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神のみぞ知るセカイ 続編

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  1. 1 : : 2015/06/24(水) 18:09:18
    2作目です。
    『竜』と申します。以後お見知りおきを。

    私は以前、ここSS noteでアレン・レンズとして
    進撃の巨人のssを書いていましたが、今は、
    ハーメルンというサイトで色々なSSを書いています。

    そのSSの宣伝として、ここで少しだけお話しを
    投稿していきたいと思います。

    続きは、ハーメルンのサイトに貼ってありますので、気になる方はそちらへよろしくお願いします。
  2. 2 : : 2015/06/24(水) 18:11:31
    第1話「茶でも、飲みに行かん?」
  3. 3 : : 2015/06/24(水) 18:11:38
    僕は今、ズシリと重い箱を持って歩いている。
    中身は今まで没収され続けたPFPだ。
    少なく見積もっても50はある。

    リアルなんてクソゲーだ…。
    ずっとそう思っていた。
    いや、今でもその気持ちは変わらない。

    ただ、リアル女達は、思ったよりも悪くなかった。
    僕は駆け魂を集める生活で少しだけ
    リアル女みる目が変わったのかも知れない。
    これも全部あいつらのお陰だ。

    でも僕はもう、リアル女と深く関わらないことにしようと思う。
    今日の朝早くに人生最後の告白をした。
    これは攻略じゃない。

    桂木桂馬の最初で最後の告白だった。
    そして、僕がリアル女と仲良くする最後の可能性だった。
    ちひろ以外と恋仲になる気も、仲良くなる気もなかった。
    だか、それも断られた。

    もう僕にはこの世界で暮らす気はない。
    これからは二次元に生きる。
    いや、二次元の世界に戻ると言った方がいいのかもしれない。

    そう決断をしたその時だった。
    なんとなく横を見た僕は驚いた。
    そこには確かにちひろがいたんだ。

    親指で鉄格子をなぞりながら少し俯いてこっちへ歩いて来ていた。
    その時、僕の足は自然とちひろの方に向かった。

    僕から声をかけようにもかける言葉がない。
    心の中で選択肢をあさっている時だった。
    ちひろから声をかけられた。

    「……その箱、なに?」

    「なんでもいいだろ。」

    僕は素っ気なく返事を返す。
    僕たちの目線は合わない。

    「あれ、なんなのさ…何考えてるのあんた。」

    "あれ"とは勿論、朝の告白だろう。
    何考えてる………か…。

    「何も考えてない。」

    素直な気持ちだった。
    別に何も考えてなかった。
    好感度とか選択肢とか何にも考えてない。
    だって攻略じゃないんだから。

    「………………」

    ただ、ちひろの事が好きだと思ったから…。
    伝えなくてはならないと思った。

    「だから…僕もどうなるかわからん!!」

    もし、ちひろと付き合えたら…。
    何が起こるかなんて…。
    僕のギャルゲ脳じゃ分析出来ない。
    いや、したくない。
    だって、好きなのだから。

    「なんだそりゃ!!」

    僕はこんなにもリアルに本気になるなんて思わなかった。
    けど、期待してもいいんだな?
    今、ここに来るということは…。
    お前に本気になってもいいんだな?ちひろ。

    「ま…なんつーか……」

    「…………………」

    僕は落とし神を辞める。
    それに、さっきまでの決断は…全てなしだ。
    僕は………ちひろに生きる。

    やっと目線が合った。
    その時だった、
    僕は確かにこう聞こえたんだ。

    「茶でも、飲みに行かん?」

    確かに聞こえた恋が進む秒針と波のさざめきが心地よく聞こえた。
  4. 4 : : 2015/06/24(水) 18:12:44
    第2話「幸せ」
  5. 5 : : 2015/06/24(水) 18:12:50
    テーブルに置かれたコーヒーが2つ。
    それと向かい合って座ってる私と桂木。
    周りには誰もいない。

    理由は桂木の家の喫茶店が休みで、その場を利用したからだ。

    「私があんたの家に来るの…4回目だね。」

    1回目はあの日、私が独り言の様に告白をした日。
    2回目は良くわかんないけど連れてこられて。
    3回目はギターをとりに。

    「ああ、そうだな。」

    いつの間にか桂木に恋して…それに気付いていなかった。
    その気持ちに気付いた私は、何を思ったのか…告白をしてしまった。

    私はこんな底辺最低ゴキブリ男だと思ってた奴に3回も恋をしていたのだ。

    「砂糖…入れるか?」

    「あ、うん。3つお願い。」

    いつもならコーヒーに砂糖はいれない。
    でも、今日は砂糖を入れる気分なのさ。
    そんな時、桂木が真剣な顔で見つめたと思ったら、頭を下げてきた。

    「ギターのピック…もう1度僕にくれないか?」

    私は砂糖を入れたコーヒーをかき混ぜる。

    「……ごめん、ちひろ。大事に持ってたつもりなんだ。けど、なくしてしまった…。僕の落ち度だ。本当にごめん。」

    違うよ。桂木。それ、私がとったんだ。
    歩美との結婚式のあの日、繋いだ手と手が離れたあの時、怖かった…。心細かった…。
    でも、そんな私を抱き締めてくれた時…嬉しかった。心強かった。

    でもね、それ以上に嬉しかった事があるんだ。
    その時、あんたの左胸に…私とお揃いのピックがあったこと。
    それが、私にとっては…本当に嬉しかったんだ。

    それでね…私は、あんたの事が好きだから、私とあんたが仲良かったあの印が私には必要だったのさ。
    私の初めて恋をした記憶をずっと忘れない為に。

    「それって、これじゃない?」

    私はあのピックを出す。
    今の私にこれはもう必要ない。
    だってさ、まだ、私の初恋は終わってないんだから。

    「ちひろ!?なんでそれを持ってる!」

    「あはは、私。あんたからそれ奪ったんだ。」

    「い、いつだ!ライブの時にはもうなかったぞ!」

    当たり前じゃん。
    あのライブで、このピック…使ったんだよ?
    それにしても…そんなに大切にしてくれてたんだね…。嬉しいよ。

    「いつだっていいじゃん。それよりさ、私。あんたに話しがあるんだけど」

    コーヒーを混ぜるのを止め、
    真っ直ぐに桂木をみつめる。

    「……………………」

    目の前にいる桂木の顔は、
    私の大好きな真剣な顔だった。

    「…………私と…付き合って下さい。」

    私は無言で抱き締められ、少し強引にキスをされた。
    いいんだよね。桂木。私…本気だからね?
    照れくさかった私は桂木から離れて、コーヒーをとって口に入れる。
    ………ぬるっ!?ってか甘っ!?

    まぁ…でもいっか、だって…こんなにも幸せなんだから。
  6. 8 : : 2015/08/14(金) 15:20:33
    第3話「繋ぐの!?繋がないの!?」
  7. 9 : : 2015/08/14(金) 15:20:38
    「にーさま!もう学校に向かうんですかぁ?」

    玄関で話しかけてきたのは
    何故か僕の妹になったエルシィだ。

    「ああ、僕はもう出る。」

    「もー、折角にーさまと登校しようと思ってたのにー!」

    こいつ…世間で言うブラコンって奴じゃないか?

    「うるさいぞ、僕はもう行く。遅れるなよエルシィ」

    「もー!何度言ったらわかるんですか!私はエルシィではありません!えりです!」

    こいつは事件が解決するや否や
    記憶と記録を改ざんし、僕の妹として現実世界を生きることにしたようだ。

    そのせいで、ハクア達悪魔はエルシィが仲間だったことを全て記憶から消されたみたいだ。
    それをエルシィ………いや、えりは罪悪感と寂しさを抱えたようだが、
    ま、こいつはほっといても大丈夫だろ。
    そんなことより学校行くか。

    ──────────────
    ─────────
    ─────

    「おーい!桂木ー!」

    僕を発見するや否や手を大きく振るリアル女が1人。
    言うまでもないだろうが、一応言っておく。
    そう、ちひろだ。

    「遅いぞ、桂木。」

    頬を軽く膨らませて両手を腰におき、そっぽを向くちひろ。怒ってる素振りを見せてるんだろう。

    「えりに捕まってたんだ!」

    そう聞くや否やちひろはこっちを向き
    満面の笑みで話す。

    「あっはっはっ、ざまあみろ!」

    全く、少しは苦労を知って欲しいものだ。

    「それじゃ、行くか。」

    「あ、…その…手…繋いでもいい?」

    まて、ちひろ。
    まさかとは思うが、手を繋ぐと言ったか?

    「繋ぐの!?繋がないの!?」

    近い!近いぞちひろ!
    そんなに顔を近付けるな!
    くそっ、僕は攻めには弱いんだ!

    そんなことを思いながら、ちひろの手を掴んだ。

    「あっ…」

    照れくさそうにするなら初めから繋ぐなんて言うな!
    恥ずかしいのは僕だ!

    ──────────────
    ─────────
    ──────

    幸せそうな顔するちひろを横目でみながら
    僕は歩く。
    さっきからちひろは何かを言ってるようだが、耳に入ってこない。

    「聞いてる?桂木」

    「あ、ああ、聞いてるぞ。」

    「じゃあ何を話してたでしょうか!」

    「…………………」

    くそっ、今更聞いてないなんて言えない。
    ちひろが話しそうなこと…話しそうなこと。

    「聞いてなかったんでしょ」

    「……すまん。」

    「まぁーったく、ボケーっとしてないで話しを聞いてよね!」

    「………すまん。」

    「じゃ、罰として今日の帰りに肉まん奢りね」

    そんなんでいいのか?
    僕としてはもっと高いものをねだられるかと思ったぞ。

    「ああ、わかった。」

    「うし、下校デートの約束完了」

    ボソボソと何か言ってる。
    まったく聞こえん。

    「………ちひろと桂木!?」

    後ろから声をかけられた。
    その声の主は僕達が知ってる奴だった。

    「「歩美!?」」
  8. 10 : : 2015/08/14(金) 15:22:57
    第4話「涙と応援」
  9. 11 : : 2015/08/14(金) 15:23:06
    「「歩美!?」」

    私は今、軽いパニックに陥った。
    勿論この先、桂木と付き合っている事はみんなに知れ渡る。そう思ってた。
    だから私は、自然に伝わる前に、きちんとみんなに話そうとしたのに…。

    親友の歩美にこんな形で知られてしまうなんて…。
    やばいよ。泣きそうだよ私。

    「上手くいったんだね、桂木。」

    へ?上手くいった?
    どゆこと?

    「ああ。」

    桂木と歩美…なんか話してたの?
    ちょっとまって、頭の整理しないと。

    「ちひろ、あのね?私…ううん、私達は聞いたんだ。桂木がちひろに告白をするつもりだってことを」

    「へ?」

    待って待って、どういうこと?
    全く理解できない。

    「あの日…桂木が戻ってきた日。打ち明けられたんだ。」

    ────────────────
    ─────────
    ────

    「お前らに大切な話しがある。」

    歩美。かのん。結。月夜。栞。天理。
    女神がいる6人に向かって僕は口を開いた。

    「大切な話し?」

    「ああ、そうだ。」

    「どんな話しなの?」

    僕は大きく息を吸う。
    そして、ゆっくりと確かに言葉を続けた。

    「僕は、ちひろが好きだ。」

    衝撃的な言葉だからだろう。
    全員が目を大きく開き、口を塞げないでいた。

    「だから僕はちひろに告白するつもりだ。」

    ──────
    ──────────
    ─────────────────

    な、何を言ってるのさ!
    まてまてまて、桂木はみんなに宣言したの?
    私が好きだって?

    「(ちひろ…口がパクパクなってる)」

    「そんなの初耳だー!」

    「言ってなかったからな。」

    「言ってなかったからなじゃなーい!」

    恥ずかしいじゃないか!

    「ちひろ、僕はみんなに宣言したぞ。」

    「もうわかってるわ!」

    桂木は馬鹿なの?アホなの?
    もー!ふざけんなよー!
    これからみんなにどんな顔すればいいのさー!

    「ふふっ。」

    「どうしたの?歩美。急に笑い出して」

    なんか面白いことでもあったのかな?

    「ううん。2人共、息ピッタリだなーって思ってさ」

    あ…。
    なんか恥ずかしいなぁ!もう!
    顔が熱くなってきた!

    「歩美。今日の帰りにみんなを集めてくれないか?」

    「え?」

    「僕はちひろを彼女としてみんなに紹介する義務がある。」

    何を言い出すのさ!桂木!
    恥ずかしいからやめてよ!

    「わかった。それじゃ私、部活あるから行くね!」

    そう言って向こうを向く歩美。

    「うん、頑張れ〜!」

    走り出したと思ったら歩美は振り向いた。

    「私、応援するから。」

    その時私は、気付いた…。
    歩美は無理をして笑っていたんだ。
    だって………歩美は泣いていたから。
  10. 12 : : 2015/08/14(金) 15:26:06
    第5話「公認カップル」
  11. 13 : : 2015/08/14(金) 15:26:11
    周りのモブキャラ達がうるさい。

    「桂木ぃー!やっとお前はゲームをやめたのかぁ!」

    この声の主は児玉。
    一応、先生だ。ハッキリ言うと、うざい。
    フリーザの癖にうるさいぞ!

    ここで、重要な報告がある。
    僕は、ゲームをやるのをやめた。
    僕は気が付いたんだ。
    もう、ゲームなんてする必要はないと。

    「桂木ぃー!無視をするなぁー!」

    だからうるさいと言っている。
    シーザーの癖に。

    ──────────その頃のちひろは

    へぇ、桂木…ゲームやめたんだ。
    もしかして…私の為?
    だったら…嬉しい…かも…

    って…あーーーーーー!!!!!
    なんで私はそんなことばっか考えてんのさ!
    私の頭の中はいつから花畑になったんだっての!

    全く、桂木のせいだ!
    …………いや、桂木のお陰なのかな…。
    って違ーーーーーう!

    あれ?妙にえりが静かだなぁ…。
    おっ、また手紙書いてる。

    よしよし、またからかってやるかー♪

    私はえりの机から手紙を奪い取り
    席を立つ、それと同時に手紙を読み出した。

    「『にーさまへ

    ちひろさんとお付き合い出来て、良かったですね。』
    ………………へ?………はぁぁぁぁぁ!!!!????」

    「おめでとうございます。にーさま、ちひろさん!」

    や、やられた!
    えりにやられたぁぁぁ!!!
    だから手紙を奪った時に何も言わなかったのか!

    「「「ぇぇぇぇえええええ!!!!」」」

    「なになに!?付き合ってるの!?」
    「いつからだよ!」
    「本当なの!?」
    「かのんちゃんとはどうなってんだよ!」
    「なんで桂木ばっか!」

    周りからの声が凄い。
    うわぁ!恥ずかしい!穴があったら潜りたい!

    「ohーーーーnoーーーーー!!!!!」

    一番、騒がしいのは児玉先生かもね。
    ばいきんまんの癖に!

    ───────────────
    ──────────
    ─────

    「おい。」

    昼休みになり私は、
    周りの好奇心丸出しの声と眼差しから逃れるべく、桂木と屋上へ逃げた。

    それと同時に、お説教タイムがはじまったけどね。

    「ごめん。」

    「ちひろ!お前は馬鹿なのか!?あんな目立つような事をして!」

    「だから、ごめんって言ってるじゃんか!まさかえりの手紙があんな内容だとは思わなかったんだよ!」

    「でもさ…桂木。」

    「なんだ。」

    「私達…クラス公認のカップルだね」

    あれ!?私、何言ってるんだろ!?

    「…………そうだな」

    顔を紅く染めそっぽを向く桂木…。
    あれ?もしかして…。

    「桂木って攻めに弱い?」

    「な、何を言ってるんだ!そんな訳、ないだろ!?」

    慌てとる慌てとる。
    いい事知ったなー♪
    よし、からかってやろ!

    「桂木………好きだよ。」

    「な、なな、何を言い出すんだお前は!」

    なんだ、可愛いところあるじゃん!
    これから沢山からかってやろーっと♪

    あとさ…桂木。

    「学園公認カップル目指すぞー!!!」

    私、頑張るからね。
  12. 14 : : 2015/08/14(金) 15:28:56
    第6話「16人分の幸せ」
  13. 15 : : 2015/08/14(金) 15:29:02
    僕は今、ちひろと2人で帰っている。
    右手にちひろの左手を掴んで。

    因みに、ちひろの右手にはたい焼きが握られていた。

    「ん~、美味い!」

    「そうか、よかったな。」

    「うん!」

    ちひろはこれ以上ない笑顔を振りまいていた。
    そんな美味いのか?たい焼きが…。
    僕にはわからんな。甘い物など邪道!

    「桂木はたい焼き食べないの?」

    「ああ、甘い物は好きじゃないからな。」

    「へぇ~、そうなんだ。」

    もぐもぐと口を動かすちひろを横目でみながら、これからの事を考えた。
    これからの事というのは朝に歩美に頼んだ、『ちひろを彼女として紹介』することだ。
    現在の時刻は5:20。6:00に僕の家の喫茶店に集合になっている。
    そして、考えている事…というのは、
    『いかに傷付けずに僕の事を諦めさせるか』だ。

    正直、僕にはどうしたらいいのかわからない。こんなENDはギャルゲーにもないからな。

    「ねぇ、桂木。」

    「ん?どうした」

    「桂木はさ、その…攻略した人って…何人いるの?」

    来たか…この疑問が。
    勿論、遅かれ早かれ、この疑問は解いてやらないと思ってた。
    だが、まさかこんなに早くにその時が来るとは…。
    けど…ここは誤魔化しては駄目だ。

    「ちひろも合わせて16人だ。」

    「じゅ、16!?桂木、それ本当なの!?」

    「ああ、こんな時に嘘をつくつもりはない。」

    しばらく重い空気が漂った。
    それはそうだろう…
    元カノが15人いると言ってるようなもんだからな。

    もしかしたらこの場で、振られてしまうかもしれない…けど、それは受け止めなければならない。それが僕の責任だ。

    「……………桂木」

    俯きながら話しかけてくるちひろ。
    あまりいい雰囲気はしない。

    とその瞬間、僕にキスをして来た。
    更に、ちひろの口から何かが僕の口に流れてきた。

    「な、なな、何を!って甘!?これあんこか!?」

    「ばーか!ざまあみろ!」

    目を閉じ、拳を両手に握り締め、
    舌を限界まで出してべーーっとするちひろ。

    「私を16人分幸せにしてくれないと許さないからなーーーー!ばーーーか!」

    耳元でそう叫ばれた。
    僕は何を考えていたんだろうか…。
    そうだったな…。
    ちひろはこういう奴だった…だから、僕はちひろに惹かれたんだ。

    「言っとくけどね!私も不安なんだからね!あまり私を不安にさせんな!」

    そう言えば歩美も言ってたな…。
    ちひろは傷つきやすくて乙女だって。

    僕はあまりこういう事をしたくなかったんだけどこの際仕方が無い!

    「ちひろ、好きだ」

    ちひろの耳元でそう囁いて流れるように頬にキスをした。
  14. 16 : : 2015/08/14(金) 15:31:51
    第7話「報告と告白」
  15. 17 : : 2015/08/14(金) 15:31:57
    「お前達に報告がある。」

    僕は今、1つの義務を果たすべく、ある報告をする。
    それは……

    「僕とちひろは付き合うことにした。」

    この事実を伝えることだ。
    しかし、何故ハクアまでここにいるんだ?
    それにしてもこいつら……

    「怒らないのか?」

    「その前に今まで何があったのか、説明して欲しいのですね」

    「ボクも知りたい。」

    「怒るか怒らないかはその話を聞いてからにするよ」

    「桂馬くん。私達は知る権利があるよね?」

    月夜、結、歩美、かのんの順に問いただしてきた。
    勿論、栞も知りたいと思ってるだろう。
    その証拠として僕を真剣に見ている。

    「わかった。だが、僕一人では説明しづらい。天理、ディアナと変わってくれ。それとハクア、説明するのを手伝ってくれ。」

    「あ、うん。わかった」

    天理がディアナと交代したのを確認してから、僕は話し始めた。

    「事の初めは一通のメールだったんだ───────」

    ───────────────
    ──────────
    ─────

    話し始めて4時間を過ぎようとする頃、
    ようやく、話が終わった。

    「──────これで全てだ。」

    「何か質問はあるか?」

    僕は周りを見渡す。
    みんな、まだ話しを理解しきれないようだ。
    まぁ、無理もない。話しが話しだからな。

    「まって、簡単に説明してよ!」

    特に理解出来てないのは歩美のようだった。
    そういえばこいつは馬鹿だったな。

    「要するにだ。女の心の隙間に入り込む駆け魂を追い出す為にはその隙間を埋めるしかない。だから僕は、恋愛を使ってその隙間を埋める事をしてたんだ。」

    「そこまでは理解出来てるのですね。その先も簡単に教えて欲しいのですね。」

    「心の隙間を埋め、駆け魂が居なくなった女の子は記憶を消されるの。私達、悪魔の上の人達に。」

    「それで、ボク達に記憶が戻って来たのは女神がいたからなんだよね?桂馬くん」

    「ああ、そうだ。1度忘れてしまった記憶も女神を呼び覚ますと共に記憶を思い出すんだ。」

    もう1度全部を話すことになりそうな気がする…。
    まぁ、いい。理解をしてもらわなくてはならないからな。

    「あ、あの…ヴィンテージってなんじゃ?」

    今度は時代劇かなんかか?栞。

    「私達女神が命をかけて封印をした悪い悪魔を復活させて、世界を征服しようとしてる人達です。」

    「他に質問はあるか?ある奴は申し出てくれ。」

    よし。全員理解出来たようだ。
    あ…もう10時を過ぎてしまったか…。
    こいつらを帰らさないと。

    「大丈夫なようだな。よし、今日の所はもう遅い。早く帰れ。気を付けろ。」

    「何を言ってるんですかにーさま?」

    「は?」

    「今日は皆さん、お泊りしてくんですよ?」

    何をおっしゃってるんですか?えりさん?
    お泊り?え?お泊り?
    待て待て待て待て!
    お前らその荷物はなんだ!本当に泊まるつもりなのか!?

    「「「「「今日は1日、お世話になりまーーーす!」」」」」

    ……………何故だ。
    何故こうなるんだ。
  16. 18 : : 2015/08/14(金) 15:33:51
    第8話「鍋と満月の夜」
  17. 19 : : 2015/08/14(金) 15:33:55
    僕、ちひろ、えり、ハクア、歩美、結、かのん、月夜、栞、天理…この全員が皿とはしを片手ずつに持ち、グツグツと音を出す鍋を囲んでいる。

    「おい。何故こんなことになってる。」

    「あ、ごめん。ボクとした事が気が付かなかった。もしかして、すき焼きが嫌いだった?」

    「そうじゃない!何故、僕たちは全員で鍋を囲んでいるんだ!」

    「確かに狭いのですね。」

    「だからそうじゃない!」

    僕が言いたいのはなんでお前達がいるかってことなんだ!
    僕はお泊りを許したつもりはないぞ!

    「それより早く食べようよ」

    くそ!ちひろまで…僕の味方はいないのか!?

    「じゃ、食べようか!」

    「「「「「いただきまーーーーす!!!」」」」」

    …………もうどうにでもなれ。

    ───────
    ────────────
    ──────────────────

    僕は今、屋上にいる。

    「へぇ。こんな所にも登れるんだ」

    「ちひろか。ほかの奴らはどうしてるんだ」

    はしごを登ってくるちひろを横目で見ながら
    月を見る。今日は満月だ。

    「色々だよ。お風呂とかおしゃべりとか」

    「そうか。」

    「うん。」

    「……………………」

    「……………………」

    夜風が心地よい。
    それと同じように、この場には心地よい雰囲気が漂う。
    なんだかくすぐったい気持ちだ。

    「ねぇ。」

    「なんだ。」

    「………私さ…後夜祭のバンドの時、翼を見たんだ。」

    なんの話しだ。

    「翼?」

    「…………私、悔しくて……。私だけ…女神がいなかったから恋が叶わなかったんだって…そう思うと悔しくて…。」

    ………女神でもいたのか?
    それとも…まさか歩美達に翼がはえたとか?
    馬鹿馬鹿しい。そんなわけないか。

    「でもね。今はそんなことどうでも良かったんだって気付いた」

    「だってさ…この先ずっと…桂木が一緒にいてくれるからさ」

    やばい…。僕の心臓がバクバクいってるのがわかる。
    なんだってんだ!なんでこんなに…こいつは可愛くなるんだよ!
    普段はそんな予兆を見せないくせに!
    これだからリアル女は困るんだ!

    でも…まぁ…悪くない。

    「ちひろ。お前は僕達のキスを全部覚えてるか?」

    「…へ?………ななな、何言ってるのさ!」

    「僕は覚えてるぞ。初めてのキスは僕が不意打ちをした。2回目のキスはちひろが強引にしてきた。3回目は僕が強引にした。」

    「ややや、やめてよ!恥ずかしいじゃんか!」

    「………まだ、2人が望みあってキスをしてないよな」

    「!!!」

    「……………ちひろ。いいか?」

    暫しの無言………。
    家から聞こえるはずの賑やかな声も聞こえない。
    この世界には、僕とちひろしかいない。
    そんなことすら思ってしまった。

    ちひろは小さく頷くと共に目をつぶった。
    それを確認した僕はちひろの肩に手をおいて
    綺麗な星空と満月の月を背景に

    軽く唇にキスをした。
  18. 20 : : 2015/08/14(金) 15:35:18
    小ネタ
  19. 21 : : 2015/08/14(金) 15:35:22
    小ネタ1 「期待」
    (1話と2話の間の物語)

    ────────────とある喫茶店前

    ちひろ「………『本日休暇日』。」

    桂馬「…………わざとか?」アキレ

    ちひろ「そんなわけないでしょ!?」

    桂馬「………なら馬鹿か?」

    ちひろ「ただ、休みだってこと忘れてただけだっつの!」ムスッ

    桂馬「まぁいい。それより他に行くあてはあるのか?」

    ちひろ「…………ない。」ボソ

    桂馬「………………………はぁ、仕方無い。僕の家に来い。」

    ちひろ「…………………はぁ///!?」カァッ

    桂馬「仕方無いだろ。他に場所がないなら。」

    ちひろ「そうかも知れないけどさぁ!なんでまたあんたの家なのさ!」

    桂馬「僕の家は喫茶店をやってるからな、茶ぐらいならいいのが出せる」

    ちひろ「!…………あそ、なら行こ。」

    桂馬「ああ、そうしよう。」スタスタ

    ちひろ「(…………少しだけ期待しちゃったじゃんか!)」スタスタ


    小ネタ2 「登校」
    (2話と3話の間の物語)

    ───────────帰る前にて

    ちひろ「ねぇ、桂木。」

    桂木「なんだ?」

    ちひろ「その…さ…明日からさ………その…一緒に登校しない?」カァッ

    桂木「なんだ、そんなことか」

    ちひろ「そ、そんなことって何さ!」クワッ

    桂木「そんなことを言わなくとも、一緒に登校するつもりだ。」

    ちひろ「な、何言ってるのさ!ばーーーか///!」プイッ


    小ネタ3 「桂木が買ってくれるから」
    (5話と6話の間の物語)

    ────────────コンビニの外にて

    桂馬「…そんなに落ち込むことか?」

    ちひろ「落ち込むよ!だって肉まんどころかなにも無かったじゃんか!」

    ちひろ「すっごく楽しみにしてたのに…。」イジイジ

    桂馬「……そんなに肉まんが好きなのか?」

    ちひろ「ん?あ、うん。好きだよ?でもさ、それよりも桂木が買ってくれる肉まんだから凄く楽しみにしてたんだ。」ショボ-ン

    桂馬「…………………たい焼きでも買いに行くか」ボソ

    ちひろ「ほ、本当!?や、やった!ありがと!桂木!」ブンブン

    桂馬「お、おい!腕が伸びる!」

    ちひろ「ほら!さっさと行くよ!」グイッ

    桂馬「おい!引っ張るな!」

    ちひろ「ふふっ」

    桂馬「(………たい焼き1つでこの笑顔になれるのか………また今度も買ってやるか)」


    小ネタ4 「選ぶ楽しさ?」
    (小ネタ3の続きの物語)

    ─────────────たい焼き屋にて

    ちひろ「どれにしようかな〜♪」ルンルン

    桂馬「………へぇ、こんなに種類があるのか」

    ちひろ「うん。迷っちゃうよね〜♪」ルンルン

    桂馬「(………凄く楽しそうだな。)」
  20. 22 : : 2015/08/14(金) 15:36:34
    小ネタ5 「満足?」
    (6話と7話の間の物語)

    ──────────────キス直後

    ちひろ「………えへへ///」テレテレ

    桂馬「満足したか?」

    ちひろ「まだ満足してないけどこれで許してあげるよ」ニコニコ

    桂馬「その割には凄く笑顔だけどな」

    ちひろ「……………」ム-

    桂馬「なんだ?」

    ちひろ「…………仕方ないじゃんか。好きな人からのキスなんだもん」ボソボソ

    桂馬「(満足したなら満足と言えばいいだろう)」


    小ネタ6 「不公平」
    (7話と8話の間の物語)

    ───────────────家にて

    桂馬「待て!僕は認めないぞ!」クワッ

    歩美「なんで?」キョトン

    桂馬「なんでって、こんな人数が一斉に泊まったら迷惑だ!」

    結「まぁまぁ、いいじゃないか!ボク達をこんな時間に帰すのも忍びないでしょ?」ヤレヤレ

    桂馬「自分で言うな!それに天理の家もあるだろ!」

    天理「ディアナが、駄目だって………。」ボソボソ

    桂馬「なんでディアナが決めるんだよ!ってかのん!お前はスケジュールの方は大丈夫なのか?」

    かのん「あ、うん。大丈夫だよ。」ニコッ

    桂馬「なんでこういう時に限ってかのんは暇になるんだ!それで、栞は帰らなくても大丈夫なのか?」

    栞「………………」コクン

    桂馬「月夜は?」

    月夜「私は桂馬と一緒にいたいのですね。」

    桂馬「あ、そうですか」テレテレ

    ハクア「何照れてんのよ」

    桂馬「五月蝿い!僕は押しに弱いんだ!それになんでハクアまでいるんだよ!」

    ハクア「悪い?」

    桂馬「ああ、悪いね!大迷惑だ」

    エルシィ「まぁまぁ、にーさま。落ち着いて下さいよ」

    桂馬「落ち着けるか!」

    ちひろ「私はいいでしょ?」

    桂馬「もちろんだ」

    「「「「「「不公平(よ)(なのですね)(だよ)(じゃない)(じゃん)!!!!!!!」」」」」」


    小ネタ7 「優しいキス?」
    (8話後の物語)

    ───────────────キス直後

    ちひろ「………桂木ってさ。結構キス優しいよね」カァッ///ウツムキ

    桂馬「な、何を言い出すんだ!」カァッ///

    ちひろ「なんかさ…大切にしてくれてるんだなって思ってさ……その、嬉しいよ///」プイ

    桂馬「そ、そうか!なら、その良かったな」ソワソワ

    ちひろ「良かったなって……他人事じゃないからね?」

    桂馬「わかってる。けど恥ずかしいだろ?」

    ちひろ「そういえば桂木ってそういうのに弱かったんだっけ」

    桂馬「………悪いか?」

    ちひろ「ううん。むしろ安心するよ」

    桂馬「安心?」

    ちひろ「うん。ちゃんと心があるんだなって。あ、悪い意味じゃないよ?」

    桂馬「……………そうか」

    ちひろ「だから、もう一回キスしようか!」

    桂馬「まて、何故そうなる!話しも繋がってないぞ!」

    ちひろ「細かいことは気にしない!ほら、いくよ」チュッ





    エルシィ「(……にーさま達はみんなが見てること知ってるのでしょうか…。)」チラ

    歩美「………………………」ギリギリ
    かのん「夢だ。そう、夢だよ」ブツブツ
    栞「…………………」チ-ン
    月夜「……仕方ないのですね」ボソッ
    結「(まだ僕は諦めてないからね桂馬君!)」
    ディアナ「…………桂木さんの不潔」ボソッ
    ハクア「大丈夫よ。敗者復活戦はあるはず」ボソボソ


    エルシィ「…………………にーさま」ボソッ

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