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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

隻眼の大蛇

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  1. 1 : : 2015/11/08(日) 08:10:10
    こんにちは、フィンです。
    初の東京喰種SSです。


    このSSについてですが、一人だけオリキャラが入ります。あと、SSの内容的に、原作より先に進んでしまう部分がありますが、自分の妄想だと捉えていただければ……と思います。


    いつも通りの駄作、更新遅めでやっていきます。


    あと、最新巻のネタバレ含みます。


    さらに、時系列等がおかしかったり、チート要素混じってたりします。指摘してくださって、ありがとうございます。


    細かい設定などはこちらに書かれていますー。本作品を読む前に良ければ閲覧くださいなー。
    http://dic.ssnote.net/articles/%E9%9A%BB%E7%9C%BC%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%9B%87


    また、コメントは凄く有難いのですが、ssの執筆が終わるまで非表示&コメ禁します。ご感想やご指摘、期待コメント等は
    http://www.ssnote.net/groups/1913/archives/8
    こちらに投稿していただけると有難いです。


    それでは…。
  2. 6 : : 2015/11/09(月) 18:41:07
    [喫茶店:re]


    カランカラン…と、鈴の鳴る音がする。


    しかし、彼女は、いつもとは違う“匂い”を感じた。


    その匂いに、彼女は一人の男を思い出す。


    「カネキ…」


    「悪かったな、カネキじゃねえよ。」


    彼女“霧嶋 董香”の目前には、“西尾 錦”と
    その妻“西尾 貴未”が居た。



    ___群衆に紛れ、ヒトの肉を喰らう


    ヒトの形をしながら


    ヒトとは異なる存在


    人々は彼らを


    喰種(グール)”と呼ぶ___
  3. 7 : : 2015/11/09(月) 21:30:15
    トーカ「で、何の用だ、クソニシキ。」


    女性とは思えない、下品な言葉を発する。


    すると、喰種特有の聴覚が何かを聞きとらえたようだ。


    「ぱぁ。」


    その方向に目をやると、そこには小さな赤ちゃんがいた。


    トーカは驚いた表情で、じろじろ見る。


    右目だけが黒と赤で染まり、左目は普通の人間。


    匂いの正体は、これだったのだ。


    トーカ「まさか…。」


    ニシキ「あぁ、子供だ、俺らのな。」


    ニシキとキミは、穏やかな笑顔で、子供を見つめる。


    そして、ニシキはその表情をすぐにかえ、真面目な顔になった。


    ニシキ「エト…だっけか。店長の子と同じ道は進ませたくない。だが、俺らも忙しいんだ。だから…」


    トーカ「預かれ、と?」


    ニシキはコクリと頷く。


    トーカ「…いいよ。ただし、ある程度育ったら、ビシバシ働かせるからな。」


    ニシキ「おう、サンキュー。名前は、『(アキ)』女だ。」


    トーカ「ふふっ、なんだか、カネキに似ているね。」


    ニシキ「…あぁ。」
  4. 8 : : 2015/11/11(水) 20:15:36
    トーカ「アキ、それ片付けといて。」


    アキ「はーい。」


    アキが8歳になったころには、カネキのように、読書に耽っていた。


    学校にも行き始め、全てが好調に思えた。


    トーカ「アキ、“マスク”作りに行こうか。」


    アキ「マ…スク?」


    トーカ「そう、私たち喰種は、素顔を知られてはいけないの。だから、マスクをつくってもらう。」


    アキ「人間を…、傷つけるの?」


    やはりアキにも、ヒトを傷つけることに抵抗があるようだ。


    キミやニシキの優しさが宿ったのだろう。


    トーカ「嫌?」


    アキ「…ううん!!お姉ちゃんとお出かけ、楽しみだよ!!」


    トーカ「ふふっ、んじゃ、4区に行こうか。」


    アキ「わかった。」


    本にしおりを挟み、机に置いた後、足早にトーカに着いていった。
  5. 9 : : 2015/11/12(木) 23:09:39
    トーカ「ウタさん。トーカです。」


    ウタ「いらっしゃい。ん?そこの可愛い子は?」


    トーカ「クソニシキの子供です。」


    トーカの口の悪さに、ウタは苦笑いしている。


    ウタ「この子のマスクかな?いいよ。」


    テキパキと作業に取りかかり、サイズまで計り終わる。


    ウタ「さて、君について、いくつか質問していいかな。」


    アキ「あ、はい。」


    ウタ「うーん、そうだねー、強い?」


    アキは少し戸惑うが、そうでもないと答える。


    ウタ「強そうだけどね。あっ、そのアイパッチ可愛いね。」


    アキ「あ、これは…。」


    といい、アキはアイパッチをとる。


    ウタ「へえ、隻眼か。」


    恥ずかしそうにしているアキに対し、質問はまだ続く。


    ウタ「好きな人はいるかな?」


    アキ「お姉ちゃん!!」


    その即答に、トーカは頬を赤く染める。


    ウタ「仲良いんだね、できたよ。」


    ウタの渡したマスクは、ニシキのような大蛇を描いたようで、更に赫眼の方の眼には、傷のような模様がある。


    そのマスクから、中身が小学生だなんて分かる人がいるだろうか。


    だが、アキは相当気に入ったようだった。
  6. 10 : : 2015/11/13(金) 17:52:06
    アキ「あのさ、お姉ちゃん。」


    トーカ「どうしたの?」


    アキ「私さ、何でここに預けられたのかな。」


    トーカは少し戸惑う。
    それもそうだ。喰種が人類の天敵であることをずっと隠していた。


    ニシキがS~レートだなんて言ったら、アキはどうなるんだろう。


    トーカは覚悟を決めて話し出す。


    トーカ「ニシキはさ、喰種を殺しているんだ。ある目標のため。」


    アキは唖然としているが、トーカは話続ける。


    トーカ「その目標は言えないけど、それによって、喰種捜査官に目を付けられてる。レートは、S~。」


    トーカ「アキ、いつかわかるから、我慢していて。」


    アキ「わかった。」


    そのときのトーカの表情は、とても険しかった。
  7. 13 : : 2015/11/15(日) 16:26:32
    トーカ「アヤト…。」


    アキとトーカは、ニュースを見ていた。
    “アオギリの樹”による襲撃事件だ。


    そこにいた民間人は全員死亡。
    白鳩どもも、ほとんどが死傷を負ってる。


    アキ「アヤトって?」


    喰種の発達した耳は、トーカの言葉をハッキリとらえていた。


    トーカ「ううん、何でもない。」


    トーカはすぐ笑顔を取り戻す。
    それにつられ、アキも笑顔になった。


    「よう。」


    背後からの声は、聞き覚えのあるものだった。


    声のする方向をアキは見る。


    ニシキ「アキ、すまねえな。」


    そこにはニシキがいた。
    ニシキは“任務”上、アキとなかなか会えなくなっていた。


    月に一度あるかないか、その時間がアキの記念日のようなものだった。
  8. 14 : : 2015/11/15(日) 21:36:24
    ニシキ「俺らのことは話したのか?」


    トーカ「いいの?」


    アキはきょとんとしている。


    ニシキ「アキ、今から話すことは、よく聞いておけ。」


    アキ「うん。」


    アキがコクリと頷くと、二人は話始める。


    ニシキ「俺らは“:re”っていう少数喰種軍団なんだ。」


    ニシキ「ここ、20区の治安を守る団体…とでも言ったところか。」


    淡々とした口調でニシキは話し続ける。


    ニシキ「お前はその団体の一員なんだ。表の仕事だけじゃなく、裏の仕事もやっていけよ。」


    沈黙が訪れる。


    しかし、アキはすぐ笑顔になった。


    アキ「うん。」
  9. 17 : : 2015/11/21(土) 15:48:07
    更に5年経った頃だ。
    アキの強さは格段と上がっていた。


    アキ「トルソーさん…ですよね?」


    冴木「え?!あ!?隻眼の…」


    『トルソー』と呼ばれた男は動揺を隠せない状態だ。


    アキ「あなたの『消去』に来ました。」


    冴木「やめて、それは」


    ボトッ



    アキの実力は、あのニシキを大きく上回っていた。


    “箱持ち”でも足取りすら終えていないトルソーを、わずか3日で見つけ出し、討伐した。


    捜査官、人民を殺していないので、性格なレートは不明だが、その強さは伊達ではない。



    そして、この年は…



    瓜江「こいつもトルソーじゃない、か。」


    “クインクス”が実戦投入された年であった。
  10. 18 : : 2015/11/22(日) 22:11:16
    トルソーこと冴木空男の前には、平子上等捜査官と、下口上等捜査官がいた。


    下口「トルソーを追っていたら、まさか死んでだとは…。」


    ようやく足跡を見つけた二人だが、たどり着いたところでは既に死んでいた。


    平子「傷口が『オロチ』と酷似していますね。ですが、オロチにしてはやり過ぎな気もします。」


    下口「血縁関係…にある可能性は?」


    平子「一理ありますね。その線で捜査しましょうか。」



    一方アキたち、喫茶店:reでは、次の目標の話になっていた。


    アキ「クインクス…?」


    ニシキ「あぁ。赫包を埋め込んだ箱持ちだ。クインケと赫子を同時に使うから厄介なんだ。」


    アキ「…へえ。」


    赫包を埋め込んだとしても、やはりアキは人を殺すことに抵抗があった。


    トーカ「んじゃ、ニシキが行けば?お前なら、死んでも問題ないだろ。」


    口は悪いが、トーカはアキの気持ちも察し、こう提案した。


    ニシキ「はっ、死なねえよ。俺は。」


    ニシキも遠回しに了解した。
  11. 21 : : 2015/11/29(日) 18:45:04
    クインクス討伐の当日。
    ザッ、ザッ…と足音をたて、ニシキはCCGの前に姿を出す。


    クインクス班も、ちょうどニシキを追っていたようだ。


    瓜江「…オロチ。」


    ニシキ「よう、お前が有名なクインクスか?」


    瓜江はそれに返答せず、手をあげる。


    手をあげた瞬間、全員が銃を構える。


    そして、瓜江の肩あたりから甲赫が出る。


    ニシキ「甲赫か。ちょっとは楽しませてくれよ!!」


    瓜江もイヤホンを耳から外し、赫眼でニシキを見つめた。


    その眼には、昇進することに対する執念も感じ取れた。
  12. 22 : : 2015/11/29(日) 18:47:29
    瓜江の合図により、全員がニシキを狙い、
    射撃を開始した。


    しかし、そのクインケは全て壊される。


    ほとんどの捜査官は手を出せない。
    瓜江二等捜査官を除いて。


    瓜江は大きな甲赫を大きく振る。


    甲赫特有の防御性能により、ニシキの攻撃も難なく防ぐ。


    でも、優勢なのもそれまでだった。


    瓜江「ぐはっ!!」


    ニシキ「おいおい、ただの蹴りだぜ?…立てよ。」


    不意を突かれた瓜江は、大きな甲赫を一瞬で無に変えられてしまった。


    ニシキがもう一発蹴りを入れようとする。


    瓜江の敗北は、誰から見てもわかった。


  13. 23 : : 2015/11/29(日) 18:47:57
    ズガァァァァァァァァァァァン!!!!


    ハイセ「…。」


    ニシキ「なんだお前、粉いどもの王様か?」


    ハイセ「下がって、瓜江君。」


    クインケを握り直し、こういった。


    互いに警戒を強めた。


    瓜江「なっ…?!」


    瓜江の目には、なにも見えなかった。


    クインクスでも、喰種のような視力はないわけではない。


    それでも、その瓜江が目で追えない程の速度だった。


    ハイセ「ふっ!!」


    瓜江は唯一、ニシキの赫子を切断できたのを確認できた。


    しかし、何もなかったかのように、その赫子は元に戻る。


    ハイセ「あんな大きい赫子を再生させるなんて、さすがに……、タフですね!!」


    ニシキ「そりゃドーモ。」


    そう言うと、ニシキはハイセを遠くまで吹き飛ばした。

  14. 24 : : 2015/11/29(日) 18:48:16
    六月「先生!!」


    クインクス班のメンバーもようやく到着した。
    だが、もう遅かった。


    そこには、地に伏せているハイセと、それを眺めるニシキがいた。


    ニシキ「まだいたのかよ。まああんなやつらより、俄然、お前の方が面白そうだ。」


    ニヤリと笑うニシキに、クインクス班は恐怖を覚えた。


    ハイセ「あはは、それは……、喜んでいいのかな。でも、僕のことなんか、しらないほうがいいと思います___」


    ハイセ「____よ?」


    中指に人差し指を添え、ニシキにも劣らない恐怖の笑みをみせる。


    普段一緒にいたシャトーのメンバーですら、その顔には背筋がぞっとするほどだ。


    その笑顔のあとの赫子には、ニシキも疑問を覚えた。


    赫子のキレが全く違う……とでも言ったところか、速さ、威力なんかも格段に違う。


    ニシキ「ぐはっ……?!」


    ニシキは目の前の赫子に集中していたせいで、下からの攻撃に不意を突かれた。


    ハイセ「お返しです。」


    そういうと、ハイセの赫子がニシキを貫く。


    ニシキ「“死ぬ死ぬ”ってか。お前はどこにいっても救われないな。」


    ニシキ「カネキ。」
  15. 25 : : 2015/11/29(日) 18:48:42
    アキラ「お前は、誰だ?」


    真戸上等がハイセに問いかけた。


    ハイセ「僕は……、佐々木……ハイセ。」


    アキラ「そうだ。ハイセだ。」


    ハイセは常に、いつ赫子が暴走するかわからない。
    その命は、敵だけでなく味方にも奪われる。


    その命を危険にさらしてまで、クインクス班の子たちを守ろうとした。


    そう、シャトーのメンバーには伝えられた。


    ……。
  16. 26 : : 2015/11/29(日) 18:49:14
    有馬「お疲れ様。」


    ハイセ「はは、すみません。僕が赫子を操れないばかりに……、平子上等にも申し訳が……。」


    有馬「これ、借りてた本」


    そういうと、有馬特等は、本を取りだし、ハイセに渡そうとした。


    有馬「ありがとう、短いけど、カフカの『雑種』が気に入った。」


    有馬が言っていた作品は、閉鎖的なユーモアが感じるような作品だ。


    ハイセもその作品を何度も読み返している。
    その作品の背景を思い浮かべると、ハイセも落ち着きを取り戻す。


    有馬「……限界を超えて赫子を使う必要があり、それを実行した。それだけの話だろう?……関係ないけど、今度シャトーにも遊びにいっていくよ。」


    ハイセ「忙しいのに…、悪いですよ。用件なら僕が……。」


    有馬「他のメンバーもみたいからな。」


    ハイセ「まあ、有馬さんだったら、いつでも歓迎しますよ。」


    有馬「ありがとう。」


  17. 27 : : 2015/11/29(日) 18:49:41
    ニシキ「うっ……。」


    ニシキも喫茶店:reに到着する。


    外見はそこまで悪そうにないが、痛みはまだ残る。


    キミ「おかえ……、どうしたの?!その怪我。」


    彼の妻は、真っ先に心配の言葉をかけた。


    ニシキ「平気だ。前もすぐ回復しただろ?」


    トーカはその傷痕をみて、一人の男を思い出す。


    トーカ「カネキ……。」


    ニシキ「ああ、そうだ。今は確か……佐々木一等だったか。」


    トーカ「……まあ、生きていたならよかった。」


    そう、彼らにとって喰種捜査官は敵。
    生存確認ができただけで、それ以上に関わってはいけない。


    事実、ニシキがここまでやられたのだし、次は死なない保証はない。


    トーカ「あんたは休みな。次はアオギリの襲撃。カネキよりも難易度は高いから。」


    ニシキはコクリと頷き、自分の家(喫茶店の1階上)に帰った。

  18. 33 : : 2015/12/22(火) 18:20:28
    トーカ「あいつらの目的は、マダムの護衛とクインケ銅の移送車の追撃。優先順位は移送車の追撃の方が高いかな。」


    彼らの情報は確実だった。


    アキ「……でも、あの大人数を相手にするには、私たちだけじゃ人数が足りないと思うよ。」


    トーカ「そりゃ、アオギリの戦力削りは捜査官がやってくれるよ。アオギリの殲滅が目的なんだから、負傷者や逃走グループを狙うよ。」


    彼らの作戦は、たてられた時点で成功のようなものだった。


    捜査官とアオギリの戦いの死地に、こんなメンバーが向かったらどうなるかは……、彼らが一番知っている。


    その死地で、生き残ったのだから…………。
  19. 34 : : 2015/12/22(火) 18:20:48
    トーカ「弱い。」バサッ


    トーカの大きく伸びた片羽が、数えきれないほどの喰種を貫通する。


    かなりの人数がいたアオギリの戦力が、一気に削られることとなった。


    トーカ「……全員レートはA以下くらいか。」


    その大人数で本気でかかれば、一体の喰種など簡単に倒せてしまう。


    しかし、捜査官との戦闘による疲労、負傷があり、ほんの数秒で全滅させられた。


    つまり、彼らの作戦通りの結果になったのだ。


    もう一方でも……




    フロッピー「安久……。」



    アオギリの樹にとって、マダムの護衛、クインケ銅移送車の追撃も失敗した上に、逃走を捗った数グループを追い打ちされたため、大損害を葬ることとなった。


    クインケ銅移送車追撃の逃走グループには、共食いの痕が残っていた……。

  20. 37 : : 2016/01/10(日) 14:26:23
    カランカラン・・・と、鈴の鳴る音が聞こえる。


    月山「bonsoir・・・、霧嶋さん・・・。」


    トーカ「月山・・・、あんた・・・、死んでいなかったの・・・。」


    厄介者でも、久しく顔を合わせていないと、自然と笑顔になるようだ。


    月山「・・・君らは何をやっている?」


    何が・・・と言わんばかりにきょとんとした顔をするトーカ。


    月山「とぼけないでくれたまえ。ここにカネキ君が来たことは知っているんだ。(カナエから貰った写真でね。)」


    そう・・・、以前、Qs班でこの珈琲店に訪れていた。
    勿論、休憩目的で、操作名目はない。


    その時に、記憶を戻すべきであった・・・と月山は言う。


    「ちょっとお客サン、店長困らせないでもらえますか。」


    そう口を挿んだのは、ニシキであった。


    ニシキ「その口ぶり、今のあいつの生活を理解しているんだろう?」


    月山「あぁ、喰種捜査官になっていたね。それが?」


    ニシキ「ホント、その超時空な考え方は変わってねえな。」


    トーカ「あんたはさ、あいつを何だと思ってる?」


    トーカ「あんたとカネキとの思い出が大切なもののように、あいつにとっての捜査官として過ごした数年間が、無価値ではないんじゃない?それを無理矢理戻すのは、あんたのエゴだと思う。」


    月山「エゴ・・・?エゴイスト結構。君らが行動しないなら、僕が出よう。」


    背を向けて歩き始める月山。
    バタン・・・と扉を閉め、それを眺める二人。


    ニシキ「止めなくていいのか?」


    トーカ「いいよ、止めろって言って止めるやつじゃないのは、あんたも知ってるでしょ。」


  21. 40 : : 2016/01/10(日) 17:19:12
    「月山さん。」


    背後から話しかける少女に、月山は目を向ける。


    月山「・・・Ms.アキ、君が僕に何の用だ?」


    アキ「私は、カネキさんの記憶を戻すことに賛成です。彼の力が喰種捜査官で収まるわけがない。いつかは喰種捜査官側が全滅・・・というのもあり得ます。」


    アキ「それにより増えていく喰種も、全員が良い人になるとは限らない。それを私たちで管理するのは、恐らく至難でしょう。」


    月山「・・・そんな理由で?」


    アキ「・・・逆に、あなたみたいに、ただ会いたいから・・・という理由で・・・という考えなのですが。」


    その一言に、月山ははっきりとする。


    最初の頃は、カネキを食べるため・・・という、あやふやな考えで、カネキを探していた。


    そう思い込んでいたから、カネキ以外の食事を受け付けなかった。


    だが、そんなたかが食べたいからだけではなかった。


    彼に・・・会いたかった。


    あの頃を自分は楽しんでいた。


    仲間と過ごす時間が・・・、幸せだったと・・・


    もう一度会って、あの頃のことを思い出したいと・・・。


    そう気付いたころには、月山の顔は自然と笑顔になっていた。


    アキ「・・・?まあいいや、貴方と私の目的な同じです。少々手を組みませんか?」


    月山「・・・あぁ!もちろんとも。」
  22. 41 : : 2016/01/10(日) 17:48:28
    郡(オニツネ怖かった・・・。)


    その頃、「月山家掃討作戦」が指令された。


    郡は部屋から出ると、一人の青年と顔を合わせた。


    郡(和修 政・・・。)


    そこにいたのは、和修家の希望・・・、和修 政だった。


    郡「和修特等、何か?」


    政「S2がサポートに入る、その挨拶だ。」


    郡「そうですか。私が指揮を執りますので、どうぞよろしく。(手柄が欲しいかハイエナ野郎)」


    政「君の活躍に期待しているよ。(有馬信者のガキが。)」


    互いが互いを心の中で罵倒しあっているその様子に、他の捜査官は用があっても近づこうとしない。


    そのまま互いに別の方向を向き、歩き出した。



    「月山家掃討作戦」に、「カネキ奪還作戦」。


    この二つがぶつかり、どういう結果をもたらすかは、まだ定かではない。
  23. 44 : : 2016/01/16(土) 18:27:03
    観母「松前君……、習くんを頼みます。」


    大きく聳え立つ家の中。
    ぐっすりと寝る月山に背を向け、観母は扉を開ける。



    宇井「動くな。」


    観母「我々は逃げも隠れもしません。」


    月山が寝ている間に、あっさりと捕まる。
    目的も何も掴めない。全員が不安、苛立ちを覚えたであろう。



    月山「松前……、父はどこだ?」


    起きてきた月山が、こう質問した。


    松前はそれに対し、今までのことを全て話す。


    観母がCCGを引き付けていること。
    月山家の情報が漏出したこと。


    月山家が終わること……。


    それはまるで…………、あんていくの店長の行動だった。


    引き返せと何度も訴えた。


    が、それも頑なに断られる。


    月山は、ようやくこの気持ちを理解した。


    “何もできない哀れさ”を……。
  24. 47 : : 2016/01/17(日) 09:05:33
    ハイル「殲滅開始」


    その瞬間、わずか1秒で、静かであったビルが血と悲鳴で覆われた。


    宇井「佐々木上等、君は先行して屋上の索敵を。」


    ハイセ「……不知班長、頼んだよ。」


    そういうと、ビルの壁を壊し、自慢の鱗赫とクインケを僅かな隙間に刺し、タン、タン、タンと、軽快なテンポで壁を登る。


    屋上に着いたハイセは、まず一人の男に目をやる。


    月山「……。」


    Fuccccckin'kidding(フザけた喜劇だ)
  25. 48 : : 2016/01/17(日) 09:19:44
    月山「Mr.ハイセ、君のことなど……」


    月山「知らない。」


    ビキビキ……と、赫子が肩辺りから現れる。


    くるくる……と丸まった、所謂“剣”の形状を作り出し、ハイセに突き刺そうとする。


    対抗するハイセ。だが、月山はここからのハイセの出方を予想していた。


    月山(大振りの薙ぎ!!)


    ハイセ「あぁ!!!!!」



    何が起きたかは、本人たちでもわからない。


    ただ、ハイセが月山の上に乗っかり、今にも殺そうとしていた。


    しかし、その躊躇の一瞬


    何者かがハイセの腕をもぎ取った。
  26. 49 : : 2016/01/17(日) 09:22:28
    叶「せめて習様の美しい思いでとなって……、 sterben(去ね)


    ハイセの腕をもぎ取ったのは、紛れもない叶だった。


    呪いでもかかったかのような仮面……。


    あの月山が押されたハイセとの戦いで、今のところ勝っている。


    今までとは比べ物にならないくらい強かった。


    しかし……



    ドン!!!


    叶「一瞬意識がトんだが、なんだ?」


    頭を吹き飛ばしたハイセ。


    異常とも言える再生で、叶は元の姿となっているが、明らかに強さが違う。


    ハイセ「有馬殺す……、有馬殺す……。」


    叶「習様は我が光、我が誇り、ワガ─────」
  27. 50 : : 2016/01/17(日) 09:38:02
    ハイセ「私の可愛い欠落者……。」


    流石に倒れた叶を前に、ハイセは何となく懐かしい一節を思い出した。


    ハイエトアキ「「「あなたの親は、あなたを育てるのに失敗した。」」」


    アキ「こんにちは、高槻先生。」


    エト「……。」


    上で眺めていたエトは、ようやく背後から近づいてきたアキに目をやる。


    そしてハイセも、自分と似た匂いを感じ、一旦はそこを眺めた。



    エト「何か用かな?」


    アキ「討伐です。あなたの“本体”を。」


    エトはニヤリと笑みを魅せる。


    エト「討伐……あはは。」


    エト「できるかなぁ!?」バキキキ


    エトの片目がおぞましい黒と赤に染まる。


    本体から出る赫子が、アキの腹を貫く。


    アキ「先生にもなるお方が、この程度だったとは。」


    エトも今の現状を疑うしかなかった。


    何故なら、アキの腹が異常な速さで再生を始め、エトの赫子を押さえつけているからだ。


    どうにも太刀打ちができないエトは、無傷の赫包から赫子をだし、捕らえられていた赫子を切り落とした。 

  28. 51 : : 2016/01/17(日) 12:35:22
    エト「ぐが・・・!!」


    エトといえど、その痛みには苦痛を感じる。


    エト「はぁ・・・!!」


    世間一般の言う『隻眼の梟』がその姿をあらわす。


    しかし、アキは冷静にそれを見つめる。


    勝った・・・!!と言わんばかりの顔でアキを捉えようとしたときだった。



    梟の目前には、大蛇の如く這う大きな赫子の生物がいた。


    そう、それは梟と同じ原理で現れた、アキの赫子だった。



    梟「ケヒャヒャヒャヒャ・・・!!」


    梟は不気味に嗤っているが、対照的にアキの大蛇は冷静な表情をしている。


    ハイセ「・・・!!宇井特等、屋上に隻眼の梟と、隻眼の大蛇だと思われる喰種がいます。」


    宇井『なんだと・・・!?この付近は見張っていたはずだ。二体もどこから・・・?』


    ハイセ「わかりません・・・、念のため、増援を頼みます。」


    宇井は言われた通りに、屋上付近に援護射撃隊を送る。


    だが、梟の赫子により、殆どの隊は崩れる。


  29. 54 : : 2016/01/17(日) 12:49:16
    梟「タノシミマショウ・・・。」


    奇妙な嗤いを浮かべたまま、その赫子を光らせ、攻撃を開始する(エト)


    しかし、その弾幕を全てはじき、大きな赫子で足を捥ぎとる。


    梟「がぁっ!?」


    血がボタボタと垂れる梟の足。


    その場にいる全員が戸惑いを感じたが、容赦なく大蛇(アキ)は攻撃を続ける。


    宇井『今の状態はどうだ?』


    ハイセ「・・・大蛇が・・・、梟を押しています。」


    宇井もその場で硬直した。


    そもそもCCGは、大蛇と梟がなんらかの関係性があると踏んでいた。


    ただ単に構造が似ていて、隻眼の赫者だから・・・という理由だが、生まれた経緯も酷似している。


    だが、そこで対立があったことで、頭も回りが遅くなる。


    いや・・・、もっと簡単なことであろう。


    あの梟が圧倒されているから・・・。
  30. 58 : : 2016/01/23(土) 08:12:07
    宇井「やつらは……?」


    ハイセ「二体とも、生存確認はとれていません。ですが、自分が見た限りだと……」



    ハイセ「大蛇の勝利でした。」



    二体の隻眼の喰種同士の戦いを目の当たりにしたハイセ。
    その髪は、今までのカネキのような純白となっていた。


    どちらかの喰種……、もしくは双方から何か記憶の鍵となるものがあったのだろうか。
    それはわからない。




    [喫茶店:re]


    アキ「こんにちは、フロッピーさん。」


    フロッピー「……アキか。話は聞いているぞ、梟を倒したんだとな。」


    フロッピーと呼ばれた図体の大きい男性は、どこから仕入れられたかわからない情報を口に出した。


    アキ「流石の情報力ですね。その通りです。」


    少しの間、沈黙が続いたが、先に話したのはフロッピーだった。


    フロッピー「何故仕留めなかった?梟を」


    フロッピーの発言に、アキはクスっと笑う。


    アキ「彼女……、カネキさんと似てたので」


    その一言で、ふっ……とフロッピーも笑顔になる。


    フロッピー「眼帯……カネキケン……か。」


    フロッピー「わざわざ時間をもらって悪かったな。」


    アキ「いえ、こちらこそ」ペコリ


    フロッピー「じゃあな。金はここに置いておく。」


    アキ「……ありがとうございました。」
  31. 77 : : 2016/02/18(木) 17:10:11
    有馬「CCGをやめる?」


    ハイセ「僕は、喰種ですから。こんなところにいても、意味がない。それに……」


    スゥ……とゆっくり息を整え、言いたいことを言う準備ができた。


    ハイセ「有馬特等、貴方は僕の記憶と身体を思いのままに操っていた。それを思い出したんです。」


    黙り込む有馬に対し、どんどん言いたいことを言うハイセ。


    ハイセ「自分は、今のままでは有馬特等には敵いませんが、喰種の力をもってすれば、貴方を超えられる。あなたを殺せる!!……それが僕の希望です。」


    有馬「Qs班はどうするんだ。」


    ハイセ「今現在、不知吟士は“行方不明”。命の重さ、仲間に関しては瓜江久生も学べたであろうから、彼に全責任を任せます。」


    有馬「……そうか。」


    そういうと、ポケットから紙を取り出す。


    『金木研用CCG辞職状』


    それを受け取ると、有馬に一礼し、シャトーに戻った。

  32. 80 : : 2016/02/21(日) 21:32:40
    有馬「不知吟士………」


    彼はSS~レートの喰種『ノロ』との戦闘により、死亡とされている。


    彼は最後に、『サッサンに会いたい』と言ったようだ。


    有馬「死亡と表記されているが……、ついに嘉納の事までも思い出したか。」


    ぶつぶつと呟く有馬に対し、後ろから声をかける人物がいた。


    宇井「有馬さん、一杯どうです?」


    有馬「……そうだな。」


    俺の力があればあいつごとき高い戦力にはならない。
    吹っ切れるのが一番だろうな…。


    今はそう思っていた。


    そう……、今は(・ ・)
  33. 81 : : 2016/02/24(水) 21:48:57
    [喫茶店:re]


    ニシキ「トーカ、珈琲。」


    トーカ「だから、自分でやれっつってるだろ!」


    アキ「そーだよ。わざわざ姉ちゃんにやらせないでも自分でできるでしょ?」


    こっちは至って普通だった。


    まるで人間のように、ただ普通の会話が、そこにはあった。


    アキ「……!伏せて!!」


    何かに気付いたアキは、咄嗟に叫んだ。


    バババババババババッ



    「……俺の襲撃に気付くか。」


    その男は、そう言ったあとに軽く舌打ちをする。


    「仕方ないよ、“隻眼の喰種”だから。」


    その女は、天使のような笑顔で、アキ達を見つめる。


    「いやぁー、お久しぶりですね、“西尾先輩”。そっちは“トーカちゃん”かな?」


    馴れ馴れしく話しかける、一番後ろの男。


    全員2,30代程度であろうが、それ以前に、彼らのことは知っていた。


    トーカ「アヤト………、ヒナミ………






    ………カネキ。」
  34. 83 : : 2016/02/27(土) 22:11:10
    ────2日前の夜


    カリ……、カリ……と、アヤトは自分の爪を噛んでいた。


    強さを欲していた。


    もちろんその理由は、コクリアの襲撃……、ヒナミの奪還。


    「ヒナミちゃんを救いたい?」


    アヤト「……あぁ。」


    後ろから囁いてきた男……この男こそ、金木研であった。


    カネキ「なら、僕に着いてきて。大丈夫、君は僕の援護でいい。」


    バキッと指を鳴らし、マスクを付ける。


    アヤトも心が追い込まれ、藁にもすがる思いだったため、彼が“眼帯の喰種”だとも知っていても、着いていく。


    カネキ「できるよね?アヤト君」


    アヤト「………あぁ。」
  35. 84 : : 2016/02/27(土) 22:33:04
    丸手「……。」


    2体の喰種がコクリアを襲撃した話は、すぐに丸手特等捜査官に届いた。


    片方は、SSレート、ラビット……。


    丸手「……政、郡、什造、いけ。指揮は俺が執ろう。」


    3人「……はっ。」


    丸手の選択は正しいと言える。


    彼らの戦力はえげつないが、月山家掃討戦では功績を残せなかった。


    什造以外は、己の能力に酔いすぎているところを現実に戻す。


    死んだら死んだ、でも成功すれば最強の捜査官となる。


    訓練と作戦を同時に行い、とっておきの什造で勝利をつかむ!


    しかし、この考えが通じないイレギュラーな敵だとは気付かないだろう。
  36. 85 : : 2016/02/27(土) 22:59:06
    宇井「はは、丸手さん、私達3人だけで喰種2体殺れだなんて、無茶言いますね。」


    何処から姿を現すか分からない喰種に、緊張感が高まる。


    ドンッと音が鳴ったのは、上だった。


    既にAレート層を開放したと思われる。


    宇井「戦闘を開始します。丸手さん、指示を。」


    丸手『什造は逃げた喰種の確認、捕獲だ。残りの2人でその2体を片付けろ。』


    政「……私がラビットを殺りましょう。あなたはそっちを……」
    宇井「ハイセ………。」


    宇井はその顔を見てハッとする。


    カネキ「郡先輩……。」ニコッ


    カネキ……佐々木琲世がCCGを抜けて数日経っていた。


    互いに“敵”として目を向けるのは初めてだろう。


  37. 86 : : 2016/02/27(土) 23:10:42
    宇井「はぁっ!!」


    ジャキン……とクインケを出す。


    かなりの大きさを持つ甲赫の矛。


    ブンっと1回振っただけなのに、今にもカネキにあたりそうだった。


    カネキ「郡先輩……、もっと真面目にやってくださいよぉ。」


    不敵な笑みを浮かべ、挑発してくるカネキに、苛立つ宇井。


    一方、アヤトと政は、呆気なく終わった。


    アヤト「おいおい冗談だろ?ただでさえ戦略で劣るのに、怠慢で負けちまったら……、良いとこがねえじゃねえかよ。」


    アヤト「眼帯ぃ、早くしろ。」


    はぁ……とため息をつき、宇井に対してこう言った。


    カネキ「あなたじゃあ僕には勝てません。」


    宇井「では、実験してみるか。」
  38. 87 : : 2016/03/05(土) 16:35:23
    宇井「ハァ……、強すぎる……。」バタッ


    ………。


    この状況で、ある出来事を思い出す。


    亜門鋼太朗と戦ったあの日。


    赫者となり、初めて人を殺したのだ(本当は亜門の死にカネキは関係しないが、本人はそう思い込んでる)。


    宇井「殺れ、カネキ、私を。」


    カネキ「宇井さん、僕はあなたを殺せません。」


    カネキ「僕は、人を殺さない。」


    カネキ「そう……、決めたんです。」


    カネキはそう言い残すと、アヤトを連れて、更に最深部へと進む。


    殺られたあとの宇井の顔は、少し爽やかにも感じられた……。



    丸手「作戦失敗だ。S層は諦めろ。2体だけだとSS以上の層で開放された喰種に殺られる可能性もあるし、そこまで攻めてこないだろう。」


    丸手「什造には2人の救出を頼め。」


    丸手「だが、もしSS以上の層まで攻めに来た時のため、増援の準備はしとけ。」


    喰種2体だからと油断をし、コクリアに囚われていた喰種の4分の3程度は開放された。


    もちろんその中に、ヒナミもいた。
  39. 88 : : 2016/03/07(月) 18:20:16
    ヒナミ「………お兄ちゃん。」


    ホッと、安心の表情をみせるヒナミをみて、自然とカネキも笑顔になった。



    アヤト「……。」


    カネキの陰からでてきたアヤトにも、ヒナミは天使のような顔を向ける。


    アヤト「助けられなくて……、その……、悪かったな。」


    ヒナミ「……ううん!ヒナミは大丈夫、だってこうして2人が来てくれたんだもん!ヒナミは嬉しいよ!」


    カネキ「2人とも、ちょっといいかな。僕はこれから、いろいろやりたいことがあるんだ。だけとそれには、色んな人の力を借りたい。………いいかな?」


    アヤト「俺は………、やる。」


    アヤトは即座に答えた。
    自分の得になるからとか、そんな考えはなかった。


    アヤトらしくない、ただ“恩を返すため”に。


    ヒナミ「ヒナミも行く。あしでまといかもしれないけど、いくよ!」


    カネキ「ヒナミちゃん………、ありがとう。」



    こうして3人は揃って、:reに向かった。
  40. 89 : : 2016/03/13(日) 15:44:21
    ────現在


    カネキ「西尾先輩の娘・・・、あの時、゙高槻先生゙と戦っていた蛇かな?」


    アキ「・・・。」


    警戒している。彼はあの戦場において、喰種2体の戦いを意識することと、始末を両立させていたのだから。


    恐らく、CCGのような力を封印されている立場にあったから、あの時の彼女たちの目に彼の姿は見えていなかった。


    しかし、今は違う。
    コクリアのSレート層までを開放した。


    特等捜査官2人にも傷を負わせた。そこまでの成長を遂げたのだ。


    トーカ「用件は?クソカネキ。」


    そんな状況を察したトーカは、敵意を確認しようとした。


    カネキはそんなトーカをみて、ふっと笑う。


    カネキ「トーカちゃん、変わったね。」


    突然現れたカネキを前に、色んな記憶がよみがえって、攻撃してくるとふんでいた。
    だが、いたって冷静に、かつ相手味方の心情を読み取ってカバーする。


    彼女も、彼女なりに成長していたのだ。


    カネキ「さて、本題なんだけど・・・。」


    いつにもまして真剣な顔をして、ゆっくりと頭を下げる。


    カネキ「協力してください。」


    割れた窓ガラスからの風が、ビュー、ビューと吹く音だけの、静かな空間。

  41. 90 : : 2016/03/13(日) 15:56:59
    その中で最初に口を開いたのは、ニシキだった。


    ニシキ「俺はどっちでもいいぜ。店長に任せる。」


    ニシキ「四方さんやフロッピーも、その程度であればお前の意見に従うと思うぜ。」


    トーカ「・・・。」


    眼帯の喰種と呼ばれるカネキと。
    最近のコクリア襲撃のこともあって、行動を共にしていれば狙われないはずがない。


    しかし、彼の・・・いや、彼らの戦力はえげつない。
    もしかしたら、このメンバーで芳村達を見つけるのも、夢ではなくなるんじゃないか・・・。


    何より、このカネキがここまで頭を下げている。
    力になりたい・・・、とトーカは決心した。


    トーカ「本当に、私が決めていいんだよね?」


    ニシキとアキは、コクリと頷く。


    トーカ「なら、協力するよ。私たち全員で。」


    ヒナミ「お姉ちゃん、ありがとう。」


    トーカ「でもその代わり、あんたたちも私たちに協力しな。」


    カネキ「・・・え?」


    トーカ「働けって言ってるんだよ、バーカ。」


    3人はお互いに顔をみて、すぐに頷いた。


    トーカ「・・・。」


    トーカの顔に、少し笑顔が見えたのを、アキは見逃さなかった。
  42. 91 : : 2016/03/21(月) 17:02:25
    フロッピー「お疲れ様です、接客変わりますよ。」


    外へ買出しに行っていたフロッピーが:reに戻ってきた。


    トーカ「ありがとう、でもこれから『歓迎会』やるから、店奥で待機してて。」


    歓迎会という言葉に疑問を持ったフロッピーだが、特に触れずに店奥に向かっていた。


    そのすぐ後に、四方も帰ってきた。


    トーカ「兄さん、おかえりなさい。」


    四方「……。」


    トーカ「兄さんも店奥で待機してて。今日は早く店をしめるから。」


    四方はコクリと頷き、店奥に入っていった。
  43. 92 : : 2016/03/27(日) 23:02:17
    トーカ「準備できたよー。」


    その合図と共に、待っていたフロッピー、四方、カネキ、ヒナミ、アヤトと同時に出てきた。


    ど真ん中に、全員が座れる程の椅子と、大きな机が用意されていた。


    だが、そんなことには見向きもせず、片方はカネキを見て、片方はフロッピーを睨む。


    カネキ「………亜門さん。」


    フロッピー(以後亜門)「………眼帯。」


    互いに過去の後悔を思い出した……というより、実感した。


    亜門「……トーカさんと関わりがあるのは知っていたが………、戻ってきたのか。」


    カネキ「僕は……、僕のやりたいことを突き通したい。」


    トーカ「……座りな、話したいことは山ほどあるだろうけど。」
  44. 93 : : 2016/03/28(月) 23:02:17
    ────月山討伐作戦時


    アキとエトの戦いの決着がつき、カナエ達の前には、ハイセ……カネキが立ち塞がっていた。


    純白とも言える、真っ白な髪に、巨大かつ多数ある赫子。


    真直に目の前を睨む眼は、喰種でありながら喰種でない何かがあった。


    カネキ「すみません、月山さん。」


    カネキ「お世話になったCCGへの……、最期の恩返しなんです。」


    パキッ……と指を鳴らし、赫子を月山の方に向ける。


    月山「グアッ……?!」


    その赫子が突き刺さり、吹き飛ばされる。


    このままであれば、地面まで落下する。
    喰種の再生力があっても、屋上から飛び降りるのと同じ程のそんな衝撃は耐えられない。


    カナエ「シウサマ!!」


    ―――――



    ハァ……ハァ……と息を切らしながら歩く月山。


    皆が命を張って守ってくれた命を、己の弱さで失うんだ……という罪悪感と無力感に襲われる月山。


    目の前には喰種捜査官。


    普段であれば簡単に倒せるのに、その力がない。


    空を見上げて、雨にうたれながら、死を覚悟した。


    捜査官達「?!?!?!」


    突如、空から雨でないものが降り、捜査官達に刺さる。


    月山「君たち………。」


    四方「………。」
    トーカ「………。」
  45. 94 : : 2016/04/06(水) 23:23:09
    ────現在


    カネキ「………。」


    物音1つしない、喫茶店の中。


    トーカ「……カネキ。」


    彼らは、“裏切者”を探している。


    月山が落ちた場所に、たまたまトーカ達がいるわけなんて、そんな偶然がありえるのか。


    だとすると、白鳩に情報を売った“裏切者”が:reにいる、ということになる。


    トーカ「根拠もなしに疑うのもあれだけど、やっぱフロッピーかなって………、元CCGだし。」


    亜門「!!お、俺は……」


    カネキ「多分亜門さんじゃないよ。仮に亜門さんだとしたら、それを伝える人物が、アオギリに身体改造されている事実を知っている人間でないといけない。」


    少し考えた後、トーカは亜門を見て頭を下げた。


    トーカ「ごめん、疑って……。」


    亜門も動揺している。頭を上げてください……なんて言える立場なのか、自分は……と。


    アキ「あのさ……」


    この状況で口を開いたのは、アキだった。


    アキ「私は、:reにいないと思う。」


    全員目を大きく開いて、アキに視線を向ける。


    アキ「そのことを知っている:re以外の人物は………」




    アキ「堀チエさん。」
  46. 95 : : 2016/04/15(金) 17:50:53
    堀チエ


    月山の捕食シーンをカメラに収めたり、CCGから情報を盗みとったりと、命がいくつあっても足りないと言えるようなことを起こしてきた人間。


    その後は月山らの喰種に協力し、自由奔放に生きている。


    :reに月山を助けるよう願ったのは彼女で、駐車場まで案内してくれたのも彼女だ。


    最初から、その駐車場付近に来させるのが目的としたら筋が通る。


    トーカ「だとしてもなんで今更?月山に協力してたのは結構昔からっぽいし、こんな時を待ち望むなんてことしないはず……。」


    アキ「動機はさすがにわからないや。」


    ニシキ「ケッ、メンドクセー。堀チエってんのが被疑者なら、そいつをとっ捕まえりゃいいだろ。」


    ここに来て、ようやく他の人物も口を開きはじめる。


    アヤト「俺もそう思う。第一、人間に信頼寄せてっからこーなるんだろ。」


    ヒナミ「人探しなら、ヒナミ全力で手伝う!」


    トーカ「………決まりだな。」
  47. 96 : : 2016/06/10(金) 20:49:18


    自らの小柄を活かし、狭いところへ侵入を謀ろうとしている。


    この夜の風景に紛れる為に、わざわざ黒い服装のようだが、喰種の―――特にヒナミの視力はその見分けくらい簡単につく。


    ヒナミ「堀チエさん。」


    堀チエ「ヒナミちゃん………かな?」


    ヒナミ「はい。」


    あまりの変わり様に、堀チエは驚く表情をみせる。


    堀チエ「ヒナミちゃんかぁ。大きくなったね。私なんか、成人してるのにまだ成長期来ないよ。」


    ヒナミ「あはは………。」


    同じ東京でも、“渋谷”のような明るさはないこの20区の1角


    その雰囲気にあう、2人の重い空気。


    ヒナミ「あの………。」


    先に口を開いたのはヒナミ。その様子を、堀チエは真剣な眼差しで視る。自慢のカメラを置いて。
  48. 97 : : 2016/06/10(金) 20:58:47
    堀チエ「…………。」


    ヒナミの話を聞いていた堀チエは黙り込む。


    堀チエ「すごいね。“半分”当たってるよ。」


    今度は堀チエの一言に、ヒナミが黙り込む。


    堀チエ「確かに情報を売った。でもそれは“CCGに”ではない。」


    堀チエ「裏切者………と罵る理由も理解できるけどね。今度は私の話をきいて欲しい。」


    堀チエ「私は、ある喰種集団を追っている。」


    堀チエ「憂那さんを殺した憎き喰種集団“V(ヴィー)”を」
  49. 98 : : 2016/06/10(金) 21:31:34
    V………、“アオギリの樹”や“CCG”にも関与していると言われる裏組織。


    規模の大きさは知れ渡っていない。組織のボスが誰だかすらわからないという謎の組織。


    “憂那”というのは、その組織について調べていた天才ジャーナリスト。堀チエも、そのジャーナリストの一人だ。




    話は戻り、情報を売ったという件の話になる。


    彼女が話した通り、“CCG”には情報を売っていない。


    彼女はその組織“V”に情報を売った。




    ヒナミ「………何故、そんなことを………?」


    堀チエ「簡単に言うなら、“ヤツら”とCCGとの関係と、私の売った情報の需要さを確認したかっただけだよ。」


    ヒナミ「………?」


    堀チエ「最高だよ。もう“私達”の勝ちは見えている。」


    ヒナミには到底理解できない、今、東京で何が起きているのか………。
  50. 99 : : 2016/06/17(金) 16:55:02
    アヤト「………。」


    時間は午後8時ちょうどとなり、「東京の夜」というイメージの強い雰囲気へとなる。


    騒がしいのが嫌いなアヤトは、この賑やかさに鬱陶しさを感じている。


    アヤト「人間なら人間らしく、俺らのエサになってりゃいいんだ」


    ブツブツ………と文句を言っているアヤトの目の前に、白髪が目立つ青年が立っていた。


    アヤト「…………タキザワ、何してやがる。」


    タキザワ「自覚ねえのかなぁ?タタラの意見を無視してコクリア破り犯してよぉ。」


    アヤト「それがなんだ。」


    タキザワ「嘉納センセーからなぁ、お前を殺せだと………、だから────」


    タキザワ「────殺しま~~~~~~~す!!!!」


    アヤト「クソッ!!嘉納は自分の成功体まで捨て駒にする気なのかよッ?!」
  51. 100 : : 2016/06/17(金) 17:02:16
    亜門「なあ、眼帯」


    カネキ「……。」


    ハァ………と溜め息をつく亜門だったが、すぐに話を続ける。


    亜門「過去は過去だ。互いに忘れよう。互いに助け合う、それでいいじゃないか。」


    カネキ「僕のせいで、こんな“悲劇”に巻き込まれてしまったんですから………。」


    亜門「………“悲劇”ならお前もだろう?」


    カネキ「しかし………」


    とカネキが言いかけたところで、「ぎゃぁぁぁぁ」という悲鳴が鳴り響く。


    それに続いて「助けて」「死んじゃう」「殺さないでくれ」という声まで聴こえてきた。


    カネキ「あっちは………、アヤト君が行ってましたね。」


    亜門「眼帯、民間人は殺すなよ。」


    カネキ「わかってますよ。」
  52. 101 : : 2016/06/22(水) 18:15:16
    タキザワ「同じ羽赫ごときに負けはしないぜぇぇぇ!!!」


    アヤト「………?」


    隻眼だったタキザワの目は普通の赫眼、『両目とも赫眼』であった。


    避けながら考えるのも面倒………と考えたアヤトは、すぐ攻撃に移り変わる。


    羽赫からはどんどんと刃が放たれている。


    もちろんタキザワは躱すが、これはフェイント。


    えげつない量の刃により前が見えなくなり、真後ろまで近付いていたアヤトに気付けなかった。


    タキザワ「………?!」


    アヤト「隙あり………ッ!」


    しかし、タキザワはタキザワで防御策を持っていた。


    アヤト「クインケ………?!!」


    気付いた時には………、遅かった。


    黒く輝く、美しい姿をしたクインケは、アヤトのことを貫いていた。


    カネキ「アヤト君!」



    ────僕が間違っていた。


    アオギリが、『CCG』や『:re』に対して警戒しないわけがない。


    奥の手なんてない、本当に殺しにかかってこないなんて


    僕の勝手な思い込みだった。────



    タキザワ「彼はあるべきところへ帰ったよ。」






    タキザワ「佐々木ハイセェェェェェェ!!!」
  53. 102 : : 2016/07/08(金) 17:37:25
    さすがはもと喰種捜査官、クインケの操作はお手の物だった。


    その黒く輝く剣は、どんどんとカネキを押していく。


    対するカネキも、地面に赫子を埋め込んで、地雷のように瞬時にタキザワを捕らえた。


    カネキ「今度こそは、許しませんよ?」


    その威圧にも負けず、タキザワは赫子をもう一回出現させようとする。


    タキザワ「目の前で仲間が死ぬ姿なんて、何度も見てきただろう?何をそんなにキレてんだぁ?」


    カネキ「なんででしょう────」


    カネキ「────ね!」


    ズババババ!!という音と共に、赫子がどんどんタキザワを細かくしていく。


    タキザワ「おじゃあああああ!!!」


    すぐ側で見ていた亜門も黙り込む。


    元同僚が、自分達の敵となって現れ、今圧倒的に不利な状態となっているのだから………。


    タキザワ「亜門………しゃぁん………。」


    亜門「………アオギリの樹に魂を売るような人間は、俺の仲間ではない。」


    そう言い捨て、タキザワを見捨てる。


    心のどこかで、彼は泣いていたのかもしれない。

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ACAOT7126

ふぃん

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