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エレン「エピソードⅡ」 ヒストリア「クローンの攻撃」 進撃×スター・ウォーズ

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  1. 1 : : 2015/09/24(木) 19:18:04
    進撃×スター・ウォーズ、エピソードⅡ、クローンの攻撃の第1話になります。


    前作、ファントム・メナスから10年後の物語になります。





    <主な登場人物>


    エレン・イェーガー・・・・・・ジェダイ・パダワン。アルミンの弟子。19歳。

    アルミン・アルレルト・・・・・・ジェダイ・ナイト。エレンの師匠。35歳。

    ヒストリア・レイス・・・・・・銀河共和国元老院議員。24歳。

    ユミル・・・・・・ヒストリアの側近。24歳。

    ジャー・ジャー・ビンクス・・・・・・銀河共和国元老院代議員。

    ナイル・アッカーマン・・・・・・惑星オルデラン出身の銀河共和国元老院議員。45歳。

    ハンジ・ゾエ・・・・・・惑星チャンドリラ出身の銀河共和国元老院議員。26歳。

    シーヴ・パルパティーン・・・・・・銀河共和国元老院最高議長。

    リヴァイ・アッカーマン・・・・・・ジェダイ・マスター。ジェダイ評議会の長老。50歳。

    ミケ・ザカリアス・・・・・・ジェダイ・マスター。ジェダイ評議会主要メンバー。50歳。

    ヨーダ・・・・・・ジェダイ・グランド・マスター。ジェダイ評議会主要メンバー。

    アニ・レオンハート・・・・・・悪名高い賞金稼ぎ。30歳。

    ケニー・アッカーマン・・・・・・悪名高き賞金稼ぎ。44歳。

    ダリス・ザックレー・・・・・・元ジェダイ・マスターにして、独立星系連合のリーダー。80歳。








  2. 2 : : 2015/09/24(木) 19:28:40











    遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・・・・
















    二機のN1スターファイターにエスコートされ、ロイヤル・クルーザーは銀河共和国首都惑星、コルサントへと近づいていた。


    ※ロイヤル・クルーザー
    http://www.starwars.jp/wiki/images/2/23/Royal_Cruiser.jpg








    中に乗っていたのはヒストリア・レイス元老院議員。
    数年前は惑星ナブーの女王だったのであるが、退位した後も人々に望まれて元老院議員になり、猶も政治の世界に留まっていた。






    「議員、間もなくコルサントに到着します。」

    「ご苦労様でした。」







    朝の摩天楼。
    濃い霧の上に突き出る高層ビルの数々。







    霧の中へと入っていったクルーザーは、ナブー代表団のためのプラットフォームへと着陸した。







    その隣に、黄色いN1スターファイターも二機着陸する。
    そのうちの一機から護衛の女性が降り、同乗していたR2-D2も地面に降り立った。




    もう一機からはユミルが降り、護衛の女性と話し始めた。






    「何とか着いたな。」

    「ええ。」






    クルーザーのタラップが降り、中からヒストリア議員が降りてくる。








    「何事もなくてよかった。」


    ユミルはほっと胸を撫で下ろした。







  3. 3 : : 2015/09/24(木) 19:40:03










    ドゴオォオォォンッ!!


    一瞬、眩しい光に包まれ、ロイヤル・クルーザーは突如、大爆発を引き起こした。








    プラットフォームに警報が鳴り響く。










    まだ耳鳴りがする中、ユミルと話していた護衛の女性が立ち上がり、ヒストリア議員の元へと駆け寄った。


    「コーデ!」






    駆け寄った女性が本物のヒストリア議員であった。
    ヒストリアは悲痛な面持ちで、爆風に巻き込まれた侍女の側に座り込んだ。





    「ごめん・・・・・・なさい・・・・・・議員・・・・・・私・・・・・・」

    「嫌よ・・・・・・」






    そのまま侍女は息を引き取った。
    10年前のナブー騒乱を共に戦った仲間の、あまりにも突然の死。






    「大丈夫か!? ヒストリア!?」


    ユミルが慌ててヒストリアの元へと近づく。
    爆風に吹き飛ばされ、ユミルも軽い怪我を負ったようだった。





    「くそ! 爆弾なんかしかけやがって!!」


    思いっ切り毒づくユミルに対し、ヒストリアは涙を浮かべていた。







    「私・・・・・・コルサントに戻ってくるべきじゃなかった・・・・・・。」

    「・・・・・・行くぞ、ヒストリア。コーデはお前を守って・・・・・・死んだ。お前は勤めを果たさなきゃならねぇぞ。」







    辛いのは百も承知。
    ユミルは、しかし、ヒストリアを説得した。




    「さあ、ヒストリア!!」






    ヒストリアは後ろ髪を引かれる思いで、コーデの死体の側から離れ、元老院へと向かった。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  4. 4 : : 2015/09/25(金) 15:38:39









    第1話


    謎の襲撃者














    パルパティーン最高議長は、ロイヤル・レッドに塗られた自分のオフィスにジェダイたちを集め、今朝の事態について話し合っていた。






    リヴァイやヨーダ、ミケ、エルド、グンタらジェダイ・マスターは、議長の憂いに満ちた言葉に耳を傾けた。


    「これ以上投票の引き延ばしをすることは困難だ。実に多くの星系が分離主義者に加わってしまったのだよ。」









    パルパティーンが最高議長になってからというもの、初めの内は彼の統治は上手く働き、四年ごとに行われる最高議長選挙も難無く再選を果たした。


    しかし、二期八年――――――彼の任期が満期に差し掛かろうとしていた時、問題は起こったのである。









    突如として多くの星系が独立星系連合を結成し、共和国に反旗を翻したのだ。



    その先頭に立っていたのは、元ジェダイ・マスターであるダリス・ザックレー伯爵。
    そのカリスマ性と豊富な財力を背景に様々な星系をまとめ上げ、共和国の不正を正すと公言し始めたのである。







    しかも、その中にはあのナブー騒乱を引き起こした通商連合まで含まれていた。



    彼らの行動は日増しにエスカレートし、最近では小競り合いも各地で見られるようになった。
    その為元老院には、ある議案がかけられた。











    軍隊法―――――――――――共和国に正規軍を設立するか否か。





    ヒストリアは法案反対派の筆頭であった。
    彼女は採決されるはずであった軍隊法に反対を投じる為にコルサントに戻った矢先、命を狙われたのである。





    結局、投票は延期になった。
    だが、離反する星系が増えていく今、結論を出さねばならない時期に差し掛かっていたのである。






  5. 5 : : 2015/09/25(金) 15:40:00








    「もし多くの星系が離反したとして、お前はどうするつもりだ? 最高議長?」


    マスター・リヴァイが議長を問い詰める。
    常に最悪の事態は想定しておきたい。





    すると、議長は強い決意をうかがわせるような、威厳に満ちた口調で答えた。


    「千年続いた共和国を割ることだけは避けたい。私は交渉を諦めん!」









    「だが、戦いとなれば、俺たちだけで共和国は守れねぇ。」

    「マスター・リヴァイのおっしゃる通りです、議長。我々ジェダイは平和の守護者であって、兵士ではないのです。」




    リヴァイとエルドが議長に対して口を挟んだ。







    ジェダイは共和国の守護者であって、軍隊ではない。



    これまでジェダイはその聡明な知恵でもって、幾多の紛争を解決してきた。
    だが、今度の独立星系連合の危機は、今までにないほど大規模になってしまった。


    ジェダイが抑えられないなら、軍に頼るしかない―――――――こうした背景があって、軍隊法の話が持ち上がったのである。








    「マスター・ヨーダ・・・・・・戦争になるとお思いですか?」


    議長がヨーダに尋ねた。
    ヨーダは最年長のジェダイであり、そのフォースは強大であった。



    だが・・・・・・





    「・・・・・・ダークサイドが、すべてを曇らせておる。未来を見ることは・・・・・・不可能じゃ。」


    ヨーダはこの事件の背後にダークサイド、つまりシスの暗黒卿の存在を確信していた。









    彼らの存在がヨーダの洞察力を曇らせ、未来を予知することを困難にしていたのである。





  6. 6 : : 2015/09/25(金) 18:28:59









    すると、議長の机の上に、ローディアンの秘書のホログラムが映った。






    <忠誠派議員団が到着しました。>


    ローディーズ語で話す秘書の報告を受け、議長は“お通ししろ”といって通信を切った。






    「この件はまた後で、ジェダイ・マスター殿。」


    パルパティーンやジェダイたちは立ち上がり、ドアから入ってきた議員団を出迎えた。







    議長のオフィスに、今朝暗殺されかけた惑星ナブーの元老院議員、ヒストリア・レイス。
    惑星オルデランの元老院議員、ナイル・アッカーマン。
    惑星チャンドリラの元老院議員、ハンジ・ゾエ。


    その他、共和国の良心と目される忠誠派の議員たちが入ってきた。







    ヨーダはヒストリアを見ると、安心したように声をかけた。


    「ヒストリア議員。今朝の痛ましい事件のことを聞いた。とても恐ろしいのう。ともあれ、無事で何よりじゃった。」







    「一体誰がこのようなことをしているとお思いですか?」



    ヒストリアの口調は厳しかった。


    _________私の友人の一人は、なぜ死ななければならなかったのか?

    どうしても知りたかった。







    すると、マスター・グンタがこれに答えていった。






    「情報によると、ナブーの月のスパイス採鉱者による仕業と見られています。」

    「黒幕はザックレー伯爵では?」






    ヒストリアはジェダイたちとは別の見方をしていた。
    動機はまだわからないものの、この件が伯爵と無関係とは思えなかったのだ。




    ジェダイにしてもそれは同じだった。
    だが・・・・・・






    「伯爵は理想主義者だが、殺人者ではない。」

    「それに、あいつもジェダイのはしくれだ。暗殺という手段を取るとは考えにくい。」





    ミケとリヴァイは首謀者が別にいると考えているらしかった。





  7. 7 : : 2015/09/25(金) 18:30:00







    「いずれにしてもじゃ、ヒストリア議員。お主の身に危険が迫っておる。」


    先ほどとは打って変わって真剣な顔のヨーダ。







    すると、最高議長が突然、こんな提案をした。


    「ジェダイ・マスター殿。どうか、ヒストリア議員をあなた方の保護下に置いていただけませんか?」








    「この難しい状況に、果たして賢明な判断でしょうか?」

    「いや、私は必要なことだと思うね。」



    ナイル元老院議員が懸念を示す一方で、ハンジ元老院議員は賛成した。







    当のヒストリア議員は反論した。


    「そんな! 状況はそこまで――――――――「状況はそこまで深刻ではない? 私はそうは思わないのだよ、ヒストリア議員。」







    心配そうな目で、議長はヒストリアを見据えながら話を続けた。


    「これ以上警備が増えることはあなたにとって窮屈なのは分かるのだが、仲の良い人物なら? 例えば、そう・・・・・・・・・・・・マスター・アルレルトはどうですかな?」









    「・・・・・・いいだろう、最高議長。アルミンはアンシオンの国境紛争から戻ったところだ。」


    マスター・リヴァイも承諾し、ヒストリア議員はジェダイ・ナイト、アルミン・アルレルトの護衛を受けることとなった。








    「ヒストリア議員、どうか・・・・・・あなたを失ってしまっては、耐えられそうにない。」


    パルパティーンの好意を無碍には出来ない。
    しぶしぶヒストリアは彼の提案を承諾した。







    「今からアルミンに連絡をつける。しばらく待っているんだな。」

    「ありがとうございます、マスター・リヴァイ。」









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  8. 8 : : 2015/09/25(金) 21:27:49









    元老院アパート・ビル。



    500リパブリカにある高層ビルの一つであり、ヒストリアのアパートはその最上階に位置している。
    最上階へ向かって上昇するエレベーターの中には、護衛の任務を帯びた二人のジェダイが並んでいた。







    「エレン? 緊張しているのかい?」

    「き、緊張なんかしてないです。」

    「汗かいてるよ?」

    「うっ・・・・・・。」







    ジェダイ・ナイト、アルミン・アルレルトと、彼のパダワンであるエレン・イェーガー。


    彼らは師弟として、十年もの間一緒に過ごしてきた。







    「君がこんなに緊張しているのを見るのは、一緒にガンダークの巣に落ちた時以来かな?」

    「あの時はマスターが巣に落っこちて、俺が救出したんじゃないですか!」

    「あの時はヤバかったなぁ。君がいなかったらと思うとこっちが冷や汗の出る思いだよ。」








    アルミンはくすっと笑った。


    十年前に引き取った時はあんなに小さかったエレンは、今や僕より上背のある男だ。
    ただ、生意気さもかなりのものになったけど。






    「深呼吸して。リラックスするんだ。」

    「・・・・・・彼女とは十年ぶりなんです。」






    ____________エレンがそわそわしていたのは、そういうわけだったのか。




    そう言えばあのナブー騒乱からもう既に十年が経った。


    僕がマスター・エルヴィンを亡くしてから、既にもう十年。
    そして、エレンにとっては、ヒストリアと別れてから既に十年になる。





    エレベーターの中でアルミンは、過ぎ去った時間の長さをしみじみと感じていた。






  9. 9 : : 2015/09/25(金) 22:18:33







    チーンッ


    エレベーターのドアが開くと、僕らの前に懐かしい人物が現れた。






    「アルミン!? アルミン!! ミーまた会えてうれしいよ!!」


    元老院議員のローブを纏ったジャー・ジャーが、僕の手を取って思いっきり上下に振り回した。






    「やあ、久しぶりだね、ジャー・ジャー!」

    「え~、コホン! 今からヒストリア議員のところへ案内するね!」






    努めて落ち着いて案内しようとするジャー・ジャー。


    これでもジャー・ジャーはヒストリアの代議員。
    ヒストリアがコルサントに不在の時は、彼が代わりに元老院議員として出席する。





    こんなところにもアルミンは、十年というときの長さをしみじみと感じ取っていた。












    「ヒストリア議員!」


    ジャー・ジャーはそのまま、僕らを部屋へと案内してくれた。
    部屋の奥に進むと、そこにはヒストリアと側近であるユミルが摩天楼を眺めていた。







    「この人たち誰だと思う? ジェダイ二人のご到着!」


    ジャー・ジャーに紹介されて、アルミンはヒストリアに頭を下げて挨拶をした。







    「お久しぶりです、マスター・アルレルト。またお会いできて光栄です。」

    「こちらこそ光栄ですよ、ヒストリア議員。」







    挨拶を交わすアルミンとヒストリア。
    それからヒストリアは、アルミンの後ろにいる上背のある男に目をやった。




    「・・・・・・あなた、エレンなのッ!?」




    記憶にある、まだあどけないあの小さなエレンを想像していたヒストリアは、成長して自分よりも大きくなったエレンに思わず驚きの声を上げてしまった。






    「こんなに大きくなって。」

    「はは、ヒストリア議員も、その・・・・・・相変わらず綺麗ですよ。あ、議員としての話ですけど。」







    なんともぎこちなく話すエレンにヒストリアは笑って答えた。


    「中身はまだタトゥイーンの坊やのままなのね。」







  10. 10 : : 2015/09/25(金) 22:21:11







    「よう、久しぶりじゃねぇか、アルレルトさんよ。」

    「君は相変わらず元気そうだね、ユミル。」

    「随分と落ち着いたな? 十年前はエルヴィンにべったりだったお前がよぉ。」

    「懐かしいなぁ。」







    アルミンとユミルはそのまま腰をソファーに降ろし、ヒストリアの警護について話し始めた。
    エレンはアルミンの隣に、ヒストリアはユミルの隣に座った。






    「まぁ、警備は厳重にしてあるんだが、それでも足りないくらいヒストリアは危険な状態だ。」

    「これ以上の警備は要りません、マスター・アルレルト。それよりも、誰が私を殺そうとしているのかを知りたいのです。」






    ヒストリアとしては、当然の要求であった。
    だが、アルミンにとってそれは、危険を伴う不確定な要素に過ぎなかった。






    「ヒストリア議員、僕らの目的はまず、あなたの警護にあります。」

    「勿論、殺そうとするやつは俺たちが探し出します。」







    横から口を挟むエレンに、アルミンが怪訝な顔をした。






    「エレン? 余計なことはしないでね?」

    「ヒストリアを守る過程で、ですよ。マスター。」

    「口答えをしないようにいつも言っているよね? しっかりと教えを守るんだ。」

    「なぜです?」

    「はっ!?」






    一転して険悪なムードがエレンとアルミンの間に流れる。
    突然の状況に、ジャー・ジャーの目線が右から左、左から右へと泳いだ。





  11. 11 : : 2015/09/25(金) 22:23:37





    「ヒストリアを守るだけなら、なぜ俺たちジェダイが派遣されるんです? 犯人逮捕は当然の務めです。」

    「ジェダイ評議会の命令を聞いていなかったのかい? 僕らはヒストリア議員を警護するよう言われたんだ。勘違いしないでね、エレン?」








    ヒストリアはため息をつき、立ち上がった。


    「あなた方がいてくださるおかげで、この謎もわかるでしょう。では、私はこれで。」






    そのままヒストリアは寝室へと向かった。








    取り残されたユミルは、非常に気まずい様子でアルミンに話しかけた。


    「まぁ、何だ・・・・・・お前らがいて心強いのは確かだ。私は下の指令センターにいるからな。」






    そう言うとユミルはエレベーターに乗り、階下の指令センターへと向かい始めた。






    「ミーまたエレンに会えて幸せね。」


    ジャー・ジャーに話しかけられたエレンは、しかし、うつむきがちに答えた。







    「ヒストリアのやつ、俺のことを忘れてたんだ。俺はずっと、忘れたことなんてなかったのに・・・・・・。」

    「そんなことないよ。ヒストリアがあんなに喜んでいるの、ミー久しぶりに見たね。」









    「エレン、君は物事を否定的に捉え過ぎだ。・・・・・・ヒストリアは喜んでいたよ。」


    “さぁ、セキリュティーを確認しに行こう。”とアルミンはエレンを引き連れて、各フロアの警備を確認しに行った。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  12. 12 : : 2015/09/26(土) 01:31:00
    期待です
  13. 13 : : 2015/09/26(土) 14:18:27
    期待ありがとうございます!
  14. 14 : : 2015/09/26(土) 14:18:37








    夜の帳が降りた摩天楼は、昼の時とはまた違った表情を見せる。



    宝石のように輝くネオンやホログラムの光。
    コルサントの上層は眩しい光に包まれ、さながら光の柱が乱立しているかのごとくであった。








    そのビルの一角のバルコニーに、一台の密閉型スピーダーが駐車し、中から人間の女性と思しきものが降りた。



    ※密閉型スピーダー
    http://www.starwars.jp/wiki/images/8/8f/Koro2.jpg








    その女性はバルコニーに待機していた、人間の男性と思しきものと話を始めた。








    「爆弾で吹き飛ばしたのは囮だった。敵も馬鹿じゃない。」

    「おいおいおい、今回のクライアントは気が短けぇぞ?」

    「まったく、何でこんな面倒な仕事を引き受けたのか、私には理解できないね。」

    「おまけにジェダイまで雇いやがった。今まで以上に暗殺は難しいぜ?」








    謎の男はにやけながらそう言い、謎の女はあきれ顔になった。





  15. 15 : : 2015/09/26(土) 14:19:24







    「ったく、アンタってやつは・・・・・・。」

    「おっと、蹴っ飛ばすんじゃねえぞ!? そんなお前に素敵なプレゼントがあるからな。」






    そう言うと、謎の男は懐から透明の筒を取り出した。
    中にはまるで巨大なムカデのような、猛毒を持つコウハンが二匹入っていた。


    ※コウハン
    http://www.starwars.jp/wiki/images/7/7e/Kouhun.jpg







    「気を付けな、そいつは猛毒持ちだからな?」

    「やれやれ、素敵なプレゼントをどうも。」








    謎の男は去り際に、謎の女に声をかけた。


    「じゃあな、アニ。今度こそしくじるんじゃねぇぞ?」









    そう言うと謎の男は、背中のジェット・パックを噴射して夜の摩天楼に消えていった。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  16. 16 : : 2015/09/26(土) 14:47:28







    「部屋の警備は万全だね。ユミルは中々厳格なセキリュティーを敷いているみたいだ。」

    「そうですね、これなら暗殺者の出入りも不可能だと思います。」

    「何か変わった様子は?」

    「墓場のように静かですよ。ただ、じっと待っているのは性に合いません。」






    アルミンは静かに、エレンは何か待ちきれないといった様子で、アパートのリビングに待機していた。
    隣の部屋では既に、ヒストリアが就寝中である。







    「部屋の様子は・・・・・・あれ!? 監視カメラが真っ暗だ!」

    「ヒストリアは監視を嫌ってカメラにカバーをつけたみたいです。」

    「何を考えているんだい、彼女は!?」







    少しずつ嫌な予感がしてきたアルミンに対し、エレンはこんなことを言いだした。






    「大丈夫ですよ。侵入者があれば部屋にいるR2が警報を鳴らしてくれます。」

    「暗殺の方法はいろいろある。」

    「犯人を捕まえたいんです。」

    「まさか・・・・・・今度はヒストリアを囮にする気かい!?」







    ____________予感的中。


    全くエレンは・・・・・・。

    どうしていつもこう勝手に物事を進めるんだろう?





  17. 17 : : 2015/09/26(土) 14:48:49







    「これはヒストリアのアイディアなんです。」

    「だからって。」

    「心配は無用です。何か動きがあれば俺が察知します。」







    アルミンは腕を組み、顔を背けた。


    「・・・・・・危険すぎるよ。君の感覚はまだ怪しいからね。」








    むっとしたエレンは、マスターにツッコまずにはいられなかった。


    「そう言うご自分はどうなんです?」






    アルミンはエレンのほうに向き直ると、実にあっさりとツッコみに返答した。


    「・・・・・・まずまずかな。」









    ◇◇◇◇◇






  18. 18 : : 2015/09/26(土) 19:31:21







    同刻。





    アニは暗殺用のアサシン・ドロイドの中に、コウハンが二匹入った筒を装填した。


    ※アサシン・ドロイド
    http://www.starwars.jp/wiki/images/c/cb/ASN-121.jpg







    ドロイドが静かな音を立てて、夜の摩天楼の中へと消えていく。








    ◇◇◇◇◇








    「・・・・・・疲れているのかい、エレン?」

    「・・・・・・最近、よく眠れないんです。」

    「お母さんのことを夢に見るのかい?」








    しばらくの沈黙のあと、エレンはゆっくりと頷いた。





    ____________母親が悲しそうな顔をした後、透明なガラスに変わっていき、砕け散ってしまう夢・・・・・・。


    エレンは最近ずっと、この悪夢に悩まされていた。







    「ただの夢だよ、エレン。」

    「どうして母さんの夢ばかり見るのか・・・・・・俺には分からないんです。」






    遠い昔に、故郷に一人残してきた母親を、エレンは今でも愛しく思ていた。
    それ故に、この悪夢はいつも、エレンの心を掻き毟るように騒がせた。







    「ヒストリアの夢だったら、多少は気が楽になるのに・・・・・・。」

    「エレン、君のその感情は危険だ。ジェダイ・オーダーの神聖な誓いを破ることになりかねないよ。」







    アルミンは暗に警告した。


    ____________ジェダイは恋をしてはならない。







    恋は執着を生み、それはダークサイドへの扉を開くと考えられていたからだった。






    「それに、彼女は政治家だ。」

    「また始まった・・・・・・マスターの政治嫌いが。」






    今度は、エレンがうんざりする番であった。






  19. 19 : : 2015/09/26(土) 19:32:21









     (「政治家がお熱なのは、多額の献金をくれる相手だけだよ。その為には民主主義だってないがしろにする。」)
     (「ヒストリアはそんな人間じゃないです。」)







    二人が議論をしているうちに、アサシン・ドロイドはゆっくりと、ヒストリアの寝室の窓に近づいていた。







     (「それに、政治家の中にもパルパティーン最高議長みたいな人徳者だっています。」)
     (「彼は議員たちのしがらみの中を上手く泳ぎ回っているだけだよ。」)








    アサシン・ドロイドは窓に小さな穴を開けると、筒を差し込んで中にいる猛毒のコウハンを解き放った。
    二匹のコウハンは、床に張り巡らせたセンサーの網を潜り抜けて床に落ち、ゆっくりとヒストリアのベットに近づいていく。








    「!!」


    異変に気が付いたR2が自ら電源を入れて、サーチライトで部屋を照らし始めた。








    ゆっくりと部屋の隅から隅へとサーチライトを当てていく。


    ____________誰もいない。









    ・・・・・・気のせいだったか。


    R2は再び自分の電源を切った。







    電源が落ちたのを見計らうように、咄嗟にベットの下に隠れたコウハンたちがベットの上へと這いずり回る。
    ヒストリアに再び、暗殺の危機が迫る。





  20. 20 : : 2015/09/26(土) 19:33:07









    「あの人は人格者です、マスター。俺の・・・・・・!!」






    突然、フォースが警告を発した。






    「侵入者だ!!」


    アルミンが叫び、二人は寝室へと走り出した。







    ビュウウンッ!


    寝室に入るなり、エレンが青い光刃を起動。
    二匹のコウハンを瞬く間に焼き切った。






    「!! エレンッ!?」


    驚いて飛び起きるヒストリア。






    ふと気配に気が付いたアルミンが、窓を見た。
    窓の外には、アサシン・ドロイド。


    ____________こいつが虫を、運んできたのか!







    「まてッ!!」



    ガシャァン!

    アルミンは窓に突っ込み、そのままガラスを突き破ると、逃走を図ったアサシン・ドロイドにしがみついた。






    _________アルミンのやつ、俺には無茶するなって注意する癖に!


    「ここで待ってろ! ヒストリア!」







    エレンは飛び出していったアルミンを追いかけるために、元老院議員の駐車場へと走り出した。






  21. 21 : : 2015/09/26(土) 19:36:06







    様々なスピーダー飛び交う夜の摩天楼。
    その中を、アサシン・ドロイドはアルミンをぶら下げ、間を縫うように飛んでいく。





    強いビル風が吹き付ける中、アルミンは懸命にドロイドにしがみつく。


    対してドロイドは、アルミンを振り落とそうと必死になった。
    が、ビルにぶつかり、衝撃を与えても中々アルミンは手を放さなかった。






    「この、放すもんか!」


    歯を食いしばり、必死にしがみつくアルミン。





    ドロイドはスピーダーの飛び交うレーンを逆走。


    「やばいって! うわあぁっ!!」






    足を上げ、身を左右によじって、何とか向かって来るスピーダーを躱すアルミン。






    「ちょっとどいて~っ!!」


    対向車に必死に叫んで、アルミンは自分を躱してもらっていた。






    何千メートルも上空。
    夜の摩天楼の中をドロイドにぶら下がって、スピーダーの中を駆け抜けるジェダイ。



    どう考えても普通ではない。








    「あのジェダイは何考えてんだ!?」

    「ジェダイのクソ野郎め!」



    慌ててクラクションを鳴らし、アルミンを避けたスピーダーの運転手は、口々にそう叫んだ。






  22. 22 : : 2015/09/26(土) 19:36:59







    アサシン・ドロイドの帰還を待っていたアニは、しかし、スコープを覗いて驚愕した。


    _________私の放ったドロイドに、男か女か分からないやつが一人、ぶら下がってるだと!?










    「全く、ジェダイを相手にするのはこれだから嫌なんだ。」


    賞金稼ぎはそうぼやくと、スナイパーライフルを一丁取り出して、あの男女のジェダイに向けた。








    バシュウッ!

    「!!」




    ―――――――あのジェダイめがけて撃ったのに、弾道が曲がった!?








    アルミンはフォースで弾道を捻じ曲げていた。
    ある程度近づかなければ、アルミンを狙撃することは不可能だった。




    なら・・・・・・











    バシュウッ!

    バァンッ! 「うわぁッ!!」



    ドロイドが狙撃され、アルミンは光り輝く摩天楼の底へと墜落。







    アニはバルコニーのそばに停めてあった密閉型のスピーダーに乗り込むと、摩天楼の中を疾走し始めた。





  23. 23 : : 2015/09/26(土) 19:38:21






    「!! いたな!」


    エレンが墜落していくアルミンを発見。
    元老院議員の駐車場から拝借してきた黄色いスピーダーを急いで走らせる。


    ※エレンのスピーダー
    http://www.starwars.jp/wiki/images/c/cc/XJ-6_airspeeder.jpg






    「エレンッ! こっちだッ!」


    マスターの掛け声に合わせ、墜落していくアルミンのすぐ真下にスピーダーを滑らせた。





    「よっと!」


    何とかアルミンがスピーダーに掴まり、助手席に乗り込んだ。







    「遅かったじゃないか!」

    「すみません、マスター。いいスピーダーが見つからなくて。」

    「あれあれ! 追いかけるんだ!」

    「オープンカータイプでスピードの出る奴となるとなかなか。」

    「そんな言い訳するくらいなら、マスター・ヨーダを抜けるよう修行に打ち込んだらどうなのさ!」

    「もう抜いてますよ。」

    「夢の中ではね。まったく生意気なんだから。」







    ____________追手がもう一人いたのか!


    アニは操縦桿を握り、必死になって逃走した。
    超高層ビル立ち並ぶ夜の摩天楼の中、熾烈なスピーダー・チェイスが始まった。





  24. 24 : : 2015/09/26(土) 19:39:33








    向かって来る対向車を左右、絶妙にかわし、横へ一回転しては垂直降下していくアニ。





    「エレン! 待って!! うわあぁっ!!」


    エレンも同じように横に一回転からの垂直降下。
    摩天楼のビルの間、スピーダーの間を縫うように、垂直に落下していく。








    すると、目の前に浮遊式プラットフォームが見えてきた。


    「待って!! 突っ込まないで!! お願いだからッ!!」









    いやああぁああぁあぁぁッ!!



    アルミンの絶叫が響き渡る中、エレンは構わずプラットフォームに突っ込み、寸のところで上昇、ギリギリでプラットフォームを躱した。








    「ははは、最ッ高にスリリングでしたね!」

    「ふざけないでよッ!!」

    「そうでした。マスターは飛ぶのが嫌いでしたね。」

    「君のせいだッ!! 自殺行為だよ、全く・・・・・・。」






  25. 25 : : 2015/09/27(日) 16:18:20








    アニのスピーダーはそのまま工業地帯へと逃走していく。

    石油の精製施設から吹き上がる炎を、巧みに躱していくエレン。








    ふと、アニの目が、その行く末に発電施設を捉えた。




    バキュウッ!
    バチィッ!

    アニは咄嗟に窓から手を出し、ブラスターで施設を撃った。




    バチバチィッ!!

    発電施設は、アニが通り過ぎた後、エレンの行方を塞ぐように電流が走り始めた。







    これを見たアルミンはピンと来て絶叫した。





    「エレンッ!! 何度言ったらあばばばばばばッ!!」


    構わず電流に突っ込んでエレンとアルミンは感電した。





    「発、電、所には、近、づく、なってッ!!」

    「死には、しない、から、平気ですよ!」





    ビリビリビリっと感電して、アルミンはもう勘弁してほしいという気持ちでいっぱいだった。


    「無茶言わないでよ・・・・・・。」








    驚いたのはアニも同じだった。


    電流に突っ込んでまでも追いかけてくるとは。
    時間稼ぎにもならなかったことを知って、アニはぼやいた。



    「まったく、割に合わない仕事だ。」







  26. 26 : : 2015/09/27(日) 16:19:34








    二台のスピーダーは再び摩天楼の中に突入した。






    アニは進路を右に大きく変え、ビルを貫通しているトンネルの中に入っていく。
    後を追うエレンは、しかし、曲がらずにまっすぐ進んだ。





    「エレン!? どこに行くつもり!?」

    「このまま追いつつけたらあいつ、事故って自滅しますよ、マスター。ショートカットですよ!」






    そう言って摩天楼の中を飛ばしていくエレン。




    トンネルの中を飛ばすアニ。
    背後を気にしつつ、周りのスピーダーを抜かして進んでいたのであるが、いつの間にやら追手の気配が消えた。







    ようやくトンネルを抜け、背後に追跡者がいないことを確かめるアニ。
    やれやれ、やっと撒くことが出来たようだと、アニはため息をついた。





  27. 27 : : 2015/09/27(日) 16:29:06







    「・・・・・・見失ったよ? エレン?」

    「・・・・・・本当に申し訳ありません、マスター。」





    さて、ショートカットしたエレンは、案の定というべきか、襲撃者を見失ってしまった。
    恐る恐るマスターを見ると、これまた案の定、アルミンは相当おかんむりだ。







    「何がショートカットだよ! 君のその独断のせいでこれまで―――――――「ちょっと失礼ッ!!」


    そう言うなり、エレンはスピーダーから、遥か摩天楼の下へと飛び降りた。








    「・・・・・・何度泣かされたことやら。」


    飛び降りていったエレンを見、運転席に座ってアルミンはエレンを追いかけ始めた。





  28. 28 : : 2015/09/27(日) 17:06:24







    飛び交うスピーダーの間を縫って落ちていくエレン。













    ガシッ!

    落ちていった先に、エレンはアニのスピーダーを捉えた。





    「!!」


    アニは驚愕した。
    こいつ・・・・・・先回りしていたのか!!




    機体を左右前後に振り、何とか上に乗ったエレンを振り落とそうとするアニ。
    エレンを振り落とそうと必死になりすぎ、アニは一瞬変装が解け、人間の顔から筋肉が剥き出しになったような素顔を晒した。





    「おわっと! 残念、そうはさせねぇよッ!!」


    エレンは必死にしがみつき、密閉されたコクピットの上でライトセイバーを手にした。







    ビュウウンッ!

    青い光刃がコクピットを突き破った。




    「ぐっ、このッ!!」


    アニも必死に抵抗し、上に向かってブラスターを乱射。




    「つッ!!」


    その内の一発が腕にかすり、エレンはライトセイバーを後方へと落としてしまった。






    ____________やっちまった!

    これは・・・・・・間違いなくアルミンにどやされるな。






    そんなことを考えつつ、エレンは、ライトセイバーでこじ開けた穴に手を突っ込み、ブラスターを握るアニの腕を掴んだ。





    バキュウッ!
    バキュウッ!
    ボォンッ!!

    車内で何発も光弾が放たれ、中の機器に命中。
    スピーダーが煙を上げ、徐々に墜落し始めた。






  29. 29 : : 2015/09/27(日) 17:07:50








    「おい、何だあれッ!?」





    コルサントの繁華街、アスクルー・エンターテイメント地区。
    その下層は薄汚れた治安の悪い場所となっており、様々な人間やエイリアンたちが行き来する場所。



    ※アスクルー・エンターテイメント地区
    http://www.starwars.jp/wiki/images/6/6e/Vos_Gesal_Street.jpg







    その上空に、エレンを上に乗せたスピーダーが突如落ちてきた。
    エレンは墜落の直前に通りに投げ出され、アニのスピーダーはそのまま墜落。建物の壁に当たって炎上した。






    「ッくう、痛って~。」


    お腹を押さえながら立ち上がるエレン。





    すると、燃え上がるスピーダーの中からアニが飛び出し、周りに集まってきた人ごみに紛れて逃げ始めた。


    「!! 待てッ!!」






    大勢の人通りの中を駆け抜けていくエレンとアニ。








    やがてアニは、薄汚れたナイトクラブの一つであるアウトランダー・クラブへと逃げ込んだ。



    ※アウトランダー・クラブ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/2/2e/OutlanderClub.jpg







    「エレンッ!!」


    続いてエレンもクラブに入ろうとすると、追いかけてきたアルミンに呼び止められた。







    「マスター! あいつはこの店の中に入りました!」

    「あせらないで、フォースを使うんだ、エレン。」

    「はいマスター!」

    「敵は隠れただけだ、逃げはしない。」

    「はいマスター!」

    「それと・・・・・・。」





    アルミンは懐からエレンのライトセイバーを取り出した。
    後ろから追いかけていたアルミンがキャッチしていたのである。





    「この武器は命だッ!」

    「・・・・・・すみません、マスター。」





    “次からは落とすなよ”と言って、アルミンはエレンにライトセイバーを手渡した。






  30. 30 : : 2015/09/27(日) 17:33:20







    「まったく、いつか君に殺されるような気がするよ、エレン。」

    「な、何てこというんですか、マスター! あなたは俺にとって父親代わりなんですよ!?」

    「じゃあ少しはいうことを聞いてよ?」

    「・・・・・・努力します。」








    クラブの中は、妖しいネオンの光や、様々なお酒の香りに満ちた、危険な空間であった。
    様々な人間やエイリアンたちが着飾り、思い思いにグラスを傾けている。


    店内にあるホログラムは、ポッド・レースなどの賭け事のために使われていた。






    「それで、襲撃者はどんな男だったの?」

    「女でした。」

    「女?」

    「それに、彼女はいつでも変装可能なクロ―ダイトです。」






    クロ―ダイト―――――――それは銀河広しと言えども、容姿を他の種族に擬態できる珍しい種族であった。
    アニ・レオンハートは、その稀有な能力をフルに発揮し、困難と言われた暗殺稼業を達成してきたのである。






    「う~ん、それは気をつけなくちゃいけないね。エレン、店内をくまなく探し出すんだ。」

    「マスター? どこに行くんです?」

    「僕は一杯飲むのさ。」

    「またですか!?」





    エレンは心底呆れて、マスターの言いつけ通りに店内を探し始めた。





  31. 31 : : 2015/09/27(日) 18:03:32








    アルミンはカウンターに腰を下ろすと、青い色をしたお酒を注文した。






    「なぁ、アンタ。デス・スティックは要らないか?」


    グラスを傾けてお酒を飲んでいると、闇商人がアルミンに話しかけてきた。
    こうした治安の悪いナイトクラブでは、麻薬の取引が日常的に横行していたのである。






    アルミンは小さくため息をつくと、手を振りながら言った。






    「僕は要らないよ。」

    「じゃあお前には売らねぇ。」

    「家に帰って人生を考え直すんだね。」

    「じゃあ家に帰って考え直すとしよう。」







    フォースは弱いものの心を操れる。
    アルミンは、その手のマインド・トリックの達人であった。










    様々な種族の男女が絡み合う店内を、ゆっくりと探して回るエレン。
    そして、捜索を弟子に任せて一人お酒を飲み始めたアルミン。






    客に紛れ、遠巻きに見ていたアニは、自分のホルスターからゆっくりとブラスターを抜いた。









    何もジェダイを殺したのはこれが初めてじゃない。
    請け負った仕事は必ず達成する。











    気配を消し、ゆっくりと近づいていく・・・・・・










    背後に回り、銃を構える・・・・・・

































    ビュウウンッ!
    ザシュッ!

    「ぐああぁあぁあぁぁぁッ!!」






  32. 32 : : 2015/09/27(日) 18:04:24








    刹那、青い光が煌めいた。







    アルミンは、背後に回ったアニの右手を切断した。







    ____________マスターはどうやら、上手くやったみたいだな。



    アルミンが飲むと言い出すときは、決まって作戦開始の合図である。
    アルミンがお酒を飲み、俺がわざとマスターから遠ざかることで、敵をおびき寄せるのだ。








    突然の出来事に店内がざわつく中、後ろに倒れ込み、苦痛に顔を歪めるアニをアルミンは起こした。






    「お見事でしたね、マスター。」

    「そうでもないよ。」






    事も無げに答えるアルミンは、十年前のあの弱気な彼では無い。
    ジェダイ・オーダーの中でも、唯一シスの暗黒卿と剣を交えたことのある実力者。


    アニ・レオンハートは、そんな彼の計略に嵌めらたのであった。









    「気にしなくていい、ジェダイの仕事だ。飲み直してくれよ。」


    エレンがそういうと、ざわついていた店内は元の活気を取り戻した。






  33. 33 : : 2015/09/27(日) 18:11:06
    期待です
  34. 34 : : 2015/09/27(日) 18:22:54
    期待ありがとうございます!
  35. 35 : : 2015/09/27(日) 22:44:30








    アルミンはアニを裏路地へと引きずり出し、そのまま尋問を始めた。





    「さて、いろいろと聞かせてもらおうか? 君は誰を暗殺する気でいたのかな?」

    「・・・・・・ナブーの、議員だ。」





    アニは右手を焼き切られた痛みに耐えかね、息も絶え絶えになっていた。





    「それは、誰からの依頼かな?」

    「さあね。ただの、仕事さ。」





    しかし、そんな状況でもアニは、絶対に秘密をしゃべろうとはしなかった。






    「テメエ、ふざけてんのか?」


    ふと気が付くと、エレンが怒りの感情を剥き出しにしていた。







    「エレン! 抑えるんだ!」

    「テメェはヒストリアを殺そうとしたんだぞ!? 分かってんのか!? この人殺しがッ!!」







    煮え滾るような怒りを抑えられないエレンに気付いたアルミン。
    アルミンは、エレンの怒りを抑えようとして周りに注意を払っていなかった。






  36. 36 : : 2015/09/27(日) 22:45:20









    パシュッ!

    プスッ! 「うッ!!」



    突然、後ろから小さな矢が飛んできた。






    矢はアニの顎に当たった。
    みるみる顔が、筋肉が剥き出しになったような素顔へと変わっていく。



    矢の毒は、アニの命を即座に奪った。






    「!! しまった! 口を封じられた!!」


    エレンとアルミンが振り返ると、丁度建物の上から飛び去る影が辛うじて見えた。








    死んだアニの遺体から、アルミンは慎重に矢を抜いた。


    「・・・・・・これは、毒矢だ。」










    ____________結局、僕らはアニの口を割る前に彼女を殺されてしまった。








    この事件の裏には、まだまだ巨大な陰謀がある。
    そう確信するのに、この件は十分すぎるほどだった。









  37. 37 : : 2015/09/27(日) 22:47:00
    以上で第1話は終了になります。


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hymki8il

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進撃×スター・ウォーズ ~クローンの攻撃~ シリーズ

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