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嘘つき姫と盲目王子 ~貴方は化け物を愛せますか?~

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  1. 1 : : 2018/06/19(火) 20:46:05
    日本一ソフトウェア様の「嘘つき姫と盲目王子」をプレイして心が震えました...!、どうしても二人には結ばれてほしい(恋愛)と思い、いっそのこと書いてしまおう!
    てことでネタバレ注意です、本作品とは違う結末になるのはNOだと言うひとは了承の上、ご覧になってください!
  2. 2 : : 2018/06/19(火) 20:47:26
    終章の王子の目を治すシーンからです
  3. 3 : : 2018/06/19(火) 21:48:41
    「駄目だよ、姫...!」
    王子の目を治すため、姫の王子に関する記憶を要求する魔女の取引に応じようとする姫に、王子は力いっぱい、姫の手を握り、無い目に、涙を浮かべています。
    「王子........」
    「取引成立だね!」
    そういうと魔女は杖を振り上げ、魔力を放とうとします。
    「目は治さなくていい!」
    「ほう....?」
    姫と魔女の間に入るように、守るように、姫を抱きしめます。
    腕の中には、今まで王子を守ってくれた、化け物の姫。
    化け物であっても姫は、一人の少女だ。僕の歌姫。
    ーー次は、僕の番ーー
    「王子、そんなの....!」
    ここまで来たのはすべて王子の目を治すため、なのに、なのに...そんなこと言うの...?
    「魔女さん、両目を治す取引の内容でしょ、それは」
    魔女に立ち向かう王子、その手は静かに震えていました。
    「あぁ、そうさね。それが覆ることは無いよ?」
    「....片目だけなら、どう?」
    突然そんなことを言うものですから、魔女は怯みました。
    「な、なるほど...頭が切れる人間だね!」
    「王子、両目をしっかり治さないとまた幽閉かもしれないんだよ!」
    隻眼の王子、果たしてそれは両親が許すのかは定かではありません、そんなことは嫌。

    「姫...」
    やさしく、やさしく姫の耳元ではっきりと言う。

    「君の側にずっと居たいんだ...!」

    姫の目から、まるで湧水のように溢れだし、王子の服を濡らしました。

    もう一度、魔女と向き合う王子の手には、姫の偽りの手。王子は取引の内容を提示しました。
    「姫の人の姿を引き換えに、僕の右目を治して」
    「...それだけでは足りないね」
    冷たく言い放った言葉に、王子は苦虫を噛み潰した顔をします。
    なにか無いのか、王子は考えます。
    ふと、姫は涙を瞳にのせたまま、口を開きました。
    「私の左上目をあげるわ!」
    「姫...?!」
    姫の目は全部で4つ。1つ失おうが、どうってことない。そう王子に目を向ける。
    「...取引成立、だね!」
    魔女が杖を振り上げ、その杖の目が開いた。
    二人は眩い光に覆われ、周りの焼けた木々が揺れる。
    光の中で、姫と王子は絶対に離さんとばかりに、指を交差させ、手を握っていた。
    姫の左上目と王子の右目に光が集中した。







    「王子?」
    「なに、姫」
    「ずっと側に居てくれる?」
    「うん」
    「嘘つきな私と居てくれる?」
    「うん」
    「化け物と、居てくれる...?」
    「姫は姫だよ、当たり前じゃないか」
    光の中で、二人の涙が、焦げた地を濡らした。

  4. 4 : : 2018/06/21(木) 21:29:57
    目が覚めると、入ってきたのは、寝息をたてているケモノの姫。
    姫の目は閉じていても、泣いた跡があるのはすぐに分かりました。
    ここはどこかと空を見上げると、月が見えた。
    そこは、いつも姫が歌っていた小高い岩場でした。
    「目が覚めたの?」
    聞き覚えのある声がして、振り返るとそこには、身体中が毛むくじゃらで、所々キノコが生えている山羊の親子がいました。
    「焼けた森の中で倒れているのを見つけて来たんだよ」
    「どうしてここに?」
    「さっきまでオオカミさん、泣きながら君のことをここまで運んでたんだ。よっぽど人間さんの事が好きなんだね」
    「そう...」
    王子はもう一度、姫の姿を見ます。
    馬を思わせる蹄、4つある目と耳、大きな口に、王子の目は裂いた鋭い爪...。王子は姫の手を握ります。
    「ありがと、もう大丈夫だよ...」
    姫は姫、いつも王子を守ってくれた姫、どんな姿でも王子の大好きな姫であるのに変わりません。
    右目が温かくなり、一筋の涙は、姫の手に落ちました。
    姫の3つの瞼がひらき、目を覚ました。
    「王子...?」
    震えた声で、姫はそう言います。
    「うん、そうだよ」
    そう短く返すと、そっとやさしく、花を抱くように姫は王子を包み込みます。


    「王子!」
    「うん!」
    月夜に照らされたふたりは、白銀の岩場で、お互いを確かめ合うように抱き合いました。


  5. 5 : : 2018/07/02(月) 22:57:33
    その後、王子と姫は花畑からお花を摘み、指輪を作りました。
    王子は指に、姫は耳に指輪を通しました。
    「そばにいる、約束の指輪にしよう!」
    そう言い、指輪を作りました。






    翌朝、城....






    王子は、自分の国の門に向かっていました。
    まだこの目を見た、人はいません。
    一人、こちらに向かっている王子を見つけた兵士は、すぐに王、父に知らせるように馬をだしていました。
    門は開き、王子は進みます。一人の老兵がこちらにやって来ました。
    「王子様、その目は....」
    城にいた頃の、盲目王子ではない姿に驚いている様子でした。
    門を開ければ城下町にでます。人々の目は、まるで幻でも見ているような目でした。
    その目はどうしたの、そう言われたらこう返そうと決めていた王子は、胸を張りながらこう言いました。

    「大切な人に助けてもらったんだ!」
     ” 姫 ” に助けてもらったのだと。
  6. 6 : : 2018/09/09(日) 01:53:19
    それからは毎晩のように、あの場所へ行き、姫とおしゃべりをしたり歌を歌っていました。姫の歌声はとてもひどいものになってしまいましたが、これでも王子にとっては心が満たされるような歌声です。
    ふと、姫は歌をやめ、うつむいてしまいました。月明かりの影で目は見えませんでしたが、思い詰めていることはすぐに分かりました。
    「ねぇ王子」
    「なんだい姫?」
    姫はその大きな手を王子の肩に添え、哀しそうな声でこういいました。
    「このことが人にバレたら、どうなっちゃうの?」
    一国の王族と森のケモノがこのように面識があるのを良く思う人など、火を見るよりも明らかです、もしそうなっては二人のなかは人により引き裂かれ、一緒にはいられなくなります。
    姫はそれがとても怖いのです。
    王子は、震えている手にはめてある指輪に、優しく頬をすりました。手を重ねて、握りしめながら。
    「この指輪があるじゃないか。なにがあっても姫の側にいるよ。」
    「でも、王子は国に帰れなくなるんじゃ?」
    「森に住むよ。」
    「えっ!」
    王子は立ち上がり、精一杯、背伸びをして姫を抱き締めました。
    「姫とずっとこうしていたいから。」
    「王子...。わたしもよ!」
    そう二人は抱き締め合い、月には二人の影がうつっていました。

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