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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

赤蜻蛉①

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  1. 1 : : 2014/09/15(月) 16:54:08
    夕暮れ。あの時は俺も純粋だった。


    「そーくん」


    「んー?」


    あんな可愛い子にそーくんなんて呼ばれて普通に返せたんだから。


    「このトンボ、アキアカネ、なんだってさ」


    「アカネ?あーちゃんと一緒じゃんか」


    しかも茜って名前をあーちゃんと恥じらいも覚えずすんなり、下心もなく…はないけど呼べていたのだ。


    「また……一緒に見ようね」


    「ん?うん」


    ここで少し様子がおかしいのに気付かなかったのは純粋だったんじゃなくて鈍かっただけかもしれないが──。
  2. 2 : : 2014/09/15(月) 16:55:12






    其の壱


    視えちゃったんです





  3. 3 : : 2014/09/15(月) 16:56:12
    「…っ」


    まただ。


    どうも最近立ちくらみがする。しかもなんか怪しげなとこばっかで。


    こないだはトンネルの前、その前は高架下、今は廃屋の前と来たもんだ。


    全く縁起が悪い。


    「感じてんじゃないの?幽霊♪」


    「はっ、まさか」


    うん、まさかあるわけな……え?


    今普通に答えてしまったけど待って誰!?


    いや、周り見渡しても誰もいないんですけど!?


    待て落ち着け俺。


    普通通りがかったとしても俺に話しかけなんてしない。


    空耳だ、うん。もしくは幻聴だな。


    最近部活だらけで疲れてたんだろうな、うん。


    今日は真っ直ぐ帰って真っ直ぐベッドに行こう。お風呂は明日の朝でいいや。日曜だし。
  4. 4 : : 2014/09/15(月) 16:57:21
    「ただいまー」


    誰もいないけど挨拶をする。なんか空き巣対策にいいらしいから習慣にしてる。


    「おかえり!待ってたよ!」


    まあ、返事なんてないん……え?


    何か聞こえ…


    「うぉ!?」


    「はろー♪」


    満面の笑顔で手を振ってくる、ショートカットの女子。


    しかもなかなか可愛い。


    「って何で俺の部屋にこんな美少女が居るんだ!?」


    「へへ、視えるんだ、やっぱり♪」


    「ん?視える?」


    待って何か嫌な予感。


    「私……幽霊なんだ☆」
  5. 5 : : 2014/09/15(月) 17:00:02













  6. 6 : : 2014/09/15(月) 17:01:21






    其の弐


    しかもなんか同居します





  7. 7 : : 2014/09/15(月) 17:07:53
    「ちょっと待てぃ!!」


    「んー?」


    か、可愛い……じゃなくて!!


    「幽霊なのか!?」


    「んー♪」


    可愛……だから違うっての!!


    「何でここに!?」


    「てへ☆」


    いかんいい加減慣れろ俺。可愛いすぎるけども。


    「てへ☆じゃねえ!!」


    「可愛くなーいw」


    「るせえ!」


    何だろう、すごく相手のペースにのせられてる。
  8. 8 : : 2014/09/15(月) 17:16:24
    「ところでさー」


    「なんだよ」


    「しばらくでいいから、泊めて?」


    もちろん君の様に可愛い子なら…じゃねえよ!


    何上目遣いで聞いてんだよ!?


    「待て待て待て待て。いくら俺でも会ったばかりの人泊めらんないぜ?」


    「えー、けちー」


    くそ、その口も可愛い…けども!


    「お前が本当に幽霊かどうかも分かんないのに。もしかしたらピッキング達人のビッチかもしんないしな」


    「え、ひどい」


    やめてくれ。そんな傷付いた顔をすんのは。すごく罪悪感が。


    「じゃあ、触ってみなよ」


    「…え?」
  9. 9 : : 2014/09/16(火) 02:37:04
    期待!
  10. 10 : : 2014/09/20(土) 23:33:35
    ちょっと待って何言ってんの。


    いや、そりゃこんな美少女に触れるなんて嬉しいけど……


    「セクハラじゃねえか!?」


    「何言ってるの。ほら、よくあるじゃん?幽霊触れないーってやつ。だから触れないことを実感したら幽霊だって信じてくれるかなぁって」


    なるほど。


    確かによくあるな。


    「じゃあ…ちょっとだけ…」


    そう言い、手を下から上げて行く。


    もにゅ。


    「ひゃんっ!?」


    ん?何だろ?なんか柔らかいものが。


    んー、何だ、これ?


    「へ、変態っ」


    「痛いっ!?」


    ……あ。


    俺、胸触ってた…?


    てかビンタ強えよヒリヒリする。


    「ご、ごめんわざとじゃない。て、てか触れんじゃん」


    「い、いや、これは何かの間違いでっ…」


    焦ってる感じも可愛い。


    「じゃあさ、鏡とかは?」


    「あ、鏡!!それだ!!」


    ということで洗面所へ向かう。
  11. 11 : : 2014/09/21(日) 09:21:25
    「うわ…」


    驚いた。素直に。


    右にいるはずの彼女が、鏡には映っていない。


    「嘘…だろ……こんなことって……」


    「これで信じてもらえた?」


    「うん……」


    信じられないけど、幽霊だからとしか説明がつかない。


    「てことで、泊まらせて」


    「は?」


    「幽霊って分かったから」


    待て待て待て待て。


    確かに幽霊かどうか分からんとは言ったけども。


    幽霊って普通金縛りとかしてくるもんじゃないか。


    「でも、幽霊ってちょっと抵抗が……」


    「え……信じてよ……」


    ちょっと。うるっとしないで。罪悪感が再び。


    「分かった」


    「え、ホント!?」


    「うん」


    「やった、嬉しい!」


    そう言い、満面の笑みになる。


    すごく心が和……ああぁぁぁぁぁぁ!?


    何言ってんだ俺!?


    なんで認めたんだよ俺!?


    条件反射今は要らねえよ!?


    「どこで寝たらいい?」


    あ、布団ない…。


    「俺ソファで寝るから俺のベッドで寝るか?」


    「いやいいよいいよ。幽霊だし」


    「んー、そんなもんか?じゃあ毛布出すから、適当なとこで寝てくれ。俺は眠い」


    「分かった」
  12. 12 : : 2014/09/21(日) 09:21:42











  13. 13 : : 2014/09/21(日) 09:23:09
    おまけ



    いかん確かに適当なとことは言ったけども!


    そんなすぐ近くで寝息を立てられたら理性が持たないぞ、俺。


    ちらりと見やる。


    寝顔………可愛い。


    胸、柔らかかったなぁ……。


    って俺変態じゃんかやめろやめろ!!
  14. 14 : : 2014/09/21(日) 09:23:31











  15. 15 : : 2014/09/21(日) 09:24:34






    其の参


    不可解な日常、始めました




  16. 16 : : 2014/09/21(日) 09:37:04
    「さて、と」


    カーテンを開け、窓も開け朝の爽やかな風を取り込む。


    空はまだ東の方が赤く燃えるように、というよりはほのかに赤く染まっている。


    毎日見ているが飽きが来ない、自然の景色。


    ──俺の朝は早い。


    自慢じゃないがそこらの高校生より早い自信はある。


    俺の一日は仏壇に手を合わせることから始まる。


    両親が不慮の事故で死んでしまい、祖父母は遠方に住んでいることもあり一人暮らしをしているのだ。


    そして洗濯ものを干したら朝食の準備。


    我ながらなかなかに家事ができる男だと思う。


    うん。味噌汁の味も抜群。


    「おはようございます。お味噌汁ですか?」


    「え、あ、おはよう」


    こいつの存在忘れてた……。
  17. 17 : : 2014/09/28(日) 05:59:34
    「お味噌汁なんてすごく久しぶり!!嬉しい」


    「待て。やるとは言ってないぞ」


    「え、あ、ごめん……」


    謝り、俯く。その仕草がやっぱり可愛い。


    「仕方ねえな。やるから座っとけ」


    そう言うと、遠慮するように椅子の上にちょこんと座った。よく考えると家に帰ったら堂々と家を占拠した人に遠慮も何もないのかもしれないが。


    「そういや、名前何だっけ」


    「あき」


    「上は?」


    「おぼえて、ない…」


    「そうか。すまんな。お、よし、出来たぞ」


    慎重にテーブルに運ぶ。


    あれ、待てよ。


    幽霊ってご飯食べるのか?

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執筆者

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