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初めての夏祭り【夏花祭】

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  1. 1 : : 2016/07/19(火) 21:31:40
    パンッ パパンッ…


    『ねぇちゃん、ねぇちゃん、綺麗な花火…!』



    『…そうね、綺麗な花火』





    その日見た美しい花火は、私の心を照らしてくれた…。




    ───────────

    ────────

    ────
  2. 2 : : 2016/07/23(土) 21:59:52
    五年前の7月21日、まだ私が中学生の頃だった。授業が終わって帰ろうとした時突然電話が鳴った。


    お母さんからだった。"奏太が大変なの、今すぐ花野病院に来て"私はわかったと一言いえば直ぐ様病院に向かった。


    ─────────────


    花野病院は学校のすぐ近くにあるので直ぐに駆けつけることが出来た。


    警察によると、信号無視で飛び込んできたトラックに轢かれたらしい。勿論トラックの運転手はその後現行犯逮捕された。私は目を疑った。なんで奏太はそんな目に遭わなくちゃいけないの、と。


    奏太がいる部屋にお母さんと一緒に案内してもらっていたが、私は正直”今の”奏太に会いたくなかった。


    「ねぇちゃん、かぁちゃん、心配しなくていいよ。死ななかっただけマシだから…元気だして?」


    元気になれるわけがない。聞いたところ脚がもう動かせない状態らしいじゃないか、どうやってその現実を受け入れろと?
  3. 3 : : 2016/07/31(日) 10:23:00
    ”死ななかっただけマシ”


    確かにその通りかもしれない…。もしあのまま意識不明の状態や、死亡してしまっていたら私はどんな顔をしていただろうか。


    きっと、怒りと悲しみが混じった醜い顔になっていたかもしれない。悲憤していたかもしれない。


    ─────────


    病院から帰った後も、私は部屋に籠りっぱなしでいた。今外に出ればきっと荒寥してしまうだろう、そう思ったからだ。


    お母さんに"奏太のお見舞行こうと思うんだけど、紗織も一緒に行く?"と言われたが勉強するから行かないの二言返して断った。


    ─────────────

    ────────

    ────


    そして今。奏太は無事退院できたものの車椅子生活だったので、私が補助として歩かせていた。


    私が歩かせる度に"いつもねぇちゃんに負担かけさせてごめんね、無理はしなくていいから"と言われるが、私は"大丈夫だから"と言ってなるべく弟に心配掛けさせないようにした。


    ──────────


    とある日、家の近くの道を歩いているときゃっきゃとはしゃいでいる着物を着た小学生くらいの女の子が何かを話していた。あ、そう言えば今日は夏祭りがあったんだっけ。



    「ねぇちゃん」

    「…何?」

    「俺、ねぇちゃんと一緒に夏祭り行ったことないよな?」

    「え、えぇ、そうね…」
  4. 4 : : 2016/07/31(日) 10:47:51
    そう言えば、奏太と一緒に行ったことがない。私も奏太も友達と一緒に行くのが殆どだったから、家族全員…姉弟と2人で行ったことは無かった。


    「……なら、さ。今日行ってみない?」

    「え、いいの?友達とかと約束してるんじゃなかったの?」

    「ううん、今日はひとりで行く予定だったの」

    「なら俺も行きたい!初めての夏祭り!」

    「大袈裟ね、行ったことはあるでしょ?」


    そんな会話を交わしながら歩いていった。


    ……本当は友達と約束していた。でも、本当のことを言えばまた"俺の事は気にしなくていいから"って言って断ってしまう。そんなのはいやだ。
  5. 5 : : 2016/07/31(日) 13:43:29
    きちんと友達に事情を話してから、私と奏太は夏祭りが開催されている場所へと向かった。


    さすが祭りといったところか、屋台などがいっぱい置かれてある。丁度お金も持ってきてるし、奏太やお母さんにも色々買っておこう。


    「まず、どこに行きたい?」

    「ねぇちゃんが決めていいよ。俺、ねぇちゃんが行くところなら何でもいい!」

    「あ、えっと…じゃあ何か食べようか?」

    「うん!」


    フランクフルト、クレープ、焼き鳥…色んなものを買っては2人で味わって食べた。


    「結構美味しいね、このクレープ…」

    「うん、美味しい…。技術だけじゃない、愛情までこもってる」


    私は唖然とした。まさか奏太の口から愛情という言葉が出るなんて。元々遠慮しがちで自分の気持ちを表に出さない奏太がそんな言葉を発するなんて初めてだ。
  6. 6 : : 2016/08/05(金) 12:12:29
    ───────────

    「そろそろ時間だよね…お母さんも心配するだろうし、帰ろうか」


    私がそう言って帰ろうとした時、


    「俺さ、ずっとねぇちゃんと一緒に花火見たかったんだ。だから…それまで一緒にいてくれないかな?」

    「私はいいんだけど、お母さんも心配するだろう…」


    本当は弟の願いを叶えてやりたかった。でも、お母さんに電話しても断られるだけだし…。どうしよう。


    「い、一応お母さんに電話してみるね」

    「……なんか、ごめん。俺またねぇちゃんとかぁちゃんに迷惑かけた」

    「ううん、迷惑だなんてとんでもない。寧ろ嬉しいんだよ」


    そう言って私は母さんに電話をかけた。
  7. 7 : : 2016/08/06(土) 17:42:22
    何とか交渉して、母さんにOKを貰った。


    「お母さんにOK貰ったよ」

    「ほんとに!?やったー!」


    こんなに喜ぶ奏太は久しぶりに見た気がする。私は心の底から嬉しかった。


    ─────────



    日は暮れて、花火大会が始まった。


    「ねぇちゃん、ねぇちゃん、綺麗な花火…」

    「……そうね、綺麗な花火」



    空にあがっている花火を弟とふたりでずっと見つめていた。


    まるで、私と奏太の心を照らしてくれているように…



    End
  8. 8 : : 2016/08/06(土) 18:20:01
    執筆お疲れ様です!
    とても美しい表現・内容で惹きつけられました!素敵な作品を読ませていただきありがとうございました!
  9. 9 : : 2016/08/07(日) 07:04:05
    >>8
    素敵なコメント誠にありがとうございます。期間に間に合わなくてめちゃくちゃ後悔してます(土下寝)
  10. 10 : : 2016/08/22(月) 11:45:28
    お疲れ様でした。
    感動しました。すごく良かったです。
  11. 11 : : 2016/08/22(月) 18:36:15
    >>10
    有難う御座います。マジで嬉しいです

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ginmueat312

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