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苗木誠と希望の学園 〜かいていんいんず?〜

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  1. 1 : : 2017/07/01(土) 13:40:30
    チームコトダ祭り用ssです!
    参加チームとメンバー一覧↓

    『奴隷と愉快な仲間たち』

    Deさん (チームリーダー)
    あげぴよさん
    カラミティさん
    シャガルT督さん
    影さん

    『皆殺し』

    タオさん (チームリーダー)
    ノエルさん
    ししゃもんさん
    ライネルさん
    スカイさん

    『真山田組〜追放される空〜』

    ベータさん (チームリーダー)
    風邪は不治の病さん
    Ut4m4r0さん
    たけのこまんじゅうさん
    フレンさん


    フレンは真山田組の先鋒となります!
    ジャンルは『コメディ』 キーワードは『因果応報』ということで、次から始まります!
    よろしくお願いいたします!
  2. 2 : : 2017/07/01(土) 13:55:21
    【希望ヶ峰学園 廊下】


    第78期生が希望ヶ峰学園に入学してすぐのこと。

    ドンッ

    十神白夜と大和田紋土がすれ違いざまにぶつかった。

    大和田「っと、ワリィ」

    十神「どこに目を付けている、単細胞コーンヘッドが」

    大和田「ああ!? 誰が単数コングラチュレーションだ!」

    十神「俺がいつ褒めた。やはり頭が足りないようだな?」

    大和田「オレ程度の頭じゃ1つだと足りねえってか!? 七つの頭で頭突きするぞコラ!」

    十神「逆にすごい発想だが、お前との会話は時間の無駄のようだ」

    十神は大和田を無視して去ろうとするが……

    大和田「おい、待てよテメー! メガネ!」

    歩き出した十神の肩を大和田が捕まえた。

    十神「愚民が、気安く触るな……!」

    大和田「あんまり舐めたマネしてっと……!」

    苗木「ちょ、ちょっと待って! 喧嘩はだめだよ!」

    廊下の奥から苗木誠が現れ、急いで二人の喧嘩を止めようとした。

    大和田「オメーは確か……さっき教室にいた……」

    苗木「苗木誠だよ。ええっと、大和田クンと十神クン……だよね? 同じ78期生の……」

    十神「お前のような影の薄いモブの顔など記憶に無い」

    大和田「記憶力わりぃなオメー。さては学校のテストの点数悪かったな?」

    十神「お前ら愚民とは違って当然満点だ」

    大和田「3点か。たしかに俺らとは別次元だわ」

    十神「なんだ、貴様のIQの話か?」

    苗木「え、えっとさ!」

    すぐにでも殴りかかろうとした大和田を無理矢理止める為に、苗木はすぐに話し始めた。

    苗木「さっき顔合わせして君たち早々にいなくなっちゃったけど……これからクラス全員で集合写真撮るっていうからさ、また教室に来てくれるかな?」

    大和田「ああ……しゃーねーな」

    十神「断る。仲良しごっこは貴様らだけでやっていろ」

    大和田「いいのか? 集合写真で欠席枠として一人だけ右上に顔が載るぞ? 一人だけ目立つぞ?」

    苗木「さらに変顔したらヤバイよ? みんな真顔で集合してる中、枠外で一人だけ顔面崩壊だよ? 腹筋崩壊するよ? 十神白夜するよ?」

    十神「誰が変顔などするか! そして俺の名を勝手に動詞にするな!」

    苗木「でも作ろうと思えば、普通の顔写真を変形させて加工してそれなりに出来るんだよね」

    大和田「そうだな、十神が写る気ないのなら、その辺の写真を加工して厚化粧と落書きして拡大して写真に十神しか写らないようにするしかねえな。それで良いか?」

    十神「悪い! そんなおぞましいもの生産されたら十神家の恥だ!」

    大和田「よし、決定だな。さっさと行くぞ」

    十神を穏便に説得し、教室まで手を引いていった。
  3. 3 : : 2017/07/01(土) 14:09:19
    【教室】


    石丸「よし! 全員集まったな? 集合写真を撮るぞ!」

    不二咲「えっとぉ……まだ十神君と大和田君、その二人を追った苗木君がいないみたい……」

    不二咲「あと……苗木君を追いかけた舞園さんと、面白そうだからと便乗した江ノ島さんとそのお姉ちゃんの戦刃さん、時間が出来たから紅茶を飲もうと出て行ったセレスさん……」

    不二咲「何かよく分からない事を言いながら出て行った山田君、写真撮られるのが怖いって逃げた葉隠君、その辺に居たのにいつの間にか消えちゃった腐川さん、人がいないからとどこかに行っちゃった……霧切さん……だっけ……がいないんだけど……」

    桑田「ほぼいねーじゃねーか! 全員集まったなんてよく言えたな!?」

    教室に残っていたのは、石丸・不二咲・桑田・朝日奈・大神の5人だけだった。

    朝日奈「もう、授業ないからってみんな自由に動き回るんだから……」

    石丸「これでは残りの11人が集合写真の右上に並べられてしまうではないか! これは一大事だ!」

    朝日奈「もう私達も全員右上に行って教室空っぽにした方が逆にバランスよくない?」

    不二咲「そういう問題じゃないと思う……」

    大神「こうなっては仕方ない……手分けして皆を連れ戻して回るか」

    石丸「そうだな、このままでは集合写真が撮れない! よし、不二咲くんはお留守番を頼む! 何かあれば報告頼むぞ! 朝日奈くん、大神くん行こう!」

    桑田「え、俺は!?」

    石丸、朝日奈、大神は教室を出て、教室には桑田と不二咲だけが残された。

    その直後。

    ガララァ

    不二咲「あっ」

    反対側のドアから苗木が現れた。

    苗木「ただいま……って、なんでこんなに人いないの……?」

    不二咲「お帰りなさい、苗木君。あ、石丸君にメール送っとかないと……」

    大和田「十神連れてきたぞ……ってなんだこりゃ、誰もいねーじゃねーか?! 一体誰が殴り込んできやがった!?」

    不二咲「むしろ誰も来なくて出て行ったよ……」

    十神「……やはり時間の無駄だな。俺は帰るぞ」

    不二咲「あ……十神君待ってよぉ! もうすぐみんな帰ってくるから!」

    大和田「おいコラ待てよ! メガネ! 金髪! 3点!」

    十神「名前を覚えていないからといって特徴を列挙するな!」

    十神はドアを開け放った。

    大和田「まずい、十神が教室から逃げるぞ!」

    苗木「しかし十神は回り込まれてしまった!」

    教室の外には苗木が待機していた。

    十神は無言でドアを閉め、反対側から逃げた。

    苗木「あ、逃げられた! 桑田クン、連れ戻して! 君の足なら追いつけるしモテるよ!」

    桑田「そう言われちゃ行かざるを得ねえな! 行かざること山の如しだぜ!」

    苗木「それ行かない方じゃん!」

    桑田「待ちやがれメガネー!」

    桑田は十神を追って廊下を疾走した。
  4. 4 : : 2017/07/01(土) 14:13:09
    【中庭】


    ピリリリピリリリ

    石丸「む? 不二咲くんからメールか」

    『苗木君が帰ってきたよ!』

    『大和田君が帰ってきたよ!』

    石丸「……運営からの通知か?」

    ピリリリピリリピリピリリリ

    石丸「待て待て落ち着け不二咲くん! 連続で送るな不二咲くん!」

    『十神君が帰ってきたよ!』

    『十神君がどこかに行きそうだよ!』

    『十神君を引き留めたよ!』

    『十神君がいなくなっちゃったよ』

    『十神君を連れ戻しt』

    『十神君がまたどこかに行っちゃt』

    『十神君を連れ戻して教室内に縛り付けたよ!』

    『腐川さんが帰ってきたよ!』

    『十神君が外に飛んでいったよ!』

    『十神君が飛んで帰ってきたよ!』

    『十神君の頭が床に激突したよ!』

    『葉隠君が帰ってきたよ!』

    『十神君が暴れてるよ!』

    『大和田君の顎がやられたよ!』

    石丸「よし、問題は無いようだな」

    江ノ島「どしたん?」

    石丸の後ろには、いつの間にか江ノ島と戦刃がいた。

    石丸「不二咲くんから連絡があった。教室内はいつも通り……だぁぁあああああッ!!」

    江ノ島「うわっ。急に大声出すな!」

    石丸「江ノ島くんに戦刃くんではないか! いつからここにいたのか知らないが、丁度良い!」

    石丸「これから教室で集合写真を撮るんだ! そのために手分けして人を探しているところだ! 江ノ島くんも戦刃くんも、早く教室に戻ってきたまえ!」

    江ノ島「えーどうしよっかなー」

    石丸「悩むところではないだろう! 右上に放り込まれてもいいのか!」

    戦刃「……べつにいいけど」

    石丸「だめだろうそうだろう! さあ早く教室に戻るんだ!」

    戦刃「……話聞いてない」

    強引に話を進めようとする石丸に対して、江ノ島はあからさまに思い出した様に声を上げた。

    江ノ島「……あー! そういえばさっき、屋上に山田とかいう人間が居たのが見えたような気がする!」

    石丸「何、そうか! 山田くんは屋上だな!? 情報提供感謝する! 君たちも早く教室に戻るんだぞ! ではな!」

    石丸は敬礼してからすごい勢いで去って行った。

    戦刃「……盾子ちゃん? さっき見たとき屋上には誰もいないように見えたけど……」

    江ノ島「そりゃそうでしょ。嘘だし。こっから屋上に居る人なんて見えないし」

    その後江ノ島は教室に歩いていく……なんてことはなく、校門の方へ歩いて行った。
  5. 5 : : 2017/07/01(土) 14:16:40
    【教室】


    苗木「まさか……縛られたまま抵抗した十神君を大和田君が殴ったら、思ったよりポーンって飛んで窓から飛び出してしまうなんて……」

    苗木「そして、何故か窓から飛んで戻って来て、そのまま大和田君に蹴りを喰らわせるなんて!」

    苗木「と思ったら足を掴まれてて、縛られたままの十神君は頭を床に激突してかなり痛そうだった!」

    苗木「それから十神君が暴れ回ったらたまたま足が大和田君の顎にクリティカルヒットして、一撃でノックアウトさせて勝った! 完ッ!」

    桑田「誰に説明してんだ」

    それは誰にも分からない。

    腐川「ふ……ふん……。超高校級の御曹司、十神君に手を出した罰よ……。因果応報よ……」

    葉隠「は? 忍者ホーホー? なんだそりゃ。フクロウの術か?」

    腐川「い・ん・が・お・う・ほ・う・よ……! 良いことをしたら良いことが、悪い事をしたら悪い事が帰ってくるって事よ……」

    葉隠「つまり、誰かを占ってやれば良いことがあるんだな! よっしゃ、苗木っち! 今すぐ俺が占ってやんべ! 料金は10万だ!」

    苗木「図々しいよ!」

    桑田「ところで十神よぉ、一体どうやって外から飛んで来たんだ? ロケットの発射台でもあったか?」

    十神「それがあったところで俺にどう使えと? ただたまたま通りがかった奴に俺を投げさせただけだ」

    当然のように言うが普通に異常だ。

    葉隠「なんだ、超高校級の十神投げ選手権でも居たんか?」

    苗木「かなり限定的な才能だね」

    十神「俺の為の才能か、悪くない」

    桑田「悪くないんだ!?」

    腐川「しかも選手権って……人ですらないじゃない……!」

    葉隠「人ですらない……? つまり十神っちは……幽霊ってことか!? そういえば、昔近所に住んでた鈴木さんに似てるような気がしてきたべ! すまん、俺が悪かった! 成仏してくれぇ!」

    十神「勝手に殺すな! っていうか鈴木さんって誰だ!」

    葉隠「具体的に言うと……十神っちより小さくて、太ってて、毛深くて、メガネをしてない感じだべ」

    十神「完全に別人だろう! 馬鹿にしているのか貴様! 俺を誰だと思っている!」

    葉隠「たしか、超高校級の……お……お笑い芸人?」

    十神「御曹司だ!! 超高校級の御曹司、十神白夜! その空っぽの頭に叩き込んでおけ!」

    葉隠「俺の頭は空っぽなんかじゃねーって! 隣に住んでた猫の鈴木さんもちゃーんと覚えてんぞ!」

    十神「そこはどうでもいい! ……って鈴木さん猫かよ!!」

    大和田「お前お笑い芸人向いてんじゃねーか?」
  6. 6 : : 2017/07/01(土) 14:25:52
    【希望ヶ峰学園校舎前】


    朝日奈が江ノ島を説得していると、朝日奈の携帯が鳴った。

    朝日奈「あ、また不二咲ちゃんからメールかな?」

    『葉隠君が十神君を馬鹿にしたよ!』

    江ノ島「なんて?」

    朝日奈「十神が馬鹿になったって」

    江ノ島「マジ? 超見たい。ちょっとワープしてくるわ!」

    朝日奈「へっ?」

    その直後……

    ボン!

    突然煙幕が上がり、江ノ島の姿が消えた!

    朝日奈「え、ええ!?」

    その直後、再びメールが届く。

    『江ノ島さんが帰ってきたよ!』

    朝日奈「早っ!」

    江ノ島「残像だ」

    朝日奈「はぇ!?」

    いつの間にか、朝日奈の後ろに江ノ島がいた。

    朝日奈「え、ええ!? 何で!? 今……教室に行ったはずじゃ……!? ……あれ?」

    よくメールを見ると、アドレスが違った。

    朝日奈「……これ……江ノ島ちゃんからのメール?」

    江ノ島「正解」

    朝日奈が携帯を確認している隙に、江ノ島は携帯を奪って走り去ってしまった。

    朝日奈「あ、ちょっと、返してよー!!」

    しかし呼び止める間もなく、いつの間にか姿が見えなくなってしまっていた。

    朝日奈「え、江ノ島ちゃんってそんな足速かったんだ……。さすがギャル……。これが女子力……?」

    脚力。

    大神「……む? どうした、朝日奈よ。ひどく落ち込んでいるようだが……」

    朝日奈「……あ、大神ちゃん……? えっと……」
  7. 7 : : 2017/07/01(土) 14:29:07
    【廊下】


    石丸が廊下を歩いていると、セレスと山田が歩いているのを見かけた。

    石丸「むっ。そこにいるのは安広くんに山田くんではないか!」

    山田「おや、石丸清多夏殿……でしたか?」

    セレス「…………」

    セレスは見向きもせず無視している。

    石丸「せめてこっちを向いて聞きたまえ安広くん! 僕だ、石丸清多夏だ!」

    セレス「存じ上げません。さようなら」

    セレスは急いで立ち去ろうとするが、石丸は肩を掴んで制止した。

    石丸「待て待て待て安広くん! ついさっき教室で会ったばかりだろう安広くん! 安広くん!」

    セレス「てめぇわざとかぁ!? わたくしの名前はぁ、セレスティア・ルーデンベルクだって言っただろうがぁ!」

    セレス「おっと、口が滑りましたわ。うふふふ」

    石丸「あ、あぁ……。すまなかったな、セレスくん」

    セレス「で、何かご用ですの?」

    石丸「ん? おおそうだ! これからクラス集合写真を撮るんだ! 君たちも早く教室に戻りたまえ! というか山田くんは屋上にいたのではなかったのか!?」

    山田「はて? 僕は一度も屋上になど行っておりませんが……」

    石丸「む……。そうか、江ノ島くんの見間違いか? さては疲れていたのか……? それはそうと、2人はこんなところで一体何をしていたんだ?」

    セレス「山田君に紅茶を淹れさせてあげましたの」

    石丸「紅茶? それならそこの自販機に、午後に飲むようなものが売っているが」

    山田「セレス殿はロイヤルミルクティー以外、紅茶だと認めないのですよ。そこで僕を使ったらしいのですが……結果ボロクソ言われましたぞ」

    セレス「あんなものでも一応飲んで差し上げたのですから感謝なさいな」

    山田「ウィッス……」

    ピリリリリリ

    石丸「むっ! また不二咲くんからの報告メールか!?」

    山田「見る前に分かるのですかな? もしや予知……?」

    石丸「大体平均して5秒に1通くらいは送ってくるからな! はっはっは! 不二咲くんもまめな奴だ!」

    山田「それなんていうホラー?」

    ピリリリリリ

    石丸「そら来たぞ! まだ前の見てないのに! 全く不二咲くんは慌て者だな!」

    石丸は携帯を確認する。

    山田「どんな内容ですかな?」

    『大和田君が覚醒したよ!』

    山田「なにこれバトル漫画?」

    『大和田君は自分のしたことを覚えてないみたいだよ!』

    山田「これはまさか自我を失うパターンの覚醒! とくに初の覚醒時には王道といってもよいパターンですぞ!」

    『大和田君が十神君に襲いかかったよ!』

    『十神君は素速くかわしてるよ!』

    山田「熱い攻防が繰り広げられているようですぞ! この展開が実際に起こってるとは信じがたいですな」

    『苗木君が止めに入ったよ!』

    山田「むっ? これは噛ませ犬フラグですかな?」

    『苗木君が外に飛ばされたよ!』

    山田「予想以上に勢いの良いフラグ回収! というか外に放り出されるのは流石にヤバイのでは!」

    『苗木君が窓を割って飛んで入ってきたよ!』

    山田「この人本当に人間ですか!?」

    『苗木君が腐川さんの頭を蹴り飛ばしたよ!』

    『腐川さんがハサミを持って暴れ回り始めたよ!』

    『みんな一旦避難し始めてるよ!』

    山田「突然殺伐としすぎじゃありませんかねぇ!?」

    石丸「これは……風紀が乱れている! 僕も一旦教室に戻った方が良さそうだ!」

    ピリリリリ

    『腐川さんを止めるために、十神君が脱いだよ!』

    山田「ドユコト!?」

    『十神君は肉体美を披露しながら美しく回り始めたよ!』

    石丸「なんと、十神くんはスケート選手だったのか!」

    山田「驚くとこそこじゃないでしょうよ!」

    『大和田君と苗木君も十神君に続いたよ!』

    石丸「これが御曹司の力か!」

    山田「そんな御曹司は嫌だ!」

    『3人が変な事を言って踊りながら腐川さんの周りを回ってるよ!』

    山田「やだ、これ何の儀式!? 怖い!」

    石丸「そうか、体を張って衛星を再現しているのだな!」

    山田「今それをやる意味は!?」

    石丸「……団結力の誇示!」

    セレス「苦しいですわね」
  8. 8 : : 2017/07/01(土) 14:34:38
    【校舎裏】


    江ノ島「よーっしガセネタ送信完了!」

    さっきまでの後半のカオスなメールは、江ノ島がアドレスを変えて送信し続けたものだった。

    戦刃「盾子ちゃん……それやる必要あるの……?」

    江ノ島「無いよ。でもあのメガネってクソ生意気で超むかつくじゃん? アタシも何度か無駄に馬鹿にされたしさぁ。御曹司(笑)にネットの拡散力の怖ろしさを思い知らせてやろうぜ!」

    戦刃「えっ。盾子ちゃんたまにメガネかけてるけど……メガネ嫌いだったの?」

    江ノ島「んー、何か勘違いしてるようだけど、まぁあいつメガネが本体だからいっか。じゃあ次はー、あの探偵に適当なメールを送りつけて無駄に深読みとかさせてみますか」

    ピリリリリ

    江ノ島「おっと、メールだ」

    『あのメール送った貴様は何者だ』

    江ノ島「生意気メガネか。語呂の良いメールを送りやがって。今度貴様のメガネというメガネを粉砕してくれるわ」

    愚痴りながらすごい勢いでメールを打っていく。

    『くやしかったらここまでおいで』送信

    江ノ島「さーって、メルアドを変えた江ノ島ちゃんの演技だといつ気付くかなー?」

    ピリリリリ

    十神からメールが届いた。

    『ボイスメッセージ』

    江ノ島「ほう」

    江ノ島は朝日奈の携帯を取りだして色々操作し始めた。

    戦刃「何してるの……?」

    江ノ島「カウンター準備」

    朝日奈の携帯で十神に電話をかける。

    プルルルルルァ……

    十神『なんの用だ。俺は今忙しいんだが』

    十神が出た直後、さっき江ノ島の携帯に送られたボイスメッセージを再生した。













    『コッッッッペパーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンゥウァァアア!!!!』












    江ノ島の携帯があり得ないくらいに震え、超絶大音量の音が広範囲に響き渡った!

    プーッ……プーッ……

    戦刃「電話切れた」

    江ノ島「当然すぎる」
  9. 9 : : 2017/07/01(土) 14:39:25
    【教室前】


    暴走した腐川を教室に隔離し、苗木達は教室前で待機している。

    不二咲「びっくりしたぁ……。何、今の音……」

    大和田「地面がブルブル震えっから一瞬地震かと思ったぜ……」

    十神「……ッ」

    苗木「……大丈夫? 十神クン」

    自分が送った轟音が更に最大ボリュームで耳元に帰ってきて、十神は耳を押さえてうずくまっていた。

    葉隠「いつも偉そうにしてるから罰が当たったんだな。銀河ホイホイだべ!」

    桑田「銀河がそんな簡単にホイホイされてたまるか」

    苗木「因果応報って言おうとしたの?」

    葉隠「あー、それそれ。りんご爆散!」

    腐川「……耳が腐ってんじゃないの……?」

    大和田「しっかし、ひでーなコレ。根も葉もない噂がめっちゃ送られてくるぞ」

    苗木「……江ノ島さんだよね? これ流してるの……」

    『十神君が自爆したよ!』

    『大和田君の髪が逃げたよ!』

    『桑田君がなんか徐々にやばい感じになっていってる気がするよ!』

    苗木「……なんか段々適当感増してきたような」

    大和田「どうせ飽きたんだろ」

    桑田「オレに何があったんだよこれ」

    しばらく待っていると、山田とセレスを連れた石丸が戻って来た。

    石丸「苗木くん! 大和田くん! 十神くん! 君たちの頭は大丈夫か! どこか悪いところでも打ったのか!?」

    苗木「なんかいきなり煽られた!」

    山田「十神白夜殿だけならまだしも、苗木誠殿や大和田紋土殿まで裸で舞い始めたと聞いた時は、2人とも頭を打ったのかと思いましたぞ……」

    十神「俺だけなら違和感無いみたいに言うな! 貴様らの俺へのイメージはどうなっているんだ!」

    苗木「あ、うずくまってた十神クンが即座に復活した」

    大和田「そうか」

    ゴンッ

    十神「ぐはぁっ……」

    大和田は十神を気絶させた。

    苗木「いやわざわざもう一度黙らせなくてもまぁいいや」

    桑田「切り替え早いな!」

    大和田「ギャグキャラが喋ると話の進みが遅くなるからな」

    セレス「あら。十神君はギャグキャラだったのですね」

    葉隠「知らなかったんか? 十神っちは超高校級のお笑い芸人だぞ?」

    十神「…………」

    へんじがない。ただの十神のようだ。

    山田「気絶している分、好き放題言われてますな」
  10. 10 : : 2017/07/01(土) 14:46:40
    石丸「む、ところで江ノ島くんはまだ帰ってきていないのか?」

    不二咲「江ノ島さんは……まだいないみたいだけど……」

    石丸「そうか……。だいぶ前に見つけたのだが……やはり疲れていたのか?」

    苗木「江ノ島さんがどうかしたの?」

    石丸「ああ……さっき屋上に山田くんが見えたと言っていたが……それもどうやら幻覚だったらしい。今も疲れが出て道に迷っているのかもしれないな……。心配だ! 少し見てくる!」

    石丸は走って去って行った。

    苗木「軍人の戦刃さんもいるだろうし……別に江ノ島さんなら大丈夫だとは思うんだけどな……」

    葉隠「江ノ島っちがどうかしたんか?」

    葉隠は話を聞いていなかった。

    苗木「疲れているみたいだから、石丸クンが迎えに行ったんだけど……」

    葉隠「つ、憑かれてる? 江ノ島っちがか? びっくりだべ……野口英世も冬眠するレベルだべ!」

    桑田「こいつ、たとえ話のやり方が分かってねえ!」

    苗木「そ、そんなに驚くことかな? このクラスにいたら無理も無いと思うけど……」

    山田「さらっと手厳しい発言しましたな」

    苗木「いやぁ……はは。みんな濃いメンバーだからさ……ちょっと疲れさせちゃっても仕方ないんじゃないかなって」

    葉隠「何、江ノ島っちを憑かれさせたのは俺達だったのか!?」

    苗木「いや……そうともいいきれないけどね」

    桑田「一体どうしたよ。急に焦りやがって」

    葉隠「まさか……そういうことだったんか……俺達全員そういう能力者だったんか……」

    山田「相手を疲れさせる能力ですか。地味ですな」

    苗木「い、いやそんなダイレクトな意味じゃ無くて……」

    葉隠「だとしたら……このままだと非常にマズイべ!」

    苗木「え、な、何で?」

    葉隠「このままだと……」

    葉隠「俺達全員がお互いにつきあってしまうことになるべ!」

    ……

    苗木「え、いや、ちょっと待って、話が見えない! いったい何の話!?」

    一瞬フリーズしてから苗木は大声で正しい反応をした。

    桑田「オレが誰かと付き合える確立30%って話か!」

    苗木「なんでそんな悲しい解釈しちゃったの!?」

    山田「三次元に興味はない!」

    セレス「私にふさわしい殿方はまだこのクラスには存在しませんわ」

    舞園「私は誰と付き合えるんですか!?」

    苗木「うわぁ舞園さん突然おかえり! そんな話してないから落ち着いて!」

    舞園「すみません、苗木君を追ってたら道に迷ってしまって……。でも、苗木君の声が聞こえて戻ってこられました!」

    大和田「廊下で大騒ぎするんじゃねーよ」

    苗木「あ……ごめん」

    さっきから訳の分からない騒ぎ方をしたせいで、良く見れば周りからだいぶ白い目で見られていた。

    桑田「そういや、もう教室内に入っても大丈夫なんじゃねーか?」

    苗木「あ……腐川さんが暴れてなければいいんだけど……そろそろ平気かな……。ちょっと静かに開けてみよっか」

    大和田「おい腐川ァ!」

    スパァン!

    大和田は勢いよくドアを開けた!

    桑田「静かにって言ったよな!?」

    スパァン!

    桑田は勢いよくドアを閉めた!

    苗木「いやもう開けちゃったらわざわざ閉める必要もないから!」

    セレス「しかし、今少し中が見えましたが……特に誰も見当たりませんでしたわ」

    苗木「え?」

    スパァン!

    苗木は勢いよくドアを開けた!

    苗木「腐川さん!」

    大和田「結局勢いよく開けてんじゃねーか」

    しかし教室内は荒らされていて、誰も居なかった。一箇所だけ開けられた窓から入る風がカーテンを揺らしている。

    大和田「チッ。窓から逃げたか」

    山田「強盗かな?」

    桑田「鳥だろ」

    山田「飛べない鳥はただのペンギン」

    桑田「よって腐川はペンギンである」

    大和田「やかましい」
  11. 11 : : 2017/07/01(土) 15:07:49
    【中庭】


    石丸は中庭まで戻って来たが、誰もいなかった。

    石丸「……やはり江ノ島くんは道に迷っているのか?」

    メールを確認してみる。

    『腐川さんが窓から逃げたよ!』

    石丸「腐川くんは100歳の老人だったのか? しかしやはりまだ江ノ島くんは帰ってないようだな……。一体どこに……」

    ざわざわ……

    石丸「ん?」

    校舎裏の方に人だかりが出来ていた。


    【校舎裏】


    石丸「何かあったのか?」

    モブに話しかける。

    「あっ。石丸君。良く分からないんだけど、校舎裏から奇声が大音量で流れてきて、原因調査やら野次馬やらが集まって来てるみたいだよ」

    石丸「全然分かっているではないか! なるほど、さっき聞こえたあの音の発信源に集まって来たのだな!」

    石丸は人混みをかき分けて入り、野次馬に大きく声をかけた。

    石丸「さあみんな、ここにはもう用は無いはずだ! それぞれ戻って勉強したまえ!」

    人混みが大分解消されると、再び石丸はその辺の人に声をかけて江ノ島探しを始めた。

    「江ノ島さんなら、さっき大音量が流れる直前にここにいたのを見たよ。校舎に入って階段を上がっていったみたい」

    さっきのモブが再び有力すぎる情報を提供した。

    石丸「やはり完璧に分かっているではないか! 感謝するぞ!」


    【屋上】


    大神「朝日奈の携帯……返してもらおう……!」

    屋上で、大神は殺気だって江ノ島と対峙していた。

    江ノ島「こんなところまで追ってくるとはねー。屋上から呼んでからかったら、そのまま校舎の壁を駆け上がってくるのは流石にびびったわー」

    江ノ島がケラケラ笑いながら言った。

    朝日奈「さらっとデタラメ言うなぁ! ちゃんと階段から入ってきたじゃん!」

    江ノ島「冗談冗談。一瞬読者様を驚かせたかっただけだって」

    江ノ島「まあ1人、マジで屋上まで駆け上がってきた奴がいるけどな」

    江ノ島の後ろでは、戦刃と腐川が無駄に戦っていた。

    キィン! ガガガガ! キン! ガキィン!

    腐川?「ったくなんだよテメエは!! 清廉潔白なアタシに何か恨みでもあんのかコラァ!」

    戦刃「盾子ちゃんに手は出させない……!」

    腐川?「知るかあんなの! アタシはどっか変な教室に閉じ込められて、仕方なく屋上から侵入しようとしただけだっつの!」

    戦刃「ハサミ持ったまま盾子ちゃんの背後に立った時点で怪しい……!」

    腐川?「それは確かにっ! ってアタシ超絶物分かり良い~! ゲラゲラゲラゲラ!」

    江ノ島「あ。お姉ちゃーん! 不二咲さんがー、腐川さんが窓から逃げたって言ってるよー!」

    朝日奈「今更!? ってか、人の携帯勝手に見るなー! 早く返してよ!」

    江ノ島「ま、いいか。もう飽きたし」

    江ノ島は朝日奈の携帯を投げ渡した。

    朝日奈「わっ! ……っと。やけにあっさり……」

    朝日奈が携帯をキャッチすると、江ノ島は戦刃に向けてナイフを投げた。

    江ノ島「残姉ーそろそろ行くぞー」

    戦刃「あ、うん……!」

    戦刃は戦いを中止してナイフを受け止め、江ノ島についていく。

    朝日奈「ちょっと、どこ行くの?」

    江ノ島「教室。元々あんたらもその用事で来たんでしょうが。何が何でも写真撮らないと、先に進まないみたいだからねー」

    朝日奈「あっ。そうだった。さくらちゃん、早く行かないと!」

    大神「そうだな」

    朝日奈「ほら、腐川ちゃんも! 早く戻ろう!」

    腐川?「あ? んだよメンドクセーな。目の前でタマネギ切り刻むぞ?」

    朝日奈「嫌がらせが地味すぎる上に自滅するよ!」

    腐川?「残念、タマネギは舌を出せば目が痛くならないのだ! つまりアタシは無敵!」

    朝日奈「それは無敵だ! どうしようさくらちゃん!」

    大神「落ち着け、朝日奈よ。此処にタマネギは皆無」

    朝日奈「そっか! 良かったー!」

    カンッカンッカンッ……

    腐川?「んぁ? なんだ?」

    階段を上ってくる音がする。

    腐川は扉に近づいて音を聞こうとした。
  12. 12 : : 2017/07/01(土) 15:14:27
    【多目的トイレ】


    霧切は携帯とにらめっこしていた。いやそのままの意味ではない。

    少し前に、朝日奈のメールアドレスから突然このような謎のメールが届いた。

    『ふんと゛し』

    一見わけのわからないメールだが、霧切はここから色々読み取って今この場所にいるのだった。

    霧切(……一見ふんどしに見えるけどこれは濁点も一つの文字。つまり「どし」の部分は「といれ」と読める。そして「ふん」の部分は漢字にすると、トイレと関連して「糞」に出来る。でもトイレの個室を1つずつ調べるわけにもいかない……。だからこれは更に変換させて、大という意味に出来る……。トイレの大きな個室……それはつまりここ多目的トイレ……)

    無理のある解釈だがとにかく霧切はここに辿り着いた。

    霧切(ここに何が……?)

    そして、一枚のメモが落ちているのを発見し、再び霧切は激しい深読みに陥る。

    『湯どうふ』

    霧切(湯どうふ……? いえ、違うわね。良く見ると三水が少し大きく書いてあるわ……。つまり「三易豆腐」……。豆腐がひらがなで書かれていたということは……ひらがなであることで何か仕掛けがあるかもしくは、他の文字に変えられるとすぐに分かってしまうから……。「どうふ」の「ど」が、良く見ると濁点が少し離れて書かれている……さっきと同じように言い換えれば、「というふ」に出来るわ……。漢字にしたら「三易と言う腐」となる……腐は腐川さん、三は……山田一二三君の名前を示していると推測するならば、間の2つも誰かの名前と考えられるわ……五十音順で私達のクラスの人を並べたら、腐川さん・不二咲さん・舞園さん・山田 君となる……。つまり豆は不二咲さん、易が舞園さんを示しているというの……? いえ、ちょっと待って。たしか易には古代中国から伝わった占いの意味があったはず……。つまり超高校級の占い師、葉隠君を示しているとも考えられるわ……つまり葉隠君は舞園さん…………?)

    霧切は江ノ島が気まぐれで送ったたった4文字に翻弄されていた。


    【廊下】


    通りすがりの生徒に話を聞き、石丸は階段を上がっていく。

    そして、屋上のドアを勢いよく開けた。

    ガン!

    腐川?「ぐぇっ……」

    勢いよく開け放たれた扉は腐川の頭に直撃し、腐川は後ろにバタンと倒れてしまった。

    朝日奈「腐川ちゃーーーん!」

    石丸「腐川くん!? 大丈夫か! 誰にやられた!?」

    朝日奈「あんただよ!!」

    石丸「む? おお、朝日奈くんではないか! こんなところにいたのか! 江ノ島くんはいないのか?」

    朝日奈「江ノ島ちゃん? えっと……さっき教室に行くって言って行っちゃったみたいだけど……」

    石丸「何、一足遅かったか! これではまた江ノ島くんが道に迷ってしまう!」

    石丸「すまないが僕は急いで江ノ島くんを追いかけねばならない! 腐川くんのことは頼んだぞ! ではまた教室で会おう!」

    一礼してから石丸は急いで階段を下りていった。

    朝日奈「何なのさ……。腐川ちゃん、大丈夫? おーい」

    しかし返事がない。

    大神「気絶しているようだな」

    朝日奈「え、そんな簡単に気絶ってするものなの?」

    大神「……打ち所が悪かったか、体力が衰えているのかもしれぬな」

    朝日奈「どうしよう……。とりあえず心臓マッサージと人工呼吸した方がいいかな……」

    大神「それは溺れた者への対処法だ」

    腐川「……う……うーん……。ここは……どこ……」

    朝日奈「あ。気が付いた。ここは希望ヶ峰学園の屋上だよ。あなたは超高校級の文学少女の腐川冬子ちゃん。腐った川にいる冬の子って書いて腐川冬子ちゃんだよ」

    腐川「そこまで聞いてないわよ記憶喪失じゃあるまいし……。っていうか微妙に悪意ある説明ね……」

    朝日奈「さ。目も覚めたところで、教室に戻ろっか」

    腐川「あ、あれ? あたし……さっきまで教室にいたはずじゃ……」

    腐川「……まぁ、いいわ……。どうでも」
  13. 13 : : 2017/07/01(土) 15:17:10
    【教室前】


    石丸が江ノ島と戦刃の2人を連れてきた。

    石丸「はっはっは! 道に迷わなくて良かったなぁ! 江ノ島くんも、疲れているのであれば遠慮無く言っていいんだぞ! 僕は全力でサポートする! 風紀委員としてな!」

    江ノ島「別に疲れてるわけではありませんが。どこからそういう情報が流れたのでしょうか」

    石丸「みんな、江ノ島くんが帰ってきたぞ! はっはっは!」

    石丸は教室のドアを開けて大声で叫び、江ノ島と戦刃を中に招き入れた。

    石丸「さあ、入りたまえ!」

    江ノ島「……はぁ」

    江ノ島は教室に足を踏み入れた……。

























    葉隠「悪霊退散!!」

    江ノ島「えっ」

    中に入ろうとした瞬間、目の前にガラス玉が飛んできた。

    江ノ島「あぶなっ!」

    戦刃「ッ!」

    ガシャーーン!!

    二人ともギリギリで回避し、飛んできたガラス玉は後ろの壁に激突して砕けた。

    葉隠「あああああああああああああッッ!! 俺の水晶玉があああああああああああ!!!」

    江ノ島「勝手に投げつけといて勝手に絶望してんじゃねーよ!!」

    葉隠「くっ……! 江ノ島っちに取り憑いた悪霊を祓ってその分の代金を貰う計画が台無しだべ!」

    苗木「……んん!? ちょっと待って、まさか葉隠クン、疲れると憑かれる間違えてない!?」

    葉隠「は? 何が違うんだって……」

    苗木「聞くと同じだけど! ほら、文字だと違うでしょ! 『憑かれる』と『疲れる』!」

    葉隠「……ああああああ! 本当だ!」

    桑田「なに、お前らセリフが文字に見えてんの!?」

    朝日奈「ただいまー!」

    大神「我だ」

    不二咲「あ。朝日奈さんに大神さんもおかえりなさい……!」

    桑田「お? これで全員か?」

    苗木「あとは……あの人だけが……」

    霧切「私ならここにいるわ」

    「バーン!」とでも効果音がつきそうなかっこいいポーズで、霧切は教室のドアの前に立っていた。

    山田「全員集まった後に現れるとは、コンプリート特典みたいな人ですな」

    霧切「ええ、みんな集まったと聞いて急いで来たの」

    大和田「おい十神。そろそろ起きろ。じゃねえとまた気絶させるぞ」

    苗木「もう気絶してる人に?」

    桑田「オーバーキルかよ」

    十神「……勝手に殺すな。まだ死んではいない……」

    ずっと気絶してた十神が起き上がる。

    苗木「あ。生き返った」

    十神「殺されてないと言ったばかりだろう……!」

    大和田「それだけ元気がありゃ充分だな」

    石丸「何はともあれ、だ! これで本当に全員が揃ったな! ようやく集合写真が撮れるぞ! さあ、速やかに全員並びたまえ!」

    机を並べて、適当に後ろに並んでいく。

    舞園「そういえば誰が撮るんですか?」

    苗木「あ、じゃあボクが撮るよ」

    石丸「何だと!? それでは集合写真なのに苗木くんが入らないではないか!」

    苗木「じゃあ次にもう一回別の人に撮ってもらえばいいよ」

    石丸「……そうか、仕方ない。では2回目は僕が引き受けよう」

    江ノ島「ま。毎回苗木だけってのも理不尽だし、今度から写真撮る機会があったらみんな順番に撮っていくって事でいいんじゃない?」

    苗木「うん、そういうことで、じゃあ撮るよ?」

    苗木がカメラを構える。
  14. 14 : : 2017/07/01(土) 15:21:02
    左端で山田が写りきっていない。

    苗木「山田クン、画面からはみ出しちゃってるんだけど……もうちょっと中央に寄れない?」

    大和田「あー、これ以上寄ったらこっちが狭いし、セレスが写らなくなっちまうんだわ」

    良く見れば、山田がはみ出しているにも関わらず、隣の戦刃とほとんど間が空いていない。これ以上詰めようもないようだ。

    苗木「うーん……」

    山田「別に少しくらいはみ出しても」

    苗木「でも半分ちょいしか写ってないから、余計に太って見えちゃうけど……」

    大神「ならば、我の前が空いておるぞ」

    苗木「あ。じゃあそっちに移動してもらえる?」

    山田「は、ハイ……」

    中央で大神が山田の頭を掴む。

    山田「い、威圧感がすごいですぞ……」

    桑田「中央で目立って良かったじゃねーか」

    朝日奈「苗木、よろしくー」

    苗木「うん。じゃ……撮るよ」

    石丸「うむ! 苗木くん、感謝する!」

    苗木「はいっチーズッ」

    パシャッ

    シャッターの直前に石丸が敬礼して、江ノ島の顔がちょうど隠れてしまった。

    苗木はもう一度撮って、カメラ係を石丸と交代。さっきまで山田が居た位置に大きく余裕が出来たため、そこに入ることにした。

    石丸「では撮るぞ! いいな!?」

    戦刃「…………」

    苗木「……? 戦刃さん? どうかした? 顔に何かついてる?」

    戦刃は横目で苗木の方を見ていたが、苗木に気付かれると反対方向を向いた。

    苗木「……戦刃さん? なんでカメラの方向かないの……?」

    戦刃「……寝違えたから……」

    苗木「え、今? 寝てたの?」

    石丸「はいっ! チーズッハンバーグッ!」

    パシャッ

    石丸「はっはっは! びっくりしたか? 僕だって冗談くらい言うんだぞ! みんな良い笑顔になったな!」

    ちなみに笑顔よりも戸惑った顔の方が多かった。
  15. 15 : : 2017/07/01(土) 15:26:11
    石丸「ではもう一度だ! 撮るぞ!」

    石丸「灰! 腐ったチーズ!」

    パシャッ

    大和田「お前、笑わせようと努力すんのはいーけど無理すんなよ」

    石丸「くっ……。やはり僕には向いてないことだったか……」

    石丸「だが、諦めはしない! いつかみんなを笑わせられる人間になると、ここに誓おう!」

    葉隠「お? 2人目の超高校級のお笑い芸人の誕生か?」

    十神「1人目は誰の事だ? 言ってみろ。言ったら殺すがな」

    葉隠「理不尽だべ!」

    江ノ島「そこの御曹司(笑)のことだろうよ」

    十神「どうやら2人ともこの世から消されたいようだな?」

    葉隠「待ってくれ、俺は何もしてねー! 助けてくれえ!」

    江ノ島「お? やるかメガネ! ゆけ、ウニ頭とコーンヘッド!」

    葉隠「俺らはポケットサイズのモンスターじゃねーべ!」

    腐川「……どうせあんたらのモンスターはポケットサイズでしょうよ……」

    大和田「じゃあそこのツインドリルもいけ! ダブルギガドリルアタックだ!」

    セレス「この世から消されたいですか?」

    桑田「この世から消す力を持つ奴多くね!?」

    江ノ島「そしてアタシは全てを分析し全てを破壊する能力者だ。ひれ伏せ人間共よ!」

    山田「僕のことは『すべての始まりにして終わりなる者』……と呼んでいただいても構いませんぞ!」

    桑田「ブーデーは名前だけで特に力とかねーのかよ。雑魚だな」

    山田「辛辣ゥ!」

    大神「山田よ。気にするな。お主にもきっと何か取り得はある」

    苗木「フォローどころか追い打ちしてるよ」

    朝日奈「たしか山田は……超高校級の……えっと……肉だっけ?」

    苗木「思いつかないにしても他にもっと何か無かったの?」

    桑田「超不味そうだな!」

    石丸「いや、超高校級の肉だぞ!? きっと美味いに違いない!」

    山田「食べないでくださーい!」

    戦刃「……人肉は一応食べられるけど……どうする?」

    山田「やめて! リアル! NO! アイムノットデリシャス! アイムノットデリシャス!」

    苗木「はは……っ」

    賑やかなこのクラスで、苗木は笑っていた。

    笑うことが、出来ていた。

    苗木「…………」

    最初は……この超高校級の才能を持つ者達の中で……自分には何も才能が無いのに、本当にここにいていいのかとすごく不安だった。

    ちょっと前向きなことだけが取り得。幸運どころか世界一不幸レベルの自分が、この人達と一緒にいていいのか……

    しかし今は……こう思えた。

    苗木(……このクラスで……本当に良かった)

    希望ヶ峰学園。その名の通り、苗木にとってそこは希望に満ちあふれた場所であった。

    苗木(ここのみんなと一緒に……この希望ヶ峰学園を……卒業するんだ……!)





    【後日!】


    あの日の大音量の奇声が発生させられた江ノ島盾子の携帯を色々調べられ、江ノ島盾子と戦刃むくろが超高校級の絶望であることが判明! ついでに他の事も諸々判明!

    人類史上最大最悪の絶望的事件もその他色々不幸な事件も見事に回避!

    江ノ島達は希望に更生させられ、苗木達はめっちゃ平和に学園を卒業したのでした!



    完ッ!
  16. 16 : : 2017/07/01(土) 17:47:20
    やっぱり【後日!】からの勢い好きですwww
    冒頭から面白くて楽しく読み進められました(*^^*)
    お疲れ様でした!真山田組優勝(^o^)!
  17. 17 : : 2017/07/01(土) 23:25:54
    勢いがあって楽しかったです!深読みしちゃう霧切さんがらしくて良かったですw

    先鋒戦お疲れ様です!!
  18. 18 : : 2017/07/02(日) 00:07:33
    ぜひ後日!見たいですね
  19. 19 : : 2017/07/02(日) 21:23:22
    お疲れ様です!!
    序盤からガトリングのように繰り出されるギャグ、何度見ても笑います!!!(笑)
  20. 20 : : 2017/07/03(月) 22:50:21
    お疲れ様です。終始笑いっぱなしだったので呼吸困難で死ぬかと思いました。楽しかったです
  21. 21 : : 2019/08/27(火) 01:21:23
    後日からの内容薄笑笑そこがまた面白いけど

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