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閑話 東方小話

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  1. 1 : : 2015/11/22(日) 23:44:22
    【注意】

    ・東方小話とありますが、自分の好きなカップリングのお話ばかりです。

    ・1日に1つずつ更新する予定です。

    ・1つ1つはそう長くないです。

    ・上記の通り、カップリング要素が強いので苦手な方はブラウザバック推奨です。


    以上が許せる方はのんびり待っていてください。
  2. 2 : : 2015/11/22(日) 23:46:19
    【その1 妹紅の願い事】



    ある夜の事。

    私は慧音に頼まれごとをされて、竹林から家に帰っている途中だ。

    この時期は毎年、慧音がやってくる。

    慧音は口煩くもあるが、私にとっては掛け替えの無い親友だ。

    親友……だよな?

    いや、最近慧音の私を見る目が何とも言えない熱っぽさを秘めている気がして……。

    ……気のせいだか?

    そんな事を考えていると、いつの間にか家の前に着いていた。

    まあ、別に気にする程の事じゃないか。


    妹紅「ふい〜……ただいま」


    慧音「ああ、妹紅!お帰り。いつも頼りっきりで済まないな」


    妹紅「気にするなよ。ほれ、今年も良い竹があったぞ」


    そう言って抱えていた竹を土間に立てかけて、コンコンと叩く。

    ……うん、良い竹だ。


    慧音「ああ、立派だな。これで今年の七夕も楽しく過ごせるというものだよ」


    慧音はそう言いながらも折り紙を切って短冊を作り続けていた。


    全く、仕事熱心なもんだな。

    私はポケットから煙草を取り出して、火を付けた。

    そのまま玄関に腰掛けて一服する。


    妹紅「ふぅ〜……」


    慧音「妹紅」


    ふと慧音が声をかけてきた。

    振り向くと慧音が短冊と筆を持って後ろに立っていた。


    妹紅「………なんだ?」


    慧音「たまにはお前も願い事でも書いたらどうだ?」


    妹紅「願い事ぉ?……願い事ねぇ」


    慧音「ああ、そうさ。……その、なんだ。だ、誰かとずっと……一緒に、居たいとか、だな。そういうありきたりなのでも良いんだぞ?うん、良いんだ」


    何やら顔を赤らめながらしどろもどろと言っている。

    それにしても願い事……か。


    妹紅「書くのは構わないが、慧音も書いたらどうだ?お前もいつも子供たちの話を聞いてるだけだろ?」


    慧音「へっ!?あっ、あぁ……そうだな。よし、分かった。私も書こう」


    何をそんなに気合を入れているんだか……。

    苦笑しながら私は筆を持った。

    まあ……願い事ならあれくらいしかないからなあ。


    妹紅「慧音、書いたぞ」


    慧音「っ!そ、そうか!私も今書いたところだ。妹紅は何を書いたんだ?」


    妹紅「ん」


    私はそっぽを向きながら慧音に短冊を手渡した。

    慧音はそれを受け取ると、急に静かになった。


    慧音「妹紅」


    妹紅「ん?がっ!?」


    振り向くと目の前に慧音の頭。

    私は慧音に思いっきりの頭突きを食らい、土間に倒れ込んだ。


    妹紅「った〜……おい、何すんだよ!」


    慧音「何すんだよじゃないだろう!何だこの願い事は!」


    私は慧音のあまりの剣幕に少したじろく。


    妹紅「な、何って……私の願い事だよ。おかしくないだろ?」


    慧音「これがおかしくなくて何がおかしいんだっ!何が……何が『死ねますように』だ!」


    慧音の声は半分涙ぐんでいた。


    妹紅「け、慧音……」


    慧音は土間にへたりこんだままの私の胸に顔を埋めた。


    慧音「……お前が、永く生きてきて辛い事にも酷い目にもあったのは承知している。そんな生に飽き飽きしている時があるのも知っている。……でも、私はお前がいないと哀しいよ。切なくなって、胸が裂けそうになって、涙が止まらないんだ」


    妹紅「…………」


    慧音「だから……冗談でも死にたいなんて言わないでくれ。私の哀しみなんて、お前の心にある哀しみと比べたらちっぽけだろう。だけど、お願いだよ妹紅……お願いだ……」


    そう言って慧音は私をひしと抱き締めた。

    それに呼応するかのように私も慧音を抱き締める。


    妹紅「……ごめんな、慧音。もう言わないから」


    慧音「………ああ」


    妹紅「……来年も」


    慧音「え?」


    妹紅「来年も……竹を取りに行くよ。再来年も、そのまた来年も……だから、慧音もどこにも行かないでくれよ。ずっと側に……居てくれ」


    そう言うと私を見上げていた慧音の泣き顔が見る見るうちに紅くなっていった。


    慧音「そっ、その……えっと……。わ、分かった。私で良ければ……共に居よう」


    妹紅「……ありがとう」


    私達は開けっ放しの戸から覗いていた月を土間に座ったまま、しばらく眺めていた。

    戸から吹いた風が、私の短冊を攫って何処かへ飛ばしていく。


    妹紅「そう言えば慧音。お前は何て願い事をしたんだ?」


    慧音「えっ!?あっ、ああ……大したことじゃないよ……大したことじゃ……」


    そう言って慧音は顔を逸らした。


    妹紅「何だよ、教えてくれよ」


    慧音「いっ、嫌だ!」


    妹紅「ふうーん。じゃあ自分で見るからいいさっ!」


    玄関に置いてあった短冊をひょいと掴んで、内容を見る。


    そこには馬鹿丁寧な文字でこう書いてあった。


    『妹紅が二度と独りで泣くことがありませんように 慧音』

  3. 3 : : 2015/11/22(日) 23:52:19


    1話、妹紅の願い事でした。

    1話事に少しだけ語らせてください。暇なんです。

    もこけねですね。はい、最高です。

    私は東方で一番誰が好きかと問われれば迷わず妹紅と答えます。正直大好きです。

    何が好きかってその設定の深さですよね。

    不死であるから死にたくても死にきれず、永い生とし死を絶え間なく繰り返している彼女。

    恐らく哀しみも辛い事も多くあるでしょう。

    それでも頑張って生きているもこたんを僕は応援します。

    慧音もいいですよね。え?何が?

    優しいとこですかね(適当)

    ともかく、読んで下さりありがとうございます。

    2話目はナズ星、ナズーリン×星の予定です。

    お楽しみに。

    ちなみに1話は2000文字ピッタリなんですよ。
  4. 4 : : 2015/11/23(月) 11:54:28
    2828が止まらんですたい

    期待
  5. 5 : : 2015/11/23(月) 18:25:52
    >4

    ありがとうございます。
    のんびり待っていてください。
  6. 6 : : 2015/11/23(月) 23:59:45
    【その2 鼠と虎と釣りと恋】



    突然だが、聞いて欲しい。

    私はナズーリン。鼠の妖怪さ。

    私は命蓮寺と言うところに住んでいて、聖や村紗、一輪達と一緒に暮らしている。

    そしてその中でも私のご主人様にあたるのが、寅丸星。

    ドジでどこか抜けていて、少し頼りない。

    でもやる時はやるし、私達の事をとても大切に思ってくれている。

    ………私の、想い人だ。

    まあ妖怪なのだけれど。

    しかしまあ、前述の通り、ご主人は少し抜けているのだ。

    有り体に言えば鈍感、と言ったところか。

    私がどれだけアプローチしようともご主人は気付いてくれない。

    だから、今日こそはご主人に気づいてもらえるようにと私は作戦を考えてきたのだ。

    ん?今までは考えてこなかったのか?

    ……いや、そうではないけれど……まあ、うん。その話はまた今度だな。

    と、とりあえず私は早速ご主人の所に行くから。

    今日こそは成功させてみせるぞ。




    ナズ「ご、ご主人」


    星「ああ!ナズーリン。丁度いいところに」


    ナズ「ん?丁度いいところに……?」


    よくよくご主人の姿を見てみると、いつもの着物姿ではなく薄いシャツと短パンと言った部屋着のような姿をしていた。


    ナズ「ご主人、その格好は……?」


    星「いや実はですね、最近私達、ろくにご飯食べれてないじゃないですか」


    ナズ「ああ……聖が村の貧しい人に分け与えてたらいつの間にか無くなったんだったな。聖も人が良すぎるんだよ全く……」


    ぶつくさと言っていたらご主人は苦笑して、まあまあと嗜めるように言った。

    そうだった、今日はご主人に気づいてもらうのだった。こんな所で印象を悪くしてはいけないな。


    ナズ「それで、それとその格好はどういう関係があるんだ?」


    星「そうそう。だから今日は湖に釣りに行こうって思いましてね」


    ナズ「成程。自ら食材を調達しようという事か。いいんじゃないか?」


    星「でしょう?だからそれにナズーリンにも一緒に来て欲しくて」


    ナズ「わ、私にっ!?……へ、へぇ。仕方ないな、着いていってあげてもいいけど……私は釣りはした事はないぞ?」


    星「良いですよ、私が教えますから。まあ教えるほど難しいものでもないですけどね」


    ……完璧だ。

    まさかご主人と2人きりになれるチャンスがこうも簡単に掴めるとは。

    何だか、アプローチも上手く行くような気がしてきたぞ。


    ナズ「そ、そうか……。う、うん、まあどうしてもと言うなら着いていってあげようかな」


    星「そうですか!良かった!やはり人手は多い方が良いですからね!」


    ナズ「えっ?」


    村紗「おーい、星。準備出来たよ〜」


    一輪「ん?ナズーリンも行くの?」


    星「はい、ナズーリンも一緒に行ってくれるみたいですよ」


    ナズ「……えっ?」


    聖「そうですか!ナズーリンも来てくれるのですね!やはり皆で行った方が収穫も多いでしょうし良い事です!一緒に湖の主を釣り上げましょう!」


    長い髪を後ろで1本に束ね、気合十分の聖がズバーンと戸を開いて釣竿を担いで現れた。


    ナズ「ご、ご主人……?」


    星「ん?どうしたのですか?皆で行った方が楽しいでしょう?」


    ナズ「あ、ああ……いや、はは……そうだな。そう……だよな……」


    世の中、そう上手くはいかないと痛感した一瞬であった。


    ぬえ「早く行こ〜よ〜」


    村紗「よし、それじゃあ出発だー!」


    かくして、私は寺の皆と湖に行くことになった。

    ……ま、まあまだチャンスはあるから大丈夫。

    大丈夫……なハズだ。




  7. 7 : : 2015/11/24(火) 00:03:30




    村紗「よっ、と」


    やはり村紗は船長を務めるだけあって釣りやら何やらとそう言った事はかなり得意らしい。

    現に今釣れている魚の大半は村紗が釣り上げたものだ。

    私はと言えばご主人から近くも遠くもない場所で、1人でご主人をチラ見しながら釣りをしている有様である。

    ちなみに釣りは村紗から習った。

    と言うか村紗が道中に教えてくれたからご主人から習うはずだった予定が消えたのだ。

    ぐぬぬ……。こんな筈では無かったのに。


    ぬえ「……ナズ、釣竿引いてるよ」


    だいたいご主人があんな言い方をするから2人きりかと期待してしまったんだ。

    喜んでいた私が間抜けみたいじゃないか。


    ぬえ「おーい?ナズ?おーい」


    むぅ……そう考えると腹が立ってきたぞ。

    こうなればご主人より魚を釣り上げて、自慢してやろう。

    きっとご主人驚くだろうな。


    ぬえ「何でニヤニヤしてんの……?ほらナズ、釣竿引かないと」


    ナズ「え?」


    ふと真横からぬえの声が聞こえたと思って振り向いた拍子に釣竿から手が離れてしまう。


    ナズ「あぁっ!?」


    ぬえ「あーらら、私知らなーい」


    私の釣竿はあっという間に湖の底に吸い込まれていった。

    何ともツイていない。


    星「ナズーリン、大丈夫ですか?」


    ナズ「ご、ご主人!?え、あぁ……まあ、大丈夫さ。釣竿くらい…探せば何処かに落ちているだろうし」


    星「こんな日までわざわざ遠くまで探しに行かなくても良いですよ。私と一緒に釣りましょう」


    ナズ「っ!良いのか……?あ、いや……し、仕方ないな。ご主人が言うなら付き合ってあげるよ」


    前言撤回である。今日はやっぱりツイているみたいだ。

    すすすとご主人と肩が触れ合うくらいの距離までピタリとくっつく。

    ご主人はそれにはあまり気に留めず釣竿を持ってほけーっとしていた。

    すると、釣竿がビクっと動く。


    星「おっ!来ましたね!」


    ナズ「が、頑張れご主人!」


    グググとご主人が力を入れて引っ張るがなかなか出て来ない。


    星「くっ!これは大物ですね!しかし私は負けませんよ!」


    ナズ「ご主人!もっとだ!もっと思いっきり!」


    星「はああああっ!」


    ザバァンと湖から獲物が勢い良く飛び出してきた。

    流石ご主人だ。私のご主人はやる時はしっかりやってくれる。

    私は釣竿の先に付いている獲物を見た。

    釣竿の先に付いている物、それは……間違いなく…………長靴、だった。

    え?長靴?


    星「あれぇ……おかしいなあ。魚だと思ったんだけどなあ」


    いやいや……流石にご主人、無理があるだろう。

    まあご主人が抜けているのは今に始まった事ではないし……。


    ナズ「は、はは……まあそういう日もあるさ。気を取り直して次に行こう」


    星「そうですね!そうしましょう!」


  8. 8 : : 2015/11/24(火) 00:07:21




    数時間後。

    長靴。タイヤ。バケツ。鉄板。タイヤ。チルノ。タイヤ。長靴。タイヤ……以下省略。


    星「あっれー?おかしいなあ」


    ナズ「……ご主人、宝塔は」


    星「え?持ってきましたよ。確かこの辺に……ん?あれ?あれー……?お、おかしいなあ……」


    ナズ「ご主人……」


    そう。ご主人のドジは今に始まった事ではない。

    今に始まった事ではない、が。

    それをみすみすと見過ごしてあげるほど私は甘くはない。


    ナズ「ん?ご主人?無いのか?無くしたのか?落としたのか?」


    星「え、えぇー………っとぉ、はい……無くしました」


    往生際が良いところはご主人の美点だな。

    まあ、だからと言って許しはしないが。


    ナズ「こんっ……のっ、バカご主人がー!!!」


    星「ひええ、ごめんなさいぃ」


    ナズ「いつもいつも無くしてから気づくのが遅いんだ!だからどこで無くしたかも分からなくなって探すのに苦労するんだよ!誰が探しているのか分かってるのか!?私だよ!!だいたいどれだけ近づいてもご主人は無反応の超鈍感……今日だって2人で釣りに行くのかと思えば皆で行くーって、それはないぞ!酷い仕打ちだ!それにだな……!」


    星「あ、あの……ナズーリン?超鈍感ってどういう……?」


    これだけ言ってもこの人は気づかないのか!?

    じゃあ言ってやる!

    ああ、言ってやるとも!


    ナズ「私が、ご主人を好きだって何で気づかないのかって意味だ!!」


    星「……………はい?」


    ナズ「えぇ!?……………あっ」


    あっ。

    あっあっあっ。


    ナズ「あっ……ああっ……ちっ、違うんだ……いっ、今のは、えっと」


    やってしまった。

    つい熱くなっててズバッと言ってしまった。

    血の気がサーッと引いて、そしてまた顔が熱くなっていく。

    だ、駄目だ。ご主人の前に立ってるのすら辛い。


    ナズ「あっ、えっと、わ、私は用事がっあるから……さ、先に戻るぞ!」


    と、言って駆け出そうとしたら腕を掴まれた。

    もちろん掴んだのはご主人である。


    星「ナズーリン」


    ご主人がいつにもなく真面目な眼差しで私を見つめてきた。

    その視線に射止められたかのように私はピタリと動けなくなってしまう。

    虎に睨まれた鼠……逃げられる訳もない。


    ナズ「な、なんだ……ご主人」


    声が震えていた。

    緊張と不安とその他諸々が混ざりあっている。


    星「ナズーリンは私が貴女の気待ちに気づいていないと言いましたけど、貴女も同じですよ」


    ナズ「えっ?」


    星「私だって、貴女をずっと思っていましたから。貴女には伝わっていなかったみたいですけどね。やっぱり声に出さないと伝わらないものですよ、こういうのは」


    ナズ「ご、ご主人……?ほ、本当か?本当に……そうなのか?」


    星「もちろん!私はお説教も多いし、すぐ怒るけど誰よりも優しく、聡明なナズーリンが大好きですよ!とてもとても大好きです!」


    そう言ってご主人は私に笑いかける。

    私は嬉しくて、でも信じられなくて、色んな感情が混ざって溶けて、心がパンクしそうになる。


    それでもどうにか声を絞り出して想いの丈を伝えなければ。


    ナズ「わ、私も……ご主人が……ご主人が……す、好きだ……ぞ」


    かなり小さな声だったけど、それでもどうにか最後まで言えた。

    ご主人はニッコリと笑ってくれた。


    星「それは……とても嬉しいですね」


    ナズ「……なら、良かった」


    そう言って、ご主人の眼を見る。

    目が合った。そしたら何か可笑しくなって思わず吹き出してしまった。

    ご主人も同じようにして笑った。


  9. 9 : : 2015/11/24(火) 00:08:13



    しばらくして、ひとしきり笑った後にはもう怒っていた事なんて忘れていた。


    ナズ「ふう……まあ、ご主人。今回無くした事は大目に見てあげるよ。後で探しておくから心配しないで」


    星「本当ですか!?やっぱりナズーリンは優しいですね!」


    ナズ「そ、そうかな……ご主人に言われると、嬉しいな」


    そう言うと、あっとご主人が声を上げた。


    星「そうそう。言おうと思ってたことがあるんですよ」


    ナズ「ん?どうしたんだ?」


    ご主人は声を潜めて私に言った。


    星「あの、さっき近くにナズーリンが座っていた時に思ったんですけど。……ナズーリン、お風呂入ってます?ちょっと、汗臭いですよ?」


    ナズ「……………え?」


    星「お風呂はちゃんと入った方が良いですよ!」


    こんのっ………!

    バカご主人はぁっ……!


    ナズ「バカご主人っっっ!!!宝塔は自分で探せ!!!だいたい私がせっかく機嫌を直して探しに行ってやるって言ったのにそれを今言うか!?言わないだろう!?雰囲気ぶち壊しだ!!そもそもご主人は空気が読めないんだ!だからあの時もこの時も……!」


    星「わわっ!ごめんなさいナズーリン!そ、そんなつもりは……!」


    ナズ「じゃあどんなつもりだったんだっ!!」









    村紗「まーたやってるよ」


    一輪「喧嘩するほど仲が良いってね。良いことじゃないか」


    聖「いえ!喧嘩はいけません!私が止めてきます!」


    ぬえ「あっ、ちょっ!?……あーあ、行っちゃった」


    村紗「ま、楽しそうで何よりだ。私たちは先に帰ろう」



    その後、2人は聖に仲良く抱えられて帰ってきたとさ。


  10. 10 : : 2015/11/24(火) 00:12:27



    2話、鼠と虎と釣りと恋でした。

    ナズーリン、可愛いですよね。

    それぞれの作品で推しメンを考えるとしたらなら星蓮船ならナズーリンか聖ですね。

    どうも自分はツンデレとか苦労人キャラが好きみたいです。

    それはそうと何か後半は何処の少女漫画だって感じでしたね。

    何となく嫌な終わり方をしたと思います。

    まあ今回は少し長くなりすぎたので、次回はもっとキチッとおさめたいものです。

    次回はめーさく、美鈴×咲夜です。

    ではお楽しみに。

    ちなみに1日1話ですが、私が寝るまで私の1日は終わりませんよね。
  11. 11 : : 2015/11/25(水) 00:00:35
    【その3 夜咲のへメロカリス】




    その日は雨が降っていた。

    私は雨は嫌いじゃない。むしろ好きな部類でもある。

    だって雨が降った日は寝ぼすけな門番も館内にいるから。

    流石に雨の日まで外に立てという程、お人……もとい吸血鬼の悪いお嬢様ではない。

    紅い髪の美しい女性。

    いや、人では無いか。あの人は妖怪。私は人間。

    越えれるはずのない壁が無情にも私達を隔てている事は確かであった。

    と、そんな事はどうでも良かった。

    今私が何をしているかと言えば、それはメイドの仕事でも無くかといって私が何らかの趣味を持ってそれを楽しんでいるという訳でもない。

    身体中に鉛が仕込んであるかの様な倦怠感と焚き火に当てられてるかの様に熱い額、全身がふわふわと浮遊感を覚えている。

    まあ分かる人はすぐに分かるだろうし、別段隠すことではないのだけれど……。

    その時、コンコンとドアをノックする音が部屋に響いた。

    ぼーっとする頭でそれを聞くと、咳き込みながらどうぞ、とだけ答える。

    そしてがちゃりとドアを開けて入って来たのは他でも無い紅い髪の持ち主。


    ───────紅美鈴だ。



    美鈴「咲夜さん……具合どうです?」


    ……貴女が入ってきたお陰で体温が倍近く上がったわ。

    なんて、言えるはずも無いのだけど。

    そう、私こと十六夜咲夜は、人生初の風邪を体験している真っ最中なのだ。


    咲夜「大丈夫よ……心配しないで。すぐに仕事に戻るわ、ゴホッ」


    と、言いはしたものの直後に咳が出てしまう。

    これじゃ余計に心配されるだけじゃない。

    案の定、美鈴は心配そうな顔をして私の寝ているベッドの近くの椅子に腰掛けた。


    美鈴「咲夜さん、説得力ありませんよ。私もいますし、今日はゆっくり休んでください」


    咲夜「そういう訳にもいかないわ。メイド長がこんな姿では示しがつかないもの」


    そうやって私はベッドから起き上がろうとした。

    が、それは美鈴に阻まれてしまう。

    ガシッと肩を掴まれて、ストンとベッドに座り直させられる。


    美鈴「駄目ですよ、咲夜さん。今日はメイドも何もかんも完全休養日ですからね!お嬢様も是非そうしなさいと仰られてましたし!ほらほら、横になってください」


    そう言って半ば強引にベッドの中に戻される。

    もう……心配し過ぎなのよ。

    そうは思うけれど、彼女の優しさを嬉しくも思い、少しだけ笑みが零れてしまった。


    美鈴「全く……昨日、無理してお嬢様達と湖で水遊びなんてするからですよ?」


    咲夜「め、美鈴だってしてたじゃない。何も私だけじゃないわ」


    美鈴「私は良いんですよ、妖怪だし門番は代わりも利きますから。咲夜さんは人間なんですから、あまり無理をしないで下さいよ……こっちの身が持ちません」


    それを聞いて私は思わず黙ってしまう。

    自然と彼女が、自分が妖怪で私は人間だからと言っていたのが気にかかったのだ。

    彼女もそれに気づいてか慌てて、言い訳をした。


    美鈴「あっ、いや……別にそういう意味では無くてですね……!ついうっかりと言いますか……!」


    咲夜「いいのよ、気にしないで」


    私はそう言って美鈴の頬に手を添える。

    彼女の柔らかい頬をなぞるように動かすと彼女は照れたように顔を紅潮させた。


    咲夜「貴女の言う通りだもの。私は人間で貴女は妖怪。一緒にいられる時間は少ないかも知れないけど、私は貴女といれれば私の時間が終わる直前まで、世界一の幸せ者なんだから」


    熱に浮かされてしまったのか、思いのほか舌が回った。

    思い返すと、少し恥ずかしくなって顔が熱くなるのが分かった。

    美鈴も黙ったままで、少し気まずくなりそうだったので、適当に何かを言おうとした。


    咲夜「ま、まあ、世界一って言うのはのはちょっと言い過ぎ――――――――――ッ!?」


    と、途中まで言いかけた所で、美鈴が急に抱きついてきた。

    余りにも急だったので思わず目を白黒させてしまう。


    咲夜「ちょ、ちょっと美鈴……」


    美鈴「……咲夜さん」


    そう言って彼女は、私の胸に顔を埋めながらますますぎゅうっと抱きしめた。

  12. 12 : : 2015/11/25(水) 00:03:07


    咲夜「……もう、風邪がうつっても知らないわよ?」


    私は口ではそう言いながらも美鈴の頭を撫でて、離そうとはしなかった。

    美鈴は熱っぽい眼差しを私に向けながら言った。


    美鈴「風邪が私にうつって、咲夜さんが元気になるなら私は全然構わないですよ」


    咲夜「まあ、貴女にはうつらなさそうだけどね。いつも元気が有り余ってるもの」


    美鈴がこんな風にしおらしく、私に甘えてくるのは決まって2人きりの時だけだった。

    私はこの美鈴を見れるのが自分だけだと思うとちょっと優越感に浸ってしまう。

    こんなに可愛らしい美鈴を独り占めできるなんてとても素敵な事だもの。


    美鈴「もし、うつせる方法があるって言ったらどうします?」


    と、不意に美鈴が顔を上げて私に聞いてきた。


    咲夜「そんな方法があるのかしら?まああるなら……いや、貴女が風邪引くのは良くないけど」


    そう言うと美鈴は少しにやりと笑って、パッと私から離れた。

    私が不思議そうな顔をしていると、美鈴はニコニコしながら私に問いかけた。


    美鈴「今から、咲夜さんの中にある風邪を私の方にうつしますよ〜」


    咲夜「本当に出来るの……?無理はしないでね?」


    美鈴「だーいじょうぶです!」


    美鈴はそう言うや否や、私に抱きついて素早く唇を奪った。


    咲夜「んんっ!?」


    驚いて離れようとするも、がっちりと後ろに回された手がそうさせてくれない。

    その状態がちょっとの間続いて、息苦しくなり始めた頃にパッと離れてくれた。


    咲夜「きゅ、急にどうしたのよ!?ビックリするじゃない!」


    美鈴「えへへ、ごめんなさい。でも身体は楽になったでしょう?」


    咲夜「そんなすぐに効果が……って嘘、身体が重くない……!?」


    本当に重くないのである。

    さっきまでぼぉっとしてた頭は今はもうスッキリと冴えているし、咳も止まった。

    まるで風邪だった事が嘘のようだった。


    美鈴「だから言ったじゃないですかあ。これで咲夜さんもしっかり働けますね!」


    咲夜「そ、それはいいのだけど……美鈴は?美鈴は大丈夫なの?」


    美鈴「へ?何がですか?」


    咲夜「風邪よ!貴女のほうにうつっちゃったんじゃ……」


    美鈴「ああ!その事なら冗談ですよ、冗談」


    そう言って彼女は笑った。


    咲夜「じょ、冗談……?」


    美鈴「そうです。タネ明かしをしますと、私の気を操る力で咲夜さんの中に留まっていた悪い気を他方に流して楽にしたんですよ」


    咲夜「えっ……?じゃ、じゃあさっきの……キスは……?」


    そう言うと美鈴は悪戯っぽく微笑み、人差し指を唇に当てた。


    美鈴「あれは、おまけ……ですよ」


    そう言うと彼女はニカッと笑った。

    まったく……本当に困ってしまうわ。

    彼女の悪戯に、彼女の大胆さに。

    そして、もう一度私に風邪をうつして欲しいと思ってしまう私の心にも、ね?



    咲夜「また、看病してね?美鈴……」




  13. 13 : : 2015/11/25(水) 00:06:49




    3話、夜咲のへメロカリスでした。

    咲夜さん、完璧で瀟洒なメイドですね。
    可愛いです。

    しかし私的には美鈴の方がタイプですかね。

    あの苦労人キャラと元気で活発そうな雰囲気。

    あの感じがたまならなく好きです。

    そんな正反対な2人のカップリングですが、いつも優位に立っている咲夜さんが今回は美鈴にしてやられると言った具合でした。

    攻守逆転、好きですね。

    次回はあやはた、文×はたてですね。

    お楽しみに!
  14. 14 : : 2015/11/25(水) 00:29:04
    ありがとうございます
    めーさくごちそうさまです
    ナズーリン&星も素晴らしかったです
    めーさくありがとうございます
  15. 15 : : 2015/11/25(水) 20:30:12
    >>14
    ありがとうございます
    書きたいものを書いて喜んでいただけると嬉しいものです
  16. 16 : : 2015/11/25(水) 20:31:08
    昨夜、あやはたを書くと言ったな。




    あれは嘘だ。




    本日はあやもみになります。文×椛です。
    ヨロシクドーゾ。



  17. 17 : : 2015/11/25(水) 23:06:55


    【その4 犬走椛の休日】




    どうも。犬走です。

    哨戒天狗として日々、天狗の山をパトロールするのが私の仕事なのですが、今日はお休みが取れました。

    と言っても、わりと天狗の山も平和ですから基本的に勤務中も将棋を指していることが多いのですけどね。

    まあお休みと勤務中の将棋は違います。

    特に今日は久しぶりのお休みなので、人里まで降りていって買い出しをしてみようかなと思っています。

    私は山をのんびり降りながら休日の嬉しさを噛み締めました。

    やはり、休日とは良いものですね。


    文「スクープ!天狗の山の下っ端社畜わんこの休日を完全解明!……うーん、インパクトに欠けますねえ。なんか人里で事件の1つや2つくらい起こしません?」


    椛「起こしませんよ」


    ……文さんがついてくる事を除けば、ですが。

    のんびりと山を降りていたら文さんに見つかり、ネタが無かったのか椛で我慢しますか、等と失礼な事を言いながらこうやってついて来られるのです。


    文「それで、本日のご予定は?」


    椛「……まず小傘さんに刀の手入れをして貰おうかなと」


    文「あの茄子色の傘の妖怪ですか。確かにあの人は鍛冶が得意でしたね。では早速レッツゴーですね!」


    ……休日くらい自分のペースで行かせてもらいたいものです。

    まあ早く行ったら行ったで時間に余裕も生まれますし、早いに越したことはないんですけどね。

    私は1つ溜息をついて、文さんの後ろについて行きました。
  18. 18 : : 2015/11/25(水) 23:07:57


    人里へ降りて行き、小傘さんの鍛冶屋にやってきました。


    椛「小傘さーん」


    小傘「あー、いらっしゃい!待ってたよ〜」


    文「ややっ!これは多々良小傘さん!相変わらず仕事に精が出ますねえ」


    小傘「うわ、何でこの人まで来てるの」


    小傘さんは事ある事に文さんにネタにされてきた被害者……文さんからすればネタの宝庫と言ったところですかね。

    そう言ったこともあってどうやら苦手意識を抱いているみたいです。


    椛「まあ色々ありまして……それより刀のメンテナンスお願いできますか?」


    小傘「任せといて!そんなにかからないけどちょっと時間取るから用事があるなら先に済ませてきなよ」


    椛「分かりました、じゃあ後でまた来ますね」


    文「えぇ!?椛、なんか他にないんですか!?」


    文さんが不満と驚きを混ぜたような顔で私を引き止めた。


    椛「他に……って何かありますかね」


    文「ありますでしょうよ!何かこう……もっと、刀に対する思い入れだとか、新しい刀が欲しいーだとか……そんな感じに!」


    椛「えぇ……。別に何も……新しい刀も下っ端の安月給じゃ買えませんしねえ」


    文「全く……つまらないです!ネタにならないじゃないですか!」


    椛「そんな事言われましても、別に私は普段通りの休日ですから」


    文さんはむーっと唸りながらも、鍛冶屋を出た私の後ろに付いてくるのでした。


    椛「まったく……相変わらず暇そうで羨ましいですねぇ」


    文「あやや!?取材ですよ、取材!立派な仕事です!」


    椛「冷やかしって言うんですよ〜それ」


    何て雑談しながら、私は食料などの日用品をサクサクと買って回るのでした。

    その途中で、文さんが何かを指さしながら言いました。


    文「椛!あのお店行きましょう!」


    椛「甘味……処?まだ用事があるんで、終わってからね」


    おっと、ついうっかり素が出てしまいました。

    こうやって話していると昔を思い出すものですね。


    文「言いましたからね!約束ですよ!」


    椛「はいはい」


    まったく……ワガママな子供に振り回されている気分になります。

    と、そろそろお昼時ですね。


    椛「文さん、お昼何処にします?」


    文「椛の行きつけのお店とか無いんです?あるならそこにしましょうよ、多少はネタになります」


    椛「あなた本当にネタの事しか頭にありませんね……」


    文「当たり前じゃないですか!取材なんだから!」


    私はそれに苦笑しつつ、行きつけの麺屋に足を運びました。


    椛「おじさん、ラーメン2つ」


    文「あ、1つはチャーシュー多めで」


    椛「何勝手に頼んでるんですか……」


    文「ゴチになります〜!」


    椛「私、奢りませんからね?」


    相変わらず文さんの横暴さには呆れます。

    流石にもう慣れましたけど、傍若無人とはまさにこの人の為にあるような言葉じゃないでしょうか。

    そんなこんなで私達は昼食を済ませて、再び小傘さんの元へ戻ることにしました。
  19. 19 : : 2015/11/25(水) 23:08:54


    小傘「お、出来てるよ〜」


    鍛冶屋に入るや否や、小傘さんは私に刀を手渡してくれました。

    私はその刀を見詰めます。

    ……横で文さんが写真を撮りまくってるのはとりあえず無視しておきましょう。

    刃はまるで斬れないものは無いと言わんばかりに鋭く、刀身が光を反射し鈍く光っていました。

    うん、流石小傘さんと言ったところでしょうか。

    鍛冶屋の才能は天下一品の様です。


    椛「ありがとうございます、またお願いしますね」


    小傘「任しといて〜!」


    小傘さんは愛想良く私達を見送ってくれました。


    文「あの小傘さん、鍛冶の腕前だけは本当に凄いですね。私もあれには口出しの仕様が無いです」


    あの傍若無人な文さんをここまで言わせるところで、小傘さんの凄さが伝わるでしょう?


    椛「時間も余ってますし、さっきの甘味処で適当に何か買って帰りましょうか」


    文「おおっ、待ってました!やはり甘い物は大事ですものね〜!」


    椛「取材してる立場なんですから、少しくらい遠慮したらどうなんです?」


    文「やだなあ、椛に遠慮するなんて私らしくないでしょう?」


    ………全く、この人ときたら。

    私は思わず苦笑してしまいました。

    文さんのこの横暴さも慣れてしまえば笑えてくるのです。

    私達は甘味処で適当に、主に文さんのお菓子を買って山へと引き返しました。

    山の中腹にある、ベンチに私は腰掛けて甘味処で買ったラムネを開けます。


    文「むぐむぐ……全く、椛の休日は普通すぎてダメですね!ボツですよこんなの、むぐむぐ」


    団子を2本も3本も咥えながら文さんは私に嫌味を垂れ流してきます。

    甘味を食べながら嫌味とは……これ如何に。


    椛「そうです?たまにはこうやって2人で出かけるのも悪くないと思いましたけど。昔を思い出しましたよ」


    文「ぅえっ……?」


    私がそう言うと文さんは少し面食らったようにしてそっぽを向いてしまいました。

    もしや……?


    椛「あれ?もしかして照れました?」


    文「て、照れてません」


    思わず私はニヤリと笑ってしまいました。


    椛「嘘。文さんってたまにちょっと可愛いですよね」


    文「照れてないったら!もう!」


    椛「あはは、冗談ですよ。怒らないでください」


    文さんは赤面させながらぷりぷりと私に怒りを顕にしました。

    そんな様子も可愛いと思えるから、不思議ですね。


    椛「……昔はいつも可愛げのある子供だったんですけどねえ」


    文「昔の話はダメです!」


    そう言って文さんは手に持っていた団扇でベシンと私のおでこを叩くのです。

    そして、私が何かを言う前に飛び去ってしまいました。


    椛「………もうちょっと、寄り道してあげても良かったかなあ」


    私は山の真ん中で1人、そう呟いたのでした。






    ちなみに、その翌日の新聞は私の休日の事でした。

    本人はネタが他になかったから渋々これにしたと言ってましたが、いつもより多く売れてたみたいですね。

    まあ、こういうお休みがあるのも良いことだと思いました。

    また、2人で出かけたいなと思います。

    今度はもうちょっと色んな所に行ってみようかなあ。






  20. 20 : : 2015/11/25(水) 23:12:18


    4話、犬走椛の休日でした。

    何もラブラブするだけがカップリングだけじゃないと思うんですね。

    こうやって何も無い平和な感じのお話も結構良いのではないでしょうか。

    ちなみに椛は結構好きです。

    キャラの幅も結構広いし、色んな立ち回りがさせられるので便利ですね。

    まあそれを言えば文も不憫キャラから胡散臭いキャラ、同じく色んな立ち回りが出来ますよね。

    天狗は一貫して、そう言ったイメージがあります。

    要約すると大好きってことです。

    さて、明日はレミパチェ、レミリア×パチュリーです。

    お楽しみに!
  21. 21 : : 2015/11/26(木) 22:32:25


    【その5 魔法使いの夜】



    「こあ、今何時かしら?」


    小悪魔「えーっと、朝の9時ですね。おはようございます」


    パチュリー「おはよう。前回魔理沙が図書館にやって来たのはいつだった?」


    小悪魔「えーっと、五日前のはずです」


    パチュリー「成程。徹夜五日目ってとこね。流石に腰が痛くなってきたわ」


    ちなみに言葉を発したのもその日以来である。

    魔法使いなんて皆そんなものよ、普通はね。

    あの泥棒魔女が異常なだけなのだから私にあそこまでの会話力は求めないで欲しいわ。

    とは言え、私はその魔女の中でも特に時間を忘れて読書に没頭するタイプね。


    小悪魔「ま、わかりやすく言えばパチュリー様は魔女の中でも特に引きこもりって事ですね」


    パチュリー「ちょっと、私がせっかく当たり障りのない言い方をしたのにぶち壊さないで頂戴」


    そう言うと小悪魔は、はーいと気の無い返事をして本の整理に戻った。

    さて、私も読書に戻ろうかしら……。


    「パ~チェ~……」


    と、ここで館の主が登場。私の読書は中断される。

    本に栞を挟んで、一旦閉じる。


    パチュリー「どうしたのレミィ、夜更しは体に毒よ?」


    念の為に補足しておくけど、レミィは吸血鬼。

    無論、夜行性であるから人間で言うところの朝方に眠りにつき、夕方近くに目を覚ますのだ。

    しかし今は朝の9時。

    吸血鬼にしてはかなり夜更しをしている方だ。


    レミリア「何だか眠れないの。こっちで寝てもいいかしら?」


    と、私に許可を取るように聞いてくるものの体は既にソファにあずけられており、断られる気なんて皆無であった。


    パチュリー「駄目って言ってもどうせ聞かないんでしょ。勝手にしなさい」


    ん~と返事だと思われる唸り声を上げて枕に顔を埋める。

    私は再び本に目を落としながら、一言レミィに声をかけた。


    パチュリー「最近調子に乗って昼夜逆転の生活をするからそうなるのよ?少しは自重なさい」


    レミリア「いいじゃない少しくらい。ね、それよりもパチェ、すぐに快眠出来るような魔法は無いのかしら?」


    パチュリー「あのねえ、そうやってすぐに魔術に頼らずに自分が節制することを覚えなさいよ」


    レミリア「あー、そんな事言って。本当はそんな魔法使えないから誤魔化してるんでしょ」


    むっ。

    お馬鹿な吸血鬼のくせに生意気な奴め。

    流石にそこまで言われて何も言い返さない私でもない。


    パチュリー「誰も出来ないなんて言ってないわ」


    そう言いながらある本を1つ魔法で呼び寄せる。


    レミリア「さっすがパチェね!」


    と、彼女はしてやったり顔でくすくす笑った。


    『チョロいチョロい、にひひ』


    なーんて、思ってるんでしょうね。まったく、思考が単純過ぎるわ。

    見た目だけじゃなくて中身も幼児並な時もあるのよね。


    レミリア「ほら早く詠唱してくれよ」


    パチュリー「仕方ないわねえ……隣、失礼するわよ」


    ソファに座って足をパタパタさせながらそうねだる彼女の横に私は腰掛けた。

    そして私は取り出した本を開く。


    レミリア「……?なにこれ、まるで絵本じゃない」


    パチュリー「そういう魔術書なの。文句言わないで大人しく聞いてなさい」


    ふうん、と分かったような分からなかったような声で彼女は返事をした。


    パチュリー「むかーしむかし、ある所に……」


    レミリア「お前読むの下手だな」


    パチュリー「……うっさい」


    そんな風に話しながらも私はその『魔術書』を読み進めていった。











    レミリア「くー……」


    私は彼女が寝入ったのを見て、本を閉じた。

    まったく、膝の上に寝られたら私も動けないじゃない。


    小悪魔「やや、パチュリー様。お嬢様を寝かしつけるとはなかなかやりますね。一体どんな魔法を?」


    小悪魔が本棚の影からすすっと出てきた。


    パチュリー「あら、魔法なんて使ってないわよ?お子様を寝かしつけるのなんて、絵本1冊あれば十分だもの」


    小悪魔「ほほー、パチュリー様も策士ですねえ」


    なんて、小悪魔は私を褒めるけれどこれは私が凄いのではない。


    レミィが、チョロすぎるだけなのだ。



    パチュリー「まったく、館の主とは言っても、チョロイもんね」


    さてと、レミィの頭が膝の上にあって動けないことだし、私も久々に眠ってみようかな。






    小悪魔「ふふ、全く仲良しですねえ」






    そう言いながら小悪魔が2人に毛布をかけたのに気付くのは彼女達が起きる真夜中の事だったとさ。



  22. 22 : : 2015/11/26(木) 22:35:36


    5話、魔法使いの夜でした。

    カリスマレミィも良いですが、お子様レミィも大好きです。

    なんと言うかわがままお嬢様っていうポジション結構美味しいと思います。

    それを手玉に取るパチュリーやら振り回される咲夜やらも美味しいです。

    ちなみに5話はおわかりの通り、手抜き感たっぷりです。

    許してください、テスト真っ只中です。

    とりあえず5話で今回は終わりです。

    要望と私の暇が許せば続編もある可能性はありますからまあ気長に待っていてください。

    それではありがとうございました。

  23. 23 : : 2015/12/06(日) 05:22:30
    お疲れ様でした。
    大体ニヤニヤしてました←
    と言うかせずにはいられないですよw

    話の内容がすっと入ってくるような文面になっていたので、至極読みやすかったです。
  24. 24 : : 2016/02/24(水) 19:45:31
    お疲れ様ですー

    すごく洗練された文章でした!
  25. 25 : : 2016/11/22(火) 19:18:56
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