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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

ごめんな、スガ。

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  1. 1 : : 2016/02/07(日) 15:04:10


    1つ上が引退して俺が主将になり、スガが副主将になった時くらいだろうか。


    あぁ、俺はスガが好きなんだな、と思った。



    振り向いてほしいとは思わない。

    スガはああいう性格だから、好きだなんて伝えたら俺に応えられないことにたぶん申し訳ないと思うんだろう。


    いいんだ、俺だけの知ってることに留めておけばいい。


    苦しくても、スガが隣で笑っていてくれればそれでいい。


    一緒にバレーができればそれでいい。



    はじめはそんな風に思っていた。




    でも、この気持ちはそんな綺麗事では済まされなかった。

    自分のずるさに気付かされたのは一年が入部してきてしばらく経った頃だった。
  2. 5 : : 2016/02/07(日) 19:26:41
    途中で申し訳ないですが、作品について一言…

    ⚠︎BLです
    ⚠︎ハッピーエンドではないです…
    ⚠︎大地さん目線です
    ⚠︎私は大地さん推しです(←作品関係ないけどw)
    ⚠︎大地さんが好きすぎて最近では大地さんと名前を呼ぶのも恥ずかしいです頑張ります
    ⚠︎更新は日にち開けてどばーっとします
    ⚠︎初投稿で多々わからない事もありますので、お支えいただけるととても嬉しいです!

    これからよろしくお願いします!

  3. 6 : : 2016/02/07(日) 20:33:43


    最近スガの様子がおかしい。

    授業中も練習中も一緒にいる時もいつも何か他の事を考えているらしい。

    そう思った俺はある日の部活終わりに2人きりになってから聞いてみる事にした。




    「おい、スガ…最近なんか変だぞ?何かあったのか?」

    するとスガはバツが悪そうに、少し笑いながら答える。



    「…大地には隠し事できないよねー(笑)」


    隠し事、か。

    薄々気づいていた。



    ここ最近スガの目線の先にはいつもある特定の人物がいること。

    そして



    それが俺ではないこと。
  4. 7 : : 2016/02/09(火) 00:30:32


    「話してくれないか?」


    スガは話せないと答えているかのように目をそらす。

    「そうか…まぁ気が向いたらいつでも話せよ?1人で抱え込むと…「好きな人が…できたみたいなんだ。」


    俺が話終わらないうちに聞きたくないことを聞いてしまう。

    「そうか!スガも恋とかするんだな!」

    気まずそうに笑うスガ。

    「へへへ、まぁー、恋っていうかさ、好き?っていうかなんか変なんだけど…」



    あぁ、人を好きになるというのはこんなにも苦しいものなんだな。



    「大地?聞いてる?」

    「ん?あ、あぁ、すまん、ちょっとぼーっとしてた。」

    大地こそすぐ1人で抱え込むよなーこのスガに相談してみなさい!とスガは自分の胸をドンと叩く。


    そうなんだよな、俺こそ、1人で抱え込んでるんだよな…弱った。


    「大地はいないの?好きな人とか。」


    ひょいっと覗き込んでくる。
    その可愛らしげな顔に思わずドキッとする。



    「…いないって言ったら嘘になる…のかな。」


    ぱぁっとスガの顔が明るくなる。

    「いるの?!いるんだ!誰?誰?」



    まるで小学生のような反応を示すスガだが、俺はどうもそのテンションにはついていけない。

    スガだよ、


    なんて言えるわけない。




    スガはなんか聞いちゃいけなかったらしいと神妙な面持ちで下を向く。

  5. 8 : : 2016/02/09(火) 00:38:45




    「日向なんだろ?」




    気まずい空気を破ったのは俺の一言だった。


    暗い夜道でも驚いた表情を隠しきれていないスガの顔がうかがえる。



    「…っ、、ははは大地は変なこと言うな〜!どうしたんだ?男が男を好きになるなんてそんなわけあるわけないべ!」



    あははは〜と笑うスガに俺はさらに問いかける。


    「だってここ最近ずっと日向のこと見てるぞ?日向が好きなのかなーって思ってさ?」


    自分で言っていてとても苦しい。特に"日向"というところが。




    「大地は、俺が日向のこと好きって変に思わない?」

    「思わないさ。」

    きっぱり。

    「そっか。」




    再び気まずい空気が2人の間に流れる。



    その空気を破ったのは今度はスガだった。


    「今日、家きてよ。」

    「は?」


    わけがわからないことを言う。


    「親が今日から旅行でいなくてさー。俺も行く予定だったんだけど部活行かないとなーって思って!1人で過ごすのさみしいからさ!」




    …なんだ?誘ってんのか?


    「いいけど、なんていうか、なんで?」


    「いやだから寂しいんだってー。」


    「そうか、じゃあ親に連絡入れとくわ。」



    なんだか腑に落ちないまま母親に電話をかける。


    「悪い、今日スガん家で会議することなってさ、そのまま泊まってくよ。…うん、わかった。」



    「…ごめんね?なんか。……1人でいるとさ、日向のこと思ってすごく辛くなるから…。」


    そうか。と一言答える。

    まぁどうせそんなことだろうと思った。

    だからどこか腑に落ちなかったんだろう、

    明確にスガの寂しさの原因がわかった今正直言って乗り気ではない。


    つらくなる、か。



    俺ならその気持ち分かってやれる。



    俺もすごく辛くなる。


    スガのことを思うとすごく、すごく辛くなる。
  6. 9 : : 2016/02/23(火) 19:31:17
    久しぶりにスガの部屋に入った。

    久しぶり、だからだろうか。普段感じない緊張を感じる。

    「お茶とお菓子持ってきたー」

    ささ食べるべ〜と嬉しそうにお盆を抱えて入ってきたスガ。


    しばらくして部屋には2人がお菓子を噛み砕く音だけが響いていた。

    会話はない。

    ふとスガを見ると今にも泣きそうな顔をしている。



    俺、涙に弱いんだよな…。

    あぁくそ、なんだよ、泣いてるスガとかかわいすぎるだろ。
  7. 10 : : 2016/02/23(火) 19:32:09


    スガの部屋で2人きり、泣いてるスガ、などの理性が崩壊しそうな状況に頭をかかえる。


    「…ったく泣くなよ。」

    ポンと頭に手を置いてやる。

    大粒の涙を頬に滴らせたスガは下を向いたまま、ごめん、と消え入りそうな声で謝ってきた。



    スガはどうして欲しい?



    いっそ俺はスガが好きだと伝える、とか?


    違う、そうじゃないだろ…。




    どうすればいいかわからずにずっとスガの頭に手を置いたままだったのが気に障ったのだろうか、スガは俺の手をそっと掴んで下へおろした。


    「あー、ごめん、手…「ごめんな大地!大地は辛いこととかあるんだろうけど、それをみんなに見せずにいつも頑張ってるのにな、俺だけこんな泣いてるなんて女々しいよな。」


    ごめんごめん、と笑ったスガを見て思わず思考より先に体が動いてしまった。
  8. 11 : : 2016/02/23(火) 19:32:52




    気付いたらスガは俺の腕の中にいた。


    「…………大地?」



    驚きの混じった声で俺の名前を呼ぶスガ。



    やっと思考が追いついてきた。あぁーやっちゃったなーと思った。


    まぁでもあんな顔されたらどうしようもなかったし、これくらいならいいだろう。




    「……そんな……そんな悲しそうな顔で笑うなよ…。」



    スガは黙りこくっていたが、やがて泣きはじめた。


    「はぁーっ…」



    俺のついた深いため息はスガには聞こえない。


    スガはしばらく俺の腕の中で泣いている。





    いつまであいつのために涙を流す?

    もうそろそろ泣きやめよ、


    じゃないと俺が泣きそうだろ…。


  9. 12 : : 2016/02/23(火) 20:11:31


    俺の中の微かな苛立ちが放った言葉を俺は後々後悔することになる。



    「ほら、俺を日向だと思って。そしたら気分も楽になるか?」



    俺の胸の中に顔を埋めていたスガはゆっくり顔を上げて俺を見る。





    あぁ、なんつー可愛い顔してんだ…。





    「ひ、なた…?」

    「まぁ俺と日向じゃあ体格も身長も違うし難しいか。」



    俺の言葉はスガには聞こえていないようだった。

    スガは虚ろな目をして熱を孕んだ声でその人の名前を呼ぶ。


    俺を見ながら。



    「ひなた…。」


  10. 13 : : 2016/02/23(火) 20:12:50



    あぁ、これはやばいんじゃないのか?止めないと、と思う自分





    スガが俺を日向に変換しているように、日向という名前を大地に変換している自分


    がいる。





    だめだ、止めないと、



    後戻りできるうちに


    俺がまだこの気持ちを抑えていることができるうちに





    、、、いや、このまま流れに身を任せてしまってもいいんじゃないのか?



    少しはスガの気分も晴れるんじゃないのか?




    ちがう、止めないと…



    止めないと……

  11. 14 : : 2016/02/23(火) 20:13:22


    けれども俺の体は動かない。思考に従ってくれない。



    スガの顔が迫ってくる。




    今だったらまだ間に合うのに、体が動かない。


    もうどうしたらいいかわからない。



    スガの手が俺の頬を優しく包む。




    まだ間に合う…けど……わからない……





    ……わからないなら、もういっそ流れに身を任せてしまえ。


    俺が考えることを諦めた時、唇にそっと柔らかい感触を感じた。


  12. 15 : : 2016/02/28(日) 08:13:53
    どう反応したらいいのだろうか。

    好きな人にキスをされた。

    嬉しい、嬉しいけど嬉しくない。



    そしてもう一度口づけが落とされる。


    もう後戻りできないと思った。

    苦しかった。スガの中で今俺は日向でしかない。苦しい。

    でもそれ以上にスガとこうしていられる幸福感があった。


    思わず俺はスガの頭をぐいっと引き寄せてキスをしようとした。
  13. 16 : : 2016/02/28(日) 08:14:24


    「?!」

    スガの体がビクッと反応する。

    「だ、大地?!ごめん!俺…ごめん、ほんとごめん。俺………。」

    どうやら俺が日向ではなくなってしまったらしかった。


    「大丈夫だ。それよりスガは大丈夫か?」

    「あーほんとごめん大地。今全然意識なかった…。」


    さっきまで俺の腕の中にいたスガは今はもう隣に座っていた。

    そして俺に謝り続ける。

    違うだろ。謝るのは俺の方だ。

    スガの日向への気持ちを利用したんだ、我ながら最低だと思った。


    もうこういうことはしないようにしよう。


    どこかで残念がる自分を隅に押し込みながら、そう心に決めた俺だったが、それは次の瞬間見事に打ち砕かれた。
  14. 17 : : 2016/02/28(日) 08:15:15




    「大地さえよければ…続き…しても…いい…かな?」



    だめだ、と答えるべきだったのかもしれない。


    でもそれはもう無理だった。


    黙ってこくりと頷く。





    もう一度スガのあの虚ろな目が俺を捉える。



    それからその人の名前が呼ばれる。

    「ひなた…。」



    俺の肩へ手を置かれ、ゆっくりと後ろに押し倒される。

    唇と唇が触れるだけのキスが数回落とされる。


    それから互いの舌を絡め合う。


    荒い吐息が漏れながらもスガは名前を呼ぶのをやめない。



    思わずスガと名前を呼びたくなったが、先ほどのことを思い出した。



    俺が何かをしようとするとスガは現実に引き戻される、


    胸の奥で愛おしい名前を呼び続けた。

    スガ……っ…スガっ………



  15. 18 : : 2016/02/28(日) 08:16:25


    目が覚めた。朝だった。

    ふと隣を見るとスガはもういない。


    体を起こし無造作に床へ脱ぎ捨てられているジャージを着る。微かにスガのにおいがした。


    「スガの…じゃないんだけどな。」



    昨晩、結局どこまでやったんだっけ。


    まぁ起きて服着てなかったんだし、たぶんやるとこまでやったんだろうなぁ、とどこか他人事のようにに考える。



    実際のところ、スガの喘ぎ声から体から形まで恥ずかしいくらい鮮明に覚えていた。



    はぁ…とため息をひとつついて、スガの部屋を出る。


    ドアの開く音に反応したらしくスガが階下から声をかけてきた。



    「大地おはようー!」

    いつものスガだった。



    「おはよう。」


    いつものように返す。
  16. 19 : : 2016/02/28(日) 21:26:26

    リビングへ出てスガと顔を合わせると

    「…!大地!下着て?!」///

    顔を赤らめながら言われた。

    「下?着てるぞ?」

    「あーっだからそっちの下じゃなくてジャージの中っていう意味の下!」

    昨日散々見た癖に…と思いながらも、Tシャツを着てジャージを羽織り直す。

    「朝練あるし登校するの制服じゃなくてもいいか。」

    「そうだねー。そうだ、家出るまであと1時間くらいあるけどお風呂入る?」

    「あぁそうするか。」

    普段のように会話をする。

    昨日のことは2人とも口に出さなかった。


  17. 20 : : 2016/02/28(日) 21:27:15


    あれから数ヶ月。


    俺とスガのあの関係は未だに続いていた。


    スガのスイッチの入る時や場所はいつもバラバラで、スイッチがオンになるたびにその時その場、だった。



    部室でやったこともあったし、

    放課後誰もいない教室でやったこともあった。




    全部俺がいわゆる"受け"でスガが"攻め"だった。



    どちらかといえばスガを犯したいなぁと思うところもあるし、


    何よりスガが澤村大地を抱いているという認識をしていないことは辛いし、


    毎回胸の奥でスガの名前を呼ぶのは首を絞められているように苦しいし、



    それでも



    スガと繋がれるのは幸せだった。




  18. 21 : : 2016/02/28(日) 21:28:29


    ある日のこと、

    その日の場所は俺の部屋。

    事の後、2人で天井を見上げながら並んで寝転んでいる時だった。




    「……大地もさ、名前、呼んでいいよ。」

    「名前?」



    スガが笑って少し照れ臭そうにこっちを向いて言う。


    「ほらー、やってる時。俺が、日向ーって名前呼んでるから、大地も、好きな人の名前呼んだら?って。いるんでしょ?好きな人!」


    好きな人の名前を、ね…。


    「うーん、いるにはいるけど、誰にも言ってないしなぁー。」

    頬を膨らませてスガが答える。

    「むぅー、俺は大地に言ったのに大地は言わないなんてずるいぞー。」





    …言わないんじゃなくて、



    「言えないんだけどな。」



    「え?なんか言った?」


    ぼそっと呟いた心の声は窓の外で鳴いたカラスの物悲しい声で掻き消されてスガには届かなかった。



  19. 22 : : 2016/03/02(水) 00:39:16



    時は過ぎ、1度目の東京夏合宿の頃。

    東京合宿でやるのはさすがにやめようと思っていたのだがスガのスイッチが入ればもう防ぎようがなかった。


    みんなが寝静まった頃、隣の布団にいたスガが声をかけてきた。

    「大地…今…だめ?」

    「は?ここで?」

    思わず素っ頓狂な声が出る。


    「しーっ…みんな起きちゃうだろ。ここでじゃなくてどっか別の場所で…。ダメかな…?」



    スガのダメかな…?はダメと言わせないと言っているようなもんだろ。

    「…いいけどさ、明日もあるんだからあまり長いことしないぞ?」

    「うん!ありがと」



    外に出てみたものの場所がない。


    空き教室だとみんなに聞こえるかもしれないし。

    体育館はバレーをする場所だし少し嫌だ。

    体育倉庫も上に同じ。


    スガも同じことを考えて困っているようだった。

    同時につぶやく。

    「野外…か。」


    俺とスガは顔を見合わせてくすっと笑った。

  20. 23 : : 2016/03/02(水) 00:39:55


    時計台の下のベンチに腰掛けて空を見上げる。


    月が綺麗に出ていた。

    ふと時計を見ると2時過ぎ。あんまりできないね…とスガがいう。


    時間のせいか、それとも溜まっているのか、スガは少し焦っているようだった。

    何も言わずにキスをしてきてそのまま服を脱がそうと手をかけてきた。

    「…っ…はっ…スガっ、待てって、ちょっと、」


    思わずスガを押し返そうとする。

    でも一度スガにキスをされてしまえば力が入らなかった。

    諦める。



    どうせこの関係には俺の感情は必要のないものだ。



    スガは俺を見ながら日向と呼ぶ。


    俺はそれに反応することなくただスガのなすがまま。

  21. 24 : : 2016/03/02(水) 00:40:27
    スガはいつのまにか下へ手を伸ばしていた。

    「ひゃっ?!」

    思わず変な声が出てしまう。

    「しーっ…」

    スガの手が俺の口を押さえた。
    あぁこれ興奮する。


    スガはしばらく前を触って満足したらしい後、こう言う。


    「指、いれるぞ。」

    スガはこの台詞を言う時少し声を低くする。

    俺はこれがたまらなく好きだ。


    スガの細くて綺麗な指が俺の"良い"トコロを捉える。


    「…っ………」

    スガが意地悪い笑みを浮かべながら言う。

    「日向はここがいいもんな〜」


    違う…日向じゃない………………。


  22. 25 : : 2016/03/02(水) 00:41:05





    気づけばスガと繋がれるだけで満足しきれなくなっていた。



    一度でいいから、その声で大地、と呼んで欲しい。



    それを拒否するかのようにスガは日向と呼び続ける。





    ふとスガの動きが止まった。

    「大地、あしたも早いし今日はここまでな。」


    さっきまでの声とは違う声だった。

    「あぁ、そうだな。」


    それから黙って2人で烏野が寝部屋として使っている空き教室へ向かって歩く。
  23. 26 : : 2016/03/02(水) 00:41:31


    スガがドアに手をかけた時、俺はなんの気もなく戻りたくないな、と思った。



    「あー、俺トイレ行ってから帰るわ。」

    今このまま戻っても寝れる気がしなかった。



    「ったく…中途半端で寝れるかっての…。」

    なんの気もなく戻りたくなかったわけじゃなく、トイレへ入って処理をしたかっただけだ。




  24. 27 : : 2016/03/02(水) 00:42:07




    「ちょーっと。」


    トイレへ向かう途中、曲がり角のところで思わぬ声がする。

    「なっ…?!」

    その声の主は音駒の主将、黒尾だった。


    「ちょーっとちょっと主将君。」



    まぁさらっと切り抜けたらいいだろうと思った。

    「なんですか?ちょっと…トイレ行きたいんだけどさ。(笑)」


    愛想笑う俺に黒尾は苦笑いしながら言う。

    「言いにくいんだけど、さっきの見ちゃってさぁ〜。」

  25. 28 : : 2016/03/02(水) 00:42:33





    「さっきの…って…」

    「君と2番?君がお取り込みしていらしたところ。」



    ………最悪だ。


    「まぁそう慌てるなって。別に言いふらしたりしないからさ。」

    黒尾の目は真剣そうで、言いふらさないってのは信じていいかなと思った。



    「たださ…。」


    条件付き、ってか?そんなことやるやつには見えないんだが?

    そんなこと言ってやる余裕は今の俺にはこれっぽっちもなかった。

  26. 29 : : 2016/03/06(日) 17:57:30
    「ただ、…ちょっと気になったんだけど。君の名前って澤村だよね?」


    あぁなんだそんなことか。

    「そうだけど」



    そんなこと…?


    名前を聞くってことは、要は、スガが日向の名前を呼んでいてあれ?って思ったってことで。


    それってつまり俺たちの関係がバレたってこと…?


    いやまさか、そこまで考えないか、………



    ここまで考えて俺は初めて黒尾と会った時のことを思い出す。

    俺は黒尾と会って何を思った?


    食えない奴、だと。



    そうだ。こいつはそういう奴だ。



    「…もうこれはバレたも同然だよな」
  27. 30 : : 2016/03/12(土) 07:15:10



    黒尾はニヤリと笑っている。

    「そんな何か企むような顔すんなって…。」

    「っはは、大丈夫だって。言っただろ?言いふらさないって。でもなぁー、もう1人いるんだよねー。君たちのこと知ってるって人。」




    ん?もう1人だと?


    「聞くところによると君たち部室とかでもやってるらしいじゃん?」


    …ウチのやつか?




    「…そりゃあ誰だ?」

    黒尾は俺にくるりと背を向けて歩き始める。


    「おい、待てって…。」


    慌てる俺を楽しんでいるようだ。ふふっと笑いながら振り返って言った。



    「まぁ知りたきゃ、明日この時間、時計台な?」
  28. 31 : : 2016/03/12(土) 07:34:28


    昨日のことがどうしても気になって来てしまった。

    やはりどうも何か企んでいるとしか思えなかった。


    青白い電灯に照らされた時計台がもうすぐ2:00を指そうとしている。



    風に揺れて木の葉が擦れ合う音に耳を澄ませる。



    あーほんと俺何してるんだろうなぁ…。


    俺はスガとのこの関係から何を得られただろうか。
    何を得ようとしているのだろうか。

    いくら足掻いたって泣いたってスガが手に入る訳ではない。


    そんなこと分かっている、分かっているのに。

    もしかしたら、と期待しているのだろうか?



    「悪りぃ少し遅くなった。」

    道の向こうからやぁと右手を振りながら黒尾が歩いてくる。

    「あぁ、大丈夫だ。」

    黒尾はどさっと俺の横に腰掛ける。

  29. 32 : : 2016/03/12(土) 07:35:07


    昨日言っていた奴は誰だ?
    お前は何を企んでいる?
    そもそもなんで昨日はあの時間に起きていた?
    今から何が起こる?
    黒尾にばれたことはスガに話すべきか?
    あともう1人いるらしいことも?


    疑問がいろいろ湧いてくる。

    黒尾はまだ何も話さない。



    しばらく沈黙が続いた。



    その時ベンチの後ろの方でザザッと音がした。

    「?!」

    誰かいるのか?

    「…なんだ?あー、猫だろ。ここって夜は猫の溜まり場なんだよねー。」

    なんだ猫か。



    「ははっ、そう慌てるなって。まぁ、これからここはやめとけよ。昨日みたいに、見知らぬ猫にみられちゃうよ?」


    「…っな?!」

    完全に遊ばれている感じだ。
    面白くない。

  30. 33 : : 2016/03/12(土) 07:42:16


    ニヤリと笑っていた黒尾の顔がサッと真剣な顔に変わった。

    身構える。



    「お前さ、辛くないの?」

    予想外の質問だった。


    「…へ?」

    思わず変な声で反応してしまう。

    「よく耐えられるよなー。俺だったら無理だわ。好きなやつ抱いてる時にそいつに別のやつの名前呼ばれてるとか。」


    俺だって好きでやってるわけじゃ…


    「聞かなかったけどさ、お前ああいうのが趣味なの?」


    そんなわけあるか、と反抗しようとした時だった。



    背中がベンチの座面へ打ち付けられる。

    思わぬ衝撃に目を瞑ってしまい、何が起こったのか把握するのが少し遅れた。


    どうも俺は黒尾に押し倒されたらしかった。


    「おまえ何やって…」

    黒尾の顔がまたあの意地悪な笑みを含んでいる。


    「ああいうのが趣味なら、今ここで抱いてやろうか?」

  31. 34 : : 2016/03/12(土) 07:53:55



    「俺も合宿でバレー漬けだし溜まってるから丁度いいんだよね。大丈夫大丈夫痛くしないから、な?」



    黒尾は白い歯を見せてニヤッと笑う。




    ふざけんな。ああいうのが趣味だって?

    俺がどんな気持ちで耐えてきたと思って…




    「…んな。」

    「ん?何?聞こえないよ?」


    「ふざけんなって!俺は!スガだから!あいつだから耐えてきただけで!スガが好きだから耐えられるだけで!ああいうのが趣味とかふざけんなっての!」


    はぁ…はぁ…

    息切れが激しい。心臓がバクバクいっているのがわかる。


    「なんでスガ君なら耐えられるの?やっぱり俺には分かんないわ。」



    だって俺はスガが好きだから…。

    苦しかった。

    涙をぐっとこらえる。


    「……俺はスガが好きなんだよ。」




    「……俺はスガが好きなんだよ。」


    黒尾はまだニヤリと笑っていた。


    「…それが言わせたかった。」

  32. 35 : : 2016/03/13(日) 07:27:30


    黒尾は組んでいた手を離し、態勢を整えて座り直した。

    俺もよく分からないままとりあえず体を起こして座り直す。



    後ろでまた音がする。


    黒尾はすくっと立つと俺を見て言った。


    「烏野の良きライバルである音駒の主将としてお前らの関係が良くないなぁって思っただけだ。お前らがあんな変な雰囲気じゃあ烏野のみんなもやりづらいだろ。」


    そんな変な雰囲気だっただろうか…。

    それなら確かにみんなに迷惑をかけているかもしれない。

  33. 36 : : 2016/03/13(日) 07:27:56


    「で、俺らのことを知ってる烏野のやつは一体誰なんだ?って顔してるね。」


    図星を指される。

    「…あぁ、そうだ。それが知りたくて今日来たんだから。」


    「さっきも言った通り、これはお前らのことを思っての行動だ。まぁ、恨むなよ?」


    言っている言葉は理解できても、その真意がまったくつかめない。


    「だから結局誰なんだって…」



    そこまで言いかけた時、また後ろで音がした。

    今度は明らか猫じゃない、誰かの足音だった。
  34. 37 : : 2016/03/13(日) 07:28:33


    「…僕ですよ。」


    低くもなく高くもなくどこか冷酷な雰囲気をもつ声だ。




    月島だ。


    「月島お前いつから知って…」





    振り向いて、目に飛び込んできた光景に言葉を失った。




    「………なっ?!スガ?!」




    そこにいたのは月島と、スガだった。



    「そんな驚かないでくださいよ。今日の見知らぬ猫は僕と菅原さんだったってだけですよ。」



    見知らぬ猫って………まさかずっとここで聞いていたのか…?!

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ゆら

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