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  1. 1 : : 2018/01/29(月) 23:40:36
    こんにちは蒼電と言います。
    今回はみーしゃさん主催の冬花杯での作品です。
    締め切りが伸びたのは知っていたのですが完成しそうでしたので自己満も兼ねて旧締め切りギリギリに投下します。
    冬花杯のURL
    http://www.ssnote.net/groups/835
  2. 2 : : 2018/01/29(月) 23:49:02



    駅伝って知っていますか?
    長い距離を数人で襷を繋いで走る競技です
    一月にある箱根駅伝なんかは有名なので知っている人もいるでしょう
    今日はそんな駅伝のちょっとしたお話。



  3. 3 : : 2018/01/29(月) 23:49:43


    某県某所――
    僕はそこに立っていた。



    高校生活最後の舞台で仲間からの襷を待っている
    駅伝のアンカーを担う僕は七区。男子高校駅伝は全七区間で42.195kmを走る競技だ。
    七区の僕が走る距離は5km。つまり僕までに37.195kmが襷で繋がれている。
    地方大会出場を目指していた僕らだが現時点でその目標は達成できそうにない。
    駅伝はただでさえ長距離な上何人も経由して走る、その為終盤の区間になると追いつくのが困難なタイム差になる事がよくある。
    こんな状況でも最後まで走り切るのがランナー。そんなかっこいい事は言えないけど全力で走る。


  4. 4 : : 2018/01/29(月) 23:50:23


    「――高校」


    僕らの学校が呼ばれた。道の奥から人の声援が聞こえる、きっと走ってる仲間に対しての応援だ。

    付き添いに防寒として羽織っていたベンチコートを渡して鉢巻を付ける。
    そして襷をもらう位置に着こうとすると付き添いの奴に手を差し伸べられた。


    「がんばれ」


    同級生で今まで互いに高めあってきたその手を見て握る


    「行ってくる」


    握手するとき少し涙腺が緩んだ。三年間もこのレースがラストなのと惜しくも選考に選ばれなかった仲間達の顔が浮かんだのが理由だろう。
    上ずりそうなのを我慢しながら向かってくる奴を大声で呼ぶ。

    息を切らしながら向かってくるのを見ながら手を伸ばし襷をつかむ体勢を取る
    そして今

    「よっしゃ!来い!」

    この瞬間

    「ラスト!」

    襷が


    「ナイッ
    「任せ
    わた



    ッス!!」
    った!!」
    った!!

    俺とそいつの声が重なる。襷の位置が6区と7区に重なる。

    襷を握り腕時計のスイッチを押す。

    ッピと微かに聞こえる始動音は雷管(スタートの時のピストルの事)の音には到底及ばないが、スタートの合図にはふさわしい限りだった。

    スタートと共に前を向き足を踏み出す。視界の切れ間に移る襷を渡した仲間は倒れこみ死力を尽くしたのが身体全体で感じ取った。

    前を向くと道が広がる。普段は車が通るその道はここでは専用道。俺だけに用意されたその道を走る。
    前日は役員の人や前日泊した学校の人達が石や木などを捌けてくれ、当日は交通規制がされ運営の車以外ほとんど通らない道。

    その道を駆ける。
    初めの緩やかな下りの中に聞こえる倒れこんだ仲間のファイトの声、届いたよその声援。

    目尻に浮かべた涙を拭い握りしめていた襷を体に掛ける。


    さぁラストランの時間だ


    再び涙を拭って笑顔を浮かべる。


  5. 5 : : 2018/01/29(月) 23:58:34


    この区間は初めは緩やかな下りが先行し暫くすると大きな下りを迎えそこから登りがある
    そこまでの前半戦でまず心がけることは下りでスタミナを出し過ぎず足のギアを持っていくこと。

    これは試走などを繰り返して自分で決めたレース展開だ。
    沿道では声援が聞こえる。大会などでもよくある光景だがどの学校も応援する人が必ずいる。
    駅伝は広いコースなので学校の人では全員応援は出来ない為こういった応援は凄く嬉しいし力になる。



    初めの下り。スタートの前のめりから体を起こし走る形を整える。

    スムーズに足が運ぶ、状態は悪くない証拠だ。腕も上がらず振り下ろせている、落ち着いている。
    秋の終わりの冷たい風が思考を落ち着かせ、現状の認識を助ける。
    これから走るのは5キロだ。アニメのAパート程の時間だがずっと走るのはいささか長いので落ち着いていかないと持たない。

    段階を踏むように緩やかな下りを走ると次に見えたのは大きな下りだ。
    ここでは上体がのけぞらないように意識し、先程の下りより大きな下り坂を走る。
    足に先程より大きな負荷が加わり、着地の衝撃も大きく、スピードが上がり風を強く感じていく。
    下り終えた先には上りががありそこからの後半の道が見え、そちらに目を向けると微かに前方を走るランナーが視界をとらえる。

    前のランナーも走っている、抜くのはかなり厳しいだろう。そしてそのランナーを抜いても目標の順位までは後いくつも壁がある。
    劇的(ドラマ)展開ならここではフラグが立ち怒涛のごぼう抜きの展開だろうが、数字は噓をつかない。精一杯進んでも決して縮まらない差は止まるとあっという間に広がる。
    なんだか空しく感じるが進む足は止まらない、加速する。
    それはランナーだからだろうかそれともこの道を作ってくれる人の為だからだろうか。
    襷に対する意識が強まり、気持ちに力が入る。

    下りも終わりが見えて上りが近づく。ここの上りは下り基調の七区でも唯一と言っていいほどの上り坂は少し緩やかの約100mの道の為ここで勢いをつけて一気に上る。

  6. 6 : : 2018/01/29(月) 23:59:08


    勢いをつける手前見知った人間の見知った声が聞こえた。
    一瞬だが確かそれは高校のクラスメートで陸上好きな奴だろう。
    ありがとう頑張るよ。心の中でそう伝えて勢いをつけて

    上りに入る。

    下りで抑え目だった為足に怠さはない、上りでもたつくと後々苦しくなるためここで一気に上る。
    そうしてる内に坂を上り終え、後半へ向かう。

    ここまでの距離、あっという間にとしか言えないほどにあっさりしていた。後半は上下が少ないためもっと短く感じるのだろう。

    ヘアピンのカーブをなるべく直線に抜ける進む。[ruby](トラック)[競技場/ruby]とは異なり駅伝は道が全然違う。だからこそこのコース取りで走る距離が何mと変わる。短く走る事はタイムに直結するためこのコース取りは合宿や試走で何度も繰り返した。
    応援を送る人達もコース取りの事は理解している為ランナーが通る時はなるべくカーブの外側に立っている。

    大きなカーブで内側を走る。木の葉や小枝を踏む音を聞きながら心地よい気分で進んでいく。
    基本的に走る為の靴は薄い為小石を踏むと痛いのが偶に傷だ。

    この辺りは道幅も狭くあまり人がいないから静かな走りが続いていく。遠くで聞こえる微かな歓声はゴールの方だろうか、トップの方はタイム的にそろそろゴールなのかもしれない。

    山沿いを走るコースの為向かい側や奥の方に見える人はランナーかな?自然に囲まれたコースは普段では見られない景色が広がって不思議な気持ちにさせる。

    走っている為落ち着いて景色は見れないが、一瞬目に移す風景は長く脳裏に残る。
    こうしてる最中にも足は進みゴールは近づく、意外と長距離はあれこれ考えるんだよね。

    身体が徐々に辛さを覚えだす。3km後半からはおり返してすぐは精神的にも苦しくなりだす頃である。
    ここからは気持ちが絡む。我慢のスポーツの本領はここから始まる。

  7. 7 : : 2018/01/30(火) 00:00:05


    苦しくても苦しくても俺達は足を進める。
    これは現実だ。ドラマじゃないから見てるだけでは何も起きない。
    進め。進め。足を回せ、腕をふれ、けれどフォームは崩すな。
    疲労した筋肉が今まで保っていた形から崩れようとするのを抑え、腕を振る。

    足が動かないなら腕で走れ。顎が上がるのを抑えて走る。このカーブの道を抜ければ直線の緩やかな下り坂に入る為そこで一度整える。

    下り坂に入った瞬間声援が飛んだ。
    旧友の声だ。その声援は精一杯の声で俺に届き、力になる。
    人の声援は力になる。ここは俺の道だ、俺の為に声援が届く専用道だ。

    小さな橋が見えた、あそこを抜ければ残り1km。残りは気持ちの勝負、足に力が入り上がっていた肩はリラックスしてストンと落ちる。

    歩幅は自然と広がり、フォームは大きくなる。加速するペースは残りの事を考えなくなる。

    ゴールが近づくにつれ歓声が盛り上がるのを感じる。ゴール前は人が多く盛り上がりがすごい。

    歓声が一段と大きくなるにつき最期を悟る。あそこの曲がり角を曲がるとゴールテープが見える。

    三年間の全てが今日この時に全てを迎える。
    一年生の時のぼんやりとした憧れも、二年生の時の先輩の無念を知った悔しさも。
    今日この時で終わる。


    「ラスト!」


    ゴール間際、大歓声が鳴り響く中最後のコーナーを曲がる。

    腕を大きく振り足を精一杯に伸ばし回す。
    腰は落ち、崩れたフォーム。けれどそんなことはもういい。


    見えた。ゴールテープ。





    ゴールに


    つい







  8. 8 : : 2018/01/30(火) 00:00:14







    倒れこむように僕は今、ゴールした。






  9. 9 : : 2018/01/30(火) 00:00:35


    「お疲れ様」

    付き添いの仲間が駆け寄り声をかける。


    その言葉に僕は涙が溢れ出した。抑えきれない感情を持ちつつも最後に走ってきたコースに精一杯の礼をしてチームのテントに向かった。

    暫くの間、涙は止まらなかった。



    落ち着いた僕は先程の感情を考える。だけども溢れだした想いは今の僕には理解出来そうにもないだろう。
    ただ、今はすっきりした気持ちと少しの儚さで笑顔で終えることが出来るのが嬉しかった。

    その後はバスと電車を乗り継いで、食事を済ましてから家に着いた。





    僕等の物語はここでおしまい。平凡な高校生の部活動生は平坦で「非」劇的だけど、唯一にしてかけがえのない物語として幕を閉じる。
    けれども、いつか……走り終えた時の溢れ出した想いを知る事が出来たら、この物語に意味を持たせる事が出来るのだろうか。


  10. 10 : : 2018/01/30(火) 00:04:31
    終えました。
    投稿時間みれば分かるのですが間に合ってません。はい笑笑


    言いたいことはありますが取り敢えずは完成させたので止めておきます
    どこかで機会があれば色々語るかもしれません。


    そして今回冬花杯の運営の方々には迷惑をかけて申し訳ありませんでした。


    最期に読んでくださりありがとうございました!
  11. 11 : : 2023/07/04(火) 09:48:36
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
    http://www.ssnote.net/archives/90991
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
    sex_shitai
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    sukebe_erotarou
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    cherryboy
    momoyamanaoki
    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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