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肝試し エレン、アルミン編

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  1. 1 : : 2017/08/03(木) 10:25:50
    どうも!バーチンです!今回は『もし訓練兵が肝試しをしたら』という設定で話を進めていきます。
    では皆さん、よろしくお願いします!m(_ _)m
  2. 2 : : 2017/08/03(木) 10:39:58
    「ねぇ、エレン……今ならまだ帰れるよ?」


    「うるせぇ! 今更引けるかってんだ!」


    そう言いながら、ズカズカと奥に進んでいくのは
    エレン・イェーガー、第104期訓練兵だ。
    隣の心配そうに彼を追いかける金髪の男の子も同じ訓練兵だった。

    ここは薄暗い無人の館。
    数年前にここで一家心中が起こったという話もあれば、強盗により家族全員が惨殺されたという話もある。

    そこに何故、この若い少年ふたりが入り込んでいるのかと言うと、話は数日前に遡る。
  3. 3 : : 2017/08/03(木) 13:48:21
    ~数日前~


    「やめろよ!服が破けちゃうだろうが!!」


    「うるせぇ!服なんてどうでもいいだろ!?いつも見せつけやがって!今日はミカサもいねぇから存分にやりあえるぜ!」


    これはいつもの光景だ、エレンがミカサの話をしてるとジャンが突っかかってくる。最終的には、教官の介入かミカサにより、止められている。


    だが……今日はいつもと違い、誰も止めない。

    それもそのはず、ミカサが熱を出して訓練を休んでいるからだ。エレンはミカサ、アニを抜けば訓練兵ではトップとも言われるほど対人格闘が強い。

    それを止めるのは無理だ、エレンに続く実力者のライナーも何故か今日は酒をたらふくのみ酔いつぶれていたのだ。


    ーなぁ?そろそろ誰か止めた方がいいんじゃないか?


    ーあぁ、俺もそう思う……けど誰が止めるんだよ?


    ーエレンの次に強いライナーはこのざまだし、エレンよりも強いアニは飯食ってさっさと出て言っちまったし……


    ー最近はジャンも対人格闘に熱心に取り組み始めてるしな……そうそう止められねぇよ


    ーまぁ、それに教官ももうじき来るだろ、俺一回言ってみたかったんだよね『サシャが放屁した音です』ってな!


    ーあはは、あん時ミカサが真顔で言ったもんだから俺は飲んでたスープ吹き出すところだったぜ!


    しかし、この訓練兵の願いも虚しく教官よりも先にジャンが投げ飛ばされた。


    「くそっ……いってぇな!死に急ぎ野郎!!」


    「うるせぇ!痛いのが嫌なら喧嘩ふっかけてくんじゃねぇよ!」


    「へん!お前なんかどうせ、『殺人屋敷』に行く勇気もねぇくせによぉ!」


    いつもと違い、ジャンは口達者にエレンを貶めようとしている……ミカサがいればジャンもこんなことは考えない。

    ジャンのあからさまな挑発に周りの訓練兵は呆れていたが……


    「なんだと……?」


    エレンはやはり単純であった。


    「へっ!お前なんかミカサがいねぇとお化け屋敷にも行けねぇ、びびり野郎だろうが!」


    「は、はぁ!?行けるし!俺は無茶苦茶肝試しが好きなんだが!?」


    「はっ!どうだか!」


    「うるせぇよ!行けるっつってんだろ!」


    「じゃあ行ってこいよ!そしたらお前にもうちょっかい出さねぇでいてやるよ!」


    「言ったな!その言葉忘れんじゃねぇぞ!」


    ~回想終了~
  4. 4 : : 2017/08/03(木) 15:32:49
    「なぁアルミン……一つ気になってることがあるんだが、聞いてもいいか?」


    まぁそりゃ彼にしちゃ当然の疑問だろう


    「なんでここにアルミンがいるんだ?」


    「え……とまぁ、僕は昔っから肝試しが好きだったんだよ」

    「やっぱり、肝試しの名所『殺人屋敷』に前々から行ってみたかったんだよね!」

    「でもさ、一人で行くのはやっぱり怖くてさ?エレンと一緒なら安心かなって」


    「あ、あぁなんだそんな事かよ!任せろ!俺がいるからな!」


    そう言う彼の足が微かに震えるているのに突っ込まないのはアルミンの優しさだろう。

    勿論、アルミンは肝試しなんかには行きたくない。
    怖いものが好きだというのは本当だが、肝試しなんて危険も伴うことなんて彼はやりたくなかった。

    けど、だからこそエレンと一緒についてきた……
    エレンは昔から、お化けやその手の話が大の苦手なのだ。一人で行けば、パニックに陥り怪我をするのは目に見えてる。

    エレンが一人で怪我をしてしまうのは別に構わない、彼が選んだことだから、でもアルミンはそれ以上に危惧していることがあった。
  5. 5 : : 2017/08/03(木) 17:01:59
    それは……『ミカサの報復』だ。


    おそらくミカサはエレンが怪我をすればそれを全力で心配し元凶を確実に排除しようとするだろう。
    その元凶はジャンなのだ。何も知らないとはいえ、エレンを唆した事はミカサにとって重大な問題、おそらくジャンを始末するだろう。

    暴力ではない、エレンが受けた恐怖をその体に味あわせるのだ……それも数倍の恐怖を。


    アルミンは昔、エレンをボコボコにした少年のことを思い出した……その少年がエレンをボコボコにしてから数日後、シガンシナでは彼の家族は見かけなくっなった。

    だがミカサが彼の家族を全員殺害した訳では無いだろう。ミカサはそれほどまでに残忍な性格ではない。

    だが、シガンシナからその一家がたった一日で引越しを決行するほどの恐怖を彼は味わったのだろう。

    アルミンだってエレンが殴られれば腹も立つし、やり返すことだってある……だが、ミカサのように彼を恐怖のそこに叩き落とすことは一生できないであろう。

    きっと『ミカサの報復』を受けてしまったら……ジャンはその日に姿を消すだろう……憲兵になるという目的を捨ててまで。

    そんなことはミカサにもジャンにもして欲しくない。

    だから付いてきたのだ、エレンに無茶をさせないために。
  6. 6 : : 2017/08/03(木) 18:59:03
    「にしても……本当にここで何が起こったんだな」


    「……うん」


    エレンがここで何かが起こったのに気づいたのは壁に飛び散った真っ赤な血の跡、床に放り出された血塗れくのナイフを見たからだ。


    「(あれ……?)」


    「どうしたんだ?アルミン、早く先に進もうぜ?」


    「あ、あぁうんわかった」


    アルミンは床に転がっている血塗れのナイフに違和感を感じながらも、エレンの後について行った。



    その先にもアルミンに違和感を覚えさせるものが色々あった。

    串刺しにされたくまの人形、真っ赤な血溜まり、終いにはリビングと思われる場所におそらく血で書かれた恨み辛みの言葉……アルミンの最初に感じた違和感は間違いではなかった。


    うわぁぁぁぁぁぁ!!!!?
  7. 7 : : 2017/08/03(木) 21:41:38
    「エレン!?どうしたの!」


    エレンの悲鳴が聞こえ、隣の部屋に向かうと……


    そこには、今殺されたのではないかと思われる、ナイフが十本ほど刺さった、死体がいる。


    「あ、あ、あ、アルミン!?ど、どうなってんだよ!ここ!」


    少しキレ気味ではあるが確かに怯えてる彼はアルミンに尋ねた。


    「さぁね……一応、脈でもとってみる?」


    アルミンはまるで熟練の憲兵ほどに落ち着いていた。


    「アルミン?なんでそんなに落ち着いれいられるんだよ!人が死んでんだぞ!」


    彼は忘れていた、過去にミカサと二人で三人組の強盗を殺害したことなど。

    だが、それでもアルミンは動じない。


    「じゃあ、僕が脈をとるね」


    「き、気をつけろよ!?」


    「…………凄いね、本当に死んでるみたいだよ」


    「し……死んでるみたいだって!?だってそれ本物の死体じゃねぇか!」


    アルミンには、全てわかってしまったのだろう。

    数々の違和感の正体と今この屋敷に何が起こってるかなど。


    「ねぇ、起きてよ……死体さん?」


    アルミンは死体に話しかける……がもちろん返事はない。


    「はぁ……今更隠したって無駄なのにね」


    「本当に死体なら指の爪と肉の間に針を指しても大丈夫だよね?」


    「おい!アルミン!死体にそんなことしちゃダメだろうが!?」


    自分が死んだ人間にナイフを滅多刺しにしたことを彼は忘れているんだろう……恐怖というものは怖い。


    「いいじゃいか、ここにいるのはエレンと僕……」


    「じゃあ、いくよ」


    アルミンが死体の手を取り、針が丁度指の先に触れた途端!


    「わかった!やめてくれ!聞いてるだけでも恐ろしい!!」


    「………へ?」
  8. 8 : : 2017/08/03(木) 22:44:22
    エレンは何が起きているのかわからないという顔をしている、無理もない、ナイフが十本ほど刺さり血まみれの死体がいきなり声を発したのだ。


    「取り敢えず、エレン……倒して?」


    「え……?あ、あぁ!わかった」


    ただの人間とわかれば容赦はない、彼の拳は男の顎にもろに入り、気絶した。


    「なぁ、アルミン……どういう事だ?説明してくれよ」



    「エレン……この屋敷に入って違和感を感じなかったかい?」


    「……いや、ちっとも?」


    彼は首をかしげた。


    「まぁ、エレンが気づくわけないよね」


    「な!?失礼だぞ!アルミン」


    「まぁ、早い話……ここは呪われた屋敷なんかでもなんでもない、ただのこそ泥の住処だ」


    そう言ってアルミは隣で白目を剥きながら倒れてる、男を指さした。


    「いいかい?ここがもし、一家心中の現場や強盗により惨殺が行われた恐怖の屋敷だとしても、今更こんな真っ赤な血や血溜まりなんてあるわけないんだよ」


    それでもアルミンが何を言いたいのかわからないのか、エレンは先程よりも深く首を傾げる。


    「はぁ……いい?血液って言うのは体内から出てしまうと数十分で参加されて茶色になってしまうんだよ」


    「なのに三年前の血がこんなに真っ赤に残るわけないじゃないか……ましてや血溜まりなんて残ってるわけがない」


    「……あ、確かに」


    やっとアルミンの言っている事が理解出来たのか、エレンは納得したように呟いた。


    「それにね、血塗れのナイフなんて憲兵が捜査する時に回収したに決まってるだろ?ならあとは簡単だ」


    「何者かが、誰も奥に踏み込ませないように作った、偽りの殺人現場なんだよ」


    「で、でもよ……そいつ脈が止まってたんだよな?」


    確かにアルミンが触った時は脈は止まっていた……まぁ、確認したのは腕だけだったが。


    「そんなの簡単だよ、脇になにか詰めればいい布でもなんでも……そしたら腕の血流が止まるからね
    見事なしたいの出来上がりだ」


    エレンは改めてアルミンの凄さに感激したのか、「すげぇ……」とだけ呟いた。


    「それに匂いも変だったしね、こんなに血だらけの割には全く生臭さがない」


    「へっ……そんなしょうもねぇことに気づいたからなんだってんだ」


    この男……仮にも自分で作った仕掛けをしょうもない呼ばわりとは。


    「にしても、なんでこそ泥だなんてわかったんだよ?」


    「あぁ……それはさ」


    「こんな人気の無い館に、わざわざ殺人現場を作り、来る人を追い返してたんだから……何かしら高価なものを隠してる証拠だよね……泥棒だと思ったのは……基本的に人目につかない生活をしてたようだからね、あきらかにカタギでは無いよね?」


    「そういや……そうだな」


    「じゃあ、このこそ泥……どうする?」


    「まあ、憲兵に引き渡すしかないよ……」


    「あぁ、そうするか」


    こうして彼らの肝試しは幕を閉じた……幸いエレンも怪我せず無事帰ってきたわけだが、帰った時に二人共ミカサにこっぴどく叱られたのは……また、別のお話。
  9. 9 : : 2017/08/03(木) 22:45:40
    これにて終了です。
    書き上がったら、ライナー、ベルトルト編ジャン、マルコ編も書こうと思います。よろしければそちらもよろしくお願いしますm(_ _)m
  10. 10 : : 2017/08/04(金) 16:06:05
    乙、面白かった。
    ライナー、ベルトルト編も期待。
  11. 11 : : 2017/08/04(金) 17:06:41
    >>10ありがとうございますm(_ _)m
    書き上がり次第、投稿していきます。
  12. 12 : : 2017/08/07(月) 19:20:59
    大変自分勝手な意見ですが104期女子版を書いて下さい。
    バーチンさんが嫌だったら別にこのコメントを消してもらってもけっこうです。
    もし、気が向いたらで良いのでお願いします。
    自分勝手な意見で本当にすいません。
    これからも、良い作品が書けるように応援しています。
  13. 13 : : 2017/08/07(月) 19:27:30
    >>12わかりました、私でよければ書いてみようと思います。
    いえいえ、貴重なご意見ありがとうございます!
    m(_ _)m
  14. 14 : : 2017/08/07(月) 23:19:47
    続きは書き終わったら投稿致しますm(_ _)m

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Birchin1357

バーチン

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