雪解けにある山は何処に。私は失った。消えた雪が降る先に私はいる。だから誰かを失わせたかった。あなたを追いかける私は姿形心根度胸強いはず全て強いはず。
あなたは首を見た。首から滴る雪解け水は冷たく聖書を濡らしあなたの股間をぐしょぐしょに濡らした。その景色を見た。電気の色もコンクリートの色も私は同じ、鉄格子に覆われているのはあなたも世界も全てが同じ。閉じ込められた世界は血に満ちあなたはその正体を知ろうとした。静粛に万事静粛に。振り下ろされる木槌はどこにも着地しない。
聖地にあるのは骸、それ意外に何もありはしない。なにも、なにも、その墓穴をあなたは見下ろす。ハサミに刻まれた肉があなたを満たし、墓穴を満たす。「茶番だ茶番だ茶番茶番茶番茶番茶番茶番茶番茶番」覆水盆に返らず。
踊る山羊が雪解け水に流される。山羊の角は黄金に光り、水はそれを穢す。厳粛に万事厳粛に。山の頂上は頂点。頂上の樹の頂点。頂上、重畳。
ここにある全てを私は見る。汗が飛び散り人の形が飛び散りたましいが飛び散る。水が欲しい。雪解けにある山は何処に。冷たく濡れた聖書は何処に。それを舐め取り、吸い付くし、再び汗を形をたましいを飛び散らせる。止まらない。止まりそう。止まった。止まっている。止められた。止まる。止まる。留まる。止まる。