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MACROSS 7 ~Re.FIRE!!~ PARTⅡ

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  1. 1 : : 2016/11/28(月) 12:24:56
    MACROSS 7 ~Re.FIRE!!~の続編です。

    よろしくお願いします(∩´∀`)∩
  2. 2 : : 2016/11/28(月) 12:27:29















    __________ウィンダミア第一次独立戦争。



    後にそう呼ばれることになるその戦争は、些細な誤解やすれ違いから始まった。







  3. 3 : : 2016/11/28(月) 12:28:48









    「ようし、いいぞ・・・・・・ハインツ!」





    王都、ダーウェントにあるウィンダミア人の巨大な王宮。

    寒冷な山岳地帯の中に、牙を剥くように聳え立つ城の中の一室において、11歳の少年が、1歳の赤子をあやしていた。






    金色の長い髪に、水色のひし形のルンを二つもつ少年。これは紛れもなくウィンダミア人である証。

    キース・エアロ・ウィンダミア――――・・・・・・・・・・・・後の“ダーウェントの白騎士”となるこの男も、今は未だ弟を無邪気に愛する純朴な少年。






    その弟こそ、ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミア――――・・・・・・・・・・・・後にウィンダミアの王、そして“風の歌い手”となり、銀河を恐怖に陥れることとなる。







    もっとも今は、後に待ち受けるそんな運命など知る由もなく、キースは何とか立ちあがって歩こうとするハインツを一生懸命に励ましていた。






    「ハインツ様はもう歩けるようになったのか。」





    キースとハインツを、少し離れたところから、椅子に座って本を片手に眺めているのは、キースより一歳年上であるロイド・ブレーム。

    灰色の長い髪を後ろに束ね、前髪には水色のひし形のルンが二つ。




    後のウィンダミアの宰相は、その眼鏡の奥にある優し気な目で、キースとハインツの仲睦まじい様子を眺めていた。







  4. 4 : : 2016/11/28(月) 12:35:07








    ガチャリと扉の開く音が部屋の中に響く。

    キースとロイドが音に気が付いて扉のほうを見、それから、跪いて首を垂れた。






    「おかえりなさいませ、グラミア陛下。」

    「うむ。」





    キースとロイドが声をそろえてグラミアを出迎えると、グラミアはそっと、ハインツへと近づいていく。

    ハインツは、父親が近付いてきたことに気が付くと、眩しいくらいの笑顔を見せた。




    戦いの疲れなど微塵も感じさせないよう、グラミアはグラミアなりに気を遣っていた。


    その気遣いに気が付かないキースとロイドではなく、聞きたいことをぐっと飲みこんで、二人は静かに頭を下げたまま。








    「キース、ロイド・・・・・・。」



    すると、グラミアのほうから今朝起こった出来事について話を切り出した。

    「はっ。」と返事をして頭を上げたキースとロイドを、グラミアは厳しい目で見つめた。






    「心して聞くのだ・・・・・・。今朝、私は・・・・・・民間機を一機、撃墜した。」

    「!!」






  5. 5 : : 2016/11/28(月) 12:36:07







    予想外の一言に、キースとロイドは動揺を隠せない様子だった。

    二人の風が乱れるのを察したグラミアは、しかし、構わずに話を続ける。






    「予想外の出来事であった。あの赤い民間機は・・・・・・・・・・・・戦場で“歌”を歌っていたのだ。」

    「う、歌ですか!?」





    余りにも予想外の言葉に、ロイドが思わず声を漏らす。

    すぐさまキースが諫めたが、グラミアは「構わん。」とキースを制した。






    「暫くして、統合政府の戦闘機が割り込んできた。そして、彼らとの戦闘になった私は、敵機を撃墜しようと引き金を引いた。

    だが、あの時、あの民間機は敵機を・・・・・・・・・・・・庇いおったのだ。」







    キースとロイドが驚愕と困惑の表情を浮かべる中、グラミアは目を閉じ、思いを巡らせる。




    あの民間機に乗っている男は―――――信じがたいことだが、このウィンダミアに歌を聴かせに来たのだ。

    本当に、ただ歌を聴かせるためだけに・・・・・・・・・・・・。







    ただ、不可思議なことに、撃墜した機体は回収できたものの、中に乗っていた男の姿がなかった。



    機体はあれだけ大破したのだ。無事でいるはずがない。

    では一体・・・・・・・・・・・・何処に?







    「ともあれ、賽は投げられたのだ。心せよ、キース。ロイド。」





    グラミアの厳格な言葉に、キースとロイドは再び首を垂れる。

    厳しい表情を崩さぬまま、グラミアは静かにハインツの部屋を退出した。












    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  6. 6 : : 2016/11/28(月) 14:01:06












    「・・・・・・・・・・・・ん、んん・・・・・・。」







    男が気が付くと、そこはベットの上であった。

    焦点の合わない目に飛び込んでくるのは、小さな窓から注ぎ込んでくる柔らかな光の襞。



    逆立った茶髪を持つ男は、上半身に包帯を巻かれた状態で、ベットの上に横たわっていた。









    「気が付いたようだな・・・・・・・・・・・・熱気バサラ。」








    不意に声をかけられ、首を右へと持っていく。



    ベットの横には椅子があり、そこには・・・・・・・・・・・・深緑の髪を持つ、ガタイのいい男が座っていた。



    顔には髪の色と同じ、深緑の刺青が鼻と両目の下に、赤い刺青が額の右端に入っている。

    そして、前髪の先には、ウィンダミア人の特色であるひし形の赤いルンが二つ付いていた。






  7. 7 : : 2016/11/28(月) 14:03:22








    「なん・・・・・・で・・・・・・俺の・・・・・・名前を・・・・・・・・・・・・?」

    「ギターに名前が書いてあったんでな。」







    男が指を指した先を見ると、なるほど、ネックの部分に丸い眼鏡がかけられた、バサラのギターが立てかけられている。


    ギターの裏には、熱気バサラのサインが刻まれている。







    「驚いたぞ。いきなり歌声が聞こえてきたかと思えば、天から落っこちてきたのだからな。

    あれだけ派手に機体が大破したのに、よく無事でいられたものだ。」





    その男はしげしげと、感心した様子でバサラを眺めていたが、暫くしてはっとしたように自己紹介を始めた。







    「すまない。自己紹介が遅れたな・・・・・・。私の名前はカシム・エーベルハルト。しがないリンゴ農家をしている。」

    「リンゴ・・・・・・農家か・・・・・・。」





    惑星ウィンダミアⅣの片田舎、カーライル地方。

    そこで作られるウィンダミアの名産品である銀河リンゴ、別名ウィンダミア・アップル。



    後に銀河を震撼させる事件の発端の一つになるこのリンゴを、リンゴ農家であるカシムは丹精込めて作っていた。







    「ぐ・・・・・・。」

    「まだ無理をしないほうがいい。」





    無理に体を起こそうとするバサラを、カシムはとっさにベットに押さえつけようとする。

    が、バサラはその手を払いのけると、上半身を起こしつつ、呟くように声を漏らした。






    「俺の、体は・・・・・・歌えば治るように出来てんだよ。」

    「なっ!? 無茶を言うな! 普通だったら絶対安静・・・・・・・・・・・・―――――」






    それ以上は、言葉が続かなかった。



    ふらふらになりながらも、バサラは体を起こし、ベットから起き上がった。

    驚愕するカシムをよそに、バサラはよろめきながらもギターを拾い上げると、丸い眼鏡をかけた。






    が・・・・・・・・・・・・そこで、一瞬視界がぐらり。



    無茶をしたバサラは、その場に倒れて、再び動けなくなってしまった。









    ―――――
    ―――



    ――――――

    ―――


    ―――――
    ――――――



    ――





    ――――







  8. 8 : : 2016/11/28(月) 14:04:09










    バサラが再び気が付くと、辺りはすっかり暗くなっていた。






    丁度カシムが包帯を取り換え終えたばかりだったようで、ベットのそばに立つカシムの手には、几帳面に丸められた包帯が握りしめてあった。

    バサラは、先ほどとは違い、なんだか眠そうな目でカシムに尋ねた。






    「・・・・・・・・・・・・俺は?」

    「無茶をするから、また倒れたのだ。まったく・・・・・・冷や冷やさせる。」






    寝ぼけまなこなバサラを見て、カシムは驚きとともに少し呆れた様子を見せた。

    昨日の朝、空から墜落してきて、瀕死の重傷を負っていたとは到底思えない反応に、カシムは当惑するばかりであった。



    とはいえ、先ほどのように無理に体を起こそうとする様子はないようで、カシムは意図を推し量る、といった様子でバサラに話しかけた。







    「お前は今朝、バルキリーに乗っているのにも関わらず、戦場で歌を歌っていた。」

    「・・・・・・・・・・・・ああ。」


    「率直に問う。何故だ?」







  9. 9 : : 2016/11/28(月) 14:04:53








    直截に尋ねられ、今度はバサラが当惑する番であった。





    「なんでって・・・・・・分からねぇのか?」

    「どう考えても不合理だ。戦場で歌を歌うなど。」


    「戦場だからこそ歌うんだよ。俺は・・・・・・俺のサウンドで人を感動させたい。ただそれだけだ。」






    この男・・・・・・・・・・・・ただ歌うことだけしか考えていないのか?




    ここ、カーライル地方には統合政府の基地も存在し、地球人もほかの地域に比べて多い。

    戦争状態になってしまい、ウィンダミア人と地球人との間には溝が出来てしまったが、それでもほかの地域に比べれば友好を保っているほうだ。



    だからカシムは、地球人のことを知っているつもりでいた。






    だが、この地球人は・・・・・・・・・・・・―――――



    型破りという言葉も生ぬるいほどに、行動が突拍子も無い。

    正直、こんな馬鹿な男は見たことがない。




    しかしながら、愚直なまでに真っ直ぐな熱気バサラの言葉には、熱がある・・・・・・・・・・・・。







    いつの間にか、カシムは笑みを浮かべていた。




    「・・・・・・・・・・・・面白い。今日は夜も遅い。明日だ。明日、お前のそのサウンドとやらを聴かせてもらおう。」

    「いいぜ。ミサイルより爆発力のあるサウンドを聴かせてやるぜ。」








    バサラの巻き起こす熱風に心地よさを感じながら、カシムはバサラが横になっている部屋を後にした。







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  10. 10 : : 2016/11/29(火) 16:27:57








    カーライル地方にある、統合政府の駐屯基地は、肌を刺すような早朝の寒気に負けないくらいに、ピンとした空気が張り詰めていた。





    ウィンダミアの騎士団との戦闘が勃発したことで、遂にウィンダミアから宣戦布告を宣告されるに至り、基地内は地球人やゼントラーディ人が慌ただしく動き回っている。

    ライトとアラドも例外ではなく、自らの機体であるVF-22 シュトルムフォーゲルⅡの整備に追われていた。






    「アラド・・・・・・・・・・・・少しいいか?」




    休憩に入り、一服するアラドに、声をかけるライト。

    アラドは、隊長の話したいことを察したように、静かに答える。






    「先日の、民間機の事ですか?」

    「ああ。お前はあの機体・・・・・・・・・・・・どう思う?」





    率直に尋ねてくるライトに頭を少しひねりながら、アラドは困ったような笑みを浮かべた。






    「そうですねぇ・・・・・・・・・・・・自分にはよく分かりません。」

    「困ったものだな。お前に分からなければ、俺にも分からんぞ。」


    「そうかも知れませんねぇ。」


    「ふっ、からかっているのか、アラド?」







  11. 11 : : 2016/11/29(火) 16:30:50








    たわいもないやり取りに談笑しつつも、ライトとアラドは真剣に考えていた。







    __________あの歌うパイロットは、一体どうなってしまったのか。




    最初の衝突の折、数で劣っていたライトとアラドは退却せざるを得なかった。

    夜の帳が下りるのを待って、黒いシュトルムフォーゲルⅡで出撃したライトであったが、墜落したVF-19Pの機体をついに発見することは出来なかった。





    それに・・・・・・・・・・・・





    「アラド・・・・・・・・・・・・俺はあの歌声に聞き覚えがある。」

    「隊長?」


    「昔、どこかで・・・・・・・・・・・・。」





    すると、2メートル以上の巨躯を持つ男の影が、二人の間に差した。




    緑色の肌を持つゼントラーディ人と地球人のハーフであり、当時の統合軍の指揮官の一人――――――・・・・・・・・・・・・アーネスト・ジョンソン。

    基地の横に鎮座する、800mもの大きさを誇るマクロス級戦艦、マクロス・エリシオンの艦長。






    「ごきげんよう、諸君。お話の途中だったかな?」


    「アーネスト艦長!」

    「お元気そうでなによりです。」





    アラドとライトが頭を下げると、アーネストも艦長の帽子をとって挨拶を送る。

    さて、挨拶が済み、お互いに頭を上げると、アーネストは表情を引き締めた。






  12. 12 : : 2016/11/29(火) 16:31:53








    「話の途中にすまないが、緊急事態だ。」

    「緊急事態?」





    ライトもまた、アーネスト艦長と同様に気を引き締めた様子で答える。

    アラドも目つきを鋭くさせ、ライトに目配せをする。






    「・・・・・・・・・・・・今しがた、未確認機が二機、このウィンダミアⅣの近くにフォールド・アウトした。」

    「たった二機だけですか?」





    アラドが首をかしげると、アーネストは一瞬目を閉じ、それから再び口を開く。





    「その二機は恐らく・・・・・・・・・・・・VF-11とVF-17だ。」

    「!? なぜ、そんな旧式の機体が!?」





    今度はライトが首をかしげる番であった。

    アーネストも目的を図りかねているようで、確信が持てないように話を続けた。





    「恐らく・・・・・・というのは、二機のシグナルが、軍のものと異なるからだ。考えられるのは・・・・・・・・・・・・。」

    「・・・・・・・・・・・・また、民間機というわけですか。」





    顎に手を当て、アラドは考え込む。



    赤い民間機に続いて、今度は旧式の二機の民間機・・・・・・・・・・・・。

    偶然にしちゃ出来すぎている。






    「ちょっと、調査しますかね、隊長?」

    「そうだな、アラド。」


    「今度は見つからないように、慎重に行きましょうかねぇ。」






    二人は頷くと、アーネストに敬礼を送る。






    「気を付けて行って来るんだぞ。」



    アーネストも察したように敬礼を送ると、ライトとアラドは休憩室を飛び出した。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  13. 13 : : 2016/11/30(水) 10:35:37








    惑星ウィンダミアⅣの遥か上空、大気圏外。







    戦闘機形態の二機のバルキリーが、遠く遠く、マクロス7船団からフォールド・アウト。



    一機は白とピンクのVF-11MAXL改 ミレーヌ・バルキリー。

    もう一機は緑と黒のVF-17T改 ストーム・バルキリー。







    「やっと着いたわね。もう、バサラは何を考えてこんなところまで来たのかしら?」

    「さあな。風に流されるままここに来たんだろうさ。」






    不満げに口を尖らせるミレーヌに対し、レイは飄々とした受け答え。

    ビヒーダは相変わらず寡黙であり、レイの後ろの操縦席にて、バチでリズムをとっている。







    __________いつだって私たちは、バサラの自由奔放さに振り回されてきた。




    ライブには頻繁に遅刻するし、

    予告と全く違う歌を歌うこともあるし、




    正直言って、始めはバサラをまったく理解できなかった。

    むしろ、自分勝手なバサラのことを疎ましく思ったくらいだ。






    けれど、いつからだっただろう・・・・・・・・・・・・そんなバサラに、恋をしたのは。







  14. 14 : : 2016/11/30(水) 10:39:25








    馬鹿で、自分勝手で、すぐ目の前からいなくなるのに・・・・・・・・・・・・歌にだけは一生懸命で、文字通り歌に命を懸ける。



    歌っているときのバサラは、とても輝いて見える。

    そんなバサラに合わせることが出来るのは、自分だけだという自負もある。







    私は・・・・・・・・・・・・ガムリンにも恋をしている。





    ガムリンから貰った、ダイヤモンドの結婚指輪は、今でも首にかけてある。

    でも、なぜ指に嵌める事が出来ないのか。





    同じくらいに・・・・・・・・・・・・バサラのことも好きだから。





    このトライアングルは、15年たった今でも、なお三角形の形を保ったまま・・・・・・・・・・・・。

    そろそろ、答えが知りたい・・・・・・・・・・・・。







    この恋の、答えが・・・・・・・・・・・・。












    ミレーヌが物思いに沈んでいると、不意に、計器が波のような音を立て始めた。




    モニターに、静かな波のようなエネルギー波が表示される。

    それは、さざ波のように静かな、すぐにでも消えてしまいそうな波であった。






    「!! レイ!?」

    「ああ、歌エネルギーだ。」







    ドクター千葉の開発した歌エネルギーの測定装置が、歌エネルギーをキャッチ。

    そのエネルギーは、しかし、探している人物とは到底思えないほど、とても弱いものであった。








    「この歌エネルギー・・・・・・・・・・・・バサラにしては弱すぎるわ。」

    「ああ。ここからそう遠くはないし、恐らくバサラとは別人のものだろう。」


    「どういうことかしら?」


    「さあな。だが、行ってみる価値はあるんじゃないのか? 歌のある所に、バサラはきっと現れるからな。」








    飄々と、だが、確信を持ったようにレイは笑みを浮かべる。

    間もなく、二機のバルキリーは、ウィンダミアⅣの地表へと急降下していった。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  15. 15 : : 2016/11/30(水) 16:16:23








    「さて、この村だったな。」






    ライトとアラドは二手に分かれて、未確認機の捜索をすることにした。




    アラドは基地にて、バルキリーに乗った状態で待機。

    合図があればすぐに駆け付けられるよう、センサーを見ながらスタンバイ。



    一方、極力低空を飛んでいたライトは、一旦バルキリーを降りて、カーライル地方の最寄りの村へと立ち寄った。






    そこには、目的が二つあった。



    一つはもちろん、未確認機と接触するためだが、もう一つ。

    これはライトにとっては個人的な用事であった。






    『隊長、例の未確認機はそちらに近づきつつあります。』

    「よし、気を付けていくとしよう。」





    待機中のアラドから、未確認機の情報が通信機に入ってくる。

    ライトは気を引き締めつつも、どこか温かい気持ちで、村に入っていった。






  16. 16 : : 2016/11/30(水) 16:18:16








    ウィンダミアの村々は、まるで、地球の中世ヨーロッパのような、石造りの建物の残る場所。

    寒冷なウィンダミアに住むウィンダミア人は、自然と調和した質素な生活を旨とし、慎ましい日々を送っていた。



    そんな中での地球人の来訪は、大きなカルチャーショックを引き起こした。






    とりわけ、彼らの心に刺さったもの。それは・・・・・・・・・・・・“歌”であった。






    元々、ウィンダミアには“風の歌い手”という伝承が遺されてる。

    風の歌い手は、その歌声によって竜鳥をはじめ、風や大地と心を通わせることができるとされている。



    もっとも、風の歌い手はウィンダミアの王家の血筋に現れることが多いのだが、それは最早伝説の中だけの存在となっていた。






    こうした背景があってウィンダミア人は、自然とともに歌にも特別な関心を示しており、地球人の流行歌も広く庶民たちの間へと行われていた。







  17. 17 : : 2016/11/30(水) 16:19:02








    「・・・・・・歌ってるな。」




    石畳が敷かれた村の広場の中央では、一人の少女が段ボールの上に立っていた。

    元気いっぱいといった感じで歌う、オレンジがかった髪を持つ少女は、ウィンダミア人の女性に見られるハート型のルンをピカッと輝かせていた。



    ライトは以前この少女に、音楽プレイヤーをプレゼントしていた。

    ピョンピョンと飛び跳ねて喜ぶ少女の眩しい笑顔を、ライトは鮮明に覚えている。





    この少女こそ、フレイア・ヴィオン――――・・・・・・・・・・・・後にライトの息子であるハヤテと出会い、彼女の運命は大きく変わっていくのだが、それはまた別のお話。






    フレイアがあの超時空シンデレラ、ランカ・リーの名曲『星間飛行』を歌い終えると、村人たちは温かな拍手を送った。

    ライトもまた温かな拍手を送り、拍手に包まれたフレイアは元気いっぱいに挨拶した。





    「私の歌、聞いてくれてありがとう! ぶっちゃゴリゴリ歌うかんね!」




    かわいらしい挨拶に、村人たちに紛れ、ライトも思わず笑顔になる。

    するとフレイアは気合を入れて、次の曲を歌うために声を張り上げた。






    「私の歌を聴けぇ!!」






  18. 18 : : 2016/11/30(水) 16:21:42







    その瞬間、ライトの頭の中に稲妻が走った。





    (この曲は・・・・・・・・・・・・FIRE BOMBER!? 突撃ラブハート・・・・・・・・・・・・まさか!?)





    フレイアが次に歌いだした曲――――・・・・・・・・・・・・『突撃ラブハート』

    少女らしい可憐な声が、目いっぱいに情熱的に歌いあげるのを聴いて、ライトの脳裏には、あの噴き出す炎のような声が蘇ってきた。






    ようやく、ライトは聞き覚えのあるその声にたどり着いた。




    銀河チャートから姿を消し、その噂さえ絶えて聞くことのできなかった男。

    最近では実在さえ疑わしいとされていた伝説のロッカー。






    「あの声は、まさか!?」







  19. 19 : : 2016/11/30(水) 16:23:22








    「最高に熱いヤツいくぜッ! ボンバーッ!!」





    時を同じくして、激しい炎が燃え上がる。





    轟くシャウト、
    軋むギターの音、

    吹き上がる溶岩のようなサウンド。


    火傷しそうなほど熱い『突撃ラブハート』がカシムの育てているリンゴ畑へ、嵐のごとくに吹き荒れた。






    「な、なんて歌だ!!」



    リンゴに向かって歌いたいというので簡単なステージを拵えたのであるが、そこから放たれるサウンドにカシムは完全に気圧されていた。

    その風のあまりの激しさに、あまりの熱に、赤いひし形の二つのルンが光を放ってしまうのを止められない。






    (リンゴたちが・・・・・・・・・・・・喜んでる!?)




    カシムはルンを通して、リンゴたちがバサラの歌に影響されているのを感じ取った。

    その時、カシムの頭をよぎったのは――――・・・・・・・・・・・・“風の歌い手”の伝承。






    (そんなはずはない。これは風などという生易しいものではない。)






    頭を振ってカシムは否定する。

    では、あの人間は・・・・・・・・・・・・いったい何者なのか?







  20. 20 : : 2016/11/30(水) 16:25:46








    そのあふれ出すばかりの熱は、カーライル地方を飛び越え、王都ダーウェントにある王宮にさえ影響を及ぼしていた。







    「この風は・・・・・・・・・・・・。」



    グラミアは再びあの熱量のある風をルンに感じ、玉座の上で笑みを浮かべた。





    「父上!!」



    同じく、風を水色のルンに感じ取ったキースが、バタンと扉を開けて王の間へと駆け込んでくる。







    「いったい何者なのでしょうか? こんな風、今まで一度も感じたことなど。」

    「お前も嵐を感じたか、キース。」






    グラミアは笑みを浮かべたまま、集めた資料をホログラムとしてキースの前に表示した。

    そこに映されていたのは、今から15年前、放浪の旅に出る前の熱気バサラの姿。





    「まさか・・・・・・。」




    地球の文化が入ってきて以来、誰もが一度は聞く歌手の名前。


    リン・ミンメイ、シャロン・アップル、ミレーヌ・ジーナス、シェリル・ノーム、ランカ・リー・・・・・・・・・・・・






    その中に混じって、熱気バサラの名前にも、キースには聞き覚えがあった。

    だがそれは、下らない流行歌を歌う歌手の一人にすぎなかった。




    そう、今この瞬間までは・・・・・・・・・・・・。







    「ふふふ、まさしく歌う愚か者よ・・・・・・。」




    遠くから響いてくる歌声に耳を傾け、グラミアはどこか楽しそうな笑みを浮かべた。







  21. 21 : : 2016/11/30(水) 17:43:08







    「!! 計器を見るんだ、ミレーヌ!!」

    「この歌エネルギー・・・・・・・・・・・・バサラねッ!!」






    ミレーヌ・バルキリーとストーム・バルキリーに積まれている計器もまた、バサラの溢れ出すばかりの歌エネルギーをキャッチした。

    嵐が来たかのような波の荒れ具合・・・・・・・・・・・・バサラ以外にはあり得ない。






    「ここからそう離れていないな。よし、行くぞ!」

    「また会ったら思いっきり怒鳴ってやるんだから!」






    二機のバルキリーはまっすぐ、熱の中心へと進んでいく。




    やがて、三人の耳に、あの銀河一の大馬鹿野郎の歌声が聞こえてきた。

    歌が聞こえてきた途端に、三人の血が騒ぎ始める。






    __________すぐに分かった。





    バサラが歌っているのは・・・・・・・・・・・・『突撃ラブハート』

    初めてバサラが戦場で歌った、思い出の曲。






    あの頃はなぜ戦場で歌うのか分からなかった。けど、今なら分かる・・・・・・・・・・・・私も、相手に歌を届けたい。








  22. 22 : : 2016/11/30(水) 17:50:15








    丁度一番が歌い終わり、演奏が間奏に入ったところで、突如、二機のバルキリーが乱入。

    乱入してきた二機のバルキリーは、バサラの真上へ、ゆっくりと降りてきた。








    「!? な、何だ!?」





    突然の来訪者に驚愕するカシムの目の前で、バサラの真上まで来た二機のバルキリーは戦闘機形態からバトロイド形態へと変形。




    二機のバルキリーの顔部にあるのは、バサラのバルキリーと同じく、バトロイドらしからぬ口。

    そして、機体に組み込んであるのは、戦場に相応しからぬサウンドスピーカー。







    「何をする気だ、貴様ら!!」



    カシムが大声を上げると、それに応えるかのように、二機のバルキリーから火が噴き出した。






    響いてくるキーボードとドラム、ベースの音。

    魂を揺さぶるような音に合わせて、バサラが叫んだ。






    「よぉし、お前らのハートをビンビンにしてやるぜぇッ!!」








    __________ここに、FIRE BOMBERは再び集った。







    辺りを燃やし尽くすばかりに、バサラが魂の熱唱を轟かせ、

    ミレーヌがバサラに合わせ、艶やかな声を響かせ、


    ビヒーダとレイがドラムとキーボードで二人を支えていく。







    「こいつは・・・・・・・・・・・・たまげたな。」




    こんなにも熱い演奏を聞かされて、魂が震えないはずもない。

    未だかつてない興奮に、カシムは熱に浮かされたような快哉を叫んだ。







    FIRE BOMBERの『突撃ラブハート』は、カシムのリンゴ畑から、何億光年の彼方へと響いていった。






    ―――――

    ―――




    ――――――

    ―――

    ―――――
    ――




    ―――――

    ――――――




    ―――







  23. 23 : : 2016/12/01(木) 00:59:26








    さて、バサラがマクロス7船団より姿を消してから15年余り。

    一度マクロス7船団に帰ったっきり姿を見せなかったバサラと、ようやく感動の再会となったかというと・・・・・・・・・・・・そうではなかった。








    「随分と久しぶりじゃねぇか、ミレーヌ?」

    「久しぶり、じゃないわよ!! こんな危ないところで、何をするつもり!?」


    「何って、歌を歌うにきまってんだろ?」


    「バサラはホントに何も変わってないのね!」

    「お前だってガキのまんまじゃねえか!」


    「何よ、レディに向かって失礼じゃない!!」







    「まあまあ、せっかくの再開なんだ、楽しくやろうじゃないか。」





    昔のまんまの口喧嘩っぷりに、見かねたレイが仲裁に入る。

    ビヒーダは後ろのほうで、相変わらず寡黙を貫き、バチでリズムをとっていた。



    ひとしきり怒鳴った後、ミレーヌはふっと柔らかい表情を浮かべる。






    「もう。バサラは相変わらずの歌馬鹿なんだから。」






    __________バサラは、変わっていなかった。






    歌への飽くなき情熱も相変わらずで、

    そのために命を懸けるのも相変わらず、



    よく見れば怪我をしているのに、それでも歌を聴かせたい・・・・・・・・・・・・その一心で余りあるほどの情熱を振りまいている。







  24. 24 : : 2016/12/01(木) 01:01:52








    差し当たって困っていたのは、カシムであった。



    (これは、完全に蚊帳の外だな。)





    やいのやいのと喧嘩をするバサラとミレーヌ、それを宥めるレイを、苦笑いを浮かべて遠巻きに見つめるカシム。

    と、カシムはここで、空を切り裂くような音に気が付いた。





    「む? この音は?」




    カシムが空を切り裂く轟音に声を上げる。

    ややあって、バサラとミレーヌもその音に気が付いたが、その頃には最早手遅れであった。






    『また会ったな・・・・・・熱い風を巻き起こす地球人たちよ。』






    気が付くとバサラたちは、上空を飛ぶ6機の白いドラケンⅡに囲まれていた。

    バトロイド形態のドラケンⅡはバサラたちに銃口を向け、空中に静止している。




    その中でも、他とは違う特別なカラーリングが施された一機から、しがわれた声が聞こえてきた。






    『私は・・・・・・・・・・・・ダーウェントの白騎士、並びに、ウィンダミア王国国王、グラミア・ネーリッヒ・ウィンダミアだ。』






    グラミアのドラケンⅡが銃を向けたまま、ゆっくりと降下してくる。

    それから、グラミアはゆっくりと、威厳をもってバサラたちに宣告した。







    『出来れば手荒な真似はしたくない。おとなしく投降するのだ。』




    「ぐっ・・・・・・。」

    「どうしよう、バサラ?」





    運悪くバルキリーから降りていたバサラたちに、なす術はなかった。

    バサラたちは観念したかのように、両手を上にあげた。















    それから暫くして、2機のバルキリーがリンゴ畑へと接近してきたが、時はすでに遅し。

    地面の様子を上空から確認していたライトは、巨大な足跡のようなものを発見した。






    「これは・・・・・・・・・・・・バルキリーの足跡? 機体数は3・・・・・・・・・・・・遅かったか!」







    __________再び集ったFIRE BOMBERは、ウィンダミアの騎士団によって捕らわれの身となってしまった。











    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  25. 25 : : 2016/12/01(木) 15:48:03









    マクロス7船団、シティ7の先端には、1500mもの大きさを誇るマクロス級戦艦、バトル7が接続している。








    有事の際はシティ7から切り離され、戦艦型から強攻型へとトランスフォーメーションを行うことも可能。

    同時に、主砲であるマクロスキャノンの発射も可能となる。




    シティ7を守る、まさに最強の盾。






    バトル7のブリッジでは、第一次星間戦争、バローダ戦役、バジュラ戦役と、三つの戦いを戦い抜いた歴戦のつわもの二人が船団の指揮を執っていた。





    元ブリタイ艦隊の記録参謀にして、現在はバトル7の参謀――――・・・・・・・・・・・・エキセドル・フォルモ。

    バトル7の艦長にして、マクロス7船団の船団長――――・・・・・・・・・・・・マクシミリアン・ジーナス。






    「ちょっと、どういうことなの!? マックス!?」

    「ミレーヌは、もう子供ではない。一人の立派な女性だ。」


    「だからって、あの子を危険な紛争地帯に行かせて、どういうつもり!?」






    さて、マックス艦長に向かって大声でがなり立てているのは、ミリア・ファリーナ・ジーナス――――・・・・・・・・・・・・シティ7の市長であり、かつてはエースのミリアと呼ばれたメルトランディの撃墜王。

    彼女もまた、先述の3つの戦いを駆け抜けた歴戦のパイロット。






    青い髪を後ろに束ねたマックスは、眼鏡の奥の瞳を光らせる。



    その容姿は若々しく、とても70代とは思えない。

    本人曰く、老いは凡人の発想なのだそうだ。





    「ミレーヌは君に一番よく似ている。ミリア、君ならミレーヌを止められたのか?」

    「話のすり替えね。あなたなら止められたのではなくて?」





    緑色のショートヘアに尖った耳。

    純血のメルトランディであるミリアもまた、70代という年齢にも関わらず、若々しい外見を保っていた。




    ミリアに詰め寄られ、頭の上がらないマックス。

    ため息をつき、ミリアは腕を組んで、きっとマックスを見据えた。






    「・・・・・・・・・・・・これだけは言っておくわ、マックス。もしミレーヌに何かあったら、ただじゃ置かないわよ。」







  26. 26 : : 2016/12/01(木) 15:49:47








    「ミリア市長、怒った時の様子はホント、ミレーヌちゃんそっくり。」

    「血は争えないわね。」





    オペレーターの美穂とサリーがヒソヒソ話をしていると、マックス艦長は少し気を悪くしたように「モニターから目を離すな。」という指示を出す。

    オペレーターたちはさらっと「了解。」と返事をすると、各自の仕事に取り掛かり始めた。







    「すっかり威厳がなくなりましたな。」






    エキセドル参謀にまで突っ込まれるマックス。



    着艦当時は新人だったオペレーターたちも、すっかり歴戦の猛者となった。

    マックスの指示がほとんど要らないくらいに熟練したブリッジによって、今日も正確な操艦が行われる。






    緑色の肌を持つゼントラーディ人の中でも、突出した知識量を誇るエキセドル・フォルモはマイクローン化せずに巨人サイズのまま、このバトル7へと乗艦していた。

    その知識量はほかの船団からも頼られるほどであり、マクロス7船団の存在価値を高めていた。





    「やれやれ・・・・・・。」




    帽子を深く被り、疲れたような表情を見せるマックス。

    一体いつから、このような立場になってしまったのだろうか・・・・・・。






    「・・・・・・・・・・・・分からん。」





    往年の天才マックスは、ふうと小さくため息をついた。







  27. 27 : : 2016/12/01(木) 17:07:48








    「艦長、地球の統合軍本部からフォールド通信です!」






    通信に気が付いたサリーが声を上げる。



    本部からフォールド通信が入るときは、余り気持ちのいい内容ではない。

    事実、バローダ戦役の際、成功率が1%を切る、ブロトデビルンへの無謀な総攻撃を命じられている。






    一度は本部から見捨てられた船団・・・・・・・・・・・・マックスもミリアも、エキセドルもそのことを忘れてはいなかった。






    気づかれないようにため息をつき、マックスは低い声で「回線をまわせ。」と命じる。

    間もなく、マックスのモニターに、本部の高官の姿が映された。






    『ごきげんよう、マックス艦長。』

    「お元気そうでなによりです、中将。」






    マックスが慇懃な態度で頭を下げると、中将は高圧的な態度で出てくる。






    いかにも嫌味で、おまけに無能。

    内心相手を見下しながら、低い物腰で対応する。




    そんなこととは知らず、中将は優越感に浸った様子で話を切り出した。







  28. 28 : : 2016/12/02(金) 09:52:23








    「ウィンダミアにて、統合政府に対する反乱が起こったことは、承知していますな?」

    「ええ。聞き及んでおります。」






    マックスの眉がピクリと動く。

    後ろのほうで聞いていたミリアも、平静を装ってはいるが、内心は穏やかではない。


    彼らの心の中へ共通する不安が、夕闇が広がるように萌していく。




    しかして、それはすぐに現実のものとなった。






    「実は、4名の民間人が、行方不明になったのです。」

    「!? なんですって!?」






    ミリアが身を乗り出し、モニターを物凄い剣幕で覗き込む。

    中将はわざとらしい笑みを浮かべ、慇懃無礼な挨拶を送った。







    「おやおや、ミリア市長もおいででしたか。」

    「随分といい度胸ね。この私に向かってそんな口を利くなんて。」


    「気が強いのは相変わらずですな、市長殿?」







    「それで、用件は何でしょうか?」




    当てこすりの応酬を繰り広げるミリアと中将の間を取り持つマックス。

    中将はますます得意になって話を続ける。







    「流石は賢明なマックス艦長。なに、その行方不明の民間人を捜索するのに、人員を派遣していただきたいのですよ。」







    勿論、これは遠回しに軍をウィンダミアに派遣せよと言っているのである。

    彼らの大切な娘である、ミレーヌを人質に・・・・・・・・・・・・。







    「冗談じゃないわ!」





    激高したミリアは、目の前のコンソールをバンと叩いた。

    一方の中将は、得意そうな笑みを崩さない。


    面と向かっての対面ならばこうはいかないだろうが、皮肉にも今はモニター越しである。







    すると、マックスはすべてを飲み込んだように、ゆっくりと頷いた。







    「・・・・・・・・・・・・いいでしょう。わが船団の中でも、選りすぐりの精鋭を派遣しましょう。」







    ―――――

    ―――



    ―――――
    ―――

    ――――――
    ―――――――



    ―――





    ――――――







  29. 29 : : 2016/12/02(金) 09:54:22








    「・・・・・・・・・・・・――――という訳だ、ガムリン。」







    __________地球統合軍本部より連絡を受け取ってから数時間後。






    マックスは艦長室に、ダイヤモンド・フォースの隊長を務めるガムリン木崎を呼びつけていた。




    事細かに事情を説明するマックス。

    ガムリンは、しかし、憤ってもおかしくないこの話を静かに聞いていた。



    マックスが話し終えると、ガムリンはそっと目を瞑る。

    自分でも驚くほどに、ガムリンはこの事態を冷静に受け止めていた。







    「・・・・・・・・・・・・分かりました、マックス艦長。」



    ややあって、ガムリンは目を見開き、その瞳に確固とした決意を宿す。








    「ガムリン、ひとつ、聞きたいことがある。」

    「何でしょうか?」


    「私の娘は、バサラは、レイは、ビヒーダは・・・・・・・・・・・・無事だと思うか?」







    マックスはすっと立ち上がり、耳打ちをするように、ガムリンに尋ねる。

    すると、ガムリンは確固とした様子で笑みを浮かべた。






    「彼らならきっと大丈夫です。なんせ、殺しても死なないような連中ですから。」






    ガムリンの確信に満ちた言葉に、マックスも同じような笑みを浮かべた。

    ガムリンは、随分と頼もしい男になった。






    「・・・・・・・・・・・・ダイヤモンド・フォースに出動を命ずる。直ちに惑星ウィンダミアⅣに向かい、行方不明になったFIRE BOMBERを捜索せよ。」





    マックスの厳しい言葉に、見事な敬礼で応えるガムリン。

    すぐに踵を返したガムリンは、早速、出動の準備を整えに向かった。






    「・・・・・・・・・・・・娘を、頼んだぞ。ガムリン。」




    走り去っていくガムリンを、マックスは静かに見送った。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  30. 30 : : 2016/12/02(金) 16:52:27








    「なんて、広い王宮なの・・・・・・。」







    王の間へと入ったミレーヌが、感嘆とした様子で呟く。




    捕らわれの身となってしまったFIRE BOMBERのメンバーたちは、王の御前へと召し出されていた。

    中世ヨーロッパの大教会を思わせる、見上げるほど広大な王宮の内部は、どこか薄暗く、冷気が漂っていた。





    捕らわれのバサラたちは、その手に手錠を嵌められ、広間を歩かされている。



    そして、奥の玉座にはグラミアが座し、その左右には兵士たちが整列。

    その中には、若きキースやロイドの姿も見えた。






    「さっさと歩け!」

    「痛ってえなぁ! 押すんじゃねえよ!!」






    赤いカーペットの真ん中を歩かされ、バサラとミレーヌ、レイとビヒーダは、グラミア王の御前へと謁見した。

    石を切り出して作られた玉座に座ったグラミアは、四人を見下ろすと、ふっと笑みを浮かべた。






  31. 31 : : 2016/12/02(金) 16:53:47







    「こら、王の御前だぞ! 跪け!!」




    兵士たちが座らせようとバサラたちに近づくと、グラミアは兵士たちを、威厳をもって制した。







    「良い。」

    「!? しかし!?」


    「こやつらの手錠を外すのだ。粗雑な扱いは許さぬ。」






    突然の心変わりとも思える命令に、兵士たちは戸惑いつつも手錠を外す。

    すると、バサラはその場にドカッと座り、いかにも気に入らないといった表情を見せた。




    グラミアはゆっくりと玉座から立ち上がると、兵士たちの前を横切り、自らバサラたちへと近づいていく。







    「ここまでの非礼を詫びよう。強引にお前を召し出して、済まなかった。」

    「済まなかったじゃないわよ! 王様だか何だか知らないけど、何様のつもりよ!!」






    話しかけてくるグラミアに、ミレーヌが食って掛かる。

    兵士たちが近付いて来ようとするのを、グラミアは、片手を上げて制した。







    「お前に、お前たちに・・・・・・・・・・・・どうしても聞きたいことがあったのだ。」

    「聞きたいこと? なんだよ?」






    不機嫌そうに受け答えをするバサラに対し、グラミアはなお笑みを浮かべたまま、バサラに問いかける。







    「陛下がここまで楽しそうなのを、お前は見たことがあるか? キース?」

    「いや、俺も・・・・・・初めてだ、ロイド。」






    その時のグラミアの楽しそうな様子は、脇で控えていたキースやロイドを始めとする兵士たちを驚愕させるには充分だった。

    普段は眉間にしわを寄せて笑うことの滅多にないグラミアの、地球人と問答を楽しむ姿に驚かない兵士はなく、ひそひそと不安げにざわつき始める。



    当のグラミアは、そんなことなどお構いなしといった様子であった。






    「お前は、なぜ歌うのだ? しかも、このウィンダミアの戦場で?」

    「戦場だからこそ、俺は歌うんだ。」


    「む?」


    「いいか、オッサン? 歌ってのはな、人を感動させるためにあんだよ。俺は、歌で人を感動させたい―――――ただそれだけだ。」







  32. 32 : : 2016/12/02(金) 16:54:26






    兵士たちの間に、衝撃が走る。



    このウィンダミアの歴史の中で、王のことを“オッサン”呼ばわりしたものは今まで一人もいなかった。

    そう、たった今、この瞬間まで。





    「な、何と無礼な!!」

    「地球人め! 陛下が優しくしているのに、つけあがりやがって!!」





    激怒する兵士たちに混じって、キースとロイドはあっけにとられていた。

    あの熱気バサラという男は、怖れというものを知らないのか?












    「・・・・・・・・・・・・ふっふっふっふっふっ、はっはっはっはっはっ!!」






    突如、大きな笑い声が広間に響く。




    一瞬、兵士たちには誰が笑ったのか分からなかった。

    暫くして、ようやく兵士たちは、大きな声で笑う男が誰であるかに気が付いた。



    キースは目を丸くし、思わず声を漏らした。






    「父上が、笑っている!?」





    これ以上愉快なことはない、といった様子で、グラミアは大声をあげて笑っていた。

    普段と似ても似つかない陛下の姿に、兵士は狼狽えるばかり。



    そんな中、バサラはニヤリと、会心の笑みを浮かべ、レイとミレーヌを交互に見た。

    レイは静かにうなずいて微笑み、ミレーヌもまた笑顔を見せる。



    やがて、グラミアは再び口を開いた。





    「歌う愚か者どもよ。最後に一つ問う・・・・・・・・・・・・――――お前は、何者だ?」






    すると、バサラは立ち上がり、大声で叫んだ。

    あの時に返す事の出来なかった返事を、ここぞとばかりに、大声で叫んだ。






    「俺は、熱気バサラだ! 俺の歌を聴けぇ!!」







  33. 33 : : 2016/12/02(金) 16:55:35







    __________その瞬間、バサラの口が、火を噴いた。






    かつて、銀河さえも震わせたその歌声が今、ウィンダミアの王宮の中放たれた。

    ミレーヌもまた、バサラに合わせ、自らの声を燃やしていく。




    FIRE BOMBERの新曲、『Burning Fire』の燃え上がるようなビートに、グラミアをはじめとしたウィンダミア人のルンがピカッと反応した。







    「なんだ、この風の熱さは!?」

    「これが・・・・・・・・・・・・歌の力だとでもいうのか!?」






    そのあまりの熱さにキースが身じろぎ、ロイドも思わず両腕で顔を覆う。

    ほかの兵士たちも同様に動揺する中、グラミアだけが、その炎の如き風に喜びを見出していた。






    そして、気が付くと、普段は寡黙で冷静なあのグラミアが、FIRE BOMBERと歌を歌っていた。

    しがわれた声で、懸命に、グラミアが歌を歌っていたのだ。






    「陛下が、一緒に歌を!?」

    「信じられん。」


    「一体、何が起こっているというのだ!?」






    困惑する兵士たちの事など、もはや、グラミアの意識の中にはなかった。





    目の前に突如として広大な宇宙が広がっていく・・・・・・・・・・・・。

    バサラとミレーヌ、グラミアはまるで、その意識を共有したかのように、眩いばかりの炎を巻き起こし続けた。









    ―――――



    ――――――
    ―――




    ――――――

    ――――




    ―――――
    ―――――――





    ―――








  34. 34 : : 2016/12/02(金) 16:56:27









    「なかなかだったぜ、オッサンの歌。」




    歌い終わって、高齢のグラミアは息切れを起こしていたが、それでも顔は清々しいといった様子であった。

    ややあって、グラミアは玉座に座り、口を開いた。






    「・・・・・・・・・・・・大儀であった、熱気バサラ、ミレーヌ・ジーナス。」





    素晴らしい御前演奏を繰り広げたFIRE BOMBERを称えるグラミア。

    だが・・・・・・・・・・・・。





    「そなたらのおかげで、地球人の中にも価値あるものがいるということが分かった。」





    それだけで、憎しみが消えるほど、地球人とウィンダミア人の対立の根は浅くはなかった。

    グラミアの毒を含んだ言葉に表情の曇るバサラ。




    するとグラミアは、不敵な笑みを浮かべてバサラに宣告した。






    「お前が乗ってきたVF-19Pは既に修理を終えている。VF-17、VF-11もすぐに飛び立てる。


    もしこの戦いを止めたいと願うなら、戦場で歌を歌うがいい。

    それで、本当に戦いを止められると思うのならな。」






    挑発ともとれるグラミアの言葉に、燃え立たないバサラではない。

    負けじと、バサラも大声で宣言した。






    「いいぜ、オッサン! また何度でも俺たちのサウンドを聴かせてやるよ!!」







  35. 35 : : 2016/12/02(金) 16:57:01











    それから暫くして、三機のバルキリーがウィンダミアの王宮の中から飛び出した。




    一機は赤と白のツートンカラー。

    一機は白とピンクのツートンカラー。
    もう一機は、緑と黒のツートンカラー。




    歌を聴かせるためだけにある三機のバルキリーは、すっかり日の落ちたウィンダミアの空を、切り裂くように飛んでいく。






    「もう、バサラったらホント馬鹿なんだから!」

    「なんだよミレーヌ?」


    「王様相手に喧嘩なんか売っちゃって。どうなっても知らないんだから。」






    すると、バサラは不意に、操縦桿に押し当てているギターを弾き始めた。

    レイも操縦桿になっているキーボードを弾き始め、後ろのビヒーダもドラムを叩き始める。






    「上等じゃねえか。あいつらのハートをビンビンにしてやるぜ!」




    いくつになっても、どこまでも真っ直ぐなバサラの言葉。

    ミレーヌはふっと微笑み、ベースを弾き始める。








    __________寒冷なウィンダミアの空を切り裂くばかりに、バサラとミレーヌのシャウトが銀河に谺した。






                     to be continued・・・







  36. 36 : : 2016/12/02(金) 17:01:32
    以上で、PARTⅡ終了になります。


    かなりマニアックな作品なのですが、閲覧、お気に入り登録までしていただけで、感謝しております(∩´∀`)∩



    次回も、頑張って執筆してまいります<m(__)m>





    __________俺の歌を聴けぇ!!






  37. 37 : : 2016/12/05(月) 23:49:11
  38. 38 : : 2017/01/15(日) 16:08:28
    バサラの歌を楽しみながら見させていただきました。

    ヾ(*ΦωΦ)ノ ヒャッホゥキタイ
  39. 39 : : 2020/10/26(月) 14:19:40
    http://www.ssnote.net/users/homo
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    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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MACROSS 7 ~Re.FIRE!!~ シリーズ

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