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微笑み-アニ・コニー・サシャ-

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  1. 1 : : 2015/02/19(木) 21:51:52
    3作目です。
    サシャ、コニーが頑張るお話です。
    『それはまだ、先の話ーアニ・アルミン・ジャンー』
    http://www.ssnote.net/archives/30872
    の続きと考えています。

    誤字や脱字などあればご指摘お願いします。
  2. 2 : : 2015/02/19(木) 21:53:04
    *〔夢見る少女が年相応の女の子になる話〕


    「暇ですね」

    「暇だな」

    104期訓練兵団の中でトップレベルのバカ、と称されるサシャとコニーは暇を持て余していた。

    「人少ないですねー」

    「あー。昨日ライナー達が、座学試験前最後の休みだから男子の皆で街に出て勉強する、とか言ってたな」

    この発言により、2人はしばらく黙る。
  3. 3 : : 2015/02/19(木) 21:53:38
    「……そういうのは早く言ってくださいよ! 早く勉強しましょう!」

    「わりぃ! すっかり忘れてた……やべー……」

    普段、平均点に届くか届かないかのサシャ。
    順位は下から数えて1桁のコニー。

    この普段、というのはアルミンをはじめとする座学の成績上位者に付きっきりで教えてもらっての結果である。

    「あっ! だから女子の皆さんも本買いに行くとか言ってたんですね……」

    「女子もいねえのか!? 俺らだけじゃ絶対なにもわかんねえって! 」

    「と、図書室に行けば誰かいるかもしれません!」

    2人は僅かな希望と盗んだ芋を胸に図書室へ猛ダッシュした。
  4. 4 : : 2015/02/19(木) 21:55:15
    「はぁ……はぁ……」

    「あぁ……あれは!」

    息を切らした2人が見たものは―――

    『アニ!!』

    「がみざまああああああ」

    「助かったぜ、アニ!」

    アニと呼ばれた小さな影は、離れたところにいる2人に一瞬視線を向けたかと思うとすぐ読んでいた本に戻した。

    「勉強を教えてください!」

    「頼む、俺たちじゃ全く理解できねえ」

    わざわざ目の前まで来て懇願する彼らに、彼女は目も向けずただ溜め息をついた。

    「……他をあたりな」

    このように冷たく言い放つと、普通の奴はもう構ってこない、とアニの経験は語る。

    普通の奴、というのには理由がある。
    例外がいるということだ。
    お喋り好きで世話焼きなミーナや、目的のために必死に技術を盗もうとするエレンが例として挙げられるであろう。

    しかしそんなのが現れるのはかなり稀なケースである。
  5. 5 : : 2015/02/19(木) 21:57:02
    「他にあたれる奴がいねえんだよ!」

    彼女はとても嫌な予感がした。

    「皆さん出掛けてしまったみたいなんですよ……アニーーー!!」

    残念ながら彼らもそんなの、であった。

    嫌なことは嫌とはっきり断れる方のアニだが、しつこくされると根負けしてしまうことが多い。
    面倒くさかったり埒があかないと思ったときはもちろん、性格的にもこの類いのものはあまり長話を好まない。

    その後面倒くさくなかった試しがないが。

    とにかくこいつらは厄介、長期戦に持ち込まれたらアウトだ
    と彼女の脳に警告音が鳴った。

    「このテストが悪かったくらいであんたらの成績は落ちないでしょ」

    2人はほぼ感覚、あとは勘と運で成績上位にいる異質な存在だ。

    アニが言うように今回の試験が悪かろうとそんなものすぐ挽回できるに違いない。
    それ以上に実技の実力がある。

    「……あー確かに。どうせ勉強しても9点だしなぁ」

    「言われてみればそうですね。コニー、諦めましょう」

    もちろん、彼らがそんなに深く考えているはずもなかった。

    アニは思ったよりすんなりと引いてくれたので少しだけ驚いた。
    が、そんな気を微塵も見せずに再び本に視線を投げた。
  6. 6 : : 2015/02/19(木) 21:58:15
    「んー、また暇になりましたね」

    「だなぁ……なんかよ、アニが本読んでるイメージないよな」

    「あまり見ないですよね、座学でも寝てますし」

    「そのくせ点数いいよな」

    一連の流れで集中力を欠いたアニは、人がいない図書館で嫌でも2人の会話に耳を向けてしまう。

    「笑った顔とか見たことあるか?」

    「うーん、心当たりないですね……アニ、笑ってみてください」

    「……蹴るよ」

    「痛いっ! もう蹴ってるじゃないですかぁ!」

    1人の時間を奪っただけではなく、読書の時間まで邪魔しにくるサシャにアニお得意の蹴りをかます。

    「何も面白くないのに笑えない」

    この発言により、本日2度目の黙り込みになる。
  7. 7 : : 2015/02/19(木) 21:58:35
    「……ってことは笑わせればいいんですよね」

    「だよなぁ。俺、自信あるぜ」

    こうなることなら大人しく勉強を教えておくんだった、とアニは激しく後悔した。

    「あんたらが何しようが勝手だけど、私の邪魔しないで」

    「おーおー任せとけ! お前に直接手は出さねえ」

    「そんなことしなくても私たち……狩人は狙った獲物を逃がしませんよ!」

    こうしてお笑い大会が始まった。
  8. 8 : : 2015/02/19(木) 22:05:42
    「『風の谷を直すか』っていう漫画が面白いらしいですね」

    「違うけどな! 風の山だけどな!」

    「そっちの方が違いますよ!?」

    「え? じゃあ何なんだ?」

    「……なんでしたっけ」

    「アニ、知らねえか?」

    アニはまた、深い溜め息をついた。

    「やるならネタをしっかり頭に入れてからやりなよ」

    「あ、ちゃんと聞いてるんですね。よかったです!」

    彼女はしてやられた、と思ったが顔に出さないでいる。

    「ってことは、笑った時バレねえように本を読んでるフリしてんのか?」

    コニーに悪気はない。
    が、負けず嫌いで意外と好戦的なアニは2人からの挑発だと受け取る。

    「そんなに自信があるの? 見ててあげるから、私を笑わせてみなよ」

    サシャはコニーの素直さと鈍感さに感謝した。
  9. 9 : : 2015/02/19(木) 22:06:18
    「そうこなくちゃですよ! コニー、ネタに戻りましょう」

    「あーなんかを直す漫画の話だよな」

    「いや違いますけどね。間違ったのそっちじゃないですけどね。コニー、素ですかそれ」

    「思い出せねえもんはしょうがねえ」

    「ポジティブですね!?」

    「山といえばよ、『火の山』って漫画知ってるか?」

    「知らないですけど、山火事の話っていうのは想像できますね」

    「はあ? 何言ってんだお前。鳥の話だぞ」

    「火の!? 鳥!? 山関係ないじゃないですか!」

    「ん? 確かに。なんで山の話になったんだ?」

    「最初から山なんて話出てこないはずなんですけどね! コニーがね!」

    2人はアニの反応を見る。
    が、つまらなそうに頬杖をついているだけだった。
  10. 10 : : 2015/02/19(木) 22:07:13
    「おいサシャ、『あるブスの少女ハイジ』って本が流行ってるらしいな」

    「アルプスの少女ですよ! 全人類のハイジに謝ってください!」

    「すまねえ。ハイブリッジ……!」

    「それってミカサが言ってた昔見た本の主人公ですよね」

    「高橋だっけか」

    「そうそう! ってなんで関係ない人に謝ってるんですか!」

    「まあ落ち着けってサシャ。話題を変えよう」

    コニーの視線を辿り、アニを見たサシャ。

    とても、睨んでいる。
  11. 11 : : 2015/02/19(木) 22:08:36
    「は、はひぃ! ……やっぱり身内ネタとかの方がいいですかね」

    「よしわかった。この間キース教官が
    『我々は、例え、自分の家族が死に瀕していても!
    どんなに、勝ち目がない戦いであったとしても!
    自らの命を捨てて、巨人を倒さねばならん!
    なぜだかわかるか!』
    って言ってたんだ」

    「コニーお願いしますやめてください」

    「そしたらサシャが
    『お答えいたします、教官っ!
    その件に関しては、私も常々疑問に思っておりましたっ!』
    って言ったんだぜ」

    「やめてください! 身内ネタって言っても私のネタでどうするんですか!」

    「ああ、そうかこの時アニもいたから知ってるよな……」

    「そこじゃないですよ!! もうコニーにボケを任せてられません!」

    「じゃあ交代な」
  12. 12 : : 2015/02/19(木) 22:09:43
    「ミーナが自分の馬を引いて馬小屋に戻ってきたんですよ。そしたらジャンが
    『ダメだろ、こんな所に豚なんか連れてきたら』
    と言ったんです」

    「ジャンは目が悪いのか?」

    「ミーナが
    『どうしてこれがブタに見えるの?』
    って聞いたんですよ。それを聞いたジャンは
    『今、俺は馬に話しかけたんだ』」

    「だからこの間、馬小屋に戻れ! とか豚小屋出身が! とか言い合ってたのか」
  13. 13 : : 2015/02/19(木) 22:10:46
    「この話には続きがありまして、ミーナはジャンに馬と罵倒したところをクリスタに聞かれたんですよ。
    『仲間のことを馬なんて言っちゃダメだよ!』
    『ごめん、クリスタ……2度とジャンのことを馬なんて言わない! あ、馬につける名前決めた』
    『え? う、うん』
    『さようなら、ジャン。また明日の馬術でね!』
    って」

    「ぶっ! ミーナ、なかなかや……サシャ、違うのにしようぜ」

    再びアニに目を向けたサシャ。
    とても、眠そうである。
  14. 14 : : 2015/02/19(木) 22:13:53
    「ああっ! もっと短いのをバンバン言っていきましょう!」

    「そういやこの間アルミンが
    『女装は男しか出来ないのだから、最も男らしい行為。というミカサの圧倒的な説得力……』
    とかぼやいてた」

    「ユミルが朝食を食べているときの
    『コーヒーに意識があるとしたら、牛乳を混ぜる時どこまでコーヒーとしての意識を保てるだろう』
    という謎発言が頭から離れません」

    「クリスタ、アニ、アルミンと一緒に牛乳に相談してから5時間が経ったぜ」

    ここまで一貫して真顔を突き通しているアニ。

    さすがの2人も心が折れそうだった。

    「ウォールアニが突破できません……!」

    「どうすればいいんだよ……あとくだらないネタしか残ってねーよ……」

    「もうそれ言って負けを認めましょう……」
  15. 15 : : 2015/02/19(木) 22:29:29
    「ライナーが
    『ケツの入り口のとこが痛いんだ』
    って言ったんだ」

    「ライナーなら言いそうですね」

    「ベルトルトが
    『そこは出口だけどね』
    って」

    「ふふっ……」

    アニは軽く握った手を口元に持っていき、微笑んでいる。

    そんな状況をサシャとコニーは理解できずにいた。

    しかし、時間が経つにつれて勝利を確信したのである。

    『アニが……笑った』

    とても長い戦いだった……ように思える程、サシャとコニーは精神を削られていた。
    その分、勝ち取った勝利は並みの喜びではない。

    「アニを笑わせたぞ……俺ら、やったんだ!!」

    「やりましたねコニー!! 私たちの勝ちです!」

    「人類は初めて……勝ったんだ!」

    「う、うるさい別に笑ってない」
  16. 16 : : 2015/02/19(木) 22:30:40
    この出来事を機に、サシャとコニーはよくアニを笑わせにくるようになった。

    笑うのは決まってこの3人だけがいるときで、何故かだいたいライナーやベルトルトのネタである。
    最近はミーナやアルミン、ジャンのネタでも笑うようになってきた。

    しかし微笑む程度で、爆笑とまではいかないが。

    「アニももっと笑えばいいのにな」

    ふと笑ったアニを前にコニーは呟いた。

    「面白かったら笑うけどね」

    ふん、と鼻を鳴らした。
    これは彼女が笑ったあと、しまったという表情を消すときによくやる癖である。

    「アニって普段はすごい大人びて見えますけど、笑うときは“年相応の女の子”になりますよね」

    「何言ってんの。コニーの1歳上、あんたと同い年なんだから当たり前だよ」

    「素直じゃないですねえ。そういうことじゃなくて、笑ったらもっと可愛いって言ってるんですよ!」

    彼女は再びふん、と鼻を鳴らした。
    サシャとコニーが、この癖はただの照れ隠しだと気づくまで
  17. 17 : : 2015/02/19(木) 22:33:40
    「あ、次の訓練は座学ですね」


    「おーテストの日ぶりか」


    この発言により、2人はしばらく黙る。


    「つまり、テストが返ってくるね」


    沈黙を破ったのはアニだった。


    〔94点/22点/5点〕


    -END-
  18. 18 : : 2015/02/19(木) 22:39:42
    とても面白かったです!
    点差が(笑)
  19. 19 : : 2015/02/19(木) 23:58:42
    ここまで読んでいただきありがとうございます!
    まだまだ続きを考えていますので、ぜひお付き合いくださいm(*_ _)m
  20. 20 : : 2015/02/20(金) 00:02:50
    >>18
    雛莉華さん
    ありがとうございます!
    個人的にコニーよりサシャの方が少し勉強できて、アニは兵団の中で6.7番目くらいに頭が良いきがします( ^ω^ )
  21. 21 : : 2020/10/06(火) 13:15:19
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986
  22. 22 : : 2020/10/06(火) 13:15:27
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
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    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
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    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
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著者情報
Liebeschon1104

咲*

@Liebeschon1104

この作品はシリーズ作品です

2000年の記憶 シリーズ

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