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アルミン「困った二人の幼馴染」

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  1. 1 : : 2015/11/01(日) 15:31:48
    ついにクリスタとユミルから逃れたアニ。

    アニを庇ったミカサたちはクリスタとユミルの話を聞くことになった。

    ミカサとアニは二人で風呂で話ををすることに。

    アニから語られる二人の事情とは……?
  2. 3 : : 2015/11/01(日) 20:12:39

    アニ「まずは、私があいつらの存在を知った時の話。」


    アニ「あれは、入学式から2.3日してからの時……」





    アニ『……』


    あの日は、各部活動の部活動紹介があった日。

    私が気になってた部活は3つあったんだ。

    弓道、テニス、バスケ。

    弓道は母親がやってたから憧れってやつかな。まぁ練習が厳しいって聞いてすぐに候補から外したけど。

    初日は、テニス部の活動を見学してた。なんか簡単そうな練習だし、部員も結構喋ってたりしてたから私には合ってる部活だと思ってそこへ入ろうかと思った。


    翌日、バスケ部の活動を見学した。練習始まる前はだらだらしてたけど始まった途端ハードな練習をしてた。

    二年生の中でもついていけてなさそうな人だっていた。

    私はテニス部に入ろうと思った。

    でも、その日一緒の日に見学していた人が話しかけてきたんだ。


    『バスケ部入るの?いいよね、バスケって!』


    ニコニコした笑顔で話しかけてきた。

    それがクリスタ。

    その頃はあの二人はまだ知り合ってなかったみたいだね。


    クリスタ『ねぇ、一緒に入らない?バスケ部。仲良くなりたいな』


    アニ『……別にいいけど』


    クリスタ『わぁ!ありがとう!私はクリスタ。よろしくね』


    アニ『……私はアニ』


    クリスタ『じゃあアニ、入部届け一緒に取りに行こ?』


    それから、私はバスケ部に入った。

    練習は見ているよりもハードじゃなくてついていけた。

    三年生が引退してからは、試合にだって出た。

    でもクリスタは体を動かすのが不得意みたいでいつも先輩にしごかれてた。

    そして私と比べられてたんだ。

    『同じ日に入部したのになんでこうも差があるんだ』って。

    その先輩もバカだよね、人それぞれ違うってのに。

  3. 4 : : 2015/11/01(日) 20:25:59

    で、クリスタはそれが気にくわなかったみたいで……。

    その頃ユミルとも知り合ったみたいで、はっきり言ってクリスタは邪悪化していった。

    部活に急に来なくなって私にもキツく当たってきた。

    二年になって急にまた慣れなれしくしてきて…………、今の状況。



    ミカサ「……」


    アニ「修学旅行の時もだったろ?都合の良い人間はちやほやして悪い人間にはとことん酷く接する」


    ミカサ「……なるほど」


    ザバッ……


    ミカサは湯船から体をあげた。

    そして体を洗い始めた。


    ミカサ「では質問していいだろうか」


    アニ「……どうぞ」


    ミカサ「ユミルの家庭の事情」


    アニ「……!」


    ミカサ「この前ひょっこりと見つけた。自傷の跡」


    アニ「……気づいてたのかい」


    ミカサ「夏服の時にチラッと見える腕の痣も」


    アニ「観察眼いいね。ボッチの特質?」


    ミカサ「そうかも。エレンもきっと」


    アニ「……今のはジョークのつもりだったんだけど」


    ミカサ「……???」


    アニ「(もしかしてちょっと天然入って……?)」


    ミカサ「……よくわからないけど知っているのなら教えて欲しい」


    アニ「いいけど、極秘。あと速く流せば?全身泡だらけじゃん」


    ミカサ「臭いし」


    アニ「はぁ……いいや、話そう」
  4. 5 : : 2015/11/01(日) 20:37:48

    ミカサ「……ニシンの缶詰なんてそうそう持っている人はいない」


    アニ「シュールなんとかだっけ。世界一臭い缶詰って噂の」


    ミカサ「外国と何か縁がある家系?」


    アニ「正解。父親がね、海外企業のお偉いさん」


    ミカサ「でも、母親の方がよく分からないのだけど」


    アニ「……はっきり言ってノイローゼになってる」


    ミカサ「……」


    アニ「不妊症だった、あそこの家族。でもどうしても継がなければならなかった。不妊症でも、奇跡が怒って妊娠した」


    アニ「でもせっかくの子供は女の子。母親は病んだ」


    アニ「ユミルが大きくなるにつれて暴力を奮うようになってあの痣。あの男っぽい口調も容姿も母親のせいって言えばいいのかな」


    ミカサ「……聞きたいことは全て聞けた。ありがとう、アニ」


    ザバーー

    全身を湯で流した。そしてもう一度湯船に体を沈めた。


    アニ「クリスタのことはいいのかい」


    ミカサ「あの女はただのわがまま女。聞く間でもない」


    アニ「そうかい」


    アニが一息ついたその時。

    ミカサの何かが外れた。


  5. 6 : : 2015/11/01(日) 20:42:08

    ミカサ「……チッ」


    アニ「なんだい人のことをそんな目で……」


    ミカサ「別に睨んでる訳ではない」


    アニ「それは知ってる。私が言ってるのはどうしてあんたの目線が私の胸を捉えているのかだ」


    ミカサ「さっき言われた。凸凹のない体だと」


    ミカサ「羨ましい……」チッ


    アニ「そんなこと言われても……私はあんたの身長の方が羨ましいんだけど」


    ミカサ「こんなものいらない。胸と交換しよう、アニ」


    アニ「いや、ちょっこら……!!」


    ガタッゴトッザッバーン!!



    エレン「うおっ!?何だこの音……」


  6. 10 : : 2015/11/03(火) 22:54:59
    >>9 すげぇ







    アニ「はぁ……はぁ…」


    ミカサ「く……手強い」


    二人は、バスタオル姿で鬼ごっこをしていた。


    エレン「いやいい加減にやめて服着ろよ。目のやり場に困るわボケ」


    アニ「はぁ”!?」


    ミカサ「ちっ」


    エレン「はいさったと着ような。風邪引くぞ」


    華麗に二人をたしなめて服を着させた。


    アニ「……大きいんだけど」


    ミカサ「胸元はピッタリじゃない」


    アニ「……嫌味?」


    ミカサ「そっちこそ」


    エレン「お前らいつの間に仲良くなったんだよ」


    ミカアニ「「仲良くなってない」」


    二人とも、真顔で答えるのでエレンは思わず噴き出した。

    それを見て彼女らは顔を見合わせて首をかしげた。


    アニ「……あんたらさ、こんなに呑気だけどクリスタたちの対策しなくていいわけ?」


    エレミカ「「……あ。」」


    アニ「あって……」


    エレン「そういうお前はどうなんだよ」


    アニ「私は彼氏様が守ってくれますから」


    エレンとミカサはオコミンのことを思いだし、納得した。

    あのオコミンならライナーを五回倒せそうだ。


    ミカサ「そう言えば、二人の馴れ染めは何?」


    エレン「アルミンに聞いたことねぇし」


    アニ「……さぁね。あんたたちには教えない」


    ミカサ「チッ」


    エレン「お前今日舌打ち多いな」


    アニ「全くだよ。彼氏の目の前で」


    ・・・


    ・・・


    ・・・


    長い沈黙が流れた。


    エレン「付き合ってたの……忘れてた」


    アニ「!?」


    ミカサ「……私も」


    アニ「は?ホントあり得ないんだけど」


  7. 11 : : 2015/11/03(火) 23:05:29

    エレン「だってこんな凹凸のない奴……ww」


    心の中


    エレン「(付き合ってるなんて面と向かって言えっかよ!?)」


    ミカサ「ふん、こんな頼りない人」


    心の中


    ミカサ「(さっきから凹凸凹凸ばっかり……チッ)」


    全く安定の鈍感の彼女である。


    アニ「仲、いいの?悪いの?」


    ミカサ「……?いい方?」


    エレン「知らん」


    アニ「……はぁ」


    エレン「まあいい方じゃね」


    ミカサ「イチャイチャはしないけど。断じて」


    「断じて」を強調して言った。


    アニ「本当に付き合ってんのかね」


    ミカサ「……ではアニはアルミンにこうする?」


    彼女はエレンに抱きついた。


    ミカサ「エレン大好き」(棒)


    エレン「あーなんでだろーなー彼女に抱き締められてるのに全然ときめかねー」


    アニ「……無理」


    アニ「つーかそんなことするのって」


    ミカサ「ではこう?」


    今度は、彼の手を握った。


    ミカサ「デートに行きましょう」(棒)


    エレン「あーほんとーに色気ねーなー」


    彼女はイラッとし、腹に蹴りを入れた。


    エレン「ぐはっ」


    ミカサ「……ね?」


    アニ「とりあえずその倒れてる物体どうにかして」
  8. 12 : : 2015/11/03(火) 23:09:57
    アニ「じゃあ恋人の要素1ミリもないてことかい」


    エレン「……」


    ミカサ「……」


    二人は、先日の事故キスを思い出した。

    いくら事故だったとは言え、お互いにその事は口に出していない。


    アニ「やることはやったのかい。その反応からして」


    ミカサ「……」


    アニ「……ふん。まあいいや」


    アニ「真面目にクリスタとの対策をとろうか」


  9. 16 : : 2015/11/15(日) 21:41:37

    ミカサ「……ふざけすぎた。真面目にしよう」


    エレン「悪い」


    アニ「ふん、まぁいいよ。一つ、言っとくよ」


    何だ?と、彼らは首をかしげた。


    アニ「クリスタを倒すのならユミルをまず倒したらいい」


    ミカサ「……主力はユミルと言うこと」


    アニ「簡単に言えばね」


    エレン「あいつ確かトップ10入ってるからな、テスト。まぁ俺より下だけど」ドャ


    ミカサ「ドヤ」


    エレン「・・・」←ミカサより下


    アニ「はいはい。あんたらすぐに脱線するんだからホント」


    気を取り直し、話の体勢を戻した。


    ミカサ「では、ユミルを倒すにはどうしたらいい?」


    アニ「それを考えてるんだ。今」


    三人は考えた。

    しかし、いい案は一向に浮かんで来なかった。


    エレン「・・・あ」


    エレンが何かいい案を思い付いたようだ。


    エレン「アルミンに相談すればよくねぇか。あいつ頭いいし、こういうことにも」


    ミカサ「確かに」


    アニ「……まぁ、だね」


    アニは乗り気ではなかった。
  10. 24 : : 2015/11/26(木) 23:48:54
    アニ「流石に授業中には呼びたくない。あいつだって勉強があるし」


    エレン「あーそうか。なら暇潰すか」


    ミカサ「……革命を起こそう」


    「いきなり何を言い出したこいつ!?」と、言わんばかりにエレンとアニは反応した。

    今はアルミンが来るまでの話をしていたはずだか・・・?


    アニ「あんたさ、今、話聞いてた?」


    呆れた声で問う。


    ミカサ「???」


    やはりわかっていなかったようだ。このちょっと天然なのが彼にとってとても愛しく思う一つの魅力だった。


  11. 26 : : 2015/11/30(月) 01:29:37

    アニ「はぁ。ねぇ、ちょっと寝ていい?三時間しか寝てないから眠い」


    ミカサ「えぇ。私のベッドで寝るといい」


    ミカサの部屋へと案内され、アニは毛布の中へ潜り込んだ。

    ミカサの匂いがする、と思った。


    ミカサ「お休みなさい」


    バタン


    アニ「……おやすみ」ボソッ





    エレン「行ったかー?」


    リビングでエレンはDVDを見ようとしていた。


    ミカサ「授業に出ていないのだから勉強しらたいいのに」


    エレン「勉強などいらん。いいか?」


    エレンによると、勉強の定義はこうだ。

    国語→書類とかで色々役立つから必要
    数学→頭痛い。論外。
    理科→将来何の役に立つ
    社会→昔の出来事振り返るだけじゃん
    英語→ここは日本だ


    ……らしい。


    ミカサ「いつまでそんな子供みたいなことを言ってるの?」


    エレン「いいだろ。どうせ10以内だし」


    ミカサ「もういい。話にならない」


    エレン「なってますけど」


    ミカサ「はいはい。私は勉強するので、邪魔しないでよ」


    エレン「俺が邪魔だと感じない程度にな」


    言っている意味が理解できなかったので無視をした。


  12. 27 : : 2015/12/03(木) 21:54:56

    ミカサ「……」カリカリカリ


    テレビ『ご覧にいただけただろうか……』


    エレン「……」


    ミカサ「……」ピクッカリカリカリ


    テレビ『画面右下に見えるもの……』


    エレン「おー……」


    ミカサ「キコエナイキコエナイ……」カリカリカリカリカリカリ


    テレビ『デデーン!!女性らしき顔が……!』


    エレン「っ!ビビった……」


    エレンもびっくりするほどのホラー。

    怖いのが強い彼でも衝撃を受けたのだ。いくら勉強中だとは言え、ミカサには刺激が強すぎた。


    ミカサ「……もぅ、止めて…」


    エレン「あ?」


    消え入りそうな声だった。体は震え、誰が見ても怖がってると思うだろう。


    ミカサ「ぉ願ぃ……」


    エレン「……ふぅん、俺静かにしてるのに?そんな言うわけ?」


    ミカサ「……」


    エレン「俺、お前が言った通り静かにしてた。なのにお前は止めろと言う。おかしくないか?」


    彼は、基本Sである。

    今も、本心では思っていないことを次々と言い、彼女を追い込んでいる。

    何も言い返せない様子を見ていると、とても楽しいのだ。


    ミカサ「……」


    エレン「まぁいいや。俺マンガ読も。お前の借りるな」


    意地悪でその場を去った。


    ホラーの後の一人は……とてつもなく恐ろしい。
  13. 28 : : 2015/12/03(木) 22:00:39

    暫くしてから、リビングを覗いてみた。

    彼女は机に覆い被さっている。恐らく居眠りだろう。

    顔を覗き込んでみると……やはり、寝ていた。天使のような寝顔だ。

    目の周りが赤くなっている。エレンはやりすぎたかとほんの少し反省した。


    エレン「……風邪引くかもな…」


    彼は自分の学ランを彼女の背中にそっと置いた。

    彼なりの、恩返しだった。
  14. 29 : : 2015/12/03(木) 22:15:00


    ミカサ「……?」


    ミカサが目覚めた頃は夕方だった。朝方から、こんなに寝ていたのかと後悔した。

    勉強する時間が減ったのだ。


    テレビの前にはエレンとアニが並んでドラマを見ていた。

    どうやら刑事ものらしい。二人でそれぞれの推理をしている。


    エレン「いや絶対被害者の恋人だろ、犯人は」


    アニ「いや、違うね。絶対義理の父親だ」


    そんなことはどうだっていい。ミカサは携帯を見た。

    アルミンからの着信は来ていない。

    目覚め覚ましに顔を洗うついでに電話を掛けようかと思った。












    彼女が洗面所に行き顔を洗い電話を掛けようとしたときだった。

    急にメールの着信音が聞こえた。

    登録されていないアドレスからだった。


    本文を見た彼女は、目を見開いた。


    件名:無題
    本文:やっほーミカサ。これ見たらわかるよね?そう、あんたの幼友達アルミン。こいつを返して欲しいのなら今すぐ体育館倉庫に来なさい。


    メールには、アルミンが手足を拘束され顔が腫れている写真が添えられていた。


    ユミルだ。


    ミカサは怒りに耐え、歯をくいしばってエレンとアニの元へと急いだ。


  15. 34 : : 2015/12/07(月) 20:51:59


    アニ「……!」


    事情を聞いたアニは、全身怒りに満ちていた。

    こんなときになんだが、これが愛かとミカサは思った。


    エレン「一人で来いとは書いてねぇもんな。相手だって敵さんいっぱい連れてくるだろうな、行くぜ」


    ミカサ「武器はいるだろうか」


    エレン「いらね。素手で充分だ」


    アニ「グズグズしてないでさっさと行くよ。本当にあいつらが憎たらしくて堪らないんだ」


    軽く指の骨をパキパキと鳴らすと、戦闘へと向かった。

    エレンとミカサは、その後へついていった。
  16. 35 : : 2015/12/07(月) 21:00:27

    ユミル「おっそいなぁ。お前、あいつらに見捨てられたんじゃないの?w」


    アルミン「そんなわけ、あるか!僕はミカサたちを信じる」


    ユミル「うるせぇよ!!」


    バキッ


    鈍い音が、アルミンを襲った。

    何度、喰らっても痛みは変わらないものだ。


    アルミン「傷害罪、監禁罪、脅迫罪……訴えることは山ほど……ある」


    ユミル「あっそ」


    アルミンの言葉には、何の興味も示さなかった。

    少しは怯むと思っていたが、これは手強い。


    クリスタ「ユミルぅ~」


    クリスタがやってきた。


    ユミル「どうした?愛しのクリスタ。何か分かったか?」


    クリスタ「うん。あの三人、もう駅前まで来てるって、ライナーから連絡があった」


    ユミル「はは、そうか。ありがとなクリスタ、いい子だ」ナデ…


    アルミン「……」


    クリスタ・・・普段はいい印象だったが、エレンたちの言っていた意味がようやく分かった。

    裏の顔は、こんなにも汚ないんだ。


  17. 36 : : 2015/12/07(月) 21:06:11


    ユミル「まぁ一人で来るわけないと思ってたが・・・。とりまお前は移動して貰わなきゃな」


    ユミル「おいしょっと」


    アルミン「」


    アルミンは、ユミルに持ち上げられた。女のユミルに持ち上げられるショックは結構大きかった。


    ユミル「軽すぎwwちゃんと食ってんのかwww」


    アルミン「うるさい!」


    ユミル「うるさいのはお前だよ。ちょっと黙ってな」


    ユミルはポケットからスタンガンを取り出すと、アルミンを気絶させた。































    ミカサ「おかしい」


    エレン「敵が一人もいねぇ」


    アニ「余裕ってことじゃない?憎たらしいったら」


    ミカサ「……」


    そうではない気がする。彼女の直感はそう言っていた。


  18. 38 : : 2015/12/12(土) 21:43:19
    そして、アルミンがいるはずの場所へ着いた。

    しかし、誰もいない。


    アニ「だろうと……思ったよ」


    ミカサ「!」


    ミカサは一枚の紙を見つけた。何やら変な文字が書いてある。


    エレン「何だ、それ」


    ミカサ「よくわからない」


    アニ「もしかして……暗号、か」


    エレン「そーいや、アルミン暗号作るの好きとかいってたな」


    アニ「結構前にいってたね」


    ミカサ「ユミルは分からなかったから捨てたのだろうか」


    三人は、暗号を解くことにした。


    何かヒントが隠されているに違いない。
  19. 44 : : 2016/01/05(火) 10:25:21

    ______________________________________

    え1え9んえ6
    う4い”2あ6、あ6い1お2う1い”3ょう1

             あ1う9い7ん

    ______________________________________



    アニ「???」


    ミカサ「これは・・・昔、遊んだ時によく出してたやつ。」


    エレン「あーめんどくせ。なに?」


    アニ「あんたらわかったのか。答え、教えて」


    エレン「まず答えを先に言うぞ。」




    ※自力で解きたいと言う方はこのレスで考えることをおおすめします。
    >>45では回答を。簡単なのですぐ解けますよね^^
  20. 46 : : 2016/01/05(火) 10:42:47
































    エレン「答えはこうだ」


    エレンは紙とペンを取りだし、紙に答えを書いた。


    ______________________________________

    エレン

    つぎは、はいこうじょう

               アルミン

    ______________________________________


    エレン「合ってるよな、ミカサ?」


    ミカサ「ええ」


    エレン「漢字に戻すとこうだ」


    ______________________________________

    エレン

    次は、廃工場
               アルミン

    ______________________________________



    アニ「廃工場・・・」


    エレン「結構遠いな……タクシー使うか」


    大急ぎで、タクシーを捕まえ乗り込んだ。

    エレンが言った通り少し遠いので、信号のことも考えると15分ほどかかるだろう。


    アニ「どうしてこうなったんだ、答え」


    エレン「簡単だって。じゃ、俺さっき説明したからミカサ宜しく」


    ミカサ「紙とペン貸して」


    サラサラサラ……


    わらやまはなたさかあ
    をりゆみひにちしきい
    んるよむふぬつすくう
    *れ*めへねてせけえ
    *ろ*もほのとそこお


    紙に五十音を書いた。


    ミカサ「まず、この暗号の基準はあいうえおとなっている」


    アニ「そりゃね」


    ミカサ「それさえわかれば簡単。例えば一行目『え1え9んえ6』『え1』とは『え』のこと」


    アニ「……!分かったかも」


    ミカサ「で、『え9』は、『れ』五十音の『え』の横列で九個数えれば・・・解ける」


    アニ「へぇ。簡単だね」


    ミカサ「幼かった私たちにも解けた問題……ぇ?」


    ミカサは何か気づいたようだ。


    ミカサ「小学生で解けた問題を、ユミルが解けないはずはない」


    エレン「え、ちょ待て」


    アニ「場所は移ってる?」


    ミカサ「・・・」コクリ


    エレン「あーどうせ廃工場に何か置き手紙とかあるじゃねぇか……」


    ミカサ「チッ」


  21. 49 : : 2016/01/31(日) 22:04:23
    廃工場



    エレンがいった通り、置き手紙があった。

    次は普通に書いてあるようだ。

    周りにガムテープや紐が散乱している。


    ミカサ「・・・」


    ______________________________________

    おい、お前ら。
    私はそろそろこのゲームに飽きてきた。このもやしっこをそっちにやる。
    エレン・イェーガー。お前の家の地下室に来い。但し、アニは連れてくるな。

    ______________________________________


    アニは正直、この文面に怒りを覚えた。


    アニ「(絶対に許さない)」


    エレン「……あいつ、どうして俺の家に地下室があるって…」


    ミカサ「・・・」


    それは、ミカサでさえしらなかったこと。長年、幼馴染みだったのに、自分が知らなくてユミルが知っていることを彼女は妬んだ。


    アニ「それより行くよ。チッ」


  22. 51 : : 2016/01/31(日) 22:12:34

    ピーポーピーポー


    エレン「(やけに救急車の音がうるさいな)」


    再び三人はタクシーに乗った。

    しかし、途中で渋滞に遇ってしまった。


    ミカサ「……どうにかなりませんか」


    運転手「………………事故です。しばらくは…」


    エレン「お前らは、このままタクシーで行け。俺は走っていく」


    アニ「は?こっから7~8kmもあるのに?」


    エレン「行ける。余裕だ」


    ミカサ「私も、行く」


    エレン「いや、お前は待ってろ。アニと一緒にいろ」


    ミカサ「嫌、行く」


    エレン「わがまま言うな!」


    ミカサ「・・・わかった。でも、絶対無傷で帰ってきて」


    エレン「ああ」


    バタンッ


    エレンは一人、車道を駆けていった。


    アニ「とんでもない奴だね、あいつ」


    ミカサ「……えぇ。悪いところでもあるし、それが良いところ」


  23. 57 : : 2016/02/27(土) 21:04:26

    エレン「はぁ…はぁ……っ」


    彼は一人、道を駆けていた。

    体力には自信はあるが、全速力で走っていれば疲れてくる。

    余裕とは言ったが、流石に無理だ。


    3、4kmは走っただろうか。しかし、まだあと半分ある。休んでいる暇などないのだ。

    テーテケーテーテー♪

    携帯の着心音。誰から?彼は息を調えて、電話に出た。


    エレン「もしもし」


    ユミル「よお」


    エレン「………ちっ。お前かよ」


    ユミル「それにしても遅いんじゃねえの」


    エレン「事故の渋滞だ。こんなときにめんどくせぇ」


    ユミル「ごくろーさん。あ、用件用件」


    エレン「あ”?アルミンに何かしてねぇよな」


    ユミル「そーそーそいつ。解放したわ」


    エレン「は!?」


    ユミル「ってことで、じゃ」


    エレン「ちょ、待てよ……」


    ブチッツーツーツー……


    エレン「……はぁ!?」


    エレンは次第に怒りが込み上げてきた。あんなに脅してきた上に走らされたのだ。仕方がない。


    エレン「でも……」


    エレン「なんであいつ、急に・・・」

  24. 58 : : 2016/02/27(土) 21:18:59
    エレンはミカサに連絡し、自分の家へ向かうよう伝えた。

    彼は途中で、タクシーを捕まえゆっくりと自宅へと向かった。


    自宅へ行くと、アルミンがいた。

    おや、とエレンは疑問を抱いた。

    画像と見たものとは違い、片方の頬が赤くなっているだけなのだ。


    エレン「おいアルミン!」


    アルミン「え、エレン!」


    エレン「お前、解放されたって……」


    アルミン「うん、そうなんだ。さっきまで、学校の体育倉庫に閉じ込められてたんだけど、クリスタと口論してた。そしたら急に解放された」


    エレン「……は?」


    アルミン「君たちは?一体何があったんだ?」


    彼はそれまでの経緯をアルミンに語った。

    するとアルミンは、暗号は書いていないと言う。

    しかし彼は思った。間違いなく、アルミンの字だったと。


  25. 59 : : 2016/02/27(土) 21:27:50









    アルミン「つまり、まとめると・・・」

    ・暗号はユミルの自作自演
    ・画像は加工されたもの
    ・クリスタと何らかの喧嘩(?)をした


    アニ「あんた、大丈夫だったの?」


    アルミン「一、二回ビンタされた。あとスタンガンで気絶させられたけど、大丈夫」


    ミカサ「良かった……」


    ミカサはそう呟いて、エレンに寄りかかった。

    エレンがびっくりして彼女の顔を見ると、目を瞑っている。心なしか、顔色も悪い。


    アニ「平気そうに見えたけど、やっと安心したんだ」


    エレン「俺、こいつんち連れてくわ。お前らは話し合えよ、色々あんだろ?」


    アルミン「エレン……!」


    アルミンはエレンの優しさに感激していた。


  26. 61 : : 2016/02/27(土) 21:39:34

    アニ「……」


    アルミン「……」


    アニ「……」


    アルミン「……心配かけてごめん」


    アニ「別にいいよ。でも焦ったね」


    アルミン「んー今度、何か奢るよ」


    アニ「スペシャルデラックスパフェ」


    アルミン「……うん」(泣)


    アニ「……嘘。なんでもいいさ」


    アルミン「い、いや!今度食べにいこう!ね?」


    アニ「ふふっ」


    アニの顔から、笑顔が溢れた。


    アニ「私こそ、あんたを巻き込んでごめん」


    アルミン「あのさ」


    アニ「ん」


    アルミン「僕、思った。絶対アニを守るって」


    アニ「なっ……///」カアアアア


    アニの顔が、一気に紅くなった。
  27. 62 : : 2016/02/27(土) 21:44:56
    次の瞬間、アルミンの唇がアニの唇に触れた。


    アニ「っ//」


    アルミン「突然ごめんね、へへっ。でもね……」


    アルミン「さっき、ミカサですら弱味を見せたろ?ミカサ、いっつもケロッてしてんのに。」


    アルミン「アニは、もっと辛かっただろうなって思った。」


    アニ「・・・」


    アルミン「もう大丈夫だ。僕は……変わるよ」


    アニ「……ふん。ありがと」


    アルミン「帰ろっか。送るよ」


    アニ「さんきゅー」


  28. 63 : : 2016/02/27(土) 21:53:28
    ミカサ家


    ミカサ「ん……ごめんなさい…」


    エレン「いい」


    ミカサ「……らしくない」


    エレン「疲れてんだろ」


    ミカサ「………」


    ミカサ「寄りかかっていい?」


    エレン「ん」


    ストン


    エレン「(近けぇな……)」


    ミカサ「エレン」


    エレン「ん?」


    ミカサ「落ち着く」


    エレン「あっそ」
  29. 64 : : 2016/02/27(土) 22:01:30
    ミカサ「本当は」


    ミカサ「少しだけ怖かった」


    エレン「……」


    ミカサ「いつ、ドン底に突き落とされるんだろうって」


    ミカサ「もし、引き離されたら誰を頼りにすればいいのか」


    ミカサ「だから、エレンと付き合うってなったとき、少しだけ安心した。」


    エレン「お役に立てたなら嬉しーぜ」


    ミカサ「ありがとうエレン。こんな彼女で……ごめん」


    エレン「……ごめんなんて言われる必要ねーよ」


    ミカサ「ありが…と……」


    もうミカサは、それ以上声を出さなかった。

    エレンの温もりと、安心した心のせいで深い眠りに落ちた・・・


    エレン「……はあ」


    _______何で、気づいてやれなかったんだろうな。


    _______一番、近くで見ていた筈なのに。


  30. 65 : : 2016/02/28(日) 00:03:26

    エレン「・・・無様だな、俺…」





    翌日、教室に行ってもユミルの様子はいつも通りだった。

    ただ、一つ違う。クリスタが一人でいるのだ。

    ユミルは、他の女子生徒と適当に話している。


    ミカサ「やはり何かあった」


    エレン「ですね」


    ユミルがこちらに気づいた。しかし、チラッと見ただけで、昨日の出来事など無かったような顔だ。

    ミカサ「・・・」


    女子「ねぇ、ユミル。なんか睨んでない?ミカサ」


    ユミル「こえー」


    女子「って言うか目付き悪すぎ。子供の頃からかな?www」


    ユミル「可愛げのねえ子供だったんじゃねぇの?ww」


    女子「私ホントミカサ嫌い。なんか偉そうだし」


    ユミル「あいつはそーゆー奴だってw」


    女子「あ、ていうかさ。クリスタどうしたの?」


    ユミル「一人でいたい気分何じゃね?」


    女子「そっかー」


  31. 66 : : 2016/02/28(日) 21:26:57

    ミカサ「・・・」


    エレン「耳、塞いどけ」


    ミカサ「・・・」


    ミカサは考えていた。

    母が身に付けさせた目。怖がられること、悪口言われることはこれまでしょっちゅうあった。

    平気な振りをしていたが、心のどこかでは傷がついていた。苦しかった。

    しかし、今は違う。多少は傷付くものの、苦しくはない。

    自分の思わぬ変化に気づいていた。


    ミカサ「平気。とにかく座ろう」


    エレン「……」


    エレン「無理は禁物だからな」


    ミカサ「誰が」フン


    エレン「お前だよ。またべそかくなよ?w」


    ミカサ「減らず口を叩く前にもう少し嫌われないよう努めたらどう?」


    二人は、お互いに皮肉を言い合い、席に着いた。

  32. 68 : : 2016/03/01(火) 23:21:44


    ☆昼休み☆


    ミカサ「エレン・・・今日は二人で中庭に行かない?」


    エレン「・・・寒い」


    ミカサ「話したいことが」


    エレン「寒い」


    ミカサ「チッ」ギロリ


    エレン「おー恐ぇー」


    ミカサ「・・・だったらいい。アニとアルミンと食べてくる…」


    エレン「だったらもうお前の家行かない」


    ミカサ「そう」


    ミカサは教室の扉まで歩き、いきなり振り向いて、言った。


    ミカサ「エレンが優しいってこと、私は知っている」


    エレン「・・・!」


    彼女は前を向いて、目的地へと足を進めた。


    エレン「・・・断れねぇじゃんかよ…」


    はぁ・・・と、ため息をつき、ミカサの後を追いかけた。

  33. 72 : : 2016/03/12(土) 20:20:48

    中庭に行くと、アルミンとアニはおらず、クリスタが一人ぽつんと座っていた。

    今まで周りにいた者たちが次々と離れていく。何と無様な姿だろう。


    ミカサ「…あ。アルミンから連絡来てる」


    エレン「・・・」


    ミカサ「図書室で、食べるって」


    エレン「……ああ」


    ミカサ「行こう」


    クリスタと目があった。

    こちらの存在に気付き目を逸らし、うつむいた。


  34. 73 : : 2016/03/12(土) 20:27:46
    図書室は暖房が効いていてとても暖かかった。アルミンは座っている。アニはまだ、来ていないようだ。


    アルミン「こっち」


    エレン「ここ、飯食えたのか」


    アルミン「修学旅行明けからね。うるさくしないのが条件だけど」


    ミカサ「アニは?」


    アルミン「購買。ちょっと僕も行ってきていいかな?」


    ミカサ「どうぞ」


    アルミンが退室し、二人になった。


    エレン「先に食うか」


    ミカサ「同意」


    お弁当を広げながらミカサは思っていたことを口にした。


    ミカサ「クリスタは」


    ミカサ「大丈夫なのだろうか」


    エレン「……は?」


  35. 74 : : 2016/03/12(土) 20:36:24
    ミカサ「一人で、寂しそうだった」


    エレン「お前さぁ、逆にざまあみろとか思わないのか?散々コケにされて嫌がらせされて……」


    ミカサ「しかし…」


    エレン「同情して何になるんだよ」


    ミカサ「・・・一人の辛さを……私は共感できるから…」


    エレン「……」


    ミカサ「この図書室だって、さっきまで人が結構いたのに、私たちが来た途端、がら空き」


    気がつけば、彼女の言う通り周りに人はいなかった。

    エレンは改めて、嫌われてるんだなあと実感する。


    ミカサ「人に恐がられるとか、いい気分になるはずがない。私だって、クリスタだって……人間だから」


    ミカサ「私の目は、善と悪を見分けられるらしい。クリスタは悪。ユミルは善に見える」


    エレン「は!?」


    ミカサ「とにかく、ユミルは何かを隠している。家庭のことだけじゃない、学校のことも」


    エレン「・・・」


  36. 76 : : 2016/03/12(土) 20:52:08
    アルミン「お、おまたせ~」


    アニ「しっかりしなよ。男だろう」


    エレン「大量だな」


    アニ「栄養大事」


    二人は向かい側に座った。


    アニ「あのさ、ユミルとクリスタのこと」


    タイミングが良い。エレンとミカサは耳を傾けた。


    アニ「どうやらユミルの父親の会社は、クリスタの父親の会社とライバルらしい」


    アニ「それを、二人を知っていたんだけど_______」



    ~~~~~


    クリスタ『お父さんの会社がライバル同士だからって嫌いにならないよ!』


    ユミル『はは、だよな。それよりクリスタ、今日ゲーセン行かね?』


    _____ライバル同士だからって、二人は気にしていなかったんだけど・・・


    ついこの間、クリスタの父親の会社関係の人が、意図的にユミルの父親を殺したんだ。

    ユミルの父親はよく外国にいるっていっただろう?

    だから、ユミルに伝わるのはつい最近になったんだ。

    それで二人は、崩壊して____



    アニ「今の状態ってわけ」


    アルミン「ユミルは、お葬式とか行かないのかな?」


    アニ「グレてるからね。行かないでしょ」


    ミカサ「……私、ユミルと話をしてみよう」


    ミカサの言葉を、アニは否定した。


    アニ「止めな。話にならないよ」


  37. 79 : : 2016/03/26(土) 16:31:26
    ミカサ「でも……_____」


    ミカサは迷った。

    アニの言う通り、聞く耳は一切持たないだろう。

    しかし、今の全ての状況に彼女の理解が出来なかった。


    ミカサ「やっぱり、行ってくる!」タッ


    アルミン「ミカサ!お昼……」


    ミカサ「いらない!」


    階段を降りていく音が響いた。やがて消えてなくなり、風の音だけが屋上には残った。


    エレン「ちょっと心配だから後をつけてみる」スクッ


    やがてエレンの足音も、遠くへ消えた。


    アルミン「エレン、彼氏らしくなったな」


    アニ「・・・」


    アルミン「どうしたの、アニ?」


    アニ「悪い予感しかしない・・・」


    アルミン「エレンが着いていったから……大丈夫さ」


    アニ「違う。別の・・・何かが」


  38. 80 : : 2016/03/26(土) 16:47:05


    ミカサ「ユミル!」


    ユミル「……あ?」


    ユミルは破棄した機材を集める倉庫にいた。ここは、暗くて人気がない。タバコを吸ったりするのにはもってこいの場所だ。


    ミカサ「は、話がしたい……」


    ユミル「なんですかぁ?今までのことか?はいはい、めんごめんご」


    ミカサ「そんなこと……今は置いておく。私は、貴女のお父さんのこと……」


    ユミル「」ピクッ


    『お父さん』とミカサが言った瞬間、ユミルは急に無表情になった。

    目に、光が宿っていない。


    ユミル「お前に話すことはない」


    ミカサ「でも…」


    ユミル「うるせぇ!!お前には関係ないんだ!一々人の傷抉(えぐ)るような真似をするな!!!」


    プツ


    何か小さな音がした。

    ミカサは見た。怒り狂ったユミルの後方で、機材が倒れてくるのを・・・


    ミカサ「危ない!!」


    ドンッ


    ユミル「っ!?」


    彼女は突起にユミルを押した。


    ガラガラガラ!!

    カランカラン……


    ユミル「……!」


    ミカサ「…」


    機材の下敷きになった、ミカサは動かない。

    赤い液体が、どんどん地面を染めていく。

  39. 81 : : 2016/03/26(土) 16:54:16
    そしてそこに、エレンがやって来た。


    エレン「!、ミカサ!!」


    ユミル「わ、わたしじゃな……」


    エレン「お前は救急車を呼べ。今すぐだ!」


    ユミル「わ、わかった……」


    エレン「俺は機材をどかして……」


    エレン「ん……?」


    機材を縛っていた、ロープの痕。何者かに意図的に切られている……?

    だとしたらこれは・・・!


    ようやくエレンは機材を全てどかした。


    エレン「おい、ミカサ。意識はあるか?」


    体を揺する。反応はない。

    呼吸は微かだが、しっかりしている。死んではいない。


  40. 83 : : 2016/03/27(日) 22:35:02
    やがて、ユミルが呼んだ救急車のサイレンの音が近づいてきた。

    エレンは救急車にすぐに運べるよう、校庭へミカサを運んだ。

    しかし、校門では憎たらしい邪魔が入っていた。


    教師「何ですか!救急車など、呼んでいませんよ」


    「しかし、通報を受けましたので・・・」


    教師「(救急車に運ばれただなんて、学校の名誉にかかる……!)」


    教師「い、イタズラか何かでは?第一、事故など起きていませんし」


    エレン「あんの野郎……!」


    彼は、かなりの怒りを覚えた。一刻を争うかもしれないこの状況で、邪魔が入ったのだ。


    エレン「おおーーーい!!こっちだーー!!」


    教師「!!」


    「す、すぐに!!」


    教師は思った。学校の問題児が起こしたこと。学校ゴミクズに、名誉を奪われてたまるか、と。


    教師「待ってください」


  41. 84 : : 2016/03/27(日) 22:41:35
    教師「あの男は少々問題児でして・・・イタズラかと」


    「は!?」


    教師「しっかり、指導を致しますのでどうかお引き取りを」


    「は、はぁ・・・。次からは気をつけてください」


    教師「申し訳ありません」


    教師「全く、またイェーガーか」ボソッ


    小さい声で言ったのだが、救急車に乗ろうとした彼の動きは止まった。


    「イェーガー・・・?」


    「やはり、連れていきましょう」


    教師「!?」


    「退いてください」


    教師「い、イタズラですよ!?学校への侵入を許すわけには・・・」


    「万が一、本当の緊急だった場合、貴方は責任がとれますか?」


    教師「・・・っ!」


    教師は退いた。


    「大丈夫ですか!?」


    エレン「意識がなくて・・・」


    「急いで運びます。ご同行、お願いします」


  42. 85 : : 2016/03/27(日) 23:22:44

    病院には、五分ほどで着いた。エレンの父が勤めている病院だ。


    グリシャ「急いで集中治療室に運んでくれ」


    「「「はい!」」」


    ミカサがベッドに寝かせられ、忙しくなった。

    エレンは先程、救急車に乗せてくれた男性に質問した。


    エレン「あの、何で俺の言うことを信じてくれたんですか?」


    「・・・」


    彼は笑って言った。


    「グリシャさんの息子が、嘘つくはずないと思ってね。良かったよ、信じて」


    そう言って、着替えに行った。


  43. 86 : : 2016/03/27(日) 23:26:11


    かなりの時間が経ったと思う。ようやくグリシャが集中治療室から出てきた。


    エレン「父さん!ミカサは?」


    グリシャ「手術は一応、成功だ。だが・・・」


    グリシャ「いつ目を覚ますか、わからない」


    エレン「それって……」


    グリシャ「今すぐにでも起きるかもしれないし、永遠に眠っているかもしれない。」


    エレン「・・・」


    グリシャ「・・・」
  44. 92 : : 2016/06/03(金) 18:34:44
    エレン「ミカサを、見にいっていいか?」


    グリシャ「ああ。但し、五分だけだ」


    エレンはコクリと頷くと同時に、ミカサの元へ向かっていた。


    ミカサの頭には、包帯が巻いてあった。頭だけではない、上半身のほとんどをだ。

    痛々しい姿を見ると、怒りが込み上げてきた。


    エレン「絶対に許さねぇ・・・!」


    エレン「くそったれが。どこのどいつだか知らねぇがぶちのめしてやる……」


    そう言うと、部屋から飛び出していった。

    まずはユミルに、会いに行くために。
  45. 93 : : 2016/06/03(金) 19:02:06

    エレンはユミルを、自分の家へ呼び出した。

    ユミルはすぐに、やって来た。


    エレン「よお」


    ユミル「よお」


    エレン「まぁ上がれよ」


    ユミル「………んで?話って?」


    エレン「分かってるだろ。あの時のことだ」


    ユミル「……私はやっていない」


    エレン「それは知ってる。お前さ、あの時機材が倒れてきたろ?」


    ユミル「ああ」

           ・・・・
    エレン「あれ、意図的に誰かがやったんだよ」


    ユミル「……!、そうなのか?」


    エレン「明らかに切られた後があった。あれは間違いねぇ」


    エレン「俺は、あれをやったのはクリスタだと思う。それはバカだってわかるはずだ」


    ユミル「ははっ、だよな」


    ユミルは苦笑した。

  46. 94 : : 2016/06/03(金) 19:10:01
    ユミル「嫌われたよなー、クリスタに」


    エレン「嫌うべきなのはお前の方じゃないのか?」


    ユミル「ああ。一時的に感傷的になって酷いこと言ったのは事実さ」


    ユミル「でも、そんなんで友達やめれねぇよ」


    エレン「・・・お前、バカだな!」


    彼はとびきりの明るい声でいい放った。

    しかも、とびきりの笑顔で。


    ユミル「な、何だよ?うるせえな」


    エレン「そんな気持ち、正直にぶつけりゃいいことだろ?」


    ユミル「それで、納得するか?」


    エレン「俺はする方に信じる。お前は信じねぇのか、友達のくせに」


    彼の言葉は、ユミルの心に突き刺さった。

    信じていなかったのは、自分の方だったのだ。


    ユミル「だな。謝ってくるわ」


  47. 101 : : 2016/07/25(月) 19:41:33


    エレン「ははっ俺、何様だよ…」


    エレン「まともな友達も簡単に作れねぇような奴がよ……」


    彼は、壁に背中を預け、ズルズルと項垂れた。

    そしてそのまま、深い眠りに着いた。

















    エレン『……!』


    目を開けると、そこはミカサのいる病室だった。

    いつの間にか自分は椅子に座っている。寝ていたにしては、意識がしっかりしてる。


    エレン『おい、ミカサ・・・』


    ミカサの名を呼ぶと、彼女はいきなり目を開けて上体を起こした。


    エレン『うおっ……!お前、意識が戻ったのか』


    ミカサ『……』


    エレン『おい?』


    ミカサ『……さようなら』


    そう一言告げると、彼女を操っていた糸がプツリと切れたように体が倒れた。


    エレン『おい……?おい!!』









    エレン「っはぁ…はぁ…はぁ……」


    何とも嫌な夢だった。


    エレン「ちょっと走ってくるか」


    気分を紛らそうと思った。このモヤモヤした気持ちを晴らすために。


    しかしいくら走っても、この気持ちは晴れなかった。


  48. 102 : : 2016/07/25(月) 19:54:49


    ユミル「……」


    ユミルはクリスタの家のベルを鳴らした。


    暫く待ったあと、執事から入室許可を告げられた。


    クリスタの部屋に入ると彼女は、部屋の隅に座っていた。

    ユミルが目の前に座るなり、目付きを鋭くして責め立ててきた。


    クリスタ「何?私を笑いに来たの?」


    ユミル「そんなんじゃない」


    クリスタ「じゃあ何?もう気づいてるんでしょ、私があなたを殺そうとしたこと」


    クリスタ「警察につき出すがいいわ!わたしたち親子であなたたち親子を殺そうと企んでいるんだもの、笑えるでしょ?」


    ユミル「・・・」


    ユミル「あのさクリスタ。いくらクリスタの会社のやつらが私の父親殺そうが私には関係ないんだよ」


    ユミル「前にも言っただろ?私たちの関係は何も変わらないって」


    ユミル「その……この前は悪かったよ。感情的になってた、ごめん」


    クリスタ「ユミルぅ……」


    クリスタ「ぅ……ぅぅうああああああああん!ごめんね、ごめんねユミル!!」


    ユミル「よしよし。私もごめんな」


    クリスタ「うわああああああああああん」














    クリスタ「ユミル」


    ユミル「ん?」


    クリスタ「ありがと!」


  49. 103 : : 2016/07/25(月) 20:01:40


    ユミル「うん。あのさクリスタ、ミカサに謝ろうな」


    クリスタ「……うん」


    ユミル「今回のこと、今までのこと……全部」


    クリスタ「私たち、サイテーだね」


    ユミル「ははっ、だな」


    クリスタ「何であんな下らないことしたんだろ」


    ユミル「ていうか皆に謝らないと。アニには特に」


    クリスタ「……私ね皆に謝った後、自首する」


    ユミル「……」


    クリスタ「殺人未遂、犯しちゃったし。もう皆に迷惑かけたくないから」


    ユミル「……そうか」


    クリスタ「……うん」



    二人は肩を並べて、綺麗な星空を見上げた。


  50. 104 : : 2016/08/09(火) 15:01:00



    ミカサ『……』


    ミカサ『ここは……』


    ミカサ『あれ、私あの時機材の下敷きになっていて…』


    フワフワする意識の中、どこかわからない未知の空間を彼女は歩いた。

    しばらく歩いたと感じた頃、目の前に川が見えてきた。


    ミカサ『死の…川』


    無意識にこの言葉が出ていた。しかし、彼女の中ではその三文字が何度も何度もフラッシュバックしていた。

    三途の川とも言っただろうか死の川は、流れる勢いを緩めることなく淡々と流れ続いている。

    少しの間、川の流れに気をとられていた。

    綺麗だ。


    すぐに気を取り直した。
    帰らなければならない。

    反対方向を向いて歩くものの、いくら歩いても出口やゴールは見えてこなかった。
  51. 105 : : 2016/08/09(火) 15:06:27



    エレン「……」


    彼はある人物と待ち合わせをしていた。
    約束の時間を10分過ぎたというのに来る気配がない。


    エレン「はぁ……」


    と溜め息を着いたその時、肩を叩かれた。


    エレン「遅いですよ」


    ハンネス「おう!」


    修学旅行の時出会った医者、ハンネスだった。


    ハンネス「しっかしあの襄ちゃんがよぉ~~」


    エレン「あいつ、意識戻さないんです」


    ハンネス「なあに心配するこたねぇ。なんたってグリシャさんは……」










    エレン「……なっ!?」


    ハンネス「何なら一緒に会うか?」


    エレン「お願いします」


  52. 106 : : 2016/08/22(月) 11:59:54





    グリシャ「……うむぅ…」


    グリシャ・イェーガーは迷っていた。『ある薬』を使うか否か。

    しかしそれは・・・


    エレン「父さん!」


    息子が部屋に入ってきた。学校では嫌われているらしいが、病院内では看護士たちに好かれている。

    我が息子だと言うのにところどころ掴みきれないところがある。


    ハンネス「お久しぶりっすグリシャさん」


    グリシャ「ハンネス……ハンネスじゃないか!」


    ハンネス「へへへ……会うのは五年ぶりか?」


    グリシャ「エレン、お前が連れてきたのか?!」


    エレン「それより父さん、ミカサの意識を戻す薬があるんだろ!?」


    グリシャ「ハンネス……お前の口は相変わらずベラベラ喋るようだ」


    ハンネス「ひゅ~ひゅひゅ~」


    下手くそな口笛はグリシャに少しの安らぎを与えた。


    グリシャ「エレン、その薬のことなんだが・・・」


    ごくり。


    グリシャ「その薬は、意識を戻す代わりに体の機能の一部を失ってしまう可能性がある」


    エレン「!」


    グリシャ「医者として、そんな薬を投与することを進めたくはない。ましてやかわいいかわいいミカサにはな」


    ハンネス「(え……かわいいかわいい?)」


    エレン「……危険な薬か…」


    グリシャ「だから使用はやめて意識が戻るのを待つしかなi……」


    「「ちょっと待ったぁー!!」」


    ハンネス「!?」ビクッ


    ミカサ母「お、お話は聞かせてもらったわ!!」


    エレン「ミカサの母さん!」


    ミカサ父「その薬、使おうじゃないか」


    グリシャ「正気か!?こんな危険な薬を自分の娘に……」


    ミカサ母「ミカサは、大丈夫。あの子は強いから」


    ミカサ父「失ってしまった時は、僕たちが支えてあげれば良いでしょう」


    ミカサ父「娘がいない方が……僕は耐えきれない」


    グリシャ「両親が望むなら使うことは可能だが・・・」
  53. 107 : : 2016/08/27(土) 12:40:45
    グリシャ「可能だが・・・」


    グリシャ「可能だが・・・」


    グリシャ「可能…だが……」


    ウルウルウル


    ミカサ父「え」


    グリシャ「可能…だけど……」ウルウル


    エレン「(うわ……父さん…)」


    グリシャ「カルラぁ……」


    グリシャは部屋を出ていった。その場にいる全員がしばらく動けなかった。

    五分ほど経つと、目を真っ赤にしたカルラがまだ涙目のグリシャを連れて来た。


    カルラ「ほ、本当にあの薬を使ってもいいの?本当に?」


    ミカサ母「安静にしていつ起きるか分からないより、しっかり意識を持ってほしいわ」


    ミカサ母「私は」


    ミカサ父「僕もさ…もうミカサの名声をいつ聞けるかなんて……」


    ミカサ父「それにミカサはまだ若い。このまま楽しい思い出を他の人と一緒に味わえないなんて……可哀想だ」


    エレン「……」


    エレンとハンネスは部屋を出た。四人で話し合う必要があると思ったからだ。

    もちろん、決定権はミカサの両親にある。しかし、実の息子より溺愛している子供に危険な薬を投与することも今の状況では難しい。

    医者が私情を出すのはおかしいことだが、こればかりは耐えられないのだ。


    ハンネス「襄ちゃんの部屋行くか?」


    エレン「行ってみます」


  54. 108 : : 2016/08/27(土) 13:02:49

    ハンネスの提案でミカサの病室に行くことにした。


    ミカサ「……」


    エレン「……早く起きろよ」


    ハンネス「じゃ、エレン。俺は他に行くとこあっから」


    エレン「…ありがとうございました。わざわざ来てくれて」


    ハンネス「いいっていいって。先生によろしく言っといてくれよ」


    エレン「分かりました」






    彼女と二人きりになった。

    彼は、ベッドの近くに飾ってある花の水を換えることにした。


    エレン「~♪~~♪」


    わざとらしく鼻歌を歌って、気分を無理矢理紛らしていた。

    題名が何かも分からない、でも聞いたことがある曲を歌っていた。


    彼は花を花瓶から取りだし、水を捨てた。
















    「……あれ?」















    ずっと聞いていた、でも久しぶりに聞いた声が、静かな病室に響いた。


    エレン「え……」


    バリンッッ


    花瓶の割れる鈍い音が聞こえる。


    「……エレン?」


    後ろをゆっくりと振り返ると


    彼女は目を、開けていた。


    エレン「ミカサ?え、ミカサ?」


    ミカサ「ここはどこ?何故私はここに……っ」


    彼は手を握りしめた。強く強く、離さないように。


    ミカサ「痛い……」


    エレン「あ、ああすまねぇ」


    我に返った彼は急いで目を覚ましたことを告げた。

    彼女はいったい何が起きているのか分かっていないようだった。

    グリシャたちは、すぐに駆けつけた。


    グリシャ「……!ほ、本当だ」


    ミカサ「おじさん……?」


    グリシャ「よく目を覚ましてくれた……」
  55. 109 : : 2016/08/27(土) 13:15:35

    ミカサ「なんか川があって……歩いて…」


    ミカサ「いくら歩いてもなにもないから……諦めようかと思ったら、声が聞こえた」


    ミカサ「『早く起きろよ』って」


    エレン「……!俺の声だ」


    ミカサ「それで、声がする方に行ったら花の匂いがして」


    ミカサ「気がついたら、目を開けていた」


    グリシャ「とにかく検査だ。ミカサ、いいね?」


    ミカサ「はい」


    ミカサ母「良かった……っ!」


    ミカサ母「また失わないで良かった……」


    ミカサ父「だな」

  56. 110 : : 2016/09/04(日) 20:38:04










    ___________


    グリシャ「内部は、ほとんど無傷だった。腕などは骨折が酷いが……大丈夫だろう」


    エレン「本当か?」


    グリシャ「ああ。良かったよ……ミカサ」


    ミカサ「……体の包帯はつけたままじゃだめかな」


    グリシャ「ダメだダメだ!麗しき体にこれ以上傷が入ったら…」


    カルラ「そうよ!だめだめ」


    ミカサ「でも邪魔で……もう痛くないし」グルグル


    ミカサ父「そ、そんなに動かすんじゃない!」


    グリシャ「止めるんだミカサぁぁ!」


    エレン「流石にうるさいわ」


    「「「「ミカサが大事に決まってるからだろ(でしょ!)?!」」」」


    ミカサ「うん、流石に……うざい」


    グリシャ「う、うざい……?」プルプル


    ミカサ父「ウザイ……」プルプル


    カルラ「ウザイ……」プルプル


    ミカサ母「」プルプル


    ミカサ「ちょっとだけ出ていって」


    ミカサ父「行くか……」トボ


    ミカサ母「ええ…世界は残酷ね」トボ







    うるさい大人四人組が出ていき、エレンとミカサは二人きりになった。


    ミカサ「はあ……とてもうるさかった」


    エレン「うちの父さんと母さんもな」


    ミカサ「疲れた」


    エレン「ミカサ」


    ミカサ「ん?」


  57. 111 : : 2016/09/04(日) 20:57:06


    エレン「その…俺たち別れないか?」


    ミカサ「…どうして?」


    エレン「いやなんつーかさ、好きでもないのに付き合うとかおかしいだろ」


    ミカサ「そうだけど……あ」


    エレン「どうした」


    ミカサ「もしかしてエレン、好きな人できた?」


    エレン「え」


    ミカサ「好きな人できたなら、彼女がいたら邪魔」


    エレン「いやいねえよ……ん?いるな」


    ミカサ「ほらいた。ならはっきり振ればいい」フン


    エレン「あのなぁ……」


    エレン「……」


    ミカサ「何」


    エレン「あ…いや……うーん…」


    ミカサ「早く言って」


    エレン「その……」


    エレン「俺、多分…お前のこと好きだ」


    ミカサ「は?」


    彼女は訳がわからなかった。別れてくれと言ったすぐ後に告白?

    一瞬、ふざけているのだと思った。


    エレン「で、何て言うか俺が一方的に好きなままお前と付き合ってたら・・・なんかズルいだろ」


    ミカサ「ほ、ほお…」


    エレン「だから別れよう」


    ミカサ「だからの意味が分からない」
  58. 112 : : 2016/09/04(日) 21:12:55

    エレン「え」


    ミカサ「だからって何で別れないといけないの」


    エレン「俺が一方的に好きで、このまま付き合ってたらミカサに失礼だろ」


    ミカサ「何を今更」


    エレン「まぁそうなんですけど」


    ミカサ「あなたと過ごしてきて何年経つ?2~3年の付き合いじゃなくて、10年以上ずっと」


    ミカサ「その間にいくら失礼をしたと思ってる。この前だって私の体を凹凸のない体だと言ったり……失礼極まりない」


    エレン「ごめん」


    ミカサ「今更、失礼とか……他人行儀すぎ。最低アホエレン」


    ミカサ「私は別れない」


    そう言い、彼女はベッドに体を預けた。とても疲れているようだ。


    エレン「この頑固女……」ボソ


    ミカサ「何」ギロッ


    エレン「(地獄耳が……!!)」


    エレン「やっぱお前なんか好きじゃねえかも」


    ミカサ「それはご苦労様」


    エレン「この包帯女!あんぐらいの機材避けろってんだ」


    ミカサ「は?私が意識ないとき『早く起きろ』とか切ない声出してたのどちら様?」


    エレン「さーな少なくとも俺じゃねえ」


    ミカサ「絶対エレンの声だった」


    エレン「俺の声じゃねーし」


    エレン「……」


    ミカサ「……」


    エレン「ガキか」


    ミカサ「そっちこそ。そんなに口が悪いから皆に嫌われるんだ」


    エレン「嫌われてるのはお前だって一緒だろ。目付き悪いし」プププ


  59. 113 : : 2016/09/04(日) 21:27:32


    ミカサ「うるさい」ギロッッ


    エレン「おー怖い怖い」


    子供みたいな言い合いだけど。
    幼馴染みの言い合いだけど。

    これは、やっぱり幸せなことだ。

    事故があったけど無事だった。だからこうやって口喧嘩できている。


    ミカサ「怪我治ったら覚えておいて」


    エレン「さて治るかな」


    それに二人は、気づいているだろうか?

    きっと、エレンは気づいているだろう。好きな人と、喧嘩でも話せるということ。

    だから、表情が前よりも軟らかくなっている。幸せを分かっているから。


    ミカサ「絶対に治す。一ヶ月以内に」


    エレン「おう頑張れw出来るならな」


    ミカサ「……リンゴ剥いて」


    エレン「突然だな」


    ミカサ「はやく」


    エレン「へいへい」


    ミカサ「はやくはやくはやく」


    エレン「ちょ待てよ。クソ、リンゴって意外と切りにくいんだよな……」



    ミカサ「はやく!」



    彼女が、その幸せを気づくのは数年後の未来である_______。




    fin
  60. 114 : : 2016/09/04(日) 21:35:38


    ☆おまけ☆


    >ハヤク!


    >ダーーッ!モウウルセェ!


    病室の前


    アルミン「あはは、元気そうだね」


    アニ「心配して損した」


    アルミン「全く……、あの二人進展あるのかな?」


    アニ「エレンの告白も届いてないし」


    アルミン「ミカサと付き合うのって、案外大変なんだね」


    アニ「私は元から大変だったよ」ハア


    アルミン「ははっ。でも生きててくれて良かった!」


    >ウワッ!ユビキレタ


    >ヘタクソ


    アルミン「あーあ、やっちゃった。入ろうか」


    アニ「ん」


    コンコン


    アルミン「僕だよ、失礼しまーす」


    アニ「……(生きててくれて、良かったよ)」



    この二人もまた、幸せに気づいている。



    fin


  61. 115 : : 2016/09/04(日) 21:56:46

    あとがき

    終わった……。終わりましたよ。だらだら書いてて申し訳ございませんでしたっ!

    もう少し早く終わる予定だったんですが……本当に申し訳ない!

    ストーリーはフィクションなんですが(当たり前だ)、登場人物の性格や言動は以前好きだった男子などのをそのまま拝借しました。

    彼は、今は嫌われものではないです。友達も多く、元気に暮らしています。……口は悪いけど。

    目付きの悪い彼女は、今でも彼と口論しています相変わらずですねw


    思った以上に続いて、三部で書き上げましたこの作品、どうだったでしょうか?

    私はこの続編を書こうか迷いました。
    タイトルは
    『アニ「二人の未来」』みたいな。

    悩んだ末、書かないことにしました。

    ミカサがどうやって幸せに気づくか。
    エレンの恋はどうなるか。

    でも私の想像で二人の未来が絞られるよりも、読んでくれている人それぞれに未来を任せた方がいいかなー……なんて思いました。

    私としてはこの二人は25歳越えても結婚しなさそうだと思います。何しろあの鈍感なミカサですから。エレン……合掌。


    あ。それと裏設定が一つあってミカサの両親と旅行に行った時のタクシーの運転手さん、実はアニのお父さん設定です。ストーリーで明かせなかった……。(泣)


    いつの間にかあとがき多くなってました。邪魔ですねすみません )汗

    では。

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著者情報
eremika1

MARIA

@eremika1

この作品はシリーズ作品です

嫌われ者同士【エレミカ】 シリーズ

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