このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
この作品は執筆を終了しています。
エレン「結局俺は、化け物なんだな…」
- 
                  - 1 : : 2015/06/24(水) 02:44:51
- 東京喰種と進撃の巨人のクロスと言う、またもやn番煎じのss
 
 
 独自設定やキャラ崩壊があります。
 ご注意ください。
 
- 
                  - 2 : : 2015/06/24(水) 02:45:19
- ~???~
 高層ビルが立ち並び、数多くの車両が行きかう都会の一角。
 数万の人間が行き交うこの街で、『それ』は起こっていた…
 「ぐふッ…、エレン、カルラ…逃げ…」ガク
 カルラ「エレン!!逃げるわよ!」ダッ
 エレン「待って、母さん!父さんが!」
 カルラ「父さんなら大丈夫!だから走って!」
 「いたぞ!こっちだ!」ダダッ
 「逃がすな!絶対に殺せ!!」ガガガガッ
 カルラ「エレン!早く!!」ダッ
 エレン「う、うん…!」タタッ
 
- 
                  - 3 : : 2015/06/24(水) 02:45:55
- ~~~~~~~~~~~~~~~~
 カルラ「…いい、エレン。母さんが良いと言うまで、絶対にここから出てはダメよ?」
 エレン「う、うん」
 カルラ「良い子ね。母さんはすぐに戻ってくるから、少しの間ここで待っててね」ナデナデ
 エレン「母さん、行っちゃうの?」
 カルラ「ええ、母さんは行かなきゃならないの。…エレン、母さんに何かあっても絶対に声を出したら駄目よ?」
 エレン「え…?」
 カルラ「良い?母さんとの約束よ?」
 エレン「うん。…絶対、戻ってきてね」グスッ
 カルラ「ええ、勿論。母さんは凄く強いんだから、すぐに戻るわ」
 エレン「うん!俺、ここで待ってるから!行ってらっしゃい!」ニコ
 カルラ「…ええ、行ってきます」ダッ
 
- 
                  - 4 : : 2015/06/24(水) 02:46:26
- ~~~~~~~~~~~~~~~~
 エレンと別れた後、カルラはわざと見つかるように姿を見せる。
 赫子を出して戦闘態勢を整えつつ、敵の出方を伺う。
 「見つけたぞ!こっちだ!」
 「漸く追いつめたぞ。SSレート喰種『魔女』!!」
 カルラ「ふふ、そうね。よく頑張ったわ、褒めてあげる」
 「…ッ!貴様ぁ!」
 「油断するなよ、此奴は10年もの間全く捕まるどころか尻尾さえ掴ませなかった様な奴だ…」
 「ええ、分っています。だからこそ、今日、ここで!」
 
- 
                  - 5 : : 2015/06/24(水) 02:47:41
- 叩き付けられる敵意と殺意。
 それらを一身に受けながらも、彼女は余裕の表情を崩さない。
 この日が来ることは分かっていた。
 夫と出会うまでの間、自分は人を殺しすぎた。
 そう、これは罰。そして、自らが負うべき業。それを知っているからこそ、彼女は不敵に笑う。
 カルラ「あら、勇ましい。良いわ、遊んであげる」
 カルラ(とは言っても、私もかなり衰えたわ…。この人数相手に、どこまでやれるかしら…)
 取り囲んでいるのは30人ほど。
 勿論、援軍も大量に用意してあるのだろう。
 「行くぞ!お前ら!」
 カルラ「ハッ!人間風情が、この私に勝てるとでも?」
 だが、ここで引く訳にはいかない。
 自分はどうなってもいい。だが、息子は…
 たった一人の息子だけは、ここで殺させる訳にはいかない。
 そう決意し、彼女は敵の中へ突っ込んでいった――
 
- 
                  - 6 : : 2015/06/24(水) 02:48:57
- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
 エレン(お母さん…)
 
 カルラと別れてから早一時間、未だ7歳の少年にとっては、それが何倍にも感じるほど、その一時間は長く感じた。
 だが、ここを動く訳にはいかない。
 恐らく、今この瞬間も、母はあの捜査官たちと戦っているのだろう。
 そんな中、未だ碌に戦えない自分が行けばどうなるか、其れが分らないほど愚かではなかった。
 若干七歳にしては、些か不釣り合いな程冷静ではあるが。
 
 
 エレン「大丈夫、母さんも父さんも、きっと帰ってくる…!」
 
 エレン(お願いします、父さんと母さんが無事に帰ってきますように…!)
 
 
 そう信じて、少年は祈るように手を合わせる。
 幾ら思考が大人びていようと、所詮は子供。
 今の彼に出来ることは、祈る事だけだった。
 だがその祈りは、唐突に終わりを告げる。
 
- 
                  - 7 : : 2015/06/24(水) 02:52:03
- ドッガアアアアアンンッッッ!!!!
 響き渡る轟音。突き破られる壁。
 どうやら何かが突っ込んできたらしい。
 恐怖で震えながらも、少年は『それ』がある方向を見る。
 エレン「!?」ビクッ
 そして、少年の目に飛び込んでくる一つの情景。
 それはまだ幼い彼を、絶望に叩き落とすには十分なものだった…
 「…う」ピク
 エレン「え…?」
 「はあ…はあ…。クソッ、随分手古摺らせてくれたな…。半数以上やられるとは…」
 「まだ油断するな。恐らく生きているはずだ」
 エレン「あ…あ、ああ…」
 それは傷だらけの母の姿。
 体のあちこちは切られており、口からは血が噴き出していた。
 
- 
                  - 8 : : 2015/06/24(水) 02:53:39
- カルラ「…ゴホッ、はあ…はあ…」
 エレン「母さん!!」ダッ
 カルラ「来てはダメ!」
 エレン「…!」ビクッ
 カルラ「良い、エレン。あなたは今から、ハンネスさんの所へ行きなさい」
 エレン「でも…!」
 カルラ「エレン!言うことを聞きなさい!…大丈夫、母さんもすぐ行くわ」
 エレン「…!」
 大怪我の中それでも笑みを浮かべる母。
 それを見た時、少年は全てを悟った。
 目に涙を一杯にためながら、それでも少年は気丈に振る舞った。
 
- 
                  - 9 : : 2015/06/24(水) 02:54:37
- エレン「母さん…有難う。…またね」グスッ
 カルラ「ええ。…エレン、愛しているわ」ポロポロ
 エレン「…ッ!!」ダッ
 カルラ「さて…と」スッ
 ドゴォッッ!!!
 「「「「!!!」」」」
 「来たぞ!」
 「総員、構え!」
 自分を囲む敵をざっと見渡す。数は20と言ったところか。
 傷は深い。しかし、再生に力を回す余裕などない。
 このまま放置すれば、確実に死に至るだろう。
 カルラ「待たせたね。今から全員、皆殺しよ!!」
 それでも、彼女は引かない。
 自分の子を守るため、夫との約束を果たすため、彼女は最後の戦いに身を投じる――
 
- 
                  - 10 : : 2015/06/24(水) 03:02:40
- ~~~~~~~~~~~~~~~
 エレン「ハッ…ハッ…」ダダッ
 少年は走る。
 母に言われたとおり、必死に走る。
 だが悲しいかな、彼は母への心配を抑えきれなかった。
 一瞬だけ…そう思い、エレンは先程まで母の居た方を見る。
 その瞬間――彼は、全てを思い出した。
 ――母の腕が切り落とされる。
 ――続いて足が切られ、何発もの弾丸が撃ち込まれる。
 ――そして止めに、巨大な刀が母を貫いて…
 
- 
                  - 11 : : 2015/06/24(水) 03:09:04
- エレン「…あぁ」ズキィッ
 
 
 少年は思い出す。
 自分はこの光景を知っている。
 
 エレン「また、これか…」
 
 幾分か違いはあるものの、最終的な部分は変わらない。
 結局自分は、守れないのだ。
 『あの日』と同じ、無残にも殺される母を、遠くから眺めるしかないのだ。
 
 
 エレン「俺に、力が無いから…」
 
 次々と思い出される記憶。
 巨人、壁、仲間、座標、裏切り、親友…
 圧倒的な量の情報が、少年の頭の中を駆け巡る。
 
 エレン「…そうだったな」
 
 エレン「この世界は、残酷なんだ…」
 
 そう呟き、少年は夜の闇に消えた…
 
- 
                  - 12 : : 2015/06/24(水) 03:24:28
- ~数年後 某所~
 ザシュッ…ズガァンッ!!!
 「グッ…くそぉっ!」
 「はあ…、弱いな」
 「貴様如きn…ズシャァッ
 「五月蠅い…。ったく、こんな弱さじゃ喰っても意味無いな」
 「仕方ない、気分転換にコーヒーでも飲みに行くか」
 ~喫茶店 ローゼ~
 カラン、カラン…
 「いらっしゃいませ…何だ、エレンか」
 エレン「おいおい、客に向かってその態度はどうなんだ」
 「うるせえ。ここはお前みたいな奴が来るとこじゃねえんだ」
 エレン「固いこと言うなよ、ハンネスさん。あ、取り敢えずコーヒー」
 ハンネス「おい!…ったく、人の話聞きやしねえ。一寸前までの純粋なお前はどこ行ったんだか…」
 
- 
                  - 13 : : 2015/06/24(水) 03:32:22
- エレン「そりゃ、アンタの妄想だ。純粋な俺なんていねえよ」
 ハンネス「はいはい…。ほらよ、コーヒー」
 エレン「おう、有難うな」ズズッ
 エレン「ふう、やっぱハンネスさんのが一番うめえな」
 ハンネス「どうも。…それで、今日は何しに来たんだ?」
 エレン「うん?」
 ハンネス「惚けるんじゃねえ。お前が何の用もなしに家に来ることなんざねえだろ。言え、何の用だ?」
 エレン「いや、今日は本当に大した用じゃねえよ。一寸した気分転換のついでに、なんか面白い情報無いかなって思っただけで」
 
- 
                  - 14 : : 2015/06/24(水) 03:49:12
- ハンネス「ほら、やっぱり有るじゃねえか」
 エレン「だからついでだって言っただろ。本命はあくまで気分転換だ」
 ハンネス「そうかよ…」
 そう言って、彼はポケットから煙草とライターを取り出す。
 煙草に火を付け、大きく吸ってゆっくりと煙を吐き出す。
 その仕草に、エレンは僅かに表情を変える。
 彼がこうする時は、決まって何か面白いもの(情報)がある時だからだ。
 彼はエレンの育て親であり、両親亡き後、エレンは彼に面倒を見てもらっていた。
 人間でありながら、喰種である彼を受け入れたことに関しては、エレンは未だ感謝している。
 だがそれ故に、エレンは彼の事をよく知っている。
 喫茶店の店主と言うのは、彼の表の顔に過ぎないということも。
 彼は情報屋であり、裏ではかなり名の通った存在であるということも。
 エレンは非常によく知っていた。
 
- 
                  - 15 : : 2015/06/24(水) 03:52:34
- ちょっと寝ます。
 感想、ご意見等お待ちしてます。
 
- 
                  - 16 : : 2015/06/24(水) 11:32:13
- 期待!
 
- 
                  - 17 : : 2015/06/24(水) 21:56:06
- CPはありますか?
 有りでしたエレクリでお願いしますm(_ _ )m
 東京喰種×進撃の巨人のssは好きなので期待!
 
 
- 
                  - 18 : : 2015/06/24(水) 22:08:23
- ↑すみません!間違えました!
 CPはありますか?
 有りでしたらエレクリでお願いしますm(_ _ )m
 東京喰種×進撃の巨人のssは好きなので期待!
 
- 
                  - 19 : : 2015/06/25(木) 03:44:11
- 期待
 
- 
                  - 20 : : 2015/06/25(木) 08:19:12
- 頑張って下さい応援してますよー
 
- 
                  - 22 : : 2015/06/25(木) 13:54:57
- エレン「お、その態度は期待してもいいのか?」
 ハンネス「ふう…。ま、お前の事だから黙ってても意味ねえだろうなあ…」
 エレン「?」
 ハンネス「まあいい。エレン、CCGを知ってるよな?」
 その言葉に、エレンの表情がわずかに曇る。
 CCG―喰種対策局。文字通りこの国における対喰種集団。
 そして、エレンの両親を殺した存在でもある。
 エレン「そりゃあな。んで、そいつらがどうした?」
 ハンネス「連中の喰種研究所の所在地に関する情報が入った」
 
- 
                  - 23 : : 2015/06/25(木) 14:04:34
- エレン「へえ…。そいつは珍しい」
 ハンネス「ああ。何でも、最近あった戦闘でかなりの喰種が捕まったらしくてな。研究所にもかなりの個体が贈られたらしい」
 エレン「ああ…それで物流の方面から割れたってことか」
 ハンネス「まあ、そう言うこった。で、どうする?」
 エレン「んー…。まあ、様子見ぐらいはしてみるか」
 ハンネス「そう言うと思った。ほら、住所と地図だ」
 エレン「おお!流石、仕事が早いな!」
 ハンネス「黙ってろ、クソガキ。…まあ、気を付けろよ」
 エレン「分ってる。罠の可能性もあるんだろ?何だかんだ優しいよな」
 ハンネス「うるせえ。ほら、用が済んだらさっさと帰れ」シッシッ
 エレン「はいはい。またな、ハンネスさん!」ガチャ
 ハンネス「はいよ。せいぜいくたばらん様に頑張れよ!」
 ハンネス「ったく、誰に似たんだか…」
 
- 
                  - 24 : : 2015/06/25(木) 14:14:35
- ~夕方 某所~
 エレン「よっと…」
 ハンネスと別れてから数時間後、エレンは早速その建物に侵入していた。
 表向きは唯の商業ビルだが、どうやら地下に研究施設があるらしい。
 エレン「~♪」
 呑気に鼻歌を歌いながら、エレンは侵入の準備を進める。
 元々半喰種の彼には、喰種判別機のような類は効かない。
 よって一般人が入れる大抵の場所には行けるエレンであるが、今回は違う。
 今回は、その一般人すら容易に入れるような場所ではないのだ。
 よって、正面から入るわけにはいかない。
 故に、彼は地下から入ることにした。
 
- 
                  - 25 : : 2015/06/25(木) 14:22:15
- エレン「ふう、侵入成功」
 
 
 侵入自体は、難なく成功する。
 それもその筈、エレンは赫子を使い、壁に穴をあけて侵入したのだ。
 大きな音も立てず、必要最低限の穴だけを開けるその様は、エレンの赫子の扱いの上手さを表していた。
 
 
 エレン「えっと、まずは警備を潰しておくか」
 
 
 そう言って、エレンは警備室の場所を探す。
 優れた聴覚を頼りに、エレンは建物の構造を把握しつつ、目的地を目指す。
 
 
 エレン(地下は三階か…恐らく一番下が研究施設だな。さて、どんな研究が行われていることか)
 
 
 そのような事を考えつつ、エレンは建物の散策を始める。
 
- 
                  - 26 : : 2015/06/25(木) 15:34:03
- エレン(おっと、警備室はこの下か。意外と近くて助かった)
 
 
 色々考えながら散策するうちに、どうやら目的の場所に着いたらしい。
 階と階の間を匍匐前進で進みつつ、下の様子を伺う。
 暫く伺っていると、警備の人間が数人入れ替わった。
 
 
 エレン(お、メンバーの交代か。よし!)
 
 
 それを見たエレンは速やかに行動を開始する。
 音もなく天井を外し、軽やかに着地。
 そのまま、目にも止まらぬ速さで警備員全員を気絶させる。
 持っていた道具で手足を拘束。そのまま隅に転がしておく。
 
 
 エレン「さて」
 
 
 一仕事を終え、エレンは辺りを物色する。
 そのまま、施設の地図や必要な情報を奪い、最終目的地へと向かった。
 
- 
                  - 27 : : 2015/06/25(木) 15:45:12
- ~CCG喰種研究施設 最下層~
 エレン「ここか…」
 エレンは目的の場所へと到達していた。
 ドアに耳を当て、中の様子を伺う。
 エレン(研究員が数人…後は被実験体か)
 どうやら絶賛実験中らしい。
 中からは苦しげなうめき声や、悲鳴が聞こえる。
 エレン「チッ…」
 一瞬、怒りに似た衝動に襲われるも、ぐっと堪える。
 深呼吸をして自身を落ち着かせ、エレンはその部屋に侵入した。
 
- 
                  - 28 : : 2015/06/25(木) 16:14:21
- 侵入は一瞬。
 部屋に入るなり、エレンは一番近くにいた研究員へ飛び掛かる。
 手刀で気絶させ、そのまま次の目標へ。
 音を立てず、対象にすら気づかせない。
 暗殺者顔負けの絶技により、研究員は5秒もかからず沈黙する。
 エレン「ふう…」
 先程と同じように研究員を拘束し、エレンは辺りを見回す。
 付近には様々な装置が置かれている。
 奥には巨大なガラスケース。恐らくあの中に喰種が居るのだろう。
 エレン「えーっと…ほう、色々な研究をしてるみたいだな」
 エレン「喰種の生態、なぜ人を食べるのか、Rc細胞…ああ、やっぱり一番はこれか」
 エレン「『喰種の殺害方法』…ま、これだよなあ」
 
- 
                  - 29 : : 2015/06/25(木) 16:21:40
- エレン「うん、予想通りか…」
 エレンは呟く。
 そう、ここは喰種の弱点について研究している場所。
 となれば、ここにいる喰種達は遅かれ早かれ殺されるのだろう。
 エレン「面倒くせえけどなぁ…」
 エレン「ま、見捨てるのも気持ち悪いし。仕方ないか」
 そう言って、エレンは手近なガラスケースに近づく。
 ケースに入れられているのは5人ほど。
 年はエレンと変わらないようだ。
 エレン「さて…おい、助けに…」
 
- 
                  - 30 : : 2015/06/25(木) 16:32:59
- と、エレンは唐突に言葉に詰まった。
 ケースの中には、金髪と黒髪の少年少女が二人づつ。
 有毒なガスでも吸わされたか、苦しそうにもがいている。
 ――それはまだ良い。
 ここは喰種の研究所だ。
 傍から見れば外道な実験など平気でやるだろう。
 それは分かりきったことだ。
 エレン「何で…お前らが…」
 故に、エレンが驚愕したのはそこではない。
 エレンが驚愕したのは、そこに入れられている少年達の事を、
 自 分 が 明 ら か に 覚 え て い た か ら だ。
 と、不意に此方に気が付いたらしい少女が、焦点の合っていない目を向けて呟いた。
 「え…れ…ん…?」
 
- 
                  - 31 : : 2015/06/25(木) 16:39:12
- エレン「!?」
 それに伴い、残りのメンバーもエレンに目を向ける。
 どれも見覚えのある…否、忘れようのない顔ぶれが、そこにあった。
 「動くな!!」
 不意に背後から声が聞こえる。
 どうやら気付かれていたらしい。俄かに騒がしくなってきた。
 「お前は包囲されている。大人しく投降しろ!!」
 突きつけられる無数の銃口。
 数多の敵意が、自分に向けられているのを感じる。
 だが今のエレンにとって、そんなことはどうでも良かった。
 
- 
                  - 32 : : 2015/06/25(木) 16:47:01
- エレン「クッ…はははッ…」
 エレン「ははははははははははっ…」
 唐突に笑い出すエレン。
 見ている者たちにとっては訳が分らなかったが、エレンにとって、これは笑い事だった。
 否、『笑わずにはいられなかった』
 エレン「そうかよ!そうなるのかよ!『前に』化け物だったから、『今回も』化け物ですってか?はははッ…」
 エレン「結局俺は、化け物だったってことか!はははははッ…」
 一頻り笑った後、エレンは力なく項垂れる。
 その瞳には、次第にある感情が宿り始めていた。
 エレン「…けんな」
 エレン「ふざけんじゃねぞッ!!!」
 
- 
                  - 33 : : 2015/06/25(木) 16:52:54
- ドゴオンッッ!!
 あたり一帯に轟音が響き渡る。
 エレンが、被検体が入れられているケースを思い切り殴ったのだ。
 喰種の筋力をフル動員して放たれたその一撃は、巨大なケース一面にひびを入れた。
 「なっ…!?」
 「馬鹿な!?あのガラスは喰種でも壊せないような特注品の筈!」
 後ろが何やら騒がしいがどうでもいい。
 続いてもう一発拳を叩き込めば、ひびだらけだったケースは容易く砕け散った。
 そのまま、中へと侵入する。
 「よう、エレン。久しぶり…だな…」
 
- 
                  - 34 : : 2015/06/25(木) 17:06:27
- 期待!
 ケースの中は、ベルトルトと、アニかな?
 
- 
                  - 35 : : 2015/06/25(木) 18:12:42
- 期待!
 
- 
                  - 36 : : 2015/06/25(木) 19:00:19
- 金髪の少年が話しかけてくる。
 『今回』、エレンは彼等と初対面のはず。
 なのに何故、エレンの事を知っているのか。
 答えは単純。
 彼等も、エレンを知っているのだ。
 より正確には『覚えている』と言った方が正しいのだろうが。
 エレン「ああ、久しぶりだな…ライナー」
 エレン「アニもベルトルトも、ユミルも久しぶり。元気そう…ではないな」
 喋りかけるが、返事はない。
 恐らく、意識が無いのだろう。
 それもその筈、彼等は拷問とも言える実験を何回も受けていたのだ。
 未だに意識を保っているライナーが異常なのだ。
 
- 
                  - 37 : : 2015/06/25(木) 19:08:15
- ライナー「エレン…俺達は良い。早く…逃げ…ろ…!」
 ライナー「俺達は…人を殺しすぎた…。これは…その罰何だろうさ…だから…」
 息も絶え絶えに、ライナーが話しかける。
 殺しすぎたとは、『前回』の事を言っているのだろう。
 だが、エレンはライナーの言う事を聞くつもりはなかった。
 エレン「五月蝿いぞ、ライナー。言われなくても俺は逃げる。ただし…」
 エレン「お前らも一緒にだ」ズアッ
 そう言うと同時、エレンの背中から左右四本、計八本の赫子が出現する。
 更には、腰の尾てい骨辺りからも、蜥蜴の尾のような赫子が出現した。
 
- 
                  - 38 : : 2015/06/25(木) 19:18:49
- 「なっ!?」
 辺りが驚愕に包まれる。
 それもその筈、通常、赫子は一人につき一種類しか持たない。
 にも関わらず、エレンは二種類の赫子を出現させた。
 ライナー「エレン…お前…」
 エレン「良いか、ライナー」
 エレン「確かにお前達は、許されない罪を犯した。お前等のせいで、沢山の人が死んだ」
 エレン「だが、それは『前』の話だ。ずっと昔の、過去の事なんだ。もう終わった事なんだよ」
 エレン「俺達は、『今』を生きてる。『前』がどうなのか何て関係無い。大切なのは、これからどうやって生きるかだ」
 エレン「だからさ、何て言うか…ほら、もうちょい前向きに生きようぜ」
 
- 
                  - 39 : : 2015/06/25(木) 19:35:02
- ライナー「エレン…」
 エレン「『前』を忘れろとは言わない。全く気にするなとも言わん。だが、お前等にも生きる権利はあるんだ。少しは楽しまなきゃ、損ってもんだ」
 ライナー「…そうか…そう言うものか」
 エレン「ああ、そんなもんだ。ま、取り敢えず話は後だ。まずはここから逃げるぞ」
 そう言うが早いか、エレンは八本の内五本の赫子を使い、ライナー達を回収する。
 離さないようにしっかりと五人を掴み、エレンは此方を囲む捜査官達を一瞥する。
 エレン「さて、一度しか言わんぞ。殺されたくなければ其処をどけ」
 「!!」ジャキ…ジャキジャキ
 返事はない。
 代わりに、幾つもの銃を向ける音が響く。
 エレン「そうか…残念だ」
 
- 
                  - 40 : : 2015/06/25(木) 19:46:07
- 瞬間、エレンから凄まじい殺気が放たれる。
 それはまるで獣の如く。
 余りの殺気に、捜査官達は一瞬怯む。
 エレン「!!」ズバッ
 「!?」
 そして、その隙を逃がすエレンではない。
 瞬く間に、その場にいた捜査官全員の武器を破壊する。
 その速度は疾風の如く。人間である捜査官に見えるスピードではない。
 「馬鹿な?!」
 「速すぎる?!」
 周囲の困惑も何のその。
 捜査官達を無力化したエレンは姿勢を低くし、スタートダッシュの体勢をとる。
 捜査官達がそれに気づくがもう遅い。
 エレン「シッ…!」ドゴンッ!!
 轟音を響かせ、エレンは前方に跳躍した--
 
- 
                  - 41 : : 2015/06/25(木) 19:51:33
- ここで痛恨のミス!
 >>39で、五本とか五人とか言っちゃってますが、四本と四人に訂正お願いします。
 
- 
                  - 42 : : 2015/06/25(木) 19:58:47
- 面白いです!
 
- 
                  - 44 : : 2015/06/25(木) 20:52:21
- 頑張ってください。
 
- 
                  - 45 : : 2015/06/25(木) 22:35:46
- 期待!
 
- 
                  - 47 : : 2015/06/26(金) 16:12:44
- 期待!
 
- 
                  - 48 : : 2015/06/26(金) 16:15:33
- 前方に跳躍したエレンは、そのままの勢いで廊下を突き進む。
 その様、まさに獣の如く。
 余りの速さに、彼の通った後には壮絶な破壊跡が残った。
 「き、来たぞっ!!」
 「撃て!ここで足止め…グアッ!」
 途中、何人もの武装した捜査官が立ちはだかる。
 が、それでも意味はない。
 一つの弾丸と化したエレンは、閃光の如く突き進む。
 エレン「…ハアッ!!」シュバッ
 「ウグッ!」
 「ぎゃあああ!!」
 赫子を一閃。
 それだけの動作で、数人の捜査官を無力化する。
 全く勢いを緩めず、エレンは一つ上の階へと到達した。
 
- 
                  - 49 : : 2015/06/26(金) 16:21:30
- エレン「…!」
 「構え!!」
 「「「「「…」」」」」ジャキンッ
 地下二階へ到達したエレンを待ち受けていたのは無数の銃口。
 先程よりも数倍の人数が、その階へ集結していた。
 中には、専用のクインケを持った捜査官もいる。
 エレン(…)
 「撃てえ!!」
 バババババババババッッッ!!!!
 放たれる無数の弾丸。
 その弾幕は、一つの壁となってエレンを襲う。
 …が、それでもエレンは止まらない。
 
- 
                  - 50 : : 2015/06/26(金) 16:30:55
- 自由に使える四本の赫子を前面に展開。
 銃弾への盾とし、抱えている四人に当たらないようにする。
 そのまま体を反転、遠心力を利用し体を回転。
 尾赫を使い、回転に合わせて敵全体を薙ぎ払う―!
 エレン「その程度で、俺が止まると思うなよッ!!」ブンッ
 ズガガガガガッッッッ!!!!!
 「「「「「ぐああああッッ!!!」」」」」
 文字通りの一掃。
 尾赫の強力な一撃は、その一振りで勝敗を決した。
 五十人近い捜査官を瞬く間に倒したエレンは、そのまま上へ向かおうとする。
 しかし…
 エレン「扉が閉じているな」
 
- 
                  - 51 : : 2015/06/26(金) 16:35:01
- 期待!
 
- 
                  - 52 : : 2015/06/26(金) 16:46:12
- 上の階へと続く扉は、すべて閉鎖されていた。
 恐らく、対喰種用の特別製なのだろう。
 エレン(殴って破れん事も無いが、時間が勿体無い…)
 エレン(ならば仕方ない、『あれ』を使うか…)
 ふう、と息を吐く。
 そのまま目を閉じ、精神を集中させる。
 エレン「はあああぁぁぁぁッッ!!」
 バキッ…メキッ…
 変化は劇的だった。
 エレンの赫子が激しく胎動したかと思うと、全身を覆うように包み込んでいく。
 顔、腕、体、足、全身を隈なく覆っていくエレンの赫子。
 それは正しく、赫子の鎧。
 全身を赫子が覆い終わると、そこには先程のエレンとは似ても似つかぬ、巨大な怪物が立っていた。
 
- 
                  - 53 : : 2015/06/26(金) 17:53:29
- 期待!
 
- 
                  - 54 : : 2015/06/26(金) 18:01:33
- >>53
 ありがとうございます
 
- 
                  - 55 : : 2015/06/26(金) 18:15:05
- 赫者だぁーーーーーー!!!!
 
- 
                  - 56 : : 2015/06/26(金) 18:16:56
- 期待です!
 
- 
                  - 57 : : 2015/06/26(金) 18:23:05
- そう、その姿こそ俗に赫者と呼ばれる者。
 数多の同胞を喰らい、その力を蓄え続けた果ての姿。
 強靭な肉体と、驚異的な精神力の二つを持って、初めて至ることの出来る王の形。
 その腕と爪は獣の如く敵を引き裂き…
 背に生えた鱗赫は、死神の鎌の如く敵を刈り取る。
 体を覆う赫子は鎧の如く敵の攻撃を弾き…
 その尾は並みいる敵を叩き潰す。
 これが後に語られる、隻眼の死神であった……
 「……」シュュウゥゥゥッッ
 赫者となったエレンはゆっくりとした動作で上を向く。
 赤黒い赫眼を動かし、天井に狙いを定める。
 「シッ!!」
 ドッッッ!!!!!
 次の瞬間、エレンは巨体を僅かに静め、思い切り跳躍した。
 
- 
                  - 58 : : 2015/06/26(金) 18:29:27
- 面白いです!
 
- 
                  - 59 : : 2015/06/26(金) 19:22:23
- ~同時刻 研究施設一階~
 「問題の喰種はどうなっている?」
 「ハッ!現在目標は地下二階に居る模様!」
 「全ての階段、及び出入口の封鎖は完了しています。逃げられることは無いかと」
 「よし、特等が来るまで絶対に逃がすなよ」
 「「了解!」」
 「ふん、どんな喰種か知らんが逃げられると思うなよ…!」
 ガタガタガタガタ……
 「何だ?地震か…?」
 ドッッガァァァンンッッ!!!
 「「なっ…?!」」
 突然の爆音。
 続いて爆風と瓦礫が、地上にいた捜査官達に襲い掛かる。
 激しい土煙の中、『そいつ』は悠々と現れた。
 「……」シュュウゥゥゥ
 
- 
                  - 60 : : 2015/06/26(金) 19:47:45
- 「なっ!?こいつは…!」
 「ヒイィ!?」
 「うわぁぁぁッッ?!」
 「赫者…だと…!?」
 「……」フシュゥゥゥ
 予想外の来襲に混乱に陥る捜査官達。
 そんな中でも、指揮官である彼だけは冷静だった。
 (こいつ…床をぶち抜いて来やがったのか…!?チィッ、だが逃がさん!)
 「おい!狼狽えるな!敵を見ろ!」
 指揮官の激により、周囲の捜査官も落ち着きを取り戻す。
 だが時すでに遅し。
 エレンは既に、逃走体勢に入っていた。
 「■■■■■ッッッッ!!!!」
 「「!?」」ビリビリ
 辺りを震わせる様な咆哮を上げ、その巨体に似合わぬ速さで跳躍する。
 一飛び数十メートルもあろうかと言う大ジャンプを見せ、エレンは何処かへと消え去った…
 
- 
                  - 61 : : 2015/06/26(金) 20:25:45
- 今更で申し訳ないのですが、隻眼の死神って渾名、既に別の方のSSで使われてましたね。
 本当すいません。
 と、言うとこで別の渾名考えます。
 …良い案ある人とかいます?
 
- 
                  - 63 : : 2015/06/26(金) 20:35:23
- 隻眼の神
 
- 
                  - 64 : : 2015/06/26(金) 21:11:12
- 隻眼の狩人
 
- 
                  - 65 : : 2015/06/26(金) 23:12:14
- 隻眼の悪魔
 
- 
                  - 66 : : 2015/06/26(金) 23:29:40
- 期待!
 
- 
                  - 67 : : 2015/06/26(金) 23:35:05
- 期待!
 
- 
                  - 69 : : 2015/06/26(金) 23:43:48
- 頑張ってください。
 
- 
                  - 70 : : 2015/06/26(金) 23:52:26
- 赫子が体を覆い尽くす…  カッコイイめっちゃ期待です!
 
- 
                  - 71 : : 2015/06/27(土) 00:38:07
- 期待!
 
- 
                  - 72 : : 2015/06/27(土) 16:23:21
- とても面白い、ので、期待
 
- 
                  - 73 : : 2015/06/28(日) 00:16:46
- 期待!
 
- 
                  - 74 : : 2015/06/28(日) 01:19:01
- 続きはよ
 
- 
                  - 75 : : 2015/06/28(日) 23:40:42
- 期待です!
 
- 
                  - 76 : : 2015/06/28(日) 23:49:42
- 期待!
 
- 
                  - 78 : : 2015/06/29(月) 12:46:18
- 少女がその『記憶』を思い出すようになったのは、物心がついたあたりだった。
 明らかに今の自分と異なる『記憶』。
 それに戸惑わなかったのは、思い出す速度がひどくゆっくりだったからだろう。
 少しづつ思い出されていく『記憶』が、恐らく前世の自分のものなのだと感付いたのは、確か10歳くらいだったか。
 始めの頃は、少しづつ思い出される前世の記憶とやらに少しわくわくしたのを覚えている。
 だが突然やってきた人間に家族を殺され、実験と言う名の拷問に掛けられた時から、それは耐え難い苦痛に変わった。
 そう、思い出してしまったのだ。
 『前』の自分が犯した罪を。
 その世界では、自分は唯の人殺しだった。
 自分の目的のために、人を殺し、友人を騙し、仲間を攫う様な、どうしようもない悪党だったのだ。
 故に、実験台にされながら彼女は思った。
 ああ、これは自分にとっての罰なのだ。
 人を沢山殺してきた自分には、相応しい末路なのだと。
 ―そう、自分を納得させようとした。
 
- 
                  - 79 : : 2015/06/29(月) 12:59:06
- 「…やっぱり、無理だよ」
 何回目の実験の時だったか、少女はぽつりと呟いた。
 すぐ近くには、自分と同じように横たわっているのが三人ほど。
 一人は知らないが、後二人については、自分はよく知っている。
 出会ったのはここに来てからだが、『前』の記憶は容赦なく二人について思い出させた。
 「私は、そんなに強い人間じゃないんだ…」
 他の二人は、罰として受け入れているらしい。
 だが自分は違う。
 悪いのは自分だ。それは分かっている。
 罪を犯したのも自分だ。それも分っている。
 だが、それでも…
 「怖いんだ…」
 「ねえ、助けてよ。お願い、誰でもいいから…」
 そう願って、少女は手を伸ばす。
 どうせ掴むものなんて無い…そう思って伸ばされた手は、不意にがっしりとした温もりに捕まれた。
 一瞬驚くが、それでもその温もりをしっかりと握りしめる。
 もう離さぬように、決して届かぬ所に行かぬように…
 「ああ…やっぱりあんたなんだね…」
 その温もりを感じながら、彼女の意識は覚醒に向かう――
 
- 
                  - 80 : : 2015/06/29(月) 13:09:05
- 「…!」
 エレン「お、眼覚めたか。具合はどうだ?」
 「え、あ、うん…大丈夫」
 エレン「そうか、お前以外は皆起きてるぞ。立てるか?」
 「うん、何とか…」
 エレン「よし、なら来いよ。一応飯も用意してるから」
 「あ…」
 そのまま手を引かれて移動する。
 寝室のドアを開けリビングに入ると、見知った顔が飛び込んできた。
 「おう、起きたか」
 「お、おはよう」
 「お~お~、手なんか繋いじゃって、熱いね~」
 言われて漸く気が付く。
 思えば、目が覚めてからずっと手を繋いだままだった。
 顔を赤くしながらも、多少乱暴に手を振り払う。
 
- 
                  - 81 : : 2015/06/29(月) 13:51:42
- 期待!
 面白いです!
 
- 
                  - 82 : : 2015/06/29(月) 14:04:40
- 期待しかない
 
- 
                  - 83 : : 2015/06/29(月) 14:35:56
- エレン「ん?何だ、もういいのか」
 「うん、もういいから」
 「お?照れてんのか?」
 「…チッ」
 「おお怖い。そんなに切れんなよ」
 「その辺にしておけ。と言うか、お前も人の事言えんだろ。目が覚めた時、泣きながら…」
 「だあああッ!!分かった!もう言わねえよ。だからお前も黙ってろ」
 エレン「おい、お前等。全員揃ったんだ。そろそろこれからについて、話していくぞ」
 「「「「…」」」」
 エレン「まずは…自己紹介でもするか。お互い知ってる間柄ではあるがな」
 エレン「俺はエレン。エレン・イェーガー。人間の親父と喰種の母さんとの間に生まれた、所謂半喰種だ」
 
- 
                  - 84 : : 2015/06/29(月) 14:48:22
- 「…お前」
 「ってことは隻眼か。実在したんだな…」
 エレン「まあな。後は…一応、赫子は尾赫と鱗赫の二種類…くらいか」
 こんなもんだろ、とエレンは自己紹介を終える。
 それに呼応して、まずは金髪の少年が口を開いた。
 それに続き、黒髪の少年、少女、そして金髪の少女が口を開く。
 「俺はライナー・ブラウン。生粋の喰種だ。赫子は甲赫。両親は殺された。えー、これ位か」
 「僕は、ベルトルト・フーバー。同じく喰種だよ。僕の両親も殺された。赫子は、鱗赫。よろしくね」
 「私は、ユミル。喰種だ。赫子は尾赫。両親はもういない。以上だ」
 「アニ・レオンハート。喰種。羽赫。両親は死んだ」
 エレン「おう、ありがとよ。んでお前ら、改めて、『久しぶりだな』」
 自己紹介が終わった後、エレンは笑顔で話しかける。
 それに一瞬面食らった四人だが、すぐにこう返した。
 「「「「ああ、久しぶり。エレン」」」」
 
- 
                  - 85 : : 2015/06/29(月) 15:21:06
- エレン「さて、色々聞きたいこととかあるだろうが、まず喰え」
 ライナー「お、おお。これ肉か」
 エレン「ああ、知り合いに頼んで特別に譲ってもらった。自殺した奴のだから、あまり考えなくていいぞ」
 ベルトルト「な、なら…」
 ユミル「おお、ありがとな、エレン」
 エレンの言葉に、躊躇いがちに肉に手を伸ばす一同。
 だが口に入れた瞬間、一心不乱に食べ始めた。
 余程腹減ってたんだなー、などと考えつつ、エレンはそんな彼らを優しく見つめる。
 ライナー「ふう、ご馳走様。有難うな、エレン」
 エレン「気にすんな。さて、腹も膨れたところで、ちょっと真面目な話でもするか」
 エレン「と、言っても俺からは特に言う事は無いんだけどな。要は、お前らはどうしたいかってことだ」
 
- 
                  - 86 : : 2015/06/29(月) 15:45:31
- 期待!
 面白いです!
 
- 
                  - 87 : : 2015/06/29(月) 16:04:33
- 期待しかありえない
 
- 
                  - 88 : : 2015/06/29(月) 21:01:44
- アニ「…」
 ベルトルト「…」
 ライナー「…」
 エレンの言葉に押し黙る三人。
 それも当然だろう。エレンもだが、彼らはまだ幼い。
 『前』の記憶のお蔭で、通常よりも大人びて見えるが、それでも彼らはまだ子供なのだ。
 いきなり将来について考えろと言われても、具体的な展望があるわけがない。
 そんな中、ふとユミルが口を開いた。
 ユミル「なあ、エレン。お前はどうやって生活しているんだ?」
 エレン「俺?」
 ユミル「ああ、見たところひとりで暮らしてるっぽいが…」
 エレン「ああ、俺も一人暮らしだ。お前らと同じで、両親は死んでるんでな」
 エレン「生活に関しちゃ、別に苦労はしてないな。知り合いがいるし、金に関しては当てがある」
 
- 
                  - 89 : : 2015/06/29(月) 21:05:22
- 期待!
 面白いです!
 
- 
                  - 90 : : 2015/06/29(月) 21:12:35
- ユミル「身の回りの安全とかはどうしてるんだ?」
 エレン「え?…ああ、まあ俺くらいになれば、白鳩が来ても大体は対処できるし、喰種に襲われても返り討ちにできるから、そこまで気にしてないな」
 ユミル「つまり、強いから問題ないってことか?」
 エレン「ああ、そういうことだな。白鳩で言えば、特等三人までなら問題ないぜ」
 ユミル「マジかよ…」
 ライナー「流石、俺達全員を抱えて研究所を正面突破しただけはあるな…」
 エレン「まあ、今はその話は置いとこう。で、どうする?行く当てが無いんなら、俺の家に住んでもいいが…」
 「「「「!!」」」」
 エレンの提案に、四人は驚きの表情を浮かべる。
 確かに、それは願ってもないことであったが、まさかエレンの方から言い出すとは思っていなかった。
 
- 
                  - 91 : : 2015/06/29(月) 21:21:53
- ライナー「確かに、それは有難いが…良いのか?」
 エレン「ん?俺は構わんが…」
 ベルトルト「エレン、君は僕たちを恨んで無いの?」
 ベルトルトの言葉は最もだ。
 自分たちは、『前』にエレンと敵対関係にあった。
 エレンの母親が死んだのも、最終的には自分達のせいなのだ。
 だが、当のエレンはきょとんとした表情で言った。
 エレン「いや、恨んでるも何も…ん?もしかしてお前等、記憶が全部戻ってるわけじゃないのか?」
 ライナー「え?ああ…まあ、完全に戻っているわけではないな」
 エレン「成程、お前らもか?」
 「「「…」」」コクン
 エレン「ああ、だからか。安心しろ。俺は別に恨んじゃいねえよ。あれはあくまで『前』の話。今とは関係ない」
 
- 
                  - 92 : : 2015/06/29(月) 21:35:46
- エレン「この話は、お前等の記憶が全部戻ってからだ。だからそれまでは、お前らもこの事は忘れろ」
 ライナー「エレン…」
 エレン「重要なのは今だ。で、お前等はどうするんだ?」
 再びの沈黙。
 それを破ったのは、今まであまり喋らなかったアニだった。
 ゆっくりと、しかしハッキリした声で、彼女は言った。
 アニ「私は…あんたと一緒にいたい…」
 ベルトルト「!!」
 ライナー「アニ…」
 アニ「もう私には何も無い。今まで過ごした家も、父さんも母さんも、全部。だから…」
 語るたび、彼女の目には涙が溢れる。
 今までずっと我慢していたのだろう。
 涙を必死に堪えながら話す彼女を、エレンは優しく抱きしめた。
 エレン「分った。もういい…。辛かったな」ナデナデ
 アニ「うん…ヒクッ…グスッ……ううう…」ギュウッ
 エレン「大丈夫。ここにはお前を傷つける奴はいないから。安心しろ」
 その声と温もりがもたらす優しさに、涙が堰を切ったように溢れる。
 そのまま、彼女は暫くの間静かに泣き続けた。
 
- 
                  - 93 : : 2015/06/29(月) 21:36:42
- 期待!
 面白いです!
 頑張ってください。
 
- 
                  - 94 : : 2015/06/29(月) 22:36:25
- 期待!
 
- 
                  - 95 : : 2015/06/29(月) 23:58:09
- エレン「それで、お前等はどうする?」
 泣きじゃくるアニを宥めながら、エレンは他の三人に尋ねる。
 お互いにに沈黙が続く中、まず口を開いたのはユミルだった。
 ユミル「私も、お前に付いていくよ」
 エレン「…それでいいのか?」
 ユミル「ああ、お前とならこんな世界でもやっていけそうだ」
 エレン「そうか。なら、宜しくな」スッ
 ユミル「ああ。此方こそ」ガシッ
 エレン「んで、最後はお前等だが…」
 エレンに見詰められ、じっと考え込む二人。
 だが答えは既に出ていた。
 そう、何も迷うことなど無いのだ。
 ライナー「エレン、俺はお前に付いて行く」
 ベルトルト「僕もだ。…これから宜しくね、エレン」
 エレン「ああ、宜しくな」ニコ
 
- 
                  - 96 : : 2015/06/30(火) 00:08:55
- アニが可愛い
 
- 
                  - 97 : : 2015/06/30(火) 04:39:05
- エレアニマジッ!! 期待!
 
- 
                  - 98 : : 2015/06/30(火) 06:13:25
- あれCCGは出てきてアオギリの樹見たいな物は出てこないの?
 
- 
                  - 99 : : 2015/06/30(火) 07:27:26
- 期待!
 
- 
                  - 101 : : 2015/06/30(火) 12:33:00
- エレン「さて、今日はもう遅い。寝るなら、好きな部屋使っていいぞ」
 ライナー「お、良いのか」
 エレン「ああ。一応風呂もある。使いたければ好きに使え。これからの方針とかは明日決めよう」
 ライナー「了解だ。なら、また明日な」
 ベルトルト「お休み、エレン」
 エレン「おう。…ほら、アニ。お前もそろそろ離れろ」
 アニ「…」コクン
 エレン「良い子だ。ユミル、アニを頼めるか?」
 ユミル「ハイよ。ほら、行くぞアニ」
 アニ「…」スタスタ
 エレン「ふう…」
 
- 
                  - 102 : : 2015/06/30(火) 12:45:25
- ユミル「そういやよ、エレン」
 エレン「ん?」
 ユミル「お前、私達を助けるとき、姿が変わってたよな?ありゃ何だ?」
 エレン「ああ、赫者の事か。そうだな…俺も詳しいことは分かってないが…」
 エレン「どうも、Rc細胞が大量に濃縮された赫包が原因らしい」
 ユミル「ってことはお前…」
 エレン「ああ、お前の想像通りだ。俺は共食いを繰り返していた」
 ユミル「…そうか」
 エレン「…怖いか?」
 ユミル「別に。ただ、どうすりゃ手っ取り早く強くなれるか、それが知りたかっただけだからな」
 エレン「ユミル…」
 ユミル「私達は、『前』にお前に助けられた。んで、『今回』も助けてもらった。なら、そろそろ恩を返しておかんと私が納得しないんでな」
 エレン「…そうか。…有難うな」
 ユミル「ハッ…まだ早えよ。お休み、エレン」
 エレン「ああ、お休み」
 
- 
                  - 103 : : 2015/06/30(火) 12:57:22
- ~~~~~~~~~~~~~~~
 
 エレン「…」
 
 
 ヒュウウウウウウウウウ……バサバサ…
 
 
 ライナー達が寝てから一時間後。
 時刻は真夜中。そびえ立つビル群の一角に、エレンはいた。
 真夜中だというのに相変わらず町は明るい。
 そんな中、エレンは何かを探すように、眼下の街を見下ろしていた。
 
 
 エレン「…!」
 
 
 と、何かに気が付いたのか、エレンが動く。
 トン、と軽い音を立て、ビルの屋上から跳躍する。
 途中鱗赫を使い、まるで蜘蛛のようにビルからビルへと飛び移る。
 エレンが目指す場所、そこには丁度、男が数人たむろしていた。
 
 エレンは、その付近に音もなく着地。
 そのままその男たちに近づいていく。
 
- 
                  - 104 : : 2015/06/30(火) 13:08:48
- 男「ハハハッ…ん?おい、お前等。あれ見ろ」
 男2「おお?何だ彼奴、こんなところに一人で」
 男3「丁度いい。俺達の遊びに付き合ってもらおうぜ」
 男2「ああ、そりゃ良いな」
 エレン「…」スタスタ
 男「おい、ちょっと待てよ兄ちゃん」
 エレン「?」
 男2「こんな夜中に、一人でこんな所をうろつくなんて、喰種に喰われても文句言えねえぜ?」ギロ
 エレン「…」
 男3「おいおい、怖くて声も出ねえか?だが安心しろ、すぐには喰わねえからよ」ククク
 男「そう言うことだ。ちょっと俺たちと遊んでくれよ。なあ!」
 そう言うが早いか、男達は赫眼となる。
 そして、そのままエレンへと襲い掛かった。
 
- 
                  - 105 : : 2015/06/30(火) 13:15:56
- 期待!
 面白いです!
 
- 
                  - 106 : : 2015/06/30(火) 14:19:47
- 襲い掛かってくる男達に対し、エレンは動揺することなく迎撃に出た。
 どこに隠し持っていたのか、手には刃渡り三十センチ程の大型のナイフが握られている。
 それを逆手に構え、最初に襲ってきた男の攻撃を難なく躱し、すれ違いざまに一閃。
 ザシュッ!!
 男「ギっ!?」
 それはまさに閃光の如く。
 エレンの振るったナイフは、男の片腕を難なく切断する。
 突然のことに反応できず、バランスを失って倒れ込む男。
 そこへ、エレンは容赦なく追撃を仕掛ける。
 エレン「…」ガッ…ザクッ…!
 男「ガッ…!?」ドサッ
 倒れ込む男の背中目掛けて、追撃の一閃。
 目に見えぬ速度で振るわれたそれは、的確に男の赫包を抉り出す。
 喰種にとって最も大事な赫包を抉られた男は、何が起こったのか理解する間もなく絶命した。
 
- 
                  - 107 : : 2015/06/30(火) 16:50:40
- 期待!
 
- 
                  - 108 : : 2015/07/01(水) 00:56:47
- 面白いです!
 頑張ってください。
 
- 
                  - 109 : : 2015/07/01(水) 01:16:13
- 期待!
 
- 
                  - 110 : : 2015/07/01(水) 01:36:17
- 期待!!!!!!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 111 : : 2015/07/01(水) 11:43:43
- 期待!
 
- 
                  - 112 : : 2015/07/01(水) 19:09:00
- お、クインケか?
 
- 
                  - 114 : : 2015/07/02(木) 16:03:23
- 男2「なっ!?」
 男3「クインケ…捜査官か!?」
 一瞬で仲間がやられたことに、動揺を隠せない男達。
 そんな男達を尻目に、エレンは取り出した赫包を一飲みにする。
 エレン「…相変わらず酷い味だ」
 男2「…ッ、てめえ、喰種か!?」
 男3「舐めやがって!!くらえっ!」ズアッ
 それを見て、ようやく男達に殺る気が戻る。
 男の内の一人が大きな尾赫を発現させ、エレンへと襲い掛かった。
 巨大な赫子による一撃は、ビルの壁すら容易く貫く威力を秘めていた。…しかし
 エレン「…」ガシッ
 男3「なっ!?」
 
- 
                  - 115 : : 2015/07/02(木) 16:16:37
- 相手を貫くつもりで放ったその一撃は、エレンの片手によって容易く止められた。
 男が驚愕で固まった隙に、エレンは掴んだ尾赫を思い切り引っ張り、男を自分の方へ引き寄せる。
 
 
 男3「しまっ…!?」
 
 
 ザシュウッ!!
 
 
 此方も、一瞬で方が付いた。
 男を引き寄せ、そのままナイフで一閃。
 先程と同じように、赫包を抉り出す。
 
 
 男2「ひいぃっ!!」
 
 
 相次いで仲間がやられたことによって恐怖が芽生えたのか、残りの男は逃亡を選択した。
 だが、それを逃がすエレンではない。
 男が逃げようとした次の瞬間には、既に後ろへと迫っていた。
 
 
 ズバッッ!!
 
 男2「ガッ!!」
 
 
 神速を持って振るわれた一撃は、情け容赦なく男の命を奪い去る。
 この男も二人と同様、赫包を抉られて死亡した。
 
- 
                  - 116 : : 2015/07/02(木) 20:05:27
- 期待!
 面白いです!
 
- 
                  - 117 : : 2015/07/03(金) 09:26:12
- 続きは?
 
- 
                  - 118 : : 2015/07/03(金) 17:29:59
- あ、結局cpってどうなったんですか?
 できればエレアニがいいです…勝手なこといってごめんなさい
 期待です!
 
- 
                  - 119 : : 2015/07/03(金) 22:58:18
- 期待!!
 
- 
                  - 120 : : 2015/07/04(土) 00:27:37
- 面白いです!
 
- 
                  - 121 : : 2015/07/04(土) 01:40:51
- 期待期待
 
- 
                  - 123 : : 2015/07/04(土) 20:03:30
- エレン「ふう…」
 
 
 赫子を使わず、赫眼すら現わさず三人の喰種を倒したエレンは、軽く一息をついた。
 二人目の赫包を平らげ、三人目の赫包は密封容器にしまう。
 そうしてその場を立ち去ろうとして…ふと、思い出したように上を見上げた。
 
 
 エレン「んで、お前は何時まで見ているんだ?」
 
 
 突然あらぬ方向へと声をかけるエレン。
 するとどうだろう、暗闇からゆらりと人影が出てきた。
 
 
 「…ふふ、ばれてたんだ…」
 
 
 見つけられたにも拘らず、その影は楽しそうに笑う。
 その人影は、全身に包帯を巻いていた。
 声からして女だろうか、背は小さく、まだ少女の域を出ないように見える。
 その姿を暫く見つめ、エレンはゆっくりと尋ねた。
 
 
 エレン「当然だ。で、誰だお前?」
 
 「私?私はね…エトって言うの」
 
- 
                  - 124 : : 2015/07/04(土) 20:13:38
- そう言って、エトと名乗った少女はエレンの前に降り立つ。
 その姿を油断なく見つめながら、エレンは尋ねる。
 
 
 エレン「自己紹介どうも。俺はエレンだ。それで、お前みたいな餓鬼が何の用だ?」
 
 エト「ふふ、餓鬼は貴方もでしょう?まあいいや。私はね、あなたを勧誘しに来たの」
 
 エレン「俺を?」
 
 エト「そう。貴方、『アオギリの樹』に入らない?」
 
 
 アオギリの樹。
 その名位は、エレンも聞いたことがあった。
 目的やリーダーも分らない、正体不明の喰種組織。
 それがアオギリの樹だったはずだ。
 
 
 エレン「断る。そんな怪しい宗教みたいなのには入らないようにしてるんだ」
 
 エト「そう。それは残念」
 
 
 断られたにも拘らず、エトは少しも残念そうにはしていない。
 むしろ楽しそうに笑いながら、エトはエレンを見つめる。
 と、そのエトの纏う雰囲気が唐突に変わった。
 
- 
                  - 125 : : 2015/07/04(土) 20:31:18
- エト「まあ、嫌ならいいよ。それじゃ…」スッ
 
 エレン「!!」
 
 
 ガキィッッ!!!!
 
 
 エト「…へえ」
 
 エレン「ったく、危ねえな…」
 
 
 それはまさに一瞬の攻防。
 一瞬でエレンの背後に回り放たれたエトの手刀を、エレンは難なく受け止める。
 常人の目では何が起こったかすら理解できない世界。
 だがこの二人にとって、それはもはや慣れ親しんだ世界だった。
 
 
 エト「意外にやるね。ちょっと吃驚しちゃった。しかも…隻眼なんだ…」
 
 エレン「ああ、親父が人間でな。ま、それはどうでもいい。んで?攻撃してきたってことは、『そう言う事』でいいんだな?」
 
 エト「ふふ、そうだね。同じ境遇同士、話をして見たかったけど…でもいいや。大人しく、私に喰われてよ」ニタァ
 
 エレン「馬鹿言え。喰われるのはお前の方だ」ニヤッ
 
 
 お互いの殺気が膨れ上がる。
 目の前の相手を喰らわんと四肢に力を込め、赫子を出現させる。
 深夜の町中で、最強の二人が激突する――!
 
- 
                  - 126 : : 2015/07/04(土) 20:45:49
- エト「…」パキパキッ
 
 エレン「!」バッ
 
 エト「さっきの一撃、止めたお礼」パキパキパキ
 
 エト「最初から、本気で殺ってあげる」パキパキパキ…バキィッ
 
 
 そう言いながら、エトの赫子が大幅に変化していく。
 肩から背中、脚部へとエトの全身を包み込むように赫子が躍動する。
 小柄なエトの体が、巨大な怪物へと変貌していく。
 
 
 エト「だから、簡単に…シナナイデネェ?」
 
 
 そう、それは正しく赫者の姿。
 大きさは2~3m程か。
 エレンとは違い未だ人型ではあるが、彼女も相当数の同胞を喰らってきたのだろう。
 迸る威圧感が、彼女の強大さを表していた。
 
 
 エレン「はっ!!おもしれえ!」ズズズッ
 
 
 対するエレンも、尾赫と鱗赫をフルに出現させる。
 暫しのにらみ合いの末、二匹の怪物は同時に激突した。
 
- 
                  - 127 : : 2015/07/04(土) 21:09:17
- ~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
 ギィンッ…ガガガッ…ズガァンッ!!!
 
 
 エト「きゃははははッッ!!!」ガガガガガガッッ!
 
 エレン「ふっ…!」カキン…スババババッ
 
 
 エト「きゃはぁッ!!」グオッ
 
 エレン「おらあッ!」ゴウッ
 
 
 ガッッキィィィンンッッッ!!!!
 
 
 暗闇の中、激しくぶつかり合うエトとエレン。
 エトが羽赫から無数の弾丸を発射すれば、エレンは鱗赫を使ってそれを全て弾き飛ばす。
 エレンが鱗赫によって攻撃を繰り出せば、エトは肩に生えたブレードでそれを受け流しつつ、その巨体に似合わぬ瞬足で全て躱す。
 まさに、一進一退の攻防。
 お互いが一歩も引かず、かれこれ半刻ほど打ち合っていた。
 
 
 エト「ほらほらぁッ!!」ズバッ
 
 エレン「チぃ!!」
 
 
 と、ここでエトが仕掛ける。
 自慢のブレードでエレンの鱗赫を切断し、懐に潜り込む。
 いくらエレンと言えど、至近距離から本体に攻撃を貰えば無傷では済まない。
 
- 
                  - 128 : : 2015/07/04(土) 21:19:59
- エト「ふふふ…」
 
 
 一撃が入ることを確信し、エトは笑う。
 そのままエレンを貫こうと、肩のブレードを突き出した…が。
 
 
 エレン「あめえよ…」ガシッ
 
 エト「!!」
 
 
 致命傷を負わせるはずだった一撃は、エレンの手によって止められていた。
 
 
 エレン「力は、俺が上のようだな…」ニヤリ
 
 エト「チッ…」
 
 
 エトのブレードを受け止めながら、エレンは笑う。
 エトは距離を取ろうとするも、エレンはしっかりとブレードを掴み、逃げることを許さない。
 そのまま反対の手を使い、エトの顔面に思い切り拳を叩き込む―!
 
 
 ゴッッッ!!!
 
 
 驚くべきはその力。
 エレンは生身の一撃で、自分の数倍はあるエトの巨体を吹き飛ばす。
 
 
 エレン「おらあああッッ!!」ブンッ
 
 エト「ガッッ!!!」
 
 
 エレンの一撃をもろに受けたエトは、派手な音を立てながら吹き飛んでいく。
 この戦いが始まって初めて、明確な一撃が入った瞬間だった。
 
- 
                  - 129 : : 2015/07/04(土) 21:42:11
- 期待!
 
- 
                  - 130 : : 2015/07/04(土) 21:43:29
- 期待!!!!!!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 131 : : 2015/07/05(日) 00:11:34
- あれ?梟は羽赫の赫者だよ?
 肩のブレードも羽赫だよ?
 
- 
                  - 132 : : 2015/07/05(日) 00:18:19
- 面白いです!
 
- 
                  - 133 : : 2015/07/05(日) 00:41:33
- 期待です!
 
- 
                  - 134 : : 2015/07/05(日) 00:47:42
- 梟の肩のブレードって甲赫じゃないの?
 
- 
                  - 135 : : 2015/07/05(日) 01:15:59
- 期待している
 
- 
                  - 136 : : 2015/07/05(日) 03:09:37
- エレエトにしてくださいお願いします
 
- 
                  - 137 : : 2015/07/05(日) 16:02:52
- >>131
 ご指摘ありがとうございます。修正しました。
 肩のブレードも羽赫なんですね。ずっと甲赫だと思ってました。
 続きは今日の夜か明日になります。
 すみません。
 
- 
                  - 138 : : 2015/07/07(火) 14:49:47
- エレン「まだまだぁ!!」ゴウッ
 ズガガガガガッッッ!!!
 エトを吹っ飛ばしたエレンは、間髪入れずに追撃に移る。
 鱗赫をフル動員し、未だ空中にいるエトに猛烈な連撃を仕掛ける。
 エト「ギッ…ガッ…!!」
 エレン「はああああッッ!!」グオッ
 ズガンッッ!!!
 エレンの猛攻は終わらない。
 爆発的な加速を持ってエトの背後に回り込み、尾赫で相手を地上に叩き落とす。
 嵐の如き猛攻に、エトは抵抗する間もなく地面に叩き付けられる。
 エレン「はあ…はあ…」スタッ
 一連の攻撃を終えたエレンは息を切らしながら着地する。
 あれ程の攻撃を決めたにも拘らず、その表情は優れない。
 警戒態勢を解かず、油断なき表情でエトが落ちた地点を見つめる。
 
- 
                  - 139 : : 2015/07/07(火) 15:02:59
- ドゴォッッ!!!
 エレン「!!」
 エト「…隙あり♡」ニヤリ
 エレン(しまっ…!)
 それは突然だった。
 まるで最初からエレンがそこにいることを知っていたかのように、エトが突っ込んできたのだ。
 それはまさに砲弾の如く。
 当然エレンも鱗赫で迎え撃つが、エトはそれらを全てブレードで叩ききった。
 そしてそのまま、エレンへと突っ込む。
 グサッッ!!
 エレン「グッ…!」ボタボタッ
 あまりの速度に、エレンは回避する暇もなかった。
 エレンの腹部に、ブレードが突き刺さる。
 巨大なランスにも似たそれは、まるで紙にペンを突き刺すかのように、エレンの体を貫通する。
 エト「きひひひッ」ブンッ
 ズガァンッッ!!
 エレンを突き刺したエトは、そのまま思い切り腕を振るう。
 その力に、エレンは人形のように派手に吹き飛ばされた。
 
- 
                  - 140 : : 2015/07/07(火) 15:14:34
- エレン「グ……ゲホッ…!」
 吹き飛ばされ、ビルの中に叩き込まれても、エレンはまだ生きていた。
 通常なら即死レベルの腹の傷も、喰種であるこの身にとっては大したことではない。
 エレン「さて、どうすっかね…」
 腹の傷を修復させながら、エレンは打開策を考える。
 敵は強い。
 中・遠距離では羽赫による弾幕、近距離ではブレードと攻守において隙が無い。
 弾幕だけならばなんとななるが、自分の鱗赫すら切断するブレードが合わさると流石に厳しい。
 エレン(赫者になるのは、あまり得策ではないし…)
 この戦闘において、エレンは赫者にはなっていない。
 何故なら、エレンは完全に赫者を制御できるわけではないからだ。
 あの敵を前にして暴走することは、即ち死ぬのと同意。
 故にエレンは、赫者にならずにあの強敵を打破しなければならない。
 
- 
                  - 141 : : 2015/07/07(火) 15:18:43
- 期待!
 
- 
                  - 142 : : 2015/07/07(火) 15:24:48
- エレン(仕方ない、なるべく隠しておきたかったが…)
 
 
 そんな事を考えつつ、エレンはゆっくりと立ち上がる。
 敵はゆっくりと此方に近づいてきている。
 その様子をしっかりと見つめながら、エレンは迎撃態勢に入った。
 
 
 エレン「ふううぅぅッッ…」
 
 
 息を吐き、今まで出していた鱗赫を体に収納する。
 すると、エレンの背中から新たな赫子が出現した。
 
 鱗赫には変わりはない。
 数も左右四本で変化はない。
 だが先程の赫子とは、明らかに形状が異なっている。
 前の赫子が触手のような形状だったのに対し、此方は、例えるなら蜘蛛の足のような、そんな巨大な爪の様な形状をしていた。
 
 
 エト「へえ、まだ赫子を持ってるんだ…」
 
 エレン「ああ。さっきとは違うぜ…」
 
 エト「ふぅん。じゃ、試してみよっか」スッ
 
- 
                  - 143 : : 2015/07/07(火) 15:34:11
- そう言って、エトはブレードで切り掛かる。
 それに対し、エレンは新たな鱗赫でガードする。
 
 
 ガッッッギィィィンンン!!!
 
 
 エト「!!」
 
 
 エトが驚いたような様子を見せる。
 だが無理もないだろう。
 自分の一撃が、エレンの鱗赫によって止められたのだから。
 
 
 エレン「違うって言ったろ」ニヤ
 
 エト「何で…」
 
 エレン「何か甲赫喰ってたら此奴が出せるようになってな。リーチは多少短いが、固さとパワーは随一だ」
 
 エレン「さて、続きと行こうか」
 
 
 そう言って、エレンは再び攻撃を再開する。
 今回は、エレンの一方的な展開となっていた。
 それもその筈、エレンの鱗赫は、今やエトのブレードと同等だ。
 だが、エトのブレードが二つなのに対し、エレンの鱗赫は計八つ。
 実に四倍の差がある。
 そう、エレンは手数においてエトを圧倒しているのだ。
 
 
 エト「クッ…!」
 
 
 ここに形勢は逆転した。
 エレンの猛攻を、次第にエトは裁き切れなくなっていった。
 
- 
                  - 144 : : 2015/07/07(火) 16:24:56
- 期待!
 
- 
                  - 145 : : 2015/07/07(火) 16:35:52
- エト(何で…)
 敵の流れるように繰り出される連撃を捌きながら、エトはふと考えた。
 敵の攻撃は激しさを増し、自分が負う傷は次第に増えていっている。
 敗色は濃厚。
 なのに何故、自分は未だに戦い続けているのか。
 本来ならば、一時的に撤退して体勢を立て直すべきなのに。
 いや、そもそも何故自分はここまで長々と戦っているのか。
 最初は、ほんの好奇心だったはずだ。
 赫子すら使わずに喰種を倒した此奴に対する、僅かな好奇心。
 組織に入ってくれたらラッキー。その程度だったはずなのに。
 エレン「はああッ!!」ガガガガッ
 エト「ああああッッ!!」ズガガガッ
 気が変わったのは何時からか…
 自分と同じ隻眼と知った時からか…
 それとも戦っている途中からか…
 何故か、此奴だけには負けたくないと思った…
 エレン「…!!」
 エト「…!!」
 闇の中、二体の怪物の視線が交差する。
 それは時間にして一秒ほどの、僅かな時間。
 次の瞬間には、お互いが勝負を決めんと最後の一撃を繰り出す。
 エレン「おおおおおおおおッッッ!!!」
 エト「ああああああああッッッ!!!」
 
- 
                  - 146 : : 2015/07/07(火) 20:25:19
- ガッッッッッ!!!!
 
 
 二人が激突した瞬間、凄まじい轟音が響き渡る。
 衝突と同時に爆風が発生し、周囲を飲み込む。
 二匹の怪物による衝突は、地震かと思うほどの揺れを辺りに生じさせた。
 
 
 エレン「……」
 
 エト「……ゴホッ」ボタタッ
 
 
 勝敗は決した。
 エトのブレードはエレンの鱗赫に阻まれ…
 エレンの鱗赫は、エトの体を貫通していた。
 
 
 エレン「…ふうっ」ズッ
 
 エト「……」ドサッ
 
 
 エレンが赫子を引き抜くと、エトは力なく地面に倒れこんだ。
 エトの体を覆っていた赫子が宙に霧散していき、まだ幼い少女の体が露わになる。
 同時に、疲れ果てたようにエレンもその場に座り込んだ。
 
 
 エレン「あー、疲れた…」
 
 
 そう呟きながらエレンは先程倒した喰種の赫包を取り出す。
 容器を空け、中のモノにかぶり付く。
 
- 
                  - 147 : : 2015/07/07(火) 20:58:24
- 期待!
 
- 
                  - 148 : : 2015/07/07(火) 22:26:00
- 期待!!!!!!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 149 : : 2015/07/07(火) 23:02:40
- 期待
 
- 
                  - 151 : : 2015/07/08(水) 14:28:01
- エト「…ん」パチ
 暖かい…そんな感想とともに、エトは目を覚ました。
 ふと見れば、自分の体には上着がかけられている。
 状況を確認するために起き上がろうとすると、いきなり声を掛けられた。
 エレン「おお、起きたか。大丈夫か?」
 声のした方を見れば、そこには先程まで殺しあっていた少年が居た。
 どうやら自分が起きるのを待ってくれていたらしい。
 この上着も、少年のものだろうか?
 そんな考えがよぎり、少年の問いかけに答えるより先にエトは自身の疑問を少年にぶつける。
 エト「あなた…どうして?」
 エレン「え?だって流石に女の子を放置するのはどうかと思って…」
 エト「そうじゃなくて…私を…その…」
 エレン「…ああ、別に俺はお前を殺そうなんて思ってないし、お前に怒りを抱いてるわけでもない」
 エレン「それに…お前みたいな寂しそうな餓鬼は、なんか放っておけなくてな」
 エト「…!!」
 
- 
                  - 152 : : 2015/07/08(水) 17:03:43
- エト(ああ、そっか…)
 その言葉に、エトは戦闘の最中に感じた疑問が晴れていくのを感じた。
 何故私は此奴に負けたくなかったのか。
 答えは此奴の目だ。
 此奴の私を見る目が、気に入らなかったのだ。
 物心付いた時から、エトの周りには敵しかいなかった。
 そんな敵からは、嘲りや怒りの眼差ししか向けられない。
 そんな敵を殺しつくして、自分が赫者となった頃には、その視線に宿る感情は恐怖に変わっていた。
 恐怖や憎しみのこもった視線。
 そんな目しか、エトは今まで見たことが無かった。
 エト(でも、此奴は違った…)
 エレンの目には、負の感情が全くなかった。
 だから気に入らなかったのだ。
 まるで自分が哀れに見られている気がして…
 だからこそ、此奴には負けたくなかった。
 でも本当は…
 エト(嬉しかった…のかな…)
 我ながら単純だとは思う。
 それでも、恐らくこの感情は嬉しいのだろう。
 そんな事を考えつつ、エトはエレンに声をかける。
 
- 
                  - 153 : : 2015/07/08(水) 17:08:12
- 期待!
 
- 
                  - 154 : : 2015/07/08(水) 17:16:07
- エト「ふふ、何それ?新手のナンパ?」
 
 エレン「うるせえ…」
 
 エト「大体餓鬼って言うけど、私君より年上だよ?13歳だし」
 
 エレン「え!?俺まだ9歳…って、良いだろそんな事!!」
 
 
 焦るエレンの顔を見ながら、エトは笑う。
 不思議だ。さっきまで殺しあっていた相手とこんな風に会話しているなんて。
 だがエトは、この状況を楽しんでいる自分がいることを自覚していた。
 
 
 エレン「って言うか16とか嘘だろ!?そんなに小さいのに!?」
 
 エト「人を見かけで判断したらいけないんだよ?まだまだ子供だね」
 
 エレン「うぅ…」
 
 
 楽しそうに笑いながら、二人は会話を続ける。
 恐らくこの時間は長くは続かない。
 そう理解しているからこそ、エトはこの時間を楽しむことにした…が。
 
 
 エレン/エト「「!!」」ピクッ
 
 
 ズドオォォンンンッッ!!!
 
 
 だがそんな時間は、唐突に終わりを告げる。
 会話をする二人に、不意に衝撃が襲い掛かった…
 
- 
                  - 155 : : 2015/07/08(水) 20:02:43
- すごく書き方が、うまいです!期待してます!
 あと、このエトの大切な時間を、邪魔したのは、捜査官か!?
 
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                  - 156 : : 2015/07/08(水) 20:26:28
- 期待!
 
- 
                  - 157 : : 2015/07/08(水) 20:28:00
- 期待!!!!!!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 158 : : 2015/07/08(水) 22:15:27
- 期待
 
- 
                  - 159 : : 2015/07/08(水) 23:36:11
- ヘニング「おいおい・・・ふざけんなよ・・・ふざけんじゃねぇよ!!続きも読めねぇじゃねぇか!!」
 江蓮「あんただれ?」
 ヘニング「」チーン
 てなわけで期待!!
 
- 
                  - 160 : : 2015/07/08(水) 23:36:58
- あ!上の俺です!!
 
- 
                  - 162 : : 2015/07/10(金) 02:37:35
- 響く衝撃と鳴り響く轟音。
 衝撃の大きさは、落ちてきたものの大きさを表している。
 舞い上がる土煙の中、ゆっくりと『それ』は姿を現す。
 「……」ヌウ
 エレン「おいおい…」
 エト「…嘘」
 2~3mはあろうかと言う巨体。
 長く伸びた腕。
 後ろに生えた数本の尾。
 その姿はまさに怪物そのもの。
 エレン「いやあ、もう良いって…」
 エト「…」
 だがエレンたちは此奴が何か知っている。
 自分達と同じ、同胞を喰らった果ての姿。
 襲撃者である『赫者』が、開戦の咆哮を上げた―
 
- 
                  - 163 : : 2015/07/10(金) 02:54:51
- 「――――ッッ!!!」
 現れた怪物が、声にならない絶叫を上げる。
 それは明確な意思表示。
 エレンとエトに対する、明らかな攻撃意志だ。
 「…!」ブンッ
 エト「!!」
 エト(不味い、今の状態じゃ…!)
 襲撃者は、まず近くにいたエトを狙った。
 その小さな体を叩き潰さんと腕を振るう。
 先程の戦闘のダメージで、エトは避ける事が出来ない。
 エト(こんなところで…!)
 だがエトにはどうすることも出来ない。
 迫りくる死に、思わず目を閉じる…。
 と、不意に体が浮遊感に包まれた。
 
- 
                  - 164 : : 2015/07/10(金) 03:15:50
- エト(え…?)
 ズガンッッ!!!
 ついさっきまで自分がいた場所に、巨大な腕が叩き付けられる。
 そこにいれば、間違いなく自分の命は無かっただろう。
 そんな事を考えつつ、エトは自分を抱える人物に目を向ける。
 エト「あなた…何で…」
 エレン「知らん。体が勝手に動いた」
 エト「そう…」
 エレン「そう。さて、取り敢えず逃げるぞ」
 エト「逃げるって…どこに?」
 エレン「こいつを撒いて、家に戻るか。安心しろ、お前も特別に連れてってやるよ」
 エト「別に、私は…」
 エレン「強がらないの。どの道お前動けないんだから、大人しくついて来い」
 エト「…勝手にすれば」プイ
 エレン「はあ…。素直じゃないな…っとお!?」
 会話を続ける二人に痺れを切らしたのか、巨大な尾がエレンたちに襲い掛かる。
 それを持ち前の俊足で回避し、エレンは逃走を図った。
 発現させるのは二本の鱗赫、それも近接用の固いモノのみ。
 それで相手の攻撃を弾きながら、エレンは闇の中へと走り出す。
 
- 
                  - 165 : : 2015/07/10(金) 08:17:23
- 期待!
 
- 
                  - 166 : : 2015/07/10(金) 17:39:56
- 期待!!!!!!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 169 : : 2015/07/10(金) 23:58:28
- 期待ですね。
 
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                  - 171 : : 2015/07/11(土) 12:45:05
- 期待
 
- 
                  - 174 : : 2015/07/11(土) 17:20:20
- 期待有難うございます
 未だにCPは決めてないんですよね。
 まあ、そのうち決まると思います。多分、きっと。
 
- 
                  - 175 : : 2015/07/11(土) 17:36:29
- ~~~~~~~~~~~~~~~
 
 ガガガッ…ドォン!…ズガガガッ…
 
 
 襲撃者から繰り出される怒涛の連撃。
 強靭な尾赫の攻撃は、周囲の建物を容赦なく破壊していく。
 あれ程の攻撃をまともに喰らえば、エレンですら致命傷になりかねない。
 だがそんな攻撃の嵐を、エレンは冷静に躱していく。
 エトを抱えたまま走り回って十分程度。
 襲撃者は撤退することなく、執拗にエレンたちを追い回す。
 
 
 エレン「チッ…しつこいな…」
 
 エレン「にしても尾赫の赫者か…。本体の動きがそこまで早くないのが救いだな」
 
 エト「まあ、あのデカさなら妥当なんじゃない?」
 
 エレン「かもな…」
 
 エト「それで、どうするの?彼奴、簡単には諦めなさそうだけど」
 
 エレン「そうだな…取り敢えず、狭い場所にでも行ってみるか…」
 
 
 そう言って、エレンは走る速度を上げる。
 背後から襲い来る尾を悠々と躱し、エレンは手近なビルの中に突っ込んだ。
 
- 
                  - 176 : : 2015/07/11(土) 19:25:42
- すごく面白いです!ゆっくりでもいいからこのまま頑張ってください!
 期待してます!
 
- 
                  - 177 : : 2015/07/11(土) 21:54:08
- 期待です!
 
- 
                  - 178 : : 2015/07/13(月) 16:28:21
- 期待!
 焦らず頑張って下さい!!
 
- 
                  - 180 : : 2015/07/13(月) 18:23:53
- エレエト期待!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 181 : : 2015/07/16(木) 15:43:21
- エレン「よっとお!」ガシャアアン!!
 窓を突き破り、ビルの中に侵入したエレンはすばやく体勢を立て直す。
 そのまま床を蹴り、さらなる加速をつける。
 そして加速した勢いで、一気にビルを突破しようとした。
 エレン「うし、これなら逃げ……ッ!」ゾクッ
 ――瞬間、エレンは自らの死を予感した。
 それは喰種としての本能か、或は『前』の生で得た、兵士としての勘か。
 どちらか一つか、或は両方かもしれない。
 とにかくその本能に従い、エレンは思い切り横へ跳んだ。
 ガガガガガガッッ!!!
 エレン「!?」
 結果としてそれは正しかった。
 エレンの行く先を阻むように、ビルの床から無数の棘が飛び出してきたのだ。
 それも一回ではない。
 エレンを追いかけるように、床から、壁から、天井から、その棘は飛び出してくる。
 
- 
                  - 182 : : 2015/07/16(木) 16:15:43
- エレン「これは…赫子か!?」
 
 
 遅い来る棘を避けながら、エレンはその正体を看破する。
 暗いビルの中で見えにくいが間違いない。
 エレン達を襲ったのは赫子の一種だ。
 恐らく襲撃者の尾赫の一本だろう。
 
 
 エレン(チッ!まさかの『分離』持ちか!)
 
 
 『分離』持ち。
 自らの赫子を切り離し、自分とは別に動かせる者の事だ。
 実際に戦った事は無かったが、その噂は聞いたことがあった。
 
 
 エレン(不味い、逃げるつもりが逆に敵の網の中に突っ込んじまった…)
 
 エレン(しかも数が多い!何個持ってんだ彼奴!)
 
 
 そう、襲い来る攻撃の数からして明らかに赫子は一つではない。
 少なくとも3つは存在しているだろう。
 このままビルの中にいるのは不味いと判断したエレンは、赫子が無い方へと跳躍する。
 本日二回目となる窓ガラスを打ち破っての脱出。
 派手な音を響かせながら、エレンは地上へと着地する。
 
- 
                  - 183 : : 2015/07/16(木) 16:27:36
- エレン「はあ…まあそうだろうけどさ」
 
 「…」
 
 
 そして降り立った地点には、きっちりと襲撃者が待っていた。
 周りを見れば、高いビルに囲まれている。
 恐らく、最初からここに追い込むつもりだったのだろう。
 まんまと敵の罠に嵌ったことに、エレンは苛立ちの表情を浮かべた。
 
 
 エレン「ここまで来たら、やるしかないか…」
 
 
 逃走を諦め、戦うことを選択したエレン。
 だがその表情は厳しい。
 当然だ。エレンは先程からの戦いで消耗しているうえに、エトを抱いたままである。
 万全の状態の赫者を相手にするには、かなり分が悪い。
 どうするかと考えていると、今まで黙っていたエトが口を開いた。
 
 
 エト「エレン…」スッ
 
 エレン「何だ……!!」
 
- 
                  - 184 : : 2015/07/16(木) 16:47:22
- エトはエレンの名を呼び、自らの肩を露出させた。
 エレンは一瞬でその行動の意味を理解した。
 同時に、正気かとエトに問いかける。
 
 
 エレン「お前…」
 
 エト「仕方ないじゃん。このままじゃ二人とも死んじゃうし。だからさ、エレン…」
 
 
 
 エト「私を、食べていいよ?」
 
 
 
 エレン「…」
 
 エレン「良いだろう。だが条件がある」
 
 エト「?」
 
 エレン「こういう事だ」スッ
 
 エト「!!」
 
 エト「良いの?」
 
 エレン「一対一より二対一の方が勝率は上だろ?」ニヤ
 
 エト「ふふ、そうだね」
 
 
 お互いを見つめ、二人は笑いあう。
 その直後、襲撃者が咆哮を上げ二人に襲い掛かった。
 二人を串刺しにせんと、尾赫を振り上げる。
 数本の尾赫が二人に殺到するその瞬間、二人はお互いの肩に齧り付いた。
 
- 
                  - 185 : : 2015/07/16(木) 19:24:35
- 期待!
 
- 
                  - 186 : : 2015/07/17(金) 00:02:27
- 期待です!
 
- 
                  - 187 : : 2015/07/21(火) 00:50:46
- 期待!!!!!!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 188 : : 2015/07/21(火) 19:52:12
- ゴッッッ!!!!
 凄まじい轟音とともに、大量の土煙が舞い上がる。
 先程までエレン達がいた場所には大きな穴が出来ており、尾赫の一撃がどれ程強力だったかが伺える。
 これでは、普通なら死体すらまともな形で残ってはいまい。
 ――そう、普通ならば。
 「……おい」
 「!?」
 ドゴォッ!!
 背後から声をかけられると同時に、強烈な一撃が襲撃者に叩き込まれる。
 不意を突いた一撃に、襲撃者の巨体が為す術も無く吹っ飛んでいく。
 「……!!」
 エレン「まだまだぁ!」ドッ
 飛んでいく巨体に狙いを定め、エレンは更なる追撃を仕掛ける。
 腰を低くし、獣の如き体勢になって、エレンは襲撃者へと跳躍する。
 踏み込みで大地を砕き、音さえ置き去りにして、エレンは襲撃者へと襲い掛かる-!
 
- 
                  - 189 : : 2015/07/21(火) 20:07:54
- エレン「オオォォオオッッ!!」バキバキバキ
 エレン「これで決めるッ!」
 その宣言とともに、エレンの赫子が一気に増幅する。
 近接専用の鱗赫と通常の鱗赫。
 計16本の赫子と尾赫をフルに活用し、襲撃者へ怒濤の連撃を叩き込む。
 「■■■■■ッッッ――!!」
 エレン「!」
 だが襲撃者とて黙って殺られる訳ではない。
 その攻撃をまともに受けながらも、エレンを潰さんと反撃に出る。
 襲撃者が咆哮をあげると同時に、周囲のビルから、分離していた赫子が飛び出した。
 それらは本体の命令に従い、一斉にエレンへと襲い掛かる。--だが。
 エレン「無駄だ…」
 ドドドドドドッッッッッ!!!!
 「!!??」
 その赫子を、上空から飛来した弾丸が一つ残らず殲滅した。
 
- 
                  - 190 : : 2015/08/01(土) 17:39:00
- エト「私を忘れてもらっちゃ困るな☆」
 弾丸の正体はエトの赫子だ。
 赫者にはならず、羽赫だけしか発現していないが、その威力は敵を殲滅するのに十分な威力を秘めていた。
 エレン「――ッッ!!」
 エト「――フッ!!」
 ガッ…ドゴォッッ!!……ガガガッ!!
 「……ッ!」
 お互いを喰らいあった二人は、先程のお返しとばかりに襲撃者へと猛攻を仕掛ける。
 エレンが前衛で嵐の如き連撃を叩き込み、エトが後衛で援護を行う。
 両者息の合った隙のない攻撃に、流石の襲撃者も防戦一方だった。
 
- 
                  - 191 : : 2015/08/01(土) 17:43:47
- 期待!
 
- 
                  - 192 : : 2015/08/01(土) 17:57:25
- エレン(行ける…!)
 休む間もなく攻撃を繰り出しながら、エレンは考える。
 状況は此方に傾いている。
 現に先程からの攻撃で、敵はかなり疲弊している。
 だがそれは此方も同じ。
 故に、敵に反撃の隙を与えるわけにはいかない。
 それを理解しているからこそ、エレンは最後の猛攻に出る。
 エレン(このまま押し切る!)
 エレン「オオオオォォォォッッッ!!!」
 ガガガガガガッッ!!!
 十六本の赫子を操り、怒涛の勢いで赫子を叩き込んでいく。
 その一撃一撃が必殺の威力。
 敵の腹を貫き、腕を裂き、赫子を叩き潰す。
 その様は正に、獲物を屠る狩人の如し。
 
- 
                  - 193 : : 2015/08/02(日) 04:06:51
- エト(よし…)
 エレンが最後の猛攻を仕掛けているころ、エトも最後の攻撃を仕掛けるために移動していた。
 ビルを蹴って飛び上がり、敵の真上へと移動する。
 エト(ここからなら…!)
 空中へと飛び上がり、限界まで羽赫を展開する。
 上空からの羽赫の一斉掃射。
 エレンの猛攻で疲弊している敵にとってはひとたまりも無いだろう。
 自分達の勝利を確信し、エトは攻撃態勢に入る。―しかし
 エト「さあ、止め……ッ!?」ゾクッ
 エト「!!」バッ
 「ほう、気が付いたか。だが、遅かったな」
 ガッ!!
 
- 
                  - 194 : : 2015/08/02(日) 09:51:26
- 止めを放とうとした瞬間に感じた殺気。
 思わずその方向を振り向けば、仮面を着けた小太りの男が羽赫を展開しているのが見えた。
 エト(二人!?やられた、最初から仲間がいたのか!)
 気付いた時にはもう遅い。
 すでに男は羽赫による弾丸を放つ態勢に入っている。
 いくらエトでも、至近距離から羽赫による攻撃を喰らえばただでは済まない。
 「終わりだ」
 宣告とともに放たれる弾丸。
 いくら此奴でも、これは避けられまい。
 第二の襲撃者である男は勝利を確信した。
 そう、通常ならこれで終わりだ。
 いくら喰種といえど、空中を自由に移動できるわけではない。
 放たれる弾丸に、成す術無く貫かれるだけだ。
 ――そう、通常 ならば
 
- 
                  - 195 : : 2015/08/02(日) 10:06:12
- だがエトはそこら辺の喰種とは違う。
 幾つもの戦いを単身で潜り抜けてきた猛者である。
 この程度の攻撃で沈むほど軟ではない。
 エト「ッ!舐めるなッ!」グイッ
 「!?」
 空中で強引に体勢を変え、紙一重で弾丸を躱す。
 そして、お返しとばかりにありったけの弾丸をお見舞いする。
 「グッ…!おのれ!」
 思わぬ反撃を受けた男は、そのままビルの向こうへと消える。
 何とか二人目の襲撃者である男を追い払ったエトだったが、その代償として空中で体勢を崩してしまった。
 そして、最初の襲撃者はその隙を逃がすほど甘くはない。
 
- 
                  - 196 : : 2015/08/02(日) 10:18:40
- エレン「チッ…あのバカ!」
 目標をエトへと変更した襲撃者に対し、エレンも黙って見ている訳ではない。
 人間離れした身体能力で追撃する。
 「■ ■ ■ ■―――ッッ!!」バキバキ
 エレン「なっ!?」
 だがここで襲撃者に変化が起きる。
 肩甲骨辺りから、いきなり赤黒い羽のようなものが飛び出したのだ。
 エレン(羽赫だと!?此奴、まだ隠し持ってやがったのか!)
 エレンの驚愕をよそに、襲撃者の羽赫から弾丸が発射される。
 予想しなかった不意打ちに、流石のエレンも足が止まる。
 弾丸を鱗赫で撃ち落としたために傷は負わなかったが、そこで一瞬の隙が出来てしまった。
 そしてその間に、襲撃者はエトへと襲い掛かる。
 空中で身動きが取れないエトに対し、容赦なく尾赫を叩き付けた。
 
- 
                  - 197 : : 2015/08/02(日) 11:07:17
- 期待!
 
- 
                  - 198 : : 2015/08/02(日) 19:56:07
- 神スレキターーーー!!!!
 
- 
                  - 199 : : 2015/08/06(木) 21:11:53
- 続きはよ
 
- 
                  - 201 : : 2015/08/08(土) 15:04:58
- ドゴォッ!!
 エト「ガッ…ハッ…!」
 轟音と地響きとともに、エトは地上に叩き付けられる。
 全身を強打し、一瞬呼吸すら止まりかける。
 それ程のダメージを受けながらも、意識を手放さないのは流石と言ったところか。
 エト(ちぇ…最後の最後でやっちゃったなあ…)
 激痛の中ふと見れば、襲撃者が止めを刺さんと尾赫を振り上げているのが見える。
 その数実に三本。
 あれが振り下ろされれば、確実に自分を貫くだろう。
 いくらエトと言えど、今の状態であれを喰らえば致命傷は避けられない。
 エト(ここまでか…。あーあ、まだ生きてたかったなあ…)
 振り下ろされた尾赫が、エトへ迫る。
 一瞬後に来るであろう激痛を想像しながら、エトは静かに目を閉じた。
 
- 
                  - 202 : : 2015/08/08(土) 15:22:27
- ザシュッ!!!
 肉を貫く鈍い音が辺りに響く。
 それと同時に、何か温かいものが顔にかかるのを感じる。
 にも拘らず、予想していたような痛みは無い。
 エト(…え?)
 ―何かおかしい。
 思わず目を開け、前を見る。
 そこには、エトが想像もしなかった光景があった。
 エレン「…グッ…ガハッ」ビチャ
 そう、エレンが自分を庇うように立っていたのだ。
 敵の巨大な尾赫を左右の腕で掴みとっている。
 だが対応できたのは二本まで。残りの一本は、エレンの腹部に深々と突き刺さっていた。
 エト「な…何で…」
 その光景に、エトは茫然と声を上げる。
 分らない。何故エレンが自分の前にいるのか。
 これではまるで、自分を守っているようではないか…。
 
- 
                  - 203 : : 2015/08/08(土) 15:47:08
- エト「何で、何で私を…私なんかを…」
 エレン「うるせえな…」
 エレン「俺だってよく分かんねえよ…」
 エレン「…けどさ」
 エレン「お前みたいな奴は、何か放っとけないんだよな…」
 エト「―!」
 腹部の傷はかなり深い。
 敵の攻撃は、完全に自分を貫いている。
 今の状態では満足に再生させることもできないだろう。
 だがそれでも、エレンの闘志は衰えない。
 「■ ■ ■ ■ ■ ■―――ッッ!!」
 襲撃者が咆哮を上げ、止めを刺さんと行動に出る。
 エレンに刺さっている尾赫を引き抜き、再度攻撃を仕掛けようとする。
 エレン「ッ!!…舐めんなああああぁぁぁッッ!!」ゴッッッ!!
 ミチミチ……ブチィッッ!!
 だがエレンもタダでやられるわけではない。
 腕に渾身の力を込め、掴んでいる尾赫を引きちぎった。
 
- 
                  - 204 : : 2015/08/08(土) 16:00:16
- 「■ ■ ■ ■―――ッッ!!」
 だがその程度で止まるほど、敵も軟ではない。
 赫子が千切られたことなどまるで意に介していないかのように、襲撃者は残りの赫子を振り上げる。
 エト「エレン、もういいよ!逃げて!」
 エレン「…」
 エトの言葉を聞いても、エレンは動かない。
 今のエレンに、あの攻撃をどうにか出来るだけの力は残っていない。
 だがそれでも、エレンは逃げない。
 エレンの選択肢に、撤退は無い。
 「■ ■ ■ ■ ■ ■―――ッッ!!」ゴウッッ!!
 振り下ろされる敵の尾赫。
 迫りくる死を目の前にしても、エレンは動じない。
 エレン「…兵士には、引けない状況がある。だったな」
 エレン「ああ、その通りだ。今がその時だ」
 ガッッキィィンンン!!!!
 
- 
                  - 205 : : 2015/08/08(土) 16:16:52
- エレン「!!」
 エト「!」
 「良いこと言うじゃねえか、エレン」
 襲撃者の攻撃はエレン達に届かなかった。
 突如現れた乱入者によって、すべて防がれたのだ。
 あの巨大な尾赫をいとも簡単に受け止めながら、そいつは軽い調子で口を開いた。
 「お前ほどの奴が、随分やられたな」
 エレン「…ライナー」
 ライナー「おう、大丈夫か?」
 ライナー・ブラウン。
 『前』の戦友にして宿敵。
 そして『今』では、境遇を同じくする大事な仲間。
 104期生で最も頼れる男がそこにいた。
 
- 
                  - 206 : : 2015/08/09(日) 01:05:45
- ライナー!!
 ベルトルトとアニも来てくれるのか(。-_-。)
 期待
 
- 
                  - 207 : : 2015/08/09(日) 03:09:27
- 期待
 
- 
                  - 209 : : 2015/08/17(月) 16:51:57
- 期待!
 面白いです!
 頑張ってください。
 
- 
                  - 210 : : 2015/08/17(月) 17:08:20
- エレン「お前…何でここに…」
 ライナー「お前が何時まで経っても帰ってこないってんで、騒ぐ奴が一人いてな」
 ライナー「そん時は大丈夫だと思ったんだが、此奴は探しに行って正解だったみたいだ」
 エレン「…そうか。悪い、手間かけさせたな」
 ライナー「気にするな。取り敢えず、残りの話は此奴を何とかしてからだ」
 そう言うが否や、ライナーは全身に力を込める。
 するとライナーの肩甲骨辺りから、赤黒い赫子が出現した。
 それはライナー自身の腕を覆うように展開されていき、最終的には巨大な剣の様な形状となる。
 ライナー「さて…行くぞッ!!」ブンッ
 そして次の瞬間、ライナーは渾身の力を込めて腕を振るった。
 力を入れて腕を振るう。ただそれだけの単純な動作。
 にも拘らず、その威力は絶大の一言
 その一撃だけで、容易く敵の尾赫を切断する。
 
- 
                  - 211 : : 2015/08/17(月) 18:01:41
- 面白いです!
 
- 
                  - 212 : : 2015/08/17(月) 23:12:23
- ライナー「よし、今だ!」
 その掛け声と同時に、天から数多の弾丸が飛来する。
 夜空を覆いつくさんばかりのその弾丸は、敵の装甲を着実に削っていく。
 エレン「あれは…」
 思わず空を見上げれば、見知った金髪の少女が丁度飛び降りてくるところだった。
 その背中からは鷲の翼の様な大きな羽赫が生えており、降下しながらも絶え間なく敵に弾丸を撃ち込んでいる。
 そして、エレンの傍へ降り立つと一瞬だけ弾幕を止め、エレンの方を見る。
 エレン「アニ…」
 アニ「…勝手にいなくなるなんて、許さないから」
 それだけ言うと、アニは真っ直ぐ敵に向かって突っ込んでいく。
 そして得意の格闘技を使い、痛烈な蹴りを喰らわせた。
 「そうだぞ。彼奴なんてお前を心配して必死に探し回ってたんだからな」
 
- 
                  - 213 : : 2015/08/17(月) 23:15:06
- 期待!
 面白いです!
 頑張ってください。
 
- 
                  - 214 : : 2015/08/18(火) 03:22:41
- 期待
 
- 
                  - 216 : : 2015/08/22(土) 15:03:09
- エレン「ユミル…」
 そこにいたのはそばかすが印象的な長身の少女。
 ユミルはニッと笑ってエレンに言った。
 ユミル「ま、お前に死なれたら困るのは私も一緒だ。だから、あんま無茶すんなよ」
 少し照れたようにそう言うと、ユミルも戦闘態勢に切り替える。
 彼女の尾骶骨あたりから現れる赫子。
 それは鮫の尾のような、独特な形状をした尾赫だった。
 ユミル「さて、行くか…」
 そう呟くと、ユミルは思い切り地を蹴って加速する。
 弾丸のような速度で飛び出したユミルは、瞬く間に敵に肉薄する。
 ユミル「…ッ!」ブン
 そのまま襲撃者に強烈な蹴りを叩き込む。
 もちろんそれでユミルの攻撃が終わる訳もなく、兄とともにぜうみょうなコンビネーションで敵を攻め立てる。
 
- 
                  - 217 : : 2015/08/23(日) 13:45:47
- 面白いです!
 
- 
                  - 218 : : 2015/10/11(日) 02:36:59
- 面白くても放置されちゃーな
 
- 
                  - 219 : : 2015/11/03(火) 23:02:30
- 同意
 
- 
                  - 220 : : 2015/11/03(火) 23:47:00
- 上に同意
 
- 
                  - 221 : : 2015/12/01(火) 18:09:29
- エレン「お前ら……」
 助けに来てくれた彼等を見ている内に、エレンは自身が震えるのを感じていた。
 『前』の世界では幾度となく衝突し、殺し合って来た彼ら。
 憎んだ。恨んだ。抑えきれない怒りをぶつけ、溢れる殺意を叩き付けた事もあった。
 たが、それでも――
 エレン「あぁ…やっぱり、お前らみたいな仲間ってのは良いもんだな…」
 「ふふっ…エレンからそんな台詞が聞けるなんて、探し回った甲斐があったよ」
 エレン「…悪かった。でも、ありがとうな。ベルトルト」
 ベルトルト「どういたしまして…って言いたい所だけど、先ずは彼奴を倒してからだね」
 そう言って、ベルトルトは静かにエレンの前に歩み出る。
 そこには、『前』のようなライナーに頼りきりで自信なさげだった彼ではなく、自分の意思で毅然と立つベルトルトの姿があった。
 
- 
                  - 222 : : 2015/12/01(火) 18:27:22
- ベルトルト「……フッ」
 先程迄の穏やかな様子とは一変、ベルトルトは一瞬で戦闘体勢に入る。
 短く息を吐き、その背中から赫子を顕現させる。
 現れたのは二本の鱗赫。
 だが只の鱗赫ではない。
 全長10メートルにも達しようかというそれは、最早赫子なのかすら疑わしい。
 直径は最も太いところで1~2メートル程だろうか。
 その赫子と言うには余りにも大きすぎるそれを、ベルトルトは苦もなく振り上げる。
 大きく振り上げられたそれは、最早二本の柱のようであり、とても鱗赫には見えない。
 ベルトルト「アニ、ユミル!!上手く避けてね!」
 そう叫ぶと同時に、ベルトルトは天高く振り上げたそれを、躊躇うこと無く敵の喰種へと叩き付けた――
 
- 
                  - 223 : : 2015/12/01(火) 18:47:55
- ドッッッッ………!!!!
 それは正しく必殺の一撃。
 地震のような激しい揺れが起き、全身が震えるような爆音が辺りに響き渡る。
 ベルトルトの一振りは襲撃者のみならず、周囲の地面や建物までも容赦なく巻き込んだ。
 余りの威力に地面は陥没し、周囲のビルも壁が大きく削れている。
 ライナー「ヒュウ…相変わらず凄え威力だな」
 ベルトルト「ありがとう。……でも、思ったより手応えがなかった。多分、まだ生きてるよ」
 ユミル「おいおい…あれをまともに喰らって生きてるだと?冗談きついぞ」
 アニ「まあ、あの図体は伊達じゃないってことなんじゃない?」
 ベルトルト「恐らくは。でも全く効いてない訳じゃ無さそう。暫くは動けない筈だよ」
 エレン「そうか。なら、とっととずらかるぞ。これだけの騒ぎを起こしたんだ。そろそろ白鳩が来てもおかしくない」
 
- 
                  - 224 : : 2015/12/01(火) 19:32:08
- エトはどうするんだwww
 期待やで
 
- 
                  - 225 : : 2015/12/01(火) 19:47:24
- エレンの言うとおり、敵が動けないのならば好都合だ。
 此方もそれなりに疲弊している以上、無駄な戦闘は避けるべきである。
 その意図を察し、ライナー達は直ぐに移動を開始した。
 ライナー「了解だ」
 ユミル「確かに、今白鳩と会うのはヤバイな」
 各々が移動を開始するなか、エレンは先程から放置されている少女に近付いた。
 エト「……なに?」
 エレン「……」ヒョイ
 エト「!?何を…?」
 エトが狼狽するのも無理はない。
 エトに近付いたエレンは、いきなり彼女を抱えあげたのだ。
 俗にいうお姫様抱っこ、と言うやつである。
 エレン「無理すんな。お前、その体じゃ満足に動けないだろ?」
 エト「だからって…!」
 エレン「別に恩を売るとか、そんなんじゃねえ。ここに放置したら、俺の寝覚めが悪いからな。それだけだ」
 エト「……むう」
 エレンの言葉にエトは不満そうにするものの、体が動かないのではどうしようもない。
 そんなエトを抱え、エレンは仲間の元へと急ぐ。
 今までの戦闘していたことを感じさせない足取りで、彼等は夜の闇に消えていった。
 
- 
                  - 226 : : 2015/12/02(水) 02:45:51
- ~~~~~~~~~~~~
 エレン達が去って行った後、それを見送るように一人の男が現れる。
 それは先程の戦闘で、エトに吹き飛ばされた男だった。
 男は、エレン達が去った方向を睨み付けた後、ゆっくりと瓦礫の方へ向き直った。
 「……ふん。まさか二人とも隻眼だったとは。これは、いくらお前でも厳しかったか…」
 そんな声に反応するかのように、ベルトルトの攻撃によって崩れた瓦礫の中からエレン達を襲った喰種が現れる。
 既に満身創痍ではあるが、動ける程度には回復したらしい。
 ピシピシッッ……
 度重なる戦闘で限界だったのか、襲撃者を覆っていた赫子が砕け、中から一人の少女が出てきた。
 年は10代後半だろうか。長く美しい黒髪と、金の瞳が特徴的な少女だ。
 だが、その目は明らかに焦点が合っておらず、彼女が普通の状態では無いことは明らかだった。
 だがそんな事を男は特に気にした様子もなく、淡々と命令を下す。
 「我々も引くぞ。これ以上ここにいる意味はない」
 「…」コクン
 男の言葉に、少女は無表情で頷く。
 その様子にどこか満足な表情を浮かべながら、男は少女を連れて闇へと消えていった。
 
- 
                  - 227 : : 2015/12/02(水) 02:46:22
- 投稿が数ヶ月も空いたことを深くお詫び申し上げます。
 
- 
                  - 228 : : 2015/12/02(水) 05:07:55
- 期待してます
 
- 
                  - 229 : : 2015/12/02(水) 07:56:03
- またコメントかと思いきや更新されてる。
 期待してます♪
 
- 
                  - 230 : : 2015/12/03(木) 16:35:24
- ~~~~~~~~~~~~~~~~~
 (……温かい)
 ふと目を覚ませば、自分が暖かな場所で寝ていることに気付く。
 寝ている場所もいつもの固い床の上ではなく、柔らかいベッドの上のようだ。
 睡眠をこんなに心地良く感じたのは何時以来だろうか。いや、ひょっとしたら初めての事かもしれない。
 それだけ、彼女…エトは過酷な環境で育ってきた。
 エト(…?)
 心地良い微睡を感じながら少し伸びをすると、ふと頭に暖かな感触があった。
 エト(何だろう…?でも、嫌いじゃない)
 もう暫くその感触に身を委ねても良かったが、そこは好奇心が勝った。
 目を開けて、その感触の正体を確かめる。
 すると……
 エレン「お?起きたか?」
 
- 
                  - 231 : : 2015/12/03(木) 16:48:51
- エト「…え?」
 エレン「ん?まだ眠いなら寝ててもいいぞ?」
 エト「あ、うん……じゃなくて!!何で私の頭を撫でてるの!?」
 エレン「何でって言われてもな…すげえ撫で易い位置にあったし」
 そう言われて、エトは自分の体勢を今更ながら確認する。
 部屋には大きなベッドが一つ。
 他のメンバーも一緒になって眠っている。どうやら起きているのは自分とエレンだけらしい。
 そのことに若干感謝しつつ、自分の状況を見て…エトはさらに混乱した。
 何故なら、エトはエレンの腹を枕にして眠っていたのだ。
 エレンは少し体勢を起こして、それを見ていたらしい。
 これではまるで人に懐く猫のようではないか。
 そこまで考え、エトは顔を赤くしながらエレンから離れた。
 
- 
                  - 232 : : 2015/12/03(木) 20:00:22
- エレン「もう良いのか?」
 エト「うん」
 返事をしつつ、エトは起き上がる。
 手早く衣服を整え、静かに入口へと向かう。
 エレン「…行くのか」
 エト「うん。私には、やらなきゃいけないことがある」
 エレン「…そうか」
 エレンの返事は意外にもあっさりしたものだった。
 エトとしても、そっちの方が有難い。
 この温もりに浸っていれば、自分は今より幸せになれるだろう。仲間がいて、ご飯もあって、寝床もある。
 自分が今まで憧れて止まなかったものが此処にはある。
 だが、それは出来ない。
 自分はもう止まれない。
 既に引き返せない所まで、自分は来てしまっている。
 
- 
                  - 233 : : 2015/12/03(木) 20:10:47
- ここで別れれば、次に会えるのは何時か。
 その時自分達は味方なのか、それとも敵なのか。それすらわからない。
 だがそれで良い。
 敵として会えば、次は確実に仕留めるだけ。
 そう思い決別の言葉を懸けようと振り返れば、エレンは柔らかく微笑みながらこう言った。
 エレン「そっか。なら、時々で良いから遊びに来いよ。こいつらも喜ぶだろうしさ」ニコッ
 エト「……!」
 エト(あぁ…もう。敵わないなぁ…)フッ
 エト「うん。エレンも私の組織に遊びに来てよ。その時は、遊んであげる」
 エレン「あぁ。暇な時に行かせてもらうわ」
 エト「フフッ、楽しみにしてる。…じゃあね」フリフリ
 エレン「あぁ」スッ
 そう言って、エトは部屋から出ていった。
 次に会うときは敵か味方か。
 それは分からないが、エレンは余り気にしないことにした。
 味方ならそれで良いし、敵なら相応の対応するだけだ。
 
- 
                  - 234 : : 2015/12/03(木) 20:22:51
- エレン「…ふう」
 
 
 窓から見える青空を見ながら、エレンは溜息をつく。
 ベッドから出ようにも、左手にはアニがしがみつき、腰辺りにユミルが抱き付いている状態ではどうしようもない。
 ライナーとベルトルトもまだ起きる気配もないし、もう少しのんびりしても問題ないだろう。
 
 
 エレン「…」
 
 
 彼等を優しい目で眺めつつ、エレンは今後について思考を巡らす。
 今回は多少派手に動きすぎた。
 すぐさまばれることは無いだろうが、今後はあまり派手に動くことは自粛しなければ。
 
 取り敢えずは戦力の強化か。
 これからの事を考えれば、組織をつくる事が望ましい。だが五人では心許ない。
 先ずはメンバーを集める所か。こうしてライナー達がいると言うことは、他のメンバーもいる可能性がある。
 先ずはそいつらを見つける事から始めようか。
 
 
 『この世界は残酷だ。でも、美しい。』
 
 
 自分の家族がよく言っていた言葉だ。
 確かにその通りだ。前の世界程では無いにしろ、この世界も決して優しい訳ではない。
 それでも、こいつらと一緒なら…
 
 どんな壁があっても、乗り越えていける。
 エレンはそう思った。
 
 
 ~プロローグ・完~
 
- 
                  - 235 : : 2015/12/03(木) 20:25:14
- これにてプロローグは完結です。
 途中大幅に間が空いて、大変申し訳ありませんでした。
 もう少し続ける予定ですので、次も読んでいただけたら幸いです。
 ありがとうございました。
 
- 
                  - 236 : : 2015/12/03(木) 20:42:09
- あ、今更ですけど設定資料的なのは要りますかね?
 一応準備と言うかあるにはあるんですけど。
 自分で言ってて何だけど自分が凄く痛い奴に見える。いや、事実なんだけどさ
 
- 
                  - 237 : : 2015/12/03(木) 22:15:46
- 乙です!
 ユミルがエレンに抱きついてるってとこで三度見くらいしてもうたwwギャップがww
 期待です
 
- 
                  - 238 : : 2015/12/07(月) 15:33:11
- 続き出来ました
 クリスタ「私は…化け物になってしまった…」
 http://www.ssnote.net/archives/41516
 ちなみにクリスタは最初出番ないです
 
- 
                  - 239 : : 2020/09/22(火) 01:16:39
- 襲撃者がオーバーホールみたいな感じにとらえてしまった
 
- 
                  - 240 : : 2020/10/01(木) 13:26:25
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険 
 http://www.ssnote.net/archives/80410
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