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図書館(作品置き場)※雑談は禁止です!

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  1. 1 : : 2016/01/20(水) 17:02:08

    作品投稿場所です!

    ①お題
    ②作品名
    ③(任意)あとがき

    の三点に1レス使いまして、本編を次の1レスに書き込んでください(o゜▽゜)o
  2. 3 : : 2016/01/21(木) 21:03:08
    掲示板に投稿する際は自分のメモ帳などで執筆終了してから題名、本編のレスを作成してください。
  3. 4 : : 2016/01/22(金) 17:36:39
    お題「飯テロ」
    作品名「ほっこりしたい気分の俺のじゃがマヨ」
    http://www.ssnote.net/archives/42822
    あとがき 
    じゃがマヨのCMが飯テロすぎて憎いんや。
    初参加よろしくお願いします。
  4. 5 : : 2016/01/23(土) 12:51:51
    お題【飯テロ】
    作品名【男「僕のお腹はあの子のせいで】
    http://www.ssnote.net/archives/42823
    あとがき
    かなり雑になったけど、アジフライ定食食べたくなってくれたら嬉しいです。宜しくお願いします!
  5. 6 : : 2016/01/23(土) 21:28:26
    お題【飯テロ】
    作品名「この世で一番とろけるケーキ」
    http://www.ssnote.net/archives/42861#top
    あとがき→ssの最後にあります。飯じゃ無いですけど、ニヤケテ貰えたらいいです(笑)
  6. 7 : : 2016/01/23(土) 21:52:10
    お題【飯テロ】
    作品名「男子飯」
    http://www.ssnote.net/archives/42863#top
    あとがき
    飯テロじゃないかもです、別の意味で飯テロです。
    ここのお題にそぐわないものだと判断されてしまったら、非表示していただいてかまいません
  7. 8 : : 2016/01/24(日) 10:36:54
    お題【飯テロ】
    作品名「「ラーメン食べたい」」
    http://www.ssnote.net/archives/42868
    あとがき
    ラーメン食べたくて書きました。
    また女の子のやつになってしまった…笑
    でもこんなラーメンあったらな…、と思って書いてみました。
  8. 9 : : 2016/01/26(火) 08:51:26
    お題【飯テロ】
    作品名『生き返った自分』
    あとがき
    あれ?なんかまた矛先が……。
    2000字って短いなあ、余裕で越えるから本当辛い。人間メインになりましたが麻婆豆腐って味覚だけじゃなくて匂いで食欲誘うよねって話。
  9. 11 : : 2016/01/26(火) 09:21:52

    「はーい、カット!カット!」
    監督の掛け声に身体の力を抜いた。

    今回も自分の恐れるシーンはやって来なかったかと安堵する。

    俺の名前は竹内アキラ、役者だ。






    人には五感というものがある。
    視覚、聴覚、嗅覚、触覚、そして味覚。

    俺は生まれた時からそのうちの一つである味覚に障害を持っていた。

    どんな高級料理を食べても、美味いとも不味いとも言えない俺は、役者として致命的であることに食事シーンを演じることが出来ない。

    もちろん、他の役者が不味いものを美味いと言えるように俺にだって美味しいと料理を食べることは出来る。

    しかし、それだけだ。

    俺が何かを食べて、美味いと演じても視聴者に気持ちを伝えることが出来ない。美味いという感覚に陥った事のない俺は美味いという気持ちを視聴者に伝えることも、何かしらの影響を与えることも出来ない。

    食事シーン一つに何をと思うかもしれないが俺はそれが耐えきれなかった。

    役者が涙を流せば、視聴者も涙を流す。
    役者が怒れば、視聴者は怒りを持つ。
    役者が笑えば、視聴者は笑うのだ。

    それが出来ない役者は、役者ではない。

    役者が美味しそうに食べたら、視聴者は美味しそう、食べたい、お腹好いたなどと思わなければならない。


    それが出来ない俺は役者失格だった。


    ある日突然に指名された映画はアクションと恋愛、そして家族との暖かい絆を描いたストーリーだった。一番難しいとされるアクションシーンを後回しにして大詰めの恋愛シーンを先に撮り始めたことに最初は安堵していた俺もついにやってくる家族との食事シーンに眉を顰めた。

    メニューはお味噌汁にご飯、そして卵焼きにほうれん草のバター炒め。どれも一度は食べたことのあるもので、俺は必死にそれらの舌触りを思い出す。
    喉に流れ込む液体に外側が少しだけ固くて中はとろーりとした物体、そしてシャキシャキと音の鳴る……、どれも美味しいの印象に行き着かない漠然としたものに感じたので早々に思い出そうとする脳をとめた。

    「どうしたら………ん?」
    なんだろう、この匂い。

    悩んでいると唐突に感じる匂いに俺は目を見開いた。
    ピリリとしたものが体中に駆け巡り、無意識に自分の足は匂いの元を追うように動き始める。

    頭にぽっかりと穴が開いたような錯覚とツンッと跳ねる鼻、カチャカチャと聞こえる金属音に久しく味わうことのなかった涎の生暖かい感触。

    なんだ、これ、なんだろうか!

    匂いの元を探り当てついに奥の厨房へとたどり着く。現場として使わせてもらってる貸し切り状態のホテルの厨房で誰かが料理をしているようだった。

    扉を開き、カチャカチャとフライパンをガスコンロに叩きつけながら振っている小柄な女性の背中に俺は気付くと、いつのまにか声を掛けていた。

    「あの、」「………はい?」「何を作っているんですか?」「ふふ、麻婆豆腐ですよ」

    にこりと微笑まれながらフライパンの中でぐつぐつと煮込まれている麻婆豆腐に俺はゴクリと喉を鳴らした。香辛料の香りに視界が真っ赤になる、嗅覚を刺激するそれは俺の食への関心をぐいっと誘うように俺の身体を包んだ。

    「たべ、ても良いですか」「いいですけど、貴方俳優の竹内アキラさんですよね?雑誌で読みましたけど味覚障害なんじゃ……刺激物は辞めた方が良いですよ」「良いんです今だけですから」

    しつこい俺に溜息を吐いた女性はスプーンで一口分すくい上げると俺に渡した。

    見下ろすそれに背筋がふるえる。
    なんだろうか、この感覚は……そうだ、心臓が少しドキドキするのだ。味なんか分かる筈がない、でも食べたいなんて思うのは初めてでこの料理を大切に食べたいという気持ちが芽生えてくる。

    きっとこの体験が俺の食事シーンに何かしらの影響を与えるのだと信じてパクリと食べる。


    予想通り、味など感じない。

    でも、フライパンから礼儀も考えずにスプーンですくい上げて死に物狂いで麻婆豆腐を放り込む。

    「なんだ、これっ」
    思わず呟く。

    何度も言おう、味なんてないんだ。



    でも、でも……!


    まだ余韻として残される匂いはまるでこの麻婆豆腐の味のようでひゅっと息を吸い込んでその‘味’を享受する。

    美味しいは、味覚だけであらわすものじゃない。触覚はもちろん、視覚も、嗅覚も、聴覚だって全部美味しいと感じれるものなんだ!

    「あの、竹内さん」「はい」
    「美味しいですか?」

    問われた答えとして俺はもう一口、スプーンで麻婆豆腐を食した。





    「竹内さん、食事シーンお願いします!」「おうよ!」

    俺は並べられる料理を前に、見て、嗅いで、そして聴いて、その料理を食した。

    そして、

    「うっめえええええええええ!!」

    精一杯の美味しいを視聴者へと伝えた。




    END

  10. 12 : : 2016/01/26(火) 22:34:12
    お題「飯テロ」


    【まえがき】
    孤独のグ○メみたいになってしまった…。



    『深夜飯』


    空腹感で目が覚めた。


    鬼のような仕事を終え、フラフラの状態でベッドにダイブして数時間。
    身体は疲れていても、腹が減ったら目は覚めるらしい。


    「じゅういちじ、はん……」


    真っ暗な部屋の中、押すと盤面が光る便利な目覚まし時計が示した時間は真夜中。

    「面倒臭ェ……」

    これから外出する手間を色々考えてみると、そのまま布団に潜り込んでしまいたくなる。

    だが腹は減っている。
    ……最後に食事をしたのはいつだろうか。確か食事休憩は12時間ほど前。
    腹を(えぐ)られるような空腹感はその所為か。

    「クソっ」

    一言悪態を吐き、ベッドを下りる。
    寝間着のスウェットの上からジャージを着込み、ポケットに財布、携帯、鍵を突っ込んだ。

    さあ、出陣だ。



    こんな時間にやっているところといえば、24時間営業のファミレスか居酒屋チェーン店だ。

    一番近くにあるファミレスは単車をとばして15分。
    ただ、数時間の仮眠を取っただけの状態で寒空の夜間を運転するのは嫌だ。
    明日は非番だが酒は呑む気になれない。
    コンビニ飯は最終手段。

    どうしようかとばかりに息を吐くと、白く消えていった。

    今日は温かいものを食べたい。

    唐突にそう思い、ネオンがギラつく大通りから一本外れてみる。

    個人経営の小さな居酒屋やいかがわしげな店を横目にフラフラ歩いていくと、一軒のラーメン屋があった。

    中華そばと銘打った看板が仄かに灯りをともし、入口の曇りガラスにも光が見える。
    どうやら今日は営業しているみたいだ。

    手動の入口を開け、中に入ると閉店間近か人はいなかった。

    「いらっしゃい」

    カウンター席に座ると給仕の婆さんがウォーターサーバーから水を汲んでカウンターに置く。

    「ラーメンはもう無いよ。あるのは玉子丼かカツ丼」

    無愛想な店主が面倒臭そうに言った。

    ラーメン屋でラーメンを喰えないのは惜しいが時間が時間だし仕方ない。
    そして時間は時間だが腹は減っているのでカツ丼を注文した。



    目の前に出されたのはどんぶりの端スレスレに盛られたカツと玉子。
    出来立ての湯気とともに甘辛いタレの香りが鼻を通る。

    生唾を飲み込み割り箸を取りだし、手を合わせる。


    いただきます。


    1.5センチ間隔で切り分けられたカツに箸をのばした。
    その下はタレが染み込んだご飯。
    これ絶対旨いヤツだ。

    だがまずはカツから。

    衣にも程よくタレが染み込み、噛むと甘辛いのがいい。
    脂身もいい割合で入っていて固くない。

    次にご飯と一緒に食べる。
    食感が違う肉と玉子と白飯の組合せは最強だ。タレが醤油ベースなら尚更。
    やっぱり醤油、酒、みりんの三強は合わさると良い仕事をする。


    あっという間に平らげ、締めに水を飲んで席を立つ。


    「ごっそうさん」

    後ろ手に戸を閉め、携帯で時間を見ると既に日を跨いでいた。

    相変わらず吐く息は白いが、今は満腹感で満たされていた。

    腹がいっぱいで今度は眠気がやってくる。

    欠伸を噛み殺し、ふと振り返ると店の看板の電気は消え、入口から見える明かりもなくなっていた。
    本当に俺が閉店間際の客だったようだ。

    結局ラーメンは食べられなかった。
    でも、また食べに来たらいい。

    ただ、その時には大いに悩むことになるのだろう。

    ラーメンにするかカツ丼にするか。


    おわり
  11. 13 : : 2016/01/29(金) 00:58:07
    お題【3分間】
    題名「3分の使い道」
    http://www.ssnote.net/archives/43010#top

    謝罪会見(あとがき)
    なんかよくわからないssになりました。
    すみません。
  12. 14 : : 2016/01/30(土) 03:27:07

    お題【スイッチ】
    題名「スイッチ。」
    http://www.ssnote.net/archives/43037

    あとがき
    私はアホの子でした。実話です。
  13. 15 : : 2016/01/30(土) 08:59:53
    お題【3分間】
    題名「忘れられない3分間」
    http://www.ssnote.net/archives/43015

    あとがき
    あー青春こないかな!!ww
  14. 16 : : 2016/01/30(土) 15:34:14
    お題【スイッチ】
    題名「スイッチ「押すな危険」」http://www.ssnote.net/archives/43049

    あとがき
    なんか、見返すと意味不明ですね………。
  15. 17 : : 2016/01/30(土) 19:07:18
    お題【飯テロ】
    題名:職人
    http://www.ssnote.net/archives/43054

    あとがき
    職人から見たラーメンの良さを表現しました。間違った知識があるかもしれません。そして展開早すぎ

  16. 18 : : 2016/01/30(土) 21:24:17

    ①お題  『武士道……?』『スイッチ』『3分間』
    ②作品名 『5分間だけ真剣侍漢』
    ③後書き

    無理やり詰め込んだんです。
    そして7分で書いたんです()お題の武士道は武士は刀所持してたし刀交えてたからいいかな?チラッチラッな程度ですw
    そして自分の好きな刀をちょちょいと詰め込みました(馬鹿)余談ですが福岡に展示された日本号という槍と一月のみ展示される圧切長谷部は素晴らしかったですよ。熊本の阿蘇で復元される『蛍丸』は目標金額の10倍あたり集まったそうです。

    本文↓
  17. 19 : : 2016/01/30(土) 21:24:23

    『勝利したら300万!』なんて馬鹿げた話にホイホイ乗せられた俺が馬鹿だったのか。

    番組企画『スイッチ』というものがあるのだが、その番組は今、日本で1番人気のある番組となっている。

    その最もの理由として挙げられるのは『勝者には300万円』を贈られるというものだ。

    その勝利法というものが「ゲーム」だ。
    ゲームといっても携帯ゲームやTVゲームのようなわいわい楽しく心穏やかに遊べるものではない。


    そして、俺が出場している今回のゲームは……


    『真剣勝負』


    刀でえいやこらする話だ。
    ひょんなことで俺は友人に誘われ自分もその時の場面に浮かれていたのか番組に参加応募をしてしまったのだ。『その時の場面』と言ったが、その時友人と横にいた大好きな大本命Hちゃんにかっこ悪い姿を見せたくないという気持ちが高まり事態はこうなってしまったのだ。俺は漢だやるしかねぇ。

    こう見えて、俺の家系はどっかの武将の血筋で真剣を扱える俺なのだ。つまりRPGで活躍する細身の剣士がブンブン剣を振り回すカッコイイ現実の剣士だ。実は自慢だが刀にも詳しくて九州男児な俺は福岡で一月のみ公開される名物『へし切長谷部』という刀を見に行った。刀身に施された皆焼刃ひたつらば
    がとにかく素晴らしい。そして、この刀には逸話がありかつて織田信長がへし切長谷部を所持していた時、とある日茶坊主の失態許せず棚ごと圧しきったことから名がついた。叩き切ったのではなく豆腐を切るにスッと圧し切ったのだ。とてつもなく恐ろしい切れ味だ。


    ……と、自分自慢はさておき、ついに出番がきた。

    司会者がルールを説明する。ルールは簡単で相手と俺が立っている反対にそれぞれ2つスイッチがあるから5分間戦って相手にあるスイッチを時間内に押せばいいのだ。使用するのは模造刀。


    司会者がルール説明を終えるともう試合に移るようだ。


    じわりと手汗が主張してくる。模造刀はどうやら脇差わきざしサイズだ。脇差なら振るったことはある。

    (いける。)


    ピーーーーッと音が鳴る。開始の合図だ。

    「オラァッ!」

    スッと力任せに振りかぶる。


    相手もなかなかの強さだ。
    刀がぶつかり合う音が凄まじく響く。

    ピピッと機械音が細かく鳴る。

    (くそっ!あと3分もあるのかっ!?)

    脳内で駆け巡る勝利方法。
    どうすれば勝てるか。


    ……



    (一騎打ちだ。)

    パッっと脳に響く俺の声。どうせならやってしまおう。勝てる。絶対。


    相手に隙のできた瞬間


    「―――――――ゼリャアッ!」


    見事に掠め相手がよろめく。

    (いけるっ!)


    俺はスイッチに駆けた。
  18. 20 : : 2016/01/31(日) 00:19:23
    ①お題  『スイッチ』
    ②作品名 『コミュ力スイッチ』


    「あ、あの好きなもの頼んでください。」

    目の前に座る男は上擦った声で何とかそう言うと、メニューを私が見やすいようにこちらに向けて差し出した。

    ありがとうございますと微笑みながら、私は合皮のカバーのついたメニューを受け取った。

    手渡されたメニューに目を通しながらも、私は対面に座る男をすばやく観察する。

    コピー機のスキャン機能のように、視覚から得られる情報から相手の性格や現在の心境を読み取る。


    黒のスーツはアイロンが効いていて清潔感はあるが、中のワイシャツもネクタイも30代前半にしては地味で無難なものだ。
    まるで50代の課長みたいなファッションセンス。
    今時逆に珍しいメタルフレームの眼鏡も何の洒落っ気も感じさせない。
    中学の時に買ったものをずっとかけてるみたい。

    何か写真からイマイチだと思ってたけど、実物もやっぱイマイチだなあ。

    眼鏡の奥の視線は落ち着きなく泳いでいたが、私と目が合うとテーブルの下に固定された。


    ああ、この人緊張してる。

    当たり前か、見合いなんだし。

    むしろこんなに冷静に相手を観察している私がおかしい。


    日曜昼下がりのホテルのラウンジ。

    今、私は中学生とおっさんを足して2で割ったようなこの男と見合いをしている。


    散々彼を内心ディスってしまったが、こんなことしている時点で私も彼側の人間なのだ。
    上から目線で文句をつける権利はない。


    「ケーキセット、紅茶にします。

    佐藤さんは決まりましたか?」


    ボサボサの眉と坊っちゃん刈りの間のニキビ跡の目立つ色白の額に流れる汗を見つつ、営業スマイルで問いかける。
    小首を傾げるサービスも忘れずに。


    「ぼ、僕もそれにします…。」


    消え入りそうな声だった。


    ああ、今日もこれスイッチオンしなきゃいけないパターンだ。


    頭のなかでカチリとスイッチの入る音がした。

    えーと、この人は市役所勤務だっけ?

    じゃあ、私の仕事と絡めてあんなこと聞いてみようかな。本当は別にどうでもいいことだけど、話題としては無難だし。

    うん、この話をとっかかりにすれば、そのうち向こうもリラックスして自発的に話してくれるようになるだろう。

    そうしたら、今度は私は愛想よく聞き役に回ればいい。

    例えば愚痴っぽい発言の裏にある自尊心を絶妙に擽る相槌を打って。

    「でもお忙しいでしょうが、そういう部署ってできる人しか行きませんよね。すごいですね。」なんてね。



    2時間後、いい加減、司会進行に疲れて帰ろうと提案した私に、彼はもっと話そうと言った。

    「ごめんなさい、今日はこのあと用事があるんです。」と嘘をついて、何とか解放してもらう。

    今日も成功。

    コミュ力スイッチのおかげで、表面上は楽しい会話を回しきった。


    お茶代を払う素振りもしたし、奢ってもらったお礼も丁寧に述べた。

    合格点だろう。


    大学を出るまで、私は空気なんか読まない、知らない人は苦手な若者だった。

    けれども、社会人になっても、そんなコミュ障ではまともに働けるはずもなかった。

    そして、社会で生き抜くため、愛されステキ女子な先輩をお手本に、最大公約数に愛されるOLを必死に演じているうちに、それは次第に私の一部になり、自由自在に素の自分と演じ分けができるようになった。

    まるで、頭のなかに愛されOLになれるスイッチが設置されたみたいだった。

    それを私は『コミュ力スイッチ』と名付けた。

    コミュ力スイッチは結構使い勝手がよく、仕事以外の場面でも役立った。


    例えば今日みたいに、よく知らない異性とお茶をする時とか。
    会社の飲み会で、親子ほど年の離れた上司に囲まれてしまった時とか。


    自分の気持ちとを切り離し、冷静な頭で気が利いて社交的な愛され女子を演じられる。


    まるで、あの先輩みたいな。


    でも、どうしてだろう。

    どうしてこんなに疲れて、空しい気持ちになるのか。

    会社の飲み会ではこんな気持ちにはならないのに。


    見合い相手と別れて乗った電車の中で、私はお見合いサービス会社にお断りのメールを打った。

    もう一度彼に会う気力は残っていなかった。

    今度はコミュ力スイッチなんて使わず、多少緊張してポカしても、お互い笑い飛ばせるような人に会いたいな、なんて夢見がちなことを願いながら。
  19. 21 : : 2016/01/31(日) 00:26:29
    あとがき

    人間成長すればするほど、色んな顔を持つものです。

    本当の自分は違うんだっ!と中2チックに言えるうちはまだ若いと私は思います。

    色んな自分をすべて受け止めた時、本当の意味で大人になるのでしょう。
    それがいいことなのかは微妙ですが。
  20. 22 : : 2016/01/31(日) 02:21:57
    ①お題『あと三分』

    ②『待ち合わせ』

    http://www.ssnote.net/archives/43072

    ③後書き お題ssを書くのは難しいかった。
  21. 23 : : 2016/01/31(日) 15:31:08
    お題【飯テロ】

    タイトル
    世界中に食事制限がかかるお話。
    http://www.ssnote.net/archives/43084

    あとがき
    初挑戦でしたが1400文字とそこそこな文字数をこなすことができましたこれめ飯テロじゃないかも。
  22. 24 : : 2016/02/03(水) 23:27:28
    お題「スイッチ」

    作品名「押すな危険」

    (http://www.ssnote.net/archives/43160)

    あとがき
    お題があるとやっぱり難しいですね。
    文章を書くという機会がなかったので、
    結構勉強になりました。
  23. 25 : : 2016/02/04(木) 00:39:54


    ①お題は「飯テロ」

    ②タイトルは【NANA-KO】


    ③読者さんへのテロではなく、女さんへのテロです。
    さて、彼女は誰のテロに遭ったのでしょう……?


    以下本文↓




    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇



    その日降り出した雨は

    夜半を過ぎて雪に変わろうとしていた

    ーーーそんな寒い夜



    とあるマンションの一室で静かな攻防が行われていた





    女「ブロッコリー」


    男「りんご♪」


    女「ゴルフ」


    男「フォンダンショコラ♪」


    女「ラップ」


    男「プリンアラモード♪」


    女「…………ドイツ」


    男「月見そば♪」


    女「ば……バイク」


    男「クリームシチュー♪」


    女「ゆ……?」


    男「そう、ゆ」


    女「…………ゆ…夢」


    男「明太子パスタ♪」


    女「タイヤ……」


    男「焼き肉♪」



    女「!!」



    男「く、だよ」


    女「……靴」


    男「月見バーガー♪」


    女「月見二回目、ズルい!」


    男「ズルくないズルくない。
    もう月見が付くのはうどんしか無いし」


    女「むー……が……学校」


    男「うなぎの蒲焼き♪」


    女「切手!」


    男「ティラミス♪」


    女「寿司!」


    男「お?!」


    女「なによ!」


    男「いや、何でも無いよ?」


    女「…………やっぱりやめた……す、スイッチ!」


    男「んー……チーズケーキ♪」


    女「切符!」


    男「プルコギ♪」


    女「ギター!」


    男「タヌキ蕎麦とミニカツ丼定食♪」


    女「え?!それアウトでしょう!」


    男「そう?でも好きでしょ?」


    女「いや……好きだけど……」


    男「ならオケ♪ はい、く、だよ」


    女「く……車!」


    男「麻婆豆腐♪」


    女「笛!」


    男「エクレア♪」


    女「青空!」


    男「ラーメン定食♪」


    女「またでた……定食……」


    男「半チャーハンと餃子付き♪」


    女「…………!」


    男「定食のく、でいいよー♪」


    女「…………薬」


    男「リゾット♪」


    女「トサカ!」


    男「かに味噌♪」


    女「掃除!」


    男「じゃがマヨ♪」


    女「カロリーが……ヤバい……」


    男「か、じゃないよ? よ、だよ?」


    女「わかってます!……よ……ヨーロッパ!」


    男「パンナコッタ♪」


    女「タレント!」


    男「トンカツ♪」


    女「……つ……机!」


    男「海老フライ♪」


    女「イタリア!」


    男「アジフライ♪」




    女「今度は揚げ物攻撃?!」


    男「偶然偶然(笑)」


    女「い……い……インド!」


    男「ドリア♪」


    女「くっ……!…………アルマジロ!」


    男「ローストビーフ♪」


    女「夫婦!!」




    男「……」ニヤリ




    女「…………な、なに?」汗




    男「ふわとろ卵のオムライス!♪」




    女「あぁぁっ!」



    男「……」ニヤニヤ




    女「……す、す……ストーブ……!」



    男「ブルーベリーソースと濃厚バニラアイスを添えたしっとりパンケーキ!♪」



    女「うぅ……き……気合い!」



    男「イクラと鮭の海鮮親子どんぶり!♪」



    女「り……り……り……リトマス試験紙……?!」




    男「……し。だね?」



    女「……そうよ。し……」



    男「行くよー?」



    女「いいよ……」ゴクリ






    男「霜降りサーロインのシャリアピンソース掛け!♬」ドーン‼︎








    女「うっ…………」


    男「ん?」


    女「ぅぅっ…………」


    男「どうした?」







    女「…………ねぇ」


    男「なぁに?」






    女「………………お腹空いた」






    男「はい、負けー♪」









    ーーーそして


    巧妙な飯テロに屈した女は


    片手に神器「NANA-KO」を握り締め


    罪悪感と後悔しか生み出さない場所へと導くパンドラの箱(エレベーター)のボタンを押し


    階下に広がる禁断の不夜城(コンビニ)へと足を踏み入れたのだった







    女(某サイトの「飯テロ」作品なんか読まなきゃ良かった……)ハァ…






    fin



    あとがき

    ラーメンとカツ丼は苦しかったです……(笑)



  24. 26 : : 2016/02/04(木) 03:56:45
    ①お題『飯テロ』

    ②帝国ホテル






    1934年、冬。
    ここは日本、帝国ホテル。






    「そうか・・・・・・あの名歌手がこの帝国ホテルに来るのか。」



    これは大変に名誉なこと。
    だが、本当に大変なことだ・・・・・・さて、どうしたものだろうか?






    帝国ホテルにあるレストラン――――――ニューグリル。






    その料理長である筒井福夫は頭を悩ませていた。






    計り知れないほどの深みと魔力を湛えた魔法の声を持つオペラ歌手の来日。
    芸術にうるさいパリっ子を、その声一つで熱狂させ、席巻してしまうほどの芸術家。



    正に生ける伝説が、わが帝国ホテルへとやってくるのだ。






    「半端なものを出せば末代までの恥・・・・・・ここで出す料理に、俺は全身全霊をかける。」






    筒井はそう意気込むと、持てる技術を駆使し、あれこれと料理のメニューを考案し始めた。







    しかし、どうしても納得いくようなメニューが浮かんでこない。


    ・・・・・・・・・・・・さて、どうしたものだろうと考えて、今に至るというわけだ。









    テーブルに座り、一人テーブルに両肘をついてうんうん唸る筒井。






    「あの、料理長?」



    すると、従業員の一人が、喋りかけてよいものか、迷うようなそぶりでおずおずと尋ねてきた。






    「ん? 何だね?」

    「あの・・・・・・その歌手のことなんですが。」

    「どうかしたのか?」

    「今、葉が悪くて歯痛に悩んでいるそうです。」

    「歯痛?」

    「ええ、何でも・・・・・・肉料理が大好きだそうですが、歯痛のせいで食べられない。そんな自分でも食べられる肉料理を提供してほしいと先方から連絡がありました。」






    すると、今まで悩ましい表情を浮かべていた筒井の顔に、笑顔が浮かんだ。





    「料理長?」

    「あ、ああ、済まない。メニューが浮かんだんだよ、君のおかげでね。」

    「ほ、本当ですか!?」

    「本当だとも。」






    そう言うと筒井はニッコリと微笑み、つられて従業員も笑顔になった。







    「今から試作品を作るから、手伝ってくれ。」

    「はい!」







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







    __________俺は、いつの間にか自分が満足できる料理を出そうとしていた。


    それではいけない。
    お客様が満足しなければいけないのだ。







    今度のお客様は歯が悪くて固い肉が食べられない。
    なら、お肉を柔らかくすればいい。






    牛肉を叩いて伸ばし、筋を切る。
    それから、みじん切りにした玉ねぎの中にステーキを漬す。


    みじん切りにした玉ねぎを今度はバターで炒めれば、じゅわあという音と共に甘い香りが鼻腔をくすぐる。


    塩胡椒で味を整え、飴色になったところで玉ねぎをとりわけると、今度は肉を焼く番だ。


    柔らかくした牛肉に塩胡椒で下味をつけ、フライパンで焼きあげていくと、今度は香ばしい肉の香り。


    最後に、先ほど炒めた玉ねぎを投入し、味を整えれば・・・・・・・・・・・・








    「よし、オリジナルのステーキの焼き上がりだ。」







    __________いよいよその日がやってきた。







    世界的な名歌手は、身長が190センチを超える大男であり、老いて益々威厳があった。



    レストラン「ニューグリル」の従業員の間に、緊張が走る。
    その名歌手は、予定通り、肉料理を注文してきた。







    焼き上がったオリジナルのステーキを盛り付け、筒井は緊張の面持ちで皿を厨房から送り出した。






    ステーキが、ゆっくりと、偉大なる歌手の前へと運ばれていく。







    そして、遂にステーキは歌手の前へと丁寧におかれた。
    名歌手は左手にナイフ、右手にフォークを持って、ゆっくりと肉を切っていく。


    香ばしい玉ねぎの甘い香りを漂わせたステーキの一片を、歌手は口の中へと入れた。













    __________こ、これは!?





    歌手の顔が驚きで目が大きく見開かれ、それから・・・・・・・・・・・・満面の笑みに変わった。















    世界を席巻する偉大なるロシアの名歌手―――――――――フェオドール・シャリアピンは、満足そうな声で呟いた。



    「・・・・・・・・・・・・美味い。美味いぞ。」













    __________この世に、シャリアピン・ステーキが誕生した瞬間であった。









  25. 27 : : 2016/02/04(木) 04:00:02
    シャリアピン・ステーキを使った飯テロでしたwww


    読み返してみると誤字が二つもありました(ごめんなさい<m(__)m>)



    1934年 → 1936年

    葉が悪くて → 歯が悪くて
  26. 28 : : 2016/02/06(土) 16:56:54
    お題「飯テロ」

    作品名「鬼畜CM」

    (http://www.ssnote.net/archives/43217)

    後書き

    自分で書いて自分で腹減った……
    早く晩飯喰いてエエエエエエエエエエ!!!
  27. 29 : : 2016/02/06(土) 23:03:14
    ①あと3分、?
    ②君と結ばれる未来のために


    平成28年2月6日午後11時27分。


    XデーのXタイムまであと3分。


    今度こそ、今度こそあいつとの幸福な未来を掴んでやる。

    無意識に俺は拳を強く強く握りしめた。


    そんな俺を彼女はため息混じりに見上げた。


    そう、ゴールは近い。

    何せ最初の頃はこうやって彼女とサシで向き合うことすら叶わなかった。


    1回目の時間軸で、彼女は隣の部屋に住むチャラ男に寝とられた。


    『いやあ、悪いね。おいしくいただいちまったよ。』と宣うゲス面にグーパンを叩き込み、俺はそっと時計の針を戻した。


    祖父の形見の時を遡る懐中時計の長針を1時間前に戻し、時間遡行した俺は、まだ留守だったチャラ男の部屋のブレーカーを破壊。

    奴の部屋の電気系統を抹殺した。

    これで奴は電気復旧への対応に追われ、俺の部屋に油を売りにくる余裕もなくなる。

    その間に、彼女は俺が『おいしくいただけ』ばいい。

    だが、あの時の俺はまだ甘かった。

    帰宅するなり自室の電気系統が破壊されていたのに気づいたチャラ男はチャラ男のくせに、迅速かつ適切な処置を取った。

    電気が使えない原因はブレーカーが何者かに破壊されたことであると奴はいち早く察し、すぐさましかるべき機関に通報した。


    俺はチャラ男の魔の手から彼女を守るどころか、器物損壊と住居侵入の被疑者として警察に捕まってしまった。


    数日後、留置所から帰ってきた俺の目に飛び込んできたのは、チャラ男にしゃぶり尽くされ、見る影もなくなった愛しい女の残骸だった。


    最悪だ。自分のやったこととはいえ、犯罪者になったあげくに女まで奪われた。

    最初の時間軸より事態が悪化しているじゃねえか。


    『壊したブレーカーの修理代も弁償したし、これでチャラにしてやるよ』と嫌らしい笑みを浮かべるチャラ男を横目に、再び懐中時計を操作した。


    次のタイムリープではさらに前の時点、彼女とコンビニで出会ったところまで遡った。

    家に帰ったらすぐにベッドインしてしまおうと家路を急いでいた俺は、見通しの悪い交差点を曲がってきたバイクに跳ねられ、気づいたら病室で寝ていた。

    枕元では、実家から慌ててかけつけてくれた親父が舟を漕いでいたが、呼び掛けるとすぐに飛び起きた。

    息子の覚醒に喜び、ナースコールを鳴らす親父に彼女のことを尋ねた。

    すると親父は微笑んだ。


    『ああ、お前の看病で疲れてたから、いただいちゃったよ。』


    ベッドサイドに置かれた懐中時計を手にした。



    繰り返す。繰り返す。


    望んだ未来のために同じ時間を何度も繰り返す。


    コンビニ近くの公園でことに及ぼうとし、たむろしていたガキに彼女を奪われる未来もあった。


    彼女が大型トラックにひかれた未来もあった。


    その他にも、自分でも覚えていられないくらいの悲劇的な未来があった。


    俺と彼女はいかに足掻いても、結ばれない世界線に収束するのかと絶望にうちひしがれたこと数えきれず。


    けれども、こうして今俺はあと3分で彼女と結ばれる時間軸にたどり着いた。


    あと3分。たった3分だ。

    もうどんでん返しが起こる可能性は低いだろう。


    懐中時計が11時半を差した。


    時間だ。やった。


    ついに運命を変えられた。


    彼女の蓋をそっとはがし、優しく愛撫するようにかきまぜだ。


    やっと出会えたな、ハニー。


    ますます激しくなる彼女の吐息に俺はむせたが、これすらもはや快楽であった。


    醤油ベースのコクの利いた香り。


    そして、最後の仕上げを施す。


    特製あと入れスパイス。


    純粋無垢な少女に大人の女の持つような危うさが加わった。


    「いただきまーす」


    少女から大人になった彼女にそっと口づけた。


    瞬間、俺は無意識に鼻から息を吸った。


    彼女の優しい香りと共に大人の女のスパイスも吸い上げた。


    大人の女のスパイスは俺の鼻粘膜を刺激した。


    「ハークショイっ!!!!」


    それは本当に一瞬の出来事だった。


    油断しきって、彼女の手をしっかり握っていなかった自分が許せない。

    はき古したジャージのズボンに豪快に熱い熱い彼女のすべてがぶちまけられた。


    「あっつーーー!」


    その後、俺は叫び声を聞いて駆けつけたチャラ男に連れられ、救急外来でやけどの治療を受ける羽目になった。


    明け方病院から帰ると、部屋には冷めきった彼女だった別の何かが散乱していた。


    首から下げた懐中時計の針を戻す。


    俺は諦めない。


    どんなに辛くてもが痛くても、何度だってこの一見無意味で馬鹿げた時間旅行を繰り返そう。


    君と結ばれる未来のために。


    カップラーメンDX醤油味を食すまで、俺の戦いは終わらない。
  28. 30 : : 2016/02/06(土) 23:05:59
    あとがき

    というわけで、あと3分と飯テロのあわせ技でした。

    キム⭕クといい、僕街といい最近タイムリープ熱いですよね。

    私もタイムリープネタ好物です。

    ついでに叙述トリックも。
  29. 31 : : 2016/02/07(日) 21:32:09
    1 【飯テロ】

    2 作品名「神出鬼没×テロリスト×兄弟」

    あとがき
    初投稿です。よろしくお願いします。
    題名は、あるジャンプマンガっぽくしてみました(笑)
  30. 32 : : 2016/02/07(日) 21:46:54
    「本当に…大丈夫なんですか?」


    不安げな店主に、僕は自信たっぷりに頷いてみせた。


    「もちろんです。僕達にお任せください」


    「ふっ、案ずるなマスター。大船に乗ったつもりでいてくれたまえ」


    空気の読めないバカが煩いので、僕は早速契約書を広げた。


    「詳細についてはここを読んで…あと口座番号もお忘れなく」


    店主が記入を終えると、僕達は立ち上がった。


    「さあ、契約成立だ」


    何について契約を交わしたのかは追々説明するとして、僕達は店主から“ある物”を受け取ると、街へ出た。


    「人の多い場所を探そう」


    「ふふっ、それならば問題ナッシングだ」


    バカが立ち止まったので、仕方なく付き合う。


    「ふっ、この俺が街を闊歩すれば、自ずとそのオーラに惹かれ多くの市民が集まるであろう」


    「さっきから聞いてりゃ…いい加減にしろこのバカ兄!」


    この世に生を享けて20数年。未だに認め難いが、このバカは僕の兄だ。


    僕達の仕事はテロ。おっと、勘違いしないでね。


    テロといっても…


    「よし、ここにしよう。時刻は昼の11時。さあ兄、やるよ」


    「ふん、出番か」


    僕達は店主から受け取った“ある物”ー店主自慢の餡パンを手に取った。


    「うわ。生地がもちもちしてる。香ばしい匂いだ」


    「俺もう我慢出来ねぇ」


    兄は、そのキツネ色したツヤッツヤのパンにかぶりついた。


    満面の笑みで。


    兄はバカだけど…本っ当にクズで使えない奴だけど、ただ1つ、食べ物を本当に旨そうに食べるという特技を持っている。


    今は餡パン。皮には香ばしさが残り、餡は甘すぎず生地はもちもちで、しっとり。嗚呼、永遠にかぶりついていたい。


    兄の食べっぷりに、次第に人々の視線が集まってくる。


    そして仕上げに、僕が一言。


    「この餡パンどこで買ったっけ…あ、●●堂だ!」


    僕達兄弟の仕事は、客足の減った飲食店を、飯テロによって救う事。


    人々に、食べる喜びを知ってもらう事。


    食べてもらいたいと願う人がいるかぎり、僕達の仕事は終わらない。
  31. 33 : : 2016/02/07(日) 22:09:13
    お題【スイッチ】
    題名【男「俺様のスイッチは別次元」】
    http://www.ssnote.net/archives/43266

    あとがき
    私は何が書きたかったのかわかんなくなっちゃいました…w
  32. 34 : : 2016/02/08(月) 22:04:19
    お題「スイッチ」

    『スイッチ』


    誰にでもあるさ、やる気スイッチ~♪みたいな歌が一時期コマーシャルで流れていたけど、


    実は、

    私、


    スイッチが見えるんです。


    え、視覚に障害がない人なら誰にでも見えますよって?
    いや、それ照明のスイッチでしょ?そうじゃなくって。


    ほら、あなたの右肘。

    それはラジオ体操がしたくなるスイッチ。
    珍しいですね、ご丁寧に名称が書いてある。

    見えない?見えませんか?
    いえいえ、見えるんです。私には。

    試しに押してみましょうか?


    ほら。

    あったーらしーいあーさが来た♪きっぼーぉのあっさーが♪
    まずは背伸びの運動から~。


    …………。

    ふざけてないですよ?
    寧ろ目の前でラジオ体操おっ始めているあなたの方がふざけて見えますよ?


    まあ、そういうわけなんです。信じていただけました?


    人をコントロール出来るなんて羨ましい?
    そうですか?
    別にコントロール出来るわけではないんですよ。

    見えて、押せるだけなんです。

    今回はたまたま何のスイッチか書いてあったのでその通りになりましたけど、そう上手くはいかないんです。


    例えばほら。あのこ。

    暗い顔で駅のホームに立ってますね?

    あんなにギリギリに立っていると線路へ落ちてしまいそう。落ちたいのかな?

    まあ待ってください。


    あのこの両肩には1つずつスイッチがあります。


    どちらも勇気を与えるスイッチです。


    1つは飛び降りを止め、現実に立ち向かう勇気を与えるスイッチ。
    もう1つは飛び降りをする勇気を与えるスイッチ。


    あなたがあのこの肩に触れたとき、スイッチは発動します。
    勿論、なにもせずにここに立ち止まっていてもいいですけど。

    あなたの行動がひとりの命を救うかもしれません。
    あなたの行動がひとりの命を消してしまうかもしれません。


    結果は誰にも分かりません。




    さあ、どうしますか?



    おわり


    【あとがき】
    スイッチというと、私は照明のスイッチのように「切り替わる」ものと押しボタンのように「勢いをつける」ものの二種類が思い浮かびますが、今回のイメージは押しボタン式です。
  33. 35 : : 2016/02/10(水) 21:24:45
    お題【バレンタイン2016】
    題名【俺「会議を始めるっ!!全員集合ッ!!」全員「っしゃゴルァ!!」】
    http://www.ssnote.net/archives/43329

    あとがき
    男子って、…バカだねー…と、つくづく思います。
    あの男たちは、青春していたんですね…。
  34. 36 : : 2016/02/10(水) 22:37:31
    お題「バレンタイン」
    題名【お兄ちゃんに送る、幸せのチョコレート】
    http://www.ssnote.net/archives/43330

    あとがき
    お兄ちゃんが欲しいです。
  35. 37 : : 2016/02/14(日) 03:26:26
    お題『バレンタイン2016』

    題名 キリユウ『君に心に秘めた思いを伝えたい』

    (http://www.ssnote.net/archives/43432)

    後書き 次回の企画も頑張ります
  36. 38 : : 2016/02/17(水) 23:59:29
    お題『たこ』

    題名「2本足のたこ」
    http://www.ssnote.net/archives/43576

    あとがき   たこ君ごめんなさい。
  37. 39 : : 2016/02/29(月) 22:43:12
    ①ファミコン
    ②ぼくとルイージ


    ぼくは一人っ子だ。

    そして、ぼくのお父さんとお母さんは共働きで、おまけにぼくには友達がいない。

    この前の誕生日にお父さんがファミコンを買ってくれた。

    クラスのみんながファミコンに夢中になっていることは、いつも一人ぼっちのぼくも知っていたし、ぼくもやってみたいと思っていたので嬉しかった。


    お父さんはファミコンの本体と一緒にソフトも1本買ってくれた。


    おもちゃ屋でどのソフトが良いか聞かれたぼくは迷わず答えた。


    「スーパーマリオブラザーズがいい」


    だって大人も子供も夢中になっている、今一番流行っているソフトだったから。


    けれども、ぼくはせっかく買ってくれたお父さんには悪いけど、このソフトを目一杯は楽しめなかった。


    だって、スーパーマリオブラザーズは1人でもプレイできるけど、一番楽しい遊び方はマリオとルイージの2人のキャラクターを友達と一緒に操作して遊べるのが、一番の魅力だったからだ。


    クラスのみんなは学校が終わると、ファミコンを持っている子の家に押しかけて、2人ずつかわりばんこにスーパーマリオブラザーズで遊んでいた。


    けれどもぼくの家には誰も来なかった。


    だから、ぼくはいつも誰もいない家でマリオ1人で遊んでいた。


    日曜日に時々お父さんがルイージを引き受けてくれることはあったけど、基本ぼくのルイージは欠番状態だった。


    ある日の夕方。

    僕はいつものように1人でスーパーマリオブラザーズで遊んでいたけど、飽きてしまい、2コンのマイクに「あー」とか言って遊んでいた。


    と、突然、テレビの画面が真っ暗になった。


    接続が悪くなったのかと、ファミコン本体をいじろうとしたら、画面にマリオとルイージが映し出された。


    それはあり得ない光景だった。


    スーパーマリオブラザーズはマリオとルイージ2人のキャラを使って2人のプレイヤーが遊べるけど、2人同時にプレイはできないのだ。


    マリオが死んだらルイージ、と交代していく仕組みだ。


    何が起きたのかわからず、ぼんやりしていると画面に文字が出てきた。


    『るいーじ:にいさん、はやくいこうよ』


    思わずぼくは床に置いていた1コンを持ち直し、十字キーを押した。

    マリオが動いた。どうやらマリオはぼくが操作するようだ。


    再び文字が出た。


    『はやくしないとじかんぎれになるよ』

    結局、ぼくのマリオと誰だかわからないルイージは見事な連携プレーでクッパ城まで辿り着いたが、残念ながらそこで2人ともやられてしまい、ゲームオーバーになった。


    『ありがとう、たのしかったよ。』


    ゲームオーバーの画面にルイージからのメッセージが出た。

    ぼくもありがとうと言いたかったけど、文字の出し方なんてわからない。

    無意味だとわかっていたけど、ブラウン管に向かって叫んだ。

    「ぼくもだよ!ありがとう。

    また、遊べる?」


    『いつかね。』


    いつかっていつ?と言う前に画面は暗転し、見慣れた起動画面に変わった。


    それから2度とルイージが勝手に現れることはなく、ぼくもいつしかファミコンで遊ばなくなった。




    「ねえお父さん、このファミコンってお父さんの?動くかな?」


    父の四十九日も終わり、実家の片付けをしていると、高校生になる長女が白とエンジの懐かしいゲーム機を押入れから引っ張り出してきた。

    最近は父親の俺を煙たがっているのに、今日は態度が柔らかい。


    「さあ。どうだろうね。繋いでみるか。」

    駄目元で旧式のブラウン管テレビに接続してみると、何と動いた。


    「すごい。ドット絵だ。」

    CGを駆使したゲームに慣れた娘には逆にこのレトロさが新鮮なようだった。

    「ねえ、どうやって遊ぶの?やってみてよ。」

    かわいい娘の頼みだ。

    四十を過ぎてもマリオ1人でロンリープレイなのは、何だか寂しかったが仕方ない。

    本体に格納されたコントローラーを手に取った時だった。

    隣の部屋にいた妻が入ってきて、もう一つのコントローラーを取った。


    「私もやる。30年ぶりだけど。」


    特にゲーム好きだった訳でもない妻がスーパーマリオブラザーズをプレイしたことがあったことにも驚いたが、何より彼女の腕前に驚いた。

    彼女のルイージの巧みなリードにより、何とクッパ城を撃破してしまった。

    俺は不思議な感覚に囚われていた。

    遠い昔、この家に両親と暮らしていて、友達が1人もいない孤独な少年だった頃に俺はこのルイージを見た気がする。


    妻と知り合ったのは就職した後だ。

    そんなはずはないのに。


    お母さんすごいとはしゃぐ娘を横目に、そっと彼女は俺の耳元で囁いた。


    「やっとまた遊べたね。にいさん。」
  38. 40 : : 2016/02/29(月) 22:46:57
    あとがき

    スーパーマリオブラザーズが流行った30年前をリアルタイムでは知りませんが、うちにもファミコンあります。
    多分まだ動くはず。

    25周年の時にアラフォーの上司が熱く当時の思い出を語り合っていたので、当時の子供たちの夢が詰まったファミコンには、こんな不可思議なロマンスがあってもいいのかなと思って書きました。
  39. 41 : : 2016/03/12(土) 12:55:49
    お題『天使』『命』

    「チョコレートミントと犬」



    ストレスや疲れには糖分が必要だと思う。
    最近絡んでくる鬱陶しい友人(世話好き)から言われて気づいたが自分は結構な甘味好きらしい。勿論俺はこの事に反論はできなかった。
    言うなれば京の街に旅行にいったときも郷土品や遊び心ある模造刀を買ったりはせず、アイスやムース。カフェを渡っては抹茶パフェやクリームの沢山のったキャラメルプラペチーノを飲んだり、綺麗な金平糖を見つけると思わず衝動買いしてしまった。

    これが社会人でリーマンの俺だ。


    何気ない普通の日だった。

    三徹夜目の俺は流石に限界で残業を友人に変わってもらい徒歩で帰り寝床についた。





    舌が感じる甘い味。


    キキィーーッドンッ





    「っ!!なんだったんだ、夢か。」

    夢の内容はチョコミントアイスを食べながら歩くサラリーマン28歳男が目の前を飛び出す女の子を庇いトラックに轢かれる夢だった。


    「ねぇねぇ君、どうだった?怖い?」

    「ひっ……誰だよ!?」

    布団の横にいつのまにか立っている女性。童顔で信じがたいことに背中には立派な純白の羽が生えている。


    「天使。神様の使い魔さ」

    可愛く前屈みになりポーズを決めるときに肩にかけている彼のキャミソールが少しずれる。

    「おい、はだけすぎだ。服くらいきちんと着れないのか?」

    「ふふっ、セクシーでしょ?それよりチョコミントを食べ歩きするようなサラリーマン始めてみたよ!」

    お世辞にもセクシーにはみえない、童顔のお陰で。そもそも何しに来たのだこの天使は。淫魔か?まぁ頑張ってこのご時世上司に媚売って社蓄してきたんだ。神が俺にご褒美をくれたのだろう。残念ながらこんなアホが来た事は不運だったが。


    「それでお前は何しに来たんだ?」




    「毎日世のため頑張る君に、チョコミントを食べ歩きする可愛い君に、子供を庇って明日死ぬ優しい君に、天使にスカウトしに来ました!」







    その後、会社にいくが帰りに世話好きの友人にチョコミントアイスクリームを貰った。俺が甘いものが好きなことも知っており、「休んだら?」だの人一番心配してくれ友達のいない俺にとっては最高のパートナーで、『親友だ。』



    俺はチョコミントを食べ歩きせず帰った。そのお陰で歩幅は速まり事故に合うことはなかった。


    次の日、俺の親友が死んだ。


    彼は優しいから、他人にとって都合のいい人間だから死んだ。


    現実は非常である。世界は不平等だ。

    End

    【あとがき】
    久しぶりです。チョコミントを食べ歩きしながら微笑むサラリーマンと横にいた友人が天使すぎて悶えました。
    今回の設定はさっきの通り可愛いサラリーマンと優しい人は言い換えると自分にとって都合のいい人。そして邪神に使える者も天使と言えるのでは?という考え方です。
    とりあえずリーマンのマーベラスでキュートな姿に衝動で書いたものです。
    ありがとうございました~~!!

  40. 42 : : 2016/03/17(木) 00:56:32
    お題【珈琲】
    作品名『無理矢理な哲学』

    前書き、昨日、お店で飲んだ珈琲が苦かった






     珈琲豆を最初に手にした大名は織田信長だと言われている。もちろん、それは一つの説であって、豊臣秀吉などの他の説もあるのだが、私は織田信長で間違いないと考えている。

    彼は当時の大名の誰よりも世界に目を向けていた。天下統一は日の本だけでなく、明にまで目を向けていたのはきっと彼だけだろう。

    彼は世界を見ていたのだ。

    そんな偉大な彼が苦労して手に入れた珈琲豆を、今、我々は金を出せば簡単に手に入れる事が出来る。

    それはなんて、幸福な事だろうか。

    「そう思うだろう?花子」

    「いや、急に何を言い出してるのかな君は」

    今現在、私は友人である花子とカフェに居た。
    急に彼女に呼び出されて何かようかと問えば、彼女はこんな私に告白をしてきたのだ。

    それから現実逃避に近い思考を吐き出して今に至る。

    「嫌なら嫌だと言いたまえ」
    花子はずっ、と鼻水をティッシュでかんだ。


    いや正直、私は花子をそういう対象で見ていたり無かったりしてたりしてる。何言ってるのか分からないだろうから細かく説明しよう。


    私と花子の出会いはこのカフェから始まった。

    窓際の今、私達が座っているテーブルで、優雅に本を読んでいた黒髪の美人、触れれば壊れてしまいそうな儚げな容姿とは裏腹にキリリと文字を捉える真っ直ぐな瞳が印象的だった。


    そんな彼女に私は一目惚れした。


    それから、一緒に珈琲を飲みませんか、とナンパして一年、私達は友人としてこうしてこのカフェで珈琲を飲む間柄になった。

    つまり、恋は隠れ、友情が生まれた。
    そして、再び恋の花が咲こうとしている。

    「実は、僕、惚れっぽいんだ」
    「何言ってるの?」
    「つまり君の事が好きだったのだが、それは一年ほど前であり、一目惚れから始まってしまっていたのだ」
    「ふむ」
    「そして告白されてまた惚れた」
    「ちょろいな」
    「そんな男と付き合うのは嫌じゃない?」

    花子は暫し考える素振りを見せた。

    一目惚れで始まる恋は、たくさんある。
    つまり私がまた一目惚れをする女性がいるかもしれないのだ、そんな男と恋愛をしても、良いことはないのだろう。

    花子は唐突に自身の目の前に置かれていた冷めた珈琲のカップをなぞった。

    「此処の珈琲は味が少し変わったよね」
    「そうだね、不味くなった」

    昔は美味しかったのに、店長が息子に代替わりしてから途端に此処の珈琲は不味くなった。

    「私が此処に飲みに来るのは君に会いに来るためなんだよね」
    「僕もそうだよ」
    「でも、正直、此処の珈琲が不味すぎて君とは違う場所で会いたいんだよね」
    「ああそう」
    「つまりだ」
    「うん」
    「変わるものはあるけれど、変わらないものもあるのだよ。珈琲の味は変わったけれど、私が君に会いたいと思う気持ちは変わらない」
    「……」
    「君の一目惚れ体質を変えて、私への愛で一杯にしてあげよう。勿論、年取っても変わらない想いを持ち続けさせてやんよ」


    花子の言葉に、私は意味分からんと返した。
    そして、

    「ちょー、かっけー」と惚れ直したのだった。



  41. 43 : : 2016/03/19(土) 00:16:31


    【お題】命



    その日、ボクを取り巻く世界の全てが崩壊した











    小さな揺れから始まったそれは、やがて大きなうねりを伴ってボクの身体を翻弄した




    今ボクは暗闇の中、激しい苦痛と恐怖に晒されている










    おかあさん!


    ボクは側にいるはずの母に、必死で助けを求める

    しかし耳に届いたのは、柔らかく、美しい彼女の声とはまるで違う、獣のような恐ろしい唸り声だけだった





    こわい……!


    こわいよおかあさん!


    たすけて!


    いきがくるしいよ!






    答えが無い事でボクは知った

    きっと彼女もボクと同じように苦しんでいると

    何故なら、いつも通りの母ならば、必ずボクを護ってくれるはずだから















    こんな日が来るなんて思ってもみなかった


    いつまでも

    いつまでも暖かく幸せな日々が続くと思っていた


    大好きだった母とこんな風に別れてしまうなんて

    夢にも思っていなかった



    「もう少し!」


    「がんばれ!」


    外から微かに聞こえて来る声は、ボクと母の命を助ける為に手を尽くしてくれている大人達の声




    だけどボクの身体はもう限界を迎えようとしていた


    身体中が軋み、血液の流れが止まりそうになる

    頭が歪み、意識が途切れそうになる





    おかあさん……おかあさん……おかあさん……





    ボクはひたすら母を呼び続けた


    ボクを大切に愛しんでくれた母


    どんな時も変わらぬ愛情を注いでくれていた母






    はなれたくない……そばにいてほしい……おかあさん……いやだ……いやだ……いやだ!







    ボクにはどうする事も出来なかった


    ただ母を想い、ひたすらこの苦痛に耐える事しか出来なかった



















    ーーーその時

    ボクの視界が白一色に変わった


    暴力的なまでの光が、固く閉じた瞼に突き刺さり


    冷たい空気に体温が奪われる



    「もう大丈夫!」



    大人達は歓喜の声を上げるが、ボクは直ぐ近くで聞こえていた母の声が途絶えた事に恐怖していた



    おかあさん!

    どこにいるの?!



    ボクは冷たい空気を思い切り吸い込み、力の限り母を呼んだ






    おかあさん!!!!


































    「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」










    ふわり、と、暖かい何かがボクの身体を包む




    「ありがとう……ございます」



    大好きな優しい母の声が耳元で聞こえ










    その日、世界の終わりを知ったボクは

    新しい世界への一歩を踏み出した











    【あとがき】

    出産は、母も子どもも命懸け。

    でもこの世にいる全ての人が必ず体験してるんですものね。
    凄い事です……うん。

  42. 44 : : 2016/04/07(木) 17:18:27
    お題【命】

    題名「unlimited birth」




    「知ってるか?俺達がこうやって話してる間にどれだけの人間が産まれて、死んでるのか」


    「……ああ、知らないか。まあ無理も無いな。俺だって把握してるわけじゃねえ」


    「……何だよ、そんなつまらなさそうな顔してんじゃねえ。大した話じゃねえよ、適当に聞き流してくれたって構いやしねえからよ」


    「続けるぞ?お前、両親がいるだろ?当たり前だな、子供っつーのは愛しあってる男女がコトを為して産まれるモンだ」


    「だけどな、それが普通だと思われちゃ困るぜ?例えば俺だ。俺の出自はちょいと普通とは異なる」


    「何処ぞの風俗で働いてた女が誤って身篭っちまった、そいつは風俗で働くにゃちょいと胆が座ってなくてな。身篭っちまった子供を殺しちまうなんて出来なかった」


    「勿論、仕事なんざ出来ねえさ。風俗を止めてなけなしの金を叩いてガキを産んだ。それが俺さ」


    「おっと、ここで問題が発生したな?何か分かるか?なーに簡単な事さ、つっても愛情に溢れた家庭で育ったお前には難しいかもしれんがな」


    「……分かんねえか。まあ仕方ねえ。その問題っつーのはだな、その子供は愛しあってる男女から産まれてはいないって事だ」


    「風俗に来た男は身篭っちまった女を置いてどっかに行っちまったらしい。そんな性欲を発散する為だけにやった事で子供が出来ちまった。無論女も仕事だから抱かれた、それだけだ」


    「そう、愛が無かったんだよ。2人の間にはな。でも俺は産まれちまった。愛は無いのに、そこには愛が無かったのにな」


    「なに、そう微妙な顔してんじゃねえ。俺はそんなに悲しくはねえさ。……だがな、こうなってくると俺達はもう1つの問題を考えなくちゃなんねえ」


    「『愛』に必要性はあるのか?無くてもいいんじゃないか?って事だ」


    「良く考えてみろ。俺はまだ良い方だが、極論言っちまえばレイプされても子供は出来る。どんだけドス黒い人間でも男女さえ揃ってりゃあ子供は出来ちまうんだ」


    「じゃあ何の為に俺達は恋をして愛を育んでるんだ?俺にはそれが分からない。愛に必要性を感じれねえんだ」


    「お前はよ、付き合うって事をどう考えてる?友達じゃやれねえ事を出来るようになる権利だと思ってるか?」


    「違うよな、そんな事を考えて人と付き合おうとしてる奴はそういねえ。でも付き合うってなったら何故かキスをしたくなる、手を繋ぎたくなる。そいつが恋人だから出来ることをしたくなる」


    「だがそりゃあ誰にでもやれるよな?友達にはやらないだけで、できるよな?じゃあ何だ?付き合うって何なんだ?」


    「俺には到底分からねえ。愛情も恋も付き合うって概念も分からねえ。もっと分からねえのは命なんつーすげえモンが男女が揃ってさえいりゃ幾らでも作り出せる事だ」


    「そんな命に価値はあるか?愛もねえ、恋をした訳でもねえ、なのに産み落とされた命に価値をつけられるのか?」


    「俺にゃ分からねえ。俺の命に価値があるのか。人間の命は等しく尊ばれるべきだ、なんつー言葉は嘘っぱちだな」


    「愛も無く産まれた俺が平和でのうのうと過ごしている。愛を持って産まれた子供が戦場で命を散らしている、これのどこが平等だ」


    「教えてくれ。アンタらの考えを。俺の命に価値かあるのかを。なあ、教えてくれよ」





    【あとがき】

    愛、命、これほど難しい話は無いと思います。
  43. 45 : : 2016/04/21(木) 17:54:44
    お題「ネット」

    http://www.ssnote.net/archives/45320

    久しぶりに書いたので、自身はあまりありませんが、書きたかったことが伝わると嬉しいです。
  44. 46 : : 2016/04/23(土) 16:04:23
    http://www.ssnote.net/archives/45350
    お題【幼馴染】
    あとがき
    最後の方意味分からなくなりました(´・ω・`)
  45. 47 : : 2016/04/29(金) 03:48:39
    お題【自分がもし◯◯になったら】
    題名『猫』






    目が覚めて、一番最初に視界に入り込んできたのは愛しい恋人の顔だった。金糸の長い髪を真っ白な背中に散らせ、昨夜に放り出した服を手繰り寄せる様は可愛らしい。

    居心地が悪いのか、眉を顰め、周りを見渡す彼女はやっと俺の存在に気付いたのか安心したように表情を和らげた。

    「可愛い……」
    うっとりとそう呟く彼女に、俺は頬に熱が集まるのを感じた。

    まるで道端で猫を見つけた時のように、彼女は目を細め、俺の身体を‘抱えた’。

    あれ?とそこで首を傾げる。

    間近に見える彼女の端正な顔立ちを眺めながら俺は自身の身体を確認した。右手で右足を掴み、それが普段の自分の身体でないことを悟る。

    これは、紛れもなく、動物の身体だ。

    ここまでで、自身がどのような格好をしているのかを想像してみた。猫好きの彼女が猫をみるような表情で俺を抱えたのだから、もうこれ猫に違いないだろう。

    「にゃー、君はアイツの猫かにゃー?」

    ああ、可愛い。
    もちろん、此処でのアイツとは俺のことだろう。

    「……アイツは何処に行ったのかな」

    ぼそり、と小さな赤い唇がそう動いた。ソプラノの音を発した喉は緊張に固まり、上手く動かすことができないのかカチコチと上下する。

    「私のこと、嫌になったのかな 」

    そんなことない、そう伝えたいけれど、無情にも俺の口から発せられたのは、にゃーの鳴き声一つ。

    「慰めてくれるの?」
    首を傾げる彼女に俺は必死に頷いた。

    「実は私ね、アイツに隠してることがあるんだ」

    まじか、そりゃあ聞きたいわ。

    「特別に君には教えてあげるね?」

    こくり、と首を縦に振ってみせれば彼女は嬉しそうに目を細めた。

    「実はね、私。君の仲間なんだ」
    片目を瞑り、そう告げた彼女は人間だ。

    俺は冗談だろうと結論づける。
    しかしそんな俺の希望を捨て去るように、彼女の身体はどんどんと猫の形に変化していく。

    今、部屋にいるのは、猫二匹。

    俺も彼女も、猫になってしまった。

    なにこの状況カオス。
    この五分後、俺の身体は元に戻り、彼女もまた猫から人型へと形を変えた。

    不安そうに上目遣いで見上げてくる彼女はきっと俺に拒絶されることを想像して胸を痛めているに違いない。そんな彼女に俺は笑った。

    「俺も猫になれたし、猫同士これからもよろしく」


    あとがき
    猫のカップルが書きたかっただけです(泣)
  46. 48 : : 2016/05/01(日) 02:10:36
    ①お題【自分がもし○○○○になったら】

    ②作品名【例え君に見えなくても僕は君を見守っている】

    ③あとがき

    久し振りにお題ssに挑戦したので文がおかしくなったり誤字していないか心配ですね。


    http://www.ssnote.net/archives/45544
  47. 49 : : 2016/05/30(月) 21:33:53
    ①「自分がもし○○○○になったら】
  48. 50 : : 2016/05/30(月) 22:15:47
    すみません、誤爆しました。

    ①【自分がもし○○○○になったら】

    ②魔法OL三十路☆マギカ


    小さい頃、中学生の美少女戦士が悪と戦うアニメに私は夢中になっていた。


    中学生になれば、スタイル抜群のお姉さんになって、セーラー服をなびかせ、大学生の素敵な王子様と一緒に悪の組織と戦うのだと、あの時代の幼女は誰もが夢想した経験があると思う。


    実際、中学生になった時は、身長が伸びただけで、相変わらずペタンコな胸や痩せているだけで寸胴なウエストに落胆したものだった。


    言うまでもなく、大学生の彼氏なんて夢のまた夢だった。


    そして、大学生になって漸く、大学生のくせに中学生とお付き合いをしていたあの王子様が世間的にはかなり色眼鏡で見られる存在だと知った。


    私たちが大学生になった頃は不景気で、あのアニメに出てくるようなオープンカーを乗り回し、麻布の一等地のマンションに一人暮らしをしているような大学生男子は存在しなかった。


    でも、別に構わなかった。


    汚れたママチャリに乗り、西武新宿線沿いの狭くて汚い下宿に住んでいる男の子に私は恋をしたから。

    むしろ、学生の分際でバイトもせずに出所不明なお金で贅沢をしているあの王子様より、田舎の両親からの数万円の仕送りと塾講のアルバイトで生活している彼の方がずっと素敵に見えた。


    美少女戦士になりたかったという幼い憧れも忘れ、私は大学を卒業し、会社に就職した。


    学生時代の彼とは別れてしまったけど、仕事も楽しいし満足だった。


    もう年も年なので、美少女戦士になるのもとうに諦めた。


    なのに、30歳の誕生日。


    独身のまま三十路を迎えてしまい、ブルーになっていた私の元に、人の言葉を話す猫が現れ、言った。


    「うなぎちゃん、このペンで変身して怪人と戦って。」


    言われるがままに呪文を唱えると、私は光に包まれ、魔法少女っぽい衣装に変身した。

    もう30なのに。


    気味が悪い怪人との戦闘を何とか乗り切ったけど、久しぶりに運動をしたせいで、翌日は腰が痛くなって会社を遅刻して病院に寄ってから出勤した。


    猫はその後もことあるごとに私の前に現れ、年甲斐もない格好に変身させ、怪人と戦うよう強要してきた。


    夜の戦闘は翌朝に疲れが取れなくて辛いし、肩も腰も痛いし、最悪だった。


    仕事では、今年から主任を任されているので、そうそう休みは取れない。


    ある日、たまりかねた私は猫に、戦士を定年退職したいと申し出た。


    すると、猫は逆に説教をしてきた。


    「うなぎちゃん、30なんてまだ若いわよ。
    甘えないで。

    今は美少女戦士も高齢化が進んでいて、アラフォーでも現役の子がゴロゴロいるの。

    最高齢の子は還暦超えてるわ。

    体が辛いなら、鍛えなさい。」



    そう言えば、テレビをつければ30代や40代の男性アイドルが第一線で活躍している。

    私が中高生の頃はもっと若いアイドルが活躍していた。


    そうか、アイドルも高齢化しているのだから、美少女戦士だって高齢化するのだろう。


    なら仕方がない。自分の運命を受け入れよう。


    ただ、それならば1つだけ条件がある。


    私の提示した条件を猫はすんなり了承してくれた。


    次の日の夜。


    軋む体に鞭を打って怪人と戦っていると、タキシードを着た王子様が加勢してくれた。


    どうやら本当に猫は条件を呑んでくれたらしい。


    戦闘が無事終わり、王子様に抱きつくと、ほんのり薔薇の香りではなく加齢臭がした。


    近くで見ると、目元を仮面で隠しているものの王子様はどう見ても40歳は超えていそうだった。


    年上の素敵な王子様も美少女戦士が30歳なら、当然もっと年上になるのだということに私はやっと気づいた。


    でも、大学生の男の子なんてさすがに恋愛対象じゃないしいいか。


    その日から、私は加齢臭とコレステロール値が高いことと毛髪が減ってきていることに悩む王子様と共に夜な夜な悪と戦っている。


    つい先日、王子様の正体がついに発覚した。


    商品企画部の千葉さん、42歳独身だった。


    でも彼も私の正体に気づいているが、会社ではお互い知らんぷりをしている。



    ③あとがき


    ふざけてごめんなさい。

    セーラームーンになりたかったけど、ちびうさくらいの年齢だった元少女たちに捧げます。

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