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エレン「俺のオレンジジュースが…」

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  1. 1 : : 2014/08/31(日) 10:46:52

    アクション?ものです

    タイトル全然意味ありません

    …いや、一割くらいあるかも
  2. 2 : : 2014/08/31(日) 10:47:22


    この世界には、決定的な違いのある


    2種類の人間がいる









    「あーあ、こりゃビショビショだ」


    「おいてめぇ!どうしてくれるんだ!」


    「……」


    「お前のせいで兄貴の服が汚れちまっただろうが!」


    「…すみません」


    「あぁん!?謝罪なんていらねぇんだよ!」


    「……」


    「兄貴はなぁ!お前とは違って"能力"持ちなんだぞ!」



    「!……」ピクッ


    「しかもBランクだ!びびったか!」


    「フッ、やめろ。恥ずかしい」


    「そんな兄貴の服汚したんだから、それなりの額よこせよ」










    彼は喫茶店でオレンジジュースを飲んでいたはずだった


    それを怖い男2人組にぶつかってジュースをこぼしてしまった


    というより、向こうがぶつかってきたのだが


    もちろんそんなことは、2人組にとってどうでもいい


    案の定、路地裏に連れてこられた


    内心、


    お前の服より俺のオレンジジュース弁償しろ!とか


    喫茶店のオレンジジュース高いから週一でしか飲めないんだぞ!とか


    心のなかで突っ込みながら


    めんどくさいのに絡まれたと、彼は思う


    いや、思っていた


    しかし2人組のうち1人は"能力"持ちと聞いて彼の思考は変わる


    しかもランクBらしい


    能力を使えるだけでも非常に珍しいのに


    そのくせランクBときた


    彼はぞくぞくする気持ちをぐっとこらえる


    心の底から湧き出る好奇心を必死に抑える


    ああ、でも我慢できないーーー








    やってしまおうか







    駄目だ。


    駄目だ。


    駄目だ。


    自分に言い聞かせる


    それでもぞくぞく、うずうずは止まらない


    あと、五分


    あと五分誰もくる気配がなかったら、そのときは……


    そう思ったとき



    ミカサ「こっちです!」


    「ちっ、人か」


    「しかも武装警察つれてやがる」


    「ふん、お前運がいいな」


    そう言って2人組はいってしまう


    それを追いかける警察


    警察といっても特殊な装備をしていて、普通の警察とは統制すら違うのだが、



    ミカサ「大丈夫……エレン?」


    エレン「……ああ、助かったよ」


    ミカサ「良かったぁ、ほら学校行かないとっ!」


    エレン「いや…その前に」


    ミカサ「……?」


    エレン「オレンジジュース買わないと」


    ミカサ「そんなの売店で買えばいいでしょ!」

     
    エレン「むぅ…そんなのとはなんだ。オレンジジュースはおれの全てで…」


    ミカサ「あーもうっ!遅刻しちゃうよ!」















    この世界には、決定的な違いのある


    2種類の人間がいる



    "力"のない人間と


    "力"のある人間


  3. 3 : : 2014/08/31(日) 10:49:44


    アルミン「遅かったね2人とも」


    エレン「ああ、喫茶店で変なのに絡まれてな」


    ミカサ「朝の時間無いときにまで、喫茶店でオレンジジュース飲むからよ」


    アルミン「あはは…」



    ガラッ



    1人の男が入ってくる


    目つきの悪いどこか近づきにくい雰囲気の男


    その瞬間、騒いでいた教室は静かになり


    彼に注目が集まる


    ジャン「……」




    エレン「あいつ不便だよな」


    アルミン「どうして?」


    エレン「なにか悪いことをしたわけでもないのに、除け者扱いだ」


    ミカサ「別に除け者扱いではないと思うけど」


    アルミン「うん、彼は仕方ないよ。この学校に1人しかいない能力者なんだから」


    エレン「でも普通能力持ちは周りからチヤホヤされるだろ?」


    ミカサ「普通はね」


    アルミン「彼はランクの一番低いランクCだけど、力をコントロールできてないんだ」


    ミカサ「だから俺には近づくなって入学初日に言ってたでしょ」 


    エレン「そうだっけ?」


    アルミン「ただでさえ近づきにくい雰囲気なのに、一緒にいると怪我するかもしれない」


    エレン「そんな奴には近づくなってことか?」


    ミカサ「別に私は気にしてないのに」


    エレン「なら仲良くしてやれよ」


    ミカサ「してるわよ!だけど顔を赤くするまで怒って、なにも言わずに行っちゃうのよ!」


    エレン「ばかやろう!そのくらいで諦めるな!」


    アルミン「そこまで言うなら、エレンが仲良くしてみたら?」


    ミカサ「そうよ!」


    エレン「いや、あいつ顔怖い」


    アルミン「君さっきまで何言ってたか覚えてる?」


    エレン「オレンジジュースが飲みたい」


    ミカサ「違うでしょ!」


    エレン「てか、やっぱ能力者って珍しいんだな」


    アルミン「それはそうだよ!僕だってジャンを見るまで、テレビでしか見たことなかったくらいなんだから!」


    エレン「ふーん、じゃあランクBってやっぱすげーのかな?」


    ミカサ「そのくらいだと武装警察ともやり合うことできるんじゃない?」


    エレン「……そっかぁ」


    アルミン「ねぇ、能力隠してる人とかいると思う?」


    ミカサ「いないわよ、能力隠せるってことは能力を扱えるってことなの」


    ミカサ「そんな人はどんな場所でも優遇されるんだから!隠す必要性がないわ」


    アルミン「だよねぇ…でも噂があるんだよ、放課後能力を使う生徒を見たって」


    ミカサ「ジャンでしょ?」


    アルミン「それがどうも能力がジャンとは全く別物らしいよ」


    エレン「見間違いだろ」


    アルミン「やっぱりそうかなぁ」














    エレン「(…………………やべ)」


  4. 4 : : 2014/08/31(日) 11:01:04
    期待
  5. 5 : : 2014/08/31(日) 11:25:28



    あれは一ヶ月前くらいのことだ



    校庭に1人の女の子とロボットがいた


    もうここで彼は帰りたかった


    なぜなら校庭にロボットがいる時点で意味がわからないから


    しかもそのロボットは普通のロボットではなかった


    それは武装警察のロボット


    およそ2mはあろう人型ロボット


    しかも攻撃性に優れた装備ロボット


    "対犯罪能力者専用"の無人撃退ロボットだった


    さらに


    さらに


    それはなんか



    「いや…こないで…」 



    暴走していた



    彼は本気で帰りたかった


    厄介事は嫌いなのだ


    しかしここで帰るほどエレン-イェーガーは落ちぶれてはいなかった


    エレン「……はぁ、」


    幸い今日は休日で


    学校に忘れた宿題を取りにきたので、周りに人はいない


    エレン「…しゃーないか」


    そういうと、彼は自分の顔を見られないように深くフードをかぶる


    そして彼女に背を向け


    ロボットに立ちふさがるかたちになってしまった


    「え……」


    エレン「こい、"黒"」


    そういうと彼の右腕にそれは集まる


    黒いもやっとした渦のようなものが


    彼の拳から肘の方へ渦巻くように集まる


    「ギ、ギガ……モクヒョウ、目ノマエ…」


    「きゃあっ!!?」


    ロボットは腕をこちらに向ける


    そこにはいくつもの銃口が


    しかし


    彼の前では


    たかがロボットの装備など



    エレン「ぜんっぜん、意味ないんだよなぁ」



    彼は拳を振るう


    すると彼の腕に巻き付いついたそれは


    まるで逆流するようにロボットへ向かっていく


    銃口から放たれる銃弾もロボットの腕も巻き込みながら


    それはあまりにもあっけなく


    ロボットはバラバラになる


    エレン「…やっぱ俺、すげー」


    「あっ……」


    エレン「あぁ、このことは内緒ね」


    彼は振り返らずに彼女に言う


    そうして彼はオレンジジュースを飲みに喫茶店へむかったのだが









    エレン「(言わないでって言ったのになぁ)」



  6. 6 : : 2014/08/31(日) 12:11:09
    期待です!
  7. 7 : : 2014/08/31(日) 12:25:23


    「さようならー」



    アルミン「またね、2人とも」


    エレン「またなー」


    ミカサ「また明日」



    エレン「さぁ、オレンジジュース飲みに行くぞ」


    ミカサ「私にも奢って!」


    エレン「や」


    ミカサ「ケチ!…あれ?ジャンだ」


    エレン「…」


    ミカサ「おーい!ジャーン」


    ジャン「!…み、ミカサ」


    エレン「俺はスルーかよ」


    ジャン「お前は…(いつもミカサと一緒にいる奴…)」


    エレン「エレンだ」


    ジャン「……」


    エレン「(えっ?無視?)」


    ミカサ「ねぇ、私達これから喫茶店行くけど来ない?」


    ジャン「!(ミカサとお茶……///)」


    ミカサ「(あ…怒ったかな?)」


    ジャン「…///」フイ


    ミカサ「あっ…」


    エレン「良いからこいよ」ガシッ


    ジャン「ちょっ!お前っ!」


    エレン「ん?なんだよ」


    ジャン「…怪我するぞ」


    エレン「そんなんお前が気をつければいい話だろ?」


    ジャン「それが出来ないから言ってるんだ!」


    エレン「そんなん知るか」


    ジャン「なっ!」


    エレン「お前オレンジジュース好きか?」


    ジャン「……柑橘系は無理だ」


    エレン「やっぱくんな」


    ジャン「は!?」


    ミカサ「ちょっと!なんでそうなるのよ!」


    エレン「あそこはオレンジジュースの聖地だ。反逆者は認めん」


    ミカサ「なによ反逆者って!全く……ごめんねジャン、気にしないで行こっ!」ニコッ


    ジャン「あ、あぁ///」


    エレン「……」





    「いらっしゃいませー」


    ミカサ「アイスココア1つお願いします」


    ジャン「……コーラで」


    エレン「オレンジジュース2つ」


    ミカサ「すみません、1つでお願いします」


    エレン「ちっ、」


    ミカサ「舌打ちしないでよ」スクッ


    エレン「どこいくんだ?」


    ミカサ「ちょっとトイレに行ってくる」




    エレン「……」


    ジャン「……」


    エレン「……」


    ジャン「……」


    エレン「……」


    ジャン「……」


    エレン「……」


    ジャン「……なぁ」


    エレン「ん?(……勝った)」


    ジャン「その…お前らは、……つ…つ…」


    エレン「つ?」


    ジャン「その…つ、付き合って…いるのか?///」


    エレン「……いいや?」


    ジャン「そっ!…そうか…」ホッ


    エレン「……」


    ジャン「…付き合って、ないのか」



    「お待たせしましたー、コーラとアイスココアです」



    エレン「……」


    ジャン「……ふぅ」


    エレン「……」


    ジャン「……」ズズッ


    エレン「……好きなのか?」


    ジャン「ぶふっ!なっ!なにがだ!!////」カァァ


    エレン「いや、コーラ」


    ジャン「えっ…あっ、…うん///」


    エレン「…ふーん(わかりやすいなこいつ)」
     



    ミカサ「あっ、アイスココアきたんだ♪」



    ジャン「/////」


    ミカサ「…?どうしたの、顔赤いよ?」


    ジャン「なっ///なんでもない…///」


    エレン「(こいつおもしれぇ)」


  8. 8 : : 2014/08/31(日) 13:07:05



    エレン-イェーガー


    彼はランクCの能力者だった


    しかし


    彼の実力は"対ランクB"に作られた"対犯罪能力者専用"ロボット


    "プログラム"さえ、


    一瞬で倒してしまうほどの実力者




    ではなぜ


    彼は1番ランクの低いランクCなのか


    それは単純だった


    能力者は戸籍に能力の詳細を書かないといけない


    つまり国は能力者を管理している


    そして能力者は能力テストをする義務があり、そのテストでランクづけされる


    そのテストで彼は手を抜いた


    その単純な理由は



    「平凡な日常を過ごしたいから」



    ランクB以上になると少なくとも少しは有名になってしまう


    そんなものは彼にとって鬱陶しいだけだった


    彼が能力者だと知ってるのは誰もいない


    両親さえ、知らない







    エレン「はずだったのになぁ」




    「今日から転校生がくる」


    まず担任の一言でエレンは嫌な予感がする


    そして


    それが


    的中する


    アニ「アニ-レオンハートです」


    エレン「(あれ、俺が助けた子だ)」


    エレン「てか、この学校の生徒じゃなかったのかよ…」


    アニ「よろしくね」ニコッ


    彼女はこっちを見て満面の笑みを浮かべた



    ……気がした



    エレン「……ばれてんのかなぁ?」


  9. 9 : : 2014/08/31(日) 15:20:05


    アルミン「ねぇ、エレン」


    エレン「んー?」 


    アルミン「てっ、転校生さぁ…どっ、どう思う?///」


    エレン「……お前もか」


    アルミン「へ?」


    エレン「きっとジャンの奴と気が合うぞ」


    アルミン「なんでジャンが出てくるのさ、ていうか仲良くなったの?」


    エレン「昨日喫茶店で話した」


    アルミン「へぇ、どうだった?」


    エレン「んー…普通の高校生にしか見えなかったな」


    アルミン「そっかぁ」


    エレン「あぁ、あと昼一緒に飯食うから」


    アルミン「ふーん、じゃあ僕はミカサと食べるよ」


    エレン「なにいってんだよ、お前も一緒に食べるんだから」


    アルミン「えぇ!?」


    エレン「なんだよ、嫌か?」


    アルミン「嫌っていうか、まだちょっと怖いよね…」




    ミカサ「エレン!」


    エレン「ん?」


    ミカサ「アニもお昼一緒でいい?」


    エレン「…もちろん」


    アニ「ありがと」ニコッ


    アルミン「僕ジャンと仲良くなりたい」キリッ


    アルミン「だから僕も一緒にお昼食べるよ!」


    エレン「……」


    アルミン「どうしたんだい?エレン、君の友達は僕の友達さ!」


    エレン「お前ってさぁ、たまに友達利用するよな」


    アルミン「あはは!お昼が楽しみだ!」




    アニ「あの…」


    エレン「……なに?」


    アニ「エレン…だっけ?私あなたの声どっかで聞いた気がするんだけど…」


    アルミン「どういうことっ!エレン!」


    エレン「初対面だよ、気のせいだろ」


    アニ「そうかなぁ」



    エレン「(ばれてなかったか…)」


    エレン「(ん?待てよ、そういえばなんでこいつは…)」



    アルミン「僕はアルミンって言うんだ///」


    アニ「よろしくね」ニコッ



    エレン「(なんであの日学校にいたんだ?)」


    アニ「……」
  10. 10 : : 2014/08/31(日) 18:18:32



    ー昼休みー


    ジャン「……」


    アニ「へぇ、ジャンは能力者なんだ!」


    ミカサ「でもまだ、力のコントロールが難しいらしいの」


    アニ「そうなの?ちなみにどんな能力?」


    アルミン「確か発火系の能力だったよね」


    エレン「へー、そうなのか」


    ミカサ「知らなかったの?」


    エレン「悪りぃかよ」


    アニ「私ね!ここで能力者に助けられたの!それでここに転校してきたんだ!」


    エレン「……」


    ミカサ「でもこの学校にはジャンしか能力者はいないわよ?」


    アニ「うそ!だってその人宿題のノートらしきもの持ってたわよ!」


    アルミン「ってことは…ほんとに隠れてる能力者が…」


    ミカサ「ちなみにその人の能力は?どんなのだった?」


    アニ「それはその人との秘密だから」フフッ


    エレン「(そーいうことじゃないっての!)」



    エレン「……はぁ」


    ジャン「……」


    エレン「なんだよ、さっきから黙りこくって」


    ジャン「……じゃあ言わせてもらうが…」


    ジャン「なんで俺の机を囲んで飯くってんだよ」


    エレン「昨日約束したろ?一緒に食うって」


    ジャン「いや、してねぇよ!」


    アルミン「え!?エレンしてなかったの?」


    エレン「いや、したぞ?心の中で」


    ミカサ「意味わかんないわよ」


    アニ「あはは!」


    エレン「別にいいじゃんか」


    ジャン「あのな、俺と一緒にいたら怪我するかもしれないんだぞ?」


    エレン「そんときは、そんときで」


    ジャン「は!?」


    アルミン「ジャンって面白いよね、僕なんか勘違いしてたよ」


    ジャン「(なんなんだよ…こいつらは…)」


    ジャン「お前らは……怖くないのか?」


    エレン「別に」


    ミカサ「まぁね、それにジャンが能力使うとこ見てないし」


    アルミン「うんうん、意外に制御できてるかもよ」


    エレン「オレンジジュースの敵だけどな」


    ミカサ「エレンが信者なだけ」


    アルミン「それは言えてる」クス


    エレン「信者でなにが悪い!」


    ミカサ「フフッ」


    アルミン「あはは!」


    エレン「むぅ…」





    ジャン「…なんだよ、こいつら意味わかんねぇ……」

     
    アニ「…なんとなく、私あなたの気持ちわかるよ」


    ジャン「………」


    アニ「私、来たばっかだけどきっとこの人たちの言葉は本心だと思うよ」


    ジャン「……」


    アニ「あなたは幸せだね!」ニコッ


    ジャン「………フン」



    ジャン「(友達…か)」






    エレン「こうなったら俺は悟りを開くぞ」


    アルミン「ちょw悟りってww」


    ミカサ「バカみたい」


    エレン「まずはジャンから取り込んでやる」フハハッ


    アルミン「ジャン!逃げてw」


    エレン「逃がすものかぁ!」








    ジャン「…初めてだな」
  11. 11 : : 2014/08/31(日) 19:36:18
    期待です
  12. 12 : : 2014/08/31(日) 22:54:17



    1人の男がいた


    おそらく、どこかの研究所


    周りには無残にも壊れたコンピュータの数々


    そこはある組織だった


    いや、正確には「組織があった」場所だった


    いまはもう


    その組織はない


    その男が壊滅させたから


    たった1人で



    決して小さい組織ではなかった


    なのに


    1人の男が壊滅にまで追い込んでしまった


    それが


    ランクBの実力だった




    彼の目的は、情報


    この"ラボ"という組織を壊せば手に入るはずだった


    "対ランクA"の対能力者ロボット


    "ケルベロス"の設計図が




    一ヶ月前


    以前から制作していた


    試作品"一体のケルベロス"とその"設計図"が完成した


    本来これは武装警察へ渡されるはずだった


    それを横取りした


    ケルベロスは手に入れたが設計図には逃げられた


    プログラムを一体送ったので心配はしてなかったのだが…


    プログラムとの更新がきれてしまった


    「プログラムを倒すほどの能力者は、この街にはいないと思ったが…」


    油断だった


    といっても、


    プログラムとの更新がきれた場所の特定は既に完了した



    ケルベロスを回収しようと


    武装警察からおくられた約30体のプログラムもここにある


    あせることはなにもない


    あの女を殺して設計図を奪えば済む話




    「待ってろよ…アニ」

  13. 13 : : 2014/09/01(月) 21:55:43


    屋上から見る街は


    私が普段過ごしている街とは


    少し違う印象を与えてくれる



    この場所には初めて来たのに


    どこか懐かしく感じてしまうほど、心地良かった



    私も平凡に過ごしたいなと、


    彼女は少し思う



    エレン「ここにいたのか」


    アニ「……」


    エレン「いまからお前の歓迎会するから、早く行こうぜ」


    アニ「ほんと?うれしいなぁ…」


    胸が痛い


    彼らは優しいから


    今日会ったばかりの私に


    こんなにも優しくしてくれるから


    だから胸が痛い


    結局は私も


    ここの人を利用してるだけにすぎないのだから


    私たちを利用した武装警察と同じように


    そんなことを彼女は思う


    しかし、ぬるいことは言ってられない


    これが武装警察の手に落ちれば


    この国は終わってしまうのだから



    アニ「どこに連れて行ってくれるの?」


    エレン「カラオケ」


    アニ「えー!私歌うの苦手なのにー」


    エレン「じゃあ来るな」


    アニ「あはは!それじゃ歓迎会じゃなくなっちゃうよ」


    エレン「俺はオレンジジュースを飲みに行くだけだ」


    アニ「ひどーい!泣いちゃうよ?」


    エレン「ん、見届けてやる」


    アニ「もう!なんでそうなるのよ!」


    エレン「ほら、早く泣け」


    アニ「あんた嫌な奴だなぁ」


    エレン「お前は気に食わない」


    アニ「…あーあ、嫌われちゃった」


    エレン「……」


    アニ「私結構エレンのことタイプだったのになぁ」


    エレン「なにコソコソ探ってんの?」


    アニ「……」


    エレン「この学校には能力者はいない、ジャンだけだ」


    アニ「信じないよ?私は絶対その人にお礼するって決めたの」


    エレン「嘘だな」


    アニ「……」


    エレン「お礼がしたくて、職員室にまで忍び込み生徒記録を見る奴なんていない」


    アニ「…ばれちゃった?」


    エレン「なにを企んでいる?」


    アニ「企んでいるなんて、ひどいなぁ」


    エレン「……」


    アニ「私はもう一度助けて欲しいだけ、力をかして欲しいだけ」


    エレン「…なんのことだ?」


    アニ「知らなくていいの、エレンは平凡な生活を送ればいーの!」


    エレン「…それで、見つかったのか?」


    アニ「残念ながら、生徒記録にもジャンしかのってなかったんだよねぇ」


    エレン「それは良かったな」


    アニ「うざいよー?全く…馬鹿な顔して結構鋭いんだね」


    エレン「バカじゃねーよ」


    アニ「あはは!その発言も馬鹿みたい」


    エレン「ふん、早く行くぞ音痴」


    アニ「あれ?私のこと気に食わないんじゃなかったっけ?」


    エレン「はて、なんのことだ?」


    アニ「素直じゃないなー」フフッ
     
  14. 14 : : 2014/09/02(火) 23:21:50



    エレン「なぜカラオケのドリンクバーにオレンジジュースがない?」


    アルミン「知らないよ」


    エレン「この店は舐めているのか?オレンジジュースを飲まないでどうやって、歌えと言うのだ」


    アルミン「いや、普通に歌えるでしょ?」


    エレン「この国の新しい課題だな、"全国のカラオケのドリンクバーにオレンジジュースを常備する"」


    アルミン「そんなこと国会で話し合ってほしくないね」


    ジャン「オレンジジュースなら店の前の自販機にあったぞ?」


    エレン「知ってる。俺が把握してないとでも思ったか、ばかめ」


    ジャン「てめぇ…」


    ミカサ「なんでここまで来てケンカするの!」


    エレン「さて、オレンジジュースを飲みに行くか」


    ミカサ「あんたねぇ!アニの歓迎会なのよ!」


    アニ「あはは!大丈夫、大丈夫。私ちょっとトイレ行ってくるね、先歌ってて」







    ガコン


    プシュッ


    エレン「……」ゴクゴク


    エレン「……ふぅ」



    アニ「私にも奢ってくれるかい?」


    エレン「なんだ、お前は外でトイレすんのか」


    アニ「んなわけないでしょ!エレンに聞きたいことあるのよ!」


    エレン「……ふーん」ガコン


    エレン「ほれ」ポイッ


    アニ「ん、ありがと」


    エレン「で?なんだよ」ゴク


    アニ「エレンってさぁ、もしかして私が探してる人知ってる?」


    エレン「……なんでそんなこと聞くんだよ」


    アニ「さっき屋上で言ってたじゃない、この学校に能力者は他にいないって」


    エレン「……それが?」


    アニ「なんで言い切れたの?あくまで噂なのに」


    エレン「……」

     
    アニ「それって、私が探してる人を知ってるってことでしょ?」


    エレン「…知ってるとしたら?」


    アニ「やっぱり知ってるのね!」


    エレン「………はぁ」


    アニ「知ってるなら教えて!」


    エレン「お前の言う通り、俺はお前の探してる奴を知っている」


    アニ「ほんと!?これであの人に会える!」


    エレン「なに勘違いしてやがる」


    アニ「えっ?」


    エレン「俺は会わせるなんて言ってねーよ?」


    アニ「なんで!?」


    エレン「お前はそいつを、また何かに巻き込むつもりだろ?」


    アニ「でも!それは…」


    エレン「お前がなんのトラブルに巻き込まれているか、そいつを探してどうするのか」


    エレン「それが言えないうちは、俺も言えないな」


    アニ「………」


    エレン「……」ゴクゴク


    アニ「……わかったわよ、話すから」

  15. 15 : : 2014/09/02(火) 23:36:17
    期待です!
  16. 16 : : 2014/09/03(水) 20:49:50



    アニ「私は最近までラボという組織にいてね」


    アニ「そこで私たちは、武装警察からの依頼で極秘にあるものを作っていたの」


    エレン「あるもの?」


    アニ「…」コクン


    アニ「対ランクA専用戦闘ロボット」




    「ケルベロス」




    エレン「ケルベロス…」


    アニ「どう?あなたでも少しは驚いた?」フフッ


    エレン「それってどのくらい、すごいんだ?」


    アニ「はぁ!?あんたそれ本気で言ってんの?」


    エレン「うるさいな」


    アニ「はぁ…あのね、今までこの国の技術力はランクBどまりだったの」


    アニ「つまり、科学より能力者の方がかなり優れていた」


    アニ「それがついに、ランクAに対応できるくらいにまでなったの!」


    エレン「それってすごいの?」


    アニ「もう!そもそもランクAの能力者は人じゃないのよ!」


    エレン「人じゃない?」




    アニ「兵器なの」




    アニ「国によっては、戦争に導入するほどの"生きた兵器"なの」


    アニ「それに対抗できるケルベロスはいわば戦争兵器」


    アニ「プログラムなんて比じゃないわ」


    アニ「これがどれだけ危険か、あなたにわかる?」


    エレン「……なんとなく」


    アニ「それを武装警察は秘密裏に持とうとしている」


    アニ「だから"ラボ"を攻撃してきたのよ、ケルベロスの本質を知っている私たちを消す為に」


    アニ「国民には治安を守るロボットと言えば、誰もそれが戦争の道具なんて思わないわ」


    アニ「奴らが私たちに作らせたのは殺人兵器だったの」


    アニ「戦争を、肯定する為だけに作られた、殺人兵器だったのよ…」ギュッ…


    アニ「……そして私の仲間はみんな…」


    エレン「……」


    アニ「この国は根から腐ってる」


    アニ「だから私は組織をつくる、能力者を集めてこの国の仕組みそのものを…」


    アニ「ぶっ潰す」


    エレン「だから手を貸せと?」


    アニ「……」コクン


    エレン「この国でクーデターを起こすから、手伝えってか」


    アニ「そう伝えてくれても構わない、ぜひ手伝だってほしい」


    エレン「協力しなかったら?」


    アニ「他の人を探しにいくわ」


    エレン「……」






    ミカサ「ちょっと!2人ともなにしてるのよ!」


    アニ「あ、ミカサ」


    ミカサ「あ、じゃないわよ!」


    エレン「うるさい」


    ミカサ「もう!いいから早く来なさい」


    エレン「はいはい」



    エレン「……伝えといてはやる」


    アニ「…ありがと」


  17. 17 : : 2014/09/03(水) 21:49:49




    クーデターとか、めんどくせぇええ!!って彼は思っていた


    普通に生きていたつもりだったが


    ちょっと力を使っただけでクーデターまで、話が発展した


    もちろん、クーデターが成功するなんて考えにくい


    こんな馬鹿な計画について来る能力者などいるだろうか?


    いや、その前に武装警察に捕まるのがオチだろう


    普段ならクーデターなんて速攻で断っていた


    だが、どうも昨日から彼女の顔が頭から離れない





    仲間を失った彼女の顔が





    この国の為と信じてやっていたことが


    自分の仲間の命を摘み取るとは、誰が想像しただろう


    それにアニが能力者から1人で逃げ出すには、無理がある


    だったらなぜ、逃げ出せたのか?


    簡単だ


    仲間が


    彼女の仲間が逃がしたのだ


    彼女に設計図を渡し、自分たちの身を犠牲にまでして


    彼女に希望を託したのだ


    その希望が自分を必要としていると思うと


    すぐに答えは出なかった


    これまで通り、平凡に暮らすか


    この国を敵にまわす


    犯罪者となるか




    エレン「………究極すぎる選択だな」




    はぁぁぁ…と、大きい溜息を吐く


    そして屋上のドアを開くと


    昨日と全く同じ場所に


    どこか寂しそうな背中で


    街をながめる











    「希望」がいた


  18. 18 : : 2014/09/03(水) 22:14:58



    「体育館からイスを何脚か運んでくれるか?」



    そう担任に頼まれたときは


    俺はお前のパシリかっ!などと心の中で悪態ついていた


    しかし体育館に向かっている彼はむしろ担任に感謝していた



    そして




    ジャン「(……いい天気だな…って馬鹿か!俺は馬鹿か!どこの漫画だよっ!)」



    ジャン「(やっぱもっと…こう…ぐいっと責める感じで…)」


    ジャン「(好きだ…ミカサ)」


    ジャン「(いやいやいや!ぶっ飛びすぎだろ俺!)」




    シュミレーションをしていた


    なんのシュミレーションか?


    言わずもがな、隣にいるミカサとの会話だ


    担任が1人じゃ大変だからと、ミカサと一緒に作業するようにと言ったのだ


    これはもうやばかった


    とにかくやばかった


    最近の若者はボキャブラリーが少ないと言われるが


    このときのジャンはやばいしか出てこなかった


    ジャン「(これが噂に聞く"初めての共同作業"ってやつか…)」
    ※違います


  19. 19 : : 2014/09/03(水) 23:25:21



    そんな彼の気分を壊したのは、体育館の真ん中にいた



    2mの鉄の塊だった



    ジャン「なんだありゃ?」


    ミカサ「あれ、プログラムだよ」


    ジャン「プログラム?」


    ミカサ「うん、対ランクB戦闘ロボットだったはず…」


    ジャン「そんなおっかないもんが、なんでここに?」


    ミカサ「わかんないよ」


    ジャン「とりあえず近づいてーー」








    前ぶれはなかった


    2mの塊が放った一発の弾丸は


    綺麗にジャンの脇腹を貫通させる


    ジャン「……は?」


    ミカサ「えっ……」



    膝から崩れ落ちる



    ジャン「ぐっ……」


    ミカサ「ジャン!」



    脇腹から血が止まらない


    止まらない


    止まらない


    止まらない


    止まらーー


    ミカサ「ジャン!血が!」


    ジャン「来るな!」


    ミカサ「っ!」


    ジャン「逃げろミカサ!」


    ミカサ「でも…」


    ジャン「血は止まった」



    そう言って彼は立ち上がる



    ミカサ「そんなはずーー」



    止まっていた


    あれほど止まらなかった血は


    もはや一滴も出てなかった


    傷は既にふさがっていた


    彼の体は人間の体とは、言い難かった


    その光景はまるで





    "化け物"


     



    ミカサ「っ……」


    ジャン「……逃げてくれ」




    プログラム再び銃口を構える


    今度は一発ではなかった


    無数の弾丸がジャンを襲う


    頭を


    顔を


    腕を


    胸を


    腹部を


    足を



    ミカサ「きゃぁぁぁぁぁああああああああっっ!!!!」



    ミカサの悲痛の叫びが響き渡った

  20. 20 : : 2014/09/04(木) 07:48:23
    クロノス「きゃあぁぁぁぁぁぁあああx((

    期待です!
  21. 21 : : 2014/09/04(木) 08:38:22
    あ、これ俺の好きなやつ
    頑張れ
  22. 22 : : 2014/09/04(木) 18:53:54



    アニ「来てくれたんだ」


    エレン「あぁ」


    アニ「それで?あの人はなんて言ってた」


    エレン「………」



    このままで良いのかと、彼は思う


    アニはなに1つ隠さず話してくれたのに


    自分は嘘の塊のままで良いのかと


    平凡に生きること以上に


    差し伸べられた手を握ることの方が、はるかに大事なことなんじゃないかと


    彼は思うようになっていた


    しかし、彼女のやり方は


    本当に正しいのだろうか?


    彼女のすることは結局


    クーデターという復讐にすぎないのだ




    エレン「…本当にしないと駄目なのか?」


    アニ「……どういうこと?」


    エレン「お前がクーデターを起こすことよりも、お前の仲間はお前に生きてほしいんだと思う」


    アニ「……」


    エレン「きっと、ただ真っ直ぐに…平凡に暮らしてほしいだけなんだよ」


    アニ「それはあの人の言葉?それもとあなたの言葉?」


    エレン「……両方だ」


    アニ「そう…残念…」


    エレン「……」


    アニ「私はもう行くわ、世話をかけたね」


    エレン「…ちょっと待てよ」


    アニ「無理よ、私の意思は揺るがない」


    エレン「……」




    その時だった


    一発の銃声が聞こえる



    エレン「今のは……?」


    アニ「……まさか」




    そして


    アニの携帯が鳴るのと同時に


    30体は超えるプログラムが


    空から降ってくる




    エレン「こいつらはっ!?」


    アニ「………」カチャ


    「よう、元気か?」


    アニ「……アッカーマン…」


    エレン「(アッカーマン!?……ミカサと同じ…)」


    「要件は言わなくてもわかるよな?」


    アニ「設計図は渡さない!」


    「まぁ、焦るな。今からゆっくりお前の学校を攻撃していくから」



    アニ「!?」


    「まず最初の攻撃は30分後だ。30分以内に俺のところへ設計図を届けたら、攻撃はしないでやる」


    アニ「くっ……」


    「ちなみに俺はラボにいる…あぁ、すまん間違えた」






    「"ラボだった場所"だな」






    アニ「あんた……」ギリッ


    「さぁ!お前が友達をとるか、設計図をとるか楽しみだなぁ」


    アニ「ちょっと待っ…」


    プツッ………


    アニ「くそっ!」





    そしてまた銃声が聞こえる


    今度は


    無数の銃声が




    アニ「そんな!?攻撃はまだしないはずじゃ…」


    アニ「……ちっ」



    彼女は屋上を飛び出す



    1つのディスクを残して



    エレン「………」



    それがなにかは薄々検討がついた


    そして、彼女がどこへ向かっているかもだ


    エレン「…馬鹿かあいつ」


    ふと校庭を見ると


    プログラムたちがこちらを見上げている



    彼にもう迷いはなかった





    エレン「………くそが」




    彼は"彼の中の力"に呼び掛けた






  23. 23 : : 2014/09/05(金) 00:44:08



    彼の能力


    それは


    ある原子を操る能力だった


    それは、ただの原子ではない


    本当ならこの世には存在しない


    詳細不明の


    "彼の中だけ"で作られる黒い物質だ


    彼はそれを"暗黒物質"と呼ぶ




    質量、密度、繊維、



    それらを自由に組み換える事ができる彼は


    暗黒物質を全身に纏う


    それは黒く透けていて、まるで黒い結晶を鎧としている様だった


    そして彼は、両手両足の部分だけ変形させる


    すると、黒い結晶は3倍ほど大きくなり


    獣のような鋭い爪の形となる


    この時の彼は、とてつもなく





    「速い」
     




    彼は一気に屋上から校庭にいる一体のプログラムへ突っ込む


    プログラムはそれに反応し、銃口を向ける


    が、すでに彼は銃口の先にいない


    「ガ…ギギ………」


    プログラムの懐に彼はいた


    そして


    彼の腕はプログラムを貫いていた



    エレン「…まずは一体」



    一斉に残りのプログラムが彼を狙う


    しかし、硬くなお伸縮性のある彼の両足の前では


    その弾丸には当たらない


    かすりさえ、しない


    気がつけば


    彼の足が別のプログラムを真横に切断していた


    弾丸では倒せない


    そう判断したプログラムは、自ら腕を外す


    そこには3枚の鎌状の刃が


    それはまわる


    ミキサーのように、勢い良くまわる


    不気味な音をたてながら


    残りの28体ほどのプログラムの刃が


    一斉に


    まわる


    まわる


    まわる


    まわる




    一撃でもくらったら、防げないかもしれない


    あんなもの生身でくらったら、まず助からないだろう


    だが、




    エレン「当たらなきゃ意味ねぇよ」




    プログラムは刃を振るうことなく


    また、いとも簡単に貫かれる



    貫かれる




    が、しかし


    彼の腕は抜けない



    エレン「なっ!?」


    プログラムの一番恐ろしい能力は攻撃力ではない


    学習能力である


    他の2体のプログラムの刃が


    合計4つの刃が彼を襲う



    エレン「がぁっ…………」



    刃は完全には暗黒物質を貫かなかった


    けれど、彼にダメージを負わせるには充分だ


    そのまま


    3体のプログラムは彼を覆う


    プログラムはわかっていた


    二度目の攻撃の前に、彼の反撃の速さの方がはるかに速いことを


    だから彼を覆った






    「自爆」するために






    校庭の中央で3体のロボットが爆発した



    エレンは起き上がらない


    鎧は既に解けている



    プログラム残り


    およそ25体


  24. 24 : : 2014/09/05(金) 18:49:12



    無数の弾丸は確実にジャンに当たっていた


    当たってはいたが、貫くことはなかった


    彼の能力は発火と爆発の力


    彼の体はその能力に耐えうるようにできている




    それは圧倒的な治癒力と"硬化"




    硬化した彼の全身の細胞は黒く炭のように変色していて、赤い筋が浮き出ている


    もう人の面影はなかった




    ミカサの前ではこの姿にはなりたくなかったなと、彼は思う


    嫌われてしまっただろう


    だが、それでもかまわない


    彼女を守れるなら




    ジャン「うぉぉぉおおおおおおお!!!」



    強く、強く握りしめた拳は


    紅蓮の炎に包まれ


    業火のごとく燃え盛り


    その拳で目の前の敵に殴りかかる


    対して無数の弾丸で対抗するプログラムだが、そんなもの今の彼には効かない


    弾丸の嵐の中を突き進み、思いっきり踏み込む


    彼の体がプログラムの後ろに行くまで、踏み込む


    しかし、彼の腕はまだプログラムの目の前にある


    そしてさらに踏み込む


    踏み込んで


    全体重を前にたおす


    そのまま彼の右手は


    イラつくそのロボットへと


    渾身の一撃を放つ




    ジャン「うらぁぁぁぁああああああああっっ!!!」



    「ガッッ、ガ、ギ、ガガッッ」




    刹那爆発する


    2mの鉄の塊は勢い良く吹っ飛ぶ


    派手に転げ回り、壁に激突する


    プログラムにはくっきりと拳の後が残っていた






    ジャン「………ちっ」



    しかし



    プログラムはすぐに起き上がる


    彼の攻撃が弱かったわけではない


    なにせプログラムを壁にめり込ませるほどの威力はあったのだから


    これがプログラムの強さだった


    この国を守っている強さなのだ


    ランクCなどに簡単には負けはしない



    プログラムの腕が変形する



    マシンガンの形状からライフルの形になる




    ジャン「ふん!いくらやろうがそんなもの効かねぇ!」



    彼は両手に炎を集める


    そしてそれは、2つのヤリとなる


    触れた瞬間に爆発する、恐ろしいヤリとなる



    ジャン「終わりだ!」



    彼は跳ぶ


    3mほど跳ぶ




    そして貫いた



  25. 25 : : 2014/09/05(金) 18:54:26





    そして貫いた
















    プログラムから放たれた


    1つの銃弾が



    ジャンの右足を



    貫いた




    ジャン「ッッ!?」





    彼は落ちながらも





    ジャン「……くそっ!」




    ヤリを投げる



    彼が背中から床に落ちるのと


    ヤリがプログラムを貫ぬくのは


    ほぼ同時だった


    ヤリはプログラムを爆発に巻き込む


    分煙が舞い上がるがプログラムの影はない




    ジャン「やったか………ぐっ!」


    彼の足からは大量の血が


    しかも、


    彼の足はすぐには治らない



    ジャン「やっぱ硬化すると治りが遅いな…」



    と反省するもつかの間


    すぐさま彼はミカサの安否を確認する



    ミカサ「あっ……」



    ほっ、と彼は胸を撫で下ろす



    どうやら怪我はないようだ



    彼は力を解く


    すると彼の肌はどんどん元の色を取り戻していく


    だが、力を使ったせいか傷口は治らない


    血を失いすぎたか、頭がぼーっとする


    ジャン「…やばいな、これ」



    バタッと彼は倒れこむ



    ミカサ「ジャン!」



    彼女はすぐに駆け寄る



    その表情はぐちゃぐちゃで、彼女は泣いていた




    ジャン「はは…泣いてんのか?」


    ミカサ「だって…ジャンが…」


    ジャン「大丈夫だから、心配すんな」


    そっと彼女の頬に手を伸ばすが


    自分の手から煙が出ているのを見て、彼は手を引っ込める


    彼の体温はまだ何千度もあった



    それでも彼女は笑顔を見せてくれて"ありがとう"と言ってくれた



    ジャン「/////」



    体温は冷めていってるはずなのに、彼は熱くなってしまう


    それを見て彼女はまた笑ってくれる


    おもわず彼も笑顔になる


    あんな姿を見せたから、嫌われてしまったと思っていたので


    ミカサが笑ってくれるとほんとに安心する


    戦ってよかったと思える


    彼は幸せだった


    だからこそ、その後にくる










    絶望は大きいのだ



    ミカサの顔から笑顔が消えていた


    異変に気づいた彼は彼女の視線の先へ



    ジャン「………うそだろ…」



    そこには


    銃口を向けたプログラムがいた


    その銃口は


    ミカサへと向けられていて




    ジャン「やめろぉおおおおおおおおおおおっっ!!!!」



    彼は立とうとするが、立てない



    力を使おうとするが、使えない



    彼女を守ろうとするが、






    守れない






    銃口から放たれる銃弾は


    真っ直ぐに、真っ直ぐに、


    正確に目標を捕らえ





    貫いた






    ジャン「うわぁあああああああああああ!!!!!」




  26. 26 : : 2014/09/06(土) 07:03:27











    お前はなにがしたい?


    エレン「………」


    お前はなにがしたい?


    エレン「………」


    お前はなにがしたい?


    エレン「………助けたい」


    誰を?


    エレン「…アニを」


    なんのために?


    エレン「……わからない」


    エレン「けど…」


    お前はそれを望むか?


    エレン「あぁ」


    なら、倒れている場合ではないだろう?


    エレン「……」


    エレン「今の俺は、勝てない」


    ……全く、世話のやける主だ


    エレン「……お前はなんなんだ?」


    力がほしいか?


    エレン「力…」


    そうだ、全てを退ける圧倒的な力


    エレン「…それがあれば……アニを守れる?」


    もちろん


    エレン「………」


    怖いか?


    エレン「少し」


    受け入れろ私を


    エレン「………」


    後は全部やってやる


    エレン「………」


    お前は寝ていればいい


    エレン「……わかった」


    そうだぁ…それでいぃ……

























    校庭の中央に彼はいた


    しかし


    エレン-イェーガーの意識はない


    彼を守る暗黒物質の鎧もない


    今の彼はただの人に過ぎなかった


    そんな弱者にとどめを刺そうと彼を取り囲むロボットたち


    そのロボットの両腕には三枚の刃が回転していた


    彼を殺すために


    少しづつ、ロボットたちは距離をつめる


    そして一斉に五体ほどのプログラムが腕を振り下ろす


    躊躇なく


    彼に向かって刃がーーー







    すると跡形もなく、バラバラになった













    バラバラに
    「プログラムの腕」はなくなっていた



    この時プログラムは現状処理をできていない


    なぜなら目の前の男は意識がないのだから


    本来ならぐちゃぐちゃになるのは、目の前の男であって


    自分の腕ではないのだから


    男を見ると


    やはり意識はない

    なのに
    男の背中からは
    黒い粒子の渦がが出ていて


    それは明らかにこの世の物質ではなかった


    かといって、彼の作る暗黒物質ともどこか違く感じた


    それはなにかと、分析をプログラムは始めようとする


    始めようとして


    彼の周りのプログラムが一気に倒れた


    その数まさに十数体


    巻き込まれたのだ


    黒い粒子の渦に



    いや消し飛んだと言った方が正しいかもしれない



    あの時
    黒い渦が大きくなり


    プログラムに触れた


    すると
    触れた瞬間に触れられた部分が「なくなった」のだ


    まるで最初からなにもなかったと思えるほど




    それは一ヶ月前彼が使った力だった


    彼が"黒"と呼んでいる力だった


    他の暗黒物質とは違う力だった


    それは質量も密度も繊維も変えることができない


    未だ完全に使いこなせない力だった


    それは全てを無に還すと言っても過言ではない


    触れたものを消滅為せる絶対の力だった


    もちろんリスクもある


    だがそれ以前に
    彼は普段ここまで大きい渦を出せたことはなかった



    つまり
    今の彼は暴走しているのだ



    このままではプログラムが手を出さなくても


    学校は崩壊するだろう


    いや、学校だけですむだろうか?


    渦はさらに大きさを増す


    彼を中心に地面はえぐれ


    プログラムはもはや一体もいなかった


    全て彼が呑み込んだのだ


    跡形もなく


    そこに30体を超えるプログラムがいたと言っても、誰が信じるだろうか?



    だがそれでも


    彼の中にいる"なにか"は満足しない


    渦はさらに大きさを増す



    それはもはや災害だった


    世界の終わりを想像させる




    未だエレン-イェーガーの意識はない














    その光景を男は見ていた


    校門に立っている小さい男


    その男は能力者だった


    この国に5人しかいない最高ランクの能力者


    ランクSの1人だった


    その中でも


    ランキング第2位の強者


    この国で2番目に強い存在





    「……チッ、聞いていた話とは違うじゃねぇか」


    「なんだあれは?能力者か?」



    「…チッ……」






    彼は手をかざす



    なにかが起こった



    エレンの渦は消える


    いや、消し飛んだ



    「……向こうにも一体もいるな…」



    「……とんでもない化け物だ」




  27. 27 : : 2014/09/06(土) 10:04:01
    くだらない題名で始まったssとは思えんくらいおもしろい!期待!

    エルヴィンとリヴァイかな?
  28. 28 : : 2014/09/06(土) 20:14:56



    不幸中の幸いか


    プログラムの右足は炎の槍で吹き飛んでいた


    そのおかげで彼女の頭を貫くはずだった弾丸は


    彼女の右肩を貫いた




    ミカサ「っ!!」




    声にならない悲鳴をあげながら




    肩を抑えてその場に崩れる



    肩からは噴き出す大量の血



    その光景を彼は見ていた



    見ていて





    ーーーーーーーーープツッ







    彼の中にある、なにかが壊れた










    ジャン「うわぁあああああああああああ!!!!!」









    その瞬間
    彼の体は赤くなる


    細胞は黒くならない



    細胞は怒るように赤くなる



    彼の身体中が



    真っ赤になる



    瞳から髪の色まで真っ赤になる



    真っ赤な髪の間からは
    黒い角が1本姿を見せる




    その様はまさに



    "鬼"



    彼は紅蓮の聖火を纏う


    さっきまで使っていた炎とは質が違うのが見た目でわかる


    その炎は真っ赤だった


    気持ちが悪いくらい真っ赤だった






    ジャン「うがぁぁぁぁぁああああああああっっ!!!がぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!」




    吠える


    彼は吠える


    自分に吠える




    ミカサを守れなかったのは自分の弱さだ


    自分が弱いからミカサは傷ついた


    この力を制御できれば


    もっとこの力を引き出せたら


    ミカサは傷つかなかった



    力が



    大切な人を守れる力が欲しい



    ミカサを


    守りたい。


    傷つけたくない。


    死なせたくない。


    笑っていて欲しい。





    彼の想いに呼応して炎は大きくなる




    もっとだ


    もっと強く


    じゃないとミカサを守れない


    弱いと守れない


    自分が弱いからミカサ傷ついた


    自分が弱いのが悪いのだ


    弱いから


    弱い自分がいけないのだから




    だけど

    やっぱり






                   プログラム                                   
                   こ    い    つ   が悪い








    ジャン「ああぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!ぐがぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!」





    さらに彼は吠える


    吠える


    吠える


    吠える


    吠える


    まだ吠える





    それだけで


    前方が吹き飛ぶ


    体育館ごと吹き飛ぶ


    消し飛ぶ


    残るのは黒い焦げ跡のみ


    上から落ちてくる瓦礫も消し飛ぶ




    この時の彼の力は
    ランクCを軽く超えていた





    「……なんだこれは?」


    「この学校は化け物能力者の学校か?」





    ジャン「まだ、テキ、い……ル…」


    ゆっくりと彼は振り返る




    「こいつも暴走してんのか」



    ジャン「ミ、…カ……守ル…」


    炎が男を襲う


    「…チッ…めんどくせぇ…」


    男は彼ごと炎を吹っ飛ばそうとする





    男が力を使うことなく


    炎は消える



    ジャン「ミ……カ、サ…」




    そこにはミカサがいたから


     「………」



    彼は気を失った

  29. 29 : : 2014/09/06(土) 20:40:36




    画面の壊れた無数のコンピュータ


    ついたり消えたりする蛍光灯


    千切れたいくつものコードからは電流が顔を出し


    一匹のネズミが部屋の隅を走る





    部屋の奥には3mほどの獣がいた


    三首の獣がいた


    その傍にはアッカーマンと呼ばれる男が


    アッカーマン「来てくれると思ったよ」


    彼の目の前には1人の金髪の少女が
    彼を睨みつけていた


  30. 30 : : 2014/09/06(土) 21:15:13


    男はミカサの肩の応急処置を済ませていた


    「うわぁ。すごいねー、これリヴァイがやったの?」


    半壊した体育館へ1人のメガネが入ってくる


    中性的な顔立ちは性別が判断できない


    リヴァイ「違うに決まってんだろ…やったのはそこのガキだ」


    「へぇ、この子強いんだ」


    ジャンを見てメガネは爛々とした目になる



    リヴァイ「そいつは学生だ、変な実験なんてするなよハンジ」


    そのハンジと呼ばれたメガネはかなり動揺しながら


    ハンジ「そっそんなことっ!しない……と思う」ボソッ


    リヴァイ「最後が聞こえなかったぞ?」


    ハンジ「はっはっはー」


    リヴァイ「……チッ…」


    ハンジ「ところで校庭も地面がすごいえぐれてたんだけど」


    リヴァイ「近くにガキがいただろ?そいつの仕業だ」


    ハンジ「えっ?」


    リヴァイ「……なんだ?」


    ハンジ「いなかったよ?」


    リヴァイ「……めんどくせぇ」


    ハンジ「あはは、探さないとね」











    ハンジ「武装警察の名にかけて」


  31. 31 : : 2014/09/07(日) 15:14:07




    アニ「……」


    アッカーマン「まぁ、そう睨むな」


    アニ「こんなことして…ただで済むと思ってるの?」


    アッカーマン「いやいや、お前が来てくれたから学校は崩壊しないで済んだよ」


    アニ「そういうことを言ってるわけじゃない!!」


    アッカーマン「そうか?」


    アニ「ふざけないで!」


    アッカーマン「ふざけちゃいないさ」


    アニ「……戦争なんか起こしてなんになるというの?」


    アッカーマン「戦争?さっきからお前の言ってる意味がわからんな」


    アニ「まだとぼけるつもり?あなたたちがケルベロスを使ってすることなんて、たかがしれてるわ」


    アッカーマン「悪いが俺は戦争なんて興味ないね、それとさっきから誰のこと言ってるのかな?」


    アニ「あなたたち武装警察のことよ!」


    アッカーマン「あぁ…なるほど、お前は勘違いをしているわけだ」


    アニ「勘…違い?」


    アッカーマン「プログラムが送られてきたから武装警察がここを襲った」


    アッカーマン「そんな単純な考えでよく研究者としていられたものだ」


    アニ「……違うの?」


    アッカーマン「ああ、これは俺の単独犯だ」


    アニ「嘘よ!あんな数のプログラム1人で操れるはずが…」


    アッカーマン「ハッキング」


    アニ「…?」


    アッカーマン「俺の能力だ」


    アニ「…!…能力者、だったのね」


    アッカーマン「あぁ、俺を中心に半径100mの範囲にある機械なら、無条件でハックできる」


    アニ「なに…それ…」


    アッカーマン「むしろ武装警察はお前らを助けようとプログラムを送ってきたのさ」


    アニ「そんな…じゃあ…」


    アッカーマン「なんか頑張ってたみたいだけど、そもそも倒す敵が違ったんだなぁ」


    アッカーマン「さぁそろそろ設計図を貰おうか」


    アニ「……だったら…」


    アッカーマン「ん?」


    アニ「あなたはなんのために……」


    アッカーマン「ある組織に入りたいのさ」


    アニ「組織……?」


    アッカーマン「あぁ、その組織に入れば俺の目的に近づけるからな」


    アニ「目的?」


    アッカーマン「そこまで教えてやる義理はない」


    アッカーマン「だから、いい加減に、設計図をよこせ!」


    アニ「……処分した」


    アッカーマン「…なんだって?」


    アニ「あんたに渡るくらいなら、処分した方がマシだったってことよ!」


    アッカーマン「お前……」ギリッ


    アニ「ここに来る前に爆弾を仕掛けた」


    アッカーマン「!?」


    アニ「あんたはここで私と死ぬの」


    アッカーマン「………ふっ」


    アニ「…?」


    アッカーマン「ふはっ、ふははははっ!」


    アニ「なによ!なに笑ってるのよ!」


    アッカーマン「言ったろう?ハックできると」


    アニ「無理よ!爆弾はもう作動していて…」


    アッカーマン「関係ないよ、ハックして爆弾そのものを誤作動として強制終了させる」

     
    アニ「そんなことまで…」   


    アッカーマン「それより設計図がないなら……」


    アッカーマン「お前は用済みだね」



    アニ「!!」


  32. 32 : : 2014/09/07(日) 15:19:29
    こういうの好き

    期待
  33. 33 : : 2014/09/07(日) 16:40:53








    男の言葉が放たれるのを
    待っていたかのように


    3mの獣は前足を上げる


    それは
    四足歩行の獣
    綺麗な毛並みの三首の獣


    それは神話に出てくるケルベロスそのものだった


    まるでこの獣がロボットなんて
    誰が思うだろうか


    だが、紛れもないロボット
    殺傷力の高い
    この国の最強兵器


    そんなものが今、まさに襲いかかろうとしていて


    少女は思う


    自分は死ぬのだと


    実感する


    もうすぐ仲間の元へいけると


    少女は目を瞑る







    こんな時に思い出すのは1人の男だった


    それは一ヶ月前助けてくれたヒーローではない


    自分に平凡な生活を送ってほしいと


    自分に生きてほしいと言ってくれた


    ただの人間の顔だった















    アニ「最期に会いたかった…」

















    獣の前足が

    少女を襲う

















    はずだったーーーー




    しかし
    衝撃はこない


    恐る恐る目をあける



    すると自分を襲うはずだった前足は


    男を守っていた




    アニ「えっ?……」


    アッカーマン「……誰だお前」



    男の目線の先には


    1mほどの銃を抱えた男が
    部屋の入り口に立っていた



    それは一ヶ月前のヒーローみたいで




    アニ「なんで……あんたが……」























    エレン「お前、オレンジジュースは好きか?」



    彼はニヤリと笑った


  34. 34 : : 2014/09/07(日) 21:58:37











    目を疑った



    目の前に彼がいるのが信じられなかったから



    そいつは2日前にあったばかりの奴で



    そんな奴がここにいる理由がわからなくて



    助けに来てくれる理由がわからなくて



    だけど



    いま1番会いたかった奴で



    自分でもわからないけど



    なんでか涙が出るくらい嬉しくて




    アニ「…………ぇれん」





    エレン「待たせたな」






    そいつはピンチの時に来てくれるヒーローみたいで



    いてくれるだけで安心する







    アッカーマン「オレンジジュース?まぁ、俺はあんま好きじゃないかな」


     エレン「そうか……よかったよ」



    アッカーマン「なにが?」



    エレン「どうもオレンジジュース好きなやつをぶっ飛ばすのは抵抗あるからな」



    アッカーマン「……笑えねぇな」



    アッカーマン「見てわかんねぇか?こいつが」



    アッカーマン「この国最強兵器だ。お前なんか蟻を潰すより簡単なんだぞ」



    エレン「それがどうした」



    アッカーマン「なんだと?」



    エレン「それがどーしたっつってんだよ!!」



    アッカーマン「…お前…気に食わないな……」



    アッカーマン「さいっっこうに気に食わねぇぇぇぇぇぞぉぉおおおおお!!!」







    刹那


    彼は吹き飛ぶ


    男が叫ぶと同時にケルベロスの前足が空を切り裂いたから


    それだけで


    その風圧で彼は吹き飛ぶ


    そのまま壁に激突してしまう





    エレン「がぁっっ!!!」



    アニ「エレン!!」




    ケルベロスは近づこうとする




    彼は壁にもたれながら座り込んでしまう



    座り込んで



    後ろのベルトに手をのばす



    そこには3つの輪っかが



    それらに指を通し



    栓を抜く



    そしてケルベロスの頭上へと




    エレン「食らいやがれ」




    栓を抜いた3つの手榴弾を



    投げる



    アッカーマン「はっ!そんなオモチャで倒せると思ってるのか!」




    もちろんこんなものでケルベロスは倒せない



    そんなことわかってる



    狙いは



    エレン「…天井だよ、ばーか」



    爆発する



    勢いのある爆風とともに



    天井が崩れ落ち、向こうとこちらを隔てる壁となる



    アッカーマン「…ちっ!」



    エレン「こい!アニ!一旦逃げるぞ!」


  35. 35 : : 2014/09/07(日) 22:25:33



    エレン「はぁはぁはぁ……」


    アニ「………」


    エレン「とりあえずは……逃げれたみたいだな」


    アニ「…………なんで」


    エレン「ん?」


    アニ「なんでこんな危ないところに来たのよ!!」


    エレン「なんでって……」


    アニ「もう少しであんた死ぬかも知れなかったのよ!!わかってんの!?」


    エレン「助けてって言ったの、お前だろ?」


    アニ「ばか!私が助けてって言ったのは一ヶ月前の…」


    エレン「俺だよ」


    アニ「………えっ?」


    エレン「だから、それは俺なんだよ」


    アニ「エレンが……私の探してた…」


    エレン「黙っててごめんな」


    アニ「…嘘よ…」


    エレン「嘘じゃねぇよ」


    アニ「だったら…だったらなんでさっき倒さなかったのよ!」


    エレン「俺はランクCだぞ?あんなん俺でも無理だよ」


    アニ「でも!プログラムを一瞬で!」


    エレン「まぁ、そうなんだけど……でもその前に」





    エレン「いま力使えないんだよね」





    アニ「は?」


    エレン「いや、さっき能力使いすぎてな」


    アニ「あんた…力使えないのに…」


    エレン「助けてって言ったろ、だから」




    エレン「助けに来た」




    アニ「…あんた…バカじゃないの?力使えないのに来るなんて…」


    エレン「うるせぇな、お前に死なれたら嫌なんだよ」


    アニ「っ!………」


    エレン「それに俺はオレンジジュース奢ったのに、お前にはまだ奢ってもらってないからな」


    エレン「2人でまたオレンジジュース飲みに行こうぜ」





    そういって彼は笑う



    こんな時に眩しいくらい優しい笑顔で



    私に微笑んでくれる





    アニ「…約束よ」



    エレン「あぁ、約束だ」





    こいつとなら、なんでもやれそうな気がする



    どんなことだって



    さっきまで死ぬ覚悟をしていたとは思えないほど



    いまは生きたい



    生き抜いてこいつと学校に通いたい



    もっと一緒にいたい



    だから







    エレン「ではさっそく、ケルベロスを倒しに行きますか」



    アニ「えぇ!」





    私は戦う



  36. 36 : : 2014/09/07(日) 22:42:35
    期待!

  37. 37 : : 2014/09/08(月) 09:56:16






    ケルベロスはエネルギーをためていた



    3つの口に集まる電気で作られたエネルギーは


    一分ほどでたまり、その1つが放出される


    それはこちらと向こうを隔てる瓦礫の壁を粉砕し


    奥の部屋の壁まで壊すほどの威力だった


    しかしそこにあの2人はいない


    残りの2つを左右に放出する


    左右の部屋の壁が吹き飛ぶが


    やはりいない



    アッカーマン「どこに行きやがった……」



    男はラボにある監視カメラにハックする


    しかし監視カメラは既に全て壊されていて



    アッカーマン「くそっ…厄介な真似を…」



    アッカーマン「……ちっ、こうなったらラボごと爆破して……!」



    男は一瞬動揺する



    目の前には金髪の少女がいたから



    逃げたはずの少女がのこのこと帰ってきたから



    アッカーマン「……なにを企んでいる?」



    アニ「企んでなんかないわ」



    アニ「街の情報をハックできるあなたからは、逃げられないと判断しただけ」



    アニ「だだ、彼だけは…エレンだけは見逃して」



    アッカーマン「そいつは無理だな、あいつは俺の正体を知ったからな」



    アニ「そんな…」



    アッカーマン「まずはお前からだ。安心しろ、すぐに向こうで会わせてやるよ」



    ケルベロスが前足を上げる



    その瞬間彼女は窓の外に向かって手榴弾を投げる



    それはただ空中で爆破するだけだった



    アッカーマン「外の人間に助けを求めるつもりか?」



    アニ「他の人を巻き込むようなことはしないわよ!」



    そう、助けを呼んだわけではない



    いまのは合図だった




  38. 38 : : 2014/09/08(月) 10:14:45






    ーーーー
    ーーー
    ーー



    アニ「いい?私たちがどう足掻いてもケルベロスは倒せない」



    アニ「でも操っている頭を倒せば私たちの勝ち」



    エレン「あの男をか、でもどうやって?ケルベロスがいちゃ…」



    アニ「だからまずは男とケルベロスを別々にする」



    エレン「どうするんだよ」



    アニ「私はここに爆弾を仕掛けてるの」



    エレン「でもハックされてんだろ?」



    アニ「いいえ、あいつは爆弾そのものにはハックできない」



    アニ「爆弾のスイッチとなる部分をハックしてるの」



    アニ「手動で作動させれば問題ない」



    エレン「そんなことしたら俺たちまで吹き飛ぶじゃねぇか」



    アニ「タイマー制にすればいいわ、それであいつのいる部屋の下の階の天井を爆破させる」



    エレン「それでケルベロスだけ落とすのか?難しくねぇかそれ」



    アニ「私は科学者よ、忘れたの?そのくらいの計算朝飯前よ」



    エレン「おぉ…」



    アニ「チャンスはその一瞬。その一瞬で全てが決まる」



    アニ「私が合図したらタイマーを一斉に作動させて」



    アニ「五秒前くらいに設定してその隙にエレンは逃げて」



    エレン「その後はどうすんだよ…」



    アニ「私がその銃であいつを撃つ」



    エレン「………わかった」




    ーーーー
    ーーー
    ーー




    外で手榴弾が爆発する



    合図だ



    この時下の階にいる彼が爆弾を作動させる作戦だった



    しかし彼はいない



    爆弾はすでに作動していて



    爆発する


  39. 39 : : 2014/09/08(月) 11:18:20






    組織のある建物が揺れる



    アッカーマン「!!」



    床は分煙を撒き散らしながら崩れ落ち



    男と少女を残し3mの獣は下の階へと落ちていく



    よほど重かったのか
    ケルベロスは下の階の床を壊しさらに下の階へと落ちていく



    あの大きさでは簡単には戻ってこれまい



    アニ「……終わりよ」



    アッカーマン「くそっ!」



    少女はその細い腕で銃口を向ける



    アッカーマン「やっ、やめろっ!?」



    男は何かないかと能力を使う



    ありとあらゆるものをハッキングする



    しかし自分を守れるものはなにもなくて



    彼女に命を乞う



    アッカーマン「俺がっ!俺が悪かった!だから…」



    アニ「今更、なに言ってるの?」



    アッカーマン「っっ!!」



    彼女の声は恐ろしく冷たかった



    引き金に指をかける



    アニ「……」



    一瞬躊躇う



    自分のしている事は目の前の男と同じだから



    人を殺してしまうことが



    どれほど残酷なことか彼女は知っているから



    そしてまた



    あいつの顔が出てくるから



    人を殺したらあいつと同じようには暮らせないなと思う



    実は銃で撃つと言ったとき



    少しだけ



    少しだけ止めてほしかった



    やっぱり人を殺すのは怖いから



    でも彼女の意思は変わらない





    躊躇したのは一瞬だった






















    彼女は



    引き金を



    引いた





  40. 40 : : 2014/09/08(月) 12:09:24








    少女は引き金を引いた









    しかし

    弾丸は出ない



    アニ「……なんで!?」



    アッカーマン「…ふっ、…ふはははっ!どうやら俺にもまだ勝機はあるようだ!」



    アニ「くっ…!」












    エレン「いや、ねぇよ」




    後ろから声が聞こえる



    そいつは今頃下の階で爆風から逃れているはずで



    ここにいるはずがなくて



    彼女は振り返ろうとする



    そんな彼女の横を彼が走り抜ける



    そして跳ぶ



    床に空いた大穴を跳び越えて



    握りしめた右手が



    男の顔面に





    エレン「うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!!!」





    めり込む






    エレン「うらぁぁあっっ!!!」




    アッカーマン「あがっ!?」



    男は吹っ飛ぶ



    男の意識は途絶え










    全てが終わった



    ーーーー
    ーーー
    ーー







    けたたましいサイレンとともに
    男は武装警察へと引き渡される



    ケルベロスの設計図とともに



    ハンジ「犯人確保のご協力感謝します」



    アニ「いえ、そんな…」



    ハンジ「それだけでなく、ケルベロスの設計図まで…感謝しきれません」



    アニ「…設計図は…私と私の仲間が力を合わせて完成させた最期のものです」



    アニ「どうかこの国の為に…」



    ハンジ「もちろんです!」



    アニ「……よかった」







    リヴァイ「…ケニー……」


    アッカーマンと呼ばれた男に話かけるこの国の第2位


    ケニー「…懐かしい名だ」


    リヴァイ「……行くぞ」




    ケニーと呼ばれる男については
    武装警察の方で調べられるだろう


    未だに謎の多い男だ






    エレン「…終わったな」


    アニ「ねぇ」


    エレン「ん?」


    アニ「銃の弾丸抜いてたのあなたでしょう?」


    エレン「……さぁな」


    アニ「あんたのおかげで私はまだ人でいられるよ」





    アニ「ありがとね」




    彼女は笑う



    何故自分は彼女を助けたいと思ったのか



    答えはわかった



    この笑顔が見たかっただけだったのだ




    エレン「……ふん」




    彼は歩き出す



    アニ「ちょっと!どこに行くのさ」




    そんなの決まってるだろ

























    エレン「オレンジジュースを飲みに」





  41. 42 : : 2014/09/08(月) 12:39:44
    アニが銃をうつのか!って思ってたら流石はエレンですね!!凄く大好きな展開で嬉しかったです!!
    続きも期待してます!!!
  42. 43 : : 2014/09/08(月) 12:53:33
    ありがとうございます!!!
    やっぱりEreAniさんからコメントもらえると嬉しいし、自信にもなります!

    私も月光の続きとても期待です!
    頑張って下さい!
  43. 44 : : 2014/09/08(月) 13:02:39
    続きも期待してます!
    エレンカッコいい!
  44. 45 : : 2014/09/08(月) 17:56:23
    次回作超期待
  45. 46 : : 2014/09/09(火) 00:46:54
    一言だけ

    おもしろいいいいいいいいいっ!!!
    完全に見入ってしまいました!
  46. 47 : : 2014/09/09(火) 01:10:39
    おぉ面白かったです
    お疲れ様です!
  47. 48 : : 2014/09/09(火) 05:18:31
    乙です。
    でも、ジャンミカだけはやめて!!!!
  48. 49 : : 2014/09/09(火) 07:32:07
    ドラマチックな展開にハラハラドキドキしながら読みました
    続編も期待してます( ´ ▽ ` )ノ
  49. 50 : : 2014/09/09(火) 18:35:24
    お疲れ様です!続き期待です( *・ω・)ノ
  50. 51 : : 2014/09/10(水) 17:58:41
    超かっこいい!

    面白かったです。

  51. 52 : : 2014/09/10(水) 18:15:01
    素晴らしかったです( ;∀;)
    乙でした!!
  52. 53 : : 2014/09/10(水) 21:05:43
    能力の設定とか変化とか……とても考えられていて面白かったです。
    文章も読みやすくて一気に読めました!
    続編にも期待してます。
  53. 54 : : 2014/09/10(水) 22:00:52
    面白かった!
    乙!!
  54. 55 : : 2014/09/11(木) 18:33:48
    とっても引き込まれる文章と設定で読みやすくて面白かったです !
    続きも期待しています(*≧ω≦*)ノ☆
  55. 56 : : 2014/09/12(金) 00:04:42
    すっごくすっごくすっごくおもしろっかたぁぁぁぁぁぁぁ
    続きに期待ですね((o(´∀`)o))ワクワク
  56. 57 : : 2014/09/12(金) 09:50:32
    執筆お疲れ様でした。
    気持ちいい程のアクションシーンとハリウッド映画を思わせるようなスケールは、まさに圧巻の一言ですね…!
    今までにないタイプのお話で、あっという間に引き込まれてしまいました。
    この流れからすると、続編があるのでしょうか…?そちらも楽しみにしておりますね。
  57. 58 : : 2014/09/12(金) 10:31:15
    ジャンミカがどうなったのかが気になった
  58. 59 : : 2014/09/12(金) 21:27:16
    乙です!!!

    超面白かったです!!!

    次回作期待してます!!!
  59. 61 : : 2014/09/19(金) 19:47:45
    神ぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  60. 62 : : 2014/10/06(月) 13:04:07
    みかさはそんな喋り方しないとおもう
  61. 64 : : 2014/11/16(日) 11:42:44
    話が面白すぎです!
  62. 65 : : 2015/02/14(土) 13:14:42
    良かったおてかこれオリジナルだからミカサがどんなしゃべりかたしてもいいでしぃ
  63. 66 : : 2015/11/16(月) 15:08:24
    え?これエレアニ、ジャンミカ?
    エレミカ見たい…
  64. 67 : : 2015/11/16(月) 15:10:54
    あ、面白かったです。エレンが死に急ぎ野郎じゃなくてチーハン野郎じゃなくてオレンジジュース野郎になってて(笑)

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エレン「オレンジジュースの聖地へいざ行かん」 シリーズ

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