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艦長が愛した艦娘

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  1. 1 : : 2016/11/15(火) 22:24:31
    次の注意点に留意してお読みください。

    ・秋月の話し方が違う可能性があります。教えていただけるとすぐに修正できます。
    ・艦娘への独自理解の応用
    ・現代護衛艦の戦闘描写の薄さ
    ・主人公の会話と心境を見分けてください。

    では、どうぞ。
  2. 2 : : 2016/11/15(火) 22:25:19
    プロローグ「もう一つの過去」
  3. 3 : : 2016/11/15(火) 22:25:30




    1944年、10月25日…エンガノ岬沖で秋月型駆逐艦1番艦「秋月」はその艦生を、終えなかった。

    これはそんな世界線の一人の海軍大佐と一人の艦娘のお話。






    暖かく潮の良い香りのする風が頭の上を流れていく。

    航海艦橋の上、防空艦橋の双眼鏡の下に腰を降ろし、日光を浴びていた。

    「艦…長、巻貝艦長!」

    何だ秋月?

    「昼食の時間です。」

    そうか。

    僕に昼飯を伝えてくれた、本来戦闘艦には存在しないはずの女子。
    彼女は艦の魂を司る、少女…艦娘である。
    帝国海軍所属艦艇(軍艦ではない)には艦内神社があり、それを守る巫女のような役割も果たしている。
    その巫女でもある艦娘を守るのが、帝国海軍軍人の誇りである。

    「お昼は、漁師の方々の差し入れの刺身ですよ!」

    そうか、それは楽しみだな。



    1944年、10月26日…やけに日が暖かく…敵の侵攻もない、穏やかな日だった。






    1945年、8月15日…日本海

    艦橋の無線からは、陛下のお言葉が流れてきている。

    身が入らない。

    負けることは何と無く理解していた。

    こちらは一度も敵本土に爆弾を落としたことがないのに、敵は帝都を焼いた。

    隣では秋月が泣いている。

    それもそうだ。

    姉妹を、失ったのだから。

    誰も声をかけなかった。



    その日、空を見上げると、日本海を覆うように、無数の星たちが命のように輝いていた。
  4. 4 : : 2016/11/16(水) 06:51:51




    8月16日、0500…日本海、北海道の北西

    起床ラッパが吹かれ、慌ただしい朝の始まりと共に、基地の大湊から帰投セヨとの電文あり、

    秋月は部屋に閉じこもり、出てこない。

    部屋の前にいく。

    なぁ、秋月…調子はどうか?

    こんなの励ましにすらならないだろう。

    「ちょっと気分が悪いです。」

    そうか。大湊に帰るからな、海軍ばぁちゃんに会えるぞ。

    「はい…」

  5. 5 : : 2016/11/16(水) 09:47:59


    8月18日、大湊市郊外の丘の上…

    「ほわぁ…大きなお家ですね?」

    まぁ、実家じゃないけどね。

    「へ?」

    父方の伯父の家だよ。

    「そうなんですか。」

    警備府にいるよりかは退屈しないだろうし、照月もちょうど帰省しにくるらしいからね。

    「照月が?」

    うん。伯父さんが預かることにしたみたいで。

    「そうなんですか。良かったぁ…」

    あと、伯父さんに聞いた限り…新月以外の艦娘は海軍関係者が預かってるみたいだよ。

    「本当ですか!」

    そう言って乗り出してくる秋月を抑え肯定する。

    ほら、行儀悪いよ。

    「ごめんなさい…」

    シュンとしてしまったので、軽く頭を撫でる。

    アワワと言葉にできないほどに焦っている。

    秋月は可愛いなぁ。

    「か、可愛い⁈そ、そんな…」

    縁側でくつろぐ二人を、もう戦争中ではない空と海が、見ていた。




  6. 6 : : 2016/11/16(水) 17:18:42





    1945年、12月8日…旧呉鎮守府沖


    復員、要するに戦後の戦地からの撤退である。

    その復員に、この秋月も鳳翔の支援として参加していた。

    「艦長!出港の時間ですよ!」

    分かったよ秋月、行こう。



    空を見上げると、薄黒い雲が包み込んでいて、ポツポツと雨粒が落ちてきていた。




    12月9日、太平洋沖

    小さな艦は、嵐の大波の前に翻弄されていた。

    鳳翔の艦影は?

    「嵐に入る前は、視認していたのですが…」

    岩礁には気をつけろよ。

    「艦長!前方に岩礁発見!避けられません!」

    言ったそばから!

    取り舵いっぱぁーい!機関後進いっぱぁい!



    ……ズドーン!…パリーン!

    衝突し、窓ガラスが割れる。

    ズドーン!

    また今度は機関部に衝突したのだろうか。火災が起きた。

    ダメコン急げ!

    「艦長!秋月がっ!」

    何だって⁈

    急いで割れた窓に近づき真っ黒な海を見ると、

    今にも溺れそうな秋月がいた。

    無意識だった。

    昔、兄弟を失った時の記憶が蘇ったのだろうか…

    とっさに浮き輪を持って、嵐の中の海に飛び込んでいた。

    秋月!秋月!秋月!

    手が…届いた瞬間…




  7. 10 : : 2016/11/19(土) 22:38:01
    第一話
  8. 11 : : 2016/11/19(土) 22:38:22





    雲の無い空、終わりの見えぬ広い海…水平線まで続く二色の青は、

    まるでこちらを食べてしまうかのような風景だった。



    海…私の家族が代々戦ってきた場所。

    血縁の男たち、女たちが散った場所。





    私の家族を…飲み込んだ場所。




    第一話「巻貝双海は彼を理解できない。」







    はぁ…ため息一つ、








    はぁぁ…ため息二つ、








    最近ため息をつくことが多くなった気がすると思う。

    もう、若くないからだろう。

    そもそも軍人になったのがいけなかったのだろうか。

    いや、家系が軍の家系だし…と自分に言い訳する。

    母の一海もこんな思いをしていたのだろうか…

    突然だが、私の家系は代々軍人だ。ひいおじぃさま、照子おばぁさま、母の一海、そして私、双海が代々軍の要職についてきた。

    この私もこの若さながら海軍大学を首席で卒業し、今では第五航空戦隊の司令をつとめている。

    親戚は一人を除けば全員司令官レベルの高官を経験している。

    良い血筋なのだろう。

    「司令、もう間も無く…復員艦遭難事故の現場です。」

    分かったわ。



    私には理解できない人がいる。

    巻貝ハジメだ。私から見て母方の大叔父にあたる。軍学校を首席で卒業したが砲術は全くと言っていいほど真面目に受けず、逆に魚雷さえあればいいと教官に言ったほどである。そして、水雷屋として頭角を表し、秋月の水雷長となる。何故、防空駆逐艦の水雷長になったのか…これは、簡単。上層部に嫌われていたり、他の名家の息子に毛嫌いされていたりととにかく才能を憎まれていたからだ。その後、秋月の艦娘付の護衛官になり、秋月と親密な関係を築く。
    そして、彼に転機が訪れる。それは、空襲である。初の実戦で敵の空襲に遭い、秋月が艦隊からはぐれてしまったのだ。彼はこれを機に砲術(対空)に初めて真面目に取り組むことにしたそうだ。

    そして、1944年10月15日…艦長急死により彼は艦長となる。

    翌年の12月、復員作業のため出港後嵐に遭い、艦娘を助けるため海に飛び込み死亡。

    そんな彼は、日記を遺している。


    その内容が、理解できないのだ。


    ある日は、戦後の日本を考え

    ある日は、個人を妬む内容を書き


    いわば、一個人としての日記なのである。

    だが、宇垣纒中将の書いた戦藻録のような詳細な作戦の感想なども書かれていた。

    軍務日記とも言える内容の中に私生活を書いている。

    まぁ、おかしくないと言えばおかしくないのだが…

    「司令!前方に遭難者確認しました。」

    ん?







    ………………………………………









    目が覚める。

    必死に掴んだ彼女の手の感覚がない。

    また…失った。
















    嵐は…過ぎていた。


  9. 14 : : 2016/11/21(月) 18:58:52
    第二話 「夢は覚めるもの」
  10. 15 : : 2016/11/21(月) 18:59:39





    何カ…夢ヲ見テイタ気ガスル。




    ソレハ愛オシイ誰カノ夢…




    愛シテクレタ…




    ある人の夢。






    第二話 「夢は覚めるもの」




    何か…夢を見ていたと思う。




    あの日繋がったはずの手が、



    目を覚ました時、




    すぐ近くにあるんじゃないかという夢だ。




    夢は覚める。




    夢は…



    現実になれない。
  11. 16 : : 2016/11/21(月) 19:18:07










    ここ…どこだ?



    医務室と思われる清潔な寝台と室内

    海特有の揺れ

    そして、棚に置かれた気付け薬という名のウイスキー



    艦艇の中ということは理解できた。



    しかし…これは、どういう状況だ?

    ついさっきまで嵐の中だったというのに、丸窓の外は明るい。


    「あら、目覚めたの?」


    ガタッ


    「そんなに、警戒しないでくださらない?」

    思わず側に置いてあった私物の短刀を握っていた。

    秋月艦長、巻貝ハジメだ。貴様は何者だ?米国の作業服らしきものを着ているようだが。

    「私?私は日本海軍第五航空戦隊司令、巻貝双海よ。」

    女、何故海軍にいるのだ?そもそも、日本海軍とは何だ?

    「私は巻貝照子の孫、そんでもって、日本海軍ってのは今の帝国海軍ね。」

    照月の…孫?じゃあ、今は昭和何年だ?

    「昭和?今は太和よ。」

    たいわ?

    「太く長い平和からとって太和よ」

    では、何故軍が存在している?
    僕の見込みでは、戦後は自衛組織のみになると思っていたが。

    「元々、自衛隊って組織だったのよね。でも、彼奴らが現れてから変わったのよ。」
  12. 17 : : 2016/11/21(月) 19:34:28

    奴等?

    「深海棲艦ってやつよ。」

    何だそれは?

    「まぁ、簡単に言えば…敵となった艦娘…になるわね。」

    敵となった…艦娘。

    思わず復唱する。

    まさか、秋月も…敵となってしまったのか…

    秋月は…一体どこに行ったんだ?

    「秋月は?って考えているでしょう?」

    そうだが。

    「あなたは1945年の12月に、秋月こと巻貝秋子を助けるために海を飛び込んで死亡したとされているからね。」

    どうしてこんな時間旅行をしてしまったのか、ということを知りたいとおもった。

    そういえば、君は照月の孫…何だよな、どこか似ている気がする。

    「そう?」

    あぁ、髪型を合わせたらそっくりだ。

    「そうなのね。じゃ、気分が優れたら艦橋まできて頂戴。」

    いいのか?監視もつけずに。

    「監視はつけるわよ。瑞鶴?よろしくね。」

    一人の銀髪の少女が入ってきた。

    瑞…鶴?

    「えっと…艦娘としてはお久しぶりかな?秋月の艦長さん。」


  13. 19 : : 2016/11/27(日) 20:33:55
    第三話
  14. 23 : : 2016/11/29(火) 19:57:01
    よん





    海…に飛び込み、時代を超えてから1日経ち、呉鎮守府に着いた。



    実に72年ぶりの帰還…2017年、12月10日のよく晴れた空の下だった。





    第三話 「72年後の帰還」





    「微速後進、バウスラスターよし、接触クッション展開!」

    「ヨーソロー」

    バウスラスター、小さなフィンか…すごい安定性だ。

    「どう、こんなもの初めてでしょう?」

    自室の資料で見たがあんな小さなプロペラで艦をスライド運動させるとはすごいものだな。

    「そうでしょう?でも、あなたがこんなに早く慣れるとは思わなかったわ。」

    それは、あまり物事を考えない人間だと思われているのか?

    「いいえ…こんなにも聡明な人間が何であんなに人間関係が苦手なのかと思ってね。」

    これでも君よりかは年上だと思うが…

    「嘘ね、私はもう三十路だもの。」

    まさか、こっちは丁度100歳だぞ。

    「それで、陸に上がったらどうするの?」

    とりあえず、大湊に帰る。それしかない。

    「奇遇ね、私も大湊に行くのよ。同行させてもらうわ。」

    監視の手も省けるから…か。

    「そうよ。それに、お金も持ってないだろうし。」

    そうだった…そりゃ金銭も変わるよなぁ。

    「新幹線も知らないでしょう?」

    しんかんせん?

    「高速電気鉄道の事よ、時速300キロで日本を縦断するように引かれているのよ。」

    零戦並みの早さじゃないか。

    「空は飛ばないわよ…」

    亜細亜号の進化系みたいなものか?

    ※亜細亜号とは旧満鉄の高速鉄道の事です…多分。

    「そう思ってくれるといいわ。」

    しかし、こうしてみると山や海は変わらないな。街並みも、形が変わってるだけで作りは同じだ。

    「大湊のあの丘の周りにもこんな景色は広がっているわよ。」

    草っ原だったぞ。

    「今は違うのよ。」




    空と海…そして、街並みと山…船は陸と繋がった。




    第一部 完

























    ………………………………………



    はい、どうも作者です。

    ここまでお読みいただきありがとうございます。

    本作、提督が愛した艦娘の第一部はいかがでしたか?

    普段の作者の小説をお読みになっている方は作風の違いに驚かれたかもしれません。

    シリアスっぽい?ものです、こいつぁ。

    基本ギャグ系書いてます。ヤムチャしやがって…



    本作は何個かのルールを入れて書きました。

    ・主人公とヒロインは既に結婚済みを念頭におく。
    ・シリアスの練習
    ・時間をしっかりと分ける。(主にプロローグ)
    ・登場キャラを少なめに(ハジメ、秋月、双海の三人を基本とする。)
    ・SSになるように小さな話に分けて投稿する。

    この五つです。

    今作は今までよりも設定を少なくして話に幅を持たせてみました。

    何箇所からも全く別の展開に分岐できるような話にしています。


    この作品はたくさんのユニークアクセス、お気に入りのおかげで進んでいます。

    どうぞお気軽にコメントしてください。

    第二部では敵となった秋月がハジメと相対します。

    第二部の前にはハジメと双海の里帰りを番外として描く予定です。

    また、こんなシーンから別の展開を書いて欲しいとか別のキャラでシリアスを書いて欲しいなんて言ってもらえると喜んで書きます。

    感想、いいよ…こいよ!

    …ごめんなさい、ふざけました。






    これからも、どうぞ[試験作]提督が愛した艦娘を楽しみにしてください!

    護衛艦あおば、2016 11/29
  15. 24 : : 2016/12/02(金) 19:53:05
    第四話
  16. 25 : : 2016/12/02(金) 19:53:12






    四角い窓の外では流れるように街並みや山が動いて行く。



    「で、あなたは先代の瑞鶴に何したの?」
















    …せっぷん…した…

    「聞こえないわよ?」



    …接吻!


    したんだ…




  17. 26 : : 2016/12/02(金) 19:53:39
    第四話「初キスは瑞鶴」
  18. 27 : : 2016/12/02(金) 20:02:29











    「エェーッ⁈」

    うるさいぞ…

    「な、な、な、何がどうしてそうなったのよっ⁈」

    周りの客が此方を見ているが、話は続く。

    「あんなに日記に秋月への愛を書くような男が…瑞鶴にキス⁈…信じらんない。」

    けど、あれは事故だった…瑞鶴もそう言ってたと思うぞ。

    「でも、接吻したのよね?」

    …したな。

    「それ以上先は?」

    スッ…(目逸らし)

    「あったのね?」

    なかったぞ…想像するような事は…
  19. 28 : : 2016/12/02(金) 20:17:29
    「詳しく話して頂戴?」



    …そうだな…あれは去年の11月頃の話だ。その日は四日前と同じように、嵐がくるような空だった。至急に旗艦の瑞鶴に艦長が集まり、会議をしていた。すると、嵐が予定よりも早く来て、艦に帰れなくなったんだ…艦は既に外海に出ていたから揺れもひどかった。それこそ、あのフィンもないからな。そして、その日の夜…士官の食堂にくるようにと瑞鶴に呼ばれたんだ。その前に、長官たちと酒を飲んでいて、かなり酔っていたし、気もおかしくなってたんだと思う。士官の食堂に着くと、まだ瑞鶴がいなかったもんだから少し眠ろうとしたんだ。

    瑞鶴は少し遅れて来たらしい。

    瑞鶴が、寝ている僕の顔を近くで見ようとして近づいた時…丁度目覚めたんだ…

    「そこで、ブチューと言った訳か…」

    そうだ…

    「で、その後は?」

    本人から聞いてくれ…勘弁してくれ…

    「なんでよ?」

    秋子と結婚した後、毎回この話を出汁にしてやられるんだ…

    「秋月ってそんな子だったんだ…」

    酒を飲むと一変するんだあいつは…
  20. 29 : : 2016/12/02(金) 20:27:59







    「照子おばぁさまってどんな人だったのかしら?」

    照月か…そうだな…妹を思い出すような奴だったな。照月は生きているのか?

    「えぇ、元気よ…今は…ね。」

    病気か?

    「えぇ、肝臓癌よ…」

    肝臓がん、肝臓の病気なのか。

    「転移もしてるって聞いてるし、状態は良くないわ…」

    会えるのか?

    「一応、面会は出来るわ…」

    そうかぁ…照月と会うのも久しぶりだなぁ…2ヶ月ぶりくらいか…




    青森駅に着いた…

    シン…シン…

    お、雪だな!

    「本当!パウダースノーね…」

    幾つになっても…雪は嬉しいもんだな…

    「そうね…寒いけど…」
  21. 30 : : 2016/12/02(金) 21:14:29




    大湊のあの丘の麓につく頃には…あたり一面の雪景色で…丘の周りには街並みが広がり…







    海は変わらない風景だった。





    2017年12月16日…粉雪の下で…




    第四話「接吻は瑞鶴と」 完
  22. 31 : : 2016/12/03(土) 19:53:29






    寒い…そう感じ、寝付けなくなったので思い出の縁側に出る。

    上にはドテラを着込み、足袋も履いた。

    今日はやけに冷えるな…

    「あら?」

    双海がやってくる。

    何だ?

    「まぁまぁ、今日はありがとうね…まさか口説かれるとは思わなかったわ…」




    第五話「接吻は双海と」




    君が、可愛らしいからじゃないか?

    「なに?あなたも?」

    そういうわけじゃない。

    「でも、あなたのブルゾン姿、似合ってたわよ。」

    世辞はいらん。洋服は嫌いなんだがな…

    「でも、外套とか着るでしょう?帝国海軍って。」

    傘は差してはいけないがな。

    「あら、今もよ。」

    そうなのか…あの規則も変なものだがな…

    「それは、一人間としての言葉として受け取っていいのかしら?」

    もちろん、この家に帰って来てからは自由だからね…だからな。

    「あら、わざわざ言い直さなくても良いのに…そんなに他人に素を見せるのがキライ?」

    君は親戚だろう、他人じゃない。

    「言葉遣いは戻すのね…でも、」

    一気に顔が近づいてくる、照月…じゃなかった…双海が、まるで秋月のように此方に手を乗せ、瞳を離さなかった…

  23. 32 : : 2016/12/03(土) 20:19:55
    「私とあなたは血が繋がっていないのよ…ここで、あなたの唇を楽しんでも、嫉妬する子もいないのよ…」

    …秋月は…この世界に…いる…ぜった…

    …唇を塞がれた。

    舌が入ってきた。

    脳内が真っ白になるような感覚だ。

    1秒、2秒…1分、2分…1時間…まるで何時間も息をしていないような感触がする。

    「ぷはぁっ…」

    お互いに白い息を吐き出し、顔を真っ赤に染める双海を見て、顔が熱くなる。

    秋子に怒られるな…

    「別の女の話をしないで頂戴?」



    「んちゅっ⁈」

    言葉ではなく、もう一度の接吻で返す。






    「私はね、あなたに憧れを持っていたの…


    艦娘に愛され、艦娘を愛し…


    乗組員を戦後まで生き残させるための努力。

    あなたの日記を読んで、いつも思っていたわ、こんな人に会えたらどれだけ物を学べるのだろうかってね。

  24. 33 : : 2016/12/03(土) 20:26:48






    まさか、浮気をするような下衆だったとはね…」

    君が誘ったんだろう?

    「でも、罪悪感は感じているのね?辛そうな顔なんかしちゃって…こっちが悪く感じちゃうわ…」





    白い月の灯りが彼女の真っ赤な肌を照らし、冷気が熱くなった顔を冷ましてくれる。





    12月11日未明…雲のない月明かりの下の雪の風景の前で。

  25. 34 : : 2016/12/10(土) 19:55:46
    第六話
  26. 35 : : 2016/12/10(土) 19:55:53








    帝都…東京、雪が降り積もり、建物の壁の白と雪の白のコントラストが美しい。





    第六話「帝都の雪景色の先で」





    「寒いわね…肌が痛いわ。」

    なんだ?これぐらいで寒いのか…軟弱だな。

    「こっちは地球が温暖化してるのよ。」

    それに、君の選んでくれたこの外套も暖かいしな。

    「なに?デレ?ツンデレ?」

    ツンデレとは何だ?

    「はぁ…何にも知らないのね。そこは世界の修正力で知ってて欲しいわ。」

    また、わからない単語が出てきた。

    未だになれない…。








    海軍省…忌々しい糞ジジィどもが居たあの巣窟は煉瓦造りだった見た目から、白壁の大きな摩天楼になっていた。

    中に入ると、暖かく…眠くなってくる。

    この暖かさはトラックの暑さとは違い、呉に居た頃の防空指揮所で昼寝をして居た時の物に近い。

    「ここが私の直属の上司、航空艦隊司令長官のいる部屋よ。」

    さて、どんな糞爺が出てくるか…

    「巻貝双海少将、重要参考人を連れ、帰還しました。」
  27. 36 : : 2016/12/10(土) 20:16:04
    「おかえりぃ…遅かったねぇ?」

    やけに間延びした口調に、部屋の真ん中に置かれたコタツ、そして、どう見ても仕事中とは思えない服装…










    また…女?








    ………………………




    「いやぁ…まさかのまさかだねぇ…双海ちゃんがこんないい男の人を引っ掛けてくるなんてぇ…」

    「そういうのじゃないわ…」

    そうだ、そもそも僕はいい男じゃない。

    「まぁたまぁた〜」





    なぁ、双海…こいつ斬っていいか…?

    「あら、奇遇ね…私も久しぶりにこの9ミリ拳銃で的を撃ちたいと思ってたのよ…」

    「アワワワ⁈…待って!タンマ、タンマ!」

    何か言い残すことは?

    「多恵子…悔い改めて…」


    「アワ…ワワワ…」




    ……………





    「はぁぁ…二人とも目が本気だったよぉ…双海ちゃんのぉ…バカぁ」

    この目の前で泣き言を吐いている見た目少女の双海の先輩が、あの闘将山口多聞の曽孫だとは誰が思おうか…


    「えっとぉ…紹介が遅れました、日本海軍航空艦隊司令長官、山口多恵子大将ですぅ。」

    何かシマリ聞いてなさそうな口調だ、兵学校なら精神注入棒の1本や2本なくなりそうな段階だ。

    締まりないな。

    「エヘヘへー?」

    何で笑っているのに疑問に感じているんだ…

    「それでぇ、双海ちゃんの大叔父様が、この巻貝ハジメさんってことでいいの?」

    「そうよ。」
  28. 37 : : 2016/12/13(火) 20:03:03
    艦長が愛した艦娘その八








    マタ…ダ…マタアノ人ハナニカシテイル…




    私ヲ…ワタシヲ…ワァタシィヲヲヲッ!




    ハァ、ダメダ…コノママ会エナイノダロウカ、夢ナラ必ズアエルノニ…




    ァァァ…ハジメサン…アイタい…アイたい…




    アッ…いたい…




    会いたい…












    第七話「呉市街の夜」





    「はぁぁ…着いたわね、家に。」

    そう言って白い息を吹きながら大きな一軒家を見上げる双海。



    …まさか、盗みに入るのか?



    「まっさか!ここは私の家よ!」

    そんなところに男を連れ込んでいいのか?

    「いいのよ、あなたがそんな奴じゃない…のか?」

    そこは迷いなく言って欲しかったな。

    「だって、あんな風にファーストキス盗られるなんて思わなかったじゃない?」



    「…何よ?」

    スッ

    顔を近づける。

    「…」

    目を閉じ、此方に顔を寄せる双海のデコを狙って指を曲げ…






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ddh196aoba

護衛艦あおば

@ddh196aoba

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