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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

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砂ダルマ

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  1. 1 : : 2017/08/23(水) 23:56:08
    夏花杯ssです
  2. 2 : : 2017/08/23(水) 23:56:35



    死んだ身体は何も抵抗しない


    抵抗できない


    血を取りやすい


    砂に垂らし、色が少し変わる


    鉄臭い


    思えば部屋中がそんな臭いだらけだ


    いつからだろう


    いつからなんだろう



    流れる血を見ても


    砕けた骨を見ても


    飛び出る内臓を見ても



    人が死んでも


    それを殺したのが自分でも



    何も、感じなくなったのは




    何も、感じれなくなったのは











  3. 3 : : 2017/08/23(水) 23:57:05












    「……は?殺人鬼?」


    「うん、殺人鬼。」


    「それが?」


    「気をつけた方がいいよって。ほら、紙。

    被害者がもう何人も出てるし、最近の失踪者が多発してるって事件さ、同じ人が犯人だって噂されるんだって。」


    そう言って紙を渡される。


    紙に書かれた内容は、さっき聞いた殺人事件の話。


    ホームルームに遅刻した俺は知らなかった話だ。放課後になった今渡されても…とは思うが。


    それでも、まぁ……


    どうせ、関係ない話だ。


    学校はいつもそういう風に気をつけろと言って注意の紙を送るだけだ。


    結局、そんなものに遭遇する筈もない。


    簡単な注意だけなのも、気持ちは分かる。俺も実際、それでいいと思う。



    「ふ〜ん……まぁ…気をつけるよ。」


    「……本当に気をつけなよ?運が悪かったら殺人鬼に目つけられちゃうかも。」


    「それはお前が心配しすぎなだけだろ。

    こんな紙配られて、実際会ったやつの話なんて聞いたことない。

    つまりは、それくらい少ない可能性なんだろ。」


    「うー…でも……」


    「はいはい、とりあえず俺は気をつけるから。お前も気をつけて帰れよ〜」


    彼女を適当にあしらって、教室を後にする。





  4. 4 : : 2017/08/23(水) 23:57:45







    行き帰りに通っている海岸沿いの道。


    人通りも多いし、とてもこんな場所で殺人が起きるとは思えない。


    そもそも、こんな場所で人を殺す人間がこうも捕まっていないはずがない。


    この道を抜ければすぐに家に帰る道の俺には、殺人なんて無縁の話だろう。


    ……それにしても、殺人鬼ねぇ…。


    よくわからないことをするやつもいるもんだな。


    人を殺すことの何にそんな生き甲斐を感じてるのか。


    もっと楽しいことだってあるだろうに。



    そう考えていると、砂浜にいつもはない、見慣れないものを見る。


    この砂浜に一本だけある少し大きめな木…

    木陰で、一人の人間がしゃがんでいる。


    …女か?



    いつもなら、例え見慣れないものがあってもそれを視認するだけですぐ帰るのだが。

    今回は、少し特別だった。


    だって、あそこには…!


    「あれ?こんにちは。

    どうしましたか?そんなに焦ったようにして。」


    『普通』に通るなら死と無縁のこの道。


    その中で、俺の通学する道で…最も殺人に近しいもの…

    『砂ダルマ』があるから……


    「あぁ、いえ……

    その、砂ダルマ……」


    「あぁ、これがどうかしましたか?」


    「触って…るんですか……?」


    周りより少し赤い砂で作られた、ダルマ。

    少し赤いこと以外は、特に何があるわけでもない、何の変哲も無いダルマなんだ。


    ただ、一つ。恐ろしいことが。


    このダルマを壊した人間は、確実に死ぬ。


    死ぬのかはわからないが、謎の失踪を遂げることになる。


    …恐らく、失踪した人間はもうこの世に……


    そして、壊された砂ダルマは数日経つと誰かに直されてて、一つ増えてるらしい。


    ……とまぁ、そんな恐ろしい話がある故に、ここに近づくことはなかったのだが。


    こんな形でここに近づくことになるとは。


    「はい、そうですよ。」


    「…この砂ダルマの噂、知らないんですか…!?」


    「噂…?これ、そんな噂されてたんですか?」


    「この辺で知らない人なんていないですよ!いいから早くダルマから離れてください!

    壊さないうちに!」


    そう言って、彼女の手を引く


    「あっ。」


    「本当に、知らないんですか?」


    「えぇ…いや、だって…

    この砂ダルマを作ったの、私ですし……」


    「…!?」


    そんな話、あったか。

    この砂ダルマを作ってた人…?

    完全に人気がない時に作ってるんじゃなかったのか…?


    「あの、これ作ってる時間って……」


    「……恐らく。影が薄いから、じゃないですかね。

    いつもこれくらいの時間に来ているので…気づかれてなかったの、ですね。


    …でも、あなたは…気づいてくれた。」


    そう言って、彼女は頰を染める


    あ、可愛い……


    「……可愛いでしょう?この、砂ダルマ……

    壊されると、悲しいんですけど……。」


    「そう、ですね……。とても、可愛いです。」


    「……はい。」

    彼女は嬉しそうに笑みを見せる


    やはり、可愛い……


    「…ふふ、よければ、あなたも………」



    「おーーーい!!!」


    …!この声………


    「すいません、友人が来たみたいです。

    また、機会があれば。」


    少しだけゆっくり、友達の方へ向かう。

    あーあ。折角いい雰囲気だったのに……


    ……きっと、一目惚れだろうな………




  5. 5 : : 2017/08/23(水) 23:58:11








    砂ダルマを作り終わり、女は立ち上がる。



    少し満足そうな顔をした女は、そのあとすぐに、少し残念そうな顔に変わった。


    そして女は、こう言い放つ。



    「あなたも、このダルマにしてあげたかったのに……。」











  6. 6 : : 2017/08/23(水) 23:58:47









    「はぁ〜……疲れた………」



    あの後友人にいろいろ連れ回されて、かなり疲れた。


    殺人鬼が出るからすぐ帰れって言われた日にカラオケやゲーセンに連れて行くな。



    もう、すっかり夜だ。




    ……ようやく一人になって、頭に浮かぶのはやはり…あの、女性のこと。


    綺麗だった。


    それに、寂しそうだった。


    いつも独りのような……


    なんというか、独特な雰囲気があった。


    普通じゃない何かが。


    そういう雰囲気を持った女性は…好きだ。


    そんな彼女に俺は惹かれてるんだろう。



    …ちょっと脈アリそうだし、期待してもいいかな……

    何歳差くらいなんだろう…


    みたいなことを考えていると……



    「あ…の、こんばんは。また、会いましたね。」



    少し嬉しそうな、それでいて頰を赤らめた…あの女性。



    「こん…ばんは……。偶然どころか、奇跡みたいですね………」


    「…えぇ……」


    「……少し、変えますか?場所……」


    「はい、話したい、です…。もし、よろしければ。」



    そんな会話をして、近くの公園に向かう。


    俺がベンチに座ると、すぐ隣に座ってくれる。


    それに俺が照れてると、彼女も恥ずかしかったのか、少し距離を離す。


    それから、話した。

    お互いのこと。

    いろんなことを。

    もう警察が来たら補導される時間なのに。


    いろいろ話した結果分かったこと。

    彼女、大学生らしい。大学1年。

    一つしか変わらなくて、正直安心した。

    俺の家を話したら、結構近くで一人暮らししているのだとか。

    話もそれなりに合って、俺の方は敬語が抜けて来た。

    彼女は敬語をつけて喋るのが普通らしいから、まだ敬語のままだが。」


    「あの。」


    「ん?なに?」


    「………」


    まただ。

    顔を赤らめる彼女は、本当に可愛い。

    元から綺麗な感じではあるのだが、完全なクールってわけでもなく、こんな風に見せる可愛いところは……好きだ。


    「……大変、言いにくいことですし、迷惑なことなのですが……」


    「いいって、言いなよ。何言われてもあんまり気にしないぞ、俺。」


    「…では。


    ……その、今日、初めて会った私とあなたなわけですが……」


    「うん?」


    「あなたのこと、その…えっと……す、すき………」


    「ボソボソ言ってたら聞こえないぞ。」


    「な、なんでもありません。すみませんでした。」



    今好きって言った

    好きって言った


    俺が?

    俺のこと?


    うっわ、好きだ

    このまま抱き寄せようとも思ったが、勘違いなら俺が気持ち悪いだけなのでやめておく。


    「えっと…あの……今日、いつも見つけられない私を見つけてくれて、心配もしてくれて、嬉しかったです……それでは……!」


    「あっ、おい…!」


    その言葉を置いて、彼女は去って行った。



    脈アリだ。


    帰ってる俺は、とても嬉しそうな顔をしてたんだろうな。


    あぁ、もう日が完全に落ちてる。


    ……脳裏にチラつく記憶。




    …殺人鬼……


    「この時間になると、なんだか、ちょっと怖いもんだなぁ。」


    それでも結局、俺は何事もなく家に帰り、帰るのが遅いと怒られた後に飯食って風呂に入って寝た。







  7. 7 : : 2017/08/23(水) 23:59:25








    学校。


    「おーい、あれ、なんだよお前。嬉しそうにしやがって。」


    「ん?あぁ、別にいいだろ。

    俺だって嬉しいことくらいあるさ。」


    まぁ、あそこまで嬉しいことがあれば誰だってこんな気分になれるだろう。

    ならない方が変だ。




    その後、学校では特に何もなかった。

    あぁ、最近連続して起きていた失踪と殺人、昨日も起きてたらしい。


    今回は失踪の方らしいが。



    放課後になると、俺はすぐにあの砂浜に向かう。

    いるかもわからない人を目当てにして。




    ……今日は、いないみたいだ。


    まぁ、少し忙しそうだったし、そんな毎日いるわけがないか。



    ……なんとなく、あの大きめの木の下へと向かう。


    理由はない、が。


    敢えて言うのなら、彼女を感じるからだろうか。


    そして、何を思ったか……

    俺は彼女の少し赤い砂ダルマがたくさん並べられた中に、普通の砂で砂ダルマを作り、置く。


    「………気持ち悪がられたりしないよな……」


    誰かに見られるのも恥ずかしいので、そそくさとその場から離れる。



    ストーカー染みてて嫌になるが、彼女の家に行ってみる。


    見た感じとしては、豪邸だった。


    一人暮らしにしては、大きすぎる。


    相当金持ちの家の娘さんなんだろう。


    そういえば、あの有名な大学なんだったな…


    見た目も、学も、財産や権威も負けてるとなると、男として誇れるところがないなぁ……


    ……少し、暗くなって来たな。


    そろそろ、帰るか………


    いろんなことを考えながら、ゆっくりとした足取りで家に帰る。


    帰っていると、道の端にある茂みに、とあるものを見つける。


    手紙…….?

    人のものを勝手に見るのは悪いが、届けれるなら届けてあげたい。

    一応、見ておくか。


    ……いや、これ、手紙じゃないな。


    中身がない。

    そう思い、辺りを見渡すと……


    あった。

    恐らく中身と思われる紙が、道に外れた木々に囲まれた中にある。


    すぐ取りに行って、宛先や送り主が書かれていないか確認するが……


    なんだ、これ。


    綺麗な字だ。女性の字だろう。


    ただの3文字……「欲しい」、とだけ書かれてある。


    そして、もう一つ気づく。




    自分の視界が揺らいでいることに。


    後頭部に激痛が走ったことに。




    視界が暗転する









  8. 8 : : 2017/08/23(水) 23:59:48










    ここ、は………?




    嗅いだことのある臭い……決していい臭いではない……



    これは……血…?

    …血……?



    血…!?


    脳が一気に覚醒する。


    綺麗なベッドで寝ていたみたいだが、明らかにここは俺の知る場所ではない。


    床には所々血と思われる赤黒いものがある


    鉄臭い。


    早く、ここから逃げないと。


    この状況から察せられる言葉……



    『殺人鬼』だ。


    正気を失いそうだが、そうもしてられない。



    俺はゆっくり、音を立てないように動いて、出口を探し始めた。


    広いな。

    窓は板で塞がれているが、間から見るに、ここは恐らく森の中だ。


    ここで、床が軋む、ギシッという音が鳴る


    確実に、俺の鳴らした音じゃない。


    その音の正体は、すぐに目の前に現れた。


    「あ、あんたが殺人鬼か…!?」


    男だ。

    オドオドとしているのと、発言を聞く限り…こいつは俺と同じ、捕まった側の人間だな。


    「しーっ、静かにしろ。声を出しすぎると殺人鬼に見つかる。」


    「な、なんだよ。お前は殺人鬼じゃないのか……よかっ」


    そこで彼の声が途切れる

    同時に、生暖かい何かが俺に飛んでくる


    また、鉄臭くなった。


    俺は急いで距離を取りながら振り帰るが、遅かった。

    腕を掴まれ、すごい力でねじ伏せられる


    失禁しそうだ

    死ぬ

    殺される


    嫌だ

    あの子と会いたい

    死にたくない


    嫌だ

    嫌だ

    嫌だ


    ……………いつまで経っても、殺されない。


    「……こんなところで、会いたくなかったですかぁ…?」


    聞き覚えのある声…

    だが、喋り方の癖というか……

    何かが違う。


    いつもとは違い、いやらしいと言うか……

    色気のある、声……?



    「なんで……君がここに……!?」


    「さぁ、なんででしょう?

    いえ、言いましょうかぁ…?

    あなたに、生きてるあなたと少し話しておきたかったから……

    ふふ、これは殺さなかった理由にしかなりませんねぇ……」


    そういい、手を俺の顔に回して……


    彼女は、俺にキスをした


    「……っ!!」


    なんでだろうか。

    俺には分かった。あまり違和感を感じない理由は…これが、この子の素だからだと。


    それに付け加え、頭が悪いのかもしれない。

    キスされたことが、嬉しい。


    好きだと言う気持ちが、全く揺らいでないばかりか、余計好きになっている。


    「嫌でしたかぁ…?


    私はこれがしたかった……もっといろんなこともしませんか…?

    まぁ、その後、砂ダルマになってもらうんですが……」

    「今、なんて言った…?」


    「砂ダルマにするんですよ。私は殺した人を。

    まぁ、あなたを殺すのはちょっと嫌ですが……


    そうしないと、逃げちゃうから……♡」


    この異常な愛に、俺の身体が喜んでいる。


    だが、俺の脳はまだ生きたいと言っていた。


    彼女は、もう一度俺にキスをしてくる。


    ……なんとか、するしかない……。


    「……ん……ぁ………」

    キスの音が響く。

    激しいキスを。

    きっと初めてなんだろう、慣れてない感じがするし、力が抜けていっている。

    そのままキスを続けると、抜け出すことができた。


    「なんで?

    逃げなくてもいいじゃないですか!

    こんなに好きなんですから…!」


    「俺も好きだよ!

    好きだけど、こんな愛間違ってる!!

    俺はちゃんと君と愛し合いたいよ!!!」


    いまさらだが、言っちゃったなぁ…とは思った。

    噂の殺人鬼が自分の好きな女性だったのは全く気にならず、バカな俺は、そんな場所で告白した。


    その言葉を聞いて嬉しかったのか、彼女は長い硬直をしていた


    その間に俺は鍵の閉まっていたドアをぶち破って脱出した。


    近くにこんな場所があったなんてな…。


    俺はすぐに逃げ帰った後、酷だとは思ったが…

    警察に通報した。


    彼女は恐らく、善悪の判断が付いていない。


    きっと彼女は死刑にはならないはずだ。


    精神病院か何かに行って、きっと………。






    後日。



    彼女は捕まった。数年間刑務所生活らしいが、出れるようになったら出してもらえるらしい。


    通報した俺を恨んでいるだろうか。


    ……それでも俺は、好きでいてほしいと思っていた。



    そういえば、何故だかはわからないが、逃げた後に気づいた傷跡。血がかなり流れていたみたいだ。




    それに、何故か……彼女はすぐに捕まったはずなのに、俺の作った砂ダルマの隣に、一つ。




    砂ダルマが、増えていた。










  9. 9 : : 2017/08/24(木) 00:17:47



    終わりです。


    またもや遅刻寸前。


    クソssを垂れ流すのはそろそろやめにしたいところ。


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著者情報
majiko_roxas

まじこ

@majiko_roxas

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