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  1. 1 : : 2016/09/15(木) 06:33:50





             ~まえがき的ななにか~







    ―はい、お久しぶりです。今日も今日とて下らない駄文量産に
    人生を削って喜ぶ超絶駄目人間こと夢馬です。




    前回書かせていただいたガルパンがとても新鮮で面白かった上、
    あちらで書けなかった分のキャラも書きたい衝動に駆られた為、
    またまたこうして未完を押しのけて書きはじめてしまいました。


    まあ、趣味ですから仕方ないですね。



    時系列は一応私の中では前回のお話より前、、
    という事にしてありますが、まあそんな設定は最早
    あってないようなものであります。










               ※簡易注意事項※





    ・『劇場版ガールズ&パンツァー』

              及び

     『ガールズ&パンツァー(テレビ放映分全話)』からのSSです。
     ・・・なので当然ネタバレ注意です。

     少しドラマCDなどのネタもあるかもしれませんが、そちらは
     そんなに気にならないレベルでしょう。


     




    ・出来るだけキャラ崩壊など無き様にしたいのですが
     多分というか絶対無理でしょう。  仕方ないね(諦)。





    ・性的描写。。。と呼べるまでのものは無い予定です。




    ・上記より、、仮にあったとしても知っての通り登場人物は
     (一部除き)花も恥らう乙女達しかいませんので
     つまり“そういうもの”にしかならないでしょう。

     ・・・という訳で、『うら若き女性同士があまり接近しすぎる描写は
     生理的にちょっと』・・・という感性をお持ちの方は
     申し訳ありませんが、全車撤退(ブラウザバック)を推奨します。


     ・・・まあ、今回は極めて健全に行きたいところ。




    ・肝心なお話のジャンルですが・・・今回特に誰が中心とか無い気がします。
     進撃同様に、ガールズ&パンツァーは非常に魅力的なキャラが、しかも
     沢山存在するため、とても誰か一人だけにスポットを...

     というのが難しいんですよね(;゚Д゚)





    ・お話の設定など、細かい部分はきっと熟慮できていませんので
     矛盾点、台詞について回るもろもろの違和感等は何卒ご容赦下さい。

     特に互いの呼称などはかなりおおざっぱにやっているので
     大目に見ていただかなければ見るに耐えないかと、、、









    ・幼稚なクセにイヤに文字が長ったらしいので読んでてすンごく
     疲れると思います。

    (・・・が、お話自体は物凄く短く終わらせると思います)










             ※頂いたレスについて※

    書き込みは可能ですし、万一何かお言葉を頂ければそれは
    どの様な方向性にしろ有難くレスを返させて頂いた上で
    一定時間経過後、非表示に切り替えると思いますが、そこは
    ご容赦の程をm(__)m



    何かありましたら下記の各種グループ掲示板も是非ご活用くださいませ。
    申請等はなくても利用できる仕様です。↓


    http://www.ssnote.net/groups/541





  2. 2 : : 2016/09/15(木) 06:37:49












         ―黒森峰女学園保有学園艦内・第一格納庫隣―








    先なる大洗女学園の存続をかけた一戦。即ち
    対大学選抜チーム戦の一仕事を終えたその翌々日。



    此処はその立役者でもあり、先の勝利に貢献した参加校中
    唯一の残存車両を出場させるという殊勲賞を
    勝ち取ることになった“黒森峰女学園”



    ・・その戦車道チームが所有する格納庫に隣接したバラックの一つ。



    試合の内容的には非常に緊迫した大接戦となりながらも
    なんとか相手残存車両を残り3両というところまで追い詰め、


    辛くもその時点で敬愛する隊長とその妹が車長を勤める車両へ
    希望のバトンを託したことにより、大洗連合の車両中


    ・・・とりわけその勝利に大きく貢献することにもなった少女。






    「~~~・・先の試合に参戦してもらった数名に於いては
     本当にご苦労だった。あくまで我が校の練習試合という形式でもなく
     実質的には西住隊長と他校生徒間における
     私的な確約のもとに行われた短期転校、及び試合参加でもあった訳であるが・・・・」ツラツラ・・・






    少女の名は、逸見エリカ。黒森峰女学園二年生にして
    同戦車道チームの副隊長を任される才女である。








    [(あんなこといってるけど・・・)]






             [(うん・・・今日の逸見副隊長・・・)]






    [(すっ、、ごく 御機嫌だよね)]





          
      [(無理もないよ・・・だってさ、前大会で全国逃した今・・・)]







    [(そっか・・・実質、西住隊長と出られる最後の試合・・・)]








    副隊長の口上を静聴する姿勢を見せつつも
    極限まで声量を抑えた巧みな私語のやりとりを行う
    部員達の語っている通り、


    事実上、大学選抜チーム戦より先に
    二年連続準優勝の結果に終わってしまった第63回全国大会。


    その大会の場こそが彼女にとっては現隊長と共闘できる
    公式戦最後の思い出となるはず.....






    ...だったのだが。




  3. 3 : : 2016/09/15(木) 06:39:49







    「例えこの一勝が敵対校へと送る塩だったのだとしても、
     我々黒森峰女学園にとって、何の益にもならない
     一勝であったとは到底思えない。


     まず第一に・・・高校戦車道チームという立場では
     練習試合を組むことすら容易ではない相手・・・・


     即ち社会人チームすら下した強豪と
     一戦交える事ができたという経験値に然り・・・


     文科省・及び戦車道連盟認可から初の試合参戦となった
     自走臼砲との初の交戦・・・これによって得られた
     情報的優位は非常に大きい。


     何故なら資金力、及びその校風から考えて、
     車体そのものの認可が下りたとなればいち早くアレを
     導入するであろうサンダース大付ぞ....
     クドクドクド・・・





    [(しかも隊長の最後の試合でもありながら・・・)]




    [(元副隊長(みほさん)とも一緒に戦えたんだもんね・・・)]




    [(何だかんだ言ってても・・・やっぱり逸見センパイって・・・)]




    [(ウンウン・・・隊長はもちろん、大洗に行っちゃったみほセンパイの事も・・・・)]







    「んン"ッッッ!!!(咳払い)=3


     何か・・・・・非常に聞き捨てならない誤解の目が
     向けられている気がしないでもないんだけど・・・・

     これは何故か私にしか聞こえない幻聴...ということで
     良いのよね・・・・・????」ピキッ・・・ピキ





    「はっ・・・・・はぃ!!!それはもう!!間違いなく
     副隊長にしか聞こえていない幻聴です!!」
     (しっかり聞こえてる!!!)




    「だ・・大学選抜チーム相手に最終局面まで残る
     その手腕、、本当にお見事でした!!;副隊長!!!」
     (怖い・・・・!!笑顔なのがむしろ怖い!!!)





    「そういえば副隊長っ・・・・!!朝から気になっていたのですが・・・!

     本日の朝練・・・西住隊長は不参加なのですか?!」
     (ここはあえて隊長の話題で気を・・・!;)





    ひきつった笑顔で肩を怒らせ、あからさまな憤りを隠そうともしない
    彼女の反応と・・・それに対する彼女達の様子から簡単に
    察することが出来る通り・・・



    彼女がどのような経緯を辿り、今そこに居る
    「黒森峰戦車道チーム副隊長」というポストに就いたのか、



    そしてどのような経緯をへて“前任の副隊長”が
    他校に競合相手として渡る事となったのか。
    それらを踏まえたその上で・・・・






    「そうよ・・・・それなんだけど・・・・


     誰か聞いていないの・・・・??今朝は私にも
     隊長から連絡が無くって・・・・(焦燥)


     ・・・・赤星・・・あなたの方には何か隊長からは・・?」
     ソワソワ・・・




    此処、黒森峰戦車道チーム内において、
    “西住みほ”の名はいたずらに口にした場合、大抵
    彼女(エリカ)の機嫌を損ねると言った意味でよくない事象を引き起こす
    一種の鬼門となっている。
  4. 4 : : 2016/09/15(木) 06:42:28




    「い・・・・いえ・・・・というか副隊長・・・・

     お言葉ですけど・・・一ついいですか・・・・??;」




    隊長の不在、そしてそれについての事前報告も
    自らに一切無い事実に、先程までの威勢も消沈させて
    傍らに控えていた少女に問いつめるエリカだが・・・


    直後“赤星”と呼ばれた少女がエリカに対して
    非常に申し訳なさそうに返した言葉は・・・・





    「お忘れだったみたいなので非常に言いづらいんですけど
     ・・・・短期転校手続きの書類・・・・全員分の複写・・・

     とっておいてありますか・・・・?;」






    「・・・・何・・・・?なんで今その話が出てくるの・・・???

     だってもう・・・試合はとっくに終わって・・・・」






    微かにその脳裏をよぎっていた不安の爆発的増長に
    震えていた彼女(エリカ)の最後の威厳を突き崩すのに
    必要十分な威力を有していた・・・・





    「あの・・・・あの書類・・・よく見ると"西住隊長の分だけ"
     短期転入の期日が2日くらい長くなってたような
     気がするんですけど・・」





    「~~~:/;@,@*+P`?(※特殊音声※)!!!!!????」ガバァッ





    「ヒッ!!??!」ビクッ






    「何でっ・・・・!?!!!何故それを気が付いたその時に
     この私に報告しなかったの・・???!?」





    おおよその事態を把握した彼女には・・・もはや
    平時の彼女に備わっているような気迫、威厳、威圧感と
    呼べるモノは一切残っていなかった。




    仕えるべき主人が自らを置き去りにし、
    別の屋敷へ移り住んでしまった事を察した忠犬のように。





    「そんなっ・・・では隊長は・・・・まだ・・・今もまだ・・・!?」
     オロオロオロ




    半狂乱といった調子で不安に慄く彼女の察する通り、
    敬愛すべき隊長の身柄は・・・・






    未だ因縁深き(?)大洗女子学園の内にある・・・・





    ということになっていた。











  5. 5 : : 2016/09/15(木) 06:49:39






               ~丁度その頃~



        ―県立大洗女子学園・所有学園艦内・野外演習場―







        「・・・・と、言う訳で。今日一日宜しく願う。」







    先の大学選抜戦も無事勝利をおさめるという形で
    学園そのものを取り戻した今、一日の中休みを経て漸く本日早朝から、
    修復完了を果たした戦車を用いた軽い朝練習を行おうと

    演習場へ集合した同・戦車道チーム一同は・・・
    暫し混乱の渦へと巻き込まれ、その視線を一同の目前にて
    淡々と述べる“彼女”へと収束させる。


    ...しかし、淡々としていながら無愛想に見える
    その物腰や表情もあくまで“一見して”相手に与える
    イメージでしかないという事実を示すかのように
    恭しく一礼してみせる“彼女”。





    これを数秒間凝視したのち、皆一様にゆっくりと
    その真隣にて苦笑する我らの隊長へと視線を移してゆく...





    「ちょっと急な事でビックリかもしれませんが、、、、すみません、

     そういう事なので・・・・あ、勿論会長さんにも確認取ったところ
     書類上、また、手続き上何も問題ないそうなので・・・


     今日一日だけ・・・・宜しくお願いします。。


     、、、あ、言い忘れました、
     みんな知ってると思いますが、先日一緒に戦ってくれた
     黒森峰の隊長を勤める姉の“西住まほ”でs,,,






    「「「「「いやいやいや!!!!“そういうことで”って!!??」」」」」
    ドワッ・・・





    突然のカミングアウトについていけず、
    真っ先に声を張り上げたのは、大洗戦車道チーム中でも最年少の
    人員で構成される、『ウサギさんチーム』の5(6人中)人。



    ただ、他の者に関しても、驚きに身を固めこそすれど
    真正面から反感を持っているような人間は見当らず、


    どちらかといえば、皆、“彼女”の佇まいが放つ(ような錯覚を与える)
    言い表しようの無い威圧感、そして進んで口を開こうとしない上

    表情変化を殆ど見せぬが故の、読み辛いことこの上ない思考に
    身構えている様子である。





    「ぁ・・・あの・・・すみません、何か短期転校手続きの書類に
     不備というか・・・手違いがあったらしくて・・・


     昨日の休みまで計算に入れても、“お姉ちゃん”は今日まで
     大洗女学園の生徒ということに・・・“一応”はなってるみたいで」





    ・・・しかし、苦笑交じりに説明しているみほ本人も、
    目の前に居る自身にとっての実の姉に
    恐れ慄く女子達の心境が、全く理解できない訳ではなかった。




  6. 6 : : 2016/09/15(木) 06:53:27










    「いや・・・不備では無い。私は純粋に“ここでの”みほが
     ちゃんと元気でやれているかどうか・・・ソレも気になってだな・・」
     ウム・・・





    「ええっ・・・!?手違いとかじゃなくて・・・
     わ、ワザと短期転校の期日を延ばしてたのお姉ちゃん!?!?」
     ファッ・・・;





    いくら生まれた頃からの付き合いで気心知れた姉とはいえ・・・
    それは自分にとってだけの認識であり、ましてや当の姉の
    現在の立場はといえば・・・・・





    「そこまで・・・驚く事は・・・・」フム。。?





    「驚くよ!!っていうか私よりエリカさんの方が今頃もっと
     大変な事になってると思う!!;お姉ちゃん、絶対エリカさんに
     内緒で自分だけ期日延ばしてここまで来てるよね!!!?」




    「・・・・・よく看破したな・・・・。流石はみほだ。
     ついでに言えば母さん(家元)にも内緒だ・・・・」
     シーッ....
     






    次回も全国を目指すチームメイト達からすれば
    (無論大洗女子を主導する立場にある、みほ本人にとっても)

    勝ち上がる皮算用で見たとしても必然的にその過程で
    目前へと立ちはだかるであろう優勝候補筆頭戦車道チーム・・・・





           ・・・――その隊長である。




    「何か凄く嬉しそうだけどお姉ちゃん・・・・(汗)

     お母さんはともかく、もし本当にエリカさんに内緒で
     ここまで来たなら・・・多分今頃問い合わせの電話とかすごい事に...;」







    「・・・そうか?エリカなら・・・安心して留守を任せられる。

     そう言う意味もあって特に連絡も前置きもしなかったのだが」
     






    「うぅん・・・・!?;(否)面と向かってお姉ちゃんがそう言ってあげたら
     凄い喜ぶと思うけど・・・・!!多分今、エリカさん校内試合で
     戦績がどん底まで行った時みたいな顔になってると思うよ・・・・!」






    「っふふ・・・・・  
     みほは練習中味方相手でも一切容赦がなかったからな・・・。

     3回にも渡る履帯破損にめげなかったエリカ達も流石にその直後に
     4発目を貰った時のあの顔は....今でもよく覚えている」ククッ...







    「わざわざ今その話しなくても!!!!/////」
     ヤダモ~オネェチャン///








    「「「(鬼だ・・・子鬼が()る・・・・!(ゾゾッ・・・))」」」
        (歴女チーム一同)







    「「「「「(なんか・・・こんなテンションの西住隊長って珍しいかも・・)」」」」」
               (一年生チーム5人)





    「「「「(同じ人とは・・・)(うん・・・とても思えないよね・・)
      (最初似てない姉妹だなって思ってたけど)(案外似てるのかもこの二人・・)」」」」
               (バレー部チーム)











    「(でも本当に・・・このお二人って・・・・(小声))」





    「(仲が良い姉妹・・・なんだね・・・。。前に喫茶で会ったりした時は
     ・・・・もっとこう、上手くいってない感じだった気がしたけど・・・

     一昨日は試合の終わり際、凄く仲良さそうに話してたしね(小声))」




    「(ぉぉおお・・・・!!黒森峰の現役エースにして総隊長を務める
     西住流次期当主と・・・・その妹君でもあり、かつて黒森峰で
     彼のカリウスと同じナンバーを背負っていた西住殿・・・・
     そのお二人が並んで談笑しています・・・・!!?)」フォォァァ・・・!!!





    「(まあ・・・おばぁの件でこの人には大きな借りがある・・・。

     あの一件から、全く悪い人ではないと分かってはいたが・・・)」






    自分達と同じ制服をその身に纏い、
    ただ純粋に妹との語らいに毒気の無い笑顔を輝かせる
    かつての対戦相手校の総隊長に、皆各々の感慨を抱きつつも



    次第にその心の内に強く抱かれていた警戒心を和らげていく
    大洗戦車道チームの面々。




  7. 7 : : 2016/09/17(土) 13:54:15





    そして、その場にとうとう懸念されていた報告、
    その第一報が舞い込む事になる。






    「ぉお~~ぃ、西住ちャ~ん??今事務から生徒会(ウチ)の方まで
     内線で連絡回ってきたんだケド。

     お察しの通り、黒森峰の副隊長さんからの鬼電が凄ぃんだってさww
     大洗女学園(ウチ)の許可が取れ次第、ヘリですっ飛んでくるみたいな事
     言ってるらしいけど・・・・どーする???」






    「えっ・・・も、もうですか!!?」
     ハヤッ・・・!!





    「・・・・まったく・・・何をそれほど焦る事が・・・・」
     ヤレヤレ。






    「ほら・・・もぅ、、、言ったそばから・・・!!;(困)

     どうするの・・・??お姉ちゃん・・・・・。。エリカさんなら・・・
     多分着陸許可が下りなくても来るよ;」







    「ぅ~ん、まあ・・・・実際許可なんかなくたって皆フツーに
     ウチの学園艦で離着陸してるけどね。おケイちゃんとか。」
     モグモグ





    「エリカは・・・・冷静な状態での状況判断力に関しては
     非の打ち所も無いが・・・・今現在置かれている状況のように、

     冷静さを欠いた挙句、自らの判断のみで動けなくなった場合

     驚くほど脆弱になるからな・・・そういった状況を克服させるという
     意味でも・・・迎えに出向かれたからといって直ぐにそれに
     応じるのはあいつの為にならないというか・・・・・」ゥ~ン・・・
     トリアエズテキトウニ マクカ





    「やめたげて!!?エリカさん本当かわいそうだから!!!!」
     ホンキデナクヨ!!!







    これより大洗女学園所有の学園艦に向かい、黒森峰の
    送迎ヘリが来るかどうか・・・という報告を受け、






    ここで意外な二名がその会長による知らせに反応する。







    「えっ・・・・と・・・みぽりん?!それって・・・・

     あの、黒森峰の副隊長さんが・・・ひょっとしたらここに
     来るかもしれないって事・・・???」ソワソワ
     ツリメデ ビジンノ アノヒト!!




    「もしそうだったら・・・・一つ聞いて欲しい頼みが・・・・!!」
     オドオド





    「・・・・ううん、;
     ひょっとしたらって言うか・・・・まず間違いなくエリカさんなら
     お姉ちゃんを連れ戻しにここまで来るというか・・・・

     もしかしなくても、お姉ちゃんと同じ期日分だけ、
     また転校手続きしたりとか・・・・」アリエナイトハ イイキレナイ・・・;





    「って・・・・冷泉さんまで・・・・??えっと・・・何かエリカさんに・・」







    「何かじゃ無いよ!ほら、この前麻子がおばあちゃん倒れて
     病院駆けつけたとき・・・態々ヘリ飛ばしてくれたのあの人だもん!」






    「ぁあ・・・。何度も礼を言いはしたんだが・・・・

     結局“隊長の意向だから”としか返ってこなかったからな。
     決して悪い人柄でないことは理解してる・・・・

     、、、けど、やっぱり何かお礼がしたい。。。。」






    「そうそう!!かなりツンツンした人だったけど・・・
     心の底からみぽりんのお姉さんの事は尊敬してるみたいだったし・・・

     私も麻子と一緒に何かお礼がしたいんだよね


     ・・・みぽりんとかお姉さんだったら、あの人とも結構
     付き合い長いんでしょ?何か無いかな・・・それが聞きたくて」






  8. 8 : : 2016/09/17(土) 13:56:08






    「・・・・エリカさんでしょ・・・?(クルッ)エリカさんだったら・・・,,,」








    「・・・・・・あぁ。そう気難しく構える必要も無い」






    「・・・・・え・・・・ちょっとまってみぽりん^;

     何かな今のお姉さんとの間にあった微妙な間は・・・・・・」







    「ううん?? 何でもないよ(苦笑)。でも本当、ああいう感じだけど、
     根はすっごく優しくて普通にいい人だから大丈夫!」








    「・・・だな。軽く食事でも奢ってやればそれ以上必要な事は特に・・・」







    「うん。・・・そういえば"華さんも前食べてた"し、アレさえあれば
     普通に大洗女子(うち)の学食とかで大丈夫だと思う」






    「ちょっ・・・ちょぃ待って・・・;そんな気軽なノリで
     いけそうな感じなのみぽりん・・・??(アレって何・・?;)

     お二人の前ではどうだったか分からないけどさ・・・
     あの人、前回の試合中だって相当・・・・;」ツンツン ジャナカッタ?






    「同感だ・・・そんな餌付けみたいな策に簡単にのってくるような
     性格にはとても見えなかったぞ・・・・」アレ・・・..






    「・・・・エリカは今で言うところの・・・あれだからな。

     人前で尖って見せておいて、誰もいなくなると丸くなる・・・・」







    「・・・つ、ツンデレ・・・・??;」







    「・・・そう、それだ。」
     イマハヤリノナ





    「デレるのか・・・。。」





    「(ダメだ・・・あの人がデレるところとか全ッ然想像出来ない・・・;)」






    「お姉ちゃんしか目の前にいない時のエリカさんなんて
     もう殆ど別の人だよ。・・・・ただ、私もこっちに転校してくるまでは
     もっと仲良くしてくれたんだけど・・・・」ハンコウキナノカナ






    「エリカはライバル意識が強いからな。

     みほが他校でエースを務める事になったと聞いて・・・
     あれで実は内心喜んでいるんだろう」





    「そう・・・なのかな・・・・?;

            そうだといいんだけど・・・・・・・」
     ナンカチガウキガスル;





    「みほもエリカも今まであれだけ戦車道を通じて
     研鑽しあった仲だ。・・・だから例えこうして
     袂を分かったのだとしても・・・

     また、昔のように二人とも仲良くしてくれたら・・・私も引た...




    「おっと。。;噂をしてれば来たみたいだょ~・・・・

     いやはや本当、超特急だったね・・・・。何時に熊本(あっち)出たんだろ」
     モグモグ





    .........。。。。。。。。。




    ババババババババババババババババ






    遥か彼方から学園艦目掛けて飛来する機体を見つけるや否や、

    まほの言葉を途中で遮る形で暢気に言い放つ杏。



    「・・・・・・・・」



    「~~・・・・」
     ムグムグ




    干し芋に齧り付きつつ何と無しに割って入ったように見せた杏、

    そしてその流れのままにあっさり言葉を中断したまほの二人だったが
    その僅かな間の中、互いの視線が一瞬だけ交錯する。。




    、、、しかし二人の視線のやり取りよりもその場の全員の注意を
    釘付けにしたのは勿論・・・・・





    「「「「    !    」」」」







    「ほ・・・・本当にもう来た・・・・・」







    「お姉ちゃん、、エリカさんにちゃんと謝ってあげてよ;」








    「・・・何故だ?」
     ン?





    「なんで・・って;余程心配してないとこんな・・・
     文字通り大洗まで飛んで来たりしないよ・・・・・」




    此方に向かい、高度を落としながら微速で接近するFA223の
    ローター音。



    これほど型の古い機体で行うにはかなりの操縦技術を
    要すると言われるホバリングを行いつつ、機体側面からは
    縄梯子(タラップ)が投げ出される。
  9. 9 : : 2016/09/17(土) 13:59:37








    バババババババババ・・・・・・





    「西住隊長~~~~!!!転校手続きに何かしらの
     不備があったのは赤星から聞きました!!!
     とりあえずこれに掴まって下さい~~~!!!一緒に帰りましょう!!」
     ブンブン ノシ







    「態々出向いてもらって悪いが・・・・それは違うぞエリカ!

     私は私の意志でここまで出向いた!!そうでなければ
     一旦お前と黒森峰まで帰還した事についての説明がつかないだろう!」







    空を切り裂くローターが立てる轟音に負けじと低く
    研ぎ澄まされたような声を張り上げるまほ。







    「~~~~~・・・・・;;」







    一方まほの返答を概ね察していながらも素直にその事実を
    受け入れられず、暫し歯軋りを交えて逡巡するエリカ―――。。。




    ・・・しかしそんな彼女の心境を見透かすかのように






    「~~~~ほら、やっぱり隊長ならこう言うと思ったんです;

     ・・・私達なら大丈夫ですから・・・そんなに隊長が心配でしたら
     行ってあげて下さい・・・・逸見副隊長。。」








    操縦桿を握る後輩の一言が、迷いに揺れるその背を優しく押した。








    「~~~~、、、、一日留守にする間の指揮・・・・本当に貴女に
     任せていいのかしら・・・?


     折角先の全国大会からヒントを得て・・・
     隊長自身が手繰り寄せた“真の西住流”。。


     それを・・・私達は確実にモノにしなければならないの。。。


     当然、隊長が我が校を巣立つその日までに・・・・、、、一日でも早く。
     

     ――分かってるわね」
     






    「―――ぇえ、理解しています。


     寧ろ西住隊長が不在でありながらも陣形の威力を
     充分に引き出せない様では・・・隊長の目指す場所には決して
     たどり着けませんから。


     一日くらいは私達だけに任せてください」ビッ・・







    「・・・・・・・・・」









    全国大会10連覇を惜しくも逃した丁度その年の彼女とは
    すっかり見違えるような面持ちにそれ以上の心配は
    無用であると判断したエリカは






    「・・・・・・・・なら任せたわよ・・・赤星・・。。隊長のほうは・・・なんとか
     本日中に連れて帰れるように私が説得してみるから。。

     いつでもフォッケアハゲリス(ヘリ)を飛ばせるように待機しておいて頂戴」






    頼るに値すると信じたその肩を叩き、縄梯子(タラップ)を降下していった。






    「本日中なんて言わずに・・・・もっとゆっくり羽を伸ばしてきて下さい。


     ・・・折角久しぶりに“西住副隊長”とも
     こうして顔を合わせられる機会なんですから」






    ―――あえて風鳴りに掻き消される声量で贈られた
    彼女の言葉が、轟音の中降下していくエリカに聞き取れる筈もないが・・・





    その優しい一言と柔らかな笑顔は、確かに彼女の背中に届いていた。





















    「隊長~~~!!!!何故ッ・・・!?何故私に知らせずこのような・・・!」
     スタンッ...   タタッ・・・・






    「先の第63回全国大会で学んだように・・・黒森峰(われわれ)は予期せぬ
     急な揺さぶりにとにかく弱いという事が分かった。

     ・・・つまりこれは事前に何の連絡もなく私が
     不在であったりした場合、これからの黒森峰を纏めるエリカ(お前)
     どれだけ迅速かつ的確に...
    「それらしい事並べたって騙されません!!!

     そんなに私より!!!()副隊長の方が気に掛かりますか!!!?」ブワワッ;(//;ω;)








              「「「「マジ泣きだ・・・・!!」」」」




  10. 10 : : 2016/09/17(土) 14:06:54










    切れ長の目尻に大粒の涙を溢れさせて縋りつくエリカ(彼女)は、
    すっかりその場が衆目の面前であることすら失念している様子だった。






    戦車道(すすむみち)を違えて以来、目の仇にしていた
    前任の副隊長までもがすぐ横にいる事すら気にも留めず、



    純粋な自分の意見をぶつける様は、普段から殆ど素直さを見せない
    彼女と同一人物だとはとても思えない。









    「・・・・・わかった・・・先ずは落ち着け・・・・、、、、エリカ。。」
     ポン・・・・






    「~~~・・・・っ・・・本当に・・本当に連絡がなくって。。。


     私、、心配っ、、、、したんですよっ・・・・・隊長ぅぅ...


     ヒック・・・・  グスッ・・・」ブルブル・・・





    肩まで掛かる白銀のシャギーカットを揺らし、
    頬に擦る涙で赤らめた自らの顔を隠すようにして項垂れる
    エリカの頭に、まほの右手が優しく乗せられる。






    「本当の所を言うと私は・・・・昔のようにみほとお前がもっと・・・・」
     ゥウム、、、







    「“また”みほ副隊長の名前が!!!」
     ァァアアアアアアアァァァァ!!!!!




    ダンッ!!ダンッ!!!ダン!!!!





    極限を突き抜けた偏頭痛に悶えるかのような身振りに
    全身を躍動させ、これ以上無いほどに分かりやすい不満の表れとして
    地団駄を踏み鳴らすエリカ。




    平時の彼女の振る舞いを知っている者であれば
    即座に言葉を失うこと請け合いな有様である。






    「(・・ねえ,,みぽりん・・・・・(小声))」






    「(な・・・・・なに?;沙織さん...(小声))」







    「(この人・・・・こんなキャラだったっけ・・・・?;



     何か全然イメージしてたのと違うって言うかさ・・・・

     こないだの感じと今のこれじゃ・・まるで・・・・;(小声))」






    「(お姉ちゃんしかその場に居ない時のエリカさんは本当、
     別人なんだけど・・・  たしかにこれはかなりキてる..かも…;(小声))」






    「(も・・・物凄い恐慌状態ですね・・・;まるで
     敵軍の予期せぬ絨毯爆撃に早くも兵士生命を絶たれようかという
     新兵のような取り乱し様です・・・・(汗)

     冷静沈着な司令官タイプの方だとばかり思っていたのですが・・・
     ぃ、意外な一面です・・・・(小声))」






    「(ぅうん・・・、エリカさんはどっちかと言えば
     結構感情の起伏激しいほうだよ。でも、流石に試合中でもここまで
     取り乱すことは・・・・うん、あんまり無いというか・・・(小声))」










    「...私が悪かった。・・・・エリカ、、

     無断であけて済まなかったな。・・・・だからもう泣くな」ナデナデ







    「~~、、、 ~~~、」グスッ・・  ズルッ・・・







    「・・・・それにだ。すっかり忘れて居る様だが・・・

     此処は次の全国でも手合わせする事になる相手校の本拠地だ。
     “次の黒森峰”を背負って立つお前がそんなことでどうする..」
     ミホニモ ミラレテルゾ



  11. 11 : : 2016/09/17(土) 14:11:12








    「・・・そう・・・ですよ・・っ・・・!!(グズッ・・)


     来年は・・・隊長も・・・ッ...“副隊長”もいないからっ・・・・・!!!
     私一人でしっかりしなければいけないというのに・・・・・!!!


     それなのに・・!!!」






    「・・・・(これは相当だな・・・)


     済まない、――みほ?少しいいか?」






    「――っあ、うん!?何お姉ちゃん・・・・」






    「この時間でも大洗女子の食堂は空いているのか?」






    「食堂―――――・・・・・  、、!!


     あ、うん!!やってると思うよ!全部のメニューは昼までまだ
     出てないと思うけど・・・・“アレ”だったら多分もう・・・・」






    「・・・・よし、ならソレで行こう。エリカ(こいつ)のここまで酷い癇癪は
     私も始めて見たが・・・この状況を収める手段が他に思いつかない


     ・・・・・エリカ、、大丈夫か・・?立てないなら担ぐが・・・」グッ・・・






    「へっ・・・平気です・・・・!!!それくらい・・・自分で・・・立てまス....

     それより・・・どこへ向おうと言うのです・・・・?」
     グスッ・  ヒグッ・・・





    「大方その様子では食事も取らずに飛んできたのだろう。


     ・・・・・朝食にするぞ。みほに案内してもらう。 ついて来い」










              ―大洗女子学園・食堂―







    一応、大洗女子学園の学食という形ではあっても
    学園艦内に立ち入っている人間であれば誰でも利用可能な
    施設として夜間一部を除けば常に開放されている広大な学園食堂。


    生徒であれば学生証がIDとなっている為、朝、昼食が無料で
    喫食でき、在学者でなくとも食券の購入で同様に食事することができる。





    ――これより朝練習を行おうという段で
    “まほ”に関するカミングアウトとエリカの急な来訪があったため、
    この場で食堂に同行しているのはあんこうチーム一同と生徒会の3人、
    それからまほ、エリカの計10人だった。





    「・・・あ、そっか・・・お姉ちゃん達は転校手続きはしてるけど・・・
     IDないから食券だ・・・」






    「! はいはい!!私出すよ!!!麻子の件でお世話にもなってるんだし
     それくらいは!」ジャラッ・・・





    「なら私も半分出す・・・!」ぬッ・・
     ジャラジャラ・・・






    「隊長・・・。お食事は・・・・?」
     




    さっきの今まで泣き腫らしていた頬からは未だ朱の色が
    抜けきっておらず、本来ならキレのある美しい目元が
    今ではすっかり据わってしまっている。




    ・・・そんな有様でまほに問いかけるエリカだが・・・






    「私は必要ない。出発前に摂った分がまだのこっているからな。
     ・・・折角彼女達が奢ってくれると申し出てくれているんだ。

     競合相手とはいえ礼に応じる気構えくらいは見せるべきだ」
     イタダイテオケ







    「かっ・・・構いません私は!!!それに恩を感じられる
     道理もありません!!!私は隊長の命に従ったのみで・・・、、
     
     そもそも戦車道に則した行動であるかどうかはさておき、
     あの場合、人として当然の事をしたまでで・・・」ワタワタ・・・






    「・・・・あまりに急いで駆けつけたせいで、
     財布も持参していないんだろう・・・・・(溜息)」フゥ・・








    「ぅ・・・・・うう、、;////」
     カァァァ・・・・






  12. 12 : : 2016/09/17(土) 14:13:24





    「ぇっ、、遠慮しないで!!?ほらほら、!!何がイイ?!
     この時間でもA~Dの定食なら大丈夫だから!!」
     チャリンッ 



    「大盛りでも何でも遠慮せずに言ってくれ・・・・」ササッ
     ジ゙ー・・・・・ 




    「ちょっ・・・麻子!!!お札入れちゃったら私入れた意味無いじゃん!!」
     チョット!!!




    「いい・・・・。。というか、そもそも沙織にしたっておばあの所に
     駆けつけた時のアレは・・・つき合わせてしまっただけだ。

     何でそこでおまえが気を遣う必要があるのか、寧ろ疑問だしな。」






    「友達が助けて貰ったんだからそんなの当たり前じゃん!!」
     ヤダモォ~











    「(フイッ)...で、何か希望はあるか?

      Aが焼き鮭...Bが野菜炒め...Cがハンバーg..

    「Cでいいわ。。。。」✧キリッ





    「・・・お、おぅ...(Dまで聞かないのか・・)」ピッ・・・



     ガシャコンッ







    「では私もC定食を頂こうと思ってましたので
     ご一緒に行きませんか?(ニコニコ)」アラ、キグウデス
     





    「あれ・・・華さん・・・朝ごはんいつも食べてきてるんじゃ・・・;」






    「育ち盛りなんです」フフフ。。





    「(朝からハンバーグか・・・もたれそうだな....

     まあ、お礼である以上別に気にすることは何も無いが)」
     ピッ・・ ジャラジャラ






    「ぉっ、いいねェ~・・・じゃあ私達も何かいっとく?」
     ムシャムシャ






    「D定の戦車カツ定食なんておススメですよ」
     クックファ~ン♪




    「会長、干し芋(いも)食べながら言わないで下さい...;

     あと桃ちゃん、それ幾らなんでも朝から重すぎ...」







    「しかし空腹はともかく喉が渇いたな。。

     みほ・・・ここにビールは置いてないのか・・・・? 」






    「う、うん・・・・町のコンビニとかスーパーに行けば
     あるけど・・・学食には流石に置いてないかな・・・;黒森峰じゃないと」





    「そうか...」ショボン..





    「え"っ・・・み、、みぽりん・・・?;あの・・・・

     今なんか平然と、“ビール”って単語が聞こえた気がしたんだけど
     ・・・・気のせい・・・だよね・・・;」ダラダラ





    「あ!、ううん!違うの!!ビールって言うのは・・・ほら、

     お酒入ってない奴だよ!;黒森峰ではオリジナルブランドで
     出してるから別に珍しくも無いんだけど・・・」






    「それって美味しいの・・・?;」
     オネーサン、オットナ~・・







    「う~ん・・・私は・・・あんまり炭酸飲めないから・・

     あ、でも炭酸抜きなら結構おいしいかも!」






    「みぽりん・・・、それってもう既にノンアルビールでも
     なんでもなくて、既に麦茶なんじゃ・・・・;」





    「お前も何でどういう味か知ってるんだ。。。。」オイ






    「やだもー!!合コンとかに備えた乙女の嗜みとして
     ノンアルビールで肝臓を鍛えるのは常識でしょ!!?」
     ミンナヤッテルハズダヨ~;!






    「残念だがアルコールの有る無しに関わらず
     その、“肝臓を鍛える”って認識自体が間違った風潮だぞ」



  13. 13 : : 2016/09/17(土) 14:17:50







    「ハッ・・・!!?私、すごい事に気が付きました西住殿・・?!

     学食の売店で売ってる麦茶と炭酸水をブレンドすれば...

     お手軽に炭酸麦茶が作れるのでは・・・・!?」






    「い・・・いや・・・さすがにそれは・・;

     それに、幾ら麦茶がその味に近かったとしても
     炭酸水で割っちゃったらかなり薄まっちゃうと思うし...」






    「そうだな・・・幾ら原料に麦芽が使用されていようとも
     ホップも入っていない状態ではとても同じものとは言えないが・・・

     代替としてはそれしかないか・・・・。ちょっと買ってくる」イソイソ・・・






    「(そんなに呑みたいんだ・・・お姉さん・・・,,;(小声))」





    「(黒森峰だと飲料水の消費量の中でもビールが一位だから。。

     サンダースで瓶入りコーラが飛ぶように売れるのと同じで・・・。(小声))」





    「(・・・噂じゃサンダース(あそこ)って・・・蛇口を捻ったら
     コーラが出てくるっていう話だよ・・・(小声))」






                ~数分後~





    「~~~、、、、~~~✧」モグ・・・・  モグ・・・・






    「(すっごい大人しく食ってる・・・)










    「・・・・ふむ。。

     やはり薄いな。。 ――そして何かが決定的に違う。

     ・・・・エリカも少し飲むか」シュワシュワ
     スパークリングムギチャ。。







    「(モグモグ・・・、、 ングッ!!)、、ゴホッ いっ・・いいんですか!!!?」
     ガバッ






    「ぁあ・・・・しかし決して美味いから薦めている訳では...」






    「かっ・・・構いません!!!隊長の口に入るものを毒見するのも
     
     副隊長の私の務めですからッ・・・!!✧」ウフ・・・ウフフ・・・・!!!(ジュルッ・・)






    「(っ・・・・・逸見さんって・・・・・、普段の物腰と“この”
     見た目に反して・・・意外とゆかりんポジションなのかな・・・・;(引ッ..))」








    「・・・・・・・っ!!!美味しい!!!これは意外とイけますよ隊長!!!

     確かに味はかなり薄いですし、普段飲んでいるオールフリーとは
     比べるまでもないですが・・・・、、ええ、これはこれで!!!」
     ゴクゴクッ・・・・






    「・・・毒見するにも既に遅いがな。(フフッ)


     面白い奴だ、、自分で作っておいてなんだが予想以上に
     私には風味が合わなかった。・・・口に合うのなら残りは全てエリカにやろう」






    「ぁ・・・・!ありがとうございます!!!!!」パァァァ・・・・・
     モグモグ・・・・  ゴクッ・・






  14. 14 : : 2016/09/17(土) 14:21:12






    「(うん・・なんていうか・・・少し誤解しそうになったけど・・・
     逸見さんってさ・・・・本当に、、、・・・・(小声))」







    「(そうなんだ・・・。エリカさんは誰よりもお姉ちゃんが大好きで・・・

     誰より尊敬してる。ひょっとしたら・・・・結果的に
     黒森峰を離れてしまってお姉ちゃんと同じ戦車道(みち)を歩めなかった...


     “こんな私なんかよりも”・・ずっと...(小声))」フッ・・・





    「・・・・・・・・・・・・」







    沙織にだけ聞こえる声でそう呟いてから俯いたみほの顔には・・・
    一言で言い表すのが非常に難しい程、数多の感情が垣間見えた。






    ――それは見ようによっては寂しくも嬉しそうであり・・・・





    ――――バツが悪そうな顔に見えながら切なげな表情にも見えた。





    彼女の脳裏に去来するのは・・・推測するまでもなく、
    見つめる先にて、実の姉と笑い合う、彼女との過ぎ去りし日々。



    ―――もう二度と自らには向けられないであろうという、
    あまりの輝かしさに目も向けられない・・・・




    切れ長の眼を引き絞って放たれる、屈託の無い矢の様な笑顔。




    その笑顔を姉と共に囲って談笑していた・・・・



    戻りたくとも戻れない、、“あの日の記憶”





    ・・・そして、全国大会10連覇目の大台を逃した“その日の彼女の貌”








    「・・・・みぽりんがどう思うかは分からないけど・・・

                          でも私はさ・・・、、」






    「―――?」







    逸見さん(あのひと)も・・・、きっとみぽりんの事、心の底から
     嫌ってたりしないと思う。・・・うん、絶対そうだよ」






    先程、正気を保てなくなるほどの恐慌状態に陥っていた際に、
    不意に彼女の口から漏れ出ていた、現在の彼女自身を指す筈の
    “副隊長”という呼称を意識してか・・・若しくはしないでなのか、



    確固たる自信を持ってそう言い放つ沙織。







    「・・・・どう・・なんだろうね; 私は・・・正直そうだったら凄く嬉しい。


     ――凄く嬉しいけど・・・でも同時にもの凄く心苦しいというか・・・


     申し訳ないというか・・・・。。」



  15. 15 : : 2016/09/19(月) 22:43:18







    「申し訳ないって・・・・・?どうしてまたそんな」







    「前にも言ったと思うけど・・・前々回の全国大会で
     フラッグ車の車長を任されていたのは私なのに、
     その責務を放棄して私が川に飛び込んだせいで、
     黒森峰は10連覇の大台を逃しちゃったの....


     私というたった一人が状況判断を誤ってしまったから...


     ――ただそれだけの為に、10年続く歴史になるはずだった
     戦歴が振り出しに戻ってしまった。。。


     黒森峰が出身校でもあるお母さんにも・・・すごく迷惑かけちゃった」





    「でも・・・そんなの・・・!」




    「優花里さんも、皆も、・・・それからお姉ちゃんも。。。
     皆優しいから今となってはそう言ってくれるけど・・・それでもね。

     態々私が助けに行かなくたって、全国大会には公正なジャッジを
     下すために充分な数の審判団と、有事に備えて救護にあたる為の
     作業車もちゃんと控えてた。

     ――・・結局あの日私がした事といえば・・・
     悪く言っちゃうと救護の邪魔でしか,,






    「まだそんな事を言っているのね あなたは」





    項垂れてますます小さくなっていくみほを見下ろす形で、
    気づけば背後に立っていたエリカ。





    「エ・・・・エリカさん・・・・・・」





    「私は勿論・・・他の皆も、それから当然赤星も。


     そんな事で女々しくあなたに向かって後ろ指さそうなんて
     人間・・・・黒森峰(ウチ)にはいないわ。


     あなたは大きな勘違いをしているようだから
     この際一つだけ言っておくけれど・・・」ズイッ・・・





    「っ・・・・・・」





    「私は、あなたが離れてしまった西住隊長の戦車道・・・
     つまり、“本当の西住流”の力を示す為・・・・

     そしてその力で、あなたを下す為にこうして戦車道を
     続けているの。決して詰まらない劣等感に心を尖らせて
     あなたに当たってる訳じゃないのよ。

     ・・・その辺り勘違いしないでほしいわ」ツンッ・・・






    この一時で喜怒哀楽の感情を一周させるかのように
    様々な顔を見せた彼女であったが、ここまで来ていつも通りの
    彼女へと戻った事に、心のどこかで安堵をおぼえながら
    控えめに笑って返すみほ。

  16. 16 : : 2016/09/19(月) 22:46:28








    「見てなさいよ...。来年の黒森峰(ウチ)は・・・

     あなたが居た頃は勿論、今年の私たちとも全くの別物なんだから。


     

     ―――あなたたちのような寄せ集めには到底成し得ない、
     真の王者の戦いを――――」





    声を大に言い放ちながら、かつての副隊長へと
    高らかな宣戦布告を行っている真っ最中。




    そこが食堂の通用路でもあったことから、
    彼女の言葉はあっけなく中断される―――







    「はいは~い・・・・ちょっと通りますよ~~~・・・って、、、おろ」
     カチャカチャ・・




    「ぁっれ~~??!黒森峰の!!」
     ガチャ



    「っていうか珍しいねあんこうチームの皆さん!
     こんな時間から朝ごはん!?」
     カタカタ



    「でも全員で食べてる訳じゃーないんだね」
     ガシャッ





    ・・・・と、その後方から、新たに食堂へと歩を進めて来たのは
    大洗戦車道チーム中、何かと多忙な生徒会を除いて、
    唯一朝練習に参加していなかった“自動車部”の面々・・・・




    つまり“レオポンさんチーム”の一同であった。




    先なる苛烈な試合の翌々日というのが現在の日取りにあたる訳であるが・・・・


    試合に参戦した大洗連合中、実質大洗女子の所有する車両は全て
    行動不能へと陥るほどの激戦であった・・・・にも関わらず、


    それから“二日しか経っていない”今日、この日の朝に
    何事もなくそれら全ての戦車を駆動させての練習に
    臨めるということはつまり・・・



    ここにいる彼女達4人が、寝る間も惜しんで
    戦車の修復を行っていた(▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪)という事実があるからに他ならない。




    当然、その神懸り的という評価すら通り越して
    最早妖しさの余り悪魔的ともいえる常軌を逸した作業速度と

    どれだけ自らの時間を削られようと文句一つ言わない
    彼女達が、車両整備に向ける情熱は...




    「・・・・彼女達だな・・・・あれだけの戦車をものの二日で全て
     実働可能レベルまで修復したというメカニックは・・・・。

     つくづく黒森峰(うち)にも欲しい才覚だ」





    敵対校の隊長すら感服させるものであった。




    「いや・・・試合終わった後、帰りの船の中でも早速
     修理を始めてたけど・・・・それを入れたって二日もなかったよ・・・;」





    「っていうか全員戦車カツのご飯大盛り一択で見事にdの食卓になってるね・・・;

     やっぱガテン系(メカニック)の皆さんは違うわ。。。」
     カックイイ・・・・





    「いやははw・・・夜通しぶっ続けで治してたからね!!

     流石にここらで燃料補給しとかないとぶっ倒れちゃうよ☆」ケラケラ





    「ここに一人ガテン系(そっち)じゃ無さそうな人で
     日本昔話の長者みたいな盛りかたしてる人が居るんだけど...

     そんなにハードなの・・・?大洗の朝練習って...」
     シラ~・・・・





    「  ^^?  」







    「ぁ・・・うん、華さんは・・・これが平常なんだ....。。」







    「(信じられないものを見る目)....」







  17. 17 : : 2016/09/19(月) 22:49:32






    「っそ・・・、それよりもレオポンチームの皆さん・・・??;」







    「ぁ~、うん>?何々~~」Σパンッ
     イッタダキマス~





    「やっと車の方の整備も終わったからね~。

     飯食べ終わったら私らも朝練軽く流そっかな☆」
     モグモグ



    「レオポンの新機能、『アレ』の試運転(テスト)やんない!?

     試合じゃ流石にレギュレーションとか以前にあんなの(▪▪▪▪)申し訳なくて使えないしさぁ」
     ワイノワイノ






    「っで。、、ですからあの!!!!」







    「「「「・・・・・・・?」」」」

      ピタッ・・・・




    徹夜明けの朝餉を搔きこむ彼女達の、
    一体何処からやってくるのか、、それすら疑わしくなってくる
    和気藹々とした空気に、一際大きな音量を張り上げたみほの一声が...





    一同に一瞬の沈黙を余儀なくさせる。





    「皆・・・・あんなに厳しい戦いが終わった後で、船の中では
     移動中も睡眠時間にあててる人だって居たのに・・・・

     自動車部チーム(みなさん)は・・・・一睡もしてないどころか
     その間ずっと私達みんなの戦車を治してくれて・・・・

     その上これから練習に参加しようだなんて・・・・!」ワタワタ






    「うん・・・・? そだけど・・・・・」




    「練習・・・、、したほうがいいじゃんね>?」




    「あンのBT42がパーシング一両目撃破する前に見せた
     キレッキレのドリフトを見せられちゃねぇ・・・

     血が騒いで夜も眠れないってもんだよね」ウズウズ
     ドリフトドリフト~~♪



    「早く俊足レオポンの調整もやりたいし~」
     サクサク





    「もっと・・・ゆっくりじゃダメなんですか?!
     せめて少し仮眠を入れるとか・・・。。。

     皆さん、幾らなんでもそれじゃあ動きっぱなしですょ・・・・」
     オドオド・・・






    「(そうは言われても・・・ねえ。。)」
     モグモグ))



    「(眠くもないし、ワクワクのせいで
     疲れも来てないのは事実だし)」
     ((ングング



    「(ぶっちゃけ時間が勿体無いよね~・・・)」
     モゴモゴ))





    みほによる、彼女らの疲労を慮った末の必死な訴えも、
    当のレオポンチーム面々には今一ピンとこない様子。





    しかし、それでもみほは簡単に引き下がろうという
    姿勢を見せない。みほにはみほなりに彼女達の体調を慮る意思を
    簡単に曲げるつもりは無い様子である



  18. 18 : : 2016/09/19(月) 22:52:42







    「ん~む・・・・・・・」






    ―そんな中、他全員が3年生で構成される自動車部中、
    唯一の後輩にして2年生であるツチヤが、常に崩さないその
    笑顔で、皿の上の分厚いカツを分断しながら語り出す。






    「ねぇ隊長、、急にこんな事言われてもなんのこっちゃって
     感じかもしれないけど・・・・  


     私達は本当、

     
     ここまで自由にやれる大洗女子って場所が大好きでさ」ザクザク







    「・・・・?;」








    「昔偉い人がこんな言葉を残したのを知ってる??


    “雨の中傘をささずに踊る人間がいてもいい。。。

              『自由』とは、そういうものだ”ってさ。」ドヤッ







    「(それって元ネタにしても、元の元ネタにしても・・・・)」






    「(決して偉い人が言った言葉じゃ無い気がするんだが・・・)」






    「(ていうかなぜここでダー様(あの人)リスペクト・・・・;)」








    「成る程・・・ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの言葉だな。」
     フム







    「「(って、元ネタ本当に偉い人だった!!

     そして名前長っっ(なっがっ)!!!!!)」」





    大人しく清聴しつつも、胸中にて即座に突っ込みを入れる者も
    数人いる中、やはりマイペースな笑顔を崩さない彼女は、
    肉厚なカツを一口サイズに分断しつつ構わず言葉を続ける――





    「ここまで好き勝手やらせてくれて、
     おまけに思う存分腕を振るわせてくれる“自由な大洗女子学園(このガッコー)”が・・・
     私達は本当に、、心の底から好きなんだ。

     もし隊長や他の人から見て私達のこれ(▪▪)が普通の
     行動に見えなかったとしても・・・、、もしくは
     超過労働(オーバーワーク)に見えちゃったんだとしても。


     “私達にとっては”これこそが愛して止まない『自由』なんだよね」






    「・・・・・・・・・・」





    「学園艦一周レースだなんていう最高に素敵で馬鹿げた
     イベントにもノリ良くOK出してくれる学園長とかさ・・・、、

     どれだけ戦車を無茶苦茶転がしても文句を言われないし、
     レストアも整備も自由にやってイイチームだなんてさ・・・・

     本当に夢のような話なんだ。
     
     それこそ毎日の放課後、一分一秒だって惜しいくらいにね~」
     ニヘラ~・・・





    「・・・ツチヤさんや・・・皆さんの気持ちは確かに分かります・・・ 

     でも、流石に幾ら楽しさに時間を忘れるとは言っても・・限度が・・・・・」






    そう、彼女以外の自動車部員3人共が3年生である現状、
    彼女がこのメンバーと思う様青春を謳歌出来る日々は・・・






         ―――必然的に限られている。







  19. 19 : : 2016/09/19(月) 22:55:12









    「だからさ・・・・こんな夢のような大洗女子学園を
     2回も廃校から救ってくれた隊長には・・・・・


     ううん、私達全員を引っ張ってくれた隊長には、
     言葉に出来ないほど感謝してるんだ。、だから・・・・

     
     今年(いま)だけでもこんな無茶を見逃して欲しいんだよね。


     ほら・・・、私コレさぁ・・・来年は一人で皆の戦車診な....
     



    彼女の笑顔そのものは一切曇る事無く、

    その顔から持ち前の明るさだけが抜け落ちていくという
    不思議な温度変化をツチヤが見せた直後、やはりここで.....







    「はぁ~いはいはいハイ。。。(Σパンパン)みんなお喋りもいいけどねェ~・・・

     箸止まってるよ~。早く食べなきゃ折角の揚げたてカツが
     冷めちゃうじゃン★  今日は特別日程っていうのもあるけど・・・


     通常日と違って振り替え休日扱いで授業が無いんだから、
     時間は有効に使わなきゃ~。。ねぇ>?」ズズイッ





    場の雰囲気が一気にトーンダウンする前にと、絶妙なタイミングで
    横槍を刺し込む、生徒会長・角谷杏。





    ・・・それと同時に思い出したように、
    本日の時間割日程を反芻するあんこうチームの面々。






    「そっか・・・・、、試合に必死で忘れてたけど・・・皆、退艦準備で
     引き払っちゃった荷物をまた戻さなきゃなんだよね・・・・」





    「私生活の荷物は放課後に何とかするとして・・・・

     先ずは学内ですよね。とりあえず戦車一式がいつも通りの場所に
     揃っていたものですからすっかり忘れてましたねぇ・・・・;」






    「それでは・・・食事も終わりましたし皆で手分けして
     そちらに着手します・・・?」チャッ・・・  (Σパム)
     ☆ゴチソウサマ☆







    「華さんあの量をもう食べ終わったの!!?」ギョッ







    「え・・・えっと、皆さんなにやら話し込んでいるようでしたので
     その内にと・・・。。」^^;?





    「どんな胃袋してんのよ・・・あなたのチームの砲手は・・・・;」






    「・・・・しかし授業が無いのか・・・・

     みほの日常をもっと間近で見られるかもしれないと
     内心実は少し期待していたのだが・・・・」ゥウム・・・






    「お姉ちゃんはあくまで転校生扱いだからね!?

     もし平常どおりだったとしても授業参観とかはできないから!///」





    「(そもそも学年も違うしな・・・・)」ファッ・・・
     イマニナッテ ネムケガ・・・









    「っふふん、そゆ事~~。。

     さて、じゃあ3年生である まほおねぃさんにはちょち
     生徒会室の荷物移動とか手を貸してもらおうかな。

     西住ちゃ~ん?おねぇさんちょっと借りるよ~」





    「いえ・・・あの、私に“借りるよ”と言われても・・・・;(困)」






    「・・・ぁア、構わない。転校生扱いとはいえ・・・・


     一時的に厄介になっている立場で意見するつもりなど無い。
     私で手伝える事があるなら何でも力になろう」






    「素直にそういってくれて助かるよ~。。っじゃ、

     私らは取り合えず行こっか...、、と、

     西住ちゃんの方、副隊長さん頼んじゃっていいかな。

     
     ・・・お姉サンはともかく、そっちは特に手続きとか聞いてないけど・・・

     まあ、今日は皆忙しくてそれどころじゃ無いだろうし、
     別に普通にお客さん扱いでいいと思うんだょね」





    「他校の偵察行為自体は禁止されてないので・・・・
     そういう事にしちゃっていいんじゃないですか・・・?;」オズオズ・・





    「!、、成る程、それでいっか☆

     んじゃまあ、そういう事で・・・好きなだけ偵察してってよ。


     じゃっ、また後でね~~」ヒラヒラ






    「ふんっ・・・・  ...偵察ぅ?


    そんな事して何の意味があるって言うの。

     ・・・・・・時間の無駄よ。」モグモグ。。。 






    吐き捨てるように毒突くものの、同時に頬張っているのが
    大好物である為か、そこまで機嫌が悪そうな顔は見せないエリカ。




  20. 20 : : 2016/09/19(月) 23:02:35







                ~数時間後~



             ―大洗女子学園・生徒会室―







    「予算案の書類とか・・・さっさと捨てずに保管しといて
     本当に良かった・・・・;」ハァァァ....↓↓





    「桃ちゃんが一番捨てられない病ひどかったもんねw

     “これは私達の青春と血と汗と涙と鼻水の結晶だ~~~”って
     言いながら抱きかかえちゃったりしてね」ウッフフフ♪






    「青春以外の要素、、、特に入れる必要ないよねぇー。」







    「ぁっ・・・あの時は・・・!!本当に学園艦(ここ)へはもう二度と
     戻ってこれないと思ってて・・・!!それで・・・・!!!」ウルウル・・・








    「ぁあ~・・・ヨシヨシヨシ。いい子だから泣くな河嶋。

     いつも居ない人だっているんだからみっともないトコ見せない」
     スリスリ






    「ク~~ン・・・・」シュン・・・






    「ここに居る三人は・・・・やはり最もこの学園に対して
     強い思い入れがあったのだな。・・・・試合の後、本人から
     直接聞かせて貰った。



     そして礼を言わせてもらおう。
     妹が・・・、、みほが再び戦車道を続けようと決意できたのは・・・


     大洗女子学園生徒会...とりわけその会長である..

    「  ・・・・・それはちがうよ。   」






    「っ」    「!」






    唐突にまほの言葉を遮るようにして言い放つ彼女()の声色が
    明らかに真面目な言を交わす際にしか使われないものである事を
    いち早く察した二人は、背筋を正してその場に固まってしまう。





    「お礼なんて・・・・そんなの言われていい立場じゃ無いんだよ。


     私は・・・西住ちゃんには語りつくせない感謝こそあるけど・・・

     それ以上に、泣いて謝ったって気が済まないくらい、、、
     申し訳ない気持ちの方が強いんだ」









    「・・・・それは・・・・何故だ?すまないが・・・・
     そちらの言いたい事が今一つ見えてこない。

     みほには・・・戦車道をまた始めるきっかけをくれたのは
     生徒会による科目の追加と、それを一緒に続けたいと思えるだけの
     友達が出来たからだと聞いたのだが」






    「そうだよ・・・・、、その通り。。


     西住ちゃんが戦車道に戻ろうと思い直してくれたのは・・・
     あの時一緒に居た、あんこうチームの砲手と通信手の子・・・
     あの二人のお陰でしかなくて・・・・


     私は・・・私がした事と言ったら単なる脅迫でしかなかった・・・・」







    「っ・・・か、会長・・・・!?ちょっと・・・・」





    普段の彼女なら絶対に見せないような思い詰めたその眼差しに
    ただならぬモノを感じると、思わず身を乗り出して
    いつもの陽気さの欠片も見せずに葛藤する彼女に詰め寄る
    河嶋、小山の両名。





    「会長っ・・・幾らなんでもそれは考えすぎです・・・!」



    「そうだよ・・・!確かに一度は香道を選択しかけたりして
     あまり乗り気じゃ無いように見えたけど・・・結局なんとかこうして・・・」












    「“あまり・・・乗り気じゃなかった” ・・・・??
     小山にはその程度に見えてたのかい・・・?残念だけど私は・・・・


     あの時の西住ちゃんが・・・どれだけこっちの道に戻る事に
     抵抗を感じてたか・・・あの目を見るだけでイヤと言うほど理解できたよ。


     マジ魂抜けちゃってんじゃないかって目ぇしてたし」



  21. 21 : : 2016/09/19(月) 23:07:28








    「・・・・・・・・・・・」







    「...それを理解できていながら・・・・それでも西住ちゃんを
     利用するしか無かったんだ・・・・私は。。

     それも、
     重圧を感じさせたくないとかいうこっちの勝手な都合で、
     戦車道履修制を急遽復活させた理由を途中まで説明する事も無くね」







    「 だから私は 」




    ギュッ・・・





    「っ」




    不意に自らの手に重ねられた杏の小さな両手に
    少々の驚きを隠せず身を引くまほ。





    「まずあなた(▪▪▪)に謝っときたい。。


             ゴメン・・・本当にゴメンねお姉さん。。。」







    「・・・。。;」




    自らの手を握り、項垂れながらその様に謝罪する彼女が
    誠心誠意申し訳のない気持ちを口にしているのは
    間違いないと理解できているまほだったが・・・



    しかしそれでも 





    「・・・・済まないが・・・・そこまで説明を受けてもまだ・・・

     何故私が謝られているのか・・・皆目見当が付かない,,,」




    その場で気まずそうにしているのは寧ろまほの方であった。




    「何故って・・・そんなの・・・当たり前じゃないの・・・、、

     西住ちゃんは・・・戦車道がイヤでイヤで…そこから逃れるため『だけ』に
     戦車道が無い大洗女子(うち)を転校先に選んで・・・


     家から出て、一人暮らしまで始めたって話だったんだよね・・・・?

     ソレを無理矢理引き戻すような真似したんだよ・・・この私が」






    「成る程。。それで罪悪感を感じて・・・と言いたいのか」フム。







    「・・・・・・・」






    声にこそ出さないが最早それ以上言葉は不要であるとばかりに
    ただ俯く杏。











    「・・・下らないな。」







    「「「  !?!  」」」






    「・・・・その様な小さなことを気にする性格だとは思っていなかったが・・・


     ぁあ、実に下らない。   そこに至るまで、みほが・・・・


     その周囲を取巻く“何か”にどれだけ苦しめられようと・・・



     結果、みほはああして共に笑い合える仲間を勝ち取った。」







    「・・・・・・・・・・・・・・・」






    「黒森峰の重火力を・・・ひいてはこの私を退ける程の戦友と呼べる
     素晴らしい仲間にも恵まれた。・・・無論その中には
     今私の目の前に居る三人も例外なく含まれて居る訳だが・・・・」







    あまりに迷いの無い眼差し、堂々とした口ぶりに
    返す言葉も無い生徒会の三人。





    そして・・・・





    「大事な事だけ言わせて貰おう。


             ――“西住流”を・・・あまり舐めないで頂きたい。」





    何を臆する事があろうかと、ただ当たり前のように
    語り続ける西住まほ。



  22. 22 : : 2016/09/19(月) 23:11:05








    「あの子は・・・・
     私にとって一番の誇りでもあり、誰に対しても胸を張れる
     自慢の妹だ。その程度の逆境にあっさりと潰されるほど・・・・


     みほの精神は決して脆弱ではない。


     戦車戦で指揮をとっている様を間近で見たことが無いのか?


     あの子の中に眠る“本能”は・・・・この私以上に豪胆そのものであり、
     どんな苦戦を強いられても決して戦局を放棄することは無い。


     本来家元を継ぐ素質を比したならどう考えても私ではなく
     妹の方だった」






    「・・・・・・・・・・・・・・」






    「・・・・しかし、そうならなくて本当に良かったと・・・
     今ならこうして言葉に出来る。


     みほには・・・みほらしい戦いが許されるこの場所こそが
     最も相応しい。これほど恵まれた環境は・・・黒森峰に居ては
     決して辿りつけない境地とすら言えるからな」











    「・・・・こりゃどうにも・・・・・参ったね....;」







    実の妹に望まぬ苦行を強いてしまった償いとして、
    土下座でも何でも行うつもりで居た杏は、そのあまりにも
    予想外な返しにどう反応していいのか、ただ立ち竦むのみだった。





    「・・・・・ただ流石に所有する車両に関してはお世辞にも
     恵まれているとは言えないが(溜息)」ハァ..=3






    「っ・・・仕方が無いだろう!!!こっちは永く手放しだった
     戦車道チームを急遽再編するだけでも一苦労だったんだぞ!!」ムキィ!!






    「そうだよね~・・・;考えてみれば倉庫に保管されてたⅣ号...
     
     それも含めて“あの数”から学園艦中を捜索してやっと
     今のフルメンバー8両まで見つけ出したんだもんね・・・・」







    「それも動くかどうかすら絶望的な状況からね~・・。。」







    「投棄されていた戦車をあそこまで修繕出来たのは勿論、
     そのような寄せ集めの車両に未経験者を乗せてよもや全国を
     目指そうとはな・・・・とても信じられない。


     まさに黒森峰(わたしたち)とは対極の存在だな・・・」








  23. 23 : : 2016/09/19(月) 23:30:25





    「・・・初めて練習試合を組む直前にレストア済んで
     皆が好き勝手外装いじり倒した戦車を見た時の西住ちゃんも・・

     きっとそう思ったンだろね~・・・・  腹を抱えて笑ってたから」





    「改めて・・・そういう意味で私からは礼を言いたいくらいだ。

     西住の敷居に囚われたままのみほでは・・・ああして
     掴み取った“みほだけの戦車道”を見つける事など
     決して叶わなかっただろう。

     そして、例え無理強いであったとしても
     “切っ掛け”さえ与えられなければ・・・そもそもみほが
     “戦車道”に踏みとどまることも同じ様に無かった。」






    「・・・・いくらお姉さんにそう言われてもね...

     私が自分の目的の為に西住ちゃんを無理矢理利用した事実は
     何も変わらない...。。コレばかりは結果オーライとは言えないよ・・・」







    「・・・・・そうか・・・・、、まあ・・・しかし。

     肝心なのは、その後ろめたさを本人がどう受け止めるか、


     ・・・・という事だろうがな。




               みほ、お前はどう思っているんだ?」








      ガゴッ






    「「「    !!    」」」






    生徒会室内で窓際に立つ杏の方を向いたまま、戸の向こう側で
    息を潜めていた妹へ話の矛先を向けるまほ。



    直後に、虚を付かれたことによる驚きで背を預けていた壁に
    肘をぶつけて飛び上がるみほ。










    ガチャッ......     ギィ。。。、、




    「すっ・・・すみません!!!あの、

     盗み聞きとかするつもりはなかったんですけど・・・!

     会長に聞きたい事があって・・・その・・・、、」






    「いや・・・・いいよ、遅かれ早かれ・・というより
     私がここに居られなくなる前に(▪▪▪▪▪▪▪▪▪)ちゃんと
     言わなきゃいけない事だったんだしねー...。

     
     ・・・で、どこまで聞こえてたかな西住ちゃん。。?」







    ・・・・・・・・・・・・・・





    暫しの沈黙が挟まれ、
    対プラウダ戦で一時撤退の後、篭城を行った時、

    若しくは再び学園艦退去の危機が迫った際に彼女が見せたのと
    遜色無い程に真っ直ぐで誠実なその瞳を前に、

    どう返していいか困惑し、視線を泳がせるみほ。



    元来人見知りが激しく、大洗戦車道チーム内に於いても
    試合などを終えた後に締めの音頭を求められるなどした場合には
    口が回らなくなってしまうみほであったが、それを抜きにして考えても


    今目の前に居る生徒会長である“角谷杏”には
    表層からだけでは読み取れない部分が多すぎた為、
    未だその幼い顔から放たれる普段の気楽さの欠片も感じられない
    眼差しは容赦なくみほの逃げ場を塞いでいる。





    みほがどう言葉を切り出そうかと逡巡する様子を見て
    暫しの間は静止していた杏であったが、





    御互い黙っていたところで勿論話は前に進まない。






  24. 24 : : 2016/09/19(月) 23:33:19







    「その様子だと全部聞こえてたって事でいいね、・・・

     聞いてた通りだよ。私はどうしても謝りたかったんだ、、、


     西住ちゃんに・・・。。今の結果がどうであっても、あの時の
     申し込み用紙の希望からして西住ちゃんが心から
     望んでいない道を強要しちゃったのは間違いなく私の...

    「そんな・・・・謝られても私困ります、、

     大体、会長は嘘を言っていた訳でも・・
     まして私を脅していた訳でもないんです・・・・;」






    「・・・・・・」






    「もし私があの時、華さんと沙織さんの抗議に甘えて
     戦車道から目を背け続ける決断をしてしまっていたら・・・

     定員の関係から言っても高い確率で大洗女子学園が
     解体される事が全国大会の段階で決まって・・・

     遅くても八月には私達全員、“ここに居られなく”なってました」






    「・・・・西住ちゃんね、、、、、少しはマシになったかと思えば

     あんた本当に相変わらずだよね..」








    「・・・・・?は・・・はい・・?」







    「今“定員”っていったけど・・・。知っての通り例え西住ちゃんとⅣ号搭乗組が
     丸々戦車道チームに居なかったとしても、数の都合で
     エントリー不可なんてことは無かったよ・・・・。。


     けど。    

     ――“西住ちゃんただ一人でも”ここに居てくれなかったら・・・
     私らは問答無用で今も陸の廃校舎に詰め込まれて

     どこかも分からない転校先を振り分けられるのを
     ただ待つだけの生活を送ってた・・・ 丁度今頃ね。」






    「・・・・・・;」






    「西住ちゃんの事だから、全国優勝も・・・
     大学選抜に勝てたのも・・・・全ては皆の力が合わさっての事だって
     言うんでしょ。


     それは間違いじゃないよ。事実皆が皆、よくやってくれた。
     全国決勝の出だしだって・・・ありゃ後々から映像見ても明らかに
     初っ端からⅣ号的にされてたからね,,, ティーガーⅡの火力なら

     あれ一発で私達の希望が断たれてた可能性だってあった...

     ・・・・・誰一人大洗戦車道チーム(ウチ)に役立たずなんて居なかったよ。」







    「それでも・・・・・・西住ちゃんが居なきゃ間違いなく
     私達全員が泣き寝入りだった。誰に聞いても
     その事実だけは動かない。  

     結局さぁ・・・私ら全員、西住ちゃんに救われたんだよね。」



  25. 25 : : 2016/09/19(月) 23:47:07





    戦車道履修の無理強いを行った事に対するせめてもの
    謝罪を行わないことには前に進めないという決意すら感じられる
    杏の真摯な眼差しに、強張った肩の力と同時に軽い溜息を
    吐き出すみほ。




    そこにあったのは冷静さを欠いた平時の彼女の顔ではなく、
    試合中に幾多の死線を涼しげな顔で切り抜ける、
    敵味方共に畏怖の念を覚える不敵な彼女の(それ)だった。




    「・・・・=3

     正直、最初は生徒会の皆さんはただ怖いだけの人たちだなと
     思っていて・・・、、でも直ぐにそれは間違いだって分かってから、
     会長さんにはもちろん、戦車道を続けないといけない現状に
     不満を感じたりする事なんてこれっぽっちも無かった・・・・。

     
     ・・・理由は簡単です。

     
     私たちが全国大会に出場する事の真の理由を知る前から
     皆さん本当に頑張ってくれてましたから。」






    「それだって結局さぁ・・・出場の理由を正直に話しちゃえば
     重圧感じてビビッちゃうかなって思った私達が黙ってたから
     そうなっただけなのかもしれないよ。」






    「・・・・大事なのはそういうところじゃないんです。


     元々“西住の戦車道”を教え込まれる上で私の中には・・・

     戦車道というものは“勝つことこそが全て”であって

     そもそも楽しんで興じたりする物ではないと・・・

     母親からも徹底的に教え込まれた末にそれこそが
     戦車道における唯一の掟のようなものだと思い込んで
     しまっていました」


     



    「西住の戦術は王者のそれだ。勝つのが必然であり、
     もとより負ける事を・・・まして逃げる事など考えてはいない。


     たとえ戦略的撤退と言う形で退く事があろうと、
     それは反す刃としての吶喊で確実に相手を返り討ちにするための
     布石でしかなく、常に確実な勝利のみをおさえに行く。

     私も・・・みほと同じく、そういう教えを受けてここまで来た。
     みほの気持ちは誰より理解できているつもりだ・・・」




    まほの言葉に頷きながらも、みほは杏に対して
    自身の正直な気持ちを打ち明け続ける。








  26. 26 : : 2016/09/19(月) 23:53:13






    「そんな私の目の前で・・・

     戦車の動かし方も、乗員数も知らないだけじゃなくて、
     何の戦術的優位性(タクティカルアドバンテージ)もないくらい気ままな
     カラーリングや思い思いの外装に飾り立てた戦車に乗って
     喜んでいる皆を見たあの時・・・・


     『ああ、今までとは本当に“何もかもが違う”んだな』って・・・


                   ――私はそう思ったんです。」






    「・・・・・・・・・」









    「思えばそれが全ての始まりで・・・つまり私と一緒に戦ってくれる
     仲間が本当にどこにでもいる、戦車戦の初歩も知らない皆であると
     実感できたその時が・・・・

     私にとっての、本当の“私だけの戦車道”を見つけた瞬間だったんです」

     








    「・・・・つまり西住ちゃん本人も・・・

     お姉さんとおんなじ事言いたいってワケ...;」






    「はい。会長がどうしても私に戦車道を無理に
     続けさせてしまった負い目を感じてるなら・・・

     その謝罪は素直に受けます。
     それならそれで・・・・私はそれ以上の感謝の気持ちを
     こうして会長にお返しするだけですから」ギュッ・・・・





    「っ――――!!」






    「「  ファッ!!!?  」」





    「    っ    」






    その、あまりにも唐突に過ぎる全力抱擁に
    桃、柚子の両名のみならず、まほですらも我が妹の
    起こした挙動(アクション)に身を乗り出して驚愕してしまう。






    「っに・・西住っちゃん・・・・ちょっト」
      





    流石に身長なども考慮した上で、杏が二回ほど学園艦の危機を
    救われた際の喜びを表すのに行ったような、飛びつく程の抱擁
    (一部の俗語では“だいしゅき((大好き))ホールド”とも呼ばれる)

    ・・・ではなかったものの、普段からのみほの振る舞いを考えた場合
    誰もが驚きを隠せなくなる程のストレートな感情表現に、
    さすがの杏も自身が人に見せる両方の顔を維持できず、
    不覚にもその胸中に烟る焦りを露見させてしまう。





    「私が戦車道を続けようと決意できたのは・・・・

     またここに足を踏み込む勇気を掴み取れたのは確かに
     華さん、沙織さんのお陰です。


     ・・・・けど、その先でこうして今まで考えた事も無かった
     “私だけの戦車道”に出会うことが出来たのは・・・・

     どんな理由があったとしても、大洗に戦車道チームを
     立ち上げた会長さんたちのおかげなんです。


     本当に・・・・   本当にありがとうございます・・・っ!」

     ギリギリ・・・・・・






    フォッ(ちょっ)・・・ニフィグヒャ(西住ちゃん)・・・・・グウ"ヒッ(くるしいっ)・・・・」
     ムギュゥウゥ....



     Σパンパン!!!





    互いの身長から見た密着部位の関係と
    見かけに反し、並々ならない身体能力と同時に起伏の著しい
    身体つきを有しているみほの全力を込めたベアハッグは
    本人の意思とは裏腹に、容赦なく杏の呼吸の自由を奪い去る。




    姉以外の人間には恐らく一度も行った事が無いであろうという位の
    力強い抱擁と同時に、昂る己の感情で視覚、聴覚に蓋をされ、
    背中にたたきつけられる杏の小さな手にも気付かずに
    熱烈な抱擁を続けるみほ。



  27. 27 : : 2016/09/20(火) 21:20:41









    「っぉ、おい西住!!会長が窒息しかけてる!!!お前の気持ちは
     分かったからとりあえず放せ!!(ぅ、羨ましい!!)」
     バッ




    「“あの”みほが・・・ここまで他人に自分の感情を
     直接伝える手段を用いるとは・・・(羨ましい...!)」





    「あっ・・・その、すみませんつい・・・!!!;(パッ)

     でも私・・・本当に会長にはそういう意味でとっても感謝してて・・・

     この学校で誰よりも大洗女子学園の事を
     大事に思ってる人だって事もちゃんと知ってるし・・・・

     ・・・・それになにより・・・」







    「・・・・・・・・」

     





    「私、会長には・・・いつも通りの会長で居て欲しいんです。
     

     真面目な会長もかっこよくて頼りになってとっても素敵です。


     ・・・・でもやっぱりそんな会長だからこそ・・・卒業まで
     いつも通りの会長で居て欲しいです・・・っていうのは・・・

     私の勝手なお願い・・・なんですけど・・・・ぁの、ダメ・・・でしょうか」
     オドオド・・・・





    「・・・・・・・ぅ~ん・・・・・」ポリポリ





    今目の前に居るのが先刻までの物怖じ一つ無く自らの
    意見を口に出来るみほではなく、いつも通りのどこか頼りない
    後輩に戻っている事を悟った杏は






    「まったく・・・・皆して卒業卒業ってさ・・・

     そういうしんみりした話はヤだから出来るだけしないで
     欲しいとこなんだけどねー..」




    普段あまり人前で見せない己の感情を吐露する。




    「・・・・・」トン...




    「・・・ん?」





    自分の気持ちを素直に口にしながらも
    自らの振る舞いをいつもの調子に戻した杏だったが

    その直後、思わぬ者に肩を叩かれる軽い衝撃に
    小首を傾げて振り返る。






    「どれだけ楽しい一時だろうといずれ終わりの時は来る。
     それに今のみほ達なら何も心配せずに後を任せられるだろう。

     ただ順番が回ってきただけの事だ。私たちの、な」






    先程自身の卒業に際しての話を途中で遮られたのを
    しっかり覚えていたのか、若干の憂いに沈む杏を元気付けようと
    したのは・・・その場に居た者の中では一番意外なまほであった。





    「・・・・別に後を任せるのが心配とか
     そんな立派な事考えちゃいないよ・・。ただ・・・・」
     ガサガサ。。。









    「ただここに居られなくなるのがちょっぴり寂しいと思った。


     ・・・・・それだけなんだよね。」もグッ・








    部屋の中に居る誰にも見えない方へと体の向きを変え、
    何かを誤魔化そうとするかのように手元の干し芋を頬張る杏の声は、
    顔が見えていなくても分かる程度に。


    且つ、気の所為かいつもより少しだけ







    ―――何故か少しだけ“嬉しそうだった”






  28. 28 : : 2016/09/20(火) 21:22:25









    「・・・・・・・そうか。 ならついでに言わせてもらうが・・・

     互いに・・・今居る学校を出たからといってそれで終わる訳ではない。

     
     卒業してからも戦車道を続けるというのなら当然―・・・」






    「・・・意外だなァ・・・、、、西住ちゃんならともかく・・・
     お姉さんからそういう言葉が出てくるっていうのは・・・・
     こりゃけっこー意外だったょ...。


     ・・・でもそれはどうかな。」







    「・・・・・・?」







    「私はさ・・・大洗女子学園(このがっこー)を潰させない為に
     戦車道履修制を急遽引っ張り出しただけなんだ。



     ・・・たとえばこれが学園存続を考える上で最も評価されるものが
     華道だったり茶道だったりしたら.....


     なんて、さすがにその先は・・・言わなくても分かるよね?」






    「会...長....」





    「・・・・・・・」




    「こんな血も涙も無い言い方したいわけじゃ無いけどね。。

     誤解がない様に一応は言っておくょ

     私にとってはこの学園を...今まで辿ってきた中で
     一番退屈しなかったこの学園での日々を守り通す事が
     出来るんだったら・・・・別に“戦車道でなくたって良かった”」





    嘘偽りの感情は欠片も感じられない杏の言葉が・・・・
    その場に居る全員、取り分けみほの心に深く突き刺さる。




    「・・・・・学園の存続を検討する上での活動実績で
     なんで一番評価されるのがよりによって"ウチに無い"
    戦車道なんだ~~・・・って
     
     考えるだけであったま痛かったくらいだったしねー。。。。


     まあ、数年後に世界大会の誘致を控えてる現状じゃ
     そうもなるだろうけどさぁ」







    「・・・・・で、、でも会長・・・あの・・・・

     そうは言っても三人とも車体の知識だってそこそこ・・・・」






    「そりゃー必死こいて調べ倒したんだょ

     その辺に関しちゃ私より河嶋や小山の方が頑張ってくれたけどね。


     
     ・・・流石にさぁ、“戦車道始めるぞー!”って言い出した
     張本人の生徒会(うちら)が戦車の事何もわかんないなんて・・・


     そんなのマズいっしょ?」








    「桃ちゃんが一番苦労したよねぇ・・・・;」
     シミジミ・・・





    「む、無理ないだろう!!!///我が校が元々戦車道の
     盛んな校風だったのは頭に入っていたが・・・・

     まさか私達の代でこうして復活させる事になるなんて
     考えてもなかったんだ!!!(砲塔が回らない戦車があるなんて知らなかった人)」

  29. 29 : : 2016/09/20(火) 21:28:39







    「そんなこんなで・・・まあ学園が廃校を免れるなら・・・って一心で
     私らも必死だったんだよ。正直なところ言っちゃうとね・・・・

     悪いけど戦車道を楽しもうなんて余裕は・・・・殆ど無かったかなァ」ムグムグ







    「・・・・・・・・」







    噛み千切った干し芋を咀嚼しながら窓際に向けていた顔を
    みほの方へと向け、その表情を暫く無言で眺めていた杏だったが...








    「・・・・そ~んな顔しないでょ西住ちゃん。(ペシペシ)

     今言ったのは・・・あくまでも、最初のうちは・・・って話だからさ、、


     なんだかよく分からないけど、私も・・・河嶋も・・それに小山もだけど。
     やってるうちに結構楽しくなっちゃってさァ..戦車道(コレ)。」





    これ以上みほが消沈するのを見るのも流石に気の毒に思えたのか、
    現状自らが“戦車道”に抱く素直な気持ちをあっさりと打ち明ける。







    「っ・・・・・!!!  あの・・・じゃあ・・・・・!」






    「うんうん。折角廃校も無くなったんだしさ、
     最後の公式戦とか気にしないで、私ら居る間までなら
     練習試合でも親善試合でも組みまくって楽しくやろーよ。


     ...黒森峰(おたく)もそれくらい頼めば快諾してくれるでしょ?」








    「・・・・ぁあ。そういうことなら是非も無い....


     ただし、その『次』があったとしてそれが大洗にとって・・・果たして
     “楽しい”試合になるかどうか。その保証はできないがな」ッフフ
     ゴゴゴゴ・・・・・

     




    「っ・・・・・・・・・!」
     パァァ......!







    「(ぁ~ぁ~・・;こんなに嬉しそうな顔しちゃってまぁ・・・)

     ・・・・、、あれ、そぃえば西住ちゃんさ。」チョイチョイ








    「は!・・・っはい!なんですか!!?」ビクッ







    「西住ちゃんが生徒会室(ここ)まで来た用事って・・・何だったけ?

     確かなんか・・・聞きたいことがどうとか」








    「ぁあ、!そうです、そうでした・・・!


     私ったら、すっかりそれを忘れてました・・・」
















  30. 30 : : 2016/09/20(火) 21:30:29











    「――模擬戦をやってみたい??」
     モッチャ モッチャ ))







    「・・・―――はい、そうなんですけど・・・」






    「そんな事・・・一々会長に確認しにこなくても、
     実質我が校で唯一の戦車道経験者であるお前にその辺の事は
     一任されてるはずだろう?」






    「・・・・・つまり、その西住さんがわざわざ聞きに来るって事は・・・」






    「なんかそのへん普通の練習試合とかじゃ無いって事なのかな」





    「ぇえ・・・・;あの・・・そのまま伝えますけど冗談とかじゃ無いので・・
     一応そのつもりで聞いてください・・;
     ダメだったらダメと言ってくれれば私がなんとか場を治めますから・・・」
     ヘコヘコ





    「・・・??」











    ・          ~諸事情説明中~
     












    「はァァ!!!???  馬鹿を言え!!!!1両対7両の校内試合だと!!

     “連中”は正気なのか!?!!」Whats!!?







    「いぇ、あの・・・全車相手取るとは言いましたけど
     正確には1対5です・・・;

     我々あんこうチームは・・・というか私の判断でⅣ号は
     不参加にするつもりです。それから会長達カメさんチームも
     参加しないんじゃないかと思って・・・,,,」






    「馬鹿な事をっッ!!!!  そこまで舐められたら上級生としての
     示しがつかんだろうが!!私は出るぞっ!!いいですよねっ!!??

     ねえ会長!!!????!」ガバッ!!!!





    「桃ちゃん...;上級生って言っても、“彼女達のチーム”も
     一人除いて全員三年だよ・・・・^^;」






    「へぇぇ・・・・・自動車部・・・いやさ、レオポンさんチームの皆が
     そんな面白そうな事を・・・・」






    「ええ、ぁの・・・・エリカさんと何か黒森峰のことについて
     話し合ってるうちに言い合い・・・というかエリカさんが一方的に
     怒鳴り始めて・・・・。。。


     最終的に何故か(▪▪▪)レオポンさんチームのポルシェティーガー1両で
     大洗(ウチ)の所有する全車を相手に全て撃破できたら、
     レオポンさんチーム全員で“黒森峰に一日遊びに行ける”権利を
     もらうんだ・・・・って話になって・・・・;


     すみません、私にも何が何だか状況がさっぱり読めなくて・・・」







    「あ~・・なるほどねェ・・・・・レオポンさんチーム・・

     じゃなかった、“自動車部”が黒森峰に行ってみたい理由って
     言ったらそりゃもう・・・思い当たる理由はそんなに無いか・・・うん、

     まあ先方がそれでイイって言うんならイんじゃないかな」




    そこで何故か先程の呼称から一転させて
    “自動車部”の名前を出した事に何かしらの意図があったのか・・・



    自らが与り知らない筈のやり取りを見透かすような笑いを
    不敵にも浮かべる杏。





  31. 31 : : 2016/09/20(火) 21:34:00








    「えっ。。  会長はレオポンさん達の要求になにか
     思い当たるフシあるんですか?!」






    「そんな大した理由じゃ無いよ。どうせ今までも校内試合中に
     多かれ少なかれ破損した戦車の修繕とか全部自動車部頼みだったんだし・・・

     それくらいのわがままなら全然オッケーだよ~」ヒラヒラ






    「かっ・・・会長!!!我々も勿論ヘッツァーで打って出るんですよね!!!」






    「河嶋ぁ~・・・・ちょっ、、、ち頭、冷やそうか・・・・」ツイッ





    「っ!!」ビクッ






    その顔面に張り付いた“笑顔”は確かに屈託の無い
    笑顔ではあった・・・・。しかし、自身の額に人差し指と同時に向けられた
    “その笑顔”から、言い表しようの無い畏れをおぼえた桃は、
    肩を跳ねさせて萎縮する。。。







    「西住ちゃんの独断であんこうチームを不参加にするって
     のはつまり・・・・


     ――その試合さぁ・・・、まだ何かある(▪▪▪▪)でしょ」






    「・・・・結論から言いますけど・・・

     レオポンさんチームからは唯一の試合条件として、

     “戦車道連盟の掲げる公式戦ルールにおける
      全ての一般規則(レギュレーション)の適用を無効にして欲しい”と・・・・

     そういう話になってます...つまり
     レオポンさんチームの皆さんが言いたいのは」







    「・・・・“なんでもアり”ならたとえ私ら『全員』相手でも
     負ける気はない...と」モグムシャ・・・ 






    「・・・・規制(レギュレーション)無視でいいならセダン並みの
     乗り心地を“戦車”で実現できると断言する自動車部の皆さんが
     そう言ってるんです。


     ・・・私はあの人たちがそういう冗談を言わないの知ってますから..;」






    「、、んなるほろね~・・・(ゴクンッ)

     こりゃ私も西住ちゃんに一票かなぁ・・・私も
     『レオポンさんチーム』がそう出るなら・・・今回は大人しくしとこっかな」






    「ンなっ・・・!!?!?これだけあからさまに見下されているのに
     その上尻尾を巻いて逃げるんですか会長!!!!」クワッ






    「はいはい、落ち着いた落ち着いた。(ポムポム)

     河嶋ね・・・、こればっかは西住ちゃんの言う通りだよ。


     まずさぁ・・・・うちらの活動ってそもそもの話
     幾ら助成金が出るとはいってもね・・・

     練習のたびに掛かる砲弾(タマ)代に加えて、戦車動かすだけで
     洒落にならないくらい燃料代も掛かってる訳だけど・・・

     そこに“練習中”うっかり壊しちゃった戦車の修繕費用まで
     かかってくるとなるとコレ実はかなりギリなんだよね・・・・」






    「・・・・・いえ・・・・それはまあ・・・私も生徒会で
     戦車道チームをやりくりする上での仕事がありますから
     知ってます・・・けどそれが一体・・・・」





    「・・・あのね、“その辺”の切り盛りは実質
     修理を全部任されてる自動車部(レオポンさん)の匙加減に
     掛かってるといっても言い過ぎじゃないんだよ。



     ・・・しかも学園長との学園艦レース(例のアレ)で勝ち越してるおかげで
     レオポンさんチームの自動車部用にあてがわれた部費のボーナス分が・・・

     最近全部“ポルシェティーガー(レオポンさん)”の改修費用につぎ込まれてるンだよねぇ」







    「そ・・・それは。。。。」






  32. 32 : : 2016/09/20(火) 21:37:58







    「わっかんないかなぁ・・・


     西住ちゃんの警戒はまず間違いなく的外れなモノじゃないって事。


     今の『レオポンさん』は・・・・既に私らがデータベースを
     漁ってなんとか調べた結果判明したような・・・

     “激レア失敗戦車”なんて呼ばれる代物じゃ無くなってる。。そういうコトだよ。


     おまけに整備や修理の途中で足りなくなった部品ね。
     履帯みたいな消耗品や、改修キットを除いたら・・・
     
     旋盤加工で造ったり(▪▪▪▪)してるからね、あの子達。」






    「っ・・・・・・(絶句)」





    「あの・・・大学選抜前に一回ポルシェティーガーの車内を
     見せてもらったことがあるんですけど・・・・


     明らかに後付で用途不明なスイッチ類に加えて謎の(ボタン)の数々...
     それから何の制動に使うのかも分からないレバーまでもが
     増設されてました。。。


     会長の仰る通りで...あの車体は既に私達の知ってる
     “ポルシェティーガー”では無い・・・・そんな気がするんです。。。」






    「(ゴクッ・・・)」






    「・・・・つまりさ、コレだけの短期間で、
     幾ら局地戦続き、それもほぼ西住ちゃんの機転頼りとはいえ
     戦車道ズブの素人から全国までのしあがった私達全員も
     相当な変態といっていいくらいな訳だケド。


     ・・・その中でも、一番ぶっとんでる(▪▪▪▪▪▪▪▪)のは間違いなく
     レオポンさんチーム(あの4人)なんだよね。」






    「会長も言ったけど・・・・そんな彼女達には本当に
     皆助けられたし・・・・;何といっても私達全員が毎試合ボロボロに
     やられても最後まで進めたのは・・・

     “動ける戦車”をいつでも整備して仕上げてくれた
     自動車部のおかげだもんね・・・・」






    「そーそー。


     沸点低い河嶋のことだからはやる気持ちを抑えるのも
     難しいのは分かるけど・・・ここは一つ冷静になってよ、ネ。」

     ホシイモ ヤルカラサ ノシ





    「わ・・・分かりましたよ・・・・会長がそこまで言うなら...
     (モショモショ..)

     しかし会長・・・、自動車部が勝利した場合の条件はそれで
     良いとして・・・それでは反対に大洗5両チームが勝利した場合・・・

     そちらの勝利条件はどうするんです?」






    「~~~・・・そだね、そのへん何か無いとモチベーションに
     欠けるよねー,,, 西住チャンは聞いてないの?そっちの事」








    「・・・そうですね、特にこれといって・・・・」







    「じゃあ・・・やっぱり現金10万円分の...(チラッ)
    「「「それ喜ぶの会長だけですから」」」キッパリ







    「ちェーー...

     じゃあ、何がいいっていうのさ~・・・・」ブーブー






    「さぁ・・・何と言われても・・・・;」





    「そもそも人数が人数だしな・・・。」





  33. 33 : : 2016/09/20(火) 21:42:45


    「・・・とりあえず・・・、そういう事なら早いところ
     試合の成立だけでも伝えに行くのはどうだろうか。


     皆、みほがこうして伺いに来た結果報告を待っているのだろう」
     フム。





    「そっか・・・・、、そうだよね・・・!じゃああの、
     とりあえず行きましょうか・・・、、

     会長達も一応観戦はするんですよね」







    「んー、そりゃ勿論ねぇ。ヨシ、じゃ行こっか!」
     スック





    「~~どうにも締まらんな、、、」
     ガチャッ・・・





    「まあまあ。別に賭けるものなんてなくったって、
     それだけで“戦車道”の練習にはなるんだから・・・」






    「エリカにもたまには他校との交流をもっと積極的に
     視野に入れて欲しいと思っていた所だしな。

     ・・・そう考えればこちらとしては願っても無い機会だ」







    「・・・・・・・・・・」





    一同揃って生徒会室を退室する間際、





    柚子と桃、それから自らの姉3人による、
    以上のやりとりを視界の端で捉えていたみほは、
    その場の誰よりも神妙な顔で、一人静かに思案していた。






    「(戦車道の・・・練習。。。本当にその程度で(▪▪▪▪▪)済めばいいけど・・・)」






    数十分後、その警戒がまるで勘違いでも・・・思い過ごしでも、

    ・・・はたまた考えすぎという事も無く。


    的の真芯を射たかのように的中するとも知らず...





    全員はそのまま生徒会室を後にした。























           ―大洗女子学園・学園艦上・演習場―








    試合の場として選ばれたのは・・・



    ・・・とは言ったものの、選ぶまでもなく
    学園艦の中で他に戦車戦の練習試合に相応しい場というものが
    無い事から、普段戦車道履修組が練習に使用しているフィールド全域を
    指定して行われる事となった。


    ・・・しかし、その敷地面積は艦上の一部とはとても
    思えないほどに広大で、丘陵部・植林部・平野部に加えて


    様々な悪路走行なども想定して、その環境が再現されている。




    繰り返しの説明となるが・・・



    その全域はとても船の上に存在して良い世界ではない。







    「いいわね!!? 幾ら“ティーガー”の名を持つ車体とは言え
     相手は失敗兵器たったの1両!!!

     対してこっちは寄せ集めの有象無象とはいえ5両!!

     作戦もへったくれもなく勝てて当たり前の試合よ!!!」







              「とは言ってもね~・・・」




         「うん・・・・・“あの”レオポンさんチームだよ」




              「絶対何かあるって・・・」



       「しかもその上“何でもアリ”の変則ルールなんでしょ~」




               「何それこわ~い☆」



       「大丈夫だよね・・・?何かビームとか撃ってこないよね」




     「戦車でも蟹走りドリフトくらい平気でやりそうだから困るぜよ」









    「戦車でカニドリフトなんて出来る訳無いでしょ!!!」カッ!!!
     バカナノ!?アホナノ!?





    「黒森峰の副隊長さん・・・おはんは彼女達が
     どれだけ人の理から外れた存在か知らんからそう言えるぜよ」





    「ウム…。。正直西住隊長を筆頭にするなら二番目に敵に回したくない組だ」






    「・・・・・・・・・・・・・・」





    「左様・・・。勝ち戦か、負け戦か、

     そんなことはこの場合問題ではない。


     私達がこれから討ち取ろうとしているのは
     捨て奸を決意した島津一派も同然・・・


     そう心得て然るべきだ。」






    「言い得て妙、、だな。舐めてかかれば確実に
     こっちの首が飛ぶことになる。」





  34. 34 : : 2016/09/25(日) 22:43:28








    「随分と買い被るわね・・・たかだか失敗兵器相手に。」









    「・・・・さて、一概に“失敗作”と言いきれるものだろうか?」






    「ぁあ・・・。

     その“失敗作”が敢行した決死の座禅陣に進路を阻まれて・・・

     大将首同士の一騎打ちに惜しくも馳せ参じる事が
     敵わなかった近衛ともあろう者がな・・・」チラッ







    「ウッ・・・うるさいわね!過去の戦績に残した汚点は決して
     見逃さないわ・・・・!

     それを帳消しに出来る成果で上書きしてやる・・・
     ただそれだけの事よ....!!  (ギリッ)」





    「(まったく・・・本当にこんな瞬間湯沸かし器のような
     性格で副隊長が務まるものなのか・・?)」






    「それに・・・だ。"失敗作"の判を押されたのも精々開発当時..
     それもテスト時の話だ。

     エンジンからの発電機駆動で戦車を動かす等と言う
     発想は・・・言ってしまえば当時では先取りし過ぎだった。
     ・・・つまり時代が早すぎたんだ。。


     しかし今日(こんにち)の技術、ひいてはレオポンさんチームの
     魔改造にかかればバッテリーの追加、非力だった元の発電機からの
     換装などで従来とは比べものにならない機動力も既に手にしているだろう」






    「・・・確かに前回の試合で冗談みたいな速度を叩き出しては
     いたけれど・・・!;  直後に炎上なんかしてたらギャグにしか
     ならないわ」フンっ






    「しかし狭いな・・・・いや、最早現実的な事を言ってしまうと
     定員の4人でも充分狭いⅢ突の車内にもう一人居れば
     窮屈に感じるのも当然か・・・」ギュゥゥ・・・






    「つまり今この車内には事実上の不可能を可能にする
     不可思議な力かなにかが働いているという訳だな・・・」
     ゥウム・・セマイ






    「文句を言わない! 半身出してるんだからそこまで
     窮屈じゃないでしょ」ビッ






    「心なしかいつもより加速に冴えが感じられないぜよ(頑張れⅢ突)」
     ガゴッ....






    「戦車の乗員が一人二人増えた程度でそんな差が出るかっ!!
     軽貨物じゃないんだから!!」 





    「戦車というより突撃砲だからどちらかというと自走砲だがな」





    「・・・・で、どうする副隊長殿。おそらくというか・・・
     どう考えても奴さん方(レオポンさん)は前方1200(ヒトフタマルマル)先の森の中に居るとしか
     思えない訳だが」




    自動車部(レオポンチーム)とどういった衝突があった末の苛立ちかは
    その場のカバさんチーム全員も与り知らないところであるが、
    何かにつけてつっけんどんな対応が目立つエリカ。




    エルヴィンの伺いに言われずもがなという勢いで舌打ちを返すと
    喉元のマイクへと手を添えてがなりたてる。






    「言われなくてもそれくらい分かってるわよꐦ!!


     
     Ⅲ号突撃砲(隊長車)から各車へ!
     全車、一列横隊からⅢ号突撃砲(隊長車)を中心に鶴翼陣形を展開しつつ前進!!!
     目標が身を隠す前方の植林地帯を囲い込む形で進みなさい!!



     対象を見つけ次第並走車両と連携を取りつつ直ちに発砲!!
     他に伝える事は何も無いわ!!!!



     奴らに物量戦の何たるかを教えてやるのよッ

     蹂躙してやりなさい!!パンツァーフォーーꐦ!!!」ビッ










    「「「「「(西住隊長の号令と同じものとはとても思えない・・・)」」」」」



  35. 35 : : 2016/09/25(日) 22:48:12








    一同揃って、胸中にて溜息を吐きつつも怒りと殺意にギラついた
    前進の号令を受けて指令通りの進路を取る大洗5両チーム。



    指令の通りに展開するのは左右端から突出して
    中央に向うにつれて遅れて前進する形が鶴の翼を広げる様に
    見えたことから名付けられたと言われる“鶴翼の陣”。



    本来ならば防御においてその真価を発揮する陣形であるが、
    この物量差であるならば包囲さえ完了してしまえば後は
    文字通り袋の鼠。そう判断したエリカは何の気後れもなく、当該陣形で
    ポルシェティーガーを仕留めにかかる。





    圧倒的有利に思える条件下でありながら、
    その実エリカ一人を除く誰もが完全に乗り気にはなれず・・・




    ・・・その先で待ち受けると思われる(▪▪▪▪)獅豹(レオポン)の底知れぬ恐怖に
    心を揺らされているのか、はたまたそれが単なる戦車の前進に伴う
    振動であるのか、それすらおぼつかない心境で前進してゆく....。。。









                ―???地点―



             ~ポルシェティーガー車内~






    「いや~~・・・正直“全員でいいよ~”は流石に
     調子に乗りすぎたと猛省してたけど・・・Ⅳ号に加えて
     ヘッツァーまで外れてくれたのはマジラッキーだったね」





    「ほんとほんとw

     西住隊長が居たらこっちの位置分からなかったとしても
     なんかやられちゃいそうで超おっかないよ~・・・」






    「おっ・・・・見えてきた見えてきた!

     やっぱ『あっちだと思う』よね~。。。このまま進んでもらって
     森の中に入りきっちゃうのを待つのもアリだと思うけど。。。

     どうする>?」





    「それじゃオモシロくないっしょ~♪

     今回私達はあくまで、“勝つ為”だけの試合をしてるんじゃなくて・・・」





    「そだね~~☆

     やっぱこういうのは楽しんでなんぼだよね~♪
     っじゃ、行っちゃおうかな~~??とりあえず何両か『潰すまで』には
     一発も貰うわけに行かないから・・・“例のアレ”効かせたまま

     もうのっけから出力30ヨクトで張っちゃうよ。」ガチンッ

     フヒィィィ・・・・




    「了~解。 徹甲弾と榴弾をぶつけたときの理論値は
     まだ出てないけど・・・、、 ま~シュルツェン代わり位にはなるでしょ」





    「ってー訳で、いつでもいーよ~、ホシノ☆」





    「っせーのっꐦ」ガコンッ・・・
     フー..オモイオモイ=3




    「ほい来た」ガチャッ・・





    「テスト無しのぶっつけ本番になっちゃったけど・・・

     どーせ公式戦じゃ使えもしないんだw精一杯暴・れ・る・ぞっ」
     ガゴンッ  ギュラララッ・・・・






               「「「☆Oh!!!!!☆」」」






    大洗5両チームの神妙な雰囲気とは全くの真逆に。



    どこまでも陽気に、
    そしてどこまでも無邪気に戦いへ赴かんとする獅豹(レオポン)の咆哮が、
    大洗の空の彼方まで爆轟の如き砲火を響かせる。





    彼女達にとっては“驚喜なる試合”の始まりを告げる祝砲にして―――



    ――――大洗戦車道チーム在籍の多くの者にとって
    簡単に払拭できない“狂気なる悪夢”の始まりを告げる
    突撃喇叭(とつげきラッパ)にすら聞こえるその一発を。









  36. 36 : : 2016/09/25(日) 22:52:55









                ―観戦エリア―









    「始まりましたっ・・・・・・・!;  けど・・・・・あの・・・・」







    「ぅん・・・;  ちょっとまって、今のアレ・・・・

     私のコンタクトの度がおかしいとかじゃ・・・無い・・よね ;」
     シパシパ





    「え・・・??!アレ・・・・ちょっ・・・・今のっ・・・・ていうか
     
     ・・・・岩場エリアのど真ん中からいきなり砲声が・・・・・」





    どの様な形で戦いの口火が切られるのかと
    演習場全体を見渡せる観戦台で、とりわけ植林エリアを中心に
    光学望遠鏡などを用いて注視していた一行の中、



    肉眼でフィールド全域を捉えていた沙織、そして
    優花里が驚きを隠せずに言った。






    「多対一での各個撃破を定石とするなら森以外無いと
     踏んでいたが・・・・中々どうして常識を覆してくるな。


     流石みほの殿(しんがり)を我々の7両から守り抜いただけの事はある。



     (・・・・しかしここから一体どう立ち回る・・・・?岩場を囲まれて
     しまえば流石に地形を利用しても以前の様には行かないぞ)」








    「しかし凄いです・・・・あの短時間であそこまで岩場に似せた偽装(カモフラージュ)を・・・・!?」







    「いや・・・流石にレオポンさんチームでもそれは無いと思う・・;」






    「では・・・アンツィオ高校の皆さんがやっていた『アレ』みたいな
     ものでしょうか・・・?」






    「ぅうん・・・。それもおかしいよ・・・だって、私達の方向からでも
     完璧に地形(フィールド)に溶け込んでるから
     光学望遠を使ってやっと見えるくらいなのに・・・


     隊列を組んでる皆の方もまだ誰もレオポンさんに照準を
     合わせられないみたい・・・・。

     いくら外れたとは言っても陣形の一番端にいて
     砲撃を向けられたアリクイさんチームからは
     一キロも無い位の距離なのに・・・・。。 


     こっちからも、向こうからも全然見えてないって事だと思う」










    「・・・(ゴクッ)一体何事ですか・・・

     ぁっ・・・ポルシェティーガーが移動を開始しましたよ!!」






    「本当に岩が動いてるみたい・・・・」







    「って・・・動いたと思ったらまた止まっ....







    そこまで言いかけた沙織の言葉を境に・・・・
    その場でポルシェティーガーの挙動を逐一注視していた
    一同の言葉は・・・暫しの凍結を余儀なくされてしまう。




    呼吸する事すら忘れてしまいそうな程に開け放たれた、
    その口を綺麗に全員で揃えながら。。







                ―――消失。









    無限軌道による土煙の巻き上げも発生しないような
    低速の車体移動からすぐさま動きを止めると、まるで
    何事も無かったかのように・・・岩場の景色からその姿をそのまま
    切り抜かれたかのように消え去ってしまうポルシェティーガーの
    シルエット。



  37. 37 : : 2016/09/25(日) 22:57:56









    「・・・・・消えました・・・・

             消えましたよね・・・・今・・・・!!?」







    「何よアレ・・・・・!!」






    「・・・・・・・・・・・・・・・・」








    驚きを隠せないのはその場に居る全員において例外ではなく・・・
    どんな状況にあっても冷静さを失わないまほですらも
    見渡す先で起こった超常現象に眉根を寄せて静止してしまっている。







    「お姉ちゃん・・・アレ...は・・・・・・?」







    「・・・・・・すまないが・・私の知識の中にも最新鋭の型を含めて
     あのような偽装効果(カモフラージュ)機能を搭載した戦車などは・・・」





    勿論、そのような戦車、“事実上は”存在するはずが無い。







    「最新鋭・・・・  。。。。  !


           ま・・・まさか・・・・屈折偽装式可変迷彩・・・・!??」







    ここでなにか口にするのも面倒な程に長い名称を思い出して
    望遠レンズを覗き込みながら固まる優華里。








    「・・・・初めて聞く呼称だが・・・・それは一体
     どういったものだ・・・?読んで字のまま理解するなら・・・

     何らかの迷彩(カモフラージュ)技術の一種だとすぐに
     察する事が出来るが・・・

     そんなものは聞いた事も無い」







    「ええ・・・・それもそのはずで・・・・

     この技術は未だ某国の非常に先進的な軍事技術として
     ごくごく秘密裏に試作段階で開発が進められている最中で・・・
     

     “一部”の国に流出したものなどを除けば
     まだ実用化の段階まで昇華していない技術なんです・・・・・!;」
     ゴクッ・・・








              「「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」」







    「・・・なるほど、そりゃ驚きの新技術だぁ・・・・って言うか・・・」





    「ぁあ・・・・;問題は技術そのものの存在よりも」






    「うん・・・・、、どこでゆかりん軍事機密(そんなこと)まで調べてくるの・・・・?;」







    その場で暫し全員が沈黙した後、流石に突っ込まずには
    いられなかったのか、杏や桃まで全く理解できないといった様子で
    後輩の謎知識に疑問を投げかける。







    「それは勿論・・・・内緒ですよ!!;
     何せ軍事機密ですからね・・・。大々的に情報の入手元を
     公表等してしまえば私の身の安全が保障できません」






    「ぅう・・・・ん、、、、既にそういう問題じゃ無い気も
     するけど・・・・」







    「しかしそれは・・・具体的にどういった原理で働く迷彩効果だ?
     名前からだけでは今一つ推測が難しいな」







    「『可変迷彩』の名が表す通りで・・・周囲の風景や密着した地面の
     質感をスキャンしたのち、金属かゴム質か、何れにせよ
     どういったものか想像も付かない新素材の表面に投影、

     同時に素材の起伏などまでも再現してその場に溶け込む質感を
     瞬時に偽装する。。。そういうものだという触れ込みですよ・・・;

     光の屈折を利用した偽装効果でもある為どの角度から見ても
     違和感が無いとか・・・・。


     正式な固有名称は未だ決められていないとのことですが・・・
     一部ではさながらタコが発揮する非常に優れた擬態に
     酷似している事から“オクトカム”の名称で知られてもいます」
     オホゥ・・・ス・・スゴイ・・・





    測距儀(レンジファインダー)を覗き込み、興奮に背筋を
    丸めながらおおよその説明を行いつつ、その先の景色に見入る優花里。






    「え”っ・・・タコさんって擬態とか出来るの・・・?」





    「出来るも何も・・・タコの擬態はカメレオンとかの比じゃないぞ。
     種類にもよるが形まで変えて輪郭を偽装する上に変色は一瞬だ。」




  38. 38 : : 2016/09/25(日) 23:03:47






    「しかしやはり流石にその技術を以ってしても履帯(あしまわり)までは
     カモフラージュの範囲外みたいですね・・・。成る程、
     それで岩などの起伏を利用して履帯を隠すのに利用した訳ですか・・」






    「・・・でも流石に動きながら色を変えるっていうのは・・
     できないのかな?」





    「それが出来なくても・・・・アレだけ一瞬の間に
     再現度の高い偽装ができるなら・・・例えそのまま動いても
     充分相手の距離感を崩せるよ・・・・・!」





    「しかしこれは当然の事ですが・・・
     一発でも砲弾を受ければどうなるのか、その辺りの耐久性には
     疑問があります。・・・間違いなく通常の装甲とは比較にならない程
     デリケートなはずですから」






















               ―Ⅲ突車内―





    「こっからじゃ良く見えんが・・・どうもアリクイさんチームから
     一番近い位置にお目見えしたようだな・・・

     副隊長殿、見晴らしのいい場所からの目視ではどうだ」





    「っ・・・・・;!!!」


     


    車内より肉声で語りかける砲手・左衛門佐の声が聞こえているのか
    はたまた居ないのか・・・

    歯軋りを行いながら遠方を見やるエリカの表情から察するには
    彼女が敵影を未だ掴めているようには見えない。







    「三式チヌ!!こちらからでは砲声しか確認できず!!!

     そっちで敵の姿は抑えられたの!!!?応えなさい!!!」






    [こちらアリクイチーム...!砲撃の音と大体の
     発射位置は分かったけど、肝心のレオポンさんが

     どこにも見えないずら・・・・!!]





    [ボク達の右側面だから・・・・(オドオド)]






    [岩場のどこかに居るのはほぼ間違いないぞな! けっ・・・けど・・・・(ワタワタ)]






            [[ [ッボガッ]] ]

       ッ・・・・   ドォォォ.....ッン!!!!!!!!






    [ひっ・・・・ひぃぃ・・・・!!!被弾!!直撃!!!もうダメぽ!!!!!!]









    「落ち着きなさいッ!!!敵の位置は掴めたの!!?

                  それだけでもいいから応答を!!!!」








    [それが見えたらこっちも撃ち返すぞなもし!!!]






    [っっ・・・・!!?  まっ砲火(マズルファイア)確認ッ・・・、、]






            [[[  ゴ ガ ンッッ!!!  ]]]


                 ドォォ ン。。。。。。。






    [判定装置作動っ・・・・む・・・無念なり・・・・・!!!!;

     最後にチラッとだけ砲火は見えたっ・・・ケド・・・けど・・・・!!!!!(ガクガク)]


     




    「敵は見えたのね!!?おおよそどの辺りか・・・!

     現在移動中かどうか、進路を含めて言いなさい!!!」







    [見えたけど・・・っ!!見えたけどみえなかった(▪▪▪▪▪▪)ずら!!!
     辛うじて見えたのは“砲火そのもの”だけで・・・・!]






    [あの偽装効果・・・きっとステルス迷彩か何かに違いないッ・・・!]





                [ガコンッ・・]




    [ハッチから表に出ても・・・・もうどこへ行ったのか見えない・・(プルプル)]






  39. 39 : : 2016/09/25(日) 23:08:56









    「ッ・・・・・(舌打)!!!!

     なんだって言うのよ・・・それだけの距離まで寄られて
     見えないなんて・・・・乗員の視力に問題があるんじゃなくて!!?」
     キイッ!!!






    「・・・・いや・・・
     確かにアリクイさんチームは三人ともネトゲ廃...(ゲフン)=3
     重度のゲーマーだし、約一名は人相すら激変するほどの
     瓶底メガネをつけているが・・・・しかし」





    「砲手のぴよたん殿は裸眼でも充分な視力があった筈」





    「一人妙ちきりんな眼帯つけてるのだって居たじゃない!!

     そこの砲手のあなたも何で常に“そのスタンス”なの!?

     邪王真眼なの!??砲手なら遠近感がどれだけ重要かくらい知ってるでしょ!!
     両目ともパッチリ開けて索敵に尽力しなさい!!!」
     マジメニヤリナサイヨ!!ꐦ







    「(黙秘...)

     して、この後どうする副隊長殿。

     三式撃破なれど敵影つかめずとくれば・・・

     こちらも88mm相手に下手な動きを見せる訳に行かないぞ」






    「どうもこうもないわ!!

     Ⅲ号突撃砲(隊長車)よりB1bisへ!!ꐦ三式が岩場のどこかから
     砲撃を受けたわ!!詳細は分からないけれど目標からは
     現在一番近い位置に居る筈よ。

     行進間射撃はまず無い!!向こうは確実に停止射撃で
     こちらを狙っている筈・・・・!同時に此方では確認していないが
     かなり見ずらい色にペイントされている可能性がある・・・・!


     それらしいものを見つけ次第副砲も交えてとにかく
     砲弾をばら撒きなさい!!まずは相手の位置を掴むのよ!!!」







              ―ルノーB1bis車内―
     
     



    「こちらカモチーム。了解、 進路を岩場に向けて右旋回。
     引き続きレオポンさんの捜索に努めます」
     






    「早速一両墜とされたわね・・・・

     やはり常日頃から速度超過を繰り返す彼女達はそう一筋縄で
     取り締まれるものじゃないわ・・・・!気合を入れ直すわよ!

     ゴモヨ!!パゾ美!!!!こっちも法規を破る覚悟を決めなければ
     勝てる相手じゃ無い!」グッ






    「法規も何も・・・戦車道に制限速度とか無かったと思うし・・・」





    「そもそも私達が今やってる模擬戦自体・・・何でもアリの
     変則ルールだし・・・・」


  40. 40 : : 2016/10/04(火) 00:00:44





    「いずれにしてもやることは一つ!

     私達戦車道チーム全体の和を乱す自動車部を私達風紀委員三人で
     これ以上一両の犠牲も出さずに撃破するのよ!

     黒森峰の副隊長とどういうやり取りがあったのかは知らないけれど
     西住隊長が戦列に加わっていない以上この場の秩序を守るのは
     私達ry...




            ッッ ドォォォッ・・・・・ ン!!!!





    発砲からさほど遅れず聞こえた砲声は・・・
    つまりそれだけの至近距離への接近を許した事を意味していた。




    しかし、やはり初弾は車体よりやや外れ、
    近場の地表を派手に爆ぜ穿つ。



    正確な有効射程というものは運用状況により都度変わりゆく為
    実のところ“これこそが有効である射程”というものが
    明確に言い切れないのは戦車に限らず全ての実弾兵器に
    言える事であるが・・・・


    その距離は間違いなく“貰えば一撃で終わる”距離であり、


    カモさんチームことB1bisからすれば反対に未だ
    寄らなければ有効打となる一撃を放てない距離であった。



    ・・・・・尤も、車体中央に備える射軸固定式の主砲で目標を
    捉らえられたならその限りではなかったが―― 。






    「来たわね!!!!!;カバさんチームへ、岩場エリア0076地点にて
     目標と接敵!!細かい車両位置は特定できないけど
     砲撃の音と弾道から予測して、凡そ私達から2時の方向!!


     ゴモヨ!!索敵を第一に射線をずらしていくわよ!!不良(ぱらりら)走法でこのまま前進!!!」







                 ~Ⅲ突車内~





    「どうやらカモさんチームはレオポンさんに当たりをつけたか。

     こっちも早々に駆けつけるとするぜよ」ガゴッ


     ガガガガ.........






    「・・・・・しかし妙だな・・・・、、」








    一刻も早い味方との合流こそが最善手と言えるこの状況下で、
    顎に手を添えて訝しげな面持ちで唸るエルヴィン。



    現在丁度彼女らの搭乗するⅢ突は
    先程ポルシェティーガーの急襲を受け、
    敵位置を把握できずに88mm砲の強烈な洗礼をもらう事となり、

    その結果判定装置(白旗)を突き立てて黒煙を烟らせている三式の真横を
    通過しようかという地点にいた






    「あなた達には戦車道の定石(セオリー)というものがあまり良く分かって
     無い様だから・・・私もそう思ったのは単なる考えすぎだと
     思う事にしていたけど・・・・


     身内のあなたもそう思うならこの違和感は間違いでは
     ないのかも知れないわね」 






    「何がおかしいと・・・・?」





    神妙な顔で聞く左衛門佐に俯いたまま思案に耽るエルヴィンは答える。




    三式(アレ)を見ろ。砲撃の音と無線からその場の
     様子を想起するなら・・・・アリクイさんチームはポルシェティーガーの
     砲声に反応して車体の位置と同時に砲塔も旋回させて
     対面で応戦するつもりだったはずが・・・・

     一発目は外れ、二発目は着弾こそしたが88mmともあろう
     高火力でまさかの仕留め損ねを挟んで・・・・二発のヒントを得て
     よりレオポンの位置に見当がつきそうな段階へ来て・・・

     トドメが背後から ズドン だ。」





    「主として足回りに難があって日の目を見なかった失敗兵器とはいえ・・・

     “動き”さえ求めなければ、砲そのものの威力と防備の厚さは
     黒森峰(ウチ)のティーガー同様、重戦車でも
     『一応は』屈指の車両よ。


     三式の搭乗員をそこまで完璧に欺けていたなら
     制止射撃でゆっくり狙う余裕もあったハズ....

     その前の二発は明らかな無駄弾....」




  41. 41 : : 2016/10/04(火) 00:04:34







    どうにも腑に落ちないエルヴィンに続けてエリカも次第に
    レオポンチームの戦術にぽっかりと空く謎の穴に対し、
    次第にその警戒心を強めていた・・・・正にその時






    「・・・・・まさか・・・指向せ....





    ..... ッドォオン !!!  ゴガンンッ!!!




    何か言いかけたカエサルの言葉を遮る形で、
    今度は無線越しではなくカモさんチームへの合流に急いでいた為
    Ⅲ突メンバー全員に直接聞こえる砲声、、、そしてそれに次ぐ
    B1bisの装甲を抉り掠める重砲弾の轟き。






    「―――――ッ・・・・         

     Ⅲ突より“カモさんチーム”へ!
     直ちにその場から退き、本隊と合流せよ!!次を撃たせれば
     確実に取られる!!繰り返す、岩場周辺から直ちに撤退せよ!!!

     相手の目的はあくまでも各個撃破であることを忘れるな!!」




    咽喉(スロート)マイクへと素早く手を添えると、先程までの
    落ち着きの無い様子など微塵も感じさせずに声を張り上げるエリカ。

    まさしく鶴の一声と形容するに相応しいその指令が、
    何よりも規律を尊ぶ精神を胸に抱く風紀委員三人組を瞬時に制止させる。






    [カモチーム了解。追撃を警戒しつつレオポンさんから
    一旦距離を取ります!]






    「それでいい。応戦すれば確実に三式の前轍を踏む事になるわ。

     じき私達と後を追う八九式が合流する!それまで精々逃げ切りなさい!」







    「(ほう・・・中々どうして・・・統率の取り方も心得ているな)」






    「カモさんチームを確認したぜよ。 しかし・・・・」





    「本当にどこにも姿が見えんな・・・

     岩場に居るというのは確かなのか・・?」





    「砲撃があったのだからそこに居なければおかしい」




    「いずれにしてもあと2両。軽戦車だろうと中戦車だろうと
     数を揃えて歩調を合わせれば敵ではない。

     さっさとこんな茶番は終わらせて西住隊長と帰りたいのよ・・私は」
     フンッ・・・







             ~ポルシェティーガー車内~







    「あ~りゃりゃ、もう気付かれちゃったか、

     流石は黒森峰の副隊長。こりゃ“あっちむいてほい作戦”は
     続行不能だね~  どうする?」







    「~~んー・・・・まあ、一両潰せればいいんじゃないかな。

     まだこっちの位置は割れてないみたいだし」







    「オーライ、それじゃプランBで行こう。

     発煙弾・発煙砲弾よ~い」







    「そいッ!!!」ガコッ・・・・






    「今上どれくらい(▪▪▪▪▪▪)~??」





    「大分曇ってるね~」






    「オッケー、カムフラージュオートからマニュアルに。
     色は・・・・適当でいっかな。」





     キュウゥゥゥ....... ピシッ・・ピキ・・・






    「じゃー、いっちゃおうか。フルオープン一発(いっぱ~つ)♪」







  42. 42 : : 2016/10/04(火) 00:07:14








               ~観戦エリア~






    「(・・・よく相手の狙いを見抜いたな。 ・・・それで正解だ・・・エリカ)」






    「ここで見ていても少し気を抜くと見失ってしまいそうです・・;」




    「っ・・・迷彩(カモフラージュ)が・・・? !」




    「ッ!!!あ、あれは!?!?」ガバッ






    岩場エリアの一角にて、それまでの完全に場に溶け込む
    擬態を解き、全貌をくっきりと現すポルシェティーガー。



    そのカラーリングは完全に岩場でも浮いて見えるほどの
    明るいライトグレー一色。





    観戦している全員がレオポンチームのその意図を
    計りかねている間に戦局は急展開を見せる。






             バシュシュシュッ!!!!!!  ドフンッ!!!!




    車体の四方から無数の発煙筒を、砲身からは榴弾を
    大幅に改造して造られた発煙弾を放つポルシェティーガー。






    「あ・・・・あんな手の込んだ煙幕まで・・・!」






    砲身から放たれた一発の発煙弾は大洗チーム陣営のほぼど真ん中へと
    着弾し、周囲一帯に一瞬で濃煙のヴェールを展開させる。








                ――そして。。。











          ヒュゴォゥゥゥッ・・・・    ....ドウンッッ!!!!!










    「これ以上何しても驚かないつもりで居たけどさぁ・・・・;」





    「な・・・・な・・・・・なっ・・・・・・・!!!!」
     プルプルプル・・






    その場の全員が先程、姿を消したポルシェティーガーに
    絶句した時よりもショッキングな表情で固まる中、

    口に出さずには居られなかった杏に続いて桃が
    思ったとおりの言葉を呻くようにして..






    「ぉい・・・戦車って・・・そういう(▪▪▪▪)乗り物じゃないだろ・・・・・・・!!」

     





    呟く。





    ―――しかし彼女がそう言いたくなるのも無理はない







    「とうとう・・・・とうとう戦車が超えてはならない一線を
     踏み越えてしまいましたね・・・・;


     いえ、正直私、あまり驚いては居ないのですが・・・・

     でも映像としてのビジュアルはかなり衝撃的でした」ゴクッ・・・








    それは疑いようも無く、只々明らかな――







    「あれ・・・せ・・戦車が・・・・・;跳ん.....だの・・・・???今・・・」






            ――――飛翔。  




    ...否、




    呆然としながら呟く沙織の言葉から忠実に表現するならそれは、
    『飛翔』というより寧ろ『跳躍』に近いものだったのかも知れない・・・






    しかし何れにせよ疑いようの無い只一つの事実として――







    「戦車が・・・・飛んだ・・・・・・;」





    その場の全員とほぼ同じ顔で固まるみほの言葉が表す通り、
    やや明るめの曇天に溶け込む可変迷彩効果によって、

    履帯、転輪部分を組み合わせた無限軌道(あしまわり)部分のみ可視化されたポルシェティーガーが
    煙幕の雲海と化したエリカ達の隊列付近を颯爽と飛び越えていくという


    衝撃的映像が・・・・観戦エリアで模擬戦の様子を見守っていた
    まほ、生徒会(カメさん)チーム、そしてあんこうチームの全員の脳内に
    深く、深く刻まれる事となった―――





    尤も以上の事実を正確に理解できたのは、後方視点から
    ポルシェティーガーの超常的ともいえる迷彩機能を正確に認識した上で
    煙幕を張るレオポンさんチームの挙動を全て把握していた
    観戦組のみであったが・・・





  43. 43 : : 2016/10/04(火) 00:09:59








                ~Ⅲ突車内~






    「!!!?・・・煙幕弾か!?」






    「成る程・・・確かに砲弾の改造もレギュレーションには充分
     触れる禁止事項だったな・・・!しかし主砲の煙幕だけでなく
     車体からも相当ばら撒いてるなこれは」





    「――、煙幕が使用されたのは状況を見れば直ぐに察することが
     できたが・・・!しかし今はそれよりも――;!」






    「・・・・ぁあ、!左衛門佐の言う通り―・・・、、、!!

     たった今聞こえた“妙な音”――・・・ ありゃ何ぜよ!!!??」






    「分からん・・・・!ただ相当デカい音ではあったが・・・主砲で煙幕弾を
     放った直後、あの時間差で再装填が済んでいるとはとても考えられん!

     着弾の音もしないってところから確実にいえるのは
     今のアレは砲撃音じゃないって事だけだ・・・!」





    しかし、状況を整理する猶予も与えられることは無く・・・


    混乱に激震するカバさんチームと
    無言で思考を加速させつつもその頬に一筋の汗を落とすエリカの搭乗する
    三号突撃砲車内に響き渡った無線連絡は、正に彼女達にとって
    我が耳を疑う事実だけを一方的に告げる。






    [こっ・・・・こちらアヒルチーム!!!森林エリア付近にて
     

     いきなりレオポンさん(目標)と遭遇!!!!、、何とか根性で応戦しますが
     
     八九式じゃ流石に無理あります!!と、とにかく合流お願いします!!!!;]








    「何だと!!!???」






    「おいおい・・・・!!!さっきまであっちの岩場エリアにいた
     ポルシェティーガー(レオポンさん)がなんだって・・・・!」





    「とにかく緊急回頭ッ!!  状況の整理はひとまず後にして
     今直ぐ後衛の支援に戻るわよ!!!!!

     八九式なんて囮くらいしか能が無いんだから、
     単騎でぶつかられたって、百害あって一利無しよ!!!!」






    「何で正反対のこっちの隊列最後尾に居るぜよ・・・・!!?」ガコンッ



    ゴグン・・・・ッ・・   ギュラララッ・・・・・!!! 

     




    「足が速いとかってレベルじゃ無いわ・・・・・!

     
     何なの・・・・!??!あいつら一体何をした(▪▪▪▪)っていうの・・・・!?!」ギリッ・・・


  44. 44 : : 2016/10/05(水) 23:53:46






             ~八九式中戦車・車内~







    「こうなる事も覚悟してなかった訳じゃないけど・・・!」






    「流石に重戦車との一対一は重圧(プレッシャー)半端じゃないわね―― !!」






    「っていうか・・・今、レオポンさんどこから来たの・・・?!
     岩場の方でカモさんチームと交戦中って言ってたのに・・・」







    「とにかく今は目の前に集中ッ!!!」
     ガコンッ





    「とは言っても・・・
     これは根性でどうにかなる相手じゃ無いですキャプテン・・・!」






    アヒルさんチーム砲手を務めるあけびの発言通り、彼女達が駆る
    八九式中戦車の主砲である57mm戦車砲では、現在撃破目標として
    前方に立ちはだかるポルシェティーガーを相手取るには心元ない
    所の話ではなく・・・、物理的にその砲は威嚇程度にしか役には立たず、



    加えてそれが有効打に至らないと知り尽くされている以上は
    最早その用途にすら役立ちはしない。






    「根性でどうにかならない分はちょっとだけで良いから工夫!!!
     履帯を狙って行くよ!!!あけびッ!」






    ――そう、車体後部、エンジン搭載部分周辺などの
    比較的装甲が手薄な部分と並び、多くの戦車にとって
    最も稼動頻度が大きい為、当然そういった意味でも弱点となる
    “足廻り”を除いては――。








             ~ポルシェティーガー車内~







    「フぃ~~・・・大丈夫だった~?皆。舌とか噛んでなーい?」





    「一応なんともないけど・・・内臓の浮遊感半端ね―――!!w」





    「U○Jドリームライドとかの比じゃ無いね~~☆
     イヤ~~死ぬかと思った実際」アッハハ




    「着地補助のスラスターも上手くふかせたから転輪も履帯も
     何とか無事みたいだよー。」



    「けど着地点がマズかったね~^

     見事アヒルさんチームとバッティングしちゃったよ。
     向こうの主砲からして“装甲的には”大丈夫だけど・・・

     今は正直貰いたくないよね・・・このまま森に逃げちゃおう。」





    「だね~。直ぐ撃ってこないあたり完全に向こうも
     それ分かってると思うけど・・・・って・・あ。

     あの角度、絶対履帯狙ってるよ!全開全開!!」
     ガコッ





    「無線連絡で細かく伝達される前に『やっちゃう』よ。

     スズキ~、次弾 アレ装填お願いね~」







    「了解~。」










               ~観戦エリア~





    「残り4両の包囲をひとっ跳びで回避したポルシェティーガー(レオポンさん)
     植林エリア端でアヒルさんチームと接触・・・ですか。

     しかし、圧倒的に有利な状況であるというのに未だ車体を
     先程のように変色させたりは勿論、先制攻撃に移る気配すら
     見せません....。レオポンさん達には何か作戦とか・・・

     そういうのはあるんでしょうかねぇ..」





    「・・・・・・・・・」





    測距儀を覗き込みながら淡々と戦況を分析する優花里を脇目に捉え、
    未だに先程の衝撃的な光景に得心が行かず、顎に手を添えながら
    難しい顔をしているまほ。

  45. 45 : : 2016/10/05(水) 23:58:42








    「・・・どうだろう・・・。

     でもあれだけ普通の戦車に出来ない事が出来るなら・・
     普通に立ち回らなくても色々なやり方はあると思う。
     (軍神悪魔回路・絶賛フル稼働中...)

     ・・・・・優花里さんならどうする?」







    「・・・・・・(みほ・・・・お前はそれでいいのか・・・・;
     昔からどこか飲み込みが早すぎるというか細かいところをあまり
     気にしない性格ではあると認識していたが。。。これは最早才能だな..)」








    「  ふむゥ.... あれだけ高レベルの偽装で
     瞬時に身を隠せる上に・・・おそらくアリクイさんチームの背後を
     ああまで簡単に取れたのはエンジン駆動を一時的に切った状態で
     バッテリーのみで走れる可能性もあると思うんです。

     そこまでの隠密性を手にしているなら・・・やはりここは森に入って
     先に隊長車であり、司令塔でもあるⅢ突を真っ先に叩ければ...






               ・・・・――ドゥンッ!!!





    「あっ・・・!アヒルさんチームが撃ったよみぽりん!!」





    「奴らには根性しかないのか・・・?;」






    「完全に正対しているというのに・・・

     流石に八九式でティーガーの10cm装甲を抜けるとは
     本気で思っていないだろう」





    「だよね~。ただでさえ、前は傾斜装甲でその上
     “昼飯”をちゃんと理解して守りに徹する事もできる
     相手なんだから。

     アヒルさんチームが狙える勝機があるとしたら・・・多分
     私がプラウダの時にやったアレと同じヤツしか無いんじゃないかな」










              ギィィィッッ..ンンンン・・・・!    






    口々にもっともな見解を述べる一同の見渡す先で、
    その異音は鳴り響いた。








    「・・・・・うん?」






    「・・・・ちょっと待て。 何だ今の音は」





    人並みより優れた視力を肉眼でも発揮できるのか、
    森林エリアにてポルシェティーガーへ命中弾を放った
    八九式の前方で散った閃光をその眼に捉えて身を乗り出す杏と、



    聞いた事も無い奇妙な快音を耳にして訝しげな顔をする桃を除き・・・




    その場で望遠機器を覗き込み、かつポルシェティーガーを
    注視していた者だけが、声を出す余裕と瞬きをする(いとま)すら失ったまま

    今見たその光景が何かの間違いであって欲しいという心境で
    アヒルさんチームの次弾発砲を見守る....






                ッ・・ドンッッ!!!!








    砲身に弾道を考慮した角度をつける必要すらない程に
    接近した状態で発砲する、所謂“零距離射撃”。




    例えそれが“接射”であったとしてもポルシェティーガーに対して
    有効な打撃にならない事はアヒルさんチーム当人達は勿論、
    周囲の全ての人間が理解できていた。




    ――だから当然彼女達は獅豹(レオポン)(おもて)を強固に護る
    盾の如き前面装甲などははなから狙わず、
    最も砲撃に対して脆い履帯を狙った。



    照準は完璧だった。旋回を交えた全力疾走の最中、
    後方への主砲射撃で動く的を捉えるほどの命中精度を稀に見せる
    砲手・佐々木あけびによる精密射撃は間違いなくその位置を
    捉えていた....







    ....筈だった。



  46. 46 : : 2016/10/06(木) 00:04:07








    ッキィィィィィ.... ......ンンンン!!!!!!!





    数十メートルにも満たない至近距離における砲撃だった為
    発砲音に被ったことにより、アヒルさんチームの彼女達には
    克明に聞こえる事は無かったものの・・・・





    先程と同じく、見渡す遥か先で八九式戦車の砲身が火を噴くと同時・・・・
    辺り一帯に反響する、まるで金属バットが硬球を
    弾く音を何倍にも引き延ばしたかのような謎の快音。



    それ(▪▪)は砲弾がシュルツェンを掠めた音などではなく・・・・



    勿論ポルシェティーガーの前面傾斜装甲を滑った音でも無かった。




    そして望遠越しに何事も無かったように健在している
    ポルシェティーガーを注視している面々は、今度こそしっかりと
    その目で見てしまった。













    「ば・・・・"バリアー"ですよ・・・・!ついにレオポンさん・・・

     "バリアー"を張りました・・・・!」ガタガタ・・・








    「ちょっ・・・・ちょっと待ってください・・・・バリアーって・・・あの;」







    至近距離からの砲撃によって放たれた弾頭を空中で制止させ、
    直後あさっての方向へと容易く退ける、“見えざる壁”を。






    「見たまんまですよ・・・・!なんか・・“見えない壁”といいますか・・・

     あれはもうそう言い表す他に....」






    「アクティブ防護システムの一種..ではないのか・・・・;?

     いやしかし、あの至近距離で発射された砲弾を迎撃するものなど
     現代の技術では・・・・・;」ゥムム・・・
     






    優花里が“見えない壁”と形容したのは・・・・その“壁”が、


    ポルシェティーガーが砲撃を受ける前後には
    一切目に見えることが無く、砲撃に晒されたその一瞬のみ
    砲弾の衝撃に呼応するように現れる様を指して
    そう説明するのが適当であったから。




    淡橙色に明滅する幾何学模様の波形によって顕現した閃光の壁は・・・・




    当然アヒルさんチーム砲手として、最も神経を集中させて
    ポルシェティーガーの動向を注視していたあけびの眼にも、
    しっかりと刻み込まれていた...








             ~九八式中戦車車内~







    「なっ・・・ブロックされた!!!???」





    「っていうか何か光ってなかった今?!?」





    「こちらアヒルチーム!!;


     レオポンさんの有効射程からの離脱を図りつつ
     二発、履帯狙いで先制を打ちましたがっ・・・・・!!
     コースは完璧だったのに、、、



     車体に当たる事も無く(▪▪▪▪▪▪▪)何故か弾かれました!!!!」





    ッドォォン!!!!!






                「「「「!!!!」」」」





    撤退の足を緩める事無く、全速後退を続ける
    八九式車内から、訳も分からず今目の前で起こったことを
    ありのまま伝えようとする通信手・妙子の言葉の最中に
    高く、高く鳴り響く砲撃音。。





    「ぅっ・・・撃ってきたーーーッ!!!」




    「落ち着いて!!もしレオポンさんの主砲なんて喰らってたら
     掠っただけでもかなりマズいはず!!

     けど今のは全然違う方に撃ってた!!」





    「でもおかしくないですか!?今のアレ・・・・車体を段差に乗り上げて・・・
     限界ギリギリまで砲身を持ち上げて撃ってたけど・・・


     一体何処を狙って.....???!」







    次々と直面するものを混乱の渦中に引きずり込む
    獅豹(レオポン)の不可解な行動に
    すっかり意識を奪われていた妙子は、途中からやけに耳に付く
    ノイズを交えながらも、通信先のⅢ号突撃砲(カバさんチーム)の応答が
    自らの受信機側に届いていない事に


    ・・・その場で直ぐに気付けていなかった。




  47. 47 : : 2016/10/06(木) 00:09:42




                ~Ⅲ突車内~





    「いきなり戦車が別の場所に“跳んだ”と思ったら・・・

     今度は一体何事...




              ッ・・・・・ドォォォ...ン。。。。





    「砲声!!!丁度アヒルさんチームの方ぜよ!!」





    [[こちらアヒルチーム!!


     レオポンさんの有効射程からの離脱を図りつつ
     二発、履帯狙いで先制を打ちましたがっ・・・・・!!
     コース..完pk zz.....だっpz。。。のに ッ、、、



     車体にぁt/......ザザッ・・・・・・がガガッ・・・・・!!!!






    「ッ・・・?!?どうした!!?直撃を食らったの!!??
     咽喉(スロート)マイクの感度が悪いッ!!

     判定装置が作動していないなら再度送れ!!!」

     









                ~観戦エリア~






    「なっ・・・何々!!?今度は一体何!?」






    「車体を段差に乗り上げて・・・物凄い角度をつけて撃ちましたけど
     ・・・・一体何でしょう・・・?;大分高いところまで・・  あっ」





    「なんか砲弾が破裂して・・・中からキラキラしたのが・・・」






    「なんかくす玉みたいだね~☆」






    「姿を消し、隊列を飛び超え・・・砲弾をバリアで防いだと思ったら
     今度はパーティークラッカーか....


     あいつら一体何がしたいんだ・・・・!?;」






    「・・・・・っ!!   い・・・・いえ・・・・あれは・・・・!!!」↩





    「うん・・・!主砲だけじゃなくて・・・煙幕と同じで
     側面にもかなり広範囲にばら撒いてるみたい・・・・

     しかも森の中だから多分....」





    「――そうか・・・・隊長車との通信途絶・・・

     無線による連携を封じたいのなら・・・・
     レギュレーションを完全無視できる今、この条件下に限定すれば・・・
     隊長車の直接的な撃破に限らずそういう(▪▪▪▪)手もあったか・・・・・」









    ポルシェティーガーが放つ用途不明且つ、
    車体に命中させたとしても恐らく何も意味は無いであろう特殊弾。


    敵車両を狙う訳でもなく、砲弾内部に詰め込まれたと思しき
    輝く断片を広範囲に散布するようにして放った謎の砲頭(?)の正体を
    いち早く理解すると同時にその狙いを先読みする優花里・みほ・まほの三人。






    「あのキラキラしたのは一体なんなのみぽりん!!?」





    「あれは・・・・」






    「ひょっとして・・・大戦中、実際にレーダー妨害に
     使用された事があるとかいう・・・“チャフ”という奴か?」






    「ちゃふ??何その可愛い響き....」






    「冷泉さんの言う通りで・・・・恐らくこの状況で
     レオポンさんチームがああしてばら撒くものが有るとしたら
     “チャフ”しか考えられません。(かわいい・・のかな;)

     ただ本来の用途としては、レーダーの波長に合わせた長さに
     切った樹脂フィルムや、ワイヤー等にアルミを蒸着させたものを
     散布して、滞空している間だけそれらを撹乱する為のものです。


     無線に対してどれ程の効果があるのかは分かりませんが・・・


     しかし問題はレオポンさんとアヒルさんチームが今居る場所です。」




  48. 48 : : 2016/10/06(木) 00:12:50








    「場所って・・・森の中...だよね・・・・、、、あ。」






    「はい・・・!通常散布したチャフの飛翔体は、その全てが
     地表に落ちた時点で本来空中で発揮する妨害性を
     大分弱めてしまいますが・・・・・・

     御覧のとおり、今レオポンさんチームが居るのは森の中。
     上空に打ち上げられ、空中で飛散した飛翔体は落下の先にある
     木々に絡まり、その効力を半永続的に発揮するのではないかと・・・」








    みほ、そして優花里の説明を交互に受け、
    凡その状況を理解した沙織は、簡略的に現在の状況を
    再確認する。






    「つまり今・・・レオポンさんチーム含めて、
     全員無線が使えない・・・・ってことなのかな」





    「そうなるな・・・。最もレオポンさんチームは
     無線が使えなくても単騎だから何の苦労も無い訳だが。」
     ネムネム・・・




    「でもさ・・それって・・・・それって・・・・」プルプル・・・!!!!





    「・・・・?」





    「この模擬戦終わった後どうするの!??;

     あの森の辺り一帯無線使えなくなっちゃうじゃん!!!」





    「ま・・・まあその可能性は確かに捨てきれないですけど・・・」






    「・・・・・あ、それならたった今電話でレオポンさんチームから
     連絡来てねー。自然に還る優しい素材で出来た妨害フィルムだから
     心配ないよ~☆(朗)

     ―――だってさ。」






    「環境に優しいのか・・・。“害”って字が名前に入ってるあたり
     どうもそうは思えないが・・・・」







             ~ポルシェティーガー車内~







    「ぬっふふふ・・・真なる力を発揮したレオポンに対して
     通常兵器では役に立たんよ」クフフフ・・・







    「やー・・・・実験のしようがないから半信半疑だったけど・・・

     本当に滞空迎撃・・・っていうか普通に弾いちゃったねー・・・・」







    「・・・でもあんまり多用できないよ。

     30ヨクト常時展開だとこの距離でも機銃位しか防げないと思うし、
     57mm砲でも全開じゃないと完封はむりっぽいからね~。

     ぁあ、ホラ バッテリーすっごい喰ってる」





    「じゃあ、チャフも撒いた事だし、さっさと追加の煙幕で
     視界を潰してから・・・・先に八九式だけ頂いちゃおうかー」





    「そだね。  ごめんねー、、、アヒルさんチームの皆~~,,,」
     ガコッ・・・・





    「・・・?あれ、撃ってこないね・・・・っていうか砲塔が・・・・

     あっ。・・・・ちょっ!!ヤバイヤバイ!!信地旋回!!避けて!!!!」




    「何するつもりなの~~~!???」






    ....ギュララララッ・・・・・!!!!!





    「砲弾が通じない+逃げ場なし=アヒルさんチームの答え

     ....ってきたらもうアレしかないでしょ!!ヤバイよヤバイよ!!
     逃げろ~~!!!」ガゴッ グゴゴ....ンンン....





    「って。。。。ぁあっ!!!!さっきずっとモーター走行だった上に
     フィールドでガンガン電力使った直後だから急発進が追いつかない!!」


  49. 49 : : 2016/10/06(木) 00:15:20








               ~八九式車内~





    「どどっ・・・・どうしよう!!こんな時に無線が通じないёーー!!

     キャプテ――ンッ!!無線通じません!!!あっちからの音もザーザー
     言ってるだけで...」ドーシヨウ!!? コワレチャッタノ!?






    「砲弾も機銃もまるでダメ・・・・!!
     おまけに無線で連絡を取る事もできず、

     味方と合流するのに最も邪魔な位置に
     避けて通れないブロック・・・・!!!!かくなる上はッ!!!」






    「オーバーネットで弾かれてもフォールトにならないなら!!!」

     ガゴッ!!!! ギャギャギャ!!!!!





    「こっちだってネット越しの体当たりでもなんでも使って
     力押しで行くのみ!!!!」ソレソレソレ~~~!!!!!






    「対ショック姿勢!!!!、、根 性 だーーーーーーッッ!!!!!!」
     カッ!!!!





    二発叩き込んだ主砲も完全に無効。当然機銃も
    効かないとなればどうするか。




    二秒にも満たないアイコンタクトを
    狭い車内で円陣を組んで行った結果・・・・


    彼女達は車体を直接ポルシェティーガーにぶつける


    “体当たり”という結論に行き着いたらしい。







    ――片や独国が誇る超重量級戦車。





    ――――片や度々軽戦車とすら見誤られる中戦車。





    重量13トンと、戦車としては非常に軽量であり、
    機銃ですら抜かれてしまうのではというほど
    軽薄かつ華奢な装甲を纏ったその車体が―――



    超過改造(オーバーカスタム)、並びに人間業とはとても思えない
    謎レストアによってあらゆる面から見ても
    既に元の車体とはまるで別物と化している・・・・

    とはいえ、それでも総重量60トン以上という鉄の塊に対し、


    一切の怯みも無く突っ込んでいくその様は
    彼女達を脳筋と嘲るものからすれば滑稽にも見えたが・・・・








    「っ・・・・!!!旋回で直撃を避けようとしてるっ・・・?!!


     忍っ!!!直前でちょい右に切って!!!車体を擦り付ける感じで
     押し通してっ!!!!」





    しかし、窮地に立たされれば立たされるほど奮起の炎を
    その眼に熱く宿す彼女達は、勝負を投げることは勿論、


    戦略を放棄してもいなかった。






    「了解っ!!!!しっかり掴まってて!!!かなりキツいよ!!!!!」






          「「「サッ!!!!来い!!!!!!!!!!」」」








  50. 50 : : 2016/10/10(月) 09:35:23





               ~Ⅲ突車内~





    「八九式だけじゃない・・・


     全車無線が通じないなんて・・・・・」






    「これは間違いなくやられたな。

     殲滅戦だからと侮っていた訳ではないが・・・・・

     まさか“そういう”手段でこっちの包囲を封じてくるとは。」





    「エルヴィン・・・・やはりこれは・・・?」






    「ああ・・・間違いない。チャフだろうな・・・・


     これがレーダー対策であったなら少し待てば
     良いだけだが・・・この場合間違いなく無線の妨害が
     目的である上に、何せレオポンさんチームのやる事だ。


     そもそも通常のチャフと同程度のものであると思わない方がいい」






    「それもそうと・・・・アヒルさんチームの無線の途切れ際最後・・・・

     聞こえたか?"途中で弾が弾かれた"とかなんとか聞こえたような・・・」






    「・・・・さぁな・・・・

     大方バリアでも張って砲弾を跳ね返したんじゃないか(投槍)」






    「流石にそりゃお手上げぜよww」
     クッハッハw







    「ちょっとあんた達・・・・!

     マジメにヤル気あるの・・・・・!?
     少しは頭を使って相手の動向を探るとか・・・・

     つけ入る隙を見つけるとか・・・・何かしなさいよ!!
     バリアとか・・・・ッッ!!(舌打ち)小学生かってのよ!!!」






    「こう見えてヤル気満々だよ。マジメもマジメ、
     至ってマジで言ってる。


     ――――私達はな。

     
     いくら大洗の演習場が広いからと言っても
     流石に樹海とかじゃ無いんだ。


     それをこれだけの数で追い回してるのに姿すら満足に
     掴めない時点で・・・・彼女達は全くもって普通じゃ無い」






    「その気になればコジマ粒子を集めて
     車両周囲に遮蔽膜を形成する位平気でやるだろうな」






    「いかん・・・・コジマだけはいかんぜよ」






    「~~~~~!!!あんた達も考え方がまともじゃ無いのは
     もう充分分かったわ!!!ならそれでもいいから

     とにかく、ただこうして前進するだけに留まらず
     現状の打開策を一緒に考えなさいよ!!」









    「――・・おお。

     何と黒森峰の副隊長ともあろうお方から共同戦線の一時締結を
     もちかけて頂けるとは(素直に関心)」





    「“一緒に考える”という響きは確かに悪くない」ウム






    「無駄口を利かない!!!  ...で!?何か無いの!?!」
     ∑クワッ





    「そう“何か”と・・・・
     ざっくばらんに言われてもな・・・・、、おっと?」





    ただでさえ視界の悪い森林エリアに、やはり先程と同じ
    煙幕の濃霧が漂い始めていた。






    「バリアに・・・・ワープかぁ・・・・・・ァッ・・・・!(欠伸)


     ・・・・こりゃァ自衛隊の最新変態戦車こと10式に積まれてる
     ロックオン機能まで搭載されてても不思議じゃ無いな・・・」






    「そうなれば確実にそこで試合終了ぜよ」




    「流石にそこまでは無いだろう。

     それでは戦車道の試合として根本から....

    「口より頭を動かしなさいと何度言えばわかるの
     あんた達は!!!!」

     ズアッ・・・・!!!!





    「っ・・・・・!;そうカッカするな・・・!

     
     ・・・・そうだな・・・どの道 味方との合流は必須だ。
     集結さえ出来てしまえばあとは何とか口頭で
     連携を取りながら、先にレオポンさんの位置を特定できるように
     しておいてだな・・・・・、、、」






    「・・・位置を特定するって・・?だからそれを一体どうやるっての・・・!

     走行音も聞こえなかったのにあれだけの距離一瞬で移動したのよ」







  51. 51 : : 2016/10/10(月) 09:38:09








    「―――折角の何でもアリなんだ。・・・ならこっちも
     “草”を放つくらいしたってお咎め無しで済むだろう・・・なあ?」







    「―――おっと・・・・・漸く出番か。。(ムクッ)
     
     暫し砲手を変わってもらうことになるが・・・構わないのか」







    カエサルに意味ありげな視線を送られた直後、
    まるで代打を言い渡された指名打者のように肩を解しつつ
    自らの持ち場から立ち退く左衛門佐。





    「大丈夫だ。問題ない――。


     どうせレオポンさんの位置を特定できなければ
     ここに砲手が居る意味は無いからな。

     ・・・・例のアレは積んでたか?」






    「心配御無用!憎き彼奴らの侵入を防ぐ為、
     いつだって常備ぜよ!!!」スッ・・・・






    「・・・よし、発煙筒もちゃんとあるな・・・・


     それじゃあ、少し行ってくるが・・・・、、――カエサル。


     “仕掛けの時間”はどのように?」









    「10分位でいいだろう。・・・健闘を祈る。

     まあいくら何でもありとはいえ西住隊長もああいう性格だ。

     ・・・・無茶はせずほどほどにな」





    ガコッ・・・・・






    「御意に―――。」





    エリカが半身を出していたキューポラから降車するべく
    車外へと身を乗り出した左衛門佐は彼女を押し退けて
    車体の上に立ち、周囲へと右目のみによる流し目を一周させると





    「――・・・ふむ、妙な煙幕だな。
     何故か昇らず足元に留まる性質があるらしい―――・・・が。
     これなら寧ろⅢ突が身を隠すにもうってつけだ。
     

     では・・・早速仕事に移らせてもらうか。。
     ・・・・失礼、副隊長さん。」





    「―--、っ!?・・・ちょっ・・・あんたたち何を・・・」





    ババッ

           ガサッ  ザッ!!!
                         バサッ・・・・!





    あっという間にその後ろ姿を木々の合間へと消してしまった。







    「何か今・・・・普通に木の上走ってったんだけど・・・・;」






    「言っただろう、草を放つ(▪▪▪▪)と。

     門佐は一年で忍道履修し(やっ)てるからな。

     しかも修了時の成績は頭領級(マスタークラス)。今私達が身を置く戦車道チームで言えば・・・
     丁度西住隊長と同じような実力者と言っていい。」







    「ちょっと待って・・・忍...道って....何???;(眉間抑え)」







    大洗(うち)は戦車道から長い間手を引いてたせいか
     その分必修科目も色々と幅広くあるぜよ。」




    「このままだと最悪砲手であるアイツが何も出来ないまま
     終わってしまう可能性もあるからな・・・・
     
     折角だから斥候として少し働いて貰う。


     ・・・・安心しろ、あっという間に見つけてくるぞ」クックック






    「ああ。レオポンさん達も充分普通じゃ無いが・・・・

     人間的な性能(スペック)で言えば左衛門佐(あいつ)も相当だ。


     かく言うプラウダ戦であの短時間の間、Ⅲ突(こいつ)を雪に
     すっぽり埋めて隠したのもあいつぜよ」








    「っ・・・・、、、」






    無言で押し黙るエリカがその胸に抱いていたのは、
    果たして大洗女子に度々垣間見える、常人ならざる者への忌避の色か・・・・、





    はたまた・・・・・。







    「・・・・(溜息)


     分かったわよ。―――いえ、未だにあなた達が正気を
     保っているとはとても思えないけれど・・・・

     あなた達には何か目標の位置を特定できる策があるのね・・・?」






    目の前で友の働きに信を置く彼女達の目に、
    一切諦めの色が無い事を見てそのように再確認するエリカ。

  52. 52 : : 2016/10/10(月) 09:40:58







    「・・・・・いかにも。

     さっき門佐に渡した発煙筒だが・・・・

     ポルシェティーガーを発見でき次第、あれを
     車体に取り付けて来てもらう。時限発火の仕掛けを施してな。

     まあ策とは言っても精々それだけの事だ。


     あとはその狼煙(のろし)があがるまでの間に各車への伝達を門佐に
     任せておけば・・・・  無線が通じない我々は森の中に
     一筋立ち昇るその狼煙目掛けて包囲の輪を縮めればいい。


     ・・・・ここまでで何か質問は??」

     






    「・・・・あまりにも多すぎて何からつつけばいいのか
     既に頭が痛い位なんだけど・・・・

     まずその、時限発火ってのが分からないわ。

     見たところ普通の発煙筒だったけど・・・あれをどうやって・・・」





    「フフン・・・・コレ(▪▪)ぜよ。」ノシ






    「 ・・・・は?; 」




    おりょうが得意げに取り出したのは濃緑の螺旋状・・・

    つまり俗に蚊取り線香と呼ばれるそれだった。





    「知っての通り、Ⅲ突はこの車高の低さを活かしての
     待ち伏せ役が多い。

     そうなると自然と練習でも藪の中なんかに身を潜める機会が
     増える訳だが・・・・これが中々地獄なんだ。」





    「コレが無いと某英国製爆撃機よろしく、続々と車内に
     侵入を果たした薮蚊(ムシども)によってあっという間に
     私達の腕やら首筋やらが無慈悲な爆撃に晒される事になる。。


     つまりは線香の長さを調節して火種の到達を前後させる・・・・

     至って単純な仕掛けという訳だ」







    「本当に単純ね・・・・・;

     そんな『つくってあそぼ』レベルの仕掛けでよくもまあ
     自信満々な顔して言えたものだわ・・・・。」





    呆れてものも言えないといった様子で首を振るエリカだが




    「・・・手厳しいな」








    ・・・しかし今は彼女自身それに縋るしかないのも事実。






    「・・・けどその策で連中の尻尾を掴めるというのなら・・・・
     今はそれに賭けるしかないわ。

     今の内に他の車両の音だけでも聞き取って
     少しでも互いの位置を把握するわよ・・・・・」





    「・・・・ああ。模擬戦とはいえ折角の試合なんだ。
     当然勝てればそれに越したことは無いしな」






    「“勝てれば”じゃないわ!!“勝たなきゃ”駄目なの!」
     キッ





    「・・・・・;分かった分かった。」




  53. 53 : : 2016/10/10(月) 09:44:06








                ~森林エリア~

               ~八九式中戦車車内~






    「なっ・・・なんとか撒けましたねキャプテン!!!

     しかも砲弾すら防いだ謎のバリアー(ブロック)も決死の体当たりが
     効いたのか突破できました!!」ヤッタ!





    「ぁあ・・・私達の“根性”が少しでも足りなければ今頃あの場で
     足止めを食っている間に砲撃を貰って終わっていた・・・・!」





    煙幕を張られる前から把握していた
    各自の現在位置から考えて、最も合流に際して壁となる位置に
    居座っていたポルシェティーガーをなんとかやり過ごした
    アヒルさんチームは、キューポラから身を乗り出して

    後方確認を続ける典子の指示通りに無線の通じない濃霧漂う
    森林エリアを走行していた。





    「いえ・・・あの、あんな砲弾も弾いちゃうバリアーに
     根性とか効くんですかキャプテン・・・・;」





    「何を言う!!間違いなくあれは根性の後押しがあってこその
     突破だった!!車体が接触した後、何故か白かったはずの
     ポルシェティーガーが元の色に戻ったのを見たんだ!!!」






    「ポルシェティーガーの色が・・・・?

     って・・・・流石に戦車の色が一瞬で変わるはずが・・・;」









    「・・・・今・・・バリアーとか聞こえた気がしたのだが。
     詳しく聞かせてもらっても・・・・?」ヌッ
     






    「  ッ!!!?う、うわ!!!!!!!」ビグッ




    視界の悪い森林エリアを快速走行で行く戦車の上部ハッチから
    身を乗り出して車内の乗員と会話を続ける典子だったが・・・


    唐突に真横からかけられた聞き慣れぬ声に
    その身を硬直させて飛び上がる。





    「!!?   キャプテン!!?ちょっと、どうしたんですか!!」






    「あっ・・!??え・・・!?!チョッ・・・だって・・いや

                 どうやって・・・・・!!!!?」





    一度も車体を停止させずに走行していた筈だったが、
    一体どのタイミングでこの速度を維持する八九式に張り付いたのかと
    混乱を抑えきれない典子を制し、とにかく今は現状の相互理解を
    最優先と判断した左衛門佐は、ハッチより顔を覗き込ませて
    操縦手の忍へと呼びかける。





    「いきなり脅かしてしまって済まない。・・・・が、
     一旦停めて貰おう。


     この辺りまで来れば今のところ問題は無い。

     既に“枝”は着けて来たが・・・どうにも様子がおかしかったのでな」






    「えっ!!?  かっ・・カバさんチームの・・・・!!?!?


     いつから上に居たんですか!!!??」ギョッ





    「・・ついさっきだ。そんな事より『仕掛け』の発動まで時間が無い。
     レオポンさん達の撹乱によって無線も不能である今・・・

     ウサギさんとカモさんにも口頭で伝えに向わなければ
     いかんのでな・・・。説明は手短に済まさせてもらう」






    「・・・・・!;」






    「まずはアヒルさんチームが直面したポルシェティーガーの
     情報をご教授頂きたい訳だが・・・・・

     その“バリアー”というのは具体的にどのような・・・・?」
     




    ・  ・  ・



    ・  ・











  54. 54 : : 2016/10/10(月) 09:46:50






                 ―数分後―




                ~観戦エリア~




    煙幕に使用されている飛沫による影響なのか、
    先程左衛門佐が確認した通りにまるでドライアイスが放つ靄のように
    森林エリア一帯を多い尽くす濃霧のような煙幕により、


    当該エリアで試合の只中にいるレオポンさんチーム、
    それに対する大洗チームの彼女達だけではなく
    その様子を高台から一望できる位置で観戦していた筈の
    あんこうチーム・カメさんチームの面々・・・・そしてまほも、


    あまりの視界の悪さに全く戦況の把握が出来なくなってしまっていた。





    その場の全員が最後に確認出来たものと言えば
    濃霧の中に先程砲弾を弾いた謎の“障壁”が放つ光が明滅した数秒後、


    今度は彼女達がよく聞き馴染んだ、戦車同士が車体側面を
    ぶつけ合う衝突音だけだったが・・・・


    それ即ち、主砲を謎の壁で防がれてしまい、
    (障壁がなかったとしてもそもそも主砲は有効ですらないが)
    万策尽きたアヒルさんチームがとうとうポルシェティーガーに
    一矢報いた事実を物語っていた。






    「・・・・ごめんね、お姉ちゃん。折角の短期転校なのに
     こんな事になっちゃって。。」







    「・・・・?何故みほが謝る・・・・。先にも言った通りだが・・・

     エリカにはもう少し他校で数多くの経験を積む必要性がある。

     それは勿論対人的な付き合いに然り・・・大洗の持つ、
     他校には無い意外性を学ぶ事に然りだ


     これだけ突拍子も無く、掴みどころも無い戦い方をする
     相手など・・・どの学園艦にも存在しないだろう。


     この経験はきっと互いにとって無駄な物にはならない」キリッ・・・







    「いや・・・そ・・・そうは言っても・・・・。。


     もうこれ・・・戦車道って言っていいのかどうか判らない位
     際どくなってきちゃってるし・・・」






    「何か本当・・・みぽりんのお姉さんってマジメな人だね・・・」





    「(それはもう・・・黒森峰のエースにして西住流の次期当主ですよ!!

     高校戦車道を語る上では外せない程大きな肩書きを
     二つも背負っているエリート中のエリートな訳ですから(小声))」
     カチコチ...






    「口ではそう言っているが・・・

     みほも本当はあそこでエリカと一緒に模擬戦に
     興じたかったんじゃないのか?」ウン・・?







    「それは・・・、、、;ぅうん。その気持ちも少しはあったけど・・・

     私が一緒に居たら・・・きっとエリカさんの邪魔をしちゃう(▪▪▪▪▪▪▪)から。


     それもそうだし・・・お姉ちゃんには・・・一度もう少しちゃんと
     紹介しておきたかったんだ・・・」スッ・・・





                「「!」」




    そう言って両手を伸ばすと、最も近場に居た沙織と華の肩へと
    手を掛け、己がチーム・・・即ち“あんこうチーム”全員の
    裏方へとまわって微笑むみほ。







    「私の大事な友達・・・、、、、ぅうん。

     私がやっと、見つけた・・私だけの戦車道を。」
          






    「・・・・・・――――」





  55. 55 : : 2016/10/10(月) 09:48:51









    「まず、通信手の武部沙織さん。
     大洗に転校してきて一人も友達が居なかった私に声を掛けて
     くれた最初の友達で...いつも私に一歩踏み出す勇気をくれた人。


     沙織さんが居なかったら私・・・今頃どうなってたのか想像も
     付かないよ」




    「やだも――///お姉さんの前で恥ずかしいコト言わないでよ
     みっぽりん;♪」バンΣバンッ





    「っ・・・;ケホッ は、恥ずかしい事とかじゃ無いよ!本当の事だもん!


     それ・・・で、えっと二人目!
     砲手の五十鈴華さん。沙織さんと一緒になって私に声を掛けてくれた
     大事な友達で・・・お家が華道の家元なのに新しい事に
     挑戦したいって理由で戦車道の履修を決めたんだって。

     それだけでもすごい挑戦心なのに・・・
     戦車の事が何も分からない所からお姉ちゃんの指揮する
     ティーガーを抑えるところまで上達した・・本当に凄い人。」






    「それもこれもみほさんが手取り足取り教えてくれた
     お陰ですから・・・^

     私が特別凄いわけではないかと思います・・・」フフフ・・





    「ぅうん・・・・。華さんは・・・私が見てきた砲手の人の中でも
     多分一番肝が据わってる人だと思う・・・・;なんていうか・・・・

     普通に的に当てよう、当てようって必死になる人はもっと
     プレッシャーに押されて射撃にもブレが出るのに・・・

     華さんの場合は焦って撃ち急いだりもしないし...


     何より"迷い"が無いの」








    「それについては私からも賞賛を贈りたい。


     ・・・全国での一撃もそうだが・・・やはり大学選抜戦であれだけ
     局地的な変則射撃を考えたみほの要求に応えられる程の
     手腕と胆力を持つ砲手とあっては・・・

     おそらく全国区で探してもそうは居るまい。」







    「ぁ~!!なんか私より華の方がお褒めの言葉が多いぃ~~!」
     ブーブー!!





    「おっ・・・お言葉ですが、武部殿の無線だってこの上なく
     役立ってます!!いえ、情報戦の全てを握るといっても
     過言ではない通信手の力は、隊列が戦局の全てを左右させる
     戦車戦においてもはや生命線です!!」バッ!!






    「優花里さんの言う通り...。


     皆、相手の車両を警戒しながら逐一自分達の状況を
     正確に把握するのは本当に大変なことなのに・・・・

     沙織さんが円滑に皆に戦局を伝えてくれるおかげで思い通りの
     動きがとれるんだよ」





    「えっ・・・ぇへへ、そっかな・・・;そういわれちゃうと・・・
     うん・・・悪い気はしないかな・・・///」





  56. 56 : : 2016/10/10(月) 09:50:36








    「っと・・・・それから三人目。装填手・秋山優花里さん!!

     私と知り合いになる前から私やお姉ちゃんの事を
     知っててくれた・・・本当に・・物凄く戦車が大好きな人で。


     それだけじゃなくて私の気持ちをいつでも理解してくれてて・・・

     私一人じゃどうしようもなかった、心の隅に残ってた
     戦車道への苦手意識とか・・・そういうの、
     全部どこかへもっていっちゃった人(笑)。。


     ごめんね、笑っちゃって・・・。――でも、本当に優花里さんと
     居るだけで私、   ―――戦車道をこんなに楽しんでる人を
     今まで見たことなかったから・・・・それがすごく新鮮で。。

     ・・・なにより楽しくて」







    「ハッ・・・!(;゚Д゚)

     あ、あの・・・他の皆様に比べれば私なんて単なる
     弾込め係ですが・・・・!す、、少しでも西住殿のお力になれるよう
     日々誠心誠意、努力して....っ(カチコチ・・・)






    「・・・単なる弾込めとはまた・・・・とんでもない事を。
     全国大会の勝敗を決した『あの一撃』・・・

     あの最後の砲弾をあれだけ過酷な横Gが襲う車内で

     難なく装填してのけた人間がどれほど屈強な肉体を持つ
     女子高生なのかと私の車両の装填手は戦々恐々としていた訳だが・・・


     いざ戦車から降りてきて見れば
     まさかこのような・・・・、、、、な。」フッ・・・
     





    「“このような”・・・?!?あ、あのその先は一体・・・・?!!」
     ガクガクブルブル・・・





    「きっと“可愛らしい”とかだよ!ほら、ゆかりんって
     モフモフしてて、ずっと見てると頬ずりとかしたくなるし」






    「なんか・・・みほさんと並んでいると優花里さんって・・・

     いつでも飼い主に従順なワンちゃんみたいですよね・・・」







    「ぁあっ・・・周囲からもそのような目で見てもらえるなんて・・・

     西住殿っ・・・私、一生ついていきます・・・・・!」ヒシッ・・・
     ハッ・・ ハッ・・・///







    「なんでそんなに喜んでるの!??どっちかというと
     褒め言葉じゃなかったよね今の!!///;」メガコワイヨ!!







  57. 57 : : 2016/10/10(月) 09:52:24








    「・・・さっ最後に四n..
    「私の褒め言葉とか・・・そーいうのは別にいいぞ・・・・。」
            ヌッッ。。







    「・・・・^^;い、いやでも麻子さん・・・・」
     ナガレ テキニ・・・






    「いいったらいい。(キッパリ)

     そんな時間があるくらいなら・・・
     私はこの人に語りつくせぬ程のお礼が言いたい。

     ・・・・主におばぁの件について」ノソリ・・・







    「まったまたぁw

     照れくさいだけだから気にしなくて良いよみぽりん♪」ガバッ
     (武部式チョークスリーパー)




    「ぅァッ・・・  何をするッ...!!」ジタバタ
     HA.NA.SE・・・!!






    「コホンッ・・・  ^^;じゃ、じゃあ気を取り直して・・・

     ・・・四人目!操縦手・・冷泉麻子さん。
     この人がどれだけ凄いのかは・・多分説明しなくっても
     分かるよね・・・^;」




    「ああ・・・・。

     みほが指揮するⅣ号にあれだけ縦横無尽な機動力を
     与えている事実からして言うまでも無いが・・・

     それら含め、単純な俊敏性だけでなく
     行進間射撃、さらにはスラローム射撃に合わせた
     緻密な操縦技量からは・・・・砲手への気配りすら感じられる。

     それに応じられる砲手の腕も脅威だが・・・
     電子制御無しであの的中率ともなれば操縦手との
     相当な連携を要求されるのは言うまでも無い。」





    「・・・・・・・・・。。//」フイッ





    「しかも麻子さん、初めて戦車乗った時なんて・・・
     マニュアルちょっと読んだだけでぶっつけ実戦だったんだよ。」





    「・・・別に凄くもなんとも無い。

     作り手が“これだけ説明すれば充分”とされる事が
     書いてある。それが『マニュアル』なんだ。

     書いてある内容が理解できれば誰だって同じはずだ」

     




    「いえ・・・あの・・冷泉殿(れーぜーどの)・・・そう言い切ってしまうのは
     誰でも簡単に出来るかもしれませんが、

     実際に頭の中でのシミュレーションしかできていないものを
     ああまで完璧に実戦で再現できる人を・・・・私はあまり
     見た試しがないです・・・・(怖)

     戦車の操縦や砲手養成に使われるシミュレーターは
     私も相当やりましたけど・・・とても真似はできません」







    「・・・?そういうものなのか?どうも理解できない・・・」
     ヤレバデキルハズダ






    「無理無理。
     麻子(このこ)は昔っからそうだからね~・・

     所詮麻子みたいな完璧超人には“持たざるものの苦労”は
     分かりっこないって~」ウリウリ


     ギュムム・・・・




    「 (グフッ・・・)  ッ。。。そ、それはコッチの台詞だ・・・・!!!」グイグイ
     クルシイ・・・・!!ハナセ・・・・!!!!






    「・・・?何よこっちの“台詞”って~」ウワッ
     ユサッ・・・





    「・・・・・・・・・(ジロッ・・)




             "天は二物を与えず"・・・だ...!」プイッ・・・
     




    麻子の据わりきった目が沙織、そして何故か
    その後方に控える華、みほへと流れたかと思うと・・・
    そのまま不機嫌極まりないといった様子でそっぽを向いてしまう。




  58. 58 : : 2016/10/10(月) 09:55:07







    「~~~・・・?;何よ~~ニブツって!!」
     モ~~




    「さあ・・・一体何の事でしょうか・・?;」ハテ・・・
     レイゼィサンニ ナクテ ワタシタチニアルモノ・・??





    「推測ですが・・・・女子力、、などでは??

     武部殿はあんこうチーム随一のそれを持っていると
     御見受けしますが・・・・れーぜーどのは何というか、

     女子的な"かわいい"ではなく、"カッコイイ"といった
     感じの方なので・・・・」






    「え~・・・・でも、華は卵焼きも自力じゃ作れないんだよ?;
     女子力あるって言えるのかな・・・それ・・・・;」








    「・・・・・(グスン・・・)会長...皆がイジメる...。。

     この場で味方をしてくれるのは会長しか居ない
     (皆してデカイもんぶら下げやがって..!)」フラフラ・・・

     ヒシッ...






    「ちょっ・・・なんでワタシに来るかな!!^;

     ってか泣いてるの!?!?」ホシイモ タベテイイカラ!ナクナ!










    「^^;

     ・・・というわけで・・・これが今大洗戦車道チームに居る私の
     大事なとも...」








    「ちょっとみぽりん!何締めようとしてるの!」





    「・・ァえ?!」




    「そうです西住殿!!!一番大事な紹介を忘れてます!!」





    「一番大事な・・・って・・・・

               (Σポン) ああ!!そういえばⅣ号..

    「「「「戦車(そっち)じゃない(ありません)!!」」」」






    「ふぇっッ・・・!!!」ΣΣビクンッ






    「私達の戦車道といえば・・・!」



    「一番大事な車長(▪▪)の紹介がまだじゃないですか!」





    「車長って...ぇえ・・・・;?
             いや・・・それは別に・・・えっと・・・」オロオロ・・・





    「そうだ。何といっても私達の『(おさ)』なんだからな。

     もっと胸を張って貰わなきゃ困る。」ガシッ






    「え――・・・・・・」






    「というわけでお姉さん、最後に紹介しますね^^」




    「私達大洗戦車道チームが誇る軍神にして!!!」





    「私達あんこうチームの頼れる車長(リーダー)!」





                 ドンッ




    華、優花里、沙織、麻子に背を押され、無理矢理まほの目前まで
    押し出されるみほ。


    彼女自身、自らのチームメイトにして
    己の戦車道を支えてくれた仲間を紹介する心の準備しか
    していなかった為、その挙動は完全に動揺しきった
    普段の頼りない彼女のものであった。







    「どんな状況で、どれだけ手強い相手でも決して諦めず――」






    「救える仲間を決して見捨てない!!」





    「どんな戦況でも迷いの無い的確な指示をくれる。。。」





    「まさに私達の戦車道そのもの!」






    「そんな・・・皆、なんか言う事大袈裟過ぎ・・・・///;」







    「「「「これが私達の頼れる車長!西住みほ(殿)です!!」」」」






    顔を真っ赤にして黙り込むしかないみほだったが、
    そんな彼女と、その背を押すチームメイト達を見て微笑むまほは
    この上なく穏やかな安堵の感情を湛えた笑顔を輝かせる。






    「良い戦車道(なかま)にめぐり合えたな・・・・みほ。」
     フフ・・・




  59. 59 : : 2016/10/10(月) 10:00:07








    「・・・おや・・??
     まだ森の煙幕は晴れてないけど・・・
     
     一箇所だけ発煙筒でも焚いてるのかな・・・・上に上がっていってる
     所を見るとさっきレオポンさんが撒いてたのとは別の煙みたいだね~」



               ドンッッ!!!!!



    「あの位置は・・・・  ッ!!

     別の位置からの砲撃!  榴弾です・・・・!!狼煙の周囲だけ
     爆風で煙幕が晴れて・・・」





    「ポルシェティーガーの車体が見えました!
     ・・・でも車体の色がいつも通りのカラーリングのままで
     森の景色に溶け込むような色ではない・・・ですね」





    煙幕漂う森林エリアに漸く動きが見えたことにより、
    各々戦況を見守る生徒会(カメさん)チームの面々を横目に捉え






    「あちらもそろそろ佳境を迎えそうだな。

                 さあ―――・・・ 一体どう転ぶか」





    自身が認める副隊長の健闘をしかとその目に納めようと
    そちらへ向き直るまほへ、ここで意外な人物が密かに声を掛けに行く。





    「(えっと――・・・そのお姉さん?それはそうと少し・・・

     迷惑でなければ聞いておきたいことがあって・・・・!(小声))」チョット・・!





    「・・・・・・?」





    あんこうチーム通信手こと、沙織によって
    小声で掛けられた唐突な質問。

    その意図を察したまほは・・・同じ様に自らも静かに彼女の問いに応える





    「(私に答えられる事なら何でも答えよう。

     ・・・・その、“聞いておきたいこと”とは一体何だ?(小声))」






    「(えっと・・・じゃああの!

     この前助けに来てくれた大学選抜との試合の後・・・・
     みぽりんとお姉さんがすっごく楽しそうにお話してたあの時―――!!


     お姉さんとみぽりんは何話してたんですか!!?(小声))」






    「・・・・・・・」







    「(なんかあの時のみぽりんすっごく嬉しそうで・・・・

     あんなに輝いてるみぽりんなんて見たことなかったから、
     私達みんなあの時お姉さんと話してた事が気になっちゃって
     気になっちゃって....!(小声))」






    「(あの時の・・・・(小声))」






    「(あ、迷惑だったり話し辛いことだったら別にいいんです!!?(小声))」






    「(そんな事は無い。あの時みほが話してくれたのは・・・
     さっき君らを紹介したのとほとんど内容としては変わらない
     ものだからな(小声))」




    「(そ・・・そうなんですか・、、、、

                 あ、えっとじゃあ・・・・!!(小声))」




    「?」






    「(お姉さんも・・何かみぽりんに最後言ってましたよね・・!

     あの時お姉さんは一体何て・・・(小声))」







    「(良く見ていたな・・・・・。。。

     だが別に大した事は言っていない。

     ただ――“また黒森峰に戻ってこないか”と訊いて見た・・・

     それだけの事だ(小声))」フフッ・・・・





    「なっ・・・・!?!??嘘!!!そ、そんなハズは・・・・!!」ハッ





    当時の状況を思い出し――

    まほの問いかけを受けた直後、
    みほが笑顔で快諾の意を示す返答を行っていた様子を思い出すと、
    その言葉を強く否定しようとするあまり、思わず大声で
    反応してしまう沙織。





    「・・・・まあ勿論、来年も覇を競い合う好敵手(ライバル)として・・・・

     新たに構築し直した陣形を是非見に来てはくれないかという意味で

     ・・・・・だがな。」フッ・・・・






    「――――・・・・;」






    この上なく心臓に悪そうな顔をしてホッと胸を撫で下ろす沙織。




  60. 60 : : 2016/10/10(月) 10:02:06









    ――と、ここで時を同じくして
    会話の最中もひっきりなしに続いていた森林エリアよりの砲声が・・・




    ついに鳴り止む。






    「終わったようだな・・・まあ、その時は・・・・

     みほだけとは言わず皆で来てくれていい。
     寧ろポルシェティーガーの彼女達がエリカに向けた要求は・・・・」





    「う~ん。間違いなくアレ(▪▪)だろうしね。」





    「あの・・・会長・・・さっきも言ってましたけど・・・その、
     自動車部が黒森峰に向けて要求した条件とはいったい・・・・」







    「多分今こうしてお姉さん達がそうしてるように・・・
     “一日転入手続き”とかだと思うんだよね。


     ・・・・ほら、黒森峰の学園艦ってすっごくデカいからさ、
     全域の車道に対して速度制限が無いんだよ。」






    「・・・・えっと・・それはつまり・・・・;」







    「そーそー。・・・・学園艦中の道路なら
     どこであろうと時速何㌔ですっ飛ばしてもいいって事。」






    「この試合・・・彼女達がもし勝利したならその条件をそのまま
     飲んでも勿論構わないが・・・反対にエリカが指揮する大洗チームが
     勝利していたなら・・・・そうだな、

     そちらの皆で黒森峰(うち)に遊びにでもくればいい。


     ・・・・・というのはどうだ?」






    「! イイねぇそれ~~。

     レオポンさんチームが負けたときの事なんて正直あんま
     考えてなかったからぶっちゃけ結構真剣に考えてたんだよね~」
     ソレデイッカ~・・・





    「えっ・・・・!!??いや、会長・・それじゃまさか・・・・・!!」ババッ








    「まあ、もし“そうなっていたら”の話だがな。」





    「・・・まー、、でもそれだと結局勝っても負けても
     レオポンさんチームにとっては美味しい話にしか
     ならないワケだけどね~」








  61. 61 : : 2016/10/10(月) 10:03:08







    「でもレオポンさんチームの皆さんには私達本当に・・
     戦車の整備に関しては何から何までお世話になってますから・・・・

     私はそれでいいんじゃないかなって・・・そう思います」







    「西住ちゃんがそう言うならもうそれで決まりだね~」







    「まあ・・・西住の言う通り車両の整備全般任せきりだったのは
     事実だ・・・それくらいの我侭は通すもやむ無しか・・・・」チッ





    「じゃー、もしカバさんチーム陣営が勝ってたら私達皆で
     黒森峰まで遊びに行けるね!!

     その時は学校案内してよねみぽりんっ!!」




    「ぉぉっ・・・・黒森峰に...一日入学ですか・・・・?!!!

     という事はあの『マウス』も『エレファント』も間近で
     眺め放題ですか!?! 触り放題ですか――――ッ!!!???」
     ヒャッホォォゥ!!!!!




    「そこだけ聞いてるとまるで動物園にでも行けるのを
     はしゃいでる様にしか見えないよね...優花里さん^^;」





    「黒森峰女学園の制服も着られるんでしょうか・・・。。
     タンクジャケットもきちっとしていて格好良いので
     一度着てみたかったんですよね・・・^^」






    「どうやら勝負あったみたいだな...

     気が付けばもう5時だ・・・・今日は色々あって疲れた・・・。。

     帰って寝よう....」ウトウト





    「あっ・・・本当だ!!もう戻ってきた・・・・

     って、麻子幾らなんでも寝るの早すぎだよ!!!」
















    「今日は・・・本当に色々有難う。お姉ちゃん。」






    「・・・・どうした?私が何かみほに
     改まって礼を言われる様なことをした覚えは無いが」






    「ううん・・・・そういうのじゃなくって・・・


     その・・・なんていうか。黒森峰からも・・・西住流からも
     離れちゃった私の事・・・それでもお姉ちゃんはずっと
     見ていてくれたみたいだから・・・・それが凄く嬉しくて」





    「・・・・・・・」





    みほの言葉の意味がすぐには分からず、
    暫し無言で面食らうまほだったが・・・・

    その感謝の意図が生徒会室での一件から来たものであると
    直ぐに理解すると





    「何を言うかと思えば・・・(苦笑)
     
     やはりどこか変わった考え方をするのは昔からずっと
     変わらないな・・・みほは。


     私達は何処へ行こうと互いに一人しか居ない姉妹(しまい)だ。
     そんな事(▪▪▪▪)は・・・妹のお前が一々礼を言う様な事ではない。」





    最愛の妹である彼女(みほ)にしかまず見せないその顔で静かに微笑んだ。





    「そ・・・そっか・・・・、、、ぅん、、そうだよね・・・///」







    「みぽりーんっ!どっちが勝ったか聞きに行こ!!」グイグイ






    夕刻に差し掛かり、紅に染まり始める森林エリアからやって来る
    自走可能車両をみれば、その勝敗の行方は最早当人達に
    聞くまでもない事であったが、

    そういった些細なことは気にしない沙織に促されるまま、
    その腕を引かれて観戦エリアを後にするみほ。




    その背に向けて―――







    「あと一年・・・・そう考えれば本当に残り僅かな一時(ひととき)ではあるが―――


     その一年がお前にとって一生忘れる事の出来無い一年になる。」







    妹と、その仲間達に向けたまほの言葉は・・・


    しかし誰にも聞こえない程静かな声量で呟かれた。











    「やっと見つけたその戦車道(みち)を・・・いつまでも見失わずにな。」

     

























                   -end- 


  62. 62 : : 2016/10/11(火) 20:01:27
    こんばんは。お久しぶりです( ´ ▽ ` )ノ
    いや〜本当に面白かったです!一ガルパンファンとして、もうこれはOVA化を熱望せざるをえません!ガルパン製作陣の方々にも是非読んで頂きたい傑作でしたね。
    何といってもレオポンさんチームのメタルギアやエヴァ並みの技術力を発揮していく快進撃(チート)っぷりが最高でした笑
    しかし、終始レオポンさんチームの優勢で終わるのかと思いきや……彼女、左衛門佐さんがダークホース(人間やめてる)でしたね笑
    もちろん、ご機嫌斜めな地団駄エリカ様も見れて大満足です笑
    それと、あの姉妹関係(まほみほ)いいですよね。完璧お姉さんのまほと引っ込み思案な妹のみほが互いに敬意を表する関係といいますか、それぞれの確固たる戦車道を歩んでいく生き様に惚れそうでした。また、超真面目で少し妹に冷たいイメージがあるけど、実はみほ大好きな不器用なまほさんが愛おしかったです笑
    特に試合開始前のみほが会長に抱きつく様子を羨ましそうに眺めていたまほさんとか可愛い過ぎて反則ですよ笑
    アンコウさんチームのメンバー紹介の流れも、戦車道を通して大切な仲間が出来たことをまほに分かってもらえる大切なシーンでしたね。ここはジーンと温かい気持ちになりました。
    何といいますか、ムーさんの作品はムーさん自身が常に心から楽しんで書いているんだなと、読んでいてよく伝わって来るんですよね。おそらくキャラの言動や背景描写などが細部まで生き生きと描き込まれていて、なおかつ豊富な語彙力と柔軟な発想力で物語の中に引き込む素晴らしい魅力があるからだと思います。おっと、長文を失礼いたしましたf^_^;)
    つい清々しい読後の余韻に浸りながら長々と感想を述べてしまいました。最後になりますが、本当に執筆お疲れ様でした!次回作も楽しみにしております!
  63. 63 : : 2016/10/12(水) 13:12:09
    >>パンツァーフォーネさん

    御久しぶりです!(;゚Д゚)~ぁぎゃぁぁあ↑↑↑

    忙しすぎていつも書かないと終わらせた気がしない
    あとがきっぽいものすら書けませんでした。。と思いきや、
    こんなにズルズル後をひきながら漸く終わらせたかというような
    モノに対して、、、、端から端まで読み通して下さった事が
    嫌でも伝わってくる(嫌と言う表現はこの場合適当ではありませんが!)
    素晴らしく密度の高いご感想を有難うございます!!、
    長文失礼などとんでもありませんし、むしろ家宝にします( ..)φ

    でもコレ、とても製作陣様方に見せられるようなモノではございませんw(爆死)

    OVA化も、恐らく十の指では数えきれない理由で不可能でしょう、、
    ―――が、私にとって、読んでくださった方が
    台詞に名前もふらない形式で頭の中で誰が喋っているか、
    大凡でも映像として再生できるモノが書けたなら、
    それ程嬉しい事は最早ありません(´▽`*)最高です。

    以下、この場を借りてあとがき的なやっつけです。






    しかし無茶苦茶やりすぎてしまいました。


    ――ええ、楽しかったのはイイのですが、
    如何せんやりたい放題やりすぎてしまったクセに
    少しはやっておきたかった戦車道パートも忙しさの都合で
    ぶった切りです(笑)

    いえ、元々終わらせ方としては最後まで試合を書くつもりは
    無かったのですが、もっと時間があるなら
    更なる短期間のうちにもう少し書き込みたかったです。

    ウサギさんチームとかアヒルさんチームとか、
    みんな良く注視すると魅力的なキャラ一杯ですからね。

    結果私の大嫌いな、"勝敗はあなたのご想像通り"みたいな締め方になりましたが・・・結論言ってしまえばやはり
    勝者は即席チームワーク(笑)を見事戦術へと昇華させた
    カバさん陣営の勝利という結果に・・・一応はなっております。


    ・・・さて、ガルパンも進撃もそろそろメディア面で更なる
    躍進が期待できそうな今日この頃、僅かな時間を見つけて
    ss的な物を書けるのかどうか、冷や冷やしている
    今日この頃ではありますが、
    今回もこのような中途半端に長く不定期更新なモノを
    最後まで読んで下さって誠に有難うございました!!

    m(_ _)m
  64. 64 : : 2017/01/20(金) 22:52:23
    クソっ!どっちが勝ったか気になる!
    ・・・・これが番外編みたいな感じで放送されてほしい。

    そう言えばコジマ粒子の所で吹いたw

    面白かったです!
  65. 65 : : 2017/01/21(土) 20:09:12
    >>転生したら異世界がいい@このすばみたいな さん

    私が楽しくて書いただけの完全なる趣味の産物に対して
    勿体無さすぎる御言葉ありがとうございます(; ̄ェ ̄)


    ...一応直接的な描写をしていないながら
    私の中ではエリカ嬢の機転勝ち...という
    あらすじまで構想は出来ていたのに時間がなくてそこまで
    手が回らなかったオチです(~_~;)


    コジマは正直アリクイさん達のパートにあてたいネタだったのですが
    早くも撃破されてしまった為(噛ませとか言わない)
    カバさんチームに御鉢がまわりました。

    ...正直特殊カーボンだけでなく
    ガルパンワールドにあっては絶対コジマ粒子を使ったPA(プライマルアーマー)が
    働いているとしか思えないんですが..

    無論大洗女子全員、人体への悪影響を完全に克服した強化人間として。。
    (ー ー;)

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ne5716

夢馬

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