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キッツ「撃てェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!」

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  1. 1 : : 2014/01/21(火) 18:52:18
    トロスト区攻防戦で出現した巨人を殺す巨人、その正体はエレンだった。
    意識を取り戻さないエレンを化け物として拘束しようとする駐屯兵団、それを拒むミカサ・アルミン。
    アルミンが駐屯兵団の説得を試みるが隊長のヴェールマンは砲弾をエレン達に発射しようとする…
  2. 2 : : 2014/01/21(火) 18:52:31
    「人類の栄光を願い!これから死にゆくせめてもの間に!彼の戦術価値を説きます!!」

    アルミンが心臓に右手をかざして駐屯兵達に叫ぶ。

    仮に駐屯兵団が砲弾を発射する合図を出せば、その数秒後には三人の身体は跡形もなく吹き飛ぶことだろう。

    しかし、ここでアルミンが選択したのは、命を惜しむ嘆願ではなく、絶望でも立ち向かう身体の全てから振り絞った意志だった。

    恐怖に屈せず、真実に立ち向かったアルミンは、涙は流さなかったものの、全身は小刻みに震えていた。

    15歳の少年といえども、立派な兵士の姿であった。

    その姿は、駐屯兵団を支配していた恐怖を、ほんの少しではあるが、動かした。

    一定の距離を保ってエレン達を包囲していた駐屯兵達は、ざわめきはじめた。もしかしたら…という気持ちが生まれ始めていた。

    ヴェールマン隊長は、決意していた砲弾の発射合図を、未だかけられずにいた。

    「ヴェールマン隊長…彼の言葉は考察に値すると思われますが…」

    傍で難しい顔で考え込んでいたイアン・ディートリッヒが忠言した。

    隊長は更に考え込んだ。あの少年の言っている仮説も勇気も、隊長には伝わっていた。

    しかし、それは直接的に、巨人になれる子供を信じる、には繋がらなかった。

    元より繊細な心を持つこの男は、命令は忠実に実行できるが、自身の意志で大胆な選択を行うことを苦手としていた。

    ましてやこの選択は、人類の存亡がかかっているといっても過言ではない。

    もはやこの男の頭は、思考が完全に停止していた。

    思考を停止した状態で出る考えは、ロクなものはない。

    ただただ、全てが自身の都合のいい方向に解釈してしまう。

    そして、暫しの沈黙を経て、ヴェールマン隊長は口を開いた。
  3. 3 : : 2014/01/21(火) 18:52:53
    「そうだ…今理解した…」

    この男は顔を蒼白とさせながら、恐怖を押し殺して威勢を張ったような声を出した。

    その場にいる全ての人間は、この言葉の真意を理解できなかった。

    だが、アルミンは、嫌な予感を感じ、思わず身構えた。

    隊長は更に言葉を続けた。
  4. 4 : : 2014/01/21(火) 18:53:07
    「貴様らが巨人側のスパイだろうが、人類の味方だろうが、それは問題ではなかったのだ…。

    私達兵士の使命は巨人の魔の手から民を守ること…貴様は、ただ、巨人だ。巨人なのだ!!!」

    隊長は声を荒げた。

    その言葉は、揺れ動いていた兵士達の心を掴み、少しずつ広がって往き、心の安定をもたらした。

    しかし、先程までの恐怖ではなく、巨人への憎しみが、兵達に広がっていった。

    「そうだ…あれは巨人だ…!」
    「奴らのせいで仲間は殺された!!!」
    「巨人が人類の味方などふざけるな!!!」
    「こいつらは人類の仇そのものだ!!!」




    「殺せ!!!!!!」
  5. 5 : : 2014/01/21(火) 18:53:20
    言葉は人から人へと伝わっていき、また別の言葉を生み出し、次々と連鎖を繰り返し、やがて大きな歓声へと変わった。

    そして、駐屯兵達のエレン達に対する感情は、恐怖ではなく、巨人への憎悪そのものへと変化していた。

    エレン達の後ろにそびえる壁の方向を除き、駐屯兵が包囲している全方向から、異常な熱気を感じた。

    その熱気は、トロスト区に侵入した巨人を食い止める初陣の際に、鼓舞の為にエレン達が発していたモノと酷似していた。

    先方に立つアルミンは直にこの空気を感じ取り、恐怖で足がすくんでいた。

    後方とはいえ、二人も感じていた。

    ミカサでさえも、異常な熱気に圧倒され、初めて向けられる人間の憎悪に、冷や汗が額に流れおちた。
  6. 6 : : 2014/01/21(火) 18:53:36
    この歪んだ歓声の対象である三人以外にも、この状況に恐怖すら感じている者達がいた。

    先に隊長に忠言をしたイアンと、同じく隊長の傍にいたリコ・プレツェンスカである。

    リコは隊長の傍を離れ、この異様な歓声の中、イアンに駆け寄った。

    「おい…この状況は何か…まずくないか?」

    「あぁ…皆、考えることが怖いんだろうが…このまま彼らを殺してしまっていいのか…特に…」

    イアンは、空気に威圧されながらも、常に逃げる隙を窺っているミカサに視線を向けた。

    「あの後方にいるミカサ・アッカーマンを失くすことは、兵士100人分を失うことと等価だ。」

    リコは、イアンが見ている少女を視界に捉えた。

    なるほど、このような状況にも関わらず、巨人になれるとかいう少年の横で夥しい殺気を発している。

    しばらくリコがミカサに気を取られていると、イアンがヴェールマン隊長に何やら話しかけていた。

    駐屯兵の異常なざわめきと歓声でかき消されつつも、部分的には聞きとれた。

    「…まま撃っても…今置かれ…は何も変わりません!彼の…なんとか…」

    イアンは必死に隊長を説得したが、この男は聞く耳を持たなかった。

    「これ以上言…違反とし…死刑をく…」

    リコが分かったのは、もはやこの状況は一人や二人の人間の力では変えられないということであった。

    そして、ついに、ヴェールマン隊長は、砲弾の合図である右手を上空に振り上げた。

    「撃てぇェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!!」

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syurejien

シュレジー

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