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追憶

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  1. 1 : : 2016/09/03(土) 21:20:39
    前作『蛍』の続編・・・なんですが・・・
    どうなる事やら。


    前作を読んでないとあんまわかんないです。
    前作『蛍』
    http://www.ssnote.net/series/2989

    オリジナル設定多数。
    キャラ崩壊バリバリ。
    細かい事は抜き。

    因みに私、艦これはやった事ございません。
    おそらく筋金入りの提督さんには向かないと思われます。


    以上を踏まえた上でお付き合いいただけたらと・・・思っております。


    申し訳ないです(;゚(エ)゚) アセアセ

  2. 2 : : 2016/09/03(土) 21:23:11
    『追憶』






    慢心していたつもりは無い。
    早く戦闘を終わらせたかった。









    『・・・・!しっかりしろ!!』











    そうすれば・・・彼は死なずに済む。









    『・・・!!意識をしっかり持て!!』










    誰か・・・誰かが私を呼んでいる・・・・




    暗い・・・此処は何処だ?
    私は・・・何をしている?


  3. 3 : : 2016/09/03(土) 21:25:39


    突然開けた視界に飛び込んできたのは、無数に上がる水柱と、不気味に哂うレ級の薄気味悪い瞳。


    空気の層を切り裂き飛翔する弾丸が自らの耳元を唸りを上げて通過する。
    耳を劈くような砲撃音。

    通信に入ってくる悲鳴、怒号・・・・。



    そして首を巡らせればレ級目掛けて一直線に急降下してゆくF3艦上戦闘機。











    照準軸線に乗ったF3から放たれたASM-2はレ級に向かって一直線に飛翔してゆく。

    レ級から放たれた砲弾は空気の層を突き破り、真空波を自らの後ろに引き連れながら突き進む。



    F3を掠めた二発の砲弾は、一発が真空波の刃で操縦席の風防を砕き、主翼の根元、機体背面の外板を紙くずを引き剥がすように捲れさせ、破り捨て全てをむき出しにした。

    尾翼を破壊し、そのままはるか後方へと抜けてゆく。




    機体の下部を通過した砲弾はエンジンの空気取り入れ口を潰し、機体腹面の外板を剥がしエンジンを破壊した。



    操縦席の緊急脱出装置が作動し、射出座席のロケットモーターが点火されると砕け散った風防が吹き飛び、操縦座席が勢い良く上方へと射出された。


    ロケットモーターの噴射が終わると座席は操縦者から離れ、操縦者がパラシュートでゆっくりと海面に降下してゆく。


    そのまま機体は空中分解を起こし砕けながら海面へと落下、一部はそのままの勢いでレ級へと向かった。



    レ級はF3が放ったASM-2を前面で受け、戦艦のシールドの硬さに守られ轟沈を免れたものの、衝撃で後方へと吹き飛ばされた。
    更に追い討ちをかけるように勢いのついたF3の機体の破片をもろに受ける。


    そのすさまじい衝撃により気を失ったらしく、そのまま海面にうつぶせに倒れた。



    彼女はこの一瞬の出来事を、まるでスローモーションを見るように、映画のワンシーンを見ているかのように呆けて見ていた。
    しかしその目の前の出来事が現実のものだと認識した瞬間、声にならない叫びを上げていた。








    『・・・~!!!』



















  4. 4 : : 2016/09/03(土) 21:28:40




    「・・ちょ・・・・な・・・か・う・・・長井課長補佐!」





    がくんと頬杖から頭が落ち、ハッとなって長井は眼を醒ました。


    真の前に広がるのは煌々と明るく、様々なウィンドウが開きっぱなしになっているPCのモニター。

    山積みの資料に埋め尽くされている自分のデスク。



    窓に眼を巡らせば摩天楼の光に満ちた夜景の世界なのに、今居るオフィスはLED照明に照らされた殺伐とした『仕事場』

    現実の世界を目の当たりにし、彼女は長くみだれた髪をかき上げながら自分のデスクに向き直った。




    目の前のPCのモニターで資料を確認したまま眠ってしまったらしい。
    タスクバーの端にある時計に眼をやる。


    23時20分


    最後にこの時計を見たときより10分少々の時間しか経っていない。
    しかしなんだか遠い時間の中を旅してきたような・・・そんな錯覚を感じていた。



    こんな短時間の転寝で・・・夢を見るなんて・・
    疲れているのだろうか?

    長井は項垂れるようにデスクに倒れこむと、深い溜め息を吐いた。



    「大丈夫すか?課長補佐・・・うなされてましたよ?」



    加賀谷が心配そうに長井に声を掛ける。



    「ああ・・大丈夫だ。心配かけて済まん」


    顔を上げ、ふと目尻に手を伸ばすとうっすらと涙が滲んでいる。
    未だ夢の余韻は醒めず、悲しみで胸が苦しかった。


    「此処の所、ずっと会社に詰めっぱなしですし・・・少し休んだ方がいいんじゃないすか?」



    加賀谷は使い捨てカップにコーヒーを注ぎながら長井に話し掛ける。
    長井はそんな加賀谷の言葉に微笑むと、自分のデスクから立ち上がり腰を伸ばした。


    そのまま窓辺へと歩み寄ると、眼下の街を見下ろす。




    ビルの隙間を縫うように走る首都高は行き交う車のヘッドライトが、まるで渓谷の清流のように整然と流れてゆく。

    深夜のビジネス街なのに人の往来は途切れず、活気に満ち溢れていた。



    メガバスターミナルからは引切り無しに長距離バスが出入りし、中心都市としての機能を感じさせた。


    少し眼を遠くに移すと、繁華街のネオンサインも眼に入る。
    様々な店舗の屋上看板が鮮やかに瞬き、眠る事を知らない街を彩った。





    「もうすっかり元通り・・・というよりも更に発展した感じだな・・」



    長井は加賀谷が差し出すコーヒーを受け取ると、一口飲みながら呟いた。



    「戦闘状態の終息宣言があってから5年・・・宣言から1年足らずでほぼ元に戻りましたからね。元々インフラが破壊されたわけでもないですから、海上交通路が確保されればあっという間に元通り・・・喉もと過ぎればって奴ですよ」



    加賀谷の言葉を聞くと長井はまだ余韻の消えない頭を軽く振り、コーヒーを口に含んだ。
  5. 5 : : 2016/09/04(日) 20:39:52


    2098年

    東京 新宿

    かつての活気が戻り、相変わらずの喧騒が響き渡る。
    副都心の摩天楼が立ち並び、引切り無しに人が行きかう。

    深海棲艦による制海権の喪失、海上交通路の遮断により、経済活動は壊滅的なまでに追い込まれていたこの国も、過去の栄光を取り戻していた。


    物資や電力は隅々まで行き渡り、5年ほど前まで続いていたあの抑圧された生活は在りし日の幻と言わんばかりの活気に満ちた街で、人々は消費を楽しんでいた。


    街はそれぞれの欲を満たそうとする人々で溢れ、一種独特のエネルギッシュさをかもし出している。


    夜の街に居るはずなのに空の星は見えず、夜空はほんのりと明るさを映し出し、衛星軌道上からもきっと簡単にこの街を見つけることが出来るだろう。



    すでに人々は今までの苦しみを忘却の彼方に追いやろうとしていた。







    「ただいま戻りました~」



    二人が窓から街を眺めている後ろから、なんともくたびれた声がした。
    大川が呉への日帰り出張を終えて帰社してきたのだ。


    「お帰りなさい課長、日帰り出張お疲れ様です」


    長井はその声にいち早く振り向くと、微笑を送る。

    加賀谷はそんな長井の横顔を見ながらコーヒーを噴出しそうになった。
    それまで無表情に近かったのに、急に女の顔になったからだ。

    次の瞬間、長井の眼がスッと細まり、紅く美しい瞳が加賀谷をじとっと見据える


    「なんだ加賀谷・・・何か言いたそうだな」

    「いえ・・・なんもないっす」


    加賀谷はカップを咥えながらそそくさと自分のデスクに戻っていった。


    「いやぁ・・・疲れました。しかし・・・リニア新幹線というのは相変わらず速いですね~。呉から東京まで本当にあっという間でしたよ」

    「お疲れ様でした・・・。どうですか?成果の程は」



    長井はコーヒーの満たされたカップを大川に渡した。
    大川は荷物もそこそこにカップを受け取ると、一口啜る。
    全身の力が抜けてゆくほどの溜め息を吐くと、美味いと一言発してから長井に微笑みかけた。



    「あ・・そうだ。成果の話もそうですが・・・実はお土産があるんですよ」


    大川はにこにこしながら荷物をごそごそと漁る。
    長井も加賀谷もその姿を興味深々で眺めていた。


    「呉では何にも出来なかったですからね・・・東海道リニア新幹線の車内販売で伊勢土産を買いました。赤福餅」


    大川がドヤ顔で取り出した赤福は、実は御福餅。

    赤福餅は伊勢、名古屋、大阪の三角形の間でのみ限定的に販売することによって、「おみやげ」という位置付けを保つという戦略があるらしく、

    新幹線の車内販売では売られていない。

    一方、御福餅は伊勢市二見町の御福餅本家が製造販売する商品。
    赤福餅とよく似ていて、間違えて購入する例もあるらしい。

    伊勢自動車道のサービスエリアや、東海道リニア新幹線の車内販売などでも広く販売していて、大川も見事に間違えて買ってきてしまったのだ。

    長井と加賀谷は大川のドヤ顔を見て、笑っては悪いと必死に口元を押さえている。



    「・・・お二人とも、どうしました?」



    大川はそんな二人を見上げながら、意味がわからずポカンとしていた。



    「・・・か・・・課長・・・それ・・」



    加賀谷は必死に笑いを噛み殺しながら御福餅を指差している。



    「こら加賀谷・・・課長に失礼だぞ。しかし課長、それは・・赤福ではなく『御福餅』ですよ」



    溜まらず長井がフォローするも眼は微笑んでいる。
    大川は頭を掻くと、恥かしそうに下を向いた。


    「まぁ・・甘いものには変わりないし、腹に入っちゃえば皆同じだし。細かい事は抜きにして、ささ食べましょう!」


    加賀谷と長井は笑いながら椅子を大川のデスクの周りに持ってくると、そそくさと箱を開ける大川の手元も見つめる。

    二人が『御福餅』をつついている姿を見ながら、大川はにこやかにコーヒーを啜った。
  6. 6 : : 2016/09/10(土) 12:32:41
    お久しぶりでございます(∩´∀`)∩
    続編、期待しております(^O^)/
  7. 7 : : 2016/09/18(日) 09:46:51
    >>6
    ありがとうございます。

    仕事も忙しいのでぼちぼち更新してます。
    まぁ・・・気長にお付き合いください。
  8. 8 : : 2016/09/18(日) 09:48:44

    「ところで課長、山瀬海将補はお元気でしたか?」


    加賀谷がコーヒーを飲み、御福餅を夢中で頬張る横で長井が大川に話し掛ける。


    「ええ・・・お元気でしたよ。長井さんによろしくと仰ってました」


    大川はまだ2個しか御福餅を食べていない長井と、八割の御福餅を平らげてしまった加賀谷の言い合いに割って入りながら答える。
    大川はもう一つありますからと旅行カバンから御福餅を取り出すと、机の上に広げた。


    「そういえば・・飯島幕僚長からお電話が入っていましたよ」


    加賀谷が長井と御福餅を取り合いながら大川に話し掛ける。
    大川はコーヒーをもう一口啜ると、カップを机に置いた。


    相変わらず散らかる大川の机だが、今日は綺麗に片付いている。
    きっと長井が気を利かせて片付けておいてくれただろう事は想像に難くない。


    常日頃、整理整頓を口やかましく言ってくる課長補佐の存在に心強くも在り、まるで姉か母のようでも在り・・・なんとも複雑な思いを抱いているのも事実だった。


    「課長・・・幕僚長からの電話って・・・この前の件ですかね?」


    長井は口元についている漉し餡を指で拭いながら大川に向き直る。
    大川もそんな長井に視線を移した。


    「きっとそうでしょう。最近の動向から見て・・・防衛省側も急いでいるのかもしれませんね・・・」


    大川は自分の席に座りながらカバンからタブレットを取り出した。






    かつての戦闘・・・というよりも人類、そして我々に味方してくれている艦娘達と、深海棲艦と呼ばれた正体不明の生命体との戦争。
    そしてその収束から5年。


    此処へ来てまた深海棲艦の目撃例が増え始めていた。


    人類はかつての反省から、海上交通路の確保のための各国間ホットライン開設、国連統合海軍の設置など国の垣根を越え、制海、制空権の確保、維持に尽力していた。


    かつて有数の海軍力を保有していた英国、仏国、伊国、独国、米国、日本などが中心となり組織された国連統合海軍は、各国の領海、海上交通路、その制空権の確保のみならず、かつて深海棲艦が基地化していたと思われる無人島、環礁などの監視活動、海難救助、事故調査など・・・任務は多岐にわたっていた。



    あるとき、北極海を航行していた米艦娘第32駆逐隊のうちの一人、フレッチャー級駆逐艦娘『フラム』がレーダー上で通常艦艇と異なる反応を確認、小規模ではあるが深海棲艦の艦隊を発見した。
    深海棲艦側は発見されたとわかるや脱兎の如くその海域を脱出、戦闘には至らなかった。


    しかしそれからというもの、幾度と無く深海棲艦の小規模艦隊乃至は単艦での確認例が多く寄せられる事となる。
    いずれも攻撃があったわけでもなく、戦闘に至った事も無い。


    しかし世界はそれを安穏と見ているわけではない。


    同一艦と思われる目撃例を除き、国連統合海軍は目撃報告の多い北極海、南極海を中心に調査を開始。
    各国海軍は数多の艦艇、艦娘を向かわせた。


    しかし、それからぱったりと深海棲艦の目撃報告が途絶えた。


    元々その生態や行動原理すらはっきりとわかって居ない敵であるだけに、国連海軍は一旦削減していた海軍力を再び増強させる案件を国連会議の場で決議させ、国連統合海軍の主要国は現在急ピッチで軍備の拡大を図っていた。


    日本にしてみれば過去の悪夢が蘇らんとするこの事態に、防衛省、わけても国防海軍は再び戦力の拡充を迫られていた。
  9. 9 : : 2016/09/18(日) 09:51:37

    「しかし・・・防衛省が必死になるものしょうがないことでしょう。何せこの国は海外との輸出入が生命線ですからね」


    コーヒーを飲みながらタブレットを操作し、データを探しながら大川が呟く。


    「そうですね・・・ちょっと前の報告では、成田を飛び立つ旅客機と深海棲艦の制空戦闘機がニアミスなんて話も聴きましたし・・・」


    長井は残りの御福餅を加賀谷に譲ると、大川に答えながら彼の操作するタブレットを覗き込む。
    呉出張の際に撮影した画像を見ながら、長井は一つの画像を指差した。



    「もうここまで出来ているんですね・・・例の試作型」

    「ええ・・・戦艦クラスの艤装に取り付けるくらいの小型化は出来ました」



    長門が大川の肩越しに画面を見つめ、大川は飲み干したカップを机に置く。
    加賀谷はその様子を口元の漉し餡を拭いもせずに眺めていた。


    「艦娘の艤装に取り付けることの出来る砲撃補助の予備電算機、通信ネットワークユニット・・・ですか」


    加賀谷は机に広げられている御福餅の箱を片付けながら呟く。


    「今までの艦娘さん・・・特に戦艦クラスともなると、長距離射撃に関して着弾観測機が必須でしたし、そうなると必要となるのが制空権です。近代化改修等で着弾観測なしでも大分精度が上がりましたが・・・」

    「軍事衛星や観測衛星、早期警戒機、護衛艦やイージス艦などとのデータを共有し、索敵、着弾観測等を行う・・・・統合戦術情報伝達システムを艦娘にも適応しようと・・・」


    大川がタブレットを机に置き、目頭を揉みながら加賀谷に答え、長井が補足を入れる。
    相変わらずの息の合い方に夫婦だこれ・・・と内心呟きながら加賀谷は微笑んでいた。





    ミサイル全盛の昨今の戦闘方式で言えば、レーダーで相手を捕捉、照準しそれに向かってミサイルを打つ。
    後はミサイルに付けられている追尾機能(赤外線追尾、レーザー誘導など)を使い、相手に向かって飛翔する。
    レーダーで確実に捕捉出来る相手には非常に効果的かつ長距離での攻撃が可能である。


    しかし深海棲艦はどんなに大きくても手漕ぎボート程度。
    巡洋艦、戦艦クラスでも人間とほぼ同等、しかも姿形は女性である。


    それだけに遠方ともなればレーダーで捕捉することは難しく、有視界に近づいても的が小さく高速で動くので発見も射撃も非常に困難である。
    しかも彼女達が持っている兵器に関しては、WWⅡ当時の艦載砲と同等の威力を持ち、命中すれば現在の戦闘艦艇ではひとたまりも無い。

    もちろん防御装甲に関しても同じで、現在の護衛艦、イージス艦などの広く使われているオート・メラーラ社の76mm砲、127mm砲などでは簡単にはじかれてしまう。


    頼みは1分間に45発以上撃てるという速射性だが、当たらなければ意味も薄い。


  10. 10 : : 2016/09/18(日) 09:52:34
    ミサイル自体の装甲貫通性も砲弾、特に戦艦などの艦砲(40cm、46cm砲などの徹甲弾)と比べてしまうと雲泥の差で、もし遠距離で深海棲艦に対艦ミサイルを当てることが出来たとしても装甲を貫いて弾薬庫にまで炸薬を侵入させる事は出来ないだろう。


    さらに近距離ではミサイルによる攻撃は発射シークエンスが複雑で時間もかかり効果は薄く、かといって現行艦艇の砲撃ではほぼ無傷。
    頼みの綱は魚雷と艦娘同士の砲撃戦、近接戦闘となってしまう。




    艦娘が現れた当初は有視界戦闘が主で、長距離砲撃の命中精度はWWⅡ当時とほぼ同じだけの命中率でしかなかった。
    もちろん大和、武蔵を代表する戦艦娘は自前の着弾観測機を持っていて、その機の観測による遠距離砲撃だった。


    その後、幾度かの近代化改修や改造を受け、測距儀の精度の向上、海上レーダーの搭載、レーザー観測機器の搭載などで命中率は飛躍的に進歩したがそれでも30km先の目標に対して10%程度。

    WWⅡ当時は同じ距離で一桁%と考えると驚異的な命中率である。



    しかしそこで新たな問題も起こった。


    それまで旧式の機械式射撃方位盤(機械式電算機)と零式観測機を使い行っていた遠距離艦砲射撃を、様々なセンサーやレーダーを組み合わせて
    行うようになってからは艦娘の持つ処理能力では処理しきれなくなってきてしまったのだ。

    艦娘は背中に艤装接続アタッチメントを装備し、神経接続を用いて艤装の操作、照準、砲撃などを行っている。
    つまり生体である彼女たちはその大脳を全てにおいてのプロセッシングユニットとしているのだ。

    砲撃時の細かな計算以外にも動力炉の制御、回避運動、相手との相対速度計算、未来予測・・・・制御が増えれば増えるほど彼女達の負担は増す。



    目視での砲撃の多い駆逐艦や巡洋艦などでは特に問題にもならなかったのだが、長距離砲撃を多用する戦艦クラスともなると話はわかってくる。



    細かな事を話してしまえばきりがないのだが、40km先の物体、しかも水平線下の見えない敵に砲弾を当てる場合、気温、湿度等による空気抵抗も考慮し、なおかつ相手との相対速度、未来位置予想、風の流れ、地球の自転等も考慮の対象になり、最早彼女達の処理の限界を超えていた。
  11. 11 : : 2016/09/18(日) 09:53:04
    「そうですね・・・長井さんの言うとおり、多角的に情報を取得する手段を構築したいのは山々ですが・・・如何せんその情報を処理できるだけのゆとりが彼女達には無い・・・まぁ正直時間をかければ処理も出来るんでしょうけど・・戦闘ではそんな暇も惜しいでしょうし・・・」


    口元に手をあて画像をじっと見つめる大川のメガネに、タブレットの光が反射している。
    長井は大川の隣で屈んでいた背を伸ばすと、腰に手を当て少し後ろにのけぞった。


    「だから高速処理の出来る予備電算機によるサポートですよね・・・でもこれって中身はあれでしょう?」


    長井が改めて大川のタブレットを覗きながら質問する。
    大川はタブレットを操作すると一枚の画像を出した。
    そこには大きな筒状のガラス製培養槽の中に浮かんでいる、何本ものチューブに接続された・・・


    「そうですね。正に『アレ』です」


    大川は長井の問いに答えると、ずれたメガネを中指で押し上げながら眉間に皺を寄せた。

  12. 12 : : 2016/09/18(日) 10:00:45
    新しいスレです

    http://www.ssnote.net/archives/48872

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