 22:02:08
    数日後、セキトの耳にとんでもない情報が入った。「レイが消えた!?」「はい、今は王立書士隊が勢力を上げて捜索しているのですが…その天空山、実は……」「実は何だ?」珍しくセキトが受付嬢を睨んだ。「その天空山、数日前から立ち入り禁止になっていたんです」「何?」「理由は分かりませんが…王立書士隊なら「貪食の恐王」が現れたそうです」「貪食の恐王…?」「恐らく…恐暴竜イビルジョーだと思われます」「今すぐ僕を天空山に行かせてくれ!!」「ええ!?」「レイはモンスターの中で獣竜種が一番苦手なんだ!!」「で、でも…」受付嬢は慌ててギルドの中へと走って行った。
  17. 17 : : 2017/02/23(木) 22:12:40
    その頃、とある洞窟の中では。
    「起きろぉ!!」「痛え!?」レイを起こしたのは轟竜ティガレックスだった。ティガレックスはそのままレイの腕に噛み付く。「おいバカ、痛え痛え!!」「うるせーな、黙って噛ませろ」ティガレックスは牙が刺さらない程度の強さでレイの腕を噛み続けた。
    「レイ、起きてたのか?」「起こされただけだ!」レイが怒鳴り返したのは迅竜ナルガクルガ。「ああ…楽しかった」ティガレックスは満足そうに舌舐めずりをした。「明日はオレとプロレス屋」「死ぬわ!」レイはティガレックスにツッコミを入れた。「ああ…どうしてこうなっちまったんだ…」なぜレイが彼らといるのか、それはある事件があったのだ。
  18. 18 : : 2017/02/25(土) 11:08:44
    遡る事3日前、レイは天空山に来ていた。
    「そらっ」グレートピッケルを振るうと、エメラルド色の鉱石が転がり出てきた。「フルクライト鉱石か…」フルクライト鉱石は、天に近い山で採掘できる希少な鉱石で、別名星崩石と呼ばれ、加工は極めて難しいが、凡用性が高いので防具の強化に必要な重鎧玉の調合材料にもなる。また、観覧用になる事もあるという。「これじゃねぇんだよな…」もう一度グレートピッケルを振り下ろすと、淡い水色の石が出てきた。「おおっ、ピュアクリスタル!!やっと出たぜ!!」ピュアクリスタルはライトクリスタル、ノヴァクリスタルよりも純度が高く、貴重な防具の強化材料だ。「これが出たって事は…」レイは渾身の力を込めてグレートピッケルを振るった。ガツンという手応えと共に紫色の鉱石が出てきた。「出た!!これで3つ目だ!!」レイは慎重に紫色の鉱石を拾い上げた。これはコスモライト鉱石で、別名極光石。別の金属に添加させる事で、合金化させて硬度を大幅に上げることができる希少な鉱石だ。ピュアクリスタル並みの価値があり、上位モンスターの素材程の値が付く事があるそうだ。
    「ピュアクリスタルにコスモライトも出たからもういいか」レイが立ち上がった時だった。
    グオオオオオオオオオオッ!!!
    「あ!?」振り返ると真後ろに地響きと共に雌火竜リオレイアが落ちてきた。「うおおっ!?何でリオレイアが………!!?」レイは依頼書を思い出した。
    採取ツアーの大半は狩猟環境不安定で、「別のモンスターが乱入する事がある」という事を警告している意味なのだ。レイはその事をすっかり忘れていた。
    「くそっ、やるしかねぇか!!」レイは漠喰いキロネクスを構えた。これは先日捕獲したザボアザギル亜種の素材を使った双剣で、切れ味鋭く、麻痺状態にする事が出来る有能な双剣だった。「……ん?」レイはリオレイアの違和感を覚えた。
    オオオ…オオ………!!
    リオレイアの身体はボロボロだったのだ。
  19. 19 : : 2017/02/25(土) 11:23:23
    「何でこんなにダメージ受けたんだ!?」レイはとっさに「夫婦喧嘩で負けたのか」「別のハンターと戦ったのか」「自殺を試みたのか」の3つの事が思い浮かんだ。
    「んな訳ねぇだろ、消えろ消えろ!!」レイは慌てて頭をブンブンと振った。もう一度リオレイアを見るとかなり弱っているのか、翼が痙攣していた。「だ…大丈夫…か?」レイは一応キロネクスを構えたままリオレイアに慎重に歩み寄る。「って、言葉通じる訳ねぇか」レイはキロネクスを背中に収めて距離を取った。「………」レイはそのままリオレイアを無視してエリア5からエリア1に向かった。
    エリア1に出るとレイは溜め込んでいた空気を吐き出した。「何なんだよあのリオレイア、バカなのかな?」レイはそのまま拠点に戻ろうとした時だった。
    オオオオオオ………オオオ……!!
    またリオレイアのうめき声が聞こえてきた。「…ちっ、分かったよ!」レイは急いでエリア5に戻って行った。
  20. 20 : : 2017/02/25(土) 11:45:32
    エリア5に戻るとやはりリオレイアが倒れていた。「助けた方がいいのか…?」だが、レイはドンドルマを代表するG級ハンター。モンスターを助けるG級ハンターなど聞いた事が無い。「…こいつも俺と同じ命を持つ奴だ、見殺しにしてたまるかよ……!!」レイはプライドを捨ててリオレイアに近寄った。さらに敵ではないという事を表すため、キロネクスを地面に刺して両腕を上げてリオレイアに近寄る。
    近寄って改めてリオレイアは重症だという事が分かった。額と口からは血が出ており、脚は深く抉れていた。「大人しくしてろよ、別にお前を殺すつもりは無いからよ」レイはリオレイアに言い聞かせながら軽く頭に触れた。
    「グルルルル……!!」リオレイアは牙を剥いてレイを睨んだ。「警戒すんなよ、俺は敵じゃねぇから」レイは言い聞かせるかのようにリオレイアの頭を軽く叩いた。が。
    「グオオオオッ!!!」リオレイアが突然猛毒を分泌する棘が生えた尻尾を振り回したのだ。「うおっ!!」レイは慌てて屈んだが、右肩に毒針がヒットした。「ぐあああ!!!レイはたまらず後方に吹き飛ばされた。「ぐ…う…!!」毒が傷口から浸透し、激痛が走る。レイは採取ツアーだったため、解毒薬は持ってきていない。このままでは毒に侵されて死に至るだろう。「り、リオレイア…!!」レイは震える手で黄色みがかった液体を抵抗するリオレイアの口の隙間に流し込んだ。「さっき調合した秘薬だ、効くかは…知らねぇ…けど…!」レイはそこで意識を失った。
  21. 21 : : 2017/02/25(土) 12:04:13
    (注)ここからはリオレイアの言葉に変わります。
    数時間後、リオレイアは目を覚ました。
    「こ、ここ…は?」リオレイアは周りを見渡すと、そこは夕日に照らされた天空山だった。
    「私…確かセルレギオスに襲われて…」リオレイアがふと横を見ると人間が倒れていた。「に、人間!!」リオレイアは慌てて立ち上がると同時にある事に気が付いた。「傷が…無い?」額の傷口は塞がり、抉れた脚は完璧に完治していた。「もしかして…私を助けた?」リオレイアは恐る恐るレイの匂いを嗅いだ。
    「は…花の匂い…?」リオレイアにとって洗剤の香りは初体験の為、驚きだった。「人間ってこんなに匂いするんだ…」リオレイアが呟いた時だった。
    ギュイイイイイーーーーーーー!!!!
    「まだ追ってくるの!?いい加減にして!!」リオレイアは慌てて飛び立とうとした時だった。
    「ううっ……ぐ………!!」
    レイが呻いた。「まだ生きてる!?」リオレイアは思わず身構えたが、レイは右肩を抑えている。「私の毒が…」リオレイアは苦渋の決断でレイを咥えると、飛び立った。
  22. 22 : : 2017/02/25(土) 12:23:39
    数時間飛ぶと大きな島が見えてきた。リオレイアはそのままとある洞窟の前に降り立った。
    「おう、遅ぇぞレイア!!」「確かに遅かったな、何してたんだ?」そこにはティガレックスとナルガクルガがいた。「ご、ごめんなさい、ちょっと訳ありで」「で、獲物は?」「……あ」「テメェふざけてんのか!?」ティガレックスは怒鳴り散らした。「お前オレ達がどんだけ腹減ってるか分かってんのか!?」「ご、ごめんなさい…」「お前明日こそ獲物捕まえなかったらテメェを食うからな」「まあ落ち着けロイ、それより…」ナルガクルガは赤い目でリオレイアを見た。「…お前何か隠してるな?」「えっ?な、何を?」「口を開けろ」「え?な、何も隠してないわよ」「あ!?こいつ口の中に何か隠してんのか!?」「ああ、少し膨らんでる」「な、何も隠してないって」「吐けよオラ!!」「きゃっ!?」ティガレックスに首を殴られたリオレイアは叫ぶと同時に唾液に塗れたレイがリオレイアの口から吐き出された。「人間…!!」ナルガクルガとティガレックスは牙を剥いてレイに飛びかかろうとした時だった。
    「やめて!!」リオレイアがレイの前に立ちはだかった。「どけレイア、そいつは人間だぞ!!」「オレ達は人間に殺されかけてるんだぞ、そいつもオレらを殺すに決まってるだろ!!」「この人は私を助けてくれたのよ!!」リオレイアが遂に言い返した。
  23. 23 : : 2017/02/25(土) 12:46:13
    「な…!?」「何だと?」「私が遅れた理由はセルレギオスに襲われたからよ、死にかけていた私をこの人は助けてくれたのよ!!」「どういう事だ?」ナルガクルガが尋ねるとレイがまた呻いた。
    「とにかくこの人を助けなきゃ、手伝って」「ああ?何でオレらがこいつを助けなきゃならねぇんだ?」「私はこの人に助けられた、今度は私が助けなきゃ」「分かった、レイア、終わったら事情を説明しろよ」「ええ」「ロイ、お前も手伝え」「ああ!?何で俺が?」「いいから手伝え」「ちっ、分かったよ」ナルガクルガの眼光に押されてティガレックスは渋々手伝い始めた。
    次の日、レイは目を覚ました。
    「おっ、起きたなお前っ!!」「おあ!?何でティガレックスが居るんだ!!?」ティガレックスはレイを前脚で押さえ込む。「ぐあっ!?な、何すんだ!!」「いいか、オレは今めっちゃ腹減ってるんだ…ってお前…」「な、何で俺…」「「言葉話せるんだ?」」
  24. 24 : : 2017/02/25(土) 12:47:50
    3章・恐怖の飛竜共同生活
  25. 25 : : 2017/02/25(土) 17:22:14
    「……………?」「……………?」レイとティガレックスの間に沈黙が流れた。「まぁんな事どうでもいい、んじゃ、遠慮なく食わせてもらうぜ」ティガレックスの口が開き、蠢く肉壁と巨大な舌が姿を見せる。「ま、待てよ、早まるな!」「別に早まってねーよ」ティガレックスは容赦なく口を限界まで開ける。「噛み砕くか、生きたまま丸呑みか、2択のチャンスをやる」「どっちも死ぬ運命じゃねーか!!」「じゃあオレの好きにしていいって意味だな?じゃあ一番好きな丸呑み2択してやるよ!」「よ、よせ!!」「こ・と・わ・る」ティガレックスがレイの頭に食らいつこうとした時。
    「ストップ」低い声が洞窟の中に響いた。「ロイ、そいつを食うのは事情を聞いてからって言ったよな?」「な、ナルガクルガまで…!?」レイは言葉を失った。防具も無い状態で、G級のモンスターが目の前に2頭もいるのだ。普通だったら大パニックに陥っているだろうが、レイは何故か不思議に落ち着いていた。「…なぁ、人間」「ひ、ひっ…!!」レイは思わず小さな悲鳴を上げた。「私はお前を何処かの暴食バカみたいに食うつもりはない」「誰の事だ?」ティガレックスがナルガクルガを睨んだが、ナルガクルガは気にせずに続けた。「何故レイアを助けた?」「何でって…」レイは言葉に詰まった。
  26. 26 : : 2017/02/25(土) 19:30:51
    レイはナルガクルガと話していた。「だって目の前に瀕死のモンスターが落ちてきたんだぞ、そりゃあ…ハンターだから討伐しようと思ったけど…俺はあまりモンスターを殺すのは好きじゃねぇんだ」「それでレイアを助けたって訳か」「そ、そうだ」「………」「………」ナルガクルガとティガレックスハンター顔を見合わせたてレイを見た。(こ、怖っ、めっちゃ睨まれてる…)「わ、悪かった…のか?」「………プッ」ティガレックス達は吹き出した。「ヒャハハハハ!!気に入ったぜお前!!」「驚いたな、そんな感情を持つ人間がいるとは…」「ど、どういう事だ?」「お前、オレ達と生活しようぜ!!」「はぁ!?」「そうすりゃオレもいい暇つぶしの相手にもなるし非常食にもなるしな、な、シェイド!!」「そうだな、レイアも喜ぶだろうし」「れ…レイア?」
    「私の事?」振り返るとそこにはリオレイアがいた。「お前、あの時の…?」「ええ、あなたが助けてくれなかったら私はセルレギオスに殺されていたわ」「セルレギオスってだからお前あんな傷があったのか」「ええ、それとごめんなさい」「え?」「私の毒であなたも死にかけたのよ、それでここまで運んでげどく草を絞った汁を飲ませたのよ、効いてよかったわ」「それはこっちのセリフさ」レイはふとある事を思い出した。
    「お前ら名前は?」「そうだ、自己紹介まだだったな、オレはティガレックスのロイ、名前間違えたら殺す」「私はナルガクルガのシェイドだ、よろしく」「私はリオレイアのレイア、よろしくね」「俺はレイ、よろしく」レイ達は自己紹介をした。「待て待て、何でレイアは分かりやすいのにお前らはそんな名前なんだ?」「知らん」ロイとシェイドは即答した。
  27. 27 : : 2017/02/26(日) 10:51:32
    その頃、セキトは1人で天空山に来ていた。
    「レイ!!返事しろ!!」叫ぶが、帰って来たのはセキトの反響した声だけだった。背負っている武器はスラッシュアックスの海王斧ナバルディード。伝説の古龍、ナバルデウスの素材を使ったスラッシュアックスで会心率の高さ、攻撃力、強烈な水属性が気に入っているセキトの相棒と言える武器だ。
    「どうなってるんだ……?」天空山は不気味なほど静まり返っており、普段はたくさんいるアプトノスは一頭もいなかった。まるで巨大な何かに監視されているかのような感覚にセキトは呑まれていた。すると、見覚えのあるあれが落ちていた。
    「レイの…ポーチ…」今まで嫌という程見て来たレイのポーチが落ちていたのだ。慌てて中身を見るとフルクライト鉱石、ピュアクリスタル、コスモライト鉱石が入っていた。「エリア5で採掘してたのか…」その時。
    グオッグオッ!!
    「!?」振り返るとそこには赤い体のモンスターがいた。「イーオスか」セキトは海王斧ナバルディードを構えた。イーオスは火山や湿地帯に生息する赤い鱗を鳥竜種のモンスターで、体内で毒を作り出す器官があり、毒を吐きかけて獲物を捕らえる。「悪いけど今は邪魔をしてほしいタイミングじゃないんだ」セキトはナバルディードを一頭に叩きつけた。研ぎ澄まされた刃が易々とイーオスの体に食い込んでいく。飛びかかって来たイーオスの腹にカチ上げたナバルディードの斧刃が深々と突き刺さる。そのまま振り回しに繋げ、怯んだ3頭を見るとセキトは素早く剣モードに切り替えたと同時に奴が来た。
    グオッグオッ、グオッ!!
    イーオスより一回り体が大きく、頭部にはトサカのようなものが生えている。「ドスイーオスか」セキトは歯を食いしばった。
  28. 28 : : 2017/02/26(日) 12:35:03
    セキトはナバルディードを構えたまま、ブラキウムヘルム越しにドスイーオスを睨んだ。「幻鳥竜玉は欲しいけど…レイを探しに来たんだ」セキトは自分に言い聞かせたが、ふとある事が浮かんだ。(このまま放っておいたら被害が出るし、自分も邪魔されてもおかしくはない…)セキトは覚悟を決めた。「…撃退しよう」呟くと同時にドスイーオスが走り寄って来た。「来い、ドスイーオス!」セキトは群がるイーオスを突っ切ってドスイーオスの側面を通ると同時にナバルディードを一閃させた。重い一撃にセキトの手が痺れたが、それは会心の一撃という事、セキトは怯まずにドスイーオスの脚に狙いを付けて攻撃を仕掛ける。上段斬りから横斬り、サイドステップで死角になる尻尾方面へと移動する。
    だが、G級のドスイーオスはそれで倒せる程甘くない。
    素早く方向転換するとゼロ距離で毒液を吐き出したのだ。「くっ…!」セキトはギリギリで避けたが、吐き出した毒液が気化し、ピリピリとした刺激臭が立ち込める。 「げっほげほ」短くむせるとセキトはナバルディードを握り直す。「せいっ!!」ナバルディードを叩きつけると水が噴き出す。水がドスイーオスを皮膚に触れるとすぐに吸収された。そのまま剣モードに切り替える。さらに攻撃力が上がったナバルディードをセキトは体の一部のように自由自在に振り回す。喉を切り裂くとドスイーオスは苦痛の声を上げた。「トドメだ!!」セキトは青いエネルギーを纏ったナバルディードをドスイーオスの脇腹に突き立てた。「うおおおおおおおお!!!」属性解放突きが一寸の狂いもなく命中していく。「いけええええええええ!!!!」ナバルディードの属性解放突きフィニッシュが炸裂すると同時に轟音が響き渡った。
  29. 29 : : 2017/02/26(日) 13:09:26
    「ふうっ…終わったか」セキトはナバルディードを背中に収めた。ドスイーオスは起き上がると足を引きずりながら巣穴に向かっていく。「当分来ないでくれよ」セキトが言った時だった。
    ギイイイイイイイイイイーーーーーー!!!!
    天空山に咆哮が轟いた。
    「何だ!?」セキトは慌てて岩陰に隠れて空を見る。すると、空から緑色の何かが飛んでくる。「あれは…確か…」
    電竜ライゼクス
    ライゼクスは右翼に電気を纏ってドスイーオスに突っ込んだ。凄まじい衝撃音が響き、砂埃が舞い上がる。「ううっ……!!」セキトは目を細めた。
    砂埃が晴れるとそこには倒れたドスイーオスの姿があった。ライゼクスはドスイーオスに歩み寄るとその体に喰らいついた。ブチブチと腕を食いちぎるとそのまま飲み込む。「ぐっ…!!」今まで様々なモンスターの捕食する所を目撃してきたが、これほど激しく食い散らかすモンスターは初めてだった。セキトは急いで口を押さえてエリア1へと逃げる。だが。
    グルルルル…………!!
    ライゼクスが振り向いたのだ。「マズイ…!!」セキトの体から最大の危険信号を発せられる。
    ギイイイイイイイイイイーーーーーー!!!!
    耳をつんざく咆哮に、セキトの動きが止まる。ライゼクスはそのままセキトに突っ込んで来た。「ぐあっ!!」痛烈な一撃にセキトは後方に吹き飛んだ。「くそっ!!」セキトはナバルディードを構えた。「ぜあ!!」ナバルディードを最小限の動きで振り下ろすが、それより速くライゼクスはセキトの頭上を飛び越えた。「こんな動きも出来るのか!?」ライゼクス討伐未経験のセキトにとってこれほど素早い飛竜種はナルガクルガしかいないと思っていたが、ライゼクスの動きは想像を遥かに超えていた。ライゼクスは血に染まった口から光弾を吐き出した。体内の電気を圧縮して電気の弾にして発射したのだ。
    「うああっ!!!」光弾の直撃を浴びたセキトは壁に激突した。さらにライゼクスは飛び上がって尻尾をセキトの肩に突き刺した。「うっ……!!?」体が麻痺して動かない。セキトは前のめりに倒れた。
    やら…れ…る……!!
    背中がへし折られたかなような激痛が走り、セキトの意識は消え去った。
  30. 30 : : 2017/02/26(日) 16:51:57
    飛竜共同生活4日目
    シェイドは朝になる前に起きた。寝ている間に喉が渇いたのだ。「まだ太陽出てないか…」洞窟の隅に流れる小川の水を飲んで再び眠ろうとした時だ。
    ブンッ…ブンッ…ブンッ……
    外から聞きなれない音が聞こえてくる。「……?」睡魔と戦いながらシェイドは出口に向かった。
    洞窟付近の森は寒く、昼間は25度前後だが、夜はマイナス近くまで下がる。生身の人間が生活したら環境の変化に耐えられずに病気になるだろう。「………!」そこには月明かりに照らされた葦を相手に見立てながらキロネクスを振るうレイがいた。「なるほど、音の正体はレイか…」シェイドは気配を殺してレイを観察し始めた。
    「ふっ…」レイはザボアザギル亜種の討伐からかなりの間狩りに出ていない。その為かなりキロネクスを操る腕は鈍っていた。素振りを兼ねてレイはある研究をしていた。「どうすれば最小限の動きで鬼人乱舞に移行出来るか」どうしてもレイは長年の癖で鬼人乱舞の前に無駄な小さいモーションが入ってしまうのだ。その為、鬼人化の奥義と言われる鬼人乱舞を発動する前にモンスターの反撃を受けてしまうのだ。
    「ふんっ!」レイは一気に踏み込むと、葦を根元付近から切り裂いた。そのまま右だけ斬り上げ、両腕を払って周りの葦を切断した。が。
    「ちっ…」レイはキロネクスを止めた。どうしても遅い。このわずかな隙がモンスターの攻撃を受けてしまうの種となっているのだ。「あー、セキトに教わっときゃ良かったな」元々レイの無駄なモーションに気付いたのはセキトだったのだ、セキトから何度か助言をもらっていたのだが、今はレイしかいない(隠れてシェイドも)。
    「ふっ…悩んでるな、私が助けてやるか」そう言うとシェイドは1発のトゲ弾を発射した。
    ドスッ!!「うおっ!?」目の前にある木の幹にトゲ弾が突き刺さり、反射的にレイは身構えた。「随分練習熱心だな」「何だシェイドか…」「お前何か悩んでるのか?」「え?」「お前の太刀筋さ、遠目から見ていても分かるくらい迷いが含まれてる、3年前とは大分腕が落ちたんじゃないか?」「3年前…?」「覚えてないのか?渓流で私と闘ったろ?」「お前まさか…!!」「ああ、あの時のナルガクルガは私だ」「えええええええええ!!?」レイの声が島中に響いた。
  31. 31 : : 2017/02/26(日) 17:27:44
    「おまっ、お前あのナルガクルガなのか!?」「ああ、この傷はお前が付けた物だ」そう言って見せたのは翼刃に付いた十字の大きな傷だった。「それってあれだよな?俺の鬼人連斬の痕だよな?」「名前は知らんが確かにお前に付けられた傷さ、あの時のお前はかなり強かったな…」「ああ、G級ハンターになる為に一直線に突き進んでいた時だったから」レイは懐かしそうに空を見上げた。「ほら、帰るぞ、少しでも寝ないと朝のロイとプロレス出来ないぞ」「明日で俺は死ぬのか……」レイは肩を落としながら洞窟へと戻っていった。
  32. 32 : : 2017/02/26(日) 19:42:46
    「ふわぁ…ぁぁ…」レイはあくびをしながら起きた。「おっ、起きたな?」保温の為にレイを包んでいたシェイドが声をかけた。「あ、あれ?ロイの奴どこ行った?」「腹減ったからデカイアプトノス捕まえてくる」って出ていった」「何だ…」「ん?お前プロレスやられたかったのか?以外にドMだな」「ち、違うわ、安心してんだよ!」「ホントか?」そんな会話はまるで家族のような安心感があった。
    「おい、戻ったぞ!」声がした方にはロイとレイアがいた。「あっ、起きてんだねレイ」「ろ、ロイ、今日は…」「あ?今日はちと食い過ぎたからやらねぇ、吐いちまう」見るとロイの腹部はかなり膨らんでいた。「そんなに何食ったんだ?」「アプトノス5頭、ムーファ8頭、ジャギィ6頭…」「食い過ぎだろ」シェイドは冷静なツッコミを入れた。「それよりレイも食べる?お腹すいたでしょ?」「ま、まあな」この4日間レイは水しか口にしていない。体が強くなったのか、それとも空腹を感じないほど体がおかしくなってしまったのか、レイはわずかな恐怖を覚えた。「じゃあ子供だけどアプトノスあげるわ」そう言うとレイアは咥えていたアプトノスをレイに差し出した。「い、いや、俺達人間はお前らと違って生では食わないんだよ、ちゃんと火を通さないと細菌とか寄生虫が殺さないだろ?」「細菌?寄生虫?」レイアが首をかしげた。「とにかく火を付けてくれないか?」「ええ、いいわよ」レイアはそう言うと薪に火を吐いた。
  33. 33 : : 2017/02/26(日) 21:47:57
    4章・二つ名モンスター
  34. 34 : : 2017/02/26(日) 21:54:30
    レイはこんがり肉の食べ終わると立ち上がった。その顔は、不吉な顔をしていた。「どこに行くの?」「いや…なんか嫌な予感がするんだ」「嫌な予感?」「ああ、調査も兼ねてこの島の形状を理解しないといけないから」「なら私も行くわ、レイに何かあったら不安だもん」「おっ、新生カップル誕生か?」ロイの小さな声はレイアには届かなかった。
    その頃、島の海岸付近にヤツがいた。
    「へぇ…結構いい場所じゃねぇか…」ヤツは尻尾に食らいついた。
    ガリガリガリガリッ!!!
    その尻尾は黒く、巨大な「刀」となっていた。
    破壊の刀が、動き出す。
  35. 35 : : 2017/02/26(日) 22:07:03
    レイ達は森を散策していた。「そう言えばレイってどこに住んでたの?」「何処って…ドンドルマっていう街さ、まあモンスターはまず行けない場所だけどな」「そうなんだ、でも私もいつか行ってみたいなぁ」「ああ、いつかな」レイ達は笑顔を保ったまま進んだ。だがこの後、大切なレイの命を脅かす敵と出会うとはレイアは知らなかった。
    森を出ると、そこは開けた平地だった。「ここはよくアプトノスがいるのよ」「ホントか?」だが、ふと変な匂いが漂った。
    「何だ?鉄…の焼ける匂い…?」この匂いは武器屋の加工する場所で匂う物だ、つまり近くで何かを加工しているのだろうか?「何?この匂い…?」レイアは顔を歪ませた。更にレイの足元にある物が落ちていた。「何だ…これ?」それは黒くなった鱗のような物。まるで焼けた石のような色をしている。そっと触れた時だった。
    「熱っ!!」その鱗は今にも火がつきそうな程の高温だったのだ。「何それ?」「分からねぇ、熱いから触れるな」レイが言うと同時にヤツが姿を現した。
  36. 36 : : 2017/02/26(日) 22:26:32
    ガアアアアアアアアアーーーーーーー!!!!
    「「!?」」振り返るとそこには赤黒く、刺々しい重殻に包まれた獣竜種が闊歩していた。
    「斬竜……ディノバルド」レイは本能的にキロネクスを引き抜いた。「何あいつ、あんなの島にいなかったわよ!!」「レイア、下がってろ」
    「あ?何で人間がこの島にいるんだ?」ディノバルドがレイアに尋ねた。「あなた誰!?この島のモンスターじゃないわね!!?」「当たり前だろ、最近餌が少なくなっちまったからこの島に来たんだがここは餌が豊富でいいな、ついさっき海岸にいた「ロアルドロス」っていう奴食ってきたぜ、パサパサしてたけど…な」「あなた…ロアルドロスを食べたの!?」「おう、全然美味くなかったけどな」「許さない…!!」「待て」殺気立つレイアをレイが制した。
    「モンスターの世界は弱肉強食だ、弱い奴は強い奴に食われる、お前が朝仕留めてきたアプトノス達だって一緒だ、お前に食われたくなかっはずだ、でも俺達動物は食わないといけない、どんな奴も生きるために食ってるんだ」「レイ…」「ほう、モンスターと話せる人間か、面白いなお前」「ディノバルド、お前はただのディノバルドじゃねぇな、確か…「燼滅刃ディノバルド」だったか?」「フハハハ、人間界にも俺の名前が知れ渡っているとは、そうだ、俺は燼滅刃ディノバルドのゼロ、噂では聞いていたがお前はドンドルマのハンターのレイだな?」「……知ってるのか」「あたりめーだろ、俺のエサの「ザボア亜種」を殺した奴ってな」「何だと!?」「まあいい、食いモンの恨みは恐ろしいぜ!!」そう言うとディノバルドはいきなり噛み付いてきた。
    「おお!!」レイはキロネクスをディノバルドの顎に突き立てて受け止めた「くっ…」一瞬でも力を抜いたらディノバルドに噛み砕かれるだろう、その恐怖がレイに力を与えた。「はあっ!!」レイは左のキロネクスをディノバルドの頭部に斬りつけた。一瞬力が緩むとレイはバック転でディノバルドから距離を取った。
    「いい反応だ、ますます気に入ったぜ、お前、俺と組まねぇか?」ディノバルドがレイにとんでもない提案をした。
  37. 37 : : 2017/02/26(日) 22:52:05
    「何だと?」「俺と一緒に世界各地を回ろうぜ、俺は世界一強いモンスターになるのが夢だ、お前は世界一のモンスターの相棒になれるんだぜ、こんなにありがたい事は滅多に無ぇぜ」「レイ、惑わされちゃダメ!!」「うるせぇ奴だな、あいつから殺すか」ディノバルドが動いた時だった。
    「やめろ!!!」レイが怒鳴った。
    その声は、レイアでさえ凍りつかせた。「お前…結構声出るな」「レイアを殺すなら俺を殺してから行け、さもなくば俺がお前を殺す」レイの目は煌々と紅く光り、ナルガクルガの様になっていた。「レイ……!!」レイアは叫んだ。「私は気にしないで、暴走しちゃダメ!!」「黙ってろ」レイはディノバルドに向かって走り出した。
    「ハハハ、やっとやる気になったか!!」ディノバルドは刀となった尻尾をレイに叩きつけた。岩をも切断する尻尾が地面に触れると大地に1本の筋が出来た。「ああああああ!!!」レイはディノバルドに斬りかかった。「遅いなぁ」ディノバルドは炎が付いた牙でレイに食らいついてきた。炎が付いた牙がレイのクシャナXアームに突き刺さった。「ぐああっ、くそっ!!」」レイは苦痛の声を上げた。さらにディノバルドは刀と化した尻尾でレイを薙ぎ払った。頑丈なクシャナXメイルが軋み音を上げ、レイは吹っ飛ばされた。「おいおい、本気で来ないと俺に食われちまうぞ」「食われて…たまるか!!」レイはディノバルドを睨む。
    「フフフフ…よし決めた、テメェの頭から真っ二つにしてやる」ディノバルドは尻尾に食らいついた。
    ガリガリガリガリッ!!!
    尻尾は赤黒い何かに覆われ、凄まじい熱気を帯びる。危険という事は見るからに分かる。
    「砕け散れ」ディノバルドは尻尾をレイの斬りつけた。レイは尻尾を避けた。刹那………
  38. 38 : : 2017/02/27(月) 02:42:47
    その頃、ロイは毎朝日課としている日光浴をしていた。「うーん…やっぱ晴れはいいよな」すると
    ズッドオオオオオオオン……………
    遠くから轟音が聞こえた。「ん?何だ?」「ロイ!」シェイドもやって来た。「聞いたか?今の音」「いや聞こえねぇ訳無いだろ」「確かレイア達がいるはずだ」「めんどくせーな」ロイ達は渋々飛び立った。
    一方、レイVSディノバルドは
    ディノバルドは黒焦げになった大地を見て不敵な笑みを浮かべた。「フハハハ、どうだ、俺の破壊刀の威力は!!」「レイ!!」レイアはたまらず駆け出した。「レイ、レイ!!」必死で土を足で掻き分けると土に埋もれたレイの腕があった。「今…助けるから!」レイアは腕を咥えると一気に引きずり出した。「ガハッ…!!」レイは苦しそうにむせた。クシャナXシリーズは黒く焦げており、中のレイも無事ではなさそうだった。「レイ、大丈夫!?」「…安心…しろ」だが、ディノバルドは攻撃の手を緩めない。
    「どけ」「きゃっ!!」ディノバルドはレイを覗き込む。「どうだ?これ以上俺と戦わないで仲間になった方が身のためだぞ」「お前の…仲間になんて……死んでもなってたまるか!!!」レイは渾身の力でキロネクスを沸々と煮え滾るマグマの様なディノバルドの喉に突き立てた。
    ドォンッ!!!
    小さな爆発が起こったかの様な音が響いた。
    「げっ…お前…!!」ディノバルドの口からは黒煙が上がっている。「ディノバルドは…喉の溶鉱炉に似た器官…がある…そこに衝撃を与えれば…大爆破…する…!」レイはそこで倒れた。「ぐっ…今日は見逃してやる、だが今度は逃さねぇからな!」ディノバルドはそう言うと崖下へと消えていった。
    「レイ!!」レイアは急いでレイに駆け寄った。「心配…すんな…爆発に…巻き込まれた
    …だけ…」レイはそう言うと目を閉じた。「レイー!!」レイアの悲痛な叫び声が響き渡った。
  39. 39 : : 2017/02/27(月) 02:44:14
    5章・雷の後輩
  40. 40 : : 2017/02/27(月) 03:04:42
    その夜、レイアはレイを翼で包んで保温していた。「ぐぅっ…!」「レイ…どうしたの?」レイの顔は赤くなり、呼吸も荒い。舌先でレイの額を軽く舐めるとかなり熱かった。「凄い熱…」レイアは小川の水に舌をつけると冷やした。その舌でレイの額を舐めた。
    「レイア」「シェイド、今までどこいってたの?」「私の「後輩」を呼んできたんだ。明日には来るだろう」「後輩…?」「それよりどうだ?レイの様子は?」「凄い熱があるの、多分どこか骨折してるのかもしれないわ…」「明日私の知り合いが治してくれるかもしれない、だから明日は渓流に行くぞ」「渓流!?かなり距離あるわよ」「だから私の後輩を呼んだのだ、とにかく今日は私がレイを見るからもう寝ろ」「うん…ありがとう…」レイアはシェイドに代わって眠りについた。
  41. 41 : : 2017/02/27(月) 03:38:03
    次の日、AM8時。
    「来ないじゃない」「誰が来るんだよシェイド、オレすげー眠いんだけど…」「あいつ遅いな…後で説教だな」「本当に来るの?道間違えたとかあり得るわよ」「………」すると。
    「おーい、シェイド先輩!」「おっ、来たぞ」見る先には緑色の何かが飛んで来ている。「あいつは…」
    正体はライゼクスだった。「先輩、遅れてすいませんっス!」「お前遅すぎるぞ、何してた?」「何って決まってるっスよ」「何だ?」「……朝飯っス」「……頭出せ」
    ズドォン……!!!(テイルクラッシュ炸裂音)
    「さて、我々は急遽渓流に向かう事になったが…」「大丈夫か?」「…痛いっス(泣)」ライゼクスは腫れた頭を抑えた。「どれくらい時間かかる?ボルト」「ボルト?」「あっ、オレの事っス」「そういえば自己紹介してないな、オレはロイ、よろしく」「私はレイア、よろしくね」「レイア先輩にロイ先輩っスね、了解っス!」「おい、オレを先輩って呼ぶな」「分かりました、ロイ先輩!」「だから…」「?どうしたんスかロイ先輩?」「お前殺すぞ」「ボルト、時間は?」「あっ、そうっスね、早くて半日ぐらいっス」「早くて半日か…」「レイはボルト君に任せるわ」「って人間っスか!?何で人間がいるんスか!?」「まぁ…いろいろあってな」「んじゃら行きますか!」ボルトは両脚でレイをがっちり掴んだ。「ぐう…!!」「ん?何スかこいつ?痛そうですけど?」「丁寧に扱え、落としたらテイルクラッシュで済まないからな」「了解っス!!」ボルトは天空へと舞った。
  42. 42 : : 2017/02/27(月) 06:59:23
    その日の夕方、レイア達は渓流に到着した。
    「ここが…渓流」「いやー、久々っスね、渓流ってのも」「ここにお前の知り合いがいるのか?」「ああ、確かここら辺にいるはずだが…」シェイドは辺りを見渡した。「あのーこの人間もう離していいっスか?」「待って、私の背中に乗せて」ボルトはレイア背中にレイを乗せた。
    「オレ少し探して来ますよ、シェイド先輩の知り合いなら大体予想つきますし」そう言ったボルトが歩き出した時だった。
  43. 43 : : 2017/02/27(月) 19:00:47
    ズチャッ……………
    「え?」ボルトの足には白い泡のような液体が付着している。「あなた何それ、汚いわよ」「お前まさかそれ…」「ち、違うっスよ、何か…ヌルヌルするんですけど!!」「やっぱりそれ…」「だから違うっスよ!」ボルトが歩き出した瞬間、ボルトは派手に転倒した。「痛ってぇ!!」「やはりそうか、セナ、いるなら出てこい!!」シェイドは周りに向かって叫んだ。
    すると茂みが揺れた。「何だ!?」ロイが身構えるとそこには見慣れないモンスターがいた。
    「…シェイド」彼女は泡狐竜タマミツネ。「ようセナ、久しぶりだな、早速だがこの人間を治してくれないか?」「人間?何で人間なんかを?」「その人は私の大切な人なの、出来れば早めに治して欲しいんだけど…」セナはレイアが降ろしたレイを覗き込んだ。「…皮膚が極度の高温や低温によって起こる組織的損傷、通称火傷…」「な、なんスかこいつ?」「とにかく酷いダメージだからしばらくは局所治療になるわよ、それでもいい?」「きょ、局所治療?」「じゃあ後は私に任せて…」「ボルト、お前は残れ」「ええ!?何でですかシェイド先輩!!」「流石にセナだけに任せるのも失礼だからな、お前の能力があれば魚が捕まえられる」「…分かりましたよ」「…よろしく、ボルト君」「こ、こちらこそ…」いつもは陽気なボルトも礼儀正しいセナに調子が狂ったようだ。「じゃあ1週間後にまた来るぞ」「…分かった」「ボルト君も元気でね」「何で生き別れみたいになってるんスか?」「まあ気にすんな、レイが治ったら何かもって来てやるよ」レイア達はそう言うと夕日に照らされた空へと飛び立った。
  44. 44 : : 2017/02/28(火) 19:32:51
    「よし!」ボルトが声を上げるとセナが冷たい目で睨んだ。「あっ、すいませんっス…」「…何が?」「え?い、今…」「…別に、ボルト君が嫌いって訳じゃないから」「そ、そうっスか…///」ボルトは頰を赤らめた。「…ねぇ」「は、はいっ!?」「…ネンチャク草って知ってる?」「ネンチャク草ってあの白くてネバネバする草ですっスよね?知ってるっスよ」「…30本採ってきて」「さ、30本!?」「…いいから行ってきて、あとそんなオーバーリアクションしないで、私うるさい人嫌いなの」「嫌いじゃないって言ったのに…」ボルトは肩を落とした。「…川辺にいるから」「了解っス」ボルトは返事をすると渓流へと急いだ。
    「………」セナはレイを改めて見た。レイは肩から背中に向けて赤く火傷を負っており、呼吸も荒い。更に右足が紫色に腫れていた。「………」セナは前脚でレイの右足を軽く押した。「ぐああっ!!」レイは苦痛の声を上げた。「やっぱり折れてる…」セナは優しくレイを咥えると川辺へと向かった。
  45. 45 : : 2017/02/28(火) 20:29:24
    ボルトはその頃、渓流のエリア4に来ていた。「ネンチャク草なんてそう簡単に30本も見つかるかよ…やっぱシェイド先輩と一緒に帰るんだったな…」ボルトは文句を言いつつも、口には20本近くのネンチャク草が咥えられていた。「うう…苦」ボルトは苦さに耐えられずにネンチャク草を吐き出した。するとボルトの腹が盛大に鳴った。「やべ、腹減ったなぁ…そういや4日前のドスイーオスしか食ってねぇな、あの人間も食っておくべきだったな」ボルトはネンチャク草を足で掴むと夜空へと飛び立った。そのボルトをじっと見つめる影がいた………
    ウォォォォォォォーーーーーーーーン……!!
    渓流に遠吠えが響き渡った。
  46. 46 : : 2017/02/28(火) 20:42:20
    読んでるけど、とても面白いのに改行されていないので読みづらい。
    良ければ改行お願いします。
  47. 47 : : 2017/02/28(火) 20:57:01
    すんません、初心者のもんで。
    改行……ですか、了解っス!!
  48. 48 : : 2017/02/28(火) 20:58:19
    アドバイスの方はこのようにお願いします!!
    (自分まだ未登録っス)
  49. 49 : : 2017/02/28(火) 20:59:16
    ボルト君はクラスメイトから絶大な人気ですね。
    皆さんは誰が好みですか?
  50. 50 : : 2017/02/28(火) 21:15:57
    セナはその頃、渓流のエリア7にある大河の隅にいた。「………」ゆっくりレイを置くと海竜種特有の関節の柔らかさを活かして尻尾をレイの方に向けた。
    「……洗うわよ」セナは柔らかい毛が生えた尻尾でレイの体を洗い始めた。
    「うっ……ぐあ…」「…喋れる?」「…こ…ここ…は…?うっ!」「まだ動かない方が身のためよ、火傷が重すぎるから」「そうか…ってお前タマミツネ!?」「うるさい…」「しかもここ…渓流だよな?」「…ええ、あなた名前は?」「俺はレイだ、お前は?」「…セナ」「セナ…か、よろしくな」「…こちらこそ」「そう言えばレイア達はいないのか?」「…あの人達なら帰ったわよ、5時間前に」「5時間前!?ていうかお前レイア達とどういう関係なんだ?」「…私達は…」
    人間を恨んでいるモンスター達よ
  51. 51 : : 2017/02/28(火) 21:32:04
    その頃、ユクモ村では
    「ううっ……?」「セキト君、まだ動かないで」「は、ハルナ?」「あなた4日間寝込んでたのよ、水飲む?」「うん、頼む…」ハルナはコップに水を注いでセキトに渡した。「僕は…一体何が…?」「書士隊が天空山のエリア5で倒れていたセキト君を運んでくれたのよ、その近くには惨殺されたドスイーオスが居たって聞いてるし…何があったの?」「…ライゼクスがいた」「ライゼクスって…あの電竜!?」「ああ、ドスイーオスを捕食して僕に襲いかかったんだ、本当に殺されたかと思ったよ」「動かないで、両足の骨が完全に折れてるから」「両足?」セキトの顔が強張った。
    セキトは水を一気に飲み干した。すると病室の隅にあるブラキウムシリーズが目に入った。そのブラキウムメイルは大きな亀裂が入っていた。
    「もしかしてブラキウムメイル…」「…言いにくいんだけど…壊れたの」「……!!」「加工屋さんが言うには「不滅の炉心殻」が足りないらしいの、だから私が臨界ブラキディオスの討伐に行こうと思ったんだけど…臨界ブラキディオスの依頼はもう無いらしいの」「…そうか」「気を悪くしないで、代わりに混沌に…」
    「僕に考えがある」「え?」
    「大和・真シリーズが作れる」「それって…」「それと、「業物・九十九牙丸」を解禁する」それは、セキトにとって苦渋の決断だった。
  52. 52 : : 2017/02/28(火) 21:37:47
    6章・背反する双逆鱗
  53. 53 : : 2017/03/01(水) 00:12:26
    「な、何だって?」レイはセナに聞き返した。「私達は人間に殺されかけた記憶があるモンスターが集まった集団なの、最初はシェイドと私だけだったけどレイアさんにロイさん、ボルト君も入ってるとは知らなかった」
    「ボルト?ボルトって誰だ?」
    「オレの事っス!!」振り返るとそこにはたっぷりネンチャク草を咥えたライゼクスがいた。「ライゼクス!?お前も喋れんのか!?」「それはこっちの台詞っスよ」「それより採ってきましたよ、ネンチャク草」「ありがとう、じゃあ早速始めるわよ」そう言うとセナは爪でネンチャク草を揉み潰し始める。
    「何してんスか?」「ネンチャク草はその名の通り強力な粘着成分があるわ、しかもカルシウムを豊富に含まれてる…」「ま、まさかお前…」「ちょっと痛いけど我慢してね」
    その夜、渓流に青年の絶叫が轟いた。
  54. 54 : : 2017/03/01(水) 17:49:04
    亜種系のモンスターは出ますか?
    出来ればレウス希少種書いてください
  55. 55 : : 2017/03/01(水) 17:50:47
    希少種っスか……
    亜種は複数出す予定ですね
  56. 56 : : 2017/03/01(水) 22:25:11
    そして、レイア達は眠れぬ日々を過ごしていた。
    「…………」「…………」「…………」何とも言えない沈黙が続く。
    「だーっ、オラ、元気出せ!!」ロイが叱咤するかのように叫んだ。「いくらレイが死にかけてるからって沈黙は無いぜ、オレは静かな場所が嫌いなんだよ」「……すまない、あの時私がレイを止めていれば、奴と戦わなくても済んだはずだ」「シェイドのせいじゃないわ、レイを守れなかった私の責任……」
    「………」「 ………」「………」ピキッ
    「お前らオレに嫌がらせしてんのか!?」ロイの怒声が響き渡った。
    その頃、島の北西の山間部では。
    バリッ…バリッ…グジュグジュ……
    身の毛もよだつ音が響いていた。音の正体は、アプトノスを貪るディノバルドだった。「ふぃ〜食った食った」ディノバルドは血に染まった牙で尻尾の刀を噛み研いだ。
    「ちっ、痛てぇな…」ディノバルドは顔を歪ませた。レイによって爆破させた喉が未だに痛むのだ。ディノバルドの人生の相手でもレイは古龍並みの強さを持っていると改めて痛感した。だが、何故それほどの実力を持っている人間があのリオレイアを助けたのだろうか?
    様々な疑問が次々に湧き上がってくる。
    「……ふぅ」ディノバルドは考えるのをやめた。食べた獲物を消化するのに専念することにした。
  57. 57 : : 2017/03/01(水) 22:37:42
    その頃、天空山では
    「おい、早く逃げろ!!」

    「どうなってんだ、こいつ!!?」

    「大至急援軍を呼べ!!」

    グオオオオオーーーーーーー!!!!

    「ぎゃああああああああ!!!」

    「た、隊長!!」

    「こ、こんなモンスターが…この世に存在するのか……!?」

    「ご…ゴア・マガラと…シャガル・マガラが…混ざってる……!!?」












    その古龍は、光を喰らい、闇を食らう、脱皮不全に陥ったこの個体は、シャガル・マガラの力に侵されつつあるが、それでいてゴア・マガラの力を宿す。左目は空洞になり、視力の有無は不明。だが、ただ一つ言えるのは
    このモンスターは
    この世に生きとし生けるものとは決して相容れぬ存在という事だ。
  58. 58 : : 2017/03/01(水) 23:24:44
    「お帰りなさいセキトさん!」セキトは沼地に現れた灯竜魚チャナガブルの討伐に向かい、見事に達成して帰ってきたのだ。その肩には珍しい素材、高級提灯玉が担がれていた。
    「3500ゼニーです、討伐おめでとうございます」「ああ、ありがとう」「そう言えばセキトさんがスラッシュアックスじゃなくて太刀だなんて初めて見ました」「…うん、僕はあまり太刀を使わないからね」「え?」「じゃあこれで」そういうとセキトは集会所を後にした。
    セキトが太刀を使うのを躊躇するのにはある理由があった。
    それは、今から5年前の事だ。
  59. 59 : : 2017/03/02(木) 07:30:19
    セキト君カッコ良すぎです!!
  60. 60 : : 2017/03/02(木) 19:43:07
    セキトは僕の友達と同じ性格です。
  61. 61 : : 2017/03/02(木) 21:19:38
    「なぁ聞いたか?」「ああ、またヒュームの息子が活躍したんだろ?」「スゲェよな、たった1人でリオレウス亜種を討伐しちまうなんて」「しかもノーダメージらしいぜ」「ふん、ガキのくせに調子に乗りやがって…」そんな囁き声が聞こえてくる。
    そんな声を聞きながらも1人の少年が太刀の一種、鉄刀をひたすら振っていた。
    彼が5年前のセキトだ。実績もあり、かつてイビルジョーとブラキディオスの討伐をたった1人でこなした経験がある。その為、世界各地のハンターズギルドや王立書士隊などからオファーが来たというが、セキトはすべて断っていた。その理由は













    セキトは両親を自らの手で殺したからだ。










    どうしても周りの人間と会話出来ない。心の闇に呑まれたセキトは孤独を貫き、結果だけを求めていた。
  62. 62 : : 2017/03/02(木) 22:14:04
    ペダニウムランチャー、発射っ!!!
  63. 63 : : 2017/03/03(金) 17:42:39
    大怪獣バトルですか?
    僕も大好きでした。
  64. 64 : : 2017/03/04(土) 18:04:30
    そんな暗いセキトに、彼がやって来た。
    「なあ」「……?」「お前がセキトか」「……何?」「お前さ、俺とコンビを組まないか?」「は?」
    セキトは困惑した。突然現れて急に何を言いだすんだコイツは?
    「何で僕なんかに頼んだんだ?僕以外にも腕のあるハンターは沢山いるのに」「お前の剣術さ」「……え?」「お前ほどの速度で太刀を振り回せる奴はそういない、しかも獣竜種が得意なんて俺には最適な奴と思ってな」「………」「どうだ?なってくれるか?」「…考えておくよ」セキトはそう言うと家へと帰って行った。
    セキトは誰もいない家で考えていた。
    今まで誰も声を掛けることが無かったのにあの人は話しかけてくれた。これは千載一遇のチャンスかもしれない。
    「僕が…仲間になれるのか?」
  65. 65 : : 2017/03/09(木) 20:35:40
    次の日の朝、セキトはレイの家の前にやって来た。「何て声かければいいんだろ……?」セキトは覚悟を決めてチャイムを押した。が。
    「……………」「……留守…かな?」セキトは顔をしかめた。「何だ、来た意味なかったじゃん…」その時だった。
    「誰ですニャ?」玄関を開けてオトモアイルーが出て来た。「き、君は?」「僕はレイのオトモの「ミライ」ですニャ」「ミライか、僕はセキト、レイに誘われて来たんだけど」「レイなら裏庭で鍛錬してるニャ」「え?」セキトは恐る恐る裏庭に向かうと、息を飲んだ。
    「ハアッ…ハアッ…!!」そこには鬼のような形相で太刀を振り回すレイがいた。「に……2本…!?」レイは両手で太刀を持って振っているのだ。数時間振っているのだろうか、レイは真冬だというのに汗びっしょりだった。
    「凄い……!!」自分を遥かに超える鍛錬に、セキトは思わず見入ってしまった。「レイ!!」ミライがレイに声を掛けた。「あ?ってお前!」「す、凄いね、君のトレーニング」「そうか?昨日より控えてるぜ」「…そうなの?」「ああ、少しでも鍛錬怠ると大切な物を守れないからな」「大切な…物?」「まぁんな事どうでもいい、それより俺が何でもお前を誘ったか分かるか?」「え?だって…太刀使いが欲しかったんでしょ?」「違うな」「?」
    「本当はお前を助けるためだ」「…え?」「お前…両親を殺したんだろ?」「な、なんでそれを…!?」「お前の顔さ」「か、顔?」「あたりめーだろ、お前の顔、能面みてーになってんだよ、俺だって両親はいないからすぐわかったぜ」「………!!」「親父は馬鹿だから角竜を手懐けて殺された、母さんはドンドルマの火薬庫で失踪した…」「そ、それってあのヒューム?」「ああ、そうだ」レイは拳を握りしめた。
    「だから!!」突然レイが叫んだ。「お前を俺が一から鍛え直してやる」「ええ!?」「おら行くぞ!!」「え、ちょ、ちょっと!!」こうして、最強のコンビが誕生した。
  66. 66 : : 2017/03/10(金) 22:07:18
    その頃、ハンターズギルドではかつてない事態に陥っていた。
    「おい、意識はあるか!?」「ウチケシの実の在庫はあるか!?」「こっちにもくれ!!」
    「……何ということだ…!!」普段はハンターで賑わっているハンターズギルドが今日は怪我人で埋め尽くされていた。「大長老!」1人のハンターが駆け込んできた。髪は金髪で、腕には金火竜リオレイア希少種の素材を使った片手剣、ルナティックローズが装備されていた。「天空山に向かった王立書士隊と連絡が途絶えて今日で2日…しかも天空山に向かったハンター全てが瀕死状態です…」「一体天空山で何が起きているんだ…」大長老が見上げた空は、どす黒い黒雲に覆われていた………











    さらに、渓流では
    ウオオオオオーーーーーーーーーーン!!!!
    狼の様な声が渓流に響き渡った。
  67. 67 : : 2017/03/11(土) 20:41:12
    おもしれー!!
  68. 68 : : 2017/03/11(土) 23:42:11
    ありがとうございます。明後日卒業式なので頑張ります!!
  69. 69 : : 2017/03/13(月) 15:41:54
    「金色のジンオウガ?」「は、はい、倒れていたハンターそう言ってました」「金色のジンオウガだと?」「亜種はそんな色してないもんな…」ジンオウガ亜種は獄狼竜と呼ばれ、龍属性エネルギーを放つ虫「蝕竜蟲」を集めて自身を強化する。龍属性エネルギーの色の通り獄狼竜は赤黒い体だ。
    「希少種も確認されていない…単に変わった色の個体じゃなかったのか?」その時だった。
    「金雷公です」
    「!?」全員が振り返った先には大和・真シリーズに、背中には太刀「業物・九十九牙丸」を背負ったハンターがいた。「せ、セキトさん!」「遅くなってすいません」「いや、セキトさんなら心強い、それより金雷公とは?」
    「金雷公ジンオウガは「一度吠えれば千光を操り、万雷を放つ」と言われる幻のジンオウガです。どれだけ攻撃を与えても一切疲労状態にならない厄介な奴です」「何故そんな情報を知ってるんですか!?」















    「今…………」














    殺してきましたから
  70. 70 : : 2017/03/14(火) 12:05:42
    兄貴にTwitter全て消されてフォロワーが0に泣
    ゼクロムの表紙で「ゼロ」で探して下さい
  71. 71 : : 2017/03/22(水) 10:17:02
    とりあえず、モンハンカテゴリあるで

    Anotherはれっきとした一つの作品で、別に「もう一つ(カテゴリ分けされてない)カテゴリ」ってことじゃないから変えたほうがええよ
  72. 72 : : 2017/04/20(木) 23:44:18
    すんません、いろいろ訳ありで、再開させていただきます!!
  73. 73 : : 2017/04/21(金) 00:02:28
    2週間後、レイは全力で走れるほどに回復した。
    「もう大丈夫なんスか?」「とりあえず骨は完璧に修復出来たはずよ、相当激しい動きしない限り支障は無いと思うけど…」セナはレイの足を見て微笑んだ。「もう大丈夫さ、それより狩りに行かないと体がヤバいんだけど…」レイは右足を揉んだ。「そうだ、今日はレイにサプライズがあるのよ」「あ?サプライズ?」その時だった。
    「レイ!!」振り返るとそこには待ちに待っていたレイア達がいた。「レイア、お前らまで!!」「レイっ!!」レイアが勢いよくレイに飛びついた。「重てぇ、離れろ離れろ!!」「いやっ、もう絶対レイを離さない!!」「違う違う、ここは離せよ」「あっ、そ、そうか、ごめんなさい…///」レイは何とか起き上がるとロイ達を見た。「悪いなお前ら…待たせちまったな…」
    「ホントだぜ、俺の喧嘩相手がいなくて退屈すぎんだよ」「レイ、よく帰って来てくれたな」「……ありがとな」レイは目の淵に溜まった涙を指で拭った。
  74. 74 : : 2017/04/21(金) 00:03:02
    ちと書き方を大幅に変更するのでご了承下さい
  75. 75 : : 2017/04/21(金) 16:23:33
    その日の夜、レイはシェイドと話していた。
    「ユクモ村?」

    「ああ、俺もそろそろハンターとして復活しないと体がただの人間になっちまう」

    「まぁ帰ってくるならいいが…ていうかお前はハンターなら何故俺達を討伐しないんだ?」

    「……分からない、でもなんか殺しちゃいけないような気がして…」

    「…………」シェイドはあえてこの時はレイに声をかけなかった。

    だが、この時に声をかけなかったのは大きな後悔となる事を2人は気付かなかった。

    そして、遂にヤツが動き出す。
  76. 76 : : 2017/04/21(金) 16:33:35
    レイ達が眠りについた時、ユクモ村では1人のハンターが装備を揃え、クエストに向かおうとしていた。

    「カイトさん、どうかご無事で」

    「分かってる、でないとマズイだろ?」

    ルナティックローズを装備したハンターはどこかセキトに似ている。

    「決して無理はするでないぞ、ヤツは古龍と分類不明のモンスターの混合体だ、攻撃も予測できん…」

    「大丈夫ですよ大長老、オレは負けないですから」

    「……健闘を祈る」

    カイトと呼ばれるハンターは受付嬢に歩み寄る」

    「なぁ……」

    「は、はい…」

    「もしオレが帰ってこなかったら……」








    セキトを頼む











    そう言い残し、カイトは天空山へと向かった。
  77. 77 : : 2017/04/21(金) 19:05:48
    数日後、レイは遂に(ようやく)ユクモ村に生きて辿り着く事に成功した。

    「着いたぁーーーーーーっ!!!」レイはユクモ村の入り口にある立派な鳥居の前で叫んだ。

    「オイオイ、あいつクシャルダオラの防具着てるぞ」

    「マジかよ、初めて見た…」

    そんな囁き声が聞こえてくるがレイは無視してユクモ村へと入った。

    ユクモ村は左右に様々な店が並んでおり、まるで開放感ある商店街のようだ。

    「おう兄ちゃん、見ない顔だな」

    レイに声をかけたのは道に座り込んだ男。

    「ああ、俺もユクモ村に来たのは初めてだ、なんか有名なモンあるのかこの村?」

    「おいおい兄ちゃん、ユクモ村って言ったら「ユクモ温泉」だろ?知らないのか?」

    「何!?温泉あんのかこの村!?」

    「ああ、ここら辺の源泉だとユクモ温泉が一番いい泉質だぜ」

    「なら案内してくれよ、温泉入りたいぜ!」

    「そうか、ならついて来い」

    レイは男の後を急いで追いかけた。
  78. 78 : : 2017/04/21(金) 20:06:06
    7章・闇から生まれる光
  79. 79 : : 2017/04/21(金) 21:52:14
    数時間後、レイは風呂に浸かって夜の街を歩いていた。

    最初に来たのは集会所浴場。

    「おおっ、クシャルダオラの防具着てるハンターだぞ!」

    入ると同時にあたりから歓声が上がる。

    「へぇー、結構賑やかだな」

    レイはクエストカウンターに向かった。

    「よう、俺はレイだ、よろしく頼む」

    「れ、レイってもしかして明日ドンドルマのあの!?」

    「ああ、何かクエストに行きたいんだが…」

    「クエストならディアブロス亜種の捕獲があったんですが…」

    「あるじゃねぇか、それを…」

    「オレ達が契約済みさ」

    背後から声がして振り返ると、そこにはエクスゼロシリーズの男と怒天・真シリーズの男が立っていた。
  80. 80 : : 2017/04/22(土) 07:42:07
    「お前らは?」

    レイは2人のハンターに尋ねた。

    「オレはギオ、こいつはオレの連れのロキだ」

    「ヒャハハ、よろしくな!」

    ギオと名乗る男は低く、まるで不良のような声でロキという男は声は普通だが鋭い眼光が特徴だ。

    「見た感じお前らは新人ハンターではなさそうだな、かなりの実力者……」

    「さすがはドンドルマのG級ハンターだな、オレ達もG級ハンターなのさ」

    「で、提案なんですけど。」

    ロキが口を開いた。

    「レイも俺らと狩りに行かないっすか?」

    「何?」

    レイは思わず聞き返した。

    「俺らもあんたの実力を見たいし今回の狩場は環境が不安定なんすよね」

    「不安定ならオトモとか連れて行けばいいだろ?」

    「あいにくオレらにはオトモはいないんだ」

    と、その時だった。
  81. 81 : : 2017/04/22(土) 14:33:14
    「通してくれ、ゴメン通してくれ!!」

    人混みを掻き分けて大和・真シリーズを装備したハンターが駆け込んで来た。その横顔を見てレイは叫んだ。

    「せ、セキト!?」

    「レイ!?いや、それどころじゃない、レイも来てくれ!!」

    かつてないセキトの険しい表情にレイは急いで後を追った。

    駆け込んだのは医務室だった。

    その中央にあったのは顔に白い布をかけられた人間だった。

    「………!!」

    セキトは恐る恐る布をめくると左頬が大きく裂けたの人間が眠っていた。

    「あ…兄貴…!!」

    「う、ウソだろ…!?」

    そこに眠っていたのはセキトの兄のカイトだった。

    「天空山に向かって消息が途絶えたので救助隊を送ったら…カイトさんが…」

    「カイトさんがやられる相手とか一体…!?」

    「ゴア・マガラです…」

    「ご、ゴア・マガラ!?」

    「どうして…」

    セキトの歯がギリギリと音を立てる。

    「どうして兄貴だけで行かせたんだ!!4人いればどうにかなったはずだろっ!!?」

    セキトの剣幕にレイは引きつった。

    「それは…」

    医師も黙り込んでしまう。

    「くっ…!!」

    セキトは医務室を飛び出した。

    「セキト!!」

    レイは集会所浴場の人達を突き飛ばしながら走るセキトを追った。

  82. 82 : : 2017/04/22(土) 18:13:58
    セキトは外の木の陰に座っていた。

    「セキト…」

    「くっ…うう…!!」

    セキトは大粒の涙を流していた。

    「……泣くなよ」

    レイはキロネクスを振りながら声をかけた。

    「あう…う…!」

    「泣いてる暇があったらカイトさんに言葉かけて来いよ、そうすりゃ少しは楽になるぜ」

    「レイに何が分かるんだよ…」

    「あ?」

    「レイに何が分かるんだ!!大切な人を失った気持ちは分からないのか!?」

    「分かるから声をかけてるんだろ?」

    「僕は小さい頃に両親を殺した、でももう2度と大切な人を失わせはしないって誓ったんだ!!」

    「なら立ち上がれよ!!」

    レイはセキトの胸ぐらを掴んで吼えた。

    「テメェは泣く事しか出来ねぇのかよ!?俺が認めたセキトはこんなに弱い奴じゃない!!」

    「僕はもう今までのセキトじゃないんだよ!!レイは1人でも十分戦えるだろ!!?」

    「1人で俺は狩りはしない派だ」

    「ふざけるな、レイの実力は僕の遥か上だ、なのになんでここまで僕につきまとうんだ!!」

    セキトの一言がレイを怒らせた。

    バキッ!!

    レイはセキトの顔を殴った。

    「いい加減にしろ、俺はお前を助けるためにいるんだろ!!」

    レイはそのままキロネクスを向ける。

    「何より…俺達仲間だろ?」

    「なか…ま……」

    セキトはようやく落ち着きを取り戻した。

    「悔しいのはお前だけじゃない、俺だって悔しいさ、なら俺達がゴア・マガラを倒せばいいんだ」

    「え…?」

    「いわゆる敵討ちだ」

    すると一匹のオトモアイルーがやってきた。

    「レイ殿とセキト殿ですニャ?」

    「ああ、何か用か?」

    「村長がお呼びですニャ」

    「村長が?」

    レイとセキトは顔を見合わせた。
  83. 83 : : 2017/04/23(日) 11:43:00
    「混沌に呻くゴア・マガラ…」

    レイ達はハンターズギルドの緊急会議に出席し、そのゴア・マガラの情報を得た。

    「分類不明で攻撃パターンも不明か……かなり不気味な存在だな」

    レイは歯を食いしばった。

    「ねえ」

    「ん?」

    セキトがレイに尋ねた。

    「あの人たちも誘わない?」

    見ると先にはギオ達がいた。

    「正気か?あいつらの実力はまだ分からないんだぞ?」

    「でも見た感じかなりの実力者だよ?」

    「ちっ……しゃーねぇな」

    レイは渋々ギオ達に声をかけた。

    「ゴア・マガラ?んな奴余裕だろ?」

    「でも混沌に呻くゴア・マガラなんて聞いた事ないっすね」

    「とにかく俺達と来てくれ、ハンマーの打撃が必要になるかもしれない」

    「……分かった、出発時刻は?」

    「明日の早朝に出る、準備を怠るなよ」

    「分かっている」

    そう言うと4人は準備を整えに自らの宿に向かった。
  84. 84 : : 2017/04/23(日) 11:48:16
    次の日の朝、レイ達は集会所浴場に集まった。

    「準備は大丈夫か?」

    「ああ、完璧だ」

    「奴は古龍と分類不明のモンスターの混合体だ、罠が効くかは分からないけど持ってきたっすよ」

    「飯は食ったか?」

    「「「ああ」」」

    「よし、じゃあ行くか」

    レイ達は沢山の村人に見送られて飛行船に乗り込んだ。
  85. 85 : : 2017/04/29(土) 12:53:53
    飛行船に揺られること数時間、レイ達は天空山に到着した。

    「……着いたな」

    ギオは体を伸ばした。

    「不気味な程静かだな、嵐の前の静けさってやつだな」

    レイはクシャナXヘルム越しに顔を引き締めた。

    「相変わらず支給品は来てないっすね、己の実力で何とかしろって意味っスかね?」

    「まぁ、地図だけは持っていくぞ、ペイントボールは持ってるよな?」

    「うん、僕が持ってるよ」

    「よし、じゃあ行くか」

    レイ達は武器を構えたままエリア1に移動した。

    エリア1に出るとそこには倒れたアプトノスの死骸があった。

    「……まだ新しい牙の痕だ、捕食してるという事はここの付近にいるのか?」

    「…………」

    レイはコウリュウノツガイを構えたままエリア5へと続く道を睨んだ。

    「この先は……確か前僕がライゼクスに襲われた所だ」

    「何?」

    ギオが聞き返すとレイはふと脳裏にあるライゼクスがよぎった。

    ……………ボルトか?

    レイは思わず声が出そうになったがぐっと堪えた。

    「そんな話は後だ、エリア5に行くぞ」

    レイ達は円陣になって全方位を警戒しながらエリア5に入った。

    「…………ここもいないっスね」

    ロキが言った時だった。

    「え………」

    ふと円陣の周りに黒い影が出来る。

    「上だっ!!!」

    レイが叫ぶと全員一斉に緊急回避をした。

    スドドォン!!!

    砂煙が晴れるとそこに奴が現れた。

    「な………!!」

    「何だこりゃ………!!?」

    左半身は黒蝕竜ゴア,マガラだが、右半身は天廻竜シャガル・マガラになっている。

    頭部には神々しい金色の角が片方だけ生え、左側は闇のような厚麟に覆われた頭部になっている。

    「これが…………」

    混沌に呻くゴア・マガラ………

    レイのコウリュウノツガイが微かに震えた。



  86. 86 : : 2017/05/03(水) 18:33:25
    天空山から北西へ数千キロ離れた場所の山の麓、そこにはまるで巨大な「砦」が建設されていた。

    その砦の壁にはこう彫られていた。

    「対巨大龍防衛戦狩猟専用砦」

    だが、その日は様子がおかしかった。

    時には激しい稲妻が空を駆け、時に滝のような雨が降り、時に灼熱の火山のような気温になり、時に巨大な氷柱と化した雹が降り注いだ。

    どす黒い黒雲の中に微かに見えたのは、天角。

    通称、「天をつらぬく角」

    身体には鋭い刃物のような逆鱗が生え、翼は光が差すように見えれば、闇が世界を包むように見えた。

    ハンターズギルドは「古龍襲来」と近隣諸国に非常事態宣言を発令、全ハンターを要請させた。

    そして、煌黒龍伝説の裏にある、もう一つの伝説も静かに動き出していた。
  87. 87 : : 2017/05/03(水) 20:53:08
    その頃、天空山エリア5では。

    「うおおおおおお!!!!」

    ギオが愛用のハンマー、「ネルシュトロレイド」に力を溜める。

    ゴア・マガラはコウリュウノツガイを構えて走るレイを睨むと狂竜ウイルスの塊を発射した。

    「レイ、イナせ!!」

    「んな事分かってんだよ!!」

    レイは双剣を前にクロスさせると狂竜ウイルスを迎え撃った。

    そのまま刃の上を滑らせるように狂竜ウイルスの塊を後方に受け流した。

    「ふぅっ……」

    軽く息を吐くとレイのコウリュウノツガイが青白いオーラを纏う。

    「ふっ、ブレイヴスタイルはもう既に極めたみたいだな」

    ブレイヴスタイルとは、狩りをさらなる世界へと誘う武術の一種。

    そのままの動きがしやすいギルドスタイル。

    攻撃的に攻めるストライカースタイル。

    相手や見方を足場に飛ぶエリアルスタイル。

    攻撃を避けてカウンター攻撃をするブシドースタイル。

    これらは熟練のハンター出ない限り習得は不可能で、さらに狩りを充実させる。

    だが、レイのスタイルはブレイヴスタイルと呼ばれる珍しいスタイルだった。

    攻撃を受け流し、ブレイヴゲージと呼ばれるエネルギーを溜めてフルチャージになると武器にエネルギーを纏わせて攻撃力を上げるスタイルだ。

    レイは数年前から習得していたが、体に莫大な負担がかかるため封印していた。

    そんなブレイヴスタイルを解禁する程の相手なのだ。

    「死ねオラぁぁぁぁぁ!!!」

    ギオは崖から飛び降りると同時に反り返るほど力を溜めたネルシュトロレイドをゴア・マガラの頭部に振り下ろした。

    重厚な衝撃音が響き渡り、ゴア・マガラも大きく怯む。

    「全員どくっス!!」

    ロキはランス「THEパラディン」をゴア・マガラの右前足に突き出した。だが。

    ガキィィン!!

    岩をも穿つTHEパラディンが容易く弾き返された。

    「か、硬っ……!!」

    ロキが仰け反るとゴア・マガラはキラに向かって右前足を叩きつけた。

    「くっ!」ロキは盾でガードするが衝撃で地面をえぐりながら滑った。

    「来い!ゴア・マガラ!!」

    セキトはナバルディードを剣モードに切り替えてゴア・マガラを睨んだ。

    大和・真シリーズ越しに睨むセキトを脅威と感じたのか、ゴア・マガラはブレスを吐く。

    「くっ…」

    セキトは避けるとナバルディードを振り下ろすがゴア・マガラは後方に避ける。さらにそのまま右前足をセキトに振り下ろした。

    「ぐはっ!!」

    ゴア・マガラに叩きつけられ、セキトは地面に崩れる。さらにゴア・マガラはセキトを両前足で押さえ込んだ。

    「セキト!!」

    レイはコウリュウノツガイを構えたまま真鬼人ダッシュで距離を詰める。

    セキトはゴア・マガラの右前足に握られていた。

    「ぐああっ……!!」

    凄まじい握力で握られ、大和・真シリーズが軋み音を上げる。

    すると周囲に特有の刺激臭が漂った。

    ゴア・マガラは苦悶の表情を浮かべてセキトを離した。

    匂いの正体は、特定のモンスターが嫌う匂いを放つこやし玉と呼ばれるアイテムだった。

    「セキト、大丈夫か!?」

    レイはセキトに駆け寄る。

    「だ、大丈夫さ……それより自分の心配をしろよ…」

    「カイトさんの仇を取るんだろ?」

    「…………!」

    「立て、こんな所で立ち止まってる暇なんてないだろ?」

    「……そうだね、行こう」

    そう言うと再び二人は武器を握り直した。

  88. 88 : : 2017/05/03(水) 21:02:38
    「うおおおおおお!!」

    ギオはネルシュトロレイドをゴア・マガラの下顎からカチ上げた。

    流石のゴア・マガラも大きく仰け反る。

    「セキト!!」

    「峰の所に足を!!」

    レイが飛んだと同時にセキトはナバルディードを振り上げた。

    刃の逆側の峰にレイは足をかけてゴア・マガラの背中付近まで飛ぶとコウリュウノツガイで翼膜を切り裂いた。

    グオオオオ!!

    ゴア・マガラの爪が剥がれ落ち、白い筋繊維が露わになる。

    「はぁっ!!」

    ギオのネルシュトロレイドが振り下ろされたと同時にゴア・マガラの動きが止まった。

    グオオオオ………

    そのまま地面に崩れるように倒れ、大きな寝息を立て始めた。
  89. 89 : : 2017/05/05(金) 16:17:31
    「ね、寝た……?」

    「ああ、俺のネルシュトロレイドは睡眠状態に出来るハンマーだ」

    元々ネルシュトロレイドは影蜘蛛ネルスキュラの亜種、骸蜘蛛ネルスキュラ亜種の素材を使ったハンマーで、威力は少しだけ劣るが切れ味、睡眠状態の効果も申し分ない。

    「タルG持って来たよな?」

    「ああ、僕が持ってくるよ」

    セキトは急いでキャンプへと走っていった。

    数分後、セキトは大タル爆弾Gを8つ乗せた荷車を引いて来た。

    「お疲れ♪」

    「はー、しんどい」

    その間にもギオはゴア・マガラの右腕付近に大タル爆弾Gを設置していく。

    爆薬がたっぷり詰め込まれた大タル爆弾Gは絶大な威力を誇るが、その分わずかな衝撃でも爆発する為、使用の際は細心の注意が必要とされる。

    8つを設置するとレイ達は距離をとって低い姿勢で伏せる。

    「行くぞ」

    ギオは小タル爆弾Gの導火線に火をつけると全速力で走る。そのままスピードを落とさずにスライディングで滑り込んだ。刹那…………

    ズッドォォォォォォォォン!!!!

    空に火柱が吹き上がり、熱風が押し寄せる。

    「ううおっ……!!」

    恐る恐る見るとそこには右腕の爪がボロボロになったゴア・マガラの姿があった。

    「よしっ!!このままなら行けるぞ!!」

    そう思っていた、この時までは。

    だが、奴の真の力は恐るべき物だった。
  90. 90 : : 2017/05/25(木) 18:07:03
    レイ達がゴア・マガラと戦闘を始める5日前、3つの伝説が動き出していた。

    空から、紫と銀、黒が混ざったかのような鋭い刃物と化した鱗が一枚降ってきた。

    サクッ

    まるで肉をナイフで刺したかのような音が響き、鱗は岩盤の奥深くに突き刺さった。

    ズズズズズズ……………

    鱗が刺さった岩が動いた。

    いや、岩ではない。正体は神とも称される伝説の古龍。

    老山龍ラオシャンロン。

    数十年間眠る事もあると言われる神の眠りを妨げたのはたった一つの鱗だった。

    ラオシャンロンの体には草や蔓が絡みつき、悠久の時を過ごしていた事を連想させるが、ラオシャンロンは「進行」する事を決意した。

    ラオシャンロンは何故か北西方面へと向かう習性がある。

    理由はハンターズギルドでも解明されておらず、未だにラオシャンロンの生態も分かっていない。その行動には様々な説がある。

    複数の群れがいるのか、それともラオシャンロンの生命を保つ何かがあるのか、あるいは………

    何かから逃げている、など。

    ラオシャンロンは巨大な前足を大地を踏みしめた。

    しっかりとした地盤も数万トン近くあるラオシャンロンの体重は支えるのも一苦労、地割れや軽い沈降も起こりかねない。

    ヴヴオォォォォォォーーーーー!!!!!!

    その咆哮は、大気を振動させ、人類に恐怖を与える。

    そして、「進行」が始まった。

    一つ目の伝説は、老山龍ラオシャンロンである。
  91. 91 : : 2017/05/28(日) 16:46:51
    老山龍の進行が始まるさらに2日前、世界各地に異変が起きていた。

    それは、ハンターズギルドでもかなりの衝撃を与える事件だった。

    その内容は

    「ドンドルマ付近の火薬庫にて、一晩にして300万キロリットルの火薬、燃料などが跡形もなく消えた。付近には血と金属が焼けたような不気味な匂いが漂い、辺りには黒い重油のような液体が付着していた」

    その伝言を受けたハンターズギルドは全世界に同様の事件が無いか調べた所、ドンドルマ付近の火薬庫を皮切りに各地で火薬が消えるなどの不可解な事件が多発していた。

    ドンドルマの大老殿の大長老が言うには、60年前にドンドルマの戦闘街と呼ばれる狩場にあった超大型モンスター専用武器、「撃龍槍」が消えたという。

    そのモンスターの名は

    巨戟龍ゴグマジオス

    その背中には、錆びついた撃龍槍、そして、その撃龍槍には古い防具が絡め取られていた。

    「ライガ」

    重油に絡め取られたヘリオスXヘルムには下手くそな名前らしき文字が彫られていた。
  92. 92 : : 2017/05/28(日) 17:18:22
    そして、3つ目の伝説は、レイ達が戦闘を始めると同時に動いた。

    100年前にシュレイド王国の象徴とされた大理石を土台とした立派な「シュレイド城」

    しかし、その城はたった1体のモンスターによって滅ぼされた。

    かつて繁栄していたシュレイド城は、今は不気味な霧と黒雲が立ち込め、まるで生物の立ち入りを拒むかのようだ。

    シュレイド城の内部には財宝が眠るという噂が広まり、金に目が眩んだ者は肝試し感覚でシュレイド城に乗り込んだ。

    だが、その考えを無惨に打ち砕く「龍」がいた。

    その神に襲われ、何とか生還できた者はあまりの恐怖に質問をされるだけでも耳を塞ぎ、黙秘を貫いているという。

    かつてない恐怖を植え付けたものとは?

    王立書士隊は手練れのハンター達を雇い、シュレイド城に乗り込んだ。

    だが、帰還できたのは10人中2人だけだった。

    生還できた者はこう言った。

    「この世に災厄と滅亡をもたらしかねない最恐の神がいた」

    その神は、山の如し龍も逃げる程の力を持ち、一晩で世界を焦土に変える事も出来るという事。


    黒龍ミラボレアス。


    その龍は、そう名付けられた。









    だが、ミラボレアスとほぼ同じ程の力を持つ神がもう1体存在した。


    「神をも恐れさせる最強の古龍」

    赤衣の男がそう言った。

    身体は天に向かうように生えた凶器と化した「逆鱗」が生え、その逆鱗が集まって出来た自然界最強の武器、「天角」が聳えていた。

    天候を変える程の強力な龍属性エネルギーを放つ龍は、老山龍の真上を飛んだ。

    飛ぶ先は、シュレイド地方。

    その神の名は、煌黒龍アルバトリオン。

    神の戦いが起きた時、世界は終わりへと導かれる。

    その伝説が本当になる日は、もう目の前だった。
  93. 93 : : 2017/05/28(日) 21:36:08
    その頃、天空山では狂竜化したゴア・マガラとの死闘が続いていた。

    「ギオ!!!」

    「ちっ………!!」

    切れ味の鈍ったネルシュトロレイドを睨みながらギオはゴア・マガラの攻撃を避けた。

    「こっちに来やがれゴア・マガラ!!」

    レイが叫ぶとゴア・マガラはレイの方は走り出す。

    「ナメた真似してんじゃ………ねぇぞ!!」

    レイはゴア・マガラに真鬼人ダッシュで突っ込むと同時にコウリュウノツガイを強引に擦り合わせて研いだ。

    「ギオ、今の内に研げ!!」

    「んな事分かってんだよ!」

    「セキト、ロキ、落とし穴は出来たか!?」

    「設置完了だ!!」

    「よし、鬼ごっこだぜ、ゴア・マガラ!」

    レイはセキト達の方角に走り出す。

    突進を避けられた上に武器も研がれたハンターに怒ったのか、ゴア・マガラは再びレイを追いかける。

    100メートル8、5秒の足を持つレイでもモンスターの歩幅には敵わない。あっという間に距離が縮んでいく。

    「レイ!!」

    「来いやオラぁぁぁぁぁ!!」

    レイは緊急回避すると同時にゴア・マガラは落とし穴を踏み抜いた。

    落とし穴はシビレ罠が効かないモンスター用の罠で、超重量級の重さで作動する仕組み、小型モンスターでも発動しないようになっている。

    下半身が地面に埋まったゴア・マガラは登ろうとするが砂が崩れて自由を奪っていく。

    「よっしゃ、ブッた斬るぜ」

    レイは肉質の柔らかい頭部にコウリュウノツガイを斬り込んでいく。

    「エネルギーブレイド!!」

    セキトは駒のように回転してゴア・マガラの背中に斬撃を叩き込む。さらにXの文字を描き、そのまま剣モードに切り替えて属性解放突きを繰り出す。

    「レイ、どけ!!」

    ギオはネルシュトロレイドをカチ上げるとゴア・マガラの頭部の黒い角が粉砕された。

    グォォォォォォ!!

    ゴア・マガラは何とか罠から抜け出すと今度は涎を垂らし始めた。

    「あいつ疲れてるぞ!!」

    「一気に決めるぞ!!」

    レイ達は個人の武器を存分にふるい始めた。

    セキトのナバルディードの振り回し。

    ギオのアッパーの炸裂音。

    ロキの突進の音。

    「これで………決める!!」

    レイは赤い袋を開けると赤い錠剤が入っていた。

    これは怪力の丸薬と呼ばれる薬で、攻撃力を大幅に上げることが出来るアイテムだ。

    薬を飲み込むとレイの目が紅く煌めいた。

    「全員引っ込め!!!」

    レイの一声でセキト達は距離を取る。

    「これで……終わらせてやるぜ」

    レイはコウリュウノツガイを交差させる。

    グォォォォォォ………

    ゴア・マガラの弱々しい声が聞こえてくる。

    「俺は………ハンターだ」

    レイはそのまま一気にゴア・マガラに飛び込んだ。

    「ラセンザン!!!」

    レイはゴア・マガラの頭部にコウリュウノツガイを突き刺すとそのままドリルのように回転する。

    「うおおおおおおおお!!!!」

    回転しながらレイは雄叫びを上げる。

    「これで……終わりだぁぁぁぁぁ!!!」

    コウリュウノツガイを切り払って着地するとゴア・マガラの頭部から鮮血が飛び散った。
  94. 94 : : 2017/05/28(日) 21:37:44
    8章・天古龍人
  95. 95 : : 2017/05/28(日) 21:46:42
    グォォォォォォ…………!!

    断末魔の雄叫びを上げてゴア・マガラは地面に崩れた。

    「よ………」

    「よっしゃぁぁぁぁぁ!!!!」

    全員同時に歓喜の声を上げた。

    すると天空山の空に立ち込めていた黒雲が晴れ、青空が広がった。

    「倒したんだぜ……俺たちが!!」

    「ああ、スゲェっスね!」

    「…………」

    セキトは無言のまま生き絶えたゴア・マガラの亡骸に歩み寄った。

    「兄貴の仇は取った、けどお前も天国でゆっくり休むんだ」

    セキトは優しくゴア・マガラに語りかけた。

    「……カイトさんも喜んでるだろうな」

    レイがセキトに声をかけると足元に何かが転がっていた。

    「ん………?」

    それは、半分がゴア・マガラの逆鱗で、残り半分がシャガル・マガラの逆鱗になっている奇妙な鱗だった。

    「………お前の形見って訳か」

    レイは鱗を拾い上げた。

    「………背反する双逆鱗…」

    「え?」

    「……こいつの名前さ、本物は初めて見たぜ」

    「…………」

    「………ほら、さっさと剥ぎ取り終えて帰るぞ!!」

    レイ達は澄み渡った青空の元を走った。
  96. 96 : : 2017/05/28(日) 22:01:32
    混沌に呻くゴア・マガラ討伐から一週間後、レイは渓流に戻って来た。

    「おーーーい!レイア!シェイド!ロイ!」

    すると茂みからライゼクスが出てきた。

    「れ、レイ……?」

    「ボルト!」

    「レイだぁーーーーーーっ!!

    ボルトはレイに駆け寄った。

    「おお、しばらく見ない間にデカくなったか!?」

    「へへ、餌たっぷり食べてるからッス!」

    「レイア達はどこだ?」

    「乗って下さいッス、案内するッス」

    「ええー、お前の背中の棘危ねぇじゃん?」

    数十分後、レイは洞窟の前に着いた。

    中に入るとリオレイアが眠っていた。

    「寝てるッスね………」

    「いいよ、俺が起こす」

    レイはゆっくりレイアに歩み寄る。

    「んん……レイぃ………」

    寝言を言うレイアの横にレイは座った。

    「ほら、起きろよ」

    「んん………?」

    「よっ」

    「ふぇ……?レイ……ってレイ!?」

    「おっ、覚えてたか」

    「久しぶりぃ!」

    「おわっ!?」

    レイアはレイを後ろ足で押さえ込んだ。

    「レイ遅いわよ!ずっと心配してたのよ!」

    叫びながらレイアはレイの顔を舐める。

    「うわっぷ、分かったから舐めるな!」

    「何か……薬みたいな味がする……」

    「顔洗ったからな」

    「でもおかえり、レイ」

    「あ、ありがと………////」

    「そういやロイ達は?」

    「ロイ達は少し出かけてるわ、明日には帰ってくるわよ」

    「そうか、それよりお前にお願いがあるんだが………」

    「何?」

    「一緒にたまには出掛けようぜ」

    この一言が、レイの運命を大きく変える事になることを誰も知らなかった。
  97. 97 : : 2017/05/29(月) 07:04:54
    レイアの背中に乗って飛ぶこと1時間、レイは茂みに着地させた。

    「ここでいいの?」

    「ああ、ここならお前の緑色の体もあんまり目立たないだろ?」

    「まぁ……そうかもしれないけど」

    「大人しく待ってろよ」

    レイがやって来たのは図書館だった。

    図書館にやって来た理由は

    「何故自分はモンスターも会話できるのか」

    それを調べにレイは来たのだ。

    「古龍新書」「竜人族」などの分厚い書物をたくさん持ってくると片っ端から読み始めた。だが………

    「ちっ………イライラしてきたな」

    レイは机に突っ伏した。

    「くっそぉ……俺だけなのかそれとも他人にも秘められた力なのか……?」

    レイのストレスが最大に達した時だった。

    「おい、森の茂みにリオレイアが現れたそうだぞ!!」

    「本当か、急いでハンターを収集させろ!!」

    図書館の外から声が聞こえてきた。

    「レイアだよな……あのバカ!」

    レイは慌てて走り出した時だった。

    「天古龍人」

    そう書かれた書物が目に入った。

    「て、天古龍人……?」

    その本はかなり年季が経っているように見え、所々色も変色している本だった。

    「………!」

    レイは無言のままその本を持つと外へ出た。
  98. 98 : : 2017/05/29(月) 13:20:48
    「いたぞ!!」

    「ここだ!!」

    「気を付けろよ、奴はG級のリオレイアだ!!」

    レイアは数人のハンターに囲まれていた。自己防衛反応で口から火球を吐きこうとした時だった。

    大人しく待ってろよ

    レイの言葉が脳裏をよぎった。

    「今だ、撃て!!」

    1人のハンターが黄色い液体が入った瓶を付けた矢を放った。

    矢はレイアの左脚に突き刺さった。

    「グオオッ!!」

    突然の事でレイアもパニックに陥る。がむしゃらに猛毒の尻尾を振り回す。

    「気を付けろ!!」

    「絶対に逃すな!!」

    レイアが暴走しそうになった時だった。

    「やめろぉぉぉぉ!!!」

    聞き覚えのある声が聞こえてきた。

    「え!?」

    レイはハンターを蹴り倒しながらレイアに駆け寄った。

    「レイア、飛べるか!?」

    レイアは痺れる左脚をなんとか動かしながら空へと舞った。
  99. 99 : : 2017/05/29(月) 16:37:29
    20分程飛んでいるとレイアが突然バランスを崩した。

    「うおっ!?どうしたレイア!?」

    レイの声も虚しくレイアは島の砂浜に緊急着陸(?)した。

    「どうしたんだよ?」

    レイは覗き込むと左脚に突き刺さった矢が目に入った。

    「お前それ………!」

    レイは慌ててバックから応急用の救急箱を取り出した。

    「ま、麻痺瓶が付いてんのか………!」

    レイは捕獲用の麻酔玉を割ってレイアに麻酔薬を吸わせた。

    「………よし、もう大丈夫か」

    レイは慎重に矢に触れた。

    そこまで深くは刺さってはいないようだがこのまま放置すれば細菌が入り込んで壊死する可能性も否定できない。

    「…………!」

    レイはゆっくりと矢を脚から抜いた。幸い返しがないタイプの矢だった為、すばやく抜くことが出来た。

    傷口に多めの消毒を含ませ、包帯で保護した。

    「麻痺はもうすぐ治るといいが……」

    対モンスター用の麻痺薬は神経毒が主に用いられる。身体の筋肉を痙攣させて動きを封じるため、致死性ではないが、人間が大量に摂取すると死に至ることもある。

    「ふぅ………毒瓶だったらどうなってたか」

    レイは砂浜に腰を下ろすとポーチから「天古龍人」と書かれた書物を取り出した。

    「天古龍人………」

    恐る恐る開くとかなり乱雑な文字でこう書かれていた。

    「天古龍人、それは血液の中にごくわずかだが飛竜の血とDNAが含まれる人間のことを呼ぶ。天古龍人は獣や竜と会話できる能力を持ち、従えたり、意のままに操る事ができる力を持つ」

    「…………!!」

    レイは言葉を失った。

    この書いているものが自分と全て一致するからだ。

    さらに次のページには。

    「竜の血を持つ者は飛竜、海竜、獣竜などの様々な種族と会話できる、だが、希少な天古龍人の中でもさらに珍しい古龍種のみの血を含む人間もいる。それは全ての生物と会話ができ、意思疎通などは勿論、さらには竜に転生することもある」

    「り、竜に転生………!?」

    そんなバカな、人間が別の生物になるなんて……

    レイの顔が青ざめた。
  100. 100 : : 2017/05/29(月) 21:18:50
    その夜、眠り続けるレイアの横でレイは原始的な手法で火を起こして魚を焼いていた。

    「……………」

    パチパチと燃える炎を明かりにレイは天古龍人の本を読んでいた。

    「もし俺が竜になったらどうなるんだ……?」

    レイが不安になっているとレイアが唸った。

    「レイア……?大丈夫か?」

    「れ、レイ……私…なんでここに…?」

    「矢の麻痺薬にやられたんだ、気分は悪くないか?」

    「大丈夫…それより喉が渇いた……」

    「分かった、ちょっと待ってろ」

    レイは森の中で見つけた泉の水を水筒に入れると砂浜に戻った。

    「ほら、飲め」

    レイアはゴクゴク音を立てて水を飲むと息を吐いた。

    「その本は?」

    「これは俺の力が書かれた本だ、思わず持って来ちまった」

    「それって泥棒……」

    「いいから食えよ、明日まで持たないぞ」

    レイはいい感じに焼けた魚をレイアに差し出した。

    「私魚食べたこと無いけど……」

    「いいから食え」

    レイは強引にレイアの口をこじ開けて魚を放り込んだ。

    「んむっ!?」

    しばらくぐちゅぐちゅと魚を噛むとレイアはごくりと飲み込んだ。

    「…………美味しい」

    「だろ?腹減ってんなら食えよ」

    「うん」

    レイアは次々に魚を口へと運んだ。

    そして次の日、神と戦う事になるとはレイは思いもしなかった。
  101. 101 : : 2017/05/29(月) 21:19:55
    9章・巨大龍の進行
  102. 102 : : 2017/05/29(月) 21:26:04
    ある日、1人の老人が畑を耕していた。

    「今日も暑くなりそうじゃのぅ……」

    晴れ渡る青空を見上げると不意に足元が揺れ始めた。

    「な、なんじゃい!?」

    すると隣の山の谷間から地響きが聞こえてくる。

    膝の痛みを忘れて走り、崖下を覗き込むと……

    巨大な何かが動いていた。

    「な…………!!」

    全長50メートルはありそうな龍が地面を闊歩していたのだ。

    「ら、ラオシャンロン………!!」

    老人は慌てて畑から逃げ出した。

    動く霊峰

    その伝説が現代に蘇る
  103. 103 : : 2017/05/30(火) 07:16:59
    次の日、レイ達のいる洞窟の入り口に白い鳩が止まっていた。

    「おっ、今朝は鶏肉か?」

    「バーカ、あれは伝書鳩だ。食うんじゃねぇぞ」

    残念そうに舌打ちをするロイをなだめながらレイは伝書鳩の胸にある袋から紙を取り出した。

    「サンキューな伝書鳩」

    レイが声をかけると伝書鳩は飛んで行った。

    「何だそれは?」

    「分かんねぇ、でもハンターズギルドからだ」

    封筒を開けるとそこには流麗な字でこう書かれていた。

    「全ハンターに緊急の依頼を指示する。G級ハンターの者は大至急集会所へと集まれ。巨大龍の進行を食い止めるべく「砦」と設置された全武器の使用を許可する」

    「巨大龍………?」

    聞いた事もない龍の名前にレイは困惑した。

    「何なの……?巨大龍って?」

    「フン、ただのバカでかい龍だろ?」

    「そんな訳ないだろ……巨大龍とは……古龍だ」

    シェイドが重い口を開いた。

    「こ……古龍!?」

    古龍と聞いた瞬間レイの血の気が引いた。

    古龍は幻獣キリンを除けば大体が巨大な体だが名前に「巨大」が付くほど巨大な古龍だったとしたら………

    「巨大龍の正体は「老山龍ラオシャンロン」だ」

    「ら………」

    ラオシャンロン!?

    レイは答える暇もなく洞窟を飛び出した。
  104. 104 : : 2017/05/30(火) 07:20:48
    その頃、「砦」から30キロ離れた場所にあるもう一つの砦ではハンター達が総力をあげて巨大龍の進行を食い止めるべく大砲やバリスタを使って攻撃するが一向に進行は止まらない。

    「ひ、怯むな!地道に攻撃を与え続けろ!!」

    だが、手練れのハンター達でさえその巨大さに攻撃わ躊躇した。

    「こ、こんな奴………!」

    誰も止められない…………!!!

    北西第一砦、 巨大龍の進行を許す……………
  105. 105 : : 2017/05/30(火) 13:09:05
    老山龍ラオシャンロンが進行を始めたという噂は瞬く間に広がり、「古龍の世界恐慌」とも呼ばれるようになった。

    「人っ子一人いない……ココット村か……」

    レイアの背中から村を見下ろしたレイはぞっとした。

    歩く天災、動く霊峰とも呼ばれる神にどう挑めばいいのだろうか?

    いくら百戦錬磨のレイでもラオシャンロンをこの目で見るのは初めてだった。

    「レイア、お前は安全な所に隠れてるんだぞ」

    「でも……戻ってこれるんでしょ?」

    「………分からない、でももし帰ってこれなかったら許してくれ……」

    「絶対に帰って来てね……」

    「分かった、それじゃ行ってくるぞ」

    「うん………」

    旅立つレイの後ろ姿をレイアはじっと見つめていた。
  106. 106 : : 2017/05/30(火) 20:21:13
    誰もいないココット村を歩いていると見覚えのある防具を装備したハンターが見えた。その背中には「七星刀(天権)」があった。

    「せ、セキト?」

    「レイ!やっぱり来たんだね」

    「お前……太刀を解禁したんだな」

    「うん………たまには暴れないと」

    七星刀(天権)はナルガクルガ希少種の素材を使った太刀で会心率が40%というずば抜けた会心率の高さを誇る。さらにスキル「覚醒」を使うと状態異常の毒も付く優れものだ。

    「とりあえず集会所に行こうぜ」

    「うん」

    レイ達はココット村の集会所へと向かった。

    集会所に入るとそこにはギルドマスターと1人のハンター、オトモアイルーがいた。

    「おお、ドンドルマのレイ殿、来てくれたのだな」

    「…………」

    真っ赤なエクスゼロZシリーズを装備したハンターは一言も喋らない。

    「この人はボクの旦那さんのマックスだニャ。ボクはライズですニャ」

    「ま、マックス……?こいつが?」

    するとマックスと名乗る男がレイの腕を掴み、強引に握手させた。

    「うっ……!?」

    男の凄まじい握力にレイは顔を歪ませた。

    「そうだ………俺はフェルヴェイ・マックスだ……よろしくな……ヘボ」

    「へ………ボ!?」

    レイの顔が怒りの表情に変わる。

    「テメェ……いい度胸してんじゃねーかよ……!」

    レイが右腕を振りかぶった時だった。

    首筋にナイフが向けられた。
  107. 107 : : 2017/05/30(火) 20:41:07
    「うっ……!?」

    レイは反射的にバック転で距離を取った。

    ナイフと感じ取ったのは手刀の形にしたマックスの右手だった。

    「……遅い、殺意に気付くのにこれほどの時間がかかるなど……黒龍には1分ほどに感じるだろうな………」

    「こ、黒龍……?」

    「マックス殿は老山龍や砦蟹はもちろん輝界竜や浮峰龍も討伐した伝説の狩りのチーム、「神竜」の弓使いなのだよ」

    「輝界竜に……浮峰龍……砦蟹…?」

    聞いたこともないモンスターの名前にレイは困惑した。

    「そんな彼がラオシャンロン撃退に協力してくれるそうだ、レイ殿もセキト殿も存分に武器を振るってくれたまえ」

    「あれ?討伐じゃなくて撃退なんですか?」

    「現時点での話だ………お前達が居なくても俺だけでも老山龍程なら撃退できる……」

    「お前……相手は古龍だぞ?よくそんな事……」

    「黒龍も知らない奴が軽々しく古龍の名を言うな」

    「うっ………」

    獣のような眼光にレイは怯んだ。

    「では、これから砦へと向かう、各自準備をしてくれたまえ」

    「はい!」

    レイとマックスはしばらくの間にらみ合いを続けた。
  108. 108 : : 2017/05/31(水) 07:07:18
    飛行船に乗る事3時間、レイ達はV字になった山の中腹に降ろされた。

    「ここから10分程歩くと砦だ、砦の武器はマックス殿が教えてくれるから安心してくれたまえ」

    「わ、分かりました、ギルドマスターは……」

    「ワシは人々の避難を促す、お主達の邪魔はせんよ」

    「は、はい!」

    「では、健闘を祈るぞ」

    そう言うとギルドマスターは飛行船に乗って行った。

    「……………」

    「……………」

    「……………」

    3人とも無言の空気が流れた。

    「とりあえず3人とも、砦へ向かおうですニャ」

    ライズが空気を断ち切った。

    「あ、ああ、そうだな」

    そう言うと4人は重い足を動かしながら進んだ。

    しばらく歩くと黒い旗が掲げられた巨大な砦が姿を見せた。

    「で、でかっ!」

    壁の高さは目視で30メートルはありそうだ。

    「………対巨大古龍防衛専用砦」

    「え?」

    「………この砦の正式名称だ…………」

    レイは正直マックスを嫌っていた。

    声は小さくて何言ってるか分かんないし、自分達を下に見ている。このような仲間は初めてだった。

    「とりあえず中の仕組みを教えてやる………付いて来い」

    マックスに言われ、レイ達は渋々付いていくことにした。

  109. 109 : : 2017/05/31(水) 07:29:58
    内部に入るとそこには見覚えのある青い支給品ボックスが設置してあった。

    「へぇー、砦でも支給品は来るんだな」

    「当然だ……でなければ死にに行く様なもんだ」

    「ちっ、いちいち文句言いやがって……」

    「……………」

    「何か言えよ!!」

    「とりあえず砦に出るぞ…………」

    マックスは外へと繋がる道を進んで行った。

    「ひ、広っ!!」

    山に沿って砦は作られており、左右に逃げられない様になっている。

    「こ、ここにラオシャンロンが来るのか……!?」

    「来る、もうすぐな……」

    「え?」

    「とりあえずバリスタはお前ら使えるよな…?」

    「は、はい、ジエン・モーラン戦の時に使いました」

    「では移動式大砲の使い方を教えてやる……」

    移動式大砲は大砲の下が貨物列車の貨車のようになっており、線路が砦の奥まで続いている。

    「移動式大砲は3つに纏められた大砲の弾を装填する事で連射が出来るものだ、最大装填数は9発、全弾命中出来れば大きなダメージを与えられる……」

    マックスが見る先には3つに纏められた大砲の弾が転がっている所だった。

    「更にこいつは左右に移動できる、右の鉄製のスイッチをピッケルで強めに叩くと右側へ、左を叩くと左へ移動する、それと、こいつは移動しながら撃てる、不意打ちなどにも利用出来るかもな……」

    「お前らに大砲は任せる、バリスタは俺が撃つ……」

    その時だった。



    ズゥン………!!



    重々しい音が響いた。


    「な、何だ!?」

    「奴だ、全員気を引き締めろよ……」

    霧の向こうにいる何か、それは、まさに動く霊峰だった。
  110. 110 : : 2017/06/01(木) 19:28:16
    ズゥン…………!

    地響きは次第に大きくなる。

    「お前ら、大タル爆弾Gを使うぞ……」

    「え?もう使うんですか?」

    「古龍相手にアイテムを使うのを躊躇うな、一瞬の判断が……」

    「命を分ける」だよな?」

    レイがマックスより先に台詞を言った。

    「……………」

    「俺達は武器を自由に振り回すからな、巻き込まれないようにな」

    「………俺は弓使いだ、お前らがもし足を引っ張るようだったら首筋を撃つからな」

    「こ、この人本気だよ!?」

    セキトは思わす引いた。

    「へへ、上等だよ」

    「…………」

    マックスは無言のままTHEイノセンスを構えた。

    「覚悟を決めろよ、こいつはそう簡単には倒せないからな……」

    そして、霧の中から奴が姿を見せた。
  111. 111 : : 2017/06/18(日) 15:07:14
    ズウンッ……!!

    霧の中から現れたのは、一本の巨大な角。

    「は………!?」

    しかし、それはまさに氷山の一角、ラオシャンロンの鼻先にあった巨大な角だった。

    頭部は赤褐色の重殻と厚麟に覆われている。全てを踏み潰すかのような巨大な足は極太の爪が生え、背中は刺々しい重殻に厳重に護られていた。

    「こいつが………!!」

    レイはラオシャンロンに真っ正面から睨まれ、恐怖で足がすくんだ。

    「レイ!逃げろ!!」

    セキトが叫ぶが遅かった。

    まるでトラックに轢かれたかのような衝撃がレイを襲い、数メートル先へと吹き飛ばした。

    「がっ……は……!」

    強靭なクシャナXシリーズさえ衝撃を吸収しきれない程の攻撃にレイは歯を噛み締めた。

    「来やがれ………俺は逃げないぞ!!」

    レイはコウリュウノツガイを握りしめてラオシャンロンへと走り出した。

    「はぁぁぁぁ!!」

    セキトは七星刀を前足に振り下ろした。だが。

    ガキィン……!!

    黒曜石でさえ軽く切り裂く切れ味の七星刀がいとも容易くはじき返された。

    「か……硬っ……!」

    そして、セキトもラオシャンロンの「進行」に巻き込まれた。

    セキトの大和・兜にラオシャンロンの爪が激突し、セキトは木の葉のように宙を舞った。

    そのまま回転しながら背中から硬い地面へと叩きつけられた。

    「二人共、移動式大砲に弾を装填しろ!」

    マックスがバリスタを撃ちながら叫んだ。

    「あの野郎……俺達のダメージも考えて発言しやがれ……!」

    レイはセキトを起き上がらせると縄梯子を登って大砲の弾のある場所へと急いだ。
  112. 112 : : 2017/06/20(火) 07:58:58
    レイ達は大砲の弾が置かれている所に辿り着いた。

    大砲の弾は一つ30キロの重さがあり、3つに纏められている為90キロ近くの重さになり、生半可なハンターでは持ち上げる事も出来ない。

    「よいしょっと……」

    レイとセキトは大砲の弾を持ち上げると移動式大砲の横にある弾を入れる場所へ装填した。

    合計6つの弾を入れると移動式大砲のランプが黄色に変わる。

    「確か赤が最大装填数なんだよな」

    レイはもう一つ弾を取りに行こうと移動式大砲から飛び降りた時だった。

    ヴヴヴォォォォォォォォォォーーーーー!!!

    山が震え上がるかのような轟音が響き渡り、さらに一拍遅れて衝撃波が辺りを襲った。

    「うおおおっ!!」

    レイも衝撃波に巻き込まれ、数メートル先に吹っ飛ばされた。

    「くっ……うおっ!?」

    さらに衝撃波の影響なのか、砦の壁の上から巨岩がレイに向かって転がり落ちてきた。

    「冗談じゃねぇぞっ!!」

    レイは右腕に力を入れて渾身の力で地面を押した。

    間一髪レイは巨岩に押しつぶされずに済んだがピンチは続く。

    ラオシャンロンが後ろ足で立ち上がったのだ。

    「うおお………!!」

    バカでけぇ……

    まさにその一言に尽きる程の体躯、歩く天災とはこの事だ。

    そのままラオシャンロンは歩みを進める。

    「レイ、撃つよ!」

    「おう!」

    セキトは中央の鉄製のスイッチをピッケルで強めに叩いた。

    すると内部で着火され、一気に大砲が火を吹いた。

    ドドドドドドォン!!!!

    大砲の弾は全弾命中、通常のモンスターなら一撃死だろう、だが、重厚な厚麟はその攻撃を全く受け付けなかった。

    しかし、どんな相手でも必ず弱点がある。

    「「うおおおおおおおおおお!!!」」

    黒煙の中からレイ達は飛び出した。
  113. 113 : : 2017/06/20(火) 08:09:51
    黒煙を引きちぎり、二人は剣を抜いた。

    狙うは………

    あの白い腹!!

    2人の考えは全く同じだった。

    セキトは七星刀を渾身の力で振り下ろした。

    ラオシャンロンの腹部の肉質は硬くなく、鍛えられた七星刀の刃が易々と食い込んでいく。

    だが、斬りつけられた部位は一瞬凹むのだが、すぐに元どおりになってしまう。

    「うおおっりゃああああ!!」

    レイもコウリュウノツガイで斬りつけるが、結果は同じ。

    だが、彼らには「奥の手」があった。

    「レイ、僕が撃ち込むから後に続いて!」

    「分かった!」

    セキトは七星刀を構える。

    「桜花気刃斬!!」

    セキトは少しバックステップで距離を取ると一気にラオシャンロンの腹部を切り払った。

    そして、腹部が刃の形に凹む。

    「今だレイ!!」

    セキトが叫ぶとレイはコウリュウノツガイを交差させてラオシャンロンに飛び込んだ。

    「ラセンザン!!」

    凹んだ腹部をさらに抉り、ラオシャンロンは大きく怯んだ。
  114. 114 : : 2017/06/20(火) 16:57:55
    「いよっしゃあ!!!」

    抜群の手応えにレイは笑みを浮かべた。だが。

    「油断するな!奴との戦いはこれからだぞ!!」

    マックスが叫ぶとラオシャンロンはいきなり倒れこんできた。

    「うおおおおおおおおおお!!」

    レイは慌ててイナしたがら、セキトはラオシャンロンの攻撃に巻き込まれた。

    「ぐあっ……は…!」

    セキトは激しく地面を転がり、苦痛の表情を浮かべた。

    「ちっ……!」

    レイは緑色の袋を引き裂くと緑色の粉末が風に乗ってセキトの所まで届いた。

    「生命の大粉塵……こんなに早く使う事になるとはな……」

    レイは悔しそうに歯を食いしばった。

    ガシュッ!!

    バリスタの弾がラオシャンロンの背中の重殻に命中し、火花が飛び散る。

    「レイ……すまない!」

    セキトは移動式大砲の方へ走り出した。

    「僕は移動式大砲で砲撃する!レイはラオシャンロンを頼む!!」

    「分かった!その代わり外すんじゃねぇぞ!」

    「任せて!!」

    レイはラオシャンロンと対峙した。

    「レイ殿、僕も援護しますニャ!」

    ライズがレイの横に駆け寄った。

    「行くぞライズ!」

    「はいですニャ!」

    レイはラオシャンロンに再び向かった。

    だが、この戦いがレイの真の力を引き出す事となるのは誰も予想がつかなかった。
  115. 115 : : 2017/06/20(火) 17:00:18
    10章・希望の双剣
  116. 116 : : 2017/06/22(木) 07:23:37
    「うおおおおおお!!」

    レイはラオシャンロンの頭部にコウリュウノツガイを振り下ろした。

    弾かれることはなかったが、手応えは浅い。

    「やっぱ腹しか効かねぇか」

    レイはラオシャンロンの下腹部に潜り込むと一気に切り裂いていく。

    だが、ラオシャンロンの歩幅はとんでもない程大きく、斬ってもすぐに柔らかい部位は通り過ぎてしまう。

    「ちっ!」

    レイは後を追おうと走り出した時だった。

    ズドォン!!!

    目の前が突然黒煙に包まれた。

    「うおっ!?危ねぇ!!」

    レイは見ると移動式大砲の上にいるセキトが慌てていた。

    「セキトぉ!ちゃんと狙いやがれバカ野郎!!」

    「ご、ゴメン、歩幅が合わなくて……」

    「2人共!巨龍砲を使え!!」

    マックスが走りながら叫んだ。

    「巨龍砲ってあのでかい大砲か?」

    「支給品に「高密度滅龍炭」があるはずだ!モドリ玉を使って取りに行け!!」

    「よし、僕が高密度滅龍炭を取りに行くからレイは移動式大砲を巨龍砲付近に設置しておいて!!」

    「了解!」

    レイは縄梯子を登り、移動式大砲に乗った時だった。

    何故我の邪魔をする…………


    腹の底に響くからのような太い声が聞こえた。

    「え……?」

    慌てて辺りを見渡すが、THEイノセンスを撃つマックスと、ブーメランを投げるライズしか見当たらない、どちらも話しかける余裕などなさそうだ。

    「き、気のせいか……?」

    レイは移動式大砲のスイッチをピッケルで叩いた。
  117. 117 : : 2017/06/29(木) 19:44:18
    僕のTwitter知りたい人は@Punipuni_Syotaで検索してみて下さいw
  118. 118 : : 2017/06/30(金) 12:42:35
    レイは移動式大砲が動き出すのを確認してコウリュウノツガイを研いだ。

    今まで古龍はクシャルダオラにテオ・テスカトル、シャガルマガラ、オオナズチしかレイは経験がない。

    しかもこれほどの巨体を誇る古龍など想像もしていなかった。

    「くっそ…………!」

    レイはコウリュウノツガイを握りしめた。

    どうすればこいつを止められる………

    レイの心の中はその一つだけを考えていた。

    「こんなんじゃ……生きて帰れねぇぞ……」

    だが、ここでレイに思いが浮かんだ。





    今ここでこいつを止められなかったら人々もレイアも巻き込まれる…………




    「そうだよな……生きて帰るって約束したもんな」

    レイは再び立ち上がった。

    見る先にはTHEイノセンスを撃つマックスと、必死でラオシャンロンの進行に巻き込まれないように立ち回るライズがいた。

    「俺も行くんだ……!」

    レイは気合いを入れて飛び降りた。

    人々を、世界を、大切な人を守るため、レイは動く霊峰に突き進んだ。
  119. 119 : : 2017/06/30(金) 13:09:54
    その頃、セキトは砦の中の拠点に戻って支給品ボックスの箱を開けていた。

    「これかな……?」

    セキトは支給品ボックスの隅に置いてあった金色の60センチほどの円盤を持った。

    「……………!!」

    触れただけでも分かる凝縮された強烈な滅龍エネルギーに、セキトは思わず手を引いた。

    高密度滅龍炭は、地獄の覇者の異名を持つ獄狼竜ジンオウガ亜種の背中に集まる特性を持つ「蝕龍蟲」を凝縮させた特殊な火薬で、通常の大砲では使えず、巨龍砲のみ使えるのだ。

    セキトは怯みながらも高密度滅龍炭を持った。

    「よし……行こう」

    すると砦が激しく揺れた。

    「うわっ……!?」

    砦の道からは剣のぶつかる音が聞こえてくる。

    「早く行かないと……」

    セキトは急いで戦場へと向かった。
  120. 120 : : 2017/06/30(金) 18:46:32
    「がはっ……!」

    マックスは血を吐いた。

    「マックス!!」

    レイはラオシャンロンの体当たりによって壁とラオシャンロンに潰されたマックスを見て最後の生命の大粉塵を使った。

    緑色の粉薬が風に乗ってマックスまで届いた。

    「すまん……!」

    マックスは歯嚙みをしながらTHEイノセンスを構えた。

    「俺も行くぜ!」

    レイはラオシャンロンの腹にコウリュウノツガイを斬りつけた。

    1撃、2撃、3撃

    会心の一撃と共に、コウリュウノツガイから炎が上がる。

    「オラァァァァァァァァ!!!!」

    レイはそのまま鬼人化し、更にスピードを上げて腹部に斬撃を与えていく。

    だが、幸運はそこまで長くは続かない。

    「はあっ……!ぐっ……!」

    レイは胸を押さえて膝をついた。肺が酸素を求めて悲鳴をあげる。

    鬼人化は大幅に攻撃力を上げるが、その代償として歩くだけでもスタミナを消費する危険がある。まさに諸刃の剣。

    レイはこの時スタミナの事など全く考えていなかった。

    「レイ殿!!」

    ライズが叫ぶが遅かった。

    ラオシャンロンが容赦なくレイを腹で押し潰した。

    全身の骨が砕かれたかのような激痛が走り、レイは激しく地面を転がった。

    「ぐうっ………!!」

    レイの目線の先には、前足でレイを踏み潰そうとするラオシャンロンの姿があった。

    「こ、ここで終わりかよ………」

    レイは静かに目を閉じた………
  121. 121 : : 2017/06/30(金) 19:05:43
    ラオシャンロンがレイを踏み潰す…………













    その時だった。












    ズドドドドドドドドォン!!!!

    ラオシャンロンの頭部に大砲が全弾命中した。

    黒煙が晴れるとそこには3分の1ほど破壊されたラオシャンロンの鼻先の剛角が目に入った。

    突然の事にラオシャンロンは大きく怯み、バランスを崩した。

    「まさか………」

    見るとセキトがバリスタのスコープを覗き込む姿があった。

    「レイ!こっちに来て!!」

    セキトは叫ぶと単発式拘束弾を発射した。

    単発式拘束弾はラオシャンロンの頭部に突き刺さると、それを皮切りに周りの崖から隠された拘束弾がラオシャンロンに一斉に放たれた。

    拘束弾は撃龍船と同じ巨躯を誇るジエン・モーランを抑え込むほど強靭なチタンワイヤーが結ばれており、突き刺さると相手の動きを抑え込む効果がある。

    「あの野郎……めっちゃカッコいい登場しやがって………!」

    レイは燃え尽きそうな闘争心を必死に立て直しながらセキトの元へ急いだ。

    「はぁぁぁぁ……」

    マックスはラオシャンロンの口を睨みながら矢を束にする。

    「トリニティイレヴン!!」

    マックスは1発、2発と撃つと、最後は時間をかけて束となった3発目を放った。

    寸分の狂いもなく放たれた矢はラオシャンロンの口に突き刺さった。
  122. 122 : : 2017/07/01(土) 13:49:15
    痛む腕を必死に動かしながらレイは縄梯子を登る。

    「レイ、捕まって!」

    差し伸べられたセキトの手をしっかり掴むとセキトはレイを引っ張り上げた。

    「レイ、大丈夫!?」

    「お前のムチャな要求で死にかけてんだよ(怒)」

    「し、仕方ないよ……単発式拘束弾を撃ってほしいから呼んだんだ」

    「で、高密度滅龍炭はどうした?」

    「持って来たよ、ほら」

    セキトはレイに高密度滅龍炭を見せた。

    「い、意外と小さいんだな」

    「2人共!!」

    マックスが縄梯子を登ってやって来た。

    「マックス!大丈夫かよ?」

    「一応な……ライズに巨龍砲の弾が着弾する所にラオシャンロンが来たら拘束弾を使うように言ってある」

    「ライズ1人で大丈夫なのか?」

    「あいつはいざという時の逃げ足は速いから大丈夫だ…」

    「で、巨龍砲の着弾地点ってどこなんですか?」

    「あそこだ」

    マックスが指差す先には15メートルほどの鉄製の丸い足場だった。

    「あ、あそこに着弾すんのか?」

    「ああ、巨龍砲は砦の2番目に強力な兵器だ」

    「に、2番目……?」

    「とりあえず俺達は大砲である程度のダメージを与える。巨龍砲はお前がやれ」

    マックスはセキトを見た。

    「は、はい!」

    「頼むぞ、外すなよ?」

    「こ、拘束してくれるって言ってたよね……?」

    「レイ、大砲の弾を装填するぞ」

    「お、おう」

    レイはマックスの後を追った。
  123. 123 : : 2017/07/01(土) 14:01:35
    その頃、雨が降りしきる孤島ではロイとシェイドが寝ていた。

    「ほら、こっちよ」

    レイアが帰って来た。

    「おいレイア、遅い………」

    ロイが固まった。

    「…………!」

    シェイドも同じく固まった。

    「ちっ……お前に助けられる日が来るとは……」

    「喋らないで、死にたいの?」

    レイアが案内しているのは燼滅刃ディノバルドのゼロだったのだ。

    「て、テメェ!オレ達の住処に何しに……」

    だが、ロイの戦意は一瞬にして消え去った。










    ゼロの身体はボロボロだったのだ。









    刺々しい堅殻は所々破壊され、頭部の甲殻には亀裂が入り、全てを断ち切る破壊刀は先端部分が切断されていた。

    口からは血が垂れ、呼吸も荒い。

    「な、何だその傷は!?」

    「……くっ……!」

    クソ蟹野郎が………!

    ゼロはそう言い残し意識を失った。
  124. 124 : : 2017/07/01(土) 18:31:51
    レイ達はラオシャンロン相手に防戦一方だった。

    「撃てぇぇぇぇぇ!!!」

    大砲が火を吹き、背中に砲弾が命中した。

    「ライズ!今だ!!!!」

    マックスが大声で叫ぶとライズは返事の打ち上げタル爆弾を発射した。

    「拘束弾発射ですニャ!!」

    ライズは思いっきりピッケルでスイッチを叩くと返しのついた拘束弾が発射された。

    拘束弾はラオシャンロンの腰に突き刺さり、動きを封じる。

    「セキト、巨龍砲を撃ったらすぐに伏せろよ、爆風で死んだ奴もいるからな!」

    「し、死者の出る兵器使っていいのかよ!?」

    「撃て、奴が動き出す前に!!」

    「は、はい!」

    セキトは高密度滅龍炭を着火部に装着すると渾身の力でピッケルを振り下ろした。

    すると巨龍炭の発射口に滅龍エネルギーが集まっていく。

    「セキト、こっちだ!!」

    セキトは急いで移動式大砲の後ろに隠れた。

    そして巨龍砲が炸裂した。











    ズドォォォォォォォォォォォォン!!!!!!










    砦にキノコ雲が巻き上がった。

    かつてない大爆発にレイ達は吹き飛ばされそうになった。

    さらに轟音から一拍遅れて熱風が押し寄せた。

    「うううおおおぉ………!!」

    レイは必死で耐える。

    熱風が収まり、巻き上げられた小石の雨を浴びながらラオシャンロンを見るとラオシャンロンの身体には滅龍エネルギーが絡み付いていた。

    だが、大きく怯んだだけで討伐までには届かなかった。

    「な、なんて奴だ………!」

    レイは顔を歪ませた。
  125. 125 : : 2017/07/01(土) 22:25:16
    ラオシャンロンは巨龍砲を食らっても進行を止めない。

    「お、おい!撃退出来ねぇぞ!?」

    「バカか、エリア1で撃退できるほどラオシャンロンは弱くない」

    「え、エリア1?ここってエリア1なんですか?」

    「ああ、これからエリア2に向かうからしっかりついて来いよ」

    そう言うとマックスは砦の拠点に続くトンネルへと走って行った。

    「お、おい!待てよ!!」

    レイ達は置き去りにならないように急いで後を追った。

    残されたのは、地面に潜っていたライズだけ。

    「あれ?旦那さんどこだニャ?」

    ライズは不安そうに辺りを見渡した。
  126. 126 : : 2017/07/07(金) 10:23:46
    レイ達は砦のベースキャンプに戻って作戦を立てていた。

    「ラオシャンロンはエリア2で撃退、または討伐を目指す特殊な相手だ。エリア2は通常の砦より頑丈に作られてはいるがもし突破されたら甚大な被害が出る……」

    「……………」

    「……?レイ?」

    セキトが不安そうにレイの顔を覗き込んだ。

    「あ、ああ、何でもない」

    「ならいいけど……」

    「それと、お前らに撃龍槍の仕組みを教える」

    「げ、撃龍槍って確かでっかい槍か?」

    「ああ、ここの撃龍槍は世界の撃龍槍の中でもトップクラスの威力を誇る兵器だ、上手く当てられると特大のダメージを与えられるが使えるのは一度だけ、外したら終わりだ」

    「な、なるほど……」

    「よし、全員大砲の弾を持って移動だ」

    そういうと
  127. 127 : : 2017/07/07(金) 10:26:27
    マックスは大砲の弾を持ってエリア2へ続く道へと進んだ。

  128. 128 : : 2017/07/07(金) 10:29:56
    ごめんなさい、めっちゃ強引にやりました
  129. 129 : : 2017/07/28(金) 15:10:09
    その頃、とある小さな集会所である話がされていた。

    「リオレイアが人を乗せていた?」

    「はい、3日前に農作業をしていた5人全員が目撃しました」

    「その人間は生きていたのか?」

    「わ、分かりません、遠目からだったので……」

    「リオレイアは獲物を捕獲しても咥えて空を飛ぶはず、背中に乗せるのも飛行時のバランスの妨げになるからありえない……」

    「で、でも確かこういう情報が」

    「む?何かね?」

    「た、確か……」









    金と銀の双剣を装備してました










    「双剣使いか……分かった、全ハンターズギルドにその目撃情報を知らせる」

    レイの身に、最大の危機が訪れる。
  130. 130 : : 2017/07/28(金) 16:25:50
    レイ達は大砲の弾を持ったままエリア2へと到着した。

    「こ、ここがエリア2………」

    エリア2はさらに高い崖に囲まれた狭いエリアで、左右には15メートルほどありそうな石積みの足場があった。

    「さて……ここでラオシャンロンを迎え撃つぞ」

    そう言うとマックスはレイとセキトにこんがり肉を差し出した。

    「え?」

    「いいから食っておけ、腹が減っては戦はできない…」

    「は、はい……」

    レイ達は腰を下ろすとこんがり肉にかじりついた。

    「う、旨っ!」

    「フフ……俺が新人の時は死ぬ程肉を焼かされたのさ……先輩ハンターが腹を空かして帰ってくるって言われてな……自然と最高に旨く焼けるタイミングが体に染み込んじまったのさ」

    「す、すげぇよお前、ハンター今日で辞めてもこれで店出せるぜ!!」

    「いやいや辞めないでしょ……」

    「ふぅ………」

    マックスはこんがり肉を食べ終わると首の骨を鳴らした。

    「お前らに生きて帰れたら旨い店でも紹介してやるよ、俺の奢りでな」

    「おっ、助かるぜ」

    「いいんですか?」

    「ああ……俺が認めた最高の双剣使いと太刀使いってな」

    「へぇ……初めてアンタとまともに話したけどいい奴だな」

    「お前も……なかなかいい腕だぞ」

    「へへ……」

    ズゥンッ………!

    「おっ、近付いてきたぞ」

    「よし……気合い入れろよお前ら」

    「はい!!」

    レイ達が、最後の戦いに臨む。
  131. 131 : : 2017/07/28(金) 21:47:06
    レイ達は移動式大砲を動かすとレイは狂走薬グレートを飲み干した。

    狂走エキスとこんがり肉を調合した狂走薬グレートは使用すると長時間の間スタミナの消費が無くなる希少なアイテムだった。

    「同じ失敗はしてたまるか……」

    レイはコウリュウノツガイを抜くと飛び降りた。






    お主……まさか天古龍人であるか………?





    また太く、響く声がした。

    「え………?」

    お主やはり……天古龍人であるのか……?

    「お、お前……ラオシャンロンか……!?」

    いかにも………

    「レイ!?誰と話してるの!?」

    なぜ私の避難経路を阻むのだ……

    「ひ、避難経路!?」

    知りたければ付いて来るのだ……

    ガシュッ!!!

    「レイ!そいつから離れろ!!」

    マックスがバリスタでラオシャンロンの頭部を狙う。

    うう……とりあえず天古龍人、付いて来るのだ…

    「お前らぁ!!!こいつを攻撃するな!!!」

    「え!?」

    「何!?」

    「俺は必ず戻る!その日まで待ってろ!!」

    そう言うとレイはラオシャンロンの後を追いかけた。

    「おいレイ!レイぃぃぃぃぃぃ!!!」

    マックスの声が虚しく砦に響き渡った。
  132. 132 : : 2017/07/30(日) 14:21:07
    「ちっ、あのバカ何考えてるんだ……!」

    マックスは舌打ちをすると「ブレイドワイヤー」を発動した。

    「少し頭を冷やせバカ野郎!」

    マックスが放ったブレイドワイヤーは一直線にレイに向かう。

    「うおっ!?」

    鋼鉄のワイヤーがレイの足に絡みつき、レイは派手に転倒した。

    「くっ……!」

    レイは素早く剥ぎ取り用ナイフでワイヤーを切断しようとするがワイヤーは硬く、ギリギリと軋むだけだった。

    「正気なのレイ!?ラオシャンロンについて行くなんて自殺行為だよ!?」

    「正気だし……自殺なんかしねぇよ!」

    レイは力任せにワイヤーを切ろうと剥ぎ取りナイフを振るう。

    ヴヴヴォォォォォォーーーーーーーー!!!!

    ラオシャンロンが吼えた。

    「とりあえず奴は俺が引き付ける……!」

    マックスは単発式拘束弾を逃げようとしているラオシャンロンに向かって発射した。

    「やめろーーーーーー!!」

    遂にワイヤーを切断したレイは飛ぶとラオシャンロンに向かう単発式拘束弾をコウリュウノツガイでワイヤー部分を切断した。

    「な………!?」

    「お前らは戻れ!俺はこいつを追う!!」

    「バカ、引き返せ!!」

    「またいつか会おうぜ!!」

    そう言うとレイはラオシャンロンの尻尾に飛び乗った。

    「あいつ気絶させても取り返すぞ……!」

    マックスは弓に強撃瓶を付けて発射した。

    「おおあっ!!」

    レイは弓を受け止めたが、強烈な威力にラオシャンロンの尻尾から落ちてしまった。

    「邪魔……すんなぁ!!」

    レイは小石を拾うと力一杯マックスに投げ付けた。

    猛烈な勢いで小石はマックスのTHEイノセンスに命中し、一部を破壊した。

    「俺は絶対戻るからなぁ!!!」

    その一言を残し、レイとラオシャンロンは霧の中へと消えていった。
  133. 133 : : 2017/08/08(火) 17:04:51
    「う………ん……?」

    レイは生温かい風で目を覚ました。

    そこは藁が敷かれた山の中腹だった。

    「こ、ここは……?」

    「目を覚ましたのだな……」

    振り返るとそこにはラオシャンロンがいた。

    「不意に倒れたから寝させていたのだ……」

    「疲れて倒れちまったんだな俺……」

    レイはラオシャンロンを見上げた。

    「やっぱりお前の声だったんだな……」

    「天古龍人よ…お主は我の声を聞き……我を助けた……」

    「た、助けたって言うのか……?」

    レイは苦笑いを浮かべた。

    「だが……我はもう間に合わん……」

    「え………」

    「元々我はもう命の灯火は残り少ない……さらに外部から攻撃も浴びている……」

    「て、てか何でお前は砦に来るんだ…?」

    「我々は遥か昔からある土地で群れを成して生息する龍だったのだ……豊富な水や獲物……全てにおいて最高の土地だった……繁殖もし易く、それでいて人間に見つかりにくい……そしてそのままで一生を終えるはずだった………」

    「は、はず……?」

    「奪われたのだ……たった2体の龍のおかげで……」

    「に、2体の龍……?」

    「一体目は世界の全土をたった数日で焼き尽くす程の比類なき強さを持つ黒龍……」

    「こ、黒龍………?」

    「そしてもう1体の龍の化身が我の背中に刺さっているぞ……」

    「え……?」

    「登ってみるのだ……」

    レイはラオシャンロンの右前足を足場に、破壊された背中に登った。

    「ん……?」

    そこには破壊された重殻の中に刺さった紫色と銀色の刃物の形をした鱗のような物だった。恐る恐る鱗の刃に触れた時だった。

    「いっ……!」

    見るとクシャナXアームの指先の部分が斬られていた。

    「ぼ、防具が壊れちまったぞ……!?」

    レイは頑丈なクシャナXアームをいとも簡単に切り裂いた鱗の切れ味に戦慄した。

    「も、もしこんな鱗を纏った奴と戦ったら……」

    レイはまるでおろし金のように体がすりおろされるイメージをして吐き気がこみ上げた。

    「うっ………!」

    こみ上げる吐き気をぐっとこらえると、レイは慎重に鱗をポーチに入れてラオシャンロンの背中から降りた。

    「な、何だよこの鱗みたいなモン?」

    「これは黒龍と同等の強さを持つ古龍の逆鱗なのだ……」

    「こ、黒龍と同じ強さ……!?」

    「我々の住処を破壊したその2体の龍から我々は逃げる為にお主らがいた道を通るのだ……」

    「え…………」













    ちょ、ちょっと待て、それじゃあ俺達は今までこいつらの避難の邪魔をしてきただけじゃ……











    レイの脳裏によぎったのは、ラオシャンロンの撃退がつまりラオシャンロン達を死に陥れているという事だった。


    「こ、これが黒龍と同じ強さの龍の物……!?」

    「そうだ……だから我は主に頼みがある……」

    「た、頼み……?」

    「我の命はあと数日で消える……だから我の甲殻で武器を作って黒龍を討ち取ってくれぬか……?」

    「え……」

    「年老いて更にかなりの痛手を受けておる……だから我の体の鎧を使って黒龍を討ち取って欲しいのだ……」

    「て、て事はお前死ぬって事か……!?」

    「その通りなのだ……」

    ラオシャンロンの言葉にレイは奥歯を噛み締めた。
  134. 134 : : 2017/08/09(水) 14:26:58
    「し、死ぬって……そんな簡単に言うなよ!」

    「仕方あるまい……終わりの近い命に外部からの攻撃も浴びて体力も限界に近い……」

    そう言うとラオシャンロンは大きく態勢を崩して地面に倒れた。

    「うおっ……」

    衝撃と砂煙に耐えながらレイは叫んだ。

    「お前は伝説の老山龍だろ!こんな所で死ぬなんて俺が許さねぇぞ!!」

    「我は最後に……また天古龍人に会えて良かった……」

    「ま、またってどういう事だよ……」

    「その命……無駄にするのではないぞ……」

    そう言うとラオシャンロンは大きく息を吐いた。

    生臭い吐息を吐き終わった巨大なラオシャンロンの瞳には生気が消えていた。

    「お、おい……冗談はよせよ……」

    レイは恐る恐るラオシャンロンの頭部に触れるが、その頭部は既に冷たくなっていた。

    「ふざけんなよ……俺達がやってきた撃退作戦なんて残酷過ぎるだろ………!」

    レイの頰に熱い物が流れた。

    「俺……やっぱりハンター続けられねぇよ……」

    レイの涙の落ちた先には、ラオシャンロンの頭部の先に生えた煌めく鱗だった。

    「これは………」

    レイは慎重に剥ぎ取り用ナイフで鱗を採取するとその鱗はまるで揺らめく焔のような模様があった。

    「もしかして……天鱗……?」

    天鱗とはG級の更に限られたモンスターにしか存在しない逆鱗や宝玉を超える希少価値がある最高の素材だ。

    「……分かったよ、お前の死は無駄にはしねぇ」

    レイはそういうとラオシャンロンの素材を感謝を込めて剥ぎ取った。
  135. 135 : : 2017/08/12(土) 00:16:35
    レイはラオシャンロンの素材を詰め込んだ袋を背負いながらある場所へと向かっていた。

    それは、レイの生まれた小さな村。その村はあまりにも小さい為、村の名前すら存在しない。

    だが、この村の加工技術は世界一とも称される竜人族の加工技術をも超える一流職人が数多くいる。

    そして、レイがやってきたのは他の加工屋より少し離れた加工屋だった。

    「おう兄ちゃん、見ねぇ顔だな、名前は……」

    「よう爺さん、少し今日はお忍びで頼むぜ」

    「レイ……!しばらく見ねぇ間にデカくなったなオイ……」

    「まぁな、爺さん元気にしてたか?」

    「ここじゃ何だ、とりあえず上がれ」

    レイは加工屋の家に上がった。

    「ほらよ、これでも飲め」

    「ありがとよ」

    レイはユクモ村で採れる茶葉で淹れたお茶を啜った。とろりとしたお茶は風味が強く、ユクモ村の茶葉はかなり有名だ。

    「で、何で戻ってきたんだ?」

    「実はな……これを加工してほしいんだ」

    レイは背負っていた袋からラオシャンロンの天鱗を取り出した。

    「こいつは……スゲェな……」

    加工屋爺はささくれだらけのごつごつした手で天鱗を持った。

    「お前も老山龍を仕留めたんだな……」

    加工屋爺が言うとレイの顔が少し曇った。

    「これで双剣を作ってほしいんだ、出来るか?」

    「……こいつの素材は数千度で熱しても1ミリも変形しねぇからなぁ……ハンマーで少しずつ削るしかねぇが……」

    「出来れば早めに完成させてくれ、俺はある奴を追ってるんだ」

    「………お前の道はお前の自由だ、3日後にまた来い、ワシの最高傑作を作ってやるからよぉ」

    「分かった、ありがとな」

    そう言うとレイは加工屋の家を出た。

    空は灰色の厚い雲に覆われて少し薄暗い。まるで今のレイの心のようだ。

    「うっ……?」

    レイは右手にチクリとした痛みを感じて見てみると、右手の親指の根元付近が薄く赤黒く変色していた。

    「………?」

    後にこの模様がレイの身体に恐ろしい事を起こすとは思いもしなかった。
  136. 136 : : 2017/08/12(土) 00:28:44
    11章・黒虎咆哮
  137. 137 : : 2017/08/12(土) 12:57:06
    次の日、レイは雨上がりの孤島の道を歩いていた。濃厚な草木の香りがする空気を肺いっぱいに吸い込むとレイは体を伸ばした。

    「ふぅ……体重てぇ…」

    痛む体を動かしながら進むと目の前に大きな岩が現れた。

    「随分珍しい形だな………ん……?」

    よく見るとどこかで見たような形をしている事にレイは気がついた。

    「………おい」

    レイは慌てて駆け出した。

    向かう先は、レイア達がいる洞窟。












    あの岩………ゼロの尻尾じゃねぇかよ……!












    あのゼロの破壊刀の威力はレイは体で経験している。あの尻尾を斬る相手とは……?

    「レイア!!」

    レイは転びながら洞窟に飛び込むとそこにはシェイドがいた。

    「レイ……!無事だったか」

    「シェイド、ゼロはどこだ!?」

    「お前も気付いたか、この奥だ」

    シェイドに案内され、着いたのは洞窟の最深部だった。

    その奥には、燼滅刃ディノバルドのゼロが倒れていた。

    「ぜ、ゼロ!」

    レイは慌ててゼロに駆け寄った。

    「ひ、酷い傷だな……!」

    レイは血と唾液が混ざった口をこじ開けると口に回復薬グレートを流し込んだ。

    「ぐっ………」

    ゼロの喉が少し動き、回復薬を飲み込んだ事を確認するとレイは尻尾に触れた。

    「熱っ……」

    切断されても発熱する尻尾にレイは少し希望を持った。

    斬られた尻尾の患部に水をかけると白い煙が上がった。

    「ぐうっ……あ……!!」

    ゼロは痛みに耐えられずに暴れ出す。

    「シェイド、押さえてくれ!」

    「わ、分かった!」

    レイは瀕死のゼロを必死で治療した。



    もう2度と……モンスターは殺さない……



    その決意を胸にレイは治療を続けた。
  138. 138 : : 2017/08/15(火) 20:00:30
    その頃、セキトとマックスはラオシャンロンが消えて行った霧の道を王立書士隊の専属ハンター達と進んでいた。

    「……まだ着かないのか……かれこれ4時間は歩いてるぞ……?」

    「まるで同じ所をずっと歩いてる感覚ですね……」

    「確かにな……でもレイはこの先にいるかもしれないからな……」

    「レイ…………」

    セキトは頰を伝ってきた汗を拭うと終わりの見えない道を睨んだ。

    「お前は今どこにいるんだ………」

    その時だった。


    グォォォォォォォーーーーーーーーッ!!!!


    突然咆哮が轟いた。

    「な、何だ!?」

    空を見上げると巨大な影が降ってきた。

    「避けろ!!」

    マックスが叫んだが、1人の専属ハンターが回避に失敗した。

    「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

    ハンターは黒い影と共に上空へと連れ去られた。

    「クソっ!!」

    マックスはTHEイノセンスを構えたが、既に影は飛び去っていた。

    「ちっ……」

    「ま、マックスさん、追わないんですか!?」

    「………追ったところで無駄だ……恐らく生きてない……」

    「ど、どうして………!」

    「奴の顎ならアロイXシリーズなら氷みたいに噛み砕けるさ……」

    「や、奴……!?」

    「…………黒轟竜ティガレックス亜種だ」

    「こ、黒轟竜………!」

    セキトの顔が青ざめた。

    滅多に姿を見せないと言われる黒轟竜ティガレックス亜種は、ティガレックスの亜種で通常種よりさらに凶暴、食用旺盛になり、さらに強靭な喉と肺で驚異的な大咆哮を上げることで有名だ。

    すると1人の専属ハンターが叫んだ。

    「お、おい、ちょっと待てよ……奴が向かった方向は村に近いぞ!!」

    「な、何だと!?」

    「追いかけましょう!!」

    「おう!!」

    マックス達は慌ててティガレックス亜種が飛び去った方向へ走り出した。
  139. 139 : : 2017/08/17(木) 11:10:15
    一方、レイは渓流の川でレイアと釣りをしていた。

    「…………そらっ!」

    しなる竿を引き上げると通常のサシミウオより一回り大きいサシミウオが釣れた。

    「またトロサシミウオか、こいつはラッキーだな」

    レイは水に沈めた魚籠にトロサシミウオを入れた。中にはトロサシミウオ3匹と、バクレツアロワナ4匹が入っていた。

    「やっぱり私飽きたわよ〜」

    レイアは咥えていた竿を離した。

    「やっぱりモンスターに釣りは難しいか」

    レイは竿をしまうとバクレツアロワナを素早く取り出して活け締めにした。

    「こいつは絶命すると危ねぇからな、活け締めにしないと俺まで危ねぇからよ」

    レイは魚籠を持つと洞窟へと向かった。





    洞窟に入るとゼロがなんとか立ち上がっていた。

    「ようゼロ、痛みはどうだ?」

    「………まぁ前よりマシだな……」

    瀕死級のダメージを負ったゼロだが、レイの必死の治療により一命は取り留めた。

    だが、ディノバルドの特徴とも言える剣尾の再生は難しく、今後は尻尾が使えない事になるかもしれないらしい。

    「ショウグンギザミにやられるとはな……」

    レイはトロサシミウオを捌きながら呟いた。

    「背中に俺と同じ頭があったから敵かと思った矢先襲われた……ちっ……」

    「……お前と同じ頭?」

    レイは包丁を止めてゼロに尋ねた。

    「……?ああ、それが何だ?」

    「ショウグンギザミはグラビモスの頭殻をヤドにしてる奴だ、なのにお前の頭殻をヤドにしてるなんて聞いた事ねぇぞ」

    「3日前にレイが帰って来たからよくそこまで回復出来たよな、つまんねーの」

    「ああ?」

    ロイの一言にゼロは素早く反応したが、レイに絶対安静と言われているため攻撃には移らなかった。

    「そういや明日で3日か……レイア、明日ある場所に行くぞ」

    「ある場所?」

    「ああ、俺が助けられなかった奴に礼を言いに行かねぇとな」

    レイはそう言うと支度を始めた。
  140. 140 : : 2017/08/17(木) 14:34:56
    次の日、レイとレイアはラオシャンロンが生き絶えた場所にやって来た。

    「よう………久々だな」

    レイは生き絶えたラオシャンロンの頭部に触れた。

    「凄い……本当に死んでるのよね……?」

    「ああ………何か感じるのか?」

    「物凄いエネルギーを感じるの……私を遥かに超える………」

    「ほらよ………お前が何食ってるか分からねぇけど天国で腹を空かさねぇように……」

    レイは生肉と昨日釣り上げたトロサシミウオ、そして花ををラオシャンロンの前に置いた。

    「お前の命は無駄にしないからな……」

    そう言うとレイはコウリュウノツガイを地面に突き立てた。


    「……これはお前の餞別だ、天国に持ってけ」

    レイはそう言うとラオシャンロンの墓を後にした。























    レイは故郷の村を尋ねると加工屋爺が外に出ていた。

    「よう爺さん、出来たか?」

    「おうよ、恐らくワシが加工してきた中で1番難しかった素材だったぞ」

    「見せてくれ」

    「その名も……紅蓮双刃[久遠]だ」

    白い布をめくるとそこには赤茶色の双剣があった。

    「…………すげぇ」

    レイは本能的に紅蓮双刃に触れようとした所を加工屋爺が止めた。

    「こいつの切れ味はハンパねぇ、鉄鉱石くらい紙みてぇに切れるぞ」

    よく見ると刃の部分には、揺らめく焔の様な模様があった。

    「随分細かく仕上げた模様だな」

    「いや、これは研磨したら自然と出てきたんだ。強い滅龍エネルギーの証拠だ」

    「………」

    レイは試しに紅蓮双刃を振ってみた。

    「………重いな」

    巨大龍の素材だけはあるため、今まで扱ってきた双剣の中ではトップの重さを感じた。

    「お前の命の重さだよな……」

    レイは刃に映る自分を見つめた。

    「ありがとな爺さん」

    「おうよ、またいつでも帰って来いよ」

    「ああ、それじゃ」

    そう言うとレイは今までコウリュウノツガイを納めていた背中に紅蓮双刃を構えた。

    そして、ラオシャンロンの墓ではコウリュウノツガイか太陽の光を浴びて黄金に煌めいた。それは、レイの誓いを表しているかのようだった。
  141. 141 : : 2017/08/19(土) 18:24:39
    ラオシャンロン撃退から既に1週間という時間が経っていた。

    レイは紅蓮双刃を眺めていた。

    丸1週間狩りに出ていないため、身体がずっしりと重い気がする。

    「レイー、ただいまー!」

    「ああレイア………おかえり」

    「何か元気無いわよ……?大丈夫?」

    「ああ……何かやる気が出ねぇんだよな…」

    「そうなの……?」

    「多分しばらく狩りに出てないからだろうな…」

    「でもなんか……」

    レイアがしきりにレイの匂いを嗅ぎ始めた。

    「な、何だ何だ?」

    「何か……私に似た匂いがする……」

    「え……?く、臭いって事か?」

    「そうじゃない……何だろう………飛竜みたいな感じの匂い……」

    レイアはそう言うと突然レイの右腕を咥えた。

    「うお!?」

    そのまま口の中でレイの右腕を舐め回すとレイアは唾液をごくりと飲み干した。

    「やっぱり………間違いないわ……」

    「ったく……何すんだよ……」

    レイは唾液まみれになった右腕を洗いに川へと向かった。












    「目標、11時の方向へ移動、川へと向かっている」












    謎の人影が、レイを追った。
  142. 142 : : 2017/08/20(日) 15:00:47
    「全く……汚ねぇな」

    レイはレイアの唾液まみれの右腕を川で洗っていた。

    すると

    「…………」


    レイは微かに何かを感じ取った。












    「……………なんのマネだ?」












    レイが聞くと木の陰から黒い服と顔には金属製の仮面をつけた男たちが現れた。

    「流石だな……我々の気配を感じとるとはな」

    「何しに来やがった」

    「我々はお前を捕らえに来た、天古龍人よ」

    「…………!」

    「自覚ありのようだな、奴を連れてこい」

    すると目の前に金色の塊が落ちて来た。

    「うお………!!?」

    「お前のその状態で、こいつに勝てるか?」

    見るとそこには最凶の相手がいた。

    「ら、ラージャン………!?」

    金獅子ラージャン。
    超攻撃的生物と呼ばれる程好戦的な牙獣種に属するモンスターで、どんな相手にも見境なく襲いかかる危険生物。ギルドでも危険性は極めて高く、熟練のハンターでさえあまりの恐怖に依頼を躊躇うという。

    「こいつは脳と体の節々にコントロールチップを埋め込んである。こいつはお前を捕らえるために改造したモンスターなのさ」

    「な…………!」












    レイが答える隙もなく、雷鳴が響き渡った。














    数時間後

    レイア達は降りしきる雨の音で目を覚ました。

    「うぅーん……よく寝た……」

    「あら…?レイまだ帰って来てないの?」

    「そういやあいつどこ行きやがった?」

    「武器もここだし……まさかまた狩りに?」

    「レイの奴が武器なんて置いていくかよ」

    「………探しに行くわよ」

    「おう」





    「レイーーーー!!」

    「どこ行きやがったオラァーーーー!!!」

    ナルガクルガとティガレックスの咆哮が響く中、レイアは恐ろしい物を見つけた。

    それは、砕け散ったクシャナXメイル。

    その破片には所々血が付着している。

    「嘘………よね……?」

    レイアの目に絶望が浮かんだ。
  143. 143 : : 2017/08/21(月) 22:37:11
    「密猟者?」

    ハルナがハンターに紅茶を啜りながら尋ねた。

    「ああ、何でもモンスターの体にマイクロチップを埋め込んで思いのままに操るって噂だぜ」

    「それって密猟者って言うのかしら……?」

    「そ、そこは詳しくは分からねぇけどよ」

    「でもその話少し気になるからもう少し教えてくれる?」

    「お、おう」












    元々ハンターズギルドは、モンスターによる人類の被害を防ぐためだけではなく、モンスターの卵を納品させて数を制限したり、素材の納品や、危険なモンスターの討伐で世界の治安や生態系を管理している組織である。




    だが、ハンターズギルドの正式な許可を得ずに自分の欲のために片っ端からモンスターを討伐しまくる者を、ハンターズギルドでは「密猟者」と呼び、厳しい罰やハンターズギルドから永久追放、最悪の場合死刑もあり得る。




    しかし、その規制をかいくぐり、闇ルートではモンスターの素材を通常以上の高値で売買したり、モンスターの密猟なども行われている。












    「それよりモンスターの改造って……」

    ハルナは赤い夕日をじっと見つめた。
  144. 144 : : 2017/08/21(月) 22:58:50
    「いってぇ………ぐっ……?」

    レイは生臭く、生温かい液体が顔を伝った感触で目を覚ました。

    「…………!!」

    レイの頭の上には絞蛇竜ガララアジャラが眠っていたのだ。生温かい液体の正体はガララアジャラの口から垂れる唾液だった。

    「こ、絞蛇竜……く、喰われる………!」

    だが、レイの目の前にはドスバギィとジンオウガが寝息を立てて寝ていた。

    「こ、こいつら麻酔で……?」

    レイはガララアジャラを起こさないようにそっと出ると扉の前に来た。

    「こ、ここってどこだよ……」

    その時だった。

    「……聞こえる?」

    「え?」

    レイは辺りを見渡すが、誰もいない。

    「き、気のせいか……?」

    「ここよっ」

    天井を見るとそこには天廻龍シャガルマガラがいた。

    「しゃ、シャガルマガ………!」

    レイが言い終わる前にシャガルマガラが前翼脚でレイを持ち上げて天井裏へと連れ去った。

    「んんんん……!」

    「静かに」

    シャガルマガラはレイの口をひんやり冷たく柔らかい鋭爪で抑えた。

    「…………」

    「落ち着いた?」

    「お、おう、何とか」

    「私は天廻龍シャガルマガラ、よろしくね」

    「知ってる」

    「あら、やっぱり人間は知ってるのね」

    「てかお前メスか?」

    「そうよ、私は立派なメスよ」

    「おかしいな……ゴア・マガラは性別不明なのにな………」

    「とりあえず来て、私たちの部屋を紹介するから」

    そう言うとシャガルマガラは広い天井裏の通路を進んだ。
  145. 145 : : 2017/08/24(木) 17:54:04
    シャガルマガラは天井裏の巨大な空気ダクトを通ると誰もいない通路へと出た。

    「ここには人間は餌やり時にしか来ないから安心して」

    「そんな事よりここにいる奴らは何があったんだよ……」

    ここの通路の左右には檻があり、その中には傷だらけのルドロス、ジャギィノス達がいた。

    「ここは強制繁殖フロア、ここにいるモンスターは全てメスよ」

    「そ、そうか、だからジャギィノス達が……」

    「ここにいるモンスターは全員人工授精によって強制的に子孫を残す運命になるわ、そこで産まれたモンスターを成体まで育てると素材を取るために惨殺、または闘技場へ送られるわ」

    「で、でもお前もメスだろ?なのにどうして…」

    「私は古龍種だから繁殖方も不明だからよ、でも一応卵子は採取されてるけど」

    「一応って………」

    レイは周りのモンスター達を見ると疲れ切った表情のモンスターがほとんどだった。

    「あんたも私を殺しに来たのかい…?」

    1頭のジャギィノスがレイに話しかけた。

    「俺もここに連れて来られた身だ……お前らを殺すなんて考えてねぇよ」

    「ならいいけど………ううっ…」

    「お、おい、大丈夫かよ」

    「私ももうすぐ殺される身………最後にあんたに話が出来てよかった……」

    「殺される…………」

    「私達はいいから大型車フロアへ行きな………彼らを救ってやってくれ……」

    「分かった、でもお前らも必ず助ける、もう誰1人傷付けねぇ」

    「ふふ………頼もしい限りだよ……」

    レイは歯をくいしばるとシャガルマガラの後を追った。
  146. 146 : : 2017/08/28(月) 16:38:06
    レイとシャガルマガラは通路を進むと目の前に「大型車フロア」と書かれた鉄製の扉の前に来た。

    「こ、ここが大型車フロア………」

    「ここは元々戦争時代に爆撃機や戦車、時には核爆弾を収納していた倉庫らしいわ、でも今は大型モンスターを収容している場所よ」

    シャガルマガラが扉を開けるとそこにはブラキディオスやガララアジャラ、ナルガクルガ亜種など屈強なモンスター達がたくさんいた。

    「に、人間だ!」

    「エサだぞ!!」

    レイの姿を見た瞬間あらゆるモンスターが唾液を垂らしながら襲いかかって来た。

    「うおおっ!?」

    「やめて!!」

    だが、シャガルマガラが彼らを制した。

    「り、リーラ、邪魔するな!」

    「この人は私達の味方よ!だから私も襲わないの!!」

    シャガルマガラの声に当たりが静まり返った。

    「仲間という証拠は?」

    ディアブロスがシャガルマガラに尋ねた。

    「この人は私達の声を聞けるのよ」

    「な、何!?」

    「どういう事だ?」

    「この人は私達の脱出計画に必要よ、だから私はこの人を選んだのよ」

    「脱出計画?」

    「ええ、ここから全員生きて帰るって誓ったからね」

    「ちっ………リーラが認めたならいいけどよ、もし俺らに何かしたら容赦しねぇ、分かったな?」

    土砂竜ボルボロスがレイに警告した。

    「ああ、分かった」

    レイは頷くとシャガルマガラと共にある場所に向かった。

  147. 147 : : 2017/08/28(月) 19:53:49
    レイはシャガルマガラと共に檻に入っていると銃を構えた男2人と白衣を着た女がやって来た。

    「貴方が天古龍人ね」

    「………誰だお前?」

    「失礼、私はこの組織の考古学者兼科学者のフィアナ、貴方の血液を採取しに来たんだけど」

    「あ?俺の血?」

    「ええ、本当に天古龍人かどうか調べるのよ」

    「ぜってーお前なんかに俺の血をやるかよ」

    「あら残念、でもいつかは血液採取出来るとして、貴方に食料を届けに来たんだけど」

    「俺より周りにいるモンスター達に餌をやれ、こんなに痩せてるモンスター達見た事ねぇぞ」

    「大丈夫よ、彼らには2ヶ月に一回餌をあげてるから」

    「に、2ヶ月に一回だと!?」

    「ええ?何か問題でも?」

    「ふざけんなぁぁぁぁぁ!!!!!!」

    レイは檻越しから怒鳴った。

    その声は周囲のモンスター達を凍りつかせる程の圧力があった。

    「お前らは腹一杯メシ食ってるのにこいつらには2ヶ月に一回だと!?誰が決めたんだそのルールは!!」

    「それは教えないわ、まず教える権利は無いわ」

    「てめぇ………!」

    レイは鬼気迫る形相でフィアナを睨んだ。

    「お前らだけは……絶対許さねぇ………!」

    そして銃を構えた男達がレイに銃を向けた……
  148. 148 : : 2017/09/02(土) 09:23:19
    「………………?」

    レイは肩に痛みを感じて目を覚ました。

    そこにはレイを虹翼で守るようにして眠るリーラがいた。

    「いっ……て……」

    レイは痛む肩に触れるとそこには5センチ程の瓶が付いた弾が肩に刺さっていた。

    「くっ……あ……!」

    レイは頭に顔を歪ませながら弾を肩から引き抜いた。

    「……麻酔弾か……」

    レイは怒りを込めて床に麻酔弾を投げ捨てると檻の外に出た。

    ここの檻はモンスターでも簡単に開ける事ができるが、その先の人間がいる部屋には絶対に入れない仕組みになっている。

    辺りにはボルボロスやガララアジャラが大きな寝息を立てて眠っている。

    「……………」

    レイは体のあちこちに鎖や拘束具が付けられたモンスターを見て激しい怒りがこみ上げた。

    「ここの組織だけは許さねぇ………」

    レイは拳をぐっと握ると右手に違和感を感じた。

    「な、何だこれ……?」

    右手には前に見た赤い痣のような物が親指から中指近くまで広がっていたのだ。

    「この色……まるで火竜の重麟……」

    その時レイはあの書物の文書を思い出した。















    竜に転生する事もある。












    天古龍人の書物に書かれていたこの文字を思い出した時、レイは凍りついた。



    「う、嘘だろ………!」

    レイは震える左腕で腰の剥ぎ取り用ナイフを取り出した。

    「こ、こんなの嘘だ………!」

    レイは覚悟を決めて剥ぎ取り用ナイフを右手に突き立てた。


    「いっ………!!」

    だが、レイの意思とは別に右手が剥ぎ取り用ナイフを受け止めていた。

    親指と中指までは痛みを感じないが、残りの指からは赤い血が流れ出ていた。

    「お、俺は竜に転生する運命なのかよ!」

    レイの左手から血に染まった剥ぎ取り用ナイフが滑り落ちる。

    「こ、こんな右手いらねぇ…………!!」

    レイはかつてない絶望に心身ともに呑み込まれた。
  149. 149 : : 2017/09/02(土) 09:25:20
    レイが絶望に呑み込まれた瞬間、極太のミミズのような物がレイの右手にからみついた
  150. 150 : : 2017/09/02(土) 09:26:21
    それは、この組織に捕まった古龍種だが、脱出計画の希望の光とも言える存在だった
  151. 151 : : 2017/09/05(火) 16:11:15
    「黒轟竜が消えた?」

    バルバレの集会所のギルドマスターがセキトに尋ねた。

    「はい、旧砂漠のエリア1から逃げてから忽然と姿を消しました……」

    「ペイントボールはしっかり当てたのだな?」

    「は、はい、グランデさんとマックスさんがしっかり目撃してます」

    「黒轟竜のスピードで旧砂漠から逃げ出す可能性は低いが……とりあえず腕の立つハンターと王立書士隊を送るぞ」

    「はい、それと……本当なんですか、渓流で壊れたクシャナXメイルが見つかったって噂……」

    「……………うむ」

    「やっぱり…………」

    「それとだな……砦から86キロ離れた場所にレイ殿のコウリュウノツガイがあったのだ……」

    「どういう展開で渓流に……?」

    「それはまだ分からない………」

    「クシャナXメイルを破壊するモンスターなんてこの世に存在したら………」

    「………非常事態宣言を出す事になるかもしれん……」

    セキトは七星刀を握りしめた。

    「それと最近世界各地でモンスターが消える事件も増えている……古龍の襲来時と同じ状態だ」

    「分かりました……」

    セキトは集会所を後にしようとした時だった。

    「そういえばセキト殿に頼みがあるのだが」

    「頼みですか?」

    「うむ、渓流に「リオレイア」がいるらしいのだ」

    「リオレイア………」

    セキトは顔をぐっと引き締めた。
  152. 152 : : 2017/09/05(火) 19:58:17
    その頃、レイは宙に浮いていた。

    「もう少し下ろせ……!」

    レイが小声で言うとレイの腰に巻き付いた透明な何かが動き、レイを黒いケースの前に下ろした。

    「…………!」

    レイは音を立てないようにケースを取ると急いで天井の空気ダクトの入り口まで浮き上がった。

    「対大型モンスター用スタンガン……!」

    レイは透明な奴に笑みを浮かべた。

    透明な奴との出会いは、今から3時間前の事だった。













    レイが自傷行為をした時、そこに現れたのは古龍種の霞龍と呼ばれるオオナズチだった。

    オオナズチは血の流れ出るレイの右手に舌を絡ませるとたっぷりと唾液を塗りつけた。

    「うわっ!汚ねぇ………てかオオナズチ!?」

    「静かにしろバカ、うるさい」

    オオナズチは満足そうに舌なめずりをするとレイを見下ろした。

    「お前天古龍人だな」

    「し、知ってるのか!?」

    「血の味だよ」

    「ち、血の味?」

    「ああ、しかもその右手お前竜化してるだろ」

    「お、俺は本当に竜に転生しちまうのか!?」

    「だろうな……そこまで来ると恐らく竜化するぜ」

    「……………」

    レイは赤い痣が出来た右手を睨んだ。

    「それよりお前、俺達はここから逃げる予定なんだけどよ、人間が強過ぎてどうしようもできないんだけどよ……」

    「俺もここを出ないといけないんだよ、こんな所でじっとなんかしてられねぇよ」

    「ならまず武器を奪わねぇと」

    「武器は何があるんだ?俺の紅蓮双刃があれば何とかなるかもしれないけどよ……」

    「とりあえずスタンガンは見つかったんだよ」

    「スタンガンか……使えるかもしれねぇな」

    「案内しようか?」

    「ああ…頼む」

    「お前名前は?」

    「俺はレイ、お前は?」

    「俺はヒットだ、お互いよろしくな」


















    そして、今に至る。
  153. 153 : : 2017/09/05(火) 20:07:16
    レイはスタンガンを手に入れると、ゴミ捨て場で偶然見つけた殺虫剤と、強力な除草剤を手に入れた。

    「これがあればとりあえず武器は作れるな」

    レイはそう言うと水と研磨剤の粉末、そして除草剤を混ぜて素材玉に詰め込んだ。

    殺虫剤はそのまま持っていく事にした。

    「よし、行ってくるぜ」

    レイはそう言うと空気ダクトを進んで行った。
  154. 154 : : 2017/09/05(火) 21:57:21
    レイは空気ダクトを抜けるとそこには3人の銃で武装した男達が扉の前に立っていた。

    「早速こいつの出番だな……」

    レイは素材玉を取り出すとそっと男達に転がした。

    「何だこれは?」

    「前方から転がってきたぞ」

    「俺がいく」

    しかし、扉に隠れたレイが小型スイッチを押した瞬間

    ドバァン!!!

    素材玉が炸裂した。

    中に仕込まれた目潰し液と、殺傷力を上げるために鉄の破片を詰め込んであるため、男達の顔のマスクは一瞬にして破壊された。

    「ぐっああああああああ!!?」

    男達が目を押さえて悶えている間にレイは銃と鍵を手に入れた。













    レイが入ったのは、あのジャギィノスやルドロス達がいる部屋だった。

    「お前ら、早く逃げろ!」

    「あ、あんた確か前に……」

    「いいから早く、ここのダクトを通れば外につながる道だ!!」

    レイがダクトを指差すとジャギィノス達は急いで逃げ出した。

    「よし、あとは……」

    レイが次の扉を開けた

    時だった。












    目の前に巨大な口があった。












    「……………う」

    分厚く巨大な舌と、全てを噛み砕くかのような重牙があった。

    「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

    レイは思わず尻もちをつくと、そこには四肢を浮き輪程の巨大な鎖で繋がれたティガレックス亜種がいた。

    「て、ティガレックス亜種………!」

    「あんた…………誰?」

    「お、俺はレイ、ここの組織を止めるためにここに来たんだ」

    「………そう、あんたにお願いがあるんだけどこの鎖外してくれない?」

    「おう、これ外したら……」

    「あなたは私の胃に収まる事になるけど」

    「え………」

    「私………もうすぐ生まれそうなのよ……卵…」

    「な、何だって……!?」

    レイがティガレックス亜種の腹部を見ると、確かに通常のティガレックス亜種より腹部が膨らんでいる。

    「え、獲物は食ってるか!?」

    「もう半年は食べてない……人間も食べられなかった……」

    「は、半年!?」

    「だからお願い……あなたの右手だけでもいいから食べさせて……ね……?いいでしょう…?」

    「み、右手………!」

    レイは赤い痣の出来た右手を握り締めた。

    「とりあえず待ってろ、今俺が助けるから!」

    「その必要はないわよ」

    振り返るとそこには盾と銃で完璧防護した男達と、フィアナがいた。

    「あなたは元々ここで死ぬ運命なのよ、それは分かるでしょ?」

    「な、何!?」

    「あなたの血は古龍の血並みに希少価値が高いのよ、だから私達はあなたを捕らえたの」

    「て、てめぇら………!」

    レイは両腕に銃を構えた。

    「ここの組織……俺がブッ壊す!!」

    そう言うとレイは銃を四方八方にぶっ放した。
  155. 155 : : 2017/09/06(水) 07:01:09
    その頃、渓流では。

    「………ん?」

    眠っていたシェイドが何かに反応した。

    「何だよ?」

    「何だ今の音、聞こえたか?」

    「あ?」

    「何か発砲音みたいな音だ」

    元々飛竜種の中ではかなり聴力に優れたナルガクルガは些細な音でも聞き逃さなかった。

    「レイじゃねぇのか?」

    「さぁ……とにかく行ってみるか」

    そう言うとシェイドとロイはレイの紅蓮双刃を咥えて音のした方角へと急いだ。
  156. 156 : : 2017/09/06(水) 07:12:04
    「リオレイアか……」

    セキトは渓流のエリア8に来ていた。

    「ここにいるはず……だと思うけど」

    セキトはジャギィに見つからないように石柱の陰に隠れながら辺りを見渡した。

    すると案の定リオレイアが眠っていた。

    「よし……まず頭部に1発、そして後脚……」

    セキトはリオレイアにダメージを与える感覚をおまじないのように言うと七星刀を構えた。

    「よし………」

    その時だった。

    ズドォン!!!

    不意に後ろから何かが落ちてきた。

    「!?」

    振り返るとそこにはナルガクルガとティガレックスがいた。

    「ご、轟竜に迅竜!」

    その時、セキトはナルガクルガの口にあった紅蓮双刃に気が付いた。

    だが、2頭はセキトに気付かず、リオレイアに駆け寄った。

    3頭は唸り声をあげるとエリア8から飛び立った。

    「に、逃げた………?」

    セキトは七星刀を鞘に入れると空を見上げた。

    「レイ……お前まさか………」

    セキトの脳裏に倒れたレイの姿が映った。
  157. 157 : : 2017/09/06(水) 17:19:50
    その頃、レイと組織の銃撃戦が続いていた。

    「ちっ………!」

    レイは壁に隠れて残弾を確認した。残弾は残り2発、敵はまだまだいる。

    「きりがねぇな……」

    レイはポケットから目潰し液を入れた素材玉を投げつけた。

    投げつけると同時に発砲し、見事に素材玉を撃ち抜いた。

    素材玉が炸裂し、前方にいた3人が目を押さえて転げ回る。

    「残りは取っておくか……!」

    レイは対大型モンスター用スタンガンと剥ぎ取り用ナイフを構えて兵士に向かった。












    その頃、レイア達は錆びついた古い扉の前にやってきた。

    「ここって何?」

    「分からねぇ、でも確かにレイみてぇな匂いがする……」

    ロイが扉の隙間から匂いを嗅ぐ。

    「とりあえずぶっ壊すか」

    シェイドの尻尾が扉に振り下ろされた………












    「ぐあっ!!」

    レイは最後の兵士をスタンガンで倒すとフィアナを睨みつけた。

    「これでお前らの計画もおしまいだな」

    「さぁ……それはどうかしらね」

    フィアナが不気味な笑みを浮かべると天井が開いてティガレックス亜種が鎖で繋がれたまま降ろされてきた。

    「お前!」

    「れ、レイぃ………」

    ティガレックス亜種はさらに衰弱し、今にも意識が途絶えそうだった。

    「この黒轟竜の体内にある物、分かってる?」

    「お前……卵を持ったモンスターに半年間も餌をやらねぇなんてふざけんじゃねぇぞ!!」

    「卵?あなた達はそう思ってるのね」

    「何……!?」

    「え………?」

    「この黒轟竜の体内にはね、卵型の強力な爆弾が5つ入っているのよ、元々卵を宿した黒轟竜がどこまで耐えられるかっていう実験材料よ」

    「ば、爆弾だと………!」

    「そ、そんな……私今までずっと卵だと……」

    「だからこの場であなたもティガレックス亜種がどこまで体内の爆発に耐えられるかごらんなさい」

    そう言うとフィアナはスイッチを押した………
  158. 158 : : 2017/09/09(土) 22:23:36
    レイア達が薄暗い通路を走っていると前方からリーラ達がやって来た。

    「し、シャガルマガラ!?」

    「貴方達も逃げた方がいいわよ、ここは恐らくもうすぐ崩壊するわよ!」

    「単刀直入に聞くぞ、ここにレイって奴はいるか?」

    シェイドがリーラに尋ねた。

    「え、ええ、この先で戦ってるわ」

    「行くわよ!」

    レイア達は全速力で通路を走った。


















    ズウンッ……………!















    重々しい爆発音が響いた。

    「ごぶはっ………!」

    黒轟竜の口から血が噴き出した。

    「ティガレックス!!」

    「あら、外部の攻撃には強いのに体内の攻撃には弱いのね」

    フィアナが笑顔で黒轟竜を見つめた。

    「お前………!」

    「怒っても無駄よ?私には勝てないわ」

    「それはやってみねぇと分からねぇよ」

    するとレイの右手の痣が右手に広がり、揺らめく炎のような模様が浮かびあがった。

    「へぇ………黒炎王の血ね……」

    フィアナが呟くとフィアナの右腕と左足が白い鱗に包まれ、冷気を放った。

    「私も一応天古龍人、その中の氷牙竜の血を引く者よ」

    「氷牙竜………ベリオロスか」

    「正解、でもあなたは珍しい2つ名モンスターの黒炎王リオレウスのDNAみたいね」

    「んな事興味ねぇ、俺はお前をブッ潰す」

    「へぇ……倒せるなら倒してごらんなさい」

    そう言うとフィアナは腕組みをしてレイを睨んだ。

    「ノーガードか、ナメやがって………」

    そういうとレイはフィアナに向かった。






  159. 159 : : 2017/09/21(木) 21:05:36
    セキトは渓流のエリア4で七星刀を研いでいた。

    「…………」

    研ぎ終わるとセキトは曇った空を見上げた。

    「どうすればいいんだろう………」

    セキトは最近の狩りで集中力を保つ事が困難になっており、前のドスバギィ狩りでは倒されかけたらしい。

    「このままじゃレイに会う前に僕が死んじゃうかもしれないのに………」

    遠くから雷鳴も聞こえてくる。今夜は嵐になるだろう。

    「今日は少し収穫はあったな……」

    セキトが立ち上がった時だった。















    グォォォォォォォォォォーーーー!!!!













    突然何かが突進してきた。

    「な、何だ!?」

    セキトが身構えるとそこにはボルボロスがいた。

    「ぼ、ボルボロス!?」

    だが、ボルボロスはセキトに目もくれずに通り過ぎた。

    「え………」

    さらにボルボロスの後からロアルドロス、ガララアジャラまでやって来た。

    「ど、どうなってるんだ!?」

    見ると逃げて来たモンスター達は西の方角から来ている。

    「な、何があるんだ……!?」

    セキトは急いで西の方角へと向かった。
  160. 160 : : 2017/09/21(木) 21:31:53
    「ちっ………!」

    レイは凍った右腕を睨んだ。

    「同じ天古龍人でもこんなに実力差があるのね」

    「こんな腕くらいどうでもいい……!」

    「本当にいいのかしら?長い間凍ったままだと組織が壊死して切断が必要になるわ、ハンターは続けられなくなるわよ」

    「ハンターを………続けられない……」

    レイは凍った右腕を見つめた。

    「あなたって馬鹿ね」

    フィアナは冷気を纏った拳をレイの腹に打ち込んだ。

    「ぐぅっあ……!」

    レイは天井に激突し、床に叩きつけられた。

    「別にあなたがここを破壊しても構わないわ、でもあなたは天古龍人、生かして帰す訳にはいかないわ」

    「げほっ……お前なんかに殺されて……たまるかぁ!!」

    「大丈夫よ、すぐに楽にさせてあげるから」

    そう言うとフィアナの両腕に鋭い棘が生える。

    「少し痛いから我慢してね」

    そう言うとフィアナはレイの脇腹に棘を突き立てた。

    「がああっ………!」

    レイの脇腹から血が噴き出し、フィアナの白衣に血が点々と付いた。

    「あら、天古龍人の血が……」

    その時だった。












    「レイぃぃぃぃぃぃ!!」

    鉄製の扉が破られた。

    そこに現れたのは、レイア達だった。

    「レイ!大丈夫!?」

    「な、何とか……」

    レイは歯を食いしばりながら起き上がった。

    「動かないで、血を……」

    レイアはレイの脇腹から出る血を舐め取るが、血はなかなか止まらない。

    「ろ、ロイ、俺の紅蓮双刃はあるか?」

    「お、おう、俺の尻尾の袋に入ってる」

    レイは麻袋を開けるとそこには煌めく刃の紅蓮双刃があった。

    「本来武器は人間には使わないが……お前は別だ」

    レイは紅蓮双刃を握り締めると身構えた。

    「へぇ………ラオシャンロンの双剣ね…」

    「紅蓮双刃の最初の獲物は……お前だ」

    紅蓮双刃の龍炎模様が揺らめいた。
  161. 161 : : 2017/10/21(土) 11:33:31
    「オラァァァァァァァァ!!!」

    レイがフィアナに突っ込むとフィアナは冷気を凝縮させて氷の太刀を作り出した。

    「はぁ!」

    フィアナが太刀を振り下ろすがレイはその軌道を完璧に見切っていた。

    飛ぶと共に錐揉み回転をしながらフィアナの太刀に紅蓮双刃の連撃を叩き込んだ。

    たが、万年氷とほぼ同じ硬度の太刀は中々破壊できない。

    「ふっ…!」

    フィアナは太刀の峰の部分でレイの脇腹の傷を抉った。

    「うがぁぁぁ!!」

    レイは歯をくいしばり、紅蓮双刃を思いっきり振り下ろした。その時、未だかつてない程龍炎模様が揺らめいた。

    バキィィィィィン………!

    フィアナの太刀が根元から完璧に切断された。

    「うぉっ!?」

    レイもバック転でフィアナから距離を取る。

    「な、何て切れ味だ……!」

    これは扱いが難しい

    レイは心の中で呟いた。

    「そ、そんな……!?」

    レイは紅蓮双刃を床に置くと拳を握りしめた。

    するとスチームのような熱が腕から放出された。

    凍りついたレイの右腕は一瞬で解凍され、炎がレイの右腕に絡みついていた。

    「お前らの組織の計画はよぉく分かった……だから俺はお前をここで殺す……」

    これ以上モンスターを苦しませない為に………

    爆炎を纏ったレイの拳がフィアナの腹部を貫いた。














    数日後、レイは内臓組織を爆破されて絶命したティガレックス亜種の亡骸を埋めた墓に花を供えた。

    その周りには沢山の花が供えられており、レイがフィアナを倒してからセキトがハンターズギルドへと連絡し、沢山のモンスターを助けたという。

    しかし、その組織の地下には身体を改造されたり内臓を入れ替えられたりと実験に利用されたモンスター達の死骸が大量に見つかったそうだ。

    「苦しかっただろ………ゆっくり休めよ……」

    レイは花を供えて墓を後にした時だった。

    崖の上に何かがいた。

    「…………?」

    目を凝らすとどこかで見たような覚えがある影が崖の上にいる。

    「……………………!!」

    それは、ティガレックス亜種の死体を解剖した時に偶然見つかった卵を保護し、孵化させて自然に返した個体だった。

    まだまだ体長は見た限りで2メートルくらいだが、力強い四肢と眼光は死んだティガレックス亜種とそっくりだった。

    「グォォォォォォォォォーーーーー!!!!」

    ティガレックス亜種が吼えた。

    180メートル近く離れているが、レイは思わず耳を塞いだ。

    「お前の死は無駄にならなかったみたいだぜ……」
    レイはティガレックス亜種の墓を見た。

    ティガレックス亜種の大咆哮は、渓流の隅々まで轟き、ようやく生態系のバランスが元に戻った事を知らせていた。

    レイは静かにその場を後にした。

    ティガレックス亜種が吼えたその空は美しい夕日が渓流を照らしていた………
  162. 162 : : 2017/10/21(土) 11:49:56
    12章・消された絆
  163. 163 : : 2017/10/22(日) 10:56:08
    レイは壊れたクシャナXメイルを修理するためにドンドルマに来ていた。

    「こいつを直すにはかなり時間がかかるぜ?大丈夫なのか?」

    「一応予備の銀火竜の装備があるからそれを使うから心配ない」

    「そうか、まぁ出来るだけ早く直してやるからよ」

    「悪いな」

    レイはそういうと久々に自宅へと帰った。





    自宅はレイア達がいた洞窟とは違い、落ち着く空気が流れていた。

    「……………」

    レイは紅蓮双刃を見つめた

    重く、更に切れ味が極めて高い、これ程扱いが難しい双剣は初めてだった。

    「こいつを使いこなすには相当な鍛錬がいるよな………」

    レイはしばらくの間紅蓮双刃は使わない事にした。

    「そうだな…………」

    レイは「凍刻みブリザレイド」を取り出した。氷牙竜ベリオロスの素材を使った双剣で、片方はベリオロスの牙を表し、もう片方はギロチンのような刃になっている。

    「ちっ………フィアナって考えると使いたくねぇな……」

    レイは渋々ブリザレイドを置くとS・ソルZシリーズを装備した。

    銀火竜リオレウス希少種の更に危険度が高いG級の素材を使った装備で、鋼より硬い厚麟と重殻をベースとした龍属性に極めて強い防具だ。

    「よし、これで……」

    レイが立ち上がった時だった。

    「…………ん?」

    机の下に何かがある。

    「何だこりゃ……?」

    引っ張り出すとそれは埃を被っているが、黒いケースだった。

    「随分古いな………」

    ケースを開けようとするが、錆びついているのか開かない。

    「まぁどうせガラクタだろうけどな」

    レイは気にせずに外に出た。

    だが、この中にはある武器が収められていた。












    レイがドンドルマの商店街で買い物をしていた時だった。

    「おーい、レイ!」

    聞き覚えのある声がした。

    「……………!」

    レイが振り返った時だった。

    「うっ………!?」

    セキトの目の前にブリザレイドが突きつけられていた。

    「は……?」

    レイは慌ててブリザレイドを引っ込めた。

    「あ、危ないよ!?」

    「わ、悪りぃ……」

    無意識のうちにブリザレイドを構えていた右手をレイは睨んだ。

    「レイ……目が変わったね」

    「え?」

    「前は普通の目だったのに今は赤いんだね」

    「………………」

    レイは下を向いた。

    「とりあえず集会所行こうよ」

    セキトに促されレイは集会所へと向かった。

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