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思い出のミルクティー

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  1. 1 : : 2015/11/02(月) 04:07:36

    赤葦と木兎さんのSSです!
    口調違うかも知れませんが、読んでいただけると、とっても嬉しいです(*´v`)


  2. 2 : : 2015/11/02(月) 04:08:48



    初めて自傷行為をしたのは中学二年生の夏。


    その時はただ単に気を落ち着かせるために。

    それだけだった。しかし、それは一種の麻薬のようなとても強い依存力を持っており、俺は自傷行為をしないと落ち着かない身体になってしまった。

    家に帰ると部屋に直行し、机にしまっているカッターナイフで二の腕あたりや、太ももなどを切った。特に新しい刃に変えた時はとても切れ味が良く、いつもと同じ力でも出る血の量が違った。



    なるべく部活に支障が出ないように。

    ユニフォームに隠れるように。









  3. 3 : : 2015/11/02(月) 04:10:37


    しかし、いつまでもバレずにできる訳ではなく。高校二年の秋に一番バレたく無い人にバレた。

    バレた発端はほんの些細な事だった。


    少し肌寒くなってきたため、俺は長袖の体操服を着て部活に出ていた。トスを上げている内にカッターナイフで切った傷口が痒くなってきたので服の上から擦った。部活も終わり、部室で着替えている時に梟谷学園高校排球部の主将、木兎さんに言われた。



    「赤葦、その血どうしたんだ?」



    急いで体操服を見た。どうやら体操服に血が滲んでいたみたいだ。
    飼っている猫に引っ掻かれて、などと曖昧な言い訳をしていると木兎さんが俺の腕を掴み、体操服の袖を捲りあげた。
    振り払おうとしても木兎さんの力には適わず、とうとう傷口を見られてしまった。

    誰が見ても自傷行為と分かる傷跡。同じ所に複数の切った跡。

    木兎さんは傷口を見るなり俺を手洗い場に連れていった。時間が経って固まった血を優しく洗い流してくれた。洗い終わったら自分のタオルで拭いてくれた。



    そして、俺に一言



    「保健室に行こう」





    傷の手当てをしてもらうためか、カウンセリングを受けてもらうためか。どちらにせよ俺は保健室には行きたくなかった。
  4. 4 : : 2015/11/02(月) 04:12:22



    理由は単純。


    家族に言われるから。


    きっと母親が知ったらヒステリックを起こすだろう。
    きっと父親が知ったら俺を怒鳴り散らすだろう。


    それが嫌だったから。


    俺の家庭は今でも壊れそうなのに、細い一本の糸でなんとか繋がっている家庭を。
    なんとか両親が離婚しないようにと止めてきた俺が、自分からその糸を切ってしまったら元も子もない。

    木兎さんには断りの返事を入れておき、早々と部室に戻り部室を後にした。


  5. 5 : : 2015/11/02(月) 04:13:49



    その夜、木兎さんからメールが届いた。




    「俺は誰にも言わない。だから、ひとりで抱え込まないでくれ。」



    と言う内容たった。
    家庭崩壊の危機。これが俺を自傷行為に導いた理由だ。
    父親は浴に言う亭主関白で母親はとても弱い人だった。
    なぜこの二人が結婚したのかとても不思議だった。
    母は父に言われたことを全て熟せず父はそんな母に腹を立て、気が済むまで殴る、蹴るなどの暴力を繰り返していた。
    泣いている母を見て、俺は母を庇おうと母に覆いかぶさった。
    しかし、父は関係なく蹴り続けた。母は父から暴力を受けながらも父のことを愛していた。


    「これも、愛なのよ」


    それが母の口癖だった。

    愛人がいた父は何度も母と別れようとした。けれど、その度に俺は止めた。何故かと言うと、別れた後の母はきっと俺には手に負えないから。



  6. 6 : : 2015/11/02(月) 04:15:14



    父のことを愛してやまない母と、母をストレス解消のサンドバッグとしか思っていない父。
    その二人に挟まれた俺の精神状態は酷いもんだった。

    そんな時に木兎さんに自傷行為がバレ、もう何がなんだか分からなくなってきた。

    それが素直な感想だ。

    木兎さんに俺の全てを話すか、話さないか、とても迷った。

    木兎さんの優しさはとても嬉しい。

    けれど、浸水し、今にも転覆しそうな船の上にいるような家庭を壊したくなかった。

    木兎さんに話せばきっと、俺は安心してしまう。

    それが嫌だった。

    油断すれば、ガラガラと崩れてしまう。崩したくなかった。


    ただ、それだけなんだ。


    迷いに迷って木兎さんには「ありがとうございます。けど、これは俺自身の問題なんで。」と返した。


    何があったのか気になるような文章にして送ったのは心のどこかで誰かに頼りたい一心があったから、だと思う。



  7. 7 : : 2015/11/02(月) 04:16:32



    案の定、木兎さんは次の日俺に「何があったんだ。」と聞いてきた。

    誰にも頼らない。そう心に釘を刺したのに。

    迷ってしまう自分がいた。

    少しだけなら言っても…。

    いや、言ってしまえば今までしてきたことを全て水に流すことになる。

    心の中で二つの意見が激しくぶつかり合っていた。脳が出す意見に心が追いつかなくなった。


    もう駄目だ。


    そう思ったら涙が零れた。

    立っているのも疲れてその場に座りこんでしまった。

    涙を止める気もなく。



    木兎さんは俺が人目につかないように、殆ど使われていない階段に連れて行ってくれた。



  8. 8 : : 2015/11/02(月) 04:17:00










    「もう嫌だ。死にたい」










  9. 9 : : 2015/11/02(月) 04:17:50



    嗚咽混じりに言った俺の本当の言葉。

    やっと、言えた。

    木兎さんは嗚咽している俺の肩を抱き、


    「俺は赤葦に死んで欲しくない」


    と言った。


    授業開始のチャイムと共に聞こえる椅子を引く音に混じっても木兎さんの言葉ははっきりと届いた。




  10. 10 : : 2015/11/02(月) 04:18:12




    なんでアンタはそんな事言えるんですか?




    はあ、嫌だ。涙が止まらない。






  11. 11 : : 2015/11/02(月) 04:18:54





    「俺、もう無理です。」



    「うん」



    「しんどくて」



    「うん」



    「心が、追いつかなくて」



    「うん」



    「木兎さん、聞いてくれますか?」



    「うん。当たり前。」



  12. 12 : : 2015/11/02(月) 04:20:13



    俺は、全て木兎さんに話した。


    家庭の事、自傷行為の事。


    何も隠さず全て。


    途中、自傷行為の話になった時、木兎さんの肩を抱く力が強くなった。


    泣きすぎて涙が出なくなった。

    軽い過呼吸みたいになった。

    手足が氷のように冷たくなった。

    唇が震えて、自分でも何を言っているのか分からなかった。



    けれど、木兎さんは聞いてくれた。


    何も言わず、俺の話を聞いてくれた。


    最後は自動販売機でミルクティーを奢ってくれた。


    ミルクティーなんて飲む機会がなかなかない。



    久々に飲んだミルクティーは思っていたより甘くて、
    喉に染みた。
    こんなに美味しいミルクティーは初めてだ。


    その事を木兎さんに言うと「そうだな!」といつもの木兎さんの笑顔。



  13. 13 : : 2015/11/02(月) 04:20:40






    今日で四年。




    何がって?





    それは、





  14. 14 : : 2015/11/02(月) 04:21:20



    「木兎さん、ここ違いますよ」



    「うぇ!」




    「はあ、これ高校の問題ですよ」



    「あー、なんで大学生になってまで数学があるんだよー!」



    「仕方ないでしょ。ほら、続きしますよ」



    「赤葦!」



    「何ですか」




    「ミルクティー、飲むか?」




    「……はい」




  15. 15 : : 2015/11/02(月) 04:21:45









    そう、あのミルクティーを飲んでからもう四年。








  16. 16 : : 2015/11/02(月) 04:21:51











  17. 17 : : 2015/11/02(月) 04:22:09

    END.



  18. 18 : : 2015/11/02(月) 12:14:09
    最高
  19. 19 : : 2015/11/02(月) 12:53:42
    >>18さん
    ほんとですか!?ありがとうございます!!
  20. 20 : : 2016/11/26(土) 00:16:38
    凄いです!
    次回作作れるなら作ってください!
  21. 21 : : 2017/03/08(水) 00:40:16
    めっちゃよかったです!続きが知りたい!

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