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  1. 1 : : 2016/05/24(火) 16:57:52



    勇者。





    人を救い正しき道へと誘う存在とされるもの。






    魔物を倒し、魔物の王、魔王を倒す存在である。








    そんな勇者は今地獄よりも険しい道を進もうとしている。








    目の前には数百万はいるであろう魔物の群れ。







    そこへ勇者は1人立ち向かおうとしている。







  2. 2 : : 2016/05/24(火) 17:12:33


    彼は嫌われていたわけではない。




    むしろ国の者全てに愛される存在であった。




    そんな彼が1人で立ち向かう理由は











    『誰1人死なせないためである』











    国には数十万の兵士がいる。






    確かに魔物より少ない。そして被害が大きいであろう。しかし勝つためには必要な戦力でもある。




    だが、勇者は拒んだ。国の兵士と戦うことを。





    彼はこう言った。




    「僕は勇者だ。数百万の魔物ぐらい1人で倒せます。だから大丈夫です。」





    まだ成人にも達していない少年。そんな少年は国のだけではなく兵士の命までを背負ったのだ。





    それが“勇者”だと言う人もいるだろう。





    勇者の一族は身体能力が高い。どんな兵士よりも力が強く動きが早く魔法でさえも使える。





    それが高いだけで優れているわけではなかった。




    ただ並の兵士より魔法が使え身体能力が高いだけの存在である。






    勇者「…はぁ。なんであんなに多いんだよ」




    今にも逃げ出したい気持ちだった。






    勇者「でも僕は……」






    『勇者だから』





    なりたくてなったわけでもない。




    ただ生みの親が勇者だっただけの話だ。





    自分が勇者だと言い聞かせるだけで強くなれる気がした。

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