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咲夜がお暇をいただく話

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  1. 1 : : 2016/04/18(月) 19:21:57
    ◇◆◇あてんしょん◇◆◇


      低レベルな文章力

      誤字脱字がある

      原作の設定を無視してるかも

      キャラの口調が変かも


    ◇◆◇以上◇◆◇

  2. 2 : : 2016/04/18(月) 19:51:47

    私は十六夜咲夜、紅魔館のメイド長をしている者だ。

    朝、日の出より前に起きたらまずは朝食の準備。

    すぐに終えると門番を起こしにいきます。



    「起きなさい美鈴!」

    「痛いですよ咲夜さん……ナイフで起こすの止めてもらえませんか?」

    「夜中も門番したいのかしら」

    「すみません、すぐ行ってきます」

    「これ朝ごはんよ」

    「おにぎりですか」

    「何か文句でも?」

    「いいえ、ありがとうございます」



    礼儀正しいのはいいのだが……ちゃんと門番をやってくれれば文句はないのだけれど。

    あとでまた刺しに行こう。

    美鈴を起こした後はお嬢様を起こしに行く。

    途中でパチュリー様とすれ違った。



    「おはようございますパチュリー様」

    「おはよう咲夜」

    「朝食は七時です」

    「分かったわ……これからレミィのところ?」

    「はい」

    「……大概にしときなさいよ」



    そう言い残してパチュリー様は図書館へ向かっていった。

    なぜパチュリー様がああ言ったかすぐに分かることになる。
  3. 3 : : 2016/04/18(月) 21:18:01

    レミリアお嬢様の扉の前に立つ。

    主の部屋に無断で入るわけには行かないのでノックをする。

    傍から見ればそれはノックに見えないかもしれない――なぜならそのノックの音は聞き取れないぐらい小さかったからだ。これではノックをした意味がないではないか――

    しかし私にとっては聞こえないほうがいいのだ。

    なぜなら――――――

    お嬢様を直接起こしに行くという名誉ある任務が出来るのだから(お嬢様の寝顔を見たい!)

    お嬢様から返事がない(計画通り)ので失礼とは思いながらも(胸をおどらせて)部屋に入る。



    「失礼します」

    「………………」



    お嬢様は寝ているようです。

    よし……このまま寝顔を――――――

    刹那――全身に悪寒が走った。

    とっさに時を止めた。



    「『世界(ザ・ワールド)』時よ止まれッ!」



    お馴染のセリフだ。

    あたりを見渡すと私に向かって銀色のティースプーン――先が尖っている――がとんでくる。

    その先には、妹様が……

    どうして妹様はここにいるのだろう……

    とりあえず、避けよう。

    妹様の背後に回りこむ。

    その前にお嬢様の寝顔を拝見。鼻血が出るのを必死に我慢する。

    もういいだろう。



    「そして時は動き出す……」



    私がいた場所にスプーンが突き刺さる。

    「え?」と驚く妹様の目を隠し、「お止めください」と言う。



    「あ、咲夜!時を止めたわね!だいたいズルいのよ!その能力!」

    「ありとあらゆる物を破壊する程度の能力の妹様がそれをおっしゃいますか……」

    「破壊するのは簡単よ!でも時を止めるのは難しいわ!」



    このままでは埒が明かないので私は無理やり話題を変える。



    「それより、どうして妹様はここに?」

    「お姉様に頼まれたの」

    「お嬢様に?」

    「そうよ!私が頼んだのよ」



    いつのまにかお嬢様が起きていました。



    「お嬢様、おはようございます」

    「おはよう……って違うわよ!どうして貴方はいつもいつも私の部屋に勝手に入ってくるのよ!ノックぐらいしなさいよ!」

    「ノックならしましたよ」

    「う、うそ……」



    うろたえるお嬢様、かわいい。



    「と、とにかく、勝手に入ってくるからフランに撃退してもらおうと思ったのよ」

    「失敗に終わったけどね」

    「うるさいわねフラン!貴方のせいでしょ!」

    「何をお姉様!そもそも自分で撃退できないのに偉そうに言うな!」

    「どうやらオシオキが必要な見たいね……」

    「カリスマ(笑)のくせに勝てるの?」



    あー…お嬢様も妹様もかわいいなー…

    けど、このままでは喧嘩に巻き込まれてしまうので撤退しよう。



    「朝食は七時ですので、それまでには終わらせて下さいね」

    「大丈夫よ、すぐに終わるから」

    「お姉様の負けでね」



    すぐに撤退しました。壁を壊さないで下さいね。



    朝食時、二人はやってきました。どちらもボロボロです。

    どうやら天井を突き破って外に出たらしいです。太陽が昇っているというのに。

    結果は引き分けだそうです。

    仲がいいのは良いことだ。限度がありますが……
  4. 4 : : 2016/04/18(月) 21:45:04
    朝食を終えたのでとりあえず美鈴のところへ。

    やはり寝ていた門番にナイフを刺して帰る。

    その後は洗濯をする。お嬢様と妹様のドロワを嗅ぐのは欠かせない。

    次に壊した壁を修復しに行く。パチュリー様に手伝ってこれを11時までに終わらせる。

    昼食をつくりに厨房へ。ついでに門番を起こす。

    12時、おそらくこの時間を狙ってやって来た霊夢と一緒に昼食。

    そんなに貧乏ならどこかでアルバイトしたら、と言ってみたが「嫌よ、めんどくさい」と言い返されてしまった。

    本当にこんな調子で巫女をやっていけてるのが不思議だ。

    午後からは紅魔館の掃除。この広大な館を一人で掃除するのは骨が折れる。いや、例えじゃなく本当に。

    それを18時までに終わらせ、門番を起こし、夕食を作る。

    19時に美鈴を除くみんなで夕食。美鈴はご飯抜きの刑だ。

    厨房にそれとなくご飯の余りを置いている。妹様あたりがさしいれに行ってくれるからきっと大丈夫だろう。

    21時、風呂!覗かずにはいられないッ!

    22時、門番の仕事終了時間なので呼びに行く。仕事なんてしてないが……

    23時、就寝。



    これが私の一日だ。普通の一日でしょ?

    そんなある日のことだった。
  5. 5 : : 2016/04/18(月) 23:14:34
    ルビの大きさがスマホとpcで違うんだなぁ…
  6. 6 : : 2016/04/18(月) 23:22:26

    昼過ぎ、いつものように文々。新聞で窓拭きをしている時だ。

    突然目眩がして倒れてしまいました…… 働きすぎでしょうか?

    もちろん起きようとする……が、体が思うように動かない、というか全く動かない。

    まったく……今の私をあの門番が見たらきっと文句を言ってくるでしょう……ついさっき寝てる所をナイフで刺してあげたところだし……

    それに……これではお嬢様に叱られてしまいます。

    しかし、助けを呼ぼうにも口を開けません……

    困りました……誰かこの廊下を通ってくれないかしら……

    その時、まるでその願いに呼応したかのように、パリンッという音が聴こえてきました。

    なに?壺でも落ちた?

    音は私の後ろから聞こえました。音の正体を見ようとしましたが……生憎、振り向くことができません。

    すると、マヌケな声が。



    「よし、無事潜入できたぜ……!」



    この声は……魔理沙ね……

  7. 7 : : 2016/04/18(月) 23:41:03
    霧雨魔理沙――紅魔館にしょっちゅう訪れてはパチュリー様の本を持ち去る魔法使い、もとい泥棒である。

    来るたびに壁や窓を壊していくので――妹様の部屋に突っ込んで、妹様とともに紅魔館を大破させたこともある――パチュリー様に「本格的に退治してはいかがですか?」と言ったこともあったのですが、



    「いいのよ咲夜……魔理沙はああいう子なの……少し愛情表現が下手なだけなの……」

    「私へ会えることが嬉しくて、周りが見えてないのよ……だから許してあげて」



    と、答えられました。

    パチュリー様に殺意を覚えたのはこれが初めてです。

    周りが見えてないのはお前だよ。

    とはいえ私は紅魔館の完全で瀟洒なメイド、そんな野暮なことは致しません。

    そうですか、とだけ言って図書館を出て門番に会いにいきました。

    八つ当たり?いえいえ違いますよ。



    しかしあの門番……また寝てたのね。

    動けるようになったら真っ先にナイフを刺してあげるわ。
  8. 8 : : 2016/04/18(月) 23:50:46
    ともあれ……魔理沙に会えたのはラッキーだ。助けを呼んでもらおう。



    「ん?あれは……」



    どうやら魔理沙も私に気づいたようだ。

    「咲夜?こんなところで何してるんだ~?」と言いながら近づいてくる。



    「………………」

    「……寝てるのか?」

    「………………」

    「咲夜も寝るんだなぁ……このまま本を盗りにいってもいいけど、ちょっと悪戯してやるのぜ☆」



    止めてください。

    魔理沙が私の顔を覗き込む。手にはマジックペンが見える。



    「さぁて、落書きでも……」



    そこで言葉は途切れた。

    魔理沙の表情が凍る。

    一瞬、無意識に時を止めたのかと思った。

    しかし外から⑨たちの笑い声が聞こえてきたのでそれは違うとわかる。

    私が勘違いしてしまうほどまでに魔理沙は動かなかった……まるで今の私のように。

    魔理沙は唇をわなわなと震わせて、私の名前を呼んだ。



    「咲……夜…………?」



    その声はとてもか細く、魔理沙らしくない声だった。

    いったいどうしたのだろう?

    魔理沙はしばらく私の前でボーとしていると、突然どこかへ走り去っていった。
  9. 9 : : 2016/04/19(火) 00:12:49
    魔理沙はすぐに帰ってきた。お嬢様を連れて。

    どうやら助けを呼んでくれたらしい。

    たまには泥棒も役に立つもののね。



    「咲夜!」



    お嬢様は私を見つけるや否や大声で私を呼びます。

    どうなされましたかお嬢様?



    「咲夜!咲夜!」



    そんなに揺らさないでください。嬉しいですが――



    「咲夜!咲や゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」



    突然、お嬢様が泣き出す。

    !?……?…!……!?……

    唖然という言葉が今の自分にぴったりだろう……訳が分からなかった。



    「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」



    お嬢様は私に抱きついて泣き叫びます。

    お嬢様が泣くのはよくあることなのだが――カリスマガードをしている時――こんな泣き方をしたのは初めてだ。

    さすがに心配になります。

    もしや魔理沙がなにかしたのか……と思い、さっきから黙っている魔理沙を見てみると――



    「………………」ツー



    ――魔理沙も……泣いていた。

    なにこれ?どういうこと?

    お嬢様はともかく……あの魔理沙まで?

    明日はグングニルでも降るのかしら?



    「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」



    廊下には一人の少女の泣き声が響く――――
  10. 10 : : 2016/04/19(火) 00:20:31
    どのくらい経ったのだろうか……お嬢様がやっと泣き止み始めた頃



    「……レミリア………」

    「………………」グスッ

    「……とりあえず咲夜をベッドに運ぼう」

    「………………ええ」グスッ



    お嬢様と魔理沙は私を持ち上げました。



    「………………私が泣いたこと……内緒よ」

    「……ああ」



    いつもの魔理沙なら天狗にでも言って幻想郷中に広めているだろう。

    でもそうしなかった……

    やっぱりおかしい。明日はグングニルどころかレーヴァテインも降ってきそうね……



    二人に連れられて自室のベッドに寝かされる私。

    連れられている間、必死になってお嬢様や魔理沙に助けを求めたが、やっぱり無駄だった。



    「……私は紅魔館の連中を集めてくるわ」

    「……私は霊夢たちに知らせに行くよ」



    知らせる?何を?



    「……そうして頂戴。咲夜もその方が喜ぶだろうし……」



    二人はそう言いながら部屋を出ていった。

    外からの⑨の声が相変わらず聴こえてくる……静まり返ったこの部屋ではその元気な声がやけに大きく聴こえた。


  11. 11 : : 2016/04/19(火) 00:38:06
    それにしても……お嬢様と魔理沙はなぜ泣いていたのだろうか?

    考えても考えても分からなかった。ただただ時間が過ぎていくだけだった。

    ふと気がつくとベッドの横に女が立っていた。

    誰だろう?というかいつの間に!?

    足音はしなかった。



    「やあ、お迎えに来たよ」



    見覚えのある紅い髪の女だった。大きな鎌がキラリと妖しげに光る。

    この女は……



    「小野塚……小町……なぜ貴方がここに?」

    「そりゃあ~死神だからね……死んだ人の魂を回収しに来るのは当然さ……」



    そう、彼女――小野塚小町は死神であり、そして――――巨乳でもある。

    今すぐそのでっかい乳をもぎ取ってやりたい!

    その乳を見てるとあの役立たずの門番を思い出してムカムカするからだ!

    けっして自分が小さいからではない!

    誰だPAD長って言った奴!許さん!

    私は一人で芝居をしていると、それを見兼ねてか、「お、おいどうした?」と心配されてしまった。



    「……いいえ、どうもしておりません」



    ふぅ、危ない危ない……もうすぐ醜態をさらすところでした……

    頭も冷えたところで冷静になって考えてみる。

    どうして彼女がここに来ているのか。

    油を売る場所がたまたまここだったとか?

    いいや、それは違うだろう……魂を取りに来 たって言ってたから、サボり魔の彼女にして は珍しく仕事で来ているんだろう……

    じゃあ誰かが死んだの?お嬢様?妹様?パチュ リー様?それとも美鈴?

    誰にせよ心配だわ……美鈴はどうでもいいけど。

    恐る恐る訊いてみる。



    「紅魔館で誰かが死んだの?」

    「……やれやれ、やっぱり気づいてなかった か……」



    彼女はそう言うと私の耳元でこう囁いた。
  12. 12 : : 2016/04/19(火) 00:42:39










      ・・・・・
    「 十六夜咲夜」









  13. 13 : : 2016/04/19(火) 01:00:03
    「は?」



    意味がわからなかった 。



    「私が死んだ……?」

    「そうさ……アンタは死んだんだ」



    小町の襟を掴む。

    考える余裕なんてなかった。



    「……なにするんだい?」

    「それは……笑えない冗談だね……」



    自分でもびっくりするような冷たい声だった。まるで研ぎ澄まされた鋭利なナイフのような……



    「冗談じゃないさ……アンタは確かに死んだ んだ」

    「いい加減にして!」



    小町を殴る。

    並みに異変解決をやっている訳ではない。

    小町は文字通り吹っ飛んで……壁にぶつかった。



    「……痛いね」

    「私がお嬢様を置いて死ぬとでも?そんなことはないッ!私は――」

    「アンタの気持ちはよくわかるよ……でも死んじまったもんはしょうがないだろ」

    「だから縁起でもないことを――」

    「死んでないとしたら……どうしてアンタは 喋れるんだろうね?」

    「人間なんだから喋れるのは当然で――」



    そこでハッとした。

    私は今まで喋れなかったはずだ……それに動けもしなかった。

    だが今はこうして立っていられる、おまけ小町を殴ることもできる。



    「それはきっと治――」

    「それに、アンタのベッドに横たわってるのは……なんだろね」



    ベッド? 誰もいないはずよ。

    だってベッドで寝ていた私は今はここにいるのだもの。

    ベッドは後ろにある。

    小町の言っている誰かを確認したければ振り返ればいい。

    でもそれはできなかった。

    振り返ったら認めてしまうから――



    「嘘だッ!」



    私は叫んだ。叫ばずにはいられなかった。



    「ベッドには誰もいないはずよ!ええ、そうだわ……嘘に決まってるわッ!」

    「じゃあ!!」



    小町が息を荒げる。



    「どうして!!レミリアや魔理沙は泣いてい たんだ!!」

    「………………」



    もう……限界だった。

    私は泣き出した。それはあの時のお嬢様と同じように。

    心の中では分かっていたのかもしれない――いや、最初から分かっていた。

    それを――認めたくなかっただけだ。

    私は泣きながら振り返る。

    ベッドの上には――メイド服を着た一人の少 女が――――――



    そう、十六夜咲夜は死んだのだ。
  14. 14 : : 2016/04/19(火) 01:03:49
    しばらく経って私は泣き止んだ。



    「私が話せたのは……私が霊魂で……貴方が 死神だからなのね」

    「……そうだ」

    「……殴ってごめんなさい」

    「……天人よりマシだよ」

    「………………」

    「……さあ、来てくれるかい?」

    「………………」

    「レミリアたちが心配かい?」



    私は無言でうなずく。



    「でもね、このままここに居てもツラいだけ だよ」



    分かっている……分かっているけど……私は まだ……



    「ハァ……しかたないね……明日の朝まで 待っててあげるよ」

    「!」

    「それまでに、ちゃんと未練を断ち切ってお いてくれよ」

    「……ありがとう」



    小町は現れたときと同じように音もなく消えていった。どういう原理なんだろう……

    時刻は夕方、太陽が沈みつつある。長い夜になりそうだった。
  15. 15 : : 2016/04/19(火) 01:11:07
    小町が帰ってから数分後――私の部屋には見慣れた面子が集まってきた。

    紅魔館のメンバーはもちろん、妖夢、アリス、早苗、などなど。

    驚いたのはあのチルノまで来ていることだ。



    「咲夜はどうして動かないんだー」ボロボロ

    「……死んじゃったからだよ」ツー

    「大ちゃん、死ぬってなんなんだー?」ボロボロ



    理解してはいないらしい。けど悲しいのだろう。大声で泣きじゃくっている。



    「魔理沙……霊夢は?」

    「アリスか……あいつは来ないってさ、薄情 だよな……」

    「そう……」



    そうか……霊夢は来てないのか……

    私たちが幻想郷に移り住んで最初に会ったの が博麗の巫女である霊夢と、この泥棒魔法使いの魔理沙だった……

    もっとも、紅霧異変を引き起こしたので退治されたが……今ではいい思い出だ。

    ここに引っ越してくる前のお嬢様はとても崇高な……まさにカリスマと言うべきに値する、そんな吸血鬼でした。

    しかし、カリスマであるがゆえに孤高であり、いつも一人でいらっしゃり、友達と呼べる人もおらず、とても寂しそうでした。

    ところが今は……近寄りがたい雰囲気はななり、 すっかり丸くなってしまわれました。

    おかげで友達もでき、毎日が楽しそうです。

    その代償にカリスマを失いましたが……

    本当に幻想郷に来て良かったと思う。

    そして、お嬢様を笑顔にしてくれるきっかけを作ってくれた霊夢には感謝しても仕切れな い。

    だから霊夢が来ないのは……ちょっと残念だった……

    霊夢……最期ぐらい来てほしかったな……
  16. 16 : : 2016/04/19(火) 01:15:47
    部屋には泣き声が充満している。

    相変わらず泣き叫ぶチルノ、それを慰めながら泣く大妖精、すすり泣くコアとパチュリー様、俯いて帽子で顔を隠す魔理沙、お嬢様に抱きついて泣いている妹様、お嬢様は……もう泣いてはいませんでした。いや、我慢しているだけでお嬢様だって本当は泣きたいのだろう……



    「咲夜さん……」ツー



    そう声をかけてきたのは門番の美鈴だ。



    「また……寝ている私を叱りに来て下さいよ……」ツー



    これは驚いた……まさか美鈴にまで泣かれるとは……

    腹いせにナイフを刺しまくっていた から恨れていると思ってたけど……



    「咲夜さん……貴方は厳しい人でした……私が寝ていたら景気よくナイフを刺してきて……あれ、痛いんですよ?」ツー

    「でも、なんだかんだ言って私に優しくしてくれて……本当に……感謝してるんです、貴方には……」ツー



    ……なんか照れるわね。



    「それなのに……」ツー

    「どうして……まだ恩返しもしていないなに……」ポロポロ

    「どうして……どうして…」ポロポロ



    美鈴……今までごめんなさいね。

    貴方は……みんなに笑顔をくれる、最高の門番だったわ……
  17. 17 : : 2016/04/19(火) 01:20:06
    期待です
  18. 18 : : 2016/04/19(火) 01:26:23
    >>17ありがとうございます!





    それからも私の葬式――と言っても泣いてるだけだが――は続いた。

    幻想郷の連中にしては珍しく、お酒を飲まなかった……飲んじゃいけないんだけどさ。

    いや、飲みそうじゃん。あの鬼とか特に。

    まぁ、それだけみんな私のことを大事に思ってくれてたのだろう。

    本当に……ありがとう……

    みんなが解散したのはそれから数時間後のことだった。

    部屋にはお嬢様と妹様だけが残る……



    「咲夜」

    何でしょうか妹様?

    「今日は私たちスカーレット姉妹と一緒に寝なさい……これは命令よ」

    仰せのままに……

    「じゃあ咲夜、失礼するわね……」



    お嬢様と妹様は私を挟む形で寝転がりました。



    「お休みなさい……咲夜」

    「いい夢を」

    お嬢様、妹様……お休みなさい……

    私は……ちょっと早いですがもう逝ってこようと思います……では――



    ガタッと廊下の方で音がした。

    こんな時間に誰?泥棒?魔理沙じゃなくて。

    ドアがそ~と開いて、誰かが音もなく入っきた。

    その人物は無言で私たちのところへやって来た 。
  19. 19 : : 2016/04/19(火) 01:36:29
    「あら、先客がいたようね……」



    先客……と言うのはお嬢様と妹様のことだろうか。

    二人はスースー眠っている。

    こんな時でなければ鼻血を出していただろう。



    「出来れば、一人でいたかったんだけどなあ……そりゃ、無理って話か」



    「咲夜……」



    場違いな(こういうときは普通は白黒)紅白色の巫女服を着た少女は私に呼び掛る――もちろん返事はない。



    「本当に……死んじゃったのね」

    「アンタは……私の初めてのまともな人間の友達だったのに……」

    「魔理沙は友達だけど……まともではないわ ね」



    貴方には言われたくないと思います。



    「ハァ……いざご対面すると、何を話していいか分からないわね」

    「思い出を話そうにも……多すぎて……話せないわ……」ツー



    少女の頬に一筋の涙が零れ落ちる。



    「そうね……湿っぽい空気は嫌いだし、簡潔に言うわ」ツー


    涙を脱ぐって、笑顔を見せる。

    ひきつった笑みだった。



    「……今まで、楽しかったわ。ありがとう」

    こちらこそですよ……霊夢。

    「そして……さよなら、咲夜…………」

    さようなら霊夢。お嬢様をお願いしますね。



    私の声は霊夢には聞こえない、だけど……



    「ええ、任されたわ」



    その時だけは……いや、ずっと届いていたはずだ。



    そう、それなら……大丈夫ね。

    「だから……安心していってきなさい」



    霊夢はそのまま帰っていった。
  20. 20 : : 2016/04/19(火) 01:53:00
    それと入れ違いのように小町が現れる。



    「まだ朝にはなってないわよ」

    「未練はもうなくなっただろう?」

    「……なんでこういう時に限って仕事をしているのよ」



    …………とうとう……お別れか……

    私はお嬢様と妹様に向き直る。



    「お嬢様、妹様……」



    脳裏に――脳なんてもうないけど――お嬢様と過ごした記憶が思い浮かぶ。

    初めて出会った日、メイドとして働き始めた日、幻想郷に来て異変を起こした日、共に異変解決に向かった日……

    魂だけのはずなのに、涙が止めどなく溢れる。



    「あ……う……」



    ……これではとある神社のロリ神様と同じてはないか。

    霊夢の言っていたことがよく分かる。

    何を話せばいいのか全く分からない。



    「……今まで楽しかったです。ありがとうご ざいました……」



    結局、私が言った言葉はシンプルなものだった。

    それでも十分に、お嬢様たちになら伝わると思った。



    さて、もう行かなければならない。



    「お嬢様……しばらくお暇をいただきます」



    お嬢様たちはぐっすり眠っている。



    「それでは、失礼いたします」
















    小町の案内で三途の川を渡ります。

    辺りに漂う霧はあの懐かしい異変を思い出す……

    この先、閻魔様に裁かれると思います。

    私はきっと黒でしょう。人間でありながら吸血鬼に仕え、人間を殺してきたのだから。

    だけど、それに後悔はありません。それはお嬢様たちと過ごした日々の証なのですから……

    川に目をやると、霧の合間から川に映る月が見えました。

    その月は、満月というには少し欠けていて――銀色に、美しく夜空に咲き誇っていました。





    ◇◆◇完◇◆◇
  21. 21 : : 2016/04/19(火) 01:56:52
    終わりです!短編にするつもりが、いつもより長めになってしまいました(笑)



    最後まで読んでくださった皆さま、ありがとうございました!
  22. 22 : : 2016/05/05(木) 01:47:32
    休みってそうゆう意味か、神作でした
  23. 23 : : 2016/05/09(月) 21:50:20
    咲夜さんが死ぬとは
    お疲れ様です
  24. 24 : : 2016/05/09(月) 22:37:06
    死因がなんなのかはっきりしねぇのが気になるけど面白かった。

  25. 25 : : 2016/05/15(日) 19:19:37
    分かりやすい進行状況、解説がよかったです。

    それに加えて行白の取り方が
    うまく感動しました。
    お疲れ様でした
  26. 26 : : 2016/05/22(日) 15:14:54
    休みって本当にそういう意味だったのですね……
  27. 27 : : 2016/05/24(火) 09:11:30
    >>24様の様に死因が曖昧な状態
    なので、死因を知りたかったですね

    急に目眩が来て倒れ、すぐ死んだと言う病状は
    大方、脳か心臓に関係する病気だとは思いますがね……

  28. 28 : : 2016/07/17(日) 11:47:03
    >>24

    ザ・ワールドの使い過ぎでは?
    使い過ぎて脳に悪影響が及んだのですかね・・・
    G〇NTZの超能力者も使い過ぎで内臓がボロボロになってたし

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unravel_ghoul

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