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僕の居場所は

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  1. 1 : : 2016/02/25(木) 21:19:01
    『灰色捜査官と白ウサギ』http://www.ssnote.net/archives/39881

    これの続きをいよいよ書きたいと思います。今回は書き溜めておりませんので遅筆です。

  2. 2 : : 2016/02/25(木) 21:37:44
    期待です。楽しみにしてますね!
  3. 3 : : 2016/02/25(木) 21:38:25
    期待してますよ!
  4. 4 : : 2016/02/25(木) 21:49:03
    >>2
    >>3
    ありがとうございます!!!

    あらすじを書こうとしましたが、とても長くなりそうなので前作未読の方は前作も読んでください!お願いします!
  5. 5 : : 2016/02/25(木) 23:27:49
    ハイセ「待って、トーカちゃん!行かないで!」

    ハイセの呼び掛けも虚しく、トーカは一切背を向けることなく走り去っていく。

    ハイセ「(追いかけなきゃ)待っ・・・」

    ガシッ

    背後から、何者かに手を掴まれ引き留められた。

    ??「ハイセ、お前はどこにも行けやしない。ここ(CCG)に居るしかないんだ」

    ハイセ「――――――有馬さん?」

    有馬「お前は、俺のクインケだ」

    ??「・・・ッ・・・!サ・・・!・・・サン!」



    不知「―――サッサン!」

    ハイセ「!?」パチッ

    不知「目ェ覚ましたか?」

    ハイセ「不知君・・・どうして?」

    不知「どうしてって、朝飯の時間になってもサッサンが起きてこなかったから、心配で起こしに来たんだよ。そしたら、酷くうなされてるもんだからよ」

    ハイセ「そっか。起こしてくれてありがとう。今すぐ朝ご飯を作るから」

    不知「おう。しっかし、サッサンも寝坊することがあんだな」

    ハイセ「そりゃあそうだよ。僕だって“人間”だもの・・・」

    不知「だな。じゃっ、先に居間に行って待ってるぜ」

    タッタッタッタッ

    ハイセ「(うなされていた―――あの夢のせいか。酷い・・・夢だった)」

    ハイセはベッドから身体を起こし、まずは洗面所へと向かう。

    ハイセ「僕は結局、どっちでいたいんだろうね」
  6. 6 : : 2016/02/26(金) 18:41:58
    ―午後2時・コクリアSS層―



    灰崎「―――佐々木一等、今回は真戸上等から連絡を受けていないのだが、どういった御用で?」

    ハイセ「ドナート・ポルポラに聴取を取りに来ました。事前連絡がないのは、任務ではなく独自で追っている喰種についての聴取であるからです。無理でしたら引き取りますが・・・」

    灰崎「独自でねぇ・・・まっ、良いでしょう。以前言ったように、私はあなた達に大変期待をしている」

    ハイセ「ありがとうございます」



    ドナート「―――おやおや、ハイセか。何の用だ」

    ハイセ「・・・・・・僕の記憶の事について、ドナートさんの意見を伺いに来ました」

    ドナート「ほう、私にか」

    ハイセ「オロチの時もそうでしたけど、ドナートさんと話すと頭の中の整理がしやすいので」

    ドナート「良いだろう。話してみろ」

    ハイセ「はい。ところでドナートさんは、恋愛小説はお好きですか?」

    ドナート「ん?」

    キョトンとした顔のドナートを尻目に、ハイセは事情を語り出した。

    ハイセ「――――――と、いう訳です。いやあ、やっぱりドナートさんと話すと頭の中が整理されますね。今になって恥ずかしくなってきました」

    ドナート「このことを自伝小説として書いたらどうだ?」

    ハイセ「捜査官と喰種の禁断の恋・・・売れそうですね。ドナートさん、その時は買ってくださいよ」

    ドナート「ここから出してくれるのなら買ってやろう」

    ハイセ「それは出来ませんね・・・ははは」

    ハイセ「・・・・・・彼女は、僕にも居場所があるからと去って行きました。でも、もし僕が記憶を取り戻して・・・居場所を無くしたのなら、その時は僕の居場所になると言ってくれました。それは決して、僕に記憶を取り戻して欲しいという意味じゃない。そんなことは分かっているのに・・・僕は、彼女を追おうとしている。失われた記憶を求めている。・・・愚か極まりないですね」

    ドナート「自分に正直なのは私は好きだ。そういう面では、以前のお前は気に食わなかったぐらいだ」

    ハイセ「僕、そんなに自分に嘘つきでしたかね」

    ドナート「ああ。その点今は正直だ。自分の記憶を取り戻せば、ここに居場所は無くなることを自ら述べている。例え記憶を取り戻したお前が、それを望まなくともな」
  7. 7 : : 2016/02/26(金) 19:27:20
    期待
  8. 8 : : 2016/02/26(金) 20:52:19
    >>7
    ありがとうございます!
  9. 9 : : 2016/02/26(金) 21:29:23
    ハイセ「なっ!?そんなこと」

    ドナート「言っているさ。今のお前の話を聞く限りでは、記憶を取り戻せばその女と一緒に居られると言っているように感じる。お前が求めているのはあくまで失われた記憶だけだからな。だが、その女が示した条件はそれだけではないのだろう?」

    ハイセ「!」

    ハイセ「・・・そう、ですね。やはりドナートさんと話してよかったです。僕は自分が思っているよりずっと、前の僕を信用していないみたいだ」

    ドナート「違う」

    ハイセ「・・・え?」

    ドナート「さっき私は、記憶を取り戻したお前が居場所を失うことを望まなくとも、記憶が戻った時点でCCGはお前の居場所ではなくなると、そうお前が述べたと言ったのだ。前のお前の話等、今は関係ない」

    ハイセ「それは・・・どういうことですか!?」

    ドナート「前言撤回だ。やはりお前は未だに自分に嘘をついている」

    ハイセ「質問に答えてください!」

    ドナート「正直になれハイセ」

    ハイセ「言っていることの意味が」

    ドナート「記憶を取り戻したお前を今のお前の仲間は拒絶するだろう、という話だ」

    ハイセ「!?」

    ドナート「お前は深層心理では理解しているんだ。記憶によってお前は奴等にとって無価値になると。それはそうだ。喰種の仲間であった過去を持つ男等、誰も信用できない」

    ハイセ「言いがかりは止めてくださいっ!!!」

    ドナート「クククッ・・・フハハハハハ!!!ハハハハハハハ!!!どうだハイセ、自分の本心を分析されるのはやはり気分の悪いものだろう?良かったじゃないか。お前は普通だよ」

    ハイセ「・・・」

    ドナート「いやぁ失敬失敬。さて、言いがかりは止めろと言われたところだったな。では、証拠を示そう」

    ドナート「お前はどうして、これほど大切な相談の相手に私を選んだのだ?」
  10. 10 : : 2016/02/26(金) 23:19:12
    期待!
  11. 11 : : 2016/02/27(土) 18:44:05
    >>10
    ありがとうございます!
  12. 12 : : 2016/02/27(土) 19:34:11
    ハイセ「なっ・・・」

    ドナート「クインクス・・・だったか。お前の班の連中に話せばよかろう」

    ハイセ「部下に余計な心配を掛けたくありません」

    ドナート「ならば上司は?真戸暁は?有馬貴将は?何故彼らに話さない?」

    ハイセ「それは・・・」

    ドナート「お前が記憶を取り戻すことに、賛成する筈がないから。お前を、"喰種"として駆逐しに来るから・・・こんなところかな」

    ハイセ「っ・・・」

    ガンッ

    ハイセは両の拳を机に叩きつける。その様子にドナートは動じることなく、笑みを浮かべ続けていた。

    ハイセ「・・・今日は失礼します。ありがとうございました」

    椅子から立ち上がり、一礼をしてから立ち去ろうとする。

    ドナート「ハイセ」

    ハイセ「はい」

    ドナート「生憎、この世界は嘘にまみれている。だからせめて、自分のことぐらいは信じてやれ。自分というものは自分にだけは正直だ。自分が嘘をつこうとしていなければな」

    ハイセ「・・・失礼しました」



    ハイセ「(自分に正直に―――それはつまり・・・)」

    アキラ「ハイセ!」

    ハイセ「アキラさん・・・どうしてここに?」

    アキラ「お前を呼びにだ。携帯に電話しても出ないからな」

    ハイセ「すいません(そう言えば、電源切ってたな)」

    アキラ「クインクス班に新たな任務だ。急だが明日から取り組んでもらう。そこで、作戦概要についてすぐに説明したい」

    ハイセ「分かりました。それで、白ラビットは?」

    あの日トーカを逃がしてからも、ハイセは引き続き白ラビット捜査の任に着き続けていた。しかし、手掛かりが何一つ無く、捜査は一向に進行していない・・・ことになっている。

    アキラ「一旦は後回しにせざるを得んだろう」

    ハイセ「すいません」

    アキラ「仕方のないことだ。気にするな」

    一見、平静さを保っている。しかし、心の内は怒りに満ちているのだろう。それは父を殺めた白ラビットへの怒り、そして、その白ラビットを取り逃がし、捜査を振り出しに戻した僕への怒り。

    自分の意志で逃がそうとしたことを知れば、彼女は何と言うのだろう。彼女の仲間であったことを知れば、彼女は僕を――――――

    アキラ「だが、喰種と私的な話をするのはいただけないな」
  13. 13 : : 2016/02/27(土) 23:29:26
    ハイセ「私的な話じゃありませんよ」

    アキラ「独自で捜査している喰種についての聴取・・・か?灰崎特等から聞いているぞ。それなら、どんな喰種か言ってみろ」

    ハイセ「・・・すみません」

    アキラ「嘘をつくのなら、もう少しマシなものをつくんだな」

    アキラ「・・・奴は危険な喰種だ。何を吹き込まれるか分かったものではない」

    ハイセ「そう・・・ですね」

    アキラ「私ではダメだったのか?」

    ハイセ「・・・」

    アキラ「まあ良い。とにかくシャトーに行くぞ」

    ハイセ「はい」

    アキラ「頼りない母親ですまない」ボソッ

    その呟きは、ハイセに聞こえるように言ったものなのか否か微妙なものであった。しかし、それをハイセはしっかりと聞き取った。

    彼女にも話そう。彼女は自分を息子のように思ってくれている。きっとこの悩みも受け入れてくれる。そう思い立った。だが、彼の口はシャトーに着くまで開かれることはなかった。



    ―シャトー―



    ハイセ「ただいま~」

    六月「お帰りなさい、先生・・・と、アキラさん?」

    アキラ「お邪魔する。今、全員居るか?」

    六月「はい、みんな居ます」

    ハイセ「全員を居間に集めてくれないかな」

    六月「分かりました!」

    六月が他の面々を呼びに言っている間、アキラは資料の整理をする。

    ハイセ「ナッツクラッカーのように、他班の捜査の加勢ですか」

    アキラ「ああ。オークション戦の功績でクインクス班の戦力的価値は一気に向上した。それに応えるのはなかなか骨が折れるだろうが、そこはお前の腕の見せ所だ」

    ハイセ「ううっ・・・プレッシャー」

    アキラ「ふっ。まあ、今回の捜査対象は大した喰種ではない。いつも通りに出来れば問題ないだろう」

    ハイセ「それが難しいんですよねぇ」

    それから間もなく、不知、瓜江、才子と共に六月が戻って来た。

    アキラ「揃ったところで、今回の任務についての説明を始める。今回の捜査対象はAレート"パンクチュアル"だ」
  14. 14 : : 2016/02/28(日) 16:43:14
    期待です!
  15. 15 : : 2016/02/28(日) 18:43:40
    >>14
    ありがとうございます!
  16. 16 : : 2016/02/28(日) 22:13:50
    瓜江「パンクチュアル・・・時間に律儀の意味でとれば良いのでしょうか」

    アキラ「その通りだ。食事の時間が常に決まっていることから、この呼び名がつけられた」

    六月「何時ですか?」

    アキラ「資料によれば、正午だな」

    不知「真昼間っすか。変な奴ですね」

    アキラ「おかしな喰種だが、実力はそれなりにあるようだ。捜査官を一人返り討ちにしている」

    才子「米林才子、今回は辞退させていただきます」

    ハイセ「ダーメ。夕ご飯をカップラーメンにするよ」

    瓜江「我々の派遣は、返り討ちに遭った捜査官の穴埋めのためということですか?」

    アキラ「それもなくはないが、単純に戦力の補強が求められたのが一番の理由だ。パンクチュアル単体のレートはAだが、徒党を組んでいる可能性が浮上してきたそうだ」

    不知「俺たちが一緒に捜査する班は、どこの班なんすか?」

    アキラ「大坪班だ。班長は大坪薫、班としての功績は中の下といったところか」

    ハイセ「辛口ですね」

    アキラ「甘く言ったところで誰のためにもならんからな。明日の午前9時、早速ブリーフィングを行いたいそうだ。詳しい話はそこで聞け」

    不知「うっす」

    六月「了解です」

    瓜江「分かりました(徒党を組んでいるとなれば、討伐数を稼ぐチャンスだな)」

    才子「が、がんばるでやんす。主に起床を」

    不知「安心しな。俺がどんな手を使ってでも起こしてやる。どんな手を使ってもな・・・」ヒヒヒッ

    アキラ「では、私は出るとしよう。ハイセ、見送れ」

    ハイセ「言われなくても。と言うか、それを自分で言いますか」

    六月「それなら俺達も・・・」

    アキラ「いや、ハイセだけでいい」

    六月「?・・・分かりました」

    ハイセはシャトー前に停めてある車の傍までアキラに付き添った。アキラは車に乗り込んだ後、パワーウィンドウを開いて彼に言葉を掛ける。

    アキラ「ハイセ、お前を煙たがる連中が未だにいるのは確かだ。しかし、オークション戦で明らかになったようにお前は我々にとって欠かせない存在だ。だから、もっと胸を張っていいからな」

    ハイセ「どうしたんですか、急に?」

    アキラ「たまには上司として優しい言葉を掛けてやろうと思ってな」

    ハイセ「それはそれは、ありがとうお母さん」

    アキラ「上司としてと言ったはずだが」

    ハイセ「あはは・・・すみません」

    アキラ「ふっ、まあ良い。ハイセ・・・頑張れよ」

    ハイセ「はい!」

    ハイセの返事を聞き、アキラは車を発進させた。

    ハイセ「(アキラさん・・・僕の悩みに、気付いてくれているのかな)」
  17. 17 : : 2016/03/01(火) 18:56:53
    期待
  18. 18 : : 2016/03/01(火) 18:57:03
    おもしろいね
  19. 19 : : 2016/03/02(水) 16:55:27
    >>17
    >>18
    ありがとうございます!
  20. 20 : : 2016/03/02(水) 22:48:57
    期待だよ~
  21. 21 : : 2016/03/02(水) 23:38:42
    >>20
    ありがとうございます!
  22. 22 : : 2016/03/04(金) 19:30:21
    -明朝、本局会議室-



    大坪「大坪班班長、大坪薫です。今回はよろしくお願いします」

    ハイセ「クインクス班メンター、佐々木琲世です。こちらこそよろしくお願いします」

    大坪「オークション戦での武功は伺っております。期待していますよ」

    ハイセ「ありがとうございます」

    大坪「では皆さん、お掛けになってください。雨止、現状の説明を」

    雨止「分かりました」

    大坪班の副班長、雨止夕一等捜査官によって"パンクチュアル"捜査についての説明がなされる。

    パンクチュアル、Aレート・羽赫の男性喰種。マスクはガスマスク型で、頑健な体躯を持つ。この呼び名は食事時間が必ず午後0時であることから名付けられた。徒党を組んでいる可能性が高い。

    雨止「本当に徒党を組んでいた場合、その戦力は未知数です。最悪の場合、我々大坪班の戦力では太刀打ちできない可能性があります」

    ハイセ「はい。だから僕等が呼ばれたと真戸上等に伺っております」

    大坪「・・・恥ずかしながら、その通りです。しかし、元は我々が抱えていた案件、他所の班に大きな負担は掛けさせたくありません。そこでパンクチュアルの特定、及び徒党の戦力・根城の捜査は大坪班が全精力を持ってこれに当たります。クインクス班の皆さんには、捜査の面で負担を掛けさせません」

    ハイセ「気を遣わずとも結構ですよ。僕等は今他に抱えている案件もありませんから」

    大坪「ありがとうございます。しかし、これはもう決めていることなので。あなた方の仕事は駆逐の時に備えることです」

    ハイセ「・・・分かりました」

    それから質疑応答等を行った後、解散となった。



    才子「うぇい!これから休み休み!」

    不知「合同捜査なのに、駆逐に乗り出すまでは単独なんてことがあるんだな」

    ハイセ「・・・いや、おかしな話だよ」

    六月「やはりそうですか」

    瓜江「少しでも多くの功績が欲しかったのでしょう。真戸上等によれば反応成績は良好とは言えないようですし(無能が功績挙げようとは、おこがましい限りだ)」

    ハイセ「それだけ僕等を買ってくれてるってことだよ」

    不知「そういうことだな。俺達が捜査したら俺達だけで片付けちまうからな」

    ハイセ「とにかく今は、お言葉に甘えるとしよう」

    ハイセ「(それに、はっきり言って好都合だ。僕が記憶を辿るのには・・・)」
  23. 23 : : 2016/03/04(金) 23:32:12
    -数日後、CCG本局-



    この日、六月は定期検査のために一人で本局を訪れていた。

    六月「柴先生、ありがとうございました」

    挨拶を済ませ、彼女は医務室を後にする。そこで偶然、アキラに行き会った。

    六月「アキラさん、お疲れ様です」

    アキラ「六月か。捜査の調子はどうだ?」

    六月「・・・それが」

    六月はありのままの現状を説明した。

    六月「こんな捜査の仕方、おかしいと思います」

    アキラ「確かに不合理なやり方だ。だが、大坪上等の言い分にも一理ある。おかしいと断言することは出来ないのではないか」

    六月「しかし!」

    アキラ「・・・大坪上等は怖がりだからな」

    六月「え?」

    アキラ「仕事が立て込んでいてな、この辺りで失礼する」

    テクテクテク

    六月「怖がりって・・・まさか、先生のことを・・・」



    -Hysy ArtMask-



    コンコン

    ハイセ「こんにちは・・・営業されていますか?」

    ウタ「はい、やってます」

    ハイセ「では、失礼します」

    ウタ「どうも・・・」

    ハイセ「(・・・謎、オニ?謎その2、黄色い悪魔、・・・なんだろ。すごいな・・・)」

    ウタ「何かお探しですか?」

    ハイセ「あ・・・いえ・・・・・・えっと、これの事で・・・」

    ハイセは手に持っていたカバンからマスクと思われるものを取り出した。それは、彼がラビットを逃がした次の日、シャトーに届けられていたものである。

    ハイセ「ウチに届いていたんですけど、このお店から送られたものですよね」

    ウタ「たしかに僕が送ったけど・・・おかしいな。住所間違えたのかなあ・・・常連さんにプレゼントのつもりだったんですけど、すみません」

    ハイセ「ああそうでしたか・・・ちなみに・・・この本も一緒に送りましたか?」

    続いてハイセが示したのは、マスクと一緒にポストに置かれていた高槻泉作"吊るしビトのマクガフィン"。

    ウタ「・・・・・・うん、いいえ。違います」

    ハイセ「(・・・・・・本の差出人は不明か・・・)失礼しました。ところですいません、もう一つだけ・・・」

    ウタ「何でしょう?」

    ハイセ「・・・・・・その常連さんとは、金木研のことでしょうか」

    ウタ「・・・うん、そうですよ」
  24. 24 : : 2016/03/05(土) 19:06:54
    意外なことに、彼は躊躇なくそう答えた。しかし、よくよく考えれば躊躇う必要自体なかった。赫眼を曝け出したままハイセに応じた彼にとって、半喰種の知り合いであることは些事なのだろう。

    ハイセ「正直に答えてくださってありがとうございます」

    ウタ「いいえ、隠す必要がどこにもありませんから」

    ハイセ「恰好から察しがつきませんか?僕は喰種捜査官ですよ」

    ウタ「うん、知ってます。だけど、それは隠し事の理由にはならない。だってあなたは・・・大切なお客さんですから」

    ハイセ「・・・・・・話を、伺ってもよろしいでしょうか。前の僕について・・・」

    ウタ「もちろん。でもその前に、あなたの名前を教えてください。あっ、僕はウタです」

    ハイセ「僕は、佐々木琲世です」



    -合同捜査開始から1週間後-



    雨止「―――我々大坪班の捜査の結果、パンクチュアルの特定に成功しました」

    不知「おおっ、マジっすか」

    合同捜査を始めてから一週間となるこの日、捜査会議が開かれクインクス班は大坪班の捜査の成果についての報告を受けていた。

    ハイセ「それで、パンクチュアルの正体は?」

    大坪「金沢大吾、フリーターです。コンビニでバイトをしています」

    才子「フリーター・・・」

    不知「才子が喰種捜査官になってなかったら、フリーターだな。親近感でも湧いたか?」

    才子「ノンノン。才子はニートね」

    六月「コンビニでバイト・・・シフトは深夜、ということですか」

    雨止「その通りです」

    ハイセ「だからあんな昼間に食事をしていたのか」

    瓜江「パンクチュアルの特定が済んだと言うことは、いよいよ我々の出番ですね」

    大坪「いえ、まだです。徒党の根城の特定が出来ていません」

    瓜江「・・・そうでした(チッ)」

    大坪「しかし、パンクチュアル自身の特定が出来た以上、それも時間の問題でしょう」

    ハイセ「分かりました。いつでも出撃できるよう、備えておきます」

    大坪「よろしくお願いします。では、今日の会議はこれで解散とします」

    大坪の解散宣言を受け、クインクス班は会議室を後にしていった。

    大坪「全く、真戸上等の感性は理解できないな。半喰種のメンターなんて――――――」
  25. 25 : : 2016/03/05(土) 21:30:50



    ハイセ「捜査は順調に進んでいるみたいだね」

    瓜江「しかし、我々の干渉を拒む態度は相変わらずでした」

    ハイセ「実際、今動いてもあまり得はないからね。こちらの動きを感付かれて仲間を逃がされたら元も子もないし・・・」

    六月「・・・感付いているのは、先生の方なのでは?」

    ハイセ「―――え?」

    才子「むっちゃん、なんぞ?」

    六月「真面目な先生なら、このやり方にもっと嫌悪感を抱く筈。なのに・・・」

    ハイセ「・・・・・・最近、新しい趣味ができたんだ。だから、こうやって時間が空くのがありがたくて。嘘じゃ・・・ないよ」

    不知「そういや、俺も変だと思ってた」

    ハイセ「し、不知くんも?」

    不知「俺はてっきり、悩み事でもあるのかと思ってたぜ。恋愛とか」

    ハイセ「・・・・・・それはまんざら外れじゃないかも」

    不知「本当か!?だったら俺にも話してくれよ。恋愛経験だって一応あるぜ・・・最近無縁だけど」

    ハイセ「ありがとう」

    ―――全部、見抜かれていたんだな。彼等は僕の事を、しっかり見てくれていたんだ。なのに僕は、彼女の事ばかりを見ている。

    『自分の居場所を、もっと大切にしろよ!』

    ごめんなさい、トーカちゃん。あなたの言い付けを余計に一つ破るところだった。

    そして、もう一度ごめんなさい。僕はやっぱり、あなたを思い出そうとせずにはいられません。

    ハイセ「(――――――自分の居場所を、かなぐり捨てることになっても)」



    -翌日、上井大学-



    平日の上井大学。学生達がキャンパス内を行き来する中で、見慣れない灰色の髪の男性が立っていた。

    ハイセ「もしかしたらここに、記憶の鍵が・・・」
  26. 26 : : 2016/03/06(日) 18:51:59
    ハイセは、ウタから聞いた話を思い返す。



    ウタ「カネキくんは、優しい子だった。強くて、優しくて、哀しげで、儚げな、そんな子だった。何か、死んじゃったみたいな言い方ですね」

    ハイセ「その表現も間違ってはいないと思います。僕は彼を・・・消してしまった」

    ウタ「う~ん、君達のことは僕にはよく分からないけど・・・ちょっと引っ込んでるだけで、消えてしまったわけじゃないと思います。だってハイセさんは、カネキくんのままだもの」

    ハイセ「カネキくんのまま?」

    ウタ「うん。記憶が無いだけで身体はそのままだから、見た目がカネキくんのままなのは当たり前なんだけど、雰囲気もそのままに感じるんですよ」

    ウタ「個人の人格って、それまで触れ合った人たちとの思い出とか、その時の感情・・・辛かったこと、楽しかったこと、その積み重ねで形成されるものだと僕は思います。それなのに、君はカネキくんのまま・・・それはつまり、あなたの中にまだカネキくんがいるってことじゃないのかな。或いは・・・あなた自身が、記憶の有無に関わらずカネキくんである、か」

    ハイセ「僕自身が・・・・・・」

    ウタ「ところで、あなたは記憶を取り戻したいんですか?」

    ハイセ「・・・はい。そのために、あなたに話を伺いに来ました。前の僕についての話を聞けば、それが引き金になって思い出すかもしれない」

    ウタ「なるほど。だけど、僕はカネキくんとはあくまでお客さんと店員の関係だったから、プライベートについてはあまり話せることは無いですね」

    ハイセ「そう・・・ですか・・・」

    ウタ「あ!」

    ハイセ「・・・はい?」

    ウタ「ちょっと待ってて」

    ウタは椅子から立ち上がって、店の奥へと向かう。何かを探しているようだった。

    ウタ「う~ん・・・お、あったあった。このポスターを見て、何かを思い出さない?」

    ハイセ「これは――――――」

    そのポスターは、行方不明となっているとある大学生についての情報を求めるものだった。その大学生の名は、金木研。

    ハイセ「(これが金木研。当然だけど、僕に瓜二つだ)」

    ウタ「何か引っかかるものはある?」

    ハイセ「えっと・・・・・・特に無いですね」

    ウタ「そりゃそうか。自分の顔が載っているだけですもんね。力になれなくて、すみません」

    ハイセ「いえ!十分大きな情報を得ることが出来ました!」

    ウタ「というと?」

    ハイセ「上井大学です!僕が通っていた大学・・・そこに行けば、何か思い出すかもしれない」
  27. 27 : : 2016/03/06(日) 21:56:31



    ハイセ「(・・・さすがに来ただけじゃ何も反応は無いか。少し、歩き回ってみよう。思い出の場所みたいなものが、何処かにあるかもしれない)」

    テクテクテク

    ハイセ「(・・・カフェだ。半喰種の僕なら、ここに寄り付きそうなものだけど―――)」

    学生A「―――"久しぶり!"じゃねぇよ!お前どんだけ大学サボってんだよ!」

    学生B「ごめんごめん」

    学生A「サボるんだったらせめて連絡ぐらいしろよ!俺がどれだけ寂しかったか・・・」

    ハイセ「(あの二人、仲良しなんだなぁ・・・)」

    ――――――ズキッ

    ハイセ「っ・・・(何だ、この感触・・・)」

    学生A「俺、東洋史に知り合い居ないんだからな!」

    学生B「悪かったって。今度なんか奢るよ」

    ズキズキッ

    学生A「ウサギは孤独で死ぬんだぞ!!」

    学生B「それは迷信」

    ズキズキズキズキズキッ

    ハイセ「がっ!・・・これは――――――」

    『テメエ、カネキィィ!!どんだけサボってんだこの野郎!!東洋史知り合いいない俺の身にもなれ!!ウサギは孤独で死ぬんだぞ!!』

    ハイセ「ぁ・・・あああああああ」

    『わかってんのかコラ!!つーかなんだその眼帯!オシャレか!!』

    ハイセ「・・・・・・・・・ヒ・・・・・・・・・・デ・・・」

    ズキンッ!

    呑まれる。
    呑まれる。
    呑まれる。
    消える。
    消える。
    消える。

    ???(君、何のつもり?僕を消したかったんじゃなかったの?)

    呑まれろ。
    呑まれろ。
    呑まれろ。
    消えろ。
    消えろ。
    消えろ。

    僕が消えれば、記憶は元に・・・・・・
    僕は、金木研に・・・・・・

    そうなれば、またあなたに・・・・・・

    カネキ(そんなに消えたいなら、消してあげるよ。おやすみ――――――)
  28. 28 : : 2016/03/07(月) 20:55:14



    ガバァ

    アキラ「ハイセ!」

    ???「・・・ここは?」

    アキラ「病院だ。一体上井大学で何があった?」

    ???「そうか、僕は倒れて・・・」

    アキラ「医師を呼んでくる。大人しく待っていろよ」

    タッタッタッ

    ???「・・・・・・何でだよ・・・何で・・・僕は消えてないんだよ!」

    ハイセ「何でハイセのままなんだよ!何で記憶が戻ってないんだよ!何で!」

    カネキ(君が、それを拒んだからだよ)



    ハイセ「・・・」

    気が付くとハイセは、市松模様の空間の中にいた。ここには何度か訪れたことがある。

    ここは、彼等の精神世界。

    カネキ(最後の最後で、やっぱり消えたくない・・・そう、思ったんだよ)

    ハイセにそう語り掛けたのは、白い子供。その姿は、今まで彼を恐れ続けてきたハイセにとっては余りに意外なものであった。

    カネキ(ようやく僕を見つけてくれたね。でも、それだけじゃ記憶は戻らないよ)

    ハイセ「何だよ・・・今まで散々僕の事を消そうとしたくせに、どうして・・・」

    カネキ(君の自我が強くなってしまったから)

    ハイセ「自我・・・?」

    カネキ(ちょっと前までの君は、無力感から自分の存在意義を見失いかけていた。自我が弱かった。だけど、君は強力なクインケを得ることで力を身につけてしまった。そして・・・トーカちゃんに恋をした)

    ハイセ「それも、原因なのか?」

    カネキ(今まで与えられたものに縋っていただけの君が、始めて自分から何かを手に入れようとした。これは自我の確立以外の何物でもないだろう?)

    カネキ(とにかく、今の君を消すことは出来ない。君が自我を捨てない限りは)

    ハイセ「・・・一つ、聞いても良いかな」

    カネキ(なに?)

    ハイセ「君にとってトーカちゃんは、どんな存在なの?」

    カネキ(――――――護りたい人)
  29. 29 : : 2016/03/07(月) 23:48:46



    柴「検査の結果、特に異常は見られませんでした。精々、Rc値が異様に高いことぐらいで・・・失敬」

    ハイセ「ははは、それは確かに正常だ」

    柴「恐らく心的ストレスがきっかけでしょう。心当たりは?」

    ハイセ「あります」

    柴「なら決まりでしょう。一応、今日一日は安静にしておいてください」

    ハイセ「はい。わざわざありがとうございました」

    柴「いえいえ。あなた達の診察が出来るのは私だけですから。お呼びとあらばどこへでも・・・まっ、普通の医師が診察してビックリするのも見てみたいですけど」

    ハイセ「その医師からしたら笑えないですよ」

    柴「失敬。ではまた」

    柴は病室を去って行った。

    アキラ「―――もう一度聞く。上井大学で何があった。心的ストレスの原因はなんだ?」

    ハイセ「・・・白状しても、怒らないですか?」

    アキラ「怒られるようなことをしたのか?」

    ハイセ「いえ」

    アキラ「ならば怒らん」

    ハイセ「・・・・・・記憶の跡を、辿っていました」

    アキラ「!?」

    ハイセ「上井大学は、前の僕が通っていた大学なんです」

    アキラ「それで、思い出したのか?」

    ハイセ「いいえ。過去の出来事が一瞬だけフラッシュバックしたんですけど、それだけです」

    アキラ「そうか・・・」

    ハイセの回答を聞き、アキラはホッと一息―――

    ハイセ「どうして安心するんですか!」

    アキラ「なっ・・・」

    ハイセ「前の僕は喰種として生きていたからですか!?僕の記憶が戻ったら、僕を殺さなければいけなくなるからですか!?」

    ああ、やっぱりドナートさんの言うとおりだ。

    僕は前から気付いていたんだ。気付いていたのに、気付かぬふりをしていた。

    喰種の記憶が戻った僕を、人間が受け入れる筈ないのに・・・

    アキラ「違う!」

    ハイセ「違うって何が―――」

    詰問の最中、アキラがその場に崩れ落ちた。目には涙。泣いているようだった。

    あの、アキラさんが・・・

    アキラ「違うんだハイセ。私はただ、怖いんだ。お前がお前でなくなるのが。それだけなんだ・・・」

    ――――――僕は何も言えなかった。
  30. 30 : : 2016/03/08(火) 21:33:17
    ―1週間後―



    雨止「パンクチュアルが率いる喰種グループ、及びその戦力・根城の把握に成功しました」

    不知「おお!」

    六月「その戦力は・・・?」

    雨止「確認できたのは、パンクチュアル以外にAレート喰種が2体、その他レート不明の喰種が10体です」

    才子「合計すると12体・・・才子にゃ荷が重いよ」

    大坪「野良喰種にしては大きな戦力ですが、大坪班とクインクス班が協力すれば十分に対処が可能な程度のものであると私は思っています」

    ハイセ「僕もそう思います。"協力すれば"、討伐はさして難しくないでしょう」

    大坪「―――作戦決行日は3日後を予定しています。よろしいですか?」

    ハイセ「はい」

    大坪「ありがとうございます。では、これから作戦会議を始めましょう」



    ―会議終了後・シャトー―



    不知「いよいよ3日後かあ・・・何か、オークション戦に比べて緊張感が沸いてこねぇなぁ」

    ハイセ「あれ程の戦いはそうそうないからね。でも、今回の戦いだって気は抜けないよ。作戦会議で話があったように、レート不明の喰種の中にSレート以上の喰種がいる可能性だってある」

    ハイセ「そもそも、相手がどんな奴であっても戦場で気を抜くこと自体がご法度なんだけど・・・」

    ピピピピッ ピピピピッ

    突如として鳴り響く着信音。発生源はハイセの携帯であった。着信画面を確認すると、アキラからの電話のようだ。

    ハイセ「もしもし、アキラさん?」

    アキラ『捜査は進んでいるか?』

    ハイセ「・・・ええ。徒党の根城を発見し、3日後に突入することになりました」

    アキラ『そうか、順調か・・・ならば早いほうが良いな。ハイセ、明日ラボに来ることはできるか?』

    ハイセ「ラボに?まあ、可能ですけど・・・」

    アキラ『希望の時間はあるか?』

    ハイセ「えっと・・・午前中ですかね」

    アキラ『分かった。ならば午前10時にラボに来い。渡しておきたいものがある?』

    ハイセ「渡しておきたいもの?何で」

    ツーーー ツーーー

    ハイセ「切れちゃった・・・」

    六月「アキラさん、どうしたんですか?」

    ハイセ「渡しておきたいものがあるから、明日の朝ラボに来いって」

    才子「バレンタインチョコ・・・とか?」

    不知「そういや、そんな時期だな」

    六月「でも、ラボで渡すかなぁ?」

    不知「いや、アキラさんのことだから分かんねぇぞ」

    瓜江「(普通に考えてクインケ関連だろう)」

    ハイセ「まあ、そういうわけだからよろしくね」
  31. 31 : : 2016/03/08(火) 23:24:27
    -次の日・午前10時-



    テクテクテク

    アキラ「・・・来たか」

    ハイセ「渡しておきたいものって、一体何ですか?」

    アキラ「これだ」

    アキラは足元に置いていたアタッシュケースを手に取って、ハイセに手渡した。

    ハイセ「クインケ・・・ですよね。これはどういう・・・」

    アキラ「起動してみろ」

    ハイセ「え・・・わ、分かりました」

    言われるがままに、ハイセはクインケの起動ボタンを押した。その瞬間・・・

    ゾゾゾゾゾッ

    ハイセ「なっ!?」

    アタッシュケースから赫子のような物体が飛び出し、ハイセの胴体を包み込んでしまった。

    ハイセ「これは・・・ヤシャproto?」

    アキラ「その改良版だ。自動着脱式の"ヤシャ"―――"ヤシャ弐proto"だ」

    ハイセ「自動着脱式かぁ・・・便利ですね。これも次の作戦で試験運用をして欲しいという事ですね?」

    アキラ「まあ、それもあるが・・・ヤシャ弐protoはお前の所有物という事になった」

    ハイセ「え・・・何故?」

    アキラ「もう必要ないとのことだ」

    ハイセ「量産に成功したということですか?いや、でも夜叉はもう死んでしまっているから、アラタと違って量産は不可能なはず」

    アキラ「事情は私にも知らされていない。大方、汎用性に欠けると見なされたのではないか?」

    ハイセ「僕にしか扱えないと判断されたと」

    アキラ「あくまで仮説だがな」

    ハイセ「・・・そういうことなら、ありがたく受け取ります」

    アキラ「ああ。我が真戸班のエースの働きに期待している」

    ハイセ「・・・・・・はい。ありがとうございます」
  32. 32 : : 2016/03/09(水) 21:59:03
    -作戦決行日・7区廃墟前-



    六月「ここに奴等が・・・」

    大坪班員A「大坪上等!パンクチュアルの姿を2階に確認しました」

    大坪「他の喰種の姿は?」

    大坪班員A「少なくとも9体確認しています。恐らく、全員居るものと」

    ハイセ「予定通りですね」

    大坪「・・・ええ、そうですね。では、作戦会議で決めたように配置についてください」

    その配置とは、以下のようになる。

    パンクチュアル討伐:佐々木琲世、大坪薫
    その他喰種討伐(Aレート優先):瓜江久生、六月透、雨止夕
    同(その他):大坪班員A、大坪班員C
    廃墟包囲(逃走防止):不知吟士、米林才子、大坪班員B

    大坪「ではカウントダウンの後、突入の合図で作戦を開始します」

    大坪「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・」

    大坪「突入!!!」

    ダダダッ

    合図と共に、廃墟包囲組を除く全員が廃墟へと駆け込んだ。大坪班員Aの報告によれば、パンクチュアルを始めとする喰種達は2階におり、1階は素通り出来る―――

    バッ バッ

    筈だった。

    喰種A「おおおお!!!」

    喰種B「死ねぇ!!!」

    入り口の陰に潜んでいた2体の喰種による奇襲。

    瓜江「(なめるな雑魚喰種。驚きはしたが予想の範囲内だ)ふん!」

    ズシャァ!

    瓜江は動じず一体を捌く。そしてもう一体を―――

    六月「やぁ!」

    ズババッ!

    六月が捌いた。

    大坪「(これがクインクス班・・・強い)」

    ハイセ「(定石通りなら次に来るのは・・・)」

    ガガガガガッ!

    ハイセ「(羽赫!)伏せて!」

    三体の羽赫喰種による砲撃。各自回避行動に移る中、ハイセは赫子を発現させ―――

    キキキキィン!

    クインケと併用し、放たれた羽赫のほとんどを弾き防いだ。

    喰種C「なんて奴だ!?」

    ハイセの異常な動きに羽赫の喰種達は驚きの声を挙げる。それを見た瓜江は、隙だらけと見なして攻撃へと向かおうとする。だが、ハイセに制止された。

    ハイセ「周りにまだいる。一人飛び出せば格好の餌食だ」

    瓜江「はい・・・」

    ハイセのこの発言を受けて隠れるのは無意味と判断した喰種達は、物陰からぞろぞろと姿を現していく。その総数、5体。

    雨止「待ち伏せしていた奴等と、羽赫の奴等を合わせれば10体。ほぼ全戦力ですね」

    大坪班員C「例のAレート喰種の一体もいますよ」

    大坪「パンクチュアルの姿は無し・・・」

    ハイセ「どうします?」

    大坪「作戦を変更する必要はありません。私達はここを強行突破し、パンクチュアルを追います」

    ハイセ「・・・了解です」
  33. 33 : : 2016/03/09(水) 22:16:37
    熱くなってきましたね、期待です。
  34. 34 : : 2016/03/09(水) 22:59:26
    >>33
    これから盛り上げていきます!
    期待ありがとうございます!
  35. 35 : : 2016/03/09(水) 23:39:38
    六月「お二人が進めるように、俺達が援護します」

    ハイセ「それなら大坪上等の援護をお願い。僕は一人で大丈夫」

    大坪「なっ!?なめないでください!私にだって援護は・・・」

    ハイセ「大坪上等は、僕と違って普通の人間です。一撃でも貰えば大事ですから、援護を引き受けてください」

    大坪「・・・分かりました。雨止一等、六月三等は私の援護を。瓜江二等にはAレート喰種の相手をお願いします」

    ハイセ「では、行きましょう!」

    ダッ!

    号令と共に、先ずはハイセが動き出す。ヤシャ弐protoを起動させながら、彼は10体の喰種が待ち受けている方へと駆け出した。

    喰種D「行かせるか!」

    尾赫の喰種が、彼の行く手を阻むべく襲い掛かる。彼はそれを容易く赫子で蹴散らし、突き進む。

    喰種C「通さねぇ!!!」

    ガガガガガッ

    羽赫の砲撃も忘れてはいけない。近接戦闘を行う他の喰種の攻撃の合間を縫って、Rc細胞の結晶が降り注ぐ。が、ハイセはそれらも全て躱す。さらに、近接攻撃を仕掛ける喰種を蹴散らしていく。

    一方で、大坪上等も動き出す。傍には六月と雨止の二人が付き、敵の攻撃を捌く。

    瓜江は一直線にAレート喰種の元へと向かう。その喰種の赫子は甲赫。瓜江と同種である。

    ハイセの赫子に蹴散らされ・・・或いは、六月・雨止に攻撃を捌かれ、隙だらけになった喰種には大坪班員二人の羽赫クインケによる射撃が襲う。威力は低いものの、確実に喰種達の体力をそぎ落としていた。

    捜査官側の陣形は、有効に機能していた。

    ハイセ「ふっ!」

    バキィッ!

    喰種C「ごあっ!」

    先に強行突破に成功したのもハイセだった。羽赫喰種の一体を、彼のクインケ"フツギョウ"で弾き飛ばし、彼は二階へと進む。

    ハイセが二階へと侵攻したことから、彼を食い止めようとしていた戦力が今度は大坪へと向けられる。

    雨止「近接攻撃は何とでもなりますが、羽赫が厄介ですね。どうします?」

    大坪「どうもこうも、避けながら行くしか―――」

    六月「俺が倒します」

    次の瞬間、六月の身体から尾赫が飛び出し羽赫喰種達を薙ぎ払った。

    六月「今です!」

    タッ!

    羽赫喰種達が倒れている間に、大坪も強行突破を完了させ、二階へと向かった。

    六月「羽赫へのとどめは俺が刺します。雨止一等は他の喰種を」

    雨止「了解です(とは言っても、残りは2体しかいない。他は全て、佐々木一等が強行突破の間に倒したということか。やはり・・・)」

    化け物だ。
  36. 36 : : 2016/03/10(木) 00:47:27
    期待⤴
  37. 37 : : 2016/03/10(木) 17:25:02
    >>36
    ありがとうございます!
  38. 38 : : 2016/03/10(木) 21:00:27
    ハイセ「誰も・・・いない・・・」

    早々に一階の包囲網を突破したハイセを待ち受けていたのは、もぬけの殻となっていた二階だった。逃亡を懸念するハイセであったが、すぐに違和感に気付く。

    ハイセ「(退路はどこだ?)」

    不知を始めとして三人の捜査官が外に待機し、逃亡を図る喰種がいないか眼を光らせている。しかし、彼等からの連絡は無い。

    どこかに秘密の逃走経路があるのでは・・・と、彼は周囲を見回す。

    ハイセ「(あれは・・・非常階段。あそこから逃げたのか?)」

    非常階段から逃げたところで、退路があるようには思えない。だが、他に考えられる答えも無いので、彼はとにかくその階段を降りることにした。まだ大坪の姿は見えなかった。

    この素早い判断が、作戦の成否を分けた。

    ハイセ「なっ!?・・・地下道があるなんて」

    一階に降りたところで彼が目にしたのは、地下へと掘られた穴だった。試しに入ってみると、穴は横へと続いていた。そして、遠方には灯り。恐らくパンクチュアル達だ。彼等を追いかけようとしたその時、大坪から無線連絡が入った。

    大坪『佐々木一等、どこにいるんですか!?』

    ハイセ「大坪上等。非常階段を降りたところに、東方向へと延びる地下通路へ通じる穴を発見しました。僕は先にパンクチュアルを追います。不知くん達にも連絡をお願いします」

    ハイセは返答の直後、無線通信を切って灯りの方へと駆け出した。



    ―1階―



    喰種E「おらぁ!!!」

    ガキィッ!

    Aレート喰種の、甲赫による渾身の薙ぎ。瓜江はそれを赫子で受け止める。

    瓜江「ぐっ!(こいつ、トルソーよりは数段上だぞ。Sは無いにしろ、A+はあるんじゃないのか)」

    防御の際の衝撃により、やや身体を仰け反らせている瓜江。その隙を逃さず、畳みかけるように連撃を重ねる喰種。瓜江はギリギリの所で何とかそれを捌いていた。

    六月「瓜江くん!助太刀しようか!?」

    瓜江「要らん!(この程度の喰種、一人で狩れんようでは黒磐には勝てん)」

    連撃は止まず防戦一方の状況が続く瓜江。しかし、彼は攻撃を受ける中で徐々に体勢を立て直していた。

    瓜江「(今だ!)」

    グッ!

    ガキィンッ!!!

    喰種E「ぬおっ!」

    腰を入れての渾身の一振りが、喰種の甲赫を弾き出した。それと共に、喰種の正面ががら空きになる。

    瓜江「死ね(俺の功績になれ)」

    ザシュッ!
  39. 39 : : 2016/03/11(金) 19:32:28
    雨止「片がついたようですね」

    瓜江「・・・ええ。雑魚の掃除も終わったようで(数は稼ぎ損ねたか)」

    六月「ここに残っていても意味はない。先生と大坪上等を追いましょう」

    雨止「もちろんです」



    ―地下道―



    タッタッタッタッ

    喰種F「誰か来てますよ!」

    喰種G「赫子・・・同族か?」

    パンクチュアル「いや―――白鳩だ!!!」

    ハイセ「逃がしませんよ!」

    パンクチュアル達を射程距離に捉えた瞬間、ハイセは赫子を放つ。当然躱されるがそれで十分、狙いは彼等の足を止めること。

    ダッ!

    マスクからパンクチュアル、及び他のAレート喰種を特定しつつ、今度はフツギョウの間合いまで詰め寄る。そして、パンクチュアル目掛けてフツギョウを振るった。

    ベキィッ

    パンクチュアル「っ・・・の!」

    一撃で仕留めることには失敗。しかし、羽赫の弱点である接近戦に持ち込むことには成功。他の喰種を赫子で牽制しつつ、次で仕留める―――勝利への道筋が浮かび上がる。だが―――

    ハイセ「(これでトド―――)」

    ドスッ

    ハイセ「――――――な・・・に・・・」

    一本の鱗赫が、その道筋を切断した。

    その鱗赫はもう一体のAレート喰種から放たれたもの・・・ではなく、もう一体のノーマークの喰種から放たれたものだった。ところがこれは、ハイセの油断ではない。何故なら、その鱗赫はハイセの赫子の牽制を掻い潜って彼の身体に突き刺さったのではなく、彼の赫子を突き破ってきたからだ。つまり、力負けしたのだ。

    ハイセ「くっ!」

    ヤシャ弐protoの力もあって、軽傷で済んだハイセは咄嗟に三体から距離をとった。

    パンクチュアル「助かったぜ、サンキューな」

    喰種G「礼は良い。これは元からあんたを逃がすための戦いだ」

    ハイセ「あなた―――鱗赫の喰種のあなた。何ですかその強さは?パンクチュアルより強いじゃないですか。僕の見立てが正しければ・・・Sレートに乗るレベルだ」

    喰種G「それはどうも」

    ハイセ「何故、パンクチュアルに従う!?」

    喰種G「・・・?」

    ハイセ「あなただけじゃない。一階で僕等を待ち伏せしていた彼等もそうだ。彼等程度の実力では足止めするのが関の山なのに・・・殺されるのは目に見えているのに、彼等は僕等の行く手を阻もうとした。こんな便利な逃走経路があるのなら全員で逃げればよかったのに、パンクチュアルを出来るだけ確実に逃がすために命を捨てた。どうしてそんなことを!?」

    喰種G「・・・人間と同じだよ」

    ハイセ「!?」

    喰種F「おしゃべりは終わりにしましょう。加勢が駆け付けてくる」

    喰種G「そうだな」

    パンクチュアル「喰種もどきの捜査官さん。お前は強いが、3対1なら分はこちらにある」

    ゾゾゾゾゾッ

    パンクチュアルが羽赫を発現させる。

    パンクチュアル「悪いが、ここで死んでくれ」
  40. 40 : : 2016/03/11(金) 23:07:30
    ガガガッ!

    パンクチュアルの羽赫放射。ハイセは咄嗟に跳躍しこれを回避。しかし、この人数差において跳躍は命取りである。

    喰種F「やっ!」

    喰種Fの尾赫による攻撃。ハイセはこれを赫子で防御。続いて喰種Gの鱗赫が彼を穿たんと襲い掛かる。彼はフツギョウで防御。ハイセ、これにて手詰まり。

    パンクチュアル「おらっ!」

    ドゴオ!

    パンクチュアルの膝蹴りがハイセの腹に叩き込まれる。彼は狭い地下道の壁に叩き付けられる。さらに、追い打ちのSレート相当の鱗赫の一閃。さらにさらに、尾赫を巻き付かせた脚による回し蹴り。

    これらの一連の攻撃は、全て的確なタイミングで行われた。そのことに、ハイセはチームワークを感じずにはいられなかった。自分達と大坪班との間に欠けていたものだ。

    いや、クインクス班と大坪班との連携はそこそこ上手くいっていた。欠けていたのは、己自身と他の皆との連携だ。

    パンクチュアル「これでも食らえ!」

    ガガガガガッ

    結晶の雨が降り注ぐ。皮膚が裂け、神経が痛い痛いと泣き叫ぶ。鎧に守られていなければ、この時点で命を落としていたかもしれない。少なくとも、死を目の前に意識させるほどにハイセは追い込まれていた。

    それが、彼を再び市松模様の世界へと追いやった。



    カネキ(やっぱり弱いね、ハイセ)

    ハイセ「・・・うん」

    カネキ(雑念で身体の動きが出鱈目だよ)

    ハイセ「うん」

    カネキ(・・・3対1とは言っても、オウルに比べたら奴等は弱いよ。本当なら、君でも勝てる相手じゃないの?)

    ハイセ「うん・・・心配してくれてありがとう」

    カネキ(そりゃあ心配するよ。僕の身体だから)

    ハイセ「そうだね。なら・・・力を貸して」

    カネキ(・・・)

    ハイセ「記憶が無理なら、せめて力を・・・ダメかな?」

    カネキ(良いよ)

    ハイセ「本当に?」

    カネキ(記憶も力も同じ。君が望めば僕は簡単に出て来られる。記憶の方は深層心理で拒んでるみたいだけれど、力を拒む気はないようだ。だから・・・)

    力を貸してあげる。



    ――――――遠くから足音が聞こえる。
    大坪上等のものだろうか。
    もしも彼女だったら、一つ言わせて。



    邪魔しないで(邪魔だ)



    パキィ

    指を鳴らした。
  41. 41 : : 2016/03/12(土) 20:12:27
    刹那、ハイセが跳ぶ。結晶の雨から逃れる。跳躍は命取り?それは宙に留まればこそ。

    跳躍の瞬間、放たれた喰種Gの鱗赫に対し、ハイセは赫子を用いて天井に待機することで難を逃れる。しかしすぐに追撃が来る。パンクチュアルの羽赫放射。

    ハイセは天井を地に走り、これを回避―――だけではない。

    ズボッ ドスッ!

    パンクチュアル「がぁ!(壁から赫子!?)」

    天井から赫子を潜らせ、それが土の壁の中を通ってパンクチュアルの横まで移動。そこから壁を突き破り、不可避の刺突を繰り出したのだ。

    直後、パンクチュアル以外の二体の喰種が同時に襲い掛かる―――が、赫子で迎撃。喰種Fには直撃、喰種Gにもそれなりに有効打を与える。赫子のキレが別人であった。

    パンクチュアル「こっのぉぉぉ!!!」

    パンクチュアルは最大火力での羽赫乱射を試みる。対するハイセは・・・

    ビシュッ

    フツギョウを投げた。

    虚をつくこの攻撃に、パンクチュアルは羽赫乱射を躊躇しフツギョウを回避する。それが最後の誤り。

    フツギョウがパンクチュアルの横を通った時にはハイセは彼の懐にいた。

    ハイセ「・・・ごめんなさい」

    凄絶な刺突の雨によって、パンクチュアルの身体はただのゴミ屑と化した。

    喰種F「おおおおお!!!」

    喰種G「あああああ!!!」

    もう、後処理は簡単だった。

    攻撃の文脈(流れ)を読み取り、間を縫って赫子を放てば喰種Fの頭部が吹き飛んだ。

    それから喰種Gの鱗赫を切断して攻撃の芽を摘み、即座に本体へと刺突を放つ。それは回避される。だが――――――おしまい。

    カネキ(最後は君がやりな)

    ハイセは赫子を用いて手元へと引き戻していたクインケを手に取る。そして、剣モードへと形状変化。

    ザンッ

    血飛沫が天井まで迸る。喰種Gはそれでもなお拳を繰り出そうとする。



    そして、死んだ。



    ハイセが入口の方に目を向けると、そこには大坪上等が立っていた。

    ハイセ「あ、大坪上等。これで作戦―――」

    大坪「化け物」
  42. 42 : : 2016/03/13(日) 22:43:01



    彼女の目に飛び込んできたのは、灰色の髪の喰種によって行われる殺戮劇だった。全身に返り血を浴びた彼がこちらを見た時、彼女の脳内は一つの言葉で埋め尽くされていた。

    "化け物"



    ハイセ「・・・そう見えましたか?」

    大坪「―――え?」

    ハイセ「それは良かったです。化け物と比喩されるぐらいでないと、とても有馬さんのようにはなれませんから」

    ハイセは、笑顔でそう言った。

    本当は分かっている。彼女の口にしたその言葉の意味が、そうでないことぐらい。畏れではなく、恐れから出てきたことぐらい。

    化け物だと比喩されたのではない、揶揄されたのだ。なのに、心の中は至って平静。怒りも哀しみも憎しみも生まれてはこない。

    『愛の反対は憎しみではなく無関心だ』

    マザー・テレサの言葉がふと思い出される。



    この時もう、彼の進む道は決まっていたのかもしれない。



    タッタッタッタッ

    六月「先生!」

    ハイセ「あっ・・・六月くん、瓜江くん、雨止一等」

    大坪「そちらの方は上手くいきましたか?」

    雨止「はい。一体も逃がすことなく、全殲滅を達成しました」

    六月「先生、すごい血ですよ!大丈夫ですか!?」

    ハイセ「大丈夫だよ。ほとんど返り血だから」

    瓜江「(少なくともAレート二体を含む三体を一人で倒すとは・・・さすがと言うしかないな)」

    ハイセ「大坪上等。包囲担当の皆が退屈しているでしょうし、もう戻りましょう」

    大坪「え、ええ。そうしましょう」



    こうして、Aレート喰種"パンクチュアル"及びその仲間の駆逐作戦は、CCG側の完全勝利で幕を閉じた。

    パンクチュアルが率いた徒党の中のAレート以上の喰種を全て駆逐したクインクス班は、その戦闘力の高さを再び知らしめることとなった。

    一方の大坪班も、標的の喰種だけでなく仲間の喰種12体も発見し、駆逐に導いたことから捜査の面で大きな功績が認められた。
  43. 43 : : 2016/03/14(月) 20:03:48
    ―数日後、Hysy ArtMask―



    コンコン

    ウタ「は~い、どうぞ」

    ハイセ「失礼します。こんばんは、ウタさん」

    ウタ「こんばんは、ハイセさん・・・で合ってますか?」

    ハイセ「はい。まだハイセです」

    ウタ「そっか・・・あっ、座りなよ」

    ハイセ「どうも」

    ウタ「上井大学にはもう行きました?」

    ハイセ「ええ、結構前に」

    ウタ「でも記憶は戻らなかったと」

    ハイセ「はい・・・だけど、カネキくんを呼び戻すことは出来ました」

    ウタ「うんうん、やっぱり僕の言う通りでしたね。カネキくんは消えてなんかいなかった」

    ハイセ「全くもっておっしゃる通りでした」

    ウタ「・・・これからどうするおつもりですか?」

    ハイセ「そうですね・・・何かもう一つ、大きなきっかけがあれば記憶を戻せるような気がするんですけど・・・」

    カネキ(そうじゃないでしょ)

    ハイセ「はいはい、自我を捨てろっていうんでしょ?」

    ウタ「・・・」キョトン

    ハイセ「ああ、すいません。カネキくんと脳内会話?てやつです」

    ウタ「へぇ、僕も参加してみたいな。面白そうです」

    ハイセ「あはは、それは難しいですね」

    ハイセ「――――――ウタさん」

    ウタ「はい」

    ハイセ「喰種の暮らしってどうですか?彼等は・・・本当にただの化け物ですか?」

    ウタ「ハイセさん、その質問は流石にマズいと」

    ハイセ「僕の立場は気にしないでください!正直に、ウタさんが思っている通りに、答えてください」

    ウタ「・・・・・・後悔しませんか?」

    ハイセ「はい」

    ウタ「君は気弱に見えて、なかなかの頑固者だからなぁ・・・・・・そうだね。喰種の暮らしは良く言えば自由、悪く言えば綱渡りかな。法で守られていない分、法で縛られることもないから、何をするも当人の自由」

    ウタ「だけど、喰種は常に死と隣り合わせで生きていかなければならない。例えば、君達白鳩に殺され、例えば、凶悪な同族に殺され、いつ命を落とすか分かったものじゃない」

    ハイセ「厳しい世界なんですね」

    ウタ「うん。それで、喰種は本当に化け物かという質問だけど・・・・・・僕は、化け物だと思います」
  44. 44 : : 2016/03/14(月) 23:21:04
    ウタ「瞳が紅くて白目が黒い。銃弾なんかじゃビクともしなくて、体から赫子なんて変なものを出す。これが化け物じゃないなら、一体何が化け物なのかな」

    ハイセ「確かに・・・」

    ウタ「体は間違いなく化け物なんだ。でもね・・・心は、化け物にはなれなかった。弱くて、狡賢くて、嫉妬深くて、でも人を愛することができる・・・人間と同じなんだ・・・」

    ハイセ「("人間と同じ"・・・か)ウタさん、僕―――」

    ウタ「すいません、席を外しても良いですか」

    ハイセ「えっ?」

    ウタ「急ぎの用です。当分会う機会はないでしょう」

    ハイセ「なっ!?待ってください!まだあなたに聞きたいことが」

    ウタ「あなたには、僕よりももっと会うべき人がいます。もしあなたがそれを望み行動に移せば、きっとすぐに会えるでしょう」

    ウタ「では、さようなら」

    訳が分からなかった。

    何故、今まで親切に自分の話を聞いてくれた彼が、突然話を中断し別れを告げたのか分からなかった。

    何故、店の店主が客を残し、店を去ったのが分からなかった。

    でも、分からなかったのは一瞬だけだった。答えがすぐに、向こうから出てきてくれたから。

    コツーン コツーン コツーン

    ???「こんばんは~、マスク屋の喰種店主さん!・・・おや、不在ですか?」

    ハイセ「―――――――――そ、捜査官の方ですか?」

    キジマ「これはこれは佐々木一等。キジマと申します。あなたと仲睦まじく話をされていた、マスク屋の店主はどちらでしょうか?」

    ハイセ「いやぁ・・・それがさっき急に出て行かれちゃいまして。僕も困って――――――え?」

    キジマ「感づかれてしまったようだね、旧多くん」

    旧多「キジマさんの足音は響きますもんね」

    ハイセ「何で―――」

    キジマ「はい?」

    ハイセ「何で、僕が彼と仲睦まじく話をしていたなんて言えるんですか!?僕を監視していたんですか!?僕を餌に喰種を釣ろうとしていたんですか!?・・・キジマさん!!!」

    キジマ「私は上の指示に従っただけですよ。"仲睦まじく話をしていた"というのも、指示を受けた際に聞いた話。ですからその質問は私にではなく、上にしてください。機会は十分にありますから」

    ハイセ「機会?」

    旧多「喰種対策法第119条"喰種の蔵匿、及び隠避の禁止"。喰種捜査官がこれを破るなんて異例極まりありませんが――――――佐々木一等。あなたに喰種対策法違反の疑いが掛けられています。というわけで、僕達と一緒に本局に来てください」

    ハイセ「っ・・・!?」

    旧多「あなたの大好きな、有馬特等がお待ちですよ」ニコッ
  45. 45 : : 2016/03/16(水) 21:23:58
    ―CCG本局・会議室前―



    キジマ「では、我々はこれで・・・」

    コツンコツンコツン

    会議室の扉の前で、キジマと旧多が去って行くのを呆然と見つめるハイセ。扉の奥には有馬がいる。

    有馬はハイセにとって、父親と言える程の存在だ。記憶を失ったハイセを喰種捜査官へと導いたのは彼であるからだ。ハイセは彼を敬愛してやまない。

    ―――なら、どうして震えているの?

    扉の前で立ち竦んでいても仕方がない。ハイセは扉の取っ手に手を掛け、静かに引いた。

    有馬「やあ、ハイセ」

    ハイセ「・・・・・・有馬さん」

    有馬「そう緊張しなくて良い。まず、座りなよ」

    着席を促され、ハイセは彼の真っ正面の席に着いた。

    ハイセ「尋問をするんじゃないんですか?」

    有馬「そうとも言えるね」

    ハイセ「何故会議室に?コクリアの尋問室を使えばいいじゃないですか」

    有馬「キジマ式がハイセになんと伝えたかは分からないが、そこまでの事態にはなっていない。ただ、少し聞きたいことがあるだけだ」

    ハイセ「そう、ですか・・・それなら、僕も聞きたいことがあります」

    有馬「・・・・・・分かった。だが最初は俺が質問する番だ」

    ハイセ「良いですよ」

    有馬「Hysy ArtMask―――そこを訪れた理由は?喰種と接触した理由は?」

    ハイセ「・・・・・・(やっぱりそう来たか。正直に答えるべきか、嘘をつくべきか、僕はもう答えを決めている。僕の答えは――――――)僕の記憶の手掛かりを探るためです」

    有馬「・・・正直だね」

    ハイセ「嘘をついた方が良かったですか?」

    ああ、そうか。彼はもう――――――

    有馬「いや、正直に答えてくれて助かる。それで、喰種を逃がした理由は?」

    ハイセ「逃がしたというか・・・勝手に居なくなられました」

    有馬「喰種捜査官として引き留めるべきでは?」

    ハイセ「ええ、その通りです」

    有馬「・・・なるほど」

    ハイセ「そろそろ、僕が質問してもよろしいでしょうか?」

    有馬「うん、良いよ」

    ハイセ「では・・・有馬さんにお尋ねします。僕は監視されていますか?」
  46. 46 : : 2016/03/18(金) 23:13:39
    有馬「何故そう思う?」

    ハイセ「最初に監視を疑うようになったのは、白ラビットと接触した時です。彼女が僕を倒し逃亡を図った際、ツボネさんが率いる数人の捜査官がすぐに現れ、彼女を追跡しました。通報を受けて現れたにしては早過ぎた。最初から近くに居たと考えるのが自然です」

    有馬「そして、今回の件でその疑念が確信に変わった・・・そういうことだな」

    ハイセ「おっしゃる通りです。さあ、答えてください」

    有馬「そうだね。正直に答えたご褒美に、俺も事実のみを話すとしよう。ハイセ、CCGはお前を監視している」

    ハイセ「!?・・・やはり、そうなんですね」

    有馬「そうは言っても、監視を始めたのはオークション戦以降だ。白ラビットの正体を見たお前の反応は、一度だけ会っただけという者の反応ではなかった」

    ハイセ「僕が喰種と親密な関係にある。そう判断したのですね」

    有馬「可能性はあると判断した」

    ハイセ「監視は、これからも続くのですか?」

    有馬「ああ」

    ハイセ「・・・分かりました。正直に答えてださってありがとうございます。では、失礼します」

    有馬「――――――記憶を戻そうなどと思うな」

    ハイセ「・・・・・・・・・え?」

    有馬「その記憶は捜査官を続けるに当たって邪魔にしかならない。忘れているようなら、もう一度言う」

    有馬「お前は俺のクインケだ」



    ハイセ「僕は――――――お前の所有物じゃない!!!」



    有馬「・・・じゃあな、ハイセ。また遭おう」

    ハイセは無言のまま、有馬に背を向ける。そして、足を踏み出した。
  47. 47 : : 2016/03/20(日) 20:39:40
    ―シャトー―



    ガチャ

    ハイセ「ただいま~」

    才子「ママ~ン!」

    ドタドタドタドタ

    才子「お腹空いたぁぁぁ」

    不知「サッサン、遅くなるなら連絡ぐらい入れてくれよな」

    ハイセ「ごめんごめん。すぐに夕食を―――」

    不知「どうかしたか?」

    ハイセ「―――ごめん、もう少し待ってもらえるかな。今日はご馳走を作るから」

    才子「ご馳走!?」

    不知「えっ、今日じゃなくても」

    才子「シラギン、余計なこと言うなし」

    ハイセ「ごめん、どうしても今日が良いんだ」

    不知「サッサンがそう言うなら・・・」

    ハイセ「ごめんね」

    不知「良いって良いって。てかサッサン、ごめん言い過ぎ」

    ハイセ「・・・そうだね」

    不知「それじゃ、瓜坊達にも伝えてとくな」

    ハイセ「うん。お願い」

    才子「ご馳走ご馳走♪」

    ハイセ「・・・・・・(幾ら謝ったって、足りないよ――――――)」



    ハイセ「お待たせ~。夕ご飯出来たから、運ぶの手伝って」

    六月「分かりました」

    瓜江「はい(全く、遅すぎる。遅い時間の夕食は肥満に繋がり、健康にも悪い。捜査官たる者、もっと食生活に気を・・・)」

    不知「おうよ」

    才子「諸君等の生還を祈っている」

    不知「お前も運べ」

    六月「ご馳走って・・・ハンバーグですか」

    ハイセ「うん。ちょっと子供っぽかったかな」

    六月「いえいえ、俺は大好きですよ。ハンバーグ」

    才子「グーグーグーグーハンバーグー!」



    ハイセ「大変待たせしてしまってごめんなさい。ちょっと遅くなったけど、今日は"パンククアル"討伐戦の成功を祝してご馳走を作りました」

    不知「俺と才子は何もしてないぜ」

    ハイセ「君達が外を固めていてくれたから、中の僕達はのんびりと戦えたんだ」

    才子「ママン、よだれが止まらん」

    ハイセ「ふふっ、そうだね。挨拶はこのぐらいにして、さっさと食べようか」

    ハイセ「いただきます!」

    クインクス一同「いただきます!」
  48. 48 : : 2016/03/20(日) 22:34:54
    ―午前1時―



    一階にある稽古場で、瓜江は筋力トレーニングに励んでいた。

    瓜江「ぐぬぬ・・・まぐっ!(まだだ。こんなものでは、黒磐には・・・)」

    ハイセ「こんな時間まで・・・頑張ってるね、瓜江くん」

    瓜江「佐々木一等。まだ起きていらしたのですね」

    ハイセ「うん。お邪魔だったかな」

    瓜江「いえ(・・・)」

    ハイセ「なら良かった」

    瓜江「・・・何かあったのですか?」

    ハイセ「ん?ああ、君もそう思う?」

    瓜江「ええ、まあ・・・」

    ハイセ「そっか・・・・・・」

    瓜江「(何だ、気持ちの悪い)」

    ハイセ「僕、ちょっと散歩に出てくるね」

    瓜江「こんな時間にですか?」

    ハイセ「うん。いい加減、踏ん切りをつけないと」

    瓜江「どういう意味ですか」

    ハイセ「気分転換のための散歩という意味だよ。夜の散歩も気持ちいいよ」

    瓜江「・・・(嘘だ。ただの散歩じゃないだろう?あなたのその顔は、決意を固めた者の顔だ。それでいて、別れを惜しんでいる・・・)」

    ハイセ「じゃあ、ちょっと行ってきます」

    瓜江「(・・・・・・)佐々木一等」

    ハイセ「なぁに?」

    瓜江「俺にとってはまだ、あなたは必要な存在です。俺がこの先昇進していく上で、足りないものを幾つも持っている――――――」

    瓜江「これから、あなたを存分に利用させていただきます。俺の糧となってもらいます。だから・・・」

    ハイセ「柄にも無いことさせちゃったな・・・ごめんね」ボソッ

    瓜江「!?」

    ハイセ「ありがとう」

    ハイセは稽古場を後にする。そして、夜の闇へと紛れていった。



    瓜江「(ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな)(俺を再び班長に任命するまではっ・・・俺を認めるまでは、貴様を自由にさせる訳にはいかない)(だが、どうすれば・・・誰の言葉なら・・・)」

    暁の時が近づく。
  49. 49 : : 2016/03/21(月) 20:29:07



    寒い夜だった。

    吐息は瞬時に凍てつき、路面の至る所に薄氷が敷かれている。

    ――――――母親が家出なんてね。

    突然の脱走、と誰もが思うのだろう。事情を知る一部の者以外は。

    クインクスの皆は、突然・・・と思うだろうか。

    それとも、思いやりのある彼等は、必然・・・と思うのだろうか。

    アキラさんは・・・・・・






    アキラ「ハイセ」



    ―――――――――ズキンッ






    それは丁度、歩道橋を渡る最中のことだった。

    ハイセ「アキラさん・・・」

    アキラ「・・・こんな遅い時間に何をぶらついている。捜査官としての自覚が足りないぞ」

    ハイセ「アキラさんこそ、こんな時間まで起きているのは美容に悪いですよ」

    アキラ「・・・・・・」

    ハイセ「・・・散歩ですよ」

    左手で顎を触れながら、彼はそう答えた。

    アキラ「なら、その荷物は何だ。散歩にクインケが必要か?」

    ハイセ「備えあれば患いなしですよ」

    アキラ「ヤシャ弐まで持ち歩くのは、杞憂にしか見えんぞ」

    ハイセ「・・・・・・有馬さんと話をしました」

    アキラ「・・・・・・そうか」

    ハイセ「記憶を戻すな、と言われました」

    アキラ「それで?」

    ハイセ「僕は、記憶を取り戻したいです。それは好奇心や興味本位で思うんじゃありません。実際の動機は、立派なものじゃありませんが・・・心の奥底から、強くそう思っています」

    アキラ「今の自分が持っている物全てを、かなぐり捨てても良いと思えるほどにか」

    ハイセ「・・・はい」

    アキラ「クインクス班を―――お前の息子達を見捨てても良いと言うのか」

    ハイセ「良くありません!本当は、彼等ともっと一緒にいたい。自分が創り上げた居場所を手放したくない。捨て去ろうなんて思えない。でも・・・CCG(ここ)に居たままではダメなんです。記憶を戻した僕が、ここに居場所を持つことはできない。だって・・・・・・」

    ハイセ「・・・今の僕の居場所さえ、あの小さなシャトーだけなのだから」

    アキラ「何を言っている。少なくとも、今のお前はCCGに必要な存在だ。記憶を戻しても、我々に敵対する意思が無いのならそれが変わることは無い」

    ハイセ「必要な存在・・・」

    アキラ「ああ」

    ハイセ「・・・・・・クインケとして、ですか」
  50. 50 : : 2016/03/21(月) 22:13:51
    アキラ「ハイセ、何故そんなことを」

    ハイセ「僕の所有者が・・・そう、言ったんですよ」

    アキラ「有馬・・・特等が・・・」

    ハイセ「では、もう行きますね。僕は監視されているみたいなので、あまりのんびりしているとすぐに追手が来てしまいますから」

    アキラ「―――待て!」

    ハイセ「・・・」

    アキラ「どうしても行くと言うのなら・・・私はお前を喰種と見なす。お前を・・・捕縛する!」

    ハイセ「クインケも無しに、出来る訳―――」

    アキラ「なめるな!」

    アキラは右拳を握りしめ、ハイセに殴り掛かる。だが、容易く避けられる。

    ハイセ「アキラさん」

    アキラ「うるさい!」

    続けて蹴りを放つ。が、やはり当たらない。

    ハイセ「アキラさん」

    アキラ「聞かん!」

    何度も、何度も、アキラは拳を突き出す。しかし、どれも届かない。彼女の声がもう、ハイセには届かないように。

    ハイセ「アキラさん――――――」

    アキラ「ハイセェェェ!!!」

    ズズッ

    ハイセの左眼が赤く光る。次の瞬間、ハイセはアキラの背後にいた。

    ハイセ「――――――今までありがとうございました。あなたのことは忘れません。例え・・・」

    僕が消えても。






    『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』

    それなら、どちらからも学ばぬ僕は何と呼ばれればいいのだろうか。

    ――――――変わっていない。

    僕は一人よがりの自己満足で、教え子を見捨てた。仲間を裏切った。上司を悲しませた。

    ――――――変わったね。

    言い訳もできない。誰かの為なんて言いようがない。100人に聞けば100人全員が、自己満足と答えるだろう。

    ――――――どうしようもない奴だね。

    僕が記憶を取り戻そうとする動機。色々あるけれど、一番はやはりトーカちゃんに会うことなのだろう。もう一度、彼女の隣を歩きたいからなのだろう。

    ――――――ああ、また殴られる。



    払暁の中、月と共に消へむ。
  51. 51 : : 2016/03/21(月) 22:29:39
    ―CCG本局―



    旧多「どうも、きっしょーさん」

    有馬「・・・何の用だ。旧多」

    旧多「カネキケンの事ですよ。彼、いよいよ失踪したみたいですよ」

    有馬「脱走・・・だろう?」

    旧多「ええ?それじゃあまるで、自分の意志で居なくなったみたいじゃないですか」

    有馬「・・・駆逐命令は?」

    旧多「スルーですか・・・駆逐命令はすぐに出す予定です。CCGの管理下を出た瞬間、彼はSSレート喰種ですからね。てか、レートなんてどうでもいい・・・野に放たれた彼は、"我々"にとって面倒事の種になる。飼育している内は優秀な飼い犬なんですけどねぇ」

    有馬「そうだな。遭遇したら、責任を持って俺が始末しよう」

    旧多「ホント、責任ですよ~。何て言ったって、彼に脱走を促した張本人なんですから」

    有馬「・・・」

    旧多「"お前は俺のクインケだ"なんて、どう考えてもアウトな発言ですよ。"何を考えているんですか?"」

    有馬「どう思う?」

    旧多「さぁ?まっ、上には黙っておきますね。こっちの方が個人的には好きな展開なので。彼って虐め甲斐がありますよねぇ・・・ホント」

    有馬「・・・」

    旧多「無反応ですか。共感してくれると思ったんですけどねぇ・・・では、失礼します」






    歪んだ世界、歪んだ運命、さらに歪む。



    ―完―
  52. 52 : : 2016/03/21(月) 22:36:42
    【あとがき】
    「トーカちゃんに恋い焦がれる余りCCGを抜けるハイセ」を書きたかっただけ感も否めない今回の話ですが、このシリーズをちゃんとしたifストーリーに持っていく為の最重要回とも言えるものになっております。
    次回はMMが出ます。

    読んでくださった皆様、ありがとうございました。ご意見ご感想等ございましたら遠慮なくどうぞ。
  53. 53 : : 2016/03/21(月) 22:55:01
    自作がもし出たらURLはってもらえますか?
    あと、期待!
  54. 54 : : 2016/03/21(月) 22:56:58
    >>53
    貼りますよ~。暇があったら明日投稿したいと思っています。
    期待ありがとうございます!
  55. 55 : : 2016/03/21(月) 22:58:23
    お疲れ様です!

    次回作も期待してます。


    ハイセ…CCG抜けてこれから何をするのですかね…?

  56. 56 : : 2016/03/21(月) 23:45:06
    >>55
    ありがとうございます!

    記憶探しと言いたいところですが、生憎手掛かりが少ないですからどうしましょうか・・・(笑)
  57. 57 : : 2016/03/22(火) 00:11:12
    次回作も期待してます!頑張ってください!
  58. 58 : : 2016/03/22(火) 15:10:12
    >>57
    ありがとうございます!頑張ります!
  59. 59 : : 2016/03/22(火) 19:29:45
    続きはこちらです↓
    『月光輝く茨の道』http://www.ssnote.net/archives/44395
  60. 60 : : 2020/10/26(月) 14:57:37
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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