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ドッキリは禁止だ

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  1. 1 : : 2016/10/14(金) 22:45:19
    こんにちは!こんばんは!初めての方ははじめまして!刹那と申します!

    今回は秋花杯の作品としてこの作品を書かせていただきます!
    是非楽しんで読んでいただけたら幸いです!

    http://www.ssnote.net/groups/835←百花繚乱 百花杯のグループです!他の作品も是非!


    執筆中はコメントは制限させていただきます!
  2. 2 : : 2016/10/14(金) 23:01:50








    この手紙を...貴方が読むことがなくても...

    それでも貴方に...これだけは伝えたかったから...

    今まで貴方に嘘を沢山ついてたけど...

    最後まで嘘ばっかりだったけど...

    それでも...

    ○○○○○○○○


















    『ドッキリは禁止だ』








  3. 3 : : 2016/10/14(金) 23:22:41





    「俺は...君のことが好きだ...!」





    秋のある日...

    紅葉の木の下で...

    勇気を振り絞った俺の告白は......











    呆気なく承諾された











    「え?」



    もうちょっとなんかあってもいいんじゃないか?

    考えた様子もなくニコニコと答えた彼女に向かって思わず聞き返してしまった


    そんな俺に笑いながらもう一度承諾の言葉を口にする


    「あ、ありがとう...」


    辺りに暖かい風が吹く


    嬉しそうな彼女の笑顔に...俺も自然と顔が綻んだ







  4. 4 : : 2016/10/15(土) 18:34:19
    それからは...

    毎日が楽しかった.....


    彼女のことをもっとよく知れた...

    今までよりもっと...



    俺達が付き合って迎えた初めての俺の誕生日

    彼女がくれたプレゼントは...



    とっておきの






    ドッキリだった






    彼女はドッキリが大好きだった


    誕生日の日はすごく驚いたけど


    おめでとうって渡してくれた本当のプレゼント


    すっごく嬉しかった












    だったのに.....
  5. 5 : : 2016/10/15(土) 21:45:25
    「は?」


    付き合い始めてからちょうど1年

    俺達の記念日

    俺は...告白した時と同じ

    あの紅葉の木の下に呼び出された

    そして












    振られた












    「は、ははは...何だよまたドッキリかよ!どうりでこんなところに呼び出して!」


    そう...いつものやつだ

    記念日だから...

    特別な日だからドッキリを...


    「お前本当に好きだな!危ない危ない!本気にしちゃうとこ...だっ...た...」

    彼女の目を見て俺の言葉は急速に力を失った


    バレた?とかいって笑ってるだろうと思っていたのに...

    彼女は一つも笑ってなくて

    ただ悲しそうな目を俺に向けていた


    ごめんなさい、さようなら


    彼女が残したのはその二言だけだった
  6. 6 : : 2016/10/17(月) 22:22:44












    コンコン!


    数週間後...俺はある扉を叩いていた

    「はーい?」

    扉の向こうから久しぶりにあの声が聞こえる

    俺は何も言わず...扉を開けた




    殺伐とした白い空間

    開け放たれた窓から風が吹き込みカーテンが揺れる...

    そして.....

    「久しぶり」

    俺はそう言って''彼女''に微笑んだ












    あれから...

    俺はずっと気力がなかった

    LINEもアカウントが消え電話も着拒...メールも返信が来ない

    彼女の親にも友達にも連絡を取ったが理由はわからずじまい

    彼女の家に行っても居留守を使っているのか彼女の親に「今はいない」を繰り返された

    彼女がいない...

    そのことが俺を絶望の淵にまで追いやった
  7. 7 : : 2016/10/17(月) 22:42:03
    一人で部屋にいて...思い返すのは彼女とのこと

    映画館...カラオケ...遊園地...公園...温泉...ドッキリ...

    「これもドッキリじゃねぇのかよ?」

    何度も呟いた

    でも返事は帰ってくることは無い...

    全てを諦めた...











    その時だった

    俺のスマホが一つの知らせを届けてくれた























    俺は驚いている''彼女''を見つめる

    目元は少し腫れこっちを見たまま硬直していた


    「ドッキリ失敗だな」


    そんな彼女に俺はそう言って笑った


    そしたら...彼女の目から何か溢れた

    それは彼女の頬を伝って彼女の座っているベッドへと落ちる

    でも彼女はそんなのにも気づかない様子でただただ俺を見つめていた


    俺は...そんな彼女に近寄ってその細い体を抱きしめた

    強く...強く...

    「ったくまたつまんねぇドッキリ仕掛けやがって...」

    そんな事をいいながら...

    彼女は泣きながら俺の名前を思い出したように何度も呟く

    いつしかその声は盛大な泣き声へと変わっていった
  8. 8 : : 2016/10/22(土) 16:57:33












    「お前の母さんが知らせてくれたんだよ...お前が――」

    しばらくして泣き止んだ彼女の質問に俺は答える


    スマホが届けてくれた知らせ...

    彼女が...余命1ヶ月ってこと...

    だから...俺を振ったこと...

    そして...そのせいで彼女は...


    「毎晩泣いてるってさ」


    口止めをされたと彼女の母親は言った

    それでも...彼女の泣き声に...耐えきれずにと


    目の赤い彼女がまだ残っている涙のあとを手で拭う

    「お前の仕掛けたドッキリにしては詰めが甘かったな...仕掛け人がボロ出すなんて...」

    そう言って俺は少し笑った

    キョトンとしている彼女にお前の母親だぞと付け加える

    「仕掛けるなら徹底的に仕掛けるって...お前が言ってたじゃん」

    あの誕生日ドッキリの時に彼女が言ったセリフを繰り返す

    ドッキリなんかじゃ...そう呟く彼女を遮って言った

    「じゃあここ数日毎晩泣いてたのは誰だ?今さっき俺に泣きながら抱きついてたのは誰だ?」

    下を向いた彼女の頭をなでる

    「いいか?これはドッキリだ...大失敗のな...だから俺はお前とは別れない...これはただのお遊びなんだから」

    また一段と強い風が病室に吹き込む

    それはまだ暖かい風だった

    もうすぐ冬になるとは思えないくらいの...
  9. 9 : : 2016/10/22(土) 17:48:18
    「それと......もうドッキリは禁止な」

    再び泣き出しそうだった彼女に告げる

    「あんな下手で心臓に悪いドッキリ...仕掛けられたくないから」

    馬鹿.....彼女がそう呟いた気がするが俺は聞き流した

    「まだ可能性がないわけじゃないんだろ?身体しっかり治ったら.....そしたらまた引っかかってあげるから」

    そういった俺に今日初めて彼女が笑った

    その笑顔に...俺は一つ...ある事を思いついた...
























    次の日から俺は毎日彼女の病室に通った

    離れてた時間は客観的に見たら短いかもしれないけど...

    その時間を取り戻すかのように...

    もうたった1ヶ月しかないから...
  10. 10 : : 2016/10/22(土) 19:26:17














    「よ!」

    病室のドアを開ける

    彼女はベッドに座って本を読んでいた

    「何読んでるんだ?」

    彼女が差し出した本の題を読み上げる

    「『あっと驚かせるマジックの手法』って何これ?」

    マジックの入門書だよ...そう言って彼女は再び本を読み出す

    「いやそれはわかるけど...お前相変わらずだな...」

    苦笑してみせると彼女は少しムッとした顔でこれが生き甲斐と反論した

    「生き甲斐ね......まぁせいぜい面白いドッキリをまた仕掛けてくれよ」

    俺はそう言って持ってきた花を花瓶に入れる

    嬉しそうに目を細める彼女

    「花...好きなんだな」

    キッと咎められるような視線を向けられる

    「いや...ただお前のそういう所知らなかったなって」

    慌てていいわけをする

    膨れっ面の彼女に少しやばいと感じて...

    「じゃ!俺これからまた仕事だから!」

    慌てて病室を出た
  11. 11 : : 2016/10/22(土) 22:28:13












    「起きてるか...?」

    今日は仕事が忙しくて面会時間ギリギリ

    でも...

    遅いよーと彼女が笑っていた

    「ごめんな!忙しくて!」

    そういう俺に彼女は申し訳なさそうな顔をする

    無理しないでっていう彼女...

    俺はその言葉に素直に応えることが出来なかった

    曖昧な返事をしてまた部屋から出ていこうとする

    もう?と背後から声をかけられた

    「ごめんな!もう時間がないし...」

    がっかりした様子の彼女に微笑む

    「また明日!」
















    そして.....




    入院している彼女に初めて会いに行ったあの日から...




    三週間が経った...
  12. 12 : : 2016/10/22(土) 23:03:39



    この日...

    俺は一つの決意をしていた




    ガラガラガラ

    扉を開けて俺は中に入る

    彼女はいらっしゃいと微笑んでいる

    「ちょっと話があるんだ」

    そう言って俺は彼女のベッドのそばに座る

    彼女はちょっと首を傾げる

    「俺さ...ここ最近仕事ばっかりでここにいる時間...そんなにとれなかったよね?」


    朝も仕事...昼も仕事...夜も仕事...


    「一緒にいる時間...あんまりなかったから今日はお詫びを持ってきたんだ...」


    そう言って彼女に綺麗に装飾してある小さな箱を渡す

    彼女は驚いたようにそれを受け取った


    こんなの貰えない...そう言う彼女に開けてみてと促す



    そして...


    それを開けた彼女は...












    ポカンとしていた


  13. 13 : : 2016/10/22(土) 23:14:17
    それもそうだ...


    え?何も入ってないよ?と不思議そうな顔であたふたする彼女を見て


    俺は吹き出した



    「残念でした〜!」

    勝ち誇った様子の俺に彼女は怒ったような顔をする



    そう...俺の決意は...

    彼女をドッキリに嵌めることだった


    もうー!!と彼女はカンカンな様子

    そんな彼女に...


    「その中...よく見てみろ」

    そう促す



    彼女は箱の中をじっくりと見つめ...


    徐ろに指を突っ込んで中の何かを操作する



    そして...




































    「なに...?これ......?」
































    そう言って箱から俺の本当のプレゼントを取り出した
  14. 14 : : 2016/10/22(土) 23:33:50




    「これ...指輪...?」

    そう問う彼女に頷いてみせる

    「え?なんで?どうしてこんなもの...」

    「綺麗だろ?」



    その指輪は花のデザインが施されていて...

    真ん中には小さいけど...ダイヤモンドが埋め込まれている



    「なんで...........?本当に私に...?」

    「そう...お前に.....」

    泣き出す彼女の頭を優しく撫でる

    「お前...花が好きだって言ってたし...それと...ダイヤモンドの石言葉.....永遠の絆...変わらぬ愛...だっけ?だから...」


    この為に...仕事そして...夜はバイトまでして..必死に働いた

    そして彼女は...泣いて......喜んでいる






    「俺は...君の事が好きだ」






    俺は...はっきりと...しっかりと...






    「大好きなんだ...」






    彼女に伝えた




    俺の......想いを.....
  15. 15 : : 2016/10/22(土) 23:36:51




























    そして.....



    一気に寒さが広がる頃に...

















    彼女は亡くなった...






























  16. 16 : : 2016/10/22(土) 23:53:56











    彼女は結局...宣告された余命通り...

    あれから一週間後に帰らぬ人となった


    でも俺は不思議と冷静に...彼女の死を受け入れられた


    彼女に...俺の気持ちは伝わったから...





















    「あれから......もう1年か...」


    俺はあの紅葉の木の下に座っていた...


    彼女の墓はちゃんと別のところにあるけど...


    俺には...彼女はここにいるような気がするから


    「お前の手紙.....読んだよ......」


    彼女は入院する直前に手紙を書いてあったらしく


    彼女の実家から遺品として発見された


    俺と別れたあと書いたらしく紙には涙の跡が所々あった


    俺に迷惑をかけたくないからあんな別れ方をしてしまった...みたいなことが書いてあった


    俺が病室に来た後...人に頼んで処分してもらうとか方法はいくらでもあったろうに


    それでも......手紙の最後の言葉で俺は全て納得した


    「本当にありがとう...ここまで俺のこと思ってくれて」


    「今度...俺がそっち言ったら.....そしたら...また...沢山ドッキリを...仕掛けてくれ...」


    そう言って俺は空を見上げる


    すると風が吹いて紅い葉が落ちた


    その風は...あの日のように...



    暖かい風だった...
  17. 17 : : 2016/10/22(土) 23:58:13

























    この手紙を...貴方が読むことがなくても...

    それでも貴方に...これだけは伝えたかったから...

    今まで貴方に嘘を沢山ついてきたけど...

    最後まで嘘ばっかりだったけど...

    それでも...


    貴方を愛してます























    -fin-
  18. 18 : : 2016/10/23(日) 00:07:44
    あとがき


    これにて「ドッキリは禁止だ」を終了します!

    構想とか考えてはいたんですが...思うようにいかなかったです...
    それでも秋っぽさを意識した作品になったのではと思ってます
    楽しんでいただけたでしょうか?


    今後の活動のために是非気軽にアドバイス、感想コメントをいただけると嬉しいです!

    そしてもしよろしければお気に入り登録もお願いします!

    それではまた別の作品でお会いしましょう!
  19. 19 : : 2016/10/24(月) 21:58:20
  20. 20 : : 2016/10/30(日) 23:10:38
    >>19
    ありがとうございました!
    他の作品も是非ご覧ください!

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著者情報
stardust

刹那

@stardust

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