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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

― これが本当の朝帰りです!―

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  1. 1 : : 2018/11/20(火) 05:31:56







              ~まえがき的ななにか~



      

             お久しぶりです!!!!!!!!!!!!
       というよりもうなんか、ハジメマシテ!!!!!!ですかね。
                (;゚Д゚)

    ・・・久しぶりのSSnoteにテンション上がり過ぎて
    騒々しくなってしまいました・・・・、、ssnote発足史上最低最悪の
    産廃物にして、屈指の駄文作成マシンこと夢馬です。もしも私を
    知ってくれている方がコレを目にしてくれているのであれば・・・

    本当にお久しぶりです。近況報告など色々書きたい事も
    あるのですが・・・・・ここはそのようなどうでもいい事を
    書かせて頂くためにお借し頂いているスペースでも無い為、
    早速今回書いていくSS的な何かについての説明に移らせて
    頂こうかと思います。


    既にタグで目にしていると思いますので
    おおよそ説明の必要は無いと思いますが・・・とりあえず、



    「ガルパン」であります・・・・・・  が、



    今回これまでにない簡易注意点として以下の点を
    先に挙げさせて頂きます....




  2. 2 : : 2018/11/20(火) 05:34:26






               ※簡易的注意事項※

                  (特記)



               『エロ展開です。』


    ・はい・・・、よくよく考えても見れば
     これほどエロに没頭し、どぅ――でもいい拘りを
     棄てる事ができない煩悩の塊みたいな私が
     どうして前々回、前回まで、
     
     『ガルパンにエロ要素は要らぬ!!』・・・という姿勢を
     貫いていたのか・・・甚だ疑問ではあるのですが、
     その抑圧より解き放たれたのか今回は何故かエロに走るそうです。
     (ただ、作品の性質上そこまで深くは吶喊しない・・・ハズ。。)




                『百合です。』


    ・百合毒耐性にマイナス値、百合アレルギーを持つ方、そうでなくとも
     そもそも拙いエロス、幼稚なエロスに吐き気を示す方の身を案じて
     その様な方々に関しては問答無用の全車撤退(ブラウザバック)
     推奨致します。

     何せ書いている私自身ですらあまりディープに書いていると、
     吐き気を催します。



             『会長×西住殿カップリングです』


    ・実は同人界隈では結構人気のありそうなこの組み合わせ。
     実質大洗の裏と表を支える二人を主軸にしてみました。
     
     基本的に、一部会長のものを除けば西住殿のモノローグが
     話の大半を占める形になります。





             『多分ぶった切ると思います』


    ・これだけでは何を言っているのか分からないと思いますので
     簡単に説明致しますと・・・・・

     毎度の事ながら気の利いたオチでは終りそうもないという事です。






               ※簡易的注意事項※ 
                  (通常)




    ・ネタバレについてですが・・・・
     そもそもの今回の時系列設定が

     『聖グロ練習試合後』であり、つまり全国大会すら、まだ
     始まっていない体でのお話となっております。

     そこからの拙い創作要素に加えて、
     若干の『リトルアーミー』ネタにも触れるかもしれません。




    ・その為、会話の各所に???が浮上する事かと思いますが、
     その辺は些細な事と見逃して頂ければ幸いです。





    ・パロディ過多。
     例に漏れず、私の書き連ねる諸々はパロディで
     構成されていると言っても最早過言ではありません。
     ご気分を害されたらスミマセンm(__)m




    ・序盤中盤とシリアスで行くのかと思いきや、
     恐らく強引な超信地旋回でエロ展開へと捩じ込んでいくかと。

     ・・・そしてそこまでが退屈な割に結構長い。

     


    ・私は戦車専門家ではありません、、、
     ので、その手の方々に突っ込まれるとぐうの音も出ない位、
     戦車描写に関してはザルです。,,シリアスなんて
     書こうとしてスミマセン;


    ・これまで同様に、noteの方針に則りまして、
     万万が一何かコメントを頂ける機会がありますれば、
     返信後一定時間にて非表示とさせていただくことになります。

     又は、私のグループに関しては認証不要ですので、
     何かありましたらそちらのご活用も視野に入れて頂けると
     大変有難いです。


    ・あと色々言っときながら多分短いです。



    ・・・・等々他にも書いておかなければいけない事は星の数ほど
    あるのですが・・・これではいつまでたっても進めませんので、
    今回はこの辺りにしておきます。
  3. 3 : : 2018/11/20(火) 05:38:51



















     それは―――言い表す事の出来ないどっちつかずの関係だった。




     協力関係とも言い切れないし・・・


     従ったり従えられたりっていうのも何か違う。


     互いが互いを必要としてはいるんだけど・・・


     お互いの真意を知りながらにして結ばれている
     協力関係じゃなくて



     ――――けれど、互いに決して裏切る事の出来ない、



     とても奇妙で、難しい共生関係。

















    「これからは西住ちゃんにお願いしようかな、
     作戦担当。」ニマニマ





     ―――私の2度目の戦車道・・・というよりも、
     ここ、大洗女子での戦車道は・・・会長のこの一言で・・・

     
     もう始まっていたのかもしれない。


     当然、当時その時の私はそんな事を少しも考えてなかった。


     真っ先に考えたのは・・私なんかが作戦立案や指揮を
     任される事に対しての・・・不安。それと責任感・・・・・


     でも、理屈では分かってた。

     確かに、河嶋先輩の指揮、作戦通りに進めると隙が大きすぎるし、
     それに予想外の展開にとても弱い。

     そもそも、この学校には戦車道が無かった・・・


     だったらその経験者もいないのは当然だから。


     私にその役割が回ってくる事なんて・・・


     現状一人しかいない経験者(わたし)が指名される事なんて
     考えるまでもなく、何もおかしい事じゃ無かった。



     ―――けど


  4. 4 : : 2018/11/20(火) 05:46:49







    「あの・・・・会長。。」


    「何かな?西住ちゃん」ニコニコ



    「一人しかいない経験者の私を隊長に・・・っていうのは分かります。
     でも・・・・」







    「ん~・・・・?その感じからすると・・西住ちゃんひょっとして」


     この子の事は大体調べてある。
     頼まれれば断れない性格をしてるってのもそうだし・・・

     「前の学校」で何がどうなって・・そんでもってどんな理由で
     ウチみたいな学校に越してきたのかも。


     でも、それはそれ、これはこれ


     悪いけど・・・乗りかかった船だし、こっちも後がないんだよね。



     だからここは・・・イヤでもうんと言って貰わないと。




    「ひょっとして気が進まない感じなのかな?」



    「・・・・・・・・ぃぇ、気が進まないとか・・・そういう訳じゃなくて
     ・・・・ただ・・・」オドオド・・



    「こっちも悪いとは思ってるよ~。
     転校してきたばっかりの西住ちゃんに履修科目押しつけて
     その上仕切役まで丸投げされちゃぁね~・・・

     でもサ、これも形振り構ってられないからこそなんだよね。
     ってナ訳で、、そこをどうにか頼むよ~」ヒラヒラ



    「・・・・・・・。。」

     見た目では冗談みたいな言い方をしてるけど・・・
     今一瞬だけ開いた瞼から見えた目は、全然笑ってなかった。


     やっぱりこの人は・・・なんだか "怖い "・・・・


     少し感じは違うけど、練習中に全く本調子を発揮できない
     チームメイトにきつくあたるときのお姉ちゃんを・・
     ・・・少しだけ思い出す。





    「~~~!おい西住!!我々には最早全国優勝の旗を
     持ち帰る以外の道はないと確かに言った筈だな!!それを――
    「はぁいはい、隊長降板の河嶋は少し静かにね。
     小山~~?」



    「・・・?はい、会長」



    「悪いけどさ、少し外してもらえないかな。
     西住ちゃんと・・・一対一(サシ)で話しときたい事、あるからさ」




     ――この時私は・・・確信した。

     会長は・・・角谷杏という人は・・・
     もっとも外見で判断してはいけない人だ。

     典型的な―――・・・そのタイプの人間。
     人に見せる身振りや行動、全てが相手に自分の印象を
     そのように焼き付けるためのものであって・・

     どういう心理に基づくものかは人それぞれだけど・・
     こういう人は滅多に本当の自分を見せない。
     生徒会長といえば色々な仕事をこなさないといけない
     大変な立場だと思うから仕方のない事だと理解は出来るけど・・・


     簡単に言うと何を考えているか分からない――
     というより、何を考えているか分からせて貰えない人だ。
     



     こういう人は・・・正直すごく苦手。




  5. 5 : : 2018/11/20(火) 05:49:26






    「さて、二人ぼっちになったことだし、そろそろいいかな

     ――西住ちゃん?」




    「そろそろ――?え、ぇっと・・・スミマセンあの・・・何を」



     会長は椅子に座ったままだけど、机に身を乗り出す様にして
     私に話しかけてくる。

     たったそれだけの姿勢変化。

     それだけの身振りでしかないのに・・・会長の顔が、
     とても近づく錯覚に、私の背筋が震えた。
     自分でも何故こんなに目の前の人を怖いと思っているのか
     未だに分からない。


     外見で言えばそう――
     本当に私達より下の学年どころか、失礼かもしれないけど
     高校生じゃないって言われても頷いちゃうくらいなのに。。


     転校して間もない内にあんな出会い方をしたから?

     それを避ける為だけ、あんなつらい思いをもうしたくないという
     理由で逃げてきた戦車道に、引き戻されたから?

     そういう単純なことだけじゃない気がする。


     乱れていく、、、呼吸も。


     じんわりと沸き出すような背中の冷や汗も。


     極度の緊張でちかちかと瞬くこの視界も。


     その全てが私に言い聞かせてくる。
     


          "気を付けて”と



     この緊張感は・・・身に覚えがありすぎる。
     有効射程で敵車両に側面を取られた時・・・
     相手砲手の動かす砲身が効力射の軌道で搭乗車両(わたし)を捉えた時の・・・



     あの(・・)寒気。



    「何ってそりゃ~~、、
     ・・・隠し通したままじゃお互い難しいこともあるじゃん?

     この際だから腹を割って話そうってね、そういうイミ。
     ほら、小山と河嶋(あのふたり)が居ると話しづらいでしょ?」



    「だから―――」



     同じだ―――。


     この人は・・・私を、私のことを同じ目で見ていた。


    「そう、、さ、上級生相手みたいなカンジ?で
     畏まらないでいいからさ、もっと素直な受け答えで頼むよ~

     一応コレ・・大切な話だからね」


     この人も私と同じで・・・

     私の中身を・・・人間性を見ようとしている



    「ほら~、生徒会長とかいってもこのナリだしさァ、
     少しは同級生っぽく意識しやすいと思うんだ、
     自分で言うのもナンだけど」アハハ
     


    「・・・二人が居ると話しづらいのは・・・会長がですか?」


    「・・・・ン?どういうイミ??」ニヘラ




    「・・・・・・・」




  6. 6 : : 2018/11/20(火) 05:52:13







    「―――やだなぁ、私があの二人にしてる隠し事なんて
     いっこも無いよ。寧ろあの二人は全部知ってるけど・・・

     それを伏せたままにしとくのは良くないと思ったから、
     そうした方がいいって意見の二人には
     こうやって外してもらったんだよ」





    「・・・・?・・・・??;」





    「次の全国大会さ―――

     優勝できないと、このガッコーなくなっちゃうんだよね。実は」




    「・・・・・・え・・・・・・・?」






    「ぁー、この場合のなくなっちゃうっていうのは、
     つまり廃校って事ね。―――ほら、
     なにせ大洗(ウチ)に限ったことじゃないけど学園艦ってこんなでっかいからねー・・
     維持費から何からそりゃもーすっごぃお金が動いてるんだよ。

     ただ、そこにあるってだけで」




    「・・・・それは・・・まあ・・・・・」
     ドッ・・・ドッ・・・




    「んでさー。
     大洗女子(ウチ)には文科省(おえらいさんたち)に存続の価値をアピールできるものが殆どないってワケ

     ぶっちゃけ前々から言われてたらしいんだよねー」ギュッ




    「ふァッ!?」ビクッッ




     自分でもどうかと思うくらい変な声が出た・・・・
     でも、突然手を握られたら少しくらい驚いても仕方ないと思う



    「そんな声出さなくたっていいじゃん;
     ・・・べっつに取って食おうってんじゃないんだしさァ」
     ニギニギ



    「・・・・・・」


    「・・・・;」



     話の途中だった気がするけど・・・
     会長の言葉は途切れたまま、その二つの大きな目が、
     無言の緊張に耐えられず、下瞼で狭まっていく私の目を
     じっ..と見つめてくる




    「―――??...西住ちゃんってさ」ギュッ


    「・・・は、・・・はぃ・・・・?」ビクビク




    「お姉さん居たのは知ってるけど

     ・・・・・3人姉妹とかじゃ・・・なかったよね??」ウゥン・・・?



    「ちが・・・・違いますけど...?」ェェ・・?;



     なんだか分からないけどいきなり変なことを聞いてくる
     会長と、その距離の近さに思わず後ずさってしまう私。



    「・・・・違うんだよね・・なんか・・・・」ボソッ




    「何か・・・?」



    「ぁあ・・・ぅうん。何でもないよ~」バッ...ギシッ



     ようやくきつく握っていた手を解いてくれたけど
     その顔に何か納得のいかない感じを残して再び元居た
     生徒会室の椅子に腰を落とす会長。




  7. 7 : : 2018/11/20(火) 05:55:40




    「じゃ~・・・そうだねぇ・・・

     聖グロとの練習試合も終わって相手強豪校の強さも
     大会を勝ち抜く難しさも皆分かってくれたと思うし・・・
     ウチで唯一の経験者でもある西住チャンには、少し反省会に
     つきあって欲しいんだよね~次のにちよー」ニヨニヨ



    「は・・・反省かい・・・ですか?」オロオロ



     「反省会」...その重苦しいワードに、反射して
     過去私が身を置いていた黒森峰の時のソレ(・・)が脳裏に映し出される・・・
     正直、、全く良い思い出がない。




     けど・・そこで一つ会長の言葉に違和感をおぼえる




    「え・・・でも、あの、、次の日曜だと・・・会長たしか」




    「そだよー。丁度寄港と重なってるから。
     (おか)で少し軽く食事でもしながらさ。今後の話をしようよって、そういうイミ。
     ..んな,おっかなびっくり構えなくてイイよ~・・・

     ウチはほら・・・確かに負けは許されないけど、
     あくまで黒森峰みたいな大御所じゃないんだから・・・・
     初心者には初心者のやり方がある。


     気を引き締めていかなきゃならないのは
     その通りなんだケド。。 でも、そればっかりじゃ
     重圧に押し潰されちゃうだけでしょ?

     それを・・・西住ちゃんにも一緒に考えて欲しいんだ」



     精神的な重圧による挫折。。
     たとえ境遇が違っていても
     戦車道をこれまで続けて来た私でも身に覚えがある
     くらいだから・・・会長の言うことだって何も間違ってない。

     ・・・・・でも。



    「は・・・はい・・・・」






    「これから色々どうするかとか・・・
     このガッコーを・・・なくさない為にまず
     私達に何ができるのかとか・・・・ね?」




    「・・・・・・」



     何もおかしな事を言っていない会長の目を、
     それでも直視できない私は,,,どうしても目の前の
     この人の真意を計りかねていた。




    「分かりました・・・次の日曜・・・ですね?
     えっと・・・それで・・・時間と場所は」



    「・・・・場所はアウトレット辺りがいいかな。
     昼くらいでいいや。これ、私の番号ね」



    「・・・・。」スッ・・



     小さな紙切れを渡してくる会長。
     本当に掴み所のない人で・・・
     思ってることとかが全然読めない人だけど。


     それでも学校を・・
     この、大洗女子学園という居場所を
     とても大事にしている人だということ。


     ・・・それだけは間違いないことだと、こんな私でも
     疑いなく理解できた。
     信じようと・・・思った。


     私にとっては転校して間もない学校だし、できた友達も
     それほど多くは無いけれど・・・

     けれど、こうして今戦車道に戻るきっかけにもなった
     私の手をとりあってくれた友達は・・・
     今の私にとってもかけがえのない仲間だったから。

     だから、こんな居場所を守るために必要な事で
     私にできる事があるなら迷わず力になりたいと・・・
     この時は本気でそう思えた。






     けど、『それはそれとして』――――





     ――――このとき会長がどんな目で私を見ていたのか、

     

     私は結果的に何も理解できてなかった。



     ・・・・それを知ることになる数日後の私は・・・・


     多分今の私とは全くの別人と言ってしまっても
     言い過ぎでは無いんだと・・・今でもそう思う。






     ―――結果としてその日曜日が、




     私と会長の距離を大きく変える日になった。






  8. 8 : : 2018/11/20(火) 06:21:22








        ――――それから数日後・約束の日曜日の昼――――










    「(・・・どうしよう、一応言われた通りにアウトレットまで
     来たのはいいけど・・・・細かい場所も聞いてないしそれに時間も・・・)」
     キョロキョロ


     携帯の示す時間は丁度12時。
     5分前から駐車場を見渡せる場所でこうして待っているけど

     よく考えてみたらそこまで気が回らなかったなんて、
     あの時はよほど早くあの部屋から・・・というよりも会長から・・・



     ・・・私は離れたかったんだと思う。





    「(・・・こうしてても仕方ない・・よね。。。)
                      電話で聞くしか・・・」
     ゴソゴソ




    「その必要はなぃょ~~西住チャン^^」ヌッ



    「ひャッ!!!」ビクッ


     心臓が・・・本気で止まるかと思った。
     それくらい自然に・・・会長は私の背後に居た。
     音もなく、気配もなく、いつもの調子と何も変わらない
     その、語尾に向かうにつれて細く響いていく声色は...
     とても目上の人が放っているものとは思えないほど・・・・


     ・・・その、とても幼く聞こえてしまう。それが
     かえって不意を突かれた私の正常な判断力を奪う。
     



    「あっはははw幾ら何でもビビり過ぎだょ西住ちゃんw
     オハヨーハヨー♪・・・・ってあれ、制服で来たの??;」ケラケラ
     ペッタペタ♪


     愉快そうに私の背中を叩く会長。
     その服装は多少見慣れたいつもの制服ではなくて・・・まるで
     アニメやゲームに出てくるアイドルみたいな、
     可愛らしい私服を着た姿だった。。

     いつもどおりに二つに纏めたその髪型が合わさって、
     何というか・・・ますます年齢をごまかしてる外見にしか見えない。




     つくづく思う事だけど・・・
     会長(このひと)って・・・本当に飛び級とかじゃないのかな・・・・


     っていうのは流石に無いとして・・・・・



     私は何でこの人にここまで苦手意識が拭えないんだろう・・・
     本当にソレが理解できない。

     もっと見た目がおっかない人だとか・・・
     背が高かったり体格が良かったり、人当たりが良くないとか
     そういう特徴があるならまだしも。



    「~~・・・・・西住チャンさぁ....

     今私を見て"こいつ本当に高校生かょ~"・・・・って。

     ..思ってたでしょ(ジトッ)」ンン?




    「(ギクッ)・・・;かっ・・・会長・・・!どこにいたんですか??
     私ずっとここで探してたのに・・・!」




    「んーー?上から見てたんだよw
     そしたら制服着てすっごいキョロキョロしてるのいたから、
     あ、あれだーって。そんでエレベーターで降りてきて
     今ここまでネ~w

     って、私の質問はスルーなんだぁ~」ヘーヘー、ソーデスカ♪



     会長が指差す先には辺り一面を見渡せる高さのマリンタワー。

     多分、最初からあの展望台か喫茶の階まで上っていたとしたら、
     私が到着した時から見つかってたのかもしれない。








    「ぇっ・・・!?
     い、いえあの!スミマセン!??
     でもあの・・・;さすがにそこまでは・・;」




    「ほーほー。"そこまでは”

     ・・・ということはそれ自体否定はしない?」ニヤニヤ




    「そういう嘘・・・苦手ですから、否定はしません。
     実際会長は・・その、すごくかわいらしいと思います」




    「・・・本当にストレートに来たね西住ちゃん」アッハ




    「でも会長・・・私何も言ってないのにどうして・・・」



    「ン~・・、、いや、なんてゅかさ。
     初対面で同じ眼を向けてきたヤツ身近にいたからね~。
     そんくらい口にしなくてもスグわかるょ」



    「・・・・・・え?」



    「・・・・・ってゆかさ~、西住ちゃんってさぁ、なんていうか
     ・・普段だいぶ頼りないけど・・・もしかして結構重度な感じの
     人間不信とか何か?」
     ンッ??



    「~~~・・・・;べ、別にそういうわけじゃ・・・」
     オヨヨヨ....




         [単にあなたという人が苦手なんです]




     ・・・・なんて言葉が素直に口から出せるはずもなくって。




  9. 9 : : 2018/11/20(火) 06:28:47







    「~~ふぅん・・・ま、試合中にさえしっかりしてくれてれば
     別にそのへんどーでもイんだけどね。 それじゃ~、手軽に何か
     ゴハンでも入れてこーか」ハイ、ゴー



    「ぇっ??あ、あのちょっと会長??!」キョロキョロ


     ぐいぐいと背中を押す会長の小さな手のひらに戸惑いながら、
     気になっていた事を聞かずにはいられなかった私。



    「~~?何~~~?
     ぉっ、西住ちゃん、ケッコーいい背中してるネ♪
     運動神経とか実はスゴぃでしょ」ペッタンペッタン♪



    「ぁ・・あの~・・・・今日来てるのって・・
     会長一人・・・だけですか?」クスグッタイデス;



    「そだょ~」



    「あの・・小山さんと河嶋さんは」



    「がっこーで片付いてない雑用の残りやってるー」



    「つまりその・・・私と会長の二人だけで・・・・

     反省会を・・・!?」



    「大ぉ~当ったりぃ~♪ささ、もういい加減
     お腹減って倒れそうだからさぁ、おいしい干し芋食べに行こ~ょ」
     →ァッホィ→



    「えっ・・・?!?そ、そんな・・・・!  ・・・・っていうか会長、
     お昼ゴハンまで干し芋なんですか・・・・?!」ワタワタ




     会長と一対一で・・食事会の様相を呈した・・・
     実質的な反省会・・・、、。



     てっきり河嶋先輩と小山先輩も一緒だと思ってたから、
     せめて物腰が少しでも柔らかい小山先輩だけでも
     一緒だったら・・・、、そんな救いに縋る私の希望が、
     
     無邪気に追いやってくる会長の小さな両手の平によって
     いともあっさりと挫かれた。










         ―――アウトレット二階・ファミレス―――








     昼ご飯にまで干し芋を食べようとか言い出した会長が私を
     押した先で辿り着いたのは、別にそれらが所狭しと並んでいる
     一階の物産品売場じゃなくて・・・二階にあるごく普通の
     洋風ファミレスの窓際席。



     港が一望できる眺めのいい四人掛け席だった。




     ・・・・少しだけ安心した。





    「干し芋パスタ2つーー☆..ぃじょッ」パタン=3
     ニパーーッ





     ―――と、思っていたけど違った;。。









    「ぁのぅ・・・、会長。。;」スゴスゴ



    「ん~~???何々西住チャン、
     もしかしてドリンクバー派?」スッ...


    「ぃっ、いえ、そうじゃなくって・・・!!」



    「あ~~~、払いはいいよ、私が出すからさぁ。
     メニューも私が決めてるんだし」ヒラヒラ



    「~~~・・・・・・;」



    「~~=3

     ゴメンゴメン、何か言いたいみたいだし、
     おとなしく聞いてるからさ、ホラ言ってご覧?」コトン・・



     軽くため息をついた後、お冷を自分の目の前に置き直して
     頬杖をつく会長。気を遣ってそうしてくれているのは
     分かるんだけれど・・・

     こうして黙ってじっと見つめる大きな会長の眼が
     目の前で私の伏せられた眼を捉えて離してくれない状況は・・
     なんだかとても話し出し辛い・・・・





    「じゃあ、ぁの・・・・会長さっき一人だって言ってましたけど・・・
     今後の試合の進め方などを話し合うなら・・・
     河嶋さんと小山さんも一緒に居た方がいいんじゃないかって・・」


     校内での模擬戦や練習はともかく・・・
     既に済んだグロリアーナ戦に関しても、小山さんから聞いた話だと
     今目の前にいる会長は・・・
     「特に何もしていない」って話を聞いてる。


     こないだの聖グロ戦でそうだったように
     38tの構造上、それで運用不可能という程じゃないけど・・・
     練習中に華さんが気絶しちゃった様な状況を見据えて
     確保している代打的要員をのぞいて考えれば、
     手の空いている人がいるのは正直どうかと思う。。




    「ぁ~~~、それね。

     まあ・・・その辺は食事をすませた後にでも説明するからさ。
     とりあえず今は空いたお腹を何とかしよ~よ」カランッ



     お冷グラスを煽る会長の眼には相変わらず何か
     すべてを語りきらない感情の色が見えて仕方が無かったけど・・・

     この場においては言うとおりにするしかない。
     私には・・・それしか選択肢はなかった








  10. 10 : : 2018/11/20(火) 06:33:06






        ――――食事後・アウトレット一階――――









    「~~~ふぃ~、ゴチソーさまでした!
     食後のデザートでも買ってくるからちょっと待ってて~」
     テッテケテ~



     結局、食事中は何か会長と込み入った話をするわけでもなく
     普通にスパゲッティを食べることに終始した。。

     もちろん、会長の好物が融合した変わり種パスタの味を
     よく確かめる気分的な余裕とか・・・そういうのは全然なかった。


     ―――というのも、食事中の口数はかなり少なかったのに―――



     会長の両目は、相変わらず私をずっと捉えて離さなかったから。


     なんとなく思ってたよりあっさりした味だったーーくらいにしか。


     なんなんだろう・・・私、もしかして相当嫌われてるのかな・・・?
     最初に違う科目を選択したりしたから・・・
     まだ内心戦車道への取り組みが本気じゃないみたいに思われてて・・・
     そんな私に渇を入れたりする・・・とか、そんな理由でこんな・・?



    「お待たせ==っ!じゃ、食料も買い揃えたところで
     いよいよ行こっかー!」レッツラゴー!

    「ッ」ビクッ!!



     食後のデザートといいながらやっぱりその腕には
     数種類の真空パック干芋を抱きながら
     空いた方の腕をあげる会長。

     っていうか、さっそく一つ口が割かれてる。




     そのまま手で掴んでたべるのかな・・・・




     かなりベタつくと思うんだけど。




    「行くって・・・えっと、どこにですか?」



    「~~~?  決まってるじゃん、学園艦だよ~」




    「、、???;学園艦まで・・・何をしに・・?」




    「変な西住ちゃんww戦車乗る以外になんもなくない??」




    「え・・・だって、今日は寄港で学校はお休みですし・・・
     練習の許可とか・・・・」




    「ん」クイクイ
     モグモグ



    「・・・・ぁ;」




     私、私、と、頬張った干芋をモグモグしながら
     自身を指差してジェスチャーする会長。



    「(ごクンッ・・)私が許可するから問題ナ~シ♪」
     ブイッ


    「ぁ~~、は、はい・・・そうでした;」



    「~~ってなわけで西住チャン、」



    「・・・はい?;」



    「戦車の操縦、、おしぇ~て☆」







    「・・・・・・・はぃ??」




  11. 11 : : 2018/11/20(火) 17:42:37







       ――――ターミナルまでの道中――――













     まさか休みの日に学校で戦車に乗るなんて
     思っても居なかった私は・・・

     アウトレットから学園艦に向かうまでの道中、
     ずっと会長の考えていることが気になってしまって
     おおよそ落ち着きとよべるものが無かった気がする。

     考えてみれば私も会長も寮に住んでるんだから、
     食事が終わって話も終わったらどの道学園艦には
     戻ることになっていたんだった。



    「あの・・・会長は・・・」




    「うん?」




    「どうしてこんな・・・休みの日にまで一人で
     戦車の練習なんてしてまで・・・」




    「こないだ言ったじゃん~
     ガッコーなくなっちゃうのがイヤだから頑張ってんだって。
     シッカリしてよ西住チャンwウチの頼みの綱なんだからさ」



    「いや、、それは知ってるんですけど・・・
     だったら、、その;・・・・・」



    「・・・・――――ぁ~、働いてない私より
     実際もっとやばい河嶋を練習させろって事??」モグモグ




    「そこまでは・・・;言ってないですけど、
     でもせめて同じ戦車に乗るなら3人一緒のほうが・・・」




    「そこまで言ってイイんだよ(溜息)

     実際ヒドぃもんだったでしょ~?聖グロ戦でも
     分かったと思うけど。あそこであんなノーコン発揮しなかったら
     練習試合とはいっても結果は変わってたかもしれないしね~」




    「いっ・・・いえ、でもっ会長、、・・!」
     グッ・・




    「・・・・うん、なーに?西住ちゃん」
     ニコニコ



     私がこれから言おうとしてること・・全部分かってるよ、と。


     そんな声が聞こえてきそうな会長の意地悪そうな笑顔に、
     少しだけ気後れしてしまった私だけど・・・


     会長も含めて、この学校に私しか戦車道の経験者が
     いないのなら・・これは本当に大切な事だから。


     そんな会長の心中は知った上で・・やっぱり私は言った。



    「戦車道に・・・"まぐれ"はないんです。

     他のスポーツや武道と何にも変わらなくて・・・
     そこまで積み上げてきたもの・・・すべてが
     結果につながっているんです・・・

     ・・・勝つことだけが全てじゃなくて・・・例えそれが・・・」
    「うん、眼を覆いたくなるよーなボロ負けだったとしてもね」



    「・・・・・・・・」


    「さっすが西住ちゃん。やっぱ無理矢理にでも
     戦車道に引っ張ってきた私の判断は間違ってなかったか~」
     モグモグ


    「・・・でも、それを分かっていたなら・・・・
     別にあの罰ゲーム(あんこう踊り)とかはいらなかったんじゃ・・・;」




    「あれは私が踊りたかっただけー☆」
     ニッシシシ




    「ぇーーーーー.....;」






    「だってサー、一人で踊るよか大勢で踊った方が楽しーじゃんw
     実際一人でアレ踊ってたらどう?
     多分誰かに見られでもしたら周りとの距離感
     簡単に崩れると思うし」モグモグ



     ・・・意外と客観的に考えてる・・・



    「ってかサ西住ちゃん、アレ着て踊るとき
     インナーとか着けてた?すっごぃ大地震だったょ~w

     一応女子しかいない校内じゃなくて市中引き回しの刑なんだから
     そういうとこ気にしてくれなきゃ駄目だょ~もぅ」
     ケラケラ




    「ぇっ・・・・?!??いや、だって皆さんそういうの
     着けて無いみたいだったし・・・てっきり駄目なのかって・・・!
     そ、それを言ったら会長だって・・・・!///」ビクッ




    「ん~、まあ私は必要ないでしょ>?どう見たって・・・(エッヘン)」
     ツルペッタン♪



     そのへんはともかくとして・・・
     ・・・という言葉は実際口にしなかったけど、

     直前までの人と本当に同じなのかと疑いたくなるほど
     まじめな顔になおる会長。



     本当に・・・・この人は・・・・




    「・・ま、聖グロ戦で私も初めて試合形式で
     戦車乗ってみて思ったけど。。。

     この競技・・・負けや失敗から学ばなきゃいけないことが
     あんまりにも多すぎるんだょ。
     競技の優劣以前に車両整備について回るアクシデントとかね~」
     モグモグ




     "貌"(かお)を・・・見せてくれない。






  12. 12 : : 2018/11/20(火) 17:46:24




    「西住ちゃんの言うとおり・・・しっかりとした試合の形式で
     負けを経験しなきゃいけないのは当然としてさ・・・

     あの一回(・・・・)だけじゃ、ま~だまだ、全然足んないわけ。

     西住ちゃんなら・・・・」




    「・・・・・・・」




    「私の言葉を聞いてそんな顔できる西住ちゃんになら、
     この言葉のイミ・・・分かるよね?」




     ・・・・つまり会長の考え方というのは・・・・



    「さっき西住チャンの言ったまんまでさ。
     どんな競技にしたって・・・ハナから常勝不敗なんて
     都合の良い話は無いワケ。
     転んだことが無い人が居るとしたら・・その人は
     絶対立ち上がるまでが他の人より遅いから。

     素人が万が一にも初戦からうまいこと勝ち星挙げちゃったりして
     慢心するのが一番怖いからね~・・・・。


     河嶋(かぁしま)がそれを絵に描いたみたいな例だよ。
     ま~・・・・、さっき西住ちゃんが言ったようにそもそも
     砲手に必要な測距も何もできない河嶋のオツムじゃ
     所詮まぐれにも頼れない無理ゲーなんだけど」モグモグ




    「つまり会長・・・・会長は・・・・
     "そういう理由"で私に一人だけ内密に指導してほしい・・・
     って事なんですか」
     グッ・・・



    「そんなつらそうな顔しなぃでょ西住ちゃぁん♪
     別に、"敵を騙すにはまず味方から"とか言いたいワケじゃ
     ないんだょ、私はね。」




    「・・・・でも・・・・。」




    「分かってるよ・・・河嶋も・・・小山も私にとっちゃ
     大事な友達なんだし、これでも信頼はしてる。

     ただ・・・河嶋はああ(・・)だし、
     小山は気が利くけど少し過保護すぎる。

     この先試合の中でもこないだの聖グロ戦みたいに、できれば
     良くない方の経験値も積んでもらいたい・・・・
     
     ところなんだけど。流石にそうも言ってられない時は必ず来る。
     そんな時私は・・・・」ギュッ




    「・・・・・・・っ(ぇっ・・・・?)」



     私の手を隣で握る会長の小さな手と・・・
     少しも笑っていないその横顔に、つい声が出そうになった。




    「ただ干し芋食べてるだけの役立たずで居るワケに・・・
     いかないんだよね・・・・・」





     握っていた手はほんの一瞬で放されてしまったので
     その感覚をゆっくり確かめるような時間はなかった・・・けど





    「(会長の手・・・・少しだけ・・・震えてたような)」





     力を込めて握った時、ふとそう感じただけかもしれない。

     ・・・そう考えもしたけど、同時にその一瞬握られただけで
     私の掌に残った、潮風に撫でられて感じるこの放熱感は・・・

     私一人が手に握っていた汗だけで感じるものにしては
     少し冷たすぎたような・・・そんな気がした。







  13. 13 : : 2018/11/20(火) 17:48:41










       ―――――大洗女子・学園艦戦車倉庫―――――








    「・・・・で、あの~・・・会長;

     私はともかく会長私服なんですけど大丈夫なんですか?」




    「だいじょぶって・・・何が??」
     ン~?(モグモグ)




    「ぁ・・・、いえ、何でもないです;」




    「??wほんっと西住チャンは退屈させないね~。
     さてそれじゃ~早速お願いしよっかな!」オイッチニ・・
     Σパンパン



    「・・・・・・?」




     抱えてた干し芋を肩からかけてたポーチにしまうと
     カメさんチームの車両、つまり38tの真横まで移動し、
     何故かその場で屈伸体操のようなストレッチを行ったあと、
     中腰になって屈み、私の方を見ながら膝を叩いて
     そのまましばらくじっとする会長。。



    「・・・・・ん、」



    「・・・・・?へ?はっ・・・ぇ、えと・・・・」
     キョドキョド




     何?何何?会長のこれは一体何のジェスチャー...!?
     姿勢を低くしろって事なのかな・・・??





    「わっかんなぃかなあ~~」ニヤニヤ



     そこまで言った会長を見て、はっとする。
     そういえば前の試合の時も会長は・・・




    「えっと・・・こう、、ですか??」

    「・・・・・・・」





     身長の関係で一人だと戦車に乗り込むのが難しいみたいで・・・
     河嶋先輩の背中を借りて乗り込んでた・・・・から、多分これで
     合ってるはず・・・!
     38tに密着して四つん這いになる私を、何故か黙って
     見つめている・・・会長・・・・、、?





    「いや・・・流石に後輩の背中踏み台とか無いわー、

     そう(・・)じゃなくて、できればーーー」



    ―――――――――


    ―――――


    ―――


    ――








    「こ、こんなカンジですか・・・?」スクッ
    「うん、イイね、そのままそのまま~」ウキウキ





     ――肩車。



     踏み台は流石に気が引けると言った会長が
     私に求めた体勢は、乗車方法としてはもっと技術が要りそうな
     リフトアップだった。
     首筋を挟み込む会長の太股にはそれなりの重量感を感じるけど・・・
     同級生と比べても、きっと段違いに細くて・・・本当に
     人一人を持ち上げてるのか疑わしくなってくるほど・・・


     首に掛かる負荷はとても軽い。
     頭に乗せられる会長の手も、とても小さく感じる。


     まるで・・・もし私に妹とかがいたら、
     こういう感情に見舞われる機会もあったんだろうかと・・・
     今は通う高校も違ってしまったお姉ちゃんとの日々を・・・
     田舎の道を戦車で走っていたその日々を思い出す。




  14. 14 : : 2018/11/20(火) 17:50:37





    「よっ・・・っと」






     なんだろう・・・・本当なら今日は折角のお休みなんだし
     丘のアウトレットでのんびりボコの新作でも眺めて回った後は・・・
     日がなコンビニの店内を眺めて・・・・からの店内イートインで
     のんびりしたあとに、、、


    「ぉ~い、西住ちゃんってば、早くおいでよ。
     教えてくれるんでしょ?戦車~。」ホレホレ




     軽い憂鬱とともにそんなどうでも良いことを考え込んでいた
     私の意識に入り込んでくる会長の声。



    「っ・・・・ぁ、あの、私エンジン掛けますから会長はそのまま
     待ってて下さい~;」



     若干の気まずさを誤魔化す為と・・・少し身体を動かして
     気を紛らわしたい心からそう申し出る私の言葉に



    「ぇ~~・・、いいよフツーに掛けたって」



     もっともな言葉を返す会長。



    「ま、まあ最近少し涼しいから・・・念のためです」タタッ



     適当な言い訳で切り抜けると、始動棒を取り出し、
     車体後部に回って、クランク棒挿入口のパネルを開いた。

     今はただ―― 会長と二人きりで緊張しきっている
     この場の空気から少しでもいいから離れて、


     "戦車を心のそばに感じていたかった"。


     それだけのためだったけれど・・・・




    「っじゃ~、私も手伝うよ~」ヨット


     そう言うと車体からヒラリ、と舞い降りる会長。
     折角上ったのに・・・。。



    「っじゃー、いくよ~」
    「は、はい、せーのっ・・」



     ある程度の勢いと力は必要とされるけど・・・
     別にティーガーⅡみたいに二人がかりでやっと
     始動に必要な勢いがのるかどうか、というような力は
     38tの場合は要らないし・・・・、クランク始動自体


     私が会長と離れて身体を動かしたかっただけだから、、



     余計な発言が完全に裏目に出てしまったこの状況で
     今、私と会長の掌が重なり合い、隣り合ってクランク棒に
     全体重と力が乗るこの瞬間は、少しだけ気まずかった。
     



     静かな唸りをあげて、倉庫内に響きわたる始動音―――




    「ーーー」




     無事エンジンがまわり始めたのを確認する私の顔を
     横から見つめる会長の視線を不意に感じる。



     アウトレットで食事をしている最中にも感じたあの(・・)視線ーー




    「じゃ、じゃ乗りましょうか・・・」

    「はいはーい。」



     妙な間が生まれる前にとさっさと会長を先ほど同様に持ち上げて
     私も乗り込もうとした時だった




    「あ、そーだ西住ちゃん、すっかり忘れてた。
     アレ、こっちにもって来といてくれる?」アレアレ



     会長の指さす先には何故か・・・倉庫の片隅に置かれている
     ボトルクレートがある。ビール瓶とかが収納されてる
     ラックと言えば大抵の人には伝わりやすいかと思うけど・・・


     私は、はて・・・?、とその真意を測りかねる。



    「(これがあるんだったら・・・一人でも戦車に乗れたんじゃ・・)」


     勿論口にはしなかった。
     会長と私、二人しかこの場にいない空間で―――
     少しでも妙な間を作りたくなかったから、
     私は言われた通りにしたし・・

     そんな私の心境すらも・・・キューポラから見下ろす会長の視線からは
     全て見透かされてたんじゃないかと思う。




  15. 15 : : 2018/11/20(火) 18:35:23








        ――――――――38t車内――――――――







     これが・・・カメさんチームとして会長達・・つまり
     生徒会チームが乗り込んでいる車内の空気。。


     Ⅳ号と比べても当たり前のように狭い、その車内空間。


     長年投棄されていた事からそのままでは流石に
     皆モチベーションが削がれるからと・・・

     
     Ⅳ号(わたしたち)の場合沙織さんが選んだ
     お花のイイ匂いがする芳香剤と、時折華さんが本物のお花を
     飾ってくれるので、とても戦車の中とは思えない香りがするけど


     ・・・・38tはそうでもない・・・


     代わりに、芳香剤とは違った、少し甘い匂いを感じたけど、


     ・・・・流石に大量に備蓄されてる、会長の大好物が
     匂いの原因ではないと信じたい・・・・・。。





     いつもなら小山先輩が座っている筈の操縦席には
     会長が乗り込み、その会長を見下ろす形でキューポラから
     身を乗り出す私だったけど・・・



    「西住ちゃ~ん、そこ居られるより、教えてもらうなら
     隣に居て欲しいから、降りてきてくんない?」




    「はい、、、」





     あっさりと会長の真隣への移動を余儀なくされた。
     避けようとしてるのが・・・バレてるのかな・・・ひょっとして。




    「あのさぁ→、
     西住ちゃん、、、コレ前から聞こうと思ってたんだけど」



    「、?なんでしょうか」
     ョット、、




    「周りの状況見るにしても、ペリスコープでよくない?
     流れ弾当たる可能性だってゼロじゃないんだしさぁ。

     実家が実戦派とは聞いてるけどやっぱり少し
     見てる方としてはおっかないよ?」



     これは・・多分戦車に乗って間もない人なら・・・・
     というか、そうじゃない人でも殆どはそう思うって、
     分かってはいる。




     ―――分かってはいるけど・・・










    「・・・・・・いぇ、でもなんていうか・・・
     昔からこうしてたから・・私にとってはもうこれが普通なんです」
     ハハ・・・;


    「・・・・・・」




    「双方移動中の行進間射撃なんてめったに(▪▪▪▪)当たりませんし...」




    「それに、流石にずっと乗り出してるわけじゃありません;

     相手車両の砲身仰角が此方を捉える頃には
     ちゃんと隠れますから・・だから安心して下さい、会長。」
     ニコッ






  16. 16 : : 2018/11/20(火) 18:37:33



    「~~、、まあそう言うなら西住ちゃんのやり方にこれ以上
     とやかく言わないけド・・・くれぐれも無茶はしないでよね~。。

     っじゃ~、いくよ~。宜しく頼むね西住教官どの~w」
     ガコンッ


    「・・・///秋山さんみたいに言うのはやめて下さい..
     学年も下なんですから///;

     あと、教官だなんて。。 そんな大したものじゃないです」




    「かんけー無いよ♪だって『戦車道』に関してなら・・・
     西住ちゃんはこないだ始めた私にとって大先輩なんだから」






     ガウンッ・・・  ギュラギュラ・・・・







     ――――ぁあ・・・




     やっぱりいい。



     ―――とても心地良い。



     狭い車内を満たし、全身を包む4ストローク直列6気筒の唸りが・・・
     私の意識を克明に、鮮やかなものに塗り替えていくのが分かる。
     

     戦車に揺られているこの瞬間だけ・・・私は"私で居られる"。
     いつもみんなに心配をかけてばっかりいるような・・・
     落ち着きがない不安定な私じゃなく。



    「・・・・・・、、」ジッ・・



     隣で操縦桿を握る会長の視線を感じていても・・・
     今、この時の私にとって、それは驚くほど意識の障害にならない。



     普通だったら・・こんなに近くで誰かに凝視されたら
     落ち着いてなんていられないけど。


     


     ―――此処だったら。




     どんな悪路も走破する無限軌道の嘶きが、、
     私に確かな力をくれる。

     まるでこの身が戦車と一つになったような―――


     このままどこまでも自分を信じて突き進める・・・


     そんな自信すら、与えてくれる。




     ―――――だから私は




    「・・・―――ではまず倉庫を出ましょう。


     今日は・・・宜しくお願いします、会長。

     それでは・・・・・・・戦車前進(パンツァーフォー)




    「ハイハーイ、宜しくね。パンツァ~ふぉ~↑」







       なにも臆する事なく・・・これまでの様にそう、唱える。






  17. 17 : : 2018/11/20(火) 18:40:47









        ――――学園艦上・戦車演習場――――








     出庫からある程度進んだところで、操縦よりまず
     砲手としての練習がしたいと言い出した会長に言われるまま
     砲塔と操縦席の位置関係を交代して練習を始めた私達・・・・





     練習の一環とはいってもやっぱり砲弾を無駄に
     消費したくないのか会長はできるだけ発砲したくない様子だった。


     停止射撃の練習という形にあっても、
     私が適当に車体を動かした後、停車・・・そこからどれだけ早く
     盛り土に設けられた的に素早く照準を合わせられるか・・・

     というのを、互いの位置を交代しながら確認する形で
     練習をしていて思った感想がまず一つ・・・・








    「(ゼロインまでに必要とする時間が・・・とにかく早い....)」






     ゼロインというのは・・・とても簡単に言ってしまうと
     狙いたい的に照準を絞るまでの・・・つまり


     "ここに合わせれば当たる"


     というところに合わせるまでのプロセス。


     これは、言うほど単純な事じゃなくて・・・
     自分と相手の位置を考慮した上で、相手が動いているなら
     その弾着地点を当然先読みしないといけないから、
     ・・・できるだけ早く。そして正確な計算が求められる。




    「~~、どうかな、大体合ってるよね>?
     ま~、実際ぶっ放して練習したいところではあるんだけどさ~
     練習経費の問題もあってね~。」モグモグ



     それでいて、照準機をのぞき込んでみても
     レティクルが指し示す弾着予想地点は・・・しっかりと的を捉えてる。
     ・・・・勿論撃ってみない事にはそれまでだけど、でも、
     測距の計算からつけている仰角まで・・・全て合っている。

     ・・・言うまでもなく、
     最新鋭の戦車みたいに、レーザー照準もついていない、
     この年代の戦車の照準の合わせ方というものは・・・。。
     そこまで単純なものじゃない。





    「・・・なんで会長じゃなくて・・・河嶋先輩が砲手なんですか?;」




    「・・・・・・・」




     質問の返答はすっかり無視して・・・素直に思った言葉が、
     つい口に出てしまっていた。


     単純に・・・言葉の意味さえ理解してもらえれば、
     返答は要らないと思えたから。それほどまでに・・・



    「負けられない戦いなんですよね・・・・?
     私達がもし負けるようなことがあったらそれは・・・」




     私達戦車道チームの勝敗には・・・
     文字通り大洗女子の存続がかかっている。

     つい先日会長の口から聞かされたその言葉を思えば・・・
     とてもそう問いかけずには居られなかった。







    「・・・だからだよ・・・」





    「・・・・・・・?」



    「何故・・・、どうしてベストを尽くさないのかって、
     そう言いたいんだよね。―――きっと。西住ちゃんも」




    「・・・・・・・」



    「砲手やってる河嶋だって・・・自分で分かってるよ。
     自分がどれだけおバカで乱射癖のあるノーコンかって事くらい」



    「ぃ、いえ・・・なにもそこまでは」



    「でもさ・・・あいつも・・・小山も・・・それから勿論私だって、
     この学校を廃校にしたくない。その気持ちで一杯なんだ。

     一生懸命やろうとしてる友達に、
     "おまえ下手っぴだから砲手クビね~♪"っていうのは・・
     流石に一緒に戦車道始めた私の口から言える事じゃないよ~」




    「・・・・・」



  18. 18 : : 2018/11/20(火) 22:03:37







    「元はと言えば・・・生徒会(あたしら)が始めた事だからさ~~。
     あいつが"やる"って言ってる以上、私はそれを信じるべきなんだよ




     ・・・・・・・ただ、ね、、、」



    「?」




    「さっき言ったまんまだけど・・
     そうも言ってらんない時は必ず来る。それはもう、
     すぐ次の試合かも・・・その次の試合かもしれない。

     "その時"が来たら・・・判定装置(白旗)を起こされる前に私が河嶋に代わる。

     "その時"の為に・・・今日、こうして西住ちゃんには
     練習手伝ってもらってるんだから・・・もっと
     ガンガン指導(しどー)お願いしたいところなんだけど、、、」



    「それは・・・あの、会長の気持ちはよく理解できますけど・・・
     具体的にこれ以上何を指導したらいいのか分からないくらい・・・」
     モウ、充分スゴイトオモイマス・・・




    「だめだね~・・・足りない、こんなんじゃぜ~ん然足んないなぁ。
     止まったままのマト狙うなんて、誰にだってできるよ♪

     ...それよりかさ、さっき西住ちゃんが言ってたヤツ、
     それができる(▪▪▪)ようになればそれなりにこの戦車でも
     戦果あげられると思うんだけど」ニヤリ




    「さっき・・・ってまさか;」




    「そ~そ→ 行進間射撃(うごきながら)ってヤツね~☆」




     それ(▪▪)がどれだけ戦術面で考えた時、常識の埒外にある的中率を指し示しているか・・・
     知ってか知らないでなのか。・・・多分、知ってて笑う会長の笑顔が、
     私の背筋を二つの意味で刺激した。

     目の前の人に覚える未知数の実力に対する"怖さ"と・・・・

     学校での立場や学年では上だけれど・・・
     経験と知識で、確かに私より戦車戦を知らない会長に対する・・・
     "反骨心"で。




    「会長・・・それだけは。
     それだけに関しては(▪▪▪▪▪▪▪▪▪)・・・"狙って"は難しいです・・・。
     偏差射撃に必要な緒元・・・つまり、自車両の移動速度、
     目標との距離、目標までの勾配差、目標車両の最高移動速度・・・
     最低限必要なそれらの値は・・・常に変化します。

     ・・・だから」









    「・・・・ぇ~、、だってぇ。西住ちゃん言ったじゃん~・・・
     "戦車道にまぐれはない"ってさ~。
     
     戦車が砲弾撃てば何かに当たる訳じゃん?
     狙って撃った砲弾が動いてる間に当たったら...

     それってまぐれ(▪▪▪)当たりになっちゃうの>?」
     アッレ~・・・オカシーゾ♪




     ・・・・口を尖らせて重箱の隅をつつくみたいな会長が・・・
     それでも少しかわいいと思えてしまうけど、
     今私と会長がしている話はそういう話じゃない・・・




    「・・・・・互いに(▪▪▪)動きながらではなく・・・・
     撃つ瞬間に、此方が制止を掛けながらの"停止射撃"なら・・・
     まぐれじゃなく、本当に狙うことは可能です。

     ・・・・ただ勿論それには・・・」




    「相手車両の巡航速度ぜ~んぶ把握してなきゃ、ってとこかな?
     それなら大丈夫だよ、、一応頭に入れてあるから。」




    「・・・・・・・・・・」



     簡単そうに言ってるけど・・・・
     多分、嘘なんて言ってないんだと思う・・・

     この人だったら、大会で勝ち上がってきそうな
     サンダースにプラウダ・・・それに当然黒森峰の主力車両なんかの
     移動速度だって本当に全部覚えてるかも、、、、。。



    「で、では・・・・まず相手車両も動いていると仮定して、
     偏差射撃の要点から簡単に説明していきますけど,,,」



    「ぃよっしきた、じゃんじゃんいこー!」


  19. 19 : : 2018/11/20(火) 22:09:23




    ――――――――――


    ――――――――


    ――――――


    ――――










     それからは・・・・色々とあっという間だった。

     会長の吸収速度と、なによりも本人が持ち合わせてる
     計算の早さがある以上・・・私がそれ以上教える事なんて、
     殆ど無かったといってしまって良いと思う・・・・。


     そうなるとあとはもう・・・必然的に



    「ん~~~・・・

     理屈の上では分かったけど、やっぱ撃ってみないと
     結局は理屈止まりだよねぇ~~・・・」モグモグ



    「そ、そうですね・・・。
     動く的まで用意できないのは仕方ないとして・・・

     やっぱり射撃訓練という以上は撃ってみないとどうにも・・・;」





    「よし、じゃあ撃っちゃおう!!!!」ガチッ
     ハイドーン!!!!


               ド ゥ ッ !!!!!!!!





           「、、っはひゃっ――――!?!」
                ビクッ!!





     正直に言って・・・かなりびっくりした。

     戦車道の経験が長いならこれくらいで驚くことは
     ないんじゃないかと普通は思われるかもしれないけれど・・・

     この場合、私にとっては



             "だからこそ驚いた”



     理由は単純で・・・私が戦車に乗る場合、それは
     車長として、つまり指揮する立場として乗り込むのが殆どで・・・


     弾薬の節約っていう観点からも、
     会長は砲撃は無しと言っていたから、当然砲弾の装填は
     されていないものだと私自身が誤認してたし・・・。

     何より、砲撃指示を行っていない・・・、つまり全く砲撃に
     備えて身構えてない状態で、唐突に砲声が炸裂したら・・・



     流石に経験者でも少しは驚く・・・と思う・・・。



     でもお姉ちゃんだったら・・・


     もしかしたらそれでも平気な顔をしてそうな気はするけど。。;




  20. 20 : : 2018/11/20(火) 22:11:24







    「ぁッはは♪チョッと西住ちゃん、ビビり過ぎぃww
     って、ぁーー!見てみて!!!ホラホラ当たった==!」ガバッ

    「ぅわっ・・・、、!ちょ、あのッ・・・」ワタッ




     急な砲声に次いで急な会長の抱きつきと続いて、
     とても落ち着いた思考が保てず、スコープを覗きこむ
     心の余裕も無かったから・・・300メートル先で盛り土に
     設置されていた的が四散してるのにも当然気がつけなかった。




    「ぃや==!初命中だぁ!!!嬉しいね~~↑↑」
     ィヤッタァ~☆


    「・・・ほんとだ・・;当たってます......、、って・・・  ???

         会長・・・初命中って・・・的に命中させたの、
     今のが初めてだったんですか・・・・・・?;」






     あんなに照準合わせが的確だったのに・・・?;




    「???そだょ~~。だって撃ったの初めてだし。」





    「        」





     言葉が・・・・暫く出てこなかった。
     多分こういう人って・・・いつの時代にもいるのかもしれないけど、
     実際に目の前にいると・・・




    「ぉ~い、だぃじょぶ?西住ちゃん。」
     モシ~




     あまりにすごすぎて何を言ったらいいのか分からなくなる。。




    「会長・・・。。やっぱり河嶋さんじゃなくて
     会長が砲手やるべきだと思います、、、;」




     華さんも十分凄い素質を持ってると思ったけど・・・
     会長のそれは・・・たぶん系統(▪▪)が違う・・・・!;
     本来だったら長年戦車道やってないと身につかないような・・



     そういう、第六感に近いものが。
     既に別の経験から備わっているとしか・・・思えない。。



    「ぇ~~、やだょ~。だって砲手やってたら
     忙しくて干し芋食べるヒマないじゃん??」
     イ~ャ~イ~ャ~ヨ~♪



    「学校の存続と干し芋どっちが大事なんですか!??;」
     ェ~~~・・;



    「とぉ~かち!!どっちも無いと困るねぇ☆」
     ユッサユッサ




     どうでもいいけど・・・
     まだ抱きつかれたまま首から腕を離して貰えない。
     っと・・・さ、さすがにその姿勢から身体を揺らされると
     首が・・・!!!;;




    「ちょっ・・・、と、会長、、すみません・・・
     そろそろ首から腕を放してくだ....」





     結果から言うと・・・私にとって、そのお願いが




     聞き入れられることは―――――




     無かった。








      [[コラーーーーーッ!!!!!そこの戦車泥棒!!!!止ぉまぁれぇぇェェ!!!]]
       キィィィ、、、、ン!!!!!





     少なくとも・・・私の意識が残っている内には(▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪)




     私がその日、最後に聞いたのは・・・・
     拡声器か何かで喚いている河嶋さんの・・・

     

     そんな叫び声だった....。。




     そして、不思議なくらいに唐突に。。。私の意識はそこで途切れる。




     ――――自分がいつの間にその夢(▪▪▪)の中に居たのか・・・
     目が覚めるまで気付くことが出来ないくらい
     自然な流れに身を任せて・・・・・・・・







     私の意識は.....  暗闇へと   落ちていった.... . . .


















  21. 21 : : 2018/11/20(火) 22:44:50







            --――――夢 を み た 。








       私にとっては・・・ずっと―――・・・・ずっと昔の夢 。 。






          その夢の中で私たち(▪▪)はまだ十歳で





        そこは・・・一面見渡しても私たちしか居ない平原で





        大声と笑顔で語り合う私たちの声に重なっていたのは
          V型12気筒の立てる騒々しい駆動排気音と、




             春に吹く心地よい風だけで





        草原に渡される車道には、私達が確かにそこを通った印である
        無限軌道の轢跡だけが、深く刻まれていて。。。。





               ――――そうやって。。





               い つ ま で も




          同じ場所(みち)を進んでいけるのだと。 。 。


             私も、あの子達も。。。何の迷いもなく


                そう、おもっていた(そう、おもっていた)










    ――



    ―――――



    ――――――――



    ―――――――――――





            ―――――????―――――




      「・・・・・、、  ~~・・・?  ぅ・・・っ・・・??ぁ、・・・・」ノソッ



     どんな夢を見ていたのか・・・・


     とっさに思い出せないのは、あんまり今の私にとって、


     それは覚えていたくない夢だったのか・・・


     そうじゃなかったのか・・・・



     少々の息苦しさと共に、どこか心地よい安息感のある真っ暗闇で、
     私の意識は静かに目を覚ます。




    「あっ・・・っつつ・・・ぁれ私・・・Ⅳ。。。、、・・38tの車内・・・??」スリスリ




     全く光源のない車内、目が見えなくて何も聞こえなくても、
     こうして私がこんな場所で深い眠りにつく直前、何があったのか

     とっさに思い出せなくても、全身を包む鉄と油の匂いーー
     少し念入りに掃除したくらいじゃ消えない埃っぽい匂いで
     そこがどこなのか、すぐに分かった。



     感覚が冴えてくると、少し甘い匂いも混じる。



     ・・・・間違いない。



     
     それに、よく耳を澄ませれば何も聞こえないわけじゃなかった




    「・・・―――」



    「・・・....!」



    「・・・・―――・・・クーー・・」




     隣の座席から聞こえてくるのは多分会長の寝息。





  22. 22 : : 2018/11/20(火) 22:46:42







    「・・・・・・・・」スルッ・・・




     気がつけば私の上に掛けられていたブランケットは、
     きっと会長が掛けてくれたんだと思う。

     それくらいならよく考えるまでもなく分かったし、
     意識がだんだんと冴えていく中で、どうして私が戦車の中で
     寝ていたのかと言うところまでの推測を立てる。


     「(うー・・・ん・・・コレってどう考えても)」


     記憶に残っているのは会長に測距の大凡のコツとか・・・
     行進間射撃中の偏差射撃の要点を教えてる最中だった・・かな・・・


     会長はちゃんと許可を取って練習してるって言ってたけど
     あまり砲声を鳴らしたくない様な感じで・・


     でも撃って見ないと勿論感覚は掴みようがないから・・・

     試しに会長が突然一発撃って・・・・・・



     ・・・―――!..そうだ、確か河嶋先輩・・??が



     練習場に飛び出して来て・・・




    「・・・・・・・・・・」




    「(もしかして会長・・・)」


     今日私を呼んで戦車に乗って練習する事とかも・・・
     あの二人には内緒で・・・・?



    「・・・・・・」スリスリ




     記憶の途切れ際、余りに唐突だったから
     いつもなら落ち着いていられる筈の戦車の中でも
     気が動転してしまったけど、確かに私の首に回された
     会長の細い両腕・・・・

     と、耳元に顔を寄せられて囁かれた、
     今まで聞いたことのない様な声色で揺れるような会長の声。




     実際に映画やドラマで見たことがあるだけで勿論私に
     そういった経験は・・・、うん、人為的なものに限っては
     経験が無かったけど、やっぱり私はあの時会長に・・・




    「(意識を奪われた・・・というか昏倒させられてたのかな;)」
     サスサス,,,






     ・・・・何の為に・・・・?




     ・・・・・心当たりは・・・あまりにも有りすぎる(▪▪▪▪▪)






    「(でも、全然痛みとか苦しいとかそういうのが無かった・・・。。

     首も・・鏡を見ないと跡が残ってるかどうかは分からないけど、
     とりあえずは何ともないし)」ムクッ・・



     すぐに会長を起こしても良かったけど・・・真っ暗闇で
     何も見えない私は、とりあえず持っていた携帯のバックライトで
     おぼろげに照らされる車内からキューポラを開けて
     車外に顔だけを出して周囲を伺う。





    「(やっぱり・・・)」





     当然と言えばそうだけど、
     そこは大洗女子皆の戦車が格納されている戦車倉庫で、
     38tの脇には私と会長が乗り込む前に何故か会長に置くように
     頼まれたボトルクレートが置かれているのが見える。



     あれが有るってことは・・・会長は誰の手も借りずに
     一人で戦車に乗り降りできる状態。




     ・・・つまり会長は多分・・・




    「(練習は・・どうしても

     一人でやってたって事にしたかったのかな・・・)」



  23. 23 : : 2018/11/20(火) 22:50:18






     ああ・・・そうか・・・・ぅうん、でも、、






     今になって、何となくだけど分かった。




     ―――どうして私が会長(このひと)に何か言い表せない気まずさが拭いきれないのか・・



     その安らかな寝顔と、寝息につられて上下する肩に掛かる二つ縛りの髪。
     普段は見ることのできない会長の姿に、
     漸くその既視感の元になっていた、昔の友達(▪▪▪▪)を、重ねて思い出す―――



     起き抜けには思い出せなかった・・夢の中で呼んだ、




     その名前と一緒に。





    「元気にしてるかなぁ・・・  皆。。」





     38tの停車位置が、たまたま倉庫の中でも
     月明かりの差し込むところだったおかげで開いたキューポラに
     そそぎ込まれた月からの反射光は、まっ暗闇に慣れた
     私の両目には十分な光源となって狭い車内を照らし出す。



    「・・・・・・・・・、、」



     暗順応を損なわないように、
     目を細めて携帯に示される時間を確認して
     どうするべきかと迷う私。





    「(どうしよう・・・もうとっくに学校からの退去時間過ぎてる。。

     ・・・・・っていうか・・・日付も変わってる・・・;
     
     入るときも特に風紀委員さんのチェック受けてないし・・・
     その辺は会長が一緒だから何とかなるとは思うけど・・・
     もし会長が私と一緒に居ない体でここに来てるとしたら・・・)」


     私も会長も住まいは寮だから深夜に自室に戻ってないのが
     もしも寮監さんにばれちゃったりすると流石に学校にも連絡が
     いくかも・・・・





    「(起こした方が・・・いいのかな、やっぱり)」




    「・・・・―――・・・・――――」




     月明かりで若干の様子が伺える様になった車内で、
     さっきよりも寝息が静かに感じる会長がもたれ掛かる
     隣の座席を横目に捉え、・・・・ふと思った。




    「(・・・・今なら、いつも何を考えてるのか全然読ませてくれない
     会長の、何も考えてない本当の素の顔が見られる・・・・?)」
     ソーッ・・・・




     さっきより寝息が静かになってるから
     もしかしたら眠りが浅いかもしれない。


     そう考えるだけでうまく言い表しようのない罪悪感に
     震える全身を押さえながら、


     背もたれに片腕をついてゆっくり、―――ゆっくり、すこしづつ。
     枝の上をつたうカメレオンみたいな動きで
     会長の顔をのぞき込みに行く・・



  24. 24 : : 2018/11/20(火) 22:52:23





    「・・・んぅ・・・・」ギシッ





    「Σ!!!!!」ビグッ





     「(走行中の車体に砲弾を受けたときなんかよりもずっと
     ビックリした・・・けど、大丈夫・・・・?まだ起きてない・・・?)」




    「・・・・・・ゅ、、、」




     ギアボックスに組んだ足を乗せたまま眠る会長が、
     伸ばした足を崩さないままうつ、器用な寝返りに、
     一気に鼓動が跳ね上がる。
     ・・・ただの寝返りであることを祈って、再び接近を試みる私の全身に・・
     重苦しい静寂の中、会長の口から漏れ出した声が絡みつく。




    「(何だろう・・・?寝言かな・・・)」




     ただ・・・・狭い車内でも、心臓が高鳴っている今ではその第一声は
     よく聞き取れ無かった。




    「・・・~~?」ソロ~~・・・・




    「・・・・・モ・・・・・・」



    「(・・・?も??)」



    ガサッ・・・ゴソ・・・



    「っ!_?」


    「っ・・・」パクッ


     寝言を口にしていたと思ったら、
     おもむろに抱えていた袋から一切れの干し芋を探り出すと
     それをムシャムシャと咀嚼する会長・・・・。。

     まさかとは思うけど・・・もしかして・・・・



    「ンっフフふフヘ・・・」モグモグモグ・・・
     ・・・・ゴックン



    「(干し芋食べながら・・・寝てる・・・・!!!)」


     もっと柔らかいものならまだ分からないでもないけど・・・
     ううん、やっぱり・・・そんな夢を見てたとしても、
     わりと固いし噛み切る力の要る干し芋を噛み砕きながら、
     それでも目を覚まさず眠りこける会長は・・・

     けっこう普通じゃないと思う・・




     けど・・・それとは別に。



     その、目の前にいる会長は、なんだか
     いつもと大分雰囲気が違って見えた。なんでだろう・・・・
     やっていることは、その振る舞いは普段と大して変わらない、
     ただ笑顔で干し芋をかじってるだけの会長なのに・・・
     どうしてなのか・・・



     ―――どこか少し、悲しそうな顔にも見える気がする。



    「(寝てるか起きてるか・・・その違いだけなのに・・・)」
     ノソッ・・・


    「・・・・!」


     見間違えかと疑う前に、「それ」は会長の頬を伝って行く途中で
     月の明かりと重なって輝いた。








    「(ぇ・・・・涙、、!?)」






     いくら月明かりの補助があってもやっぱりこの位置関係だと
     見えにくいから、もう少し、あとちょっとだけ、、




     私がこの時、躊躇していたら・・
     あんな事にはならなかったのかな。
     後になってからの私がそう思うかどうかは分からないけれど・・・

     結果として、狭い車内で詰め寄った、その一歩にも満たない
     接近が・・・

     結果として、私と会長の"距離"を縮めることになった。



    「・・・――ゃだっ・・ ..なの・・..!!!
        ・・・校が...なるとか・・..の・・・かんけー無いょ・・・!!」


    「――――・・・!」ピタッ



     狭い戦車の中でも特に狭い38tの操縦室。
     その中であっても密着するまでよく聞こえなかったレベルの
     囁くような会長の寝言は、私が近づくのと同じくらいの早さで
     だんだんとその語気が強まっていく―――――





     ―――そして





  25. 25 : : 2018/11/20(火) 22:55:35








    「―――――っ!!!・・・・、、、」ガバッ

    「あヒぁッ!!??」ビクッ!!!






     "パチリ” そんな音が聞こえてもおかしくないくらい唐突に、
     見開かれる会長の大きな両目と、綺麗に分けられた前髪の下に
     広がる額が、唐突な意識の覚醒に伴って乗り出される。
     

     飛び起きた半身の勢いはそのまま。私の顔めがけて急接近して....




               ゴっ・・・



     それに反応する形で咄嗟に身を退かせた私のおでこと、今
     意識の水面から顔を出したばかりの会長のおでこが重なった。

     鈍い音に感じたのは、
     その音が自分自身の骨も伝わって聞こえたからで、実際は
     そこまで勢い良くぶつかった訳でもなかった。



    「――・・・・、、、」キョロ・・・・

    「あの~・・・ぉ、おはようございます・・???」ビクビク・・



     勿論、ここまで近くで見つめたことなんてない会長の目。。
     起き抜けの状態で今、何を考えているのか・・・今この状況が
     どう言うことになってるのか、

     私が発した一言目が聞こえていないくらいの集中力が、

     会長の機敏に動く瞳孔から感じられた。



     それにしても、もう少しまともなことが言えなかったかな・・・




    「・・・・見た?」

    「・・・へ?;」



     今日一番の忙しさで私の全身に回る血を送り続ける心臓が、
     異常稼働を始める全身の統率にあわてふためく脳が。

     唐突にはなたれた会長の質問を
     冷静に考えさせてくれる程の余裕を、私に与えてはくれない。




    「聞いた?」ズイッ
    「ぇえっ・・・と、、何を、、です



     会長と私の距離はすでにゼロ。

     額が触れているのに追い迫ってくる会長の圧に押されて・・
     私の背中がギアボックスにもたれ掛かるのと同時に―――




    「っっーーー」
    「―――――」




     私の言葉をせき止めるように―――と言うより、
     文字通り会長のその唇で、私の言い掛けた言葉はせき止められた。



    「っ~~~ーーーー!??!?!?」
    「・・・・・・・・・・・・・・・」
     バッ・・



     密着していたのはせいぜい2秒くらいだったけど、
     あまりの衝撃に――・・私自身が今、何を会長に言うべきか
     咄嗟に言葉がまとまらない。



    「ん~~・・・この()は・・・嘘をついてる味だねぇ・・・西住ちゃん」ペロリ
     ナンチャッテ


    「ひっ・・・?!?」ビクッ



     そんなことを言いながら、いまだに私の頭に回した腕を放さず、
     頬の上を伝っていく会長の舌。

     冷静に返す言葉なんて有るはずもないけど・・・
     私にとっては干し芋の甘い味しかしなかった・・・・;


     なんて考えてる場合じゃない・・・?!


     嘘・・・だよね・・?!今・・・私・・会長と・・・・??



    「!?!?~~~!??"??"」




     一体どんな目的があって・・? 私がこの状況でつく嘘って・・??

     そもそも今できあがってるこの状況はなに(▪▪)・・・・・・?

     会長ってもしかして・・・・???


  26. 26 : : 2018/11/20(火) 22:57:42





    「~~・・・・?ニシズミちゃ~ん>?何か言ったらどうなのさぁ。
     だんまりじゃ面白くないじゃん」ムス~・・・


     折角ちょっかいを出したのに、それに対する反応が期待してた
     ものと違ってたのが面白くなかったと言わんばかりに、
     頬を膨れさせる会長...

     ・・・女子内でもこういうリアクションは少し表現過剰に
     受け取られる事があると思うし、人によっては個人的な見方から
     反感を買う場合もあるらしいけど・・・




     なんか、この人がやると本当に画になっているんだよね...





     というか・・・ストレートに、かわいい。




    「ぉ~~い・・・・もしかして、聞こえてない??
     も一回ぶちゅっとやっちゃうよ・・・??」ノックシテ、モシモォ~シ



     無言で固まりながら、そんなことを考えていた私の頭を
     軽く小突きながら再び急接近してくる会長の顔...!




     まずい、このままじゃ本当に,,,,,




    「ぇっ・・・と、いや、あの、会長!!!?」バッ

    「や~っと喋ってくれたww」ニマニマ





     良かった。一応話し合いには応じてくれそうーー





    「あ、あの、、会長ってその・・・もしかして」




    「うん・・?もしかして?」





    「―――そういう趣味があるヒトですか?」グルグル
     ダラダラダラ....


    「...........」



     言ってしまってから・・・少し。

     少しだけ・・・”しまった!! ”と心の中だけで叫んでしまう。
     他になんて聞き方をすればいいのか分からなかったんだから、
     できるだけわかりやすく、コレがベストな形だと思って
     思い切って言ってしまったけど・・・





     もう少しなんか・・・なんかあったかもしれない・・・





     ・・・・・言い方が・・!





    「そういう趣味って・・・どーいう(▪▪▪▪)シュミかな???」ン?ンン~~?
    「っ―――」ビクッ
    (やっぱりーー!)




     私の失言を、待ってましたとばかりに意地悪な顔で切り返す
     会長の視線が・・・私の顔の斜め下あたりから蛇のように絡みつく。
     怖い。可愛かったハズの会長が、今はたまらなくこわい・・・!







    「ぇっーー・・いや、だから・・・!その!;;;;」ドッ・・ドッ・・・


     さらに詰め寄ってくる会長に覆い被さられて
     ギアボックスへの圧迫を余儀なくされる背筋が、地味に痛い。


     痛いはずなのに・・・再び激化する心臓の高鳴りが、
     一時的に私の脳に届くはずの、その感覚を遮断している。

     そんな感覚を伝えるヒマがあったら、
     この状況から何とか脱出を・・・・!と、

     
     そう考えることで必死なんだ。


     きっと―――今居るのが戦車の中だから。
     普段だったら気を失いそうな混乱にも・・・なんとかこうして
     抗って、考え事ができるんだと思う。

  27. 27 : : 2018/11/20(火) 22:59:36





    「女の人同士で、、、とか、、そういう趣味って事です・・・!!///」
     カァァァ・・・・!!




    「そういう・・・・?って、どういうコト??」ヌフフフ



    「(も、、もっと追いつめてきた・・・・!)」



     折角意を決して言ったのに、"まだ足りない"
     "もう一声”とばかりに寄ってくる会長の全身。
     もう私達二人の体勢は、誰かに見られたら
     何も言い訳できない位の密着状態。


     今は互いに布地の薄い制服を着ているから、
     よけいに緻密に感じられる、線の細い会長の小柄な身体。。


     あらためて・・・本当にこの人が年上とは思えない・・・。

     毎度近くで見る度に思う事だけど、その思いは今、
     視覚的なものだけでなく、全身に触れる会長の知らなかった
     感触によって、さらに強まっていく。


     全体的に、ほとんど余剰分の贅肉と呼べるものがないから、
     信じられないくらい軽くて、本当だったらこの姿勢なら
     もっと痛く感じるはずの腰や肋みたいな、
     所々私にぶつかる骨も・・・

     細い肢体(カラダ)を支え、駆動させる四肢の細い筋肉も。
     どれも・・・上級生どころか同じ学年とすら思えないくらいに細くて
     華奢なのに・・・弱々しさを全く感じさせてくれない。



     言い表すのがとても難しい不思議なプレッシャーが・・・今、
     まさに会長の全身から放たれていて、


     私の身体の自由はそれらによってキツく縛られている。




    「――――なんてね。いや、ウン、

     西住ちゃんの言いたいことは大体わかってるよ。」スッ

    「――――!」




     それまで私の慌てる顔を楽しそうに眺めていた会長は一瞬で
     ふっとその顔から冗談めいた感情の一切を消し去って、
     少しだけ詰め寄らせた全身を退かせると・・・

     ・・―――斜め下に潜り込む形で相対していた会長の顔が・・
     至近距離で正対してきた。



     ゾクッ―――――




     これほど全身に走る感触を、言葉に置き換えた擬音(オノマトペ)で表した場合
     しっくりくるものはないというくらいに、
     私の全身を駆けめぐり、縛り付け・・・・、

     
     背筋をこわばらせる怖気。



     私は会長の・・・、この切り替えの早さが怖いのかもしれない。



     ―――全身で密着しているのに。



     ひと時も目を離していないのに。



     一秒前の人と、目の前の人が同じ人だと思えないくらいの・・・

     この、変わり身の早さが。




  28. 28 : : 2018/11/20(火) 23:21:06







    「きっと―――今こうしてる私と西住ちゃんを見ちゃったら、
     小山や河嶋はもれなく言葉を失っちゃうんだろね―――。

     ”会長にそんなシュミがあったなんて――!"みたいなカンジで」
     ワー、タイヘンダ→




     明るく剽軽に話す見た目に反して・・・・・
     これだけ近くで見つめる会長の大きな目から・・・
     その振る舞いに見合う体温が、まるで感じられない。


     感情が込められてない・・とまでは言えないけど、
     その所作には全て見る物に与える"印象"という[意味]がある・・・


     私はなんだかこの人を見ているとそう感じずにいられない。




    「・・・・、、っ、、?
     会長・・・でも、それじゃ・・・・・」



     こんな状況でも会長の発言を冷静に分析してる自分が、
     少しだけすごいと思った。・・・・・・本当に少しだけ。


     きっと・・・ここが戦車の中だから。
     プラシーボ効果の一種だとか・・・集中を高める
     反復動作(ルーティーン)の一種なのかもしれない。私にとっては・・・

     戦車(この中)が、それにあたるというだけの話で。
     こういうのは・・・誰にでも有るものだと思う。




    「当たり前ジャン~
     私に"そういう(▪▪▪▪)シュミ"はないし。。。あの二人(▪▪▪▪)とも、フツーに、健全なオトモダチだよ^?」



    「~~・・・(ホッ・・)」




     会長の言葉に安堵する私の全身から、


     一瞬だけ緊張が解かれたのを察知したのか、


     しかし、これで終わりじゃないと続けられる会長の言葉。。



    「ただ―――・・・、、今の私にとっての西住ちゃんは、
     そういう対象じゃないんだケド・・・ソレとは別にね。

     なんというか、すっ、、ごく甘えたくなってくるんだよね。」スリッ




    「  ぇ・・・・・?」





    「っていうより・・・頼りにしたくなる、っていうのかな。
     今日近くで見てて・・・初めて実感したんだけど。。

     戦車乗ってるときの西住ちゃんって・・・

     なんであんなに普段と違って頼りがいのある顔になるンだろね?」

     ズズッ・・




     え・・・・?なんかコレ・・・・マズい流れ・・・・?




    「私、ホントはソレが知りたくて・・・・今日はこうして西住チャンと
     二人きりの時間作ったんだよ~~・・・・?」





    「・・・・・・・・??!;」




    「――ねぇ?何で今はあっち(▪▪▪)の西住ちゃんじゃないのかな?
     戦車の中なのに。。。。エンジン切ってるから?
     掛け直せば・・・・あの西住ちゃんになってくれる(▪▪▪▪▪▪)の??」





    「っーーー~~!」




     マズい・・!



     今更だけど、私のおかれているこの状況は、
     会長が目を覚ました時点から、まさしくずっと窮地だったんだとーー
     今更ながらにやっと気づいてしまった。



     例えるなら―――・・・物陰に隠れた自分の指揮車両が、
     実はそこまでの移動直後に、状態の悪い路面で
     擱座していたとも知らずに・・・復旧にあてることもできた
     待ち伏せ時間を無為に見過ごしてしまったような・・





     そんな後悔にも近い感情。






  29. 29 : : 2018/11/20(火) 23:22:46






    「会長・・・ひとまず落ち着いて・・・・・、、冷静になりましょう。

     実は今日、アウトレットの物産で買ってきた
     珍しい紫の干し芋があるので・・一緒に食べませんか?;」ゴソゴソ・・
     ドキドキ・・・






    「わぁ☆食べる食べる~~~!!!」
     ヤッホイ




    「(ホっ・・・・)」=3



     身を乗り出し、押し倒されてしまいそうなくらい迫ってきた
     会長を何とかいなして、うまく好物の干し芋に興味を
     引きつける事が出来た・・・・こんな事も・・・、、あるとは

     正直これっぽっちも予測なんて出来てなかったけど・・・
     会長の呼び出しっていう形だったから・・・・
     一応買っておいて良かった・・・。


     やっぱり私は・・・戦車の中(ここ)に居る限り、冷静に・・・
     判断を誤らずにいらr....
     ポスッ
    「・・・っ・・・??」



     なんとか不穏な場の空気を納めることができたし・・・と、
     会長の隣の席に座って、事なきを得ようとした私の膝に・・・


     不意に何かが置かれた・・・・


    「ンッしし~~・・・・☆」


     ・・・・と、思ったのは膝に加重が掛かった一瞬だけで、

     それは、会長が私の膝の上に腰掛けてきたことによる
     驚くほど軽い衝撃だったと理解する。


     あまりに軽すぎて・・・・乗っかられたんだって気づくのに
     判断が一瞬追いつかなかった・・・;







    「ハイ西住ちゃん、チョーダイちょうだ~い」ペチペチ
     ァ~~ン☆


     会長自身は私の膝の上で横向きに座って、
     右腕を私の首筋に掛けている。私が抱えていない姿勢だけど
     よく言われる、"お姫様抱っこ"に近い姿勢・・・


     空いている方の左手で私の膝をタップしながら、干し芋を
     おねだりしてくる様子は雛鳥みたいで、その動作全てからは
     やっぱり年齢に不相応すぎる幼さが重なって見える。。


     単純にこの様子だけをみれば、誰もが可愛い会長の外見だけに
     目がいってしまうと思う・・けれど今の私にとっては。



    「(せっかくピンチを切り抜けたと思ったのに・・・!やっぱり
     話を逸らさせて貰えない感じ・・・・;!)」ズーン・・・
     ハイ・・・ドウゾ;


     何気なく膝の上に乗っかられた事で完全に逃げ道は塞がれて、
     (そもそも此処は戦車の中で、もっと言うと
     夜の戦車倉庫の中だから、逃げることも出来ないんだけど・・・)
     身体の自由を物理的に封じられてる、、、。





  30. 30 : : 2018/11/20(火) 23:24:53





    「ぁ~~んっ(パクッ)

     ニフィふみちゃんさぁ・・・(モグモグ)
     さっきからなんか雰囲気暗くない??

     なんかまるで・・・・最初に私に戦車道ヨロシクって
     言われた時みたいな顔してる気がする(ゴクン)」



    「この暗さだと会長から私の顔は見えないとオモイマス・・・

     気のせィデスヨ・・・」(※ハイライト無し)ボソボソッ...



    「だぁか~ら~ww"気がする"って言ったンじゃんw

     ってか声ちッさww
     そんなんじゃ顔見なくたってバレバレだってw
     も~・・西住チャンは素直なんだから」ペチペチ



    「~~・・・・干し芋ばかりで喉乾きませんか?
     お水ありますから飲みたかったら言って下さいね。」スンッ


    「わぁ~・・・気が利くネ西住ちゃんは。

     ・・・でも、お水は西住ちゃんのバッグに入ってるんだよね~。
     もう少し西住ちゃんの膝に乗ってたいから、今はまだい~ゃ~」
     プイッ



    「(荷物を探りにいく口実を使ってこの状態から
     ぬけだそうとしたのが・・・あっさり見抜かれてる...。)」
     ズ~ン......




    「あ~~・・・そうそう、それとさ。
     どさくさに紛れて謝り損ねちゃった。・・・・西住ちゃん?」



    「・・・・・・はい?」



     なんだろう・・・会長の声質がまた急に変わった。
     首に回されてた腕も下ろして・・・普段の先細りしていくような、
     不思議な抑揚がついた喋り方とはまた違う、
     あまり聞き慣れていない、まじめな感じの話し方・・・



    「・・・・・さっきはごめんね、、・・急にあんな事しちゃって。

     首・・・痛くなかったかい?」ソッ・・



    「・・・・!」



     そういいつつ、首筋にあてがわれる会長の小さな手のひら。
     その言葉の意味するところは・・・やっぱり私はあの時・・・




    「あの・・・私、実はどうしてこんな時間まで戦車の中で
     会長と寝てたのか思い出せなくて。

     起きたら、会長は私服じゃなくて制服着てたりで・・・何がなんだか」




    「・・・・・」






    「西住ちゃん・・・またウソついてる?」
     ムゥ



    「う・・・、ウソとかじゃなくって・・・
     何か・・本当に私も記憶があやふやなんです。

     まるで私が会長に気絶でもさせられたかみたいな・・・」
    「ウン、だからそうだよ?」



    「ぇっ・・・・(薄々察してはいたけど・・随分あっさりと・・;?)」



    「ほら、裸絞め(スリーパーホールド)ってヤツ。私ってさ、昔からこの通り
     身体小っちゃかったから、親には色々習い事やらされたし、
     色々覚えさせられてさぁ・・・

     相手が全く警戒してなかったら3秒弱で意識トバせる自信あるの」





    「・・・・と、面と向かって言われても、
     やっぱり反応に困るっていうか・・・本当に一瞬の事だったので;」
     エヘヘ・・・;



  31. 31 : : 2018/11/20(火) 23:27:13





    「うん。だから、ごめんね・・・・。
     いくらあの二人にはどうしても一人で練習してたって体で
     通したかったとは言っても・・・他にやり方あったって思うし・・・」
     シュン・・・・




     うん・・・分かる。会長は本気で悪いと思って謝ってくれている。
     やっぱり今目の前にいるこの人が・・・

     あの日、私に・・・戦車道復帰を強要してきた人と同じ人だとは・・・



     どうしても思えない。




    「・・・いいですよ、素直に謝ってくれたので。

     ・・・それになんだか普段の調子と全然違う会長と話してると
     なんていうか・・・落ち着きません」クスッ;


     本当に・・これまでの会話も全て演技だったんじゃないかって
     思えるくらいに・・今目の前にいる会長の言葉は、
     まっすぐ私に向けられていて。


     そこに、普段の・・・"本心を伺わせない"会長は居なかった。



    「・・・あの二人に内緒でやってた事も、黙っててごめんね。」



    「・・・それは・・・・」




     意外だった。




    「それは・・・、呼び出された時に会長しか居なかったとき、
     もう、なんかそうなんじゃないかなって・・・気がついてたので
     もっと、気にしてません」ニコッ



     この人が、それを私に言うと思わなかった。





    「思ったより・・・驚かないんだね?」





    「驚いてないわけじゃないんですけど・・・。
     私も黒森峰(前の学校)に居たとき・・・お姉ちゃんに口すっぱく教わってたから・・・、、


     "小隊を指揮する立場に居るならこれだけは忘れるな。

     指揮される立場に居る者にだけは、

     決して自身の弱さを見せてはならない" ・・・・・って。」





    「・・・・・・・・」





    「次の挙動を相手の出方より早く導き出さないといけない車長が
     自分の判断に絶対の自信を示せなかったり・・・

     判断に揺れているのをみてしまったら、
     それだけで戦車を操縦する人にとっても、
     砲弾の行く先に狙いを定める人も不安になってしまいます。

     ・・・それがどれだけ良くないことか、
     私は結構知ってる方だと思いますから・・・・」




  32. 32 : : 2018/11/20(火) 23:29:24





    「・・・・・・」





    「だから、いいんです。

     会長が気にすることなんて、何もないんです。」
     キュッ・・・




     それだけ言ったら・・・もう何を考える必要もなくなって、
     私の両腕は、既に懐に収まっていた会長の身体を抱きしめていた。


     とても・・・細い身体。華奢っていう表現が、ここまで
     ぴったりな感触は・・・今まで抱きしめてきた人の中に居ないくらい。


     ボコのぬいぐるみとか・・・家で飼っていた犬を
     抱きしめた時の事を、ふと思い出してしまった。。



    「・・・・西住ちゃんってさ、意外と出るとこ出てるよね」
     ェイッ

     ムギュッッ・・・×2


    「ッ!??////」ビクッ



    「ぁの・・・・会長///;
     今結構真面目な話してた気がするんですけど・・・;」



    「ニシズミちゃんが悪いんだよ~っ・・♪
     今・・・私をぎゅっとしたとき、絶対失礼(しつれー)な事考えてたから」
     ニャァ・・・



    「だから、何でそんな事まで分かるんですか?!
     私何も言ってないのに・・・・!;」




    「ぇ~・・?根拠なんてないよ・・・:
     
     しいて言えば・・・"カン"かなぁ・・」ニヤニヤ・・・




    「~~~/////;」




     その、"根拠のないカン”というのが・・・実際その通りだから、
     私には返す言葉がない.....



    「あっれ~・・・反論してこないの>?西住ちゃ~ン」ウリウリ
     モミモミ


    「・・・・・///認めますから、手を離して下さい....;」





    「ぉ~~・・・、、認めるって言うと・・・

               それはつまり・・・・?」ゴゴゴゴ....



    「か、会長を抱いたときの抱き心地があまりに細かったので・・・

     つい家にあるお気に入りのぬいぐるみを思い浮かべて...
    「ひっど~ぃ(笑)!!!!☆罰としてくすぐりの刑!!!」
     ソレソレ~~!!!




              「!!!!!!!」





     直後、会長の手が私の両脇腹へと伸びてきて・・・・

     そこから先の20秒にも満たない時間は・・・

     私が大洗女子学園(ここ)へやってきてからの中で・・・
     時間的にも最長記録を更新する事になる地獄のひとときになった..。。。





    「っ・・・!?!?!?ハヒぁッ!!!フヘひッ!!!??////



      ひゃめッッ・・・ かぃひょッ.、、!!  ,,ぁはッッ・・・ww!!!!



        ァ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッ!!!!////」
     バタバタバタ




     ここ数年で思い返してみても・・・
     こんなに思いっきり笑うことなんて無かったかもしれない。


     ・・・・もちろん、別におもしろくて笑ってる訳じゃないから、
     ただ辛いだけなんだけど・・・・、、

     それにしても、これでもかってほどに声を出さずには
     居られない位こそばいところを的確に・・・・・




    「~~~~ッ!!!!~~~====ァッ!!!!;」
     バタンッ!! ドガッ!!!



    「ほっほ~~・・・意外と弱いンだね~・・ッッw」ウリャリャ☆
     コチョコチョコチョ



     私がどれだけ大声で喚いて、抵抗しても会長のくすぐり責めは
     続いて・・・・、それは結局先に言ったように
     十数秒の出来事だったのに・・・・




     私にとって永遠の時間に感じる罰ゲームになった・・・・。。。




     改めて考えてみると・・・・



    「(私・・・そこまで失礼なこと言っちゃったかな・・・・?///:)」
     ハヒーッ・・・・ヒーーーッ..../////



     若干酸素が足りなくて冷静な判断ができなかったけど、
     別に私がここまでされる程ひどいことは・・・
     後で考え直して見ても、言ってなかった気がする。



  33. 33 : : 2018/11/20(火) 23:33:04






    「・・・~フム、お仕置きはこのくらいにしてだね・・・・。。。

     実を言うと、西住ちゃんに聞きたいことが一個あってさぁ」ストン






    「・・・~~??;///」
     ハァ・・・ハァ・・・・





     息も切れ切れだった私に近づいてきた会長が聞いてきた一言で・・・





    「・・・・あのさ、『エミちゃん』って・・・誰?????」ニッコリ





     私の意識が、強制的に停止状態へと移った。





    「・・・・・・?!!」ピクッ・・・




     特にそれが今の私にとって聞かれて困る質問とかでは・・・

     なかった。ただ・・・・


     何故会長がその子(▪▪▪)の名前を知っているのか・・・?という、
     ただそれだけの疑問に、私の身体が・・・
     心臓だけを除いてピッタリと停止した。。。



    「ぇ・・・・???会長・・・・?その()の事・・・・・どこで???」


    「・・・・・・・・・。

     どこでって・・・言われると・・・ねぇ?」ニヤリ



     私の言葉を聞いてから数秒間をおいた会長は・・・
     何を考えて怪しい笑顔を浮かべていたのか。

     何故・・・・会長が私の昔の友達(▪▪▪▪▪▪)の名前を知っているのか、
     それが気になって仕方がなかった私からすれば・・・・
     特に気にすることじゃなかった。




    「・・・・?;」










    ここで(▪▪▪)・・・、ついさっき、だよ?

     気を失ってる西住ちゃん起こそうと私が近寄ったら・・・・

     西住ちゃんが、寝言で何度もつぶやいてたから・・・ね?

     その、エミちゃんってヒトが西住ちゃんにとってどんなヒトなのか・・・
     それが気になっちゃってw

     ・・・・アレかな?黒森峰(まえのがっこー)のお友達とか?
     大分仲良かったのかな?」
     ニマニマ


    「・・・・・・!」



     ―――なるほど。。。



     ・・・なんだ、そういうことだったんだ・・・。



     疑問が解けたその時点で、私の全身に張りつめていた
     緊張が抜けていった事に、何故か会長は少し怪訝そうな顔で
     こっちを見ている・・・・気がする。

     薄暗くて、やっぱりそこはしっかりとは見えない。






    「=3・・・・
          いいえ、黒森峰の時のじゃなくて・・・。小学生の頃・・・・
     戦車道を通じて私にできた、『最初のお友達』です」
     クスッ・・・




    「・・・・・、、なんで笑ってるの?」ニヒッ


     さっきまでと変わらない顔と、声色みたいだけど・・・
     会長からにじみ出る態度が、若干威圧まじりのものに変わる。


     ・・・それでも。私はかまわず言ってしまった。




  34. 34 : : 2018/11/20(火) 23:36:08






    「似ていたからです。会長が・・・・その子に・・・・・・・」



    「・・・・似てたっていうのは・・・具体的にどの辺が??」
     ニッコニコ・・・


    「  外 見  もそうですが・・・・・まあ、色々とです///」
     クスクス



    「ぉっ、良い度胸してるネ西住ちゃ~ん☆(#^ω^)

     さてはまだまだ拷問が足りないと見えるゥ☆」ワキワキ・・・




    「だから・・・なんでそうなるんですか・・・;///」アハハ・・・;
     ヒクヒク

    「小学生に瓜二つの外見だなんて言われれば誰だって
     地味に傷つくじゃん?」ン??w





    「会長が可愛いのは事実なのでそれは否定しません・・・///;」


    「ん~~・・・、、、そっかぁ・・・まあ、悪気がないなら
     イジめてもこりゃぁ仕方がない・・・」ハァ。





     本当に・・・気分屋な人だなぁ・・・・;


     でも、ずっとこの人の行動を見ていて思ったことがある。



     きっと、会長(このひと)は・・・。。



     私が焦ったり・・・・

     

     騒いだりするところを見るのが楽しくて、こうしているんだ。



     だから、さっきからずっと・・・




    「それじゃあ西住ちゃん―――、、」バッ



    「っ―――――――。」





     私の反応を伺うようにして、自分の態度を常に一定に
     保たないようにしている。




    「・・・・こんな展開はどぅだろ?」グイッ・・・



     だから・・・。一通りの揺さぶりを掛けて、
     冷静になった私が、簡単なことではなびかないと分かったのか・・・




     とうとう、会長の手は私の洒落にならない場所へと侵入を果たす。




    「・・・~・・・///どう、、と言われても、困るんですけど、
     とりあえずそこは(▪▪▪)冗談じゃすまないかなぁ・・・なんて・・・」エヘヘ;



    「(意外と冷静なんだね・・?やっぱコレも戦車モードのおかげかな・・?)
     ん~・・・割と冗談じゃ無かもよ?ほら、指なんか入れちゃったりして」
     ヌッ・・・



    「っく///;」ブルッッ



     流石に・・・声が出る。



    「おや、抵抗しないね」マジマジ



     不思議そうに見つめてくる会長・・・だけど、
     別に私は会長に対抗心をもってそうしてるんじゃなくて・・・



    「ィヤじゃないんだったら・・・最後までイっちゃおーかなって
     思ってるんだけど・・・ホントにいいの>?西住ちゃん??」



    「・・・・?///何でそんなこと聞くんですか・・・?」クスッ




     私は私で・・・・
     会長が、どこまで(▪▪▪▪)いったら、満足するのか知りたいから・・・・
     結局なにがしたくて、私と二人きりのこんな状況を作ったのか、
     それが知りたいから・・・こうして受け身に徹することにした。




    「会長の言う、最後まで(▪▪▪▪)っていうのがどこまで(▪▪▪▪)なのか・・・
     それが気になるから、待ってるんですけど...///」




    「・・・・・・ほっほ~・・・・・・」ジトッ・・・





     その一言で・・・私は会長が完全にその気(▪▪▪)になったのを悟る。




     普段から底を見せてくれない会長が、本当に単なる
     こういう"性癖"の為だけに私に迫って来たのか・・・





    「そっかそっか――・・・んじゃ・・・まあ...」スルッ・・





     それとも、もっと別に理由があるのか・・・・





     暗闇の中、キューポラの隙間から差し込む月明かりに
     ほんの一瞬だけ照らされて見えた・・・
     これまでにないくらい歪んだ会長の笑顔を見た私は・・・






     “とりあえず、そういう難しいことは・・・・
        ――――全て終わってから考える事にしよう”






    「・・・・今夜は寝れないねぇ・・・、、、西住ちゃん・・・?///」







         ―――――――そう、思った。





















    ――・・・to be continued ...?
  35. 35 : : 2018/11/20(火) 23:56:03








            ――あとがきてきななにか――







    はい!、という訳でですね、お久しぶりのガルパンでした(?)!

    や、もうなんて言うか結局見返してみてもガルパン要素要る?;

    って位の意味わからんモンになっていました。

    しかも同作品でエロ要素入れようとすれば、ほぼ間違いなく
    百合毒が錬成されるという....
    (新三郎?理事長?役人??勘弁してくださいw)



    いやはや、組み合わせも無限大ですね。。
    ガルパンって素晴らしい。(そういうアニメじゃねーから!!)


    話の行く末としましては・・・結局また私が
    勝手に書いてるだけですので、時間とモチベ―ションがあれば、
    どういう形かで続くやもしれません。





    ・・・話は変わって聖地もそんなに拠点から離れては無く、
    ツーリングなりお車なり、ちょいとお散歩しに行くには
    よい場所となっております。そういう意味でも、
    大洗はおススメです。



    最終章は来年夏だかという話ですが・・・

    テレビ放映時「ガルパンおじさん」だった人が完全完結時には
    もれなく「ガルパンおじいちゃん」になってますよね・・・;

    これでは;w



    そんなガルパンの更なる躍進を期待して、今回はこの辺で
    お暇させて頂こうかと思います。



    最後に、本当にこの様なつまらない駄文の端々にまで
    御目を通して下さった皆様方に、感謝の言葉を,,,!


    m(__)m

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ne5716

夢馬

@ne5716

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