このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
~セイバーウォーズN~ Ep.1【Xの帰還】
- 進撃の巨人 × Fate
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                  - 1 : : 2016/05/27(金) 14:54:30
- 久しぶりに戻ってきたFate宣伝係の者です。
 前に長編のシリーズ物を書いていたのですが、私生活の方が忙しく、全くssnoteに来られない状況が続いていました。
 
 が、やっとのことで私生活に余裕が出てきたので心機一転、過去作品を全て消してまた1から書いていくことに決めました。
 
 過去作品の完結を楽しみにしてくれていた方、もしいましたら本当に申し訳ありません・・・
 
 新しい作品も楽しんで頂けるように頑張りますので、良かったら暇なときにでも読んで頂けると幸いです。
 
 
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                  - 2 : : 2016/05/27(金) 15:07:41
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 主な登場人物
 
 
 ・謎のヒロインx
 
 本編の主人公。近代において社会問題になりつつもある【アルトリア系セイバー】をみなごろしにする為にやってきた。ちなみに、その正体はFate好きなら誰もが知っている"あの人"である。
 
 https://www.dropbox.com/s/5qlak4riducvzg1/WIN_20160527_132347.JPG?dl=0
 
 
 ・少年
 
 とある星にて奴隷として買われている少年。名前は存在しない。記憶の片隅にある母親の名は[カルラ]
 
 https://www.dropbox.com/s/jtdd0v8t4e0ifdh/WIN_20160527_121033.JPG?dl=0
 
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                  - 3 : : 2016/05/28(土) 00:36:52
 ―――A long time ago in a galaxy far,far away...―――
 ―――[遠い昔、遥か彼方の銀河系で...]
 
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                  - 4 : : 2016/05/28(土) 00:42:42
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 【ぷろろーぐ☆】
 
 
 
 
 
 
 
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                  - 5 : : 2016/05/28(土) 01:30:45
 西暦2015年
 魔術がまだ成立していた最後の時代
 社会は人間の手で構築されていたが、世界の真理をを握っていたのは魔術師だった
 魔術は科学では解明できない過去の人間の技術を司り、化学は魔術では到達できない未来の人類の技術を積み重ねる
 彼等は決して相容れない学問の徒だが、ある一点において志を同じとしていた
 魔術であれ科学であれ、それを研鑽する人間がより長く繁栄すること―――
 即ち、人類史の守護である
 人理継続保障機関、【カルデア】
 魔術だけでは見えない世界、科学だけでは計れない世界を観測し、人類の決定的な絶滅を防ぐために成立された特務機関
 人類史を何より強く存続させる尊命の元に、魔術・科学の区別なく研究者が集められた。
 西暦1950年、事象記録電脳魔・ラプラス完成
 西暦1990年、疑似地球環境モデル・カルデアス完成
 西暦1999年、近未来観測レンズ・シバ完成
 西暦2004年、守護英霊召喚システム・フェイト完成
 西暦2015年、霊子演算装置・トリスメギストス完成
 輝かしい成果は続き、人理継続保障機関により人類史は100年先までの安全性を保証されていた・・・・・・・・・・・・
 だがしかし!【安全を保証云々~】という死亡フラグを立ててしまったことにより、やっぱり大事件が発生!!!
 カルデアはめちゃくちゃ!シルクハットのネコ目おじさんは怪しい外見に似合った裏切り者だし、所長は天に召されたのち、あっち系の同人業界を賑わせちゃうし、あろうことか巨乳のマシュマロちゃんが後輩になっちゃうしのお祭り騒ぎ!!健全な男の子である作者のエクスカリバーもフルチャージ120%だ!(白目)
 まぁ何だかんだで人類救済の為に過去へタイムスリップしまくる主人公たち。
 そんな彼らの前に、"彼女"は突然やってきたのだった・・・
 「私以外のセイバー- ○○ 」
 物騒なセリフをぼやきながらロケット(笑)でやってきた彼女の名前はアルt・・・ではなく【ヒロインX】
 近年、量産化体制が整いつつある【アルトリア顔セイバー】をぶっころす為に彼女はやってきた。(墜落した、ともいう)
 そして彼女は主人公(以下"ぐだ子")やセイバーリリィと協力し、念願の害虫駆除()を達成させることに成功。ついでに戦いの最中で集めたパーツで宇宙船を修理してまた旅に出よう、と思っていたのだが、何故か宇宙船は直らず、ヒロインXはとりあえずカルデアに滞在することに。
 だが、何故か突然宇宙船が直ったのであった。(おい)
 「これはきっと何かの運命なのかもしれない!」
 そう考えたヒロインXは世話になったカルデアを離れ、再び宇宙を旅することに決めたのだった!!!
 ヒロインx「ふぅ、プロローグだけで無駄に尺を使い過ぎましたね・・・」
 ヒロインx「ですが、これは皆さんに少しでもFateに興味を持ってもらう為には必要不可欠な事です!【Fate/Grand Order】は基本プレイ無料でapple store及びGoogle playにてダウンロードが可能です!興味のある方や暇を潰すアプリを探している方は是非ともダウンロードしましょう!興味のない方もダウンロードしましょう!!!」キリッ
 ヒロインx「ふぅ・・・やはり"だいれくとまーけてぃんぐ"とかいうのは疲れますね。そろそろ本編に入りましょうか!」
 愛機、ドゥ・スタリオン2号を操り、謎のヒロインXは今日も宇宙という名の大海原をゆく!
 
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                  - 6 : : 2016/05/28(土) 23:07:47
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 ――SABER WARS N Ep1 [RETURN OF THE "X"]――
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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                  - 7 : : 2016/05/29(日) 00:18:35
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 広い宇宙の片隅に、ソレはあった。
 
 
 外見こそは幼稚で、まるで小学生が憧れを持ち、想像というという名の工程を経て突発的に生み出されたような形状であったとしても、その見た目とは裏腹に力強く壮大に宙域 を突き進む騎士の船―――
 
 【ドゥ・スタリオンⅡ号】は難航した(というより半ば諦めてた)修復作業を無事に終え、船としての本来の在り方へと戻っていた。
 
 
 「おっ!久々の航海にも拘わらず、随分と調子がいいですね!」
 
 
 
 船の主は満足そうに呟いた。
 
 
 
 当たり前の話ではあるが、鉄板に感情なんてものは存在しない。
 
 乗り物を動かすエンジンだって感情は無いし、機械を操る操縦桿にだって感情は存在し得ない。
 
 普通なら、【異論なし】と頷く場面であろうが、ドゥ・スタリオンの主である彼女―――ヒロインXは違った。
 
 
 ヒロインx「心なしか、エンジンのイキも良いですね。まるでガソリンでも垂らしたかのように良く唸る」
 
 
 人間と同じく、自身の愛機にも魂は宿っているものだとXは考えていた。
 
 久しぶりの宇宙、まだ見ぬ新たな新天地への期待や憧れ、不安を共に背負い、心が満たされるその時までドゥ・スタリオン は力を貸してくれる、私の思いに応えてくれる―――彼女はそう信じていたのだ。
 
 ヒロインx「きっと、"お前"も喜んで居るんですね・・・再び【サーヴァントユニヴァース】を駆けられた事が―――」フッ
 
 
 スタリオン『』キュィィィィィィィィン!
 
 
 ヒロインx「―――そして、ぐだ子やリリィ達と協力して邪魔なセイバー共をせんめつできたことがっ♪」ニコッ
 
 
 スタリオン『』ドンガラガッチャン!!!
 
 
 
 
 <ビ―――――!ビ―――――!ビ―――――!メインエンジンニトラブルハッセイ!!!>
 
 
 
 
 ヒロインx「メインブースターがイカれたですと!?どうして急に!!?せっかく直したのに!いや、落ち着くのです私!私の騎乗スキルはEX!どんなポンポン船でも乗りこなして見せます!!」グッ!
 
 
 スタリオン『!!!!!!!!!!!』ビーガチャガチャビーガチャガチャドンガラガッチャン!!!
 
 
 ヒロインx「なんでそんなに怒ってるんですか~!?まさか、ポンポン船とか言われたのがそんなに気にk・・・」
 
 
 スタリオン『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■』ジバクスイッチオン!
 
 
 ヒロインx「分かりました!分りましたよぉ・・・!!スタリオンさん素敵!イケメン!だから機嫌直してくださいよぉぉぉぉぉ!!」ブワッ
 
 
 スタリオン『バクハツマデゼr...』ピタッ!
 
 
 ヒロインx「ふぅ・・・何とか止まりました。・・・ていうか、なんでいきなりカウントが0から始まってんですか!?それ完全に私の事殺しにかかって・・・」
 
 
 <ビ――――――!ビ―――――ビ―――――!>
 
 
 ヒロインx「こ、今度はなんですか!?」
 
 
 <いつの間にか惑星の重力圏に入りました。さっきの騒動でメインエンジンが損傷し、大気圏脱出用の推力が出せません>
 
 
 ヒロインx「はぁぁぁ!!?」ガタッ
 
 
 <スタリオン、落ちまーす!!>
 
 
 ヒロインx「いやなんて事言うんですか!?作者は受験を間近に控えてると言うのに"落ちる"とか言わないで下さいよ!あと、何ア○ロみたいなテンションで軽くノリノリになってるんですか!?粛清しますよ!隕石落としますよ!?サイコなフレームプレゼントしますよ!?」
 
 
 ヒロインx「―――って、こんなこと言ってる場合じゃない!墜落するぅぅぅぅぅぅぅ!!!」アタフタ
 
 
 
 
 こうして、ヒロインXの新たな旅は、早急に終わりを告げようとしているのであった・・・めでたしめでたs ヒロインx「いや全然めでたくないですからぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
 
 
 
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                  - 8 : : 2016/05/29(日) 00:42:10
- 前作から読ませていただいていた者です。
 今作も、ハラハラするバトルが見られるのかと期待大です。
 今度こそ、ちゃんと完結させてくださいね?(笑)
 
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                  - 9 : : 2016/05/29(日) 08:58:26
- >>8
 今作も読んでくださり、ありがとうございます!
 前回のようにならないよう、頑張ります
 
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                  - 10 : : 2016/05/29(日) 23:21:26
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 ―――――――――――――――――――――――――――
 
 
 
 
 【サーヴァントユニヴァース】―――
 
 
 多くの生命が住まう地球が属する太陽系やどの銀河系にも属する事のない、"別次元"に存在するもう一つの大宇宙―――
 
 そこに存在する無数の星々は"人間"とはまた違った、とある種族、いや―――とある"霊体"達によって支配されている、と言うべきか。
 
 人間はソレらを英霊・・・俗にいう"サーヴァント"と呼ぶ。守護霊召喚システム・フェイトを用いて呼び出し、自らの目的を果たす"駒"として使役するのだ。
 
 
 ―――が、それはあくまで人間達による偏見であり、正確には違う。ソレらは"英霊であって、英霊ではない"のだ。
 
 
 
 英霊とは本来、人類存続を守る抑止力である。英霊召喚とはその抑止力の召喚―――霊長(人間)の世を救う為の決戦魔術だ。
 
 霊長と築き上げられた文明を滅亡させるであろう、【ただ一つの敵】を討つ為に英霊は七つの器を持って現界し、【七騎の英霊】として召喚される。
 
 その殆んどは神話や伝説の中で成した功績により生まれた"信仰"が死後の人間霊となったかつての"英雄達"を精霊の領域にまで昇華させたもの―――即ち人間達の【守護者】である。
 
 
 
 だが、【サーヴァントユニヴァース】に君臨する"エイレイ"達はそれには該当しない。
 
 理由は至極単純。あくまで彼等は"別時空"の存在であり、人間にとっての【守護者】ではないからだ。
 
 故に、彼等は人間によって召喚された"英霊"とは違い、本能に従って【人間を守る】という行為はしない。
 
 もし、彼等が何かを守ろうという念に駆られたならば、その対象となり得るのは人間ではなく、同じ【サーヴァントユニヴァース】に生きる同種のみだろう。
 
 
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                  - 11 : : 2016/05/29(日) 23:37:06
 ↑ちなみに、上記の"英霊"の解説は【Fate/Grand Order】における"英霊"の解説です。原作の【Fate】シリーズにおける"英霊"とは微妙に異なっている点も存在します。
 気になった方は是非とも【Fate/stay night】または【Fate/Grand Order】をプレイしてみましょう!
 【Fate/Grand Order】の方はスマホアプリでダウンロードの方は無料(悲しいことに、完全無料とは言えないかもしれない)!【Fate/stay night】の方は原作はPCですが、現在は【レアルタ・ヌア】(←スペル忘れた)としてスマホ版やpsvita版も発売されています。スマホ版においては【Fateシリーズ】の原点ともいえるセイバールートである【Fate】は無料という、良心的なカンジとなっています!
 また、原作のPC版はまさかのエ○ゲー!ヒロイン達のおっきぃのやちいさいのも拝めますよ!
 迷ったり興味を持った方は是非ともプレイしてください。迷ってないし興味のない方もプレイしてください、どうぞ()
 
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                  - 12 : : 2016/05/29(日) 23:48:05
- 怒涛の宣伝乙
 
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                  - 13 : : 2016/05/30(月) 00:24:52
- >>12
 もっとたくさんの人にFate知ってほしくて、あわよくばこのサイトにFate作品が増えて欲しいのです。あと、名前が宣伝係なので、仕方ないですよね・・・?()
 あと、なんだかんだ言って読みに来てくれてありがとうございます^^
 
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                  - 14 : : 2016/05/30(月) 11:48:43
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 ――――――――――――――
 
 
 
 サーヴァントユニヴァースに点在する数多の銀河の片隅の、[タイヨウケイ]銀河の中の幾億の、輝く星のそのまた片隅に【惑星レベンゲ】はあった。
 
 地表のおおよそ8割が砂漠であるこの星はその外見に見合った、日中は猛暑、日没後は極寒――――といった具合だった。
 
 
 
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                  - 15 : : 2016/05/30(月) 15:02:45
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 サーヴァントユニヴァースの英霊達には、欲求という概念も存在する。
 
 適度な栄養や睡眠を採らなくてはたちまち消滅してしまうし、生殖活動を行わなくては種全体の保存は望めない。
 
 睡眠欲や性欲に関してはその気になればすぐに達成できるのだが、食欲を補うための食料の確保が問題となっている。
 
 地球のような雨季も一応存在こそしているものの、その期間はたったの1週間と非常に短い。その為、必要最低限の生活用水の確保すら、雨季の間に十分確保することはほぼ不可能と言っていい。
 
 更に、生活用水の他にも飲料水や農作物を育てる為の栽培用水にも水は消費されている。農作物に関しては過酷なレベンゲの気候に強い品種ではあるものの、幾ら何でもまったく水をやりません、という訳にはいかないので、やはり重大な問題となってしまっている。
 
 そんな環境でも英霊達が今日まで過ごしてこれたのは、一言で言えば【貿易の力】である。
 
 
 レベンゲの地表の8割は砂漠であるが、残りの2割には根に豊富な雨水を蓄えている[イオルー]の森と大農場。そして、"とある希少鉱物"が取れる鉱山が存在している。
 
 ここで採掘できる"とある希少鉱物"なるものを近辺の星々との交易によって、水や食料を含めた生活必需品と"交換"する事で、彼等はそこそこ安定した生活を送っていくことが出来るのだ。
 
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                  - 16 : : 2016/05/31(火) 09:53:00
 ――――――――――――――――
 燦燦と降り注ぐ日照りが地面を焦がし、まるで熱した鉄板に乗っているかのような錯覚にさえ襲われる。
 時刻はすでに正午を回っている。周囲には各自昼食をとっている同業者達の姿が見受けられた。
 視線を落とし、膝の上に乗っている質素な小箱に目をやった。
 中には小箱の面積の半分にも満たない、玄米で作られた小さなおにぎりと、申し分程度の古漬けが添えられていた。
 きゅゆ、と鳴る自身の腹をなだめながら、僅かな昼食に手を付けた。
 まるで空気でも飲み込んだかのように、何の当たりも食感もないまま、おにぎりはするりと喉の奥底へと消えていく。
 何も感じぬまま、古漬けへと手を伸ばし、口内へと放り込む。
 漬物をかじる口だけを動かしたまま、美味いとも不味いとも感じぬまま、ぼうっとその場に座り続けた。
 
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                  - 17 : : 2016/06/02(木) 15:07:07
 ―――こんな生活が何時まで続くことだろう
 自分にとって"生きる意味"といえる行動をした際、決まってソレが虚しさとなって胸中に込み上げていた。
 このまま、自分の目的を果たせず、終着点に達する事はおろか、近付くことさえ叶わずに朽ちていくのだろうか。
 このまま、埃臭い坑道で使用用途さえ知れぬ石を掘り続けるだけの道具として生き続けていくのだろうか。
 このまま、"あの人"と再開できずに、一生をあの"クソ領主"の下でこき使わせられ続けて俺は・・・俺は――――――――――――
 「ッ―――――!クソがぁぁぁッ!!!」ドンッ!
 気が付けば、空となった弁当箱は振り下ろされた自身の拳によって粉々に砕け散り、その破片の刺さった箇所からは鮮やかな血がゆっくりと滴っていた。
 数秒に渡り自身の流血を眺めた末、ハッと唐突に我を取り戻す。
 「・・・しまった、弁当箱壊しちまった」
 これじゃあ、また当主にぶっ飛ばされるだろうな
 だが、アイツの俺に対しての暴力なんて、何も今に始まった事じゃないしな。情けないったらありゃしないが、もう慣れたモンだ―――
 「さて、と。そろそろ仕事に戻らなきゃ、殴られる時間が増えちまう―――」スクッ
 ゆっくりと起き上がり、尻についた汚れを払った。
 散らばった破片をかき集め、いつもの作業場に戻ろうとした。
 その時――――――――――――
 【どっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!】
 けたましい衝撃音が周囲に響き渡った。
 
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                  - 18 : : 2016/06/02(木) 21:30:17
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 ――――――――――――――――――
 
 
 ヒロインx「う、うぅん・・・」スクッ
 
 ヒロインx「ここは・・・?天国―――ではなさそうですね」
 
 ヒロインx「ふぅ・・・そこそこの幸運スキルがあって良かったです。計器類もそれ程損傷してはいないようだ!」ε-(´∀`*)ホッ
 
 ヒロインx「とは言え、多少の修理の必要はありますね。ここら辺にその手の店は果たしてあるのでしょうか・・・」ハァ...
 
 
 
 ワイワイガヤガヤザワザワ...
 
 
 
 ヒロインx「んー、さっきから外で人の話し声が聞こえますね。ちょうどいい!聞き込みをしてみましょうか」ポチットナ!
 
 
 
 ―――――――――――――――――――――
 
 
 ――――――――――――――――
 
 
 ――――――――――
 
 
 ―――――
 
 
 
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                  - 19 : : 2016/06/15(水) 10:29:19
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 プシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ―――――――――――――
 
 
 
 
 モブA「な、なんだなんだ!?」ザワザワ
 
 
 モブB「ロケットみてぇなヘンテコな鉄塊から、煙が出てきやがった・・・!」ザワザワ
 
 
 少年「・・・・・・!」ゴクリ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ヒロインx「―――――ッ!ゲホッ・・・ゴホッ!この煙の演出は何とかならないんですかね?私こんなの付けた覚えないのにぃ・・・」フラッ
 
 
 少年「―――――ッ!?//」ドキッ
 
 
 モブ共
 「女だ!ジャージ姿の女が出てきたぞ!!」
 
 
 「生足だぁぁぁぁぁ!そのふつくしい足でわたくしめをふんでくだしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい////////」ブヒィィィィィィィィィ!!!
 
 
 「ざわ・・・ざわ・・・」
 
 
 
 
 
 ヒロインx「・・・少し、聞きたい事があるのですが」|キラキラキラ/
 
 
 モブ共「「はい!よろこんでー!!!!!!!!」」
 
 
 ヒロインx「ず、随分とノリがいいのですね・・・では質問なのですが」コホン
 
 
 ヒロインx「私は宇宙を旅する一匹狼ならぬ、"一匹セイバー"Xと申します。ですが見ての通り、私の乗っていた宇宙船は見事にこの星に墜落してしまい、あの有様です」
 
 
 ヒロインx「この近くで、船のパーツ関連を取り扱っている店を知りませんか?宇宙船を修理する為の部品を揃えたいのです」
 
 
 モブ共「ほほう・・・女王様の頼みとあらば、応えぬわけには行きませんなァ!」コーフン
 
 
 ヒロインx「いや、私女王じゃなくて王・・・」
 
 
 モブ「その手の店なら――― 少年「お、オレん宅―――ッ!」バッ!
 
 
 ヒロインx「?」
 
 
 少年「オレん宅の近くにジャンク屋がある―――!そこは安いし、船のパーツも沢山置いてある!お、オレが案内するから、そこを利用するといい――――!」シンケン!
 
 
 モブ共「えっ・・・!?」ビクッ
 
 
 ヒロインx「ほぉ・・・それはいいことを聞きました!その上案内まで引き受けて頂けるとは・・・ありがとうございます!」ニコッ
 
 
 少年「!!!!!!/////」
 
- 
                  - 20 : : 2016/06/18(土) 09:46:34
 何故だろう――――
 何かの予兆があったわけでも無い。
 顔見知り、と言う訳でも無い。
 再び再開出来る事を望んでいる、"あの人"に関係している、という訳でもない。
 ただ―――――――
 オレは自分でさえ奇妙だと思う程、心の中に、
 空から落ちてきた少女―――"X"に強く惹かれるものがあった。
 オレは彼女と少しでも長く一緒に居たくて、ほんの一時、自分が置かれている立場すら忘れ、彼女に協力することに決めた。
 
- 
                  - 21 : : 2016/06/19(日) 18:13:57
- 
 
 
 
 「なぁ、ちょっと待ってくれよ女王様・・・」
 
 
 Xを連れ、作業場を後にしようとしたオレを同僚の一声が遮る。
 足を止め、声のした方を振り返った。
 
 
 ヒロインx「まだ、何かあるのですか?」クルッ
 
 
 モブ「え、えぇ・・・実は俺達、ここいらの鉱山で働いている者なんスけど、その・・・マズいんスよ。何の断りもなく作業場から離れるのは」
 
 
 少年「―――――――ッ!」ビクッ
 
 
 ヒロインx「なるほど・・・」ムムム
 
 
 たった一言――――――――――
 
 
 その一言は夢見がちなオレを"現実"に引き戻すには充分な、寧ろ大き過ぎる程の力を持っていた。
 
 
 つくづく、自分はなんて間抜けなんだろうと呆れた。
 そうだった。オレは浮かれるあまり最も忘れてはいけない、肝心なことがいつの間にか脳裏から離れてしまっていた。
 
 
 絶対に忘れてはいけないあの日の悲劇―――
 オレが、いや―――オレ達が置かれている、余りにも無様で、余りにも悲惨な現状を
 
 
 少年「・・・・・・」ワナワナ
 
 
 ヒロインx「・・・・・・?」
 
 
 
 
 
 ヒロインx「あの、一つ尋ねても宜しいですか?」
 
 
 モブ「はい、私に答えられる事であれば一つと言わず、幾らでも」コクッ
 
 
 ヒロインx「皆さんはこの鉱山で、どのような仕事をなさっているんですか?」
 
 
 モブ「"採掘"ですね・・・年中無休、ほぼ一日中、名も知れぬ希少鉱物とやらの採掘ですよ」ハハハ...
 
 
 ヒロインx「・・・何故、そのような事を?」
 
 
 この質問に対し、先程まで同僚達を代表して応答をしていた男は目を大きく見開き、他の同僚達とぼそぼそと何かを話し始めた。
 
 
 ヒロインx「応えづらい事であればいいのです。デリカシーがなく、すみません」ペコリ
 
 
 モブ「あっ、いえいえ!大丈夫っス!やれやれ、女王様にはどうも敵わない・・・」
 
 
 男は観念した、と言わんばかりに苦笑を漏らし、貴女になら話しても問題はあるまい、と自分達が何故、この鉱山で働くかの経緯を話し始めた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
- 
                  - 22 : : 2016/06/19(日) 18:59:57
 ヒロインx「"迫害"・・・ですか」
 モブ「えぇ・・・」
 男は頷き、数秒の魔を開けたのち、話を続けた。
 男は語った。
 自分達は、この【サーヴァントユニヴァース】で生まれた数少ない"人間"の種族であること
 が、この惑星レベンゲにおいては人間は、地表の八割にも及んでしまった大規模な"砂漠化"のきっかけを作ったとして忌み嫌われている存在であること
 そして首都を治める皇帝、【コスモユリウス】の新政策によって本格的に差別的扱いを受ける事になってしまったことをすべて話した。
 モブ「ここにいる全ての男達に家族はいません。我々若い世代の者は作業要員としてこの鉱山で飼い殺しにされ、女はユリウス皇帝の居城へと揃って連行されました。老人は役に立たぬと問答無用で殺され、老婆は皇帝の欲を満たせぬ、と同じように殺された・・・」
 ヒロインx「えぇ・・・ちょっとブラック過ぎませんかこの星・・・」ドンビキ
 モブ「全くッス・・・女王様の仰る通り。恐ろしい男ですよ・・・ユリウスの野郎は」ハァ...
 謎の少女、Xが現れた時にはまるで革命でも起きたかのようにざわついていた観衆も、男の話が終わるころには静まり返り、誰もが顔を地面に向け、悲しみや悔しさを交えた表情をしていた。
 見渡せば中には必死で涙を堪える者、小さく縮こまり震える者、そして、悲しみを堪えきれずにわんわんと泣きじゃくる者もいた。
 Xも何かを言いたそうに口を開きかけたが、数秒の硬直を経て周囲と同じように口を噤み、気まずそうに俯いてしまった。
 
- 
                  - 23 : : 2016/06/20(月) 00:20:23
- 
 
 『どうしてこうなってしまったのか』
 
 
 
 
 そんな事はこの鉱山で働く誰もが共通に抱く感情だ。
 
 何故、オレ達は全く心当たりのなく、ましてや見たことすらない出来事の為にここまで迫害されなくてはいけないのか。
 
 何故、【英霊】と【人間】、双方の種族はきちんと話し合えなかったのか。人間が英霊に対し、何をしたというのか。
 
 このまま分かり合う事も分かろうともせず、英霊達によって人間は家畜の用に飼い殺され、やがては死んでいくのだろうか。
 
 
 
 
 
 少年「このままじゃ・・・このままじゃ、駄目なんだ!」
 
 
 ヒロインx「!」
 
 
 少年「分かってるさ、そんな事ぐらい・・・だからオレ達は"行動"に移したんだ!割り当てられた作業場を放棄し、ツルハシの剣を携えて乗り込んだんださ。憎き皇帝とも繋がっている、この鉱山の"支配人"の元に!!」
 
 
 また余計な事を口に出してしまった、と思った。
 
 同僚達もXも、オレが急に声を荒げたせいか、拍子抜けした顔を浮かべている。
 
 だが、特にオレの仲間達がそんな間抜けな顔を披露できたのはせいぜい数秒の間だけだった。
 
 やがて、再び周囲は顔に絶望を浮かべてしまうのだった。
 
 
 
 
 ふと、やめろ!という声が何処からか上がった気がした。
 
 これ以上、他人であるXに話す必要は無い、という意味だろうか。
 
 それとも、ただ単に思い出したくないだけなのだろうか・・・
 
 
 
 
 
 
 
 確かにそうかもしれない。
 
 いくら皆の前では普段から明るく振る舞っていたとしても、かといってそれが本当に"明るい"ということに繋がる訳じゃない。
 
 
 悲しいものは悲しいし、辛いものは辛いんだ。例え誰であっても―――――
 
 
 "辛い"から―――――――
 
 "悲しい"から―――――――
 
 
 それが心底嫌で、嫌で、嫌で、嫌で、
 
 
 嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で・・・・・・
 とにかく嫌で仕方がないから、仕方なく笑いを"作ってきた"。
 
 
 "あの騒動"があったから仕方がない、と自分に言い訳をして、誤魔化して――――――
 
 
 真っ黒な日常を、ひたすら白く塗り潰そうと、いつしかオレ達は奔走していたんだ。
 
 
 そして、何もかも忘れて、これが本来の自分達の在るべき姿だ、と勝手に諦めを付けて、偽りの平和な暮らしを演出しようとしていたんだ―――――――――。
 
 
 
 
 
 ただ、"辛い"から―――――――。
 
 
 
 
 
 
- 
                  - 24 : : 2016/06/20(月) 00:46:21
 少年「――――やめろ、って?今更何をやめろって言うんだよ・・・」ジロ
 モブ「・・・俺達はともかく、そこから先は・・・・・・女王様には関係ないだろ!?」
 少年「オレ達が置かれている境遇までは話したんだろ?だったら、別にもう隠す事はねェだろ・・・ モブ「無いッ!!"英霊"である女王様に話す必要は・・・これっぽっちも無いッ!!!」
 モブ達「「!!?」」ザワザワ...
 ヒロインx「へ・・・?」キョトン
 少年「・・・・・・」ジロッ
 モブ「・・・・・・・・・・・・!」ゼェゼェ...
 少年「・・・見ての通りだよ、X。これがオレ達を"弱者"たらしめる、見えない壁だ」
 ヒロインx「・・・・・・」
 
- 
                  - 25 : : 2016/06/22(水) 12:52:18
- 
 
 少年「俺だけじゃない。ここで働いているのは全員、"支配人"を除いて人間なんだよ」
 
 
 ヒロインx「えぇ、それは分かっています。皆さんからは魔力の反応が感じ取れませんから」コクッ
 
 
 
 少年「・・・となるとX、アンタはやっぱりセイバーの"サーヴァント"なんだな?」
 
 
 
 ヒロインx「勿論ですとも!断じてアサシンなんかじゃありませんよ!」コクコクコクコク!!
 
 
 
 少年「・・・さっき話した通りだ。オレ達はXと同じ"サーヴァント"によって家族や大切な人を奪われ、【自由】と引き換えにここの鉱山で働かされ続けてきた。根拠こそ無かったが、オレ達は信じていたんだ。一生懸命働けばいつかきっと解放される、皇帝の元に連れていかれた奴らもきっと戻ってくる・・・ってな。笑っちゃうだろ?」(苦笑)
 
 
 
 ヒロインx「いえ・・・。それでも――――――皆さんは不確かな希望でも、僅かでもソレがあるのなら、ひたすらに祈るしか無かったのでしょう?」
 
 
 
 少年「あぁ、そうさ。まさに"藁にも縋る"思いだよ。やりたくもない作業を強制された上、貧しいメシに安い賃金と来た。【希望】が無くっちゃやっていけねェよ。いける訳がない」
 
 
 
 少年「だが、1年2年と働きづめても、現状は何も変わらかった。相変わらずの不味いメシ。ボーナスは愚か残業代も出ない給料。帰ってこない家族。ウンザリだった。ここにいる誰もが、胸中に不満と怒りを溜め込まずにはいられなかった」
 
 
 
 少年「そしてある日、オレ達は【アルミン】って男の指導の元、鉱山を乗っ取り、皇帝側に誘拐された者を含めオレ達全員の開放を求めるという計画を発案し、実行に移したんだ―――」
 
 
 
 
 ―――――――――――――――――――――――
 
 
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 ―――――
 
 
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                  - 26 : : 2016/06/22(水) 22:07:08
- アルミン・・・
 
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                  - 27 : : 2016/07/03(日) 16:37:53
 オレ達人間は労働力として連れて来られた際、劣等種族の分際で姓名を持つなど嘆かわしい、と鉱山の主に名を名乗る権利すら剥奪された。
 もし自身の姓名を名乗るような真似をすればその命は潰える、と主に脅され、力の無いオレ達は怯え、竦むしかなかった。
 誰だって、自分の命は惜しい。
 生きてさえいれば、何だって出来る。
 五体を通じて体感した事柄を記憶し、思い出として脳裏に焼き付けられる。
 ソレが自身にとって喜怒哀楽、どれに当てはまったとしても。
 時が経てば、どんな事でも"かけがえの無い大切な思い出"になるものだ。
 だから、死んでしまっては意味がない。
 死んでしまっては、もう何も感じられない。
 心に"思い出"を焼き付ける事が永久に出来なくなってしまうのだ。
 オレ達を平気で差別するレべンゲの"サーヴァント"共は憎い。平穏な家族を引き裂く原因を作ったことは許せない―――が、かといって何をするわけでも、主の野郎に殴り込みに行く訳でもなく、オレ達は【耐える】道を選んだ。
 このまま大人しく鉱山で働き続けていれば、いつかオレ達は解放される。
 必ずまた、家族皆で笑い会える日々が戻ってくる、という幻想を信じ、、疑う事をしなかった。
 
- 
                  - 28 : : 2016/07/03(日) 16:43:03
 アルミン・アルレルト。
 惑星レべンゲで生を授かった人間としては珍しい、金髪碧眼の少年。
 オレが鉱山に連れて来られるよりも遥か前―――物心がついて間もない頃に家族を奪われ、涙を流すことも逃げ出すことも許されず、ここで働かされ続けてきた"奴隷"
 アイツと出会い、別れるまでの日々を、オレは今日まで忘れた事はない―――――
 
- 
                  - 29 : : 2016/07/03(日) 16:56:00
 1日目。
 主によって自由、姓名を奪われたオレ達はまず、身に着けていた衣服や装飾品、小物等を全て剥ぎ取られる。
 この時点で、少しでも抵抗する意思を見せた者は主の持つ黄金に輝く斧によって、身体を"真っ二つ"に切り裂かれた。
 大量の鮮血が周囲に飛び散り、傍で待機させられていたオレ達にも当然のようにふりかかる。
 抵抗なんてくだらない真似は寄せと嗤う主を前に、オレ達は身動きどころか、頷く事さえ出来なかった。
 あまりの恐怖に、その場で失禁したり、意識を失うものもいた。
 
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                  - 30 : : 2016/07/03(日) 17:12:25
 人間"だった"モノの処理を終えた後、配布された薄汚い麻の作業着に着替えさせられ、ツルハシ一本を手に、それぞれが割り振られた作業場へと通された。
 この鉱山には全部で8本の行動が存在しており、その一つ一つがアルファベットA~H坑道と仕切られていた。
 基本一つの坑道につき12~15名、加えてメンバーを仕切り、坑道一本分全てにおいての責任者である"班長"一人を加えた最大16名で構成される班が割り当てられる事になっている。
 オレが割り振られた班はE坑道を担当する【E班】。メンバーはオレを含めて全部で13人。
 そのE班の班長を務めていたのが、アルミンという少年だった。
 
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                  - 31 : : 2016/07/03(日) 21:43:03
 オレ達が入山した事を事前に知らされていたアルミンは、E坑道に入るなり、進行中だった作業を中断し、ツルハシを岩壁に丁寧に掛け、こちらに歩み寄ってきた。
 まだアルミンの現場での地位を知らなかったオレ達はどう反応すべきかと困惑していたが、アルミンの「せ、整列!」という溌剌とした掛け声を聞き、慌てて一列に隊列を整えた。
 「えっと、話は上のほうから聞いてるよ」
 オレ達と同等に緊張が残った口振りで、少年は続けた。
 「僕はアルミン。アルミン・アルレルト。一応、このE坑道の班長を任されているんだ。僕より年上の人も居るみたいだけど、ここでは堪えて、僕の言う事に従って欲しい。えと、よろしくお願いします!」
 挨拶を終え、ペコりと頭を下げた。
 「・・・って、あれ?」
 一瞬にして、場は静まり返った。オレ達は誰一人として口を開こうとはしなかった。
 いや――――
 正確には、空いたままの口を塞ぐ事が出来なくなっていた。
 それもその筈。
 自分達が配属された班の統括者は先の挨拶の際、確かに"自身の名を名乗った"のだ。しかも、"名"だけでなく、"姓"の方まで。
 「お、おい!アルミ・・・いや、班長!」
 新入り組の中で最も最年長の男が口を開く。
 「ここのルールじゃ、確か人間は姓名を名乗っちゃいけない、ってなってる筈だぞ!」
 「うん、そうだけど・・・ですけど、それがどうかし、しましたか?」
 気迫に押されてか、口調がまどろしくなった班長を押しのけるかの如き勢いで続ける。
 「班長はさっき、俺達に名前言って自己紹介したよな!?」
 「は、はぁ・・・それがな、何か・・・?」
 「何か、じゃねェ!いいのかよ!?班長みたいなお偉いさんは、別に名前を名乗ってもいいって言うのか!?」
 吐き散らす男の手は震えていた。固く握られてはいるものの、小刻みに震える拳が目に留まった。
 この時、男はその胸中で何を思っていたのだろうか。
 もし自分が男の立場なら―――恐らく、ソレは"怒り"だという結論に至った。
 "【サーヴァント】と【人間】"だけに留まらず、同じ人間同士で班長と班員、という枠組みを超えた"格差"が存在しているのだと思うと、オレなら、「吐き気がする」と思った。
 一体何て言葉が返ってくるのか、と目をぱちくりさせていたアルミンは穏やかだった表情を一瞬曇らせ、また元の柔和な雰囲気に戻った。
 「勿論、」
 「勿論、って、オイ―――――――――――」
 「勿論、いけないことだよ。僕の行動は明かな【禁忌違反】だ」
 「え・・・?」
 アルミンは苦笑を漏らし、奥まで深く掘り進められた坑道を見渡し、再び顔を此方に戻した。
 「この鉱山にはね?炭鉱内部をすっぽりと覆い尽くすぐらい大きな結界が張ってあってあるんだ。その結界の効果で、僕達が坑道内で話した事とかやってる事は全部、ここの主に筒抜けなんだ」
 「え――――――え・・・・・・!?」
 思わぬ一言に、オレ達は凍り付いた。
 オレ達はハナから監視されていたのだ。あの冷酷非道な鉱山主に、全ての行動、会話を。
 どの角度からどのように視られているのかと、全員が慌てて坑道内部をギョロギョロと見回していると
 「はーい!無駄話はここまで!それじゃ早速、作業に取り掛かってもらいまーす!」
 アルミンはパンパンと手を叩き、威勢の良い声で全員の作業実行を促した。
 眠りから覚めたようにハッと正気に戻ったオレ達は、アルミンの指示を耳に通すだけ通しつつ、それぞれが複雑な心境で過酷な労働に就くのだった。
 
- 
                  - 32 : : 2016/07/03(日) 22:05:32
- ごめんなさい・・・こんな変な内容ばかりでごめんなさい・・・2からはもっと面白くしますから・・・万人受けするように頑張りますから・・・
 もう少し、いや、もう結構付き合ってください・・・
 すみません、続けます。しばらく投稿出来なかったので、書ける時に頑張ります
 
- 
                  - 33 : : 2016/07/03(日) 22:26:36
 一日の作業の終わりを告げる鐘の音が、狭く暑苦しい坑道内部に木霊する。
 それとほぼ同時に、俺は震える両手に最後の力を込めてツルハシを投げ捨て、体はまるで全身の骨格を抜き取られたように、だらりと地面に崩れ落ちた。
 どっしりとした疲労感に浸される。
 立ち上がる事はおろか、喋る事すらままならない。
 責任者として現場の見回りをしていたアルミンに肩を借りなければ、オレはこの場から動けず、坑道の一部になっていたかもしれない。
 自分より小柄なアルミンによいしょよいしょと運ばれる自分の不甲斐なさを責めるのが半分。もう半分は、自身も労働明けで疲れているにも関わらず、俺に肩を貸してくれる事への感謝の気持ちだった。
 
- 
                  - 34 : : 2016/07/07(木) 12:50:46
 アルミン「このまま部屋まで送るよ。場所はどこ?」
 俺の顔を覗き込みながらアルミンが訪ねた。
 部屋とは、鉱山の労働者が与えられる仮の住処の事である。
 鉱山には人が寝泊まり出来る程の充分なスペースはなく、かといってそのまま作業員を坑道内で寝泊まりさせた結果、原因不明の奇病に苛まれて数日後に死亡した、というエピソードが過去にあったらしい。
 人間如きに住処を与えるなぞ―――――という意見もあったそうだが、作業要員の減少と死体の処理にかかる手間を考慮した上での配慮だそうだ。
 どうして人間はここまで不当な扱いを受けなければいけないのか、
 そんな事を考えながら、オレはアルミンに住まいのあるアパート名と部屋番号を伝えた。
 
- 
                  - 35 : : 2016/07/09(土) 11:30:00
 ソレを聞いたアルミンは目を白黒させながら此方を見つめてきたが、やがてふっと口元に笑みを浮かべた。
 「話は聞いていたけど、まさか君だとは思ってなかったよ!」
 アルミンの反応の意味を理解するのにしばらくかかったが、どうやら空き部屋の都合上、オレはアルミンと同室に振り分けられたらしい。
 まだロクに会話を交えたりした訳でもないのに、事もあろうか職場の班長といきなりルームシェアとは―――
 「なんと言うか、少し気まずいな」
 なんて―――
 つい、思っていた事を声に出してしまった。
 「僕と同室は、もしかして嫌だったりする・・・?」
 「い、いや!そんな事はない・・・!あっ、ないです・・・!」
 「無理はしなくていいんだ。言ってさえくれれば、僕が直々にゴールデン・・・いや、雇い主に掛け合って―――――」
 「いや!本当に大丈夫なんで!その、気を使わせてすみませんでした・・・っ!」
 アルミンは何かを考えるように終始俯いていたが、再び顔をあげ
 「そう?なら、いいんだ」
 と、笑った。
 
- 
                  - 36 : : 2016/07/09(土) 11:59:00
 「あ、そうそう!」
 鉱山から離れ、オレを含めた作業員達が住まうアパート群の近くまで歩いて来た時、アルミンが唐突に呟いた。
 「え?あー、えっと・・・次の誕生日で15になるから、14です」
 「へー!てことは、僕と同い年だねっ!」
 「あっ、そうだったのk・・ですか?!」
 「・・・・・・」
 突然、アルミンがむっとした顔で黙り込んだ。
 「あの、どうかしましt・・・ 「それだよ!」
 「えっ!?」
 アルミンがズイっと顔を近付ける。
 「君と―――いや、新入りのみんなと話しててどうも違和感があったんだ!その話し方、やめて!」
 「えっ、オレなんか失礼な物言いでもしてしま・・・」
 「違う!なんで敬語なの!僕が年上ならまだしも、僕ら同い年でしょ!普通にため口でいいよ!」
 「いやでも、身分的にはアルミ・・・班長のほうが――――」
 「あーーーーーーーもう・・・!”僕が帰ったら”【ふれんどりぃ】の大切さについてよく話し合おう!!」
 僕が帰ったら――――――
 オレには、アルミンのこの言葉の意味がよく理解できなかった。
 オレとアルミンは同室、ということが先ほど判明した。
 オレはアルミンに肩を借り、自分の部屋へと送ってもらっている。
 という事は、アルミンもオレと同じく、形的には”自室に帰宅している”ということになる筈だ。
 
- 
                  - 37 : : 2016/07/09(土) 14:01:16
 そうこうと思考を巡らせていると、アルミンが唐突に歩みをやめて立ち止まった。
 「さぁ、着いたよ!ここがキミの新しい家だ」
 いつの間にか、オレ達は部屋のあるアパートの前まで来ていたよう。
 震える足に活を入れ、寂れた階段を一段一段踏みしめて上がること数分、やっとの思いで自室のある三階まで上がってきた。
 「この階の一番奥が僕らの部屋だよ。先に入っちゃってて」
 そう告げるなり、アルミンは元来た階段を引き返し始めた。
 「あ、あれ?部屋に行かないんですか?」
 「—――っと!僕はちょっと用事があるから出かけてくる。お腹減ったりしたら、勝手に色々と食べちゃっていいからねー!」
 そう笑顔で言い残し、アルミンは手を振りながら階段を下りていき、やがて姿も見えなくなった。
 アルミンは一体どこに向かったのか、という疑問は確かに存在していた。
 が、いつしかソレは馴れない重労働で溜まった疲労によって打ち消され、そして綺麗さっぱり忘れてしまっていたのだった。
 
- 
                  - 38 : : 2016/07/09(土) 14:10:26
- 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――――Include "Armin"―――
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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