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兄が隕石を止めに行くときの話

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  1. 1 : : 2015/11/09(月) 20:41:48

    先日“兄貴が隕石を止めに行くときの話”というお題をいただいて即興話をしたのですが、これはその話を覚えている限りで書き残しただけのものになります。

    ようは一発ネタ品質。
  2. 2 : : 2015/11/09(月) 20:42:55

    兄「愛しの妹よ」


    妹「え、何いきなりその口調キモっ!」


    20××年クリスマス間近の某日。地球は今、絶体絶命の危機に瀕していた。


    兄「地球が滅びようとしている。オレには地球が助けを求める声が聞こえる。隕石が衝突するんだ」


    妹「いや、知ってるよ!? ってかそれで色々と危ないから今から地下に逃げるんだって!」


    防災無線が響く中、人混みを少し離れた兄は妹を無視して空を見上げた。


    夕暮れにはまだ早いというのに、空は不気味なほど赤い。その空をよく見れば一点の白い光が凄まじい勢いで大きくなっていくのがわかる。


    あれは超特大の隕石だ。

  3. 3 : : 2015/11/09(月) 20:43:50

    兄「妹よ。あれは何としてでも止めなければならない。オレはその為に選ばれた伝説の戦士なんだ」


    妹「はい? もう何でもいいからさっさと逃げようよーお兄ちゃん!」


    兄「……聞いてくれ。大事な話なんだ」


    洋服の裾を懸命に引っ張り、急いで安全な地下へと連れ出そうとする妹を神妙な面持ちで見つめる兄。


    妹「そんなの後で聞いてあげるからっ! もう、早くしてよアホっ!」


    兄「オレは行かなければならない。あの隕石をオレの力で砕くんだ。見てくれ――」


    兄は妹の腕を振りほどき、どこからともなく包丁を飛び出す。


    兄「包丁だ」


    妹「見ればわかるよ! ウチの包丁なんで持ってるのさ! 危ないじゃん!」


    近所のキッチン用品店にて5千円で購入。7年もの間日々彼らの食卓をつくり続けたごく一般的な万能包丁である。

  4. 4 : : 2015/11/09(月) 20:45:24

    兄「これはただの包丁じゃない。聖剣バンノーンだ」


    妹「名前カッコ悪ッ!」


    兄の酷すぎるネーミングセンスに妹は思わず頭を抱えた。兄はそんな妹の肩に手を置き、悲しげな顔で首を振る。


    兄「オレは前世で魔王を倒した戦士だった。その際湖の乙女より賜ったのがこの聖剣バンノーンなんだ」


    妹「どっかの有名な伝説混じってるでしょうそれ! どうせみんなで円卓囲ったり聖杯探しに行ったんでしょう!?」


    兄「お、お前何故それを――! まさかお前にも前世の記憶が……」


    妹「止めてお兄ちゃん! きっと頭が混乱して疲れてるんだよ……早く逃げよう?」


    妹は必殺の上目遣いで兄を見上げる。二人の騒ぎに周りの人々が集まってきていたのが恥ずかしいのだ。
  5. 5 : : 2015/11/09(月) 20:46:57

    しかし兄はそんな妹の気も知らず、一人で車が一台も通らない大通りの真ん中に出て行く。慌ててそれを追った妹に兄は言った。


    兄「今からオレはこの道をどこまでも真っ直ぐ行く。助走をつけてどこかの崖から跳べば後はオレの力で地球の外へ出られるはずだ。そして聖剣バンノーンを使って隕石を砕けばいい」


    妹「でもそれはただの包丁だし、そもそもこの道真っ直ぐ行っても海に出るだけで――ああッ! ツッコミが追いつかない!」


    兄「ただの包丁じゃない。この聖剣はオレが夜中に砥いだ特別なものだ」


    妹「結局ただの包丁だよねそれ……もうわかんないよ」


    兄「妹よ」


    兄はうな垂れて地に膝をついた妹の肩をそっと抱き、優しく話しかける。傍目から見れば包丁を持った不審者が女の子を脅している図だ。

  6. 6 : : 2015/11/09(月) 20:47:39

    兄「最愛の妹よ。オレはもう帰らないかもしれない。今から赴くのはそういう戦いだ」


    妹「止めようよ……NASAとか米軍に任せればいいじゃん……お兄ちゃんの出番なんてないって」


    兄「そういうわけにはいかない。何故ならオレは伝説の戦士なのだから」


    兄の決意は固く、その眼差しはどこまでも遠くを見据えていた。妹はとうとう疲れ果て、聖剣バンノーンを握る兄の手を取る。


    妹「お兄ちゃん。お兄ちゃんは昔から情けなくてモテなくてバイトもしないで休みの日はいつもゲームするかゴロゴロしてて……とにかく恥ずかしいお兄ちゃんだったよ? でも厨二病じゃないところだけは尊敬してた」


    兄「厨二病?」


    妹「うん、厨二病。けどお兄ちゃんはとうとう頭がおかしくなっちゃったんだね。まるであの隕石みたいだよね。あはは……もう私わけわかんない」

  7. 7 : : 2015/11/09(月) 20:48:25

    空笑いする妹をキョトンとした顔で見つめる兄。だが何を思ったのか急に胸を張る。


    兄「案ずるな妹よ。オレは必ず帰ってくる。大切なお前を一人ぼっちにはしない」


    妹「いや、帰ってこなくていいっていうか……むしろ恥ずかしいから帰らないで?」


    兄「はは、いつもお前はそうやってオレを元気付けてくれてたな。嬉しかった」


    妹「単純にキモいって言ってただけだよ? どこに出しても恥ずかしいし」


    妹の声は兄には届かない。


    兄「うん、お前の気持ち受け取ったぞ。この戦いが終わったら……この包丁でお前の好きなプリン作ってやる」


    妹「ああっ! 変なフラグ立てなくてもいいから! 後プリン作るのに多分包丁いらないっ!」

  8. 8 : : 2015/11/09(月) 20:48:52

    兄「隕石よりも熱いオレたち兄妹の愛をNASAに見せつけてやんよ。待ってろ、親愛なる妹よ」


    妹「目的変わってない? てかそろそろ鳥肌が出てきて気持ち悪いんだけどー! もうあっちいけぇ」


    どん、と妹は兄を突き飛ばす。その行為を背中を押してくれたのだとでも思ったのか、兄は勢いを殺さず駆け出していく。


    兄「地下で待ってろ! 絶対に隕石を止めてみせるから。よーし、我大気圏突入なりぃ! はははははっ」


    妹「もう帰ってくんなバカーッ!」


    こうして、日本に住む平凡な兄妹は別れを交わす。その後、NASAやら米軍やらなんやかんやの働きによって隕石衝突の危機は去った。


    折れた包丁を手に意気消沈した様子の兄が帰ってきて、降り注いだ隕石のカケラを7つ集めれば願いが叶うのだと豪語し慌てて出て行ったのはまた別の話である。


    めでたしめでたし。



    【了】
  9. 9 : : 2023/07/15(土) 14:39:48
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
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    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
    sex_shitai
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    oppai_jirou
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    cherryboy
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    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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