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アニ「乙女ゲー?」

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  1. 1 : : 2017/02/02(木) 22:47:47
    アニ「(…なにこの本…)」スッ

    アニ「(妙に薄いし小さい…加えて紙全体がツルツルしてる)」ツルツル

    アニ「(一番気になるのは、この痛々しいピンク全開の色合いだね…)」

    アニ「(というか、この本のタイトルにある"乙女ゲー"って…一体何)」

    ミーナ「ふわあぁ…ん?どうしたの?」ムニャムニャ

    アニ「……あのさ、朝目覚めたらこんなものが私のベッドに落ちてたんだけど」ペラッ

    アニ「これ、あんたの?」

    ミーナ「? 私にはちょっと…見覚えないかな」

    アニ「…ふーん」

    ミーナ「今、部屋のみんなに聞いてみようよ。タイトル教えて」

    アニ「え」
  2. 2 : : 2017/02/02(木) 22:55:36
    ミーナ「はいみんな、注目ー!誰かの落し物がアニのベッドに潜り込んでたってー!」

    サシャ「え?落し物ですか?」

    ユミル「朝っぱらからでけえ声だすなよ…なあ?クリスタ」ギュ

    クリスタ「ちょっ、ユミル!どさくさに紛れて変なとこ触っちゃダメ!」

    ミカサ「…それで、落し物というのは」

    ミーナ「なんか、本らしいんだけど…じゃあアニ、タイトルどうぞ」

    アニ「…」

    アニ「…乙女ゲー」

    ユミル「は?」

    アニ「ごめんやっぱり私の私物だった」

    ミーナ「え?そうなの?」

    サシャ「まあこの部屋の女子は基本的に読書しませんからねー!間違いなくアニのものですよ」ウンウン

    ユミル「おっ、一番読まないやつが何か言ってら」

    サシャ「な、なにをー!」フシャーッ

    クリスタ「ま、まあまあ!」

    アニ「…」
  3. 3 : : 2017/02/02(木) 23:07:06
    食堂


    アニ「(とりあえずベッドの下に滑り込ませといたけど…なんだったの、あれ)」モグモグ

    ライナー「よう、アニ。隣いいか?いいよな」スッ

    アニ「答え聞く前に座らないでよ」

    ベルトルト「あ、あはは…」スッ

    アニ「あんたも」

    ベルトルト「あっ、ご、ごめん」ガタッ

    ライナー「おいおい、ベルトルトだけ立ち食いさせる気か?」

    アニ「だから、物事には順序ってものがあって…まあいいや。早く座んなよ」

    ベルトルト「う、うん」スッ

    アニ「…」

    アニ「(ん…?)」

    アニ「(ベルトルトの胸元あたりに…何か見えたような)」ジッ

    ベルトルト「…えっ、どうしたの?」

    アニ「…」ジィッ


    ベルトルト「…アニ?」
    ♥♥♡♡♡


    アニ「!?」バッ

    ベルトルト「ん!?」
  4. 4 : : 2017/02/02(木) 23:19:27
    アニ「」サスサスサスサス

    ベルトルト「ちょっ、え!?何!?」ガタッ

    ライナー「!? おい、アニ!急にベルトルトの胸板をさすってどうした!」ガタッ

    アニ「………」

    アニ「……いや…なんでもない」スッ

    ベルトルト「噓でしょ…?」

    ライナー「ぜってえ何かあんだろ…」

    アニ「…ちょっと…胸筋触りたかっただけ」

    ライナー「ええ…」

    ベルトルト「もう、唐突に触るのやめな…?胸筋なんていくらでも触らせてあげるから…主にライナーが」

    ライナー「俺かよ」


    アニ「…(……おかしいな…さっきはベルトルトの胸元に、不自然に浮き出た立体的なハートマークが見えたのに…)」

    アニ「(気のせいだったか…ん?)」

    ライナー「? なんだよ」

    アニ「(また、何かが…今度はライナーのとこに…)」ジッ


    ライナー「…まさか、次は俺の胸狙ってんじゃねえだろうな」サッ
    ♡♡♡♡♡


    アニ「(!! やっぱりだ、ハートマークが見える…!)」
  5. 5 : : 2017/02/03(金) 00:33:39
    ベルトルト「その防御の取り方、絶妙に気持ち悪いね」

    ライナー「仕方ねえだろ。胸守るんだったらこうする他ない」

    ベルトルト「手ブラはちょっと…もっと男らしく構えてよ」

    ライナー「無茶言うな」


    アニ「…ねえ」

    ライナー「…なんだ」

    アニ「乱暴にしないから、少し胸貸して」

    ライナー「む、うーん…まあいいぜ」

    ベルトルト「覚悟はしておきな、ライナー」コソッ

    ライナー「ああ。もし俺が変な声出そうになってたら迷わず頬を殴ってくれ」コソコソ

    ベルトルト「オッケー」コソコソ

    アニ「じゃ、いくよ」

    ライナー「ばっちこい」

    アニ「…」サワサワ

    ライナー「…」

    アニ「もういいよ。ありがと」

    ベルトルト「!?」

    ライナー「お、おう…?」
  6. 6 : : 2017/02/03(金) 00:43:41
    アニ「…(さっきと同様、ハートマークは跡形もなく消えてるね…こいつらの反応を見る限り、私を驚かすための手の込んだおふざけってわけでもなさそうだ。そもそも見えてないみたいだし)」

    アニ「…」

    アニ「(なんだか…目をこらして相手を見つめるのをやめた瞬間、ハートマークが消える気がする)」

    アニ「(つまり凝視している時に限って、あのハートマークは見えるってこと?)」

    アニ「(…もう一回やるか)」ジッ

    ベルトルト「どうだった?」

    ライナー「思いの外ソフトタッチだった」

    アニ「…」ジィッ


    ライナー「まったく拍子抜けしたぜ…」
    ♡♡♡♡♡

    ベルトルト「僕とはえらい違いだな…アニは一体、僕になんの恨みが…」
    ♥♥♡♡♡


    アニ「(…私が立てた仮説は正しかったみたいだね)」

    アニ「(二人ともハートは5個…でも、色が違うな)」

    アニ「(えーと…ライナーが白いハート5個に、ベルトルトは…赤いハート2個と白いハート3個)」

    アニ「(…妙な幻覚。何か意味があるの?私にはさっぱりだけど)」

    アニ「(というか私、頭逝ったのかな…)」
  7. 7 : : 2017/02/03(金) 12:11:51
    ライナー「…やべ、訓練始まっちまうぞ。急いで食わねえと」ガツガツ

    ベルトルト「やばいやばい」ムシャムシャ

    アニ「(ハート…ハートといえば…ライフ?もしかして残存HPみたいな?)」

    アニ「(そしたらライナーには空を意味するであろう白のハートしか残ってないから…既に死んでることになるんだけど)」チラッ

    ライナー「ん?食い方の汚さは許せよ。非常事態だからな」ガツガツ

    アニ「(まだピンピンしてるね。不気味なくらいに)」

    アニ「(…もしくは…これ、虫の知らせってやつかな)」

    アニ「…」

    アニ「(あれ?命に関する不吉な前兆と言ったら…"死"以外無くない?)」

    ベルトルト「…アニ?食べないの?」

    アニ「ライナー、今日一日は私と組んで」

    ベルトルト「!?」

    ライナー「!?」

    ベルトルト「ライナー…君はいい奴だった」

    ライナー「殺すな」
  8. 8 : : 2017/02/03(金) 12:32:31
    対人格闘訓練


    ライナー「まったく覚えがねえけど…何かしたんなら先に謝っとく」

    アニ「別にサンドバッグにしようってわけじゃないから」

    ライナー「(本当かよ…)」

    アニ「…じゃ、いくよ」スッ

    ライナー「(こいつ、こうしてやる気出すと容赦ねえんだよなあ)」

    アニ「」フッ

    ライナー「(そら来た…ん?)」バシッ

    アニ「何?」

    ライナー「…いや、なんでもねえ」

    アニ「もっと蹴ってほしいなら、言われなくとも今からやるよ」

    ライナー「そうかありがとな。嬉しくねえけど」

    ライナー「…(妙だな、手加減されてる気がしてならねえ)」
  9. 9 : : 2017/02/03(金) 12:36:23
    アニ「…(適度に手心を加えるっていうのも、難しいもんだね)」

    アニ「(まあ今朝の出来事が、虫の知らせであるという推測が正しければ…こいつはふとした拍子に逝く可能性があるわけだ。今日は一応見張っておこう)」

    アニ「(いくら私達でも、頚椎または脳の損傷に対する回復は保障できないからね…しばらくは本気で蹴れないな)」チラッ

    ライナー「?」

    アニ「(私の蹴りでなんか当たり所が悪くて即死!…とか、シャレにならない)」

    ライナー「(相変わらずのポーカーフェイスだな…何考えてるか全ッ然分からねえ)」
  10. 10 : : 2017/02/03(金) 16:58:42
    立体機動訓練


    ライナー「3人制チームだってな。ベルトルト入れるか」

    アニ「ん」

    ライナー「おーいベルトルト、俺達とチーム組もうぜ」

    ベルトルト「あっ、うん。そうする」

    アニ「…もうすぐ始まるね」

    ライナー「ああ。これは林の中を立体機動で素早く移動することを目的とした訓練だが、かといって調子乗ってスピード出しすぎるなよ」

    ライナー「ゴールに着く頃には2人になってた、なんてごめんだからな」フッ

    ベルトルト「はは…」

    アニ「…そういうライナーこそ一番気を付けなよ」

    ベルトルト「えっ、僕の心配は?」

    アニ「ベルトルトは多分大丈夫」

    ベルトルト「多分」

    ライナー「! 開始合図の信号弾だ、行くぞ!」バシュッ
  11. 11 : : 2017/02/03(金) 21:11:03
    ーーーーーー
    ーーー


    ライナー「…なあ、おい」

    アニ「…」パシュッ!シュウウ…

    ライナー「おーい」

    ベルトルト「アニ、君だよ」

    アニ「え?何?」

    ライナー「なんか距離近くねえ?」

    アニ「普通でしょ」パシュッ

    ベルトルト「いや、僕もそう思う…下手したらライナーと激突しちゃうんじゃ」

    アニ「それはやだな…」

    ライナー「なんだと?もっと近くに行ってやろうか」バシュッ

    ベルトルト「本末転倒」
  12. 12 : : 2017/02/03(金) 21:20:50
    アニ「…」キョロキョロ

    ベルトルト「? どこ見てるの?」

    アニ「…(杞憂かもしれないけど…ライナーに何か危険が迫ってないか、私が近くで見ておかないと)」

    ベルトルト「…アニ?」

    ライナー「余所見してる暇なんてねえぞー…っと、早速前方に大木出現だ。散開する」バシュッ

    ベルトルト「了解」パシュッ

    アニ「…」

    ライナー「聞いてんのか?アニ…っおい!?」

    ベルトルト「!? 危ないっ!」

    アニ「…え?」

    ライナー「クソッ!アニ、構えろ!!」バシュゥッ

    アニ「ぐっ…!」ガシッ


    ガサッ ガサガサ!


    ベルトルト「アニ!ライナー!?」シュゥゥッ
  13. 13 : : 2017/02/03(金) 23:45:07
    ーーーーーーー
    ーーーー


    アニ「(いたた…)」ボロッ

    アニ「(…えーと、何が起きたんだっけ…たしか立体機動してたら、急に横からライナーがタックルかましてきて…)」

    ライナー「…おい、おい!」

    アニ「……んー、うるさいな…」モゾ

    ライナー「意識はあるみたいだな…ったく、立体機動中にマジで余所見する奴があるか」ハァ

    アニ「…(…あれ?ライナーの顔、やけに近くない?)」ジッ

    ライナー「…あー、すまん。助け方が乱暴だったのは謝る。怪我ないか?なるべくお前を庇ったつもりなんだが」

    アニ「(というか私、ライナーと密着してない?…これ、お姫様抱っこってやつ?…は?)」

    ライナー「どうした?どこか痛むのか?」

    アニ「(そんなことより早く離してよ)」パクパク

    アニ「!?(声が…出ない…!)」
  14. 14 : : 2017/02/04(土) 00:10:35
    アニ「(喉に怪我を負った感覚はないし…さっきまで喋れたのに…)」

    ライナー「え…どうしたんだよ、顔をしかめて…」

    ライナー「あ、ああ。こんな体勢になっちまったのは、まあ…なんだその、不慮の事故だ。悪い」


    【それより、助けてくれてありがとう】

    【いいから離してくんない?気色悪いんだけど】


    アニ「!?」

    アニ「(視界に文章が現れた…?)」

    アニ「(なんなの、これ…ハートマークの時と同じ幻覚みたいだけど…)」

    ライナー「…」ジッ

    アニ「(ライナーには見えてないみだいだね…こんなデカデカと存在を主張してるのに)」

    アニ「(…出現したタイミングからして、私の声が出なくなったことと関係してるように感じる)」

    アニ「(どっちかの文章を読めってこと?それともどっちも?)」

    ライナー「…アニ?」スッ

    アニ「(!? この、バカ!余計に顔近づけようとするんじゃないよ!あー、私の考え方で合ってるのかどうかは分からないけど、一か八かだ!)」
  15. 15 : : 2017/02/04(土) 00:31:31
    アニ「【それより、助けてくれてありがとう】!!」

    ライナー「おお…?…どういたしまして?」

    アニ「(声が出た!よし)」

    アニ「腕離して。邪魔」パッ

    ライナー「え、ああ…すまん」


    ベルトルト「ライナー!アニ!ここにいたのか!」パシュッ

    アニ「あ、ベルトルト」

    ライナー「おー…さっきぶり」

    ベルトルト「え、反応軽くない?」ザッ

    アニ「オーバーにリアクションする必要ある?」

    ベルトルト「あるよ!だって、急に僕の目の前からいなくなったんだよ」

    アニ「はあ…」ポリポリ

    ライナー「こいつ…よく覚えてねえな」

    アニ「ご名答」
  16. 16 : : 2017/02/04(土) 00:41:24
    ベルトルト「えーと、あのね…立体機動中アニは木にぶつかりそうになって、その直前にライナーが横から飛び出してったまでは良かったんだけど…」

    ベルトルト「アニ諸共そのまま茂みに突っ込んで斜面を転がってったんだ。もう、びっくりしたよ」

    ライナー「意外と勢いがあって止められなくてな。いやー俺もびびったぜ」ハッハッハ

    アニ「…へえ」

    アニ「(なるほど…話から察するに、ライナーは危ないところを助けてくれたのか。私はタックル喰らった覚えしかないけど)」

    ベルトルト「うわ…ライナーさ、ところどころ擦り傷やらで血が滲んでるけど…平気?服も少し破けてるし」

    ライナー「問題ない。傷は今治しちまうさ」シュー…

    ライナー「服は…オシャレと思えばまあいけるだろ」

    ベルトルト「いけるのか…?」

    アニ「ライナー」

    ライナー「ん?」

    アニ「…悪かったね」

    ライナー「はは、なんだよ。そんなのさっきの礼で十分だぜ」

    ライナー「それより遅れを取り戻そう。もう一度出発だ!」バシュッ!
  17. 17 : : 2017/02/04(土) 10:49:16
    ーーーーーー
    ーーー


    アニ「(あの時、急に現れた文章は…一体なんだったんだろ)」ボーッ

    ベルトルト「アニ、晩御飯冷めちゃうよ」

    アニ「ああ、うん」モグモグ

    アニ「(まあ、その後の訓練も普通に終わったし…結局ライナーには何も起きなかったな。あのライフゲージは虫の知らせでも何でもなかったのか)」モグモグ

    アニ「(……このハートって、他の人のも見れるのかな)」ゴクン

    アニ「…」ジィッ

    ベルトルト「た、大変だライナー…アニが四方八方にガンを飛ばしだしたぞ」ヒソヒソ

    ライナー「触らぬ神に祟りなし、だ。スルーしとけ」ヒソヒソ
  18. 18 : : 2017/02/04(土) 11:03:26
    サシャ「えっ!このパァンくれるんですか?ありがとうございます、いただきます!」

    コニー「誰もやるなんて言ってねえよ!?返せ俺のパン!」



    アニ「(…うーん、サシャからは何も見えないな)」

    アニ「(コニーからもハートは見えな…)」

    アニ「!?」ガタッ

    ベルトルト「」ビクッ サッ

    アニ「あ…悪いね、ベルトルト。びっくりさせちゃって」

    ベルトルト「う、ううん」ホッ

    ライナー「反射的に胸守るなよ」ヒソヒソ

    ベルトルト「だってあれ…変な声出そうになっちゃうから怖いんだもの。もうトラウマだよ」ヒソヒソ

    ライナー「わかる」
  19. 19 : : 2017/02/04(土) 11:18:28
    アニ「(ハートが一つしかなくて見落としかけたけど…確かにある。白いハートだ)」ジッ

    アニ「(他の奴らは…?)」


    ミカサ「エレン、パンクズが付いた」

    エレン「えっどこ?ここか?」フキフキ
    ♡♡

    ミカサ「違う、私の口に。さあ取って」ズイッ

    アルミン「そういうパターンかあ…」



    アニ「(ミカサは無し…けど、エレンとアルミンにも同じように白いハートが見える)」

    アニ「(…さっきから男ばっかりだな)」

    アニ「(食堂全体を見渡してみても…ハートは男にしかついてない。しかも、どれも白いのが1つだけ)」

    アニ「(例外はベルトルト、ライナー、エレンだね…)」

    アニ「(これが意味することって…)」

    ベルトルト「アニ!逃げて!」

    アニ「!?」
  20. 20 : : 2017/02/04(土) 11:28:07
    サシャ「パァン!」サッ!ダダダッ

    コニー「返せよオイ!」

    ジャン「いくつ盗れば気が済むんだコラ!」


    アニ「…なにあれ…」

    ライナー「あー取られちまったか…いやな、さっきからサシャが暴走しててよ」

    ベルトルト「食堂内を走り回っては、人のパンをかすめとっていくんだ…」

    アニ「…あれもう、半分齧ったやつなんだけど。いいのかな」

    ベルトルト「サシャにとって重要なのは、食べ物かどうかだから…いけるいける」

    ライナー「かわいそうなアニちゃんには俺のパン半分やるよ。出血大サービスだぜ」チギリ、スッ

    ベルトルト「あっ…ぼ、僕も」スッ

    アニ「…(多い)」
  21. 21 : : 2017/02/04(土) 15:14:13
    ーーーーーー
    ーーー


    アニ「げふ」

    アニ「(ふう…あんな騒がしい場所じゃ、おちおち考え事もできやしない)」

    アニ「(しばらくはこの倉庫に身を潜めるとしよう)」ヨイセ


    アニ「(えー、現状において分かっていることは…)」

    アニ「(あの幻は私にしか見えてない。それと、ハートがついているのは男子だけ。人によってハートの色、数に差異があるのは…何か法則性があるんじゃないかとは思うけど)」

    アニ「(…昼間遭遇した、宙に浮かぶ謎のメッセージについても気になるね…)」

    アニ「(実は私が病気で、全て本当の幻覚症状だっていう線もあるけど…それにしては唐突過ぎるよ)」


    アニ「……だめだ、考えれば考えるほどわかんない」

    ライナー「何がだ?」

    アニ「!」ファイティングポーズ

    ライナー「待て、俺だ!落ち着け」

    アニ「なんだ…あんたか」スッ

    ライナー「驚くたびに構える癖やめろ…心臓に悪い」

    アニ「おどかす方が悪いんじゃないの。あー、あとちょっとで殺るとこだった」

    ライナー「漢字が不穏」
  22. 22 : : 2017/02/04(土) 15:24:51
    ライナー「つか、何でこんな所にいんだ?」

    アニ「…ちょっと考え事しに来ただけだよ。あんたの方は何の用?」

    ライナー「ひとりでここに入ってくお前を見かけてな、つい後を追っちまっただけだ。特に用はない」

    アニ「そう、じゃあね」

    ライナー「はは…冷たいこと言うなって。もっと語ろうぜ?」

    アニ「あんたと二人で何話すのさ…今更」

    ライナー「そうだなー…あ、体の調子はどうだ?どこか痛めなかったか」

    アニ「おかげさまで元気だよ。というか、怪我なら治すし」

    ライナー「治すのは結構だが、あんまり人前でやんなよ?」

    アニ「そっちこそ」

    アニ「…服、穴開いてるね」

    ライナー「あ?ああ…今日破けたとこか。新しいの買わねえとなあ…まあ制服は丈夫なだけあって、こいつだけでも無傷だったのは幸いだ」

    アニ「…」

    ライナー「替えきかねえからな」

    アニ「…」

    ライナー「…」

    ライナー「……ん?」


    アニ「…(嘘でしょ…)」
  23. 23 : : 2017/02/04(土) 15:38:35


    【それ、私が縫うよ】

    【それ、私が弁償するよ】



    アニ「(このタイミングで…?どういう基準で発動してんの、これ…)」

    ライナー「…」チラッ

    アニ「(ちょっと、ライナー…!律儀に私の返事待ってないですぐ隣で起きてる異変に気付け、バカ!)」パクパク

    アニ「(あー、もう。また声が出ない……わかったよ、どっちか言えばいいんだろ)」ハァ

    アニ「(えーと、裁縫か弁償?…どっちも嫌)」

    アニ「(だけど、まあ…しいて言うなら弁償かな。裁縫なんてできないし)」


    アニ「【それ、私が弁償するよ】」


    ライナー「…何?」

    アニ「あー、あいうえお(…よし、喋れるようになった)」

    ライナー「!?」

    アニ「気にしないで。ただの発声練習だから」

    ライナー「そ、そうか…」
  24. 24 : : 2017/02/04(土) 20:05:17

    ライナー「弁償っていうのもなあ…女子に金使わせんのは気が引ける」

    アニ「だよね。やめとくか」

    ライナー「…あ、だったらこうしようぜ」

    アニ「……は?」
  25. 25 : : 2017/02/04(土) 20:21:14
    ーーーーーー
    ーーー

    翌日


    アニ「…あのさ」

    ライナー「ん?」

    アニ「どうして休日にあんたと出かける流れになるのさ」

    ライナー「いやー次の日が休みでちょうどよかったな」ハッハッハ

    アニ「聞きなって」バシッ

    ライナー「いてっ、まったくこいつは……だから言ったろ?今日、アニは俺に新しい服を買う。俺はその代わりに飯を奢る」

    アニ「…はあ」

    ライナー「どうだ、完璧だろ」

    アニ「いや、二人で行く必要ないでしょ。服ぐらい私ひとりで買ってこれるから」

    ライナー「ほほう。その様子だと、俺のスリーサイズは当然把握してるみたいだな?」

    アニ「上から、129.3、129.3、129.3㎝」

    ライナー「それ、ドラえもんのスリーサイズじゃねーか。一瞬感心しかけた俺がバカだったわ」

    アニ「バレた」
  26. 26 : : 2017/02/04(土) 20:30:53
    ライナー「男物の服も買ったことないくせに、見栄張ろうとするんじゃない」デコピン

    アニ「!」ペシッ

    ライナー「ふ、さっきの仕返しだ」

    アニ「…(痛い)」チッ

    アニ「だから…サイズとか指定してくれれば買いに行ったってば」サスサス

    ライナー「わかってねえなあ。それだと俺が気ぃ遣うだろうが」

    ライナー「とにかく今日は俺の後をついてこい。それだけでいいんだ、な?」

    アニ「…!」


    【…うん】

    【嫌】


    アニ「(あー…ここで選択肢来る?)」

    アニ「(三回目ともなると、さすがに慣れてきたね)」ハァ

    アニ「(…この選択が、何を意味してくるかはわからないけど…答えはもちろん)」
  27. 27 : : 2017/02/04(土) 20:34:32
    アニ「【嫌】」スタスタ

    ライナー「…だろうな。言うと思ったぜ」

    ライナー「ちなみにそっちは目的の店と逆方向だぞー」

    アニ「…」クルッ スタスタ
  28. 28 : : 2017/02/04(土) 21:23:19
    アニ「ったく…ちゃんと道案内しなよ」

    ライナー「ええ…」

    ライナー「まあここから近いとこにあるからな、安心しろ。すぐだぞ」スタスタ

    アニ「…人、多いね」スタスタ

    ライナー「あー、みんな休日を満喫しに来てんだろうなー」スタスタ

    アニ「…」スタ…

    ライナ「その角を右に曲がって……」スタスタ

    ライナー「ほら着いたぜ。近いだろ?」クルッ

    ライナー「…」

    ライナー「いねえ」
  29. 29 : : 2017/02/04(土) 21:33:22
    アニ「はー…(あいつとはぐれた)」

    ライナー「おっ、ここにいたか…探したぞ」スタタ

    アニ「…さっきぶり」

    ライナー「5分ぶりだな」

    アニ「あと少ししたら帰ろうか迷ってたんだけど…運がいいね」

    ライナー「すっぽかす気満々だな。こいつはひでえや」

    アニ「今日待ち合わせ時間ちょうどに現れただけでも感謝してよ」

    アニ「で、店はどこなの」

    ライナー「…」

    アニ「…ライナー?」

    ライナー「手、繋ぐか?」

    アニ「(は?)」

    アニ「!!(声が出ない…!ってことは…)」


    【…うん】

    【嫌】


    アニ「(…だよね)」

    アニ「(というか、さっきと選択肢変わってないじゃん。仕事雑になってきてない?)」

    アニ「(まあいいや…ここも答えは…)」
  30. 30 : : 2017/02/04(土) 21:40:16
    アニ「【嫌】」

    ライナー「おいおい。あんな短時間ではぐれるようじゃ、また迷子になるのがオチだぜ?」

    アニ「嫌なものは嫌。恋人ごっこなんて柄じゃないし」

    ライナー「あー…いや、そういうんじゃなくてだな…」

    ライナー「ただ、はぐれることが無いようにしたいだけなんだ。ほら…俺の腕掴むだけでもいいから」スッ

    アニ「いいって」グイ

    ライナー「なら、俺がお前の腕を掴むぞ」

    アニ「その時は痴漢って叫ぶから覚悟しておいて」

    ライナー「この野郎…」
  31. 31 : : 2017/02/04(土) 21:55:26
    アニ「(嫌にしつこいな。こいつ、こんなにねちっこい奴だったっけ…)」

    ライナー「分かった、妥協案だ…俺がお前のフードを引っ張って行く。いいな?」

    アニ「は?」

    ライナー「じゃ行くぞー」グイ

    アニ「ぐえ」ズルズル


    ライナー「着いた」パッ

    アニ「首が絞まった」

    ライナー「じゃちょっと待っててくれ」サッ

    アニ「…?」

    アニ「(あいつ、一人で店の中入っていった…)」ケホ


    ライナー「待たせたな」サッ

    アニ「早い。2分26秒」

    ライナー「これは世界新記録」

    アニ「…本当、ばかに早くない?ちゃんと買ったの?」

    ライナー「おう。待たせるのも悪いかと思ってな」

    ライナー「次は飯食い行こうぜ」スッ

    アニ「…あ、服のお代」

    ライナー「どこにすっかなあ」スタスタ

    アニ「(聞いてないし…)」

    アニ「(というか、いつの間にか手掴まれてるし…)」ギュ

    アニ「(…後で蹴ろう)」
  32. 32 : : 2017/02/04(土) 22:10:40
    ーーーーー
    ーーー


    ライナー「ふー、今日は楽しかったな」

    アニ「…そう?服買ってご飯食べただけでしょ」

    ライナー「こういうのが帰り際の決まり文句なんだよ。嘘でも同調しとけ」

    アニ「あー楽しい楽しい」棒読み

    ライナー「よし」

    アニ「(いいのか)」

    ライナー「まあ、今日は付き合わせて悪かったな。部屋まで送るぜ」

    アニ「女子寮覗く気?」

    ライナー「フッ、俺がそんなことするはずないだろ?冗談だっての。じゃまたな」

    アニ「はいはい…じゃあね」

    ライナー「…あ、最後に一つ聞いてもいいか」

    アニ「…何?」

    ライナー「迷惑だったか?こういうの」

    アニ「(こういうの?こういうのって…)」

    アニ「(うっわ、また声出ないし…最悪…)」


    【そうだね】

    【別に】


    アニ「(はい出た……頻度高いな、今日)

    アニ「(迷惑…迷惑ね…うーん、どっちでもいいな)」
  33. 33 : : 2017/02/04(土) 22:21:05
    アニ「(無難な方選んどくか)」

    アニ「【別に】」

    ライナー「…そうか。なら良かった」

    ライナー「今度こそまたな。いい夢見ろよー」

    アニ「ん」スタスタ


    アニ「…(今日、結局私からは一円もお金出してないな…借りを作りっぱなしにするのも気持ち悪いし、いつか返そう)」スタスタ

    アニ「(あー…妙な一日だった。頻繁に出てきた選択肢は一体なんだったんだろ…会話を遮られる以外に害はないみたいだけど)」

    アニ「(そういえばハートマークと関連性はあるのかな。選択肢によってハートが増減する…とか)」

    アニ「…明日朝食の時間にでもライナーのゲージを見るとするか」


    アニ「(あ、蹴るの忘れた)」
  34. 34 : : 2017/02/04(土) 22:39:32
    ーーーーーー
    ーーー


    翌朝


    アニ「おはよ」

    ベルトルト「ああ、うん…おはよう」

    ライナー「席とっといたぜ」

    アニ「…なんか、いつも以上に元気ないね。ベルトルト」

    ベルトルト「……そうかな」

    ライナー「昨日は悪かったって。パンやるから許せ」

    ベルトルト「別に…許すも何も、怒っちゃいないよ」

    アニ「?…なんの話?」

    ベルトルト「…いや、その…ライナーは僕が拗ねてると勘違いしてるんだ」

    アニ「はあ…?」

    ライナー「拗ねてるだろ」

    ベルトルト「拗ねてないよ」

    ライナー「いいか…ベルトルト。俺はお前を仲間はずれにしたかったわけじゃないんだ」

    ライナー「ただ、急遽決まったもんだからな…お前にも既に予定があるだろうし、言うほどのことじゃねえかなって伝えずにいたんだ。すまん」

    ベルトルト「もう…そんなに謝るぐらいなら、初めから「昨日はひとりで出かけてた」って答えればよかったじゃないか」

    アニ「(話の内容からするに、昨日私とライナーが出かけたことについてかな)」

    アニ「(この隙に二人のライフゲージ見とこ)」ジィッ



    ライナー「嘘はいずれバレるだろ」
    ♥♡♡♡♡

    ベルトルト「そこはうまく隠し通してよ…」
    ♥♡♡♡♡



    アニ「(…あれ?二人とも同じ状態になってる)」

    アニ「(確かライナーは全部白で、ベルトルトは赤が2つあったはずなのに…)」
  35. 35 : : 2017/02/04(土) 22:48:29
    ベルトルト「ねえ、アニはどう思う?」

    アニ「(まずい、全然聞いてなかった)」

    ライナー「この場合嘘つくのはおかしいよな。別に後ろめたい事でもねえし」

    ベルトルト「けど、言われた方も困るじゃないか。どう反応したらいいかわからないし…気分良くないのはわかるだろ」

    ライナー「嘘ついてまで隠してるのを知った時の方が気分悪いとは思うけどな」

    ライナー「アニはもし俺の立場だったらどうした?黙っておく派か?それとも俺同様正直に伝えるか?」

    アニ「(えー…急にそんな事言われても)」

    アニ「(って、声出てないし…例の選択か)」

    アニ「(…だんだん怒りを覚えてくるね、この現象)」イライラ
  36. 36 : : 2017/02/04(土) 22:56:46

    【ライナー】

    【ベルトルト】



    アニ「(いちいち会話を遮ってきてさあ…あー、やっと出た)」

    アニ「……」

    アニ「(え、なんかおかしくない?二人の名前が選択肢…?)」

    アニ「(今まで一応会話として成立しそうな文章ばっかり表示されてきたのに…ここに来て何が…)」

    アニ「(…まるでどちらか二人を選択しろと言わんばかりだね)」

    アニ「(面倒くさい、深く考えずにいこう)」
  37. 37 : : 2017/02/04(土) 23:10:28

    アニ「【ライナー】」


    アニ「(ただ遊びに行ったのを、隠すなんて変だし…私はライナーと同意見かな。不本意だけど)」

    ベルトルト「! そ、そっか…アニも…そうなんだ」

    ライナー「…2対1みたいになっちまったけど、元々悪いのは声かけなかった俺の方だ。すまん」

    ベルトルト「はは…いいよ、僕達ももう子どもじゃないんだし…黙って誰かと出かける事ぐらいあるよね」

    ライナー「俺達が仲間であることには変わりないからな?」

    ベルトルト「わかってるさ。それより早く朝食を片付けてしまおう」モグモグ

    ライナー「おう」ガツガツ


    アニ「…(よくわかんないけど、丸く収まったみたいだね)」

    アニ「(でも、相変わらずベルトルトは元気なさそうな顔してるな……もしかして、気分の状態とハートの変化って関係ある?)」

    アニ「(調査も兼ねて…今日の訓練はベルトルトと組むか)」
  38. 38 : : 2017/02/04(土) 23:19:06

    エレン「なあアニ、ちょっといいか?」

    アニ「え…何?(タイミング悪いなこいつ)」

    エレン「今日の対人格闘、俺と組んでくれよ」

    アニ「…(本当タイミング悪いなこいつ…)」

    エレン「俺さ、あれから猛特訓したんだ。教えてもらった技もマスターしたし…」

    アニ「…へえ…あの技、使いこなせるようになったんだ」

    エレン「おう。で、組むか?組まないのか?」

    アニ「…まあいいよ。付き合ってあげる」

    エレン「おっ、そう来なくっちゃな。もう前回のようにはいかないぜ?特訓した成果を見せてやる!」

    アニ「はいはい…」

    アニ「…(エレンも、ハートの付き方に他と違いが見られたうちのひとりだし…感情が激しいこいつなら、ハートとの関連性が何かわかるかもしれない)」
  39. 39 : : 2017/02/04(土) 23:43:41
    ーーーーーー
    ーーー


    アニ「(口程にもなかった)」

    エレン「ぐえ…」ボロッ

    アニ「今回はここらで勘弁してやるよ」テクテク

    エレン「ま、まだだ…もう一回!」

    アニ「はあ…あんたに何かあったら、ミカサに〆られるのは誰だと思ってるんだい?」

    エレン「ああ?ミカサは今関係ねえだろ?それよりもう一回、勝負だ!」バッ

    アニ「(いや…そのミカサが今もこっちを眼光鋭く睨みつけてるんだけど…)」チラッ

    エレン「おし、もらった!」ガシッ

    アニ「は?ちょっ…」


    ドサァッ
  40. 40 : : 2017/02/05(日) 13:17:54
    エレン「やった…マウントをとったぞ!」

    アニ「バカ!今のは卑怯だろ…ッ!」ググ

    アニ「(こいつ、乙女を地面に組み伏せやがって…くそっ、さすがにこの体勢に持ち込まれると身動きがとれないね…)」グググ

    アニ「(腕も抑え込まれてるし…ここでこいつがパンチを繰り出してくれたら、上体が浮いた隙に反撃に出れるんだけど)」

    エレン「どうだ、まいったか!」ヘヘ

    アニ「…(勝った気になってないで、早くアクション起こしてよ)」イラッ
  41. 41 : : 2017/02/05(日) 13:34:18
    ベルトルト「…エレン、それはやり過ぎじゃないか」

    エレン「え?」

    アニ「!(ベルトルト…)」

    アニ「(いや今いいとこなんだけど)」ジタバタ

    ベルトルト「もうそろそろ訓練の時間も終わるし…早くどきなよ」

    エレン「あ、ああ…悪い。つい夢中になっちまって」スッ

    アニ「ちょうど反撃に出ようと思ってたところだったんだけどね…水差してくれてありがとう」

    エレン「続きはまた今度だな…ごめんな、アニ。立てるか?」

    アニ「当たり前ーー」ガクッ

    アニ「(うっ…)」フラァ

    ベルトルト「! …大丈夫?」ガシッ

    アニ「…足捻ってたみたい。まあ、これぐらいどうってことないよ。平気」スッ

    エレン「なっ…平気じゃねえだろ!医務室行くぞ!」

    アニ「(ええ…)」

    ベルトルト「…いや…僕が連れてくよ。ミカサの視線がさっきから痛いほどこっちを刺してくるんだ」

    エレン「はあ…?怪我させたのは俺のせいだ。その俺が連れてくのが筋だろ?」

    アニ「(あっまずいこの流れは)」
  42. 42 : : 2017/02/05(日) 13:51:14


    【じゃあベルトルトお願い】

    【ここはエレンに連れて行ってもらうよ】


    アニ「(出た…恒例の…)」

    アニ「(段々出現するタイミングが読めつつあるね)」

    アニ「(この場合エレンと2人きりになったら、後でミカサに何されるかわかんないしな…ここはベルトルトしかないでしょ)」

    アニ「【じゃあベルトルトお願い】」

    エレン「ええ!?」

    ベルトルト「わかった」コク

    アニ「大体、エレンじゃろくな手当も出来そうにないし」

    エレン「な、なんだよそれ!」

    エレン「…まあ、アニがそう言うなら俺は従うまでだけどな。怪我させて悪かった」

    エレン「じゃ、任せたぞベルトルト」

    ベルトルト「…君は早くミカサのフォローに行った方が良いと思うよ」

    エレン「おう…?」
  43. 43 : : 2017/02/05(日) 17:25:06
    医務室


    ベルトルト「どう?痛む?」

    アニ「特定の方向に動かさなければ痛みはないね。多少歩き方がぎこちなくなるぐらいだよ」クイ

    アニ「包帯を巻くほどではないかな」グッグッ

    ベルトルト「そうか…」

    ベルトルト「うーん、エレンに見られてるしな…治さずにいた方が自然かもしれない。せめて、今日一日は」

    アニ「面倒だけど…仕方ないね。そうするよ」

    ベルトルト「そろそろ行こっか」ガタッ

    アニ「うん」
  44. 44 : : 2017/02/05(日) 22:57:06

    アニ「…」テクテク

    ベルトルト「…」テクテク

    アニ「…あのさ、なんで腕組んでるの」

    ベルトルト「えっ…?その方が…歩きやすい、かなって」

    アニ「身長差考えてくれる?」

    ベルトルト「…屈む?」ヒョイ

    アニ「…違う。やめて欲しいって言ってるの」

    ベルトルト「ど、どうして」

    アニ「変に思われるだろ」

    ベルトルト「…」

    ベルトルト「変に思われたら、だめなの」

    アニ「…」

    アニ「(あれっ声が出ない)」
  45. 45 : : 2017/02/05(日) 23:38:37
    アニ「(このパターンは)」


    【だめでしょ】

    【なんでそんなこと聞くの?】


    アニ「(だよね…)」

    アニ「(油断したな…なんか悔しい)」チッ

    アニ「(こんなの、答えは決まってるよ)」

    アニ「【だめでしょ】」

    ベルトルト「…」

    アニ「あんまりくっついてると、周りから関係性を疑われるだろ。そうなったら計画に支障が出る」

    ベルトルト「あ、ああ…うん。そうだね」

    アニ「…文句ある?」

    ベルトルト「なっないよ!」ブンブン

    アニ「ならいいけど」

    アニ「…」

    アニ「(…なんか、最近ライナーとベルトルトの様子がおかしい気がする)」

    アニ「(まさか、選択肢の影響?)」

    アニ「…あ、手離して」パッ

    ベルトルト「う、うん」
  46. 46 : : 2017/02/06(月) 03:19:06
    兵法講義


    アニ「(もうこの幻覚に慣れが生じてるけど…やっぱり、異常だ)」

    アニ「(…2人に相談した方がいいかもしれない)」チラッ

    ベルトルト「…」ウトウト

    アニ「…(講義中に寝るんじゃないよ…まったく)」ハァ

    ライナー「…ん?なんだ、分かんない所でもあるのか」

    アニ「…」

    アニ「」ガサゴソ

    アニ「ん」スッ

    ライナー「おう?」

    ライナー「(メモ回してくるなんて珍しいな…どれどれ、内容は…)」ペラッ

    ライナー「…」

    アニ「(ベルトルト、起きな)」ペシッ

    ベルトルト「!」ビクッ
  47. 47 : : 2017/02/10(金) 04:34:02
    ーーーーー
    ーーー
     

    ライナー「よう、来たぜ」

    アニ「…待ってたよ…早速だけど、本題に入らせてもらうよ」

    ライナー「ああ」

    アニ「…」

    アニ「一人足りなくない?」

    ライナー「え?」

    アニ「バカみたいにでかい奴が一人欠けてるよね」

    ライナー「バカとはひどい言い様だな」

    アニ「あのさ、真面目な話…なんで連れてこなかったの?」

    ライナー「俺はメモの通り行動したまでだぜ?」

    アニ「メモをしっかり読んでたならこんなミス犯さないはずだよ…あそこにはちゃんと書いてあったはずだ」

    ライナー「〝話がある。夜、兵舎裏に集合〟だろ?」

    ライナー「ベルトルトのベの字もないぞ」

    アニ「…」

    アニ「(こいつ…いつも二人でワンセットで行動してるくせに、今回だけ単体行動を選ぶなんて…!誤算だった)」イラァ
  48. 48 : : 2017/02/10(金) 20:26:18
    ライナー「ん、どうした」

    アニ「はあ…まあいいや。あんただけにでも伝えておくよ」

    ライナー「いいぜ。どんと来い」

    アニ「…私さ……最近、おかしいんだ」

    ライナー「…ほう」

    アニ「ふざけてるように思われるかもしれないけど…これでも真剣に悩んでるんだよ」

    ライナー「別にバカにしたりなんかしねえよ。俺だって似たようなもんだからな」

    アニ「…それどういう意味?」

    ライナー「そのまんまの意味だ」

    アニ「? まあ…あんたもここのところおかしいよね」

    ライナー「そうだな。前とは違う状態になりつつある」ジリッ

    アニ「…ライナー?」

    ライナー「…」

    アニ「なんで…距離詰めてきてるわけ?」

    ライナー「…今日は冷えるからな」スッ

    アニ「!?」
  49. 49 : : 2017/02/11(土) 05:36:27
    アニ「」ゲシッ!

    ライナー「痛え!!」ガクッ

    アニ「あんた…本当におかしいよ…」ダッ

    ライナー「っ、待て!アニ!」



    アニ「(嘘でしょ…あれって完全にハグしようと)」タッタッ

    ベルトルト「…うわっ!」ドンッ

    アニ「!」ドシンッ

    ベルトルト「ア、アニ…?ごめん、立てる?」

    アニ「…平気」スッ

    ベルトルト「どうしたの?そんなに走って…」

    アニ「…そういうあんたは?」

    ベルトルト「僕はライナーを探しに来たんだ。彼、外に出て行ったって聞いたから…」

    アニ「…」

    ベルトルト「アニ?もしかしてライナーと会ったの?」

    アニ「…」
  50. 50 : : 2017/02/19(日) 07:43:16
    【会ったよ】

    【会ってないよ】


    アニ「…」

    アニ「…【会ったよ】」

    ベルトルト「…それって……」

    ベルトルト「…ううん、何でもない」

    ベルトルト「僕…やっぱり寮に戻るよ。おやすみ…」

    アニ「…おやすみ」
  51. 51 : : 2017/02/19(日) 11:24:42

    それ以降、ベルトルトの態度は冷たくなった。
  52. 52 : : 2017/02/19(日) 11:43:06
    何故なのか、はっきりとした理由は分からないけれど…ベルトルトとライナーがおかしくなった事に、幻が関わってるのは明らかだ。

    そう考えた私は、度々現れる選択肢に対し、慎重になっていった。



    アニ「(前と違って、自分の感情に反してでも無難なものを選びがちだ)」

    アニ「(でも…ベルトルトに続いてライナーまで関係が悪化したら困るし、仕方ないよ)」

    アニ「(…何を選択しても二人のおかしさを助長させているような気もするけど)」

    アニ「…ベルトルト、おはよ」

    ベルトルト「……」ガタッ

    アニ「(これだからな…)」ハァ

    ライナー「おい、どこへ行く」

    ベルトルト「もう食べ終えたんだ。先に部屋戻ってるよ」スタスタ

    アニ「…」

    ライナー「まあ、気にするな。ベルトルトも"あの日"なんだろうよ」

    アニ「…あいつ男だから」

    ライナー「男にだってそういう日があってもいいだろ」ニヤ

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akasa

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