ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

『リヴァイとチョコボ』─人類最強と鳥類最速の友情物語─〈兵長と動物企画〉

    • Good
    • 9

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2015/02/26(木) 16:20:13
    『リヴァイとチョコボ』─人類最強と鳥類最速の友情物語─〈兵長と動物企画〉

    ○ァイナルファンタジーでお馴染みのチョコボと、リヴァイが出会ったら……

    チョコボが進撃の世界にひょっこり現れます

    チョコボは何らかの理由で、リヴァイ達の世界に来たのだが……

    二人の行く末やいかに?

    ネタバレは基本単行本

    よろしくお願いいたしますm(__)m

  2. 2 : : 2015/02/26(木) 16:21:58
    リヴァイ「ちっ……読み誤ったか」



    大きな木の上で、一人の男が舌打ちをした


    時おり鳥の鳴き声が聞こえる以外、森は静けさを保っている

    木漏れ日が男の背中を暖かく優しく照らす


    だが、その朗らかな陽気とは裏腹、男の表情は険しかった
  3. 3 : : 2015/02/26(木) 16:22:25
    リヴァイ「馬もいねえ、ガスは残り少ねえ。現状を打開する策が思い浮かばねえ……」

    男……リヴァイはその場に座り込んだ



    リヴァイは調査兵団に所属している兵士

    彼は今日、人類を天敵である巨人から守るためにある壁から外に、仲間と共に遠征していた

    彼の班は先陣を切る形で遠征の陣形最先端にいた


    そして、彼の班は巨人と遭遇した


    それらとの戦闘を担いつつ、本隊を守るために団長に伝達した


    ──ここにこないように。片付けて合流する。─と

    リヴァイは自分の力と、班員とで巨人を殲滅できると判断したのだ

    だが、そこにイレギュラーな出来事が起こる


    大きな巨人が何故か、兵士だけでなく馬を狙い始めたのだ


    機動力を失った兵士達は無惨に散っていった


    リヴァイはひたすら、班員を助けるために戦い続けた

    そしていつしか、彼の馬も犠牲になり、巨大樹の森へ追い詰められたのであった
  4. 4 : : 2015/02/26(木) 16:22:58
    リヴァイ「俺も、ここまでか。まあよく戦った方だよな」

    リヴァイは独りごち、太い枝に座り込んで息をついた


    大きくもない手のひらを開くと、たくさんのマメができて、さらにつぶれて固くなった武骨なそれが、彼の壮絶な戦いの歴史を物語っていた


    リヴァイ「俺は、まあまあ幸せだったか……?よくわからねえ。いろんな奴に会った。嫌な奴ばかりだった。だが、いい奴もいたな」

    リヴァイは目を閉じた


    彼の脳裏に浮かんだのは、ひょうきんで明るい表情の眼鏡の女性


    リヴァイ「約束、守れそうにねえな。飯、奢ってくれるはずだったんだがな……すまない、ハンジ」


    リヴァイは脳裏で笑顔を見せる女性……ハンジに謝罪の意を示した
  5. 5 : : 2015/02/26(木) 16:23:19
    壁外は人間にとっては生きていけない環境である


    圧倒的な力を持つ天敵である巨人が 跋扈(ばっこ) しているからだ


    彼らは巨体にあるまじき速度で走る事ができる

    人間がそんな彼らが支配する土地で生きるためには、巨人より速く駆ける馬という機動力が必須だった


    そして、巨人を倒すための立体機動装置

    それらがあって初めて、人間は壁外で生きていける最低限の条件を満たすのである


    だが今のリヴァイには……


    馬という機動力も無く、立体機動装置もガスが殆ど無い


    生を諦めるしかない状況であった
  6. 8 : : 2015/02/26(木) 17:48:53
    リヴァイ「遺書でも書くか……いや、柄じゃねえな」

    リヴァイは胸のポケットを探ってメモを取り出そうとして、止めた

    代わりに単眼鏡を手にして、遥か地平線を覗く


    単眼鏡ごしの彼の目に写るのは、美しい緑の広大な大地

    野生の動物たちが平和を享受している

    この壁外で生きられないのは、人間だけだ

    巨人は何故か、人間だけにしか襲いかからない


    単眼鏡で様々な風景を観察していた、その時だった


    リヴァイ「なんだ、あれは」

    リヴァイの目に、不思議な生き物が見えた

    黄色い鳥の様なそれは、目まぐるしい速度で巨人が蔓延る大地を駆けている

    ──まっすぐこちらに向かって


    リヴァイは目を擦り、もう一度単眼鏡を覗こうとした


    だが、その必要はなかった


    その黄色い鳥の様なものは、すでにリヴァイの肉眼で捉えられる距離になっていた


    やがてその黄色い鳥の様なものが、やはり鳥であると肉眼ではっきりわかる程に近づいてきた


    その鳥は、徐々にスピードを落としていく


    そして、リヴァイのいる木の真下で、ぴたりと止まったのであった


  7. 9 : : 2015/02/26(木) 17:52:27
    リヴァイはしばらくその黄色い鳥をじっと見据えた


    見たことがない成りをしている


    体長は2メートルに届くくらいで、全身黄色い羽毛に覆われている

    大きな嘴、くるっとした青い瞳

    つんと上に伸びるトサカ

    長い脚


    リヴァイ「変な鳥だな……おい」


    リヴァイは思わずそう呟いた
  8. 10 : : 2015/02/26(木) 17:56:56
    リヴァイ「おいお前。何か用か?」


    『9日10日(ここのかとうか)』


    リヴァイ「な、何っ?! 」


    リヴァイは突然聞こえてきた……いや、脳内に響いてきた様な声に、思わず頭を振った


    きょろきょろと辺りを見回すが、人はいない


    『しゃべったのは僕ですよ、僕』


    リヴァイ「な、なんだと……?」


    リヴァイは黄色い変な鳥を見下ろしながら、目を見開いた




  9. 11 : : 2015/02/26(木) 18:02:58
    『とはいえ、僕は口に出すことはできないんで、あなたの脳内に直接話し掛けているんですがね。念話というやつです。ご存じありませんか?』

    黄色い変な鳥は、長い首を傾げた


    リヴァイ「知るわけねえだろうが。……そうか、俺はもう死んだんだな。だからこんな幻影が見えるし聴こえるんだ」


    『あなたは死んでいません。あなたに死なれたら困るんですよね、僕。あなた、リヴァイさんでしょう?さっき、向こうにいたあなたのお仲間らしき人達が、あなたを探していました』


    リヴァイ「あいつら、まだ帰ってねえのか」


    『夜まで待つみたいな話だったかと』


    変な鳥は視線を虚空に向けながら思い出すかのような仕草を見せた
  10. 12 : : 2015/02/26(木) 18:08:05
    リヴァイ「……おい、変な鳥」

    『………………』


    リヴァイ「そこの黄色」

    『………………』



    リヴァイ「……返事しやがれくそ鳥。焼き鳥にして食うぞ?」

    『止めてください。あなた生きて帰れなくなりますよ?』


    黄色い鳥は羽をブルッと震わせた
  11. 13 : : 2015/02/26(木) 18:16:48
    リヴァイ「でけえ鳥、お前かなり脚が速い様に見えたが」


    『ああ、ばれちゃいましたか、はは。あなたがたの馬より数倍は速く走れるんですよ、僕。馬は最大速度で約85㎞/h。僕は215㎞/hは出ますからね』


    リヴァイ「自慢はいい。それよりお前、あいつらの所まで俺を連れていけるか?」


    『もちろん可能ですよ。そのつもりであなたを探していたので』


    変な鳥は、バサッと羽を開いた


    リヴァイ「じゃあ、すまねえがあいつらの所まで頼む」

    リヴァイはそう言うと、立体機動でひらりと大きな黄色い鳥の背に乗った


    『掴まっていて下さい、リヴァイさん。行きますよ』


    リヴァイが首元を掴んだのを確認した鳥は、猛スピードで駆け出した
  12. 18 : : 2015/02/26(木) 20:19:19
    大平原を黄色い鳥は、リヴァイを背に乗せひた走る

    見た目では到底想像つかない驚くべき脚力に、さすがのリヴァイも内心舌を巻いた


    リヴァイ「(こいつは変な鳥だが、すげえ。馬を遥かに凌駕する速度じゃねえか)」


    『変な鳥という名前ではないですよ。僕はチョコボといいます』


    リヴァイ「!?!」

    リヴァイは驚いた


    口に出していないのに、変な鳥は返事をした

    まるで……

    『そうです、僕はあなたの頭の中の声を読みました。というか、聞こえてきたんですよ。普段はシャットアウトして聞こえなくしているんですが……今は走る方にウエイトを置いているので』


    変な鳥……チョコボは走りながら頭を軽く下げた


    謝罪のつもりなのだろう


    リヴァイ「見た目によらず、いや見た目通り不思議なんだな、変な黄色」


    『ですから、僕はチョコボですって。変な黄色はさすがに失礼ですよ、リヴァイさん』


    リヴァイ「勝手に人の頭ん中覗くからだ。変な黄色」


    『……お好きにどうぞ』


    チョコボは呆れたような口調で、リヴァイの脳内に語りかけた
  13. 19 : : 2015/02/26(木) 20:33:58
    ものの10分駆けるだけで、リヴァイとチョコボは調査兵団の一行に合流した


    「リヴァイ兵長が、戻ってきたぞ! 」

    「兵長、お怪我は!?」

    「よかった、よかった……というかこの鳥は?馬じゃないんですか?」


    兵士たちが次々とリヴァイとチョコボに押し寄せる


    リヴァイ「心配かけた。怪我は大したことねえよ。エルヴィンは……」


    リヴァイが兵士にそう問いかけた時、視線の向こうからダッシュしてくる人影が見えた


    その人影はリヴァイに抱きついた……と思いきや


    「何だいこのおっきな黄色い鳥さんはー!かわいい、かわいい!!なでなで! 」


    人影はチョコボの首に巻き付き、トサカを引っ張った


    リヴァイ「……………ハンジ」


    『リヴァイさん、なんか羽をむしられたんですが……それに怖い。この人の頭の中、僕の体の隅々まで知りたい知りたい知りたい……こんな感じなんですが』


    チョコボは首を捩ってハンジから逃れた


    だが、ハンジは懲りずに足元にへばりついて、蹄や足を触りまくった


    リヴァイ「(そいつはそういう変人だ。諦めろ。羽の10枚20枚くらいな)」


    『そ、そんなにむしられたら禿げますよ! 』


    チョコボは悲鳴をあげた
  14. 20 : : 2015/02/26(木) 21:12:54
    ハンジ「いやあリヴァイ、君の事だから大丈夫だとは思っていたんだけどね、さすがに時間が掛かりすぎてたから、もしかしてやばいんじゃないかって心配してた所だったんだ」


    リヴァイ「馬をやられてな。こいつがいなけりゃ死んでた」

    リヴァイはチョコボの首をさらっと撫でながら言った


    ハンジ「そうだったんだね。ほんと、無事で良かったよ。しっかし見たことがない鳥だね。いろいろ調べたいんだけどな……」


    『嫌だ、絶対に嫌です、断固拒否! 』

    チョコボは足をばたつかせた


    ハンジ「喜んでるよね?この子」


    リヴァイ「あほぬかせ、嫌がってるに決まってるだろうが! 」


    『リヴァイさんナイスつっこみ!』


    チョコボは頷いた

  15. 21 : : 2015/02/26(木) 21:22:05
    リヴァイとハンジは、チョコボを連れてエルヴィンの所へ向かった


    エルヴィン「……リヴァイ、無事で何より。捜索隊を出すにも人員が足りなさすぎてな……すまない」


    リヴァイ「いや、自分のけつくらい自分で拭くさ。人の手は借りたくねえよ、できる限りな。ところで……こいつが俺の命の恩人なんだが」


    リヴァイはそう言いながら、チョコボを指し示した


    エルヴィン「……だちょうか?にしてはふさふさしていて、不思議な色だな。まっ黄色じゃないか」

    ハンジ「だちょうの珍種なのかもしれない! エルヴィン、わたしにこの黄色い鳥さんの研究許可を…………むぐぐ」

    リヴァイ「こいつは俺の命の恩人。壁の中へ連れて帰りたい。出来れば目立たねえ様に」


    リヴァイはハンジの言葉を遮るように口を押さえて、自ら言葉を発した


  16. 22 : : 2015/02/26(木) 21:28:27
    エルヴィン「目立たない様にか、難しいが、なんとかしてやるさ。お前が俺に物を頼むなんて珍しいしな」


    リヴァイ「助かる」


    『エルヴィンさん天使』


    ハンジ「帰ったらいっぱい研究しちゃお」


    『断固拒否!』



    チョコボは結局馬車に乗せられ、遺体の様に布にくるまれて、秘密裏に運ばれた



    こうしてリヴァイは、不思議な黄色い変な鳥、チョコボを連れて、壁の中に無事帰還したのであった
  17. 23 : : 2015/02/26(木) 21:42:40

    壁内の調査兵団本部へ帰還し、馬たちを馬屋に連れていく兵士たち


    もちろん黄色い変な鳥も馬と同じ扱いをうける


    チョコボは馬屋にいれられた


    『嫌だ、嫌です!リヴァイさん!』


    リヴァイ「(何だよお前、頭の中がきんきんするじゃねえか)」


    『僕、馬と寝るのは嫌です! チョコボは森の中で寝るんですよ。それが出来なければ、主人のところで寝るって決まってるんです』


    リヴァイ「(わがままいうな、おとなしく馬屋にいろよ)」


    『だ、だめですって……あの怖い眼鏡の、えっと、ハンジさんが襲いにくるかもしれないじゃないですか!』


    リヴァイ「(大丈夫だ、殺しはしねえさ…………多分な)」


    『多分て何なんですかぁぁ! リヴァイさんと一緒じゃなきゃ嫌だ! お願いですからあぁ 』


    チョコボの悲鳴のような声に、リヴァイはしかたなく自分の部屋に連れていったのだった



  18. 24 : : 2015/02/26(木) 22:24:57
    リヴァイ「お前、でけえなりしてどこで寝るつもりだ?」


    あまり広いとは言えない、だが限りなく清潔なリヴァイの部屋で、チョコボとリヴァイは寛いでいた


    『リヴァイさんと一緒に寝ますよ、あの寝床で』


    リヴァイ「ベッドが潰れやしねえか……っていうかお前、風呂はいれよ?でなきゃベッドはおろか、部屋にも出入り禁止だ! 」


    『風呂……湯浴みですか。入れというなら入りますよ。ただ、先にリヴァイさんが入ってください。僕は抜け毛が激しいのでね』


    リヴァイ「禿げるのか?お前」


    『は、禿げませんよ! 新陳代謝が活発なだけです! 』


    リヴァイ「とりあえず、風呂の支度してくるから待ってろ」


    『はい、よろしくお願いします、リヴァイさん』


    チョコボはそう言うと、床にちょこんと足を曲げて座った
  19. 25 : : 2015/02/27(金) 14:43:08
    リヴァイはチョコボを風呂に入れてやっていた


    『あー、そこそこ、気持ちいいです』


    リヴァイ「そうか」


    わしゃわしゃごしごし……


    特に汚れが落ちている気配はないが、確かに羽はよく抜けた


    『極楽です、極楽。こんなに綺麗にしてもらえるのは久しぶりですよ。いつもは水浴びくらいしかしませんから』


    リヴァイ「そうか」


    『…………あの、リヴァイさん』


    リヴァイ「何だ?変な黄色」


    『後で、聞いていただきたい話があるんですが。その、どうして僕がここに来たかを』


    リヴァイ「そういやお前、森で話した時に確か、俺に死なれたら困るって言ってたな」


    『はい、その件について、お話ししたいです』


    リヴァイ「わかった。綺麗に乾かして、腹ごしらえしてからな」


    『はい、ありがとうございます、リヴァイさん』


    チョコボは青い目をしばたたかせてお辞儀のように頭を下げた
  20. 26 : : 2015/02/27(金) 15:16:00
    風呂から上がり、リヴァイはチョコボと共に部屋で夕食を囲んだ


    『いやあ、旨い野菜ですね』


    リヴァイ「野菜は割りと充実してるかもしれねえな。肉は殆ど食えねえがな」


    リヴァイはそう言って、野菜のスープを口に運んだ


    チョコボは生野菜を皿に盛ってもらい、もしゃもしゃ食べていた


    『そういえば、壁の中には人がたくさんいますね。あなた方は、お仲間と外にいたみたいですが……何か事情でもあるんですか?』


    リヴァイ「…………まあいろいろとな」


    リヴァイはかいつまんで、チョコボにこの世界の話をした
  21. 27 : : 2015/02/27(金) 15:22:16
    『なるほど。壁の外にいた大きな裸人間に、人類が脅かされているんですか』


    リヴァイ「ああ、そうだ。お陰で食にありつくのも大変だ」


    『…………そう、ですか。で、あなた方調査兵団は、その巨人を倒して領土を取り戻すために尽力していると』


    リヴァイ「ああ」


    『危険な任務ですよね、それ』


    リヴァイ「ああ。だが調査兵団にいる連中は皆、腹をくくっているがな。命を落とす事も辞さない。俺も、そのうちの一人だ」




    『…………でも、僕はあなたに死なれては困るんです』



    チョコボはリヴァイの言葉に、目を伏せた
  22. 28 : : 2015/02/27(金) 15:30:48
    リヴァイ「何故だ?」


    『実は、僕は数千年後の未来から来ました。この、首の毛の部分に隠してあるんですが……これで時空を越えたんです。見てください』


    リヴァイがチョコボの首元を慎重に探ると、確かに毛の中に小さな機械が取り付けられていた


    リヴァイ「全く想像できねえ話だが、お前みてえな動物はここにはいねえからな。信じなけりゃ話は進まんだろう」


    『こんなにも早く信じてもらえるとは。やはりあなたはただ者ではないですね、リヴァイさん』


    チョコボは羽根を伸ばしてリヴァイに触れた


    リヴァイ「ただの無力な人間だ」


    『いいえ、あなたは特別な方です。それを今からお話しします』


    チョコボはリヴァイに真剣な眼差しを向けた
  23. 33 : : 2015/02/27(金) 18:42:00
    『僕のいた時代は、この時代とは違った意味で人類が存亡の危機に立たされています。その危機を救ってくれるべき血筋が、途絶えてしまいました』


    リヴァイ「血筋?」

    リヴァイの問いに、チョコボは頷く


    『はい。代々優れた戦士を産み出していた血筋なんです。それが、この時代を境に途絶えてしまったんです』


    リヴァイ「それと、俺に何の関係があるんだ」



    『あなたはその血筋の人間なんですよ』


    チョコボははっきりと、リヴァイの脳内にそう語りかけた
  24. 34 : : 2015/02/27(金) 18:48:58
    リヴァイ「俺の血筋?」


    『はい。優れた戦士の血筋、ですよね?人類最強と呼ばれているんでしょう、リヴァイさんは』


    リヴァイ「……知らねえ。勝手にそう呼ばれているだけだ」


    リヴァイはふん、と鼻をならした


    『とにかく、あなたの血筋が途絶えると、僕達の時代で人類が終わってしまうんです。僕はそれを阻止するためにここに来ました』


    チョコボは真摯な眼差しをリヴァイに向けた
  25. 35 : : 2015/02/27(金) 19:02:13
    リヴァイ「俺は死ぬって事か」


    『それはわかりません。はっきりしているのは、あなたは子を成さなかった。あなたの優秀な血を引く子を作らなかった、そういう事です。なので………………』


    チョコボはそこまでいうと立ち上がり、リヴァイに歩み寄った


    そして大きな両の羽根を伸ばして、リヴァイに向かって広げた



    『今すぐ子作りしてきてください。この際相手は誰でもいいんです。あなたの子種をぶちまけてきて下さい! 』


    シーン………

    室内に異様な沈黙が漂う

    だが、次の瞬間──



    リヴァイ「……………ば、ば、馬鹿か!このくそ鳥! やっぱりお前は焼き鳥だ!! 」


    『嫌ぁぁ!痛い、痛いですリヴァイさん! さすが、さすが、戦士の血筋……!』


    クエーッ!


    リヴァイに羽交い締めにされながら、チョコボははじめて、大きな声で嘶いたのであった
  26. 40 : : 2015/02/28(土) 08:18:14
    室内にチョコボのけたたましい鳴き声が響く中、微かに聞こえた扉をノックする音


    それと共に扉の向こう側から声が掛かる



    「兵長、何事ですか?! 大丈夫ですか?!」



    切羽詰まった様なその声の主に、リヴァイは覚えがあった


    リヴァイ「……ペトラ。大丈夫だ、開いているから入れ」


    ペトラ「は、はい! 」



    キィ……扉がゆっくり開き、ペトラが部屋に入ってきた



    そして目の前の状況に体が固まる


    ペトラ「あの、兵長……取り込み中でしたか?」


    リヴァイ「ああ、ちょっとこのくそでけえ鳥を焼き鳥にしようとな」


    リヴァイは相変わらずチョコボを締め上げながらそう言った



    ペトラ「や、焼き鳥ですか……?この子、泣きそうですよ、兵長」


    ペトラがおそるおそるそう言った


    『天使だ! 天使がいる! いや、女神か?! お助け下さいペトラさん!』


    クエーックエーッ!



    チョコボはより一層じたばた羽根をばたつかせた

  27. 41 : : 2015/02/28(土) 08:37:29
    ペトラ「へ、兵長……離してあげて下さい……」



    リヴァイ「…………ちっ」


    ペトラの懇願するような眼差しに負けて、リヴァイはチョコボの体を解放した



    『ペトラさん、優しい僕の女神様』


    チョコボはペトラに体を擦り寄せて、羽根で彼女の頬を撫でた



    ペトラ「あっ、こら、くすぐったいよ、もう」


    リヴァイ「調子に乗るなよ、てめぇ」


    リヴァイはぼそっと呟いた


    とたんにペトラが慌て出す


    ペトラ「ああっ、すみません兵長! 出すぎた真似を! 」


    リヴァイ「ち、違う。お前に言ったんじゃねえ! そこの黄色い変な奴に言ったんだ! 」


    リヴァイは必死に言い訳した


    『ははは、声に出しては怪しまれますよ。ペトラさんは僕が話すなんて知らないんですから』



    リヴァイ「(うるせえ! わかってる! )」


    リヴァイは苦虫を噛み潰したような顔をした
  28. 42 : : 2015/02/28(土) 08:48:00
    リヴァイ「とにかくこの通り何でもねえ。ペトラ、お前は部屋に帰って休め」


    ペトラ「はい、兵長。おやすみなさい」


    『待って! 出ていくなら僕が! そうですよリヴァイさん、丁度いい。ペトラさんに子種をぶちまけましょう! 可愛いし、優しいし、しかも強い、そんな戦士の子が誕生するはずですよ!』



    リヴァイ「お前はバカか! このくそ鳥!よほど 手羽先にされてぇらしいな……」


    リヴァイはまた、チョコボを締め上げようとにじりよった



    ペトラ「兵長、あんまり鳥さんをいじめてはいけませんよ……?」


    『また声に出てますよ、リヴァイさん。案外ドジなんですね』


    リヴァイ「(うるせえ!くそ鳥!)」


    リヴァイはガンッと床を蹴った
  29. 43 : : 2015/02/28(土) 10:29:16
    『しっかし可愛い人でしたねえ……しかも彼女、少なからずあなたを慕っている様でしたよ?』


    ペトラが去った後、チョコボは思い出すように頭を揺らした


    リヴァイ「お前、ペトラの頭ん中読んだのかよ」


    『はい、無粋は承知でね。こっちも切羽詰まってるんです、背に腹は変えられません。で、どうです?彼女に子種を……』



    リヴァイ「何言ってやがる! ペトラは俺の部下だ。しかもまだまだ戦わなきゃいけねえ立場の女を孕ませてどうする! 」


    『そこはあなたが責任とって、寿退職でしょう』


    リヴァイ「勝手に決めんな! くそ鳥! 」


    リヴァイは激昂した
  30. 44 : : 2015/02/28(土) 10:37:37
    『やっぱり駄目ですか……僕はいつになったら帰れるんだろうか』


    リヴァイ「さっさと帰りゃいいだろうが」


    『じゃあ今すぐ子作りを! 』


    リヴァイ「 バカ鳥! 俺は種馬じゃねえ! 簡単に繁殖させんな! 」


    『またまた、好きなくせに~いよっむっつりスケベ! 』




    リヴァイ「…………黄色、そこでじっとしてろ」


    こきこき……

    リヴァイの拳が異様な音を立てる


    『じ、冗談ですよ?リヴァイさん、冗談………って、嫌ぁぁ!』



    クエーッ!クエーッ!


    リヴァイの渾身の力で締め上げられたチョコボは、断末魔の様な鳴き声でわめき散らした
  31. 45 : : 2015/02/28(土) 12:01:14
    『リヴァイさんはさすが人類最強ですね。ペトラさん程の上玉を蹴るとは。まだまだ、上を目指してらっしゃるんですかね?ですが僕の事も考えて、少しランクを下げてみようとか思いませんか?』


    リヴァイ「だから! 別にペトラを蹴ったわけでもねえし、上玉を狙っている訳でもねえ! 」


    『なるほど、そうなんですか。ですが、僕の事を考えて、是非とも子作りに対して前向きに……』


    リヴァイ「今は悠長に女を孕ませてる暇ねぇんだよ。自分がどうなるかすらわからねえこの時代に、責任持てねえ行動なんか出来ねえんだよ」


    リヴァイの真摯な眼差しに、チョコボはしばし考えるように視線を巡らせた
  32. 46 : : 2015/02/28(土) 16:26:38
    『うーん、でしたらこの時代に平和が訪れるまで、あなたが戦わずに済む日が来るまで、僕は帰れない、そういう事になりそうですね』


    リヴァイ「だから、勝手に帰れと……」


    『ですから、あなたに死なれては困るんですよ。あなたが子を成すまでは、帰れません。それが僕に与えられた使命なんですから』


    チョコボは瞳を不安げに、暗く陰らせた


    リヴァイ「そんな事を言われてもな、俺にも都合ってもんがあるだろうが」


    『……はい、そうですよね。出会ったばかりの僕にここまでしていただくだけでも有難いのに、図々しすぎました』


    リヴァイ「お前は俺の命の恩人だ。恩人を無下に扱うような教育は受けてねえつもりだ」


    『でしたら、恩人に免じて今すぐ子作りを!』


    リヴァイ「やらんと言ってるだろうが!くそばか鳥! 」


    『くそにバカまでついてしまいました』


    チョコボは諦めたようにその場に座り込んだ
  33. 47 : : 2015/02/28(土) 18:56:49
    『まあいいです。ここまできて諦めるわけにはいきませんから、あなたが子を成そうと思い立つまで、末永くお供させて頂きますよ』


    リヴァイ「いい迷惑だ」


    『よく考えて下さい。僕の脚力があれば巨人との戦いだって少しは楽になりませんか?僕の脚と、あなたの力、これが交われば…………』


    リヴァイ「確かにお前に乗れば、今まで以上に戦いを有利に運べるかもしれん」


    『ですよね。ではあなたの脚として僕を使ってください。その代わり、子作りの件、前向きにご検討のほど…………』


    リヴァイ「今すぐには無理だが、考えてやる」


    『よしきた! ではこれからよろしくお願いしますよ、リヴァイさん! 』


    チョコボが差し出した右の羽根の先を、リヴァイはぎゅっと握った



    かくして、黄色い変な鳥チョコボとリヴァイは、共同戦線を張ることになった


    チョコボの願いが叶う時は来るのであろうか


    それはまだ、知る時ではない

  34. 48 : : 2015/02/28(土) 23:31:56
    リヴァイ「ベッド狭えな……」


    疲れた体をベッドに横たえるリヴァイ

    チョコボは体長が190㎝を越えている

    一緒に寝るのは難しいとは思ったのだが、チョコボが離れようとしない

    理由は…………


    『お願いですよ、リヴァイさん。僕一人で眠れないんです……』


    どうやらこのチョコボ、成りは大きいし喋りも一人前だが、極度の寂しがり屋らしい

    見知らぬ土地で一人で寝るのが怖いとクエクエ鳴いた


    その鳴き声があまりにも切なく聴こえて、仕方なくリヴァイはチョコボと一緒に寝てやる事にしたのであった


    『リヴァイさん、温かいです……』


    チョコボはリヴァイを抱き枕のように抱いて目を閉じた


    リヴァイ「そりゃ、こっちの台詞だ。ふかふかでなかなか寝心地いいぞ、お前の羽毛。死んだら羽毛布団にしてやるからな」


    『止めてくださいよ、縁起でもない……おやすみなさい』


    リヴァイ「さっさと寝ろよ、変な黄色」


    リヴァイとチョコボはお互いの温もりを感じながら、目を閉じた
  35. 53 : : 2015/03/01(日) 11:16:24
    数時間後──


    『リヴァイさん、リヴァイさん、おはようございます』


    リヴァイ「う、うーん…………」


    頭の中に話しかけてくる声に、うっすら目を開けたリヴァイ


    目の前には黄色い物体が見えた


    リヴァイ「夢じゃ、なかったか……今、何時だ?」


    『おやじ』


    リヴァイ「……焼き鳥の刑に処す」


    『じょ、冗談ですってば!首閉めないで! ぎゃぁ!』


    クエーッ!


    チョコボの悲鳴がこだました

  36. 54 : : 2015/03/01(日) 11:28:57
    リヴァイ「……ってお前! まだ午前三時じゃねえか! 夜だ夜! 」


    『えっ、僕はいつもこの時間に起床するんですが』


    リヴァイ「早すぎるわくそ鳥! こんな時間に起こすな! 」


    『早起きは三文の徳と言うじゃないですか』


    リヴァイ「この時間は早起きじゃねえ、まだ夜だろうが!」


    『いろいろうるさい人ですね、リヴァイさんは』


    リヴァイ「朝っぱら、いや真夜中にうるさいのはお前の方だろうが! いいか、六時半までは起こすな! 次起こしやがったら焼き鳥だからな?塩ふって美味しく食ってやるから覚悟してろ」


    『ひっ、リヴァイさんの目が本気』


    リヴァイ「本気だばか鳥。さっさと寝ろよ」


    リヴァイはそう言い残すと、またチョコボの体に顔を埋めた


    すぐに穏やかな寝息が聞こえてくる


    『まあ、たまにはゆっくりするのもいいですかね』


    チョコボはそう呟くと、羽根でリヴァイの体を包み込んで目を閉じた
  37. 55 : : 2015/03/01(日) 11:41:42
    今度こそ翌朝──


    リヴァイ「おいっくそ鳥、起きやがれ」


    ガスッ

    リヴァイはベッドで安眠を貪るチョコボに手刀を食らわせた


    『痛っ! 』


    リヴァイ「早く起こしやがったと思ったらこんな時間まで寝やがって……もう8時だぞ、くそ鳥」


    『お、はようございます、リヴァイさん。お腹がすきました』


    リヴァイ「野菜もってきてやったぞ。後はパン、食うか?」


    リヴァイは、チョコボの分の野菜と残したパンを差し出した


    『美味しそうですね、野菜。パンは食べませんから、リヴァイさん一緒に食べましょう』


    チョコボとリヴァイは、二人朝食を囲んだ
  38. 56 : : 2015/03/01(日) 21:14:43
    『リヴァイさん、今日の予定はどんな感じですか?また壁の外へ行くんですか?」


    リヴァイ「いや、今日は壁内哨戒だ。壁外なんざそう頻繁に行ける場所じゃねえよ」


    『そうなんですか。それほど巨人は圧倒的脅威なんですね』


    リヴァイ「ああ。あいつらにまともに立ち向かえる人間はいねえ」


    『あなたも、ですか』


    リヴァイ「ああそうだ。いつ死んでもおかしくねえ。俺もな」


    『では、ますます子作りに前向きになって頂かなければ」


    リヴァイ「すまねえが、今俺はこの時代を生きる事に精一杯だ」


    『…………はい、わかりました。とにかく僕はあなたをお守りします』


    リヴァイ「俺に、あまり期待しないでくれ」

    チョコボの言葉に、リヴァイは首を振った


    チョコボは何となく辛そうに見えたリヴァイの顔を食い入るように見つめた
  39. 57 : : 2015/03/01(日) 21:29:28
    『壁内哨戒、僕もご一緒していいですか?』


    リヴァイ「俺は構わねえが、目立つぞお前」


    『僕はどのみちしばらくはこの時代にいるつもりです。なので、出来るだけこの時代の事を知っておきたいんですよ』


    リヴァイ「なるほどな。エルヴィンに聞いてきてやるから、部屋で待ってろ」


    『はい、リヴァイさん』


    リヴァイはチョコボを残して部屋を後にした
  40. 58 : : 2015/03/01(日) 21:53:36
    エルヴィンに許可を得て部屋に戻ろうと廊下を歩いていた矢先

    けたたましい鳴き声が響いてきた



    クエーックエーックエーッ


    尋常ならざるその声に、あわてて部屋に駆け込むリヴァイ


    そこで見たものは……


    ハンジ「黄色い鳥ちゃぁぁん、じっと、じっとしててねぇぇ……?少し、すこぉし触るだけだからさぁ……」


    真っ赤な顔をしながら鼻息荒く、チョコボを床に押さえつけ組み敷いている、ハンジの姿だった


    『リヴァイ、リヴァイさぁぁんたぁすけてぇぇ……』


    チョコボはジタバタと脚をばたつかせていた
  41. 59 : : 2015/03/01(日) 22:03:32
    リヴァイ「おいクソメガネ、朝っぱらから人の部屋でなにやってやがる」


    ハンジ「あっ、リヴァイおはよ!もうさーこのこの事が気になって気になって眠れなくってさぁ! こうして押し掛けてきちゃったわけさ! 」


    リヴァイ「確かに寝てねえらしいな。目の下にくっきりくまができてやがるぞ」


    ハンジ「もうね、いろんな文献を調べたんだけどさ、どこにもこんな生物載ってなかったんだよね。だから知りたくて知りたくて……へへへ」


    ハンジはそう言いながら、チョコボの目から溢れた涙を試験管に掬いとった


    リヴァイ「あれだろ、だちょうの色違い」


    ハンジ「いやあ、でも脚つきがちがうんだよね。蹄の形も違うし。何なんだろう本当に気になるよ!」


    『いやぁぁぁ解剖しないでぇぇ!』


    チョコボはハンジの頭の中を読んでしまい、さらに暴れた


    リヴァイ「とりあえず、離してやってくれ。こいつは俺の命の恩人だ。これ以上いたぶるなら、斬るぞ?」


    ハンジ「いたぶってるつもりはないんだけどなあ……」


    ハンジは渋々、チョコボの拘束を解いたのであった
  42. 60 : : 2015/03/01(日) 22:13:04
    ハンジ「でもさ、この子凄く利発そうな顔してるよねー。今すぐ話しそうなくらい」


    『ギクッ! やばい溢れ出す知性が知らず知らずのうちに……』


    リヴァイ「(くそ鳥、ばかいってろ)鳥が話すわけねえだろうが。バカそうな顔してやがるぞ、良く見やがれ」


    『バカそうな顔って酷いですよっリヴァイさん!』


    ハンジ「うーん、言われてみたらちょっと抜けた顔してるか。でも、走りも速いし凄い子だよね?野生なのかな」


    リヴァイ「野生だろ?知らねえがな」


    ハンジ「昨日はこの子ここで寝たのかい?」


    リヴァイ「ああ、一緒に寝た」


    ハンジ「珍しいね、きれい好きなリヴァイが動物を部屋にいれるどころか一緒に寝るなんてさ。潔癖症のくせに。よほどこの子が気に入ったんだね」


    リヴァイ「…………まあな」


    『リヴァイさん……』


    チョコボはもじもじした
  43. 61 : : 2015/03/02(月) 20:17:39
    ハンジ「いいなぁ、今から壁内哨戒だろ?私はつまんない事務仕事。さぼってリヴァイについて行こうかなあ」


    リヴァイ「くそたわけ。自分の仕事をやれ。副官を困らせるな」


    ハンジ「だってさぁ、私はリヴァイと一緒にいたいだけなんだよ?」


    リヴァイ「…………何言ってやがる」


    『あっ、ちょっと心が揺れ動いた?!』


    リヴァイ「(んなわけねぇだろうが!)」


    『そうですかそうですか……むふふ』


    リヴァイ「(変な言い方すんなくそ鳥)」

    リヴァイとチョコボは、脳内で言葉を交わしあった



    ハンジ「なんかさっきから、鳥さんと目配せしあって仲良しだね?リヴァイって動物好きだったんだ、意外だよ」


    リヴァイ「俺はもともと動物好きだ。馬も好きだしな」


    ハンジ「じゃあ、私と同じだね! っと、そろそろ行ってくるよ。モブリットがうるさいしね」

    ハンジのげんなりした表情に、リヴァイが眉を潜める


    リヴァイ「モブリットをあまり振り回してやるなよ」


    ハンジ「へいへい。じゃあまたね、リヴァイ、鳥さん! 」


    ハンジはそう言うと、手をヒラヒラ振りながら部屋を出ていった

  44. 62 : : 2015/03/02(月) 21:31:13
    つんつん

    チョコボがリヴァイの肩を羽根でつつく


    『リヴァイさんリヴァイさん』


    リヴァイ「なんだ、変な黄色」


    『もしやあなた……あの人が好きなんですか?』

    チョコボは青い目を見開きながらリヴァイに詰め寄った


    リヴァイ「な、何の話だ?! 」


    『いや、何となくそう思っただけなんですけどね?』


    リヴァイ「つんつんつついてくんな! んなわけねぇだろうが」


    『そうですか?怪しいなあ。あ、ご心配無く。今は心は読んでませんから』


    リヴァイ「人の心を覗くな! くそ鳥! 」


    『ハンジさんでしたっけ。あの人変わってますし怖いですが、実は結構美人ですよね。知的美人といいますか……ああいうあっけらかんとした女性が不意に見せる、艶っぽい仕草って妙に色っぽいですよね』


    リヴァイ「俺に同意を求めんな! 」


    『はいはい……素直じゃないですねぇ』


    リヴァイ「うるせえ! 勘違い甚だしいぞてめぇ! 」


    リヴァイは激昂した
  45. 63 : : 2015/03/02(月) 22:42:41
    『まあとにかく、壁内哨戒とやらに行きましょうか』


    リヴァイ「ああ、そうだな。班員も一緒だから変な真似すんなよ?」


    『挙動不審に見られるのは、言葉に出して僕に話しかけちゃうあなたじゃないですか』


    リヴァイ「ちっ、うるせえ鳥め」


    『でも、リヴァイさんはそんな僕が好きなんですよね?潔癖症のくせに僕と一緒に寝るなんて』


    リヴァイ「きれいに洗ってやったから平気なだけだ! それにな、お前がクエクエうるさいから仕方なかったんだろうが」


    『やっぱりリヴァイさんは素直じゃないなあ』


    リヴァイ「…………今日は蒸し鶏が食べてえ気分だ」


    『スモークされるの遠慮します……』


    チョコボはブルッと体を震わせた
  46. 64 : : 2015/03/02(月) 23:00:26
    ─兵団本部前─

    ペトラ「兵長おはようございます! 」

    オルオ「兵長ちいっす! 」


    二人の部下が馬の手綱を引いて門の前で待ち構えていた


    リヴァイ「よお、オルオ、ペトラ」


    『あっ、さっきの可愛いペトラさん!もう一人は中年?部下なんですか?リヴァイさん』


    リヴァイ「(ばかいえ、オルオはまだ19才だ)」


    『うわっ、それは失礼……か、貫禄があったのでつい』


    リヴァイ「(ものは言いようだな)」


    ペトラ「兵長、今日は鳥さんと一緒に行くんですね! かわいいー」


    オルオ「この間見かけやしたが、この鳥かなり速く走るんすよね?」


    リヴァイ「ああ、今日はこの変な黄色と哨戒に出る。速度は馬の……ざっと3倍は出るかもしれねえな」


    ペトラ「かわいいのにすごーい! 」


    『そ、それほどでも……ははっ』


    リヴァイ「あんまり誉めるな、調子に乗りやがるからな」


    『……くっ』


    オルオ「早速走り見せてもらいたいっす! 」


    リヴァイ「そうだな、行くか」


    ペトラ「はいっ兵長! どこまでもお供します! 」


    『是非夜のお供もお願いします!!』



    リヴァイ「うるせえくそ鳥! 」


    ペトラ「はいっ?」


    オルオ「ビクッ!」


    リヴァイ「ちっ、お前らに言ってねえ。さっさと行くぞ」


    リヴァイは慌ててチョコボを走らせ始めた
  47. 69 : : 2015/03/03(火) 15:31:17
    『くーっ、喋りたい喋りたい! ペトラさんにリヴァイさんの夜のお供を頼み込みたいっ! 』


    リヴァイ「(てめえしつこいぞ?!まだ言ってやがんのか!)」


    『だってですね、ペトラさんはあなたを好きなんですよっ! 今ちらっと覗いたら言ってましたし!─そうよ、兵長に何処までもついていくのよ、私は。心臓は捧げてしまったけど、心は兵長に捧げたんだから! 身体も捧げたって構わない……ってばかペトラ! 朝っぱらから何考えてんのよ、もう─って!」


    リヴァイ「(くそバカ鳥がっ!デリカシーの欠片もねえぞお前……)」


    『あっ、照れてる照れてる! みなさぁん人類最強が顔真っ赤で照れてますよぉ! 』


    リヴァイ「うっせえ黙れ変な黄色! 真面目に走りやがれ! 唐揚げにして食うぞ! 」


    オルオ「兵長、どうしたんすか……?急に怒りだして……」


    ペトラ「兵長、唐揚げなんてかわいそうですよ……真面目に走っているじゃないですか」


    『そうですよね、ペトラさん。僕が真面目に走りすぎたら皆を置いてっちゃうから気を使ってちらちらペトラさんの脳内を読んでるだけなのにねっ』


    リヴァイ「(……お前、いい趣味してるな)」


    『痛い……何か首がチクチク……ぎゃあ! 一本ずつ羽を抜いていかないでくださいよ!?』


    リヴァイ「(唐揚げ……蒸し鶏……唐揚げ……蒸し鶏……)」


    『何なんですかそれっ!』



    リヴァイ「(羽占いだ)」



    『それするなら、花びらでしょう?!痛、いたっ!禿げちゃいますよぉぉ』


    クエーッ


    痛みに耐えきれず、チョコボは金切り声をあげた
  48. 77 : : 2015/03/04(水) 15:13:32
    テッテケテテテケテッテッテー


    馬より早くはしるちょこぼ

    その足取りは目にも止まらぬほど

    だがどことなく、軽やかに、サンバのリズムを刻んでいるように駆ける


    ペトラ「鳥さん走るの速い! おしりフリフリ可愛いのにー! 」

    ペトラは馬の手綱を握りながら身悶えした


    オルオ「おいっ鳥に見とれて馬にゆられりゃあ舌かむボブへッ噛んだ……」


    ペトラ「オルオのばぁか! 」


    『なるほど、これは複雑ですね。ペトラさんはリヴァイさんに惚れていて、オルオさんはペトラさんに惚れている。そしてリヴァイさんはハンジさんに惚れているという』


    リヴァイ「(オルオとペトラはともかく、俺があのクソメガネに惚れるとか有り得ねえからな! )」


    『はいはい』


    リヴァイ「(なんだその呆れた感。信じてねえだろ?)」


    『素直じゃなさすぎで呆れたのが出ましたか。あっ、焼き鳥も蒸し鶏も唐揚げも却下で』


    リヴァイ「(…………ちっ、言ってろ)」


    リヴァイはばつが悪そうに舌打ちした

  49. 78 : : 2015/03/04(水) 17:41:06
    昼下がり、休憩がてら昼食がわりの野菜サンドを頬張る三人


    ペトラ「はい、鳥さんどうぞ!」

    ペトラはチョコボに野菜を差し出しながら、笑顔を見せた


    『ペトラさんありがとうございます。なんだか野菜がいつも以上に美味しく感じる……そうか、これが恋! 』


    リヴァイ「(単純だなお前の恋愛脳)」


    『だって、やっぱりペトラさん可愛すぎじゃないですか! 僕ペトラさんを背中に乗せたい……そして壁の外の世界を駆けずり回りたい! きゃっきゃうふふしたい! 』


    リヴァイ「(勝手にやってろ)」


    『あっ、今呆れましたね?!』


    リヴァイ「(当たり前だろうが、焼き鳥)」


    『ついに僕の名前が食べ物になった……』


    チョコボは項垂れた
  50. 79 : : 2015/03/05(木) 15:06:39
    ペトラ「兵長、この子に名前をつけてあげてはいかがですか?くそ鳥とか変な黄色とか、唐揚げとか可哀想ですよ」


    『そうなんですよ、酷いですよねっペトラさん!』


    リヴァイ「じゃあ、手羽先」


    オルオ「さすがのセンスっす!兵長! 」


    『何処がですかっ! 』


    ペトラ「手羽先も可哀想ですよ、兵長」


    『ですよね、ペトラさん。我が心の友よ! 』


    リヴァイ「じゃあ手羽元」


    オルオ「俺は手羽先の方が好きっす! 塩コショウ振ったら最高なんスよね! 」


    ペトラ「食べ物じゃなくて、ちゃんとした名前つけましょうよ……」


    ペトラはじと目でリヴァイとオルオを見た
  51. 84 : : 2015/03/06(金) 23:42:00
    ペトラ「きいちゃんていうのはどうですか?黄色いので」


    『きいちゃん、かわいいですっ僕きいちゃんで! 』


    リヴァイ「羽毛布団」


    『そんなものになるつもりは毛頭ございません!』


    オルオ「ナイスネーミングっす、兵長!」


    ペトラ「兵長?!」


    リヴァイ「冗談だ。きいちゃんでもなんでも構わねえんだが、ちゃん付けはしたくねえな」


    『言い忘れてましたが、僕には名前があるんですよ』


    リヴァイ「(ほう、なんて名だ)」


    『プリンスです』


    リヴァイ「(似合わねえ、却下だ。お前はやっぱり唐揚げだ)」



    『唐揚げはいやですよ……プリンスでお願いします』


    リヴァイ「……こいつの名前はプリンスだ」


    ペトラ「プリンスですか?全然想像つかないですけど……」


    オルオ「王子っすか! 確かに本の少し気品ぽいのを感じるっすね!」


    『オルオさん、顔は老けてますけど見る目ありますねっ』


    ペトラ「プリンスくん、よろしくね」


    ペトラに名前を呼ばれて背中を撫でられたプリンスチョコボは、クえっと小さく鳴いたのであった
  52. 90 : : 2015/03/07(土) 23:26:39
    リヴァイ「おい、羽毛布団、そろそろ帰路につくが、まだ走れそうか?」


    『羽毛布団じゃなくて、プリンスですってば』


    ペトラ「プリンスくん、行けそう?」


    『勿論、あなたを乗せてなら何処までも! 』


    オルオ「なんかこの鳥、ペトラをいやらしい目で見てる気がするんスけど」


    ペトラ「そ、そんなわけないでしょ!?見てよこのきらきらしたつぶらな青い瞳! 」


    リヴァイ「オルオに同感だ」


    オルオ「兵長、そうっすよね! 」


    『ペトラさんが跨がってくれたら嬉しいな、お尻柔らかそうだとかそんな事考えてませんって!』


    リヴァイ「(そこまで言ってねえ。墓穴掘りやがったな、羽毛布団)」


    『くっ……だがしかし、女性を乗せるのは男の……いや、チョコボのロマンですから!』


    リヴァイ「(心配するな。お前には俺しか乗せねえからな)」


    『リヴァイさんのけちっいじわるどS、鬼畜の所業!』



    リヴァイ「(言ってろ)」


    クエックエッわめき散らすチョコボを尻目に、リヴァイはひらりとその背に跨がったのであった
  53. 91 : : 2015/03/09(月) 19:15:56
    壁内哨戒から無事調査兵団本部へ帰還した三人とチョコボ

    『あー、さすがに疲れましたね。ペンペン草が旨い』


    リヴァイ「(お前、あれだけ走って草だけしか食わねえって燃費いいよな)」


    『僕は菜食家なんでね。と言いますか、リヴァイさんに誉められたら、とてつもなく嬉しいですね! 』


    リヴァイ「(そうか?)」


    『はい、やっぱり普段あまり誉めない人の誉め言葉は胸に染みますよ。あとは普段甘い言葉ひとつ言わないあなたの女性の口説き方を是非拝見したいものですねっ』


    リヴァイ「(却下だ)」


    『やっぱり……何時になったら子作りに専念する気になるんでしょうか』


    リヴァイ「(一生専念なんかしねえ!)」


    『がーん!』


    チョコボはうなだれた
  54. 92 : : 2015/03/09(月) 19:45:48
    その夜の事


    『ちょ、ちょ、ちょっとリヴァイさん! 』


    リヴァイ「(なんだ)」


    『あそこにおわす美しいお方は、男性ですか?!いや、ちがう!控えめながら胸の膨らみが、あのお方を女性だと示しているっ!』


    リヴァイ「(……ああ、ありゃナナバだ)」


    『よし決めた! ペトラさんに次ぐリヴァイさんの子種植え付け候補に! さあ、口説いて下さい!』


    リヴァイ「お・ま・え・は・バ・カ・か! 」


    クエーッ!!


    チョコボは首を締め上げられながら苦し気に鳴いた
  55. 93 : : 2015/03/09(月) 19:51:40
    ナナバ「ちょっとリヴァイ、こんなに静かな夜になにやってるの?」


    リヴァイ「ああ?見りゃわかるだろうが。焼き鳥にするために絞めてる」


    『ナナバさまぁ助けてぇ!』


    クエックエーッ!!


    ナナバ「やめてあげなよ。そりゃ確かに焼き鳥は食べたいけどさ。この子、よく走るんだろ?」


    リヴァイ「脚だけが自慢だ。性格はいかんともしがたいがな」


    ナナバ「穏やかそうに見えるけど?」


    リヴァイ「こいつはハレンチだ」


    ナナバ「そ、そうなの?」


    リヴァイ「ああ、女を背に乗せたがるスケベやろうだからな」


    『くうっ、否定できない所が辛い!』


    リヴァイがやっと首を解放し、チョコボはがくりと崩折れた
  56. 94 : : 2015/03/10(火) 23:05:06
    ナナバ「大丈夫?黄色い子。可哀想に、涙目だよ」

    ナナバは跪いてチョコボのとさかを撫でてやった


    『嗚呼っ……ナナバさんの美しい手が僕に触れているっ! 僕人間だったら絶対にナナバさんの様な凛とした女性をゲットしますよ! 』


    リヴァイ「(勝手にしろ、焼き鳥)」


    『ですがあいにく僕は鳥類なんで、代わりにあなたがナナバさんを押し倒し、あんなことやこんなことを……』


    リヴァイ「(ばかが! そう簡単にナナバを押し倒せるか!)」


    『って事は、ちょっとは押し倒してもいいかなと考えていらっしゃる?!』


    リヴァイ「(考えていらっしゃるわけねえだろうが! )」


    『リヴァイさん……』


    チョコボはうなだれた
  57. 95 : : 2015/03/11(水) 21:47:15
    ナナバ「この子さ、次の遠征にも連れていくの?かなりの戦力になりそうだよね」


    リヴァイ「どうだかな、輪を乱す速度で走りやがるから、陣営には入れづらいだろう」


    ナナバ「遊撃的な役割ができそうだね。あなたにぴったりじゃない?型にはまった行動を嫌うよね?」


    リヴァイ「ばかいえ、俺は結構従順だろうが」


    ナナバ「ま、今はね。黄色い鳥くん、リヴァイの相手は大変だけど頑張ってね」


    『はいっナナバさん! 子種を植え付ける気になるまで果てしなくお供します! 』


    リヴァイ「(植え付けねえ! )」


    『つーん』


    リヴァイ「(無視すんな!)」


    『……ま、とりあえず一緒に寝ましょう。僕疲れちゃいましたよ。お風呂いれてくださいね?』


    リヴァイ「(ちっ……めんどくせえな)」


    とかなんとかやりあいながら、結局昨日と同様、風呂にいれてやって共に寝床に入る一人と一羽であった
  58. 96 : : 2015/03/11(水) 22:16:07
    こうして不思議な黄色い鳥チョコボは、リヴァイと共に調査兵団で暮らすことになった

    時が経ち、壁外調査に赴く事数回


    リヴァイはチョコボに乗り、水を得た魚の如く
    奮迅の勢いで狩りまくった


    馬より早くはしるチョコボ

    その足取りは目にもとまらない

    だがどことなく、軽やかに、サンバのリズムを刻んでいるように駆ける



    リヴァイはチョコボと何度も生死を共にした


    今夜もまた、助けられなかった仲間を偲んで部屋で二人で星を見上げる

  59. 97 : : 2015/03/11(水) 22:20:35

    『……また、沢山逝ってしまいましたね』


    リヴァイ「ああ」


    『気のいい方ばかりでした。僕にもとても良くしてくださって……』


    リヴァイ「そうだな……」


    『………………』


    チョコボの目から涙がこぼれ落ちた


    リヴァイ「なんだお前、鳥の癖に泣くのかよ。ざまあねえな……」


    『……あなたが泣かないから、代わりに泣いてるんですよ。あなたの心の中の慟哭は、いくら僕が意識をシャットアウトしても、聞こえてくるんですから』


    リヴァイ「…………俺の代わりにかよ」


    『あなたは泣けない。あなたが背負っている物は大きすぎるから、泣けなくなったんです。だから代わりに僕が、泣きます』


    リヴァイ「お前……」


    リヴァイはチョコボの身体に顔を埋めた


    その肩は、微かに震えていた
  60. 98 : : 2015/03/12(木) 09:44:07
    翌朝


    バターン!


    けたたましい音と共に扉が開いた


    ハンジ「おっはよー! プリンス! リヴァイ!」


    クエーッ!


    チョコボは何やら朝っぱらから嫌な予感がして、ベッドの上で羽根をばたつかせた


    リヴァ「……ちっ、うるせえな。ハンジ」


    ハンジ「プリンス君を貸してよー! 一緒にお出掛けしたいんだ」


    『いやーっ嫌嫌嫌っ! 絶対に変な実験に参加させられるっ! 』


    ジタバタ……チョコボは布団に潜り込んだ


    リヴァイ「嫌がっているみてえだから、無理だな」


    ハンジ「頼むよー! リヴァイも一緒に行っていいからさぁ」


    リヴァイ「俺をおまけみてえに言いやがって」


    リヴァイはふん、と鼻を鳴らした
  61. 99 : : 2015/03/12(木) 15:54:44
    『うっうっ……怖いよ怖いよ……』


    リヴァイ「(少しの間辛抱しやがれ)」


    ハンジ「いやーっふー! 乗り心地最高だよープリンス君! 」


    結局ハンジは、チョコボの背中に乗っていた


    郊外の街道筋を軽快に駆ける


    リヴァイはハンジの馬に乗って、チョコボと並走していた


    ハンジを背に乗せているチョコボは、いつ羽を抜かれるやらわからずびくびくしながら走っていた


    リヴァイ「(お前、女の尻を背中に乗せたかったんじゃねえのかよ?念願の女だぞ)」


    『そ、そうなんですけど……怖いものは怖いんですよ。確かにお尻は思ったより柔らかいですが……』


    リヴァイ「(要するに誰でもいいんだなお前は)」


    『そ、そんな事はないですよ……ですが、この人わりと美人ですし……実験したりしなければ普通にいけてる方ですよね』


    リヴァイ「(変人は変人だ)」


    『………………あれ?リヴァイさん顔真っ赤になってませんか?さっきから』


    リヴァイ「(なってねえ! )」


    『僕、もしかしてと思ってたんですけど……リヴァイさんてハンジさんのことを……』



    リヴァイ「好きじゃねえ!」


    ハンジ「ひえっ!?なんだいいきなり叫んで……あああれか、情緒不安定か」


    リヴァイ「常時不安定なお前に言われたくねえ!」


    リヴァイは激昂した



  62. 100 : : 2015/03/12(木) 16:02:03
    リヴァイたち一行は、郊外の丘にきていた

    ハンジ「プリンスはさ、本当に賢いよね。こっちが言ってることは理解してそうだし、その上今にも話しそうだよ」


    リヴァイ「まあな。確かに馬よりあたまはいいかもな……ほんの少し」


    『ほんの少しですかっ……誉めてもらえると思ったのに』


    ハンジ「この子は不思議だよ。でもこの子がいてくれたから、リヴァイは助かったし、壁外遠征でも沢山の兵士の危機を救ってくれた。だから今日は、ここに連れてきてやりたかったんだ」

    そう言ってハンジが指差したのは、広大とは言えないが、沢山の野菜が栽培されている畑であった


    ハンジ「さ、プリンスくん、好きなだけお食べ。許可は取ってあるからさ」


    『ハンジさん……』


    チョコボはハンジに鼻を擦り寄せた
  63. 101 : : 2015/03/12(木) 16:07:45
    リヴァイ「それでこんなくんだりにこいつを連れてきたのか」


    ハンジ「そうだよ。いつも世話になってるじゃないか、だから恩返しさ。それに……久々にリヴァイと二人で出掛けたかったのもある」


    リヴァイ「ハンジ……」


    ハンジ「あっ、いまちょっと照れた?!照れた?!」


    リヴァイ「照れてねぇ! 肩を抱くなクソメガネ!あっちいけ! 」


    ハンジ「またまたー、もっとくっつきたいくせにー」


    リヴァイ「んなわけねえだろうが! っておい!?」


    ハンジはリヴァイを地面につき倒して一緒に転がった


    ハンジ「丘下りだー!」


    リヴァイ「服が汚れるだろうが!」





    『………』


    チョコボはそんな二人の姿を、目を細めて見つめていた

  64. 102 : : 2015/03/12(木) 16:18:19
    そんな一見平和に見える毎日に、ある日突然変化が訪れた


    その変化は、エルヴィンの口からリヴァイに告げられた


    エルヴィン「プリンスの王都召還が決まった」


    リヴァイ「……どういう事だ」


    エルヴィン「壁外や壁内での活動を見ていた王都の貴族が、プリンスを見たいらしい」


    リヴァイ「……断る。あいつは見せ物じゃねえ」


    エルヴィン「お前にとって今やプリンスが無くてはならない相棒であるのは俺も知っている。だが……今は断る力を持っていない」


    リヴァイ「逆らえねえって事か」


    エルヴィン「……ああ、そうだ。すまない、リヴァイ」


    リヴァイ「王都で見せ物になるだけなら、戻ってくるんだろうな?」


    エルヴィン「憲兵団によって移送されるらしい。そのまま……調査兵団に戻って来ない可能性が高い」


    リヴァイ「……ちっ、貴族の豚どもが」


    リヴァイは吐き捨てるように言った


  65. 103 : : 2015/03/12(木) 16:22:55
    その日の夜


    リヴァイはいつもより多い野菜をプリンスの前に並べてやり、自らも床にトレイを置いて食事を共にした


    『リヴァイさん、今日はまた奮発してくださったんですねえ! 芋に人参にキュウリまでありますよ』


    リヴァイ「……ああ」


    『リヴァイさん、様子が変ですよ?食欲も無さそうですし……子種に影響するからしっかり食べてくださいよ』


    リヴァイ「…………なあ焼き鳥、お前、もとの時代に帰れ」


    リヴァイのその言葉に、チョコボは動きをとめた
  66. 104 : : 2015/03/12(木) 16:28:53
    『待って下さいよ。僕は志し半ばで帰るわけにはいかないと何度も……』


    リヴァイ「お前は未来へ帰れ。出来れば今すぐにでもだ。そうしなけりゃ……お前一生帰れなくなるぞ」


    リヴァイの言葉に、チョコボは首を傾げた


    『訳を話して下さい』



    リヴァイ「お前は、近いうち俺たち調査兵団とは違う、いわば敵に近い様な奴等の元へ送られる。拒否することを許されてはいねえんだ。だから、帰れ」


    『……なるほど、王都ですか』


    リヴァイ「ああ」


    リヴァイは目を伏せた

  67. 105 : : 2015/03/12(木) 16:37:03
    『帰れませんよ。あなたが闘いを終えて、生きて子孫を残してくれるまでは……お供すると決めています』


    リヴァイ「……俺は約束する。必ず生きて闘いを終わらせる。生きて子孫を残す。だから……」


    リヴァイはそこまで言うと、立ち上がりチョコボに歩み寄って、とさかを撫でた


    リヴァイ「だから、囚われて見世物になる前に、自分の時代へ戻ってくれ」


    リヴァイの言葉に、チョコボはじっと真摯な目を向けた


    『僕がいなくなれば、リヴァイさんたちの立場が悪くなるんじゃないですか?』


    リヴァイ「何とかする。心配するな」


    リヴァイは鼻先を寄せてくるチョコボの眉間を、そっと撫でてやった



  68. 106 : : 2015/03/12(木) 16:45:04
    『リヴァイさん……僕は、あなたや調査兵団の人たちが大好きなんです。あなたに子孫を残してもらうのが目的でしたが、今は……僕の居場所はここなんです』


    リヴァイ「そうか……」


    『僕、帰りたくありません……ですが、囚われて見世物になればもう、あなたに会うことも叶わないんでしょう』


    リヴァイ「……ああ」


    『ならば、僕は帰りましょう。帰って、あなたの子孫を守ります』


    リヴァイ「……ああ、そうしてやってくれ、プリンス」


    リヴァイは初めて、チョコボを名前で呼んだ


    プリンスは羽根を広げてリヴァイを包み込む


    『リヴァイさん、今までありがとうございました』


    リヴァイ「泣くな、ばかが」


    『……リヴァイさんだって、泣いてるじゃないですか』


    リヴァイ「……汗だ」


    『ははっ……僕のも汗です』


    二人はしばし、お互いの頬をお互いの涙で濡らしあった
  69. 107 : : 2015/03/12(木) 16:49:29
    リヴァイ「今夜は一緒に寝てやる。どうせさびしいんだろうが」


    小さなベッドの中で、チョコボはリヴァイに鼻先を寄せる


    『はい、寂しいです……』


    リヴァイ「泣き虫の焼き鳥め」


    『否定はしませんよ、本当は人一倍優しい仏頂面のリヴァイさん』



    リヴァイ「うるせえ、さっさと寝やがれ、羽毛布団」


    『……おやすみなさい、リヴァイさん』



    リヴァイはちょこぼの羽に包まれて眠りにつく



    二人はお互いの体温を感じながら、眠りについた
  70. 108 : : 2015/03/12(木) 16:52:40
    翌朝

    リヴァイが目を覚ました時、プリンスがいたはずの隣はがらんとしていた


    その代わりに、一枚の置き手紙があった


    プリンスが不自由な足でペンをとったのだろう



    こう書かれていた



    ─必ず平和な世界にして、あのめがねの想い人と子孫を残してくださいよ。未来がかわっていなければ、また押し掛けますからね。変な黄色より─




    それからチョコボは二度と、リヴァイの前に姿を表す事はなかった




    リヴァイは大きなびんに、親友の大きな黄色い羽一枚と、手紙をいれて、後生大事にするのであった



    ─完─
  71. 109 : : 2015/03/12(木) 17:25:26
    電車の中で吹き出したり涙目になったりしてたら…隣のサラリーマンにひかれた(T_T)
    私のもとにもチョコボ来ないかな…?
    そしてはんたんとリヴァイが結ばれるといいなぁ( ゚∀゚)
    執筆お疲れ様でした‼︎
  72. 110 : : 2015/03/12(木) 17:35:32
    >りいちゃん☆
    読んでくださってありがとうございます♪
    電車の中で怪しまれてしまったのか(゜Д゜≡゜Д゜)?
    よしよし

    こんなチョコボとなら一緒に住みたいですw
    理想の男性かもしれないわw
    リヴァイとハンジはね、子供をつくるんですよ!
    だからチョコボは未来から来なかったんです♪えへ♪
  73. 111 : : 2015/03/12(木) 18:08:04
    兵長とチョコボはナイスコンビですね
    読んでいて微笑ましかったです
  74. 112 : : 2015/03/12(木) 19:36:46
    チョコボなでなでハンジさんが想像できて、めっちゃかわいい!なでなで!したくなりましたw
  75. 113 : : 2015/03/12(木) 20:08:10
    >キングダムさん☆
    読んでいただいてありがとうございました!
    兵長とチョコボ、想像したら可愛いですよね♪
    コメントありがとうございます(*´ω`*)
  76. 114 : : 2015/03/12(木) 20:09:58
    >妹姫☆
    チョコボとハンジさんの颯爽と駆ける姿を誰か絵にして欲しいですw
    兵長とチョコボより、ハンジさんとチョコボの方が想像できるよねw
    読んで下さってありがとうございます(*/□\*)
  77. 115 : : 2015/03/13(金) 10:34:34
    執筆お疲れ様でした!

    兵長とチョコボのハートフルストーリー、面白かったです。
    ちゃんとチョコボのテーマも流れたしw

    ちゃんと子孫が残せる平和な世界になるといいですよね…。
  78. 116 : : 2015/03/13(金) 16:18:49
    >キミドリさん☆
    読んで下さってありがとうございます♪
    ハートフルになってましたでしょうかw
    子作りやら子種やら連発してるセクハラチョコボw
    兵長の事ですから、約束は守るでしょう!
    もう誰も死んでほしくないなあ( ;∀;)
  79. 117 : : 2015/03/14(土) 23:46:56
    ロメ姉さん、執筆お疲れ様でした♪
    チョコボぉ…私の所に来くれぇ!ほら、チョコボに似た小さい小鳥さんがいっぱいいるよ!
    ……ごほん、リヴァイが泣くと、何か泣けてくる(°´__`°)
    でも、ほっこりしました♪
  80. 118 : : 2015/03/17(火) 17:02:48
    >いんこさん☆
    読んで下さってありがとうございます!
    チョコボうちで一緒にすみたいわw
    もふもふ可愛いだろうね♪
    リヴァイ「ばかいえ俺は結構泣き虫だ」ぐすん

▲一番上へ

このスレッドは書き込みが制限されています。
スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。

著者情報
fransowa

88&EreAni☆

@fransowa

「未分類 × 進撃の巨人」カテゴリの最新記事
「未分類」SSの交流広場
未分類 交流広場
「進撃の巨人」SSの交流広場
進撃の巨人 交流広場