この作品は執筆を終了しています。
アニ「氷・晶・砕・破!アニがやらなきゃ誰がやる!!」
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                  - 1 : : 2013/12/12(木) 22:00:25
- アニ「女型の巨人ってなんやねん!知らんがな!!」
 http://www.ssnote.net/archives/2939
 
 リヴァイ「第3の男」
 http://www.ssnote.net/archives/3857
 
 も、よろしくお願いします。
 
 
 今作は、エレン「中途兵団!?」
 http://www.ssnote.net/archives/2294
 
 のキャラクターも一人登場しますが、続編ではありません。
 
 読んだ方はおなじみ、
 呼んでない方は「なんか変なキャラがいるなぁ」程度にお考えください
 
 
 
 アニがむっちゃ頑張る予定
 
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                  - 3 : : 2013/12/12(木) 22:02:47
- 
 ~トロスト区・某所~
 
 
 アニ「…ふっ!」ブンッ!
 
 ニーア「…はっ!」ヒュッ!
 
 
 
 
 アニ「」スッ…
 
 ニーア(かわした!?)
 
 
 
 
 アニ「…はあっ!!」ブオンッ!!
 
 ニーア「…がっ!」ドゴッ!!
 
 
 
 ニーア「」ドサッ!
 
 
 
 
 
 アニ「…勝負あったね」
 
 ニーア「いったぁ…。あんた、ちょっと強くなり過ぎじゃない?訓練だけでそこまでになるの?」
 
 アニ「ありがたいことに、ちょうどいいサンドバッグが多くてね。そいつら相手に鍛えさせてもらったよ」
 
 ニーア「うわぁ…」
 
 
 
 
 ニーア(サンドバッグ諸君、お気の毒様…)
 
- 
                  - 4 : : 2013/12/12(木) 22:06:41
 アニ「それじゃ、私はこの辺で失礼するよ」
 ニーア「えぇ?もう帰るの?」
 アニ「門限破ると教官がうるさいからね」
 ニーア「あんたとこうして手合せできるのは、あんたが訓練休みの日だけだってのに。
 もう少し遊んでくれてもいいんじゃないの?」
 アニ「別にあんたとやり合うためだけに外出してきてるわけじゃないから。こっちはこっちで、
 他にやりたいことがあるんだよ」
 ニーア「連れないねぇ。また次の休日までの間、一人寂しく冷や飯か…」
 アニ「別に一人じゃないでしょ?お仲間はどうしたの?」
 ニーア「さぁ。お金稼ぐために、皆いろいろやってるみたいだし」
 
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                  - 6 : : 2013/12/12(木) 22:11:58
- 
 アニ「あんたは?一人だけスネかじり?」
 
 ニーア「まさか。たまに開催されてる武闘大会とかのファイトマネーで食い繋いでますとも」
 
 アニ「武闘大会?」
 
 
 
 ニーア「うん。いろんなところから腕に自信のある奴らが集まって、己の技を競い合う大会があるんだよ。
 まぁ、非公式の裏大会みたいなモンだけどね」
 
 アニ「ふーん。それにあんたが出場してる、と。どうせ楽勝で優勝なんでしょ?」
 
 ニーア「とんでもない!私なんか全然だって。予選突破がいいとこだよ」
 
 アニ「予選?」
 
 
 
 ニーア「うん。まず、参加者全員で予選を行って、勝ち残った8人で決勝トーナメントをやるんだ。
 でも、そこに残る連中は強いのなんの」
 
 ニーア「私は、一度も決勝トーナメントで勝てたことがないんだよ」
 
 
 アニ「あんたが一度も、ね。面白そうだけど、それって私も出られるの?」
 
 ニーア「え?何?興味持っちゃった!?」
 
 
 アニ「まぁ、少しは気になる。同期の連中はあまり相手にならなくなってきたから、
 そろそろ一段階上の奴と腕試しをやってみたい」
 
 ニーア「一段階上の奴、ね。そういうつもりで参加するのなら…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ニーア「…死ぬよ。あんた」
 
 アニ「!?」
 
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                  - 8 : : 2013/12/12(木) 22:20:40
- 
 ニーア「連中は、そんな生半可な気持ちじゃない。本気で頂点を取りに来てる。
 それを、『腕試し』程度の気持ちで参加するなら、間違いなく死ぬ」
 
 アニ「…」
 
 
 
 ニーア「悪いことは言わない。あんたは今、訓練兵としてうまくやってるんだろ?
 わざわざ痛い目見るために、こんなのに参加する必要なんかないって」
 
 
 
 アニ「…あんた、前に言ったよね?」
 
 ニーア「…何を?」
 
 
 
 アニ「…私のことを、『狭い空間の中のことしか知らない井の中の蛙』だって」
 
 ニーア「あぁ…。言ったような、言わないような…」
 
 
 アニ「とぼけないで。あんたの言う通り、確かに訓練所の奴らを手玉に取って、図に乗っていた部分があった。
 …あんたと出会うまではね」
 
 ニーア「…」
 
- 
                  - 9 : : 2013/12/12(木) 22:27:33
 アニ「あんたと戦って、私の中の何かが変わったよ。この格闘術は、私が他社に対して誇れる、数少ない取り柄。
 それを生かすために、純粋に『上』を求める気持ちを持つことは間違いじゃない、ってね」
 ニーア「あんた…」
 アニ「そう言うわけだから。次の大会が開催される日が分かるなら、教えてくれる?」
 ニーア「…」
 アニ「あんたが私を心配してくれるのはありがたいけど、もう決めたから。別に死んだって構わないさ」
 ニーア「…1か月後、トロスト区の裏通りにある、地下の闘技場で」
 アニ「…ありがと。それだけ分かれば十分。それじゃ、また今度ね」
 ニーア「…」
 
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                  - 10 : : 2013/12/12(木) 22:37:12
 ~夜・訓練兵団施設~
 アニ「…って言うことになったから」
 ベルトルト「武闘大会?また、物騒な大会だね」
 ライナー「大丈夫なのか?血気盛んな男連中ばかり集まりそうだが…?」
 ベルトルト「ライナーえぇ…」
 アニ「誰もあんたの性癖の話をしてるんじゃないよ」
 ライナー「んな性癖あるかっ!妙な噂を信じないでくれ!!」
 アニ「まぁ、どうでもいいけど」
 ライナー「」
 
- 
                  - 11 : : 2013/12/12(木) 22:46:00
 ベルトルト「だけど、そんなに強い人たちが集まるんだね。怪我とかしたらどうしよう」
 アニ「別に大丈夫でしょ。最悪、人目を避けて治せばいいし。武器の類は使用禁止らしいから、うなじを削がれることもないし」
 ベルトルト「そうだね…」
 ライナー「まぁ、技を磨くって言う点に関しては、うってつけの機会だろう。
 鍛えた格闘術は、巨人化した後でも十分に生かすことができる。見返りは大きい」
 アニ「そういうこと。万が一勝ち上がって賞金がもらえたら、あんたらにもなんか奢ってあげるから」
 ライナー「本当か!?それじゃ、応援しないわけにはいかんな!」
 ベルトルト「トレーニングなら付き合うよ。サンドバッグとかも必要でしょ?」
 ライナー「ん?サンドバッグ…?」
 アニ「本当だ。丁度いい…」
 ライナー「えっ…?」ガシッ!
 ライナー「!?」
 ベルトルト「サンドバッグは動いちゃだめだよ…?」グググ…
 ライナー「馬鹿!!冗談はよせっ!!」ジタバタ
 アニ「それじゃ、基本に立ち返って、フォームを意識した蹴りの型から復習していこうかね…」
 ライナー「え!?ちょっ!!マジでやめ……」
 アニ「…」ヒュッ!
 アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 16 : : 2013/12/13(金) 21:13:44
- 
 ~1か月後・トロスト区裏通り~
 
 アニ「…」
 
 アニ(ニーアの奴、遅いな。本当に場所はここでいいんだよね?)
 
 
 
 
 ニーア「」スタスタ
 
 アニ「遅い。待ってる間、ガラの悪い連中に絡まれてばっかりで大変だったよ」
 
 
 ニーア「…本当に来たんだね。覚悟はいい?」
 
 アニ「答える必要はない。ここにいる時点で、それが自ずと答えでしょ?」
 
 
 ニーア「…大した根性だよ、あんた。私だって、初めて来たときは怖気づいたってのに」
 
 アニ「別に。私はあんたと違って、ここの怖さを知らないだけさ。俗にいう、『井の中の蛙』ってやつ」
 
 ニーア「…その言葉、気に入ってるの?なんか聞いててこっちが恥ずかしくなるんだけど」
 
 アニ「…別にいいでしょ。ほら、さっさと案内してよ」
 
 ニーア「はいはい。こっちだよ」
 
 
 
 
 アニ「…」
 
- 
                  - 17 : : 2013/12/13(金) 21:18:44
 ~地下闘技場内~
 ワイワイ
 ガヤガヤ
 アニ「…」
 ニーア「なかなかむさ苦しいところでしょ?本来なら、あんたみたいな女が来る場所じゃないよ」
 アニ「そのようだね。ここにいるだけで、匂いと圧迫感で吐き気がするよ」
 ニーア「まぁね。敵は対戦相手だけにあらず、ってやつだよ」
 アニ「…?」
 ニーア「今に分かるよ。さてと、まずは受付しないとね。
 別に身分証とかは必要ないけど、一応、訓練兵ってバレるとあんま良くないから、バレないようにね」
 アニ「…」
 アニ(…ほんとにこんなところに集まる連中が、私の相手になるのかねぇ?)
 
- 
                  - 18 : : 2013/12/13(金) 21:23:50
 ニーア「…それじゃ、二人分よろしく」
 受付「かしこまりました。ニーア様、レオ様、登録いたしました」
 アニ「は?レオって誰?」
 ニーア「本名はマズいでしょ。どうせみんな、素性を隠すために変な名前名乗ってる連中ばっかりだし。
 とっさに思いつかなかったから、レオでいいでしょ?」
 アニ「…まぁ、勝手にしなよ」
 ニーア「それじゃ、予選始まるまで時間あるから、サクっと説明するね」
 アニ「…」
 
- 
                  - 19 : : 2013/12/13(金) 21:28:22
 ニーア「まず、受付で参加者を募集し、締め切りの時間になったら受付終了。
 エントリーした人全員で予選を行い、決勝トーナメントに進む8人を決定する」
 ニーア「予選の方法は様々で、毎回変わる。参加者も変動するし、その辺は仕方ないよね。
 この場合、実力もそうだけど、ちょっとした運も必要になる時があるから」
 アニ「なるほどね。まぁ、要は勝ち抜けばいいわけだ」
 ニーア「簡単に言ってくれるねぇ、あんた。私もこの間の時、予選でエラい目にあったんだよ。
 予選の怪我がなければ、決勝ももう少しいいトコまで行けたはずなんだけどねぇ」
 アニ「予選も一筋縄じゃいかないってことかい」
 ニーア「そういうこと。後、知ってるだろうけど、武器の類は使用禁止。強いて言うなら、己の肉体が最大の武器ってやつだね」
 ニーア「殺しは即失格だけど、アタマがイカれた奴にそんなルールは関係ない。
 血が上って我を忘れると、問答無用に殺しにかかってくる奴もいるから、注意してね」
 アニ「登録してからそういうこと言うんだね。普通のやつなら、ここで帰りたくなるだろうけど」
 ニーア「そう、あんたが思っている以上に、危険な大会ってワケ。後戻りしたくなっちゃった?」
 アニ「まさか。逆に、闘志が湧いてきたよ。殺しさえしなけりゃ、何だっていいんでしょ?
 思う存分本気でやらせてもらえるんだ、ストレス解消にはうってつけだね」
 ニーア「私と戦った時もそうだったけど、あんたは一体何にストレス感じてるの?
 格闘訓練で本気出せないとか、そんな小さな理由だけじゃないんでしょ?」
 アニ「…別にいいでしょ。あんたには関係ない」
 ニーア「へいへい、そいつは失礼しましたねぇ」
 
- 
                  - 20 : : 2013/12/13(金) 21:33:26
 受付「お待たせいたしました~!!」
 アニ&ニーア「!!」
 受付「只今を持ちまして、参加者の募集を締め切ります!登録を終えた方は、中央までお集まりください!!」
 ニーア「さて、行こうか。予選の説明と、自分の番号札を渡される。
 もらった番号が、今回の大会で使われる自分のエントリーナンバーってことになるから」
 アニ「はいよ」
 受付「はい、ではあなたは38番、そちらは39番ですね」
 アニ「これが…」⊃38
 ニーア「そういうこと」⊃39
 アニ「思ったより結構人がいるんだね。いつもこんな感じなのかい?」
 ニーア「いや、今回は少ないほうだよ。ざっと60人くらいに見えるけど。
 私が参加した中で、100人近く参加者がいたときもあったから」
 アニ「そう。人の集まり具合からも、運の要素が試されてるってことかい」
 ニーア「まぁ、本当に実力がある奴なら、その辺はあまり関係ないだろうけどね」
 アニ「まぁ、別にいいさ。私は目の前の相手に勝つだけ。単純だよ」
 ニーア「…あまり舐めた考えしてると、絶対痛い目に合うよ?」
 アニ「それは楽しみだね…」
 ニーア「…」
 
- 
                  - 21 : : 2013/12/13(金) 21:41:32
 司会「それでは、この先は私が進行を務めさせていただきます!」
 司会「まずは、今大会に参加してくださった58名の方々、誠にありがとうございます!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 アニ(ホントむさ苦しい…)
 司会「だがしかし!!この中で頂点に立てるのは、たった一人!!その栄冠を手にするのは、どこのどいつだぁっ!!!」
 男1「俺だっ!!」
 男2「馬鹿野郎!!俺に決まってるだろうが!!」
 男3「まったく、勘違いも甚だしい連中だ。俺に勝てる奴など存在せんというのに…」
 司会「腕に自信のある猛者どもよ、誰が頂点か!?その答えは、戦いの中で証明してくれ!!」
 司会「では、第1予選を開始するぞっ!!!!!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 
- 
                  - 22 : : 2013/12/13(金) 21:46:59
 アニ「第1予選?」
 ニーア「あぁ、予選も何回戦かに分かれてるんだよ。参加者が多いと、予選だけで結構勝ち抜けないといけないからね」
 アニ「ふーん…」
 司会「第1予選は至ってシンプル!!抽選で選ばれた2人同士が、3分間で決着をつける
 『3ミニッツデスマッチ』だ!!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 ニーア「へぇ、珍しいね。いつもはややこしいルールの予選ばっかりなんだけど。
 今回の奴は簡単でいいや」
 アニ「3分?ボクシングで言うと、ちょうど1ラウンド。その中で決着を付けろって言うのかい?」
 ニーア「無理だろうね。余程の実力差がない限りは、判定だと思う。ポイントは、相手から決定打を浴びずに、
 いかに戦いを自分主導に持ち込めるかってとこだね」
 アニ「KOされようものなら、一生の恥だね」
 
- 
                  - 23 : : 2013/12/13(金) 21:50:30
 司会「それでは早速、第1試合行きましょう!!抽選、スタートっ!!」
 ドゥルルルルルルルルルルルルルルルルルル…
 ババンッ!!!!!!!
 司会「出ましたっ!!」
 司会「まずは一人目!!エントリーナンバー38!!レオ選手!!!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 アニ「…」
 ニーア「…ちょっと!」
 アニ「…あぁ、レオは私か。忘れてたよ」
 ニーア「しっかりしてよ。それにしても、いきなり呼ばれちゃうとは…」
 アニ「相手はどんな奴だい?」
 司会「続いて、51番!!ムテキング仮面!!!!!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 アニ「…ひどいネーミングセンスだね」
 
- 
                  - 24 : : 2013/12/13(金) 21:55:02
 ニーア「…あんた、なんて運がないんだ…」ガタガタ…
 アニ「えっ?」
 ニーア「ムテキング仮面と言えば、前回大会の優勝者だよ!駄目だ、終わった…。
 アニっ!!せめて生きて帰って来てね!!!」
 アニ「そんな大げさな…」
 アニ(え?そんなにマズいの?どうしよう…)
 司会「さぁ、呼ばれたお二方、中央のリングまでお願いします!!!」
 アニ「それじゃ、行ってくるよ」
 ニーア「あぁ、やっぱ連れてくるんじゃなかった…。さようなら、アニ…」
 アニ「ちょっとやめてよ、縁起でもない…」
 男1「うおっ!!なんじゃありゃ!!絶世の美女!?」
 男2「あんなカワイイねーちゃんが参加してるとは!!」
 男3「結婚しよ!!!」
 アニ(…こいつら全員、死んでくれないかな?)
 
- 
                  - 25 : : 2013/12/13(金) 21:59:30
 ムテキング仮面「ほう、これはかわいらしいお嬢さんだ。お手柔らかに頼むよ」
 アニ「…どうも」
 アニ(…こいつ)
 ムテキング仮面「」コオォォォォォォ…
 アニ(…ただ立っているだけなのに、ものすごいオーラだ。それに仮面の下から、ものすごい闘志を感じる。
 言うだけあって、タダ者じゃなさそうだね…)
 ムテキング仮面「見た目の割に、なかなか良い体つきをしているな。何か、特別なことでもしているのかな?
 例えば…」
 ムテキング仮面「…どこか、兵団に所属しているとか?」
 アニ「!!」
 アニ(…鋭い。観察眼は本物みたいだね)
 
- 
                  - 26 : : 2013/12/13(金) 22:09:37
 アニ「悪いけど、素性について答える気は無いね。詮索は控えてもらえるかい?」
 ムテキング仮面「それは悪いことをした。私も、身分を隠してこの大会に参加している身。
 野暮なことはわきまえているつもりだったが」
 ムテキング仮面「わざわざこんな大会に出ているという事は、何か負けられない理由でもあるのだろう?
 だが、それは私も同じ。ここで勝ち続けて、ある目的を果たさねばならぬのでな」
 アニ「そうかい…」
 アニ(負けられない理由、か。よく考えてみれば、私は別にそんな大それた理由なんてないんだよね。
 だからって、勝ちを譲る気は毛頭ないけど)
 
- 
                  - 27 : : 2013/12/13(金) 22:20:49
 司会「あの~、そろそろ始めてもよろしいでしょうか…?」
 ムテキング仮面「すまない、少々無駄話が過ぎたな。いつでも構わない」
 アニ「こっちもいいよ。さっさと始めてくれる?」
 司会「了解しましたっ!!」
 司会「それでは予選第1回戦、レオ選手VSムテキング仮面選手…」
 司会「試合、開始っっっっっ!!!!!!!!!!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 
- 
                  - 28 : : 2013/12/13(金) 22:28:56
 ムテキング仮面「そちらからどうぞ」
 アニ「…」
 ムテキング仮面「」コオォォォォォ…
 アニ(何が『そちらからどうぞ』だい。だらんとしているように見えて、スキが全くない。
 さて、どう攻めようかね…)
 アニ「」タンタンッ…
 ニーア「へぇ、あいつ、私のフットワークのマネってワケ?いつの間に覚えたんだい」
 アニ「」タッタッ…
 アニ「」ヒュッ!
 ムテキング仮面(…まずは)
 ムテキング仮面「右の上段」スッ
 アニ「!?」ブンッ!
 ムテキング仮面「」ガシッ!
 アニ(止められた!?というか、読まれていた!?)
 
- 
                  - 30 : : 2013/12/13(金) 23:01:07
- 
 ムテキング仮面「ほう、良い蹴りだ。筋肉のつき具合も、無駄がほとんどない。戦闘スタイルとしては、
 フットワークを生かしつつ、鋭い蹴りで攻めるタイプでよろしいかな?」
 
 アニ「…っ!」
 
 アニ(一発見ただけで、そこまでお見通しかい。前回優勝者なだけあるじゃないか)
 
 
 
 ムテキング仮面「無言という事は、肯定でよろしいかな?」
 
 アニ「脚を離しなよ、変態。訴えるよ?」
 
 ムテキング仮面「それは失礼」パッ
 
 
 アニ「」スタッ
 
 
 
 ムテキング仮面「さて、時間も限られている。こちらも攻めさせてもらうとしよう」スッ…
 
 アニ「…」
 
 
 アニ(何だい、この妙な感じは。このステージ全体が、あの男に支配されているような、妙な感覚は…)
 
- 
                  - 31 : : 2013/12/13(金) 23:39:59
 一同「」シーン…
 ニーア(観客もみんな黙っちゃった。いや、あの男が黙らせた。そのくらい、引き込まれる何かを、
 あの男は持っている。アニ、死なないでよっ!)
 ムテキング仮面「」タッ!
 アニ(来た!)
 ムテキング仮面「」スッ
 アニ(どうくる?足か?腕か?)
 ムテキング仮面「」ヒュッ…
 アニ(あれ?視界から消えた…)
 ドゴッ!
 アニ「がっ…!!」
 ワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 32 : : 2013/12/13(金) 23:44:41
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 アニ「」パチ
 ニーア「アニ!!目が覚めた!?私が分かる!?」
 アニ「ここは…?」
 アニ「…っ!!!」ズキッ!
 ニーア「無理しないで!頭部にド派手な一撃をもらったんだから、まだ休んでなよ!」
 アニ「え?何を言って…」
 ニーア「…覚えてないのも無理ないか。あんたはね、KO負けしたんだよ」
 アニ「…は!?」
 ニーア「しかも、一撃でね。それすらも覚えてないってことは、こっちで見てた以上に、
 アレが一瞬の出来事だったってことだね」
 アニ「KO負け…?私が…?」
 アニ「しかも、一撃で…?」
 ニーア「…」
 
- 
                  - 33 : : 2013/12/13(金) 23:49:38
 アニ「嘘でしょ…?」
 ニーア「残念だけど、これが現実だよ。この壁内には、私達の想像を超えるような連中がごまんといる。
 私も、予選は一回戦負け。判定まで行ったけど、及ばなかったよ」
 ニーア「分かったでしょ?腕試し程度で挑んだら死ぬよって言った意味。ここは、そういう場所なのさ」
 アニ「…っ!」
 ニーア「悔しいのは分かるよ。でもね…」
 アニ「違うっ!」
 ニーア「!!」
 
- 
                  - 34 : : 2013/12/13(金) 23:52:57
 アニ「私に足りなかったもの…。技術はもちろんだけど、そんな表面的なものじゃない。
 私とあの仮面のやつには、決定的に違うものがあった」
 アニ「あいつは、何か大きなものを背負って戦っていた。それが何なのか分からないけど、
 『絶対に負けない覚悟』と『絶対に勝つ信念』があった」
 アニ「それに比べて、私が参加した理由は、ただの興味半分。そんな生半可な気持ちで、
 腹を括った男に勝てるはずがなかった…」
 アニ「思えば、始まる前は散々舐めた考えを持ってたよ。あんたの危惧したとおりだった。
 思い知ったよ。自分の未熟さを。どうしようもない甘ちゃんだったってことを…」
 ニーア「…それだけ分かれば十分でしょ。まだ、何かあるの?」
 アニ「…強く」
 ニーア「え?」
 アニ「…強くなりたい。誰にも負けないくらい、圧倒的に!」
 
- 
                  - 35 : : 2013/12/13(金) 23:57:12
 ニーア「アニ、あんた…」
 アニ「初めてだよ。ここまで歯が立たなかった相手は。そして、こんなに悔しいと思ったのは!」
 アニ「中途半端な気持ちで挑んでたから、なおさらね!もう、誰にも負けたくない!
 もし負けるようなときは、その時は、今以上に、本気で悔しがりたい!!」
 ニーア「…あんたにそこまで思わせるなんてね。
 連れてきたのは失敗だったかと思ったけど、そうでもなかったのかな?」
 アニ「…」
 ニーア「いいよ。一つ、いいことを教えてあげる。決めるのはあんた次第だけど」
 アニ「いいこと?」
 ニーア「あるんだよ。訓練兵団施設の近くに、東洋人を祖先に持つ師範がいる、とある道場がね。
 そこの師範は、かなりの腕前だったって話だよ」
 アニ「知らなかった。聞いたことがないね、そんな道場。本当にあるのかい?」
 ニーア「知る人ぞ知る、ってやつだからね。そんでもってそこの師範代も、とんでもない腕前らしいよ?
 格闘術だけなら、壁内最強との呼び声も高い」
 
- 
                  - 36 : : 2013/12/14(土) 00:01:31
 アニ「…面白いね。訓練じゃ、到底たどり着けないような域まで連れて行ってくれるんだろうね。
 興味がわいてきたよ。さっそく、尋ねてみようかな」
 ニーア「ふふっ。ちなみに、その道場の師範は、何でも伝説の東洋人の末裔らしい。
 蹴り技で東洋の頂点に立った、通称『キックの鬼』と呼ばれた男の、ね」
 アニ「師範代が壁内最強、師範が伝説の男の末裔。ますます楽しみだね…」
 ニーア「ちなみに、その師範代なんだけど、使ってる格闘術がちょっと特殊でね。
 何でも、カ…」
 ???「おーい、アニー!!」
 アニ「!?」
 
- 
                  - 37 : : 2013/12/14(土) 00:06:02
 ライナー「探したぞ!怪我は大丈夫なのか!?」
 ベルトルト「一撃でやられたって言うから、とんでもない大怪我してるんじゃないかと心配したけど、大丈夫そうだね」
 アニ「あんたら、なんでここに?」
 ライナー「なんだか知らないおっさんが教えてくれたんだ。訓練兵と思わしき金髪の少女が、
 地下闘技場で負けて怪我した、とな」
 ベルトルト「僕らが訓練兵だってのも見抜いてたみたいだった。何者だったんだろう…?」
 ニーア「まぁなんにせよ、お迎えが来てよかったね。今日のところは帰りなよ、アニ」
 ライナー「お前は確か、ニーアと言ったな。久しぶり、アニを介抱してくれたのか?礼を言う」
 ニーア「いいよ、このくらい当然でしょ?私があそこに誘ったのが原因なんだし」
 ベルトルト「君が?アニを危険な場所に…?」ジロ
 ニーア「そんな顔しないでよ。悪かったってば…」
 アニ「いいんだよ、私が好きで行ったんだから。それと、もう一か所、行きたい場所がある。付き合ってくれるかい?」
 ライナー「俺は別に構わんが…。門限は大丈夫か?」
 アニ「施設から近いところらしいから、大丈夫でしょ。とりあえず今日は、顔だけ出して帰る予定だし」
 
- 
                  - 38 : : 2013/12/14(土) 00:10:20
 ライナー「そうか…」
 ベルトルト「お願いだから、あまり危険なことはしないでくれ。僕はアニが心配だよ…」
 アニ「そりゃどうも。だけど、今の私は止められないよ。ちょっと、久々に燃えてるんでね…」
 ベルトルト「…」
 ニーア「それじゃ、頑張りなよ。その気になったら、次の大会の時も呼んであげるから」スタスタ
 アニ「はいよ。楽しみにしてる」
 ライナー「…」
 ベルトルト「…」
 
- 
                  - 41 : : 2013/12/14(土) 20:40:08
- 
 ~道場~
 
 ライナー「本当に…」
 
 ベルトルト「ここが…」
 
 アニ「…」
 
 道場「」ドーンッ!
 
 
 
 
 ライナー「なになに、『サワムラ道場』だと?珍しい名前だな」
 
 ベルトルト「中からあまり人の気配がしないね。誰かいるのかな?」
 
 アニ「とりあえず行ってみるよ。あんたらは来なくていいけど」
 
 ライナー「お前一人で大丈夫か?扉を開けた瞬間、中にいる猛獣が襲い掛かってきたりとか…」
 
 
 
 
 ???「そんなことはない。中には誰もいないからな」
 
 3人「!?」
 
- 
                  - 42 : : 2013/12/14(土) 20:45:16
 ???「驚かせてしまって済まない。私はこの道場の師範代。君たちは、新規入門者かな?それとも、道場破り?」
 ライナー「いや、俺とこいつは違います。こっちのちっこいのは入門希望で…」
 アニ「…」
 アニ(こいつ…)ジロ
 師範代(おや…?)
 ベルトルト「それより、中は誰もいないって言うのは…?」
 師範代「あぁ、それについては、中でゆっくり話そうか。さぁ、こっちへ」
 ライナー「俺達もですか?」
 師範代「お連れの方を外で待たせるわけにもいかないだろう?お茶でも飲みながら、ね」
 ライナー「はぁ…」
 アニ「」スタスタ…
 ベルトルト「大丈夫なのかなぁ…?」
 
- 
                  - 43 : : 2013/12/14(土) 20:50:39
 ~道場内~
 師範代「さぁ、その辺にでも掛けてくれ」
 ライナー「では、失礼して…」スッ
 ベルトルト「」スッ
 アニ「」スッ
 師範代「さて、入門希望はそちらのお嬢さんという事でよかったかな?」
 アニ「…えぇ」
 師範代「ほう、初めて喋ってもらったが、良い声をしているね。
 顔もスタイルもいいみたいだし、男連中が放っておかないんじゃないかい?」
 ベルトルト「セクハラはやめてください。訴えますよ?」
 アニ「ちょっと、あんた…」
 師範代「そいつは失礼。ただ思ったことを口にしただけで、悪気はないんだ。許しておくれ」
 ベルトルト「…」
 
- 
                  - 44 : : 2013/12/14(土) 20:55:17
 師範代「まずは、何から話そうかな…」
 ライナー「この道場は、門下生はどのくらいいるんですか?」
 師範代「いきなりそれを聞かれてしまうか…」
 ライナー「…え?」
 師範代「この道場の門下生は…」
 師範代「…二人だ」
 3人「!?」
 ライナー「二人!?たった…?」
 ベルトルト「道理で、誰もいないわけだ…」
 アニ「…」
 
- 
                  - 46 : : 2013/12/14(土) 21:02:35
 師範代「昔はもっと人がいたんだけどね、すっかり廃れてしまって。師範がかなりのお歳というのもあるんだけど、
 後継者候補もいなくてね。おまけに、こんな僻地。好き好んで訪れる者はいないんだよ」
 ライナー「そうでしたか…。いきなり失礼なことを…」
 師範代「いいんだよ。いずれ分かることだ。軍拡が叫ばれているこのご時世、若くてイキがいい世代はみんな
 訓練兵に志願してしまうからね。この5年、門下生不足で潰れていった道場を、今までいくつも見てきたよ」
 ベルトルト「…」
 師範代「まぁ、明日は我が身ってやつかな。ここも、そう長くはないだろう」
 ライナー「そんな…」
 師範代「まぁ、君たちに言っても仕方ないんだけど、とある事情で、この道場は多額の借金を抱えることになってしまった。
 それを返済しようにも、門下生が集まらなくては収入もない」
 
- 
                  - 47 : : 2013/12/14(土) 21:07:41
- 
 師範代「トロスト区では数か月に一度、裏の大会のようなものが開かれていると聞く。
 そこで優勝すれば大金を手にすることができるらしい」
 
 アニ「…」
 
 
 師範代「借金返済の足しにしようと、二人の門下生も挑んだらしいのだが…」
 
 師範代「結果は、どちらも頂点にたどり着くことはできず、大けがを負って療養中。
 まったく、あれほどよせと言ったのに…」
 
 師範代「どうせ一度優勝したくらいでは、返済できるような額ではないというのに、な…」
 
 ライナー「…」
 
 ベルトルト「…」
 
 
 
 師範代「君も、何かお金が必要なわけでもあるのかな?」
 
 アニ「…なぜそんなことを聞くんですか?」
 
 師範代「何故って、君が…」
 
 
 
 
 
 
 ???「よさんか、そんな湿っぽい話は」
 
 一同「!?」
 
- 
                  - 48 : : 2013/12/14(土) 21:12:43
 師範代「…師範!」
 ライナー(師範だと!?)
 アニ(この人が、伝説の東洋人の末裔…?)
 師範「この方たちは?」
 師範代「あぁ、入門希望者です」
 師範「ほう、それはまた珍しい。よくぞまぁ、こんな辺境の道場までおいでなすった」
 アニ「いえ…」
 師範「自己紹介がまだじゃったな。わしの名は、ウンショウ・シラハ。この道場の師範じゃ」
 ライナー「シラハさん、ですか。珍しい苗字ですね…」
 師範「まぁ、な。何せ、壁外に昔存在したという『東洋』という場所の名らしい」
 
- 
                  - 49 : : 2013/12/14(土) 21:18:23
 アニ「では、伝説の東洋人の末裔というのは、本当なのですか?」
 ウンショウ「ほう、そんな名で呼ばれておるのか、ウチの先祖は」
 ウンショウ「いかにも、わしの先祖は、かつて蹴り技で東洋の頂点に上り詰めたとされる、
 『キックの鬼』こと、タダシ・サワムラじゃ」
 ベルトルト「サワムラ!じゃあ、道場の名前のサワムラというのも…」
 ウンショウ「うむ。そこからきておる。もっとも、タダシ・サワムラというのはリング上での名。
 本名は、ヒデキ・シラハと言ったそうじゃ」
 ライナー「シラハ…。なるほど、それで…」
 ウンショウ「まぁ、今となってはただの昔話じゃがの。この若さで知っているとは驚きじゃ。
 ちなみに、こっちのは師範代のラエイじゃ」
 ラエイ「申し遅れた。ラエイ・ポッカだ」
 アニ「ラエイさん…」
 
- 
                  - 50 : : 2013/12/14(土) 21:26:09
 ウンショウ「ラエイは少々変わった格闘術の使い手でな。何でも、壁外の遠い国で生まれたものらしい」
 ベルトルト「本をたくさん読む、アルミンやマルコあたりがくわしそうだね」
 ウンショウ「そうだ、入門テストがてら、少々手合せしてみたらどうじゃ?ラエイの技も披露できるしの」
 ラエイ「しかし、師範…」
 アニ「いいですよ。ある程度、今の腕前を師範に見てもらえるなら光栄ですし」
 ライナー(今、光栄って言ったか?)
 ベルトルト(そんなこと言うなんて、アニがアニじゃなくなってる…)
 ウンショウ「決まりじゃな。さぁ、二人とも準備してくれ」
 ラエイ「…」
 アニ「…何か、ご不満でも?」
 ラエイ「…頭は大丈夫かい?」
 アニ「…生憎、正常ですよ」イラッ
 ラエイ「いや、そういう意味じゃない。頭を痛めているんじゃないか、と思ってね」
 アニ「…」
 アニ(この人…)
 
- 
                  - 51 : : 2013/12/14(土) 21:32:36
 ウンショウ「ほう、それは本当かね?」
 アニ「…えぇ、まぁ少々」
 ウンショウ「そいつはいかんな。よし、そっちの金髪のお兄ちゃん、替わってくれ」
 ライナー「え!?俺ですか!?」
 ベルトルト「頑張って、ライナー」
 アニ「ちょっと、私はまだ何も…」
 ウンショウ「万全の君を見れないのであれば、ここで無理させる意味はない。
 どうせ君の入門はほぼ決まっているようなものだから、安心して見てるといい」
 アニ「…」
 ラエイ「それじゃ、改めてよろしく、ライナー君」
 ライナー「はぁ…」
 ライナー(相変わらず理由がないなぁ、これ…)
 
- 
                  - 52 : : 2013/12/14(土) 21:37:27
 ラエイ「」スッ
 ライナー「」ススッ
 ウンショウ「それでは…」
 ウンショウ「始めっ!!」
 ラエイ「そちらからどうぞ」
 ライナー「はぁ、それじゃ遠慮なく…」
 ライナー「」ダッ!
 ウンショウ「ほう。ガタイの割には、なかなか機敏な動きだ」
 ライナー「はぁっ!」ブンッ!
 ラエイ「」ヒュッ!
 スカッ!
 ライナー「!?」
 
- 
                  - 53 : : 2013/12/14(土) 21:42:19
 ベルトルト「あれは…!」
 アニ「…逆立ち!?いや、違う!!」
 ラエイ「…はっ!」ギュンッ!
 ライナー(逆立ちの状態で、そのまま蹴りだとっ!?)
 ライナー(駄目だ、かわせんっ!!)
 ドゴッ!!!
 ライナー「ぐあっ!!」ドサッ!!
 ベルトルト「ライナーっ!!」
 ライナー「…う、いてて…」
 アニ「あの技は…」
 
- 
                  - 55 : : 2013/12/14(土) 21:46:40
- 
 ウンショウ「うむ、そこまで。大丈夫か、ライナー君」
 
 
 
 ライナー「いやぁ、一瞬で視界から消えたと思ったら、まさか逆立ちした状態で蹴りを繰り出すなんて。
 確かに、見たことがない格闘術ですね」
 
 ラエイ「カポエイラ。壁外のはるか遠い国で生まれたとされる、特殊な格闘術だ」
 
 アニ「カポエイラ…」
 
 
 
 ラエイ「この技の起源は諸説あると言われている。手枷をされた奴隷が、看守の目を欺きながら技を編み出したという説や、
 辺境の地に住んでいた少数民族特有の格闘術という説」
 
 ラエイ「まぁ、今となっては知る術はないけどね。知っている限り、壁内でこの技を扱うのは私だけだ」
 
- 
                  - 56 : : 2013/12/14(土) 21:50:28
 ベルトルト「誰か、後継者はいないのですか?」
 ラエイ「こんな変則的な格闘術を覚えようという子はなかなかいなくてね。
 常に逆立ちで戦うわけじゃないんだが、どうも逆立ち蹴りのイメージが強いせいで中々受け入れられないんだよ」
 ライナー「見た目の問題ですか。俺はカッコイイと思いますけどね」
 ラエイ「ありがとう。お世辞でもうれしいよ」
 ライナー「そんな、お世辞だなんて…!」
 アニ「…」
 アニ(あの動き、どこかで…)
 ベルトルト「どうしたの?」
 アニ「…いや、ちょっとね」
 ベルトルト「?」
 
- 
                  - 57 : : 2013/12/14(土) 21:55:32
 ウンショウ「さて、一通り話も終わったし、入門手続きを行ってもよろしいかな?」
 アニ「その前に、一ついいですか?」
 ウンショウ「何かな?」
 アニ「この道場で鍛えてもらえば、本当に強くなれますか?トロスト区の裏格闘大会で、優勝できるくらいに…」
 ラエイ「…」
 ウンショウ「…なるほど、君はそれが目的か。理由は何かな?お金かな?」
 アニ「強いて言えば、『称号』ですかね。強さという名の称号」
 ウンショウ「…ほう、今時珍しいの。形のないものを追うために強さを求める者は」
 ラエイ「…」
 
- 
                  - 58 : : 2013/12/14(土) 21:59:28
 アニ「実は今日、その大会に参加してきました。しかし、予選の初戦、何をされたのか分からないうちに負けました」
 アニ「力量の差を痛感する間もなく、悔しがる隙もなく負けたのは初めてです。
 もうこんな思いはしたくありません」
 ウンショウ「…厳しい道のりになるぞ。覚悟はいいかな?」
 アニ「はい。承知の上です」
 ウンショウ「よろしい。正式にうちの門下生として受け入れよう。名前は何と言ったかな?」
 アニ「アニ・レオンハートです」
 ラエイ「えっ?」
 アニ「?」
 ラエイ「…いや、何でもない」
 アニ「…」
 
- 
                  - 59 : : 2013/12/14(土) 22:04:28
 ベルトルト「ちなみに、お金とかってどうなってるんですか?正直な話、自由に使えるお金を
 僕らはあまり持ち合わせていないので…」
 ウンショウ「要らん。タダじゃ」
 一同「!?」
 ライナー「タダって、そんな馬鹿な!」
 ラエイ「そうですよ、師範!今のこの道場がどういう状態かお分かりでしょう!
 さすがに、タダと言うわけには行きませんよ!」
 ウンショウ「今は、じゃ。将来は、裏格闘大会で優勝するのじゃろ?」
 アニ「…はい」
 ウンショウ「その賞金で、払ってくれればよい。出世払いというヤツじゃな」
 アニ「…分かりました。ありがとうございます」
 ラエイ「しかし…」
 ウンショウ「お主はまだ『あのこと』について負い目を感じておるのか?
 そんな暇があるなら、一人でも多く門下生を集めてくれると助かるんじゃがな」
 ラエイ「…返す言葉もございません」
 
- 
                  - 60 : : 2013/12/14(土) 22:09:34
 ウンショウ「さて、スケジュールのほうはどうしようかの?」
 アニ「私達は訓練兵なので、休日になら来られます。訓練のある日は、昼間は無理です。
 夜、施設を抜け出してこちらに来ることもできますが…」
 ウンショウ「ふむ。じゃが、それでは少々難しかろう。教官殿に知られてはマズいのではないかな?」
 アニ「バレないように尽くせば問題ありません」
 ライナー「しかしな、アニ…」
 ウンショウ「なら、まずは休日のみここを訪れ、それ以外の日は、わしのほうから課したメニューを
 施設のほうで自主練として行う。これでどうじゃ?」
 ベルトルト「それならいいんじゃない、アニ?よく、一人で自主練してるでしょ?
 メニューが明確ならやりやすいだろうし、今までとやることも変わらない。僕は賛成だよ」
 ライナー「うむ。俺もそれならいいと思うぞ。決めるのはお前自身だが…」
 アニ「…では、それでお願いします」
 ウンショウ「あい分かった。それではわしはメニューを作ろう。ラエイ、それまで初歩の指導をお願いできるかな?」
 ラエイ「承知しました。それではアニ、外へ…」
 アニ「はい…」
 
- 
                  - 61 : : 2013/12/14(土) 22:12:57
 ~外~
 大樹「」ズーン
 ラエイ「まずはこの樹を見てくれ。君は、蹴りだけでこの樹を斬り倒せるかな?」
 アニ「斬り倒す?蹴るのに、斬り倒すのですか?」
 ラエイ「そうだ」
 アニ「…」
 ラエイ「百聞は一見に如かず、だな。私の手本を見ていてくれ」
 アニ(斬り倒す…?イメージが湧かない。脚をどう使うんだろう…?)
 
- 
                  - 62 : : 2013/12/14(土) 22:15:45
 ラエイ「」コオォォォォォォ…
 アニ(…この人からも、オーラを感じる。やっぱりタダ者じゃないってことだね)
 ラエイ「」スッ…
 アニ(脚を伸ばした。あの状態から、どんな蹴りを繰り出すんだろう…?)
 ラエイ「」バッ!
 ラエイ「はあぁぁぁぁっ!!!!!」ビュッ!!!
 スパンッ!
 大/樹「」ズゥゥゥゥン…
 アニ「なっ…!?」
 アニ(本当に斬れた!へし折ったんじゃなくて、樹が真っ二つに斬れた!!)
 
- 
                  - 63 : : 2013/12/14(土) 22:20:25
 ラエイ「ふぅぅ…」スゥゥ…
 アニ「…お見事です」
 ラエイ「分かってもらえたかな?」
 アニ「樹を斬り倒すという意味は分かりましたが、理屈が全く分かりません。それに、足の動きが早すぎて、
 とても肉眼ではとらえられないというか…」
 ラエイ「だろうね。簡単に見切られたら、こちらとしても面白くないからね」
 アニ「…教えてもらえますか?」
 ラエイ「いいだろう。まず、私の脚、ふくらはぎのあたりを触ってごらん」スッ
 アニ「…失礼します」モミ
 アニ「…柔らかいですね。意外と」
 ラエイ「誰も揉めと入ってないけどね。まぁ、どの道揉み比べてもらう予定だったけど」
 アニ「…」
 
- 
                  - 64 : : 2013/12/14(土) 22:23:36
 ラエイ「じゃあ次は、これを触ってごらん」ギュッ
 アニ「…それでは」モミ
 アニ「!!!」
 ラエイ「気付いたかい?」
 アニ「筋肉が硬い。さっきとは比べ物にならないくらい。鋼鉄みたい…」
 ラエイ「これが技の正体さ。脚を伸ばした状態で、筋肉に最大限に力を伝える。そうすることによって、
 鋼鉄のごとき硬度の脚となる」
 ラエイ「その状態で、高速の蹴りを放つことによって、先ほどの斬れ味を誇る蹴りになる。
 まぁ、さすがに人は斬れないけど、骨は数本イかせられるだろうね」
 アニ「…すごい」
 
- 
                  - 65 : : 2013/12/14(土) 22:30:01
 ラエイ「まずは、これを君に修得してもらう」
 アニ「いきなりずいぶんとレベルの高い要求なんですね」
 ラエイ「そのくらい、君には素質があるという事さ。他の二人の門下生は、まだまだそんなレベルには達していない。
 立場的には君の兄弟子という事になるが、実力的には君の足元にも及ばないだろうね」
 アニ「そうなんですか…」
 ラエイ「だからといって、当然一朝一夕でできる技じゃない。師範からもらうメニューの自主練で脚力を鍛えつつ、
 少しずつ習得に向けていくという感じかな」
 アニ「なるほど、分かりやすいですね」
 ラエイ「今日はポイントとなる部分の説明をして終わりにしよう。あとは、次の休日までのお楽しみ」
 アニ「はい。よろしくお願いします」
 ライナー「アニ、なんだか生き生きしてるなぁ」
 ベルトルト「端から見てると表情はいつも通りだけど、明らかに喜んでるよね、あれ」
 ライナー「なんだかアニを取られたようで寂しいなぁ…」
 ベルトルト「もともと僕らのじゃないでしょ…」
 
- 
                  - 66 : : 2013/12/14(土) 22:39:06
 ~夜・訓練兵団施設~
 アニ「…」
 アニ(まずは、つま先まで力を込めるイメージで脚を伸ばし…)
 アニ「」ググッ…
 アニ(その際、脚というより筋肉そのものに力を込めて硬くする感覚で構え…)
 アニ「」ピンッ…
 アニ(対象物を決定したら、迷いを捨て、剣を振るうイメージで一気に脚を振りぬく!)
 アニ「」ビュッ!
 樹「」ドゴッ!
 アニ「…っ!」ビリビリビリ…
 アニ「…いったぁ」ジンジン
 アニ(そもそも、生身でこんな樹を蹴り倒すなんてできるわけないでしょ。師範代はとんでもないバケモノだね…)
 アニ「…」
 アニ(師範にもらったメニューこなして、今日は寝よう…)
 
- 
                  - 67 : : 2013/12/14(土) 22:43:41
 ~翌日・医務室~
 アニ「…」
 キース「レオンハート、これは一体どういうわけだ…?」
 エレン「く…駆逐…してやる……」ズキズキ
 ジャン「あ…あぁ…ミカサぁ……」ズキズキ
 サシャ「イモぉ…パ…パァン……」ズキズキ
 アニ「それは…」
 アニ(修練が思い通りにいかないからイライラして、格闘訓練で思わず本気を出してしまった…)
 アニ(まさかこんなあっさりこいつらを沈められるなんて、自分でも驚いた…)
 キース「貴様と訓練した者がもれなくこの状態だ。いったい何をした?」
 アニ「ちょっと力加減を間違えました…」
 キース「…」
 キース(いつも手抜きばかりのレオンハートが真面目に訓練をしたと思えば、この有様。
 どうしたものか…)
 
- 
                  - 73 : : 2013/12/15(日) 13:40:59
 ~次の休日・道場~
 ラエイ「やぁ、いらっしゃい。待っていたよ」
 アニ「どうも…」
 ラエイ「修練のほうはどうだい?順調かな?」
 アニ「いえ、正直あまり。どうも自分の中で、樹を脚で斬り倒すというイメージが明確につかめません」
 ラエイ「一度実物を見せたが、ダメだったか…」
 ウンショウ「ふむ。先に完成形を見てしまったがゆえに、その残像ばかりを追いかけてしまって、
 自分の型を見失っているのではないかな?」
 ラエイ「師範!」
 アニ「」ペコッ
 
- 
                  - 74 : : 2013/12/15(日) 13:44:34
 ウンショウ「どれ、ちょっと見せてごらん。わしに分かることがあれば、助言してしんぜよう」
 アニ「では…」スタスタ
 樹「」ドーン
 アニ「」スッ
 アニ「」ググッ…
 ラエイ(ほう。とりあえず構えは上出来だな。もともときちんと鍛えてあるようだからな。
 筋肉量も申し分ない)
 ラエイ(後は、ここからどうなるか。見せてもらうぞ…)
 
- 
                  - 75 : : 2013/12/15(日) 13:49:25
 アニ「はぁぁぁ…」
 アニ「…ふっ!」ビュッ!
 樹「」ドゴッ!
 メキッ…
 アニ「…っ!」ズキッ!
 樹「」グラァ…
 ドオォォォォォォォンッ…
 ラエイ「…ふむ。とりあえず『蹴り倒す』のはできるようだね」
 アニ「…はい。何とか」ズキズキ
 ウンショウ「わしの課したメニューをきちんとこなしていたようじゃな。そうでなければ、
 この短期間で、そこまで爆発的な力を発揮できる脚力にはならんからの」
 アニ「ありがとうございます」
 
- 
                  - 76 : : 2013/12/15(日) 13:54:24
 ウンショウ「…脚、痛むか?」
 アニ「…えぇ、割と」
 ウンショウ「どうやら、君の持つイメージと、君の体が発揮できるパフォーマンスとの間に大きな差があるようじゃ。
 だから、なかなか思い通りの蹴りが繰り出せず、要らんダメージを残してしまう」
 アニ「はぁ…」
 ウンショウ「武闘家において、己の肉体は唯一の武器。もっと大事に扱わんとな」
 ラエイ「おっしゃる通りです」
 
- 
                  - 77 : : 2013/12/15(日) 13:58:37
 アニ「それで、その『大きな差』というのは…?」
 ウンショウ「君は、さっきの蹴りを繰り出すときに、どのようなイメージを持っているのかの?」
 アニ「自分の脚を刃に見立て、切り裂くイメージで脚を振り抜くと。師範代からもそう言われました」
 ラエイ「確かに、私のほうからもそう伝えました」
 ウンショウ「ラエイの場合は、それで間違いないのじゃろう。じゃが、アニの場合はちょっと違うようじゃな」
 アニ「と、言うのは?」
 ウンショウ「お主の蹴りからは、ラエイと同じ『剛』の質を感じる。じゃがそれ以上に、
 どこか『柔』、すなわち柔らかさを含んだものが感じ取れるのじゃ」
 ウンショウ「『剛』であれば、鋼鉄の刃をイメージするのも間違いではなかろう。じゃが、
 『柔』であれば、強引に硬度のイメージをしても、なかなかうまくはいかん」
 
- 
                  - 79 : : 2013/12/15(日) 14:02:50
- 
 ウンショウ「少々、イメージを変えてみてはいかがかな?たとえば…」
 
 
 
 ウンショウ「柔らかくしなる『鞭』のようなイメージなどはどうかな?」
 
 アニ「鞭、ですか…」
 
 ウンショウ「そうじゃ。力を入れてガチガチに硬く構えるよりも、多少力を抜いて柔らかく構えてごらんなさい。
 そして、樹を蹴り抜く瞬間にだけ、脚の筋肉に力を込める。できそうかな?」
 
 アニ「柔らかく…。鞭のイメージで…」
 
 
 
 ウンショウ「そうじゃ。すぐにはできなくとも、さっきまでのイメージよりは、何か掴めるものがあろう」
 
 アニ「…やってみます」
 
- 
                  - 80 : : 2013/12/15(日) 14:07:17
 樹「」ズーン
 アニ「」スッ…
 ラエイ(…素晴らしい。口頭で少し説明されただけなのに、すでに彼女の中には明確な理想像が出来上がっている)
 アニ「」ググッ…
 アニ(柔らかく構えて…)
 アニ「」ビュッ…
 アニ(蹴りを入れる瞬間に、筋肉に力を込める!)
 ドゴッ!
 樹「」メキッ!
 ドオォォォォォォォンッ
 アニ「…」
 ラエイ「先ほどとは、明らかに違う!まだ斬り口は荒いが、これは十分『斬り倒した』と言えるぞ!!」
 
- 
                  - 81 : : 2013/12/15(日) 14:14:57
 ウンショウ「ほう、これは驚いた。たった一度でこれほどまで行くとは。素質は十分すぎるほど持っているようじゃな」
 アニ「…あまり痛くない」サスサス
 ウンショウ「それが『蹴り抜く』イメージじゃ。忘れぬようにな」
 アニ「『蹴る』のではなく、『蹴り抜く』…」
 ウンショウ「そうじゃ。実践を重ねていくうちに、お主もその感触をはっきりと感じ取れるようになるじゃろう」
 ウンショウ「一つアドバイスするとしたら、蹴る目標を、対象物の先に設定することじゃ。
 そうすることによって、対象物の先まで蹴る、すなわち、『蹴り抜く』という事になるのじゃ」
 ラエイ「はっはっは。師範の直々の指導で、いきなりここまでの指南を受けられるとは。
 アニ、君は幸せ者だぞ」
 アニ「ありがとうございます…」
 
- 
                  - 82 : : 2013/12/15(日) 14:21:45
 ウンショウ「ちなみにそのラエイの技、特に名前はないのじゃが、門下生たちが何やら変な名前を付けておったな」
 ラエイ「そうでしたね。何でも、超絶的な硬度から技を繰り出すと言うので
 『ダイヤモンドブレイク』なる技名を…」
 ウンショウ「ほっほっほ。今時の若者らしい名前じゃな」
 ラエイ「まったく、ダイヤモンドはあくまで『もっとも傷がつきにくい』というだけであって、
 もっとも硬いというわけではないのに。困った連中ですよ」
 ウンショウ「良いではないか。なかなか、似合っておると思うぞよ?」
 ラエイ「はぁ…」
 ウンショウ「じゃが、アニのは少々違う。硬さの中に、柔らかさがある。透き通るような柔らかさがな」
 ウンショウ「すなわち、水晶のごとき。『クリスタルブレイク』」でどうじゃ?」
 ラエイ「師範、そんな…」ハァ…
 アニ「クリスタルブレイク…」
 アニ(クリスタル…水晶。私の硬化能力と一緒…)
 
- 
                  - 84 : : 2013/12/15(日) 14:26:21
- 
 ウンショウ「東洋には『柔よく剛を制す』という言葉があってな。何事においても、
 柔のしなやかさを用いれば、剛の頑強さをも覆すことができる、という意味じゃ」
 
 アニ「…」
 
 
 
 ウンショウ「お主も修練次第では、すぐにでも剛のラエイを追い抜くことができよう。わしが断言する」
 
 ラエイ「師範、勘弁してくださいよ。まだまだ若い者には負けませんってば」
 
 ウンショウ「そいつはどうかのぉ?楽しみじゃわい」
 
 ラエイ「…まったく」
 
 
 
 ウンショウ「アニよ、今の成果に満足せず、精進を続けるのじゃぞ。
 よし、次の技を教えよう」
 
 アニ「もう、ですか?」
 
 ウンショウ「お主なら大丈夫じゃろう。わしはお主に、ラエイを超えてもらうよう頑張ってもらいたいからの」
 
 アニ「はぁ…」
 
- 
                  - 85 : : 2013/12/15(日) 14:31:47
 ウンショウ「次は『聖域』の初歩を伝授しようかの」
 アニ「『聖域』…?」
 ラエイ「『聖域』ですか!?まだ少々早すぎるのでは…?」
 ウンショウ「アニの腕前、もとい脚前なら、早すぎるという事はあるまい。
 それともお主、少々焦っておるな?アニに抜かれてしまうのではないかと?」
 ラエイ「いえ、そんなことは。ただ、習得までの道のりを考えると…」
 ウンショウ「無理そうなら、早めに切り替えるわい。まずは、実物から見せておくか。
 アニ、わしの前に立ってみてくれるか?10メートルくらい距離を取って、な」
 アニ「はぁ…」スタスタ
 
- 
                  - 86 : : 2013/12/15(日) 14:36:34
 ラエイ「そのくらいでいいだろう。では師範…」
 ウンショウ「うむ…」
 ウンショウ「」スッ…
 アニ「?」
 ウンショウ「…」
 アニ「…あの、私は何をすれば?」
 ラエイ「アニ、君には見えないか?」
 アニ「…何がですか?」
 ラエイ「…ふむ。まぁ、見えずとも無理はない」
 アニ「?」
 
- 
                  - 87 : : 2013/12/15(日) 14:42:40
 ウンショウ「…さぁ、近付いて来てごらん。わしにクリスタルブレイクを浴びせるつもりでの」
 アニ「しかし、そんな無防備な師範にあの技を出すわけには…」
 ウンショウ「来いと言っておる。さぁ、こちらへ…」
 アニ「…では」スッ
 アニ(いったい、何をするって言うんだい?『聖域』?意味が分からない…)
 ウンショウ「…」
 アニ(距離はもう5メートルもない。それでも、師範は構える様子はない。ほんとに、何をする気…)
 アニ「」スタ
 ウンショウ「!!!!!!」ブンッ!
 アニ「えっ…」ヒュッ…
 アニ「…っ!」ドサッ!!
 ラエイ「…お見事」
 
- 
                  - 88 : : 2013/12/15(日) 14:47:33
 ウンショウ「思ったより飛ばんかったの。とっさに防御されてしもうた。さすがアニじゃ」
 アニ「ゲホゲホッ!いったい何が…!?」
 ラエイ「君は師範に吹き飛ばされたのさ。『聖域』を侵したためにね…」
 アニ「一体、『聖域』とは…」
 ウンショウ「言葉で説明するのはなかなか難しいのじゃが、要するに自分の『領域』じゃな。
 この『領域』に侵入するものを、自動的に排除する技じゃ」
 アニ「自動的に…?意味がよく分かりません」
 ラエイ「師範は今、自分自身を中心に、半径約5メートルほどの円の『領域』を持っておられる」
 アニ「領域…」
 ラエイ「その領域内は、師範の気が充満していて、領域内に何かが侵入すると、その部分の気が乱れる。
 その気の乱れを察知して、師範の『居合脚』が発動する」
 
- 
                  - 89 : : 2013/12/15(日) 14:52:24
 アニ「『居合脚』…?」
 ウンショウ「そもそもお主は、居合というものをご存知かね?」
 アニ「いえ、知りません…」
 ウンショウ「居合というのは、東洋に伝わるとされる伝統的な剣術の一つでな。
 鞘から刀剣を抜き放ち、さらに納刀に至るまでを含めた技術のことを言うのじゃ」
 アニ「はぁ…」
 ウンショウ「これを、刀の代わりに自分の脚を用いるのじゃ。自分の脚を、鞘に納めた刀に例えるイメージじゃ。
 お前さんの場合は、しなやかな鞭じゃったな」
 ラエイ「領域内で気を乱す者を、居合術で絶ち払う。これの熟練度が増すと、自分の意思を介さずとも、
 居合脚にて絶ち払うことができるようになる。これが『聖域』だ」
 
- 
                  - 90 : : 2013/12/15(日) 14:57:45
 アニ「なるほど。まさに自動的に敵を払い除けるわけですね…」
 ウンショウ「そういうことじゃ。まぁこれは、わしの域までたどり着くには数年かかるじゃろう。
 とりあえずお前さんに覚えてもらうのは、領域内の敵を居合脚で絶ち払うまでのレベルじゃな」
 ウンショウ「お主くらいの歳でこれを覚えられれば、『聖域』のレベルまでたどり着くのに
 そう時間はかからんじゃろう」
 アニ「はぁ。そもそも、『気』というもの自体、よく分からないんですが…」
 ウンショウ「心配せんでも、ちゃんと教えてやるわい。少し休憩したら、『気』について少々講義と行こうかの」
 アニ「…」
 
- 
                  - 91 : : 2013/12/15(日) 18:46:58
 ~翌日・訓練兵団施設~
 アニ「…」
 アニ(気についてはよく分からなかったけど、修練の方法は教えてもらった。
 あとは、ひたすら練習あるのみ)
 アニ(まずは自分の『領域』を創り上げる。
 その『領域』に侵入するものに対して、いかなる時でも反応できるようにしておく…)
 アニ(あらかじめライナーとベルトルトにも協力を依頼しておいた。いつでも来な…)
 ライナー「…よし、本当にいいんだな?」
 ベルトルト「うん。アニが言うには、僕らの好きなタイミングで、このクルミをアニめがけて投げつける。
 自分の領域(?)に侵入するものに対して反応するためなんだって」
 ライナー「いよいよアニが俺達の理解できない場所まで行ってしまったな。少々さびしさを感じるぞ…」
 ベルトルト「仕方ないよ。これもアニのためだ。別に、どこか遠くに行ってしまうわけではないしね」
 ライナー「そうなんだがなぁ…」
 
- 
                  - 92 : : 2013/12/15(日) 18:53:16
 ベルトルト「よし、まずは一発目行ってみようか。どうなるかな…」
 ライナー「まぁ待て」
 ベルトルト「何?」
 ライナー「優しく投げつけたって、修行にも何にもならんだろう。ここは思いっきり投げつけてやるんだ…」ニヤリ
 ベルトルト「えぇ!?でも、そんなことしたら…」
 ライナー「アニだって、俺達が手加減するのは望まないはずだ。かわいい妹分のために、一肌脱ごうじゃないか」
 ベルトルト「知らないよ。後でどうなっても…」
 
- 
                  - 93 : : 2013/12/15(日) 18:57:32
 ライナー「それじゃ、まずは俺から。巨人の弱点はうなじ、そこをめがけて渾身の一撃を…」⊃クルミ
 ベルトルト「…」
 ライナー「喰らえっ!!」ビュッ!
 アニ(…まだかね。いずれ来ると分かっている攻撃にすら、集中を保つのはキツイ。
 これを常に集中して気を張っていられるようになるには、そうとうな熟練度が必要だね)
 アニ(そもそも今の私は、気というよく分からないものを操れているんだろうか?
 こればっかりは、どうにも…)ゴチンッ!
 アニ「!?」
 
- 
                  - 94 : : 2013/12/15(日) 19:03:14
 ライナー「やべっ、頭に当ててしまった…」
 ベルトルト「ちょっ!何してるんだよ!すごい音したよ!?」
 ライナー「だ…!だが、これくらい許してくれるだろう!
 アニのほうから持ち掛けてきた修練なんだから、怒られる筋合いは…」
 アニ「…今投げたの、どっちだい?」
 ベルトルト「ライナーですっ!!!」
 ライナー「おいっ!!即答かよっ!!お前だって、反対しなかったじゃないk…」ヒュッ…
 ドゴーンッ!!!!
 パラパラ…
 ライナー「」
 アニ「…クリスタルブレイク」ボソッ…
 ベルトルト(ライナーが数十メートル吹き飛んだ…!アニさん、半端ないです…)ガタガタ
 
- 
                  - 95 : : 2013/12/15(日) 19:09:55
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 アニ「もうこれはいいや。次をお願いできるかい?」
 ベルトルト「次、ね…」チラッ…
 ライナー「構わんぞ…」ボロッ…
 アニ「師範が言うには、これを使うんだとさ」
 大量のピンポン玉「」ドサッ
 ベルトルト「これを、どうするんだい?」
 アニ「これを至近距離から思いっきり投げてもらう。んで、私がそれをかわす。
 俊敏さと動体視力を養う特訓なんだってさ」
 ライナー「至近距離で!?こんなの、思いっきり投げたらかわせるわけないだろう!?」
 アニ「それをかわせるように特訓するんでしょ。ほら、さっさと準備して」
 
- 
                  - 96 : : 2013/12/15(日) 19:15:52
 ライナー「…次、ベルトルトな」
 ベルトルト「えぇっ!?」
 ライナー「大丈夫だ。これこそ、アニだって最初はかわすことができずに喰らう覚悟があるはずだ。
 きっとさっきの俺のようにはならん」
 ベルトルト「何を根拠にそんなことを…」ビクビク
 ライナー「いいから黙ってやれ!」
 ベルトルト「うぅ…」
 アニ「今度はベルトルト?んじゃ、頼むよ」
 
- 
                  - 97 : : 2013/12/15(日) 19:21:49
 ベルトルト「分かった…。じゃあ、行くよ…」
 ベルトルト「それっ!」ヒュッ!
 アニ「」ヒュッ!
 ベルトルト「えいっ!」ヒュッ!
 アニ「ちょっとストップ」ヒュッ!
 ベルトルト「どうしたの?」
 アニ「あんた、手抜いてるでしょ?そんな程度の速度じゃ、特訓にならないんだけど」
 ベルトルト「でも、ピンポン玉とはいえ、当たったら痛いよ?」
 アニ「実戦で相手の攻撃を至近距離で受けたほうが痛いでしょ?
 それを喰らわないようにするための特訓なの、真面目にやってくれる?」
 ベルトルト「…分かったよ」
 
- 
                  - 99 : : 2013/12/15(日) 19:28:39
- 
 アニ「それじゃ仕切り直しで。思いっきり来な」
 
 ベルトルト「それじゃ…」
 
 ベルトルト「えぇいっ!!!!」ブオンッ!!
 
 
 
 
 アニ「」ヒュッ!
 
 
 
 
 アニのおでこ「」ペチコーンッ!!!!!
 
 
 
 
 
 
 
 ライナー「…」
 
 ベルトルト「…」
 
 
 
 
 
 
 
 アニ「…ちょっとストップ」
 
 ベルトルト「ひいっ!!」ビクッ!
 
- 
                  - 100 : : 2013/12/15(日) 19:34:32
 アニ「あぁ、いや、分かってる。これを頼んだのは私だし、避け切れなかったのも私。だけどね…」
 アニ「やっぱ最初はイラッと来るね…。おでこがひりひりするんだよ…」
 ベルトルト「そんなっ!!理不尽なっ!!僕は思いっきりやれっていw…」ヒュッ…
 ドゴーンッ!!!!
 パラパラ…
 ベルトルト「」
 アニ「…安心しな。もう八つ当たりは最初で最後だから。さぁ、続きをやろうか」スッキリ
 ライナー「…これ、俺達も修行すべきかな?アニの暴虐に耐えるために…」
 
- 
                  - 101 : : 2013/12/15(日) 19:40:28
 ~一か月後~
 アニ「…」
 ライナー「」⊃クルミ
 ライナー「それっ…」ヒュッ
 アニ「…」
 クルミ「」ヒュゥゥゥゥ…
 アニ「!!」
 アニ「はっ!」パシッ!
 ライ&ベル「おぉ~~っ」パチパチパチパチ
 アニ「…ふんっ」
 
- 
                  - 102 : : 2013/12/15(日) 19:45:57
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ベルトルト「それっ!!」ヒュッ!
 アニ「」ヒョイッ
 ベルトルト「えいっ!!」ヒュッ!
 アニ「」ヒョイッ
 ベルトルト「このっ…」
 ベルトルト「それそれそれそれそれそれっ!!!」ヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ!!!
 アニ「」ヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイッ
 ライ&ベル「おぉ~~っ」パチパチパチパチ
 アニ「…まぁまぁかね」
 
- 
                  - 103 : : 2013/12/15(日) 19:51:56
 ライナー「一か月で見違えるような上達ぶりだ。俺達がストレスのはけ口になった甲斐があったなぁ」
 ベルトルト「本当だよ。おかげで、僕らも心なしか、強くなれた気がするよ」ハハハ…
 アニ「あんたらには感謝してるよ。
 『気』についても、一か月前は雲をつかむような感覚だったけど、今は結構しっくり来るものがある」
 ライナー「そいつはよかった。俺達もうれしいぜ」
 ベルトルト「おめでとう、アニ。次はいつ道場に行くの?」
 アニ「明後日かな。特訓の成果を披露してくるよ」
 ベルトルト「頑張ってね」
 ライナー「よし、俺達は当番があるからそろそろ戻るが、お前はどうする?」
 アニ「もう少しここにいて、瞑想でもしていくさ。居合についても、もう少し磨いていきたいからね」
 ライナー「分かった。あまり遅くならんようにな。飯抜きにされちまうぞ」ハッハッハ
 ベルトルト「じゃあね。必要な時はまたいつでも呼んでよ」
 アニ「あぁ、ありがと」
 スタスタ…
 
- 
                  - 104 : : 2013/12/15(日) 19:57:43
 アニ「さて、と…」
 アニ(この一か月でだいぶ感覚はつかめてきた。けれど、師範代の域にはまだまだだね。
 少しでも空いた時間を使って、技術を磨かないとね…)
 アニ「…」
 クリスタ「ユミル、あれ…」
 ユミル「あん?ありゃ、アニか?何してんだ?」
 クリスタ「座ったまま目をつぶって、寝ちゃってる?」
 ユミル「呑気な奴だなぁ。風邪ひきてぇのか?」
 クリスタ「大変っ。起こしてあげないと!」
 ユミル「放っとけよ、あんなやつ。自業自得だろ」
 クリスタ「そう言うわけにはいかないよ。風邪ひいちゃったらかわいそうだもん」タタッ
 ユミル「まったく、相変わらずだな、あいつ…」
 
- 
                  - 105 : : 2013/12/15(日) 20:02:34
 アニ「…」
 アニ(心を無に、気の流れを感じることに専念するんだ…)
 クリスタ(うわぁ、ほんとに寝ちゃってるよ。全然動かない…)
 クリスタ(…そうだ、こっそり近づいて、ちょっと驚かせちゃおうっと)フフ…
 クリスタ「」ソローリ…
 アニ「…」
 クリスタ「」ソロリ…
 アニ「!?」ピクッ!
 
- 
                  - 106 : : 2013/12/15(日) 20:07:32
 アニ「」ビュッ!
 クリスタ「えっ!?」
 アニ「あっ…」
 アニ(クリスタ!?マズい、止められないっ!!)
 ドゴッ!!
 クリスタ「あぁっ…!」ドサッ!
 ユミル「クリスタっ!!」
 クリスタ「うぅ…」
 ユミル「大丈夫かっ!?」
 
- 
                  - 107 : : 2013/12/15(日) 20:12:56
 クリスタ「いたた…。ふかふかの草のおかげで落ちた衝撃はほとんどなかったけど、
 アニのキックを思いっきり右腕に受けちゃった…」エヘヘ…
 アニ「ごめんっ、悪気はなかったんだ!ちょっと特訓の最中で…」
 ユミル「てめぇ、どういうつもりだ!?特訓って、クリスタを踏み台にする特訓か!?」
 アニ「違うよ。後ろに気配を感じたから、無意識に反応しちゃったんだよ。まさか、人だとは思わなくてね…」
 ユミル「悪気があるなしってのはこの際どうでもいい。お前がクリスタをぶっ飛ばしたことが問題だ!!
 覚悟はできてるんだろうな…」
 クリスタ「ちょっとユミル!私は大丈夫だから!!少しいたずらしようとした私が悪いの!!」
 ユミル「お前は黙ってろ!私は今、尋常じゃなくキレてるんだ。邪魔したら、何するか分かんないぜ…」
 クリスタ「…っ!」
 
- 
                  - 108 : : 2013/12/15(日) 20:19:44
 アニ「だから、悪かったって言ってるでしょ。私が好きでクリスタにこんなことするわけないでしょ。
 あんたならともかく…」
 ユミル「ほう、私なら遠慮なくぶっとばしたってか?上等だコラ、歯ぁ食いしばれや!!」
 アニ「…言っても分かってもらえないみたいだね。いいよ、あんたの気が済むまで相手してあげる」
 クリスタ「ちょっと、二人とも、やめてよ!!私はほんとに大丈夫だからっ!!」
 アニ「悪いね、こうなった以上、簡単には止められないみたいでね。
 後で何かお詫びしとくから、こっちには首突っ込まないでちょうだい」
 ユミル「前々から気に喰わねぇ奴だと思ってたんだ。丁度いい、身の程を思い知らせてやるよ…」
 アニ「…来な」
 ユミル「言われなくてもっ…!」ダッ!
 
- 
                  - 109 : : 2013/12/15(日) 20:25:44
 ユミル「おらっ!!」ブンッ!
 アニ「」スッ
 ユミル「ふんっ!!」ブンッ!
 アニ「」ヒョイ
 ユミル「うらららららららっ!!!」ブンブンブンッ!!
 アニ「」ヒョヒョヒョイッ
 ユミル(全部かわしやがるっ!?しかも、必要最小限の動きで!?無駄がねぇっ!!)
 クリスタ「すごい…。ユミルの拳の軌道が全部見えてるみたい!あんな動きができるなんて…!」
 
- 
                  - 110 : : 2013/12/15(日) 20:30:37
 ユミル「この野郎…!それなら、こいつはどうだっ!!」⊃小石
 ユミル「うらっ!!!」ブンッ!
 アニ(小石をあんなに。小賢しいね…)
 小石「」ヒューンッ
 アニ「」ヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイッ
 ユミル「…嘘だろ!?」
 アニ「残念、全部見えてるんだよ。回避するのは簡単。さぁ、もう満足でしょ?」
 ユミル「…っ!」
 クリスタ「ほら、ユミル!アニには勝てないよっ!!もう帰ろうっ!!」
 ユミル「…あぁ、そうだな。おとなしく帰らせてもらおう…」ガッ!
 ユミル「かっ!!」バッ!
 アニ「!?」パサッ!!
 アニ(しまった、砂!?油断した!!目がっ……!)
 
- 
                  - 111 : : 2013/12/15(日) 20:35:47
 クリスタ「ユミル、ひどいよ!!そんな卑怯なことして!!」
 ユミル「卑怯もクソもねぇんだよ!!そんなの、殺される言い訳にはならねぇさ!!」バッ!
 アニ(…チッ!どこからくる!?)
 アニ「…」
 アニ(…いや、落ち着け。この状況こそ、修行の成果が試せるじゃないか。
 自分の『領域』を創り出し、気の乱れを感じて、領域内の敵を絶ち払うっ!!)
 アニ「」スゥゥ…
 クリスタ「アニ…」
 クリスタ(この感じ、さっき私が近付いた時と同じだ)
 
- 
                  - 112 : : 2013/12/15(日) 20:40:30
 ユミル(…無駄だよ。見えないんじゃ、どうしようもないだろ。これでも喰らえっ!)⊃石(15cm)
 ユミル(うらっ!!)ブンッ!
 アニ「…」
 石「」ヒュゥゥゥ…
 アニ「!!」ピクッ!
 アニ(感じた!!これなら…)
 アニ「…はあっ!!」ヒュッ!
 ドゴッ!
 石「」ヒュゥゥゥ…
 クリスタ「目を瞑ったまま蹴り返した!!」
 ユミル「おいおい、マジかよっ!!」
 
- 
                  - 113 : : 2013/12/15(日) 20:45:41
 ユミル「…ってかこれ、ヤバくないか?」
 石「」ヒュゥゥゥ…
 ユミル「こっち飛んで来やがっ…」
 ユミル「ぐぼおぉっ!!!」ドゴッ!
 ユミル「…っ!」ドサッ!
 クリスタ「ユミルっ!!」
 アニ「…やっと見えるようになった。私が蹴ったのは石だったのかい。道理で…」ズキズキ
 
- 
                  - 114 : : 2013/12/15(日) 20:50:19
 ユミル「いてて…。あの野郎…」
 クリスタ「ユミル…」
 ユミル「おうクリスタ。まったく、アニの奴、お前にも私にもひどいことしやがるぜ」
 パチンッ!
 ユミル「っ!?」
 アニ「あれ?クリスタがユミルをビンタするの?」
 クリスタ「ユミルのバカっ!ひどいのはユミルのほうでしょ!?私は大丈夫って言ってるのに、
 アニに食って掛かって、卑怯なことまでして!!」
 ユミル「いや、それはお前が先にやられたから…」
 クリスタ「そんなユミルなんか、もう嫌いっ!!どっか行けっ!!!」
 ユミル「なっ…」ガーンッ!!!
 クリスタ「早くどっか行けえぇぇぇっ!!」ポカポカ!!
 ユミル「うわっ!!すいませ~~~~んっ!!!」ダダダッ!!
 
- 
                  - 115 : : 2013/12/15(日) 20:55:40
 クリスタ「…」
 アニ「…いいのかい?あんなこと言って」
 クリスタ「いいんだよ、あのくらい。ゴメンねアニ、ユミルが酷いことしちゃって。目は大丈夫?」
 アニ「私のほうこそ、故意じゃないとはいえ悪かったよ。腕は大丈夫かい?」
 クリスタ「うん。蹴る瞬間、とっさに力を弱めてくれたでしょ?じゃなきゃ、こんな程度で済まないもん」
 アニ「うん、そのつもりだったけど。うまく弱められてよかったよ」
 クリスタ「それにしても、アニは本当に強いんだね。目を瞑ってるのに、どうして見えてるみたいに攻撃できるの?」
 アニ「すごい人にいろいろと教わってるからね。さっきの技は『居合脚』って言って、
 自分の周りに特別な空間を作って、その中に入ってきたモノを感じ取って、脚で絶ち払う技だよ」
 
- 
                  - 116 : : 2013/12/15(日) 21:08:14
 クリスタ「よくわかんないけど、すごいんだね」
 アニ「でも、そのすごい人は、無意識の状態でもその技を放つことができるんだ。
 私なんて、自分で感じ取ってからじゃないと技を出せないからね。その人とは、反応速度に大きな差が出る」
 アニ「一か月かけて、ようやくこの程度。まだまだ先は長い。嫌になるね」
 クリスタ「アニ…」
 アニ「なんだい?」
 クリスタ「…がんばってね!」
 アニ「…ありがと」
 クリスタ「それと、もう少しここでお話ししてていいかな?」
 アニ「…ユミルかい?」
 クリスタ「…うん。部屋には戻りづらくて」
 アニ「いいよ、別に。もう少ししたら、一緒に謝りに行こう。
 先にあっちが手を出してきたとはいえ、喧嘩を買った私にも非はあるからね」
 クリスタ「ありがとう、アニ」
 
- 
                  - 117 : : 2013/12/15(日) 21:13:44
 ~女子寮~
 ガチャ…
 クリスタ「…ユミルぅ?」
 サシャ「あ、クリスタお帰りなさい」
 アニ「邪魔するよ」
 ミカサ「アニとクリスタが一緒とは珍しい。要件は何?」
 クリスタ「いや、ちょっとユミルと、ね」
 サシャ「ユミル、どうかしたんですか?さっき戻ってくるなり、布団に潜ったままなんですよ」
 ユミル布団「」モコッ
 クリスタ「あぁ、これね…」
 
- 
                  - 118 : : 2013/12/15(日) 21:20:25
 アニ「出てきな。さっきは悪かったよ。クリスタももう怒ってないから」
 ユミル「…」ヒョコ…
 クリスタ「ごめんね、ユミル。ちょっと言い過ぎちゃった。お腹は大丈夫?」
 ユミル「…まぁな」
 ユミル(骨までイってたけど、隠れて再生してたのは秘密…)
 
- 
                  - 119 : : 2013/12/15(日) 21:28:02
 クリスタ「アニは私にもユミルにも謝った。私はアニに謝った。あとは、ユミルだけだよ」
 ユミル「…ごめんな、クリスタ」
 クリスタ「アニにも!」
 ユミル「…」
 ユミル「…悪かったよ、アニ」
 アニ「これでおあいこだよ。それじゃ、私はこれで」スタスタ
 ユミル「待て!」
 アニ「…何だい?」
 
- 
                  - 120 : : 2013/12/15(日) 21:33:36
 ユミル「お前のその技、いったいどこで覚えたんだ!?普通の技じゃねぇんだろ!?」
 アニ「とある道場でね。あんたには関係ないけど」
 ユミル「…なるほど、訓練兵だけじゃ相手にならねぇから、より強い奴を求めて通ってるってところか?」
 アニ「…」
 ユミル「図星か?そいつは面白れぇな」
 アニ「何が言いたいんだい?」
 
- 
                  - 121 : : 2013/12/15(日) 21:43:57
 ユミル「昔、裏の業界に通じる連中から金を拝借したことがあったんだが、
 些細なヘマからバレちまって、恐ろしい用心棒にボコボコにされたことがあったんだ」
 ユミル「さすがに命の危機を感じて、泣く泣く金は手放して見逃してもらった。
 あの時ばかりは、死んだと思ったよ」
 クリスタ「そんなことが…」
 ユミル「んでもって、そいつは今は借金取りの一味として健在だって噂を聞いた。
 時々、とある裏の武闘大会でも姿を現すらしい」
 アニ「…っ!」
 アニ(…武闘大会のことを、こいつは知ってるのかい)
 ユミル「とんでもない奴だった。体は鋼鉄みたいに硬い筋肉に覆われて、ナイフも通らなかった。
 その上、ハチャメチャなパワーもあると来た。お手上げだったよ」
 ユミル「武術の技みたいなものは何も持ってなかったが、とにかく強かった。
 百戦錬磨の喧嘩番長ってところか?」
 アニ「それで、私にどうしろと?昔のあんたの仇でもとればいいのかい?」
 ユミル「いや、別にそんなことは言ってない。ただ、強くなればそのうち、そんなバケモノに出くわすかもしれねぇから、
 気を付けろよっていうことさ」
 
- 
                  - 122 : : 2013/12/15(日) 21:50:31
 アニ「ご忠告どうも。あんたの二の舞にならないように気を付けるよ」
 ユミル「相変わらず一言余計なんだよ、お前は…!」
 アニ(…後で師範に聞いてみるか)
 アニ「もし知ってたらでいいけど、そいつの名前か何かは分かるかい?」
 ユミル「あぁん?名前?」
 クリスタ「あんまり深入りしないほうがいいんじゃないかな…」
 ユミル「確か、昔はこう名乗ってたな…」
 ユミル「『トッド(死神)』ってな…」
 アニ「…覚えとくよ。ありがと」スタスタ…
 ガチャン…
 
- 
                  - 123 : : 2013/12/15(日) 21:58:36
 ~翌日・トロスト区~
 ニーア「やっほーアニ、久々ぁ!」
 アニ「はいはい、久しぶり」
 ニーア「相変わらずノリ悪いねぇ。臨時収入があったから、今日は私が奢ってあげようと思ったのに」
 アニ「あんたの奢り?明日は槍でも降るのかい?」
 ニーア「ひどっ!そんなこと言う奴には奢ってあげない!」
 アニ「冗談だよ。それより、臨時収入ってのは?」
 ニーア「実はこの間、裏武闘大会に参加してね。そこで賞金をもらった」
 アニ「へぇ、また参加したのかい。それで、結果は?」
 ニーア「知りたい?」
 アニ「じゃあ要らない」
 ニーア「ちょっ!聞いてよ!これを教えるために今日はわざわざ会いに来たんだから!」
 
- 
                  - 124 : : 2013/12/15(日) 22:05:08
 アニ「はいはい、じゃあさっさと言いな」
 ニーア「聞いて驚くな!なんと…」
 ニーア「…準優勝」
 アニ「へぇ、準優勝ね。よく頑張ったじゃないk…」
 アニ「!?」バッ!
 ニーア「驚いた?」
 アニ「今、準優勝って言ったのかい!?あの大会で!?」
 ニーア「うん。頑張ったでしょ?」
 アニ「驚いた…。あんたいつの間にそこまで…」
 ニーア「ちょっと私も師匠を見つけてね。地道に修行してるのは、あんただけじゃないってことだよ」
 アニ「…」
 アニ(…私も、のんびりしてられないね。こいつに負けるわけにはいかない…!)
 
- 
                  - 125 : : 2013/12/15(日) 22:10:23
 ニーア「ちなみに、私の決勝の相手、誰だったと思う?」
 アニ「さぁ。誰が参加してるかも知らないし」
 ニーア「アニもよく知る人物だよ」
 アニ「…まさか」
 ニーア「そう。そのまさか」
 アニ「あのセンス無し仮面か…」
 ニーア「ムテキング仮面ね。何とか最後まで持ったんだけど、判定0-5で負けちゃった」
 アニ「最後まで…!?」
 ニーア「へへーん、すごいでしょ!?まぁ、めっちゃダウン取られたけど…」
 
- 
                  - 126 : : 2013/12/15(日) 22:15:57
 アニ「もうそのレベルまで…」
 ニーア「焦ってる?」
 アニ「焦りはないけど、ちょっとね。あんたに差を付けられたのがショックだよ…」
 ニーア「あんただって、結構強くなってるんじゃないの?試してみたら?」
 アニ「そう思ってるんだけど、師範の許しが出なくてね。今の実力もよく分からないんだ」
 ニーア「ふーん。こっちは『実戦あるのみ』っていう方針で、結構経験積ませてもらってるから」
 アニ「そう…」
 アニ(道場に行ったら、師範にお願いしてみよう。実戦感覚を養わないことには、先へは進めない…)
 
- 
                  - 127 : : 2013/12/15(日) 22:21:13
 ???「オラっ!金出せや!!」
 ???「ひいっ!!勘弁してくださいっ!!」
 アニ「何だい?」
 ニーア「カツアゲ?今時そんな古臭いことやってる奴がいるんだね」
 カツアゲ男1「ちょっと借りるだけだって。さっさと出せよ!」
 カツアゲ男2「俺達はちょっとしたアレで金が必要なんだ。ちゃんと返すから心配すんな」
 カツアゲラレ男「そんなこと言って、返す気なんかないんだろう!?見逃してくれよっ!!」
 カツアゲ男1「仕方ねぇ。やりたくなかったが、力づくでも…」
 ニーア「やめなよ、馬鹿共。それ以上やるってんなら、私が許さないよ」
 
- 
                  - 128 : : 2013/12/15(日) 22:25:42
 アニ「ちょっと、あんた、面倒なことに関わらないでよ…」
 ニーア「いいじゃん、このくらい。ワンパンで沈めるからさ」
 カツアゲ男1「はぁ?俺達を一発で沈めるだと?」
 カツアゲ男2「こいつら、分かってねぇな。俺達がただの一般人だと思ってるのか?」
 アニ(背の高い奴に、ガタイのいい奴。ベルトルトとライナーみたい…)
 ニーア「いいや。ゴミでしょ。人だとも思ってないよ」
 カツアゲ男1「言わせておけば…」スッ…
 カツアゲ男2「調子に乗りやがって」スッ…
 アニ(あれは…!)
 ニーア「へぇ、武術の心得があるのかい?まぁ、それでも私にはかなわないさ。試してみる?」
 カツアゲ男1「やっちまえ!!」バッ!
 カツアゲ男2「うおぉぉっ!!」バッ!
 ニーア「…ふふんっ♪」スッ
 
- 
                  - 129 : : 2013/12/15(日) 22:30:27
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 カツアゲ男1・2「」チーン…
 カツアゲラレ男「ありがとうございました!!おかげで助かりました!!」
 ニーア「いいっていいって。腹ごなしにはちょうどよかったし」
 アニ「…」
 アニ(ニーアの動き、無駄が全くなかった…。猛進してくる相手の動きを正確に見極め、
 寸分の狂いなく顎先に拳を打ち込み、脳震盪で気絶させた…)
 アニ(いったい、どんな師匠がついてるっていうんだい…!?)
 
- 
                  - 130 : : 2013/12/15(日) 22:37:10
 憲兵「こらぁっ!!貴様ら、そこで何をしている!?」
 ニーア「やばっ!憲兵だ!!アニ、逃げるよっ!」ダッ!
 アニ「ちょっ!なんで逃げるの!?」ダッ!
 ニーア「あっ!そうか、別に悪いことしたわけじゃないからいいのか!」
 アニ「昔からの癖が染みついてるのかい?まったく…」
 ニーア「でも、さすがにアレはマズかったかなぁ?多分数時間は目を覚まさないよ」
 アニ(…将来は憲兵団に行く予定なんだけどな。どうかさっきの兵に、顔を覚えられてませんように…)
 
- 
                  - 132 : : 2013/12/16(月) 19:57:10
 ~数日後・道場~
 ラエイ「やぁ、待っていたよ」
 アニ「…どうも」
 ラエイ「ちょっと会わないうちに、雰囲気変わったかな?前とは別人のようだ」
 アニ「それはどういう…」
 ヒュッ…
 アニ「!!」ピクッ!
 アニ「はっ!」ヒュッ!
 バシッ!
 小石「」パーンッ!
 アニ「…」
 ウンショウ「お見事。しっかりと『領域』を創っておったな。後ろからでも隙が無い」
 アニ「…ありがとうございます」
 ウンショウ「今の『領域』を『聖域』まで持って行くのに、やはりそう多くの時間はかからなそうじゃ」
 アニ「…はぁ」
 ラエイ「そうだ、今日は兄弟子二人が怪我から復帰して来ているんだ。紹介しよう、中へ入ってくれ」
 アニ「では…」
 
- 
                  - 133 : : 2013/12/16(月) 20:03:33
 ~道場内~
 ラエイ「紹介しよう。背が高いほうがベルノッポ、ガタイのいいほうがゴリライだ」
 ベルノッポ「あっ…!」
 ゴリライ「お前はっ…!」
 アニ「あんたらは、昨日の…」
 ウンショウ「どうした、知り合いかの?」
 ベルノッポ「女の子の門下生が入ったって言うから、楽しみにしてたら…」
 ゴリライ「何てことだ…!」
 
- 
                  - 134 : : 2013/12/16(月) 20:07:30
 アニ「この二人はこの間、トロスト区で…」
 ベル&ライ「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 ベルノッポ「言うな言うな言うなっ!!」
 ゴリライ「頼むっ!それだけは言わないでくれっ!!」
 アニ「そこまで言うなら…」
 ベル&ライ「」ホッ…
 アニ「トロスト区でカツアゲしてました」
 ベル&ライ「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 ラエイ「何っ!?」
 ウンショウ「それは本当かの?」
 
- 
                  - 135 : : 2013/12/16(月) 20:12:55
 アニ「本当です。私と友人(?)が見ました。まぁ、一撃でやられてましたけど」
 ラエイ「お前たち、陰でそんなことを…!」
 ウンショウ「見過ごすわけにはいかんな。我々の教えを、罪もない一般人に向けて振るうとは…」
 ベル&ライ「申し訳ありませんっ!!」ドゲザッ!!
 ラエイ「謝って済む問題か!!馬鹿共が!!人様に迷惑をかけるなと、あれほど言ってきただろうが!!!」
 ラエイ「もう貴様らなど破門だ!!二度とこの道場の敷居をまたぐなっ!!」
 ウンショウ「まぁまぁラエイよ、落ち着け。怒りに身を任せても、良いことなど一つもないぞよ?」
 ラエイ「しかし師範っ!」
 
- 
                  - 136 : : 2013/12/16(月) 20:23:27
 ウンショウ「二人とも、なぜこんなことをしたのかな?理由を聞かせてもらえんかの?」
 ベル&ライ「…」
 ベルノッポ「この道場では、多額の借金を抱えておられると聞きました」
 ゴリライ「門下生が少ないせいで、返済できるめどが立たず、借金取りからの圧力を受けていると耳に挟んだもので…」
 ラエイ「お前ら…」
 ベルノッポ「もちろん、お金を手に入れる方法は間違いだったと認めます!!
 しかし、ちゃんと奪った相手には返すつもりでいました!!」
 ゴリライ「住所と名前を聞き出して、期限を決めるつもりでいました!!その前に、邪魔が入って…!」
 ラエイ「邪魔とは何事だ!!お前たちの過ちを体を張って止めたのだろうが!!!
 返済するつもりだったというのも、信用できるわけがないだろう!!」
 ベル&ライ「ひいっ!!!」
 
- 
                  - 137 : : 2013/12/16(月) 20:30:58
 ウンショウ「まったく、お主らは…」
 ???「まぁその辺にしてやってくれよ、師範代さんよ」
 一同「!?」
 ウンショウ「あんたは、借金取りの人かね?久しいな…」
 借金取り「おうよ。その二人は、ちゃんと俺達のところに金を収めようとしたんだぜ?許してやってくんな」
 ラエイ「しかし…」
 借金取り「だが、そろそろこっちも待てないんでねぇ。せっかく当初の10分の1まで返済してくれたんだ、
 残りも一気に返済してもらえると助かるんだよねぇ」
 ウンショウ「10分の1?はて、おかしいの。わしはここ数か月、1円も返済した覚えがないがの」
 アニ「…」チラッ…
 ラエイ「…」
 
- 
                  - 139 : : 2013/12/16(月) 20:37:34
- 
 借金取り「ほう、妙な話もあるもんだな。だが、俺達にとっちゃ、そんなのはどうだっていい。
 金さえ返してくれれば問題ないのさ」
 
 ウンショウ「それもそうじゃな。じゃが、今日お主らに渡せる金はない。帰ってくれ」
 
 借金取り「そいつはおかしいだろう。先日も、結構な額を収めてくれたじゃねぇか。
 まさか、生活費も含めて丸々収めたわけじゃないだろう?残りを出してくれよ」
 
 ウンショウ「何のことか分からんな。お主らに収めた覚えもない」
 
 借金取り「チッ!ついにボケが始まったか、このジジイ…」
 
 
 
 
 
 ラエイ「…」
 
- 
                  - 140 : : 2013/12/16(月) 20:42:26
 ウンショウ「何と言われようと、金はない。さぁ、帰ってくれ」
 借金取り「おっと、こっちも簡単に帰るつもりはねぇんでな。そっちがその気なら、こっちにも考えがある」
 借金取り「トッド先生、やっちまってくだせぇ!!」
 アニ(トッドだって!?まさか…!!)
 トッド「…」ヌッ…
 ベルノッポ「うわっ!!」
 ゴリライ「でけぇ…!」
 ウンショウ「ほう、これはまた大物を連れてきたのぉ」
 ラエイ「裏稼業の死神ですか…」
 
- 
                  - 141 : : 2013/12/16(月) 20:49:48
 借金取り「よくご存じで。こいつが暴れ出したらタダじゃ済まないことくらい、お分かりでしょう?
 おとなしく言う事を聞いてくれねぇかい?」
 ラエイ「だ、そうですが、師範…?」
 ウンショウ「ないものはない。何度も言わせないでくれ」
 借金取り「…先生、お願いします」
 トッド「」ブンッ!
 ドゴォッ!!
 扉「」グシャッ!!!
 一同「!!」
 アニ「なんて力…!」
 ベル&ライ「あわわわわ…」
 
- 
                  - 142 : : 2013/12/16(月) 20:56:02
 借金取り「5分もすれば、この道場は原型がなくなるぜ?」
 ウンショウ「ほう、それは困るのぉ」
 ラエイ「好きにはさせん。ここは私が…!」
 アニ「待ってください。ここは私にやらせてください」
 ラエイ「何だと!?」
 アニ「今までいろいろと修行してきましたが、実戦で披露する機会がなかったので、自分の実力が分かりません。
 ここで試させてもらってもいいですか?」
 ラエイ「無茶を言うな!相手は本物のバケモノだぞ!?」
 ウンショウ「まぁ、よいではないか。危険だと判断したら、お主が止めに入ってくれればよい」
 ラエイ「師範…!」
 アニ「ありがとうございます…」
 
- 
                  - 143 : : 2013/12/16(月) 21:00:45
 トッド「…チビ、覚悟はいいか?」
 アニ「チビってのは禁句だよ。覚えときな…」スッ…
 トッド「…」ズゥゥゥゥン…
 アニ(さて、どこから攻めようかね。とんでもない肉体だ。その体は、どれほど硬いんだろうね)
 アニ(ユミルが言っていた、こいつの強さが本物なら、今の私の実力を測るにはちょうどいい相手か…)
 
- 
                  - 144 : : 2013/12/16(月) 21:05:19
 トッド「…」
 アニ「来ないのかい?なら、こっちからいくよっ!!」ダッ!
 アニ(先手必勝。まずは小手調べ。クリスタル…)スッ…
 トッド「!」
 アニ(…ブレイクっ!!)ビュッ!!
 ドゴッ!!
 トッド「!?」
 アニ「…っ」
 アニ「…あぁっ!!」ドサッ!!
 アニ(硬すぎでしょ…!?私の攻撃が、完全に跳ね返された!!どんな筋肉してるの!?)
 
- 
                  - 145 : : 2013/12/16(月) 21:10:19
 トッド「お前、何をした?マッサージにもならんな」
 アニ「そうかい…。そりゃ失礼したね…」ズキズキ…
 ラエイ「アニのクリスタルブレイク、前に見た時よりも完成度がかなり上がっている。
 しかし、それでも奴には効かないか…!」
 ウンショウ「柔よく剛を制す。しかし、今回ばかりは相手の『剛』がアニの『柔』をはるかに上回っておったの」
 アニ「さて、どうするか…」
 トッド「…俺が手を下すまでもないのか?」
 アニ「馬鹿言ってんじゃないよ。今に見てな」スッ…
 ラエイ「何をする気だ、アニは…」
 
- 
                  - 146 : : 2013/12/16(月) 21:16:24
 アニ「…ふっ!」タンッ!
 トッド「!?」
 アニ「」タッタッタッタッ…
 ラエイ「ほう、なかなか軽快なフットワーク。これは、ボクシング系統の動きだな」
 ウンショウ「面白い。ここからどう出るのかの?」
 トッド「」キョロキョロ
 アニ(やっぱり、図体がデカい分、私のスピードにはついてこれてない。こっちの動きに気を取られると、留守になるのは…)
 アニ「…足元だっ!」ズサッ!
 トッド「!?」グラッ!
 トッド「」ドシーンッ!
 借金取り「なんてこった!先生がすっ転んじまった!!」
 
- 
                  - 147 : : 2013/12/16(月) 21:21:35
 アニ「まだだよっ!」ターンッ!
 ラエイ「今度は空高く…!?」
 アニ(回転も加えてやる…!)クルクル…
 トッド「…来い」
 アニ「…はぁっ!!!」ヒュオッ!
 ドゴッ!!!
 トッド「…」
 アニ「…っ!」
 アニ(効いて…)
 トッド「…蚊がいるな」
 アニ(…ないっ!!!)ガクゼン
 
- 
                  - 148 : : 2013/12/16(月) 21:27:02
 トッド「そろそろ起きるぜ。いい加減どけよ」ムクッ
 アニ「ちっ!」スタッ
 トッド「今のが全力か?それとも、まだ何かあるのか?好きなだけ打って来いよ」
 アニ「…なら、遠慮なくっ!」ダッ!
 アニ「…はっ」
 アニ「はぁぁっ!!!!」ドドドドドドドドドドッ!!!!!
 トッド「」ドドドドドドドドドドッ!!!!!
 アニ(これも効いてないのかっ!?)
 メキメキ…
 アニ(…マズい、脚が折れそうだ!)
 アニ「」ピタッ…
 トッド「なんだ、結局終わりか」
 アニ(どうしたらいいんだい、こんなバケモノ…!)ゼェ…
 
- 
                  - 149 : : 2013/12/16(月) 21:31:53
 ラエイ「どうやら、今のアニでは傷一つ負わせられないようですね。ここまででしょう」
 ウンショウ「残念ながら、そのようじゃな。お主に任せよう」
 トッド「どうやら、お前の師匠は、もう終わりにしたいらしい。望み通り、終わらせてやるか」ズンッ
 アニ「…は!?」
 ラエイ「おい、何をする気だ!?やめろっ!!」
 トッド「頑強なる左腕、『メタル』」ブオンッ!
 ドゴッ!!
 アニ「がっ…!!」
 アニ(何コレっ…!?硬すぎでしょ!?)
 
- 
                  - 150 : : 2013/12/16(月) 21:34:23
 トッド「重厚なる右腕、『ヘヴィ』」ブンッ!
 ズシンッ!!
 アニ「く…ぅ…!」
 アニ(今度は重い…!動けないっ…!)
 
- 
                  - 152 : : 2013/12/16(月) 21:39:33
- 
 トッド「そして…」
 
 トッド「命の炎を消し去る、『デス』」
 
 
 
 ゴンッ!!!
 
 
 
 
 アニ「があぁっ!!!」
 
 アニ(なんて石頭…!!頭が割れそうだっ…!!)
 
 
 
 
 
 
 
 トッド「メタル、デス、メタル、ヘヴィ、ヘヴィ、メタル、デス、ヘヴィ…」ドゴッ!ゴンッ!ドゴッ!ズシッ!ズシッ!ドゴッ!ゴンッ!ズシッ!…
 
 アニ(マズい、意識が…)
 
- 
                  - 153 : : 2013/12/16(月) 21:42:19
 借金取り「でたぜ、先生の最強コンボ。もうあの技からは逃れられない。そろそろとどめの…」
 トッド「『ヘヴィ・デス・メタル』…」
 ドッゴオォォォッ!!!!!!!
 アニ「…がっ!!!」
 アニ「」ドサァッ!!
 ラエイ「アニっ!!!」
 ウンショウ「…勝負あったの」
 
- 
                  - 154 : : 2013/12/16(月) 21:47:20
 アニ(体が動かない…。何があったの…?私は、負けた…?)
 アニ「…あ……ぅ…」
 ラエイ「喋るな。君はよくやった。今回は相手が悪かった。休んでいてくれ…」
 ラエイ「…ここからは私が相手だ。弟子の仇は、私が取る」コオォォォォォォ…
 アニ(師範代…)
 トッド「…さっきの奴よりはできそうだな」トンッ…
 トッド「!?」
 ラエイ「『1』…」
 トッド「…何をした?」
 アニ(奴の右脇腹に、軽く手を添えただけ…?)
 
- 
                  - 155 : : 2013/12/16(月) 21:53:08
 ラエイ「『2』…」トンッ…
 トッド「…何をしている?今度はヘソと脇腹の間か?」
 ラエイ「おとなしくしていろ。今に分かる…」スタッ
 トッド「調子に、乗るなっ!!」ブンッ!
 ラエイ「そんな大振りでは当たらんぞ。ほら、『3』、『4』…」トントンッ…
 トッド「反対側にも…!遊んでいるのか!?」
 ラエイ「言っただろう、今に分かると。無論その時は、貴様の敗北の時なのだがな…」
 
- 
                  - 156 : : 2013/12/16(月) 21:59:24
 ラエイ「これで終わりだ…」トンッ…
 トッド「…最後にヘソか。いったい何が起きるというのだ?こんな攻撃で俺を…」ベコッ!
 トッド「!?」
 トッド(何が起きた!?今、体内から…!)
 ラエイ「何度も言わせるな。これで終わりだ…」
 トッド(俺の、身体に、何が…)
 トッド「」ベッコォッ!!!!!
 トッド「…がふっ!」ドサッ!
 借金取り「え…?先生、冗談ですよね…?」
 トッド「」シーン…
 借金取り「ひいぃぃぃっ!!!伸びちまってる!!」
 アニ(いきなり倒れた!?あんなに血を吐いて、何が起きたの!?)
 
- 
                  - 157 : : 2013/12/16(月) 22:05:18
 ベルノッポ「決まったぁぁぁぁっ!!!ラエイ師範代の『ペンタグラム・グランドクロス』!!」
 アニ(は…?ペンタ…?)
 ラエイ「変な名前を付けるなと言ってるだろう。まったく…」
 ゴリライ「オラ、師範代の強さが分かったら、さっさと帰りやがれ!!」
 借金取り「ひっ!!分かったよ!!クソッ、覚えてろっ!!」
 借金取り「先生、重っ!!」ズルズル…
 
- 
                  - 158 : : 2013/12/16(月) 22:07:53
 ラエイ「さて、アニ、立てるかい?」
 アニ「…さっきの…技は……?」
 ラエイ「あとで説明しよう。とりあえず、中へ…」
 アニ「…」
 アニ(…なんてザマだい。こんなんじゃ、ニーアとの差は広がるばかりだ…)
 
- 
                  - 159 : : 2013/12/16(月) 22:12:34
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ラエイ「体は大丈夫かい、アニ?」
 アニ「えぇ、だいぶ良くなりました」
 アニ(隠れて少しだけ再生させちゃった…)
 ベルノッポ「いやぁ、しかし、久々に師範代の技が見れて感激です!!」
 ゴリライ「ほんとだな!あのバケモノが、一瞬でやられちまったもんな!」
 ラエイ「お前らには後で罰則を与える。覚悟しておけ…」
 ベル&ライ「あ、はい…」シュン
 
- 
                  - 160 : : 2013/12/16(月) 22:16:37
 アニ「それで、さっきのペンタ…」
 ラエイ「覚えなくてよい、そんな技名など…」オホン
 ラエイ「あれはね、自分の掌から気を放ち、相手の体内を貫通させるイメージで放つんだ」
 アニ「はぁ…」
 ラエイ「さっきの場合だと、相手の腹部5か所に手を置き、気を貫通させた。
 だが、一つ一つはただ体をすり抜けてしまうだけで効果がないんだ」
 ラエイ「しかし、ただ一か所、相手に甚大なダメージを与えられる部分がある。どこだか分かるかい?」
 アニ「…5つの貫通した気が交わる部分、ですか?」
 ラエイ「正解。一つ一つの効果が薄くても、それらが集中した一か所には、すさまじい負荷がかかる。
 どんな屈強な肉体でも、耐えられないほどの、ね」
 
- 
                  - 161 : : 2013/12/16(月) 22:22:16
 ラエイ「私が5か所から気を打ち込み、それらが交差するから『ペンタグラム・グランドクロス』だとさ。
 あの幼稚な脳ミソはどうにかならんものかね」ハハハ
 アニ「…私にも、できるようになりますかね?」
 ラエイ「修行次第だね。すぐに、と言うわけにはいかないだろう。
 だけど、君はまず先を追いかけるより、目の前のことだよ。課せられたものを一つ一つこなしていくんだ」
 アニ「実戦の修業は行わないんですか?」
 ウンショウ「アニの技はどれもまだまだ荒削りで未完成。そんな状態で実戦に送り出せば、
 今日のような結果にしかならん。まずは、最低でも何か一つ、完成させんとな」
 アニ「そうですか…」
 ラエイ「そんな顔をしなくても大丈夫だ。君は確実に上へと登っている。
 今はそう感じていなくても、かならずどこかで実感する時が来る」
 アニ「…」
 
- 
                  - 162 : : 2013/12/16(月) 22:23:49
 ウンショウ「そうじゃ、アニには話しておかんといかんな。うちの道場の借金のことについて。
 またあんなバケモノに、理由もなく襲われるのは困るじゃろう?」
 ラエイ「師範、その話は…」
 ウンショウ「今、借金を背負っておるのは道場、すなわちわしじゃ。わしには話す権利があるし、門下生に話す義務がある。
 お主は黙って聞いておれ」
 ラエイ「…ならば、せめて私の口から話させてください。元はと言えば、私に原因があるのですから」
 ウンショウ「まぁ、よかろう」
 
- 
                  - 163 : : 2013/12/16(月) 22:27:34
 ラエイ「…あれは10年ほど前、私がシーナ内地に住んでいたころの話だ」
 アニ「シーナ内地に?何か、特別な仕事でもされていたんですか?憲兵団とか…」
 ラエイ「そんな大それたものではないよ。成り行きでそうなったという感じかな」
 アニ「はぁ…」
 ラエイ「当時、私にはある友人がいてね。その友人が、大きな事業を始めるために、多額の借金をした。
 だが友人には身寄りがなく、金を借りるための連帯保証人になってくれる人がいなかった」
 アニ「そこで、連帯保証人になってくれと師範代が頼まれた、と?」
 ラエイ「その通り。信頼できる奴だったから、私は二つ返事でOKした。だが…」
 アニ「裏切られた、と?」
 ラエイ「まさか。死んだんだよ、その友人は」
 アニ「死んだ…!?」
 
- 
                  - 164 : : 2013/12/16(月) 22:32:55
 ラエイ「事故死、という事にされているが、あれは間違いなく殺された。
 内地には、友人が始めようとしていた事業によって、不利益を被る有力者が多かったからね」
 ラエイ「そんな奴らに目を付けられ、事故死に見せかけて殺された。そして私の元には、多額の借金が残ったのだよ」
 アニ「そんなことが…」
 ラエイ「信頼できる奴だっただけに、私が借金を被る事態になるとは思いもしなかった。
 おかげで妻と子供には逃げられ、日々借金取りに追われる毎日。絶望したよ」
 ラエイ「だけど、そんな時に偶然出会ったのが、師範だった」
 
- 
                  - 165 : : 2013/12/16(月) 22:37:45
 ウンショウ「今にも死にそうな顔をした男がいての。事情を聴いてみたら、かわいそうで仕方がなかった」
 ウンショウ「じゃから、借金を肩代わりする代わりにわしの道場で門下生を募り、指導に当たってくれないかとお願いしたのじゃ」
 ラエイ「幸い、昔やっていた格闘術のおかげで心得はあった。他人に指導する分にも困ることはなかったよ」
 ウンショウ「驚いたよ、カポエイラの実物など初めて見たからの。それからわしが指南して、他流儀の武術も教え込んだ。
 おかげで、人類最強の格闘家などという呼び声も聞かれるようになったのじゃ」
 ラエイ「やめてくださいよ、師範。人類最強は、調査兵団のリヴァイ兵士長でしょう」
 ウンショウ「純粋な格闘術だけなら、彼にも負けてはおらんと思うがの。立体何とかの使い方を覚えれば、それこそお主が最強じゃろ」
 ラエイ「まさか。私にはそんなものは使いこなせませんよ」
 
- 
                  - 166 : : 2013/12/16(月) 22:43:01
 ウンショウ「そういえば、アニは訓練兵じゃったな。どうじゃ、その何とか装置とやらは、使いこなせておるのか?」
 アニ「ええ、まぁ、人並みには。使えないことには、兵士として役に立ちませんから」
 ウンショウ「だ、そうじゃ。アニが格闘術でお主を超えたら、アニが人類最強ということじゃな」ムフフ…
 アニ「はぁ…」
 ラエイ「しかし、門下生の集まらない今、私には師範との約束を果たすことができそうにありません。
 残りの借金を私で引き受け、近々道場を出ていくつもりでおりました」
 ウンショウ「おぬしはそんな馬鹿なことを考えておったのか。そんなことをする必要はない。
 今残っておる借金は、わしのものじゃ。誰にも渡さん」
 ラエイ「しかし、師範…」
 
- 
                  - 167 : : 2013/12/16(月) 22:48:05
 ウンショウ「お主は、わしの許可なく、わしの物を奪おうというのか?」
 ラエイ「いや、そういうつもりでは…」
 ウンショウ「ならば、黙って言う通りにするのじゃ。お主が出ていく必要などない」
 ラエイ「…ありがとうございます」
 アニ「しかし、師範の知らないところで、借金が定期的に返済されていたというのは、少し気になりませんか?」
 ウンショウ「わしもそれが引っ掛かっておった。ラエイは何か知らんのか?」
 ラエイ「…いえ、何も…」
 アニ「…」チラッ
 ラエイ「…」
 ウンショウ「まぁよかろう。勝手に増えておるよりは良いじゃろ」
 アニ「まったくです」
 
- 
                  - 170 : : 2013/12/17(火) 19:35:55
 ウンショウ「さて、先ほどの戦いを見せてもらって思ったのじゃが。
 今までアニには攻めの技ばかり教えておったが、守りの技は何もなかったのぉ」
 ラエイ「居合脚は場合によっては守りにも使えますが、蹴りの効かない相手には無意味ですからね」
 アニ「…確かに、その通りでした」
 ウンショウ「なので、お主には一つ、基本的な、しかし高等な守りの技術を教えてしんぜよう」
 アニ「よろしくお願いします」
 
- 
                  - 171 : : 2013/12/17(火) 19:42:44
 ウンショウ「うむ。ではまずは実物を見てもらおうかの」
 ラエイ「ベルノッポ!!こちらへ来い!!」
 ベルノッポ「は…!!はいっ!!!」ダッ!
 ラエイ「これから私の攻撃を、全て『円還』で受け流せ」
 ベルノッポ「『円環』ですね、分かりました」
 アニ「『円環』とは…?」
 ウンショウ「見ていれば早い。早速やってくれ」
 ラエイ「では…」スゥ…
 ベルノッポ「よろしくお願いします…」スッ…
 
- 
                  - 172 : : 2013/12/17(火) 19:51:15
 ラエイ「…行くぞ!」ダッ!
 ラエイ「…せいっ!!」バッ!
 ベルノッポ「…ふっ!」タッ
 ベルノッポ「」クルーリ
 ラエイ「」スルッ…
 ラエイ「」ドサッ!
 アニ「…今、何が!?正面から攻撃した師範代が、流れるように地面に倒れ込んだ!?」
 ウンショウ「説明しよう。正面から来たラエイの攻撃を、ベルノッポは右手で『円の軌道』を描き、
 地面へと力を受け流したのじゃ」
 
- 
                  - 173 : : 2013/12/17(火) 19:58:57
 アニ「円の軌道を…?」
 ウンショウ「うむ。円の軌道は、すべての力の流れを受け流し、無効化することが可能なのじゃ。
 まぁ、ある程度の熟練度がないと、圧倒的な力の差の前では無意味になってしまうがな」
 ラエイ「ふんっ!」ドゴッ!
 ベルノッポ「あぁぁぁぁ……」ドサッ!
 ウンショウ「あのようにな」
 アニ「はぁ…」
 ウンショウ「円の軌道で還(わ)を作り、力を還元する。これが『円環』じゃ」
 アニ「…私もできるようになりますかね?」
 ウンショウ「できないと思うことは教えん。お主の才能なら、十分可能じゃよ」
 アニ「…ありがとうございます」
 
- 
                  - 174 : : 2013/12/17(火) 20:05:45
 ウンショウ「ひとまずはこの『円環』と、最終的な『居合脚・聖域』。この二つを極めれば、
 ウチ流の攻めも守りもばっちりじゃ」
 ラエイ「しかし、アニの修練のペースは歴代でも最速じゃないですか?まだ数週間ですよ?」
 ウンショウ「それだけの逸材と言うわけじゃ。兵士にするのはもったいないのぉ」
 ラエイ「御冗談を…」
 アニ(ミカサのほうが早かったりしてね…)
 
- 
                  - 175 : : 2013/12/17(火) 20:13:52
 ウンショウ「ところでアニよ、そろそろ、具体的な目標がほしくはないかな?」
 アニ「と、言いますと?」
 ウンショウ「例の格闘大会じゃよ。お主が優勝して、指導料を払ってくれるのじゃろ?」
 アニ「ええ、もちろんです」
 ウンショウ「で、あれば、そうじゃな…」
 ラエイ「3か月」
 アニ「?」
 ラエイ「3か月後、例の大会が開催されます。そこを目指して、鍛えていきましょう」
 
- 
                  - 176 : : 2013/12/17(火) 20:20:12
 ウンショウ「3か月か。思ったよりも早いの」
 ラエイ「あまりズルズルと引き伸ばしても仕方ないでしょう。アニのモチベーションにも関わります。
 いいかな、アニ?」
 アニ「ええ、構いません。しかし…」
 アニ「何故師範代が、大会の開催日を知っているのですか?」
 ラエイ「…弟子が参加したいと言っているのだ。下調べくらいはしているさ」
 アニ「そうですか…」
 ラエイ「…」
 ウンショウ「…ふむ」
 
- 
                  - 177 : : 2013/12/17(火) 20:27:14
 ウンショウ「それでは、今のうちから『奥義』の下準備をしておくか」
 ラエイ「ついに、あれを…?」
 ウンショウ「うむ。3か月で習得できるかどうかは、アニ次第じゃ。ダメもとでやってみようぞ」
 ラエイ「では。あちらの岩でよろしいですか?」
 ウンショウ「構わん。やってくれ」
 ラエイ「では…」
 アニ「何を…?」
 ウンショウ「今から見せるのは、ウチの奥義じゃ。まずは技を見てもらう」
 アニ「はい…」
 
- 
                  - 178 : : 2013/12/17(火) 20:34:41
 岩「」ズゥゥン…
 ラエイ「」スゥゥ…
 アニ(…集中度が、他の技の時とは段違いだ。それほど強大な技を?)
 ラエイ「はぁぁぁ…」ヒュオォォォ…
 ラエイ「…はっ!!!!!」ブンッ!!
 ドゴッ!!!!!
 岩「」シーン…
 ラエイ「…ふぅ」スッ
 アニ「…何を?一発蹴りにしか見えませんが…?」
 
- 
                  - 179 : : 2013/12/17(火) 20:41:17
 ウンショウ「ふむ、お主には一発に見えるか…」
 アニ「?」
 岩「」ドゴォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!
 アニ「!?」
 アニ(岩が、時間差で大破した!?)
 ラエイ「どうかな、アニ?」
 ウンショウ「アニには、一発にしか見えんかったようじゃ。まだまだという事じゃな」
 アニ「一発ではないのですか!?」
 ウンショウ「今の技を見切れるようになった時、奥義を一から伝授しよう。それまではお預けという事じゃな」
 アニ「…」
 アニ(私は、とんでもない人たちの弟子になってしまったみたいだ…)
 
- 
                  - 180 : : 2013/12/17(火) 21:27:20
 ~訓練兵団施設・医務室~
 アニ「…」
 キース「レオンハート、貴様、またか…?」
 アルミン「この痛みの先に…何があるのか……」ズキズキ
 マルコ「全身が…縦に引き裂かれた…みたいだ…」ズキズキ
 コニー「体中痛ぇのは…俺が…馬鹿だからじゃ…ねぇよな……」ズキズキ
 キース「そしてこっちは…」
 エレン「く…く……」ズキズキ
 ジャン「み…か……」ズキズキ
 サシャ「イ…モ……」ズキズキ
 キース(悪化しておる…)
 
- 
                  - 181 : : 2013/12/17(火) 21:35:14
 アニ「…」
 アニ(相当力を抜いてたのに、まさかここまで痛めつけてしまうなんて…)
 アニ(私とまともにやり合えるのは、ミカサくらい。そのうち、ミカサでも相手にならなくなるかも…)
 アニ(まずいな…。どんどん人間離れしてない、私…?)
 キース(しばらく、格闘訓練やめようかな…)
 
- 
                  - 182 : : 2013/12/17(火) 21:50:35
 ~とある道場~
 ニーア「ふっ!はっ!!」ヒュッ!ドゴッ!!
 師匠「そこまで。今日はこのくらいにしよう」
 ニーア「…ふぅ。ありがとうございました」
 師匠「この数週間で、見違えるようになったな。例の大会で準優勝したのも、自信になったか?」
 ニーア「ええ、まぁ。それともう一つ、モチベーションを上げさせることがありますし…」
 師匠「例の、お友達かな?」
 ニーア「ええ。彼女も今、血のにじむような努力をしているはずです。早く戦いたくて仕方ありません」
 
- 
                  - 183 : : 2013/12/17(火) 22:11:21
 師匠「以前、一度その子に負けたと聞いたが、どうだ?今は勝つ自信はあるか?」
 ニーア「やってみないことには何とも。以前とは別人になってるでしょうから」
 師匠「楽しみだな。お前も、その子も…」
 ニーア「ふふ…」
 師匠「いよいよ3か月後、お前の真価が試される。優勝を期待しているぞ?」
 ニーア「任せてください…」
 師匠「ふふ…」
 ニーア(アニ、今度は負けないよ!全身全霊をかけて、あんたを沈めてやるっ!!)
 
- 
                  - 184 : : 2013/12/17(火) 22:24:10
 ~3か月後・大会前日、トロスト区~
 アニ「…なんだい、これ?」
 豪華料理「」バーンッ!
 ライナー「何ってお前、いよいよ明日大会だろ?ここは景気付けに、パーッと、な?」
 ベルトルト「僕達からの餞別だよ。気力を付けて、明日はばっちり優勝してよ」
 アニ「あんた達…」
 ライナー「金のことなら心配するな。この日に備えて、二人で少しずつ貯めていたんだ」
 アニ「でも、なんだか悪いね…」
 ベルトルト「いいって。どうしてもって言うなら、優勝賞金でアニが僕らにごちそうしてよ」
 ライナー「はっはっは、それはいいな。期待しているぜ?」
 アニ「…じゃあ、そういうことにしといて」
 
- 
                  - 185 : : 2013/12/17(火) 22:36:58
 ベルトルト「じゃあ、冷めないうちに、早く食べちゃおう」
 ライナー「そうだな。その前に、主役から一言もらわんとな」
 アニ「いらないってそんなの。私らだけなんだから」
 ライナー「俺達だけだからこそ、だろ。皆の前じゃ、こんなこともできないだろう?」
 ベルトルト「そうそう。こういう時くらい、いいじゃないか」
 アニ「はいはい。それじゃ…」
 
- 
                  - 186 : : 2013/12/17(火) 22:44:27
 アニ「…」
 アニ「…あんたらには、世話になったよ。修行にも付き合ってもらったし、サンドバッグにもなってもらった。
 こんな料理までごちそうしてくれて、感謝してる」
 アニ「明日は必ず優勝して、この件についてはとりあえず終わり。
 これからは、私達の最終的な目的に向けて、頑張っていきたいと思ってる」
 アニ「だから、その…」
 ライ&ベル「…」
 アニ「…いただきます」ボソッ…
 ライ&ベル「終わりかよっ!!」
 
- 
                  - 188 : : 2013/12/18(水) 20:59:26
 ~翌日・トロスト区裏通り~
 アニ「…ふぅ」
 アニ(ついにこの日が来たね。死に物狂いで特訓してきたんだ、簡単には終わらない。ただ…)
 ウンショウ「いやはや、愛弟子の日ごろの成果を見られるとは、楽しみで仕方ないのう」
 アニ(なぜか師範がついてきた…)
 
- 
                  - 189 : : 2013/12/18(水) 21:11:22
 ニーア「アニっ!」
 アニ「…来たね」コオォォォォォォ…
 ニーア「…へぇ」
 ニーア(アニの奴、相当頑張ったみたいだね。雰囲気が前に会った時とは全然違う…)
 ウンショウ「ほう、君がアニのお友達かな?」
 ニーア「…こちらの方は?」
 アニ「私が通ってた道場の師範」
 ニーア「ってことは、この方が伝説の…」
 アニ「そう、ウンショウ・シラハさん」
 ニーア「うはっ!会えて感激っ!!」
 ウンショウ「ほっほっほ、わしを知っておるとはな」
 ニーア「当然ですよ。師匠から聞いてますから」
 
- 
                  - 190 : : 2013/12/18(水) 21:17:30
 ウンショウ「師匠?もしやお前さん、その体つき、ボクシングをやっているのでは?」
 ニーア「えぇ、そうですよ」
 ウンショウ「なるほどな。お前さんの師匠が誰なのか分かったわい」
 アニ「え?知り合いなんですか?」
 ウンショウ「テンカイ・マツダ。わしと同じく、東洋人の末裔じゃ。彼の先祖は伝説のボクサー、ヒロユキ・マツダ。
 リングの上では、ヒロユキ・エビハラと名乗っていたそうじゃ」
 アニ「師範と同じ…」
 
- 
                  - 192 : : 2013/12/18(水) 21:24:54
 ニーア「アニにあの道場を紹介したのも、実は師匠からの受け売りでね。
 私ばっかり鍛えて強くなるのもアレだから、教えてあげたの」
 アニ「私はあんたに一杯喰わされたわけかい。まいったね」
 ニーア「結果オーライでしょ?予選で負けたら承知しないからね?」
 アニ「あんたこそ、そこいらの雑魚に足元掬われるんじゃないよ?」
 ニーア「言ってくれるじゃん…」
 アニ&ニーア「…」バチバチ…
 ウンショウ(よき友同士であり、ライバル関係。やはり強くなるためには、意識すべき相手が必要なんじゃな…)
 
- 
                  - 193 : : 2013/12/18(水) 21:30:36
 ~地下闘技場~
 アニ「…相変わらずむさ苦しいところだね、ここは」
 ニーア「まぁね。可憐な私らが、余計目立っちゃって仕方ないねぇ。あ、アニはちっちゃいから見えないか」
 アニ「」ゲシッ!
 ニーア「いった!蹴らないでよっ!!」
 アニ「二度と言うんじゃないよ…」
 ニーア「ほんとのことじゃん…」
 
- 
                  - 194 : : 2013/12/18(水) 21:35:15
 アニ「遊んでるヒマはないの。見てごらん、知った顔がいる…」
 ニーア「え?」
 ムテキング仮面「…」
 ニーア「…これはこれは、私ら二人に因縁のある方じゃないか」
 アニ「」チラッ
 トッド「…」
 アニ(…あいつも来てたのか。でも、もう負ける気はしない)
 
- 
                  - 195 : : 2013/12/18(水) 21:42:18
 ウンショウ「お二人さんや、早く受付を済ませてきたらどうじゃ?今回は参加者が多そうじゃからの」
 ニーア「確かに。いつも以上に、ここが暑苦しい。こりゃ、今回は今まで以上に苦労しそうだねぇ」
 アニ「まぁ、別にいいさ。私は目の前の相手に勝つだけ。単純だよ」
 ニーア「そうだね…」
 ニーア(アニの奴、前に来た時と同じこと言ってる。でも、その言葉から感じ取れる
 自信の程が全然違う。過信なんかじゃない、確かな力強さを感じるよ…)
 
- 
                  - 196 : : 2013/12/18(水) 21:47:17
 受付「受け付けはこちらでーす!!まだお済みでない方は、こちらへどうぞー!!」
 アニ「私ら二人分、お願いできるかい?」
 受付「はいはい、大丈夫ですよ」
 ニーア「こっちが『レオ』、私が『ニーア』、ヨロシクね~」
 受付「レオ選手とニーア選手ですね、ではこちらの番号札をどうぞ」
 アニ「今回は先に札を渡すんだね」
 受付「参加者が多いので、後の混乱を避けるためです。さぁ、どうぞ」
 アニ「今回は122番、随分大きな番号だね」
 ニーア「私は123番。参加者は100人超えか、予選めんどくさいなぁ…」
 受付「あと15分ほどで締め切りますので、時間までそちらでお待ちください」
 アニ「はいよ」
 ニーア「ジュースでも飲んで待ってよっか」
 
- 
                  - 197 : : 2013/12/18(水) 21:53:49
 ~15分後~
 受付「只今を持ちまして、参加者の募集を締め切ります!登録を終えた方は、中央までお集まりください!!」
 ニーア「やっとか。黙って待ってると長いもんだねぇ」
 アニ「無駄口叩いてないで行くよ」
 司会「それでは、この先は私が進行を務めさせていただきます!」
 司会「まずは、今大会に参加してくださった123名の方々、誠にありがとうございます!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 アニ「驚いた、私らが最後だったのかい。人数は、私が前回出たときの倍以上か」
 ニーア「私も、ここまで参加者が多いのは初めてだね」
 
- 
                  - 198 : : 2013/12/18(水) 21:58:56
 司会「今回は参加者多数のため、予選を3次に分けて行います!!まずは1次予選の説明をいたします!!」
 アニ「予選だけで長くなりそう」
 ニーア「簡単な奴だといいね」
 司会「1次予選は『自慢の一撃測定』!!こちらのマシンをご覧ください!!」
 マシン「」ドーンッ!
 司会「こちらのマシンは、真ん中の的にパンチでもキックでもタックルでも、何でも構いません!
 己の渾身の一撃を打ち込んでください!!」
 司会「すると、マシンのほうでその力の強さを判定してくれます!
 判定された力の大きい方上位64名が、2次予選へと駒を進めることができます!!」
 司会「ちなみに、判定された数値はこちらでのみ見ることができます。
 皆さんは他人の数値を気にせず、思い切り渾身の一撃を打ち込んでください!!」
 
- 
                  - 199 : : 2013/12/18(水) 22:05:53
 アニ「とりあえず、1次予選は面倒ではなさそうだね」
 ニーア「良かった、簡単な奴で。どうせ呼ばれるのは番号順だろうから、気楽に待ってれば?」
 アニ「いや、遠慮するよ。どんな奴らがいるのか見ておきたいし。大きい番号で逆にラッキーだったよ」
 ニーア「…」ジー…
 アニ(こいつ…)
 
- 
                  - 200 : : 2013/12/18(水) 22:10:33
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 男「おらぁっ!!!!」ドゴッ!
 マシン「」ピコーンッ
 司会「はい、ありがとうございました。次の方…」
 ニーア(…今の奴はあのくらい)
 アニ「…」
 司会「では、122番の方、こちらへ!」
 アニ「それじゃ、行ってくるよ…」
 ニーア「がんばってねぇ」
 
- 
                  - 201 : : 2013/12/18(水) 22:15:17
 司会「では、どうぞ」
 アニ「…」
 アニ(…全力で打ち込めと言われたけど、ここで全力を出す奴はただのバカ。
 ここまで打ち込んできた奴らの力の強さを見極めて、予選を突破できる最小限の力で打ち込む…)
 アニ(そういう意味も含めて、数値をこっちに公表しないんだろうね。
 ニーアもそれを分かって、予選が始まってからはずっと打ち込んでいる連中を観察してた…)
 アニ「…はっ!」ビシッ!
 マシン「」ピコーンッ
 司会「ありがとうございました。では、最後の方、こちらへ」
 
- 
                  - 202 : : 2013/12/18(水) 22:20:32
 アニ「あんたの番だよ」
 ニーア「…アニ、あんた分かってんじゃん。予選の意図を」
 アニ「言ってる意味が分からないね。予選落ちしないように気を付けなよ」
 ニーア「…白々しいね」フフッ
 司会「では、どうぞ」
 ニーア「」ピトッ
 アニ(何だいあいつ?異様にマシンに近付いて。そんなに近付いたら、ろくなパンチが打てないでしょ?)
 
- 
                  - 203 : : 2013/12/18(水) 22:26:04
 ニーア「」スッ…
 ニーア「」ビシッ!
 アニ「!!」
 マシン「」ピコーンッ
 司会「…非常にコンパクトな腕の動きでしたが、よろしいのですか?全力で打ち込んでよいのですよ?」
 ニーア「いいっていいって。予選突破はこれで十分だから」
 司会「はぁ…」
 アニ(あの技は、ひょっとして…。相変わらず、侮れない奴だね、ニーア…)
 ウンショウ(あのニーアという娘、面白い技を持っておるのう…)
 
- 
                  - 204 : : 2013/12/18(水) 22:30:53
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 司会「それでは、結果が出そろいました。上位64名を発表していきましょう!」
 司会「まず第1位は…」
 アニ「あんた、力の加減を間違えてないだろうね?」
 ニーア「心配ご無用。結果を見てれば分かるから」
 アニ「そうかい。楽しみにしてるよ」
 司会「第41位!レオ選手!!!」
 アニ「おっと、思ったより順位が上だったね。何にせよ、突破できて一安心だよ」
 ニーア「何を分かりきったことを。自信満々だったくせに」
 
- 
                  - 206 : : 2013/12/18(水) 22:35:52
- 
 アニ「実際に呼ばれないことにはヒヤヒヤさ。100%なんてないからね」
 
 ニーア「まぁね。数値をこっちに見せないってことは、運営側である程度操作もできちゃうしね。
 中には、金で運営を買収して、予選落ちだったはずなのに受かる奴がいたりとか…?」
 
 
 
 アニ「あんた、まさか…!?」
 
 ニーア「んなことするわけないでしょ?だいたい、そんなことして雑魚が生き残ったって、
 本戦で地獄見るだけじゃん?」
 
 アニ「…まぁ、その通りだね」
 
 ニーア「あくまで仮定の話。あんま真に受けないでよ」
 
 アニ「はいはい、悪かったよ」
 
 
 
 
 司会「第63位、ザッコ選手!!」
 
 アニ(ここまでニーアの名前はナシ。ひょっとして…!?)
 
 
 
 
 ニーア「♪」
 
 アニ(…いや、ものすごく冷静だ。確信している…)
 
- 
                  - 208 : : 2013/12/18(水) 22:40:38
- 
 司会「そして最後の第64位…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 司会「…ニーア選手!!以上64名が2次予選進出です!!」
 
 ニーア「あっぶな~!超ギリギリだったぁ!!」
 
 アニ「…あんた、本当にとんでもない奴だね」
 
 ニーア「ん?何のこと?」
 
 
 
 
 アニ「自分の前に打ち込んだ奴らの力の強さを、一人ひとり正確に見極めてたんでしょ?
 そして、最後の自分の番、全体で64番目に強い力で、正確に打ち込んだ」
 
- 
                  - 209 : : 2013/12/18(水) 22:46:22
 ニーア「…さすがアニ、よく見てるね。その通り、私は寸分の狂いなく、64番目の強さで打ち込んだ。
 これでたいていの奴らは、私がギリギリで予選突破した雑魚だと思ってくれるでしょ?」
 アニ「私もそこそこ計算して打ち込んだつもりだったけど、さすがにあんたほどの勇気はなくてね。
 一歩間違えば予選落ち、恐怖のほうが先行したよ」
 ニーア「まぁ、多少はビビったかもね。でも、別に失敗しても死ぬわけじゃないし。
 マイナスにばっかり考えててもしょうがないから、思い切って行ったワケ」
 アニ「あんた…」
 アニ(本当に勝てるのか、私は。こいつのほうが十分バケモノじゃないか…!)
 
- 
                  - 212 : : 2013/12/19(木) 20:58:45
- 
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
 
 司会「では、ただいまより2次予選を行います!!ここでは、64名から半分の32名へと人数を減らします!!」
 
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 
 司会「では、これをご覧ください!!」
 
 
 
 謎のマシン「」ウイーン
 
 
 
 司会「こちらのマシンは殺戮ロボット『さつり君』です!!今から皆さんには、このロボットとリングの上で
 5分間戦ってもらいます!!」
 
 
 司会「ただし、皆さんが行えるのはさつり君の攻撃を回避することのみ!!
 さつり君に攻撃を加えてしまった方は、即失格となります!!」
 
 
 司会「さつり君の猛攻から5分間耐えることができた方が、3次予選に進めます!」
 
- 
                  - 214 : : 2013/12/19(木) 21:03:59
 男「ちょっと待て!それじゃ、32人以上耐えた奴がいたらどうするんだ?その逆もしかりだ!!」
 司会「32人に満たない場合はそのまま、32人以上耐えた方がいたら、こちらの判定にて
 3次予選に進むべきでない方を選定し、落選とさせていただきます!!」
 アニ「つまり、ただ耐えるだけじゃなく、何か他の判定基準があるんだね」
 ニーア「そのようだね。まぁ、大方予想はつくけどね…」
 司会「ルール説明が終わったところで、さっそく競技に入りたいと思います!!
 順番は、先ほどの予選で下位だった方から始めます!!」
 ニーア「ってことは、私からか。ちぇっ、ツイてないねぇ」
 アニ「残念だったね。先に私が、あんたをじっくり観察させてもらうよ」
 ニーア「目で追えるもんなら追ってみな。私の華麗な動きを…」
 アニ「はいはい、さっさと行ってきな」
 
- 
                  - 216 : : 2013/12/19(木) 21:09:04
 司会「それでは先ほど64位だったニーア選手から、さつり君に挑んでもらいましょう!」
 男1「おぉ!?ギリギリだった姉ちゃんか!!死なねぇように頑張れよ!!」
 男2「負けて暇になったら、俺が夜の立体機動してやるからよ」
 男3「結婚しよう!!」
 ニーア「はいはーい、どうもね~」フリフリ
 ニーア(…死ねよこいつら)
 
- 
                  - 218 : : 2013/12/19(木) 21:14:49
- 
 司会「それでは準備が整いましたので、始めたいと思います!!さつり君、スイッチオン!!」ピコッ!
 
 
 
 さつり君「サツリク…サツリク…」ウイーン
 
 ニーア「おぉ、こわっ!いかにも、って感じのロボだね…」
 
 司会「それでは、用意…」
 
 
 
 
 
 
 司会「…始めっ!!」カーンッ!
 
- 
                  - 219 : : 2013/12/19(木) 21:18:38
 さつり君「」キュルキュルキュル
 ニーア「速っ!!」
 さつり君「」ヒュッ!!
 ニーア「おっと!」ヒョイッ!
 ドゴーンッ!!
 パラパラ…
 アニ「なんてパワーだい。リングに大穴をあけた…」
 さつり君「サツリク…サツリク…」
 ニーア「あの速度で、このパワー。面白いじゃん…」
 
- 
                  - 221 : : 2013/12/19(木) 21:23:15
- 
 ニーア「」スッ…
 
 アニ「あいつ、何を?ポケットに両手を入れて…?」
 
 
 
 さつり君「サツリク…サツリク…」ヒュッ!
 
 さつり君「サツ…」ガゴンッ!
 
 アニ「!?」
 
 司会「おっとどうした?さつり君の動きが止まった?」
 
 
 
 さつり君「サツ…」ガゴンッ!
 
 さつり君「リク…」ガゴンッ!
 
 
 
 アニ「あのロボが進もうとするたびに、動きがいちいち止まる。まるで、何かに抑えつけられてるみたいに…?」
 
- 
                  - 222 : : 2013/12/19(木) 21:28:13
 ニーア「ほら、どうしたの?私はこっちだよ?」
 さつり君「サツ…」ヒュッ!
 ニーア「」ヒュパッ!
 さつり君「」ガゴンッ!
 アニ「!!」
 アニ(あいつ…!)
 司会「そうこうしているうちに、時間が残り5、4、3、2、1…」
 司会「終了ですっ!!!」カンカンカンッ!
 ニーア「あぁ、怖かった。それにしても、ロボット壊れちゃった?」
 司会「どうなんでしょうねぇ。仮に故障だとしたら仕切り直しになるかもしれませんが、よろしいですか?」
 ニーア「構わないよ。それに…」
 ニーア「…故障じゃないから」ボソッ…
 司会「えっ?今、何て?」
 ニーア「え?何でもないよ?検査よろしく~」スタスタ
 司会「はぁ…」
 
- 
                  - 223 : : 2013/12/19(木) 21:33:27
 ニーア「アニ、ただいまー」
 アニ「あんたねぇ…」
 ニーア「…見えちゃった?」
 アニ「見せたんでしょ、私に?バレたらルール違反で失格だよ?」
 ニーア「いいじゃん、どうせバレないし」
 アニ「見える奴には見えてるよ、きっと。告げ口でもされたら…」
 ニーア「見える奴ってのは、きっと相当の手練れ。当然、強い相手を求めてる。
 そんな奴が、チンケなルール違反をいちいち告げ口して、貴重な対戦機会を無駄にすると思う?」
 アニ「あんたって、本当に侮れないね…」
 ニーア「いやぁ、それほどでも」
 アニ「褒めてないし」
 
- 
                  - 224 : : 2013/12/19(木) 21:38:16
 ウンショウ「ほっほっほ、それならばわしが告げ口してしまおうかの。参加者ではないしな」
 ニーア「げっ!!」
 アニ「師範…」
 ウンショウ「さっきのお主の技、全部見えておったぞ。ポケットに手を入れる動作、
 あれは抵抗の意思がないということを伝えるためのフェイク」
 ウンショウ「本当はしっかり手を出しておったのう。攻撃の一瞬のみポケットから手を出して、
 拳を打ち込んでさつり君の移動を妨げておったのが」
 ウンショウ「いや、拳というのは少々違うか。拳から放たれる、『拳圧』と言った方がいいかの」
 アニ「拳圧…」
 ニーア「いやぁ、お見事です。その通り、ポケットに入れた手を攻撃の一瞬だけ取り出し、
 拳圧で相手を攻める『居合拳』です」
 ウンショウ「やはりな。お前さんの師匠の得意技じゃった。
 とてつもない速度で手を出し入れするから、普通の奴には見えん。高等な技じゃい」
 
- 
                  - 225 : : 2013/12/19(木) 21:43:21
 ニーア「ははは…。できればこの件は、内密にお願いできませんかねぇ…?」
 ウンショウ「ふむ。まぁ、アニもお前さんとの対戦を待ち望んでいたようじゃし、
 こんな形で目的が潰えるのも面白くなかろう。今回だけじゃぞ?」
 ニーア「あ~ざっす!!」
 アニ「まったく…」
 ザッコ・モブキャーラ「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 一同「!?」
 ザッコ・モブキャーラ「」ドサッ!
 司会「あぁっと、これはいけません。場外は敗北となります」
 ザッコ・モブキャーラ「クソッ…!故障してたんじゃなかったのか…」
 ニーア「あらら、かわいそうに。故障してなくて残念だったね」フフフ
 アニ「相変わらず嫌な性格してるね、あんた…」
 
- 
                  - 226 : : 2013/12/19(木) 21:48:51
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 司会「…続いて、レオ選手!!リングへお上がりください!!」
 ニーア「呼ばれたよ、アニ」
 アニ「それじゃ、行ってくるよ。あんたみたいなズルしなくても、ちゃんとクリアできるから」
 ニーア「一言余計だっての。別に私だって、あんなことしなくてもクリアできたし」
 アニ「はいはい…」スタスタ
 さつり君「サツリク…サツリク…」ウイーン
 アニ(こいつの動きは速いけど、ほぼ直線軌道。パワーはあるけど、動きが読みやすいからなんてことはない)
 アニ(わざわざアレを出すまでもないか…)
 
- 
                  - 228 : : 2013/12/19(木) 21:53:36
- 
 司会「それでは、用意…」
 
 司会「…始めっ」ピッ!
 
 
 
 さつり君「」ビュッ!
 
 アニ「」ヒョイ
 
 ニーア「へぇ、必要最小限の動きでかわしてる。しかも…」
 
 
 
 アニ「…」
 
 ニーア「目を瞑ったままときたか。さすがアニ、今は目で見る以上に、周囲の状況が把握できてるみたいだね」
 
 
 
 さつり君「」ビュッ!
 
 アニ(…あ~あ、ある意味こんな退屈なのを5分もやらされるなんて、苦痛だね。さっさと終わらないかな)
 
- 
                  - 230 : : 2013/12/19(木) 21:58:35
- 
 アニ「」ヒョイ
 
 さつり君「サツリクっ!!!」
 
 ニーア「さつり君がキレた!?」
 
 
 
 さつり君「サツ……」
 
 
 
 
 
 さつり君「リクリクリクリクリクリクっ!!!!!」ブンブンブンブンブンッ!!!!!
 
 アニ「」ヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイッ
 
 さつり君「サツ~~~~~~!!!!」イライラ
 
 
 
 
 司会「レオ選手、まったくさつり君の攻撃を受ける気配がありません。そうこうしているうちに…」
 
 
 
 カンカンッ!
 
 
 
 司会「終了です!!鮮やかな回避術、お見事でした!!」ポチッ
 
 さつり君「」プシュゥゥゥ…
 
- 
                  - 231 : : 2013/12/19(木) 22:03:16
 アニ「面白くないねぇ、予選ってのは。早く本戦に行かせてほしいよ」
 ニーア「まぁ、今回は仕方ないって。残りの連中のも見てく?」
 アニ「いいよ別に。見たってなんの参考にもならないし。私は向こう行ってるから」
 ニーア「そう。じゃあ、私も行こっ。次の予選はなんだろね?」
 アニ「突破してもいないうちから、そういう話をするのはどうなんだろうね」
 ニーア「いいんじゃない、別に。どうせ、32人も残らないと思うし、これ…」
 アニ「まぁ、それについては同感だね。雑魚をふるい落してくれるんだ、好都合だよ」
 ニーア「さて、いよいよ『本物』が顔を出し始めるころだね…」
 
- 
                  - 232 : : 2013/12/19(木) 22:09:18
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 司会「お待たせしました!!2次予選の結果が出そろいました!!2次予選を突破したのはなんとジャスト32名!!
 おめでとうございます!!」
 ニーア「うそ!そんなに残れたんだ!意外…」
 アニ「ちょっと下に見すぎてたかな。舐めすぎると、足元掬われるかもね」
 ニーア「それじゃ、ここからは気を付けよ」
 司会「それでは、第3次予選へと移らせていただきます!第3次予選は、バトル・ロワイアル・エイト!!
 32人を8人ずつ4つのブロックに分けて、バトルロワイアルを行ってもらいます!!」
 司会「ルールは、特設リングの上で戦闘不能になる、もしくは場外に落ちた時点で脱落。
 各ブロック、最後までリングの上に立っていた2人、4ブロック合計8人が決勝トーナメント進出権を得ます!!」
 アニ「へぇ、分かりやすくて助かるね。やっとまともな試合ができそうだ」
 ニーア「あんたと同じブロックになったら、私と二人で残ろうね」
 アニ「そんな余裕があればね。無理だと判断したら、容赦なくあんたを潰しに行くから」
 ニーア「へぇ、言ってくれるじゃん。せいぜい返り討ちに合わないように気を付けな」
 アニ「肝に銘じておくよ」
 
- 
                  - 233 : : 2013/12/19(木) 22:15:01
 司会「では、こちらがランダムに選出した4ブロックの組み合わせはこちら!!」ドンッ!!
 ニーア「私らは…」
 アニ「私が1ブロック、あんたは4ブロック、別々だね」
 ニーア「そうみたいだね。じゃあ、決着は決勝トーナメントまでお預けってことで」
 アニ「そういうことになるね。せいぜい頑張りな」
 司会「それでは、各自、自分のブロックの試合の行われるリングへと移動してください!!」
 ニーア「それじゃ、お互いに健闘を祈って…」
 アニ「はいよ…」スタスタ…
 
- 
                  - 234 : : 2013/12/19(木) 22:19:35
 ~第1ブロックリング~
 他の6人「」ガヤガヤ…
 アニ「…何てことだい、こいつが一緒だとは」
 ムテキング仮面「…ほほう、お嬢さん、久しぶりだね」
 アニ「…いや、こっちはそうでもないですけどね。つい最近会った気分ですよ」
 ムテキング仮面「不思議なこともあるものだ」
 アニ「まったくですね…」
 
- 
                  - 235 : : 2013/12/19(木) 22:23:24
 ムテキング仮面「アニ、と言ったかな?私と、この間のリベンジがしたいのだろう?」
 アニ「…このリングで、決着を付けようと?」
 ムテキング仮面「いや、こんな安っぽい場所ではない。決勝トーナメントのリングの上で、だ」
 アニ「ここを突破する自信があると?」
 ムテキング仮面「どうやらこのブロックは『アタリ』のようだ。
 他の6人は、私達レベルの足元にも及ばない実力のようだからね」
 アニ「私にとっては『ハズレ』ですね。早く自分の力を試したいのに、なかなか発揮させてもらえないので」
 ムテキング仮面「君の力は、上まで温存しておくべきだ。スタミナに若干不安があるようだからね」
 アニ「…なぜそれを?」
 ムテキング仮面「…」
 アニ「…まぁ、いいでしょう」
 
- 
                  - 236 : : 2013/12/19(木) 22:27:29
 ムテキング仮面「さて、このブロックの試合、君は何もせずに見ていればいい。私が片づける」
 アニ「は…!?」
 ムテキング仮面「君の相手はあんな連中じゃない。そうだろう?」
 アニ「…」
 ムテキング仮面「無言は、了承したという事でいいね?それじゃ…」
 アニ(勝手なことばかり…。常に主導権を取られているようで、腹立たしいね…)
 司会「それでは、各ブロック、選手たちの準備が整ったところで…」
 司会「試合、開始っ!!!!!」カーンッ!!
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 アニ「…」
 ムテキング仮面「さて、ひと暴れさせてもらおうか…」
 
- 
                  - 237 : : 2013/12/19(木) 22:32:54
 男1「何だ?優勝者だからって調子乗ってんじゃねぇぞ!!」
 男2「いくら強くたって、6対1じゃ勝てねぇだろう!?」
 男3「やっちまおうぜ!!」
 男4「そっちの姉ちゃんも、こいつ潰すのに手ぇ貸してくれや!」
 アニ「…」
 男5「…何だよ、無視すんなよ」
 男6「放っとけ、俺達だけでこいつをやっちまおうぜ!!」
 
- 
                  - 240 : : 2013/12/19(木) 22:39:42
 男たち「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 ムテキング仮面「やれやれ…」スッ…
 男1「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 ムテキング仮面「」トンッ…
 男1「あん!?今何しやがった!?」
 男2「腹にちょこっと触っただけじゃねぇか!!ビビってんじゃねぇ!!」
 男1「そ…、そうだな!ビビらせんじゃ…」ベゴッ!
 男1「」ドゴーンッ!!
 男2「ひっ!!突然吹き飛んだ!?」
 男3「何が起きた!?しっかりしろ!!」
 男1「」
 男4「嘘だろ…」
 ムテキング仮面「…さぁ、次はどいつだ?」
 男たち「う……」
 男たち「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 
- 
                  - 241 : : 2013/12/19(木) 22:46:11
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 男たち「」シーン…
 ムテキング仮面「さて、こんなものか。終わったぞ、アニとやら…」
 アニ「…」
 アニ(あいつらを吹き飛ばした技…。師範代の『ペンダコ・グロス(だったかな?)』に似てたけど、
 違う点は、相手に触れたのが一度だけだったってこと)
 アニ(気を流すために触れたのだとしたら、一度だけ振れてもあれだけ飛ぶとは思えない。
 それとも、もしかしたら…)
 司会「第1ブロックは早くも決着が着きました!!決勝トーナメント進出は、
 ムテキング仮面選手、レオ選手です!!」
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 
- 
                  - 242 : : 2013/12/19(木) 22:50:56
 司会「そして…」
 ニーア「…ふっ!」ビュッ!
 男「ぐあっ…!!」ドサッ!
 司会「場外です!!これにより、4ブロックも決勝トーナメント進出者が決定!!
 ニーア選手、そしてトッド選手がコマを進めます!!」
 アニ(ニーアも決まったか。そして…)
 トッド「…」
 アニ(あいつも…。この先機会があれば、あいつにもしっかり、この間のお礼をしておかないとね…)
 
- 
                  - 245 : : 2013/12/20(金) 21:01:53
- 
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
 
 ニーア「ふぅ、まぁこんなもんかな」
 
 アニ「お疲れ」⊃ジュース
 
 ニーア「あら、アニちゃん気が利くねぇ。ありがと」
 
 アニ「まぁ、妥当な結果だね」
 
 ニーア「当然。私のブロックも雑魚ばっかだったよ」
 
 
 
 
 ニーア「…一人を除いてね」
 
 アニ「あの鋼鉄筋肉ダルマかい。あいつはヤバいよ。私も一度殺されかけた」
 
 ニーア「マジで!?ヘタにあいつに手を出さなくてよかった…」
 
- 
                  - 246 : : 2013/12/20(金) 21:06:23
 アニ「今のアンタレベルなら、そこそこやり合えるんじゃないの?」
 ニーア「どうだか。こっちの技が効けばいいんだけど」
 アニ「私は借りを返さないといけないからね。当たってくれることを祈ってるよ」
 ニーア「あんたって、わざわざいばらの道に飛び込もうとするんだね。尊敬するよ」
 アニ「どの道、ああ言うバケモノに勝たないと優勝できないでしょ。誰が相手でも一緒だって」
 ニーア「そうは言っても、ねぇ。もう少し人間じみた相手とやりたいというか…」
 アニ「まぁ、好きに言ってなよ。相手はこっちで選べるわけじゃないんだから」
 
- 
                  - 247 : : 2013/12/20(金) 21:11:26
 司会「それでは、大変長らくお待たせいたしました!!
 今大会の、決勝トーナメントの組み合わせを発表いたします!!!」
 司会「決勝トーナメント第1試合!!トッド選手VSレオ選手!!」
 アニ「!!!!!」
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 ニーア「…こりゃ驚いた。アニ、あんたの念願が叶ったみたいだね」
 アニ「…」
 ニーア「アニ、どうしたの?まさか、怖気づいちゃった…?」
 アニ「…馬鹿な。うれしくて仕方ないんだよ。こんなにあっさり、リベンジの機会をもらえるなんてね!」
 ニーア「そう…」
 ニーア(怖っ、あの半笑いの顔。こりゃ、どっちも相当ヤバい対決になりそうだね…)
 
- 
                  - 248 : : 2013/12/20(金) 21:16:27
 司会「それではお二方、リングのほうまでどうぞ!!」
 アニ「…行ってくるよ」
 ニーア「頑張ってね…」
 アニ「」ザッ!
 トッド「…何だ、レオとはお前のことだったか。久しいな」
 アニ「どうも。あんたのは顔は、忘れたくても忘れられないよ」
 トッド「だろうな。俺は今まで、一度会った奴に顔を忘れられたことがない。
 相手の脳裏に、鮮明に刻み込むのさ。絶対的な恐怖と共にな」
 アニ「は?勘違いするんじゃないよ。あんたみたいな世紀のマヌケ面、忘れたくても忘れられるわけないでしょ?」
 トッド「…死にたいらしいな。大口を叩いていられるのも今のうちだけだ。
 前は邪魔が入っちまったが、今回はちゃんとあの世まで送ってやるからよ」
 アニ「そいつは楽しみだね。送迎もいいけど、しくじって自分だけが向こうに行かないように気を付けな」
 トッド「…減らず口を!」
 
- 
                  - 249 : : 2013/12/20(金) 21:21:42
 司会「お二方、そろそろよろしいですか?」
 アニ「悪かったね、いつでもいいよ」
 トッド「むしろ、さっさと始めろ。こいつを捻り潰したくてたまらねぇんだ…」
 司会「そうですか…」
 司会「それでは、只今より決勝トーナメント第1試合を開始いたします。用意……」
 アニ「…」
 トッド「へっへっへ…」
 司会「始めっ!!!!」カーンッ!
 
- 
                  - 250 : : 2013/12/20(金) 21:26:32
 トッド「くたばれぇっ!!!」ダッ!
 アニ(早速突っ込んできたか。次の動きは……あの『左腕』だね!)
 トッド「頑強なる左腕、さらに加速する『メタル+』!!」ブンッ!!
 アニ(ダッシュのスピードを乗せてきたか。それじゃ…)
 アニ「」スッ
 トッド「無駄だっ!!」クルーンッ…
 トッド「!?」ドンッ!
 アニ(よし、行ける…)
 
- 
                  - 251 : : 2013/12/20(金) 21:31:30
 トッド「てめぇ、何をした…?」
 アニ「あんたの攻撃を、『円の軌道』に沿って地面に受け流したのさ」
 アニ「あんたの強烈な一撃を真正面から受け止めるのは至難の業だけど、
 円の動きで力を受け流すことによって、どれだけ強力な一撃でも往なせるのさ」
 トッド「何だと…!この間はそんな技、なかったじゃねぇか!!」
 アニ「あれからいったいどれだけ時間が経ったと思ってるんだい?
 変わらないのは、あんたの足りない脳ミソの容量だけだよ」
 トッド「言ってくれるじゃねぇか…」ブチブチッ!
 ニーア「あ~あ、あいつ頭に血が上って来たね。そんなんじゃ、アニには絶対勝てないよ…?」
 
- 
                  - 252 : : 2013/12/20(金) 21:37:05
 トッド「重厚なる右腕、『ヘヴィ』!!命の炎を消し去る、『デス』!!」ゴオォッ!!
 アニ「」クルンッ!ヒョイッ!
 ニーア「ぷっ!受け流すどころか、避けられちゃってるし」プククク…
 トッド「てめぇ…」ブルブルブル…
 アニ「あくびが出るね。もっとちゃんとした技はないのかい?」
 トッド「それなら…」
 トッド「…もう一度、この技で沈めてやる!!」ゴオォッ!
 アニ「『あれ』か…」
 トッド「全身の筋肉の出力を最大まで上げ、力の上限を解放して、一瞬で肉塊にしてやる…!!」
 
- 
                  - 253 : : 2013/12/20(金) 21:41:18
 トッド「死ねっ!!『神・ヘヴィ・デス・メタル』!!!!!」ゴオォォォォォッ!!!!!!
 アニ「」ヒョイッ
 トッド「かわしたからと言って安心するな!!この技は、相手を殺すまで止まらないっ!!」
 トッド「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」ドドドドドドドドドドッ!!
 アニ「…さすがに全部かわすのも、受け流すのも骨だね。それじゃ」
 アニ「…『居合脚・聖域』」コオォォォォォォ…
 トッド「無駄だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
 アニ「…」
 パシンッ!!
 トッド「!?」
 トッド(何だ!?俺の技が、あいつに近付いた瞬間、はじき返された!?
 あいつは目を瞑ったままピクリとも動いてねぇのに、なぜだ!?)
 
- 
                  - 255 : : 2013/12/20(金) 21:46:39
- 
 トッド「てめぇいったい、今何をした?」
 
 アニ「…」
 
 
 
 
 トッド「無視してんじゃねぇぇぇぇぇっ!!!!」ドドドドドドドドドドッ
 
 
 
 パシンッ!!
 
 
 
 トッド「!?」
 
 トッド(…またか!?)
 
 
 
 
 ニーア「へぇ、アニの奴、面白い技持ってるじゃん。『聖域』か…」
 
 ウンショウ「いかにも。あの技によって、アニの『聖域』を侵した奴の技を、
 無意識レベルの足技を発動させることですべて弾き返しておるのじゃ」
 
 ニーア「あ、アニの師範さん。どうも~」
 
 
 
 ウンショウ「うむ。お主の目には、今の説明は不要じゃったかな?」
 
 ニーア「まぁ、そうですね。でも、私の目ですら、やっと追えるレベルの速度でしたよ」
 
 ウンショウ「アニは頑張っておったからの。無論、本気を出せばあんなものじゃないぞ?」
 
 ニーア「当然です。あのレベルで満足されたら困りますよ」
 
- 
                  - 257 : : 2013/12/20(金) 21:51:21
- 
 トッド「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 
 
 
 パシンッ!!
 
 
 
 トッド「…駄目だ、近付くことすらできねぇ!!」
 
 アニ「…」
 
 トッド「あん!?」
 
 
 
 
 アニ「…zzz」
 
 トッド「こいつ、寝てやがる!?ふざけんじゃねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
 
 
 
 アニ「…あ?悪いね、あんまり退屈だったから、つい。あんたの技は終わったかい?」
 
 トッド「俺の技を全部弾いておきながら、なんで寝れるんだよ!?そもそも、どうやって弾いてるんだよ!?
 お前の腕も脚も、微動だにしてなかったじゃねぇか!!」
 
 アニ「動いてないように見えるんだったら、あんたのレベルはその程度ってことさ。
 説明してもどうせ理解できないよ。あんたの小さな脳ミソじゃね」
 
 
 
 
 トッド「…何て奴だ…!」
 
- 
                  - 258 : : 2013/12/20(金) 21:56:53
 アニ「そろそろ、こっちからも行かせてもらうよ。いつまでも付き合ってられないんだ」
 トッド「や…!やれるもんならやってみやがれ!!どうせ、お前のヘナチョコキックじゃ、俺にダメージは」ゲシッ!
 トッド「!?」
 アニ「あ、ごめん、まだ話の途中だった?」
 トッド(こいつ、一瞬で俺の懐に!?速すぎて見えなかった…!)
 トッド「…だが!!」
 トッド「俺にはお前の蹴りは全く効かんぞ!!以前にもまして、この重厚な全身の筋肉!!
 誰の技も、俺の体は通さない!!」
 アニ「…前にあんたは、ウチの師範代に、何で負けたんだったかね?」
 トッド「お前の師範代…」
 トッド「!?」ゾクッ…
 トッド(そうだ!こいつの師範代には、あの得体の知れん技があった!!そしてこいつは弟子!!
 あの技を習得していてもおかしくない!!そして今の一撃は、あの技の一部だとしたら!!)
 
- 
                  - 259 : : 2013/12/20(金) 22:02:00
 トッド「マズいっ!!」タンタンッ!
 アニ「一気に距離を取ったか。さすがに馬鹿でも警戒はするんだね」
 トッド「当たり前だ!だが、もうお前の技は喰らわんぞ!!あの時のようにぶっ飛ばされるのはゴメンだからな!!!」
 アニ「…安心しなよ。もう、あんたに技を喰らわせる必要はないさ」
 トッド「何だと!?」
 アニ「何度も言わせるんじゃないよ。あんたはもう…」
 アニ「…負けてるのさ」
 トッド「ふざけたこt…」ベゴッ!!
 トッド「」ドグシャァァァッ!!!!
 トッド「」ドサッ!
 
- 
                  - 260 : : 2013/12/20(金) 22:06:32
 司会「は…?」
 アニ「ちょっと、判定は?私の勝ちでいいんでしょ?」
 司会「えと…」
 司会「トッドさ~ん、続行できますか~?」
 トッド「」シーン…
 司会「反応なし…。これは、勝負ありですね」
 司会「勝者!!レオ選手!!!!」
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 
- 
                  - 262 : : 2013/12/20(金) 22:11:12
- 
 ウンショウ「アニには、少々物足りない相手じゃったかな?」
 
 ニーア「でも、前にボコボコにされたって聞きましたよ。すごい進歩じゃないですか」
 
 ウンショウ「まぁの。わしの指導の賜物という奴かの?」
 
 
 
 
 アニ「師範はほとんど見ていただけじゃないですか。師範代が主に指導してくれました」
 
 ウンショウ「あらま、聞いておったのか」
 
 
 
 ニーア「おかえり、アニ。楽勝だったね」
 
 アニ「とんだ肩すかしだったよ。せっかく、前回の借りを返せると思ったのに、あの程度だったとは。
 あいつに負けた以前の自分は、どんだけ弱かったんだって話だよ」
 
 ニーア「アニ、最後にあいつをぶっ飛ばした技、アレって何?」
 
 アニ「蹴り」
 
 
 
 
 
 
 ニーア「そうじゃなくて…」
 
- 
                  - 263 : : 2013/12/20(金) 22:16:33
 ウンショウ「あれじゃ。ラエイの使った、何とかクロスの応用じゃろ?」
 アニ「…えぇ、まぁ」
 ウンショウ「ラエイの技は、異なる5か所から気を打ち込み、交わった1点のみを破壊する。
 しかしさっきのアニの技は、複数回の攻撃を同じ地点に一瞬で同時に打ち込む」
 ウンショウ「そうすることによって、気が通り抜けた直線状の部分を同時に、同等の力でダメージを与えることができる。
 無論、たいていの者には、一発しか入れていないようにしか見えんがな」
 ニーア「なるほどね。ほとんどの人は、さっきの一瞬で8発も蹴りを入れたことは見えないってことですか」
 アニ「…あんた」
 ウンショウ「これは大したもんじゃ。お主にも見えておったとは」
 ニーア「え?合ってました?適当に言ってみただけなんですけどね…」ニヤッ
 アニ「…ほんと、嫌な奴」ボソッ…
 
- 
                  - 264 : : 2013/12/20(金) 22:21:29
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 司会「さぁ、ここまで白熱の決勝トーナメント3試合が終わりました!!」
 ニーア「私は第4試合ってことか。ようやく出番だね」
 アニ「という事は、あんたとは決勝まで当たらないってことだね。理想の展開じゃないか」
 ニーア「やっぱあんたと決着付けるのは、最高の舞台でないとね。第2試合で呼ばれなくてよかったよ」
 司会「残り1試合、行って参りましょう!!第4試合、ニーア選手VSジャック・ショーン(弱小)選手です!!!!」
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 
- 
                  - 265 : : 2013/12/20(金) 22:26:41
 ニーア「じゃ、行ってくる」
 アニ「頑張ってね。死ななければ、何でもいいから」
 ニーア「死なないっての。縁起でもないことを…」
 ジャック「」ザッ
 ニーア「」ザッ
 司会「両選手が出そろいました!準決勝にコマを進めるのは、どちらの選手になるでしょうか!!」
 司会「それでは張り切って参りましょう!!用意…」
 司会「…始めっ!!!!」カーンッ!
 
- 
                  - 266 : : 2013/12/20(金) 22:32:14
 ジャック「それではお嬢さん、お先にどうぞ」
 ニーア「あれ、いいの?じゃ、遠慮なく…」スタスタ
 ニーア「」ピタッ
 ジャック「おっと、そんなに密着してくるなんて、大胆な人だなぁ」
 ニーア「あんたも、近くで見ると結構イケメンだねぇ。惚れていい?」
 ジャック「ほんとかい?うれしいなぁ」
 アニ「何やってんだい、あいつは。一撃で沈める気満々のくせに、クサい芝居して…」
 ウンショウ「あそこまで相手に密着する技といえば、一つしか思い浮かばんのう」
 アニ「えぇ、第1次予選を突破するときにも、その技を使っていました。おそらく正体は…」
 
- 
                  - 267 : : 2013/12/20(金) 22:37:01
 ニーア「」ビシッ!
 ジャック「うぐっ…!!」
 ジャック「」ドサッ!
 ニーア「あ、ごめんねぇ。ちょっと力入れ過ぎた?もう立ち上がれないかな?」
 ジャック「」シーン…
 ニーア「残念。私、弱い男は嫌いだからさぁ。もう二度と、私に顔見せないでね?」
 司会「勝負あり!!なんと、開始10秒でのスピード決着です!!何という事でしょう!!」
 ニーア「当たり前だっての。あんな雑魚と私を一緒にするんじゃないよ…」ボソッ…
 アニ「聞こえてるよ、あんた」
 ニーア「あら、地獄耳」
 アニ「あんたの腹黒さに比べたら、かわいいもんさ」
 
- 
                  - 268 : : 2013/12/20(金) 22:42:33
 ウンショウ「ニーアとやら、お主の先ほどの技の正体、あれは『寸勁』じゃな?」
 ニーア「え?すんけい…?なんですかそれ?」
 ウンショウ「主らの言葉を借りれば、『1インチパンチ』かの?」
 ニーア「ああ、そうですそうです。寸勁って呼び名もあるんですね」
 アニ「やっぱりそれかい。あそこまであからさまに密着されたら、普通は感付くもんだと思うけどね」
 ニーア「感付かないから雑魚なんでしょ?そもそも、あっさり敵を懐に入れるとか、馬鹿としか言いようがないよ」
 アニ「その意見には賛同する」
 
- 
                  - 269 : : 2013/12/20(金) 22:48:31
 ウンショウ「『寸勁』…。身体動作を小さくし、至近距離からわずかな動作で高い威力を出す技法。
 あまりの動作の小ささに、攻撃を繰り出したことに気づかない者もいるという」
 アニ「その上、1次予選では力の加減を計算して打ってましたからね。恐ろしい奴です」
 ニーア「まぁね。たださすがに、強い相手とやり合う時に出せる余裕はないけどね。
 結構集中しないと使えないんだよ、まだ」
 ウンショウ「お主はまだまだ若い。これからも修練に励み、師匠を超える存在となるがいいぞ」
 ニーア「もちろんです、任せてください」
 アニ「…」
 
- 
                  - 271 : : 2013/12/21(土) 10:28:59
- 
 司会「第1回戦がすべて終了しましたので、続けて準決勝へと進ませていただきたいと思います!!」
 
 
 
 アニ「いよいよか…」
 
 ニーア「あんたの次の相手って、アレでしょ…」クイッ
 
 
 
 ムテキング仮面「」ゴオォォォォォッ…
 
 
 
 アニ「さっきの試合も、相手は瞬殺だった。以前だって、まともに戦えなかったしね」
 
 ニーア「私が戦った感想だけど、バケモノだよ、あれは。壁内最強って言われてるあんたのとこの師範代、
 どっちが強いか比べてみたいよ」
 
 アニ「どっちが、ね…」
 
 ニーア「…なにさ?」
 
 
 
 
 アニ「案外、比べる必要なんてないかもね。答えは出てると思う…」
 
 ニーア「…何それ、わけ分かんない」
 
 
 
 
 
 
 ウンショウ「ふむ、あの男…」
 
- 
                  - 272 : : 2013/12/21(土) 10:33:47
 司会「それでは張り切って参りましょう!!準決勝第一試合!!レオ選手VSムテキング仮面選手!!」
 アニ「」ザッ
 ムテキング仮面「」ザッ
 司会「両者、リングに上がりました!!」
 ムテキング仮面「一回戦の戦い、見事だった。最後に使った技、あれは…」
 アニ「ええ。あなたが3次予選で使った技です」
 ムテキング仮面「一度見ただけで覚えてしまうとは。さすがだな」
 アニ「基本的なことを学んできていたので、軽く応用すれば。そんなこと、あなたが聞くまでもないんじゃないですか?」
 ムテキング仮面「はてな。何のことだか、よく分からないな」
 アニ「…まぁ、いいでしょう。じきに分かることです…」
 ムテキング仮面「…ここで話していても始まらない。勝負を始めようか」
 
- 
                  - 273 : : 2013/12/21(土) 10:38:35
 司会「それでは、両者の準備が整ったようなので、司会を開始したいと思います!!用意…」
 アニ(この男、間違いなく…)
 ムテキング仮面(さすがに、そろそろ気づかれたかな…?)
 司会「始めっ!!!」
 アニ(『居合脚・聖域』!!)スッ…
 ムテキング仮面「ほう、守りから入るか。前回は一瞬で終わらせてしまったから、その対策かな?」
 アニ「…」オォォォ…
 ムテキング仮面「その状態になると、話しかけても無駄か。さて、どう攻めようか…」
 
- 
                  - 274 : : 2013/12/21(土) 10:42:09
 ムテキング仮面「」ツカツカ…
 司会「おっと、ムテキング仮面選手、怪しげな構えを取るレオ選手に向かって、ゆっくりと歩きだしました!!」
 ニーア「あのまま近付いたら、あの仮面男は…」
 スパンッ!!
 ニーア「ほらね…」
 ニーア「…って、嘘!?」
 
- 
                  - 275 : : 2013/12/21(土) 10:47:26
 アニ(…ずいぶん静かだね。あいつは今、どうしてる?)
 アニ(『聖域』を発動してるうちは、奴は私に近付けないはず。ただ、ある可能性を除いては…)
 アニ(いつまでもこうしていると、逆に危険だ。頃合を見計らって、解除を…)ドゴッ!
 アニ「!?」ドサッ!!
 司会「おっと、レオ選手、吹き飛んだ!!ムテキング仮面選手の強烈な一撃がさく裂!!」
 アニ(私は今、殴られたの!?『聖域』を発動してるのに、それを破って!?もしかして…)
 ムテキング仮面「君の技、素晴らしいと思う。だが、その技は無意識で発動しているが故、
 自分が攻撃を繰り出しているかどうかも、自分では感じ取ることはできない」
 ムテキング仮面「よって、近付いてくる私に気づかず、攻撃を避けることができなかったというわけだ」
 
- 
                  - 276 : : 2013/12/21(土) 10:52:29
 アニ「じゃあなんで、あなたはこちらに近付けたんですか?」
 ムテキング仮面「君の技『居合脚・聖域』は、細かく分けると二種類が存在する。
 君のように、『聖域』を創りだし相手を待ち構える守りの『聖域“静”』」
 アニ「『聖域“静”』…?」
 ムテキング仮面「そして君の技を破ったのは、私の…」コオォォォォォォ…
 アニ(雰囲気が…!)
 ムテキング仮面「『聖域“動”』!!」ゴオォォォォォッ!
 アニ(とてつもない力を感じる…!)
 ムテキング仮面「君の技と違って、私のは攻めの『聖域』。こちらから相手に近付き、
 『聖域』の中に取り込んで攻撃する」
 ムテキング仮面「動と静、2つの『聖域』。これらがもし、同じ場所で重なるように存在した場合、どうなるか…」
 アニ「…より強い方が勝る。弱い方は、無効化される!」
 
- 
                  - 277 : : 2013/12/21(土) 10:57:25
 ムテキング仮面「その通り。私の“動”で君の“静”を無効化し、君に近付いて拳を叩きこんだというわけだ。
 それでも、完全には無効化できなかったがね」
 アニ「そのようですね。その仮面のヒビ、いよいよ正体を明かすときが来たんじゃないですか?ムテキング、いや…」
 アニ「ラエイ・ポッカ師範代…」
 ニーア「!?」
 ウンショウ「…やはりか」
 ムテキング仮面「…いつからだい?」カチャ…
 ラエイ「私の正体に気づいたのは…」⊃仮面
 ニーア「うわっ、ほんとにあの師範代!?」
 
- 
                  - 278 : : 2013/12/21(土) 11:05:54
 アニ「微妙な違和感を覚えたのは、師範代に最初に会った時です。師範代が私を最初に見たとき、
 何やら不思議な反応をしていたのが印象的でした。まぁ、ほんの僅かでしたが」
 アニ「あとは、最初に見せられたカポエイラの動き。あの動きを見て、最初にこの場所で
 あなたに負けたとき、一瞬だけ見せられたあなたの動きと相似する部分があることを思い出しました」
 ラエイ「ほう、あの一瞬で…」
 アニ「あとは、借金取りが来た時ですかね。何者かによって定期的に借金が返済されていたと聞いて、
 師範は訝しんでいたのに、あなたは眉ひとつ動かさなかった」
 アニ「まるで、全てを知っていたかのように…」
 ラエイ「…それが、私の正体とどうつながるのかな?」
 アニ「師範代なんでしょう?その借金を、密かに返済していた人物というのは…」
 ウンショウ「何と!!そうなのか、ラエイよ!?」
 
- 
                  - 279 : : 2013/12/21(土) 11:10:44
 ラエイ「何の根拠があって…」
 アニ「根拠はないです。けど、あなたがこうして正体を隠してまで大会に参加し、賞金を必要としている。
 それが借金返済のためという事であれば、理由付けとしては一番自然なんじゃないですか?」
 ラエイ「…そこまで考えていたとは、恐れ入った」
 アニ「では、認めるんですね?」
 ラエイ「あぁそうだ。この大会で賞金を稼ぎ、借金を密かに返済していたのは私だ」
 ウンショウ「お主、なぜわしに黙ってそんなことを?」
 ラエイ「当たり前じゃないですか、あの借金は元々私の物なのです。門下生が減って返済の当てがなくなってしまっている今、
 こういった方法でしか師範とのお約束を守る手段がないのです」
 ウンショウ「…せめて、一言くらい相談してほしかったのう」
 ラエイ「申し訳ありません…」
 
- 
                  - 280 : : 2013/12/21(土) 11:16:41
 ラエイ「私の借金のせいで、道場にも要らない迷惑をかけてしまいました。
 借金取りまで押しかけ、アニにも危険な目にあわせてしまいました」
 アニ「…」
 ラエイ「せめてこれが、私なりのケジメです。あと一回、あと一回優勝すれば、
 その賞金で返済は終わります!今回が最後なんです!!どうか、見逃していただけませんか!?」
 ウンショウ「…見逃すも何も、お主は最初から何も悪いことはしておらんじゃろう」
 ラエイ「師範…」
 ウンショウ「ここまで来たからには、お主も最後まで自分の信念を貫くがよい。止めはせぬ…」
 
- 
                  - 281 : : 2013/12/21(土) 11:20:45
 ウンショウ「…ただし!!」
 ラエイ「!!」
 ウンショウ「目の前に相手がおるのに、勝手に優勝だの賞金だの、皮算用をするのはどうかと思うがの。
 なぁ、アニよ?」
 アニ「…ええ、そうですね。まだ私は負けていません。師範代、少々気が早いですよ」
 ラエイ「アニ…」
 アニ「それとも、私程度では相手にならないと?」
 アニ「そう考えているなら、仕方ありません。足元を掬ってあげましょう…」ゴオォォォォォッ!
 ニーア(アニの奴、雰囲気が変わった!!)
 ラエイ「いいだろう。それならば、私も全力で相手しよう。後悔するなよ…」
 
- 
                  - 283 : : 2013/12/21(土) 11:46:41
- 
 ラエイ「…はっ!!」タンッ!!
 
 ラエイ「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」グルングルンッ!!
 
 ニーア「あれは!?」
 
 ウンショウ「ラエイが得意とするカポエイラの技の一つ…」
 
 
 
 
 ラエイ「『鳴門・大渦』!!」グルングルンッ!
 
 
 
 
 アニ「逆立ちのまま、その場で回転してるだけじゃないですか…」グンッ!
 
 アニ「!?」
 
 アニ(何だ、この風圧は!?身体が、引き込まれるっ!?)ズリズリ…
 
 
 
 
 ラエイ「この技は、激しい回転によって空気圧を変動させることによって、対象物を
 こちらへ引き込む強風を発生させる。そして、私の元まで引き込まれたら最期…」グルングルンッ!
 
 アニ(…強力な回転蹴りで、ノックアウト!どうにかしないと…!)
 
- 
                  - 284 : : 2013/12/21(土) 11:51:33
 アニ「くっ…!」ズリズリ…
 ニーア「あのままじゃ、マズいね…。もう、1メートルもない…」
 アニ(…もう少し。もう少しだけ近くに!!)
 ラエイ(何を企んでいる?アニの目線、どこを…?)
 アニ「」チラッ…
 ラエイ(…まさか!?マズいっ!!)
 アニ「…今だっ!!はぁっ!!」ガバッ!!
 ニーア「しゃがんだ!?」
 ウンショウ「ほう、そう来たか。じゃが…」
 
- 
                  - 285 : : 2013/12/21(土) 11:56:46
 ラエイ「『鳴門・大渦“転”』!!」グルンッ!!
 アニ「!?」ブンッ!!
 ラエイ(…っ!)ゴッ!
 アニ(逆回転!?今度は吹き飛ばされるっ!!)
 ドゴッ!!
 アニ「…うあっ!!」
 ウンショウ「これは、先ほどの技とは反対で、逆回転させることによって外側へ吹き飛ばす風を発生させる。
 アニは、ラエイに近付くことはできん」
 
- 
                  - 286 : : 2013/12/21(土) 12:03:01
 アニ「…くっ!!」ドサッ!
 アニ(吹き飛ばされる直前に、一撃もらってしまった…。だけど…!)
 ラエイ「…冷や汗をかいたぞ、アニ。君の狙いを悟るのが一瞬でも遅れていたら、危なかった」スタッ
 ニーア「アニの、狙い?」
 ウンショウ「うむ。いずれ分かるじゃろう」
 ニーア「はぁ…」
 アニ「確かに、一番の目的を防がれてしまいました。ですが…」
 ラエイの左足「」ゴキッ!!!
 ラエイ「…っ!!」
 アニ「吹き飛ばされる直前、左足をいただきました。もう、あなたの蹴りの威力は半減です」
 ラエイ「君の狙いを回避しようとするあまり、他の部分への防御がおろそかになってしまったな。やむを得なかった」
 
- 
                  - 287 : : 2013/12/21(土) 12:08:36
 ラエイ「このダメージからすると、9発、入れられたのかな?」
 アニ「本当は15発入れる予定でしたが、間に合いませんでした。
 全部入っていれば、立っていることもできなかったはずですが」
 ラエイ「だが、左足を負傷させたところでどうする?私の利き足は右。
 君が望むほどの、威力の低下は見込めないと思うがね?」
 アニ「…足技において大事なのは、利き足ではなく、軸足。軸足さえしっかりしていれば、
 利き足を少々負傷していようが、十分な技の威力は見込めます」
 ラエイ「…素晴らしい。私の教えをしっかりと活用させているね。お見事だ」
 アニ「当然、これだけで勝てるとは思っていません。あなたの得意な武術を考えると…」
 ラエイ「逆に言えば、私に使わせる技をカポエイラ一本に絞らせた、という事だろう?」
 アニ「…師範代は、技が多彩ですからね。こうでもしないと、迂闊に攻め込めませんので」
 ラエイ「つくづく君の成長には驚かされる。才能だけなら、私をはるかに上回っているよ」
 アニ「褒められても、手は抜きませんよ…」
 
- 
                  - 288 : : 2013/12/21(土) 12:13:43
 ラエイ「…『ペンタグラム・グランドクロス』、あの技の正式名称は、こんな子供じみた名前じゃない。
 その技を使いこなせる君には、真の名を教えておこう」
 ラエイ「…『五行一交(ごぎょういっさ)』。時には複数方向から、時には一直線上に、
 相手の体を貫く『気』を放ち、その交点を的確に破壊する技」
 ラエイ「だが君は5発に留まらず、私に9発も打ち込んだ。きっとこれから、まだ伸びるんだろうね?」
 アニ「その予定です。最終的には、『あの数字』までいければと…」
 ラエイ「楽しみだ」
 アニ「…そろそろ、決着を付けましょう。話ばかりしていても、観客が退屈してしまいますからね」
 ラエイ「同感だ。もう、さっきのようなヘマはしないぞ!!」タッ!!
 
- 
                  - 290 : : 2013/12/21(土) 12:18:51
- 
 ラエイ「『鳴門・大渦“海峡”』!!」グルングルンッ!!
 
 アニ(くっ!さっきよりすごい風圧!!しかも…)
 
 
 
 
 ニーア「回転しながら、上下してる!?」
 
 ウンショウ「支える腕を曲げ伸ばしすることによって、回転させる脚の高さを調節、
 さっきのように下に潜り込ませる隙間を無くす究極技じゃな」
 
 ニーア「あの動き、まるで、超高難度のブレイクダンスみたい…」
 
 ウンショウ「ブレイクダンスとは、カポエイラから生まれた技もあると言われておるのじゃ」
 
 ウンショウ「元々、カポエイラを生み出した先人たちは技を磨く際、ダンスの練習に見せかけて
 周りの目を欺いていたとも言われておる」
 
 
 
 ニーア「すごい風圧…。こっちまで引き込まれそう…。あんな動きされたら、近くにいるアニは…」
 
- 
                  - 291 : : 2013/12/21(土) 12:23:14
 アニ「ぐ…うっ!!」ズリズリ…
 ラエイ「」グルングルンッ!
 アニ(あれじゃ、下に潜り込めない!!どうする…!?)
 アニ(…いや、一か八か、あれなら!!)
 ニーア「アニの奴、いよいよヤバいかも…」
 ウンショウ「…いや」
 アニ「『居合脚“静”』…」スッ…
 ニーア「この状況でアレ!?」
 ウンショウ「いや、“静”ではあるが、相手の力によって自動的に引き込まれるから、
 “動”の側面も兼ね合わせておる!!考えたの、アニ!!」
 ラエイ「確かに、あの技ならこの蹴りをはじき返すことはできるだろう!
 しかし、だからと言って、至近距離でこの技をいつまでもはじき返し続けることはできんぞ!!」
 ラエイ(…しかし、なぜ『そっち』なんだ?何か狙いが…?)
 
- 
                  - 292 : : 2013/12/21(土) 12:28:11
 アニ「…」ズリズリ…
 ラエイ「まぁ、よかろう。さぁ…」
 ラエイ「…終わりだっ!!」ブンッ!
 アニ「…」ピクッ
 アニ「…はあっ!!!」ドッ!!
 ドゴッ!!
 ラエイ「!!」ゴッ!
 アニ「…っ!」ゴッ!
 ニーア「どうなった!?」
 ラエイ「」ドサッ!
 アニ「」ダンッ!
 ウンショウ「…お見事」
 ラエイの右腕「」メキメキッ!
 ラエイ「がっ…!」ガクンッ
 
- 
                  - 293 : : 2013/12/21(土) 12:39:14
 アニ「…何とかうまくいったか。だけど、私も利き足をやられたか…」ズキズキ
 ラエイ「やるな…。やはり狙いは、私の腕だったか。先ほどの居合脚、『聖域』を使わなかったのも…」
 アニ「『聖域』は、無意識になるので、自分の意思を反映させられませんからね。
 師範代の脚ではなく、腕の動きに集中させて、ピンポイントで発動させました」
 ラエイ「…ははは。すごい、すごいぞ。君は、私の想像をはるかに超える速度で、
 頂点への階段を駆け上がっている。だが…」
 ラエイ「ここまで追いつめられた以上、私も意地を見せねばならんな…」
 ニーア「軸足と片腕を封じられて、得意のカポエイラも満足に使えないはずなのに、あの師範代にはまだ何か…?」
 ウンショウ「どうじゃろうな。この戦いの結末は、神のみぞ知るところじゃ…」
 アニ(ここから先は、小細工は無用だ。師範代が満足に動けない今、勝負を決める!!)
 
- 
                  - 294 : : 2013/12/21(土) 12:44:14
 アニ「」ダッ!!
 ニーア「アニが行った!!」
 ラエイ「真正面から突っ込んでくるとは、勝負どころと踏んだか。だが、私だってまだ…」ゴキッ!!
 ラエイ「…っ!!」
 ラエイ(…ちっ、左腕もやられていたか。マズい、防御手段を失った!)
 アニ(師範代の様子がおかしい。左腕に打ち込んだ分が、今になって効いてきたか!?)
 
- 
                  - 295 : : 2013/12/21(土) 12:49:00
 アニ「…はぁっ!!」バッ!
 ラエイ「調子に……乗るなっ!!!」ブンッ!
 ドゴォッ!!
 アニ「…かはっ!!」グググ…
 ニーア「あぁっ!!アニっ!!」
 ウンショウ「痛めた左足で、強引に蹴りを放ったか。じゃが…」
 アニ「ぐ…う…」グググ…
 ラエイ(アニめ、蹴りが入る瞬間に自分から近付いて、威力を緩和したか。
 本来なら、こうも容易く受け止められる技ではないというのに…)
 
- 
                  - 296 : : 2013/12/21(土) 12:54:46
 アニ「まだ…まだ…負けませんよ…!ここを逃したら、もうチャンスは来ない…!」グググ…
 アニ「」ゴオォォォォォッ!
 ラエイ「くっ!!何を…!?」
 ラエイ(マズいな!この体制では、もう防御も回避もできない!!懐に渾身の一撃を決められたら…!!)
 アニ(9発…いや、足りない!!2倍、3倍…)
 アニ「…4倍っ!!!」
 アニ「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ブオォォンッ!!
 ラエイ「…ここまでかっ!!」
 
- 
                  - 297 : : 2013/12/21(土) 13:00:58
 アニ「『一交・三十六(いっさ・みそじあまりむつ)』!!!!!!」
 ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!
 ラエイ「…がはっ!!!」ガクンッ!
 アニ「…」ゼェ…
 ニーア「…決まった、の?」
 ウンショウ「…勝負ありじゃ」
 ラエイ「…ぐっ!!」ドサッ!!
 アニ「…はぁ、はぁ」
 ニーア「…一瞬でしたけど、確かに見えました。36発、アニの蹴りが師範代に入るのを」
 ウンショウ「同一箇所に、36発の気を纏った蹴り。すべてが貫通する際のダメージは、計り知れないものであろうな」
 
- 
                  - 298 : : 2013/12/21(土) 13:06:11
 アニ「…がはっ!」ガクッ!
 ニーア「アニっ!!」
 ウンショウ「どうやら、最後のラエイの一撃も、彼女にはしっかり効いておったようじゃな」
 司会「…これは、勝負あったでしょうか?ムテキング…いや、ラエイ選手、立ち上がれるか!?」
 ラエイ「…」
 アニ(お願い、立たないで…)
 ラエイ「…見事、アニ」
 アニ「!!」
 司会「あぁっと!!ラエイ選手、まだ意識があったぁ!!さぁ、立ち上がれるか!?」
 
- 
                  - 301 : : 2013/12/21(土) 13:13:28
- 
 ラエイ「…さすがに無理だな。立てたとしても、もう戦えない。ギブアップだ」
 
 アニ「ギブアップ…?」
 
 ニーア「と、いう事は…!」
 
 
 
 
 
 
 司会「ギブアップ!!!なんと前回チャンピオンを破り、レオ選手が勝利だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
 
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 
 ニーア「やったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 
 ウンショウ「ほっほっほ。よいものを見せてもらったわい」
 
 
 
 
 
 
 アニ「師範代…」
 
 ラエイ「すまんが、手を貸してもらえるかな?さすがにこれはキツい…」
 
 アニ「すみません……いや、ありがとうございました…」
 
 ラエイ「うん。それでいい」
 
- 
                  - 302 : : 2013/12/21(土) 13:18:27
 アニ「ですが、まだ私は、師範代を超えたとは思っていません。師範代は、本来はこの程度の実力ではないはずです」
 ラエイ「何故、そう思う?」
 アニ「…勘、ですかね」
 ラエイ「…ふふっ、勘か。面白いな、君は」
 ラエイ「私が本気だろうがそうでなかろうが、負けは負けだ。もし納得がいかないというのであれば…」
 ラエイ「…この大会が終わってひと段落ついたら、道場に来なさい。もう一度、相手をしてあげよう」
 アニ「それは、師範代の本気を見せていただける、という事ですか?」
 ラエイ「…好きに捉えるといい。私は、いつでも相手になってやろう」
 アニ「…ありがとうございます」
 
- 
                  - 303 : : 2013/12/21(土) 13:24:17
 ニーア「アニっ!お疲れ!!」
 アニ「ありがと、さすがに堪えたよ…」
 ウンショウ「ラエイよ…」
 ラエイ「…師範、私の弟子は、大きくなりましたよ」
 ニーア「え、この身長で?」
 アニ「」
 ニーア「…アニ?」
 アニ「」バタッ…
 ニーア「ちょっと、嘘でしょ!?アニ!!」
 アニ(…ちょっと、無理し過ぎたかな…)
 
- 
                  - 304 : : 2013/12/21(土) 13:30:20
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 アニ「」パチッ
 ニーア「あっ!!気が付いた!?」
 アニ「…ここは?」
 ニーア「医務室、みたいなところかな。負傷した選手がよくここで治療とか受けてるから」
 アニ「そう…」
 ニーア「脅かさないでよね。いきなり倒れるんだから…」
 アニ「…あんた、試合は!?」
 ニーア「いや、今心配してるのは、あんたの容態なんだけど…?」
 アニ「いいから答えな!!試合はどうなったの!?」
 ニーア「…心配しなくても、ちゃんと勝ちました。晴れてあんたと決勝で戦えるけど?」
 アニ「そう…」
 
- 
                  - 305 : : 2013/12/21(土) 13:35:23
 ニーア「ただ、決勝は明日になっちゃった」
 アニ「…え?なんで?」
 ニーア「あんたのこともあるけど、それ以外に、ちょっとね…」
 アニ「気になるじゃないか、何なの…?」
 ニーア「…まぁ、いずれ分かるよ…」
 アニ「…変な奴」
 ニーア「まぁ、何にしても、あんたが大丈夫そうでよかったよ。明日に試合に響くようだったら、タダじゃおかないけどね」
 アニ「あんたは随分余裕そうだね。また楽な相手だった?」
 ニーア「…いや、全然。だから、ね」
 アニ「…?」
 
- 
                  - 306 : : 2013/12/21(土) 13:39:55
 ニーア「…まぁ、いいでしょ。悪いけど、私は今日は帰るよ。あんたも司会の人に適当に挨拶して、今日はもう休みな」
 アニ「…じゃあ、そうさせてもらうよ。また明日」
 ニーア「逃げんじゃないよ?」
 アニ「そっちこそ」
 ニーア「ふふっ。それじゃ…」
 アニ「またね…」
 ガチャン…
 アニ(さて、私も帰るか。司会の人は、リングにいるのかな…?)
 
- 
                  - 307 : : 2013/12/21(土) 13:45:28
 ~地下闘技場~
 アニ「…何だい、これは!?」
 リング「」ボロッ…
 司会「あぁ、レオ選手、お体のほうはいかがですか?」
 アニ「いや、私は大丈夫だけど、このリング一体…?」
 司会「あぁ、準決勝第二試合で、こうなってしまったのですよ。修復に時間がかかるため、決勝戦は明日という事になりました」
 アニ「それでか…。ニーアの対戦相手、とんでもない破壊魔だったんだね…」
 司会「え?何をおっしゃいますか」
 アニ「…えっ?」
 司会「このリングをここまでボロボロにしたのは、ニーア選手ですよ?」
 アニ「…は!?」
 
- 
                  - 308 : : 2013/12/21(土) 13:51:59
 司会「いやぁ、凄まじい攻撃でしたよ。対戦相手の方も、結構名の通った実力者だったんですけどね、
 ニーア選手の攻撃の前には、なす術もないという感じで…」
 アニ「…嘘でしょ」
 司会「司会の私が言うのもアレですけど、気を付けてくださいね。命だけは、大事にしないと…」
 アニ「…」
 アニ(ニーアの奴、登る階段を間違えてんじゃないの?バケモノの階段登ってどうするのさ…)
 
- 
                  - 312 : : 2013/12/21(土) 21:05:03
 ~翌日・地下闘技場~
 司会「皆さん、いよいよこの日がやって参りました!!!」
 司会「トロスト区裏格闘大会決勝戦、いよいよ開始いたします!!!!!!」
 ワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!
 アニ「…すごい盛り上がりだね」
 ニーア「当然。毎回決勝は盛り上げるけど、今回はいつも以上だね」テクテク
 アニ「あんた、いたならさっさと声かけてよ。探したじゃないか」
 ニーア「ごめんごめん、サイン求められちゃってさ。有名人は辛いねぇ」
 アニ「馬鹿正直にいちいち答えてたら、日が暮れちゃうでしょ。私は全部断って来たよ」
 ニーア「え、ひどっ!あんた見た目もいいから、結構人気なのに。ファンの人かわいそう」
 アニ「別に、そんな目的出来てるんじゃないし。試合が終わったらさっさと帰るだけだよ」
 ニーア「相変わらずクールというか、ドライというか…」
 
- 
                  - 313 : : 2013/12/21(土) 21:10:03
 アニ「ほら、そろそろ試合始まるんじゃないの?」
 ニーア「そだね。待ちに待ったあんたとの再戦、この間みたいにいくと思わないでよ?」
 アニ「あんたさぁ、昨日派手にリング壊しといて、私にシラ切って帰ったでしょ?
 医務室から出てきて驚いたよ」
 ニーア「あれは…やむを得なかったんだよ。相手が強すぎて、手加減できなかった。
 しばらく相手も失神してたし、悪いことしちゃったな」
 アニ「油断してると殺されそうだよ。気を付けないとね」
 ニーア「幸い、アニに手の内を見られなくてよかったよ。アニも、昨日のアレが全力じゃないんでしょ?」
 アニ「どうだかね。そろそろ、お喋りは終わりにしよう。ここからは、お互い敵同士だから…」スタスタ…
 ニーア「…」
 
- 
                  - 314 : : 2013/12/21(土) 21:17:15
 司会「それでは、決勝戦に参加する選手をお呼びしましょう!!!」
 司会「青コーナー!!前大会準優勝!!神速のアクセル・インファイター!!!
 ニ~~~~~~~~~アぁぁぁぁぁっ・ハレントぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」
 客「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!ニーアちゃぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!!」
 客「今日もかわいいよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
 ニーア「ありがと~~」フリフリ
 客「( ゚∀゚)o彡゚ちっぱい!!ちっぱい!!」
 ニーア「死ねっ!!!!」
 司会「観客への暴言はお控えください」
 ニーア「私への暴言を辞めさせてよ!!」
 
- 
                  - 315 : : 2013/12/21(土) 21:21:29
 司会「続きまして、赤コーナー!!前回参加は予選敗退!!
 そこから、崖から突き落とされた子ライオンのごとく這い上がって来た超新星(スーパーノヴァ)!!」
 司会「レオ・ア~~~~~~~~~二~~~~~~~~~~っっっっっっっっっ!!!!!!!!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 アニ(そういうフルネームで登録されてたんだ…)
 客「俺、レオちゃんのファンになっちまったぜ~~~~~~!!!!」
 客「試合終わったらサインくれ~~~~~~~~!!!!!!」
 客「( ゚∀゚)o彡゚おっぱい!!おっぱい!!」
 ニーア「死ねっ!!!!」
 司会「観客への暴言はお控えください」
 アニ(心中察するよ、ニーア…)
 
- 
                  - 316 : : 2013/12/21(土) 21:25:31
 司会「それでは、只今より決勝戦のルールを説明いたします。
 試合に使われるのは、こちらのコーナーロープが張られたリングになります」
 司会「両選手には3分10ラウンド、このリング内で戦ってもらいます」
 司会「KOの条件ですが、同一ラウンド内に3度ダウンを取られる、ダウン後10カウントを取られる、
 レフェリーストップ、セコンドによるタオルの投げ入れ、これらのうちの1つとなります」
 司会「10ラウンドを終えて、どちらもKOされていない場合は、5人の審判団による判定で勝敗を決します」
 アニ「ちょっと、ほぼ完全にボクシングのルールじゃないか。汚いよ、ニーア」
 ニーア「決勝のルールは当日まで誰も知らないんだって。それに、どうせあんたは
 正式には何の格闘技もやってないんだから、どんなルールでも一緒でしょ?」
 アニ「…まぁ、いいけどさ」
 
- 
                  - 317 : : 2013/12/21(土) 21:29:47
 ニーア「それにしても、セコンドなんて、私達にはいないんだけど?どうすればいいの?」
 ウンショウ「それについては問題ない」
 アニ「師範…!」
 テンカイ「弟子たちの晴れ舞台、わしらがセコンドを務めよう」
 ニーア「師匠、どうしてここに…!?」
 ラエイ「私が呼んだのだ。師範とテンカイさんは古くからの親友でね。その弟子同士が、さらに親友同士。
 これほど数奇な巡り合わせはないだろう?」
 テンカイ「粋な計らい、感謝する。ニーア、お前の実力のすべてを出し切り、頂点を極めてくれ」
 ウンショウ「残念ながら、それは無理じゃ。優勝するのは、アニじゃからな」
 アニ「…」
 ニーア「…」
 司会「なんと、お二人は親友同士でしたか。なおさら、面白い勝負になりそうです!!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 
- 
                  - 318 : : 2013/12/21(土) 21:34:18
 ニーア「思えば、あんたと最初に会ったのは、この上、トロスト区の裏通りだったね」
 アニ「思い出したくもないね。あんたに一撃で沈められたのは、最大の屈辱だよ」
 ニーア「あのころに比べたら、強くなったよねぇ。あんたも、私も…」
 アニ「偉そうなことばっかり言ってたよ、あんたは。結局、どっちもただの世間知らずだったわけだけど」
 ニーア「…その二人が、こうして壁内の頂点を競う場の、決勝まで来れた。これってすごいことじゃない?」
 アニ「…そうだね。思いもしてなかったよ。そして、数十分後には、どちらかがこの場に立っている」
 ニーア「どっちだろうね…。楽しみで仕方ないよ…」
 アニ「…さぁ、始めようか」
 ニーア「…最高のショータイムを」
 
- 
                  - 319 : : 2013/12/21(土) 21:39:26
 司会「お二人の準備が整ったようなので、いよいよ試合を始めさせていただきたいと思います!!」
 司会「今回も様々な戦いを生んできた今大会!!今現在、リングの上に残っているのは、この二人!!」
 司会「悔いを残すことなく、思う存分戦い尽くしていただきましょう!!それでは第1ラウンド、用意…」
 ニーア(…先手必勝、電光石火!)
 アニ(来るなら、来い…)
 司会「…始めっ!!!!!」カーンッ!!
 
- 
                  - 320 : : 2013/12/21(土) 21:42:55
 アニ「居合きゃk…」
 ニーア「遅い」ヒュッ!
 アニ「!?」
 アニ(一瞬で懐に!?マズいっ!!)
 ニーア「1インチ・インパクト!」スッ!
 アニ「ぐっ…!!」ゴッ!
 ニーア「ショートレンジ・ワンツージャブ!」ビュビュッ!
 アニ「うっ…!!」バシバシッ!
 アニ(なんて速いコンビネーション!!防ぐ暇がないっ!!)
 ニーア「ミドルレンジ・スイングフック!」ブンッ!
 アニ「がぁっ…!!」ドゴッ!!
 ニーア「ロングレンジ・ブレイクダウン!!」ゴッ!!
 アニ「ぐ…あぁぁっ!!!」ドゴォッ!!!
 アニ「」ドサッ!!
 
- 
                  - 321 : : 2013/12/21(土) 21:47:15
 司会「あぁっと!!レオ選手、ニーア選手の猛烈なコンビネーションパンチの前に、開始早々ダウンです!!」
 アニ(…効いたね。密着した状態から、徐々にリーチを伸ばしていくコンビネーションパンチ。
 一つ一つの動作がコンパクトで、防御や回避の隙を与えない、厄介な技だね…)
 レフェリー「ワーン!ツー!スリー…」
 アニ「」スッ
 司会「立った!立ちました!!試合続行です!!」
 ニーア「どう、効いた?」
 アニ「…全然。これなら、月一恒例イベントの痛みのほうがキツいね」
 ニーア「強がっちゃって。まだまだ行くよ」
 アニ(…私は、向こうの手の内をほとんど知らない。このラウンドは、あと2度ダウンを取られたら負けてしまうけど、
 リスクを冒してでも、ここは…)
 
- 
                  - 322 : : 2013/12/21(土) 21:51:26
 アニ「…」
 ニーア「…何それ?殴ってくださいって言ってるの?」
 アニ「…どうだかね」
 ニーア「…じゃあ、お言葉に甘えて」
 アニ(…来いっ!!)
 ニーア「…はぁっ!!」ヒュッ!
 パシンッ!!
 ニーア「!?」
 アニ「…」コオォォォォォォ…
 ニーア「あぶなっ!!居合脚発動させてたの!?気付かずにこのまま突っ込んだら、餌食になるところだった…」
 
- 
                  - 323 : : 2013/12/21(土) 21:55:19
 アニ「…さすがにだまし討ちは効かないか」
 ニーア「そんなせこいマネしてないで、そっちからもかかって…」ガクンッ!
 ニーア「!?」
 アニ「受けるばかりじゃないさ。しっかり、あんたの脚に一撃お見舞いしといたんだよ。
 ボクサーに置いて大事なのは、脚だって言ってたよね…?」
 ニーア「あんた、ねぇ…」グラァ
 ニーア「」ダラーン…
 司会「ニーア選手、コーナーロープにもたれかかって何とかダウンを免れている!!
 だがしかし、脚へのダメージは大きそうだ!!」
 ニーア(ちっ!!あの、何とか一交じゃなくて助かった…。少し待てば、ある程度回復できそうだ…)
 
- 
                  - 324 : : 2013/12/21(土) 21:59:13
 アニ「悪いけど、待ってるヒマはないんでね。行かせてもらうよ!!」ダッ!
 ニーア「…マジ!?ちょっ、タンマ!!」
 アニ「待つ訳ないでしょ。こんなチャンス逃すバカはいないよ!」
 ニーア「…っ!」
 アニ(クリスタルブレ…)
 ニーア「」ミヨーン…
 アニ(ニーアの奴、コーナーロープに肘をひっかけて、何を…?)
 ラエイ「ニーアとやらは、一体何を?ただもたれ掛っているだけにしては、異様に肘が沈んでいるような…?」
 ウンショウ「いかん、アニ、離れろっ!!!」
 アニ「!?」
 ニーア「…遅い。かかったね」ビヨーン
 
- 
                  - 325 : : 2013/12/21(土) 22:03:27
 テンカイ「…やれ、ニーア」
 ニーア「ライジング・アッパー!!!!!」ビュッ!!
 アニ(回避が間にあわ…)
 アニ「!!」ドッゴォォォォッ!!!!!
 ウンショウ「アニっ!!」
 ラエイ「肘をロープに引っ掛けて、ロープの反発力に乗せてアッパーを放ったのか!!」
 アニ「」ドサッ!!
 司会「強烈なアッパーがさく裂!!アニ選手、回避する間もなくまともに受けてしまった!!
 二度目のダウンです!!!」
 アニ(…何て一撃だい。意識が飛びそうだ…。このままじゃ、負ける…)
 
- 
                  - 327 : : 2013/12/21(土) 22:08:05
- 
 レフェリー「ワーン、ツー、スリー…」
 
 ニーア「…ふぅ、思ったよりうまくいったな。アニの奴、チャンスだと思って警戒心が足りなかったね。
 脚もだいぶ回復してきたし、ここで立ち上がったとしても、そろそろ決めちゃうよ」
 
 
 
 レフェリー「シーックス、セブン…」
 
 ウンショウ「立て!!立つんじゃ、アニ!!」
 
 
 
 アニ「…」ググ…
 
 
 
 ラエイ「予想以上のダメージですね。立てますでしょうか…」
 
 ウンショウ「立つんじゃ!!気合いじゃ!!」
 
 レフェリー「ナイン…」
 
 
 
 
 
 アニ「」スクッ…
 
 司会「立ち上がりました!!あの一撃を受けてなお、闘志は折れていなかった!!再開ですっ!!」
 
- 
                  - 328 : : 2013/12/21(土) 22:12:17
 ニーア「ずいぶん復活に時間がかかったね。もう終わりかと思ったよ」
 アニ「時間ぎりぎりまで休むのは、常套手段でしょ?おかげで、少しはマシになったよ」
 ニーア「1ラウンド目からその手に頼ってるようじゃ、勝ち目は到底薄いんじゃない?」
 アニ「何だっていいさ。どんだけ打ち込まれようが、最後にリングに立っていた奴が勝者さ」
 ニーア「ごもっともで…!」ダッ!
 アニ(…おそらく、どうあがいてもこのラウンドはニーアにポイントが入るね)
 アニ(それなら、このラウンドを落としてでも、相手の動きを観察する方に重点を置かないと…)
 
- 
                  - 329 : : 2013/12/21(土) 22:16:16
 アニ「」ジッ…
 ニーア「…急におとなしくなったね。来ないなら、遠慮しないよっ!!」タンタンッ!
 アニ(…あのリズムのフットワーク…)
 ニーア「はっ!!」ブンッ!
 アニ「くっ!!」ヒュッ!
 ニーア「それっ!!」ブンッ!
 アニ「ふっ!!」ヒョイッ!
 ニーア「…しぶといね。でも、これはさすがにかわせないでしょ?」
 アニ「何を…!?」
 ニーア「」タタンッ…!
 アニ(リズムが変わった…!?)
 
- 
                  - 330 : : 2013/12/21(土) 22:19:13
 ニーア「それっ!!」ビュッ!
 アニ「しまっ…」
 ゴオォッ!!
 アニ「…っ!」
 アニ(何、今の!?ヒットする瞬間、予想以上に衝撃が…!!)
 ラエイ「あれは…」
 ウンショウ「…拳が命中する瞬間、内側にひねり込んで回転を加えておる。あの技も習得しておったとは」
 ラエイ「コークスクリュー・ブローですか…」
 
- 
                  - 331 : : 2013/12/21(土) 22:22:17
 ニーア「普通にパンチを当てるよりも、ひねりを加えることでより、破壊力をアップさせる。
 さらに、捻りに加えて私自身が回転することで、より威力が上がるよ…!!」スッ…
 アニ(しゃがみこんで、何を…!?)
 ニーア「二回転半・右舷(ダブルアクセル・ステュアボード)!!」ギュルッ!!
 アニ「速っ…」
 ドゴォォッ!!!
 アニ「がっ…!!」
 ラエイ「拳の回転と、自信が回転することによって、二回転以上のひねりを加えた!?」
 ウンショウ「構えてから、インパクトまでの時間が非常に短い。あれでは、回避はほぼ不可能じゃ」
 
- 
                  - 332 : : 2013/12/21(土) 22:25:24
 ニーア「もういっちょ…」スッ…
 ニーア「三回転半・左舷(トリプルアクセル・ハッフェンサイト)!!」ギュルルッ!!
 アニ「」ドッゴォォォッ!!
 アニ(マズい…さすがにもう駄目かも…)
 ラエイ「今度は左!!しかも、3回転を超えた!!」
 ウンショウ「あの様子…。まだ『余力』がありそうじゃな…」
 アニ「」フラァ…
 ニーア「さすがに限界みたいだね。とどめを…」ダッ!
 
- 
                  - 333 : : 2013/12/21(土) 22:30:16
 ニーア「…バイバイ、アニっ!!」ビュッ!
 アニ「…!!」カッ!
 アニ(まだだっ!!喰らいな、『居合脚』!!)ビュッ!!
 ニーア「!!」
 ニーア(しまった、カウンター…)
 ドゴォッ!!
 ニーア「…ぐっ!!」
 アニ「…がっ!!」
 カンカンカンッ!!!
 ニーア「」ドサッ!!
 アニ「」ドサッ!!
 司会「あぁっと、両者ダウン!!しかし、その直前にラウンド終了のゴングが鳴り響きました!!
 もう数秒遅ければ、レオ選手は敗退となってしまっていただけに、ゴングに救われた格好です!!」
 
- 
                  - 334 : : 2013/12/21(土) 22:33:27
 ラエイ「アニ、コーナーまで来れるか!?」
 アニ「…何とか…」ズリズリ…
 ウンショウ「ひどいダメージじゃ。よく持ちこたえたの」⊃水
 アニ「」ゴクゴク…
 ウンショウ「…それで、分かったかの?」
 アニ「…ある程度は。これだけ痛めつけられたので、見返りがなくては困りますからね」
 ウンショウ「そうかそうか。次のラウンド、楽しみにしておるぞ?」
 ラエイ「そうだな。君にはまだ、とっておきの技が残っていることだしな」
 アニ「…頃合を見てだと思いますが、隙があれば、いつでも…」
 
- 
                  - 335 : : 2013/12/21(土) 22:36:34
 ニーア「」ゴクゴク…
 テンカイ「どうだ、最後の一撃。左わき腹と、腕にも受けたように見えたが。ダメージの方は…?」
 ニーア「問題ないです…」
 ニーア(…んなわけないし!警戒してなかっただけに、思いっきり喰らっちゃった…。
 迂闊だったなぁ…)ズキズキ
 テンカイ「それと、気付いたか?」
 ニーア「何を…ですか?」
 テンカイ「…いや、分からないのなら、いい。次のラウンドも気を抜くな」
 ニーア「…当然です」
 テンカイ(…端から見れば、さっきのラウンドはニーアが一方的に押しているように見えただろう。だが…)
 
- 
                  - 336 : : 2013/12/21(土) 22:39:22
 レフェリー「セコンド・アウト!!」
 司会「さぁ、間もなく第2ラウンド開始のゴングが…」
 カンッ!!!
 司会「鳴りました!!第2ラウンド、開始です!!」
 ニーア「…」ジー…
 ニーア(最初は不意打ち気味に連続攻撃をかけることができたけど、さすがに今度はそうはいかない)
 ニーア(アニはまだダメージが残ってるだろうし、焦ってこっちから無理に突っ込む必要はない。
 じっくりと行かせてもらうよ…)
 
- 
                  - 337 : : 2013/12/21(土) 22:42:32
 アニ「」ダッ!
 ニーア「え!?ちょっ!!」
 ニーア(まさかいきなり突っ込んでくるの!?まともに動けないはずじゃなかったの!?)
 アニ「…喰らいなっ!!」ブンッ!
 ニーア「くっ!!」
 シーン…
 ニーア「………あれ?」
 テンカイ「フェイントだ!!」
 ニーア「!?」
 アニ「…はっ!!」パシッ!!
 ニーア「あぐっ!!」
 ニーア(しゃがんで私の視界から外れて、足払いにきたっ!?)
 
- 
                  - 338 : : 2013/12/21(土) 22:45:38
 アニ「」スゥ…
 ニーア(バランスがっ!!このままじゃ…)グッ!!
 アニ「クリスタルブレイク・三十六(みそじあまりむつ)!!」ドドドドドドドドドドッ!!!!!
 ニーア「があぁぁぁっ!!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!
 ニーア(なんて蹴り!?骨まで破壊されそう!!ガードの上から、この威力!?)メキメキメキ…
 ラエイ「すごいな…。クリスタルブレイクのような重い技を、三十六発…」
 ウンショウ「密かに特訓しておったようじゃが、大したものじゃ。これは、まだ『上』があるとみていいかの…」
 ニーア「」ドサッ!!
 司会「おっと、ここでニーア選手、初のダウンを取られた!!」
 ニーア(痛ったぁ…。骨は大丈夫そうだけど、さっきのラウンドのカウンターの痛みのせいで、
 ほんの一瞬回避が遅れた…)
 ニーア(少し後ろに跳んだのと、ガードのおかげでまともに入ったのは数発だけど、かなり効くわ…)ミシミシ…
 
- 
                  - 339 : : 2013/12/21(土) 22:48:25
 アニ「…ちっ、7発か。反射神経はピカイチのようだね」
 ニーア(あぁ、そう。まともに入ったのは7発だったんだ。自分じゃ分かんないや…)
 レフェリー「スリー、フォー、ファイブ…」
 ニーア「まだやれるっての…」スクッ…
 司会「立ち上がりました!!試合続行です!!」
 アニ「…少しは私の味わった痛みが分かった?」
 ニーア「うん、よーく分かった。もう二度と味わわないから、覚悟しな!!」タンタンッ…
 
- 
                  - 340 : : 2013/12/21(土) 22:51:26
 ニーア「」タンッ!
 アニ(このリズムには…)
 ニーア「…それっ!!」ビュッ!!
 アニ「…ここっ!!」ブンッ!!
 ニーア「…えっ!?」
 ドゴォッ!!
 ニーア「あぐっ…!!」スタッ!
 ニーア(どうして右方向に跳ぶと分かったの!?まぐれ…!?)
 
- 
                  - 341 : : 2013/12/21(土) 22:54:49
 アニ「…」スゥ…
 ニーア(…うん、きっとまぐれ!!それなら次は)
 ニーア「」タンタンッ…
 ニーア「」タタンッ!
 アニ(今度は…)
 ニーア「…こっちでしたっ!!」ビュッ!!
 アニ「…知ってるよ!!」ヒュッ!!
 ニーア(嘘、また!?)
 ドゴッ!!
 ニーア「いった…」ビリビリ…
 アニ「今度はうまくガードしたね。あんたの頭を狙ってたから、喰らってたらタダじゃ済まなかったよ」
 ニーア「あんた…」
 ニーア(どういうこと!?読まれてるの…!?)
 
- 
                  - 342 : : 2013/12/21(土) 22:57:34
 テンカイ「やはり、な…」
 ラエイ「アニは先ほどのラウンド、相手の動きのリズムを自分に刻み付けていたんですね」
 ウンショウ「いかにも。ダメージは相当の物じゃったろうが、その分、得たものは大きい。
 相手がそのことに気づかんうちに、どこまで攻め込めるかじゃな」
 ニーア(…やっぱり、読まれてるってことでいいんだよね?だとしたら、マズいな)
 テンカイ(ニーアめ、自分のフットワークが、決まったリズムを刻んでいることに気づいていないのか?)
 アニ「…ボケっとしてるヒマがあるとは、随分余裕だね!」ダッ!!
 ニーア「しまった…!!」
 
- 
                  - 343 : : 2013/12/21(土) 23:01:11
 アニ「一交・七十二(いっさ・ななそふた)!!」ビュッ!!
 ニーア「くっ!!」グッ!!
 ニーア(あの貫通技を七十二発!?冗談じゃないって!!)
 ニーア「うぅ…」ドドドドドドドドドドッ…
 ニーア「うあぁぁぁっ!!!!!」ドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!
 ニーア「」ドサッ!!
 司会「おぉっと!!早くもこのラウンド、二度目のダウンだ!!
 先ほどのラウンドと打って変わって、このラウンドはレオ選手が押している!!」
 アニ「…駄目だね」ハァ…
 ラエイ「先ほどの技、ダメージや疲労のせいだと思いますが、20発を超えたあたりから
 本来の威力には程遠い攻撃になっていましたね」
 ウンショウ「うむ。もともと威力を求める技ではないが、後半は明らかに『気』を乗せられていなかったな。
 相手も、見かけほどの大きなダメージは受けてないかもしれん」
 
- 
                  - 344 : : 2013/12/21(土) 23:04:24
 ニーア「はぁ、はぁ…」
 ニーア(…正直、喰らった瞬間は終わったと思ったけど、案外まだやれそうだね。
 ガードも多少効果があったみたいだし、なにより若干技が甘かった…)
 ニーア(まぁ、そうは言っても、結構キツいね、これ。
 ちょっと慎重になるあまり、攻め込まれ過ぎちゃったかな…)
 レフェリー「ツー、スリー、フォー…」
 アニ「…」
 アニ(正直立ち上がってほしくないけど、どうせ立つんでしょ。いつでも来な…)
 レフェリー「セブン、エイト…」
 ニーア(あー、痛い。でも、ここで立たなきゃ、アニに怒られそう…)
 ニーア「」スクッ…
 司会「立ち上がりました!!試合続行です!!」
 
- 
                  - 345 : : 2013/12/21(土) 23:07:14
 ニーア「どういうトリックか知らないけど、こっちの動きが読まれるなら…」
 ニーア「…動かなきゃいいんだ」スッ…
 アニ(あの構えは…?)
 ラエイ「!!」
 ウンショウ「来るぞアニ!!気を付けろ!!」
 アニ「!?」
 パァンッ!!
 アニ「なっ…!?」
 アニ(この距離では、ニーアの攻撃は私には届かないはず!!なのに、今の衝撃は!?)
 パァンッ!!パァンッ!!
 アニ「ぐっ…!!」
 アニ(容赦なく顎を狙ってくる!!喰らったら、脳震盪で一発アウトだね!!)
 
- 
                  - 346 : : 2013/12/21(土) 23:10:31
 ラエイ「あれは…」
 ウンショウ「うむ、間違いなく『居合拳』じゃ。しかも、拳圧を飛ばして、遠距離からアニにパンチを繰り出しておる」
 ラエイ「拳圧を飛ばすとは…。うちの『居合脚』と違って、相当厄介な技ですね…」
 アニ「くっ…」グッ!!
 ニーア「…ガードしても無駄だよ!!」
 パァンッ!!パァンッ!!
 アニ「」バッ!
 アニ(ガードが上げられ…)
 パァンッ!!
 アニ「あっ…」パンッ!!
 ラエイ「マズい、顎に入ったか!?」
 アニ「」ドサッ!!
 司会「今度はレオ選手がダウンだ!!ニーア選手の謎の遠距離攻撃に、なす術がないか!?」
 
- 
                  - 347 : : 2013/12/21(土) 23:13:16
 アニ(…マズい、モロに喰らってしまった。頭がクラクラして……立てるか!?)
 アニ(仮に立ち上がったとしても、あの技をどうやって防ぐか…。カラクリの見当はおおよそついてるんだけど…)
 ニーア「…ふぅ」
 ニーア(あのまま主導権を取られてままじゃ危なかったけど、とりあえずいったん流れをこっちに持ってこれたね)
 ニーア(後は、この技でどれだけ押し切れるか。アニの『アレ』を出されると、たぶん通用しないだろうから…)
 アニ「」スクッ…
 ニーア「あれ、もう立ったの。思ったほど効いてなかったか…」
 
- 
                  - 348 : : 2013/12/21(土) 23:16:40
 アニ「いや、効いたよ。でも、もう喰らわないから…」スッ
 ニーア「…それはどうかな」
 パァンッ!!
 アニ「…」
 ニーア「…へぇ、気付かれたか」
 パァンッ!!パァンッ!!
 アニ「…無駄だよ。もうそれは通用しない」コオォォォォォォ…
 ラエイ「あれは、『居合脚』で『居合拳』を撃ち落している。そう思っていいですね」
 ウンショウ「そうじゃな。しかも、自分の意識を持ったまま『聖域』を発動しておる。
 本人は、そのことに気づいておるんじゃろうか?」
 
- 
                  - 349 : : 2013/12/21(土) 23:20:32
 ニーア「もう少し行けるかと期待してたけど、甘かったか」スッ
 アニ「構えを解いたか。それならこっちもやりやすくなるね…」
 ニーア「何をやりやすくなったのか知らないけど、簡単には近づけさせないよ。もうあんな大技を喰らうのはゴメンだからね」
 アニ「…せいぜい防御頑張りな。できるもんならね…」グググ…
 ニーア(何をする気…?ためを作って、どうしようと…?)
 ラエイ「なるほど、アニの奴、強引に突破する気ですね…」
 ウンショウ「初見では、あれを止めるのはまず不可能じゃ」
 ウンショウ(じゃが、残り時間を考えると、とどめを刺すのは難しいかの。
 中途半端に見せてしまって、対策されてしまうのは、一番避けたいが…)
 
- 
                  - 350 : : 2013/12/21(土) 23:26:02
 アニ「『流星』…」ググッ…!!
 ニーア(…来る!!)
 アニ「『一ツ星』!!!」ギュンッ!!!
 ニーア「えっ!?」
 ニーア(速すぎるっ!!一瞬で私の懐に!?マズい、止め切れないっ!?)
 アニ「飛びなっ!!」ドゴッ!!!!
 ニーア「ぐっ!!!」ガッ!!!
 ラエイ「脚力のすべてを使って地面を蹴り、高速で相手の懐に飛び込んで蹴りをお見舞いする技。
 しかし、あれをすんでのところで受け止めるニーアもまた、素晴らしい反射神経だ」
 アニ&ニーア「…っ!!」グググ…
 アニ(…決めきれなかったか…!)
 ニーア(間一髪…!これをまともに受けたら、立ち上がれる気がしないね!!)
 カンカンカンッ!!!!
 司会「ここでラウンド終了のゴングです!!」
 
- 
                  - 351 : : 2013/12/21(土) 23:30:40
 アニ「…チッ!」スタスタ…
 ニーア「…やるじゃん、あんた」スタスタ…
 ラエイ「アニ、お疲れ。このラウンドは終始押し気味だったな。ポイントは取れたと思うぞ」
 アニ「ありがとうございます。しかし、理想はやはりKOですね。こんなラウンドがいつまでも続く保証はないので」
 ラエイ「そうだな。お前の技も七十二まで行っていたのは驚いた。
 次のラウンドあたり、そろそろ行くのか…?」
 アニ「どうですかね。このラウンドも、動きを読んで優位に立った割には、隙がありませんでしたから。
 相手もまだまだ手の内を隠している風があります。迂闊には飛び込めないかと」
 ラエイ「何にせよ、一筋縄ではいかない相手だというのは分かり切っていたからな。最後まで気を抜くな」
 アニ「はい…」
 
- 
                  - 352 : : 2013/12/21(土) 23:35:59
 テンカイ「ニーア、随分と押されたな。原因は分かっているか?」
 ニーア「…おそらく、リズムを読まれたのかと…」
 テンカイ「自覚があるなら、こちらではもう何も言わん。自分で修正できないような奴だとは思っていないからな」
 ニーア「…次のラウンドでは、ちょっと試したいことがあるんですけど、いいですか?」
 テンカイ「好きにするがよい。お前の戦いだ」
 ニーア「ありがとうございます」
 ニーア(…アニめ、ちょっと脅かしてやるか…)
 
- 
                  - 355 : : 2013/12/22(日) 10:32:02
- 
 司会「そろそろインターバルが終わります。セコンド・アウト」
 
 司会「それでは、第3ラウンド…」
 
 
 
 カーンッ!!
 
 
 
 司会「開始ですっ!!」
 
 ニーア「…さて、こっちから行かせてもらうよ!!」タンタンッ…
 
 
 
 ニーア「」ターンッ!
 
 アニ(あのリズムは、こっちか…!?)バッ!
 
 
 
 
 ニーア「残念…」ダッ!
 
 アニ「逆っ!?」
 
 ニーア「やっぱりリズムで読んでたか。喰らいな…」
 
 
 
 
 ニーア「『3回転半・両舷双開(トリプルアクセル・バイデンスキャンデケル・アインサッツ)』!!!」ビュゥゥゥッ!!!
 
 アニ(コークスクリューかっ!!しかも両腕!!これはっ…!!)
 
- 
                  - 357 : : 2013/12/22(日) 10:37:17
- 
 ニーア「はあぁぁぁぁっ!!!」
 
 アニ「くっ…!」ヒュッ!
 
 アニ(あぶなっ!!ちょっとかすった…!)
 
 
 
 
 ニーア「よくかわしたね。じゃあ、とっておきを見せてあげよう…」
 
 ニーア「『残影(シュプーレン)』…」ヒュッ…
 
 アニ「…なっ!?」
 
 ラエイ「あれは!?」
 
 
 
 
 
 ニーア1「どう?」
 
 ニーア2「驚いた?」
 
 アニ「ニーアが…二人!?」
 
 ラエイ「違う、あれは残像だ!!」
 
 ウンショウ「高速のフットワークを駆使することによって残像を生み出し、あたかも複数人いるように見せておるのじゃ!」
 
- 
                  - 358 : : 2013/12/22(日) 10:41:23
 アニ「…本物はどっちだ…?」キョロキョロ
 ニーア1「あー、迷ってるみたいだね。どっちが本物か」
 ニーア2「もっと迷ってもいいんだよ」
 ニーア1・2「『段階・“3”(フェーイズ・ドライ)』…」ヒュッ
 アニ「…また!」
 ニーア3「こんちは…」
 アニ「…増えたっ!!」
 
- 
                  - 359 : : 2013/12/22(日) 10:45:56
 ニーア1「本物はどれかなっ!!」ヒュッ!
 アニ「くっ…!」ドゴッ!
 ニーア1「こっちだよー」ペンペンッ
 アニ「このっ!!」ブンッ!
 ニーア1「残念…」スゥゥ…
 アニ「…攻撃が通り抜けた。残像か…」
 ニーア2「本物はこっちでし…」
 アニ(右後方のやつか!!ガードを…!!)グッ!
 ニーア3「…たっ!!」ドゴッ!!
 アニ「がっ…!」
 アニ(正面の奴だったか!!)
 
- 
                  - 360 : : 2013/12/22(日) 10:49:17
 ニーア1「ごめんねぇ、どれが本物だか分からないでしょ?」
 アニ「…くっ!」ゼェ、ゼェ…
 ニーア2「だからいっそ…」
 ニーア3「全部本物にしてあげるよ!」
 アニ「はっ!?」
 ニーア1・2・3「『実体化(ベグリーンドン)』…」スゥゥ…
 ニーア1・2・3「…ふふん♪」
 アニ「…何が起きたの?」
 ラエイ「アニ、気を付けろ!!そいつら3人は、もう残像ではない!!」
 
- 
                  - 361 : : 2013/12/22(日) 10:54:32
 アニ「え!?」
 ニーア1「1インチ…」スッ…
 ニーア2「インパクト…」スッ…
 ニーア3「三重奏(トリーオ)…」スッ…
 アニ(しまった、懐に!!1インチを入れられる…!!)
 ニーア1・2・3「はっ!!」グッ!!
 アニ「させるかっ!!」スッ!
 パシン!!パシン!!パシン!!
 ラエイ「どうなった!?」
 ウンショウ「…見事じゃ」
 アニ「…危なかった」
 ニーア1「居合脚で撃ち払ったか。さすがの反射神経だね」
 
- 
                  - 362 : : 2013/12/22(日) 10:58:27
 アニ「さっきので分かった。あんたらは全員…」
 アニ「…実体がある」
 ニーア1「ご名答。まぁ、実体って言うのはちょっと違うけどね」
 ニーア2「聞こえるかな…?」
 アニ「何を…?」
 タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ………
 アニ「…何、この音?」
 ラエイ「その音こそが、実体化の正体だ」
 ウンショウ「脚で地面を高速で叩きながら移動することで、まるで残像に実体を持たせているかのような移動ができる」
 アニ「そんなことが…!?」
 
- 
                  - 363 : : 2013/12/22(日) 11:02:54
 ニーア1「そういうこと。結構これキツいんだよ?」
 ニーア2「持って残り1分くらいってところかな」
 ニーア3「だから、さっさと勝負を付けさせてもらわないとね。行くよっ!!」
 ニーア1・2・3「」ババッ!!
 アニ「来るっ!!」グッ!
 ニーア1・2・3「『全方回転(オールディレクションアクセル)』…」スッ…
 アニ「しまった、囲まれた…!」
 ニーア1・2・3「『風神旋風(ゴッテ・ヴォン・デア・ウィンドセンセーション)』!!!!!」
 ニーア1・2・3「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」ドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!
 アニ「ぐ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」ドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!
 ラエイ「アニの周りを取り囲み、回転しながら全方位攻撃だと!?」
 ウンショウ「その上、コークスクリューと来たもんじゃ。アニは堪らんな…」
 
- 
                  - 365 : : 2013/12/22(日) 11:07:44
- 
 ニーア1・2・3「うらうらうらうらうらうらうらうらっ!!!!!」ドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!
 
 
 
 アニ(このままじゃマズい!!何か策は…!?)
 
 アニ(ニーアは地面を強烈に蹴り叩いて、分身と移動をしている…!!)
 
 アニ(やろうと思えば、私にもできるのか…!?)
 
 アニ(…どうせこのままじゃやられるのを待つだけ!!ならば…!!)
 
 
 
 
 アニ「」ゴォッ…!
 
 
 
 
 ニーア1「何する気!?今更無駄だよっ!!」
 
 ニーア2「これで…」
 
 ニーア3「終わりだっ!!」ブンッ!!
 
 
 
 パシンッ!!
 
 
 
 ニーア1・2・3「!?」
 
 ラエイ「何だ!?」
 
- 
                  - 366 : : 2013/12/22(日) 11:11:37
 ウンショウ「ニーアの攻撃が、一瞬ですべて弾かれたのか?」
 ニーア1「あんた、それ…」
 ニーア2「アニが、三人…!?」
 アニ「…いや、私は一人だよ。勝手に三人に見えてるんでしょ…?」ゴオォッ!!!
 ラエイ「あの姿は…」
 ウンショウ「三面鬼神、阿修羅!!」
 アニ「私はあんたみたいな、高速移動で残像を作るなんてマネはできないからね」
 アニ「その場であんたと同じことをさせてもらったよ。攻撃を防ぐ分には、これで十分さ」
 
- 
                  - 367 : : 2013/12/22(日) 11:15:15
 ニーア1「その場で、私と同じように脚を使って分身したように見せているっての…?」
 ニーア2「それに、さっき防がれた時の感触。あれは…」
 アニ「『居合脚・聖域“鬼神・獅子阿修羅(アニスラ)”』!!」
 ウンショウ「三面同時による居合脚。ニーアの攻撃がいくら凄まじくても、あれなら容易には攻撃が通らん」
 ラエイ「一度見た相手の技を、自分流に応用するとは…。アニめ、とんでもない奴だ…」
 アニ「もう、どの方向から攻めてこようと、私には通らない」
 ニーア1「そのようだね。それに…」
 ニーア2「時間切れだ…」
 ニーア1・2・3「」スゥゥ…
 ニーア「…ふぅ、疲れた」
 アニ「…私も持たないね。想像以上に体力を消費する技だ」スゥゥ…
 
- 
                  - 368 : : 2013/12/22(日) 11:20:22
 ラエイ「二人が元に戻った」
 ウンショウ「多用出来る技ではなかろう。それに…」
 カンカンカンッ!!
 司会「第3ラウンド終了です!!何が起きてるのかさっぱりでしたが、インターバルへ移ります!!」
 ニーア「このラウンドはあまり攻め込めなかったか…」
 アニ(それでも、多く技を受けたのは私のほう。このラウンドは取られたとみるべきか…)
 ラエイ「アニ、お疲れ。さすがにまずいと思ったが、良く切り返した」
 アニ「無我夢中だったので、咄嗟に。やれと言われても、もう一度やれるかどうか」
 ウンショウ「そうじゃな。それに、向こうさんは脚にキているとみていいぞ」
 アニ「脚に?」
 ウンショウ「あれだけの大技を使ったのなら、脚にかかる負担は尋常ではない。次のラウンド、アタマが肝心じゃ」
 アニ「分かりました…」
 
- 
                  - 369 : : 2013/12/22(日) 11:36:38
 ニーア「…っ!」グラッ…
 ニーア(マズいな。ちょっと脚を使いすぎたかも…)
 テンカイ「ニーア、どうだ?」
 ニーア「…行けます。問題ありません」
 テンカイ「…ならいいが」
 ニーア「…」
 ニーア(次のラウンド、最初は様子を見つつ時間を稼ごう。まだ無理するトコじゃないからね…)
 司会「さぁ、間もなくインターバル終了です。それでは、第4ラウンド…」
 カンッ!!
 司会「始めっ!!!」
 
- 
                  - 370 : : 2013/12/22(日) 11:41:30
 アニ「一気に行くよ!!」ダッ!
 ニーア「嘘!?ちょっ、待っ…」ガクンッ!!
 ニーア「!?」
 ニーア(予想以上にキてる!!マズい…!!)
 アニ「その体制なら無防備だねっ!!」グググ…
 アニ「…『流星・星時雨』!!!」ビュッ!!
 ニーア(マズい!!)
 アニ「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ドドドドドドドドドドッ!!!!!!
 ニーア「く…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」ドドドドドドドドドドッ!!!!
 ニーア(連打技…!!あの速度でこんなに撃ち込まれたら、マズい…!!)
 
- 
                  - 371 : : 2013/12/22(日) 11:46:17
 アニ「まだまだ…」
 アニ「『天罡星三十六星(てんこうせいさんじゅうろくせい)』!!!!」ドドドドドドドドドドッ!!!!
 ニーア(また連打…!?)ドドドドドドドドドドッ!!!!
 ラエイ「これは一交と違って、純粋に相手を連続蹴りで追いつめる技。一度捕えられたら、終わるまで逃れられない…」
 ウンショウ「そして…」
 アニ「『地煞星七十二星(ちさつせいしちじゅうにせい)』!!!!」ドドドドドドドドドドドドド
 ニーア(ちょっ…!!まだ続くの…!?もう、限界だって…!!)ドドドドドドドドドドッ!!!!
 ウンショウ「…いよいよじゃな」
 アニ(…私の脚も限界に近付いてきた。ニーアには、どれほど効いてるか分からないけど、そろそろ終わりにするっ!!)
 
- 
                  - 372 : : 2013/12/22(日) 11:50:16
 アニ「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ゴオォォォォォッ!
 ニーア「もう…やめっ…」
 アニ「奥義『極流星・水滸百八星(きょくりゅうせい・すいこひゃくはっせい)』!!!!!!!!!!」
 アニ「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!!!
 ニーア「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!!
 アニ(もう、限界…!!)ミシミシミシ…
 ニーア「あっ…」ヒュゥゥゥゥ…
 ニーア「」ドサッ!
 アニ「…はぁ、はぁ…」ガクン…
 司会「レオ選手のとてつもない猛攻!!いったい何発の蹴りが入ったか、まったく分かりません!!」
 ラエイ「最初のが18発、そして36発、72発、108発。計234発の攻撃でしたが…」
 ウンショウ「アニの疲労も含めて、全てが決定打とはいかんじゃろな。じゃが、それでもダメージは計り知れんぞ」
 ニーア「」
 アニ(…お願い、立つな!!)
 
- 
                  - 374 : : 2013/12/22(日) 11:55:59
- 
 ラエイ「アニの奴、相当体力を消費したようですね。もし相手が立ち上がるようであれば、アニに勝機はないでしょう…」
 
 ウンショウ「…という事は、アニの負けじゃな」
 
 ラエイ「…えっ!?」
 
 アニ「…嘘でしょ!?」
 
 
 
 
 
 
 ニーア「…はぁっ!」スクッ!
 
 司会「立った!!あれだけの猛攻を受けてなお、ニーア選手、執念で立ち上がりました!!!」
 
 
 
 
 
 
 アニ「…何で立てるの…!?」
 
 ニーア「ふーっ、ふーっ…!!」ゼェ、ゼェ…
 
 テンカイ「わが弟子ながら、恐ろしい執念だ。それほどまでに、あいつに負けたくないという事か。素晴らしい」
 
- 
                  - 375 : : 2013/12/22(日) 12:00:38
 アニ「もう、戦える力は…」ガクガク…
 ニーア「もう、私の脚がどうとか言ってられないね…」
 ニーア「…あんたがそんな状態なら、こっちも遠慮なくいくよ…」
 ニーア「…」ググッ…!
 ラエイ「あの構えは…!?」
 ニーア「『流星・一つ星』…」ビュッ!!
 アニ「ちょっ…」
 ドゴッ!!!
 アニ「ぐあぁっ…!!」
 ラエイ「一度見ただけでアニの技を!?しかも、拳で繰り出すとは!!」
 ウンショウ「彼女もフットワークにより、足腰はしっかりと鍛えられておる。相当な脚力が必要な
 アニの技をマネできても、何の不思議もない」
 
- 
                  - 376 : : 2013/12/22(日) 12:05:15
 ニーア「まだ終わらないよ。受けた分は、きっちり返してあげる…」
 ニーア「『天罡星(てんこうせい)』…」
 アニ(そっちも…!?)
 ニーア「『三十六星』!!!!!!」ドドドドドドドドドドッ!!!!!
 アニ「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!!!」ドドドドドドドドドドッ!!!!!
 ニーア「『地煞星(ちさつせい)』…」
 アニ(駄目だ、もう…)
 ニーア「『七十二星』!!!!!!」ドドドドドドドドドドッ!!!!!
 アニ「ぐふっ…あぁっ……」ドドドドドドドドドドッ!!!!!
 ラエイ「アニっ!!」
 ウンショウ「マズいのぉ。このままでは確実に…」
 
- 
                  - 377 : : 2013/12/22(日) 12:10:17
 ニーア「とどめいくよ…」ゴオォォォォォッ!
 ニーア「『極流星(きょくりゅうせい)』…」
 アニ「…うぅ…」
 ニーア「『水滸百八星(すいこひゃくはっせい)』!!!!!!!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!!!
 アニ「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!!!
 ラエイ「…万事休すか…」
 アニ「」ドサッ!
 司会「おぉっと!!レオ選手、自分が繰り出した技をそっくりそのまま、拳で返されてしまった!!
 これではもう立ち上がれないか!?」
 アニ(…ここはどこ?私は今、何をしているの…?)
 アニ(…体が動かない。というか、感覚がない)
 
- 
                  - 378 : : 2013/12/22(日) 12:16:02
 アニ(…私は死んだの?殺された?分からない、今、何が起きて…?)
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 アニ「!?」
 司会「何と立った!!!立ち上がりました!!!こちらもものすごい執念ですっ!!!!!」
 アニ「ここは…」
 ニーア「…あんたも十分バケモノじゃないか…。なんでその状態で立てるかね…?」ゼェ、ゼェ…
 アニ「…そうだ、私はこのリングで…」
 アニ「…がはっ!!」ガクンッ!
 司会「おっと、レオ選手再び膝をついた!!やはりダメージは計り知れなかったか!?」
 アニ(マズい、早く立ち上がらないと!!もう一度あれを喰らったら…!)
 
- 
                  - 380 : : 2013/12/22(日) 12:20:23
- 
 アニ(…あれ?)
 
 
 
 
 ニーア「…もうこのラウンドは無理。動けない…」ガクンッ!
 
 司会「ここでニーア選手も膝をついた!!お互い、技のダメージと反動で動ける状態ではないか!?」
 
 
 
 
 アニ「はぁ、はぁ…」
 
 ニーア「ぜぇ、ぜぇ…」
 
 
 
 
 司会「お互い動きがないまま、時間だけが過ぎていく!!そして…」
 
 
 
 カンカンカンッ!!
 
 
 
 司会「第4ラウンド終了!!お互い、ゴングに助けられた形だ!!」
 
- 
                  - 381 : : 2013/12/22(日) 12:25:16
 ラエイ「アニっ!!戻ってこれるか!?」
 アニ「…すいません、ちょっと厳しいです…」
 テンカイ「ほらニーア、肩を…」ガシッ
 ニーア「面目ないです…」
 ラエイ「次のラウンド、行けそうか?無理はするなよ」
 アニ「…少し休めば、何とか」
 ウンショウ「アニのあれだけの技を喰らっても立ち上がり、且つ、同じ技で対抗してくるとは」
 ウンショウ「先ほどのラウンドで脚を相当消耗していたと思ったが…。あの娘、心底恐れ入ったわい」
 ラエイ「お互いに技を出し合い、喰らい合い、それでも立ち上がる。こんな凄まじい戦いは見たことがありません」
 ウンショウ「それだけに、あのゴングの音が恨めしくて仕方がない。あんなものに邪魔されず、
 お互いに死力を尽くして戦い続けるさまを見てみたいのう…」
 アニ「…そのうち、いずれは…」
 
- 
                  - 382 : : 2013/12/22(日) 12:28:40
 テンカイ「…お前の成長ぶりは、私の想像をはるかに超えるモノであったぞ、ニーア。
 一度見ただけで、あれほど高度な技を再現できるとはな」
 ニーア「…正直、自分でも驚きました。しかし、無我夢中だったので、もうやるしかないと。
 あのまま引き下がれば、待っているのは敗北だけですからね」
 テンカイ「もう、今更止めるようなマネはしない。思う存分、最後まで戦い抜いて来い。
 その先に待つのが勝利だろうが敗北だろうが、きっと後悔はないはずだ」
 ニーア「…大丈夫です、勝利しか待ってませんから…」
 テンカイ「…期待している。行って来い!」
 ニーア「はいっ!!」
 司会「それでは、張り切って参りましょう!!第5ラウンド…」
 アニ「…行ってきます!」
 ニーア「…まだまだ行くよ!」
 司会「開始っ!!」
 アニ&ニーア「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 
- 
                  - 385 : : 2013/12/22(日) 18:34:14
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 アニ「はぁっ!!」ビュッ!!
 ニーア「うあっ!!」ドゴッ!!
 司会「これは…!」
 ニーア「それっ!!」ヒュンッ!!
 アニ「あっ…!!」ゴッ!!
 司会「とてつもない勝負だ…!」
 ラエイ「まさか、ここまで長引くとは…」
 
- 
                  - 386 : : 2013/12/22(日) 18:41:30
 司会「両者一歩も譲らずに進んでまいりましたこの試合、まもなく第9ラウンドが終了しようとしています!!
 お互いにダウンは奪い合うものの、決定打がなかなか生まれません!!」
 司会「すでに体力・気力ともに限界に達しているはず!!しかし、お互いに一歩も引きさがる様子がありません!!」
 司会「何が彼女たちをここまで駆り立てるのか!?この戦いの先に、いったい何が待ち受けているというのでしょうか!?」
 カンカンカンッ!
 司会「今、第9ラウンド終了のゴングが鳴りました!!いよいよ勝負は、最終第10ラウンドへと進みます!!」
 
- 
                  - 388 : : 2013/12/22(日) 18:46:51
- 
 アニ「…ぐっ!」ガクンッ!
 
 ラエイ「アニ!!しっかりしろっ!!」
 
 ウンショウ「よくここまで戦い抜いたのう。あと1ラウンド、3分ですべてが終わるのじゃ。
 どうか持ちこたえてくれ」
 
 アニ「…当然…です……」ガクガク…
 
 アニ(とは言っても、膝が笑ってる…。ニーアの奴、さっさと倒れてよ。
 何度限界を突破して、何度死の淵に立たせれば気が済むのさ…)
 
 
 
 ラエイ「泣いても笑ってもあと1ラウンドだ。最悪、判定になったとしても、お前が不利と判断されたラウンドは
 多くても5つしかないように見えた。ここを取れれば、勝機はある!!」
 
 アニ「…なんであろうと、最後まで立っているつもりです。ここまで来たからには、絶対負けません!」
 
 ラエイ「…その意気だ!!」
 
- 
                  - 390 : : 2013/12/22(日) 18:50:45
 テンカイ「…ニーア」
 ニーア「何も言わないでください。分かっています」
 テンカイ「…」
 ニーア「…私に待っているのは、勝利の二文字のみ。最高のクライマックスを、師匠にお届けします!」
 テンカイ「…楽しみにしている」
 ニーア「…へへっ」
 司会「さぁ、泣いても笑っても、この世紀の一戦はこのラウンドで見納めです!!
 瞬きせず、己の両眼で括目せよ!!!」
 司会「それでは、勝利の女神はどちらに微笑むのか!?レオVSニーア、最終決戦…」
 カーンッ!!
 司会「開始っ!!!」
 
- 
                  - 391 : : 2013/12/22(日) 18:57:18
- 
 ニーア「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ダッ!!
 
 アニ(仕掛けてきたか!!まだあれだけの体力を残しているなんて!!)
 
 
 
 ニーア「奥義…!!」ギュルルルルッ!!
 
 
 
 ニーア「『四回転半・全開速行進(クアドラプルアクセル・マキシマーラー・フォートスクリット)!!!!!』」ギュルルルルルルルルッ!!!!!
 
 アニ「『居合脚“円環・流水”』!!!」スゥゥゥゥゥゥッ…
 
 
 
 
 アニ&ニーア「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 
 
 
 
 ラエイ「ニーアめ、あれがコークスクリューの最終形態か…」
 
 ウンショウ「あの技が『アクセル・インファイター』と言われる所以じゃな。あんなものを受けてしまえば、
 首も意識も一瞬で吹き飛んでしまうじゃろう」
 
 
 
 テンカイ「あれは、究極の円環“流水”か。まだあの娘のは未完成のようだが、
 極めればいかなる攻撃でも流れる水のように往なし、受け流すことができる」
 
 
 
 アニ&ニーア「ぐぅっ…!!」グググググ…
 
 
 
 
 
 アニ&ニーア「…うわあっ!!!」ドサッ!!
 
 
 
 
 
 
 司会「両者、激しい技のぶつかり合いで吹き飛んだ!!」
 
- 
                  - 393 : : 2013/12/22(日) 19:01:10
- 
 アニ「…楽しいね…」ゼェ、ゼェ…
 
 ニーア「…同感だよ…」ハァ、ハァ…
 
 
 
 テンカイ「ニーア!!」
 
 ニーア「!?」
 
 
 
 テンカイ「ここまで来たら致し方ない。『アレ』の使用を許可する」
 
 ニーア「…了解です」
 
 ラエイ「『アレ』とはいったい…?」
 
 アニ「…何する気だい?」
 
 ニーア「…あっと驚くことさ」スッ…
 
 
 
 
 司会「片足を上げた!?まさかあれは、昨日の…!?」
 
 観客「やべぇ、あの姉ちゃん、昨日のアレをやるみたいだ!!みんな、伏せろ!!」
 
 一同「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」バッ!!
 
 
 
 アニ「皆で一斉に、何を…!?」
 
- 
                  - 395 : : 2013/12/22(日) 19:08:15
- 
 ニーア「…行くよ、『巨神の闊歩(デア・スクリット・アインズ・リーズィン)』!!!」
 
 ニーア「」ダーンッ!!!!!!
 
 アニ「!!」
 
 
 
 
 グラグラグラグラグラグラ!!!!!!
 
 
 
 
 観客「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 
 観客「すげぇ揺れだ!!昨日よりやべぇぞ!!!!」
 
 ラエイ「くっ…!!立っていられないっ!!!」
 
 ウンショウ「あの娘、地団太でこれほどの揺れを引き起こすとは!!どんな脚力をしているのじゃ!?」
 
 
 
 ガシャンッ!!ドォォォンッ!!
 
 
 
 司会「ひいぃぃぃぃっ!!!天井からも物が落ちてくるっ!!
 リングが!!会場が!!建物が壊れるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!」
 
- 
                  - 396 : : 2013/12/22(日) 19:12:50
 アニ「…なんて揺れだ!バランスがっ…!!」フラフラッ…
 ラエイ「アニ!!上だっ!!」
 アニ「上っ!?」
 照明「」ヒュゥゥゥゥ…
 アニ(落ちてくる!!避けないと…!!)
 ニーア「そうはさせないよっ!!」ダッ!!
 アニ(ニーア!?この揺れの中で、自由に動けるの!?マズい、二方向同時には対応できないっ!!)
 ウンショウ「このままでは、どちらも喰らってしまうぞ!!」
 ラエイ「アニいぃぃぃぃぃっ!!!!」
 アニ(ならばっ…!)
 
- 
                  - 397 : : 2013/12/22(日) 19:17:00
 アニ「」ターンッ…
 照明「」ガシャーンッ!!
 ラエイ「照明は避けたか!!!だがっ…!!」
 ニーア「苦し紛れに左に跳んだか!じゃあ、私があんたにとどめをっ!!」ヒュッ!!
 アニ(…と、ニーアは私に向かってくる。お互い体力を消費して、この土壇場で大技は出せない)
 アニ(直線の単純な動きに対してなら、この技が今、一番有効…!)スッ!
 ニーア「何をっ!?」ピトッ…
 ニーア「!?」
 ニーア(しまった、これは一交!?油断した!!)
 
- 
                  - 398 : : 2013/12/22(日) 19:22:50
 アニ「これはちょっと違う。あんたの1インチ、それと同じ部類かな。違うのは…」
 アニ「…私のはゼロ距離、『零勁(ぜろけい)』!!!」グッ!!
 ドゴッ!!!
 ニーア「ぐふっ…!!」
 ニーア(ゼロ距離でパンチを!?これほどの威力が出るなんて、いったいどんな修行を!?)
 アニ「…足技以外は使うつもりがなかったんだけどね」
 ラエイ「ニーアの足技、アニの零勁。お互い、自分のプライドを捨ててでも勝ちに行こうとする姿勢。
 本当に、どっちが勝つかまったく分からない!!」
 
- 
                  - 400 : : 2013/12/22(日) 19:27:48
 ニーア「…ぐっ…」ダンッ!
 アニ「持ちこたえたか…」
 ニーア「残り時間も短くなってきたし、そろそろ最後かな…?」
 アニ「そのようだね。楽しかったけど、フィナーレと行こうか…」
 司会「時間も残り30秒余り!!お互いに、『ラスト1発』宣言が出ました!!
 これよりいよいよ、事実上の最終決戦です!!!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 アニ「…はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ゴオォォォォォッ!
 ニーア「…はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ゴオォォォォォッ!
 ラエイ「負けるな、アニ!!」
 ウンショウ「決めるのじゃ!!」
 テンカイ「最後に勝つのは、ニーアだ!!!」
 
- 
                  - 402 : : 2013/12/22(日) 19:32:50
 アニ「『居合脚“動”・極大一交百八星』……」スゥゥッ…
 ニーア「『究極回転・百八星(エクストリマーラアクセル・フンデァート・アハト)』……」スゥゥッ…
 ゴオォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!
 司会「ひいっ!!!すごいオーラで、近付けませんっ!!!」
 レフェリー「くっ!!私も避難したほうがいいな…!!」ダッ!!
 アニ「…『氷晶砕破(クリスタルブレイク)』!!!!!!!!!!」ゴッ!!!!
 ニーア「…『輪廻転生(サムサーラ・アブワンダラング)』!!!!!!!!!!」ゴッ!!!!
 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!!!!!
 アニ&ニーア「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!!!!!
 司会「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!!!!!」
 ラエイ「どうなる!?」
 ウンショウ「…」
 テンカイ「…」
 アニ&ニーア「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」ドドドドドド……
 アニ&ニーア「…はぁっ」ドサッ…
 司会「両者倒れた!!とうとう力尽きたか!?」
 
- 
                  - 404 : : 2013/12/22(日) 19:37:26
- 
 アニ「はぁ、はぁ…」グググ…
 
 ニーア「ぜぇ、ぜぇ…」グググ…
 
 司会「立ち上がる気力も残っていないようです!!そして、ついに……」
 
 
 
 カンカンカンッ!!
 
 
 
 司会「試合終了!!!長きにわたる戦いの行方は、5人の審判団の判定に委ねられました!!」
 
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 
 
 
 
 ニーア「…」
 
 アニ(…最後までやれた。結果はどうであれ、悔いはない)
 
- 
                  - 405 : : 2013/12/22(日) 19:41:13
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ラエイ「お疲れ、アニ。素晴らしい戦いだった。体は大丈夫か?」
 アニ「…大丈夫では…ないですね…。限界を超えてるので…まともに…動かせません…」
 ウンショウ「そうじゃろうな。もうすぐ判定結果が出る。それまでゆっくり休んでおれ」
 アニ「…はい…」
 ニーア「すみません、師匠。最後まで結局決めきれませんでした…」
 テンカイ「気にするな。ポイント的には、五分かそれ以上だろう。負けはないはずだ」
 ニーア「…」
 
- 
                  - 406 : : 2013/12/22(日) 19:45:52
 司会「さぁ、お待たせしました!!いよいよ、判定結果を発表いたします!!」
 尚今回は、10ポイントシステムを採用しております!!」
 司会「採点の方法は、各ラウンドごとに両者に10ポイントが与えられており、そのラウンドで
 優勢だと判断されれば10ポイント、劣勢だと判断されれば9ポイントが与えられます」
 司会「さらに、ダウンの回数やKO寸前のダメージなど、判断によっては8ポイント、7ポイントと減点される場合もあります。
 これらを判断し、審判団には両者のポイントを判定してもらいます」
 司会「5人の審判団の結果をもとに、3人以上の審判から優勢と判断された選手が勝利です」
 司会「待望の結果は、レフェリーが持つあちらの紙に記載されております!!両選手、心の準備はよろしいですか!?」
 アニ(良くてもダメでも発表するんでしょ…?)
 ニーア「…OKだよ」
 
- 
                  - 407 : : 2013/12/22(日) 19:49:07
 司会「それでは発表いたします!!まず、第1審判……」
 レフェリー「…96対94、ニーア!!!」
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 アニ「…ちっ!」
 ニーア「…よし!」
 司会「まずはニーア選手だっ!!僅差ではありますが、先に1人分のポイントを獲得!!」
 
- 
                  - 408 : : 2013/12/22(日) 19:53:22
 司会「さぁ、続いて2人目の結果をお願いします!!」
 レフェリー「…97対94、ニーア!!!」
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 ニーア「…リーチ!!」
 アニ「そんなっ…!」
 ラエイ「うろたえるな。まだお前の負けが決まったわけではない」
 アニ「…はい」
 
- 
                  - 410 : : 2013/12/22(日) 19:57:31
- 
 司会「さぁ、ニーア選手にリーチがかかりました!!レオ選手、ここから巻き返しなるか!?」
 
 
 
 
 レフェリー「…98対93、レオ!!!」
 
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 
 アニ「」ホッ…
 
 ニーア「…まぁ、まだ大丈夫」
 
 
 
 司会「さぁ、ここでレオ選手にもようやくポイントが入りました!!ここから逆転なるか!?」
 
 ウンショウ「5点差か。結構ついたの。ここまで差が開くのも珍しい。
 それほど、どちらが勝ってもおかしくない試合じゃったからな」
 
 アニ「…」
 
- 
                  - 411 : : 2013/12/22(日) 20:01:09
 司会「さぁ、ここで決まるんでしょうか!?4人目の結果は…!?」
 レフェリー「…97対95、レオ!!!」
 一同「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
 アニ「…よし」
 ニーア「…マズいな…」
 司会「ここにきて、レオ選手が同点に追いついた!!会場のボルテージも上がって参りました!!」
 ニーア「…」
 テンカイ「案ずるな。お前は、自分の勝利だけを信じていればよい」
 ニーア「はい…」
 ニーア(…もし、最後の審判の結果があれなら…)
 アニ「…」
 ラエイ「…そんな顔をするな。不安なのは分かるが、それは私達も一緒」
 ウンショウ「わしらもアニと一緒に心中じゃ。心を強く持て」
 アニ「はい…!」
 司会「さぁ、泣いても笑ってもこれが最後!!勝利の女神は一体どちらに微笑むか!?」
 司会「5人目の審判の結果を、お願いします……!!」
 レフェリー「…5人目は…」
 アニ「…」ゴクッ!
 ニーア「…お願いっ!」
 レフェリー「…」
 
- 
                  - 414 : : 2013/12/22(日) 20:09:49
 レフェリー「…95対95、ドロー!!!!!!!!」
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 アニ「同点…!?」
 ニーア「…」
 司会「何と同点!!!歴史的一線の結果は、2対2のドロー!!両者、引き分けです!!!!」
 観客「スゲー試合だったぞ!!」
 観客「感動した!!!」
 観客「歴史に残る試合だったぜ!!」
 
- 
                  - 415 : : 2013/12/22(日) 20:14:58
 司会「今大会は、両者優勝ということで幕を……」
 ニーア「総得点」
 司会「!?」
 アニ「あいつ、何を…?」
 司会「えっと、何でしょうか?」
 ニーア「総得点は私が476、そいつが478。つまり、勝ったのはそいつってこと」
 司会「しかし…。総得点による判定はルール上ありませんが…」
 ニーア「せっかくこれだけ戦ったのに、引き分けなんてスッキリしない終わり方、納得できない。
 それなら黙って、負けたほうがマシだっての!」
 司会「はぁ…」
 
- 
                  - 416 : : 2013/12/22(日) 20:19:01
 アニ「あんた…」
 ニーア「正直、あんたをKOできると思った場面が何度もあったんだけどね。結局、決めきれなかった」
 ニーア「それどころか、あんたに押される場面のほうが多かった気がする」
 ニーア「僅差だったかもしれないけど、気分的には完敗だよ。強くなったね、アニ…」
 アニ「ニーア…」
 テンカイ「おめでとう」
 アニ「!!」
 ラエイ「おめでとう、アニ」
 ウンショウ「おめでとう」
 アニ「師範代、師範…」
 
- 
                  - 418 : : 2013/12/22(日) 20:24:19
- 
 観客「おめでと~~~~~!!!!」
 
 観客「よくやったぞ~~~!!!!」
 
 観客「ニーアちゃんもすごかった~~~~!!!!」
 
 ニーア「ちょっ、私はやめてよ。アニを祝ってあげて」
 
 
 
 
 観客「( ゚∀゚)o彡゚ちっぱい!!ちっぱい!!」
 
 ニーア「死ねっ!!!」
 
 司会「観客への暴言はお控えください」
 
 ニーア「だって!!」
 
 
 
 
 アニ「…気の毒に」
 
 ニーア「あん!?なんか言った!?」
 
 アニ「…別に」
 
- 
                  - 419 : : 2013/12/22(日) 20:26:09
 司会「熾烈を極めた今大会は、レオ選手、もとい、アニ・レオンハート選手の優勝によって幕を閉じました!!!」
 司会「劇的な決勝を演じた両選手に、今一度大きな拍手を!!!!!」
 一同「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 アニ(…終わったんだ。全部…)
 
- 
                  - 426 : : 2013/12/22(日) 20:31:11
- 
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
 
 アニ「お待たせしました」
 
 ラエイ「お帰り。なんだか少し元気になったかな?」
 
 アニ「…いや、特に…」
 
 アニ(バレない程度に再生させてきたとは言えない…)
 
 
 
 ニーア「あー、全身痛い…。賞金の中から治療費請求しないとね~」
 
 アニ「残念、もう使い道は決まってるんだ。あんたには残った分でご飯でも奢ってあげるよ」
 
 ニーア「ふふっ、楽しみにしとくよ」
 
- 
                  - 427 : : 2013/12/22(日) 20:35:37
- >>425
 テンカイに限らず、オッサン共の師匠はお空の星になってるよw
 ウンショウ「それでアニよ、これからお主はどうするのかな?」
 アニ「一週間後、またそちらの道場に伺います。そこで指導料の支払いと…」
 アニ「…ラエイ師範代との、再戦をお願いします」チラッ…
 ウンショウ「ほう…」
 ラエイ「…ふっ、いいだろう。楽しみにしているぞ」
 ニーア「じゃあ、その後は私とね。今度は負けないから!!」
 アニ「えぇ…。あんたとやると死にかけることになるからね…。気が向いたらね」
 ニーア「ちぇっ、何それ。まぁいいけど…」
 アニ「だいたいにして、あんたは…」
 客「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
 アニ&ニーア「!?」
 
- 
                  - 429 : : 2013/12/22(日) 20:38:57
- 
 さつり君「殺戮、殺戮…」ウイィィィンッ
 
 アニ「あのロボットは…!」
 
 
 
 
 客「助けて…!!」
 
 さつり君「さつり…」
 
 
 
 さつり君「…くっ!!!」ドゴッ!!!
 
 客「ぐあっ…!」ドサッ!
 
 ニーア「どうして勝手に動いてるの!?客を襲ってる!?」
 
 
 
 司会「た…!助けてくださいっ!!」
 
 ニーア「一体どうしたの!?」
 
 司会「決勝で会場が揺れたとき、天井から落ちてきた物がさつり君のスイッチに当たってしまい、勝手に起動を…!!」
 
 ニーア「…ゲッ…!」
 
 
 
 
 司会「しかも、『バーサクモード』で起動されてしまいました!!もう誰も止められません!!」
 
- 
                  - 432 : : 2013/12/22(日) 20:47:00
- 
 アニ「いかにもヤバそうなモードだね、それ。どうすればいい?」
 
 司会「本体を破壊するしか、方法はありません!!しかし…」
 
 司会「決勝のみが本日にずれ込んだせいで、会場を訪れている実力者あなた方しかいません!!
 どうか、あのロボットを止めていただけませんか!?」
 
 
 
 ラエイ「…残念だが、昨日の怪我により、私はまともに戦えん。あのロボットを止めるのは無理だ」
 
 ウンショウ「わしも歳でなぁ。さすがにあれは厳しいわい」
 
 アニ「と、なると…」
 
 
 
 ニーア「私らしかいないね。アニ、いっちょやりますか!!」ダッ!
 
 アニ「あ、ちょっ!!」
 
 ラエイ「行ってしまった。あの体で、あのロボットとまともに戦えるとは思えないが…」
 
- 
                  - 433 : : 2013/12/22(日) 20:52:06
 さつり君「殺戮、殺戮…」ウイィィィンッ
 ニーア「悪いけど、おとなしくしてもらうよっ!!」ブンッ!!
 さつり君「」ビュンッ!
 ニーア「嘘っ、速っ!!予選の時の比じゃない!!」
 さつり君「殺戮、殺戮…」ビュオンッ!
 ニーア「やばっ…」ズキッ!!
 ニーア(…戦いのダメージが抜けきってない!!やられるっ!!)
 ドゴッ!!!!
 ニーア「がぁっ…!!」ドサッ!
 ラエイ「ニーアっ!!」
 ウンショウ「やはり彼女の動きがよくない。肉体は限界のはずじゃからな…」
 司会「そんな、どうすれば…」
 
- 
                  - 435 : : 2013/12/22(日) 20:57:04
- 
 アニ「…まったく、しょうがないね…」スタスタ…
 
 ラエイ「アニっ!!無茶だ、お前の体も相当なダメージを!!」
 
 さつり君「殺戮、殺戮…」ブンッ!!
 
 
 
 ドゴッ!!!
 
 
 
 ウンショウ「…なんと」
 
 
 
 
 アニ「」グググ…
 
 さつり君「さ…!?」グググ…
 
 
 
 
 司会「バーサクモードのさつり君の攻撃を、受け止めた!?」
 
 アニ「相手が悪かったね。今の私は、誰にも負ける気はしない…」
 
- 
                  - 436 : : 2013/12/22(日) 21:01:41
 アニ「…よっ!!!」ドゴッ!!
 さつり君「さつっ!!!!」ガシャンッ!!!
 バラバラ…
 さつり君「」キラキラ
 ラエイ「あれは!?ロボットの体内から青白く輝く石…!?」
 司会「あれは、内地でしか手に入らない特殊な鉱石です!」
 ニーア「水晶…?」ゼェ…
 アニ「…あの下に、ロボットの動力が?」
 司会「はい!!あの鉱石を破壊できれば、ロボットを止めることができます!!」
 アニ「なら簡単でいいね…」スタスタ…
 
- 
                  - 437 : : 2013/12/22(日) 21:06:59
 さつり君「さ…つ…」ピピピ…
 ラエイ「なんだ、この音は!?」
 司会「この音は、自爆スイッチが作動しました!!早く破壊しないと、この会場ごと吹き飛びます!!」
 ウンショウ「何じゃと!?」
 司会「制限時間は1分!!それまでに破壊できなければ…」
 ラエイ「最悪の事態か…」
 
- 
                  - 439 : : 2013/12/22(日) 21:12:52
 アニ「…問題ないね。要は、きっちり破壊すればいいんでしょ」スッ…
 司会「できるのですか!?」
 ニーア「ちょっと司会者、あんたさっきの試合で、アニの何を見てたの?」
 ラエイ「…そうだな。今この場で、あのロボットを破壊できるのは、アニしかいないだろう」
 ウンショウ「アニよ、お主に全てを託すぞ」
 アニ「当然です。だって、私がやらなきゃ…」
 司会「お願いします!!あなたがやらないと……!!」
 ウンショウ「お主がやらねば……」
 ラエイ「お前がやらなきゃ……」
 ニーア「アニが…やらなきゃ……」
 アニ「……誰がやるっ!!!!!!」
 さつり君「さ……」ピピピ……
 アニ「…『氷・晶・砕・破(クリスタルブレイク)』!!!!!!!!!!」
 ドッゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 440 : : 2013/12/22(日) 21:18:56
- 
 ~1週間後・訓練兵団施設~
 
 ライナー「あれからもう一週間か。早いもんだな」
 
 ベルトルト「ほんとに優勝しちゃうんだもん。すごいねぇ、アニは」
 
 アニ「…まぁ、一応頑張ったからね」
 
 
 
 ライナー「これからはどうするんだ?さらに技に磨きをかけるのか?」
 
 アニ「いや、これから道場に行って、師範代と再戦する。その後は、私達の使命に集中するよ」
 
 ライナー「そうか…」
 
 ベルトルト「故郷のことを忘れないでいてくれただけでも、うれしいよ」
 
 アニ「忘れるわけないでしょ。一番大事なことだよ」
 
 
 
 ライナー「…」
 
 ベルトルト「…」
 
- 
                  - 441 : : 2013/12/22(日) 21:23:34
 アニ(この数か月、本当にいろいろあった。辛い事のほうが断然多かったけど)
 アニ(それでも、修行に専念しているときは、故郷のことも使命のことも忘れて、本気で打ち込めた)
 アニ(ほんとは忘れちゃいけないんだろうけど、ちょっとくらいはいいでしょ)
 アニ(…)
 アニ(これからは、『戦士』に戻る)
 アニ(いつか故郷に帰れるその日が来ることを信じて、私は、私達は、日々を乗り越えていく…)
 
- 
                  - 443 : : 2013/12/22(日) 21:26:16
 アニ「さて、行こうか。師範代と、決着をつけに…」
 ライナー「…おう!」
 ベルトルト「…うん!」
 アニ「…よし!」ザッ!
 アニ(……私達の戦いは、これからだっ!!!!!)
 アニ「氷・晶・砕・破!アニがやらなきゃ誰がやる!!」・完
 
- 
                  - 445 : : 2013/12/22(日) 21:28:22
- お疲れ様!
 やっぱりオモシロイなぁ~神宮さんのSS
 
- 
                  - 447 : : 2013/12/22(日) 23:07:55
- ザッコォォォォ
 
- 
                  - 448 : : 2013/12/22(日) 23:35:39
- 面白かったです!!!!!
 アニが強すぎる(笑
 ベルトルトとライナーも耐久力だけはついてそう(^◇^;)
 
- 
                  - 450 : : 2014/02/09(日) 16:18:15
- 最高でした!乙です!
 
- 
                  - 451 : : 2014/02/09(日) 22:54:58
- ありがとうございます。
 
- 
                  - 452 : : 2014/03/09(日) 19:08:23
- いい話だった!!!!!!!!!!
 
- 
                  - 453 : : 2014/03/23(日) 19:51:25
- メッチャクチャ面白かった!
 アニかっこいいやん!
 
- 
                  - 454 : : 2014/06/29(日) 07:10:17
- これ、巨大樹の森でエレン終わったでしょwwww
 
- 
                  - 455 : : 2014/07/30(水) 23:02:59
- >>454さん、巨大樹じゃ無くて訓練でもう負けてるから…エレンの勝算はなくなったんや。
 
- 
                  - 456 : : 2014/08/15(金) 21:36:36
- 普段は長いss読まないけどこれは最後まで夢中で読めた……!
 最高におもしろかったっす!最高におもしろかったっす!最高におもしろかったっす!
 
- 
                  - 457 : : 2014/08/25(月) 00:09:01
- これはいつ漫画化するんですか?アニメにもなりますよね?
 
- 
                  - 458 : : 2014/12/13(土) 13:55:14
- 面白かった
 
- 
                  - 459 : : 2014/12/13(土) 14:01:18
- やっぱり何度読み返しても神宮さんのssは飽きないです。
 面白かったです。
 
- 
                  - 460 : : 2015/12/07(月) 23:38:13
- (;; ゚д゚)ポカーン
 
- 
                  - 461 : : 2016/01/07(木) 17:00:11
- 北斗の拳とかに出せるわwww
 
- 
                  - 462 : : 2018/12/25(火) 05:44:43
- 神すぎる!おまけ待ってるよ?
 
- 
                  - 463 : : 2020/10/06(火) 09:07:36
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険 
 http://www.ssnote.net/archives/80410
 恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
 http://www.ssnote.net/archives/86931
 害悪ユーザーカグラ
 http://www.ssnote.net/archives/78041
 害悪ユーザースルメ わたあめ
 http://www.ssnote.net/archives/78042
 害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
 http://www.ssnote.net/archives/80906
 害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
 http://www.ssnote.net/archives/81672
 害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
 http://www.ssnote.net/archives/81774
 害悪ユーザー筋力
 http://www.ssnote.net/archives/84057
 害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
 http://www.ssnote.net/archives/85091
 害悪ユーザー空山
 http://www.ssnote.net/archives/81038
 【キャロル様教団】
 http://www.ssnote.net/archives/86972
 何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
 コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
 http://www.ssnote.net/archives/86986
 http://www.ssnote.net/categories/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA/populars?p=12
 
- 
                  - 464 : : 2023/07/04(火) 09:35:23
- http://www.ssnote.net/archives/90995 
 ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
 http://www.ssnote.net/archives/90991
 http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
 http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
 2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
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 16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
 ちょっと時間あったから3つだけ作った
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 http://www.ssnote.net/archives/90992
 アカウントの譲渡について
 http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654
 36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
 理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな
 22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
 以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。
 46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
 ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね
 52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
 一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑
 89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
 noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ
 
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