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エレン『君に捧ぐ』クリスタ『この愛の唄』 〜愛唄〜
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                  - 1 : : 2014/04/20(日) 23:41:51
- このSSは現パロで、GReeeeNさんの『愛唄』を聞いて思いついたものです。 
 GReeeeNさんの曲に対する誹謗中傷はご遠慮ください。
 
 自分なりの解釈が含まれますが、おつきあいいただければ幸いです。
 エレクリ。
 
 
 更新カメさんですが、よろしくお願いします!
 投稿は明日からです
 
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                  - 2 : : 2014/04/20(日) 23:51:09
- なお今回の作品から、シリーズ登録しました!
 それぞれの話が、他の話と少しずつリンクしたものとなっております。(設定、登場人物の関係など)
 ので、他の作品も読むことをお勧めします!
 
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                  - 8 : : 2014/04/21(月) 16:46:47
 Chapter1 : 大好きな君へ
 『なあ、クリスタ』
 『なぁに、エレン』
 エレン『…笑わないで聞いてくれよ?』
 クリスタ『何よ、気になるじゃない…』
 エレン『誕生日おめでとう…その、愛してる』
 クリスタ『…ちょっ』クスクス
 エレン『っ!笑うなって言ったろ!あー…恥ずかしいなクソ…』
 クリスタ『ありがとう、だけど…いきなりどうしたの…ちょっとクサすぎ』
 悪かったな、クサくて。
 俺とクリスタは、次の記念日で付き合って7年になる。高校時代からの付き合いだ。
 で、今日は彼女の誕生日。デートの真っ最中、俗に言う家デートっていうやつだ。日頃の感謝をこめて『愛してる』と言ったら、彼女に笑われてしまったのだ。
 それもそうか、今まで一度もそんなこと言わなかったしな。
 
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                  - 10 : : 2014/04/21(月) 16:50:02
 エレン『いきなりでも何でもいいだろ…この言葉以外じゃ伝えられないって思ったんだから…だから笑うなって!』
 クリスタ『だって…もう、突然すぎるし』クスクス
 エレン『絶対バカにしてるだろ…』
 少し彼女の紹介をしよう。
 クリスタ・レンズ、俺と同い年で超大企業レイス財閥の社長の1人娘。…いわゆる超お嬢様。
 対して俺。
 エレン・イェーガー、親はいない。海外に姉さんが1人いる。普通の企業に就職した、本当に普通の人間。
 
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                  - 12 : : 2014/04/21(月) 17:28:27
 周りに何度、釣り合ってないと言われたことか。
 …実際俺も、釣り合ってないと思うことがある。
 クリスタは、なぜ俺を選んだんだろう…
 理由は前に聞いたけど、今でも時々思うんだ。
 彼女は俺を選んで後悔してないのかって…
 クリスタ『エレン?どうしたの難しい顔して』
 エレン『なあ、お前さ…俺でよかったのか?』
 クリスタ『え…?』
 エレン『だって、俺あいつみたいに紳士じゃねえし、マジで普通の人間だし…』
 
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                  - 14 : : 2014/04/21(月) 17:53:53
 あいつとは、交際5年目の春に突然現れた彼女の婚約者を名乗る男のことだ。さすが財閥令嬢だと思ったし、身を引こうとも思った。
 しかし、今俺たちは一緒にいる…彼女は勘当という形になってしまったが。
 本当に俺でよかったのか?
 あいつといたほうが、幸せだったんじゃないか?
 クリスタ『…私はね、そういうの関係ないの。エレン、あなたと一緒に笑って、一緒に泣いて、そうやって過ごす日々の方が好きよ』
 いつかのようにそう言って、抱きしめられた。
 …俺、すごく幸せ者だな。
 今君の隣にいることができて、本当によかった。
 
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                  - 18 : : 2014/04/22(火) 17:43:18
 Chapter2 : 婚約者騒動 〜君の選んだ人生〜
 2年前、その騒動が起きた時。俺とクリスタは公園でデートしていた。
 もっとも、学生で金もないからただ喋るだけだったが。
 クリスタ『にしてももうすぐ卒業かあー…早いね』
 エレン『早いな…それに俺とクリスタが付き合って5年だろ?どんだけ早いんだよ…』
 クリスタ『次の記念日で6年かあ…この先も』
 『クリスタ・レンズさん』
 彼女の声に、誰かの声がかぶった。
 声の主は、金髪の男。俺と同い年ぐらい。
 クリスタ『…どちら様ですか』
 『…覚えてないんだね。初めて会ったのは15年も前のことだけど、僕ら最近も会ったじゃないか。君の誕生日パーティーの席で』
 
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                  - 19 : : 2014/04/22(火) 17:50:32
 『アルミン・アルレルトだよ、思い出してくれた?』
 クリスタ『…っ、あ』
 彼女の顔がどんどん青ざめていったのを覚えている。
 そう、これがあいつと俺との出会い。
 あいつは俺と目が合うと笑顔で軽会釈をしてきた。
 エレン『…誰だか知らねえけど、帰ってもらえませんか。俺らデート中なんで』
 なんだかその余裕そうな態度にムカついて、キレそうになるのを抑えながら答えたっけ。
 アルミン『ああ…君がイェーガーさんだね』
 
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                  - 20 : : 2014/04/22(火) 18:05:36
 アルミン『初めまして、僕はアルレルト財閥のアルミン・アルレルト。クリスタの婚約者だ』
 
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                  - 21 : : 2014/04/22(火) 18:06:02
 その言葉を聞いて、思考が停止したよ。
 婚約者
 財閥令嬢となれば、いるのが当たり前なのかもしれない。でも俺はそんな話聞いてなかったし…彼女も話したことなかった。
 それに、アルレルト財閥。
 世界各国を相手にする、巨大な貿易会社だ。…流石お嬢様だ、婚約者の格も違う。
 俺たちもここまでかって、思ったよ。でも
 クリスタ『帰ってください』
 彼女はそう言ったんだ、自分の婚約者にむけて。
 
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                  - 23 : : 2014/04/22(火) 23:04:29
 クリスタ『帰ってください、あなたとの婚約は破棄するとお父様に伝えたはずです。私にはエレンがいます…帰ってください』
 アルミン『クリスタさん、残念だけどそれはできない。婚約破棄は撤回された』
 クリスタ『な…!そんなはずは』
 アルミン『ある。撤回したのは、君のお父さんだ』
 俺の目の前で、俺の知らない話が進んでいた。
 俺の知らないところでそんな話があったなんて…。
 俺、信用されてないのかな、愛されてなかったのかなって思った。
 クリスタ『…』
 アルミン『…僕は、君を愛してるんだ。僕じゃダメなのかな』
 
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                  - 25 : : 2014/04/22(火) 23:09:07
 アルミン『君は僕のことをあまり知らないかもしれないけど、僕らは小さい頃よく遊んだんだよ。もし君が僕のことを好きでなくても、僕は君を愛してるんだ』
 あの時のあいつ…アルミンの目は真剣だった、とても嘘を吐いているようには見えなかったんだ。
 だから一瞬、本当に一瞬こんな考えが頭をよぎった。
 こいつなら、クリスタを幸せにできるんじゃないか。
 俺といて幸せになったとしても、俺が与えられるものは限られてる…
 でも、こいつならなんでもできる。
 彼女を幸せにできる。
 本当に一瞬、こう思った。
 
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                  - 26 : : 2014/04/22(火) 23:12:32
 だから、
 エレン『…お前なら、幸せにしてやれるよな』
 こんなこと言っちまったんだろうな。
 クリスタ『エレン…!?』
 アルミン『もちろん…それじゃ日を改めて伺うよ』
 そう言って、アルミンは去った。
 クリスタ『エレン!なんてことを…!なんで!?ねえ、なんでなの!?』
 エレン『…俺じゃお前を幸せにできない。俺はあいつと違って普通の人間だし…釣り合わない。だからさ、あいつとの婚約、破棄するなよ』
 クリスタ『…』
 彼女は泣いてなかった。
 何も言わなかった。
 …そんだけ、未練もないのかって思ったよ。
 
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                  - 32 : : 2014/04/23(水) 19:02:16
 エレン『っ…じゃあな!』
 そのあとはデートどころじゃなくて、そのまま家に帰った。
 自分に対して泣いてくれなかった彼女にもイライラしてたし、婚約を止める力を持ってない自分にもイライラしてた。
 だから彼女をそこに置いたまま帰っちまったんだ。
 その夜、彼女が突然訪ねてきたのは10時過ぎだった。
 今までこんなことなかったから、本当に驚いたのを覚えている。
 
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                  - 33 : : 2014/04/23(水) 19:07:48
 クリスタ『ごめんねエレン、婚約破棄してきた』
 エレン『はあ!?お前なにやって…!?』
 乾いた音が響く
 …あの時は一瞬何されたかわからなかった。
 彼女は俺を平手で殴ったんだ、ビンタとかいうやつだ。
 クリスタ『バカ!エレンのバカ!私のこと嫌いになったの!?だからアルミンさんと婚約しろって言ったの!?』
 玄関先での出来事だったから、そのまま靴を投げられそうになった。
 
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                  - 34 : : 2014/04/23(水) 19:10:19
 エレン『んなっ…落ち着けよ!違うって!言っただろ、俺じゃお前を幸せにできないって!釣り合ってないって!嫌いになった?んなわけねえだろ、今でも大好きだって!』
 クリスタ『だったら、だったら…!なんでよ!好きだからっていう理由だけじゃ一緒にいちゃいけないの!?釣り合わない?幸せにできない?私は!そういうの関係ないの!エレン、あなたと一緒に笑って、一緒に泣いて、そうやって過ごす日々の方を大切にしたいの!だから…っ』
 
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                  - 35 : : 2014/04/23(水) 19:11:02
 クリスタ『お願い、そばにいてよぉ…!』
 
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                  - 36 : : 2014/04/23(水) 19:15:23
 号泣された。泣かせたのは後にも先にもこれを含めて2回だけだから、本当によく覚えている。
 その時やっと気づいたんだ。
 自分が彼女にしてしまったことの大きさを。
 エレン『…悪かった。ごめん、勝手なことして』
 エレン『本当は、あいつに引け目を感じただけなんだ。それでイライラきて…あんなこと。本当に、ごめん』
 
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                  - 38 : : 2014/04/23(水) 20:24:18
 エレン『俺はお前が好きだ。俺がいいって言ってくれて嬉しい。けど…俺でいいのか?マジで普通の人間だし、お前と釣り合ってないぞ』
 クリスタ『エレンじゃなきゃ嫌!それに、さっきも言ったけどそんなの関係ないよ…!』
 そう言って抱きしめられた。
 すげえ嬉しかった。彼女と一緒にいられるんだって。
 同時に彼女の気持ちを疑った自分が恥ずかしくなった。
 そして翌日、俺は彼女の家に行って交際の許可と婚約破棄をお願いした。
 
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                  - 40 : : 2014/04/23(水) 20:27:28
 4.5発殴られたし、交際なんて断固反対された。
 結果、交際をするのなら彼女は勘当という形になった。
 よくこれで許してもらえたと思う。
 クリスタ『上等だわ』
 勘当を告げられた時、彼女はこう即答した。
 が、彼女も危うく殴られそうになったので早々に家を出た。
 エレン『なあ、昨日のアレ、なんて言おうとしたんだ?あいつに遮られちまったけど…』
 クリスタ『あ…えっとね』
 
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                  - 41 : : 2014/04/23(水) 20:27:51
 クリスタ『この先もずっと一緒に記念日をお祝いしたいね。って言おうとしたんだ…えへへ』
 
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                  - 43 : : 2014/04/23(水) 22:08:59
 こうして、婚約者騒動は幕を下ろした。
 たった2日間だったかもしれないけど、長い長い2日間だった。
 彼女の選んだ人生、俺で良かったのか?なんてことはわからない。
 でも、精一杯彼女を幸せにしたいって思うんだ。
 
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                  - 45 : : 2014/04/24(木) 14:12:05
 Chapter3 : 君の目
 エレン『懐かしいな…あいつには悪いことしたか』
 クリスタ『ちょっと、エレン?』
 エレン『はいはいごめんって…』
 その後のあいつについては何も聞いていない…元気でやってるかな。
 勘当されてしまった彼女は、1年前から俺と同棲している。
 彼女にとっては家事全般が初めての経験らしく、俺も教えるのに手間取った。
 今は、俺より料理も美味いし家事も完璧だ。
 …将来、いい嫁さんになりそうだな。なんて
 クリスタ『そうだ、もうすぐ記念日だね!』
 エレン『いや、まだ3ヶ月も先だろ…気が早いな』
 クリスタ『いいじゃない!楽しみだなぁ…今回は何しようか!』
 
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                  - 46 : : 2014/04/24(木) 14:12:52
- >>45
 私です
 
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                  - 47 : : 2014/04/24(木) 15:27:19
 そう言って目をキラキラさせる彼女、とてもかわいい。
 …この目、確かあの日も。
 エレン『なあ、あの日の俺ら何の話をしてたっけ』
 クリスタ『あの日?』
 エレン『ほら、初めて会った日だよ。入学式』
 クリスタ『あー!…もちろん覚えてるよ』
 
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                  - 48 : : 2014/04/24(木) 15:30:03
 Chapter4 : あの日の俺ら
 そう、その日は入学式だった。
 俺は入学式の途中で寝てしまったのだ。
 肩を叩かれて目を覚まし、振り返ると彼女がいてこう言ったんだっけ…
 『ね、寝てたらダメですよ』
 入学当初知り合いなんて幼馴染のミカサぐらいしかいなかったから、話しかけられたことに驚いた。その上女の子だったし。
 列からして、同じクラスのはずだな。とか思って、式終了後に俺から声をかけたんだ。
 『あの、さっきはありがとうございました。俺エレン・イェーガーって言います』
 『い、いえ!私はクリスタ・レンズです…迷惑じゃありませんでした?』
 
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                  - 49 : : 2014/04/24(木) 15:34:52
 エレン『いや、全然…むしろお礼を言いたいです。ありがとうございます』
 今考えれば、すげえよそよそしいと思うよ。でも当時の俺らはこれが精一杯だったんだ。
 入学したて、まだ友達もいなかった俺はここで頑張らなくてはって必死だった。
 ミカサ以外の女の子と話すことなんでほとんどなかったからすげえ緊張した。
 でも彼女に友達になってもらおうって思って、友達になりたいって思って言葉を紡いだ。
 
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                  - 51 : : 2014/04/24(木) 18:01:55
 エレン『あの、もしよければ友達になってくれませんか。まだいなくて…』
 一瞬の沈黙、そして
 クリスタ『わ、私でいいんですか!本当に…?嬉しいです!』
 あの時の彼女の目はキラキラしていて、とびきりの笑顔を浮かべていた。ちょうどさっきのような。
 誰が見ても、かわいい、その一言だと思う。そんな笑顔。
 俺が彼女に惚れたのは、この時だ。
 
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                  - 56 : : 2014/04/25(金) 16:15:58
 Chapter5 : あれから
 クリスタ『懐かしいね、本当に』
 エレン『お互いひどくよそよそしいけどな』
 クリスタ『それ言ったら終わりじゃない』クスクス
 エレン『まあな』
 クリスタ『…エレンが好きって言ってくれた時、すごく嬉しかったな』
 エレン『2年の4月だよな確か。絶対振られると思ってた』
 クリスタ『…えっと、私は1年の9月ぐらいからあなたが好きだったよ?』
 エレン『マジで!?』
 これには正直驚いた。
 ほぼ毎日話していたけど、そんなの微塵も感じなかったから。
 クリスタ『私だってびっくりしたよ?それ以上に嬉しかったけど…』
 
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                  - 58 : : 2014/04/25(金) 16:20:39
 彼女が頬を染めながら笑う。
 …それ以上聞いてると、俺の頬も大変なことになりそうだ。
 エレン『あー、ちょっと新聞取ってくる』
 クリスタ『あ、逃げる気?』
 エレン『逃げねえって!』
 実際はちょっと逃げた。
 ポストを開くと、今日の夕刊、そして写真のついたハガキが入っている。
 
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                  - 59 : : 2014/04/25(金) 16:26:24
 エレン『あ、姉貴か…』
 海外在住の姉貴からだった。
 姉貴はスマホを持ってるにもかかわらず、連絡をハガキでよこす不思議な人間だ。
 クリスタ『逃げたかと思った、それなぁに?』
 エレン『ん、姉貴からハガキきてた…って逃げねえって!』
 クリスタ『冗談よ…アニさんから?元気?』
 エレン『ああ、海外生活を謳歌してるってさ…』
 
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                  - 60 : : 2014/04/25(金) 16:32:17
 姉貴の名前はアニ。歳は俺の1つ上で5年ほど前から海外に住んでいる。
 目とかはよく似てるって言われるけど、他はあまり似ていない。
 特に髪。
 俺はダークブラウンだが姉貴はなぜか金色。父さんも母さんもダークブラウンなのに…確か父さんの遠い親戚が金色だとかなんとか聞いた気がする。小さい頃、よく姉貴にずるいって言ったっけ…
 まあ、この髪の色の違いが俺とクリスタの初めてのケンカの原因とも言える。
 …少しその話をしようか。
 
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                  - 62 : : 2014/04/25(金) 16:34:37
 Chapter6 : 初めてのケンカ
 そのケンカは、彼女の親友の一言が原因だった。
 その発言の前日、俺は元から用事があったから彼女の誘いを断って早めに帰宅していた。
 海外在住の姉貴が突然家に帰ってきたのはその数時間後。
 事前に連絡もなくて、すげえ驚いたよ。
 とりあえずその日は家に泊まってもらうことになった。
 
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                  - 63 : : 2014/04/25(金) 17:09:33
 でも、ここで問題が起きた。
 姉貴が家に入るのを、彼女の親友、ユミルが見てたんだ。
 姉貴は金髪で背も小さいから、彼女に見えたんだろうな。
 昼休み2人で弁当食ってたら
 ユミル『お前ら昨日エレンの家でデートしたろ、なにしたんだよ?』
 ニヤニヤしながら聞いてきた。
 本人はからかったつもりだったんだろうけど、彼女は現場にいなかったから…さ。
 クリスタ『…昨日はデートしてない。ユミル、その話詳しく』
 怒ったような顔をして、ユミルに聞き返した。
 この彼女の反応に驚いたらしく、ユミルは見たものをそのまま話したんだ。
 
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                  - 66 : : 2014/04/25(金) 19:11:37
 コンビニ帰りに俺の家の前を通ったら、金髪の女が俺の家に入るのを見たこと。
 その女は、髪型はいつもと違うけど身長は彼女と同じぐらいだったから彼女だと思ったこと。
 俺にとっては予想通りの回答だった。
 やっぱりユミルは、姉貴と彼女を見間違えていた。
 ユミル『なんだクリスタじゃなかったのか…!?エレン、てめえまさか浮気』
 エレン『違う!あいつは姉貴だ!先に言うが金髪は地毛!』
 クリスタ『…そんなの信じられると思ってるの?もしそうなら、事前に教えてくれてもよかったんじゃないの?』
 今にも泣きそうな声が聞こえて、隣を見たら
 
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                  - 67 : : 2014/04/25(金) 19:12:26
 クリスタ『…もう私のこと好きじゃなくなったの?』
 
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                  - 68 : : 2014/04/25(金) 19:19:48
 涙を流す彼女がいた。
 これが、初めて見た彼女の涙だった。
 エレン『クリスタ…聞いてくれ。連絡するにも』
 クリスタ『嫌!しばらく口ききたくない!』
 そう言って彼女は教室から出て行ってしまった。
 ユミル『…本当に姉貴なんだろうな』
 エレン『戸籍謄本持ってきたっていいぜ…参ったな』
 ユミル『姉貴さんに合わせりゃいいじゃねえか』
 エレン『…まあ、な』
 
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                  - 69 : : 2014/04/25(金) 19:20:17
 長らく海外で生活していた姉貴。彼女がいることは黙っていた。
 この時の俺には選択肢がなかった。強引にでも彼女を俺の家に連れて行くしかなかったんだ。
 1.2日目は自力でやろうとしてことごとく失敗。そして3日目、ユミルにも協力してもらって、彼女をなんとかうちまで連れてきた。
 姉貴は突然の来訪者にすごく驚いていた。
 俺は今まで、ミカサ以外家に入れたことがなかったからだ。
 
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                  - 70 : : 2014/04/25(金) 19:22:21
 エレン『あー…姉貴、こいつはユミル、クリスタの親友。で、こっちがクリスタ…その、俺の彼女』
 アニ『エレンの姉のアニです、いつもエレンがお世話にな彼女!?』
 エレン『…いろいろあって今日紹介することになった』
 その『いろいろ』を説明した結果
 アニ『あんたいつのまにって彼女なんてって言いたいところだけど…もっと早く知らせなよこんな騒ぎになる前に。今回は連絡しなかった私も悪いけどさ…女を泣かせてんじゃないよガキ』
 俺は説教を受けた、ついでに鉄拳も。彼女を泣かせたんだから仕方ないか…
 
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                  - 71 : : 2014/04/25(金) 19:27:39
 アニ『…クリスタちゃん。エレンはバカだし、アホだし、鈍感だし、あんたを傷つけてしまうかもしれないけど。エレンはあなたのことを大事に思ってると思うから、仲良くしてほしい…許してやってくれないかい?』
 クリスタ『…はい、ずっと仲良くします。ごめんなさい、勘違いしてしまって…』
 アニ『クリスタちゃんは謝んなくていいんだよ。悪いのはこのバカと私なんだからさ…ごめんね』
 そう、確かに俺はバカだった。
 そこは今でも否定できない…
 
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                  - 72 : : 2014/04/25(金) 19:28:08
 エレン『クリスタ、ごめん…本当にごめん…』
 クリスタ『いいよ、私も悪かったし…。疑っちゃってごめんね』
 エレン『俺、浮気は一生するつもりないから。俺にはお前だけだから』
 クリスタ『エレン…。私もだよ』
 姉貴は次帰る時は事前に連絡すること、俺はクリスタを心配させないこと。この2つを確認して俺たちは和解したんだ。
 思えばこの時、ケンカしておいてよかった。
 このケンカから先は、お互いをわかりあう為の時間として過ごしたと言っても過言じゃない。
 このケンカのおかげで、婚約者騒動も早期解決したと言っても過言じゃない。
 あの日から今まで、俺たちは幸せに過ごしてこれたんだから。
 
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                  - 76 : : 2014/04/26(土) 12:51:08
 Chapter7 : 0.0000034%
 エレン『あの時は本当にごめん…』
 クリスタ『私こそ、ごめんね…。もう疑ったりしないから』
 エレン『クリスタ…』
 クリスタ『エレン…』
 彼女にゆっくり顔を近づける。
 そういや、しばらくキスしてなかったな…
 ピリリリリリリリリリリ!
 クリスタ『きゃっ!?』
 エレン『っ、ごめん!雰囲気にまかせて、ついキスしようと…ほら、しばらくしてないし…』
 クリスタ『そっちじゃない、ケータイだよ…びっくりしたあ…』
 ケータイに遮られた。どうやらメールが来たようだ。
 …誰だ邪魔したやつ。
 
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                  - 77 : : 2014/04/26(土) 12:59:50
 クリスタ『あ…ジャンからだよ』
 エレン『ジャンって、お前とクラス一緒だったバド部のやつ?』
 バドミントン部のジャン・キルシュタイン。
 肩の怪我で競技をやめたが、学生選手の中で、その名を知らない奴はいなかったとか。
 とにかくかなりの実力者だったと彼女から聞いた。
 そして、7年前に遠くへ引っ越した俺の幼馴染、ミカサが想いを寄せている人。
 ジャンもまた、ミカサへ想いを寄せていた。
 クリスタ『そう、そのジャンだよ。…わあ!』
 エレン『?』
 
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                  - 78 : : 2014/04/26(土) 13:04:17
 クリスタ『ミカサが引っ越した街に行ってきた、正式に付き合うことになっただって!』
 エレン『それ本当か!?』
 そう、あいつらは一緒に帰るほど仲が良かったのに付き合ってなかった。あれには俺も驚いた。
 2人とも、7年越しの恋がようやく実ったようだ。
 最も、俺はミカサが引っ越す時にお互い気持ちを伝えてるのを聞いているんだが…改めて聞くとなんだか嬉しい。
 クリスタ『うん、よかったー…2人とも幸せになれそうで!』
 エレン『そうだな…』
 
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                  - 81 : : 2014/04/26(土) 13:14:37
 幸せ、という言葉はいろんな意味があると思う。
 彼女がいる幸せ
 俺が彼女の隣にいられる幸せ
 彼女と出会えた幸せ
 そんな幸せに出会える確率は
 エレン『…0.0000034%』
 クリスタ『え?』
 エレン『運命の人と会える確率、0.0000034%なんだってよ』
 クリスタ『そんなに低いんだ…そんなこと良く知ってたね?』
 エレン『どっかで聞いたんだよ。…そう考えると、この広い広い世界、空の下で、お前に会えたのってすごいことなんだな』
 クリスタ『そうね…出会えただけでもすごいのに、恋して、幸せだなって思えるのは、もっとすごいんだね』
 クリスタ『いつまでも、一緒にいたいな…えへへ』
 そうだな、俺もいつまでも一緒にいたい。
 俺は、その願いを叶えたいんだ。
 
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                  - 83 : : 2014/04/26(土) 13:21:26
 Chapter8 : 君に捧ぐこの愛の唄
 俺が今日彼女をデートに誘ったのは、もう一つ意味があったからだ。
 エレン『クリスタ』
 彼女の手を取り、跪く
 クリスタ『なあに?』
 彼女の不思議そうな顔…彼女はきっと知らないんだろう、この格好で言う言葉が、どういうものなのかを。
 
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                  - 84 : : 2014/04/26(土) 13:25:58
 エレン『いつも、仕事から帰った時笑顔で迎えてくれてありがとう。ひどい愚痴も聞いてくれてありがとう、迷惑ばっかかけてごめん』
 エレン『出会ってからもうすぐ7年だ…今まで本当にいろんなことがあった。2人で思い出を作って、日々を刻んで』
 エレン『俺鈍感だし、馬鹿だし、国語力もない。今から伝えることが意味不明だったりしたらごめん、この言葉をずっと待っていたならごめん』
 下手くそな、だけど嘘偽りのない愛の言葉を、愛の唄を送らせて欲しい。
 俺は今日これを伝えたかったんだから。
 
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                  - 85 : : 2014/04/26(土) 13:33:52
 エレン『神様に誓って、俺はクリスタを愛してる。これからもお前の手をずっと握って離さない…離したくない』
 エレン『こんな言葉信じられないって思うなら、俺がそばにいれる限り、声が続く限り、ずっと好きだって言いづけてやる。じーちゃん、ばーちゃんになって声が枯れちまって、喋れなくなったらずっと手を握りつづけてやる』
 ひとつひとつ、言葉を紡ぐ。
 その間彼女は俺の目をずっと見ている。
 …俺の思っていること全てを彼女へ伝えたい。
 エレン『本当に本当にいつもありがとう。ありがとうじゃ伝えきれないくらい感謝してる。これからは…これからも、か。苦しみも悲しみも、喜びも笑顔も、分かち合って生きていきたい…だから、その…』
 
- 
                  - 86 : : 2014/04/26(土) 13:34:13
 エレン『俺と、結婚してくれませんか?』
 
- 
                  - 87 : : 2014/04/26(土) 13:36:51
 その言葉とともに、俺は彼女へ指輪を差し出した。
 彼女の顔は驚きに満ちている。
 そりゃそうか…誰もこの流れで言うとは思わないだろう。
 恥ずかしさで今すぐ目をそらしたい。
 でもここでそらしたらダメなんだ。
 クリスタ『…エレン』
 囁くような声とともに顔を下げる彼女。
 …俺振られるのかな。
 そう思い、そらさないと決めていた視線を少しずらした。
 
- 
                  - 88 : : 2014/04/26(土) 13:38:31
 クリスタ『待ってた、けど。遅い…なんてこと、ない…私、すごく…嬉しいよ』
 クリスタ『私も、愛してる。これからもずっと…よろしくお願いします』
 
- 
                  - 89 : : 2014/04/26(土) 13:41:06
 視線を戻すと、目に涙を浮かべた彼女の姿が。
 でも、彼女は笑顔だった。
 いつかの泣かせてしまった日々と違って…。
 エレン『…』
 体の力が抜けた。
 クリスタ『ちょっと、エレン大丈夫…!?』
 心配そうな彼女の顔。
 違う、違うんだ。
 
- 
                  - 90 : : 2014/04/26(土) 13:44:22
 エレン『よかった……一瞬振られるかと思った…本当によかった…!』
 クリスタ『もう、エレンったら…』
 彼女は笑顔を浮かべている。
 …俺はこの先も、ずっと彼女の笑顔を守る。
 どんな困難があったとしても、ずっと彼女と、その笑顔を守りたい。
 クリスタ『…エレン』
 エレン『?』
 彼女に抱きしめられる。
 あたたかい、温もりが伝わってくる。
 俺はこれから生きている限りずっと、彼女を愛し続けると誓う
 そして、彼女と、クリスタと共に、愛を唄い続けよう…
 
- 
                  - 91 : : 2014/04/26(土) 13:45:25
 彼女と俺の視線がぶつかり、彼女が微笑む。
 愛おしい、その感情とともに俺は彼女の唇に自分の唇を重ねた。
 〜完〜
 
- 
                  - 92 : : 2014/04/26(土) 13:48:21
- これで
 エレン『君に捧ぐ』クリスタ『この愛の唄』 〜愛唄〜
 は、終了となります。
 最後までおつきあいいただきありがとうございました!
 
- 
                  - 94 : : 2014/04/26(土) 13:52:41
- カップリングはもう決めてあるので早いうちに書き始めようと思ってます。
 
 私は書き溜めしてから投下派なのでスレ立てまでまた時間があくと思いますが、ぜひ次回作もよろしくお願いします^ ^
 
 エレンの姉がアニという設定は最初から決めてました、ケンカの原因になる浮気疑惑を出したかったので笑
 
 
 それでは、また次の作品でお会いしましょう!
 
 
 
 ジャン↑
 
- 
                  - 95 : : 2014/04/26(土) 13:54:20
- もしよければ過去の作品もよろしくお願いします!
 1作目
 ミカサ『部分記憶障害』
 http://www.ssnote.net/archives/3445
 2作目
 『待つ人の話』
 http://www.ssnote.net/archives/4701
 3作目
 『泣いた巨人』
 http://www.ssnote.net/archives/7726
 4作目
 ヒッチ『マルロが女になった』 マルロ?『だーかーら!マルロじゃなくてマロルですって!』
 http://www.ssnote.net/archives/10351
 5作目(進撃GReeeeNシリーズ)
 ジャン『どうしようもないくらい』ミカサ『君が好きなんだ』 〜オレンジ〜 前編
 http://www.ssnote.net/archives/12209
 6作目(進撃GReeeeNシリーズ)
 ジャン『どうしようもないくらい』ミカサ『君が好きなんだ』 〜オレンジ〜 後編
 http://www.ssnote.net/archives/12689
 >>93
 名無しさん
 ありがとうございます!
 とても嬉しいです^o^
 
- 
                  - 97 : : 2014/04/26(土) 19:20:37
- >>96
 ココアさん
 ありがとうございます!
 頑張るので、ぜひ次もよろしくお願いします^ ^
 
- 
                  - 100 : : 2015/03/12(木) 00:23:23
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