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ダンガンロンパ Despair from Future

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  1. 1 : : 2020/05/06(水) 05:18:29
    「苗木くん……」


    ん……
    あれ……
    憧れの希望ヶ峰学園。そこに入学した筈の僕だったけど、突如謎の眩暈に襲われた。

    見覚えのない机や教室、確かに退屈な授業なんかで居眠りしてしまう僕だけど確か玄関ホールにいた筈なのにどうして僕はこんな所にいるんだろう?


    ???「早く起きなよ、皆アンタの事待ってるんだからさ」


    どこかで見覚えのある顔だった。特徴的なツインテールや服装は確か雑誌などで見た事がある。


    ???「どーも、江ノ島盾子で~す。よろしくね~」


    江ノ島さんは左手でピースしながら適当に挨拶を済ませた。


    苗木「あっ、えっと……僕は苗木誠、よろしく……」
  2. 2 : : 2020/05/06(水) 05:19:19
    江ノ島盾子って、確か全国の女子高校生たちの間でカリスマ的存在の”超高校級のギャル”だったよな……


    苗木「雑誌で見たのと印象が違う気が……」

    江ノ島「もしかして……雑誌のカバーショットの事言ってんの?あれは雑誌用に盛ってんだって!」


    なんだか夢を壊された気分だ……
    ってそんな事言ってる場合じゃないや。窓の外を見ようにも鉄板が貼られていて日差しを浴びる事すら出来ないし、何故か監視カメラまで教室にある。どうしてこんな所に僕はいるんだろう?


    江ノ島「変だよねぇ、学園に入ったと思ったら眠っちゃってさ~。起きたらこんな変な所に閉じ込められてたんだよ」

    苗木「僕と一緒だ……」

    江ノ島「そんでさ、私ら皆で玄関ホールに行かないと行けないの。あとは苗木さえ揃えばいいんだって」チラ


    彼女の目線の先には一枚の紙が置かれていた。
    紙には汚い字で入学案内と書かれている。

    『新しい学期が始まりました。心機一転、これからは、この学園内がオマエラの新しい世界となります』

    なんだこれ?


    江ノ島「変なパンフレットでしょ?とにかく玄関ホールに来てよ」


    手を掴まれて強引に僕は江ノ島さんと教室から廊下へと出る。


    苗木「ねぇ、みんなって誰なの?」

    江ノ島「希望ヶ峰学園の生徒に決まってんじゃん。私やアンタと一緒でみんな気付いたらこの場所にいたんだ。そんで玄関ホールに集まってたんだけど」

    苗木「僕がなかなか来ないから心配させちゃったんだね。探させたうえに起こして貰ってなんか悪いな……」

    江ノ島「気にすんなって、お互い様じゃん!この先なにかあったら助けてくれればそれでいいって!」


    聞く話によると玄関ホールで集まった超高校級の生徒達は体育館に今はいるらしい。入学式が行われるようだ。


    苗木「それにしても僕達はみんな会った事もないのにどうしてまだ僕が玄関ホールにいないって気付いたの?」

    江ノ島「入学式の為に体育館に来いってアナウンスがあったんだけど、その時に生徒が一人いないって放送で言ってたから私が探してあげたのよ」


    見かけによらず良い人みたいで良かった。

    体育館への入り口、そこにやってきた僕に江ノ島さんは真剣な眼差しで質問してきた。


    江ノ島「準備は良い?」

    苗木「大げさだなぁ……うん、準備できてるよ」


    この先の出来事に対する準備なんて出来ていなかったけど、
    これがただの入学式だと思っていた僕は彼女の質問に対して肯定の意を示した。
  3. 3 : : 2020/05/06(水) 05:19:46
    ???「遅いじゃないか!8時集合だと聞いていなかったのかね⁈」

    体育館に足を踏み入れて最初に声をかけてくれた人、
    超高校級の風紀委員

    石丸「僕の名前は石丸清多夏だ!」


    ???「あの、苗木君ですよね?」

    次に声をかけてくれたのは同じ中学に通っていた美少女、
    超高校級のアイドル

    舞園「舞園さやかです。これから、よろしくお願いします!」


    苗木「君って確か……」

    ???「おっ、俺の事知ってのか⁈」

    なんかチャラい人、ネットで見た印象とかとは違うけどこの人は確か、
    超高校級の野球選手

    桑田「うーっす、俺の名前は桑田怜恩だ!」


    ???「何をジロジロと見ている?」

    日本で知らない人はいないんじゃないだろうか?超高校級の中でも彼は別格だ、
    超高校級の御曹司

    十神「十神白夜だ……」


    苗木「えっと……名前を教えてもらえないかな?」

    ネットで今期の入学生を調べていたけど見た事がないな、
    超高校級の???

    霧切「名前は……霧切……響子」


    ???「これからヨロシクね!」

    オリンピック候補生にも選ばれたアスリート、
    超高校級のスイマー

    朝日奈「こんちはっすー!朝日奈葵っすー!ヨロシクね~!」


    ???「全ての始まりにして終わりなる者……」

    よくは分からないけどアニメや漫画業界では有名らしい、
    超高校級の同人作家

    山田「山田一二三……二つ名の方で呼んで頂いても構いませんぞ」


    ???「おう、これからヨロシクな……」

    全国のヤンキーから尊敬と畏怖を集める男、
    超高校級の暴走族

    大和田「オレは大和田紋土だ」


    ???「お初にお目にかかりますわね」

    全て嘘のベールに包まれたゴスロリ服を愛する少女
    超高校級のギャンブラー

    セレス「セレスティア・ルーデンベルクです。セレスと呼んでくださって結構ですわ」


    ???「どうも、はじめまして……」

    可愛らしい容姿を持つ天才少女
    超高校級のプログラマー

    不二咲「不二咲千尋ですぅ……」


    ???「どうせ……あたしの名前なんて……」

    高校生ありつつベストセラーを連発させる少女
    超高校級の文学少女

    腐川「腐川冬子よ……」


    ???「おい、お主」

    アメリカの総合格闘技大会で女性でありつつチャンピオンになった、
    超高校級の格闘家

    大神「大神さくらだ……」


    ???「だべ」

    だべだべだべ
    超高校級の占い師

    葉隠「俺は葉隠康比呂ってんだ」


    江ノ島「私はもう自己紹介したけどアンタの才能ってなんなの?」

    苗木「僕は超高校級の幸運で入学したんだ」

    ただでクジで選ばれただけみたいだけど、
    超高校級の幸運
  4. 4 : : 2020/05/06(水) 05:20:06
    舞園「同じ中学だった苗木くんですよね?」

    苗木「舞園さん……まさか僕の事覚えてるの?」///


    同じ中学に通っていたとはいえ一度もクラスが一緒だった事もない僕なんかの事を覚えててくれたんだ。


    苗木「僕みたいな目立たない奴気に留まらないと思ってたよ」メソメソ

    舞園「そんなに冷たい人間だと思われてたんですか⁈」

    苗木「そ……そんなつもりじゃなかったんだけど」

    舞園「……フフ、冗談です!」ケロッ


    よかった、真に受けた訳じゃないのか……


    江ノ島「あのさぁ、イチャつくのもいいけど今はどうすればいいか考えない?」

    舞園「イチャついてるだなんて……」///

    苗木「どういう事、江ノ島さん?」

    江ノ島「荷物はないし携帯もないし……どうすれば良いと思う?」


    言われて初めて気付いた。懐に手を入れても携帯はおろか持ってきていた筈の私物全てが抜き取られていた。


    葉隠「お……俺の水晶玉は残ってるべ!」

    十神「馬鹿は置いとくとして、荷物以外で気になるのは教室の鉄板や玄関ホールの厳重に閉ざされたた扉。あれが一体どういう事なのかを考えてもみろ」


    玄関ホールにはまだ行ってないけど、それって外に出られない処か外を拝む事すら出来ないってことなのかな?


    ???「オーイ、全員やっと集まった~?!それじゃあ、そろそろ始めよっか‼」


    そんな声と共に現れたのはクマのぬいぐるみ。左半身は白くて右半身が黒い不気味なぬいぐるみはスムーズな動きを見せながら自己紹介をしてくれる。


    モノクマ「僕はこの学園の学園長のモノクマ!ヨロシクねッ‼」
  5. 5 : : 2020/05/06(水) 07:58:33
    期待です!
  6. 6 : : 2020/05/06(水) 09:49:13
    >>5 頑張ります。と言っても一章は書き終えてゆっくりと投稿するだけなのでその間は絶対エタりませんので安心して読んでください!



    モノクマ「それじゃあ入学式を始めよっか‼」


    モノクマは淡々と語り出す。僕達がこの場所に閉じ込められた事、外に出るには卒業しないといけない事、
    そして卒業の為にはコロシアイをしないといけない事……


    大和田「バッキバキに捻り潰してやんよっ‼」


    モノクマの言動に苛立ちを感じていたのは僕ら全員だった。だからこの時、大和田くんがモノクマの顔面をガッシリと掴んで脅す姿を見て僕はスカッとした。
    だけど、すぐに異変は起こる。


    モノクマ「学園長への暴力は校則違反だよ」ピーピーピー


    モノクマは口を閉ざして怪しげな機械音を鳴らす。
    最初にその危険性に気付いて大和田くんに注意を促したのは霧切さんだった。


    霧切「危ない、投げて‼」


    霧切の言葉通り、大和田はモノクマを投げた。
    するとモノクマは爆発して木端微塵になる。だがもし、大和田くんがモノクマを掴んだままだったら彼もモノクマと共にこの世から消えていたかもしれない。考えるだけで悪寒が僕達15人を襲う。


    モノクマ「校則は厳守して貰わないとね。今回は警告だけで許すけど次はないよ‼」


    その後、僕達は一人ひとり生徒手帳をモノクマから手渡されて波乱の入学式は終わりを迎える事となった。
  7. 7 : : 2020/05/06(水) 09:49:42
    桑田「とにかく……出口を探そうぜ」

    大神「そうだな、どこか抜け道があるやもしれん」

    朝日奈「殺人がどうとか馬鹿げた話は置いといて今は皆で協力して逃げる方法を考えようよ!」

    山田「ならば‼さっそく学園内を探索していくとしますか‼」

    十神「俺は一人で行くぞ」


    全員が一致団結しようとする中、十神くんだけが空気を読まずに単独行動する事を宣言する。


    十神「既に誰かを殺そうとする人間がいるかもしれないしな」

    大和田「んだとコラー‼」

    十神「……どけよ、プランクトン」

    苗木「ちょっと待ってよ、ケンカなんてしてる場合じゃないだろ⁈」

    大和田「この野郎、俺に説教する気か⁈」ドカッ!


    刹那、大和田くんの拳が僕に迫る。
    だけどそれは石丸くんによって塞がれたのだった。殴られた石丸君は僕なんかよりも強いから吹き飛ばされる事もなく堂々と立っていた。


    苗木「石丸くん⁈」

    石丸「大丈夫かね苗木くん?見損なったぞ大和田くん‼暴力を振るうなんて‼」

    大和田「……チッ」


    居心地が悪くなったのか大和田くんは一人でどこかへと消えてしまった。
    それと同時に十神くんもまた一人で体育館から去ってしまう。どうして皆、協力できないんだろう……
  8. 8 : : 2020/05/06(水) 09:50:12
    石丸「くっ!とにかく、今は残されたメンバーで探索をしよう!」

    朝日奈「なら大神さん、一緒に行こ!」

    大神「ウム」

    山田「ではでは……セレス殿!御一緒に探索を~!」

    セレス「ハァ……仕方ないですね」

    舞園「苗木くん、一緒に行動しても良いですか?」

    苗木「もちろんだよ、僕なんかでよければ喜んで!」

    江ノ島「なら私もアンタらに混ぜて貰おうかな」

    舞園「大歓迎ですよ!みんなでここから出る方法を探しましょう!」

    桑田「チッ……不二咲ちゃん一緒にどう?」

    不二咲「うん、いいよ。葉隠くんも一緒にどうかな?」

    葉隠「おお、そうさせて貰うべ!」

    霧切「私は十神くんたち同様、一人で行動させてもらうわ……」

    苗木「そんな……もしよければ」

    霧切「ごめんなさい、悪いけど今は一人になりたいの」

    腐川「わ……私は」

    朝日奈「じゃあ腐川さんも私達と一緒に行こ!」

    腐川「……ふん」
  9. 9 : : 2020/05/06(水) 09:56:50
    こういう掲示板でSSを書くのは初めてなので色々と至らない箇所などがあるかもしれません。誤字脱字はハーメルンで投稿している今でも頻繁にあるので今回も結構あると思いますが、修正って出来るんですかね?出来ないならあっ、コイツまた間違えてやがると笑ってやって下さい。
    それと投稿ペースってどんな感じが良いのか分からないので、もしよければどんなペースで載せていけばいいか誰か教えて頂けると嬉しいです。

    すいません、書いた直後で
    ssnoteから執筆者の方へおねがい
    に気付きました。

    誤字脱字があった場合、ご指摘願います。すぐに修正させて頂きます。

    まだ新参者ですのでお許し下さい……
    第一章を投稿し終えた頃にはこの部分は非表示にしときます。
  10. 10 : : 2020/05/06(水) 11:05:31
    【購買部】


    舞園「う~ん、何か使えそうな物があると思ったんですけど」

    江ノ島「使えない物ばっか置いて売る気あるのかよこの場所……」

    苗木「これ、なんだろう?ガチャガチャかな?」

    モノクマ「違うよ、モノモノマシーンだよ‼」

    苗木「うわぁ‼どこから現れたんだよ……」

    モノクマ「学園の至る所に隠されているモノクマメダルを使って景品が当てられるんだよ‼」

    苗木「そ……そうなんだ」

    モノクマ「今回はお試しという事で一枚あげるよ。それを使って良い物当てろよ、うぷぷぷ」スッ

    舞園「どこか行っちゃいましたね……」

    江ノ島「面白そうじゃん!苗木、アンタ超高校級の幸運なんでしょ?回してみなよ!」

    苗木「それじゃ、お言葉に甘えて……」

    ガチャガチャを回してみると中から出てきたのは


    No.35 手ブラ
    まるで手で隠しているのかの様な見た目のブラジャー。
    新感覚の装着感が味わえる!


    苗木「」

    舞園「」

    江ノ島「いらないならアタシが貰っとくよ!」


    江ノ島さん⁈
  11. 11 : : 2020/05/06(水) 11:08:29
    ガチで江ノ島(???)ちゃん手ブラなんて馬鹿げた商品で普通に喜んでくれるんだぜ……あげたらチューしてあげよっかとか言ってくれるんだぜ……残念過ぎるんだよなぁ……




    【体育館前ホール】


    舞園「ここにある物、護身用なんかに使えませんか?」

    苗木「ご……護身用⁈」ギョッ

    舞園「万が一に備えてですよ」アタフタ

    江ノ島「ふ~ん、じゃあこれなんてどう?」


    そういって江ノ島さんはショーウィンドウから金箔で塗装された模擬刀を手に取る。


    江ノ島「うぇ、手が汚れた……」

    苗木「金箔がベッタリ付いてるね……護身用にはちょっと……」

    舞園「苗木くんが持って帰って個室のインテリアなんかにしてみてはどうですか?」

    苗木「インテリア⁈どうかな……あんまり部屋の雰囲気にあわないような……」

    舞園「それにしても困りました。これじゃあ身を守れるものが……」

    苗木「もし必要な時が来ても……僕が守るからさ、大丈夫だよ」

    舞園「苗木君……」///

    江ノ島「そんじゃ、私も苗木に守ってもらおうかな!」

    苗木「うん、頑張るよ!」
  12. 12 : : 2020/05/06(水) 11:21:02
    舞園「唐突ですけど苗木くんや江ノ島さんには夢とかありますか?」

    江ノ島「夢?まぁギャルとしてこの先もやっていきたいとかそんな感じかな」

    苗木「僕はまだ探してる途中って感じかな?希望ヶ峰学園に入ってそれが決められたらよかったんだけど、こんな事になっちゃったし」

    舞園「私は昔からアイドルに憧れていたんです……」


    そして舞園さんは語ってくれた。彼女がアイドルになりたいと思ったきっかけを……
    そしてだからこそ、こんな所で立ち止まっているわけにはいかないという思いを。


    苗木「楽しくないの?」

    舞園「いえ、毎日すっごく楽しいんです。だけど、だからこそ怖くなるんです。世間に飽きられたらどうなるんだろうって……」


    彼女は小刻みに小さく震える。怖いんだ、今の状態が……


    舞園「こうしている間にも忘れられていると思うと怖くて……どうしたらいいのか……」


    僕と江ノ島さんは言葉に詰まった。下手に励ましても逆効果だろうし、だからといって……


    舞園「ごめんなさい、愚痴なんて言って……」

    江ノ島「いや、まぁ仕方ないじゃん?こんな時だし」

    苗木「そうだよ……あのさ皆で食事が出来る場所でも探さない?」


    話題を変えて場を明るくしようと必死になる僕を見て江ノ島さんと舞園さんはニコリと笑う。
    だけど、舞園さんの笑顔はまるで仮面のような、よそ行きの表情に見えた……
  13. 13 : : 2020/05/06(水) 11:21:18
    【食堂(厨房)】


    苗木「結構色々あるね……」

    江ノ島「だけどどれだけ閉じ込められているか分からないし節約しないとね」

    モノクマ「その心配はありません!」

    舞園「きゃっ!」

    苗木「お前また……!どこから出て来たんだよ!」

    モノクマ「気にしない、気にしない」

    江ノ島「それで……心配ないってどういう事?」

    モノクマ「冷蔵庫などには自動で食糧が追加されるからね。好きなように食べたいだけ食べていいんだよ‼」

    苗木「そうなの?」

    モノクマ「僕って優しい!感謝してもしきれないでしょ?」

    江ノ島「ハァ!こんな所に閉じ込めて何言ってんの⁈」

    モノクマ「うぷぷ、閉じ込めたのは僕じゃないけどね」

    苗木「ん?それってどういう事だよ?」

    モノクマ「なんでもないよ!あんまり気にしないでいいよ」スッ


    それだけ言うとモノクマは何処かへと消えてしまった。
  14. 14 : : 2020/05/06(水) 11:21:31
    舞園「それじゃあ、気を取り直してラー油でも作りましょう!」


    調味料⁈


    舞園「ふふ、冗談です」

    江ノ島「まぁ適当に……レーションでも作ろっか!」

    苗木「アハハ……僕はじゃあ、簡単な物でも作ろうかな……」
  15. 15 : : 2020/05/06(水) 11:21:56
    しばらくして……


    石丸「おお!美味しそうな匂いだ!」


    そういえば石丸くんは誰と行動してたんだろう?


    石丸「そろそろ皆も集まる事だ!ここでしばらく時間を潰すとしよう!」

    江ノ島「レーションうまうま!」


    本当にレーションなんて作ってたんだ……
    レーションって作れるのか?


    セレス「あら、意外とのんびりしているのですね」

    舞園「一応色々と見て回ったんですけど……」

    山田「やや、苗木誠殿!美味しそうですな、僕にも一口くだされ!」

    苗木「いいよ、僕の作ったヤツだからそんなに美味しくもないかもしれないけど」

    桑田「舞園ちゃ~ん!俺にもなんか作って~!」

    葉隠「やめといた方がいいべ!俺の占いは三割当たる!」

    不二咲「僕も何か作ろうかな?」

    朝日奈「ねぇねぇ!舞園さんドーナツ作れる⁈」

    大神「フッ、我も喉が渇いた。プロテインがあれば良いのだが……」


    続々とみんなが食堂に集まって来る。


    苗木「あれ、腐川さんは?」

    朝日奈「う~ん、なんか気付いたらいなくなってたの」


    どうしたんだろう腐川さん……
    彼女の事を考えていると十神くんや霧切さんも集まった。腐川さんは十神くんの後を追うようにやってきた。

    あとは大和田くんだけだな……
  16. 16 : : 2020/05/06(水) 11:22:16
    セレス「誰か大和田くんを呼んで来ては如何ですか?」

    桑田「アポ?アイツなら確か、自分の部屋に入っていくのをさっき見た気がするぜ」

    山田「ま……まさか部屋で自家発電でも……ゴクリ…」

    桑田「黙ってろブーデー!」


    それにしても大和田くん、もしかして体育館での事を気にしてるのかな?
    少し怖いけど……


    苗木「僕が呼んでくるよ」


    ついでにまだ覗いてない自分の部屋も見ておくか。


    十神「ふん、放っておけ。所詮は愚民だ」


    去り際に十神くんから何か言われたけど僕は無視して大和田くんの部屋へと向かった。
  17. 17 : : 2020/05/06(水) 11:22:31
    苗木「大和田くん、大和田くん……」コンコン


    駄目だ、返事がない……
    部屋にはもういないのかな?

    仕方なく僕は諦めて食堂へと向かう。
    でもその前に自分の部屋を見ておくか……

    自分の部屋に入る。
    ベッドがあって机もあって、必要な物だけが色々と揃っていた。僕は部屋に金箔刀を置いた。

    うん、見事に似合ってない……


    苗木「ここはシャワールームかな?」ガチャガチャ


    あれ、開かない?
    まぁいいか……食堂に戻ろう。
  18. 18 : : 2020/05/06(水) 11:22:47
    苗木「何回か呼んだけど大和田くんはいないみたいだったよ」

    桑田「居留守でも使ってんじゃねぇの?」

    石丸「仕方ない!彼の事は放っておいて皆で互いの情報を共有しよう!」


    石丸くん……もしかして今朝の事まだ怒ってるのかな?それなら大和田くんが来ないのもちょっと納得かもしれない。
    僕達はみんなで互いの集めた情報を共有した……


    江ノ島「結局何も分からなかったって事?」

    セレス「そうですわね、ですが問題ありません。適用すればいいのですから」

    十神「それが嫌なら殺し合うしかあるまい」

    桑田「馬鹿言ってんじゃねぇぞ!」

    不二咲「うぅ……嫌だよぉ」


    険悪な空気が流れる。でも当然だ。僕達はお互いの事を何も知らないのにいきなりこんな事に巻き込まれて……
    みんな恐いんだ……


    セレス「このままだといけませんわ……ルールを我々で追加しましょう」

    霧切「ルール?」

    セレス「はい、夜時間の出歩きを禁止。もちろん口約束でしかないのですが」ニッコリ


    最初はみんな、渋っていたけどコロシアイを恐れてこのルールを守る事になった。
  19. 19 : : 2020/05/06(水) 11:23:13
    【苗木誠の個室】


    今日からここで寝泊りする事になるのか……
    そういえば女子の部屋にだけシャワールームの鍵が閉まるって言ってたけど


    苗木「……やっぱり開かないなぁ」ガチャガチャ

    モノクマ「残念ながら鍵のせいじゃないんだよね!」

    苗木「……モノクマか」

    モノクマ「あれ、今回は驚いてくれないなんて……ショックだなぁ」ショボーン

    苗木「ハァ……それで?鍵じゃないならどうして開かないのさ?」

    モノクマ「君の部屋だけドアの建付けが悪いんだよね」

    苗木「えっと、僕の部屋だけ?」

    モノクマ「そう!でも笑えるよね!超高校級の幸運なのに一人だけ建付けの悪いドアだなんてツイてないね!」

    苗木「ハァ……まぁでもこれでドアが開かない理由は分かったよ」


    モノクマにドアの開け方を教わった。


    モノクマ「それじゃあ、また明日!」

    苗木「あっ、もう……すぐどこかへ消えるんだから」


    消えたと同時にチャイムが鳴り部屋のモニターにモノクマが映し出される。
    10時になったという知らせだ。今日はもう寝よう……

    今日は凄く疲れたな……
    全部夢で眠った後はこの最悪な夢から覚めていたら良いのに……
  20. 20 : : 2020/05/06(水) 11:35:33
    期待です

    セリフと地の分の間は、空白を1行増やした方が読みやすくなると思います
  21. 21 : : 2020/05/06(水) 12:16:10
    >>20 参考にさせて頂きます!
    修正完了しました!
  22. 22 : : 2020/05/07(木) 03:05:34
    《二日目》


    苗木「今日はどうしようかな……」


    探索は昨日で済ませたし卿になって新しく何か見つかるとは思えないし……


    江ノ島「苗木じゃ~ん!何やってんの?」

    苗木「江ノ島さん⁈えっとブラブラしてるだけかな?江ノ島さんは?」

    江ノ島「私も似たようなモンだよ。ったくいつになったら出られるんだろ……」

    苗木「……暇なら少しお話でもしようか?」

    江ノ島「いいよ~、じゃあ食堂にでも行こっか!」
  23. 23 : : 2020/05/07(木) 03:05:50
    【食堂】


    江ノ島「苗木はさ、舞園の話どう思った?」

    苗木「昨日の事だね……仕方ないよ、こんな状況だし皆隠してるけどどうしたらいいか分からないんだ」

    江ノ島「そうじゃなくて夢の話だよ」

    苗木「凄く頑張ってるんだなって。だからこそ彼女の夢を妨げる黒幕には苛ついてるよ」

    江ノ島「そっか……」


    どこか江ノ島さんは居心地が悪そうだ。何か他の話題に変えた方がいいかな?


    江ノ島「私さ、昔からずっと同じ夢見てたんだ。普通なら成長するごとに変わるモンだと思うけど……」

    苗木「それって凄く良い事だと思うけどな。ブレないってことでしょ?」

    江ノ島「でも私自分の夢に迷った事ないって言うか……」


    僕とは大違いだ。僕なんかこの学園に来たのはその後で将来が約束されているからで、舞園さんや江ノ島さんみたいに大きな夢を抱いて来たわけじゃない。
    少し羨ましい。


    江ノ島「ブレるから見えてくる物とか可能性が広がるんだと思うし。だから不安なんだ、自分に出来る事が他にもあるんじゃないかって……それを探してみたいって思うのはあたしが甘えてるだけなのかな?」

    苗木「それは違うよ。僕だって何になりたいか今でも考えるしこれからも探し続ける。そうやって探す事自体が大事なんじゃないかな?」

    江ノ島「苗木くん……そうだよね、探さないでいるより幸せになれる!参考になったよ!」


    なんだか少しだけ雰囲気が変わったような……
    僕の気のせいかな?


    江ノ島「ありがとね、苗木!お礼にあたしがクロになっても、アンタは殺さないであげる!」

    苗木「恐いこと言わないでよ……」


    江ノ島さんと少し仲良くなれた気がする。
  24. 24 : : 2020/05/07(木) 03:06:03
    まだ時間があるな……誰かと一緒に時間を潰そう……


    舞園「あっ、苗木くん。今時間空いてますか?」

    苗木「舞園さん!どうしたの?」

    舞園「一緒にご飯でもと思いまして!昨日は苗木くんが誘ってくれたので今日は私から誘う事にしました!」


    嬉しいな、舞園さんから誘ってくれるなんて……舞園さんは何が食べたいんだろう?


    舞園「私は苗木君の作ってくれる物ならなんでもいいですよ!」

    苗木「えっ、どうして?」

    舞園「ふふっ、エスパーですから!」
  25. 25 : : 2020/05/07(木) 03:06:22
    【食堂】


    舞園「実は私、昔から苗木くんとお話したいと思ってたんです!」

    苗木「えっ!でも舞園さんは有名人だったし、確かにそういう機会はあまりなかったよね……」

    舞園「そうなんです!だからこの学園で会えてすっごく嬉しかったんです!」


    確かに僕も舞園さんと同じ高校に行けると知った時は嬉しかったな。
    なんか気持ち悪いかもしれないけど運命みたいなのを感じたのを覚えてる。


    舞園「偶然にしては出来過ぎですものね!」

    苗木「もしかして、またエスパー?」

    舞園「いいえ、ただの勘です!」


    鋭すぎる勘だなぁ……


    舞園「そういえば、苗木君……突然ですけど彼女とかいるんですか?」

    苗木「えぇ……!本当に突然だね、彼女なんていないよ!」

    舞園「そうなんですか?苗木くんってモテそうですけど」

    苗木「そんなのあり得ないよ。僕はこの学園にクジで選ばれたって事以外は普通の高校生なんだから」

    舞園「苗木くん、いつもそうやって自虐ばっかり。もう少し自信を持って下さい!」

    苗木「自信って言われても……でも悲観的になったりはしないよ。僕の取り柄は人より少しだけ前向きな事だけだから」ハハッ

    舞園「そうですね……この学園に来ても苗木くんのその前向きさには救われています!」

    苗木「そういってもらえると嬉しいな。僕も舞園さんの笑顔に救われているからお互い様だね!」

    舞園「はい、学園から出る為にも頑張りましょう!」


    そうだ!舞園さんの為にもこの学園から出る術を見つけないと!
    舞園さんと少しだけ仲良くなれた気がする。
  26. 26 : : 2020/05/07(木) 03:06:44
    【苗木誠の個室】


    苗木「結局今日は何もなかったな……」


    出口が見つかるわけでもなく、ただ時間を浪費しただけだった。
    助けが来る様子もあまり感じられない。

    一体いつまでこんな日々が続くんだろう……

    布団に身を包んだ時、そいつは突然現れた。


    モノクマ「やぁ苗木くん。元気にしてる?」

    苗木「……ったく、僕はもう眠いんだ。何か用なの?」

    モノクマ「つれないなぁ……まぁいいや。誰かを殺す気になってきた?」

    苗木「そんな事するわけないだろ……」

    モノクマ「君はそうかもしれないけど……他の人達はどうかな?仲が悪い人達だっているんじゃない?」


    そう言われて考えてみる。大和田くんと石丸くんの仲は未だに悪いと思う。というか大和田くんなんて今日は一度も会っていない。
    十神くんも場を乱すタイプだから誰かに恨まれていたりするかも。霧切さんや腐川さんも孤立しているし……

    考えれば考える程なんとかしないとこの先、みんなの関係が悪化するかもしれない……


    苗木「でもなんでそんな事を僕に言うの?」

    モノクマ「いやぁ、君は良くも悪くも前向きだからね!色々な人と関わって真っ先に絶望してくれたら楽しそうでしょ?」

    苗木「楽しいわけないだろ‼僕はもう寝るから邪魔しないでよ!」

    モノクマ「はいはい!でも覚えといてね、僕は絶望的に飽きっぽいという事を。うぷぷぷぷ……」


    思わずため息が出る。寝る前に嫌な奴と喋っちゃったなぁ……
    モノクマと不本意ながら少しだけ仲良くなった気がする……
  27. 27 : : 2020/05/07(木) 09:36:22
    《三日目》


    モノクマの言う通りにするのは癪だけど……
    このまま仲が悪くなってそれが原因でコロシアイなんて洒落にならないよな……

    今日は霧切さんや十神くんと接してみよう。
    霧切さんは僕がこの学園で初めて目覚めた教室にいた。


    苗木「霧切さん……と葉隠くん?」

    霧切「苗木くん、どうかしたの?」

    葉隠「苗木ッち~!良い時に来たべ!」


    なんだか凄く嫌な予感がする。
  28. 28 : : 2020/05/07(木) 09:36:38
    霧切「私の事は良いからあなたは早くこの場から離れた方がいいわ」

    苗木「いやでも、僕は霧切さんに用があったんだけど」

    霧切「私に……?それなら仕方ないわね」

    葉隠「二人共なに話してんだ?そんな事より聞いてくれ」

    苗木「どうしたの葉隠くん。切羽詰まった顔して……」

    葉隠「いやぁ、この学園から出た後絶対に金が必要になるべ。だから少しだけ金を貸して欲しいんだ!」


    そういえば葉隠くんは未だに今の状況を何かのイベントと勘違いしてるから危機感を感じてないんだろうな……


    霧切「悪いけど今持ち合わせがないの」

    苗木「僕もだよ、ていうか葉隠くんも覚えてると思うけど私物はこの学園に来た時に奪われたの忘れたの?」

    葉隠「そうだった~、忘れてたべ!でも心配なかれ、二人にはこれをやるべ!」ホレ!

    苗木「これは?」ナニコレ

    葉隠「壺だべ!」


    どこで見つけたんだこんなの?


    霧切「これ、体育館のショーウィンドウに入ってたヤツでしょ?」

    葉隠「ち……違うべ!俺のモノは盗られてなかったんだべ!それは私物だ!」


    嘘クサい……もしかしてだけどこれって


    霧切「まさかとは思うけどこれを私達に渡して後でお金を取ろうとしてるわけじゃないでしょうね?」

    葉隠「その通りだべ!」


    認めちゃうんだ……


    葉隠「それは凄い力が込められていて買えば幸せになれる壺だ!価値があるべ!」


    駄目だ、早くなんとかしないと!

    僕と霧切さんは必死で葉隠くんに渡された壺を返そうとしたけど葉隠くんは最後まで受け取ってくれなかった……
    霧切さんと少しだけ仲良くなれた気がする。
    葉隠くんと少しだけ仲良くなってしまった気がする。
  29. 29 : : 2020/05/07(木) 09:36:54
    【食堂】


    凄く疲れた……
    だけど霧切さんは人と話すのが少し苦手なだけで喋ったらちゃんと返事もしてくれるし悪い人じゃないみたいだ。葉隠くんは……うん…


    石丸「やや!苗木くんではないか!良い処に来た!」


    あれ?十神くんも一緒のようだ。なんだか珍しいというか、普段とは違う組み合わせだな……


    十神「おい、苗木。この暑苦しい奴をなんとかしろ」

    石丸「暑苦しいとはなんだね⁈僕は君の協調性の無さを心配しているのだ!」


    そうはいっても石丸くんの空気の読めなさも大概だとは思うけどね……
    でも石丸くんも十神くんの事気になってたんだ。


    苗木「なんの話をしてたの?」

    十神「コイツが他のヤツと仲良くしろなどと……フン、仲良しごっこをするのは構わないが俺を巻き込むな」

    石丸「だが、一人の所を襲われでもしたら風紀委員としての僕の責任が問われるのだ!」

    苗木「アハハ……困ったな…」


    十神くんは自分勝手だし石丸くんは必要以上に強引なところがあるから合わないんだろうなぁ……


    十神「そうだ、苗木。この際だから聞いておこう。お前の才能、超高校級の幸運とはどういう意味だ?」

    石丸「むっ、確かにそれは気になるな。幸運とはどういった才能なのだ?」


    話題を上手い事すり替えたな十神君……


    苗木「ただクジで当たったからそんな称号を貰えたんだよ」

    十神「つまり、ただの運か。なるほどな、納得がいったぞ。お前みたいな平凡を形にしたような奴がどうしてこの学園に入学出来たのかと思えばそういうツマラン理由だったのか」

    石丸「ツマラナイだと?そんな事はないぞ苗木くん!この先努力を積み重ねればきっとこの学園に相応しい生徒にだってなれるさ」


    それって僕がこの学園に相応しくないって事!悪気はないんだろうけど……アハハ……


    十神「俺のような超高校級の完璧とは大違いだ」

    石丸「君は超高校級の御曹司だろう?」

    十神「フン、そんな言葉で片付けて貰っては困る。俺は文武だけでなく何もかもが完璧な超高校級だからな」

    石丸「そ……そうか」


    石丸くんまで引いてるよ……
  30. 30 : : 2020/05/07(木) 09:37:04
    自慢するだけして十神くんは去っていった。
    十神くんと話していると精神的にダメージを負ってしまうから話す時は覚悟しとかないと……


    苗木「凄いなぁ、十神くんは天才なんだね」

    石丸「そうかもしれん。だが苗木くん、天才だからといってその能力に身を任せきりだとダメになる。どんな時も努力を積み重ねなければならないのだ!世の中を動かすのは天才などではなく努力なのだからな!」


    石丸くんは何か熱く語ってくれる。天才って言ったのが悪かったのかな?


    苗木「そっか、そうだね。それに天才だって努力をし続けないといけないよね」

    石丸「そう、どんな人間も努力に努力を積み重ねなければならないのだ!というわけで勉強でも一緒にどうかね、苗木くん?」


    勉強か、こんな時にまで勉強なんてする意味ない気がするけど気を紛らわせるのには丁度良いかもしれないな。
    僕は夜になるまで石丸くんと勉強した。

    十神くんと少しだけ仲良くなれた気がする。
    石丸くんと少しだけ仲良くなれた気がする。
  31. 31 : : 2020/05/07(木) 09:37:17
    【苗木誠の個室】


    また、今日も何も手掛かりを見つけられなかった。
    一体いつまでこんな事をしてればいいんだ……

    そもそも黒幕の狙いは僕らにコロシアイをさせる事。その為にこれからどう動くのか……
    今日は石丸くんや十神くん、霧切さんや葉隠くんと話したけど未だに大和田くんや腐川さんと話せていない。

    他の人達は互いに仲を深めているけど、どうしよう?

    それに僕がこうやって行動してもどうにかなるって物でもないかもしれないし……
    いや、駄目だ。前向きだけが僕の取り柄なんだから。信じよう、僕の行動は無意味ではないと信じるんだ。


    モノクマ「うぷぷ……やっぱり君は僕の思い通りに動いたね苗木くん」


    もう驚かない。これからコイツが毎夜現れるのが日課になってしまうのだろうか?


    苗木「どうしていつも僕の部屋に来るのさ?」

    モノクマ「絶望的に君が思い通りに動いてくれるからさ」

    苗木「あっそう、それで今日は何を言いに来たの?」

    モノクマ「苗木くんは質問が多いね。まぁ明後日辺りにさ、誰か死ぬんだ。それを伝えとこうと思って」

    苗木「えっ?」

    モノクマ「うぷぷ、分かり易い反応だね。それじゃあ、また明日……」


    どうして、明後日なんだろう?
    モノクマには未来でも見えるとでも言うのか?違う、絶対に何かを企んでるんだ。

    そうに決まってる‼‼

    苗木「お前の好きにはさせないぞ、モノクマ‼」

    モノクマ「うぷぷぷぷ……」


    モノクマとまた少し仲良くなってしまった気がする。
  32. 32 : : 2020/05/08(金) 02:45:45
    《四日目》

    苗木「なんとかしないと……」


    だけど、誰が誰を殺すのか……どこでどうやって?
    何も分からない。どうすればいいんだ……

    ドンドン!
    ドンドンドンドンドンドン‼‼

    ドアにノックというよりは叩く音が鳴り響く。
    インターホンがドアの横にある筈なんだけどな……


    苗木「誰だろう?」ガチャ

    石丸「グッモーニングッだぞ、苗木くん!」

    苗木「どうしたの、こんなに朝早くから?」

    石丸「ウム、実は昨日から考えてたんだが僕達はもっと固く協力し合うべきだと思うのだ。それでこれから毎朝、起床後に朝食会を開こうと思う」

    苗木「分かった、すぐに行くよ」


    石丸くんは言う事だけ言ってすぐに部屋から出て行った。他の人達も呼びに行ったのだろう。
  33. 33 : : 2020/05/08(金) 02:46:01
    【食堂】


    僕が食堂に行った時には全員既に集まっていた。
    いや、一人だけいない。


    苗木「大和田くんは?」

    石丸「それが部屋にノックしても返事がないのだ」


    だからインターホンを使った方がいいと思うけど……


    朝日奈「大和田なら昨日見たよ。食堂にいたもん」


    ずっと部屋に籠っていないと知り安心はしたけど、どうしたものか?
    石丸くんはいわゆるまとめ役だ。そんな彼を殴ってしまい引け目に感じているのか、或いは体育館で石丸くんを殴ってしまった後も何かあったのだろうか?


    江ノ島「それで?何か手掛かりはこの何日かで見つかったわけ?」


    いつもより賑やかな朝食。だけど僕達は出会ってまだ数日しか経っていない。
    すぐに仲良くなれと言うのは無理があるのだろう。


    セレス「そんな事を言って、弱みを晒していると死にますわよ?」


    みんなが互いに威圧しているような雰囲気だ。


    不二咲「今回の黒幕ってジェノサイダー翔の可能性とかあるんじゃないかなぁ……」

    山田「確か噂の殺人鬼でしたな。可能性は大いにありますぞ!」

    十神「なるほど、お前はその殺人鬼が俺達をこの学園に閉じ込めたと言いたいんだな?」

    不二咲「うぅ、可能性だけどぉ……」


    そんな空気を打ち破ろうとしたのは朝日奈さん。


    朝日奈「大丈夫、誰が犯人だろうとすぐに助けは来るよ!だって警察だって動いてない筈ないんだし!」


    そしてそんな努力をあざ笑うようにモノクマがやってきた。


    モノクマ「アーㇵッハッハ!警察なんて引き立て役だよ!そんな役割しかない警察なんて頼りにしても無駄無駄!」

    苗木「何しに来たんだよ!」

    モノクマ「オマエラが殺し合いをしない事に飽き飽きしてきたんだよ!」

    苗木「僕らは絶対に殺し合ったりなんかしないよ!そもそもお前の目的はなんなんだ⁈」

    モノクマ「うぷぷぷ……それはね」
  34. 34 : : 2020/05/08(金) 02:46:26
    モノクマ「絶望……ただ、それだけだよ」

    霧切「そう、それだけを言いに来たの?」

    モノクマ「いやいや、今回はね……誰も殺さない君達に”動機”を用意したんだよ。何にだって目的は必要だしね。あと、僕の秘密や学園の謎を探りたいなら好きにどうぞ!僕は止めないからね」


    それだけ言うとモノクマはまた消えて行った。
    動機は何かの映像らしいけど……映像見られる場所なんて視聴覚室しかないよな……


    十神「俺は先に行っているぞ」

    腐川「わ……私も行くわ……」

    石丸「ま……待て!我々も急ごう!」


    ゾロゾロと全員で真っ直ぐ視聴覚室へと向かう。
    昨日のモノクマの言葉を思い出していた僕は嫌な予感がした。だけど見ない訳にもいかないよね。
  35. 35 : : 2020/05/08(金) 02:46:35
    【視聴覚室】


    大和田「遅かったじゃねぇか」

    石丸「大和田くん⁈今朝は一体どこにいたのかね⁈」

    大和田「あぁん⁈んなこたぁ、どうだっていいだろうが‼」


    苛立っている様だけどどうしたんだろう?
    まさか、もう既に映像を見たのかな?


    セレス「とにかく、映像とやらを見てみましょうか」

    大神「そうだな、話はそれからであろう」


    段ボール箱に詰められたDVD。一つ一つに個別の名前が書かれている。
    僕は自分の名前が表紙に記されているDVDを手に取った。

    最初は何も問題のない家族からのエールで始まった。
    少し恥ずかしかったけど、でもこんな状況だからこそなのかもしれない。見ていて励まされたし頑張ろうと思えたんだ。

    なのに次の瞬間、画面は切り替わり無惨にも変わり果てたリビングが映し出される。
    こまる、母さん、父さんはどこに行ったのか、どうなったのかは分からない。

    何故なら最後にモノクマの独白と共に『正解発表は”卒業”の後で‼』という文字が表示されるからだ。
    つまり、誰かを殺してここから出ないと家族の安否が分からない……


    苗木「出なきゃ……ここから出ないと!」

    心の声を僕は大声で荒げていた。
    だけどそれは他の皆も同じで特に一番動揺していたのは舞園さんだった。


    苗木「舞園さん?大丈夫……」


    ソッと彼女の肩に手を伸ばすもその手は彼女によって振り払われた。


    舞園「やめて‼」


    ピシャリ!と一言告げて彼女は視聴覚室から出て行ってしまう。
    その後を僕は追う事にした。


    十神「放っておけ」

    苗木「そんな事……!そんな事出来ないよ!」
  36. 36 : : 2020/05/08(金) 02:46:50
    1-Aの教室。つまりは僕が目覚めた場所。
    そこに彼女はいた。うずくまって頭を手で押さえる彼女の顔は青ざめている。その表情は正しく絶望に包まれていた。


    苗木「舞園さん……大丈夫?」


    質問を間違えたとすぐに察した。


    舞園「はい、大丈夫……な訳ないじゃないですか……」


    彼女に表情なんてない。とにかく怯えている。


    舞園「出してよ!私をここから出して!」


    怒りに任せて怒鳴る彼女を、僕は宥める術なんて知らない。だけど何とか言葉を選びながら彼女に喋りかける。


    苗木「舞園さん、落ち着いて……こんな時だからこそ冷静にならなきゃ!」

    舞園「でも、逃げ道も助けも来なかったらどうするんですか……?」

    苗木「その時は……その時は僕が君をここから出してみせる‼どんな事をしても絶対にだよ‼」


    その言葉と同時に舞園さんは涙を流しながら僕の胸に飛び込んだ。


    舞園「殺すとか殺されるとかもう耐えられない‼」

    苗木「舞園……さん…」

    舞園「さっきの言葉、信じてもいいですか?苗木くんがここから出してくれるって言葉……」

    苗木「もちろんだよ‼絶対に君をここから出す!絶対にだ!」

    舞園「信じられるのは苗木くんだけなんです……苗木くんだけは何があってもずっと、私の味方でいて……」
  37. 37 : : 2020/05/08(金) 02:47:03
    舞園さんを落ち着かせてお互いに自分達の部屋に戻った。
    僕も色々と考える事がたくさんある……


    モノクマ「たってたね!」

    苗木「えっ?」

    モノクマ「フラグってヤツですね‼僕にはわかるよ‼」


    全くもって嬉しくない。あんな状況で、あんな映像を見せられて……!
    だけどコイツに歯向かうわけにもいかないんだよな……


    苗木「僕の家族はどうしているの?」

    モノクマ「あれ、映像を見なかった?答えはすぐにわかるよ!」

    苗木「誰かを殺せばって事?悪いけど僕は、絶対にそんな事はしないよ」


    何があっても、それだけは絶対に……
    家族は無事だ。そう今は信じるしかない。今は自分が無事でいる事を優先しないと。


    モノクマ「うぷぷ、絶望した?」

    苗木「ううん、僕は誰も殺さない。ここにいる皆だって誰も殺さない」

    モノクマ「それは希望的観測ってヤツだよ。僕は言ったよね、明日誰かが死ぬって」

    苗木「もしも、僕達に誰かを殺そうとする人間がいても僕が止めるよ、絶対に!」


    大きな決意。口にしていて本当にそんな事が出来るのかと自分自信を一瞬だけ疑うも言わなきゃならないと感じた。
    口に出して言う事で気持ちが落ち着いて、そして闘志が湧き上がる。


    モノクマ「……苗木くんらしいよ。まぁ、精々足掻いて最後は絶望しなよ。この学園に希望なんてないんだから」


    それだけ言うとまたどこかへと消え去るモノクマ。
    アイツはどうして毎夜、僕に会いに来るんだろう?

    不本意だけど少しモノクマと仲良くなってしまった気がする……
  38. 38 : : 2020/05/08(金) 02:47:15
    ピンポーン……
    部屋のインターホンが鳴る。あと少しで夜時間だってのに誰だろう?


    苗木「今出ま~す!」ガチャ


    部屋は防音なんだから聞こえないだろうけど昔からの習慣なのか僕は声を出しながらドアを開ける。
    ドアを開けて目に入ったのは舞園さん。彼女は目に見えた怯えていた。


    苗木「どうしたの舞園さん?」

    舞園「ごめんなさい、こんな夜遅くに……」

    苗木「それは全然構わないけど」


    彼女の怯えようは見ていてこっちも不安にする。
    なにかあったのかな?


    舞園「さっき寝ようとしていたらドアがガタガタと揺れだして、私怖くて……」

    苗木「えっ⁈それでどうしたの?」

    舞園「しばらくして収まった後にドアを開けても誰もいなくて……」

    苗木「それって、誰かが扉を開けようとしたって事だよね?」


    モノクマの言葉が頭に過る。そういえばアイツは監視カメラを通して僕ら全員を見ているんだ。
    誰かを殺そうとする人がもういて、それを僕に知らせていたのかもしれない。理由は分からないけど……


    苗木「それならさ、今晩は僕の部屋に泊まったら?」

    舞園「えっ、でもそれは……」///

    苗木「あっ、いやそう言う意味じゃなくて……!」


    何を想像したのか彼女は頬を赤く染まる。


    舞園「それなら、もしよければ一晩だけ部屋を交換しませんか?」

    苗木「部屋の交換?でも僕が舞園さんの部屋に入ってもいいの?」

    舞園「大丈夫です、苗木くんの事……信用してますから」


    満面の笑顔。それを見ているだけで僕の心はポカポカと温かくなる。
    タイミングを見計らったかのように10時を知らせるモノクマアナウンスが鳴り、僕と舞園さんは他の人達にバレないように部屋を交換する事にした。

    鍵の交換もしないと……


    舞園「そうですね、鍵を交換しておきましょう」

    苗木「ま……また⁈」

    舞園「エスパーですから」

    苗木「あっ、それと僕のシャワールーム建付けが悪いみたいで開けるのにコツがいるんだ」


    シャワールームの開け方を舞園さんに教えた。


    舞園「それじゃあ、おやすみなさい」

    苗木「また明日」


    誰も死なせない。絶対にだ……!
  39. 39 : : 2020/05/08(金) 02:47:50
    《五日目》


    モノクマアナウンスと共に僕の意識はゆっくりと覚醒した。
    目が覚めて自分が舞園さんの部屋にいると気付き、
    そういえば昨日部屋を交換したんだっけな。などと考えながら朝食へ行く準備を済ませて部屋を出る。

    外で誰かに見られていないかを警戒して廊下への扉を開ける。部屋の交換がバレたら大変だ。
    主に石丸くん辺りが騒ぎそう……

    運が良いのか誰も廊下にはいなかったので僕はすぐに舞園さんの部屋から出て食堂へと向かう。


    朝日奈「あっ、苗木だ!」

    不二咲「おはようございますぅ!」

    石丸「今日は僕が一番乗りだったぞ!」

    大神「早いな……」


    ここにいる彼らはいわゆる”貴族正しい高校生”に分類される。


    山田「朝のお勤めを思いのほか堪能してしまいまして!」

    江ノ島「ごめーん、メイクに時間かかってさ!」


    次にやって来るのは時間にルーズな面々。


    霧切「遅くなったわね……」

    セレス「みなさん、おはようございます」

    葉隠「おお、遅れちまったべ。でも仕方ない事なんだ、今朝の占いでは遅れた方がいいって占いで言ってたべ!」

    腐川「……ナニ見てんのよ…」


    今来ていないのは大和田くん、十神くん、そして舞園さんか……
    大和田くんや十神くんはいつも通りだけど舞園さんは?

    しばらくして十神くんが食堂へとやって来て、僕の胸の鼓動が少し早くなるのを感じる。
    焦っているんだ……もしかしたら…まさか…そんな筈はない。

    気付いた時には僕の足は動いていた。
    舞園さんのいる僕の部屋へと走っていたのだ。

    ドアノブに手を触れると鍵が開いていて、
    僕は自分の呼吸が荒くなるのを感じる。

    中を覗くと部屋はすっかりと様変わりしていた。
    床や壁には金色の傷が刻まれていて、地面には模擬刀が鞘から抜かれた状態で捨てられている。

    そして……


    苗木「桑田……くん………………どうして……」


    ベッドの上には桑田くんが血塗れになって寝かされていた。
  40. 40 : : 2020/05/08(金) 19:16:45
    期待!\\\\٩( 'ω' )و ////
  41. 41 : : 2020/05/09(土) 06:39:33
    >>40ありがとうございます!頑張ります!


    気付いた時には僕は悲鳴をあげていた。
    みんなに知らせないと……

    だけど足が動かない…

    それどころか、身体が軽くなって意識が朦朧として……
    …暗転……

    目を覚ますとそこには広い天井と今にも泣きそうな少女の顔があった。


    舞園「苗木……くん………」


    悲しませた。僕はまた彼女を泣かせてしまったのか……


    朝日奈「やっと目を覚ました!大丈夫⁈」


    大丈夫な筈がない。それでも僕は自分に言い聞かされるように「大丈夫」と一言述べる。
    場所は体育館……僕はどうしてこんなところにいるんだ?

    そして思い出す。
    初めて見た死体、そして僕の部屋……


    苗木「桑田くんは⁈」


    身体を起こして舞園さんへと目を向ける。彼女は顔を青ざめながら首を横に振った。


    十神「桑田怜恩は死んだ」


    気付いたら僕の足はまた走り出そうとしていた。
    自分の部屋へと……だけど僕の腕はあっさりと江ノ島さんの力強い手に掴まれる。


    江ノ島「ちょっと待ちなって!どこへ行く気?」

    苗木「決まってるだろっ‼桑田くんが死んだんだよ⁈」


    どうすればいい?何を恨めばいい、何をすればいい?
    分からないけど今は桑田くんのところにもう一度行かないといけない気がした。

    関わりはさほどなかったけどそれでも桑田くんは大事な仲間だった。
    なのに彼は……もうこの世にいないと言われて僕は混乱していた。


    苗木「そもそもどうして、こんな時に体育館になんか集まってるんだよ⁈」

    霧切「モノクマから言われたのよ。ここに来るようにって。だから私達はここにいる」

    苗木「そんなの……アイツの言う事なんて聞く必要ないだろ…アイツが桑田くんを殺したに決まってる……」


    だけどここ数日間のモノクマとの会話を思い出す。
    口では言ってみたものの、心のどこかで犯人はアイツじゃないと言っている。


    モノクマ「僕はそんな事しないよっ!それだけはしないよ‼」


    突如、いつものように現れたモノクマは言った。
    自分ではないと、校則違反をされない限りアイツから手出しはしないと……


    不二咲「だ……だったら誰が桑田くんを殺したの?」

    モノクマ「またまたぁ、わかってるクセに!」
  42. 42 : : 2020/05/09(土) 06:40:04
    モノクマ「桑田くんを殺したのはオマエラの中の誰かだよ‼」

    不二咲「ホント……なのぉ…?」

    石丸「誰だ⁈誰が殺したんだ!犯人は挙手したまえ!」

    大和田「するわけねぇだろ……」


    大和田くん、彼が僕らと一緒に体育館にいる。
    珍しいな、でもモノクマに呼ばれて仕方なくって感じかな?


    モノクマ「これで犯人は卒業できるね‼”学級裁判”を乗り越える事が出来たらだけど‼」

    葉隠「ど……どういう事だべ⁈」

    十神「学級裁判だと?なんだそれは?」


    モノクマは学級裁判の事を説明してくれる。
    僕らで犯人を見つけろってことなのか……

    だけど未だに信じられないよ、僕らの中に桑田くんを殺した人がいるなんて……


    大神「つまり犯人が分かれば犯人だけが処刑される、もし間違えれば我々が処刑されるという事か……」

    モノクマ「大正~解‼その通りだよ大神さん‼」


    そう言ってモノクマは僕達全員にファイルを手渡す。


    モノクマ「君たちは素人なわけだし検死なんて出来ないでしょ?だから僕が死体の情報を一通りまとめてあげたんだよ‼僕って優しい!」

    ※言弾を手に入れた
    『モノクマファイル1』▷
    被害者は桑田怜恩。
    死亡時刻は午前2時頃。
    死体発見現場となったのは、寄宿舎エリアの苗木の部屋。
    被害者はベッドの上で寝かされていた。
    腹部には刃物が刺さっている他、
    頭部に打撲傷がある。
  43. 43 : : 2020/05/09(土) 06:40:17
    しばらくは誰も会話もせずに黙っていたが霧切さんの言葉でみんな動き始める。


    霧切「落ち込んでる暇はないわ。とにかく捜査を始めましょう」

    十神「その通りだ。さっさと犯人を捜すぞ」

    霧切「その前にまずは現場の保全を優先すべきね」

    十神「確かにな、誰かに証拠の隠滅でもされたら終いだ」

    大神「我が見張りをしよう。考えるのはあまり得意ではないのでな」

    霧切「もう一人必要よ、万が一大神さんが犯人で証拠を隠滅されたら困るもの」

    苗木「そんな言い方……!」

    江ノ島「そんじゃ、アタシも残るよ。それで文句ないっしょ?」

    十神「決まりだな」
  44. 44 : : 2020/05/09(土) 06:40:28
    セレス「あら、私気付いてしまいましたわ」

    朝日奈「どうしたの?」

    セレス「モノクマファイルをご覧下さい。殺害された場所は【苗木誠の個室】と書かれていますわ」


    みんなの視線が僕へと向けられる。
    僕を……疑っているのか?

    舞園さんへと目を向けると彼女は下を向いて怯えてしまっている。
    こんな状況で自分が部屋にいたなんて言う勇気がないんだ。


    苗木「ちょっと待ってよ、僕は犯人じゃない!」

    十神「フン、なら桑田が殺された時間お前は何をしていた?」


    僕は舞園さんの部屋にいた。
    だけどそんな事を言ったら舞園さんが疑われる羽目になる……

    今そんな事を言ってただでさえ怯えている舞園さんを追い込むわけにはいかないよ……


    十神「何も言い返せないようだな」

    霧切「今彼を問い詰めても仕方ないわ」

    霧切さんが救いの手を差し伸べてくれる。

    霧切「とにかくまずは苗木くんの部屋を調べて証拠などを集めましょう。議論は学級裁判でするべきだわ」

    腐川「ど……どうせ苗木が犯人に決まってるわよ!」


    くそっ、何も言い返せないのがこんなにもどかしいなんて!


    大神「では、我と江ノ島は先に部屋へ行くとしよう」

    江ノ島「うん、分かった……」


    江ノ島さんは去り際にチラリと僕に目を向ける。
    そしてその後を付いて行くようにゾロゾロとみんな体育館を去っていく。

    僕を残して……
  45. 45 : : 2020/05/09(土) 06:40:54
    僕は殺してない。
    もし学級裁判で僕がクロに選ばれたらみんな死んでしまう。それだけは絶対に避けないと……!


    モノクマ「うぷぷ、言ったでしょ?誰か死ぬって」

    苗木「モノクマぁ!お前はずっと見てたんだな、監視カメラで誰が死んだのかも見ていた‼」

    モノクマ「その通りなのです‼うぷぷ、苗木くん絶望した?」

    苗木「……まだだ、確かに桑田くんは死んじゃったけど今度はみんなが死なないようにしないと……!」

    モノクマ「切り替えが早いんだね、昨日はあれだけ誰も殺させないって豪語してたのに」


    拳を握り締める。
    人生でこれ程までに誰かを殴りたいなどと思ったのは初めてだった。でも出来ない。校則を犯すわけにはいかない!


    苗木「邪魔はするなよ……」

    モノクマ「安心しなよ、学級裁判はフェアに行われるから。君たちがちゃんとクロを言い当てればソイツだけ殺すよ」


    きっと犯人もこんな状況に追い込まれて不安だったんだ……
    それが爆発してだから…なのに殺されるなんて、そこまでの事を犯人は本当にしたのか?

    でも、だけどやっぱり全員の命をその人の為に犠牲には出来ない……!


    モノクマ「今回の事件は少し複雑だけど、まぁ君なら何とかなるよ」

    苗木「もしかしてそれは僕を励ましているの?」

    モノクマ「いやいや、事実だよ。君ならきっと答えに気付ける筈だ。僕の信じる苗木くんならね……」


    奇妙な感覚だ。まるでモノクマが僕を知っているような言葉。
    視聴覚室で見せられた映像の事もあるし、コイツは僕がこの学園に入学する前から下調べをして僕の事を一通り知っているのかもしれない……

    けどなんか引っかかるんだよなぁ……
  46. 46 : : 2020/05/09(土) 11:55:01
    【苗木誠の個室】

    とにかく自分が犯人でないと証明する為に自分の部屋へとやってきた。
    それと舞園さんが犯人でないという証拠も集めないと……

    彼女は僕が来た時にはいなかったんだし……
    犯人なんかじゃないよね……?


    江ノ島「苗木じゃん!証拠集まってる?」

    苗木「いや、今からだよ。だけど絶対証明してみせるよ。僕が犯人じゃないって」

    江ノ島「その意気だよ!私も体育館では何も言えなかったけどさ、苗木の事応援してるから!」

    苗木「江ノ島さん……ありがとう」

    大神「我にはお前が犯人かなど分からぬ。だが現場を荒らすのだけは許さんぞ!」

    苗木「わ……分かってるよ……」アハハ


    犯人やモノクマよりも大神さんが一番怖いかも……
    落ちていた模擬刀を手に取る。鞘から抜かれた抜き身状態になってる。


    苗木「あれ……?江ノ島さん、僕以外にもこれに触れた人いる?」

    江ノ島「うん、霧切と十神かな。それがどしたの?」

    苗木「江ノ島さんも覚えてると思うんだけどこれって触れただけでも塗装の金箔が手に付くんだけど前ほどじゃないんだ」

    江ノ島「まぁ、さっきも言ったけどアンタも前に二人も触ってるしね」


    だけどやっぱり気になるなぁ。
    僕もこの模擬刀には殆ど触っていないのにこんなに塗装が剥がれるって事は誰かがこれをベタベタと触れたって事かな?

    『塗装の剥がれた模擬刀(抜き身)』▷
    苗木が体育館ホールから自室に持ち帰った物。
    鞘から抜かれた状態で部屋に落ちていた。
    刃の一部分と、持ちての柄の部分の塗装が剥がれている。
  47. 47 : : 2020/05/09(土) 11:55:12
    桑田くんの死体を調べよう。
    身体の中心、腹の部分を鋭利な刃物で刺されている。

    これはどこで手に入れた物なんだろう?

    それにモノクマファイルには頭部に打撲傷があったと書いてあるけど……
    頭部の左側から確かに血が流れている。とっくに乾いてるけど……

    頭部を殴られて刃物がトドメになった感じかな?

    あれ……?桑田くんの手、
    これは金箔か?桑田くんの両手にはビッシリと金箔が付いていた。

    ううん、死体を調べて分かるのはこれくらいかな?

    『桑田の両手』▷
    死体の両手には金箔が付いている。
  48. 48 : : 2020/05/09(土) 11:55:24
    そういえば、模擬刀の鞘は何処にあるんだろう?
    辺りを見渡すと鞘は部屋の隅に置かれていた。

    模擬刀を鞘から抜いて、
    鞘を投げ捨てたと考えるべきなのかな?

    でも、なんだろう?
    鞘に刃物で切り付けられたような跡が残っている。

    どういう事だ?

    『模擬刀の鞘』
    模擬刀が抜かれて鞘は部屋の隅にあった。
    鞘には刃物で切りつけられた跡が残っている。
  49. 49 : : 2020/05/09(土) 11:55:38
    それにしても酷いな……
    僕のベッド、床や壁には金色の傷が刻まれていた。

    やっぱり犯人と桑田くんはこの部屋で争ってその末に犯人が包丁を桑田くんに刺したのかな?


    霧切「苗木くん、あなたこの部屋の掃除した?」

    苗木「うわぁ‼驚かさないでよ……この部屋の掃除?ううん、来た時からまだ一回もしてないよ」

    霧切「そう、この部屋に落ちている髪の毛の事なんだけど」

    苗木「髪の毛?そんなのが気になるの?」

    霧切「この茶色いのはあなたのね。この赤毛は桑田くんの……他にも三種類ほど別々の特徴の髪の毛があったのだけれど」

    苗木「う~ん、桑田くんはここで死んでいたからって理由だろうけど……あとの三種類はなんだろう?」


    一つは舞園さんかな?それ以外だとここに来てから誰を部屋に入れたっけ?

    『争った痕跡』▷
    苗木の部屋の壁やベッドには傷つけられたような形跡が
    いくつも残されていた。

    『部屋に落ちた髪の毛』▷
    苗木の部屋には五種類の髪の毛が落ちていた。
    一つは苗木、もう一つは桑田、あとは舞園……
    それ以外に部屋に入れた人間の物だろうか?
  50. 50 : : 2020/05/09(土) 11:55:54
    さてと、僕の部屋にある手掛かりなんてこのくらいかな……
    僕が部屋から出て行こうとするとまたもや霧切さんに話しかけられる。


    霧切「苗木くん、この床の血はあなたの?」


    床にはべっとりと大量の血が付いてしまっている。


    苗木「こんなに血を流してたら死んじゃうよ。多分これは桑田くんの……」

    霧切「そうよ。桑田くんの血。でもおかしいと思わないかしら?」


    おかしい?腹部を刺されて頭部は打撲。
    かなりの血液量だったはずだ。何もおかしいとは思わないけど……


    霧切「この床の血、死体がまるで引きずられたような跡に見えないかしら?」

    苗木「……本当だ、そう言われればそうだね」


    血は床からベッドの方角へと伸びている。


    霧切「それだけじゃない、この部屋のドア辺りから真っ直ぐ伸びているわ」

    苗木「え?そんな風には見えないけど」

    霧切「よく見てみなさい、絨毯を擦ったような跡が残ってる。結構拭けているけど所々血の色がまだ残っているわ」


    本当だ、目を凝らしたらホンノリと絨毯が桃色に染まっている……

    犯人は桑田くんを外から連れて来た?
    犯行現場はこの部屋じゃないのか?

    『絨毯の血』▷
    部屋の中心にベッタリと血が付いている。
    そしてその血はまるで死体が引きずられたようにベッドへと伸びている。
    ドアから血溜まりまでも眼を凝らすと血を擦った痕跡があるようだ。
  51. 51 : : 2020/05/09(土) 11:56:07
    舞園「苗木……くん…」


    自分の部屋から出ると舞園さんが今にも泣きそうな顔で立っていた。


    苗木「舞園さん……舞園さんは昨日どこにいたの?」

    舞園「ごめんなさい……苗木くん…ごめんなさい…」


    駄目だ、まともに話せる状態じゃないようだ。
    ん?手首が腫れてる?


    苗木「舞園さん、その手はどうしたの?」

    舞園「ッ……!」サッ


    彼女は隠すように左手で右手を覆う。だけどその時、少しだけ顔を歪めた。


    苗木「……えっと…」

    舞園「ごめんなさい……今は…」

    苗木「そうだよね……もうちょっと気持ちが落ち着いたら話を聞かせてよ」


    あとで彼女と僕が部屋を取り換えていた事を言わないと僕のアリバイが証明できない。
    それに犯人が僕の部屋に入った時の舞園さんの行動を聞いとかないとな……

    まぁ後でいいか……

    『舞園の右手首』▷
    彼女の右手首が赤く腫れていた。
    どこかで怪我でもしたのかな?
  52. 52 : : 2020/05/09(土) 11:56:24
    まだ分からない事がたくさんある。
    被害者である桑田くんの部屋も調べられないかな?


    苗木「お~いモノクマ!」

    モノクマ「はいはい、なんだい苗木くん?」


    廊下でモノクマの名を叫ぶと彼はいつも通りどこからともなく現れた。


    苗木「桑田くんの部屋に入りたいんだ」

    モノクマ「証拠集めに必要なんだね、仕方ない僕がドアを開けてあげよう!」


    そう言って取り出したのは鍵だ。


    苗木「それで開くの?」

    モノクマ「うん、そうだよ。これはマスターキーなんだ!鍵は複製なんてしてないから彼の鍵以外だとこの鍵でしか部屋は開かない」


    だとすると、僕の部屋を開けたのは誰なんだろう?
    あの時、僕の鍵を持っていたのは舞園さんだけど、彼女が落とした……とか?
  53. 53 : : 2020/05/09(土) 11:56:36
    【桑田怜恩の個室】

    彼の部屋は簡素な僕の部屋と違い、
    趣味丸出しだ。CDや音楽プレイヤー、ギターやマイクなどなど……

    僕の部屋は何もないのに、なんで桑田くんの部屋はこんなに充実してるんだろう……


    モノクマ「自分の部屋との違いを感じてるの?」

    苗木「うん、僕の部屋には何もないのに……」

    モノクマ「僕はみんなの個室に監視カメラを設置する以外の手は加えてないよ」


    じゃあ、元からこんな部屋だったという事か……
    でも当然かもしれない。超高校級の野球選手なんだ。学園に来る前から彼の趣味なんかを知っていれば学園側もこの程度の部屋、用意出来たんだろうな……


    モノクマ「まぁ、今回の事件とこの部屋のインテリアは関係ないよ」


    コイツがこういうのならそうなんだろう。

    僕は引き出しから工具セットを取り出す。
    気になったのは工具セットだ。僕の部屋の工具セットは使われていなかった。

    でも、頭部の打撲なんて工具セット以外では付けられないよな……

    桑田くんの工具セット、
    やっぱり使われている。

    『桑田怜恩の工具セット』▷
    使われた形跡のある工具セット。
  54. 54 : : 2020/05/09(土) 11:56:45
    廊下に出ると霧切さんがいた。


    霧切「また会ったわね」

    苗木「うん、そうだね……何してるの?」


    桑田くんの部屋の前で霧切さんは座り込んで床を見つめていた。


    霧切「これはガラス…かしら?」


    そういって霧切さんはガラスの破片らしきものを見せてくれる……
    本当だ、赤いガラスの破片が少しだけ落ちている。


    霧切「私は桑田くんの部屋に行くわ、じゃあね」スタスタ

    苗木「あっ、霧切さん!」


    駄目だ、無視して桑田くんの部屋に入っていった。
    なんか、クールな人だな……

    『赤いガラス破片』▷
    桑田くんの部屋前に落ちていたガラスの破片。
    ガラスの破片なんて何かがここで割れたのかな?
  55. 55 : : 2020/05/09(土) 11:56:58
    さてと、他に探すべきところはあるかな?
    少し喉も乾いてきたし食堂にでも寄るか……

    厨房に入った僕の目にすぐ留まったのは包丁セットだ。
    一本無くなっている。凶器の包丁はここから奪われたのか……

    食堂で休憩をしている朝日奈さんは昨日の夜もここにいたって言ってたよな。


    苗木「朝日奈さん、ちょっといいかな?厨房の包丁が一本足りないんだけど知ってた?」

    朝日奈「そうなんだよねぇ、私も変だと思ってたんだぁ!」

    苗木「包丁がなくなったのに気づいたのはいつの事?」

    朝日奈「昨日の夜、紅茶を飲もうと厨房に入った時には確かに包丁は揃ってたよ!」

    苗木「その後は?」

    朝日奈「食堂で紅茶を飲んでティーセットを片付けに厨房へ行った時にはなくなってたよ」


    つまり、その間に僕はここに来ていないからアリバイになる!


    苗木「てことは誰かがその間に盗ったのか……誰かその時来なかった?」


    ついでに犯人の手掛かりも聞けるかも。


    朝日奈「うん……舞園ちゃんが来たんだけど……」

    苗木「舞園さんが⁈どうして……」

    彼女が包丁を持ってったのか?
    護身用の為に盛っていったのかな?

    『朝日奈の証言』▷
    厨房の包丁は朝日奈が食堂でお茶を飲んでいる時に消えた。
    その間に苗木が食堂に行っていない事を朝日奈は知っている。
    だけど、その間に実は舞園が訪れていたようだ。
  56. 56 : : 2020/05/09(土) 11:57:11
    苗木「あれ、葉隠くんどうしたの?」


    確か怯えた様子で体育館にいた筈なのに……


    葉隠「いやぁ、やっぱり気になって来たべ」


    やっぱり仲間の一人が死んだから何かしようと葉隠くんも頑張ってるんだな……


    苗木「それで何が気になったの?」

    葉隠「ほれ、このネームプレートだべ。苗木の部屋なのに舞園っちのプレートがあるんだべ!」


    本当だ……って舞園さんの部屋の前には僕のネームプレートがある!
    これじゃあ交換した意味がないよ!


    葉隠「なんかよく分からねぇけどやっぱり苗木が犯人なんだべ!俺の占いは三割当たる!」

    苗木「だから違うってば‼‼」


    もう……
    あれ、葉隠くん……いつも持っている水晶玉はどうしたんだろう?

    『個室のネームプレート』▷
    苗木の個室と舞園の個室のネームプレートが入れ替えられていた。
    これでは部屋の交換をした意味がない。
    舞園を襲おうとした犯人は迷うことなく苗木の部屋に行く筈だ。
  57. 57 : : 2020/05/09(土) 11:57:21
    そうだ、あれだけ大量の血を流していた桑田くん……
    犯人もその血を浴びている可能性がある。

    ランドリーにでも行ってみるか……
    中に入って僕はドラム式の洗濯機を一つ一つ調べた。

    この洗濯機、ロック式じゃないんだな……
    まぁ誰も僕のパーカーとかを洗濯中に盗んだりはしないだろうけど……

    手掛かりはないなぁ……
  58. 58 : : 2020/05/09(土) 11:57:31
    最後はトラッシュルーム。


    山田「ほれ、開けて差し上げましたぞ!もし証拠を隠滅しようとしても僕がしっかり見張っていますぞ!」

    苗木「だから僕は犯人じゃないってば!」


    犯人はこのトラッシュルームに何かを捨てに来たのかな?
    だけど中には山田くんしか入れないし手掛かりは何もない。

    つまり証拠は何も隠滅なんてされてないんだ!
  59. 59 : : 2020/05/09(土) 11:57:38
    チャイムの音と共にモノクマがそこらにあるディスプレイに映し出される。


    モノクマ「そろそろ始めちゃいますか?お待ちかねの学級裁判を!」


    学園にある赤い扉へと迎えとの指示と同時に僕は歩き出していた。
    中に入ると既にみんながいた。

    全員で正面にあったエレベーターへと乗り込む。

    ゴウン、ゴウンと耳障りな音を響かせながらエレベーターは地下へと下って行く。

    僕らの不安な気持ちをよそに、エレベーターはどんどん地下へと潜っていった。
  60. 60 : : 2020/05/09(土) 11:57:46
    モノクマ「やっと来たね!」


    地下にあったのはいかにも裁判長って感じの場所だった。
    ここで僕達は議論して犯人を暴き出すんだ!

    全員が自分の配置された席へと向かう。

    いなくなってしまった桑田くんの席には遺影らしき写真が飾られている。
    そして、始まる……

    命がけの学級裁判が……
  61. 61 : : 2020/05/09(土) 11:58:00
    ここで全ての言弾をまとめておきます。


    『モノクマファイル1』▷
    被害者は桑田怜恩。
    死亡時刻は午前2時頃。
    下発見現場となったのは、寄宿舎エリアの苗木の部屋。
    被害者はベッドの上で寝かされていた。
    腹部には刃物が刺さっている他、
    頭部に打撲傷がある。

    『塗装の剥がれた模擬刀(抜き身)』▷
    苗木が体育館ホールから自室に持ち帰った物。
    鞘から抜かれた状態で部屋に落ちていた。
    刃の一部分と、持ちての柄の部分の塗装が剥がれている。

    『桑田の両手』▷
    死体の両手には金箔が付いている。

    『模擬刀の鞘』
    模擬刀が抜かれて鞘は部屋の隅にあった。
    鞘には刃物で切りつけられた跡が残っている。

    『争った痕跡』▷
    苗木の部屋の壁やベッドには傷つけられたような形跡が
    いくつも残されていた。

    『部屋に落ちた髪の毛』▷
    苗木の部屋には五種類の髪の毛が落ちていた。
    一つは苗木、もう一つは桑田、あとは舞園……
    それ以外に部屋に入れた人間の物だろうか?

    『絨毯の血』▷
    部屋の中心にベッタリと血が付いている。
    そしてその血はまるで死体が引きずられたようにベッドへと伸びている。
    ドアから血溜まりまでも眼を凝らすと血を擦った痕跡があるようだ。

    『舞園の右手首』▷
    彼女の右手首が赤く腫れていた。
    どこかで怪我でもしたのかな?

    『桑田怜恩の工具セット』▷
    使われた形跡のある工具セット。

    『赤いガラス破片』▷
    桑田くんの部屋前に落ちていたガラスの破片。
    ガラスの破片なんて何かがここで割れたのかな?

    『朝日奈の証言』▷
    厨房の包丁は朝日奈が食堂でお茶を飲んでいる時に消えた。
    その間に苗木が食堂に行っていない事を朝日奈は知っている。
    だけど、その間に実は舞園が訪れていたようだ。

    『個室のネームプレート』▷
    苗木の個室と舞園の個室のネームプレートが入れ替えられていた。
    これでは部屋の交換をした意味がない。
    舞園を襲おうとした犯人は迷うことなく苗木の部屋に行く筈だ。
  62. 62 : : 2020/05/09(土) 12:38:33
    『朝日奈』だし『舞園』だゾ
    気付くのが遅い
  63. 63 : : 2020/05/09(土) 14:22:18
    >>62申し訳ございませぇぇえええぇんん!!!
    うわぁぁぁああぁぁあぁあああ!!!!!!!!

    少し時間が掛かりますが修正させて頂きます!ご指摘ありがとうございます!!!

    修正完了致しました。
  64. 64 : : 2020/05/10(日) 03:39:45
    モノクマ「まずは、学級裁判の簡単な説明から始めましょう」


    事前に聞いていた通りの学級裁判の説明を長々と聞かされて僕は裁判が始まる前にモノクマに質問を投げかける。


    苗木「本当に……この中に犯人がいるんだよな?」

    モノクマ「当然です!」


    今回の事件、凄く複雑そうだから真剣に議論しないと……


    霧切「議論の前に聞いておきたいのだけれど、あれって……どういう意味?」


    彼女が見つめたのは桑田くんの遺影。


    モノクマ「死んだからって仲間外れにするのは可哀想でしょ?」

    セレス「それでしたらあの空席は?」


    今度はセレスさんからの質問。彼女が指差すのはモノクマの前にある空席だ。


    モノクマ「深い意味はないよ、最大16人収容可能な裁判上っていうだけ。そんな事より事件の議論を開始してくださーい!」


    気になるけどモノクマの言う通り今はそんな事よりも今回の事件について語り合わないと……
  65. 65 : : 2020/05/10(日) 03:39:56
    苗木「まず議論を始める前にみんなに聞いて欲しい事があるんだ」

    葉隠「苗木っちの言う事なんか聞いてられねぇべ!アイツが犯人なんだ!」

    霧切「落ち着いて、まずは苗木くんの話を聞いてみましょう」


    よかった、霧切さんのお陰で冷静に話が出来そうだ。


    苗木「昨日の夜、僕は舞園さんと部屋の交換をしたんだ」

    セレス「部屋の交換ですか、どうしてそんな事を?」

    苗木「舞園さんの部屋を誰かが開けようとしたんだよ、その時は鍵が閉まっていたから良いけど」

    セレス「なるほど、怯える彼女の為に部屋を交換して少しでも恐怖を取り除こうとしたわけですね」

    苗木「うん、そうだよね舞園さん?」


    僕は舞園さんへと目を向ける。
    依然と比べて今の彼女は落ち着いている。冷静だ。


    舞園「……………」

    苗木「舞園さん?」

    山田「どうしたんですか舞園さやか殿?まさか苗木誠殿が嘘を吐いているのですか?」

    苗木「そんなわけないだろ⁈」

    舞園「……そうです、苗木くんは嘘を吐いています!」

    苗木「えっ⁈」

    舞園「私は苗木くんと部屋の交換なんてしていません!」
  66. 66 : : 2020/05/10(日) 03:40:04
    苗木「ちょっと待ってよ舞園さん!君は確かに昨日、僕と部屋を交換したじゃないか⁈」

    僕はポケットへと手を伸ばす。僕には舞園さんの鍵がある!
    これが証明になるよ……!

    あれっ?これは……
    僕の部屋の鍵……?


    舞園「私は苗木くんと部屋の交換なんてしていません。だってほら、部屋を交換するなら鍵も交換しないといけないじゃないですか?」


    そういって彼女は彼女自身の部屋の鍵を取り出す!


    苗木「そんな……いつの間に‼」

    舞園「私は自分の部屋を持っています。苗木くんも自分の部屋の鍵を持っている筈です!」


    どうしたんだよ舞園さん?
    なんで君は僕の言葉を……
  67. 67 : : 2020/05/10(日) 03:40:13
    モノクマ「うぷぷ、苗木くんいきなり大ピンチ!」

    大和田「なんとか言ったらどうだ苗木‼」

    石丸「やはり君が犯人なのか苗木くん⁈」

    十神「ククッ、なるほどな……どうするんだ苗木?舞園と部屋を交換したという証拠はあるのか?」


    どうして舞園さんは嘘を吐くんだ?
    もしかして彼女が本当に犯人なのか⁈

    ……舞園さん
    僕は負けないぞ!


    十神「証拠がなければ部屋の交換をしていたという証拠にはならないな」

    葉隠「やっぱり苗木ッちが犯人なんだべ!」

    朝日奈「本当に苗木が桑田を殺しちゃったの?」

    舞園「事件の時、[私は自分の部屋]にいましたから……」

    山田「舞園さやか殿を貶めようとは‼許せませんな‼」

    あの人の発言、明らかに矛盾している!

    苗木「それは違うよ!」
  68. 68 : : 2020/05/10(日) 03:40:22
    今この場で使うべき言弾は!

    『個室のネームプレート』▶

    「事件の時、[私は自分の部屋]にいましたから……」BREAK!!
  69. 69 : : 2020/05/10(日) 03:40:32
    苗木「みんなは僕の『個室のネームプレート』を見たかな?」

    葉隠「そういえば、舞園っちのネームプレートが苗木っちの部屋のドアにあったべ!」

    苗木「そうなんだ、そして僕のネームプレートが舞園さんの部屋にあったんだ。これって明らかに変だよね」

    山田「そんなの、苗木殿がすり替えたに決まっていますぞ!」

    苗木「確かに僕になら替えられた。でも、もし僕の発言通り舞園さんと部屋の交換をしたのなら舞園さんにだってネームプレートの交換は出来た筈だ」

    十神「確かにお前の話を信じるならネームプレートの変更が可能だったのはお前と舞園の二人だけだ。だがそれはお前の話を信じるのであればの話だ」


    くそっ、やっぱりこんなんじゃ不充分だ!
    もっと他に舞園さんと部屋を交換した証拠があれば!


    霧切「苗木くん落ち着いて。大丈夫、舞園さんとあなたが部屋を交換した証拠は他にもあった筈よ」

    舞園「そんなのありません!私と苗木くんが[部屋を交換した]事実なんてないんですから!」

    石丸「やはり苗木くんが殺したのか、桑田くんを……どうしてそんな事を‼」

    不二咲「苗木くんが[包丁を奪って]桑田くんを殺したのぉ……?」


    そうだ、冷静にならないと……
    僕は包丁なんて持っていなかった。奪ってもいない。

    それはあの人が知っているはずだ。

    苗木「それは違うよ!」
  70. 70 : : 2020/05/10(日) 03:40:40
    今この場で使うべき言弾は!

    『朝日奈の証言』▶

    「苗木くんが[包丁を奪って]桑田くんを殺したのぉ……?」BREAK!!
  71. 71 : : 2020/05/10(日) 03:40:54
    苗木「不二咲さん、僕は包丁を盗ってなんかいないよ」

    不二咲「えっ?」

    苗木「包丁ってさ、確か厨房にあったよね」

    セレス「それがどうかしたんですか?」

    苗木「包丁を奪えるとしたら事件前、そして食堂が開いている10時までなんだ」

    腐川「そんなの常識でしょ⁈みんな分かってるわよ!」

    苗木「でも、僕は昨日は厨房になんて入っていない。そうだよね朝日奈さん?」

    朝日奈「えっ、私?」

    苗木「朝日奈さんは言ってたよね。昨日の夜、お茶を淹れる為に厨房にいたって」

    朝日奈「うん、そうだよ」

    十神「フン、それで朝日奈。苗木は厨房に来たのか?」

    朝日奈「ううん、昨日の夜は私とさくらちゃんの二人だったんだけど苗木は来てないよね?」

    大神「あぁ、朝日奈の言う通り苗木は厨房には来なかった」


    そうだ、朝日奈さんの証言が正しいなら
    厨房に言ったのは彼女なんだ。


    苗木「朝日奈さん、厨房に君達以外に訪れた人はいたのかな?」

    朝日奈「うん、いたよ。そうだよね舞園さん?」

    舞園「…………‼‼‼」
  72. 72 : : 2020/05/10(日) 03:41:08
    苗木「桑田くんの腹部に刺さっていた包丁。あれは舞園さんが厨房から盗ったものなんだよ」

    舞園「違います!私はただ喉が渇いて!」

    大神「その言い訳は通用せぬ。お主が厨房に来る前に包丁は確かにあった。だが去った後にはなくなっていた」

    朝日奈「そういえばそうだったね!」

    十神「そんな事、最初に言っておけ!」

    朝日奈「ごめん……」

    江ノ島「まぁでもこれで苗木が犯人じゃないって分かったじゃん!」

    苗木「そう、僕の部屋にあった包丁。あれは舞園さんが持ち出した物だった。つまり……」

    霧切「部屋の交換は実際にあった。そういう事よ」

    舞園「わ……私は殺していないんです……!」

    十神「本人は否定しているがこれで決まりだな」

    霧切「桑田くんを呼び出した方法、それはこれが証拠になる筈よ」


    霧切さんがみんなに見せてくれたのはメモ用紙。黒く塗りつぶして文字を浮かび上がらせている。

    そこにはこう書かれていた……
    2人きりで話したい事があります。5分後に、私の部屋に来てください。
    部屋を間違えないように、ちゃんと部屋のネームプレートを確認してください。


    十神「わざわざネームプレートを交換した理由まで書いているじゃないか」

    セレス「なるほど、これなら桑田くんは確実に舞園さんのいる苗木くんの部屋へと向かいますわね」

    山田「超高校級のアイドルからこんな手紙が来たら男子なら一ころですな!あっ、僕は二次元限定ですけどね!」
  73. 73 : : 2020/05/10(日) 03:41:26
    舞園「ち……違います!私は桑田くんを殺してなんて……!」


    彼女の顔は真っ青だ。さっきまでの演技が出来なくなっている。
    それだけ追い込まれている証拠なのか?

    でも、本当に舞園さんが犯人なんだろうか?


    十神「まさか、まだ舞園の事を信じているのか?」

    苗木「えっ……?」

    十神「ソイツはお前を犯人に仕立て上げようとしたんだ。そんな奴を庇うつもりじゃないかと聞いている?」


    ぼ……僕は………


    舞園「苗木……くん…ごめんなさい!でも……」


    涙を流しながら僕に訴えかけてくる舞園さん。
    彼女は僕を陥れようとしたんだ……!


    舞園「私は桑田くんを殺してなんかいないんです!」


    僕は舞園さんを
  74. 74 : : 2020/05/10(日) 15:31:43
    信じる!



    苗木「僕は……舞園さんを信じるよ!」

    モノクマ「いいの苗木くん?彼女は君を裏切ったんだよ?」

    苗木「そうかもしれない、だけど彼女は本当に犯人じゃないと思うんだ……」

    舞園「苗木くん……」



    十神「馬鹿が、舞園が桑田を殺したのは明らかだ!」

    葉隠「そうだ!舞園っちが部屋に入って来た桑田ッちを殺したんだべ!」

    江ノ島「ドアを開けて[入って来た桑田を包丁で一突き]って感じじゃない?」

    大和田「どう考えても[舞園が犯人]じゃねぇか!」

    山田「苗木誠殿が犯人だと思っていたら舞園さやか殿が犯人で……でもそれを苗木誠殿は否定して……もう訳が分からないのであります!」


    くそっ、舞園さんを信じるんだ!だけど、
    何を言えばみんなは納得してくれるんだ⁈
  75. 75 : : 2020/05/10(日) 15:31:51
    仕方ない、手を貸してあげるわ。今使える言弾はこれよ!

    『争った痕跡』▶

    「ドアを開けて[入って来た桑田を包丁で一突き]って感じじゃない?」BREAK!!

    霧切「それは違うわ……!」
  76. 76 : : 2020/05/10(日) 15:32:37
    苗木「霧切さん!」

    霧切「江ノ島さん、あなたは苗木くんの部屋の惨状を見たかしら?」

    江ノ島「そりゃあ見たに決まってんじゃん!」

    朝日奈「見てない人なんていないよ!」

    霧切「そうね、あの部屋は荒れていたのよ。それがどう言う事か……あなたになら分かるでしょ、苗木くん?」


    確かにあの部屋はボロボロだった。舞園さんが桑田くんを殺そうとした事も真実の筈だ。
    という事はつまり……


    苗木「桑田くんは簡単には殺せなかった?」

    霧切「そうよ、舞園さんに殺されそうになった桑田くんは反撃した筈よ」

    十神「そんな事は指摘するまでもない。あの部屋を見た人間になら誰でも分かる事だ!」

    霧切「えぇ、その通りよ。そして彼はきっと『塗装の剥がれた模擬刀』を武器に使った筈よ」


    桑田くんが模擬刀を使った証拠。それは……
    『桑田の両手』
    『桑田の足』
    『桑田の右手首』

    そうか、分かったぞ!

    苗木「桑田くんの両手を見たら一目瞭然だよ」


    彼の両手には金箔がベッタリと付いていた。
    あれは桑田くんが舞園さんの攻撃に対して反撃した証拠だ。


    十神「舞園と桑田は攻防を繰り広げた。そして桑田は[頭部に損傷を与えられて]腹部を包丁で刺されたんだ!」

    不二咲「ってことは部屋に入った桑田くんは襲われそうになって……」

    葉隠「[模擬刀の先制攻撃だべ!]」

    大和田「だが最後には結局[舞園に刺されて]死んじまったんだ……」

    舞園「違います!私は桑田くんを殺してなんていません!」

    腐川「な……なによ‼証拠はこんなにあるのよ!やっぱり芸能界にいる女なんてクズばっかりよ!」

    江ノ島「それって私の事もディスってない?」

    腐川「当然じゃない、汚ギャルの癖に!」

    江ノ島「知り合って間もない相手に普通そんな事言う⁈」
  77. 77 : : 2020/05/10(日) 15:34:39
    違う……順序が逆なんだ…


    苗木「それは違うよ!」


    今はこの言弾を使うべきだ!

    『模擬刀の鞘』▶

    「[模擬刀の先制攻撃だべ!]」BREAK!!
  78. 78 : : 2020/05/10(日) 15:34:59
    葉隠「ありっ?」

    苗木「模擬刀の鞘には傷跡があったんだ。だから最初に襲ったのは舞園さんだ」

    舞園「……ッ!そうです…」

    あの時、舞園さんは隠していたけどそれは
    こうやって疑われない為だったんだ。

    でも今なら……


    苗木「争った末に舞園さん、君は怪我をした。そうだよね?」

    舞園「……はい」


    『舞園さんの右手首』は腫れていたんだ。


    苗木「右手首を怪我した舞園さんに超高校級の野球選手だった桑田くんを殺せたとは思えないよ」

    石丸「だが現に桑田くんは殺されていたではないか⁈君や舞園さんが犯人でないのなら一体誰に彼を殺せた⁈」

    十神「そうだ!どう考えても現場の証拠からして殺したのは舞園しかあり得ない!」

    霧切「十神くん、やっぱり苗木くんの部屋しか捜査していないのね」

    十神「なんだと?」

    霧切「それ以外だと……そうね、証拠隠滅の為に行ったかもしれないトラッシュルーム辺りも捜査したんじゃないかしら?」

    十神「……それがどうしたと言うんだ?」

    霧切「どうして桑田くんの部屋には行かなかったの?」

    十神「事前に朝日奈の話は聞いていた、それにネームプレートという証拠もあって苗木と舞園の部屋の交換は明らかだった。それだけ分かれば犯人は舞園で決まりに決まっている!」

    霧切「この事件、最後まで捜査を続けていればあなたは見破れた筈なのに、切り上げるのが早すぎたわね」

    十神「お前……!ならば言ってみろ!犯人は一体誰なんだ⁈」
  79. 79 : : 2020/05/10(日) 15:35:13
    霧切「いいわ、だけど順序立てて説明していくわ。まずは凶器の話に戻るけど……」

    大和田「包丁の事だろ?何かあの包丁にあるのか?」

    霧切「違うわ、武器はあの包丁じゃないのよ」

    十神「なんだと?」

    霧切「桑田くんの頭部の傷、あれは苗木くんの部屋にあった物では付けられない損傷よ」

    山田「ま……まさか傷跡は調べたのですか?」

    霧切「そうよ、話を続けるわ」


    傷跡は調べたって……一体霧切さんは何者なんだ?傷を見ただけで凶器があの部屋にあった物じゃないと分かるなんて……
    それに凶器は包丁じゃない?


    十神「何故包丁が凶器でないと分かるんだ⁈」

    霧切「その前に、舞園さん。あなたはどうして桑田くんを殺さなかったの?」

    彼女の目線は舞園さんへと向けられる。

    舞園「……手首に怪我を負って包丁を落としてしまったんです。」

    霧切「それであなたは何をしたの?」

    舞園「……咄嗟にシャワールームに逃げました」


    そうか!もし舞園さんがシャワールームにいたのなら僕の鍵との交換も可能だ!
    桑田くんを見て気絶していた僕と鍵を交換して舞園さんは何食わぬ顔で、食堂にいる人達と合流したのか!


    霧切「つまり舞園さんがシャワールームへと逃げた時、包丁は苗木くんの部屋にあった」

    舞園「……そうです」

    十神「馬鹿な……!」
  80. 80 : : 2020/05/10(日) 15:35:24
    十神「何故、桑田はシャワールームのドアを開けなかったんだ⁈苗木の部屋だったのなら空いた筈だ」


    男子の部屋ならシャワールームに鍵は付いていない、そして女子の部屋には付いている。
    だけど僕のシャワールームを桑田くんはあけられなかったんだ。


    苗木「十神くん、僕のシャワールームの建付けは悪かったんだ。特殊な方法でないと開かない」

    霧切「桑田くんはそれを舞園さんの部屋だから鍵を彼女が締めたと勘違いした筈よ。そしてそんな彼の次の行動は……」

    セレス「なるほど、私にも分かってきました。舞園さんに襲われて錯乱した桑田くんは舞園さんを殺さないと自分が殺されるという恐怖に侵されていた筈。桑田くんの部屋にはあったんですね?」

    霧切「あったわよ、『桑田くんの工具セット』が……封を開けた痕跡もあったわ」


    当初、霧切さんが言っていた通りこの事件は複雑なんだ……
    舞園さんが殺人を企てて、失敗した彼女を逆に桑田くんが殺そうとした。

    そして今度はその彼がまた別の第三者によって殺害されたんだ!


    霧切「そしてこれを見て」

    彼女は懐から『赤いガラスの破片』を取り出す。

    霧切「桑田くんの部屋の前に落ちていたわ」

    セレス「不自然ですね、ガラスなんて我々の行動出来る範囲内には食堂のコップくらいしかありません。」

    霧切「そう、これが凶器よ。この破片が赤くなっているのは……」

    十神「血……だな。犯人はそれを使って桑田を殴り殺害したのか」


    立ち直った十神くんはクイっと眼鏡を弄る。
    真相が見えて来たみたいだ。


    霧切「そうよ、そして死体を苗木くんの部屋へと移動して頭部の損傷が致命傷であるという事実を隠す為に彼を部屋に落ちていた包丁で刺した」

    十神「フン、くだらん……これならいっそ舞園が桑田を殺していた方が面白みがあった。桑田を殺した奴は余程のアホらしいな」

    セレス「確かにそうですわね……私にも犯人が分かってしまいましたわ」
  81. 81 : : 2020/05/10(日) 15:35:32
    舞園「……その誰なんですか?桑田くんを殺した犯人は?」

    十神「舞園のネームプレートがある苗木の部屋に行き、部屋の惨状を見て舞園の生死を確認する事もなく」

    セレス「何を思ったのか桑田くんの工具セットを部屋に戻しに行き」

    霧切「ベッドに桑田くんを移動してナイフで最後に刺したのはあなたね……」

    霧切・セレス・十神「「「葉隠(くん)」」」
  82. 82 : : 2020/05/11(月) 02:15:31
    葉隠「だべ?」

    セレス「もし自分が犯人でないと言うならあなたの水晶、どこに行ったか教えてくださりますか?」


    水晶……あの赤いガラスの破片は葉隠くんの持っていた水晶だったのか!


    十神「なくしたなんて言い訳はするなよ」

    葉隠「……なくしたべ」

    朝日奈「本当にアンタが桑田を殺したの、葉隠?」


    ようやくセレスさん、十神くん、霧切さん以外の人が口を開いた。
    僕を含めて皆三人の推理に途中から呑まれていた。

    だけどようやく犯人の名前が呼ばれてみんな彼を見ている。
    何人かは既に睨んでいる……
  83. 83 : : 2020/05/11(月) 02:15:44
    葉隠「……違うべ…」

    十神「まだ何か言うつもりか?」

    葉隠「犯人は俺じゃないべ……」

    セレス「では、その証拠をお見せ頂けませんか?」

    葉隠「ち……違うべ、俺は犯人じゃない。そうだろ苗木ッち……」

    苗木「えっ……?」

    葉隠「苗木ッちなら分かってくれるだろ?俺は犯人じゃないべ!」

    十神「最後は命乞いか。舞園を救ったコイツならお前の事も無罪にしてくれると思ったのか?残念だが、こんな愚民にそんな事は出来ん」

    舞園「……ッ!」

    葉隠「出来るべ!苗木ッち、お前だけが頼りだべ!」

    霧切「苗木くん……辛いと思うけど最後にもう一つ、葉隠くんが犯人という証拠があるわ」


    そう言って彼女は最後の証拠を僕に手渡してくれる。


    セレス「もう決まったも同然ですが……その証拠も見せて頂きましょう」
  84. 84 : : 2020/05/11(月) 02:15:59
    葉隠「俺は犯人じゃないべ!俺の事も信じてくれー!」


    ……ここで証拠を出さないと皆を説得できない。
    みんなが死んでしまうのは絶対に避けないといけないんだ……!

    『部屋の髪の毛』▶

    「俺は犯人じゃないべ!俺の事も信じてくれー!」Break!!
  85. 85 : : 2020/05/11(月) 02:16:25
    苗木「みんな、これを見て欲しいんだ……」

    江ノ島「それって髪の毛?」

    苗木「うん、僕の部屋には5人の髪の毛が落ちていた」

    霧切「一人は苗木くん自身、もう一つは被害者の桑田くん、そして舞園さん……」

    苗木「うん、それ以外で僕の部屋に来たのは石丸くんだけだ。つまり……」

    石丸「もう一つの髪の毛の特徴、長くて癖のある髪だ……」


    葉隠くんの髪と一致するんだ……


    モノクマ「うぷぷ、それじゃあお手元のスイッチで投票してくださ~い!」


    手が震える。悔しい……!
    結局ぜんぶ……モノクマのせいじゃないか……!

    舞園さんが誰かを殺そうとして卒業を狙ったのも、葉隠くんが桑田くんを殺したのも全部……!

    だけど皆、僕も含めて押した……

    葉隠くんに投票してしまった。
  86. 86 : : 2020/05/11(月) 02:16:49
    モノクマ「大成かーい!今回の犯人は葉隠くんでした~!」

    石丸「……どうして…どうしてこんな事をしたんだ葉隠くん⁈」

    葉隠「…しゃあなかったんだべ……桑田ッちは俺を殺そうとしたんだ」


    そうなんだろうとは思っていた。
    桑田くんは錯乱していた筈だ。そして自分を殺そうとした舞園さんを殺すつもりだった。この時点で彼は被害者から容疑者へと変わろうとしていたのだ。そんな時に葉隠くんと出会ったのなら……


    葉隠「ランドリーに水晶玉を忘れてそれを取りに戻ったんだ…そんで帰りに桑田ッちと会っちまった。その後はもう、よく覚えてないべ……」


    精神的に酷く疲弊していた筈だ。唯一葉隠くんだけは今回の状況を、モノクマの言葉を否定し続けて学園のドッキリだと信じていた。
    それを真に受けて桑田くんから殺されそうになったと勘違いした彼は桑田くんを殺し、僕の部屋へと訪れた。舞園さんが桑田くんの為にドアを開けてそのままだったんだろう。

    そして桑田くんが既に舞園さんを殺したと思ったんだと思う。だけど遺体はなかったから、桑田くんが死体までも始末したとでも思ってしまったのかもしれない。
    最後は自分が犯人でないという証拠を作ろうとして死んだ桑田くんの腹部を現場に落ちていた包丁で刺した……

    僕の予想に過ぎないけど、
    正常じゃなかった筈だ。もうそれは、葉隠くんであって葉隠くんでない。

    自分自身でも何をしているのか分かっていない状況だったと思う……


    葉隠「なぁ、舞園ッち……なんで桑田ッちを殺そうとしたんだ?」


    舞園さんは下を向いてビクリと葉隠くんの声に反応した。

    葉隠「ていうか、殺すんならちゃんと殺してくれよ……!なんで俺が……桑田ッちを殺さないといけなかったんだべーーー‼‼‼」

    舞園「いやあぁぁぁあああぁぁあぁぁあーーーー‼‼‼‼」


    彼の怒号と共に舞園さんは悲鳴と共に崩れ落ちた。
    なんて声を掛けたらいいのか分からない……二人になんて言えば……!


    葉隠「あの時……モノクマの言葉を無視していれば!」

    苗木「えっ⁈」

    モノクマ「はいはい、余計な事を言わなくてもいいのに!そろそろ、処刑!いっちゃいますか‼‼‼」

    苗木「ちょっ!」


    まだ葉隠くんに聞かないといけない事があった。
    最後に彼はなんと言った?

    モノクマの言葉を無視していれば?

    もしかして、モノクマはこうなる事を見越して葉隠くんをランドリーへと向かわせたのか⁈

    葉隠くんは鎖を首に巻かれて連れ去られる。
    僕が伸ばした手を掴もうと葉隠くんもまた、手を伸ばしていたけど……

    僕の手が彼に届く事はもう2度とない。
  87. 87 : : 2020/05/11(月) 02:17:42
    葉隠くんは死んだ。
    モノクマの言っていた処刑によって……

    泣き叫ぶ舞園さん、処刑を見て顔を歪める皆……
    僕は多分、そのどちらでもなかった……


    モノクマ「苗木くん……絶望してくれた?」


    足元へと近寄り僕の顔を覗き込むモノクマ。
    それを睨みつけた僕はどんな顔をしていただろう?

    分からないけど、
    でも多分……


    モノクマ「舞園さんは君を裏切った、そのせいで桑田くんと葉隠くんはしんじゃったよね。でも全ての発端であった舞園さんは生きているなんて胸糞悪いよね!分かるよその気持ち!」

    苗木「それは違うよ‼‼‼」


    僕の叫びは場は一気に凍る。


    苗木「舞園さんのせいでも、ましてや桑田くんや葉隠くんのせいじゃない……!全部……全部お前のせいじゃないか‼‼‼」


    拳を握り足元にいるモノクマへと拳を向けた。
    それを振り下ろそうとして、モノクマに当たる寸前で僕は腕を止める。


    モノクマ「うぷぷ、殴らないの苗木くん?」

    苗木「……くそっ!」


    ここで殴れば校則違反。そうなったら僕も桑田くんのように処刑されてもおかしくない……!
    耐え忍ぶしかないんだ!

    やり場のない怒りを僕は何かにぶつける事すら出来ない……


    モノクマ「……まだ絶望してくれないんだね。でもいいよ、まだ機会はたくさんあるからさ!」


    そういってクルリと僕に背を向けるモノクマ。


    苗木「僕達は絶対に生きてこの学園から出て見せる‼‼」

    モノクマ「君なら出来るよ。僕はそれを知っている。でもね、苗木くん……」


    歩き出して僕から離れるヤツの声は普段のとは違う別の声を発していた。


    モノクマ「どんな事をしてでも、絶望させてみせる……!」
  88. 88 : : 2020/05/11(月) 02:19:19
    あともう少しで一章が終わります。
    質問なんですが二章なども同じスレの方がいいのでしょうか?それとも別のスレを建ててそちらに投稿すべきですか?といってもまだ二章は書き終えてないんですけどね……
  89. 89 : : 2020/05/12(火) 02:20:32
    全てが終わって部屋に戻った。
    ボロボロだった部屋も桑田くんの死体も全て綺麗に片付けられて……

    仲間の死を嘆く事すらも許されないんだ……

    ピンポーン……
    インターホンが鳴る。

    ドアを開けるか一瞬迷う。もしかしたら、また別の殺人が起きるかもしれない。
    そうでなくても、今日の僕は本当に疲れていたから開ける気にはなれなかったのだ。

    だけど僕が仲間を疑うわけにはいかない気もした。危険でも、それでも僕の唯一の取り柄は前向きな事なんだ。
    何も起こらない、大丈夫だ。

    そんな思いで重たい身体を動かしてドアを開けた。


    霧切「今ちょっといいかしら?」


    彼女は事件を解決へと導いた。
    十神くんもセレスさんも出来なかった事を霧切さんは成し遂げたのだった。

    彼女を部屋に入れて、互いにしばらく黙ったまま時間が過ぎる。


    霧切「あなたは黒幕の正体を知っているの?」

    苗木「どうしてそう思うの?」

    霧切「誰が聞いてもそう聞こえたと思うわ。モノクマが去る時の言葉はまるで、あなたを知っているような口ぶりだったから」


    僕もずっと気になっていた。
    毎晩のように会いに来るモノクマの行動、そしてあの言葉の意味は一体……


    苗木「霧切さんはどう思っているの?」

    霧切「質問を質問で返すのね……でも、少なくとも相手はあなたを知っている。それだけは確かよ」

    苗木「そりゃそうだよ……僕だけじゃない、皆の事を知っている筈だ」


    もし皆が僕と似たような映像を視聴覚室で見たのなら
    黒幕は念入りに僕達の事を調べ上げている筈だ。


    霧切「あなたの反応を見ていると黒幕の正体は知らないようね……まぁ今までの行動もそれを物語っているのだけれど」

    苗木「まるで探偵みたいだね、霧切さん……実は超高校級の探偵…だったりして……」


    事件を解くその姿も真実を追い求める姿勢も
    ドラマやアニメで見る探偵そっくりだ。

    僕は学級裁判の途中から集中力を失っていたと思う。何を論破すればいいのかが分からなくなり始めていた。
    例えば、舞園さんが最初に桑田くんを攻撃したなんて証拠、必要なかったのに僕は学級裁判でそこを指摘した。ただ裁判を長引かせてしまっただけだ。


    霧切「そう……なのかしら?」

    苗木「そうだよ、僕は舞園さんと部屋を交換した事くらいしか証明出来なかったけど霧切さんは真相に辿り着いた。尊敬するよ……」

    霧切「ありがとう……今回のあなたは、ただ視野が少し狭かっただけよ。でも、証拠だけはキッチリ集めてた。次からはもうちょっと柔軟に頭を働かせた方がいいわ」


    褒められているのやら貶されているのやら……
    でも悪い気はしない。


    霧切「……舞園さんとの事は今はあまり考えないようにした方がいいわ」


    多分、本題はこの事だ。葉隠くんの処刑が終わってから彼女は自室へと戻った。
    そんな彼女に声を掛けた人はだれ一人としていない。皆、恐れている。そして少なからず彼女を恨んでいる事だろう。


    霧切「彼女もこれから自室から出る事は少なくなると思うわ。それに皆も彼女が自室以外で行動する事を良しとはしないと思う」

    苗木「そうだろうね……って、もしかしてだけど僕が舞園さんを殺すかもしれないって思ってる?」

    霧切「あなたはそういう事はしないと思うわ……でも衝動的な事があってもおかしくはないと思っているつもりよ」

    苗木「そっか、でも大丈夫だよ。僕は誰も殺さない」


    決意を固める。こういう事は心に留めるべきなのかもしれないけど、
    それでも言わないといけない気がした。

    一度言った言葉は取り消す事は出来ないから……
  90. 90 : : 2020/05/12(火) 02:20:49
    夜時間のチャイムが鳴って霧切さんは部屋を出て行った。
    それと同時に僕も部屋を出る。

    向かったのは隣の部屋。
    インターホンを押した。

    出てこない。だからもう一度押す。
    そしてもう一度……

    でもやっぱり出てこない。
    当然なのかもしれないけど、僕は今、彼女に伝えないといけないと思った。

    だからまた鳴らす。
    そしてドアがゆっくりと開く。

    眼を真っ赤にして、顔はクシャクシャで
    腫れていた右手首は時間が経過したせいかより一層腫れが増している。

    彼女はただ無言で僕の顔を見つめてから
    中に入れてくれた。


    苗木「こんな時間にお邪魔してごめん……」


    静寂……
    とことん僕は不器用なんだと思った。

    なんて言えば良いんだろう?
    彼女はどんな言葉を求めているんだろう?
    今なにを思い、考えているんだろう?

    分からない……
    だから僕は一人で喋る事にした。


    苗木「舞園さん、僕は責めないし怒らない」


    それを君は望まない。
    こんな時、責められた方が楽だろう、怒ってもらえるだけで心が救われるだろう……

    でも、それはダメな気がした。
    人を殺そうとした、失敗したとはいえ、もし成功していたら彼女はそれを最後まで隠し通そうとしたと思う。


    苗木「ただ僕は君に言いたい事を言いに来たんだ」


    自分勝手で身勝手だ。
    僕は自分の為にここに来た。

    舞園さんはこんな事を望んでいるわけじゃない。
    絶対に僕が今から言う言葉を言えば苦しませる。

    だけど言う。
    言ってもしまう。
    言わなきゃならない。

    そうして僕はみんなの思いと気持ちを引き摺っていく。


    苗木「もう一度言うよ。僕はこの学園から君を絶対に出す!必ずだ!みんなで絶対に、ここから出るから!」
  91. 91 : : 2020/05/12(火) 02:20:58
    「だから嫌いなんだよね……アンタの事…」


    少女には全てが見えていた。
    監視カメラで全てだ。


    「ハァ……舞園の絶望なんて誰が得するんだっての……」


    溜息を吐きながら画面を見て退屈気な表情を見せる彼女が見ているのは舞園ではない。
    苗木誠ただ一人。


    「盾子ちゃん……苗木くんを殺すの?」

    横に立つ姉の心配気な表情も飽きた。
    何度見せられればいいのだと苛立ちすら感じ始めている。

    いつからだったか、自分のキャラをコロコロと変える事にすら飽きた。
    全てに飽きを感じていた。


    「全部、全部、全部、全部、全部、、全部‼苗木のせい!はぁ……絶望的!」


    画面に映る苗木を指でなぞる。
    目の前の男が嫌いで嫌いで仕方なく、同時に愛して愛してたまらない。
  92. 92 : : 2020/05/12(火) 02:21:06
    敗れた、負けた、敗北した
    絶望的な死を経験して彼女は満足して死んだ。

    そして死後の世界とやらで見た。
    その後の世界も見た……

    自分が蒔いた絶望の種は希望の戦士達を相手によく戦った。
    だけど足りない。足りなかった。

    最後は希望が勝ったのだから絶望的にツマラナイ。

    だから、戻った。全てをやり戻す事にした。
  93. 93 : : 2020/05/12(火) 02:21:13
    苗木誠を殺した。
    それだけで自分は勝者となり生き残りは学園に残った。

    彼女は学園と学園の外を往来して世界に絶望を蒔き、
    今度は絶望が勝利した。

    世界は絶望に包まれた。
    飽きた……
  94. 94 : : 2020/05/12(火) 02:21:19
    前回殺した人間達を殺さずに絶望させた。
    最高だ、良い表情だ!

    絶望的過ぎた笑えた。
    だけど最後には希望が勝った。

    苗木誠だ。
  95. 95 : : 2020/05/12(火) 02:21:24
    苗木以外の生徒を全員殺した。
    でも彼は絶望しない……

    外に出て希望を蒔いた。
  96. 96 : : 2020/05/12(火) 02:21:33
    世界が絶望した、たった一人を残して一度は人類全員が絶望させた。
    だけど苗木誠だ。絶望しない。何故だ?何がいけない?

    世界は希望に包まれた。
  97. 97 : : 2020/05/12(火) 02:21:44
    苗木誠をまた殺した。
    世界は奮闘した。苗木誠の蒔いた希望は闘い続けて、

    絶望が勝利した。
    飽きた……
  98. 98 : : 2020/05/12(火) 02:21:51
    お前だけだ!お前だけだ!お前だけだ!お前だけだ!
    寒い……寒いんだって……

    寒い寒い寒い!
    そんなの流行ってないんだって‼‼

    気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い‼‼

    明日に絶望しろ!
    未知に絶望しろ!
    思い出に絶望しろー!
  99. 99 : : 2020/05/12(火) 02:22:02












    「希望は前へ進むんだ!」






  100. 100 : : 2020/05/12(火) 02:22:10
    「あとは苗木、アンタだけなのよ……」


    画面に移る少年だけ。
    クラスメイトが、先輩が、愛した人が、世界が絶望した。

    だけどアタシはアンタが絶望してる姿が見たい。
    アンタが絶望に染まる事をアタシは希望している!

    苗木誠
  101. 101 : : 2020/05/12(火) 02:23:45
    これにて一章は終わりです。
    二章は書き終えたら投稿します。

    同じスレに投稿するか、別のに移動するかは決めてません。
  102. 102 : : 2020/05/13(水) 07:13:18
    近年稀に見る素晴らしいssでした!
    次スレも待っています!
  103. 103 : : 2020/05/13(水) 14:36:47
    >>102
    ありがとうございます!2章のプロットが出来上がってきたのでに今週末か来週辺りに次の章を投稿していきたいと思います!
  104. 104 : : 2020/05/13(水) 15:06:51
  105. 105 : : 2020/05/14(木) 02:46:00
    >>104 ありがとうございます!
  106. 106 : : 2020/05/23(土) 12:50:18
    2作目です。

    ダンガンロンパ Lucky Despair
    http://www.ssnote.net/archives/86465

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