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緑眼のジェラシー

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  1. 1 : : 2016/05/14(土) 01:37:06
    嫉妬とは醜いものだ

    私はそれを糧に生きている

    幾人の人生を嫉妬に狂わせたか

    今となってはもう覚えていない

    思い出すこともできない

    そんな私が妬ましい


    ーーーーーーーーーー
    新参ですが頑張りますよー。
    パルあやでいこうかと。
    珍しい組み合わせかな?
    まぁ、一日一回更新を目標に頑張りますよ!
    ではよろしく
    ーーーーーーーーーー


    その日、博麗神社ではいつもより少し早く宴が催されていた。
    幻想郷のあらゆる妖怪達が集まる大宴会だ。
    また、いつもと違うのは始まる時間だけではない。
    旧地獄からも妖怪や鬼が招待されたのだ。
    その中に私、水橋パルスィも含まれていた。

    当然だが、私の周りには誰もいない。
    予想はしていた。こんな嫉妬深い面倒な女の元に誰が寄るか。

    酒にものを言わせすぐに周囲と打ち解けた星熊勇儀が妬ましい。
    妖精や河童と話が合って部屋の隅で盛り上がっているキスメが妬ましい。
    健康にさえ気をつければと可愛がられる黒谷ヤマメが妬ましい。

    同じ旧地獄の住人ながら、皆が妬ましい。

    どうせ私は

    沈み行く夕日に向かい一人酒を呑んだ。


    「何スカしてるんですか?」

    突如背後より現れた天狗に仰天した私は酒を少々こぼした。

    「『ほっとけボケナス』みたいな顔してますねぇ」

    天狗は許可無く私のひねくれ曲がった顔を激写した

    「ちょっと違うわね。『ほっとけボケ天狗』よ」

    「たいして変わりませんよ。そんなことよりパルスィさん、ひとりでどうしたのですか?皆さんと呑まないのですか?」

    お決まりのパターンだ。
    ひとりで何してる?
    気にかけてるふりして何の中身もないいらん心配だ。

    「どうせ私なんか相手にして貰えないのよ」

    「そんなこと無いですよ!ほら、勇儀さんだって、もうあんなに仲良くなって!あやや?萃香さんと一気飲み対決ですか!」

    「……行ってくれば?」

    「え?私は呑みませんから」

    なんで私に構う。さっさと退け。
    あ、そうか。私が退ければいいんだ。
    邪魔者の私なんか。

    「私は帰るよ」

    「え?ダメですよー」

    「帰ろうが何しようが私の勝手でしょ」

    「そんなぁー……」
  2. 2 : : 2016/05/14(土) 15:42:50
    私はあまりに妬ましさが抑えられない時は夜雀の営業してる焼き鳥屋でヤケ呑みするのが最近のマイブームだ。

    あそこの焼き鳥嫉妬するほどは旨い。
    材料は不明だが特製のタレで味付けした肉を炭火のグリルでじっくり焼くのだ。
    思い浮かべただけで唾液が出る。

    「あー、パルスィさん行っちゃった」

    「あれ?パルスィ帰ったの?」

    「霊夢さん。なんかあんまり馴染めなかったみたいで」

    「うーん、話してみたかったんだけどなー」

    「おい、霊夢にしては珍しいじゃないか。あの皮肉屋の賽銭巫女が」

    「魔理沙!」

    はははは……

    「霊夢さん、写真は集まったんで私もう帰りますね!」

    「おいブン屋!呑んでけよ!私の酒が呑めないとは言わさないぜ!」

    「無理言わないでくださいよ魔理沙さん。私これから明日の新聞記事書かなきゃなんですよ。」

    「あぁ、あんなもん窓拭きにしか使わねえから安心しろ」

    「もう!魔理沙さんったら!じゃあ、私はお先に!」

    「こらーっ!呑んでけー!」
  3. 3 : : 2016/05/14(土) 17:03:11
    期待です(ミスティアって八つ目うなぎじゃ・・・)
  4. 4 : : 2016/05/14(土) 17:36:21
    一日一回更新とか言ってましたがなんか指が勝手に動くんで書いてきます
    期待ありです!


    着いた。夜雀の焼き鳥屋の屋台だ。あたりに香ばしい香りが漂う。
    「いらっしゃー。あ、パルスィさん」

    「ササミください。ビールも。」

    「はいよー」

    冷えたジョッキにビールが並々と注がれた。
    ササミが焼けるまで少しの辛抱だ。

    まったく、私はいつからこう、嫉妬深かったのだろうか?
    やっぱり生まれつきなのか。
    治るものではないだろう。
    なにせ人の嫉妬心によって私は生かされているのだから。

    「マスター!ビールとササミー!」

    「!?」

    「あやちゃんいらっしゃ!」

    天狗?なんで?

    「あやや、パルスィさん。こんなところで独り酒ですか?」

    余計なお世話だ。まさかついてきた?

    「『ついてきた?』みたいな顔してますねぇ」

    「ええ。こんどは当たりよ。尾行なんて悪趣味な」

    「いえいえ、決してそんなことは。この清く正しい射命丸はそんなことしません」

    「じゃあなんでここが分かったのよ」

    そこへ夜雀が口を挟む。

    「あやちゃんうちのじょうれんさんなんだ!いつもお金たくさんおとしてってくれるんだ!」

    「そ、そう」

    「味に間違いはありませんからね!」
  5. 5 : : 2016/05/15(日) 14:58:01
    今日はあんまり指が動かないなあ


    ……で、なんで私は天狗と酒を呑んでいるんだ

    「あ゛ーっ!どいつもこいつも妬ましい!」

    「よく言った!よく言ったぞパルスィ!」

    日頃の鬱憤を晴らしたら何故か意気投合した。彼女の寛容さにまた嫉妬してしまう。

    また面倒なことに酒が入ると体が制御できない。だから私は人と呑むのが好きじゃない。
    こころに潜めていた気持ちや想いを、意識せずに口走ってしまうのが最も嫌だ。

    「まったく私は……どうしてこう、嫉妬深いんだろぉ……もう、やんなっちゃうわぁ……」

    「……パルスィ……」


    射命丸との晩酌は徹夜で繰り広げられた。
    店長の夜雀も交え、解散は夜明け頃だった

    「あぁー……のみすぎたわぁ」

    「あのぉ……パルスィさん、私仕事があるんで早く帰りたいんですけど…」

    「ぶんぶぅん…よってないのかぁ?さけにつよいとかねたましいぞぉ……」

    「あぁ、寝ちゃった。無理するから…ミスチー、つけといて!」

    「はいよぉ。おそまつさん」
  6. 6 : : 2016/05/15(日) 21:12:34
    あれ?
    みすちーの店ってヤツメウナギ屋さん?
    間違ってたらすみませんm(_ _)m
    焼き鳥って妹紅でしたっけ?
    あれ、みすちー=焼き鳥屋ってどこでそんなイメージ持ったんだろ
  7. 7 : : 2016/05/15(日) 23:44:52
    もこたんは竹墨です、たぶんみすちーが狩り人(ゆゆ様)に狩られて焼かれたじゃないですか?期待!
  8. 8 : : 2016/05/16(月) 19:22:05
    だんだん短くなっていく……
    皆さんすみませんm(_ _)m


    目が覚めると、自宅のソファに寝ていた。
    何も覚えていないが、射命丸が送ってくれたのだそうだ。迷惑をかけた。
    その私に無い親切さにまた嫉妬した。

    意識が定まらない。頭がガンガンする。
    流石に調子に乗って呑みすぎたかな。

    静かだな。
    夜雀の声も天狗の声もしない。

    独りを寂しいと思ったのは久しぶりだな。

    もう一眠りしようか。



    「ふぅー、できた。」

    幻想郷に配って回る文々。新聞が全部数刷れた。
    あとは配りに行くだけだ。

    「配るのは明日でいいかな」

    パルスィを送って、それから休みなくずっと働いていたので、いつの間にか酔いも覚め、疲労困憊である。

    「早いうちに寝て、明日朝一で配達しよっと」

    そう呟いて天狗は寝息をたてた。
  9. 9 : : 2016/05/18(水) 00:46:48
    もたもたしてたら日付が変わってしまった


    「……おーい……起きなって……」

    誰だ私の安らかな眠りを妨げるものは。
    誰であっても容赦しないぞ。

    「起きてよ。もう午後2時だよ」

    え?

    「あやややっ!?もうそんな時間!?」

    「どんな夢見てたのよ。全部聞こえてたって」

    「パ、パルスィさん?どうして私の家が?」

    「霊夢に聞いたら教えてくれたのよ」


    ーー2時間ほど前、博麗神社にて

    「あのー、霊夢さん」

    「あれ、橋姫。珍しいじゃないの。なんか用?」

    「射命丸さんのお家って、どこだかご存知ですか?」

    「あぁ、あのブン屋の家ならあっちよ」


    ーーー

    「……って訳。あの巫女なんでも知ってて妬ましいわ」

    「よくそれで分かりましたね…」

    なんともなさそうで良かった。
    昨日の晩はぐでんぐでんだったからどうかしたらどうしようとか心配しちゃったけど。
  10. 10 : : 2016/05/19(木) 00:03:44
    今日から引越しで忙しくなるので、更新遅くなります。
    すみませんm(_ _)m
  11. 11 : : 2016/05/19(木) 20:46:59
    引越しに加え定期テスト…うわぁあ余裕が無い\(^o^)/


    「それより、綺麗な書斎ね」

    「えぇ、仕事場はしっかりしてた方がいいですからね!」

    あれ?妬ましいとか言わないのかな

    そういえば、パルスィが昨日の夜に言ってた

    『まったく私は……どうしてこう、嫉妬深いんだろぉ……もう、やんなっちゃうわぁ……』

    ってどういう意味だろう
    変わりたいのかな?嫉妬深いのは嫌なのかな?
  12. 12 : : 2016/05/26(木) 17:17:34
    テスト勉強の合間に久しぶりの更新です。
    これからもう少し早めに更新していけるかなと思います。


    言えない。
    私が、何故天狗の家に来たかなど。

    寂しいから、人恋しいから……天狗に会いたくて、来たなど、死んでも言えない。

    「どうかしました?怖い顔して」

    私は嫉妬の妖怪。
    だけど、ここ最近の嫉妬が、全て口先だけのものになってるのは何故だろう?

    「おーい!パルスィ!」

    「あっ、ごめんごめん」

    いつの間にか、名前で呼び合う仲になって

    「まったくもう、どうしたんですか?」

    「いやね、ちょっとお腹が減っちゃって…えへへ」

    こう、なんというか気を使い合うような関係じゃなくなっていった

    「なんだ、そんなことでしたか。でしたら私が何か作ってあげますよ!」

    「それは楽しみだなぁ…」

    でも、これを特別な感情だと思ってるのは、私だけなんだろうな

    「…文」

    「うふ、呼び捨て。はい?どうしました?」

    「あなたにとって、私はどんな存在なの?」

    彼女は笑って言った

    「大切なお友達です!」
  13. 13 : : 2016/05/28(土) 21:36:26
    パルスィ可愛いな~

    期待です
  14. 14 : : 2016/05/29(日) 03:53:44
    こんなに日が空いても読んでくれる方がいるとは……感激です
    期待ありがとうございます


    「暇だ」

    天狗の家に行った日から実に3日ほどたった。

    その日帰宅途中に突如雨が降り、たまたまあった洞穴に逃げ込んだっきりこもっているのだが。

    かと言って昨日洞穴の外に出ようとしたら危うく太陽が眩しく夏場に出てきたミミズのごとく干からびてしまうところだったので洞穴から出られないでいる。

    そんなことをたまたま洞穴に来た白黒の魔女に言ったら、

    『何お前ミミズじゃなかったのかよ』

    と言われ正直物凄く凹んだのはここだけの話である。


    「あらま、本当にこんなところに」

    まさかの博麗の巫女の登場である。

    「何よ」

    「いや、なんかここら辺に住んでる住民から崖のとこの洞穴からとんでもない邪気が流れ出てるっていうから見に来たのよ」

    邪気なんか出してない。

    「あなたが犯人なら、立ち退いて欲しいんだけど」

    「私は邪気なんか出さないわよ」

    「なんでもいいわ。さっさと立ち退いてちょうだい」

    「太陽が眩しくて外に出たら干からびるのよ」

    「……何言ってんの、今日は雨よ」

    私としたことが。
    天気を間違えるとは。

    「まぁまぁ。おふたりさんそこまでにして」

    天狗?天狗なのか?

    「何よブン屋。公務執行妨害で成敗するわよ」

    「なんてこと言うんですか。ただそこの橋姫を説得しに来ただけですよ」

    「なんでここが分かったの?」

    「おや、パルスィ、起きてましたか。魔理沙さんに洞穴に行くと珍しいミミズが見られると聞きましたので」

    なんでミミズで私だって分かるのよ
  15. 15 : : 2016/06/01(水) 01:09:18
    「パルスィ、ちょっと聞いていただけませんかね」

    天狗は何か落ち着かない様子で微笑を浮かべ私に向き直った。

    「何よ」

    相変わらず私は素直になれない。
    本当はまた天狗と…文と会うことが出来て天にも登る心地でいるというのに。

    「いいことを思いついたんですよ。あなた何かお仕事してましたっけ?」

    「え?…特に何もしてないけど…」

    「良かった!ニートなんですね!」

    「何よその言い方。しかもなんで嬉しそうなのよ」

    「あなた、嫉妬が大好きですよね?」

    「ええ。そりゃまぁ」

    ますます分からない。文は何を考えているのか?
    奥で博麗の巫女が腕を組んでこちらを眺めている。

    「あなたにぴったりのいいお仕事、思いついちゃったんですよ!」

    「…はい?」

    「しかもあなたはこれから人を妬むことなく暮らすことができます!」

    「…私嫉妬を摂取してないと死ぬんだけど」

    「ええ。もちろん嫉妬は保証します。だから絶対死ぬことはありませんよ!」

    霊夢が「けっ、どんな会話よ」と呆れた様子で吐き捨てる。
    正直私にもちんぷんかんぷんである。

    「…どんな仕事よ」

    「よくぞ聞いてくれました!」

    文は懐から紙切れを取り出した。

    「ズバリ!『嫉妬代行屋』!」

    「…もう少しネーミングなんとかなんないわけ?」

    「ぐ…そ、それは置いといてですね。具体的にどんな仕事かと言いますと…」

    人間、妖怪、幽霊など、種族を問わず嫉妬や妬みのはけ口になり、追加料金で恨んでいる相手を本人の代わりに呪うというなんとも迷惑な仕事だった。

    しかし、嫉妬は生きていれば必ず生まれるもの。
    いくらでも嫉妬心は私の元に集まってくるだろうし、いつまでも絶えることはないだろう。

    なるほど、ぴったりだ。

    「いいじゃない」

    博麗霊夢が口を挟む。

    「さっそく私の愚痴を聞いてもらおうかしら」

    「ほら、パルスィ。はじめの仕事ですよ!」

    「ハァ…まぁ、聞いてやるわよ」

    霊夢は突然鬼のような形相になり恐ろしい勢いで愚痴をほとばしり始めた。

    「魔理沙ときたら、いつもアリスにべったりでぜんぜんこっちに傾かないのよ。何度も何度もアピったのに一度も気付かない。鈍感にも程があるのよ。私の気持ちも知らないで、アリスアリスアリスアリス……腹がたって仕方ないわ!大体魔理沙は…」


    「どうやら成功のようですねぇ」

    一方的に愚痴をほとばしり続ける霊夢を、パルスィは嬉しそうに眺めていた。満たされているようにも見えた。

    文は今まで誰も見たことのないとても生き生きとした顔をしたパルスィの姿をファインダーに収めた。
  16. 16 : : 2016/06/03(金) 00:31:01
    『地殻の下の嫉妬心による嫉妬代行屋 人里にオープン

    地殻の下の嫉妬心こと水橋パルスィは、人里の一画にて嫉妬代行屋なる新事業を興じることを発表した。
    嫉妬代行屋とは、嫉妬心を持つ客の恋愛相談や、追加料金(藁人形代)による丑三つ参り代行を行う仕事だという。
    料金も一度の相談につき20円、追加料金も100円と良心的で、時間も特に制限が無いため、絶賛嫉妬中の悩める子羊たちは一度相談に乗ってもらうのもいいかも知れない。ただしノロケ話は厳禁だ。(記事:射命丸文)』

    射命丸の新聞による宣伝の甲斐あって、嫉妬代行屋の開業の噂は瞬く間に幻想郷中に広まった。

    報道直後には
    「あの妬みの塊が開業、まして人里になんてなにかの異変に違いない」
    という誠に失礼極まりない理由による博麗神社の参拝客が爆発的に増えたらしく、一時はどうなることかと思ったが、助けを求めに来た客に対し博麗の巫女が

    「案外すっきりするわよ。私もなんか吹っ切れたし。私もアドバイスに従ってそろそろ行動を起こそうかと思ってるわ。」

    などという誠に嬉しいコメントを残してくれたおかげで、開業当日から大行列である。

    生活費は思いのほか集まるし、妬みも腹いっぱい食べられる。

    これは、いいな。


    また、幻想郷の人間関係も見えてきた。
    人間関係というのは面白いものである。
    例えば…

    「…それで、魔理沙ときたら、また女を作ってたのよ!誰だと思う?あの動かない、いや動けないひきこもりのもやしよ!あんなののどこがいいのよ!むきー!」

    誰であろう。
    アリス・マーガトロイドである。

    今日だけで17回も相談に来ている。
    まぁお金と妬みを置いていってくれるからこっちとしては嬉しい限りなのだが。

    「…魔理沙ったら、あのパツキンにゾッコンで全然振り向いてくれないの!こんなにアピールしてるのに!あんなチャラい女のどこがいいのよ!むきゅー!」

    誰であろう。
    パチュリー・ノーレッジである。

    喘息を持っているのにも関わらず図書館から無理して這い出てきたようで、店に入れた時には虫の息だった。
    また、付き添って来た小悪魔が魔理沙愛を語る彼女の後ろで静かに涙を流していたのもなかなかおもしろかった。

    「最近めいゆーが来ないんだよ。退屈で仕方なかったから久しぶりに人里に降りてきたら、あの紅白の巫女と手を繋いで歩いてたんだよ。それで…それで…うっ…えぐっ…」

    誰であろう。
    河城にとりである。

    話の途中で涙を流し話せなくなってしまった。可愛そうだから料金は取らなかった。


    霧雨魔理沙に関係する相談が一日につき約40件寄せられた。丑三つ参り注文も25件に登る。
    霧雨魔理沙の罪深さが身にしみてよくわかった。


    にこやかに店じまいをしていると、天狗がやってきた。

    「あのー、まだやってますか?」

    「あー、もう終わりだよ」

    「そこをなんとか!時間は取りませんから」

    私はため息を一つつき、カウンターの奥に座って、椅子を指した。

    「いやいや、遅くにすみませんね。お店の調子はどうですか?」

    「お陰様でいい感じよ。ありがとね。」

    「あやや、恐れ入ります。では、本題に入りますよー。」

    まぁ、冷やかしで遊びに来たんだろう。
    店の経営が楽しくてもう一週間は会ってない。
    久しぶりに見た顔に思わず顔が綻んだ。

    「最近ですね、私の想い人が仕事ばかりで全然私のところに遊びに来てくれないんですよ。
    寂しくてですねー。」

    どきんと、心臓が大きく跳ねた。

    「どうです?一杯、やりませんか?」

    天狗は店の外を親指で指した。

    今のって…私のこと?
  17. 17 : : 2016/06/04(土) 00:26:53
    不思議なものだ。
    天狗…烏天狗の射命丸文と出会ってから、私はまともに他人に嫉妬していない気がする。
    これでいいのだろうか?

    もし私が嫉妬しなくなったら

    私が私である意味はどうなるのだ?


    「開店祝いです!今日は私の奢りですよ!パーっとやりましょう!」

    「あ、ありがとう」

    私は文と久しぶりミスチーの屋台へとやってきた。
    香ばしい香りが懐かしい。

    「ミスチー!ネギま!」

    「あぁ、文ちゃん、ごめんね。うち、もう焼き鳥やってないんだ」

    「「え?」」

    なんでも、最近迷いの竹林で藤原妹紅なる人物が焼き鳥屋をやっていたことが発覚したらしく、試しに食べに行ったら美味すぎてプライドがコテンパンにやられたそうだ。

    「と、いうわけでー、今日からうちはヤツメウナギ屋です!」

    「ん?ヤツメ?」

    「ほーっ!うなぎですか!」

    「ちょっと待ってよヤツメって何よ」

    「んー?こんなのだよー」

    と言って、ミスチーはカウンターの下から世にも恐ろしい謎の生物を引っ張り出した。

    確かにうなぎだ。
    しかし、口の形がやけにおぞましい。

    「これ…美味しいの?」

    「美味しそう!」

    「美味しいよ!」

    「えー…」

    夜雀がいうなら間違いないのかもしれないが…これはゲテモノか?

    しかし私は美味しそうな香りに負けた。

    「あら、美味しいじゃない」

    「思ったよりうなぎですね!」

    「でしょう?」

    ミスチーはそういいながら何かの機械を出した。

    「なんですかそれ?」

    「守矢神社のとこで貰ったんだ。『らじかせ』って言うんだって」

    「どんな機械なの?」

    「『しーでぃー』っていう平たいのを入れると、音楽が流れるんだって」

    食事中の音楽とは、この夜雀もなかなかセンスがいい。関心だ。
    …あのパンクロックとかいううるさいのじゃなければいいけど。

    「早苗さんからは一枚しか貰ってないんだ。」

    ポロンポロンと、静かな曲が流れ出した。

    そしてミスチーがいつになく落ち着いた声で歌い出した。


    『サァームデーイ

    マイプリィーンス

    ウィルカーム…』


    聞いたことのない言葉だ。
    しかし、落ち着く音楽だ。とても気持ちがいい。

    「英語ってやつですか?どういう歌詞なんですか?」

    「早苗さんが色々教えてくれたよ。なんかね、

    『いつの日か、私の王子様が迎えに来るの
    いつの日か、私は愛を見つけるの
    いつの日か、私の王子様はきっとここに来るわ
    いつの日か、いつの日か』

    っていうような意味らしいよ。やーん、ロマンチック!」

    「へぇ…いい歌ですね」

    そう言って文は私を見た。

    私にとっての王子様はあなただけどね


    (脚注:Someday my prince will come ビルエヴァンス
    https://www.youtube.com/watch?v=5Wd--YgSCfA )
  18. 18 : : 2016/06/05(日) 01:45:32
    期待です
  19. 19 : : 2016/06/08(水) 22:13:51
    「ところで、さっき私の店であなたが言ってたのって…」

    「あぁ、実は私ここ数十分の記憶が無いんです。もし何かやらかしたんならそういうことで責任は負いかねますよ」

    「むぅ。話す気ないのね」

    私は例の嫉妬代行屋の話をした。
    話題はいくらでもあった。

    あ、ただし信用第一なので、具体的な客の名前までは出さなかった。
    流石にこの仕事は顧客の人間関係に関わる問題だからだ。

    「もっとお客さんの話をしてくださいよー」

    「ダメよ。万が一情報が流出してお客さんの人生が狂っちゃったら恨まれるのは私なのよ?」

    「なぁんだ、つまんないの」

    「あんた、まさかとは思うけど新聞の記事のネタにしたかったんじゃないでしょうね」

    「あやや、バレましたか」

    「あややってあんた、本当の目的ってそれ?」

    「知りませんねぇ」

    「ちょっと!文!」

    「おぉ、こわいこわい」

    まぁなんとなく勘づいていたが。

    「仕方ないからちょっとだけ教えてあげるわ。霧雨魔理沙だっけ?あの子に関する相談が一週間で200件超えたのよ」

    「うわぁ、なんと罪深い。相談主は?情報流出なら大丈夫です。私の独自の調査ってことにしますから」

    「もう。仕方ないわね。7割がたアリスとパチュリーと霊夢よ」

    「うひゃあ。どうりで博麗神社にも空き巣が入るわけだ」

    「え?そうなの?」

    「え?ご存知ないのですか?最近やたら霊夢が留守がちで、神社に空き巣が入ったんですよ」

    「知らないわよ、そんなの」

    「えー、この間の文々。新聞に掲載したと思うんですけど」

    「あ、ごめん。購読してないや」

    「あー!いけませんよパルスィ!いい機会だから購読してください!」

    「うん、そういうことなら。」

    ただでさえ人と交流が少ない私だ。
    何かしら情報源にはなるであろう。

    「ていうか、あんな神社に空き巣なんて。盗むものなんかないでしょう」

    「なんか巫女服が何着か盗まれたと聞きました」

    「はぁ?とんだ変態事変ね。気持ち悪い」

    話が変わるが、霧雨魔理沙も店に相談に来たことがある。
    顔を真っ赤にして相談しに来た。
    んでもって誰の相談か。

    「ちょっと言葉は荒いけど、優しいのは違いないんだ。私はそんな霊夢が大好きだぜ」

    霊夢と魔理沙は報われる。
    しかしこのこのは誰にも言わないと心に決めたのだ。

    面白いから。
  20. 20 : : 2016/06/12(日) 16:48:46
    うーん、なかなかうまく書けないなぁ
    更新もう少し遅れます

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k0kuban0619

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