二人のカップルはユックリと歩いていた。

一人はスキンヘットの厳つい男だ。

「金ないんだよ、奢ってよ」

男はニンマリした半端な笑顔をしながら、彼女の肩を揉む。

「えー、私もこんなけしかないのに―」

けばい女が財布の中身を男にみせた。

茶色に金の金具のついた皮のそれは、役にたたなかった。


しばらく歩いた。

「とことことことことこ」

二人の前に学ラン服を着ている妙な男がいた

カップルはヒソヒソ声ではなし、その男に接近した。

「おい、お前、金あるか?」

リズムのいいカツアゲのせりふが響いた。

「とことことことことことことこ」

妙な男は膝を曲げない、ぎこちない走りをみせた。

カップルから離れた。

すかさず、男が跡を追い。女が息を切らして走った。


5分は走った。

何故か、あの妙な男との距離が縮まない。

「ねー、おかしくない?。もう5分は走ったよね」

膝を曲げ、手を前に倒す女は男を止めた。

「あいつまじ、キモ早いわ」

男が座り込んだ―


「とことことこと・・・とんとんとんとんとん・・・た」


女は妙な気配を感じた。

そして声をこらえ走りだした。

「は?なんだよ。あいつも逃げるのか?」

鈍感な男は地べたに寝そべった。

すると―――


「お前の脚、お前の脚、くれ、くれクレ―――」

白い顔面に崩れた鼻から緑の液体をたらした。




「?」

男は目覚めた。そしていち早く、自分の脚を触った。

「は?俺の服が制服に・・・・」

男は立ち上がり、周りを見た。

「まじかよ」

自殺スポットで有名な某樹海だった。

「?」

スーと血まみれな白い糸が現れた。

その白い糸は男の首に絡み、木の上、上へとあがっていった。