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走るだけ

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  1. 1 : : 2015/07/06(月) 00:17:05



    「陸上なんてただ走るだけじゃん―」


    走るだけ―





    そう言うと陸上をやった事ある人は殆どがその事に対して苦い顔をする。


    中には反論する人も居た。


    そんな事に熱くなってて馬鹿らしい―。


    何故こんな事を突然考えたか?


    理由は、SNSでそんな話題が出ていたから


    SNSのアプリを閉じ、汗を拭く




  2. 2 : : 2015/07/06(月) 00:19:20





    暑さが厳しい7月の昼下がり―


    友人に誘われて近くの祭りに出かけたが道に迷ってしまった様だ。


    取り敢えず賑やかな所へ―


    そう考えながら人が多そうな方へ歩みを進めると、見慣れない場所へ来た。


    賑やかと言うよりうるさいな……声援か?


    あまりこういったのは好きではない、何というか体育会系のノリがあまり好きじゃないこんな暑苦しい中、大声あげて、馬鹿馬鹿しい。


    しかし何を思ったが俺はそこを後にしなかった、声援が集まる方へ足を向けていた―




  3. 3 : : 2015/07/06(月) 00:23:07





    建物の中に入ってみると、ファンファーレが流れた。


    何だ?と思い、先へ進むと赤い楕円が描かれた場所が見えた。


    これは競技場か―。流石にこれ位は常識なので分かる


    という事はやってるのは陸上か


    走るだけの何が楽しいのか―


    そう思いながら見てると急に静かになった。


    今まで騒がしかった音も、声援も全てが水を打ったように静かに―


    歩いてた人達も足を止め赤い道に目を向ける

  4. 4 : : 2015/07/06(月) 00:24:20
    面白い。
    期待だお。
  5. 5 : : 2015/07/06(月) 00:24:41


    息苦しい、酸素が減ったように。


    音一つ出せないそんな空気が広がっている





    ―数秒の沈黙が一体を支配した





    次の瞬間



  6. 6 : : 2015/07/06(月) 00:27:57





    パン!


    乾いた破裂音と同時に地鳴りのような応援と赤い道を走り出す選手


    応援に驚き周りに目を向けると色々な学校が声を張り上げて応援をしてた


    中には泣き出しそうな人もいた

  7. 8 : : 2015/07/06(月) 00:29:42


    選手に目を向けると鳥肌がたった


    誰かが先頭に出たと思ったら別の誰かが前に出て


    また別の誰かが出たと思ったら今度はさっきの人が抜かし返してて


    そんな攻防に思わず息を飲んだ




  8. 9 : : 2015/07/06(月) 00:33:22





    何度か楕円の道を周っていた


    息を飲む攻防を続けながら


    後ろの方にいる選手だって今にも前にでる勢い


    それをさせんとする選手


    そんな攻防を続けながら


    そして先頭が白線を何度目かの通過するとき―




  9. 10 : : 2015/07/06(月) 00:34:39


    カランカラン


    鐘の音がなった、どうやらラスト一周を告げる音らしい


    その時応援は更に激しさを増した


    走ってないのに苦しそうで


    自分の学校でもないのに応援してる人もいて


    頑張れ―


    小さな声だが気づけば自分もその一人だった



  10. 13 : : 2015/07/06(月) 00:36:28





    ゴールまでの最後の直線


    死にそうな顔して走ってて


    けど、決して足は止めずに


    そんな姿をただ見てるだけだった





    そしてゴールの瞬間


    ゴールした選手から次々に止まりだし


    膝をついてる人がいた。


    倒れてる人もいた。


    ゴール後のお疲れ様の応援を聞きながらその光景を自分は目に焼き付けていた―




  11. 14 : : 2015/07/06(月) 00:37:34






    暫く立ち尽くした後、自分の本来の目的を思い出し慌てて競技場を後にした


    「陸上なんてただ走るだけじゃん―」


    その言葉はまだそうだと思うし現にそうにしか見えなかった……


    ―けれど少し自分の考えてたのとは違う。


    そう思いながら小走りに友人の元へ向かった。




  12. 15 : : 2015/07/06(月) 00:40:29
    〜終〜
  13. 16 : : 2015/07/06(月) 00:50:22
    おしまいです!
    随分と短かいものでした。

    今回この作品を執筆したのは理由がありました

    某SNSサイトで陸上なんてただ走るだけ

    そんな事を呟いてる(この時点でもうtwi○terてバレる笑)人がいたのがきっかけです

    確かにそうかも知れないですし現に陸上部としても否定しきれない所があります(投擲跳躍などはおいといて)

    しかし僕が言いたいのは走るだけで大勢の人の心を動かせる
    そして走るだけでは片付けられない何かがある。

    それが陸上にはあると言うのを伝えたかったと言う事です。

    この作品で陸上に少しでも興味が湧いて頂ければ嬉しい限りです。


    以上!

    良ければ他の作品も
    http://www.ssnote.net/users/oudentt
  14. 18 : : 2015/07/09(木) 20:01:12
    隠れ名作とはこのことか
  15. 20 : : 2015/08/05(水) 12:33:16
    面白かったです。選手達が必死に走っているところが想像出来ました。
    人が走る姿は人の最も美しい姿だと聞いたことがありますが、本当に美しい光景が目に浮かんだ時の感動は、読み終わると「このssすごい…」という賞賛に変わっていました。
    お疲れ様でした!

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