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苗木「超高校級の幸運に選ばれなかった」一章 ─二番目の幸運─

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  1. 1 : : 2014/02/09(日) 21:04:27


    希望ヶ峰学園第78期生の名簿の中に
    苗木誠の名前は無い


  2. 2 : : 2014/02/09(日) 21:19:20


    ネタバレ含みます!




    ジリリリリリリリンッ!

    苗木「ん~~!!」

    目覚ましの音で目を覚ました僕は一通りの準備を整え学校へ向かう

    苗木(超高校級……か)


    苗木『僕の通う学校は私立希望ヶ峰学園……ではなく、夕闇高校という普通の高校である』


    そこには超高校級の幸運も、アイドルもいない。


    ただ平凡だけが取り柄の学校…


    苗木「でもまあ、こんな平凡が僕にはお似合いだよね」


    勝手に事故解釈して、憧れを捨てて僕は夕闇高校に向かう。


    そんな日常を繰り返していた筈の僕…



    だけど今僕は……





    苗木「希望ヶ峰学園にいる!」


  3. 3 : : 2014/02/09(日) 21:19:40
    期待するしかないこれは
  4. 4 : : 2014/02/09(日) 21:23:03

    chapter1 狂い始める歯車



    ~~~~回想~~~~

    【夕闇高校】

    友達A「希望ヶ峰学園に、入りたかったよなぁ」ハァ

    朝。

    ホームルームが始まる少し前、友達がなんの脈絡も無しに話し出す

    苗木「だよね。まあ、平凡な僕が希望ヶ峰学園に入れる訳なかったよね…」ハァ

    友達B「何だよ朝から辛気くさい、あの学校には超高校級の幸運枠があっただろ?」

    苗木「あはは、でも僕じゃ無理だったね…良いところ行っても不運だよ」

    友達B「まあ、だから通知も届かなかったんだよな」

    苗木「うん…」

    明らかに落胆した表情を見せる僕を見てか友達が口を開く
  5. 5 : : 2014/02/09(日) 21:25:19
    >>3
    ありがとうございます!
    久しぶりにギャグ以外を書くので心配ですが頑張ります!
  6. 6 : : 2014/02/09(日) 21:54:57
    期待です!頑張ってください!
  7. 7 : : 2014/02/09(日) 23:31:17
    >>6
    ありがとうございます!頑張ります!!
  8. 8 : : 2014/02/09(日) 23:33:12


    友達C「…あ、そうだ知ってるか?」

    苗木「…なに?」

    友達C「78期生の幸運が事故で死んだらしいぞ」

    苗木「えっ!?」

    友達C「で、あくまで噂なんだけどな……どうやらまた超高校級の幸運を選出するらしいぜ」

    超高校級の幸運の死

    そして、再選出

    その二つ話を嬉々として語る友人

    苗木「……そっか」

    僕は素直に喜べなかった…

    友達C「なんだよ、テンション低いな」

    苗木「だって…誰かの不幸でやってくる幸運なんて僕は喜べないよ…」

    友達A「……まあ、お前はそういうやつだよなあ」

    友達B「だな、超が付くほどのお人好しだもんな」

    友達C「超高校級の御人好し…お前これで希望ヶ峰学園に入れるんじゃないか?」ププッ

    苗木「もう!からかわないでよ!」

    友達A「まあまあ、それぐらい超高校級の御人好しで見逃してやれよ」ククッ

    苗木「それ、追い討ちをかけてるよね!」

    ガラガラ

    先生「静かにしろー、そろそろホームルーム始めるぞ」

    生徒「「「はーい」」」

    キンコーンカーンコーン

    こうして、一日が始まっていくのであった。



    僕は夕闇高校で沢山の友達が出来た、彼ら三人はその中でもかけがえない仲間である。


    そんな彼らと普段通りの、平凡な日常をこれからも繰り返すと僕は思っていた




    そんなある日


  9. 9 : : 2014/02/09(日) 23:57:09



    【苗木家】

    ガチャッ

    苗木「ただいまー」

    ドタドタ

    こまる「お兄ちゃん!!」

    僕の声を聞いて玄関に駆け寄ってきたのは妹である

    苗木「なんだよ、帰ってきていきなりうるさいなぁ」

    こまる「あのね!通知!通知!」

    苗木「通知?……とりあえず落ち着けよ」

    こまる「うん、こういうときは三回回ってワンって言うんだよね!」

    苗木「それは違うよ!」ビシッ

    こまる「あはは、冗談だよ じょーだん!」

    苗木「お前のは冗談に聞こえないんだって…、ところでどうしたんだ?」

    こまる「えっへへー、読んじゃうよー」

    そういってこまるは封筒から紙を取り出す

    そこに書いている宛先は…僕だ

    苗木(勝手に開けるなよ……)

  10. 10 : : 2014/02/10(月) 00:34:42

    こまる「苗木誠君 貴方は、第二の超高校級の幸運に選ばれました。」

    苗木「……えっ?」

    こまる「あと、色々書いてるけど後で確認しててね」スッ

    紙の束を僕に渡す

    受け取った紙には確かにこまるの言う通りのことが書いてあった…

    苗木「本当に?」

    こまる「本当に!」

    苗木「ほっぺた引っ張って」

    こまる「いえっさー!」ギュッ

    苗木「痛たたた!……ゆ、夢じゃない?」

    こまる「夢じゃない!!これみてお母さん「今夜はご馳走よ」って言って買い物行っちゃった!」

    苗木「そっか……」

    こまる「ん?お兄ちゃん嬉しくないの?」

    苗木「嬉しいよ…でも」


    頭の中で繰り返されるのは


    今朝学校で話したあの会話…


    苗木「誰かの不幸で免れた幸運なんて僕は…」

    こまる「はぁぁ…情けないよお兄ちゃん、ただでさえ前向きなことしか取り柄無いのに」

    苗木「なっ、だけって何だよだけって!」

    こまる「だって、妹に身長すら負けてるんだよ」

    苗木「ぐっ……ぐぬぬッ」

    苗木(チビで悪いかーーー!!!)

    実は、妹にすら身長で負けている僕だった…

    体重も多分負けているだろう…

    こまる「お兄ちゃーん…今すっごく失礼なこと考えてたでしょう…」

    苗木「エ?ナンノコト?」


    こまる「私、妹だから分かるんだよね…」スッ

    そう言って取り出したのは、拡声器であった

    苗木「今どっから取り出した!!」

    こまる「さあ、はりきっていきましょう!」

    苗木「ちょ、タン…」

    こまる「おっしおきタイムー!」ブンッ

    苗木「ギャーーーーー」



  11. 11 : : 2014/02/10(月) 16:59:02
    苗木ww
    期待!
  12. 12 : : 2014/02/10(月) 19:29:11
    >>11
    ありがとうございます!
    ゆっくりとろとろですが頑張ります!
  13. 13 : : 2014/02/10(月) 19:32:00



    〈次の日〉


    【夕闇高校】

    テクテク

    友達A「おーっす苗木……ってどうしたその顔!!」

    苗木「おはよう、…実は昨日寝れなかったんだ」

    友達A「何かあったのか?(青アザできてる…)」

    苗木「実は……いや、この事は教室で話すよ…」

    友達A「……そっか」

    テクテク

    【教室】

    友達B「で、話ってどうしたんだ?」

    友達C「昨日話してた通知が届きましたーっとかじゃないだろうな?」

    友達A「いや、苗木に限ってそれは無いだろう」

    苗木「…実はそうなんだ」

    友達A「ほら、苗木もこの通……ハァ?!」

    友達C「ええっと…冗談か?」

    苗木「ううん、本気だよ。」

    友達B「良かったじゃないか!!」

    苗木「……えっ?」

    友達A「なんだよ、その、えっ?ってまさか昨日言ってたこと本気なのか?」

    苗木「うん。だから…」

    友達B「断ろうってのか?」

    苗木「うん」

    友達A「バカか、せっかくのチャンス棒に振るなよ」

    苗木「で、でも!僕が断れば皆にもチャンスが回ってくるかもしれないんだよ!?」

    友達C「あー、無理無理それくらい自覚してる」

    友達A「どうせ断っても俺たちの全く知らない奴が選ばれるんだって」

    友達B「ああ、それなら、お前が行った方が良いと思うぜ」

    友達A「お前が、選ばれたのに何故か俺達も嬉しいもんな!」

    苗木「……」

    友達A「だけど、たまにはこっちにも顔だせよ!」

    友達B「お前は第一に夕闇高校の苗木誠なんだからな!」

    友達C「辛くなったら戻ってくれば良いんだしな」

    苗木「…皆」ウルッ

    情けないが、この歳になって本気で泣きそうだ



    友達ABC「「「だから、舞園ちゃんのサイン貰ってきてください!」」」ドゲザー

    苗木「台無しだよ!!!」

    涙は引いた

    友達A「よーっし!今日は苗木の家で徹夜で遊ぶぞー!」

    友達BC「おーーっ!!!」

    苗木「僕に拒否権は無いの?!!」


    ワイワイガヤガヤ


    ~~~~~~~

  14. 14 : : 2014/02/10(月) 19:32:56


    こうして、僕は希望ヶ峰学園の前に立っている

    今思えば彼らのあの気丈な態度は最後を湿っぽくしないための気遣いだったのかもしれない

    苗木「…今気付いても後の祭なんだけどね」テクテク


    僕は希望ヶ峰学園の門を潜る


    江ノ島(……ふーん、アイツが新しい幸運…うぷぷ)


    この時僕は気付くべきだったんだ


    ……全ての駒が揃ってしまったことに


    そして、平凡だった歯車が狂い始めたことに


    chapter1 end


  15. 15 : : 2014/02/10(月) 23:15:55
    新作ですね!
    期待です!
  16. 16 : : 2014/02/11(火) 06:43:06
    >>15
    ありがとうございます!
    今回はギャグ無…少なめです!
  17. 17 : : 2014/02/11(火) 06:43:24


    chapter2 二番目



    僕が学園に足を踏み入れた瞬間に飴細工のように視界が歪む………なんてことなく。


    そこには、僕を出迎えてくれる人が居た


    舞園「苗木くーん!お待ちしてましたよー!!」


    苗木「…ええっ!?」

    余りにも非現実過ぎて、反応に遅れる僕

    舞園「あ、あのどうかしましたか?」

    苗木「どうしたも何も…なんで舞園さんが!?」


    彼女の名前は舞園さやか。

    超高校級のアイドル

    国民的アイドルグループのセンター

    自慢では無いが彼女とは実は同じ中学である(喋ったことは無い)


    舞園「えへへ、苗木君が希望ヶ峰学園に入る話を学園長から聞いたので、お願いしちゃいました」ニコッ

    苗木「そ、そうなんだ」キュンッ

    ふう、危ない…危うくときめきかけるとこ…


    いや意地張らずに言うよ。

    ときめいた、ときめくに決まってるよ!

    舞園「あのー、とりあえず校舎に入りましょう。学園長と会うのが先決ですから」

    苗木「あっ、そうだった。そろそろ行かなきゃ…」ハァ

    楽しい時間の中止を余儀なくされ、ついため息が出る

    苗木(でも場所がよく分からないんだよなぁ…)

    舞園「もちろん案内しますよ!」

    苗木「あれ、僕声に出してた?」ハッ

    舞園「いいえ、苗木君の心を読みました」

    苗木「読心術!?」ギョッ

    舞園「違います…。エスパーですから!」ニコッ

    苗木「え?」キョトンッ


    舞園「冗談です。ただの勘ですよ」フフッ

    苗木「だ、だよね、あはは…」

    舞園「さあ、苗木君行きましょう?」スッ

    彼女から差し出される手

    つまり…

    苗木「え、あっ…」ワタワタ

    恥ずかしながら緊張でワタワタしてしまう。


    舞園「もう、そこはすぐに握り返さなきゃ」ギュッ

    苗木「ひゃっ…(…柔らかい)」

    舞園「アイドルですから」ニコッ

    苗木「また心読まれちゃったよ!」

    舞園「えへっ、苗木君が分かりやすいだけですよ。さあ行きましょう」テクテク

    苗木「そ、そうなのかなぁ?」テクテク

    案外本当にエスパーなのかもね…



    【校内】

    ジーー…

    桑?「アイツが新しい超高校級の幸運か…いきなり舞園ちゃんと仲良くしやがってぇ!」ゴゴゴ

    ?枝「あはは、新たな幸運…ああ…楽しみだなぁ!彼はどんな希望を見せてくれるのかなぁ!!」アハハハハ

    山?「舞園さやか殿がやられましたか。…だが奴は四天王の中でも最弱!」フンッ



    日向「…なんだ、この安い芝居」


  18. 18 : : 2014/02/12(水) 23:06:55





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    【学園長室前】

    コンコン

    学園長「どちら様かな?」

    苗木「あの、苗木誠です」

    学園長「ああそうか、入ってもらっても構わないよ」

    苗木「はい。」

    舞園「私ここで、待ってますね」

    苗木「あ、うん。わかったよ」


    ガチャッ

    苗木「失礼します」

    学園長「ああどうぞ、そこに座ってくれ」

    苗木「は、はい」


    霧切 仁

    希望ヶ峰学園現学園長

    若い

    実質会うのは二回目である


    学園長「君をここへ呼んだのは、新たに説明しないといけないことが増えたからだ…」

    苗木「新たに説明しないといけない…ことですか?」

    学園長「ああ…心して聞いてくれ」

    苗木「はい。」ゴクッ

    学園長「実はね…」

    苗木「………」

    学園長「…君は二ヶ月でこの学園を去ってもらうことになるかもしれない…」

    苗木「へ?」

    予想の斜め上を言われ、

    僕の喉からは僕のものとは思えない声が出た


  19. 19 : : 2014/02/13(木) 17:24:18




    苗木「ど、どういう」

    学園長「すまない。説明が足りなかった…」

    学園長「順を追って説明させてもらうよ」

    苗木「は…い。」

    学園長「まず、君がこの学園に入学出来ることになった理由…わかるね?」

    苗木「はい…、前の超高校級の幸運が死んだからとかなんとか…」

    学園長「その通りだ…。辛い言い方をするが…」

    学園長「君は死んでしまった彼女の“代わり”としてこの学園に来たわけだ」

    苗木「そのことなら十分理解しています」

    学園長「…そうか。じゃあそろそろ本題に入ろう」

    苗木「僕がこの学園を去るかもしれないことについて…ですね」

    学園長「ああ、そうだ。実はね、君の入学を良く思ってない人がいるんだよ」

    苗木「良く思っていない人?」

    学園長「予備学科の面々だよ。代わりに入れた君のことを目の敵にしている…らしい」

    苗木「らしい…ですか」

    学園長「ああ、らしいというのは、きょ…ある人に調査をしてもらった結果なんだ」

    学園長「そして、彼らにはこういう思想があるらしい。『アイツが居なくなれば、次は自分達が選ばれるかもしれない』とね。」

    苗木「アイツ…つまり僕」

    学園長「その通りだ。話が早くて助かる」

    苗木「でも、それと僕がこの学園を去るのと何の関係が?」

    学園長「君には大変酷な話なんだが…二番目の君が超高校級の幸運を示せなかったら、三番目を募る必要がないんだ…」

    苗木「…!」


    僕は、わかってしまった。

    つまりタイムリミット

    二ヶ月の間に僕が何も出来なかったり…死んだとしたら

    僕の代の超高校級の幸運は、もう居ないことになる

    そして抑止力でもある。

    これで予備学科の人は僕に手を出してこない

    まあ、そんな野蛮な人がいるとは思えないけど…

    だが、それ以前に僕が…こんな不運な僕が幸運なんて示すことができるのか?


    学園長「すまない。私も抗議したんだ。しかし、評議委員のお偉方が決めたことは、そう簡単には覆せなかったんだ…」

    苗木「いや、全然大丈夫ですよ!もともと入れたことすら奇跡みたいなものですし!」

    学園長「……本当にすまなかった。話はこれで終わりだ」

    苗木「わかり…ました。ではこれで失礼します」テクテク

    ガチャッ

    そうだよ。学園長は悪くない。全ては僕の運が悪いからなんだ…僕が二番目だから…

    そんな強引な事故解釈をしたのち

    苗木「失礼しました」

    学園長「ああ」

    バタンッ


    僕は学園長室を後にした





  20. 20 : : 2014/02/13(木) 19:29:59





    Now Loading


    【学園長室前】

    舞園「あっ、苗木君」

    苗木「待たせてごめんね」

    舞園「いえ大丈夫ですよ…それより何かありましたか?」

    苗木「!…ごめん。今は…」

    舞園「そう…ですか。わかりました!話したくなったらいつでも話してくださいね」ニコッ

    苗木「うん…ごめん」

    舞園「もう!そんなにテンション下げてちゃダメですよ!これから皆と会うんですから」

    苗木「そっか、これから78期生の皆と会うんだったね」

    舞園「軽い自己紹介なんかもしたりしますよ」

    苗木「…何も考えてないや……どうしよう」

    舞園「だ、大丈夫ですよなんとかなります!」

    苗木「なんの根拠が?!」

    舞園「エスパーですから!」

    苗木「すっかり持ちネタだね…」アハハッ

    舞園「やっと、笑ってくれましたね」

    苗木「え?、じゃあさっきの会話は…」

    舞園「皆に笑顔を与えるのがアイドルですからね」ニコッ

    苗木「舞園さん…」

    舞園「さあ、行きましょう!皆が待ってます」

    苗木「うん!」


    彼女と話すことで僕の不安は大分解消された

    そうだよ。前向きなのが僕の取り柄なんだ…

    苗木「こんなところで諦めてるわけにはいかないよな!」


    舞園「苗木くーん!こっちですよー!」

    苗木「あっ、ごめん」タッ


    こうして僕らは教室に向かった




  21. 21 : : 2014/02/13(木) 21:03:56



    【教室前】

    苗木「舞園さん先に行っちゃったから、途中から一人だったよ…」ハァ


    苗木「ああ…凄く緊張する」

    少し開いた扉の前で僕は右往左往していた

    苗木「やっぱり、最初は自己紹介からかな…そして、趣味……あーっ僕はなんでこんな王道なのしか思い付かないんだろう…」

    本当平凡なことが恨めしい!

    …でも

    迷ってても、しかたない!

    やればなんとかなる!

    苗木「よしっ!」

    こうして僕は扉に手をかけた


    ガラガラッ!!


    希望に満ち溢れて教室に入った僕を待ち受けていたのは…


    溢れんばかりの拍手でも耳に響くクラッカーでもなく




    ポスッ




    黒板消しだった



  22. 22 : : 2014/02/13(木) 23:47:33
    どっひゃー!支援です!引き続き頑張ってください!
  23. 23 : : 2014/02/14(金) 00:47:34
    >>22
    ありがとうございます!
    ペースが遅くてすいません、(笑)
  24. 24 : : 2014/02/14(金) 00:47:40




    江ノ島「うぷぷぷ!こんなブーヒートラップに引っ掛かるなんて絶望的だな!!」

    戦刃「盾子ちゃん、可哀想だよ。でも戦場ならもう死んでる」

    苗木(戦…場?)

    葉隠「あれー、俺の占いだと避けれるってでたんだけどよ…俺の占いは三割当たる!!」

    山田「つまりそれは…七割引っ掛かるということですぞ」

    大和田「ひゃっはっは。まぬけだぜ!」

    腐川「ふふふ…バカよ…バカの極みだわ!!」

    セレス「全くどんくさい人ですこと…」

    十神「愚民どもの考えることは訳が分からんが、こんな安い仕掛けに引っ掛かるお前も分からんな」

    桑田「ぶはは、だせぇー!!」


    苗木「あ、あはは…」


    苗木(こまる……お兄ちゃんさっそく心折れそう)



  25. 25 : : 2014/02/14(金) 22:41:01



    まあ、こんな風な人もいれば心配してくれる人もいるわけで

    石丸「こらー!君たち!!黒板消しを遊びに使うんじゃない!」

    苗木「怒る所そこなの?!」


    不二咲「ええっと…大丈夫?」

    苗木「ああ、うん。大丈夫だよ」


    舞園「ごめんなさい…私が止めておけば」

    苗木「本当に大丈夫だから、気にしないでよ」


    大神「ふっ、身のこなしがまだまだだな…だか、災難だったな…」

    苗木「そんな…災難って程じゃないよ」


    朝日奈「全く…皆酷いよね!」

    苗木「悪意は無いっていうのはちゃんと分かってるから…大丈夫だよ」ニコッ


    イタズラした皆「!!」ザワッ


    大和田「あー、その悪かったな…」

    苗木「ううん。気にしてないから大丈夫だよ」


    山田「全く皆には困ったものですぞ!」

    苗木(他人事…)


    葉隠「くぁー、賭けに負けちまったべ!」

    セレス「フフフ、私に勝とうなんて百年早いですわ」

    苗木(反省の色無し!?)


    戦刃「…良い笑顔」

    苗木(なんで感想!?)


    腐川「眩しい…眩しいわぁー!!」

    十神「お前は黙っていろ」

    腐川「はいぃ!ありがたいお言葉!!」

    苗木(なにこのやりとり!?)


    江ノ島「あーあ、何その反応つまんないの~」

    苗木「あはは、つまんない…のかな?」

    江ノ島「はぁーあ、まあ良いんだけどね…」

    苗木「良いんだ…」


    …よく分からない人だ
  26. 26 : : 2014/02/15(土) 18:13:10




    石丸「うむ。空気も改まったことだし、自己紹介から始めよう!では頼んだぞ!」

    苗木「あ、うん。」カッカッカッ

    一定のリズムで黒板に字を書く僕。

    お世辞でも綺麗と言えないこの字

    コトッ

    苗木「始めまして、僕の名前は苗木誠です!」

    これが、僕が希望ヶ峰学園で初めて“みんな”に向けて発した言葉だった


    そして、お互いの自己紹介や軽い質問が終わったあとに気付く。


    苗木「あれ?空席が1つあるけど…」

    舞園「そこは、霧切さんの席ですね」

    苗木「へぇー」

    桑田「可愛いんでけど取っ付きにくいんだよなぁ」

    腐川「ふふふ、あんなのただのボッチじゃない…」

    江ノ島「まあ、残姉も似たようなもんだけどね」

    戦刃「……酷い…反論できないけど」

    葉隠「その上騙しにくいべ!」

    十神「超高校級の探偵であるがうえか…だがこの俺には及ばんがな。所詮探偵だ」

    苗木「ね、ねえ!そんな皆そんな言い方良くないんじゃないかな?」

    石丸「そうだぞ!陰口反対!!」ビシッ

    葉隠「別にそんな風な意味で言ったんじゃないべ。ただ、苗木っちに分かりやーすく説明しただけで」

    苗木(いきなり苗木っち!?)

    苗木「そういえば、霧切って…学園長と…」

    狛枝「霧切さんと学園長は親子の関係だよ」

    苗木「ええ!そうなの?!」

    狛枝「まあ、あまり仲はよろしくないかもだけどね…」

    苗木「へぇー、そうなんだ……ところで誰?」

    狛枝「ああ、自己紹介が遅れたね。僕は狛枝凪斗。超高校級の幸運だよ」

    苗木「!!」


    僕の前に現れたのは…本物の幸運。


    “二番目”なんかじゃなく“一番目”の…幸運


    そんな本物の彼が僕に向けて、こう言う













    狛枝「ねえ、苗木君…僕と勝負しない?」


  27. 27 : : 2014/02/15(土) 18:14:53
    中×
    仲◯
    やらかしました。
    (編集しました)
  28. 28 : : 2014/02/15(土) 20:48:12





    苗木「……うん。分かったよ」

    正直な気持ち、僕も自身の幸運がどれだけ通用するか試したかった

    ………“二番目”の幸運がどれ程のものか

    狛枝「さあ、君の希望を僕に見せて!!」




    五月中旬




    幸運VS幸運がここに開幕した






    …が、




    結果は惨敗だった



  29. 29 : : 2014/02/17(月) 14:29:59



    苗木「………」


    負けた。


    コイントス

    トランプゲーム

    ロシアンルーレット


    全てにおいて…負けた


    狛枝「…期待外れだね。こんなゴミみたいなボクに負けるなんて」

    苗木「あはは…かもね」

    狛枝「でも、君の希望はそんなものじゃないってボクには分かってるよ!」

    苗木「そんな、こんな平凡な僕なんかに…」

    狛枝「…いや、君はあの予備学科達なんかとは決定的に違う何かがあるはずだよ…」

    苗木「それって……何?」

    狛枝「それは君が見つけなきゃ…それじゃあね!」タッ


    そう言い放つと、狛枝君は教室をあとにした。


  30. 30 : : 2014/02/17(月) 17:23:13




    舞園「……ところで、彼は何だったんでしょうね?」

    苗木「………」

    舞園「どうかしましたか?」

    苗木「えっ?…あ、ううん。なんでもないよ」

    舞園「そう…ですか」

    桑田「つうかよお!てめぇなんで、そんな舞園ちゃんとベタベタしてるんだっつぅーの!」

    舞園「許嫁です」ギュッ

    苗木「ま、舞園さんっ!?」

    桑田「ブべらッ!!」バタッ

    葉隠「うわぁあ!!桑田っちが血を吹きながら倒れたべ!」

    十神「………なん…だと?息をしていない!!」

    山田「人工呼吸!!人工呼吸ですぞ!!」

    腐川「わ、私は嫌よ!!アンタ達がしなさいよ!」

    大和田「男同士のキスなんざ見たくねえよ」

    大神「………むっ…しょうがない我が!!」スッ

    桑田「蘇生!!!!」ガバッ!

    朝日奈「あ、生き返った」

    石丸「男女の接吻を未然に防げたぞ!関心関心」

    朝日奈「本当だよ。さくらちゃんのファーストキスが桑田なんて可哀想だよ」

    大神「そのことなのだが…」

    不二咲「何かあったの?」

    大神「先週…ケンイチロウと…」

    朝日奈「キャーっ、ついにだね!」

    ワイワイガヤガヤ!!


    江ノ島「つうか、ホントに許嫁なの?」

    苗木「違うよ!ただ中学が一緒だったんだ」

    江ノ島「…なーんだ、絶望的に普通ぅ~」

    舞園「でも、桑田くんには良い薬になりましたね」

    苗木「あはは、……まさか血を吹くなんてね」


    寧ろ薬じゃなくて毒なんじゃ…


  31. 31 : : 2014/02/17(月) 23:03:35



    ーーーーーーーーー

    【教室前廊下】

    狛枝(彼には超高校級の才能を持つ皆と同じように特有のオーラがあった…だけど、ただの幸運とは違うような…何かが)

    日向「おーい、狛枝」

    狛枝「あっ、平凡代表の日向くん!!」

    日向「おまっ…のっけからそれかよ」ハァ

    狛枝「それでどうかしたの?」

    日向「いや、新しい幸運の奴に挨拶でもしようと思って」

    狛枝「日向くん…他学年のパンツも狙ってるの?」

    日向「ば、バーロー、んなわけねぇだろーが!」

    狛枝「日向くん…演技下手すぎ。本当に日向くんには困ったものだよ…」

    七海「全くだよ…日向くんは【超高校級のパンツハンター】…だよ」

    日向「七海ぃぃお前までそんなこと言ったら俺泣いちゃうぞ!!」

    七海「…う~ん……冗談…だよ?」

    日向「せめて断言してくれー!!」


    【教室前】


    霧切「……なにかしら?あれ」

    1つ上の先輩たちの謎の会話

    霧切(……パンツ?)

    霧切「まあ、良いわ。取り敢えず新しい幸運の人が来るらしいわね。確か舞園さんと同じ中学の人らしいけど…」

    霧切(………)

    思い出すのは昔の苦い経験。

    そして霧切は自身の両手を覆う布に目を向ける

    霧切「……やはり、関わりすぎないようにしないと…」


    ガラガラ

    そんな独り言を吐きながら霧切は扉に手を掛けた




    ーーーーーーーーー


  32. 32 : : 2014/02/18(火) 21:30:59
    テレレレレーン♪

    【モノクマシアター】

    モノクマ「あっ、言い忘れてたけど、この物語には作者の妄想設定が含まれるよ」

    モノミ「い、今更言うなんて外道の極みでちゅ~!!」

    モノクマ「後付けじゃないからね!ほんとだからね!」ボヨヨーン


    ーーーーーーーーーー


  33. 33 : : 2014/02/18(火) 23:59:42




    Now Loading



    【教室】

    ガラガラ

    ワイワイと騒がしかった教室はその音を聞き

    一瞬静まりかえる

    ………が周りの皆は何事も無かったかのように会話を続ける

    霧切「………」

    そう……何もなかったかのように

    苗木「……」

    かくいう僕もそんな彼女に声を掛けることが出来なかった…



    ………衝撃的過ぎて




    そりゃあ、人生生きていれば何度もそんなことあるだろう…


    売れっ子現役アイドルと同じ中学になる


    そんな彼女との再開


    もちろん、二番目の幸運として選ばれただって、衝撃的だ


    一言で表せないくらいに衝撃的


    だけど、ようはそれは言葉で表せることなのだ


    だが、これは違う……本当に言葉を失うほど


    言葉に言い表せない程の衝撃


    まるで、マンガやアニメのようなシチュエーション



    だけど、感動と言えるかは分からない………【再会】




    一言で説明できるけど、あえて長文で説明させてもらう。



    これは四年前…僕がまだ中学一年生だった頃の話だ

  34. 34 : : 2014/02/19(水) 22:53:37


    ~~~回想~~~

    …………………………………

    ………………………

    ………………

    ……




    【苗木病院】


    ??「………」

    医師「気分はどうだい?」

    ??「…大丈夫です」

    医師「手は痛むかね?」

    ??「もうほとんどありません」

    医師「……そう…か、何か変わったことはあったかい?」

    ??「別に…」

    医師「そうか、また来るよ」

    ??「………ええ」


    そんな淡白な返事しか返さない少女はよく見ると中学1年生ほど、


    ??「…………」



    そんな彼女は…窓を…正確には窓の外を見つめていた…


    ……この世に絶望したような顔をしながら…


    ??「…………さま…」ポツリッ



  35. 35 : : 2014/02/22(土) 01:04:52


    ーーーーーーーーーー





    Now Loading


    【苗木家】

    苗木「始めまして、僕の名前は苗木誠だ」

    苗木「あーあ、もうすぐ二年生だしクラス替え嫌だなぁ」ハァ

    コンコン

    苗木父「おーい、誠ー!」

    ガチャッ

    苗木「どうしたの?」

    苗木父「いや、……お前に会ってほしい人がいてな」

    苗木「え…誰?」

    苗木父「響子ちゃんって言うんだけどな…」

    苗木「……女の子…?」

    苗木父「ああ」

    苗木「…それならこまるの方が」

    ドタドタドタ

    ガチャッ

    こまる「お兄ちゃんまた何か私に押し付けるつもりでしょ!」

    苗木「またって何だよそれは、お前だろ!……こまるは小学生なんだから早く寝ないと背が伸びないぞ…」

    こまる「むぅー…。小5までおねしょしてた癖に…」

    苗木「えっ!?どこでそれを!?」

    苗木父「話を戻すぞ…」ハァ

    苗木「ああ、うん」

    苗木父「こまるが、行くことも考えた………が、デリケートな問題なんだ。やはり歳も同じ誠が行く方が良いだろう…」

    凄みがあって、断りにくい…いや別に断る理由は無いけど…

    苗木「……うん、わかった」

    それと、同い年なんだね

    苗木父「そうか、良かった。」

    苗木「それで、いつ行くの?」

    苗木父「明日だ」

    苗木「凄く急だよ!!」

    苗木父「………頼んだぞ」

    苗木「……分かったよ。」


    ~~~~~~~~



    〈次の日〉

    【苗木病院】

    ここは、僕のお父さんの働く病院である


    僕は昨日言われた彼女の病室前で立ち尽くしていた


    苗木「……勢いで返事したけど、大丈夫かなぁ」ドキドキ


    僕、女の子と話すのが特別上手いわけじゃないし…


    苗木「………いや…考えてても仕方ないよね。」ドキドキ

    スッ

    一度深呼吸をし、扉に手を掛ける……

    苗木「行くしかない………希望は前へ進むんだ!」


    ガラガラ


    こうして、僕は一気にドアを引き開けた!!



    が、

    この時僕は忘れていたことがひとつあった



    普段なら忘れることのない簡単な行為



    だが、この時僕は緊張のあまり普段の思考が取れなかった



    そう、僕が忘れていたのは………





    ………ノックだ




    ??「…………」ヌギヌ……ピタッ


    苗木「…!/////」ポンッ



    まるで、漫画やアニメのような状況だった


    苗木「細く白い四肢、違和感のある手袋、強調性のない慎んだ胸に、地味でも派手でもない下着。
    髪は、やや薄紫がかっていて絹のような手触りをしていそうだ」




    つまるところ僕は………彼女の着替えに鉢合わせした



  36. 36 : : 2014/02/22(土) 15:56:15


    苗木「わっ!わっ!僕何も見てないから!!」ブンブン


    もちろん嘘だ。

    あまりにもキレイで実況した


    ??「……………でてっくれない?」ジトッ

    当然の反応である

    苗木「あっ……あはは、そうだよね。ごめん」

    ガラガラ

    そう謝罪しながら僕は部屋を後にした



    苗木「はぁぁ…」

    廊下で一人ため息をつく僕

    苗木(ああいうのの後って王道的にいけば、ビンタか叫び声をあげられるんだけどな…まあ平和に終わって良かった良かった)

    ガラガラ

    苗木「うわっ!」

    何の脈絡もなく扉が開く

    ??「……私に用があるんでしょ?」

    苗木「う、うん!」

    ??「………」スタスタ

    彼女は扉を開きっぱなしのまま、自身のベッドに戻る

    つまり、入れ………ということなのだろう。

    苗木「……お邪魔します」

    こうして、僕は改めて彼女の病室に入った。



  37. 37 : : 2014/02/22(土) 22:55:38


    【病室 205室】

    ??「……まず、貴方はなんで正座しているのかしら?」

    苗木「………いや反省を態度で表そうと思って」正座

    ??「別に良いわ…靴下の中を見られたわけじゃないから…」

    苗木「君のその考えたはおかしいよ?!」

    ??「………そう」

    あっさりとした反応だな…

    苗木「ところで…本当に今更なんだけど、君…響子ちゃん…だよね?」

    響子「……そうよ。」

    苗木「………出来れば上の名前呼ばして貰って良いかな?」(上の名前知らないけど…)

    響子「……………」

    『………霧切ちゃん…!』

    響子「………………」ダラダラ


    この時期なのに大量の汗を流す彼女

    苗木「ねえ…大丈夫?」

    僕は思わず声をかけた

    響子「!……え、ええ」

    それでも帰ってきたのは淡白な返事

    苗木「とりあえず、名字を教えてもらっても…」

    響子「………響子でいいわ。」

    苗木「えっ?」

    響子「響子で良いって言ったのよ」

    苗木「で、でも…」

    響子「今は…名字で呼ばれたくないのよ…」

    苗木「………う、うん。わかったよ」


    苗木(なにか、複雑な事情があるのかな?)


  38. 38 : : 2014/02/23(日) 15:50:32


    名前もそうだけれど、もう1つ気になることがあった


    苗木「あのー、出来れば此方を見て会話してくれないかな?」

    響子「……嫌よ」

    彼女は、僕の反対側にある窓の外を凝視していた

    そして、此方を向こうとしてくれなかった

    苗木「あのさっ」スッ

    響子「近付かないで!!」

    苗木「…!」ビクッ


    ……ただの中学生である僕にも分かった

    …彼女は何かとんでもない事情を抱えている



    だけど、分かったところで何かできる訳じゃない…



    所詮僕はただの平凡な中学生なのだから



    苗木「…ごめん」

    だから、僕は謝ることしかできなかった。

    我ながら情けない

    響子「………私の方こそ、いきなり怒鳴ってごめんなさい…」クルッ

    こちらを見て謝る彼女

    苗木「そんな!謝らなくていいんだよ!何か……君にも事情がありそうだし…」オロオロ

    響子「………苗木先生から話を聞いてないの?」

    苗木「えっ!?なんで父さんの名前を?」

    ちなみに僕の父は教師ではなく医者だ。

    わかりきったことだよね


    響子「貴方が来ることを聞いていたのよ…」

    苗木「あー、そうなんだね」


    なるほど

    部屋に入れてくれた理由がやっと分かったよ…


    響子「それで。苗木先生から貴方は何か聞いてるわけではないの?」

    苗木「うーん…特に無いかな…。昨日いきなり言われたし、あっ!同い年らしいよ僕たち!」

    響子「……そう…なの」

    苗木「ねえ、君は何か父さんから聞いてないの?」

    響子「明日息子が来るから、お喋りに付き合ってくれ…って言われたわ。何度か断ったのだけど…渋々…ね」

    苗木「あはは…そうなんだ…」

    本人の前でとんでもないことにカミングアウトするんだね…


  39. 39 : : 2014/02/23(日) 15:52:41

    響子「………それで、何を喋るの?何も無いのなら帰ってもらった方がありがたいのだけど…」

    苗木「ぐっ……」

    会話を絞り出すんだ!苗木誠!!

    傷付いてなんかいないぞ

    苗木「……あっ!そうだ!なんで響子ちゃんは入院してるの?」

    自分で言ってて何だけど凄く違和感あるんだよな…響子ちゃんって呼び方………なんでだろう?

    響子「…別に良いじゃない…」ムスッ

    苗木「……あれ?」

    地雷踏み抜いた感じなのかな…コレ

    響子「本当に何も知らないのね…」ハァ

    苗木「なんで僕はため息をつかれたの!?」

    響子「結論からすると、言いたくないわ」

    苗木「…そっか」

    響子「あっさり退くのね」

    苗木「うん。本当に嫌そうだったからね」

    響子「はぁ…貴方よく分からないわ…」

    苗木「な、何が?」

    響子「空気が読めるのか読めないのか…よ」

    苗木「何その曖昧な評価!?」

    響子「とりあえず。帰ったら?そろそろ頃合いのいい頃だと思うけど…」

    苗木「うーん…そうだなぁ…」

    響子「………」ジトー

    そんな目で見ないでよ…

    苗木「分かった!今日は帰るよ」

    響子「……今日は?」

    苗木「うん!また来るからね」

    響子「……」ジトー

    苗木「な、何?その嫌そうな顔…」

    響子「そのままの意味よ。とりあえずさよならね」

    苗木「……うん!またね!」タッ

    こうして僕は病室を後にし家へ帰った



    響子「………『また』…か」ボソッ

    そう呟きながら霧切は窓の外をただただ見ていた




  40. 40 : : 2014/02/23(日) 19:58:43
    期待!神ss!
  41. 41 : : 2014/02/23(日) 21:58:43
    >>40
    ありがとうございます!
    神SSになるのは不可能だと思いますが、できる限り期待に添えれるように頑張ります!(





    ~~~~~~~~


    〈次の日〉


    苗木「というわけで、来たよ」

    響子「ペース的に早すぎるわよ。これじゃ『また明日』じゃない!」

    苗木「あはは、その通りだね」

    響子「今…春休みかしら?」

    苗木「そうだよ。だからいつでも来れるんだ!」ドヤッ

    響子「貴方も、よっぽど暇なのね」

    苗木「それは違うよ!」

    響子「あら、『自分は暇じゃないよ』と言うつもりかしら?」

    苗木「違うよ。僕は暇だからここに来ているわけじゃないんだよ…ここに来るのは君に会うためにだよ」ニコッ

    響子「…ふ…ふぅーん。そう…なの。苗木君はどこぞのナンパ師のようね」

    苗木「ええ!?」



    その後、僕らは他愛の無い話をした


    ……………………………………

    …………………

    …………

    ……


    苗木「じゃあ時間も時間だし。そろそろ帰るね!」

    響子「ええ、気を付けてね」

    苗木「うん。ありがと、またね!」ブンブン

    響子「ええ」ヒラヒラ


    ガラガラ


    一気に静まり返る病室


    響子「………」


    その日も霧切は窓の外を見つめていた。


    だがいつもと違うところが1つあった


    苗木「………」タッタッタ


    それは、その視線が一人の少年の背中に向けられていたことである




    ~~~~~~~~~





  42. 42 : : 2014/02/23(日) 21:59:03


    ~~~~~~~~~



    〈次の日〉

    ガラガラ

    苗木「というわけで!!」

    響子「……来ると思っていたわ」ハァ

    苗木「来ていきなりため息つくのは、やめてくれないかな…あっそうだ!差し入れだよ」コトッ

    響子「コーヒー?」

    苗木「うん。昨日好きだって言ってたから」

    響子「………睡眠薬とかが入ってるんじゃないかしら?」

    苗木「謂れの無い疑いだ!? そんなことしないよ!」ガタッ

    響子「ふふ、冗談よ。丁度喉が渇いてたし感謝してるわ」ゴクッ

    苗木「………」ジーッ

    飲んでる様が絵になるなぁ…

    響子「…何?」ジロッ

    苗木「あ、いや何でもないよ」

    鋭すぎだよ…

    響子「ところで、貴方の持っているのは……」

    苗木「コーヒー牛乳だよ。実はコーヒー飲めないんだよね」キラキラ

    響子「そんな嬉々として話すことじゃないと思うのだけど…」フフッ



    その後、やはり僕らはまた他愛の無い話をして過ごした


    …………………………………

    ……………………

    ……………

    ………


    苗木「今日は凄く話し込んじゃったね。じゃあ僕はそろそろ…」

    響子「ええ、苗木君……ま…」

    苗木「ま?」

    響子「…またね」


    苗木「ッ!!」ガタッ


    響子「何よ…その反応」

    苗木「今…『またね』……って言ったよね?」

    響子「……言ったわ」

    苗木「本当の本当にだよね!?」

    響子「ええ、言ったわよ!」

    苗木「もう一回だけ言ってくれない?」

    響子「………またね…」

    苗木「うん!また明日ね!!」

    響子「明日も来るのね…」フフッ


    そんな嫌み事のように言いながらも、彼女は笑っていた。


    …僕は、なによりそれが嬉しくて堪らなかった



    次の日もまた必ず来よう。





    そう心に誓った僕に、無慈悲と言っても良いほどの不運が訪れる


  43. 43 : : 2014/02/25(火) 02:30:15


    ーーーーーーーーー




    【苗木家】

    苗木父「ただいま」

    苗木「おかえり!」

    苗木父「ああ。それにしても誠よくやったな」

    苗木「……なにを?」

    苗木父「響子ちゃんがな…よく喋るようになったんだ」

    苗木「そんなんだ」

    苗木父「明日も行くのか?」

    苗木「うん!そうだよ」

    苗木父「そうか。きっと響子ちゃんも喜ぶぞ!」

    苗木「あはは…喜んでくれてるのかな」

    苗木父「父さんにはわかるぞ!彼女は喜んでいる!」

    苗木「なんの根拠があるんだよ…」

    そんなことを言いつつ内心喜んでいるのは内緒だ

    苗木父「あ、それと父さん明日からしばらく出張だから」

    苗木「そうなんだ」

    ドタドタ

    バタンッ

    こまる「お父さん出張なの?お土産なの?」

    苗木「相変わらず地獄耳だな…それと『お土産なの?』ってなんだよ」

    苗木父「ああ、出張だ。お土産は楽しみにしていてくれ」

    こまる「わーい!」パァッ

    苗木「本当に現金なやつだな…」

    こまる「私お金じゃないよ!」

    苗木「日本語を習い直せ!」

    こまる「今小学校で習ってるんだよ!」ロンパ!!

    苗木「なっ!」break


    実の妹に論破されるとは……


    苗木父「ああ、そうだ。ここの所物騒だから、戸締まりと家を出るときには気を付けるようにな」

    苗木「言われなくても分かってるよ…」

    こまる「うん!」


    流石の不運な僕でも、


    誘拐されたり、通り魔に襲われたりするわけないよ





    どんなに不運でも…きっと





  44. 44 : : 2014/02/25(火) 23:27:26




    Now Loading



    〈次の日〉


    【苗木家】

    父さんは朝早くに出張に行った


    そして僕は準備をしていた

    もちろん病院に行く準備をだ

    こまる「ふぁ~…お兄ちゃん早起きだね」ウトウト

    苗木「11時回ってるんだけど…お前が遅いだけだろ…」

    こまる「連休なら普通だもん!」

    苗木「はいはい、戸締まりはしっかりしたし。こまる、知らない人が来ても出ちゃダメだぞ?」

    こまる「わかってるよ!お兄ちゃんも誘拐されないように!」

    苗木「されるわけないだろ!じゃあ、行ってきます」

    こまる「いってらっしゃ~い!」ブンブン

    ガチャンッ


    苗木「よしっ!」タッ

    そんな意気込みとともに僕は駆け出す

    苗木「はぁはぁ」タッタッタ

    彼女が待ってくれている…

    それだけでも僕の脚は羽が生えたように軽かった

    彼女と今日はどんな話をしよう

    そんなことを考えながら進む僕の思考は…



    プップゥゥウウウウウ!!!



    苗木「え?」


    ガシャァアアン!!


    1つのクラクションと全身を鈍器で殴られたような痛みによって掻き消された



  45. 45 : : 2014/02/25(火) 23:40:23


    簡潔に言えば轢かれたのである


    ドサッ!!

    …轢き飛ばされた僕は受け身すら取れず背中から落ちた


    それなのに、痛みは感じない


    それでも、雲1つ無い空も心配そうに駆け付ける人達の姿をはっきり視認できた……のだが


    その駆け寄って来た人たちが何か言っているようだけれど、僕にその声は届かなかった…


    何も…聴こえない


    苗木「………」


    徐々にぼやけていく視界


    苗木(ああ…僕死ぬのかな…)



    通り魔でも誘拐でもなく、事故。



    別に飛び出したわけでは無いのに…



    なんの脈絡も無い展開



    一言で言うならただの……





    ………不運



    苗木(約束………守れなかったなぁ……ごめん……ね…)




    苗木「……………」ガクッ







  46. 46 : : 2014/02/26(水) 21:25:59




    …………………………………………

    …………………………

    ……………

    ………



    【病室】

    苗木「……」パチッ

    視界に映るのは、夕焼けでやや赤みがかっている見覚えの無い天井

    苗木「……う、うぅん…?」パチクリ

    こまる「あっ!お母さん!お兄ちゃんが!!」ブワッ

    苗木母「誠くん…」ブワッ

    隣には、こまると母さんが居た

    よく見るとここは、病院の一室のようだった

    苗木「僕は……生きてる?」

    こまる「生きてるよ!凄く生きてるよ!」

    苗木「あ、あはは、…意味がよく分からないや」

    苗木母「とりあえず、先生の所へいきましょう」

    苗木「う、うん。」

    この後、

    僕は医者から衝撃的なことを言われるとは

    当時の僕は思いもしなかった



  47. 47 : : 2014/02/26(水) 22:15:36




    ~~~~~~~~



    【診療室】


    医師「外傷はかすり傷だけだね」

    苗木「!?」

    衝撃的なことを言われた

    『死ぬかも』とか思っていた自分が恥ずかしい!

    こまる「さすがお兄ちゃん!」

    苗木母「さすが誠くんだわ」

    褒めているのか茶化しているのか、二人は僕に向かってそう言う

    苗木「恥ずかしいからやめてよ…」

    医師「だけど、少なからず中の方は轢かれた衝撃で色々なっていると思うから激しい運動や食事はとらないように」

    こまる「検査…しないの?」

    医師「ああ、大丈夫。これから行うよ」

    医師「じゃあ、着いてきてくれ」スタスタ

    苗木「は、はい」スタスタ


    その後行われたのは簡単…とは言い難いが、切開などでは無い検査だった。


    そして、


    医師「中で出血などは無かったけどやはり食事や激しい運動は控えるように…」

    苗木「…わかりました」

    医師「では、お大事に」

    苗木「ありがとうございました」ペコッ


    ガラガラ


    こうして、僕は診療室を出た

  48. 48 : : 2014/02/27(木) 22:27:07



    【病院廊下】

    苗木母「誠くんも無事だったし。お父さんも居ないし今日はすき焼きよ!」

    こまる「やったー!」ピョーンピョーンッ

    苗木「二人は先生の話を聞いてたの?!」

    こまる「お母さん、喉乾いちゃったからジュース買ってぇ!」

    ガン無視かよ…

    苗木母「良いわよ。誠くんは、温かい飲み物が良いのよね…コーヒーかお茶しかないけど…」

    苗木「あ、僕コーヒー飲め………ーーッ!」


    その時僕は思い出す



    いや、逆になんで忘れていたんだ



    彼女との約束のことを……



    …そして




    彼女自身のことを



    苗木「くそッ!!」ダッ

    こまる「お兄ちゃん!?」


    こまるの声に答えることもなく僕は廊下を駆け出した





    彼女の病室を目指して



  49. 49 : : 2014/02/28(金) 00:28:03



    Now Loading



    【廊下】


    苗木「はぁ、はぁ」タッタッタ

    体が重い

    そして、走ったことで体の中がグチャグチャになるような感覚

    それでも僕は走った

    今にも倒れ込みそうな体を無理矢理動かして


    そして辿り着く

    苗木「はぁ…はぁ………着いた」

    205号室

    彼女と初めて会い、いろんな会話をしたある意味思い出の病室

    苗木「響子ちゃん!」ガラガラッ!!

    僕は、その病室の扉を勢い良く開けた


    その時僕は、最初と同じようにノックし忘れていた…



    苗木「え?」



    だけど、それは必要なかったのかもしれない



    苗木「な……なんでなの?」



    だって…


    苗木「なんで、なんで誰もいないんだよッ!!」


    既に、誰かの居た痕跡が全く無い病室がそこにあったから…


    そう。彼女は、もうそこには居なかった



  50. 50 : : 2014/02/28(金) 19:27:24




    苗木「……なんで…だよ…」ガクッ


    ??「…………」スッ

    膝から床に崩れ落ちる僕の背中に手が添えられる


    苗木「響子ちゃん?!」バッ

    僕は勢い良く振り替える

    看護師「キャっ!」

    そこには、若い看護師さんが居た

    苗木「なん…ですか?」

    看護師「君、ここの病室に居たあの子のお友達?」

    あの子とは、響子ちゃんのことだろう…

    苗木「……はい」

    看護師「これ…彼女から」スッ

    手紙を渡すと看護師さんは、業務に戻るのでと言い、去っていった…

    苗木「これは…」

    看護師さんから渡されたのは小さな封筒

    そこには、手紙が入っていた


    『苗木くん。この手紙を見ている時には私はもうこの病院に居ないと思うわ。楽しかったわ、ありがとうさよなら。それと私のことは忘れなさい。』

    苗木「……は?」

    たったそれだけの文章

    わけが分からない…それが素直な感想だった


    そして、封筒の奥には小銭が入っていた

    苗木「120円…」

    最初は意味が分からなかった…だけど答えは簡単なものだった

    苗木「コーヒーと同じ値段…」

    手紙の内容や、このコーヒー代

    ああ…そうか、そんなに彼女は僕との関係を断ちたかったのかな…


    苗木「あは…あはは」


    もう笑うしかなかった



    …いや、嘘だ。


    泣きたかった。

    だからその気持ちを圧し殺すために笑った

    そうじゃないと、泣き崩れてしまいそうで、それと同時に自分を見失いそうで

    だから僕は…

    …………

    ……………………

    ……………………………

    ……………………………………


    ~~…回想終わり~~



  51. 51 : : 2014/03/02(日) 05:58:07
    響子ちゃんいきなりすぎる、、、
  52. 52 : : 2014/03/02(日) 13:46:59
    一体なんだってんだ…
  53. 53 : : 2014/03/04(火) 19:55:21
    ちゃんずけかぁー
    苗木成長したな
  54. 54 : : 2014/03/04(火) 22:30:10
    >>51
    かなりいきなりですね(笑)

    >>
    苗木からしたらまさにそんな感じですよね、そんな風に感情移入してもらって嬉しいです

    >>53
    下の名前しか知らなかったのと、幼いから…ということにしといてください(笑)
  55. 55 : : 2014/03/04(火) 22:31:02
    一個空白なのは
    >>52
    さんです!
  56. 56 : : 2014/03/04(火) 22:31:11



    苗木「………」

    舞園「な、苗木君…どうかしましたか?」

    苗木「あ…う、うん。大丈夫」


    もちろん嘘だ

    大丈夫なわけが無い


    そりゃあ、当然嬉しいに決まっている

    だけど同時にあの時の悲しさが込み上げてきて…

    僕は自分でもよくわからない感情に支配されていた



    僕と霧切さんの席は、そこそこ近い

    なので必然的に彼女は僕を見ることになる

    そして…

    彼女…霧切さんと目が合う

    霧切「!!」

    一瞬だけ彼女は驚愕した表情を見せ

    その後は、苦虫を噛み潰したような顔になった

    苗木「や…やあ」

    僕は勇気を振り絞り彼女に声を掛ける…が

    霧切「………」スタスタ

    彼女はその言葉を無視して自身の席につく

    そして先程までの表情が嘘のように

    無表情の彼女がそこにいた

    苗木「………」


    正直ため息をつきそうだった…


    ……が、彼女が近くにいるため流石にそれはしなかった


  57. 57 : : 2014/03/04(火) 22:57:48


    ~~~~~~~~


    【教室】

    〈昼休み〉

    桑田「全くひでぇよな霧切のやつ」

    苗木「そ、そんなことないよ!」

    桑田「んだぁ?まさかお前霧切に惚れてんのか?」

    苗木「いや、なんでそうなるの!?」


    昼食


    僕はクラスの皆と輪を作って食事をしていた

    十神「………」ペラペラ

    腐川「………」カリカリ

    セレス「………」ズズッ

    戦刃「………」モグモグ

    当然輪に入らない………というより入ろうとしない人とかもいるんだけどね。


    そして、教室にすら居ない人もいる

    苗木(霧切さん…)

    舞園「…苗木君?」

    苗木「どうしたの?」

    舞園「いえ…」

    江ノ島「ヒューヒュー!熱いねぇお二人さん!」

    苗木「や、やめてよ。僕はともかく舞園さんが迷惑してるでしょ?!」

    舞園「えへへ」ペロッ

    山田「拙者には、そうは見えませんがな!」キリッ

    苗木「もうっ////……あっ、そうだ他の4人も呼ぼう!」タッ

    大和田(逃げたな)

    葉隠(逃げたべ)


    不二咲「そういえば久しぶりだよね、こんなに集まって食べるのって」

    石丸「うむ!やはり食事は皆でそろって食べるべきだな!」ハッハッハ

    朝日奈「うわっ、もう!いきなり大きな声出さないでよ!ドーナツがビックリするでしょ!」

    大神「朝日奈よ…ドーナツは食べ物だぞ」


  58. 58 : : 2014/03/07(金) 21:41:30



    ーーーーーーーー


    苗木(とりあえず…男子の十神君からにしよう)

    苗木「十神くーん!」

    十神「なんだ騒々しい」ペラペラ

    苗木「あのさ…一緒にご飯食べない?」

    十神「断る誰が愚民どもと飯など…それによく見ろ俺は読書をしている。邪魔するな」

    苗木「…うん、ごめん」

    十神「返事などどうでもいい、それより視界の端に入って邪魔だ消えろ…」

    苗木「わかったよ…」トボトボ



    苗木「腐川さーん、一緒にご飯食べない?」

    腐川「何よ…どうせ罰ゲームとかなんでしょ…あっちに行ってちょうだい…」

    苗木「え!?そんなことないーー」

    腐川「あっちに行ってちょうだい!!」

    苗木「う、うんごめん…」トボトボ


    心が折れそうだ…

    いや、少し折れた


    苗木「安広さーん」

    セレス「…………」

    苗木「安広さん?」

    セレス「……………」

    苗木(あれ?名前間違えてるのかな…出席簿には確かにそう書いてあるし……席の場所的にもここは、安広さんの席だ)

    よしっ!

    苗木「安広さーん!!」

    セレス「だぁってろビチグソがァァ!!!!」

    苗木「!?」ビクッ


  59. 59 : : 2014/03/08(土) 18:46:40

    ーーーーーーーーーー


    苗木「うう…怒鳴ることないじゃないか…」トボトボ

    戦刃「……」モグモグ

    苗木(声を掛けるべき……だよなぁ…、一人だけ声かけないのも悪いし…)

    苗木「えーっと…戦刃さん!」

    戦刃「……何?」

    苗木「あのさ、…」

    ここで、僕は考えた…

    今までいきなり一緒に食べようと誘って失敗したじゃないか!……約1名は誘う前に怒られたけど…

    まずは、打ち解けることが先決だ!


    苗木「何…食べてるの?」

    戦刃「レーションだよ」

    苗木「あっ、聞いたことあるよ!」

    戦刃「……レーションを知ってるんだね」

    苗木「うん!ピンチのとき良く(ゲームの中で)お世話になってたよ」

    戦刃「苗木君も食べてるんだ」

    苗木「あっ、僕の名前覚えてくれたんだ!」

    戦刃「一応…クラスメイトだから…」

    苗木「あはは、ありがと」

    苗木「それでさ…」

    ここからが本題である

    苗木「僕たちと、お昼一緒に食べない?」

    戦刃「………」

    少し考え込む戦刃さん

    苗木「嫌…かな?」

    戦刃「ううん、そんなことないけど………逆に良いの?」

    苗木「うん!寧ろ大歓迎だよ」

    戦刃「……ありがとう」ボソッ

    苗木「え?…今何か言った?」

    戦刃「ううん…なんでもないよ、行こう」テクテク

    苗木「うん、行こうか」テクテク


  60. 60 : : 2014/03/08(土) 20:42:40


    ーーーーーーーーーー


    江ノ島(こんにちは、皆大好き私だよぉー テヘ)

    江ノ島(このまま、二人は仲良くなるんですね、苗戦スレの誕生です…)

    江ノ島(なんつってな!この俺がァ!何もせずに残姉を向かい入れると思ってんのかァ?!)

    江ノ島(と言うわけで転ぶトラップを設置しました。その上残姉ちゃんが引っ掛かり、苗木君に引っ掛からないよう計算に計算を重ねました)

    江ノ島(さあ…私に見せてくれ…無様に転びレーションを撒き散らす残念っぷりを…ね)


    ーーーーーーーーーー
  61. 61 : : 2014/03/10(月) 15:27:41



    苗木(やった!四度目の正直で成功したぞ!)テクテク

    戦刃(皆とご飯…盾子ちゃんとご飯…えへへ)テクテク

    このクラスの人とも上手くやっていける…そんな希望を抱いた……その時

    僕に向かいある生物が近づいてきていた

    ブゥーン

    虫「(ちゃおっす)」


    苗木「わっ!虫だ」ドタドタ


    虫に慌てた僕は“運悪く”本来するべきではない動きをした

    そのせいだろうか…

    ガシッ

    苗木「え?」

    江ノ島「あ」

    机と机の間にある紐らしきものに僕は思いっきり引っ掛かり転ぶ

    クルッ

    苗木「わぁっ!?」

    受け身をとるため空中で一回転する僕の体

    視界に映るのは僕の足をヒラリとかわす手ぶらの戦刃さん…

    ……手ぶら?

    ガンッ

    僕の、かかとに走る変な感触

    答えは簡単だった

    僕の蹴っ飛ばしたものは……

    戦刃「…あ」

    レーションだった



  62. 62 : : 2014/03/10(月) 19:52:45


    ヒュンッ!

    僕に蹴られ、本来するべきではない動きをするレーション

    苗木「おっと…」スッ

    僕は受け身を終えた……そしてその後見たものは…

    苗木「!!」

    レーション「(もじゃもじゃなう)」

    葉隠君の頭に深々く埋まっているレーションだった

    苗木(レーション in 葉隠君!!!)

    戦刃「……私のレーションが…」ガクリッ

    戦刃さんが膝から崩れ落ちたことに反応してこちらに振り向く葉隠君

    葉隠「ん?戦刃っちどうしたんだべ?」

    苗木「気付いてないの?!」

    葉隠「…何がだべ?」

    苗木「……なんでもないよ」

    説明してもややこしいので、スルーした

    すると

    舞園「苗木君!大丈夫ですか?!」

    そう言いながら舞園さんが僕に駆け寄ってくる

    ああ、そういえば僕盛大に転んだんだな

    苗木「うん、平気。怪我1つないよ」

    舞園「そうですか、良かったです」ニコッ


    思い返せば僕、昔から全然怪我したことないんだよなぁ…


  63. 63 : : 2014/03/10(月) 22:54:59
    やっぱりこのss面白いです!
    続きが気になります!
  64. 64 : : 2014/03/11(火) 02:07:46
    >>63
    ありがとうございます!
    そのお言葉が、何よりも嬉しいです(笑)
  65. 65 : : 2014/03/11(火) 04:40:08



    ーーーーーーーーーー


    江ノ島(はぁ!?何今の?私の計算通りにならないって……つまんないの)

    江ノ島(……まあ、でも)

    戦刃「私のレーション…」ウジウジ

    江ノ島(いい絶望頂きました!)ウットリ


    戦刃「床なら三秒ルールだけど、…葉隠君の頭は流石に無理…」

    江ノ島(床だったら拾ってたのかよ!…本当に絶望的に残念な姉だな!!……ん?)


    ーーーーーーーーーー

    苗木「わわっ、そういえばごめん戦刃さん!」

    戦刃「……何が?」

    苗木「お昼ご飯あんな風にしちゃって」

    戦刃「…いいよ…謝られてもレーションは帰ってこないし」

    苗木「……ごめん」

    大神「…苗木よ。お主何かに引っ掛かったのではないか?」

    苗木「ああ、うん。実は、何か紐みたいなのがあって…」

    不二咲「わぁ本当だ」

    大和田「机の足と机と足に結ばれてんな」

    石丸「くっ、誰がこんなことを…正直に挙手したまえ!!」

    桑田「それで出てくるかよ!」

    葉隠「てゆうかよお、こんな無意味なブーヒートラップ仕掛けるのって…」

    山田「…一人しか思い付きませんな」

    戦刃「………盾子ちゃん?」

    江ノ島「…………」ダラダラ

    戦刃「じゅ・ん・こ・ちゃん!」

    江ノ島「…………こほんっ」

    苗木「………」

    江ノ島さんはわざとらしい咳のあとにこう続けた

    江ノ島「はい!そうでぇーっす!私が犯人だよー!何か悪い?」

    朝日奈「大変だ!開き直っちゃってるよ!」

    葉隠「救いようが無いべ…」

    桑田「まず、お前はそのレーション頭をどうにかしろよ!」



  66. 66 : : 2014/03/11(火) 12:17:49



    戦刃「盾子ちゃんか……むぅ、怒るに怒れない…」

    江ノ島「わぁ!お姉ちゃん優しい!だぁーいすき!」

    戦刃「えへへ…なんたって盾子ちゃんのためだか……」ギュルルル

    戦刃「………」

    周り「「「……」」」

    戦刃「…盾子ちゃん」

    江ノ島「やだ」

    戦刃「お昼少し分け…」

    江ノ島「やだ」

    戦刃「そんな…」ギュルルル

    お腹をおさえ悲しそうな顔をする戦刃さん

    そんな彼女を見て僕は、居ても立っても居られなかった


    苗木「……あのさ」

    戦刃「……何?」

    苗木「僕のお昼パンなんだけど…食べる?」

    戦刃「…いいの?」パァァ

    苗木「うん!もちろん。それにもとは僕のせいなんだしね……はい」スッ

    そう言って僕は戦刃さんに向けて、メロンパンを差し出す………こほんっ、チョコチップメロンパンを差し出す

    戦刃「あ、ありがとう」スッ

    すると

    舞園「あっ、そうだ!私の作った玉子焼きもどうぞ」スッ

    朝日奈「ドーナツもひとつ良いよ!」スッ

    大神「我特製のプロテインもどうだ」スッ

    戦刃「わっ、あ、ありがとう」

    一度で三人に言われたことで顔に出るほど焦りながら

    …だけど、とても嬉しそうにそれを受けとる戦刃さん

    桑田「…………」


    そんな微笑ましい光景に不純な反応をする人物が一人…

  67. 67 : : 2014/03/11(火) 18:29:35



    桑田「舞園ちゃんの…手作り!?」

    舞園「……ええ、そうですよ?」

    桑田「………戦刃ちゃん…俺の昼御飯全部やるから、その玉子焼きと交換しようぜ」

    戦刃「……嫌だ」パクッ

    そう言いながら戦刃さんは玉子焼きを頬張る

    桑田「あぁあああ!!!なんでだよ!」

    戦刃さんは玉子焼きを食べ終えると、こう答えた

    戦刃「それ…桑田君の食べかけだから」

    桑田「……アポ?」

    朝日奈「はぁ…、当たり前だよ!桑田…あんたデリカシー無いんだね」

    桑田「…アポポン?」

    舞園「…玉子焼き1つでそこまで執着するんですか…」

    江ノ島「ぶっちゃけ、キモいわ」

    桑田「アポポポーン」

    大和田「それACのCMじゃねえか!!」

    山田「もうやめてくだされ!桑田怜恩殿のライフはゼロですぞ!」

    大神「ふっ」

    不二咲「ふふふ」

    石丸「はっはっは!」

    苗木「あはは!」


    桑田「笑ってんじゃねえぞ!アホアホアホアホーー!!」


    ~~~~~~~~~


    …たった一日なのに分かった

    ここの皆と、希望に道溢れた学園生活を築けると

    確かに僕は二番目だ…

    あったこともない女の子の代わり…

    それでもここの皆は僕を僕として見てくれる

    だから、居心地が凄く良かった…

    それと同時に夕闇高校の皆も思い出したりして

    ううん…やっぱりこんな風に湿っぽくしちゃダメだよね。

    なんたって、前向きなのが僕の唯一の取り柄なんだから!




    …と思いつつ、心残りが二つあった


    まずは響子ちゃん…つまり霧切さんのこと


    そしてもう1つは、

    二ヶ月の……タイムリミット





    chapter 2 END



  68. 68 : : 2014/03/14(金) 13:13:03



    chapter 3 希望〈ホープ〉フレンド(仮)




    苗木「皆と仲良くなった!」


    舞園「いきなりですね」

    苗木「あはは、わかりやすいかなって思って…」

    舞園「わかりやすい?なんのことですか?」

    苗木「…ごめん、なんでもないよ」

    舞園「??」


    入学してから一ヶ月と少しが経った

    お互いの秘密を打ち明けたりすることはないけれど

    僕たちは仲良くなった………はずだ




    …皆と言ったけれど、霧切さんとは全く話せていない

    避けられているのが、目に見えて分かる…



    ~~~~~~~~


    【教室】

    昼食を食べ終えた僕は、ある人物に声を掛けられた

    桑田「苗木…お前暇か?」

    苗木「うん暇だけど、どうしたの?」

    桑田「食後の運動にキャッチボールしねぇか?」

    苗木「いいよ!やろっか」

    桑田「そうこなきゃな!」

    舞園「あっ、苗木くん…」

    苗木「どうしたの?」

    舞園「いえ…また後で話しましょうね」ニコッ

    苗木「うん!!」

    桑田「苗木ィ…さっさと行くぞー!」

    苗木「ああ、ごめん!…舞園さん、またね」タッ

    舞園「ええ。」

    タッタッタ…!

    こうして僕らは教室をあとにした



  69. 69 : : 2014/03/14(金) 18:09:01




    Now Loading…


    【グラウンド】

    桑田「あのさっ!」シュッ!

    パシッ!

    ボールとグローブがぶつかる独特の音がグラウンドに響く

    流石、超高校級の野球選手である

    苗木「なに?」シュッ!

    僕も負けじと投げ返す

    パシッ!

    桑田「前にさ、俺ミュージシャンになるって言ってただろ!」シュッ!

    パシッ!

    苗木「うん。言ってた…ね!」シュッ!


    彼は以前こう言っていた

    『野球なんてダセェスポーツやってらんねえよ』

    『俺ミュージシャンになるんだ!何でかって言うとモテるから!』


    パシッ!

    桑田「けどさ…やっぱり止めた!」シュッ!

    パシッ!

    苗木「えっ!?何で?」

    彼らしくもあり、彼らしくない発言に僕は戸惑った


    桑田「何て言うかさ…舞園ちゃん見てて思ったんだよな」

    桑田「アイドルとかミュージシャンって、モテるためとかそんなお遊び半分じゃダメなんじゃないかって…」

    桑田「知らないかもしれないけどさ。実は俺、舞園ちゃんのこと好きなんだよな…」

    苗木「……(知ってた)」


  70. 70 : : 2014/03/15(土) 00:18:12
    凄くおもしろい!続きが気になります!
  71. 71 : : 2014/03/15(土) 18:32:08
    >>70
    ありがとうございます!(笑)
    亀更新ですが、頑張っていきます!
  72. 72 : : 2014/03/15(土) 18:32:17



    桑田「そんな、好きな彼女やその仲間を、俺の軽い発言で汚してしまってんじゃねえのかって最近思ったんだ」

    苗木「桑田くん…」

    桑田「はは、俺“これから何しよっかな”」

    苗木「……」

    桑田「へへ、悪いなこんな話して、…よしっそろそろ投げてこいよ」

    苗木「…わかった…よっ!」ザッ…シュッ!!

    僕は体を大きく使い、桑田くんに全力の一球を投げた

    パシィン!!

    今までで、一番大きな音がグラウンドに響く

    桑田「おお!ナイスピッチング!」

    苗木「あはは、ありがと」


    桑田「しっかし、あれだよな。お前が本当に羨ましいぜ」

    苗木「…なんで?」

    桑田「なんつぅかさ、俺の方が百倍野球上手いし、俺の方が千倍イケてるだろ?」

    苗木「う、うん。まあ」

    桑田「なのにさぁ…舞園ちゃんはお前ばっか見てるし、それにお前は野球も含め、なんでもすぐにデキちまうだろ?野球だって普通一月でそこまで上手くならねえぞ」

    苗木「ちょっと待って!舞園さんは、ただ同じ中学だったからで!」

    苗木「…それにさ、なんでもすぐに覚えるってのはきっと勘違いだよ」

    桑田「は?お前が上手くなってるのは今ここで明らかになってんだろうが」

    苗木「…それは違うよ、僕が上手くなったのは僕だからじゃないだ…」

    桑田「言ってる意味がよく分かんねぇんだけど」

    苗木「僕がここまで野球できるようになったのはね、きっと桑田くん…君が教えてくれたからだと思うんだ」

    桑田「っ!」


  73. 73 : : 2014/03/16(日) 14:15:39



    苗木「なんていうかさ、君から教えてもらってるときに君自身がどれだけ野球が好きか伝わってきたんだよね」

    桑田「…」

    苗木「他人がこういうのを言っちゃダメだと思うんだけどさ…君がするべきことは野球なんだと思うんだ」

    苗木「たいした才能も無い僕と違って、君には素晴らしい才能とその才能を支える野球への愛があるはずでしょ?」

    桑田「ははっ…何言ってんだお前はよ」

    苗木「え?」

    桑田「他人じゃなくて、ダチだろうが」

    苗木「!」

    桑田「…はぁ、しょうがねぇよなダチに言われたんじゃやるしかねぇよな」

    苗木「桑田くん…」

    桑田「本当はあんなダセェスポーツなんて……本当は……………本当は、………ああっもう!苗木グローブ構えろ!!」

    苗木「ええ!?」

    桑田「いいから!…いくぜぇ!!」スッ

    そう言いながら桑田くんはピッチングフォームをとる

    苗木「」ゾワッ

    僕はこれに見覚えがあった。

    約一年前の甲子園

    彼が最後に投げた1球

    時速168キロのストレートを投げたときのソレと同じだった

    桑田「オラァ!!」シュッ!!

    彼の左腕から放たれてボールは、僕のグローブに吸い込まれるように、そして抉りとるようにこちらへ迫る

    パァァン!!!

    苗木「ッ!!」

    尋常じゃない音と鋭い痛みが僕の耳と左手に伝わる

    桑田「おお、わりぃわりぃ…つい…な」

    そう言う桑田くんの顔はとても清々しかった

    桑田「苗木…あのさ、俺……」

    苗木「…なに?」

    桑田「……」ジッ

    桑田君は、一度深呼吸をし、こちらを見る

    そして、重苦しそうに口を開く


    桑田「……希望ヶ峰学園辞めるわ」



  74. 74 : : 2014/03/17(月) 23:45:33
    続きを楽しみに待ってます!
  75. 75 : : 2014/03/18(火) 21:04:23
    >>74
    ありがとうございます!
    なさけないほどゆっくりですが頑張ります!
  76. 76 : : 2014/03/18(火) 21:04:32



    苗木「ええっ!?」

    桑田「前の学校に戻って、…そりゃあ皆置いてここに来ちまったから色々言われるかもしんねえけどよ、頭丸くして、土下座して許してもらうことにするわ」

    苗木「……僕は」

    桑田「ははっ!俺、やっぱ野球がしてえんだ。んで、メジャー行くわ。」

    苗木「…僕は」

    桑田「お前には……舞園ちゃんの次にサインしてやるから感謝しろよな!!」

    苗木「僕は…」

    何を言い淀んでるんだ僕は!

    伝えろよ!!

    桑田君は、ぶちまけてくれた…なのに…

    僕が逃げ出して良いわけがないだろ!!


    桑田「あーあ、まずは英語の勉強しなきゃいけねえな…だりぃ…」

    苗木「僕は!!」

    桑田「うおっ!なんだよいきなり大きな声出して」

    苗木「僕は…君にこの学園から居なくならないでほしい…」

    桑田「!!」

    苗木「きっと、僕だけじゃない。舞園さんや皆だってそう思ってるはずだよ。」

    苗木「何より…そんなの悲しいよ……」

    桑田「…………あーあ、そんな風に言われたら決意揺らいじまうだろーがよ…」

    桑田「けど、まあお前の言う通りかもな…」

    苗木「!」

    桑田「分かった。俺はここに残る…だけど野球もする。」

    桑田「……だからそんときは、練習に付き合えよな!」

    苗木「ッ!!…もちろん!!」


    キンコーンカーンコーン


    桑田「やっべぇ!予鈴がなったぞ!苗木!急いで戻るぞ!!」ダッ

    苗木「うん!!」タッ


    彼と僕とでは天と地ほど違う。

    それは人としてでもあり、超高校級としても


    桑田「苗木ぃー!遅刻するぞ!!」タッタッタ

    苗木「速いよ!…先に行ってて!すぐ行くから!」タッタッタ

    桑田「おう!」タッタッタ


    だけど僕たちは分かりあえる。

    その事実が僕はなによりも嬉しかった


  77. 77 : : 2014/03/20(木) 01:33:40


    苗木「……」タッタッタ

    ドンッ

    曲がり角で誰かとぶつかる。

    どっかの業界ではお約束な展開

    ??「いたた…」


    苗木「いてて…、ごめん大丈夫?!」


    狛枝「うん。平気平気。大丈夫だよ」

    だけど、王道は裸足で逃げ出した

    苗木「…ああ、無事でよかったよ。それじゃあ僕は!」

    狛枝「苗木君ちょっと待って!」ガシッ

    苗木「!?」


    ……その後狛枝先輩に捕まって、運悪く僕だけ遅刻したのは言うまでもない…


  78. 78 : : 2014/03/20(木) 14:01:28
    期待!本当に面白いです!
  79. 79 : : 2014/03/20(木) 14:45:01
    いいねぇー
    頑張ってください
  80. 80 : : 2014/03/21(金) 18:55:31
    >>78>>79
    まさかまだ見てくださってる人がいるとは…!(笑)
    ありがとうございます!
    ゆっくりですが頑張ります!
  81. 81 : : 2014/03/21(金) 18:56:52



    ーーーーーーーー


    その後二週間は、みんなと色んな話をしたり、いろんな所に遊びにいったりした

    皆。…霧切さんを除いた皆…

    それでも十神君や腐川さんと普通に話せるようになったのは驚きだった

    1つ上の皆とも、軽くお喋りするくらいに仲良くなれた…と思う

    特に狛枝くんと日向くんとはかなり仲良くなれたんじゃないかな


    そしてタイムリミットは残り二週間となった


    そんな中、僕がしていたのは…




    セレス「さあ…苗木くん……ゲームの始まりですわ」

    苗木「ゲームはゲームでもギャンブルの方なんだね」

    セレス「ええそうですわ。苗木君の幸運と私のギャンブラーとしてのツキ…そのどちらが優れているか勝負しましょう」フフフ

    目が怖いよ…確実に獲物を狙う目をしている…
  82. 82 : : 2014/03/21(金) 22:23:35



    苗木「…そんな僕なんか全然幸運じゃないよ。それより狛枝くんの方が…」

    セレス「彼はダメですわ」

    苗木「え?なんで?」

    彼ほどこの学園で“超高校級の幸運”と呼ぶに相応しい人物はいないと思うんだけど…


    セレス「彼は異質過ぎます…賭け事の内容…つまりリスクが上がるつり上がるほど幸運」

    苗木「…なんとなくわかるかも」

    セレス「それに彼は平気でイカサマをしますから…」

    苗木「ああ…凄く分かる」


    セレス「『僕は自分の幸運を信じてるんだ!』とか言いながら、『君の希望を見るためだ!!』って言いながらイカサマしやがって!あのビチグソがァア!!」

    苗木「…体験談なんだね」

    セレス「フフフ…つい熱くなってしまいましたわ。それでは苗木君、しましょうか」

    苗木「あはは…お手柔らかに頼むよ」

    セレス「では、ポーカーで…」スッ

    トランプ取りだし慣れた手つきでカードをきるセレスさん

    苗木「うん。よろしくね」



    そして、ここに…僕こと二番目の幸運と


    セレスさんという本物の超高校級との間に…






    …戦いの火蓋が切って落とされた





    結果は











    全戦全敗だった



    正確には15敗した


    なんかデジャブな気がした



  83. 83 : : 2014/03/24(月) 03:21:58



    僕は自惚れていたのかもしれない…

    どこかに超高校級のギャンブラーである彼女になら勝てるかもと言う気持ちがあった

    まあ、結果は見ての通りなんだけどね


    苗木「あはは…負けちゃったよ…」シュンッ

    セレス「ふふふ、賭けをしてなくて良かったですわね」

    苗木「本当だよ。所でセレスさんスゴいね!もしギャンブラーじゃなかったら超高校級の幸運になれたんじゃないの?」

    セレス「………いえ、確かに私ツイてはいますが、超高校級の幸運になれるとは思いませんの…」

    苗木「……ああなるほど、狛枝君基準なんだね」

    セレス「正しいですが間違ってもいますわ…」

    苗木「……どういう」

    セレス「彼女……つまり、苗木君の前に幸運に選ばれていた彼女にも勝てる気がしませんわ」

    苗木「僕の前の…一番目の……本物の幸運」

    セレス「あら、貴方も本物の幸運でしょう?」

    苗木「…選ばれたけど、二番目だし…ここまで負けると超高校級の不運としか思えないよ……」

    セレス「ふふふ…」

    セレスさんが不適に笑いだす…

    苗木「ど、どうしたの?」

    セレス「苗木君は本当に私が運だけで勝ったと思ってらっしゃるのですか?」ズイッ

    目を大きく見開きこちらを見る彼女。

    苗木「…え?」

    ちょっと待って…その口ぶりだと…

    苗木「もしかして…イカサマしてたの?」

    セレス「当然ですわ。」

    苗木「そんな!ズルいよ、イカサマなんて…」

    セレス「バレなければイカサマではないのですよ」

    苗木「ぐっ…、…あっ、そうだ!セレスさん狛枝君の話をするときイカサマを毛嫌いするように言ってたじゃないか!」

    セレス「そう思うように。正確には私がイカサマすると思わないように、誘導しただけですわ」

    苗木「そ、そんなぁ…」

    セレス「それに私…イカサマが嫌いなのではなく…負けるのが嫌いなだけですわ」

    苗木「…流石超高校級のギャンブラーだよ…」

    セレス「それと、最後に忠告しておきますわ」

    苗木「……何?」

    セレス「相手が用意して、相手がカードをきったら、それはもうイカサマされても文句が言えないと思っておいた方が良いですわよ」

    苗木「う、うん。ありがとう」

    …最初からイカサマされてたんだね、僕は…

    うーん、だけど負けっぱなしは辛いなぁ

    苗木「ねえ…お願いがあるんだけど…」

    セレス「…良いですわよ、どうせもう一度しようと言うことなのでしょう?」

    苗木「それもあるんだけどさ……」

    セレス「……?」

    苗木「イカサマの方法教えてくれないかな?またされたら勝ち負けに影響しちゃうからさ」

    セレス「……分かりましたわ」ハァ






    その後僕はセレスさんに嫌々ながらに色々なイカサマを教えてもらった


  84. 84 : : 2014/03/27(木) 06:26:04



    ~十分後~

    苗木「……こんなにしてたんだね」

    セレス「ふふ…あの手この手でやっていましたが、勝利のためなら当然ですわ。……ではそろそろ…」

    苗木「…うん。やろうか」


    最後の勝負が始まった


    苗木「カードは僕がきるね」スッ

    ワタワタ

    苗木「あはは、セレスさんみたいに上手く出来ないや」

    セレス「経験の差ですわね」ニコッ

    セレス(ふふふ、苗木君はきっとイカサマの種を教えた私はもう、イカサマを使ってこないと思っているでしょう)

    苗木「うわぁ…外ればかりだよ」

    セレス「私はこのままでよろしいですわ」

    セレス(だけど、甘いですわ…私が全て教えていると勘違いしているのでしょうが。私の辞書に負けは無い…)

    苗木「うーん、三枚捨てるね」スッ

    セレス(イカサマの結果手札は、ストレート・フラッシュ…もう勝負はついたようなものですわ)

    セレス(この勝負勝たせて貰いますわ)ニヤリ



  85. 85 : : 2014/03/27(木) 11:32:57
    これはいい!これはいい!ぶあっと引き続き支援です!
  86. 86 : : 2014/03/31(月) 06:36:46
    >>85
    ありがとうございます!
    ゆっくりトロトロですが頑張ります!!
  87. 87 : : 2014/03/31(月) 06:38:59



    苗木「じゃあ、手札見せあおうか…」

    セレス「私は…ストレート・フラッシュですわ」スッ

    苗木「!!」

    セレス「あら、同時に見せるべきでしたわね」

    セレス(最初からストレート・フラッシュが揃う確率は72139回に1回。流石にイカサマだと気付いてしまわれましたね…)


    苗木「僕は…」スッ

    僕は自身のカードを彼女に見せる

    それだけで…彼女の表情を変えるには、それだけで十分過ぎるほどだった

    セレス「ふふ…………って、あぁん!?………これはどういう…」

    いつものポーカーフェイスは消え、声を荒げる彼女

    苗木「…見ての通り、ロイヤル・ストレート・フラッシュだよ」

    彼女は動揺を隠さず…いや、隠せずにこう続ける

    セレス「あ、あり得ませんわ!そんな揃うわけ……ッ!…まさか貴方も彼女と同じ……」

    彼女…多分僕の前の幸運だった女の子のことかな…

    セレス「ふふふ、流石ですわ…私の負け…ですわね」

    苗木「………………」

    セレス「…どうかなさいましたか?」

    苗木「……ごめん…そうじゃないんだ。実は……イカサマしたんだよね…」

    セレス「…あら、そうでしたの。奥の手を隠しておくなんて、嫌な殿方ですこと…」

    もう彼女は冷静な顔つきを取り戻していた

    苗木「違うんだ…奥の手なんかじゃなくて…」

    セレス「……?」


    だけど、その表情もまたすぐに崩れることになる



    苗木「僕がやったのは…ついさっきセレスさんに教えてもらったイカサマなんだ…」

  88. 88 : : 2014/03/31(月) 07:19:40



    セレス「!!?……ど、どういう…」

    苗木「そのままだよ。流石に全部は無理だっけど、シャッフルするときと引くとき、それに引き直すときにイカサマをさせてもらったんだ」

    セレス「そ、そんなあり得ませんわ…一度見ただけ覚え、そのうえ私に悟られず…」

    セレス「…それに一度に何個もするなんて……そんなの私ですら…」

    苗木「…………」

    セレス「苗木君…またやって見せてくださいませんか?」

    苗木「うん。わかった」

    ……………………………………

    ……………………

    ……………


    苗木「どう…だったかな…?」

    セレス「…………完璧…ですわ」

    苗木「あはは、ありがとう。」

    セレス「フフフ、苗木君。私の完敗ですわ」

    苗木「そんな!僕はたった1勝しただけだよ!」

    セレス「私を完璧に欺いて勝ったのですわ、もっと誇っても良いものだと思いますが…」

    苗木「僕が勝ったのってさ、偶然なんだよ。それに僕だけの力じゃない」

    苗木「だって、君が教えてくれなかったら勝ててなかったし、15敗もしたからセレスさんが油断してくれてたのも大きいと思う…」

    セレス「あら、謙虚ですこと…でもね苗木君。」

    苗木「何?」

    セレス「……いえ、私が言うのも野暮と言うものですね…」

    苗木「なになに!?凄く気になるんだけど!」

    セレス「……はぁ…それより霧切さんとはどうなったんですか?」ズイッ

    苗木「な、なんでここで霧切さんの話が…」

    セレス「……苗木君は、彼女の話になると耳が赤くなります…これは過去に何かある…と言う意味ですわ」

    苗木「嘘っ!?」バッ

    セレス「ええ、もちろん嘘ですわ。つまり、苗木君と霧切さんの間には何かあったんですね」

    苗木「……そっかまんまと騙されちゃったんだね…」

    セレス「……貴方が霧切さんとの間に何があったかは知りませんが、このままではダメな気がしますわ」

    苗木「ダメってどういうーー」

    セレス「あらあら、もうこんな時間ですわ。それでは私はこの辺で…ごきげんよう」スッ

    こうして彼女は娯楽室をあとにした

    バタンッ!!


    苗木(答えは自分で見つけろってことなのかな…イカサマみたいに教えてくれれば良いのに…)



  89. 89 : : 2014/04/02(水) 17:07:02
    セレスさん優しい
  90. 90 : : 2014/04/03(木) 03:24:26
    セレスさん可愛い
  91. 91 : : 2014/04/03(木) 16:03:08
    凄く面白い。がんばってください!
  92. 92 : : 2014/04/07(月) 16:55:43
    >>89
    >>90
    優しかったり可愛かったりするセレスさんが書けたのなら良かったです!(笑)

    >>91
    ありがとうございます!
    凄く亀更新ですが、必ず完結させます!!
  93. 93 : : 2014/04/07(月) 17:02:21
    そして、申し訳ないことに、読み返すと丸々1レス分抜けていたので、このスレの最後に投稿します。本当に申し訳ありません!

    (編集で直しました!)
  94. 94 : : 2014/04/08(火) 12:11:16


    【廊下】


    娯楽室から出た僕が最初に目にしたのは…

    苗木「あっ!」

    霧切「!!」

    霧切さんの姿だった

    霧切「……」スタスタ

    苗木「あっ…」

    が、彼女は僕が声を掛ける前に早足で立ち去ってしまった

    苗木「…………」ポツンッ

    当然残るのは一人ぼっちの僕のみ



    苗木「あんなに露骨に避けなくても良いのに…」



    はぁぁ…、と僕は大きなため息をつき部屋に戻った








    【苗木ルーム】

    夜。

    苗木「…………」

    彼女と向き合わなきゃいけない…そんなのは分かっている…

    だけど、どう接すれば良いのかもう、分からない

    彼女と話した3日間の会話を思い出そうにも……大したことはなかった。

    いや、僕が気付いてないだけなのかな…いや、気づけてなかっただけなのかな……


    あのとき彼女は………僕を……………



    苗木「……………………zzZ」





    その日は疲れていたのか眠ってしまった…






    そして、夢を見た…


    誰かが……笑って、泣いている夢を

    その子を僕は知ってるようで知らないのかもしれない。

    モヤが掛かっていて分からないけど、それは女の子のようだった





    苗木『どうしたの?』

    「…………」グスッ

    苗木『何かあったの?』

    「………ないの…」

    苗木『……何か無くしちゃったの?』

    「違う…」ブンブン

    苗木『じゃあ…』

    「こ…な……の……」

    苗木『………?』

    「来ないの…」

    苗木『………ッ!』

    「ねえ…なんで来てくれなかったの?!」



    ピピピピピピピピピッ!!!



    苗木「!!」


    ガバッ!!


    夢のせいか、はたまた鳴り響くアラームによってか僕の意識は強引に覚醒させられる



    苗木「はぁ……はぁ………夢か…」


    荒れた息を整え、時計に目をやる。すると…

    苗木「えっと………って、ええ!?」

    時計の針は、既に八時を指しかかっていた


    苗木「ま、まずい!急いで準備しなきゃ!!」ドタドタ


    僕は一通りの洗顔や歯磨き着替えを終え、最後に手慣れた手つきでネクタイをしめる


    苗木「いってきます!」


    ついてしまった習慣というのは意外と染み付いているもので

    僕は誰一人いない部屋に向け、無意識にそう告げると部屋を飛び出した





    タイムリミット



    残り13日




    chapter3 end




  95. 95 : : 2014/04/14(月) 12:03:29
    本当にすごいと思います…。
    支援&期待です。
  96. 96 : : 2014/04/20(日) 15:06:04
    >>95
    ありがとうございます!

    のろのろですが、引き続き頑張ります!
  97. 97 : : 2014/04/20(日) 15:26:09


    chapter3.5 忘れ物


    苗木「このままじゃ遅刻だ!」ダッ!

    誰もいない廊下を全速力で走る僕

    石丸くんに見つかったらただじゃ済まないだろうけど、彼は今教室にいるはず……



    ……なのだが


    石丸「苗木君!!何故君は廊下を走っているのだ!!」

    苗木「……い、い、石丸君!?」

    目の前に現れ僕を呼び止めたのは、制服姿の石丸君だった

    石丸「ハッハッハ、どうしたんだいそんな鳩が豆鉄砲食らったような顔をして」

    苗木「いや、遅刻しちゃう…よ?」

    石丸「……遅刻?何か用事でもあるのかい?」

    苗木「…いや、…学校が…」

    大和田「苗木ぃオメェ何言ってるんだ?」

    いつの間にか向かい合う石丸くんと僕の真横には私服姿の大和田君の姿があった

    苗木「大和田君!…ど、どういうこと?」

    大和田「あぁん?オメェ本気で言ってんのか?」

    苗木「本気も何も……あっ」

    その時僕は気付く



    ………いや正確には思い出した…と言うべきだろう


    苗木「そうだ……」



    土曜日に学校に行ったことのある僕だけれども、こんなことは初めてだった…




    苗木「……今日から夏休みだ」









    振り返った所で何か変わるわけではないけれど


    今思えば、この夏休みが大きな分岐点だったのかもしれない……


    ───────────



    霧切「…………」







    日向「………ク………ル…プロ………クト」






    狛枝「…希望」







    江ノ島「うぷぷ…」





    ───────────





    そして、各々の思惑が渦巻き暗躍したまま…










    …………夏休みは始まった







    To be continued?




  98. 98 : : 2014/04/21(月) 21:12:22
    期待です!
  99. 99 : : 2014/04/24(木) 21:35:44
    期待です!
    続きが楽しみです!
  100. 100 : : 2014/05/05(月) 20:40:48
    >>98
    ありがとうございます!

    >>99
    ありがとうございます!
    そう言ってもらえると嬉しいです!
  101. 101 : : 2014/05/05(月) 20:54:11
    そして、>>39>>42の間にまるまる1レス分忘れていたのが↓です!

    (編集させていただきました!)
  102. 102 : : 2014/05/05(月) 20:55:13
    更新が遅くて申し訳ないです!
  103. 103 : : 2014/05/05(月) 21:03:47
    想像以上に長くなりそうなので、一旦ここで切ります

    ここまで読んでくださった方々、ありがとうございます!
  104. 104 : : 2014/05/05(月) 21:04:05
    http://www.ssnote.net/archives/16117

    次スレです!

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