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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

チートも完全無欠ではないようです〜毒舌兄貴と厨二病妹の異世界乱舞〜

    • Good
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  1. 1 : : 2015/02/02(月) 04:03:44
    この作品を見てる人へ

    駄作と感じるか良作と感じるかは皆さん次第です

    私は時間をかけていい作品にして生意気ですがファンタジーカテゴリー1位を目指して頑張ります


    注意事項

    キキ蟻隊長の作品にしては珍しくグロイ描写があります

    ファンタジーです。ファンタジーなのです

    主人公がかなりの毒舌で自由奔放です

    かなり亀更新です

    コメントは読みましたら非表示にさせて頂きます


    コメント、アドバイス募集してます
  2. 2 : : 2015/02/02(月) 04:53:49


    今、体験したばかりの不思議な体験を瀧間 嵐《たきま らん》は冷静に分析していた。



    目の間には高価そうなドレスを着た女が倒れていて自分の足元にはゲームなどでよく見る魔法陣が描かれていた。



    倒れている女に目を戻すと慌てて駆け寄る甲冑を着た兵士のような男共



    後ろを見れば俺と同じ学校の学生服を着た4人が腰を抜かしたように座り込んで一向に立ち上がらない。



    そして、俺の隣には学校指定のジャージを身に着けた女が何が面白いのか笑顔で立っていた。



    視線を前に戻すと目の前の建物から頭に冠を着けた如何にも偉いと雰囲気を醸し出す少し白髪が見え隠れする老人が出てきた。



    その老人が出てきた建物全体を眺めるととてつもなく大きい城に住んでんだなとしか思わなかった。



    ここまで考えて思い付くのはドッキリだが俺たち6人がドッキリされる意味分からないし不思議な体験の説明がつかない。



    もう一つ思い付くのはあるが頭が否定し続ける。



    だが、俺たちの目の前で止まった老人の一言が否定し続ける俺の頭を強制的に肯定に意見を返させた





    「我々の世界にようこそ!勇者御一行様」





    あぁ、ここは異世界とかいうやつか。



    隣では勇者という言葉に目を輝かせる厨二病をこじらせた妹がいた。
  3. 5 : : 2015/02/03(火) 03:33:34
    「お兄ちゃん、ここって異世界だよね!ラノベとかアニメとかでよく出てくる異世界だよね!」




    目を輝かせ聞いてくる妹を無視して先程の不思議な体験を思い出す。



    先程まで自分は学校にいたはずで夕暮れの夕陽を眺めながら俺は妹が来るのを教室で待っていた。



    妹が一緒に帰らないとうるさいので渋々待っていたらそこに一緒に飛ばされた四人組が教室に入ってきた。



    四人組の中で唯一の男子が俺を見て苦虫を噛んだような顔をしたが俺は無視をした。



    四人組の後に続いて妹が教室に入って来たので立ち上がろうとした時、突然教室全体が眩い光に包まれた。



    目の前が真っ白に染められ、次に色を取り戻すとこの状態だったというわけだ。



    改めて周りを見渡すと魔法陣は消えていた。



    老人に目を戻すと少し嬉しそうな顔をする老人



    視界の隅で喜びを分かち合うローブを着たいかにも怪しい人達



    戸惑うこちらを当然のように無視して子供のようにはしゃいでいる。



    まさか、自分がこんな体験をすると思ってもみなかった。



    頭ではここは異世界だと分かっている気でいるが素直に信じれない自分がいる。



    対照的にこの状況を楽しんでいる妹は将来大物になるだろう。





    「あの、ここはどこですか?」




    沈黙を破ったのは高峰 彰《たかみね あきら》といい、真面目でみんなに優しいので女子からの人気がある異世界に飛ばされた中で俺を除けば唯一の男子だ。




    「申し訳ない。少々、喜びに浸っていたのだ。私は、この国の王だ。これから説明いたそう。」




    まさか、目の前にいた老人が王様とは意外だった。
  4. 6 : : 2015/02/04(水) 05:32:25
    老人から聞いた話を大まかにまとめるとこうだ。



    俺たち6人が呼び出されたここは【人類族】と呼ばれる我々人間達が開拓し治めてる【人類族王都・アルヴァルオ】



    この世界では【人類族】を初め、【吸血族】、【神族】、【幻想族】、【精霊族】、【獣人族】、【魔族】の7つの種族が暮らしている。



    この7種族間で今、とてつもない緊張感が生まれている。



    その理由は、【魔族】の怪しい動きだ。



    【魔族】は【魔族】以外を滅ぼそうとしている準備を始めているらしい。



    それに対応するため他の種族も迎撃の準備を始めているが【人類族】は他の種族に比べて身体に宿す魔力の量が少ない。



    戦争が始まれば一番弱い【人類族】が最初に狙われ滅ぼされるのは目に見えてる。



    そこで古書に載っていた勇者を呼び出す儀式を行って現れたのが俺たち6人だということだ。



    俺たちを呼び出す際に12人の魔導師と生贄として使われた第二王女が命を落としたということだ。


    自分の娘が命を落としたというのに目の前でニコニコ笑っている老人を見て不気味に思う。




    (こいつ、なんで笑ってられるんだよ。)




    その時、一緒に生贄として捧げられた第三王女は一命は取り留めたものの今は寝室で寝かされて油断を許さない状況らしい。




    「という事は俺たちは【人類族】を守るために呼び出されたわけですね。」




    高峰 彰はどこか納得した顔で何度も頷いていた。
  5. 8 : : 2015/02/06(金) 02:22:29
    「兄ちゃん、戦争かな!定番だね!定番だよね!ケモミミ少女とかもいるのかな!【獣人族】がいるんだからいるんだよね!」




    興奮してマシンガントークで何故か俺に攻め込む厨二病妹


    パッツン前髪から覗く黒い綺麗な目の視界線上に立つ俺を突き刺す。






    「どうでもいいけど、お前の口調戻ってんぞ」


    「はっ!何の事か妾には分かんな。」




    今更とぼけてもバレバレだ。クソ妹


    妹をから老人に視線を戻すと老人が何かを考えているような顔をしていた。




    「しかし、古書によると勇者様、魔導師様、戦士様に僧侶様の四人と書いてあったが二人多いのは何故じゃ。」




    老人は不思議そうに隣の学者であろう男に目を向ける。


    その学者は慌てたように話に出ていた古文であろう書物で確認している。




    「分かりません。古文にも四人と記述されています。」


    「そうか、それなら能力を見れば早いかの。すまんが能力を確認してもらえんか。」




    老人の言葉に六人共首を傾げた。




    「あの、能力確認でしたっけ?どうやるんでしょう。」




    全員を代表して彰が老人に質問する。




    「頭の中で《ステータス》と念じればいいんじゃ。」



    頭の中で念じるとゲームでお馴染みのステータス画面が目の前に出てきた。




    タマキ ラン

    Lv1

    HP 130/130
    MP 300/300

    筋力 10
    体力 8
    知性 17
    敏捷 30
    運 2

    《魔法属性》 無属性

    《個人能力》 能力奪略


    《称号》
    毒舌王
  6. 9 : : 2015/02/06(金) 05:49:14
    そもそも、この世界でのLv1の通常のステータスがどれくらいか分からないので自分が強いのかどうか分からない。


    しかし、HPをMPが2倍以上も差を付けるのは異常だと思う。


    そして、このステータスは俺に喧嘩を売ってるのか?


    《称号》が毒舌王は流石にムカつく。


    もう一つ分った事があった。


    ステータスの隅々まで見ても勇者などの文字はないことだ。


    これは俺が勇者の一行ではないことを指していて俺は勇者一行と一緒に連れて来られた一般人を表している。




    「おぉ!俺の《称号》勇者だ!」




    そう告げたのは彰だった。


    彰はこちらを向き勝ち誇った顔をしている。




    「私は僧侶よ!」


    「あの、私は魔導士と書いてありました。」


    「僕は、戦士だったよ。女の子なのに戦士はちょっと傷付くよ。」




    僧侶と告げたのは山城 茜《やましろ あかね》


    腰まで伸びる長い金髪が目を奪う。


    スリムな体型をしている。胸も


    高飛車で人を見下ろす態度がいけ好かないお嬢様系少女だ。



    魔導士と告げたのは宮島 香織《みやじま かおり》


    一目見て目を奪われるのは女の武器とも言える胸


    茜とは正反対に胸が育っている。


    自分に自身無さそうな態度も茜と正反対だと思われるメガネをかけた文学系少女。



    戦士と告げたのは本田 美香《ほんだ みか》


    陸上部所属からか肌が少し焼けていて健康的に見える。


    胸は控えめだが茜ほど小さくはない。


    ショートカットで人懐っこそうな笑顔が印象的なスポーツ少女。



    古書に書かれていた四人が申告した事によってもう一人の巻き込まれた奴が分かった。


    それは瀧間 莉央《たきま りお》


    切り揃えられた綺麗な黒髪は日本人形を連想させる。


    胸は大きくもなく小さくもない美乳というやつだろう。


    顔は整っていてクールな印象を持せてモテそうだが厨二病が邪魔している残念系女の子だ。


    リオの顔を覗くと悔しそうに唇を噛んで目には涙を溜めているのが巻き込まれたという事実を物語っていた。


    厨二病妹にはファンタジー世界は夢のような場所でそんな所で一般人というのは死ぬのと同じぐらい悲しい事なのだろう。




    「お主らはどうだった。」


    「勇者などという大層なものはなかったぞ。」


    「なかっただと?どういう事じゃ」


    「推測ですが勇者一行様の近くにいたのか巻き込まれた者達かと思われます。」


    「勇者とも成り得ない者を巻き込んだという事だよな。迷惑な奴らだな。この落とし前どう着けてくれるんだよ。」




    俺の言葉に顔を青くする老人の後ろに立っている少女。


    それを無視して言葉を続けた。




    「俺以外の奴らにも家庭がある。それなのに強制的に呼び出されたんだから家族は心配するだろうな。」




    その言葉がトドメを刺したのか後ろの少女が倒れた。


    すぐさま少女は数人に抱え込まれ部屋を後にした。
  7. 10 : : 2015/02/06(金) 06:44:02
    「それは悪いと思っているがこちらもこの方法しかなかったのじゃ!」


    「別にこの四人の事はいい。」


    「「「は?」」」




    その一言で時間が止まったように全員が動きを止めた。




    「お前らが欲しいのは勇者の一行であって俺たちみたいな一般人じゃないだろ?
    まさか、一般人を戦場に立たせて無駄に殺すなんて真似はしないよな。」


    「だったら、どうしろと言うのじゃ。」


    「元の世界に行く方法は?」


    「それは....【魔族】の王が送還の魔法の書かれた古書を持っている!」


    「俺たちは、魔王を倒して古書を手に入れれば元の世界に戻れるんですね!」




    いきなり、口を挟んできた彰に苛立ちを隠せない。


    そして、同時に馬鹿な奴とも思った。


    何故、召喚の方法が書かれた古書がここに存在するのに送還の書かれた古書が【魔族】が所有しているのか。


    何故、それを知ってるのかという疑問を持たないのだろうか。


    多分、元の世界に帰る方法はない。




    「そうじゃ!そして、倒してくれたら【人類族】に平穏が訪れる。」


    「嵐の言う通り勝手に呼び出されたのは許せませんが魔王を倒さないと元の世界に戻れないのでやりますよ!」


    「やってくれるのか!」




    何故か、俺たちの二人を除け者として勝手に喜ぶ老人と勇者一行


    リオを盗み見るとまだ涙を必死に堪えていた。




    「そうか、だったら俺とリオは別行動させてみらうからな。」


    「待つんじゃ!何故なんだ。」


    「何故って、俺には戦う動機もなければ力もない。ここにいる意味がないだろ。」


    「それはそうじゃが...何かして欲しい事はあるか?」


    「そうだな...この世界の事が書かれた本を何冊かもらえるか?」


    「それだけでいいのか?」


    「それ以上の物はお前らには期待しない。」


    「この者の望みに沿った本を持って来るんだ。」




    老人の一言で兵士が二人部屋を出て行った。


    それに付いて行こうとすると彰に腕を掴まれた。




    「どこ行く気だ。王様が頭下げてるのに力になろうと思わないのかよ!」


    「力を持たないのにどうやって戦えって言うんだ?お前らの盾にでもなれっていうのか?」




    力のない二人を戦わせるのに抵抗があるのか腕を拘束する力が緩んだ。


    彰の腕を払って部屋を行こうとするとまた腕を掴まれた。


    また、彰が掴んだかと思い文句を言うべく振り返ると彰はおらず、代わりにミカがいた。




    「なんだ。」




    イラついた声で問いかけると少し怯んだように震えて顔を上げてきた。




    「本当に行くの?僕は、残ってほしいんだけど」


    「お前も俺に盾になれとでも言いたいのか?」


    「そういうわけではないんだけど...」


    「だったら、俺に構うな。」




    ミカの手も払い除けて勇者一行に背を向け部屋を後にした。


    無言を突き通すリオも後ろから付いてきた。


    少し進んで後ろを振り返ると彰が苦虫を噛んだように顔をしかめ、ミカが悲しそうにしていた。
  8. 11 : : 2015/02/08(日) 03:41:23
    慌ただしく本を抱えてきた兵士から受け取った本を持って王宮を後にした。


    こういった緊急事態には慌てずに落ち着いて情報収集をするのが得策だ。



    王宮から進んですぐの所にあった大岩に腰をおろし本を広げた。



    読むこと3時間、分かった事は少なからずあった。



    分かった事は3つ



    1つ目が魔法を使うにはイメージが大切だという事


    火の魔法を使うにも目の前で火が燃え上がるイメージが出来ない発動しないらしい。MPが多い人でも宝の持ち腐れというわけだ。



    2つ目がこの世界の魔法の種類は
    火、水、土、光、闇、氷、雷、風の8種類とどの部類にも当てはまらない魔法
    無属魔法があるという事。



    火、水、氷、土、雷、風についてはどの種族でも使えるが闇については人間は使えず、光は魔族には使えない。


    3つ目に分かった事はこの世界の通貨はペリカと言ってギルドなどで登録すると貯めれるようになるらしい。


    ギルドではF→E→D→C→B→A→S→SS
    →SSSというランクがあり、Fが一番下でSSSが最高だ。



    そこまで情報が分かったところで生活するための金を稼がないといけないので一旦、本をしまいリオに目を向けると3人ほどの男達に囲まれていた。



    面倒くさい雰囲気だな。囲まれているのがリオじゃなかったら無視して行くのにな。


    流石に無視することは出来ず、一番身近にいた男を後ろから蹴飛ばした。
  9. 12 : : 2015/02/09(月) 12:00:43
    いきなり、仲間が吹き飛んだ事に驚いているのか他の二人も呆然と突っ立ている。




    「お兄ちゃん...」




    まだ、勇者じゃなかったショックがあるのか、それともこいつらが怖かったのか厨二病口調から素に戻って涙目で自分を見上げてきている。


    蹴り飛ばした男に目を向けると甲冑を着てる事からこの国の兵士という事が分かる。


    残り二人も甲冑を着てるので兵士だろう。




    「て、てめぇ!俺達が誰か知っての行いか!」




    やっと、状況が読み取れたのか手に持った槍を向けつつ問いかけてきた。


    槍が細かく震えていることから相当ビビっている。




    「お前らが誰かは知らねぇが人の妹を泣かせてんじゃねぇぞ。」




    言うのと同時に槍を持った男を顎の蹴りを一発叩き込んで無力化して残り一人と対峙する。




    「ほう、なかなかやるようだな。」



    「お前も早く寝ろ。」



    「俺をこいつらと一緒にしないでもらいたいな。俺は空間魔法が使えるんだぞ。」





    魔法を使える相手と聞いて自然と笑みが溢れた。
  10. 13 : : 2015/02/10(火) 15:03:20
    相手は魔法所持者であってこの世界、魔法が常識化してる世界の住民だ。


    魔法の使い方には長けていることだろう。


    それに対して、こちらは魔法などテレビの中の代物だと思っていた二人で魔法に触れる機会など一生来ないはずの世界に住んでいた人間だ。


    素手での立ち向かった時の勝率は1%あればいい方だろう。


    しかし、魔法が使えるのは敵だけではない。




    【能力奪略】



    俺にはこの魔法がある。


    しかし、この魔法の能力は不明。


    もし、範囲攻撃魔法だとしたらリオにも被害が及ぶ可能性がある。


    だが、この魔法に頼らない限り勝てないだろう。


    こちらが勝つための案を考えてるのを兵士の一人は余裕を隠そうともしずに腕を組み攻撃を仕掛けてくる様子もない。


    自分が攻撃を仕掛けた時が勝負の再開の合図だ。
  11. 14 : : 2015/02/12(木) 02:26:48
    何分睨み合っただろう。いや、睨み合ったという表現は適切ではないな。


    こちらが一方的に警戒して睨んでるだけだ。


    相手は警戒はしてるものの自分とは違って最低限の警戒だ。


    俺が近付いたら迎撃が出来るほどしか警戒をしていない。


    相手から攻撃を仕掛ける様子がないからこのうちに魔法の効果について調べる事にした。



    魔法の効果の調べ方は最初にステータスを出す。



    タマキ ラン

    Lv4

    HP 142/142
    MP 321/321

    筋力 14
    体力 12
    知性 20
    敏捷 34
    運 4

    《魔法属性》 無属性

    《個人能力》能力奪略

    《称号》 毒舌王


    何故かレベルが上がっていた。


    兵士を倒してもレベルは上がるのがこの世界での常識らしい。


    ステータスを出したら調べたい項目を強く意識すると詳しく表示される。




    【能力奪略】『空き×2』


    相手の魔法を奪う。

    奪うには・・・




    そこまで読んだ時に兵士が突っ込んでくるのが視界の隅に映った。


    ステータスに気を取られて警戒が緩んだのを兵士は見逃さなかったらしい。


    腐っても兵士のようだ。
  12. 17 : : 2015/02/24(火) 15:48:44
    相手の強襲は成功と言っていいだろう。


    俺は隙を突かれて相手の攻撃を避ける事が出来ない。


    避けるのは諦め、カウンターで相手の顔を殴り飛ばそうと右手を振り上げようとした時に右手に違和感があった。


    右手が一切動かないのだ。
  13. 18 : : 2015/02/24(火) 21:34:47
    「なんで、右手が動かないんだ?」




    いや、右手だけじゃなくて右腕全体が動かない。


    自分の右腕が一切力が入らず、まるで”空間”に固定されたように




    「そうか、右腕がある空間を固定して俺の腕を動けないようにしたのか。」




    相手はピンチの中、冷静に自分の身に何が起きてるのかを観察しているランを馬鹿なやつだと思った。


    戦いの途中で相手から意識を逸らし、何が起きてるのかを観察するのは命を捨てる行為をしてるに等しい。


    ガードをする動作も見られず、カウンターを狙っている様子もない。


    馬鹿なやつという印象と共に凄いやつとも思った。


    冷静に観察して、何が起きたのかを正確に把握する。


    命をかけた戦場でそれを出来る者は数少ない。


    油断出来ない相手...そう、感じ取ってしまった兵士はランに向けて走っていた足を止めてしまった。
  14. 19 : : 2015/02/28(土) 03:12:57
    ランはなぜ、兵士が足を止めたのか分からないが攻撃をする様子がない今がチャンスと思った。


    右手が空間に固定されている事によってこの場から逃げれないので魔法を解かさないと勝ち目はない。


    しかし、魔法を解く方法がない...



    「いや、もしかしたらいけるかもしれないな。」



    ランは静かに目を閉じて、頭の中で相手の物を奪うイメージを思い浮かべた。


    すると身体の芯が熱くなる感覚に襲われ、目の前にウィンドウが開き、長々と能力の説明が書き並べられていて


    一番上に《技名》が書かれていた。




    「奪え、《能力奪略(スキルテイカー)》」
  15. 20 : : 2015/03/03(火) 03:29:59
    兵士は、目の前で何が起きているのか状況が把握出来ない状況下にいた。


    いきなり、目の前の男が能力を発動させるキーワードらしき台詞を言ったと思ったが、火が襲いかかってくるわけでもないし何かを呼び出した様子もない。


    不発か魔力不足で発動出来なかったかどちらかと思い、再度走り出そうとした時に自分の身体が上手く動かずに転んでしまった。


    受け身を取ろうとするが腕も重たく動かせない。


    どうする事も出来ずに顔面から倒れ込む。


    身体を麻痺させるなどの身体に異常をきたす能力だったかなどの答えの出ない事を考えている途中で


    兵士の意識は、いつの間にか近付いていた、ランによって奪われた。
  16. 21 : : 2015/03/03(火) 04:48:18
    「お、お兄ちゃん?何をしたの?」



    先程まで自分と対峙していた兵士を見下ろしていると、今の今まで空気とかしていた、リオが質問を投げかけて来た。



    「ただ単に能力を発動しただけだぞ。」



    「能力?お兄ちゃんの能力は対象を睡眠状態にする能力?違うかな...あの兵士は
    目を開けてたし、動きたくても動けない状態だったから麻痺とか?」



    「どっちでもないな。俺の能力は《能力奪略》。名前の通り、対象の能力を奪う能力だ。」



    「えっ!?それって、チートだよ!!強い能力を奪いまくったら最強だよ!?魔王になれるよ!」



    「魔王になる気はない。それとこの能力には発動条件があるんだ。」



    「発動条件ってどんな条件なの?」



    「発動条件は、発動してる状態で奪う能力を身を持って体験する事だ。発動してからの持続時間は十数秒程度。この短い時間内で能力を身を持って体験しないといけない。」



    「でも、それぐらいだったら簡単に出来そうだけど...」



    「奪う能力の強さによって奪う難易度は上がるだろうな。身を持って体験するという事は即死レベルの能力は奪えない。防御系みたいな攻撃して来ないのも同じく奪えないだろう。」



    「そっか、即死レベルのは身を持って体験したら死んじゃうし、防御系は体験しようにも自分にかける能力だから体験すら出来ないんだね。」



    「それだけが欠点じゃない。この能力は上限魔力の½—を消費してしか発動出来ない。つまり、魔力が全快でも2回しか使えない。制限時間過ぎて攻撃を食らったら、意味を成さない。」



    「でも、その能力はチートだよ...上手く使えば、強い能力を奪う事だって可能なんだから。」



    「まぁな。リオ、素に戻ってるけどいいのか?」



    「!?何を言ってるんじゃ!先程までの話し方が演技でこっちが素なのじゃが!」



    「はいはい、そうだったな。それよりも、お前には能力はなかったのか?」



    「分からん。」
  17. 22 : : 2015/03/07(土) 02:23:41
    「分からんって...お前、自分のステータス見ただろ。」



    「う、うむ...見た事は見たのだ。じゃが、《称号》を見て勇者じゃない事を知って悲しくなって見ておらん。」



    「そこはちゃんと見ておけよ。今からでもいいから確認しておけ。」



    「イエッサー、なのじゃ。」




    リオは敬礼すると後ろを向き、黙りこんだ。


    リオの確認が終わるまで自分のステータスを確認しようとステータス画面を目の前に表示した。



    タマキ ラン

    タマキ ラン

    Lv4

    HP 142/142
    MP 321/321

    筋力 14
    体力 12
    知性 20
    敏捷 34
    運 4

    《魔法属性》 無属性

    《個人能力》 能力奪略 【空間・空き×1】


    《称号》
    毒舌王



    ステータスに変化が起きていた。


    自分の能力が1つ増えていた。


    【空間】を詳しく知るために強く意識する。



    《空間》


    空間を操る能力。一回視認した場所に移動する事も出来る。



    なかなか、便利な魔法だ。


    目で見た事のある場所には行けるようになるのは便利だ。


    【空間】の隣にある【空き×1】はスロットみたいなものだろう。


    あといくつ奪った能力が入るかと言う表示か。




    「めんどくさいな...」


    「兄上、確認が終わったぞ。妾の能力は、《反射》であった。」


    「名前から予想するに攻撃を反射する能力だな。」


    「兄上の想像通り、能力を反射する能力であった。」


    「はぁ?能力のみか?」


    「能力のみである。」




    物理攻撃が反射出来ると出来ないじゃ需要が違うからな...


    しかも、防御能力か...戦闘向きではないな。
  18. 23 : : 2015/03/11(水) 05:47:00
    「そう言えば、兄上。疑問に思ってる事がまだ解決してなかったのじゃが。」


    「何が疑問なんだよ。」


    「真剣に話したいから口調戻すね。」


    「俺的にはさっきの話し方が違和感しかなかったからずっとそっちでいいんだけどな。」


    「お兄ちゃんの前だけではこの話し方で行くよ。お兄ちゃんの《能力》が能力を奪う能力というのは理解したけど...それでなんで兵士の人は動かなくなったの?」


    「これは、個人の考えだけどな。身体から能力が消えたことによって身体に異常が出たんじゃないか?」




    まぁ、自分が体験したわけではないのであくまで推測だが




    「そうなんだ...で、これからお兄ちゃんはどうする気?」


    「どうするって...この世界を旅する。」


    「それって、私も同行していいのかな?」


    「はぁ?同行しないのか?」


    「する!!!絶対にするから!!!」
  19. 24 : : 2015/03/20(金) 06:26:58
    「お兄ちゃん、どこ行くか決まってるの?私的には、獣耳をモフモフしたいから【獣人族】の国行きたい!!」




    理由が馬鹿丸出しだな。


    けど、【獣人族】か...この古書の一文の情報でも手に入ればいいのだが。




    「【獣人族】の国目指すか。【獣人族】の国がどっちにあるか分からないから調べながら行くぞ。」


    「りょっ!」



    「りょっ」ってなんだよ。「了解」という意味なんだろうけど。




    そして、【獣人族】の国へと歩き始めた俺は、古書の一文を思い出していた。




    『古書』


    ある日、世界が闇に飲み込まれた。


    全種族が手を組み、闇に立ち向かったが多くの犠牲が出たのみで闇は晴れなかった。


    そこで、多くの犠牲と引き換えに闇を屠る者を四人召喚した。


    彼らは、赤く輝く槍と全ての災厄を弾く盾を持ち闇に立ち向かった。


    彼らは、闇を退けることに成功した。


    闇が退くさい、残していった四つの世界を崩壊させる鍵が世界を襲った。


    彼らは、鍵を壊すべく立ち向かったが一つの鍵を破壊する際に槍と盾が砕けた。


    一つの鍵を破壊した事で世界には平和が訪れたが....




    そこで、終わっていた。


    続きが気になるのともう一つ。


    召喚された闇を屠る者とは前召喚されたという勇者だろう。


    勇者がまだ生きてるとしたら聞いてみたい。


    世界を崩壊させる鍵とは何かを。
  20. 25 : : 2015/04/28(火) 14:34:33













  21. 26 : : 2015/04/28(火) 15:24:18
    「あの2人...本当に行っちゃったね。」


    「ミカ、あんな薄情な男とその妹なんて忘れなさい。どうせ、ズル賢く生きてくわよ。」


    「そうだよ。俺達は、【魔族】の持つ古書を取って、元の世界に戻ろうぜ!」




    四人が覚悟を決めた時、王間が少し騒がしくなった。


    三人の兵士が大勢の兵に囲まれ、連れて行かれる所を四人は目撃した。




    「あの、三人の兵士さんはどうしたんでしょう...」


    「分からないけどボロボロだったところを見ると暴行されたんでしょうね。」


    「返り討ちにあったみたいですよ。女性に不埒な行いをしようとしたところを不思議な能力を使う偉そうな男に返り討ちにあったみたいです。」




    四人が話し合ってるところにいつの間にか、修道服を着た男が立っていた。


    笑みを零して、なに食わぬ顔で紛れ込んでいて得体の知れない恐怖を感じさせる。




    「アンタ、誰や!!」


    「あぁ、申し遅れました。キレタレイ・レムと申します。レムとお呼びください。皆様の教育係をさせて頂く者です。」
  22. 27 : : 2015/05/31(日) 02:26:59
    この世界に来たばかりで右も左も分からない個性豊かな二人兄妹はいま何をしているかというと_______




    「リオ、人間離れしたお前の力だったら殺れる。だから、ここは任せたぞ。」



    「お兄ちゃん、どう考えても物理攻撃反射不可能な私が立ち向かったところで戦いにはならないから私より能力を奪って能力が二つになったお兄ちゃんがここは引き受けるべきだと思うよ。」



    「馬鹿言うな。二つになったとはいえ、能力を奪う能力と空間を操る能力だぞ。対猛獣用能力など持ち合わせていない。」


    「じゃあ、どうするの!?」


    「このまま逃げる!!!」





    _______山の中を複数のモンスター達に追われていた。


    なぜ追われているのかというと、山に入る直前の事だった。


    ランが奪った能力である【空間】の能力を使用し、周りに生命体がいるかやその場所の地形などを調べる【マップ】を発動していたところ



    【マップ】に自分達に近付く一つの生命体を確認し、戦闘体制を整えた二人の前に現れたのは


    よくゲームなどで雑魚キャラとして出て来るスライムだった。
  23. 28 : : 2015/05/31(日) 20:33:32
    そんなスライムを中二病の妹がほかっておくわけがなかった。


    そのまま追いかけ回していたら、予想外の出来事が起きた。


    いきなり、スライムが叫び声をあげたのだ。


    ゲーム内でのスライムにはそんな行動パターンはなかったはずなので戸惑いを隠せないでいると


    遠くから大量の足音が聞こえ、砂煙が徐々に近付いてきて今に至る。
  24. 29 : : 2015/06/03(水) 04:54:33
    「でも、お兄ちゃん。このまま逃げてても逃げ切れる気がしないんだけど!」




    確かにこのまま逃げててもいつか追い付かれるだろう...けど、戦い向きの能力を二人共所持してないだから仕方ない。





    「だからさ、ここで食い止めようよ。私も戦うからさ!!」


    「いや、無理だろ。二人力合わせれば勝てるとか言ってる場合じゃないからしかも、相手の数も力も上だ。能力なしで勝てるわけがないだろ。」


    「お兄ちゃんは頭がいいけど馬鹿だね。」
  25. 30 : : 2015/06/16(火) 11:36:00
    「能力を使わないと勝てない相手か、やってみないと分からないじゃない」


    「まぁ、確かにそうなんだけどな」




    けど、この数の相手を倒すのは不可能だろ。




    「でも、能力なしじゃ勝てないんだろうけどね!!」


    「おい、速攻で安心させたかと思えば、不安にさせんな」


    「お兄ちゃんの【空間】の能力ってさ。その場の【空間】も捻じ曲げる事って出来ないの?」


    「その場の【空間】?どういう意味...あぁ、なるほどな」




    その時の俺の顔は多分、もの凄くゲスい顔をしてたと思う。
  26. 31 : : 2015/06/17(水) 04:33:10
    兎に角、今はそれしか方法がない。


    騙されたと思って、空間が捻じ曲げるイメージを頭の中に浮かべながら、モンスター達を制すかのように手を前に出す。


    モンスターはこちらの意図も気にせずに突っ込んでくる。


    最初に突っ込んできた小人のようなモンスターが見えない壁に頭から勢いよくぶつかり、血を撒き散らしながら絶命した。





    「ふぅ...とりあえず、成功だな」


    「我々に不可能という文字はないのです!!」


    「ちょっと黙ってろ。集中を乱すと捻じ曲げた空間を維持出来ない」




    俺がやったことは簡単だ。目の前の空間を捻じ曲げて、その空間の進む時間を止めた。


    その空間の進む時間を止めたということは、その空間の物は動かないというのは先程の兵士との戦いで実験済みだ。


    その空間に思い切りぶつかったらどうなるか、そんなの簡単だ。動かない物になるぶつかれば、ぶつかった方にぶつかった強さに応じたダメージが返ってくる。


    小人のようなモンスターは、頭から突っ込んできた。ぶつかる勢いが強過ぎて、脳まで潰してしまうほどだったのだろう。


    絶命したモンスターが人間にそっくりなモンスターなだけで精神的にキツいものがある。





    「うぇ...グロ」
  27. 32 : : 2015/06/17(水) 05:03:38
    俺は吐きそうになるのを抑え、目の前のモンスターの大群に向き合った。


    小人のようなモンスターが絶命したといってもまだ一体だ。


    モンスターはまだまだいる。俺は空間の能力を発動し、空間を固定した。


    今回は、3箇所。それも前回とは違い、形も意識した。


    モンスターは知性が低いのか、どんどん突っ込んできて上と下が分かれた。


    簡潔にいうと上半身と下半身が分かれた。俺が固定した剣型の空間によって、一刀両断にされた。




    「お兄ちゃん、すごーい。【空間】の能力ってここまで応用出来たんだね」


    「あぁ、俺もさっきの兵士との戦いがなかったら考え付かなかった」



    妹を泣かせたのは許せないが妹を守ることが出来たので、今は感謝している。
  28. 33 : : 2015/06/18(木) 03:30:54
    危険を察知して、透明な刃の前で立ち止まっているモンスターが全部で3体。


    顔が猪のようなモンスターと小人のようなモンスター、蟻が巨大化したようなモンスターの3体だった。


    俺は、その3体のモンスターに______




    「隙あり!!」




    _____合掌した。



    俺は先ほどリオに『人間離れしたお前の力』と言ったのは能力のことではない。


    小さい頃からアニメにハマっていたリオはアニメの登場人物のような人間になりたいと考えて、習い事を始めたリオはこの世界に呼ばれた6人の中で一番戦闘に特化していると言える。


    リオは蟻のモンスターに3歩で懐に入り、顔を右手の貫手で貫いた。




    「うげぇ...蟻の血って青緑っぽいの?」




    血に濡れた右手を振り回しながら、残りのモンスターに向き合う。


    モンスター達は怖気付いたように逃げて行った。




    「ふぁ...疲れた」


    「疲れたのは俺だ。お前の力どうなってんだよ。貫手で貫くって化物じゃねぇか」


    「いつもだったらこんなに威力無い筈なんだけど...私の体おかしくなっちゃった!?」


    「叫ぶな。また、化け物共に追いかけられたくないだろ。それより、飯の確保をしようぜ」


    「えっ、あれは食べないの?」




    リオの指の先にあるのはモンスター達の死屍累々。


    あれを食べる奴を俺は尊敬する。



    「食えるわけないだろ。百歩譲って、巨大な猪だったら食えるが他のモンスターの血で食べる気がしない」
  29. 34 : : 2015/06/19(金) 10:11:14
    「そうだよね...けど、お腹が空いて死にそうなんです!!!」


    「スライムでも食べてろ」


    「この際、それでも...」




    口元の涎を服の袖で拭う見た目のみは大和撫子な妹。


    本当に残念な奴だ...そして、スライムは食べ物にはならないと思うぞ。




    「...お兄ちゃん、肉の焼ける匂いがする」


    「近くに人がいるのか?」


    「この世界には違う種族も生きてるから人間とは限らないけどね」




    細かいことを気にする奴はモテないという言葉は口には出さずに心にしまっておいた。


    機嫌を損ねさせた後が怖い。




    「じゃあ、行ってみるか」


    「うん」
  30. 37 : : 2015/06/21(日) 11:13:47
    リオの案内で歩いていると川に着いた。


    川の流れる音が気持ちがいい。





    「お兄ちゃん、あそこ」





    リオが指をさす方を見ると弧を描くように積み置かれた石の中心でいくつもの木の枝を火元にした炎が鉄の棒に刺さった肉を焼いていた。


    その肉が、二人兄妹の目には輝いてみえた。





    「お兄ちゃん、あれ食べよ!」


    「待て、お前には違和感とか警戒心とかないのかよ」


    「そんなものを常時発動してるから、クリスマスパーティーに誘われたのに『こいつ、俺をパーティーでハブって笑い者にする気だろ』とか考えるんだよ!!」






    うるせぇよ。いきなり、話したことがない人がパーティー誘って来たらそう思うだろ。
  31. 38 : : 2015/06/22(月) 23:35:07
    とか、言いながらもお腹は限界だった。


    罠だったらその時だ。そう思い、肉に近付いた。


    その時、草むらが揺れて、少女と青年が顔を覗かせた。






    「...盗賊?」


    「お前、俺たちの肉に近づいてどうする気だ?盗む気なら容赦しないぞ?」





    青年は、整った顔に似合わない鋭い眼光を向けてくる。


    どこか間の抜けたぼーとした表情をこちらに向けている少女。


    少女は髪の毛から肌まで白く、頭の頂点には獣耳が生えていた。


    少女が顔を覗かせた瞬間に妹がいなくなったのに気付いたのは俺だけだろう。


    二人の後ろに妹が手を広げながら少女に近付いているのに気付かないほどだ。


    この二人は弱い。






    「見つけたぁぁぁあああ。獣耳族!」


    「きゃぁぁああ」





    少女を驚かせながら押し倒すように抱き着いた妹を尻目に肉を美味しく頂いた。
  32. 39 : : 2015/11/14(土) 02:45:58
    「おぉい、ミューから離れろ!」


    「もふもふもふもふ」


    「な、なんなんですか」





    肉汁溢れる肉を食しながら、人間の言葉を失った妹が起こす惨劇を見る。


    青年がミューと呼んだ彼女に覆いかぶさるリオを引き剥がそうと躍起になっていた。


    しかし、蟻の魔物を貫手で貫く力を持つ妹を引き剥せるわけがない。


    ミューと呼ばれる少女は、もふもふされるのに慣れたのかされるがままだ。





    「おかわり」


    「餓鬼!何を全部平らげちゃってくれてんだよ!」





    おかわりを欲した俺に青年が怒鳴る。


    寄越せと差し出した手はあっさりと振り払われた。





    「ケチィな。お前、モテないだろ」


    「糞餓鬼、喧嘩売ってんのか!それにそれが俺達の最後の食料だったんだよ、畜生!!」






    いい歳した大人が、周知の目を気にせずに泣き喚く。


    恥ずかしくないのだろうか。






    「リオ、食料がないなら用はない。食料調達へと行くぞ」


    「イエッサー、なのじゃ!」






    俺と二人っきりではなくなったために、演技モードに移行した妹が元気よく返事をする。






    「待て!」






    その場を去ろうとする俺達を、青年が制す。


    俺の首筋に剣を当て、動けば死ぬぞと脅しをかけてくる。





    「止めた方が身のためだぞ」


    「命乞いか?」


    「命乞いをするのはお前の方じゃないのか?」


    「はぁ?お前は状況が分かってなーー」






    青年は一つ重大な間違いを犯している。


    動きを抑えるのは相手の中で一番強い相手であるべきだ。


    青年の中では俺が一番強く見えたのであろう。


    それが青年の犯してしまった間違いだ。


    青年は犯してしまった罪を川に流されながら悔やむだろう。




    「タタラーーーーー」





    少女が川に吹き飛ばされた青年の名前を大声で呼ぶ。


    俺の首筋に剣が当てられた瞬間のこと、リオの瞳が漆黒に落ちていくのが見えた。


    リオにとっては俺は逆鱗のようなものにあたる。


    昔から一緒にいる俺が傷付けられることが、リオには許せないらしい。


    一歩で青年の懐に入り込み、万が一にも貫かないように加減したと思われる掌手を青年の腹へと叩き込んだ。


    青年は胃液を撒き散らしながら、爽快に川の方へと吹き飛んだ。


    南無ーー。
  33. 40 : : 2016/01/23(土) 23:07:21
    ほーちですか?
    面白いのに勿体無い

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著者情報
agi9717

少女愛好家連盟会長《キキ蟻隊長》

@agi9717

この作品はシリーズ作品です

チートも完全無欠ではないようです~毒舌兄貴と厨二病妹の異世界乱舞~ シリーズ

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