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この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

スタミュ I can musical!~綾薙学園スター枠の物語~

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  1. 1 : : 2015/11/22(日) 18:44:47
    はい、こんにちは!あきです!
    実はいくつもssを掛け持ちしているにも関わらず、作る奴です。どうぞ、その点ご了承下さい。
    そして安定の亀更新なのでその辺りもよろしくお願いします。
    さて、ここで解説ですが、本編に出て来るオリキャラ・流星陽(りゅうせいあき)ですがこの名前は私の友達の弟の名前から取りました。というのはどうでも良く、主人公です。女性です。
    歳は17歳(高二)、身長は那雪と同じぐらいです。
    華桜会メンバーとは面識があり、日本のミュージカル内の女優部門で優秀な成績を修める程の実力を持っている。そして翼の祖父と仲が良く、綾薙学園ミュージカル学科の行事の採点担当などもやる実力者。一言で言えば完全無欠です。
    一応、R指定は付かないように書きますが、もしついてしまう場合は一言お声掛けをお願いします。
    ちなみに恋愛がカテゴリに入っている以上陽とスタミュキャラの恋愛は免れませんので、無理という方はbrowserbackをお願いします。
    ようやく始まります。読んでくれる読者様は温かい目で見守ってください。
  2. 2 : : 2015/11/22(日) 18:53:20





    柊「!!!ここへお越しになるならば一声掛けて頂ければよろしかったのですが…」

    陽「いいですよ。それに今回もまた面白い面子が揃っているそうじゃないですか。特に樹さんの所は脱落確定の少年達だったと聞きましたよ」

    柊「…彼もまた先輩になる時が来たんですよ。それよりご案内します」

    陽「ありがとうございます、翼さん」
    これは綾薙学園のスターになる為、切磋琢磨する少年達を見守る少女の物語______。
  3. 3 : : 2015/11/22(日) 19:03:19
    ~星谷side~
    星谷「…流星陽!!?」

    鳳「ああ、そうだよ。彼女も今回のお披露目公演の審査員の一人でね…誰でも名前ぐらいは聞いたことあるだろう?」

    月皇「確か…女優部門で優秀な成績を修めたとか」

    天花寺「そんな奴に興味なんざあるか、野暮助」

    那雪「ちょ、ちょっと天花寺君!そんな言い方は…」

    空閑「…そいつが今日、ここに来るのか?」

    鳳「来る、ねぇ…というか来てる、の方が正しいかな」

    五人「来てる?」
    コンコン
    柊「失礼します」

    陽「同じく失礼します」

    鳳「久しぶりだね、girl」

    陽「こちらこそ久しぶりです、樹さん」
  4. 4 : : 2015/11/22(日) 20:10:38
    鳳「それで、今回はどういう要件?」

    陽「ただ単純に興味があっただけですよ。審査は日頃の行いも採点基準に入れなくてはなりませんから」ニコッ

    鳳「相変わらず真面目だねぇ…柊の影響かな?」

    陽「翼さんは何も言ってませんよ」

    柊「…どうして僕が影響させるんですか」

    陽「まあ取り敢えず、少し見ていったら帰りますから。お気になさらずに」

    柊「僕は案内で来ただけなので。お帰りの際はメールでお知らせをお願いしますね」スタスタ…

    陽「翼さんってば…過保護なんだから」

    鳳「過保護を通り過ぎて、ありゃ神経質だね」

    陽「らしいと言えばらしいのですが…」

    鳳「…さあ!ボケっとしてないで練習再開するよ、boys!!!」

    五人「は、はい(おう)!!!」
  5. 5 : : 2015/11/22(日) 20:19:35





    陽「あ、そうそう。樹さんにこれ渡そうと思ってたんですよ」

    鳳「ん?ミュージカルの招待券…君の舞台かい?」

    陽「今日の夜七時からなんですけど…予定があったなら無理なさらずに」

    鳳「大丈夫。俺は基本的、いつでもOKだよ」

    陽「ありがとうございます。じゃあ楽しみにしていますね」

    鳳「!!!もう帰るの?」

    陽「もうたっぷり見ましたよ。他のチームとはまた一味違って良いアヤナギ・ショウタイムだと思います」

    鳳「そう…じゃあまたあとでね、bye」

    陽「はい、お邪魔しました」スタスタ…
  6. 6 : : 2015/11/22(日) 20:34:51
    ~柊side~
    陽「!!!翼さん…もしかしてずっと居たんですか?」

    柊「ずっと、という訳ではありません。五分ぐらい前から居ましたが…大体、いつも陽さんは言っても僕にメールを入れずに知らない内に帰るではないですか。だから大まかな時間を考えて来てみたんです」

    陽「翼さん、やっぱり過保護ですね」

    柊「必要な過保護もあります。それに僕はもっと貴女と話がしたい。もっと貴女のミュージカルを聴き、感じたいんです」

    陽「どうして一審査員をそこまで…」

    柊「今僕が会話しているのは一審査員ではありません。ミュージカル界の人魚姫・流星陽さんです」

    陽「!!!…そうでした。翼さん、貴方はそういう人間でしたね。
    行きましょう」スタスタ…

    柊「…僕は苦手ですか?」

    陽「苦手、ですか…そんなことはないと思いますよ」
  7. 7 : : 2015/11/22(日) 20:49:05
    陽「…翼さん、大事なお話があります」

    柊「大事な話…?それはどういう?」

    陽「今度、私の舞台でデュエットを組んでやる舞台があるんですが、その相手がまだ居なくて…
    翼さんにやって欲しいんです」

    柊「僕が…ですか?僕でいいのならお付き合いしますが…」

    陽「でも翼さんだって色々やる事があって忙しい筈です。無理して私に合わせて体調を崩されたら…」

    鳳「じゃあその相手、俺がやろうか?」

    柊「!!!いつから聞いていたんですか?」

    陽「樹さん!!!」

    鳳「まあまあ、お前が難しそうだから俺が変わろうか?って聞いてるんだ…翼」

    柊「それはそれで譲ることはできません…兄さんでも」

    陽「…(あ、本性出ちゃってる)
    あのー…?」

    鳳「girl、これは男の問題だ。口をはさんだらいけないよ」

    柊「貴女と共演するのは僕です、陽さん」

    陽「いや、その…
    私、二人が一緒の舞台を見てみたいです」

    鳳・柊「…What?・はい?」
  8. 8 : : 2015/11/28(土) 09:40:36
    柊「僕と…」

    鳳「俺の…」

    鳳・柊「共演!!?」

    陽「そんな驚かれなくたっていいじゃないですか…面白そうですよ?」

    鳳・柊「どうして俺・僕が翼・兄さんと!!!」

    陽「…息ぴったりに言われてもですね、観たいものは見たいんです。あと呼び名を戻してください」

    柊「!!!僕としたことが…失礼しました。しかし、何故ですか?」

    陽「面白そうだって言ったじゃないですか」

    鳳「Oh…」

    柊「全く…面白そうというだけで、役者を動かさないで下さい」
  9. 9 : : 2015/12/12(土) 17:09:23
    陽「いいでしょう?ミュージカルは楽しむものです」

    柊「陽さん…」ハァ

    鳳「仕方ないね、girl」

    柊「…鳳、やろう」

    鳳「…あの頃みたいにね」

    陽「ありがとうございます。それと例の件ですが、まだ演目も決まっていないので三人でやりましょう」

    鳳・柊「えっ…」

    陽「では」スタスタ…
  10. 10 : : 2015/12/12(土) 17:27:08





    那雪「あ、陽さん、ちょっといいですか?」

    陽「いいですけど…えっと…那雪さん?」

    那雪「覚えててくれたんですか!?」

    陽「…うろ覚えですが」

    那雪「ありがとうございます!で、用件なんですけど…
    これから舞台ですよね?よかったらお弁当、どうぞ!」

    陽「でもこれ那雪さんのお弁当じゃ…」

    那雪「僕は小食ですからいいんです。それに陽さんの為に作ったようなものですし…
    僕、知ってたんです。今日、陽さんが来ること」

    陽「那雪さん…ありがとうございます。この後暇ですか?暇だったら手作りですが別のお弁当を用意しますよ」

    那雪「陽さんの手作りのお弁当ですか!!是非お願いします!!
    あ、あと、僕の事は那雪さんじゃなくて透と呼んでください。わざわざ敬語を使って貰わなくてもいいので…」

    陽「透…透君の方がいいですね。あ、敬語はイヤなのか…」

    那雪「次に会うときはまた憧れのスターですけど…僕はいつまでも陽さんのファンですよ」

    陽「透君…ありがと。じゃあ後で持ってくるね」

    那雪「はい!」
  11. 11 : : 2016/01/14(木) 16:35:33





    星谷「那雪!!弁当は…」

    那雪「あー…陽さんにあげちゃった」

    一同「ええっ!!?」

    那雪「で、でも後でちゃんと持ってくるって言ってたし…」

    月皇「…俺、コンビニ行ってくる」

    空閑「俺はカップ麺」

    天花寺「じゃあ俺はタヴィアンと昼食を…」

    星谷「えぇ…?」

    鳳「…俺は待とうかな?」

    那雪「ご、ごめんね皆!!もうちょっとだけ待っ…陽「おまたせぇっ!!」バァンッ!!

    一同「…あ」

    陽「ごめんね、遅くなっちゃって…そのかわり自分で言うのもあれだけど、とっても美味しいの作ってきたから!!」
  12. 12 : : 2016/01/14(木) 16:48:48
    空閑「…じゃあ頂く」

    天花寺「タヴィアンには可哀想だが…俺も」

    月皇「こういうことはあらかじめ言っておけ、那雪」

    星谷「で!!見せて見せて!!あと食わせて食わせて!!」

    陽「分かってますよ!!透君。ちょっと手伝って」

    那雪「はい!!」

    他のメンバー「(透…君…?)」
  13. 13 : : 2016/01/28(木) 17:19:59





    星谷「あー食った食った!!!」

    月皇「陽さん、御馳走様です」

    陽「ごめんね、こっちも遅れちゃって…」

    『team鳳代表二名は衣装を取りに来てください』
    陽「お?まだ取りに行ってなかったの?」

    空閑「うちのチームリーダーがずっと後回しにしてたからな」

    天花寺「早くしろってんだ、野暮助」

    星谷「う…分かった。空閑、行こう」


    天花寺「…でこのザマか」

    月皇「ボロボロだな」

    空閑「後回しにしてたからな…うちのリーダーが」

    月皇「衣装は役者の体の一部だ。蔑ろにするなどもってのほか」

    星谷「うう…那雪ぃ…」

    那雪「これは…星谷君が悪いかも」

    星谷「だよなぁ…ごめん、皆」

    陽「謝ってすんだら警察はいらない」

    星谷「すいません…」

    那雪「でも僕に任せて!使いたくなかったけど…最終手段を使うから」
  14. 14 : : 2016/02/03(水) 18:08:25
    星谷「最終手段…?」
    バンッ
    一同「!!?」

    星谷「だ、誰!!?」

    ?「聞いていた以上に酷いわよ?」

    ?2「一目瞭然です」

    陽「透君の妹って…双子だったの?」

    那雪「はい。ゆうきとつむぎ。二人ともちょっと変わってるけど…」ニガワラ

    星谷「中学生だろ…?裁縫とかできんの…?」

    ゆうき「できもしないのにこんなむさ苦しい所!!お兄ちゃんの頼みだからって来るわけないでしょ!!?」

    つむぎ「…汗臭いです」

    星谷「うっ…」
  15. 15 : : 2016/02/03(水) 18:56:26
    空閑「一週間しかないんだが…」

    ゆうき「安心して!!本番前には新品以上の仕上がりにしてあげるわ!!」

    つむぎ「当然です」

    天花寺「でもよー…これだけボロいと生地の張替えも必要じゃねぇか?」

    ゆうき「んー…こうなるとほぼリメイクね」

    つむぎ「…一目瞭然です」

    月皇「デザインは?…まさか彼女達に?」

    ゆうき「私達のセンスを疑うつもり!!?」

    つむぎ「心外です」

    月皇「そう言ったって…俺はお前らの作ったものを見たこともないんだぞ?」

    ゆうき「役者ならそれぐらい見分ける目を持って欲しいわ」

    つむぎ「節穴です」

    那雪「まぁまぁ二人とも…」

    天花寺「ったく…黙ってりゃ可愛いってのに…」

    ゆうき「そこ!!陰口は聞こえないように言いなさい!!」

    つむぎ「だらしないです」

    ゆうき「はい謝罪!!」

    つむぎ「謝れという意味です」

    天花寺「!!…すまん…」

    星谷「天花寺が…」

    一同「謝った…!!?」

    天花寺「うっせーな!!調子が狂うんだよ!!」
  16. 16 : : 2016/02/03(水) 19:28:17
    陽「中学生なのに…しっかりしてますね」フフ

    ゆうき「!!そこにいるのは、まさか…ミュージカルスターの陽さんでは!!?」

    つむぎ「!!間違いありません…!!」

    陽「え?何?私って…そんな有名でしたっけ?」

    ゆうき「握手してください!!」

    つむぎ「私もです」

    陽「!!?い、いいけど…」

    月皇「…すっかり高嶺の花だな」

    那雪「そうだね…二人とも、陽さんのミュージカル見たがってたから」

    天花寺「はっ…俺の方が素晴らしいパフォーマンスができるのにな」

    空閑「…自分で言うか?」

    星谷「そんなに有名なの?」

    那雪「うん。席は大体5000席ぐらいあるけど抽選で、倍率が十二倍とかあるから…電話2台で掛けてもあんまり効果ないよ」

    星谷「へぇ…一回見てみたいなぁ…」

    空閑「それが無理だから倍率が上がるんだろ」

    ゆうき「さて…つむぎ!!」

    つむぎ「はい、ゆうき」

    星谷「え…ちょ…」

    ゆうき「動くな!!」

    つむぎ「不動です」

    陽「採寸?本格的ですね。やっぱり器用な子の妹も器用な遺伝子が流れてるのかな?」

    ゆうき「…ではこの衣装、お預かりします♪陽さん、今夜ちゃんと行きますね!!」

    つむぎ「修羅場です」

    4人「…はぁ」ドテ

    那雪「お疲れ様でした」クスッ

    星谷「…そういえば、行きますってどういうことですか?」

    陽「あー…今夜、私ステージがあるんです。それのチケットをさっき二人に渡して…」

    那雪「倍率十二倍のチケットを!!?」

    陽「うん…あ、良かったら皆も来ますか?」

    月皇「あるのか!!?」

    陽「はい。お披露目公演会一週間前ですが…よければ」

    一同「行きますッ!!」

    ~鳳side~
    柊「鳳、今夜は予定が入ってしまいました。食事はまた今度にしましょう」

    鳳「奇遇だね…俺もだよ」ニヤリ

    柊「っ…陽さん、ですか?」

    鳳「そうだと言ったら?怒る?」

    柊「…別に干渉はしません」

    鳳「あっそ…じゃ、また明日ね」

    柊「(不味いことになった…僕も今夜、team柊総勢で陽さんのミュージカルに行くというのに…
    …会ったら最悪だ)」

    ~那雪side~
    那雪「…大きいね」

    空閑「だな」

    月皇「兄さんの時よりデカい…」

    星谷「うわぁ…ワクワクする…!!」

    天花寺「ほら行くぞ」

    ?「あれー?team鳳ー?」

    ?2「こら犬!!あんまりうろつくな!!はぐれるぞ!!」

    ?3「ワン!!」

    ?4「栄吾、これって…」

    ?5「まさかteam鳳も来ているとは…予想外です」

    天花寺「お前らは…!!」
  17. 17 : : 2016/02/03(水) 19:37:21
    team鳳「team柊!!?」

    柊「こちらと同じ状況とは…」

    戌峰「はーじーめてーはなすよぉーチームおおとりー♪」

    申渡「説明会以来でしょうか…陽さんの平等に扱う性格が表に出ていますね」

    虎石「冷静に分析すんな!!何でお前らまで招待されてんだ!!」

    卯川「そーだよ!!僕達、ちゃんと陽さんから渡してもらったんだけどー!!」

    辰己「虎石。卯川。その様子だと、経緯は同じみたいだね」

    月皇「…お前らも陽さんから?」
  18. 18 : : 2016/02/06(土) 11:50:12
    申渡「ええ。一年は直接ではありませんが」

    天花寺「チッ…どうして野暮助どもと一緒に」

    那雪「まぁまぁ…陽さんの考えなんだから」





    空閑「…何というか」

    鳳「いやぁ、偶然って素晴らしいね!!」

    柊「鳳…」

    虎石「しかも両手に花束…!!?」

    ゆうき「何言ってるの?二人とも右隣よ?」

    つむぎ「片側です」

    卯川「あんたの…妹も?」

    那雪「うん。陽さんに貰って」

    辰己「一体陽さんはどうしてそんなに配ったのかな?」

    戌峰「それはーわからーないーよー♪」

    星谷「じゃあ俺、つむぎちゃんの隣だな!!」

    月皇「ああ…もうすぐ始まるぞ」
  19. 19 : : 2016/02/06(土) 14:06:26
    パパッ←照明の音
    陽「皆さん!!今日はお集まりいただき誠にありがとうございます!!」

    星谷「凄い…!!まだ第一幕も始まってないのに声にハリがある…!!」

    鳳「見た目の割には声が良い…陽ちゃんらしいね」

    申渡「戌峰に劣らないほど輝いています…」

    辰己「そうだね、栄吾」

    那雪「あの人が…お披露目公演の審査員…」クラッ

    月皇「落ち着け、那雪」
    ~星谷side~
    陽さんはどんどん見ている観客を圧倒していく。どうしてか分からないけど、俺は緊張したり感動したり色々な感情が混ざり始めていた。
    クライマックスの辺りでは殆どの観客が感動で涙を流していた。
    星谷「何か…言葉で言い表せないほど凄かった!!」
    劇場を出てから一体何回同じことを言っていたのかも分からない。ただ、出てきた人全員が満足そうな表情をしていた。
    鳳「…あれ?」

    那雪「鳳先輩?どうかしましたか?」

    鳳「あれって…陽ちゃんじゃない?」ユビサシ

    柊「そうですね…何故こっちに走ってきているのでしょうか?」

    陽「皆ー!!」

    月皇「なぁ…ここに突っ込んでこないか?」

    虎石「おお…?あの勢いだと卯川とか吹っ飛ばされるぞ?」

    卯川「はぁ!!?嘘!!戌峰君!!」

    空閑「…あと三秒ってとこか」

    那雪「え、ちょ…足動かない…」

    鳳「危ないね(笑)」

    星谷「うわああぁぁぁぁ!!?」
    …シーン…
    星谷「…って、え?」

    陽「あはは…止めてくれてありがとうございます」

    鳳「皆びっくりしてたから…今度から走らないでね?」ギュッ

    柊「はぁ…心臓に悪いです」
  20. 20 : : 2016/02/06(土) 14:27:28
    陽「本当に樹さんなら止めてくれると思ってました」ギュウッ

    鳳「そりゃどうも…それも一種のサービスか何かかい?」

    陽「へ?…あっ!!すいません!!」パッ///

    戌峰「僕もギューッてやる!!」ギュッ

    陽「誠!!ちょっと恥ずかしいってば…」

    柊「陽さん、抜けてきて大丈夫なのですか?」

    陽「はい。もう今日の公演で最後でしたから…打ち上げ会とかもないですし」

    辰己「意外ですね」

    陽「そうでもないよ?ところで…皆、寮の門限切ってると思うんだけど」

    一同「…あ」

    柊「僕としたことが…気が付きませんでした」
    グ~…
    星谷「!!…あはは…ごめん、俺夕飯食べてきてないんだった」

    那雪「僕もだよ」ニガワラ

    その他綾薙生徒「俺/僕/私も」

    陽「あらら…何だったら今から私の家に来ますか?」

    星谷「いいんですか!!?」

    那雪「でもご家族の迷惑になるんじゃ…」
    ※ゆうきとつむぎは先に帰っています。
    陽「大丈夫です!!私の家族は海外に居るので…それに一応二人一組で分けるなら部屋もありますから」

    鳳「…じゃあ俺は陽ちゃんに甘えて泊まろうかな?」

    一同「それなら俺/僕/私も」

    陽「そこの駅から十駅ぐらい離れた所ですけど…大丈夫ですよね?」
  21. 21 : : 2016/02/06(土) 14:51:17





    鳳「ん?天花寺どうしたの?」

    天花寺「な…何だこの280とか320ってのは…」

    陽「…やっぱり。天花寺さん、電車乗ったことありませんね?」

    天花寺「うっ…五月蠅ぇ!!」///

    月皇「また新種の天然記念物だな…」
    ピッピピッ
    陽「天花寺さん、私がこの紙をそこに入れたらあの端まで走って行って下さい」

    天花寺「お、おう!!」
    カシャッ ダッ
    陽「通れましたね(笑)」

    空閑「…普通だろ」
    車内での座席↓
                   窓
    ドア|空|虎|辰|申|陽|那|星|天|月|戌|卯|柊|鳳|ドア
    天花寺「うっ…何だこれ、どんだけ揺れんだよ?」

    月皇「そういう乗り物なんだ。仕方ないだろ」

    虎石「ほんっと、こっちは犬が五月蠅くてさぁ!!」

    空閑「…個性派ぞろいだもんな」

    星谷「那雪、見て見て!!都会なのに星が綺麗!!」

    那雪「そうだね…あっちの方は丘陵があるからかな?」

    戌峰「電車の中ではお静かにーっ♪」

    卯川「戌峰君が一番五月蠅いんだけど!!」

    辰己「俺と栄吾は昔から家族ぐるみで仲が良かったんです」

    陽「へー…なのに何で栄吾君は敬語使ってるの?」

    申渡「何というか…ミュージカルに触れ始めた頃から社交の場に行くことが多くなりまして。それで大人に敬語を使ううちにそうなってしまったんでしょう」
  22. 22 : : 2016/02/06(土) 15:39:54
    柊「…電車ではなくタクシーの方が良かったでしょうか」

    鳳「あはは…確かにそうかも」ニガワラ
    ~陽side~
    人がかなり疎らな車内(というか私達の乗った車両は誰も居なかったが)といえども騒いではいけないと思う。しかしそんなことも忘れて私達は喋りまくっていた。
    『次は流星劇場北。流星劇場北』

    陽「あ、ここで降りるの」

    申渡「気を付けてくださいね」

    陽「うわっ…!!」グラッ
    …ギュッ
    辰己「大丈夫ですか?」

    陽「あ…ありがとう…」

    申渡「言っている傍から…手、貸してください」スッ

    陽「栄吾君…」

    辰己「ふふっ、これでも栄吾はナイトって呼ばれてましたからね」

    申渡「辰己、やめてください」

    辰己「ごめんごめん」





    陽「ここが私の家です」

    一同「うわぁ…」

    星谷「デカい…!!」

    那雪「流石、スターの家って感じ…」

    陽「さぁ上がって?」

    戌峰「ぼーくのいーえよりおっきいよー♪」

    空閑「…とんでもなく場違い感がする」

    鳳「じゃあお邪魔しまーす!!」

    柊「どうしてそんなにノリノリなんですか…お邪魔します」

    月皇「広い…な」

    天花寺「これって一日で掃除できるレベルか…?」

    陽「十人がかりぐらいじゃないと無理かも、ですね」

    卯川「ねぇ、どこがリビング?」

    陽「晶君…えっとね、そこの突き当たりの角を左に曲がって、右側にある一番奥の扉のところ」

    虎石「突き当たりって…50mぐらい先なんですけど!!?」

    陽「うちは広いよ!!」エッヘン

    柊「陽さん、万が一何か壊してしまったらすいません」

    陽「大丈夫ですよ、翼さん。その場合招いた私にも責任がありますから」

    鳳「偉いねぇ…柊もそこまで気を遣う必要はなかったんじゃない?」ニヤニヤ

    柊「誰の所為だと…」

    陽「あとは…透君!!栄吾君!!リビングの端に荷物寄せたら、ジャケット脱いで待ってて!!」

    那雪「はい!!」

    申渡「何でしょう…?」
  23. 23 : : 2016/03/12(土) 16:07:55





    申渡「何かと思えば…夕飯作りですか」

    那雪「なるほど!!」

    陽「だって~…星谷さんはお皿とか割りそうだし、天花寺さんは拒否しそうだし、月皇さんは栄養に五月蠅そうだし、空閑さんはキッチン来るまで大変そうだし、琉唯君は壊滅的にセンスがないし、誠は歌い出すし、晶君は愚痴が凄いし、和泉君は料理以外の何か始めちゃうし、樹さんや翼さんに手伝わせると狭いですし…
    やっぱり常に経験してる二人が良いかなって」

    申渡「…分かります、それ」

    那雪「あはは…」ニガワラ

    陽「で、献立なんだけど…今日はさっぱりしたものを作ろうと思うんだ!まぁ主な理由は晶君が居るからなんだけど…」

    那雪「確か卯川君は京都出身で味付けが濃い物とかダメなんだっけ?」

    陽「そう!だからサラダとか豆腐とか…あと味噌汁は味噌薄めで」

    申渡「では始めましょう」
  24. 24 : : 2016/03/12(土) 16:19:58
    ~待機side~
    戌峰「ん?いい匂いがするぞ?」

    卯川「戌峰君!!ストップ!!行っちゃダメだよ!!」

    辰己「俺も手伝いに行こうかな?」

    月皇「やめとけ、辰己」ブルッ

    空閑「…家でけぇ」

    虎石「愁、まだそれ言ってんのかよ」

    天花寺「はぁ?こんぐらい普通だろ?」

    柊「…(胃が痛い)」キリキリ

    鳳「?柊…顔色悪いけど大丈夫?」

    柊「誰の所為だと…!!」ギロッ

    鳳「あははっ…楽しみだねぇ」
  25. 25 : : 2016/03/12(土) 16:32:21





    月皇「大丈夫か?俺も手伝おうか?」

    陽「あー…じゃあ月皇さんと卯川君と天花寺さん、それから樹さんお願いします」

    月皇「分かった。卯川、天花寺、呼ばれてるぞ。あと…」

    鳳「聞いて無いとでも思った?」

    卯川「何?」

    陽「今から料理運ぶのに必要な人手として来てもらいます。一部の三人は大変そうだし…翼さんには大目付として五人を見ていてもらいます」

    鳳「OK。そういうことだ、柊」

    柊「…分かりました」

    陽「では着いて来てください。くれぐれも迷子にはならないで下さいね」
  26. 26 : : 2016/03/12(土) 16:49:37
    天花寺「随分歩くな…」

    陽「仕方ないじゃないですか」

    天花寺「…あ。あ、あと、その…俺の事は名前呼びで良い。敬語も外して…べ、別に同等に見てるわけじゃないんだからな!!」///

    月皇「照れ隠しが見え見えだぞ、天花寺。
    俺もタメで良い。本当は皆年上に敬語を使われると辛いからな」

    陽「ふふっ…分かったよ、翔君。海斗君。
    …ということは空閑さんも愁君で良いのかな?」

    鳳「いいんじゃない?最初は驚くかもしれないけど嬉しいと思うよ?」

    陽「じゃあそうします」

    鳳「俺の敬語は取ってくれないの?」

    陽「とってほしいですか?」

    鳳「うん」

    陽「ダメです。頼まれても取りません。先輩ですから」

    鳳「陽ちゃんの意地悪…芸歴は断然陽ちゃんの方が上なのにね。
    でもそれも君の魅力だ」

    陽「そんなこと言ってもダメったらダメです」

    鳳「あ、バレたww?」
  27. 27 : : 2016/04/18(月) 18:32:15
    那雪「あ!陽さん!月皇君達もこっち!」

    申渡「四人…ですか」

    陽「絶対落とさないでよ?」ゴゴゴ…

    鳳「落としたら殺す、って目してるね」

    卯川「分かってるしー…で?一人いくつお盆持ってけばいいの?」

    陽「普通に考えて…一つか二つかな?
    わざわざ曲芸みたいな真似はしなくていいからね。落とすのヤだし…ね?」グッ

    天花寺「いっ…!!?な、何だよ!!!」

    陽「ん?何でも?(^言^)」

    月皇「…相当心配されているんだな、梨園の貴公子」

    天花寺「は…はぁ!!?これのどこg…痛い痛い!!!」

    陽「何か言ったかなぁ?」

    天花寺「何も言ってない!!!つーか痛いから!!!」

    陽「…まぁいいや」

    申渡「陽さんにもこんな表情があるとは…」

    那雪「と、取り敢えず!皆、持ってって!」
  28. 28 : : 2016/04/18(月) 18:36:05





    柊「…凄い出来栄えですね」

    陽「そう言って貰えると嬉しいです、翼さん」

    鳳「柊のツンデレーwwもっと言うことあるだろ?」ニヤニヤ

    柊「鳳…!!!」

    陽「まぁまぁ二人共…今日のところはその辺で。
    そろそろ食事の時間にしましょう。倒れてる人も三人…三人も居るの!!?」

    月皇「空閑、起きろ。飯ができたぞ」

    那雪「星谷君!!!起きて!!!死んじゃダメだよー!!!」

    虎石「犬!!!…つっても匂いで起きるか」

    戌峰「わんっ!!!」

    陽「ほらー寝てる人達?ご飯いらないの?」

    星谷「!!!い、いります!!!」

    陽「はいはい(笑)誠も愁君も起きよっか」





    席順は以下の通り↓
      那|月|星|天|空|鳳
    陽[――――テーブル――――]
      辰|戌|申|卯|虎|柊
    陽「では…」

    一同「頂きます」

    星谷「はむっ…美味い!!!陽さん、弁当食った時から思ってたんですけど、料理上手いですね!!!」

    陽「一応私だけじゃなくて透君と栄吾君も作ったんだけどね…」

    申渡「どうですか?卯川」

    卯川「…美味しい、けど」///

    申渡「それは何よりです」

    虎石「ホント素直じゃねぇのな」

    卯川「は、はぁ!!?」

    空閑「…レベル高ぇ」

    天花寺「?普通じゃね?」

    辰己「陽さんの手料理、美味しいです。栄吾曰く俺には料理のセンスが壊滅的に無いらしいんですけど」

    陽「あー…何か言ってたね」

    那雪「あはは、あれはもう…ねぇ?月皇君」

    月皇「ゲテモノだな」

    辰己「ちょ…二人して酷い(笑)」

    月皇「確か携帯に写真があった筈」ゴソゴソ

    陽「センスが無くても練習すれば少しは…」

    月皇「これでもか?」

    陽「…ごめん、前言撤回。何このカレー…色が」

    辰己「!!?陽さんまで…」ズーン…

    戌峰「辰己!!!落ち込むなって!!!歌えば楽しくなる!!!」

    陽「う、うん!!!琉唯君、あとで部屋で歌おう!!!カラオケやろう!!!アヤナギ・ショウ・タイム歌お!!!」

    那雪「うんうん!!!いい練習になると思うよ!!!」

    辰己「…じゃあカラオケで色々歌おっかな」

    鳳「柊、カラオケってやったことある?」

    柊「あの子たちの話ですか?無いですが…まさか」

    鳳「察しが良いね。俺達も参加しよ?」

    柊「…はぁ。そんなことだろうと思いました」

    鳳「…御馳走様。陽ちゃん、皿洗っとくね」

    陽「あ…ありがとうございます、樹さん」

    柊「御馳走様でした。では僕も」

    陽「どうもです」

    星谷「俺達も自分の皿は自分で洗うか!」

    陽「あー…一年はいいや、持ってくだけで。全員キッチンに入れると狭いし。
    お風呂湧いてるから先入ってきなよ。そこまで広くないから三、三、四で分かれて」

    辰己「分かりました」

    陽「じゃ、よろしくね」スタスタ…

    天花寺「さて…どうする?」

    月皇「メンバー配分は流れに任せたとして…次のメンバーに迷惑が掛からないように決めたいな」

    申渡「この中に四十分以上入る方は?」

    天花寺「ん。俺は結構長風呂だ」

    戌峰「僕も!!!」
    申渡「では次に迷惑を掛けないという点では天花寺君と戌峰は一番最後ですね」

    那雪「じゃあ逆に短い人っている?僕、のぼせやすいから十五分ぐらいで出ちゃうんだけど…」

    辰己「俺と栄吾もそのぐらいかな。ねぇ、栄吾?」

    申渡「ですね。およそ二十分ぐらいかと」

    星谷「俺は極端に短い訳じゃないけど、辰己達と同じぐらいかも」

    月皇「俺は必要であればどのぐらい短くてもいける」

    空閑「俺もだな。入れれば何でもいい」

    卯川「僕、そんなに長くも短くもない。三十分?」

    虎石「俺は三十分ジャストで出るぜ」

    申渡「大体割れてきましたね。
    では最初が辰己、那雪君、星谷君、私の四人。
    次が卯川、虎石、月皇君の三人。
    そして最後が戌峰、天花寺君、空閑君の三人。
    以上で良いですか?」

    一同「異議なーし」

    申渡「では行きましょう。部屋割りは、あとでくじ引きで公平に」

    辰己「そうだね、栄吾」
  29. 29 : : 2016/04/26(火) 16:12:34





    那雪「そこまでギューギュー詰めじゃないけど…」

    申渡「そうですね…かなり広いと思いますが」

    辰己「でも男十人が一気に入ったら湯船の湯も結構溢れちゃうよね」

    星谷「あはは。それっぽい」

    那雪「あとから入る鳳先輩達にも迷惑だよね」

    星谷「そういえばさー、この面子で語るのって初めてじゃない?俺だけ違う中学だったし」

    申渡「綾薙の中等部はそこまで高等部と変わりませんし…星谷君の中学時代も聞いてみたいですね」

    星谷「俺んとこは普通に学ランだったよ。当然音楽コースもなかったし…何かブレザーって新鮮だなって今更になって思ったりして」

    那雪「星谷君の学ラン、見てみたいかも」

    星谷「今度写真持ってくるよ!」

    辰己「星谷の学ラン…似合ってると思う」

    星谷「そうかなぁ…綾薙の中等部はどうだったの?部活とかは?」

    辰己「建物は高等部の方が新しいけど。やっぱり音楽系の部活が多かったかな」

    申渡「辰己と私は演劇部に入っていました」

    星谷「へぇー!那雪は?」

    那雪「僕は家庭科部だよ」

    星谷「ぽいぽい(笑)」

    辰己「星谷はどうだったの?」

    星谷「色々やってたよ!」

    申渡「色々…ですか?」

    星谷「俺、掛け持ち部でさ。大会とかも色んなのに出て…サッカー部とかバドミントン部とか?あとワンダーフォーゲル部とか!」

    申渡「凄いですね…」

    那雪「いいなー…運動神経良くて羨ましい」

    星谷「そこまで良くないよー」





    月皇「…卯川と虎石か」

    虎石「何で露骨に嫌そうな顔すんだ、サラブレッド」

    月皇「まずその呼び名からやめてほしいんだが」

    卯川「お兄さんと比べられる苦労が顔に滲み出てるよ?月皇君」

    月皇「そうか」

    卯川「え、ちょっと!それだけ?」

    月皇「それ以外に言うことなどないと思うが」

    卯川「っ…もう!!!調子狂うー!!!」

    月皇「はぁ?何を言っているんだ、お前は」

    虎石「まあ風呂ぐらい仲良くしようぜ、サラブレッド」

    月皇「お前がその呼び方をやめたら考えてやらなくもない…」





    戌峰「ラララ~♪」

    天花寺「五月蠅っ…戌峰てめぇ!!!大音量で歌うな野暮助ェ!!!」

    空閑「虎石と卯川に変わるツッコミはお前か、天花寺」

    天花寺「空閑、まさかお前…ボケに回る気か」

    空閑「いや別にそういう訳じゃ。てかボケって何だ?」

    天花寺「オイ!!!ツッコミ分かるのにボケ分かんないって何だお前!!!」

    戌峰「皆仲良く話そうよ~♪」

    天花寺「だから五月蠅いっつーの!!!」

    空閑「…天花寺が一番五月蠅いだろ」
  30. 30 : : 2016/04/26(火) 16:14:47





    ~鳳side~
    陽「何やら騒がしいですね…」

    柊「胃が…」

    鳳「うわ、確かに天花寺と戌峰の叫び声が聞こえてくるね」

    那雪「あ!陽さん!お風呂ありがとうございました」

    陽「ん?ああ…透君、髪しっかり拭こうね」ナデナデ

    那雪「えっ…あっ!!!ん…」///

    星谷「?那雪何で顔真っ赤なの?」

    那雪「だ、だって!!!っ~!!!」カアァァァ…//////

    陽「これでよしっと…って透君!!?どうしたの!!?」

    那雪「ななな、何でもないですっ!!!」///

    陽「そう?…あ、そうだ。悠太君。部屋割りって決まった?」

    星谷「まだです。全員風呂から出たら決めます」

    陽「分かったわ。じゃあリビングで待機してて」

    星谷「了解です!」





    陽「皿洗い終了!」

    鳳「あいつらはもう全員出たかな?」

    陽「声は聞こえませんから…出たか溺死かですね」

    柊「陽さん、縁起でもないことを言わないで下さい」

    天花寺「おい陽。何話してんだ?」

    陽「前者ですか」

    鳳「天花寺、もう誰も入ってない?」

    天花寺「一応。空閑が途中でぶっ倒れましたけど」

    陽「いくら何でもそれは…」ニガワラ

    鳳「じゃ、俺達も風呂行くか!」

    柊「そうですね」

    陽「じゃあその間、私は一年生を見てますね」

    鳳「うん、よろしく」
    ~申渡side~
    申渡「では厳正かつ公平で恨みっこなしの運命の時間です。同じ番号を引いた人と同室ということで」

    星谷「よし!じゃあせーのっ!」

    一同「…おお」
    結果↓
    1…卯川、虎石
    2…那雪、戌峰
    3…星谷、申渡
    4…月皇、天花寺
    5…空閑、辰己
    卯川「虎石君?まぁ…戌峰君よりいいか」

    虎石「今サラッと毒舌言ったよな」

    戌峰「那雪ーっ!よろしくね~♪」

    那雪「うん。よろしくね、戌峰君」

    星谷「俺は…申渡?何か新鮮で良いな!」

    申渡「そうですね。滅多に無い組み合わせです」

    天花寺「…チッ。何で俺がこいつと」

    月皇「安心しろ天花寺。俺も同じ気持ちだ」

    辰己「空閑、悪いんだけど明日の朝は何してもいいから起こしてくれないか?」

    空閑「何してもって…まぁ、そうさせてもらうよ」
    喧嘩が勃発しそうな所もありますが…大丈夫ですよね、多分。
    陽「カラオケの準備も終わってるし…何か歌う?樹さんと翼さんはまだ上がってないけど」

    戌峰「やろう!!!」

    陽「じゃあ…一番に歌いたい人!」

    辰戌「はいっ!!!」

    陽「うーん…琉唯君と誠?それならデュオでやれると思うけど」

    辰己「戌峰、デュオで歌える?」

    戌峰「オッケー!」





    鳳「陽ちゃん、上がったよー…ってもう始めちゃってるの?」

    陽「すいません。どうしても皆乗り気で」

    鳳「まぁいっか。俺も何か歌うよ。柊は…」

    柊「どうせ強制参加でしょう?」

    鳳「あはは、そうだったね。陽ちゃんは風呂行っといで。boysは俺らが見とくから」

    陽「はい…あ、そうだ。翼さん」

    柊「何ですか?」

    陽「…いざという時のストッパー、お願いします」

    柊「分かっています。鳳のことでしょう」

    陽「そうです…あと一年生も」

    柊「任せて下さい」

    陽「ありがとうございます…では」スタスタ…
  31. 31 : : 2016/04/26(火) 16:16:29





    陽「…皆、お風呂まで聞こえるんだけど」

    星谷「あ、陽さんも歌いますか?」

    陽「…はぁ。歌うよ」





    鳳「さて、そろそろ宴も酣。お開きにしようか」

    陽「結局皆アヤナギ・ショウ・タイムしか歌ってないし…
    取り敢えず、明日は朝七時にリビング集合ね。もう今日のところは解散」

    星谷「なぁ申渡。俺達の部屋って何処?」

    申渡「階段を上ったところに案内板があるそうです。部屋番号は203番だそうで」

    戌峰「修学旅行と言えばっ♪枕投げっ♪」

    那雪「流石にそれは不味いと思うけど…」

    月皇「とにかく今日はもう遅いし寝よう」

    天花寺「だな。余計な疲れを増やしたくはない」

    卯川「虎石君は寝相とか寝言とか酷くない?」

    虎石「俺は基本安眠してるって愁から聞いたけど」

    辰己「ねぇ空閑、映画あるんだけど見ない?」

    空閑「別に良いが…明日大丈夫なのか?」

    鳳「そんじゃまた明日、柊」

    柊「おやすみなさい」
  32. 32 : : 2016/04/26(火) 16:21:07





    ~陽side~
    陽「…はぁ」トントン…
    昨日はいつもに比べたら眠れなかった。何故か205号室からは女性の叫び声と何か液体の飛び散る音が聞こえてきたし、202号室からは歯軋りの音が響き、206号室からはベッドから落ちたと思しき音に続いて樹さんの「痛っ」という声が何回か聞こえてきたことだろうか。ある意味ポルターガイストのような気がする。
    しかしそれでも私は野菜を切り続ける。
    陽「あー…頭痛い」トントン…

    ?「大丈夫ですか?」

    陽「うわっ!!?」

    申渡「すいません。驚かすつもりは微塵もなかったのですが、何か悩んでいるようだったので」

    陽「栄吾君…別に悩み事っていう程じゃないけどね」

    申渡「私でよければ相談に乗りますよ」

    陽「うーん、何というかね…琉唯君がスプラッター持ってきてて、誠の歯軋りが凄くて、樹さんの寝相が酷いって所かな」

    申渡「そうですか…何となく分かります、それ。
    まだ七時まで時間がありますね。私も手伝います」

    陽「ふふっ…ありがとう、栄吾君」ニコッ

    申渡「っ!!!…その表情はズルいです…」ギュッ///

    陽「栄吾君ってば…琉唯君の前では世話焼きなのにね」

    申渡「!!!いきなりこんなことをして私は一体…」パッ

    陽「いいよ、気にしてない。さてと…それじゃそこのキャベツ千切りにして盛り付けてくれる?」

    申渡「…分かりました」





    陽「それじゃあ皆、今日も学校と稽古頑張ってね」

    星谷「おう!」

    辰己「お邪魔しました、陽さん」

    鳳「お披露目公演…楽しみにしててね」

    陽「ええ…では」
    そう言って私は家の中に戻った。
    義務教育が終わって、私は高校に通っていない。お母さんを通じてたっぷり嫌っていうほど仕事が入ってきてるから。
    ミュージカルはテレビで見た時から面白いと思ったうえに好きだったし、仕事をするのも嫌じゃない。でもそれを100%楽しむことはもう出来なくなっていた。
    陽「…今日は午後一時から映画の撮影か」
    何かに縛られ、比べる演技はお世辞も言えない程に嫌いだ。楽しみだ、なんてもう自分の本心じゃない。
  33. 33 : : 2016/04/26(火) 16:23:12





    ~星谷side~
    陽さんの家に行ってから一週間…俺達はただひたすら練習を重ね、本番である今日という日を迎えた。
    那雪「ああ、どうしよう…緊張する…」

    月皇「まだホールに集まるには時間がある。少し練習していこう」

    星谷「だな!!!」

    天花寺「これ、陽も来るんだよな?」

    月皇「体調を崩していなければそういうことになっているが…まず審査員だからな」

    那雪「ううぅ…ますます緊張するよ…」
    ~鳳side~
    コンコン
    パソコンを弄ろうとした時、ノックが鳴った。
    鳳「どうぞ」
    誰かも分からず、俺はノックを鳴らしたであろう人物に声を掛ける。すると「失礼します」という声と共にその人物は入って来た。
    鳳「で?どうしたの?」

    陽「大丈夫ですか?先程生徒のLINEを見て来たのですが…大した人気のなさですよ?」

    鳳「大丈夫。俺は自分の教え子たちを必ず生き残させる。
    それにうちのチームは一癖も二癖も他と違うからね」

    陽「そうですか…分かりました」
    そう言うと陽ちゃんは出て行った。
    俺はまたパソコンを弄り始める。するとまたノックが鳴った。
    鳳「どうぞー」
    やはり見ずに答えた。そこで俺はパソコンの画面に映った人物を見て少し驚いた。
    柊「…ちょっと良いですか?」

    鳳「勿論さ」

    柊「今回の公演…下馬評は芳しくないようですが」

    鳳「それを俺が気にすると思った?」

    柊「…何か企てでも?」

    鳳「人聞きが悪いな。俺はあいつらを合格させるつもりってだけだよ」

    柊「その自信が何処から出てくるのか…とにかく、綾薙学園の伝統を傷付けるようなことはしないで頂きたい。それを伝えに来ました」

    鳳「同感だねぇ…」
    ふと時計を見る。そろそろ行く時間だ。
    鳳「さあ、ショウタイムの時間だよ!」





    ~陽side~
    一癖も二癖も他とは違うミュージカル。はっきり言って少しだけ期待した。縛られ比べる演技に少しは面白みが持てる。そんな気がした。
    暁「流星さん。さっきから何故そんな難しい顔をしているんだ?」

    陽「え…私そんな難しい顔してましたか?」

    楪「オー!自覚ないんデースか?」

    陽「…全くと言って良い程ないです」

    漣「気を付けろ。役者が廃るぞ」

    陽「はい」
    朔也さんの尤もな指摘に返事をし、私は準備の進む舞台に視線を戻した。
  34. 34 : : 2016/04/26(火) 16:26:14
    ~星谷side~
    天花寺「衣装がまだ届いてないだぁ!!?どうなってんだあの双子!!!」

    那雪「き、昨日電話した時は大丈夫だって言ってたんだけどっ…」

    『ミュージカル学科候補生は舞台に集合して下さい』

    星谷「仕方ない…行こう!!!」

    那雪「皆ごめんね…!!!」





    柊「これからミュージカル学科第一次選考、新人お披露目公演会を開会致します。
    まず最初にくじ引きで順番を決めます。チームリーダーは前へ」

    星谷「くじ運だけはいい!中盤の良い所を引いてくるから任せとけ!」





    そのあと、楽屋に戻った俺の手には二十番のくじが握られていた。
    空閑「…良いくじ運だな」

    月皇「よりにもよって最後とは…」

    天花寺「審査は相対評価だ。ラストだとマイナス点が目立つぜ?」

    那雪「でも衣装もまだ来てないし…」

    月皇「それは別問題だ」

    那雪「うっ…あ、ああ!そうだ!今日の運勢見て見よう!」

    星谷「俺の運勢見て!」

    那雪「えっと星谷君は…
    …仲間を巻き込み、最悪の結果に」

    星谷「えっ…」ズーン…

    天花寺「縁起が悪いこと言うんじゃねぇ!」

    那雪「あ、でもここ見て!
    友達と握手すると運気UPだって!!!」

    星谷「友達…天花寺!」

    天花寺「お前なんかと握手したら俺の運気が下がっちまう」

    星谷「うっ…月皇!」

    月皇「占いなんて非科学的なものは信じない主義だ」

    星谷「ううっ…」ズズーン…

    那雪「星谷君…僕と、握手しよっか…」

    『続いてteam柊です。スタンバイお願いします』

    星谷「team…柊…」
    天花寺が設置されているテレビを点ける。その瞬間、衣装の裾を翻し、カッコよく歌い踊るteam柊の姿が映し出された。
    空閑「…レベル高ぇ」

    那雪「す、凄い…」
    俺達は思わずその画面に釘づけになっていた。
    ~陽side~
    何回目になるのだろうか。聞き慣れたフレーズが鳴り、耳の奥で反響し続ける。歌声や踊りは申し分ないteam柊でも変わらず同じフレーズで私は飽きていた。
    暁「流石柊君のチーム…全てにおいて完璧だ」

    柊「…それはどうも」
    鏡司さんが翼さんに称賛の声を送る。しかし私にとってはそれもただの雑音にしか聞こえなかった。
    演技も終わり、評価用紙に評価を書き込む。周りと同じ価値観を維持する為、全ての観点を一番高い点数にした。
    ~星谷side~
    天花寺が気を利かせてテレビを消す。那雪はどこか表情が暗くなっていた。
    天花寺「でも最後は最後で大トリだからな…
    …team鳳だけに」
    天花寺の一言で場の空気が凍る。ホント、色んな意味で。
    天花寺「…すまん、忘れろ」///

    月皇「…くくく…」

    四人「(笑ってる…)」

    月皇「!!!」ゴホッ

    那雪「あー!!!もっと緊張してきたー!!!」

    星谷「このタイミングで!!?」

    月皇「どうせ俺達には誰も期待していないんだ。気楽にやればいい」

    天花寺「なーそれ言うか?」

    星谷「でもここで終わる気はない…だろ?」

    天花寺「まさにクズ人間の反乱だな」

    星谷「クズ言うな!」
    月皇と天花寺に笑顔が戻る。
    空閑「スター枠のクズ…言うなれば星屑か」

    一同「それいい!」
    良かった…皆に笑顔が戻った。
    星谷「俺達は俺達らしく最高のステージを見せてやろう!!!」

    空閑「言ってることは尤もだが…」

    天花寺「お前が言うな」

    月皇「本当にな」

    星谷「俺リーダーなのに…」

    那雪「あはは…」
    バンッ
    一同「!!?」

    ゆうき「遅くなってごめんなさい!!!」

    つむぎ「懺悔です」

    ゆうき「でもその代り、最ッ高の衣装になってるから!!!」

    つむぎ「自画自賛です」
    バッ
    星谷「これが…あの時の…!!?」

    月皇「全く別物じゃないか…!!!」

    天花寺「歌舞いてるねぇ…!!!」

    空閑「team鳳らしいな」

    那雪「ううっ…緊張するよぉ…」

    ゆうき「つむぎ!」

    つむぎ「ええ、ゆうき」ゴソゴソ…

    那雪「!!!そ、それは…」

    つむぎ「不動です、お兄ちゃん」

    那雪「や、やめ…」
    ゴクッ
    那雪「…~!!!」バタンッ

    星谷「な、那雪!!?」

    ゆうき「那雪家に代々伝わる緊張解除のお茶よ」

    つむぎ「秘伝です」

    ゆうき「一杯ぐらいなら飲ませてあげてもいいわよ?」

    つむぎ「高級です」

    四人「結構ですっ!!!」
    ガチャッ
    生徒「team鳳、スタンバイお願いします」

    四人「あっ…はい!」
  35. 35 : : 2016/04/26(火) 16:30:20





    前のグループの演技が終わり、拍手が聞こえる。すると隣から月皇の声がした。
    月皇「星谷、最後のフォーメーションは丁寧にいこう。お前に合わせてやるよ、リーダー」

    星谷「月皇…」

    空閑「俺達は五人で一つだ」

    那雪「僕らならできる!」

    天花寺「星屑の反乱ってやつを楽しもうぜ」

    星谷「うん!」
    俺が片手でピースを出すと皆もピースを繋げる。それはどこから見ても星を模ったものだった。
    星谷「最高のステージを!」

    一同「最高のステージを!」
    ~柊side~
    暗転した舞台の上、動く人影が見える。しかしその身体は黒い闇で包まれていた。いくら視力が悪くても分かる。あれは今までのチームが来ていた燕尾とは違う衣装だと。
    そう感づいた瞬間には、鳳の声が響き渡っていた。
    鳳「さあboys!!!遊びの時間だ!!!」
    ~陽side~
    その衣装とダンスに総統力というものはなかった。
    今までのどのチームとも違うフレーズと衣装と振付け。しかも綾薙学園の理念に叶っていない筈なのに、踊っている本人たちは楽しそうだ。その自由気ままな樹さんのような姿を見て、私はいつしか口元が緩んでいた。
    ダンスは終盤を迎え、悠太君が一度転びそうになるなど付け焼刃な所もあったものの無事演技を終えた。鏡司さんはあからさまに驚いた顔をしている。
    しかしそれは彼に限ったことではなかった。
    暁「…何だこれは!!!これがアヤナギ・ショウ・タイム?笑わせるな!!!こんなものが認められる筈がない!!!」

    鳳「果たしてそうかな?
    新人お披露目公演会は演目としてアヤナギ・ショウ・タイムを指定している。しかし指定されているのは基本のステップとシークエンスだけでアレンジは制限されていない…お披露目公演のルールブック、見る?」

    暁「っ!」

    鳳「我々は伝統を重んじるあまり開校当初のアヤナギ・ショウ・タイムを模倣し続け、結果形骸化させてしまった。自由な表現を重んじる綾薙学園本来の理念に則り、新たなアヤナギ・ショウ・タイムをご覧頂いた訳です」
    ~星谷side~
    俺達は楽しかった。ちょっと失敗したけど…つまらないものじゃなかった。でも今、こうして物議を醸している…どうしよう。これじゃあ…
    暁「ふん!そんな詭弁が通じると思っているのか鳳君!!!」

    鳳「残念ながら俺達を糾弾する権利はお前にはないよ、暁」

    暁「何だと…?」
    暁先輩は柊先輩に視線を送る。しかし柊先輩が何か言おうとした時、会場には笑い声が響き始めた。
    暁「流星…さん?」

    陽「ごめんなさい…どうしても止まらないんです…
    やっぱり樹さんは予想は裏切っても期待は裏切りませんね…!!!そういうとこ、好きですよ…
    …規制という狭き門を潜り抜けて作ったアレンジは素晴らしいです。私は良いと思いますが」

    暁「流星さん!!!君まで何を言っているんだ!!!」

    陽「鏡司さん、先程樹さんが言った通り貴方に彼らを糾弾する権利はありません。勿論私にだって彼らを合格させてあげる力なんて殆どない。
    でも貴方は学園の理念を蔑ろにしても良いのですか?」

    暁「っ!!!柊君!!!」

    柊「規定に違反していないのなら止める意味はありません」

    暁「でもこれは綾薙学園の伝統を傷付ける行為だ!!!」

    柊「暁。ルールを重んじるのもまた、綾薙学園の伝統です」

    暁「柊君…」
    その時、外からはざわめきが聞こえた。それはだんだん大きくなり、こっちに近付いて来てることが分かる。会場内も只ならぬ雰囲気に包まれてきた。
    柊「何ですか、この騒ぎは…」
    そのざわめきは全て俺達の演技を称賛するものだった。
    暁「!!!君が仕組んだのか!!!」

    鳳「さあ?でも盛り上がってるからいいんじゃない?」

    陽「くく…樹さんサイコーです…!!!」
    陽さんがそう言うのも分かる。鳳先輩は最高で、いつだって面白いことをしてくれる。
    結果それが俺達に与えたものは、沢山の生徒からの尊敬だった。
  36. 36 : : 2016/04/26(火) 16:31:35





    那雪「うう…合格するかな…」

    星谷「那雪、ここでもあがるの?」

    生徒「来たぞ!!!」
    一人の先生が持つ紙に皆の目が行く。俺達は上から順にチーム名を目で追った。
    team柊、team暁、team漣、team楪…やっぱりトップ4はスター枠だ。そこから順に追っていくと…
    星谷「…8位!!!残った!!!」

    那雪「はぁ…良かったぁ…」

    天花寺「当然だ!!!」

    星谷「やっ…たあぁぁぁ!!!」





    暁「こんなの…何かの間違いだ!」
    ~鳳side~
    鳳「待ってよ、柊。ね?合格したでしょ?」

    柊「…おめでとう、とだけ言っておきます」

    鳳「奴ら、面白い連中だろ?」

    柊「面白いかどうかで役者を評価したことはありません。僕が気にするのは綾n…鳳「綾薙が世に出すミュージカル人に値するか否か」…」

    鳳「そんなとこ?悪いけど俺はあいつらを束縛したくないんだ。
    歌うとどんな味がする?ダンスは熱いか冷たいか…演技は涙が出るほど色鮮やかなものだ。俺はあいつらにそういうミュージカルを教えたい」

    柊「…だから君は変わらないんだ。あの頃から何一つ。かつては同じteam月皇のメンバーとして夢を追った日々もあった。でも…
    君は去った。逃げ出した。僕の前から姿を消したあの頃から何も変わっていない!」

    鳳「お前だって変ってない。俺達には同じ血が流れているんだ…
    …翼」

    柊「!!!同じ血でも…僕と君とは違うんです…
    …兄さん」スタスタ…
  37. 37 : : 2016/04/26(火) 16:35:05
    ~陽side~
    ガチャ
    柊「呼び出したのは僕の方なのに…遅れてすいません」

    陽「大丈夫です。それに待つ時間もそれなりに楽しいですよ?」
    華桜館…扉を開けた翼さんを、私は笑って迎えた。
    何といっても私はさっきから上機嫌だ。team鳳の演技…あれは本当に素晴らしかった。型破りな所も自由な所も全て。樹さんらしい演技だった。
    陽「それで…話とは?」

    柊「…遠回しに言うのもなんです。単刀直入に言わせてもらいましょう。
    陽さん。我が綾薙学園に入学してください」

    陽「…はい?
    え、ちょっと待って下さい。ここ、男子校ですよね?いくらなんでも男装は嫌ですよ?」

    柊「そちらは問題ありません。上半身は男子制服と同じですが下はスカートです」

    陽「男子校ではなくなる…ということですか?」

    柊「いえ、そちらはそのままです。女子は貴方だけですから。共学と言えるほどではありません。当然ながら試験は免除です。
    陽さんは今、学校へ通っていませんよね?貴方ほどの実力を持ちながらそのセンスを磨かないのは勿体ない。だからお誘いしました」

    陽「そうですか…翼さん」

    柊「何でしょうか」

    陽「入学することには承諾します…が、それには条件があります」

    柊「その条件というのは?」

    陽「本当に理由はそれだけですか?」

    柊「…貴方には敵いませんね」

    陽「もう一つ…何かありますよね?それを教えて頂けなければ承諾は不可です」

    柊「…僕のチーム。team柊のマネージャーをやって頂きたいのです」

    陽「マネージャー…ですか。
    それはできません。しかし理由を話して頂いたのも事実。よって入学を承諾します」
    私は円卓に置かれていた入学書類に名前を書き、『同意』の文字の上に印鑑を押した。
    陽「他に何かありますか?」

    柊「主な用事はこれだけです。制服は月曜の早朝、貴方の家まで持って行きます。貴重な時間を頂き、ありがとうございました」

    陽「いえ。では私はこれで」

    柊「…やっぱり待って下さい」ギュッ

    陽「!翼…さん?」

    柊「あ…えっと…その…」カアァァ…
    次の瞬間、私は何が起こったのか分からなかった。
    自分の唇に翼さんのそれが押し当てられている…演技でもリアルでもこんなことしたことがなかった。
    柊「…いきなり呼び止めたうえにこんなことをしてしまい、申し訳ありませんでした」
  38. 38 : : 2016/05/24(火) 16:52:58





    陽「…ふふ」
    昨日からニヤニヤが止まらない。これも全てお披露目公演のトリであったteam鳳の演技を見てのことだ。そこで私は昨日の昼間の樹さんとのやりとりを思い出した。
    鳳「陽ちゃん、これ」

    陽「これって…」

    鳳「今日の俺の教え子達のアヤナギ・ショウ・タイム。いらなかったら返してくれてもいいよ?」

    陽「ありがとうございます、わざわざDVDに焼いてくださって」

    鳳「いやいや」
    あれはまだ鞄に入れっぱなしだ。暇だし見よう。
    陽「…team鳳、か」
    思わず目から嬉し涙が出る。案外脆かった自分の涙腺から出る涙を拭いていると、携帯が鳴った。
    陽「もしもし」

    鳳『やあ、陽ちゃん。夜遅くにごめんね』

    陽「樹さん…どうしたんですか?」
    樹さんの声が聞こえる。涙声を紛らわす為に、私はベランダに出た。
    鳳『陽ちゃんさ、明日から綾薙来るんでしょ?柊から聞いたよ…男子ばっかりでむさ苦しいかもしんないけど頑張ろうね』

    陽「はい。よろしくお願いします」

    鳳『それだけ。じゃあまた明日』

    陽「おやすみなさい」
    そう言って私は通話を切る。それと同時にまた涙が込み上げてきた。相変わらず家の敷地外からは車の走る音が聞こえ続ける。それでも私は目を閉じるだけでteam鳳のアヤナギ・ショウ・タイムを思い出すことができた。
    鳳「…陽ちゃん!」
    不意に下から声が聞こえた。何事だろうと思い、下を見ると…
    陽「…樹さん…!!!」

    鳳「泣いたら折角の美人が台無しだよ?」

    陽「樹さんてば…」
    私は家に入ると急いで玄関へ走る。靴も履かずに飛び出すと、樹さんは優しく私を抱き締めてくれた。
    鳳「よしよし…」ナデナデ…

    陽「ううっ…樹さぁん…」ギュッ
    樹さんは私を抱いて部屋まで行くとベッドに私を座らせ、自らもその隣に座った。
    鳳「大分落ち着いた?」

    陽「…はい」

    鳳「じゃあ…まずその涙は嬉し涙なの?」

    陽「…はい」

    鳳「はは、何だ…びっくりさせないでよ」ギュウッ

    陽「んっ…い、樹さん…笑うなんて酷い…」ギュッ

    鳳「ごめんごめん…ほら、あれだ。俺なりの愛情表現だから」

    陽「…樹さん…その…」

    鳳「いいよ、今じゃなくて。俺は急かさないから。
    今日はもう休もう。明日の為にもね」

    陽「は…ぃ…」

    鳳「…って、あらら…相当疲れてたんだね。
    仕方ない。寝かせてあげよう…」パサッ
  39. 39 : : 2016/05/24(火) 16:58:15





    陽「…んー…?…えっ!!?ちょっ!!?い、樹さん…!!?」

    鳳「何ー?…もうちょい…あと一時間ぐらい…」

    陽「ダメです!!!今何時だと思ってるんですか!!!ていうかもう早朝じゃない!!!翼さん帰っちゃった!!?」

    鳳「柊ならさっき制服渡してったよ~…ほら、そこ」

    陽「あ…本当だ…
    …でもダメです!!!起きて下さい!!!学校遅刻します!!!重いです!!!それ以前に何で一緒に寝てるんですか!!?」

    鳳「えー…どーしよっかなぁ…?」フフン

    陽「これで起きなかったら耳元で叫んで鼓膜破りますよ!!?もしくはこれ以降一生舞台に立てないぐらいの怪我を負わせますよ!!?」

    鳳「陽ちゃんそれは酷いよ…しょうがない、起きる」

    陽「しょうがなくないです!!!起きて下さい!!!」

    鳳「分かったからこれ以上叫ばないで…何か俺が悪いことしたみたいなんだけど」

    陽「…はぁ」

    鳳「あ、朝食用意してあるから」

    陽「仕事早っ…でもありがとうございます」





    陽「…公演会のアヤナギ・ショウ・タイムのアレンジ。面白かったです」

    鳳「そう?ならよかった」

    陽「あのミスさえなければ完璧でした」

    鳳「あはは、まあ元はといえば規格外の連中だからね。それに最初の頃は本当にギスギスしてたし」

    陽「そうなんですか?結構まとまってると思ったんですけど…」

    鳳「まとめたのは星谷だ。リーダーとして責任を果たしてるよ、あいつは」

    陽「悠太君は前向きですからねぇ…」

    鳳「…さて、そろそろ行こうか」

    陽「そうですね。遅刻寸前ですし」





    柊「今日は皆さんに新入生を紹介したいと思います」
    ザワザワ…
    柊「静かに。
    御存じだと思いますが、彼女は流星陽。お披露目公演の審査員でもありました。
    しかし今日から今年度終了までは、この綾薙学園の生徒としてミュージカル学科を支える仕事をしてもらいます」

    陽「よろしくお願いします」
    ステージから生徒達を見下ろすと、殆どが驚いた表情をしている。それはteam鳳、team柊においても変わることのない事実だった。
    ~辰己side~
    それは突然の一言だった。
    辰己「陽さんが…綾薙に…?」

    申渡「驚きですね…そもそも何故でしょう…」
    教室に戻ったあとも、生徒たちの間でその余韻は残り続ける。俺も栄吾も…他のメンバー(戌峰は除く)も何やら疑問に思ってるようだった。
    虎石「俺は大いに嬉しいけどよー…ここ、男子校じゃねぇの?」

    卯川「それにミュージカル学科を支える仕事って…具体的に何すんの?」

    戌峰「取り敢えず歌おう!!!」

    卯川「歌わない!!!」

    申渡「恐らくこれは鳳先輩か柊先輩の意図でしょうが…やはり興味深いですね、ミュージカルスター・流星陽」

    辰己「うーん…でも柊先輩に聞くのが一番早いかも」





    柊「…何故陽さんが入学したか、ですか?」

    辰己「はい。どうしても気になって」

    柊「彼女には高レベルの実力がある。それを今の時期に磨かないのは損です。
    君達はそう思いませんか?」

    申渡「では両者のスキルアップの為…と」

    柊「そういうことです」

    卯川「でも柊先輩!陽…さんには仕事もあるんじゃないですか?」

    柊「そこの点は既に本人と話し合ってあります。
    彼女が必要だと思う仕事はやり、そうでないものはやらない。勿論、彼女は例外ですので実質的な授業は受けません。なので稽古などは仕事の合間を縫って見てくれます」

    虎石「振り回す形なのか…」

    柊「悪いとは思っていますが、これも合意の上なので。
    これぐらいでいいですか?」

    辰己「はい。ありがとうございました」

    柊「では僕達も稽古を始めましょう。今日、陽さんは後半から来る予定です」

    一同「はい!!!」
  40. 40 : : 2016/05/24(火) 17:01:17
    ~陽side~
    鳳「じゃあ今日もレッスン始めようか、boys」

    一同「はい!!!」

    鳳「…と、その前に。次の目標である綾薙祭を思い出してもらおう」

    星谷「綾薙祭…」

    天花寺「演目は決まってるのか?」

    鳳「いいや。お披露目公演会とは違って何を演じるかは自由だよ」

    星谷「わぁ…自由かぁ…」

    那雪「楽しみだね!」

    月皇「そんなに簡単じゃないぞ」

    鳳「そう!という訳で、来たる夏休み。team鳳は合宿を実施する!」

    一同「合宿?」

    鳳「うん!詳しい日程とかは後から知らせるけど、取り敢えず夏休み後半はざっと二週間ぐらい見繕っておいてね。多分三日はやるから。
    あ、陽ちゃんも来る?」

    陽「いいんですか?」

    鳳「勿論、大歓迎さ」

    陽「八月はお盆っていうこともあって仕事があまりないですし…時間、作ってみますね」

    鳳「OK。それじゃ俺からの話は終わり」

    陽「今日はこれをやってね」

    月皇「これって…」

    那雪「『綾薙学園殺人事件 第4幕』…これ、最初のカリキュラムでやったインプロのやつですか?」

    鳳「そ。今回は2ページから白紙ね。でインプロでやってもらうんだけど、前回と同じ結末はダメ。配役も役の性格もお前らで指定していいから最初の時よりも面白い結末を生んでくれ。
    あ、そうそう。小道具とかも好きなものを使って良いよ」

    星谷「面白い結末…?」

    月皇「やっぱり刑事は星谷じゃダメだろう。絶対ノープランだから」

    天花寺「あの時は本当に大根芝居だったからな」

    那雪「空閑君とかどう?」

    空閑「前回よりも作られてる物語は短いんだろ。それに今日はメモ用紙とか持ってねぇし」

    月皇「そもそも同じ結末はダメって言われたじゃないか」

    那雪「そっかぁ…じゃあ天花寺君は?」

    月皇「ないな」

    天花寺「うおい!!!何でだ!!!」

    月皇「協調性のない奴が刑事として働ける訳がない」

    天花寺「現実は関係ないだろ!!!」

    那雪「まぁまぁ…じゃあ前回に引き続き、星谷君は?
    だってほら…あれから二ヶ月は経ってるんだし。成長した筈だよ?」

    月皇「…仕方ない。それで行こう」

    星谷「!そうだ!
    鳳先輩!前回と同じセリフは使っちゃダメですか?」

    鳳「別に構わないけど…それで面白みが出せるならね。
    ストーリーは変わらず刑事が学園長を殺した犯人を指名するシーンっていうことだから、恐らく一番面白みが求められるのはセリフだと思うよ」

    天花寺「同じセリフで…できるか?星谷」

    星谷「…多分無理」ニガワラ

    那雪「だよね…それじゃあ次に学園長の子供達四人の配役も決めよ!」

    月皇「そうだな…
    真面目、無口、放蕩、内気。前回はそんな四人兄弟設定だったが、今回は自由なんだろう?」

    天花寺「俺が長男だな」

    月皇「それはない」

    空閑「やっぱり那雪は末っ子っぽいな」

    那雪「ええっ?でも一応僕お兄ちゃんなんだよ?」

    星谷「ううん…あっ!!!」

    天花寺「?どうした星谷?」

    星谷「あのさ!!!思ったんだけど…五人兄弟っていうのはどう?もっと物語に深みが出ると思うんだ」

    四人「…は?(え?)」

    月皇「つまり何だ。刑事が長男か?」

    星谷「そ、そういうことじゃなくて!!!
    月皇達四人が次男から五男までで、長男は遠い昔に死んでるとか行方不明とか…」

    天花寺「なるほどな…良いんじゃねぇか?」

    空閑「面白そうだな」

    那雪「そうだね!!!流石に死んでるっていうのは可哀想だし…行方不明の方が良いかな?」

    星谷「うん!」

    月皇「で…肝心の配役はどうなんだ?」

    空閑「…もういっそのことジャンケンで勝った奴から年上にしていかないか」

    星谷「それいい!!!」

    月皇「よし…最初はグー!」

    四人「ジャンケンポイッ!!!」
  41. 41 : : 2016/05/24(火) 17:08:43
    期待!
  42. 42 : : 2016/10/08(土) 14:29:07
    >>41
    ありがとう!更新はゆっくりですが、面白くしていきたいです!
    あと、小さな願望。
    返事のコメントがほしいキャラを書いてください…
    辰己「それって比較的大きな願望じゃない?」
    あき「うぐっ…」

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