この作品は執筆を終了しています。
一つのシミュレーション仮説
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                  - 1 : : 2017/10/07(土) 16:32:52
- まじこさん主催の「Foundation tales_note tale」に出品する作品です。
 
 構想期間が短い上にSCPに関してはにわかの中のにわかなので色々拙い作品になるとは思いますがよろしくお願いします。
 
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                  - 2 : : 2017/10/07(土) 16:33:13
- これは小さくて寂しがり屋な少女の話。
 
 要約を推敲し省略したものを一言で表すなら――だが。
 
 
 
 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
 
 
 
 ある日、世話係に任命された。
 その世話の相手は、小さな少女。
 その少女との初顔合わせは、任命されたその日にすぐに行われた。
 
 少女が収容されている区画の入り口で、その少女の性質と世話をするに当たっての注意点を説明された。注意点は四つ。
 一つ、何があっても少女に自身の性質を理解させるな。
 一つ、絶対に少女に知識を与えるな。
 一つ、可能な限り少女に想像させるな。
 一つ、死にたくないのなら少女に嫌われるな。
 少女の性質を踏まえれば、自然と考え付く注意点だ。
 
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                  - 3 : : 2017/10/07(土) 21:18:26
 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
 ――対面の時が来た。
 少女は椅子に座っていた。
 外見の特徴を列挙する。
 8歳の少女、身長1メートル、体重20キログラム。髪は金で長さは肩くらい。
 小さな、小さな、普通の少女だ。
 「俺の名前は■■■だ。これからよろしく」
 まずは挨拶を。
 「kjs津gfい」
 「は?」
 意味不明な返答だった。
 どうやら言語が違うらしい。
 「……jkfbんvす」
 またしても意味不明。
 「……聞いてるの?」
 またしても――、いや。
 「ああ、聞いている」
 「良かった。久し振りに他の人に会えたから、話したかったの」
 「俺の言葉に合わせてくれたのか。博識だな」
 「ん? 何のこと?」
 「――何でもない」
 危うく早々に禁忌を踏むところだった。
 「あなたも座ったら? あっ、でも、この部屋には椅子が一つしか無かったんだ」
 少女がそんなことを言っていると、どこからともなく椅子が現れた。
 「あれ? 誰かが持って来てくれたのかな」
 「俺が用意したんだ」
 そんなわけが無いことは明白だが、少女はそれで納得した。
 
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                  - 4 : : 2017/10/09(月) 22:53:29
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 「――彼女は何でもできる」
 
 少女の性質説明の一の句である。
 
 「範囲には限りがあるが、できることに限りはない」
 
 「彼女は見ることさえできれば変えられる」
 
 「命を消すことも、創り出すことも可能だ」
 
 馬鹿げている。それが率直な感想だ。
 が、妄言と切り捨てれば痛い目を見ることになるのは自分である、というのも理解している。
 
 「何か質問は?」
 
 「変えられたことは認識できるのか?」
 
 「そんなの彼女のさじ加減さ」
 
 ――何せ、何でもできるのだからな。
 
 
 
 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
 
 
 
 それから一カ月間が経過。
 俺は少女と順調に仲良くなっていった。
 
 
 
 ――失敗。
 
 
 
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                  - 5 : : 2017/10/11(水) 22:26:59
 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
 今日で、少女の世話係に任命されてから丁度一カ月。これは即ち、期間の満了を意味する。
 少女の世話係は、次の者へと引き継がれることになる。
 何はともあれ、これで少女ともお別れ。
 一カ月共に過ごしてきた分、愛着のようなものが無いわけでもない。
 寂しさも幾分かはある。
 しかし、少女の世話係を継続したいとは思わなかった。
 漸く「解放」されるのだから。
 そして俺は、少女に任期の終了について話した。
 「――というわけだ。今日で、お別れだ」
 すると少女は、驚いて言った。
 「えっ!? どうして?」
 それから、不安を浮かべて尋ねた。
 「私のことが嫌いになったの?」
 
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                  - 6 : : 2017/10/20(金) 22:18:11
- 額に冷や汗が流れる。
 ――死にたくないのなら少女に嫌われるな。
 注意点の一つだ。
 今少女は、俺に対して疑念の目を向けている。
 返答を誤れば、その目は敵意に変わるかもしれない。
 そうなれば、どうなるか分からない。
 「嫌いになんてなっていない」
 「じゃあ、何でお別れしちゃうの」
 「さっき話しただろう。そういう決まりなんだ」
 「そんな決まり破っちゃえば良い」
 「そういうわけにはいかない」
 「何で?」
 「決まりとはそういうものだからだ」
 慎重に言葉を……。
 「嘘。本当は、私のことが嫌いなんだ。だから、簡単に決まりに従っちゃうんだ」
 「――違う」
 「違くない!」
 駄々をこねる少女の姿は、客観的に見ている者からすれば愛らしいものであったのだろう。
 だが、相対する俺にはそのような感情は一切湧いてこない。
 ――何としても、彼女を説得しなければ。
 「俺が決まりに従っているのは、そうしなければ罰せられるからだ」
 「……罰せられる?」
 「ああ」
 「そっか。それじゃあ仕方ないね」
 うまくいったか。
 「――それで、誰に罰せられるの?」
 「誰……? そうだなぁ、ここの科学者、いやこの国? いや……この世界?」
 「わかった」
 そう、失敗した。
 
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                  - 7 : : 2017/10/25(水) 22:22:06
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 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
 
 
 
 世界が減縮していく――。
 
 
 
 視界の端から、そこにあったものが次々と消失していく。
 消失した後にできるのは、完全な「無」だ。が、「無」はこの世界に「有」ってはいけない。
 矛盾を掻き消す為、世界は「無」を埋める為に「無」の周りの「有」を無理矢理近付けくっ付ける。結果、「無」の分だけ世界は縮む。
 
 近付いた分視界に現れた存在は、次の瞬間には「無」になる。
 そして世界はまた縮む。
 新たに視界に存在が現れて、
 また消えて、
 縮んで、
 出て、
 消えて、
 縮み、
 それを繰り返し、
 
 周りには何も無くなった。
 
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                  - 8 : : 2017/11/04(土) 00:25:26
 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
 ――見ることができなければ、変えられないのではなかったのか。
 頭を過ぎる疑問。当然。
 目の前の少女は、見える範囲どころか世界全てを変えて――消してしまったのだ。
 「小さな魔女」――こう呼ばれる所以となる力を用いて。
 とは言え厳密には、少女は視界に入る範囲しか消していない。
 ただ消し続けただけだ。
 失われた分、勝手に少女の視界に入り込んできた世界が、また消されただけだ。
 それを繰り返しただけだ。
 ――いや、そもそも「世界」は少女の視界に常に入っている。ということは――。
 それ以上考えるべきではない。今すべきは――。
 
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                  - 9 : : 2017/11/04(土) 18:11:30
 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
 「――元に戻してくれ」
 地に膝を突き、縋り付くような声で少女に嘆願する。
 すべきことはそれだけだ。できることはそれだけだ。
 「どうして? お外の人達がいるから、あなたは私とお別れしちゃうんでしょ?」
 少女にとって、その行為は共感しかねるものであったらしい。
 成る程、だから世界を消したのか。
 「それはそうかもしれない。だけど、君が消してしまった世界の中には無関係な人だっているんだ。いや、殆どは、ほぼ全部が、無関係だ。無関係な人を巻き込むことは、良くないことなんだ」
 「――知らないよ。だって、関係ないんでしょ」
 平然と、あっさりと、顔色変えずに少女は吐き捨てた。
 俺はどうやら、認識が甘かったらしい。少しでも愛着を抱いてしまったのが馬鹿らしい。
 少女は、
 目の前の少女は――、
 魔女なのだ。
 
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                  - 10 : : 2017/11/07(火) 00:09:02
 「全部、俺が悪いんだ」
 嘆願をバッサリと棄却された俺は、俯いてポツリと呟いた。
 「俺が失敗した。俺がやらかした。俺がヘマをした。俺が俺が俺が……」
 自責の念が押し寄せる。そうして行き着いた発想は――、
 「……全部悪い、訳ないだろぉ!」
 死ね。
 「ふぜけるな! 今すぐ元に戻せ! 我儘娘が! 魔女が!」
 死ね。
 「殺してやる! 俺はお前を! 殺す!」
 死ね……、俺。
 ――世界を消した魔女を、ただの人間の俺が殺せるわけがない。
 そんなことは、発狂寸前の頭でさえ認識できることだ。
 故に、これらの怨嗟の言葉の全ての意味は、文面とは異にある。
 俺を、殺せ。
 俺を……、
 でも、死ななかった。
 これだけ殺意を口にしても、罵声を浴びせても、目の前の少女は俺に殺意を向けてはくれなかった。
 よく考えれば当然か。こいつは、俺と一緒にいたいという理由だけで世界を消し去ったのだから。
 「……そんなこと、言わないでよ」
 俺が放った罵詈雑言に、少女は殺意を抱かずとも悲痛の感情は抱いていた。
 涙ながらにそう言われると、俺は何故だか少女のことを罵倒できなくなった。
 これもまた、魔女の力か。
 この魔女の前では、何もかもが無力なのだろう。
 俺の前にある選択肢は、少女と永遠に仲良くし続けることだけなのだろう。
 本当に、終わりだ。
 「――ごめん、▲▲▲」
 諦めた俺は、最後に妻に謝罪した。
 
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                  - 11 : : 2017/11/10(金) 22:28:33
 「――泣いてるの?」
 眦から涙が零れだしていることに気付いたのは、その声を聞いた時だった。
 「そんなに、辛いの?」
 「そんなに、哀しいの?」
 「そんなに、嫌なの?」
 「そんなに……、愛しているの?」
 投げ掛けられた四つもの質問に、俺は一言で答えた。
 「ああ」
 それを聞いた少女は頷き――、
 「わかった」
 次の瞬間、世界が拡張していった。
 
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                  - 12 : : 2017/11/10(金) 22:42:20
 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
 この事件の後、小さな魔女は医療的手段で誘発した昏睡状態に置くことになった。
 そして俺は、晴れて自由の身となる。
 「――ただいま」
 妻の元へと帰り、抱擁と口づけを交わす。
 一体、何年ぶりだろうか。
 魔女の戻した世界は、それから至って正常で、平凡で、通常であった。
 少女は、完璧に元の世界を創り上げたのだ。
 ――創り上げた?
 違う戻しただけだ。
 いや、待てよ。
 逆だったなら?
 途端、俺は言葉にできない恐怖に襲われた。
 ある可能性に気付いてしまったからだ。
 元あった世界を魔女が消し、それを元通りにしたのではなく。
 元々なかった世界を魔女が創り上げ、それを元通りなかった状態に戻し、また復元しただけ。
 根拠のない考えだが、魔女の力を顧みれば十分に考えられる可能性だ。
 理論上だけで言えば、五分五分――。
 もし、その考えが合っているとしたらこの世界の全ては――、
 寂しやがりやな少女の賑やかしでしかない存在だということに――
 ―完―
 
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                  - 13 : : 2017/11/10(金) 22:43:26
- 【あとがき】
 期限守れずごめんなさい。
 それと、明日(11/11)は秋田名物・きりたんぽの日です。
 
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                  - 14 : : 2017/11/11(土) 20:14:29
 ゾクッとする素晴らしい作品でした
 今あるこの世界は、小さな魔女が気まぐれに作り出したものかもしれない
 私たちが常識として持っている認識をひっくり返されそうになるあたり、いかにもSCPを読んでいるというような醍醐味を味わうことができました
 素晴らしい作品でした
 本当にありがとうございましたm(_ _)m
 
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                  - 15 : : 2017/11/12(日) 21:21:45
- >>14
 感想ありがとうございます。とても嬉しいです!
 高校の現代文の授業でシミュレーション仮説という用語を学んだ時衝撃を受けて以来、この考え方に興味を持っていたのでそれを活かすことができて良かったです。慣れない題材での執筆となりましたが貴重な体験ができました。重ねてありがとうございました!
 
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                  - 16 : : 2020/10/03(土) 08:58:44
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険 
 http://www.ssnote.net/archives/80410
 恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
 http://www.ssnote.net/archives/86931
 害悪ユーザーカグラ
 http://www.ssnote.net/archives/78041
 害悪ユーザースルメ わたあめ
 http://www.ssnote.net/archives/78042
 害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
 http://www.ssnote.net/archives/80906
 害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
 http://www.ssnote.net/archives/81672
 害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
 http://www.ssnote.net/archives/81774
 害悪ユーザー筋力
 http://www.ssnote.net/archives/84057
 害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
 http://www.ssnote.net/archives/85091
 害悪ユーザー空山
 http://www.ssnote.net/archives/81038
 【キャロル様教団】
 http://www.ssnote.net/archives/86972
 何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
 コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
 http://www.ssnote.net/archives/86986
 
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                  - 17 : : 2020/10/26(月) 14:56:00
- http://www.ssnote.net/users/homo 
 ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️
 http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
 ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
 ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️
 ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
 ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
 10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
 みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
 今回は誠にすみませんでした。
 13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
 >>12
 みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
 現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました
 私自身の謝罪を忘れていました。すいません
 改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
 今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
 あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
 SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
 本当に今回はすみませんでした。
 ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️
 http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi
 ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
 56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
 ごめんなさい。
 58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
 ずっとここ見てました。
 怖くて怖くてたまらないんです。
 61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
 今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
 お願いです、やめてください。
 65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
 元はといえば私の責任なんです。
 お願いです、許してください
 67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
 アカウントは消します。サブ垢もです。
 もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
 どうかお許しください…
 68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
 これは嘘じゃないです。
 本当にお願いします…
 79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
 ホントにやめてください…お願いします…
 85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
 それに関しては本当に申し訳ありません。
 若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
 お願いですから今回だけはお慈悲をください
 89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
 もう二度としませんから…
 お願いです、許してください…
 5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
 ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
 本当に申し訳ございませんでした。
 元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
 私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
 今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。
 
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