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ジャン「エピソードⅤ」 ミカサ「帝国の逆襲」 進撃×スター・ウォーズ
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                  - 1 : : 2015/12/02(水) 16:20:52
- 6つあるスター・ウォーズも、いよいよエピソードⅤまで入りました。
 
 
 進撃×スター・ウォーズ、エピソードⅤ、帝国の逆襲がいよいよ始まります!
 
 
 前作「新たなる希望」から3年後という設定です。
 
 
 
 
 
 <主な登場人物>
 
 
 
 エレン・イェーガー・・・・・・反乱同盟軍ローグ中隊隊長。22歳
 
 ミカサ・アッカーマン・・・・・・反乱同盟軍の指導者の一人。22歳
 
 ジャン・キルシュタイン・・・・・・ジャバに借金を負っている元密輸業者。32歳。
 
 チューバッカ・・・・・・ジャンの相棒のウーキー。
 
 ベルトルト・フーバー・・・・・・三年前のヤヴィンの戦いを生き残った、ローグ中隊副隊長。22歳。
 
 マルコ・ボット・・・・・・惑星ベスピン、クラウド・シティの執政官。34歳。
 
 キース・シャーディス・・・・・・反乱同盟軍将軍。50歳。
 
 アルミン・アルレルト・・・・・・3年前にヴェイダーとの決闘に敗れ、殺害されたジェダイ・マスター。享年57歳。
 
 ヨーダ・・・・・・隠遁した伝説のジェダイ・マスター。
 
 ケニー・アッカーマン・・・・・・悪名高き賞金稼ぎ。36歳。
 
 ニック・・・・・・銀河帝国艦隊提督。50歳。
 
 トーマス・ワーグナー・・・・・・銀河帝国艦隊大佐。39歳。
 
 ナック・ディアス・・・・・・銀河帝国艦隊将軍。29歳。
 
 ミリウス・ゼルムスキー・・・・・・戦艦<アヴェンジャー>艦長。29歳。
 
 ダース・ヴェイダー・・・・・・銀河帝国最高司令官にして、シスの暗黒卿。45歳。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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                  - 2 : : 2015/12/03(木) 05:01:47
 遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・・・・
 氷に閉ざされた酷寒の惑星、ホス。
 広大な氷の雪原の一角に、隕石が一つ、墜落した。
 いや、正確に言うと、銀河帝国のスター・デストロイヤーから放たれたポッドの一つが墜落した。
 シュウウウ・・・・・・
 煙を上げるその中から、プローブ・ドロイドがゆっくりと宙へ浮き始めた。
 ※プローブ・ドロイド
 http://www.starwars.jp/wiki/images/d/d3/Viper_probe_droid.jpg
 __________デス・スターを破壊されてから三年。
 ヤヴィンⅣにあった秘密基地は、帝国の猛攻によって駆逐され、反乱同盟軍は基地からの撤退を余儀なくされていた。
 シスの暗黒卿であるダース・ヴェイダーはエレン・イェーガーの追跡に執念を燃やし、銀河各地にこのようなプローブ・ドロイドを放っていたのだ。
 銀河中を血眼になって探すヴェイダー卿の執念は、並々ならぬものがあった。
 プローブ・ドロイドは、青空に向かってシグナルを発信し、それから音を立てて空中を彷徨い始めた。
 
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                  - 4 : : 2015/12/03(木) 13:24:14
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 雪原の上を、一匹の獣に乗った青年が移動していく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 飼い馴らしたトーントーンに乗り、顔をフードと布とゴーグルで覆った青年は、落ちてきた隕石が地表にぶつかって爆発するのを目撃した。
 左腕に積もった雪を払い、エレンは腕輪に仕込んだ通信機でジャンに連絡を入れた。
 
 
 
 ※トーントーン
 http://www.starwars.jp/wiki/images/f/f2/Tauntaun.jpg
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「エコー3よりエコー7へ。馬面のおじさん、聞こえるか?」
 
 『お前の小憎らしい皮肉もしっかり聞こえるぜ!?』
 
 「こっちは生命反応なしだ。そっちは?」
 
 『こっちもなしだ。まぁこんな氷の世界じゃ仕方ねぇよな?』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 彼らは現在、トーントーンに乗ってパトロールをしながら、現地で役に立ちそうな生命が他にもいないか、見て回っていたのである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ヤヴィンⅣを駆逐された反乱同盟軍は、この氷の惑星ホスに、新たな秘密基地であるエコー基地を建設していた。
 銀河中にあまり知られていない、ひっそりと佇むこの惑星は、反乱同盟軍にとって絶好の隠れ家だったのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「よし、少ししたら落ち合うとするか、近くに隕石が落ちたみてぇだから、それを調べたら戻るよ。」
 
 
 
 エレンはそう言って、ジャンとの通信を終了した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 すると、エレンが乗っているトーントーンが突然に暴れ出した。
 
 
 
 「!! おいおい、どうしたんだよ?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 トーントーンを宥め、エレンが振り返ったその時だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ガウウッ!!
 
 
 「!! ぐあッ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 突如出現した巨大な生物に顔面を殴られ、エレンはトーントーンから転げ落ちて卒倒した。
 続いてその生物はトーントーンの首も絞めてこれを殺害。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ズルズルズル・・・・・・
 
 
 気を失ったエレンと死んだトーントーンが引きずられていく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 白い毛を纏った巨人のような生物に、エレンは囚われてしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 第1話
 
 
 啓示
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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                  - 5 : : 2015/12/03(木) 23:28:10
 エコー基地は、火山によって形作られた巨大な洞窟の中に作られた基地であった。
 ※エコー基地
 http://img229.imageshack.us/img229/6983/pdvd046.jpg
 http://www.starwars.jp/wiki/images/5/54/EchoBaseHangar.jpg
 その基地の中へ、トーントーンに跨ったジャンが一足先に帰ってきた。
 「は~~~~、さみ~な全くッ!!」
 惑星ホスの肌を斬るような寒さは厳しく、凍傷になったものも少なくない。
 そんな中に基地を建設しようと進言したエレンが少し恨めしくなってくる。
 トーントーンから降り、ジャンは動く鉄くずこと、ミレニアム・ファルコンの上でメンテナンスをしているチューバッカに声をかけた。
 「おい、チューイ、調子はどうだ?」
 修理が思うようにいかないチューバッカは、ジャンに声をかけられて少し怒ったような声を上げた。
 「分かった分かった! そうカッカするな! すぐ戻って手伝ってやるからよ!」
 今まで修理をしていたチューバッカをねぎらいながら、ジャンは司令室へ向かって進んでいった。
 ジャンを見送ったチューバッカは、調子の悪いミレニアム・ファルコンを、再び修理し始めた。
 
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                  - 6 : : 2015/12/03(木) 23:28:56
 「お、やってんなぁ。」
 司令室の中では鬼のような形相をした男が、新人の兵士たちに大きな罵声を浴びせていた。
 彼曰く、一度自分を否定させ、まっさらな状態から教育しなおすとのことだ。
 まあ、俺やエレンは恫喝されることなく反乱同盟軍に入ったんだがな。
 「相変わらずだな、キース将軍。」
 「ん、キルシュタイン船長か。」
 ジャンがキースに声をかけると、若い新人の兵士たちは右手を左胸に当てて敬礼をした。
 反乱同盟軍の英雄として、ジャンの名前は今や銀河中に知れ渡り、銀河帝国のお尋ね者リストの筆頭に名を連ねていた。
 「生命体の兆候はなかった。センサーを設置してきたから、何か動くものがありゃ反応するだろう。」
 「そうか・・・・・・それで、イェーガー中佐はどこだ? お前と一緒ではなかったのか?」
 「さあな。死に急ぎは近くに落ちた隕石を調べて帰ると言ってたぞ。」
 「これだけ隕石の落下が多いと宇宙船と区別が付かんぞ?」
 キースはにこりともせず、眉間にしわを寄せて話した。
 キース・シャーディス―――――――彼もまた、故郷であるオルデランが帝国に滅ぼされるのを、衛星から目撃した人物の一人であった。
 ジャンはため息をつき、一瞬ではあったが、少し残念そうな表情を浮かべた。
 「・・・・・・キース将軍。俺はそろそろここを発とうと思う。」
 「そうか・・・・・・・・・・・・残念なことだな。」
 「ジャバに借金を返さなきゃ殺されちまうもんでね。」
 「それは大変なことだ。お前は勇敢な男だ。抜けるのは痛いぞ、ジャン。」
 すると、普段は厳しく部隊を統率するキースが、無表情ではあったものの、手を差し出した。
 「ありがとうございます、将軍。」
 ジャンは丁寧に、差し出されたキース将軍の手を握った。
 
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                  - 7 : : 2015/12/04(金) 00:07:23
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 それからジャンは、司令部でモニターを確認している女性を見た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「さて、そう言うことだ、お姫様。」
 
 「その様だ。」
 
 
 
 
 
 
 
 ミカサは振り返ることもなく、素っ気なく答えた。
 そんな様子のミカサに少し苛立ったのか、ジャンは皮肉でもってお返しをした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「せいぜい俺に泣きつかねえことだ。じゃあな、お姫様!」
 
 「なっ!?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 ミカサがようやく振り返ると、ジャンは既に司令室から出ていくところだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「ジャン!」
 
 「はい、お姫様?」
 
 「茶化さないで!」
 
 
 
 
 
 
 
 慌てて追いかけ、廊下でジャンを呼び止めると、ジャンは慇懃無礼そのものの態度で応じてきた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「あなたはここに残るべきだ。」
 
 「オード・マンテルで賞金稼ぎに追われて、気が変わったんだよ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 そう言うとジャンは船に乗るためにミカサから背を向けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「ジャン! 私たちは、あなたを必要としている!」
 
 「・・・・・・私たち が!?」
 
 「そう、私たちが。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 すると、ジャンは呆れたような、じれったいような顔をしてミカサのほうへと振り返った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「お前 はどうなんだよ?」
 
 「!? 何のことか分からない。」
 
 「だろうな。お前は分かってねぇみてえだな。」
 
 「何が言いたい?」
 
 「はっ、俺のことが気になるからお前はここにいて欲しいんだろ?」
 
 「あなたは皆にとって必要な人間だ。」
 
 「残念! お前が考えているのはそう言うことじゃねえだろ!?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 どうしていいか分からなくて、困惑するミカサ。
 ジャンはますます面白がって、おちょくるような笑みを浮かべた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「ほら、素直になれよ?」
 
 「・・・・・・・・・・・・誤解だ。」
 
 「へぇ、じゃあなんでついてきたんだ? お別れのキスをねだりに来たんだろ?」
 
 「チューイにねッ!!」
 
 「させてやるよッ!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 __________激しいキスをなッ!!
 
 
 
 
 ジャンは今度は怒った様子でミカサから背を向けて歩いていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 (何なの・・・・・・・・・・・・あのうぬぼれ屋の馬面は・・・・・・。)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 イライラしているのに、どこかモヤモヤする。
 どう名づけてよいかも分からない感情を、ミカサは持て余していた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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                  - 8 : : 2015/12/04(金) 03:59:53
 さて、ところ変わってエコー基地の通路の中、喧嘩をする二人組がいた。
 「ピーピー喚くな! 私はお姫様の部屋が寒いといっただけだ! 部屋の氷が解けてお姫様の服がびしょびしょだよ!」
 R2-D2とC-3POがいつもの調子で言い争いながら、ミカサ姫の言づてを伝えるためにジャン船長の元へと向かっていた。
 「おいテメエ! 何で出発前に部品を外しちまうんだよッ!? この毛玉野郎ッ!!」
 C-3POがミレニアム・ファルコンの停まっているハンガーへ入っていくと、ジャンの大声が聞こえてきた。
 どうやらチューバッカがやらかして、ミレニアム・ファルコンは飛べない状況になってしまったらしい。
 「あの、一言よろしいでしょうか?」
 「あ? とっとと言えよ。俺は今機嫌が悪りいんだ。」
 「ミカサ姫が通信機で呼び出そうとなさっていました。」
 「わざと切ったんだよ。話したくなかったからな。」
 __________人間の考えることが全くもって分からない。
 そう3POは考えながら、用件を伝え始めた。
 「エレン様が戻られていないんです。ミカサ姫も心配しておられます。」
 「知るか、死に急ぎのことなんかよ。」
 機嫌の悪そうなジャンの顔が、ますます不機嫌になっていく。
 が、次の3POの一言に、ジャンは顔色を変えた。
 「それが、誰もご存じないのです。」
 「あ? 誰も知らねえだと?」
 
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                  - 9 : : 2015/12/04(金) 04:00:58
 するとジャンは大声で甲板士官を呼び始めた。
 すぐさま呼ばれた甲板士官がジャンの元へ駆け寄ってきた。
 「ジャン船長、私が思いますに―――――――――「おい、イェーガー中佐はどこにいる?」
 喋っている3POの声を遮り、ジャンは甲板士官を問い詰め始めた。
 「見ておりません。恐らく南の入り口から戻られたのでは?」
 「恐らくだぁ!? なんで確かめねぇんだよッ!」
 「!! も、申し訳ありません!」
 「いいか、外はもうすぐ暗くなるんだぞ!? 至急確かめろッ!」
 「はい、船長!!」
 甲板士官は踵を返し、小走りで確認に向かった。
 C-3POは不安そうにジャンに呟いた。
 「エレン様に何かあったのでしょうか、船長?」
 「・・・・・・・・・・・・さあな。」
 そのままジャンはC-3POを見ずにハンガーの中を歩いて行ってしまった。
 「食えない人だ。来るんだ、R2、ミカサ姫を探そう。きっとエレン様は危険な目に遭われているんだよ。」
 C-3POはそう呟き、R2を引き連れてハンガーから通路へと歩き始めた。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
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                  - 10 : : 2015/12/08(火) 03:57:09
 __________うっ・・・・・・ここ・・・・・・は?
 エレンが目を覚ますと、見知らぬ氷洞の中にいた。
 上を見ると、何故か地面が視界に入った。
 (クソ・・・・・・足が。)
 足元を見ると、天井に氷で足を固定され、エレンは自分が逆さ吊りの状態になっていることに気が付いた。
 殴られた顔面がズキズキすると、漸く何があったかを思い出してきた。
 すると、氷洞の奥から獣が吼える声が聞こえてきた。
 身長が3mほどもあり、白い毛を纏った巨人――――――――ワンパは先に、仕留めたトーントーンの肉をしゃぶりつくように喰らいつくしていた。
 ※ワンパ
 http://www.starwars.jp/wiki/images/2/25/Wampa.jpg
 (次は、俺の番ってか・・・・・・。)
 考えるまでもなく危険な状況であった。
 くそ、一体どうすれば・・・・・・。
 
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                  - 11 : : 2015/12/08(火) 03:57:48
 すると、エレンの視界に、地面に落ちたライトセイバーが目に入った。
 (これだッ!)
 エレンは手を伸ばし、何とかライトセイバーを拾おうと試みる。
 だが、どうあがいても両手は地面に届かず、ましてやライトセイバーを掴むことは出来なかった。
 すると、トーントーンの肉をしゃぶりつくしていたワンパが、エレンが目を覚ましたことに気が付いた。
 今度こそ俺は殺される、エレンは最悪の事態を覚悟した。
 (・・・・・・・・・・・・集中しろ、俺の手元に、ライトセイバーを呼び寄せるんだ。)
 エレンは集中するために目を瞑り、それからゆっくり目を開けて右手を伸ばした。
 ズズ・・・・・・ズズズ・・・・・・
 少しづつエレンのライトセイバーが動き出す。
 エレンはさらに意識を集中させ、周りに流れるフォースと一体化した。
 刹那、エレンの手にライトセイバーが呼び寄せられた。
 ビュウウンッ!
 青い光刃を起動すると、エレンは足を固めている氷をライトセイバーで溶かした。
 地面に落下するエレン。
 これを見たワンパが、エレンに向かって突進してきた。
 ブゥンッ!
 青い光刃が煌めき、ワンパの右腕が宙を舞った。
 グオオォオオォォォッ!!
 右腕を切り落とされ、ワンパが泣き叫んでいるうちに、エレンは洞窟の外へ向かって走り出した。
 
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                  - 12 : : 2015/12/08(火) 03:58:29
 ビュウウウウウッ!!
 地表は既に猛吹雪となっていた。
 強い風が降った雪を巻き上げ、視界が全く効かなかった。
 しかももう日も暮れだしている。
 顔に負った傷もシャレにならない・・・・・・・・・・・・重傷だ。
 「くそ・・・・・・・・・・・・早く・・・・・・戻・・・・・・らなきゃ・・・・・・。」
 かじかむ手足を必死に叱咤し、エレンは強烈なブリザードの中を彷徨いだした。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
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                  - 13 : : 2015/12/08(火) 04:06:04
 さて、エコー基地の中では、確認を取った甲板士官がジャンに報告を行っていた。
 「イェーガー中佐は南の入り口からも戻っておられません。恐らくチェック漏れかと。」
 「それは無いな。スピーダーは使えるか?」
 「いえ、極寒地対応でトラブルがあって使えません。」
 __________状況は最悪だな。
 死に急ぎがこのままホントに死んじまうかもしれない・・・・・・。
 ジャンは一人、覚悟を決めた。
 「仕方ねえ、俺がトーントーンで行く。」
 「!! 気温が急激に低下しています! 日も暮れだした今、外に出るのは危険です!!」
 甲板士官がジャンを慌てて引き留めようとするも、ジャンは既にトーントーンに跨り始めていた。
 「船長! あまりの寒さにトーントーンが凍死しますッ!! そうなったらもう戻れませんよッ!?」
 「そん時は地獄で会おうぜ! はッ!!」
 甲板士官が引き留めるのも構わず、ジャンは猛吹雪の中へと消えていった。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
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                  - 14 : : 2015/12/08(火) 12:47:13
 ジャンがエコー基地を出てから、R2は頭からアンテナを出し、基地の入り口で必死に生命探査を行っていた。
 そんなR2を気遣ってか、C-3POがR2の元へと歩み寄った。
 「もう中に戻ろう、R2。もう私たちに出来ることは何もないよ。関節が凍りそうだ。」
 そう促すC-3POに対して、R2はピーピーと電子音を立てた。
 「そんなことを言うんじゃない! エレン様はきっと無事だ! 見てるんだね、このおバカさんめ!」
 気を悪くしたのか、3POはそのまま基地の中へと戻っていった。
 エレンの失踪後、兵士たちは出来る限り外を捜索してはいた。
 だが、この猛吹雪を前に、全ては徒労に終わってしまった。
 「ごめん、ミカサ・・・・・・。」
 「謝らなくていい、ベルトルト。打つ手は・・・・・・なかった・・・・・・。」
 最後のパトロール隊を率いていたベルトルトが帰還したが、朗報をもたらすことは出来なかった。
 死んだライナーに申し訳が立たない・・・・・・。
 ベルトルトはヤヴィンの戦いで、仕方がなかったとはいえ、途中で離脱したことを今でも後悔していた。
 もし僕が撃たれなければ、ライナーを死なせることもなかった。
 この後悔の念が、ベルトルトの心に暗い影を落としていた。
 
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                  - 15 : : 2015/12/08(火) 12:48:01
 するとそこへ、キース将軍が現れた。
 「フーバー少佐、イェーガー中佐とキルシュタイン船長は見つかったのか?」
 「いえ・・・・・・・・・・・・見つかりませんでした。」
 「そうか・・・・・・・・・・・・。」
 キースの表情は変わらないが、その瞳だけは少しだけ、悲しんでいるようにも見えた。
 外は猛吹雪。
 気温は急激に低下。
 __________これ以上は、無理だな・・・・・・。
 「各員に告ぐ! シールド・ドアを閉めろ!」
 これ以上、基地の中を危険に晒すわけにはいかない。
 防寒対策のため、キース・シャーディス将軍は非情な決断を下した。
 「!! お待ちくださいッ!!」
 将軍の両肩に掴みかかって抗議したのは、エレンの幼馴染みでもあるベルトルトだった。
 「エレンを見捨てるつも―――――――「止めて、ベルトルト。」
 抗議するベルトルトを押しとどめたのは、ミカサだった。
 「!! 君はそれでいいのかい!?」
 「将軍の判断は、正しい。皆を、危険には、晒せない。」
 「・・・・・・。」
 ベルトルトは無言で将軍の肩を離し、そのままハンガーから立ち去った。
 ゴオオオオ・・・・・・・・・・・・
 チューバッカが見守る中、分厚い鉄で出来たシールド・ドアは、音を立ててゆっくりと閉まっていく。
 R2が言うには、生存確率は725分の1。
 閉まっていくドアを、呆然と見つめるミカサ。
 ガコォンッ・・・・・・
 やがてシールド・ドアは、重い音を立てて閉まった。
 悲鳴のような唸り声を、チューバッカが上げた。
 その叫び声が、ハンガーの中に谺する。
 __________今日中のエレン・イェーガーとジャン・キルシュタインの捜索は、打ち切られた。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
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                  - 16 : : 2015/12/08(火) 13:06:12
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 「はぁ・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ダメだ・・・・・・・・・・・・体が、もう・・・・・・・・・・・・。
 
 
 
 限界をむかえ、エレンは猛吹雪が吹きすさぶ雪原のど真ん中へ、うつぶせに倒れ込んでしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ・・・・・・・・・・・・俺は、このまま死ぬのか?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ミカサ、
 ジャン、
 ライナー、
 ベルトルト、
 フランツおじさん、
 ハンナおばさん・・・・・・・・・・・・
 
 
 
 まるで走馬灯のように、様々な人間の顔が浮かんでは消えていく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 やばい、体が・・・・・・・・・・・・温かけえ・・・・・・・・・・・・
 父さん、アルミン、俺は・・・・・・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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                  - 17 : : 2015/12/08(火) 13:07:45
 <・・・・・・・・・・・・エレン。>
 ふいに俺を呼ぶ声が聞こえ、力を振り絞って顔を上げた。
 目の前にいたのは、茶色のローブを纏った白髪の老人だった。
 懐かしい面影に、凍える口から言葉が漏れた。
 「・・・・・・・・・・・・アル・・・・・・ミン・・・・・・?」
 三年前に死んだはずのアルミンの幻影は、エレンの側によると、慈しむように声をかけてきた。
 <もう少し頑張るんだ、エレン。もうすぐ君を助けに来るものが現れる。>
 「・・・・・・。」
 しばらくぶりに聞くアルミンの声は、優しかった。
 <それと、君はこれからダゴバへと行くんだ。>
 「・・・・・・・・・・・・ダゴ・・・・・・バ・・・・・・?」
 <そこにいるヨーダから教えを受けるんだ。私に修業をつけてくれた、偉大なジェダイ・マスターだ。>
 そう言ったっきり、アルミンの幻影は消えてしまった。
 「・・・・・・・・・・・・アル・・・・・・ミン・・・・・・!」
 絞り出すように声を出し、エレンの意識はそこで途絶えた・・・・・・。
 
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                  - 18 : : 2015/12/09(水) 16:38:10
 「!! おい、エレンッ!? しっかりしろッ!!」
 トーントーンに乗ったジャンがエレンを見つけたとき、エレンは既に昏睡状態に陥っていた。
 慌ててジャンがトーントーンから飛び降り、エレンの元へと駆け寄る。
 (くそ・・・・・・低体温症を発症している。このままじゃ・・・・・・。)
 抱きかかえたエレンの体は異常なほど冷たかった。
 「アル・・・・・・ミン・・・・・・・・・・・・ダゴバ・・・・・・。」
 まるでうわごとのように言葉を繰り返すエレン。
 よく見ると顔にも傷を負っている。
 ・・・・・・・・・・・・恐らく左の頬骨が折れている。
 相当な重傷だ。
 兎に角エレンを温めなくては・・・・・・。
 ジャンがそう思った、次の瞬間だった。
 ヴヴヴヴヴ・・・・・・
 トーントーンが寒さに耐えきれず、そのまま倒れてしまい、凍死してしまった。
 
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                  - 19 : : 2015/12/09(水) 16:39:23
 「おいおい、マジかよ・・・・・・いよいよやべえな。」
 ジャンはそう呟きながら、エレンが腰につけているライトセイバーを手に取った。
 ビュウウンッ!
 青い光刃がジャンの手の内から飛び出す。
 (まさかこの俺が死に急ぎのライトセイバーを使うことになるなんてな。)
 握ったエレンのライトセイバーを、ジャンはトーントーンの腹部に突き立てた。
 ブシュウと音を立てて、トーントーンの内臓が切り口から飛び出してきた。
 「うわっ、くっせ・・・・・・・・・・・・ったく、お前気絶していて良かったな。」
 そう呟きながら、ジャンはエレンを温めるために、トーントーンの死体の中にエレンを押し込み始めた。
 「がまんしろよ、今シェルターを準備してやるからな。」
 外はますます暗くなる。
 気温はますます低下する。
 吹雪はいよいよ激しくなる。
 「アルミン・・・・・・ダゴバ・・・・・・・・・・・・」
 「おいおい、しっかりしてくれよ・・・・・・。」
 うわごとを繰り返すエレンを気にかけながら、作業に取り掛かるジャン。
 今にも動けなくなりそうなほどの酷寒の中、ジャンは暖を取るためのシェルターを作り始めた。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
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                  - 20 : : 2015/12/11(金) 23:16:30
 翌日。
 天候は昨日とは打って変わって晴天だが、風は少々強い。
 漸くスピーダーの寒冷地対策が完了し、ベルトルトが中心となって捜索隊が組まれた。
 エコー基地のハンガーから、ローグ中隊の精鋭たちが操る二人乗りのスノースピーダーが三機発進した。
 遥か先まで広がる雪原の上空を飛びながら、ベルトルトは通信機に向かって呼びかけた。
 ※スノースピーダー
 http://www.starwars.jp/wiki/images/e/ea/Snowspeeder.jpg
 「こちらローグ2! イェーガー隊長! 応答せよ!」
 先に逝ってしまったライナーの影が頭をよぎるなか、ベルトルトは声を枯らしながら雪原を見渡した。
 「キルシュタイン船長! 聞こえますか! ・・・・・・・・・・・・応答してくれ! エレンッ!!」
 『・・・・・・・・・・・・よう! 随分と良い朝だな!』
 「!! ジャンッ!?」
 『寒くてたまんねえんだよ!! 早いとこ迎えに来てくれッ!!』
 ジャンから通信があったところへ急いでスノースピーダーを走らせる。
 すると、雪原の向こうに手を振っているジャンの姿が見えた。
 ホッと胸を撫で下ろしたベルトルトの顔から、思わず笑みがこぼれた。
 「エコー基地、聞こえますか? イェーガー中佐とキルシュタイン船長を無事に発見! 繰り返す、イェーガー中佐とキルシュタイン船長を無事に発見!」
 __________行方不明となっていたエレンとジャンは、ベルトルト率いる捜索隊によって無事保護された。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
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                  - 21 : : 2015/12/11(金) 23:17:29
 エコー基地に戻ってから、エレンはすぐに集中治療室へと運ばれた。
 傷口を再生させる特殊なバクテリア“バクタ”に満たされたバクタ・タンクの中で、エレンは顔に負った傷や低体温症の治療を受けていた。
 だが、ほとんど奇跡と呼べるレベルにまで患者を回復させるこの装置も、ジャンの救出なくしてはエレンを救うことは出来なかっただろう。
 ※バクタ・タンク
 http://www.starwars.jp/wiki/images/3/3d/Bactatankbreathmask.jpg
 やがて、バクタ・タンクの中でエレンは目を覚まし、それからはベットの上で傷口の治療を受けた。
 頬骨が折れるほどの重傷だったが、その傷口もほとんど目立たないくらいにエレンは回復した。
 「ああ、完全に機能しているエレン様を見れて、私は感激です!」
 横になっているエレンに、C-3POは嬉しそうな様子で話しかけた。
 となりのR2が立てる電子音も、どこか嬉しそうだ。
 「悪かったな・・・・・・心配かけちまってよ。」
 そうエレンがドロイドたちに声をかけると、部屋の扉が開いた。
 開いた扉からジャンとミカサ、チューバッカが見舞いに入ってきた。
 「よう、死に急ぎ。元気そうじゃねえか、もうガンダークと戦えそうか?」
 「おかげさまでな。」
 「妙に神妙じゃねえか。まあ、貸しを二つも作ってりゃ大人しくなるってか。」
 相変わらず憎まれ口をたたくジャン。
 それは、ミカサに対しても相変わらずだった。
 
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                  - 22 : : 2015/12/11(金) 23:18:47
 「まあ、おかげさまで俺も出発のチャンスを逃しちまったし、今出発しようとしても命令で飛び立てないからなぁ。」
 少しにやけた顔で話しかけるジャンに、ミカサは少しムキになった。
 「私は何もしていない。キース将軍がエネルギー・フィールドが作動するまでは船を発たせるのは危険だと判断した。」
 「はっ、俺みたいないい男にいて欲しかったんだろ?」
 「あなたみたいな馬面に興味ない。」
 ミカサのきつい悪口に、チューバッカが思わず噴き出した。
 エレンも悟られないように、こっそりと笑った。
 「よくも笑ったな、毛玉野郎に死に急ぎ野郎が。けどよ・・・・・・お前たちは知らないんだ。」
 すると、ジャンはミカサの肩に手を回し、高らかに宣言した。
 「ミカサは俺に、本当の気持ちを告白したんだぜ?」
 「は!?」
 ミカサはジャンの手を払いのけると、怒った様子でジャンに詰め寄った。
 「私が、あなたみたいなおたんこなすの馬面に? 訳が分からない!」
 「おい、誰がおたんこなすだ!?」
 「なあ、痴話げんかはよそでやってくんねえか?」
 「「エレンは黙れッ!(黙ってッ!)」」
 けが人そっちのけで喧嘩し始めたジャンとミカサ。
 するとミカサはとかさにきた様子で、ジャンに皮肉が混じった言葉をかけた。
 「あなたはもっと、女心を勉強すべき。」
 そう言うとミカサは、横になっているエレンの唇に思いっきりキスをした。
 あまりのことに周りがあっけにとられる中、ミカサはジャンをねめつけると、エレンの部屋を後にした。
 『司令本部の士官は指令センターへと集合せよ。司令本部の士官は指令センターへと集合せよ。』
 館内放送が入り、暫くして我に返ったジャンも、鼻の下を伸ばしているエレンを複雑な気持ちで見た後、エレンの部屋を出ていった。
 
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                  - 23 : : 2015/12/11(金) 23:21:25
- 以上で、第1話は終了になります。
 次回はホスの戦いになります。
 よろしくお願いします<m(__)m>
 
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                進撃×スター・ウォーズ ~帝国の逆襲~ シリーズ 
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