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モノクマ「部屋に閉じ込めちゃった!」
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                  - 1 : : 2017/10/10(火) 17:31:13
- 過去作
 
 短い
 
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                  - 2 : : 2017/10/10(火) 17:33:17
 目を開くと殺風景な部屋にいた。木の床に白い壁紙、家具などは何もない。
 此処に来るまでの事は何も覚えていないが、察するに自分は監禁されている。誘拐の類だろうか?それとも昔買った恨みの復讐か?
 もしそうならば、思い当たる節が多過ぎて誰が犯人かなんてこの状況ではわからない。
 しばらく考え込んでいると、壁に文字が浮かび上がった。
 『部屋から出たくば、メモの命令に従え』
 メモ、というのはポケットに入っていた紙切れのことだろう。持ち歩いているメイクポーチも、携帯電話も見つからない。
 自分の所持物が見ず知らずの人間の元にあるのは気分が悪い上にポケットに手を突っ込まれただなんて。
 
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                  - 3 : : 2017/10/10(火) 17:34:49
 苛立ちは表に出さず、隣でメモを確認している少女に目を向けた。
 おそらく小学生だろう。服装も親戚のお古で地味な物だ。垢抜けない田舎の女の子。オシャレだってしたことがないに違いない。
 したくてもできないのだろう。金を使う優先順位は小学生には決められない。衣服に金を使わずにいられるならば、他のことに使った方が親にとっては有意義だ。
 「そっちには何が書いてあるんですか」
 彼女は無愛想な声音で私に問う。ああ可愛くない。
 「そんなことより、まず自己紹介から始めましょう。わたくしの名前はセレスティア・ルーデンベルク。セレスと呼んでいただいて結構ですわ。以後お見知りおきを」
 完璧に隙のない笑顔でそう言った。相手が無愛想だからといって腹立ったことを表に出してはいけない。これは感情を出して上手くいくプライベートな場ではないのだから。
 「わたしは安広多恵子。…以後、お見知りおきを?」
 自己紹介なんかされなくとも知っている。何故なら彼女は、こいつは子どもの頃の自分なのだから。
 
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                  - 4 : : 2017/10/10(火) 17:36:15
 「安広さん。提案なのですけど、メモの内容は言わないでおきませんか?わたくし、あまり大っぴらにできることが書いてあった訳ではありませんので…」
 「…わかった」
 「安広さんはメモ以外に何か所持されていますか?」
 「…裁縫道具と、多分化粧品」
 「裁縫道具…少し見せてもらっても?」
 裁縫道具は糸と針以外にも、メジャーや裁ちバサミなど布さえあれば簡単な服を仕立てられる程には揃っている。
 何故こんなもの持っているかは興味がないが、まあこれがあればメモの内容はこなせそうだ。
 「化粧、したいんですか?」
 彼女は新しい玩具を手に入れた子どものような目でメイクポーチを開き笑みを浮かべている。
 
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                  - 5 : : 2017/10/10(火) 17:37:06
 「教えてさしあげますわ、こちらへいらっしゃい」
 少しの気まぐれだ、出るのが少しくらい遅くなったとしても問題はないだろう。彼女は緊張しているのかゆっくりとこちらに近づきメイクポーチを手渡した。
 「よろしく…お願いします」
 化粧をしたというのに子どもの無邪気な笑みで鏡を見ている。化粧は汚い部分を隠すものというだけで、良い部分を隠す必要はないのかもしれないが。
 
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                  - 6 : : 2017/10/10(火) 17:39:55
 裁ちバサミを片手に持ち手鏡に夢中な彼女に近づく。
 自分のメモには「安宏多恵子を殺せ」と書かれていた。
 少女の怯えた顔を見る趣味はない、鏡に見惚れている内に事を済ました方が得策だ。
 「ねぇ、セレスさん。わたしのメモの内容はセレスさんに言った方が叶うと思うから言うね」
 振り上げた裁ちバサミが彼女の頭上で止まる。
 こんな無邪気な笑顔はすぐに必要なくなる。
 嘘を知り、ゴシックロリータに身を包んで自分は生まれ変わった。
 妖艷な微笑みを浮かべ、口調にすら化粧をすればそこに安広多恵子は存在しない。
 地味で特徴のない彼女を殺し、わたくしはセレスティア・ルーデンベルクに生まれ変わるのだ。
 「お人形みたいな格好になれ、そう書いてあった。だから、どうしたらいいかなって…」
 
 振り返った彼女が私の顔を見て不思議そうに首を傾げる。思わず笑ってしまっていた。とんだ勘違いだ。
 
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                  - 7 : : 2017/10/10(火) 17:41:47
 
 ヘッドドレスを、ジャケットを、パニエを、ネクタイを、ブラウスを。彼女の大きさに合うように、ハサミを入れる。
 「セレスさんの服はいいの?」
 「構いませんわ。今は自分の衣服よりもここから出ることの方が優先ですから」
 芋くさい服を脱ぎ捨て、ゴシックロリータに身を包んだ彼女はくるりと回り優雅に一礼した。
 「似合うかな?」
 「人の意見よりもまず自分の気持ちですわ。そのボロ雑巾のような服と比べてどっちが好みですか?」
 「…こっちが好き。これが好き!」
 「自分に自信がなくてはその服の値打ちが下がってしまいますわ。例え他人が似合ってないと言ったとして、例え夢を馬鹿にされたとして、そんなことはないと信じる.いえ、理解することが第一に大切です。似合ってないと思いながら着る人に似合っているだなんて到底思いません」
 自分の嘘を、自分が信じられる程に質を上げなければならない。
 そうでないと相手は騙されてくれない。
 彼女は直に嘘で塗り固めた自分となる。
 憎き安広多恵子は死んでしまった。
 「例え似合わないと言う人間がいたとしても、わたくしは今の貴方は好きですよ」
 どれだけ嘘を重ねようとも、自分は嘘で重ねた自分を愛せる。それがどんな最期に繋がるとして、自分はそれを絶対に恥に思わない。
 「扉、開きましたわね」
 隣にいたはずの彼女は既に消えていた。
 
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                  - 8 : : 2019/10/17(木) 22:28:27
- なんだがなぁ…
 
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