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自由を取り戻す闘い〈ゲーム〉

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  1. 1 : : 2014/07/18(金) 23:26:42
    …は、退屈していた。
    いつから退屈していたのか…。
    退屈していないときはあったのだろうか…。
    そんなことも分からなくなってしまうぐらいの長い間は、それなりに楽しかった。でも、長くは、続かない。
    気づけば、いつも一人残される。
    みんな、あっけなくいなくなってしまう。
    そして、退屈な時間がやってくる。
    あるとき、…は一つの遊びを思いついた。





















    ゲームだ、ゲームをしようか!
    全体の流れは、自由という宝物の奪い合い。
    まずは、自由を所有している者。
    うん、これは既に決まっている。
    つぎは、自由を護る者。これは、力がある者出ないと、ゲームの進行がグダグダになっちまう。少なくとも、憲兵団レベルでないと駄目かな。
    あぁ、護る者だけじゃ、ゲームが始まらないか。攻撃する者も必要だ。
    さて、どのように配置しようかな…。





















    …は、楽しんでいた。
    久しぶりに、ワクワクした気分を味わっていた。100年間も待っていたから、この時を。



















    これだけの駒を配置するとなると、ゲーム盤も、普通では面白くないかな。
    それなりのものを用意しないと…。
    ふむ、やはり壁外(ここ)が相応しい。
    あぁ、わすれていた。
    駒の中に、敵がいないじゃないか。
    宝を奪う者ー怪盗が必要だ。
























    …は、満足していた。

























    これでいい。
    あとは、駒をゲーム盤に配置するだけだ。
    さてーー。




















    …は、しずかに念じる。


























    さぁ、ゲームを始めようか…………。
  2. 2 : : 2014/07/19(土) 00:48:48
    壁外の古城には、とてつもない緊張感が漂っていた。
    真ん中の、古びたテーブルには、空の酒瓶と思われるものが散らばっている。
    そこら中に、おつまみの袋や何かが積み上げられて、奇妙なオブジェの様になっている。
    既に、その高さは19mを超えている。微かな空気にも揺れるオブジェ。
    「さ、流石だな、まだまだ行けるか?」
    落ち着いた、それでもどこか調子の狂った声。瓶を置く音がかすかに聞こえる。
    「なぁに、全然平気なのを知っているくせに。」
    さっきとはまた違うその声の人物は、新しくおつまみの袋を開け、不敵に笑った。
    「じゃあ、1258本目行くよ。」
    無造作に酒に手を伸ばす。そして、何も躊躇いもなく、蓋を開ける。
    そして、向かいあって顔を紅くしている同志に笑いかける。
    しかし、つぎの瞬間ーー。
    「おい、お前らなにやってんだ。」
    ドアがバンと開き、槍のように鋭い目付きで、二人を睨みつける。
    ガラガラと崩れるおつまみのタワー。
    酒を持ったまま、笑みが凍りつく。
    部屋に入ってきた小柄な男ーリヴァイは、室内を見回した。
    短く刈り上げした黒髪と、漆黒の黒い目。無駄な動きをすることなく、必要最低限の動線を描いている。
    「……リヴァイ。わたしには、今のお前が悪魔に見えるよ。」
    ソファーの隅から、エルヴィンの声がした。
    状況の飲み込めないリヴァイは、首をひねる。
    「だが、邪魔者が入ったものの、この勝負は、私の勝ちだ。」
    その言葉に、笑顔が凍りついたまま静止した人物ーーハンジが酒の入った瓶を投げ出した。
    「ふん!」
    拗ねたようにいうと、ハンジは椅子を蹴って寝転がった。
    茶色の髪が、整った横顔を隠す。
    リヴァイは、部屋に散らばっているおつまみのカスを拾い上げた。
    「……………………………」
    リヴァイは、部屋をくるりと見回した。
    「柿の種」と書かれた袋が何百個も転がっている。散らばっている酒の瓶は二千本は超えているだろう。
    いま、リヴァイは全てを理解した。
    退屈だったハンジは、暇を持て余すために、上司のエルヴィンと酒飲み対決をしていたのだ。(ちなみに、最高記録は2689本という常識を越えた記録を叩き出したエルヴィンだ。)
    リヴァイは、邪眼をハンジにだけ向けた。
    「仕事もせず、何をやってるんだ?」
    「仕事もせず」を強調して言う。
    「エルヴィンと、賭けをしていたんだよ」
    エルヴィンに負けたのが、相当悔しいのか、拗ね口調でハンジが答える。
    そんなことは、言わなくても分かる。ーーリヴァイの鋭い目が更に細くなる。
  3. 3 : : 2014/07/19(土) 21:10:13
    「この酒…スピリ…タス?96度もあんのか?」
    「だから、飲んでるんじゃないか。私が普通のビールで足りると思うか?」
    リヴァイは、驚きを隠せない。
    実際はそんなに酒、強くないから我慢してるくせに。ーーエルヴィンは、そう思ったが、リヴァイの前で頑張って見栄を張っているハンジが、可愛くなり口に出しては言わなかった。
    しかし、
    「リヴァイが邪魔さえしなければ、私が勝っていたのに、残念だよ。」
    という、ハンジのセリフには、黙っていなかった。
    「今のことばは、聞き捨てならないな。」
    きっぱりとエルヴィンがいう。
    「あの調子で、飲み続けていたら1297本目で、酔い潰れて私が勝っていたぞ。」
    「それこそ、聞き捨てならないね!」
    起き上がるハンジ。
    「確かに、毎回1297本で負けてるよ。でも、少し特訓したから1348本までは、いけたよ。そして、エルヴィンはいつにも増して、ペースが遅かった。君は、1325本を飲む前に眠ってしまう筈だった。」
    「それは、お前の希望的観測だ。毎回、お前の行動パターンを観察していたが、今回のお前はいつものお前だった。そして、今日のような気温、湿度、状況は前にもあった。この調子で続けていれば、必ずハンジは負けていた。」
    「エルヴィン、大丈夫?調査兵団やめたから、頭腐っちゃった?」
    「お前こそ、巨人のこと研究してないから、抜けてんだろ?ってか、風呂入んないと、真面目に腐るぞ?」

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著者情報
HNJ

無敵の幹部兵団

@HNJ

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