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嫌われ者の行く末は

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  1. 1 : : 2015/01/02(金) 22:01:16


    その日、世界は大きく変わった


    "隣人(ネーブル)"と呼ばれる謎の生命体が、世界中に、同時多発的に発生したのだ。


    彼らは成体で120~130cm、見た目は人間によく似ており、なんと人語を操る。


    身体能力は全体的に高くない。また、1世代の成長が早く、10年周期ほどで世代のサイクルをしている。



    "隣人"の名の通り、彼らは人類の隣人、友として扱われた。


    だが、彼らが現れてから30年ほど経った頃、状況は一変した。


    自分たちより全体的に劣っている"隣人"達を、一部の人類は迫害し始めたのだ。


    社会の成長が止まり始めた事で、不満やストレスが貯まった結果の事だった。


    「街の食料が足りないから仕方なく」「敷地が足りないから仕方なく」と言った最もらしい理由を付けて始まった迫害は、50年経った頃には「腹が立つから」「見ていたくないから」と言った理不尽な物に変わって行った。


    人類に対して有効な攻防手段を持たない"隣人"達は大きく数を減らし、今では山や辺境など、人の手が無いor少ない所で生きていく事を余儀無くされた。


  2. 2 : : 2015/01/02(金) 22:11:31


    「…んー、もう昼か」


    寝ぼけ眼でそう呟いたのはノーリ・ジェール。


    肩に掛かるか掛からないかといった長さの黒髪に、地味なベージュ色の服。眼は薄い赤色だ。


    「ちょっと寝過ぎたかな。早く食料集めなきゃ」


    何を隠そう、彼女は隣人(ネーブル)である。


    ただし隣人(ネーブル)の中でも変わった種類で、身長は160cm程ある。また、極めて人間に近い身体能力を持っている。


  3. 3 : : 2015/01/02(金) 22:23:59
    ここで、隣人(ネーブル)についてもう少し説明しておこう。


    彼らには、実はもう少し細かな区切りがある。


    最も数が多くポピュラーな「通常種」

    通常種よりも全体的に能力が優れており通常種を食べる事もある「狩猟種」

    数が非常に少ない代わりに最も能力が優れている「希少種」


    の3種である。


    また、先ほども言ったように彼らは非常に弱い。転んで大怪我を負うこともあるし、野犬などに殺されることもしばしばである。


    そのため、彼らは集団で群れを為している事が多い。


    その群れというのも色々ある。が、ここでは大きく分けて3種類説明しよう。


    まず、通常種が集まって出来た群れ。これは一般的な群れである。

    次に、狩猟種が集まって出来た群れ。これは数こそ少ないが、通常種の畏怖の対象である。

    最後に、希少種を中心として通常種が集まった群れ。これは非常に数が少ないが、大抵の場合長く繁栄すると言われている。
  4. 4 : : 2015/01/02(金) 22:33:16



    ノーリは、希少種に当たる隣人(ネーブル)である。だが、群れには属していない。


    ここ、バーシル山で1人悠々自適に暮らしている。


    悠々自適とは言っても、食料の確保だの何だのと忙しく、余り自由ではないかもしれない。


    だが、それでも、ノーリには今の生活が合っていた。


    ノーリ「昨日の雨で、外ぬかるんでるなぁ」


    住処にしている洞窟を一歩出て、ノーリは不満気に呟いた。
  5. 5 : : 2015/01/02(金) 22:41:38


    30分程ぬかるんだ山道を歩くと、ノーリは目的の場所に着いた。


    そこには、一本のリンゴの木が自生していた。


    群れに属さないノーリは、山の中で行動を制限される。バーシル山には3つの群れがあるが、どの群れも縄張りを決め、それを主張しているからだ。


    基本的にどの群れとも友好的にやっているノーリだが、それだけの理由で簡単な餌場に立ち入らせる程の余裕は隣人(ネーブル)達には無い。


    ノーリもそれを重々承知している。


    だから、ここのリンゴの木のような、群れの縄張り外にある餌場は貴重なのだ。


    ノーリ「良い感じに実ってくれてるわ。これなら結構な期間持ちそ……ん?」


    リンゴの木を見て満足そうに呟いたノーリは、そこに1つの人影を見付けた。
  6. 6 : : 2015/01/02(金) 22:56:01
    「〜♪」


    ノーリ「あれ、あんたここ知ってたの」


    「うおっ!?何よ、いきなり声掛けられたらトリーちゃんビックリしちゃうじゃない!!…ってノーリ!ノーリじゃないの!!元気だった!?」


    彼女はトリー・ティリアス。腰まで届きそうな空色の髪に、とても薄い黄色の服を着ている。眼は、ノーリと同じ薄い赤。


    いつもテンションが高く、ノーリは「変な奴」と評している。何故かノーリに対して非常に友好的である。その友好ぶりのせいでノーリにウザがられてはいるが。


    因みに、彼女も希少種である。


    ノーリ「ええ、極めて元気よ。それより無視しないでよ、あんたこの場所知ってたの?」


    トリー「うん、前にノーリを尾けた時に知った♡」


    ドスッッ


    両手を頬に当てる可愛らしい仕草で、とんでもない事を言ってのけたトリー。


    案の定、ノーリの拳が鳩尾に炸裂した。


  7. 7 : : 2015/01/02(金) 23:11:23
    トリー「っ~~!!相変わらず…良いもん持ってるじゃないの…!!」


    左手で腹部を抑え、右手の親指を立てながらそう言うトリー。口角が緩んでいるのを見た限り、大して堪えていなさそうだ。


    ノーリ「次やったら殺すから」


    トリーの言葉を聞き流し、リンゴの木へ向かっていくノーリ。


    リンゴを一つもぎ取り、言った。


    ノーリ「この場所、知っちゃったなら来るなとは言わないけど。大事な餌場なんだから考えて使ってよね」


    トリー「はーい!」


    笑顔で返事を返すトリー。笑顔過ぎて、ふざけているようにも見える。


    ノーリ「はぁ…じゃ、私はもう帰るから」


    トリー「じゃーねー」


    笑顔のまま、トリーは手を振った。











    トリー「リンゴには、興味ないのよ」


    彼女が小さく呟いたその言葉は、誰にも届くことなく風に流された。
  8. 8 : : 2015/01/02(金) 23:41:01


    ノーリが自らの住処である洞穴に向けて歩いていると、不意に後ろから声を掛けられた。


    「よう、久し振りだな」


    ノーリ「あら、本当に久し振りだわ。縄張りの外を歩いてるなんて珍しいじゃない、アデス」


    彼はアデス・カデッティ。男にしては長めの、肩より少し下くらいまで伸ばした黒髪に、着崩れた黒色の服。眼も黒色。


    この山に3つある群れのうちの1つ、通常種のみの群れのリーダーだ。彼自身も通常種である。


    アデス「ちょっと散歩したい気分でな。お前は…食料探しの帰りか?」


    ノーリ「ええ、その通りよ。ほれ」


    先ほど取ったリンゴを見せるノーリ。ただの隣人(ネーブル)相手なら面倒事になるかもしれないが、目の前の男がそんな馬鹿でない事はよく知っていた。


    アデス「本当、よくそんなに穴場を見つけられるよな。なんかコツでもあるのかい?」


    ノーリ「こっちも生きるために必死って事よ」


    アデス「はは、そうか。まあ、頑張れよ」


    ノーリ「言われなくても頑張るわ。そうしなきゃ死んじゃうんだもの」


    アデス「それもそうだ。…あ、1つ思い出した。最近、狩猟種の群れが活発だ。大丈夫だとは思うが気を付けておけよ?」


    ノーリ「ええ、分かったわ。…とは言っても、あいつらが私を食う時はあんたの群れが胃袋に収まってる時でしょうよ」


    アデス「お前にゃ敵わねえな」


    ノーリ「敵おうとするのが間違いよ。…じゃ、そろそろ」


    アデス「おう、時間取らせて悪かったな」


    ノーリは、帰路を再び歩き始めた。
  9. 9 : : 2015/01/02(金) 23:46:02













    次の日










  10. 10 : : 2015/01/02(金) 23:53:30

    ザーーー…


    雨が地面を叩く音で目が覚めた。


    ノーリ「ん…また雨か…」


    どうやら、最近は雨が多いらしい。


    ノーリ「まあ、昨日採っておいたリンゴが残ってるし大丈夫かな」


    隣人(ネーブル)の特徴の1つとして、食事の最低摂取量の基準が非常に低い事が挙げられる。


    それこそ、リンゴ1つで3日は持ってしまうのだ。


    ただ、多く食べられないか、と問われるとそうでもない。むしろ、食べようとすれば1日にリンゴ20個はいける。


    本当に、変わった性質だった。


  11. 11 : : 2015/01/02(金) 23:55:06







    さらに、2日が経った。






  12. 12 : : 2015/01/03(土) 00:02:37


    雨は、まだ止む気配を見せない。


    ノーリ「…これは不味いかも」


    控えめに食べていたリンゴも、もう無くなっていた。このまま雨が続けば飢えて死ぬだろう。とはいえ、雨の日に山道を歩き回るのも非常に危険だ。


    ノーリ「どうしたもんか…」


    打開策も思い付かず、ただ時間の経過を待つしか出来なかった。


    最悪の場合は外に出よう、という決心だけはした。
  13. 13 : : 2015/01/03(土) 11:27:02





    次の日、なんとか雨は止んだ。




    ノーリ「よし…これならなんとか歩けそうね」


    地面の崩れ具合は先日の比ではないが、それでも歩けない程ではない。


    まだ日が登り始めたばかり、いつもの倍の時間を掛けてもお釣りが来る。


    ノーリは慎重に、一歩一歩確かめるようにして歩き出した。
  14. 14 : : 2015/01/03(土) 11:42:03


    20分ほど歩いただろうか。


    丁度3分の1くらい進んだ所で、右の方から悲鳴が聞こえた。


    「やめ…っ!きゃあ!!」


    「…くるる」


    どうやら、狩猟種が通常種を襲っているらしかった。


    ノーリ「そうか…すっかり忘れてたわ。私、希少種かなんか言うんだった」


    希少種のノーリでさえ飢えを覚悟するような長期間の雨。


    食料の貯蓄が比較的容易な通常種はともかく、その場その場で狩りをして生きている狩猟種にとっては致命的だったのだ。




    ーーーーーーーーーーーーーーーー


    アデス「…あ、1つ思い出した。最近、狩猟種の群れが活発だ。大丈夫だとは思うが気を付けておけよ?」


    ーーーーーーーーーーーーーーーー


    ノーリ「…成る程ね。今思えば確かに雨が多かったわ、最近」


    注意事項を頭のノートに書き足しつつ、ノーリは歩みを再開した。


    襲われている通常種を助ける事はしない。群れが縄張りを侵させないように、彼女もまた、自分を不利にしてまで群れを助けない。


    それが、この山の図式だった。


    ノーリ「…はぁ」


    耳をつんざくような悲鳴を聞き、雨の音がそれを掻き消してくれない事を恨めしく思うノーリであった。


  15. 16 : : 2015/01/03(土) 11:54:02



    音色の異なる悲鳴が10を超えた辺りで、ノーリは目的地に着いた。


    そこには、やはり人影が。


    トリー「あー!ノーリじゃないやっほー!!元気だったぁー!?」


    喜色満面、といった様子でこちらに走り寄って来るトリー。


    容赦のないカウンターが決められた。


    トリー「ごっふう!!」


    やはり、笑顔で親指を立てている。


    ノーリ「あんた、こんな所に居てて良いの?あんたの群れも被害甚大でしょうに」


    そう、何を隠そうトリーも群れの長だった。希少種を中心に通常種が集まった群れだ。


    トリー「あー、良いのよ別に。あいつらが勝手に群れって言ってるだけだし。トリーちゃん知ーらない」


    とはいえ、トリーは群れにあまり干渉していない。群れは、トリー(希少種)の優れた能力に惹かれた通常種が集まっただけの集団とも呼べた。


    ノーリ「あんた、薄情よねぇ。…って、私が言えた事じゃないか」
  16. 17 : : 2015/01/03(土) 12:26:34


    ノーリ「…何があるか分かんないしなぁ」


    ノーリは自分のリンゴを2つもぎ取ってから、トリーにも1つ投げてよこした。


    トリー「…?」


    反射的にキャッチしつつも、ハテナマークを浮かべながらそれを見ているトリー。


    ノーリ「前から数が減ってなかった。何のつもりか知らないけど、食べなかったら死ぬわよ?」


    トリー「…」フルフル


    ノーリ「何よ、突然黙りこくって。要らないなら群れの奴らにでも…」


    トリー「…これ、プレゼントッ!?」


    ノーリ「…は?」


    トリー「何々!?プレゼント!?初プレゼント!!?ト、トリーちゃん嬉しいっっ!!!感激っっっ!!!!!」


    ノーリ「ちょ、何よ、どうしたの…」


    トリー「ノーリがこんなプレゼントくれるなんて!!きゃああああ!!!!!!!」


    ノーリ「あんた…ほんと変な奴ね…」


    異常に盛り上がっているトリーを見てそう呟いた後、急いで退散するノーリであった。


  17. 18 : : 2015/01/03(土) 13:54:47


    帰り道、また、後ろから声を掛けられた。


    ノーリ「アデス…あんた、こんな所で何してんの?散歩なんて言ってる場合じゃ無いでしょうに」


    アデス「ああ、全くそんな場合じゃない。実は少し…いや、かなり厄介な事になった。」


    ノーリ「何?食料恵む余裕なんてある筈も無いわよ」


    アデス「恵めとは言わないさ。だが、状況は全くお前の想像通りだ。連日の雨で大飢饉が起こってる」


    ノーリ「リーダー様がわざわざ出歩いてるのもそう言うわけね。…どのくらい動けないの?」


    アデス「死者が1割、動けないのが6割程」


    ノーリ「あんた、それこそ雑談してる場合じゃないでしょ…!」


    動けない者が7割。ノーリの予想を遥かに超えていた。


    アデス「そうなんだがな…こうも悪い事が続くと、誰かに話さねえとやってられなくなる」


    ノーリ「まあ、それもそうかもね」


    トリー「なんなら食料分けたげよっか?」


    アデス「ああ、付き合わせて悪かっ……は?」


    ノーリ・アデス「「あんた(お前)なんで居るのよ(居んだよ)!!?」」


    さも当たり前かのように、自然に会話に参加してきたトリーに驚きを隠せない2人。


    トリー「リーダーだからって色々貰えるんだけどさぁ、正直多すぎて困ってるのよね」


    ノーリ「いやそうじゃなくて!!なんで居んのよあんた!!!」


    トリー「ほら、帰り道で見かけたから?」


    ノーリ「あんたの家こっちじゃないでしょ!?」


    トリー「尾けてたっすぅぐほぉっ!!?」


    やはり鳩尾パンチ。もはやお約束。


  18. 19 : : 2015/01/03(土) 14:02:27
    アデス「なあ、さっきの本当か!?」


    トリー「~~~っ、本当…よ」


    若干震えながら返事を返すトリー。今回は結構効いたのだろうか。


    アデス「ありがてえ!今は少…「ただし!」


    トリー「ちょっとした条件は付くわよ?」


    アデス「ああ、俺に出来ることなら何でもする!」


    トリー「違うわよ、貴方じゃなくノーリにやって貰うの♪」


    ノーリ「は?」


    何故ここで自分の名が出てくるのか。ノーリは空いた口が塞がらない思いだった。


    トリー「ノーリの家の近くに住ませてもらう!それが条件よ!!」


    ノーリ「えっっ…」


    率直に言えば嫌だった。トリーが近くに住むとなれば我が家の騒音レベルが3は上がる。いや、下手をすれば5は上がる。


    ノーリ「…」チラッ


    アデス「…!!」


    だが、アデスの様子を見ていると断るのも忍びない。元より、死んでいく通常種を見るのは気持ちの良いものではない。


    ノーリ「…静かにしなさいよ」


    結果、彼女はトリーを近くに住まわせる事にした。


    歓喜の声が2つ湧くのに、時間は要らなかった。
  19. 20 : : 2015/01/03(土) 14:11:00











  20. 21 : : 2015/01/03(土) 14:22:26
    3人はそのままトリーの住処に行き、食料を運んでいた。


    その量は想像以上に多く、中々に難儀していた。


    ノーリ「…で、なんで私が運搬手伝わされてるのよ」


    アデス「それは彼女に聞いてくれ」


    トリー「♪」


    ノーリ「あんた、あいつの呼び方そんなんだっけ?……あと、あいつなんであんな軽そうに荷物持ってるの。私達より明らか多いわよね」


    アデス「食料を恵んで貰っておいて「あいつ」というのは失礼だろ?……彼女の身体はどうなってるんだろうな」


    ノーリ「現金な奴ね………本当不思議だわ」


    そんな会話をしているうちに、目的地ーーーアデスの群れの貯蔵庫に着いた。
  21. 22 : : 2015/01/03(土) 14:41:05
    そこには1人、先客が居た。


    「…あれ、どうしたのアデス。そんなに引き連れて」


    彼はエリオス・クレイドル。茶色の短髪に、薄黄色の瞳。


    彼も通常種の隣人(ネーブル)であり、この群れの副リーダーでもある。


    アデス「ああ、トリーさんが食料を分けてくれたんだ!ほら、こんなに!」


    エリオス「こんなに!?あんた、何やったのさ!?」


    トリー「あら、ただの好意なんだから素直に受け取っときなさい」


    ノーリ「見返りを求めてる時点でただの好意じゃないっての…」


    トリー「てへっ♡」


    ゴスッ!


    エリオス「…えーっと…」


    アデス「…まあ色々あってな」


    目の前に光景に吞まれていたエリオスだったが、アデスの言葉で結論を出した。


    …『色々』あったのだろう。と。
  22. 25 : : 2015/01/03(土) 15:19:05


    食料も詰め終わり、軽く雑談に入る。


    アデス「本当に助かった!これだけの備蓄があればかなりやっていけそうだ」


    ノーリ「本当、感謝して欲しいもんだわ。こんな騒音マシン迎え入れたんだから」


    トリー「騒音マシンなんて酷い!トリーちゃん傷付いちゃった!!!」


    エリオス「ああ…これは…」


    ノーリ「ね?大変でしょ?」


    アデス「すまねえ…」


    こんな風に楽しく?会話していると、次第に辺りが暗くなって来た。


    ノーリ「おっと、そろそろ帰らないと。夜は狩猟種の時間だわ」


    狩猟種は全体的に夜目が効く。


    夜に狩猟種と出会う事は、希少種であるノーリでも避けたい事だった。


    トリー「じゃー私も帰る!!」


    アデス「ああ、今日は助かった!また今度お返しさせてくれ!」


    エリオス「気を付けて帰ってね」


    こうして、4人は自分の住処に向けて歩き出した。
  23. 26 : : 2015/01/03(土) 15:43:22

    その時だった。


    バサァッ、と、翼を動かす音が大きく鳴った。


    そして、木々の合間を縫うようにして、1人の隣人(ネーブル)が現れた。


    ノーリ「げっ」トリー「ん?」アデス「っ!!」エリオス「なっ!?」


    「くるる…久し振り。元気してたか?」


    それは、捕食種の群れを率いる捕食種の王(リーダー)


    メルナ・ベルモット。血の様に紅い瞳、威光を湛える金色の髪。


    女でありながらも、まさに「王」と呼ぶに相応しい出で立ちであった。


    アデス「…どうした?こんな所に…まさか、縄張りを忘れたとは言わねえだろ?」


    メルナ「お前らも知っての通り、連日の雨で飢えててなぁ。1人くらいつまもうかと」


    ヒュッッ!!!


    風切り音が聴こえる頃には、トリーの持つ鉄剣がメルナの首に当てられていた。


    捨ててあったのを拾ったであろうその鉄剣は、ボロボロであってもなお十分な殺傷力を持つ。隣人(ネーブル)相手なら尚更に。


    メルナ「冗談が通じん奴だな…」


    トリー「次は上手く手が止まんないかも」


    笑いながら両手をあげるメルナを見て、鋭く言い放ちつつ鉄剣を仕舞うトリー。


    ノーリ「で…何しに来たのよ。まさか本当に呆けてたっての?」


  24. 28 : : 2015/01/03(土) 16:33:18
    メルナ「狩りに行ってた群れの奴から連絡があってな。どうやら、隣のリナトス山から隣人ネーブルが大量に入ってきてるらしい」


    アデス「数は?」


    メルナ「群れ単位。5、60…下手をすれば100を超えるかもしれんと。」


    ノーリ「雨で食料が取れなくなった、とかかしら」


    メルナ「恐らく、極度の飢餓状態に陥っている。通常種でありながら他の隣人ネーブルも食っているそうだ。…我々も数人やられた」


    エリオス「通常種が狩猟種を!?」


    メルナ「本来ならあり得ん話だが、数に負けた。こちらも飢えていたのが大きかったようだ」


    トリー「…何にせよ、ますます放っとけないわね」


    ノーリ「山の生態系が乱れるし、いつ後ろから食われるか分かんなくなるわ」


    アデス「つまり、お前はそいつらの駆除をしようって言いに来たわけか」


    メルナ「その通り。お前らは身の危険を排除できるし、我々は大量の食料に有りつける。両得だろう?」


    アデス「…まあ、乗るしかないわな」
  25. 29 : : 2015/01/03(土) 16:50:11


    アデス「そいつらは今どの辺りに?」


    メルナ「最後に確認された場所から考えるに、ここから南に1時間ほど歩いた所だろう」


    アデス「うちの群れとカチ合うのも時間の問題じゃねえか!」


    エリオス「時間はあまり残ってない…か」


    ノーリ「回せる戦力は?」


    トリー「トリーちゃんの群れはあんまり集まってないから、直ぐ集めるのは無理ね」


    メルナ「我々は連日の雨でかなり弱っている。戦闘出来そうなのは私ぐらいだ」


    アデス「うちも、いくら外敵を排除出来ても食料が無くちゃどうしようもねえ。こっちに回せんのは俺ら2人ぐらいだろう」


    エリオス「そもそも、食料探しで散会しちゃってるしね」


    ノーリ「嘘でしょ…あんたら…」


    メルナ「5対100か。面白いじゃないか」


    ノーリ「笑ってる場合じゃないっての!この戦闘狂が!!」


    メルナ「私は平和主義者だ」


    ノーリ「ったくもう…!」


    アデス「何にせよ、やるしかない。30分後、使えそうな物揃えてここに集合だ」



  26. 30 : : 2015/01/03(土) 17:02:33




    30分後




    トリー「結構使えそうな物が有ったわ」


    アデス「本当ならお前ら狩猟種に使ってやる予定の物だったんだがな」


    メルナ「ふふ、お前らに手を出さなくて正解だったか。これは我々でも流石に辛い」


    ノーリ「こんな物しか無かったけど。多分誘導に使えるわ」


    エリオス「うん、良い感じだ。これなら勝ちの目も見えてきた」


    メルナ「場所はどうする?地形は重要だ」


    エリオス「それも含めて、今から作戦を伝える。良く覚えてくれ。」


    エリオス「まずはこうだ…」
































    ノーリ「ああ、文句はないわ」


    トリー「この短時間で、良くそんなの思い付くわねぇ。トリーちゃんビックリしちゃった」


    メルナ「各々の持ち物も上手く噛み合ったな。神とやらに感謝せねば」


    アデス「よし、じゃあ行くとしようか」


    「「「「「おー(おう)!!」」」」」
  27. 31 : : 2015/01/03(土) 18:10:51


    「へっへっへ、この辺は食い物が多いな」


    「仕方なく来たつもりだったけど、前のところより何倍も良いわ!!!」


    「狩猟種も弱っちかったし、乗っ取るのも簡単そうだね!!」


    ハハハハハハハ!!!!!!!!!!


    以前山火事が起こり、木が無くなっている一帯を、笑いながら登っていく通常種の群れ。






    そこより少し上、まだ残っている木の影に隠れている2人。


    手には球状の何かを持っている。


    アデス「準備は良いか?」


    エリオス「ええ、いつでも行けます」





    ノーリ(アデスの手が上がった…OKの合図ね)


    アデスからの合図を見たノーリは『迷うことなく通常種達の前に出て行った』。
  28. 32 : : 2015/01/03(土) 18:42:33



    ノーリ「どうも、始めまして」


    「ん?」

    「お前、希少種だな…ここのボスか?」

    「何か用?」


    口々にノーリに語りかける様子を見るに、あまり統率は取れていないようだ。


    ノーリ「…ええ、そうよ。私がこの山のボス」


    話を上手く進めるために必要と判断したのだろう。さらっと嘘をつく。


    ノーリ「で、あなた達のリーダ…ボスは?」


    「そんなの居ないよ!!」

    「ボスは他の山へ行くな行くなと五月蝿かったからね。雨で何処かに行ってくれて助かった」

    「なんでかは分かんないけど取り敢えず居なくなって良かったよねー」


    聞こえた証言から察するに、彼らにはボスが居たが雨の日に消えてしまったらしい。恐らく、地崩れか何かに巻き込まれてしまったのだろう。


    それにしてもこれは酷いな、とノーリは思った。元々頭が良くない隣人(ネーブル)であるが、ここまで馬鹿なのも稀有だろう。


    事情は知らないが、この有様でよくここまで生き延びれたものだ。


    ノーリ(何にせよ、この様子じゃ和解の道は無さそうね…)


    「それより、お前ここのボスなんでしょ。私達100人ぐらい居るんだけど、入れそうな場所ある?」

    「無かったら作るだけだけどね!」


    無かったら作るとはつまり、私達を殺して作るという事だろう。聞いてて呆れる。

    よし、もう未練も情も無くなった。後は作業だ。


    ノーリ「…大丈夫、スペースは有るわ。それより、私達からプレゼントがあるのよ。ほら」


    そう言うと、ノーリは手に持った袋から1つの赤い果実を取り出した。


    そう、リンゴだ。


    「「「!!食べ物!!!」」」


    まだまだ飢えている通常種は、リンゴで簡単に釣れる。読み通りだった。


    ノーリ「はい、どーぞ」ヒョイッ


    通常種達の近くにリンゴを放る。


    すると、すぐに通常種達は群がってきた。


    「どけっ、どけえええ!!!」

    「久しぶりの食べ物渡してたまるかぁぁぁ!!!」


    リンゴの取り合いに夢中で、もはや周りが見えていない。


    だから、聞こえなかった。


    ノーリ「はい、やっちゃってー」


    ノーリから上の2人に向けて放たれた合図が。
  29. 33 : : 2015/01/03(土) 19:29:42
    アデス「おらっ!!」ブンッ


    エリオス「っりゃあ!!」ブンッ


    アデスとエリオスが手に持っていた物を投げる。


    それは丁度、通常種達が群がっている辺りに着弾した。


    そして…


    ドパァァァンッッ!!!!!


    激しく炸裂した。


    バーシル山特産の可燃性を持つ特殊なキノコ、それに人間達のゴミ捨て場で見つけた道具類を使うことでエリオス達が製作した、対狩猟種の秘密兵器だった。
  30. 34 : : 2015/01/03(土) 20:14:53
    「ぎゃあああっ!!?」

    「何だぁぁぁ!!!?」


    あちこちから悲鳴が上がる。


    爆発に巻き込まれた者は無事では無いだろうから、恐らく爆発を見た後続だろう。


    ノーリ「さっき巻き込めたのが大体30…、100体居るとすれば残り70か」


    そんな計算をノーリがしている間に、後続が次々と登ってきた。異変を察したのか、駆け足である。


    ノーリ「よっと」


    1つ、2つとリンゴを投げる。


    その度に群がる通常種達。


    そこに炸裂弾を投げていく。


    アデス「よっ!!」


    エリオス「ふっ!!」


    パァァァッン!!!パァァァァンッッ!!!!!


    3回目の投擲からは炸裂音に警戒している者も居た。危険を感じて逃げ出す感の良い者も居た。


    だがしかし。


    トリー「逃げられると思っちゃったぁ?残念、トリーちゃんが居まーす!!」ズバッ


    メルナ「もう少し静かに出来ないのか、お前は」ザンッ!


    トリーの鉄剣が腹を切り裂き、メルナの鋭爪が喉を掻き切る。


    山に入った時点で、彼らに逃げ道はなかった。


  31. 35 : : 2015/01/03(土) 20:47:57
    ノーリ「あいつらが出てきた時点で、もう陽動は使えないわね」


    ノーリは手に持ったリンゴを傍に投げ、代わりに何処からか取り出した鉄の棒を握り締めた。


    先が尖っているので、槍のようにも見える。


    トリーやメルナには及ばないとはいえ、彼女も希少種である。隣人(ネーブル)の中では抜きん出た能力を持っている。


    「よくもぉぉぉ!!!ぶっ殺してやるううううう!!!!!」


    ノーリ「はぁっ!!」ドスッ!!


    「っぎゃあ!!」


    ノーリ「あんたらが仕掛けてきたんでしょう…がっ!!」


    腹部を一突きし、強引に引き抜く。


    より大きなダメージを与えるには、実に理に敵っていると言えるやり方だった。


    「ぞんなの知るがぁぁぁ!!!!!」ブンッ!!!


    とはいえ、即死にいたらしめるには甘いのも事実。


    苦し紛れに振り回した腕が、ノーリの顔に放たれる。


    火事場の馬鹿力と言うのだろうか、通常種の力を遥かに超えた威力。当たれば大怪我は避けられないだろう。


    ノーリ「っ!やばっ…!!」


    確かな死の気配が、ノーリの背筋を這い走る。


    メルナ「ふっ!!」ズリッ!!


    「!!…ぐぅ…ぅ」ドサァ


    だが、メルナの爪撃がノーリを救った。


    メルナ「気を付けろ、気抜いたら死ぬぞ」


    ノーリ「あ、ありがと…」


    メルナ「お前には色々と恩もある」


    アデス「残弾は!?」


    エリオス「こっちは切れました!そっちは!?」


    アデス「こっちもこいつで終わりだっ!」ブンッ


    パァァァァンッッ!!!


    計8個の炸裂弾は、多少の差こそあれ確実な成果を上げた。


    トリー、メルナ、ノーリが撃破した数も含めると、大体90体はやっただろう。


    実際、登ってくる通常種達の数は減ってきていた。
  32. 36 : : 2015/01/03(土) 21:03:32


    メルナ「っ!!」ザシッ!!


    「ぐぎゃっ…!!」ドシャッ


    ついに、最後の通常種が倒れた。


    アデス「っしゃあああ!!!」


    歓喜の声をあげるアデス。


    5対100なんていう無茶苦茶な戦いに、ほぼ無傷で勝利したのである。当然と言えば当然だった。


    …だが。


    トリー「…」メルナ「…」


    トリーとメルナの表情は暗い。


    いや、まだ気を抜いていない、といった方が近い。
  33. 37 : : 2015/01/03(土) 21:06:45



    メルナ「微かに地面が揺れている…まだ終わっていないな」


    トリー「…揺れの周期が安定してるわね。これは…デカいかも」


    アデス「デカい?…何言って…」


    エリオス「…!!!あ、あれは!?」


    2人が向く方角に、残りの3人も目を向ける。


    すると、間も無く、巨大な影が見えた。
  34. 38 : : 2015/01/03(土) 21:22:24
    ズン…ズゥン…ズウン…!ズズウゥン…!!!


    地鳴りが大きくなっていく。


    バキバキバキッ メシメシメシャァ…!!!


    木が折れる音が重なり合っていく。


    やがて、「それ」の全貌が見えた。


    ノーリ「…化け物染みてる…」


    アデス「なっ…んだありゃあ…!!」


    エリオス「隣人(ネーブル)…なのか…!?」


    トリー「あーれは…流石のトリーちゃんも引いちゃうかなぁ…」


    メルナ「通常種…とは言い難いな。突然変異といった所か…」


    一言で表すなら、まさに「巨人」。


    10mは越そうかという巨体を見ると、とても隣人(ネーブル)とは思えない。


    だが、隣の山から、通常種達の後を追って現れたのを見るに、通常種達の群れの一員と見て良いだろう。
  35. 39 : : 2015/01/03(土) 21:59:43
    ノーリ「えーっと、取り敢えず…言葉は分かる?」


    「…オマエラ ココ スンデル ヤツカ?」


    アデス「その通りだが…お前は?あいつらの仲間って事で良いのか?」


    エリオス「なんか、凄く嫌な予感がするんですが…」


    「…ナラ ツブス」ブンッ


    言うが早いか、巨人が拳を振り下ろす。


    エリオス「やっぱり!?」


    トリー「やばっ!!」


    メルナ「ちっ!」ガッ!!


    ドゴッ!!!ズッ…ズズウウウウウン!!!!!


    巨大な拳が地面にめり込んだ。








    メルナ「あいつが鈍速で助かったな…」バッサバッサ


    アデス「…っ、あっぶねえ…!」


    エリオス「…死ぬかと思った…!!」


    メルナが咄嗟に掴んだおかげで、アデスとエリオスも助かることが出来た。


    だが、ノーリやトリーとははぐれてしまった。


    メルナ「あいつらも心配だが……」


    メルナは眼前の巨人を見据える。


    巨人「……」コォォ…


    メルナ「まずはこいつをどうにかせんとなぁ…」


    鋭い牙を光らせ、メルナは笑った。
  36. 40 : : 2015/01/03(土) 22:09:07




    その頃




  37. 41 : : 2015/01/03(土) 23:03:35
    ノーリ「…痛っ…」


    どうやら、一瞬意識が飛んだらしい。


    迫りくる巨人の拳に立ち尽くしていた筈が、今は地面に倒れている。


    身体が痛むことを考えると、爆風に吹き飛ばされたのだろうか。


    ノーリ「…っ、く…!」


    痛みを耐えて立ち上がる。


    ノーリ「皆は……」


    ゆっくりと首を動かし、辺りを見回す。


    ノーリ「……!!」


    刹那、ノーリの背筋が凍った。


    自分よりも巨人に近い場所に、倒れている人影。


    その空色は、見間違うはずもない。


    ノーリ「…ト…トリー…」


    立ち尽くしていた筈の自分が巨人の拳を避けられた事

    自分よりも巨人に近い場所にトリーが倒れていること

    トリーの身体能力は自分よりも高いこと

    トリーの右手が、まるで何かを押したかのように突き出されていること


    それらが繋がり、一つの結論を導き出す。


    気付いた時には走り出していた。


    ノーリ「トリー!トリー!!?」
  38. 42 : : 2015/01/03(土) 23:28:08




    ノーリ「トリー!!聞こえてるの!?」




    返事はない。




    ノーリ「ちょっと!!」




    揺さぶってみても、反応はない。




    ノーリ「…嘘…でしょ…?」




    最悪の答えが頭に浮かぶ。




    ノーリ「ねえ…!なんで…!!」




    ノーリ「なんで私を助けたりしたの…!?」




    変化のないトリーに、ただただ悲しみが湧き上がってくる。




    湧き上がった悲しみは虚無感となり、身体中に溢れ出していく。




    気付けば、目頭が熱を帯びていた。




    ノーリ「馬鹿…なんで…なんでぇ…っ!!」




    雫が一滴ポタリ、と落ちる。





    その時だった。




    「……ん…」



    幽かな、声が聞こえた。
  39. 43 : : 2015/01/03(土) 23:50:49



    ノーリ「!!ト、トリー!!?」



    トリー「……ノーリ…?無事、だったのね…」



    安堵した。ただひたすら、安堵した。



    すると、身体中を満たしていた虚無感は消え去り、代わりに今度は怒りが湧き上がってきた。



    ノーリ「無事だったのねじゃないわよ!!なんで私なんか守ったのよ!!」



    トリー「…?何の事…?」



    ノーリ「しらばっくれても分かってんのよ!!私より動けるあんたが、私より逃げ遅れるわけがないじゃない!!」



    トリー「…さっきの乱戦の時、守れなかったじゃない?その分…」



    ノーリ「そんな事聞いてるんじゃないの!!なんで!!自分の命を危険に晒してまで私を守ったのよ!!!」



    トリー「……トリーちゃんね、嬉しかったんだ…」



    ノーリ「…え……?」
  40. 44 : : 2015/01/04(日) 00:18:35


    ーーー通常種の群れで突然生まれた希少種が、どんな扱いを受けるかは知ってる?



    大抵の場合、迫害されるの。



    知能、身体能力、何をとっても通常種より秀でている希少種は、一部の野心家からは毛嫌いされるのよ。



    私も例外じゃなかった。



    まだ子供で、何も出来なくて。言われるがままに労働して、言われるがままに痛めつけられてたわ。だって、それしか道はなかったから。



    もちろん、苦しかった。とてもって何回言っても足りないくらいに、言葉なんかじゃこれっぽっちも表せないくらいに、苦しかった。



    自殺なんて、毎日考えてたわ。



    でも、やっぱり死ぬのは怖くて。



    毎日毎日、生きたい死にたい生きたい死にたいを繰り返してた。



  41. 45 : : 2015/01/04(日) 00:30:10



    そんな時、ちょっとした奇跡が起こったの。



    狩猟種の群れが、私の生まれた群れを食い潰して行ったのよ。皮肉にも、餌探しをやらされてたお陰で私は生き延びた。



    私を縛ってた太くて硬い鎖が、一瞬のうちに弾け飛んで。最初は嬉しかったわ。この世の春が来た、とでも言わんばかりに。もう本当、踊りだしそうだった。



    でもね。自由になって、さぁ何をしようかって考えた時に気付いたの。…私には、何もない事に。



    これまた皮肉な事にね。私が唯一持ってた物は、太くて硬くて忌々しい鎖だけだったってわけ。



    …そこから先は、あまり鮮明には覚えてない。



    覚えてるのは、住処を転々と渡り歩いてた事と、その何処でも似たような反応をされた事。



    汚物を見るような目で見られて、時には突然殴られたりもした。



    …何処も彼処も、潰してやったわ。



    八つ当たりだっていうのは分かってた。増えていく傷を見る度に、もうやめなきゃって感じてた。



    …でも、気付いたらまた別の場所に居るの。それの繰り返し。



    3年くらい続けたわ。
  42. 46 : : 2015/01/04(日) 00:51:09



    でもそんな時、貴女に出会った。



    一目見て分かったわ。貴女は私と同類だって。



    実際、その通りだった。貴女は私を疎ましがらなかった。なんだかんだ言いつつ、仲良くやってくれた。



    貴女と話してるうちに、通常種までもが私に寄ってきた。苦手意識は残ってたけど、それでも嬉しかったわ。



    もう1人じゃないんだって。



    私には、貴女達が居るんだって。



    そう思うだけで、とても幸せだった。
  43. 47 : : 2015/01/04(日) 01:54:50



    トリー「…ノーリには分からないかもね。…でも、私にとってはとてもとっても大事なことなのよ」


    トリー「貴女は私の友達で、親友で、大恩人で、大好きな人。…守る理由なんて、そんなの要らないの」


    ノーリ「トリー…あんた、ただの変な奴じゃなかったのね…ちょっと見直したわ」


    トリー「…ちょっと見直したわ、って、私が喋るまで泣いてたくせに〜。トリーちゃん見てたんだよぉ?」


    ノーリ「…は?」


    トリー「てへっ☆」


    ノーリ「…!!……」


    反射的に拳を握るノーリ。


    だが、その拳が振り下ろされることはなかった。


    ノーリ「…今回だけは許してあげる。それより、さっさと逃げるわよ」


    トリー「…うんっ!!……て言いたい所なんだけど、身体動かない」


    ノーリ「何よ、カッコ付かないわね!!ほら、肩貸したげるから!!」


    トリー「…ひひひ」


    ノーリ「何笑ってんのよ!?言っとくけど今、巨人の近くなんだからね!?危ないんだからね!?」


    トリー「ごめんごめん、ふふ、ふふふふふ…」


    ノーリ「あーもう!さっさと行くよ!!」


    こうして、ノーリとトリーは歩き出した。


    一先ず巨人から離れるため、山を登っていく事にした。
  44. 48 : : 2015/01/04(日) 08:58:15


















    ザシ、ザシュ、ザスッ


    メルナの鋭爪が巨人の腕を裂き、脚を斬り、肌を千切る。


    巨人はメルナの動きに全く反応出来ておらず、翻弄されてばかりだ。


    状況はメルナの圧倒的優勢……かに見えた。


    だがしかし。


    メルナ「…裂いても削いでも、流石に手応えがないな…」ハァ…ハァ…


    巨人「………」コォォ…


    巨人とメルナの体格差は圧倒的。どれだけ一方的に攻撃しようとも、一撃たりともダメージらしいダメージは与えられていない。



    メルナのーーー引いては狩猟種の身体は、狩りに特化した構造をしている。


    上空から一方的に襲うための翼、鋭く研ぎ澄まされた鉤爪、優れた動体視力などだ。


    それは確かに、狩りで大きな役割を果たす。


    …だがそれは、あくまでも通常の狩りに限った話。


    今この状況では、それらは余り役に立たなかった。


    翼こそ働いてはいるが、鉤爪は巨体を相手するにはリーチが短すぎるし、元々鈍い巨人相手に優れた動体視力は必要でない。


    早い話が、メルナは今、非常に不利な状況下に置かれているのだ。


    メルナ「…どうしたものかな」


    ふと、呟く。


    メルナ「…まあ、かすり傷しか与えられんなら…与え続けるしかないか!」


    口の端を吊り上げる。


    メルナの闘志は、まだまだ残っているようだった。
  45. 49 : : 2015/01/04(日) 09:14:21









    アデス「…不味いな」


    エリオス「このまま行けば…十中八九スタミナ切れのが早いね」


    メルナによって助けられた後、2人は近くの岩陰に置いていかれた。


    飛べない彼らは、戦いの土俵にすら立てないのだ。


    アデス(…どうする…何か出来る事は…!?まずは分かれちまった2人を探すか?…いや、見付けた所で……今やるべき事じゃないか…!!)


    急いで思考を巡らせるが、妙案というのはそう簡単に思い付く物ではない。


    アデス「…くっそ…!!」


    エリオス「…アデス」


    アデス「なんだ!?」


    エリオス「…1つだけ、策を思い付いた。…でも、かなり危険だ。…それでもやるかい?」


    その低い声色から、その危険度が計り知れる。


    だが、そんな事はアデスにはどうでも良かった。


    アデス「あいつが命懸けてる時に、危険だ何だと言ってられるか!やる!!」


    エリオス「…オーケー。じゃあ行こう!」


    そう言うと、エリオスは一心不乱に走り始める。


    アデス「お、おい!?説明とかないのかよ!?」


    エリオス「説明は歩きながらだ!!ほら急いで!!!」


    こうして、2人は移動を開始した。
  46. 50 : : 2015/01/04(日) 11:58:53
















    トリー「あちゃあ…あれは芳しくないわね」


    木の合間からメルナと巨人の戦いを見て、トリーは言った。


    ノーリ「不味いの?私には押してるように見えるけど」


    トリー「さっきから、明らかに決め手に欠けてるわ。あいつ、急所だけは器用に守ってる」


    ノーリ「どうにかして、あいつの動きを止めなくちゃって事?」


    トリー「そうだけど…私達には難しいね」


    打つ手なしか、とノーリは思う。


    ノーリ「…どうしようも「でも。」


    だが、トリーは違ったようだ。


    ノーリ「?」


    トリー「トリーちゃん、良いこと思い付いちゃった。付き合ってくれる?ノーリ」


    そう言うと、トリーは嫌らしく笑った。
  47. 51 : : 2015/01/04(日) 12:03:35








    メルナside








  48. 52 : : 2015/01/04(日) 15:56:07



    巨人「……」ブンッ!!!!


    メルナ「…チッ」


    巨人の豪腕を避けつつ、忌々しげに舌を打つメルナ。


    メルナ「やはり…このままじゃいつまで経っても終わらんな。やはり急所を突かんと…」


    とはいえ、とメルナは続ける。


    メルナ「心臓は駄目だ、例え一撃入れたとしても届かん可能性が高い……頭も、あの巨体の頭蓋骨を貫通出来るかどうか……」


    メルナ「となるとやはり…喉しか無いか」


    喉に一撃さえ入れられれば、恐らく致命傷を与えられるであろう。メルナはそう考えた。


    だが、それには大きな障害がある。


    メルナ(本能的に弱点を察しているのか…?喉だけはいつも守られている…飛び込めば、恐らく潰されるだろうな)


    そんな事を考えながら、手当たり次第に攻撃を加えていく。


    それが、かれこれ10分は続いている。


    集中、体力共に、底が見え始めていた。


    メルナ「…どうしたもんか」


    無意識に、呟いていた。
  49. 53 : : 2015/01/04(日) 16:03:28



    その時だった。


    アデス「おーーーーい!!!!!こっちだデカブツゥゥゥ!!!!!!」


    アデスの声が響いた。


    巨人「……」クルッ


    それに反応する巨人。


    メルナ「なっ…あいつ何やって…!?」


    アデスの声は、巨人がやってきた方向…隣山、リナトス山の方から聞こえていた。


    巨人「……オマエ、コロス、ヤツ」


    巨人は狙いをアデスに変え、走り始めた。


    確かな目的を持っているからか、そのスピードは来た時よりもずっと早い。


    アデス「よし、食い付いたぞ!!これで良いんだな!!?」


    エリオス「ああ、良い感じだ!!さぁ、走るよ!!!」


    2人は怒鳴り合いのような会話をし、巨人から逃げるように走り出した。
  50. 54 : : 2015/01/04(日) 16:19:31



    巨人は鈍いが、一歩が非常に大きい。


    追い付かれるのは時間の問題のように思えた。


    アデス「…!ちっ!!」ズリッ


    連日の雨で出来たぬかるみが、アデス達の足を止める。


    エリオス「…よし、ここ(・・)だ!!」


    エリオスが叫ぶと、アデスが足を止める。


    それに続くようにして、エリオスも足を止めた。


    アデス「…ふう…」


    エリオス「…後は完全に運任せだ」


    巨人は変わらず迫ってくる。


    アデス「…本当に大丈夫なんだろうな」


    エリオス「大丈夫さ、僕らが死んでも目的自体は成功する」


    あと、500m


    アデス「…死んだら化けて出てやる」


    エリオス「…安心しなよ、化けて出るまでもなく僕も死んでる」


    あと、300m


    エリオス「…こんな命懸けの作戦しか打てる手が無いなんて。僕らは本当に弱いね」


    アデス「隣人(ネーブル)に生まれたのを…後悔した事はねえよ」


    あと、100m


    アデス「お前らと出会えた…それだけで儲けもんだ」


    エリオス「…皆と人間として出会えてたら?」


    アデス「あ、そっちのが良かった」


    エリオス「はぁ…本当、格好付かない…」


    あと、10m…


    巨人が豪拳を放とうと、拳を振り上げる。


    全体重を拳に乗せるため、片足に全体重を乗せ(・・・・・・・・・)










    た、その瞬間。


    雨で柔らかくなっていた地盤が、強大な重圧に耐え切れず。


    崩れ落ちた。
  51. 55 : : 2015/01/04(日) 16:24:29

    ドドドドドドドドドッッッ!!!!!!!!


    まるで山が爆発しているかのような轟音。


    支えを失った巨体は、為す術もなく滑り落ちていく。


    ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッッッッッ!!!!!!!!


    ゴオオオオン!!!!!





    そう、アデスとエリオスの作戦とは。


    巨人の力を利用して「わざと土砂崩れを引き起こす」事だった。






  52. 56 : : 2015/01/04(日) 16:50:06
    メルナ「……っな…」



    その光景を見て、メルナが最初に受けたのは「畏怖」であった。



    通常種も、狩猟種も、希少種も、目の前の巨人も、あの人間でさえも。



    全てを圧倒し、呑み込む自然の力。それに「恐怖」した。



    次にメルナを襲ったのは「尊敬」に似た感情だった。



    アデスとエリオス、彼らはこの結果を分かっていて、それでもなお実行したのか。



    恐怖の象徴とも言える自然の力に呑み込まれる事が分かっていて、それでなお止まらなかったのか。



    純粋に、憧れと尊敬が渦巻いた。



    それらが引いた後。



    最後に彼女が得た感情。



    それは



    「使命感」だった。



    彼らが命を懸けてまで作り出したこのチャンスを、絶対に逃してはならないという使命感だった。



    気付けば、全速力で羽ばたき出していた。

  53. 57 : : 2015/01/04(日) 18:21:15



    全身を強打して動きを止めている巨人。


    その喉元に、迷いなく突っ込む。


    だが、全てが思い通りには行かなかった。


    巨人「グググ…」


    巨人の右腕は、まだ生きていた。


    こちらも迷うことなく、メルナへと真っ直ぐに放たれる拳。


    メルナ「!!」


    だが、メルナはそれを避けなかった。


    このチャンスを逃せば「次」はない。本能的にそれを察していた。


    メルナ「……っ!!!」ビュンッ!!


    巨人「…ッッ!!!」ブオンッ!!!!!





    …現実とは非常である。


    巨人の拳の方が、一瞬速かった。


    メルナ「……っっっ!!!」























    …しかし。


    運命とは常に動いている物である。




    「「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」



    大きな声が、山中に(こだま)した。
  54. 58 : : 2015/01/04(日) 18:25:38



    それに気を取られ、巨人が一瞬動きを止める。



    声が聞こえた程度で、何故動きを止めるのか。

    あの声は誰の物なのか。


    そんな疑問はどうでも良かった。



    目の前の巨人が隙を見せた。ただその事実だけを確認し……









    メルナ「…これで…っ!!!終われええええええええええ!!!!!!!!!!」



    ザグゥッシュゥゥッ!!!!!



    メルナの鉤爪が、巨人の喉元を千切り裂いた。
  55. 59 : : 2015/01/04(日) 18:59:10



    突き刺した右手が、生温い感覚に包まれる。1度、2度と痙攣が伝わってくる。


    徐々に痙攣は止み…やがて完全に止まった。


    右手を一気に引き抜く。鮮やかな血が噴き出し、身体を濡らす。


    初めは生温くて、段々冷めていって。最後には氷みたいに冷たくなる。


    いつも通りの感覚だ。


    メルナ「……」



    巨人は、死んだ。



    今度こそ、彼女らの勝利だった。
  56. 60 : : 2015/01/04(日) 19:24:59



    土砂の山を見ながら、メルナは呟いた。



    メルナ「…これも、野生の掟だ」



    メルナ「いつ、どこで、なにが、なぜ、どうして起こるのか分からない。…それが、我々の住む世界だ」



    メルナ「謝罪はしない。後悔も、執着も」



    メルナ「だが…墓くらいは、建ててやる」



    その声は、限りなく普段と同じだった。



    しかし、どこか物悲しく感じられた。



    メルナ「………」





    静寂が訪れる。


























    「…おい」


    一つの声が、不意に静寂を破った。

  57. 61 : : 2015/01/04(日) 19:56:05



    メルナ「!?」


    咄嗟に声の主を見るメルナ。


    そこには…


    アデス「勝手に殺さねえでくれ…俺はまだまだ死なねえぞ」


    エリオス「ちょっと前まで、土に埋もれて窒息しかけだったくせに」


    土砂の山から上半身だけを生やしている、アデスとエリオスの姿があった。


    メルナ「お前ら…生きてたのか」


    アデス「残念ながら、墓を建てるのは今度に持ち越しだ」


    エリオス「9割がた建ってたけど」


    アデス「うるせえよさっきから!」


    メルナ「…ふん。精々神に感謝しろ」


    アデス「なんでこんな酷い目に会わせたか、直に詰問してやるよ」


    メルナ「次は隕石が降って来ても知らんぞ。…ほら、さっさと出ろ」


    そう言うメルナの顔は、僅かに綻んでいる。


    本人は隠しているつもりなのだろうな、と思い1人笑うアデスであった。





    ゴスッ


    アデス「痛てっ!?」


    エリオス「あ、天罰」


    転げ落ちて来た石が、アデスの頭を直撃した。
  58. 62 : : 2015/01/04(日) 20:11:32




















  59. 63 : : 2015/01/04(日) 20:21:08


    アデス「…お、あれあいつらじゃねえか!?」


    ノーリとトリーを探し歩いていた3人。


    30分ほど歩いた所で目的の2人を見付けた。


    ノーリ「…あ!無事だったのね!」


    トリー「…」スー…スー…


    倒れているトリーを見て一瞬肝を冷やしたが、どうやら寝ているだけのようだ。


    エリオス「無事だったみたいで、本当に良かったよ」


    ノーリ「あなた達こそ、本当に良くやったわよ。あれを倒すなんて!」


    メルナ「その事なんだがな…あの最後の叫び声、あれはお前らが?」


  60. 64 : : 2015/01/04(日) 20:49:18
    ノーリ「うん、あれはトリーがね…」




    ーーーーーーーーーーーーーーーーー



    ノーリ「叫び声?」


    トリー「そう、叫び声。遮蔽物の無い所まで行って、そこから思いっきり叫ぶの」


    ノーリ「そんなので…本当にあいつの気が引けるの?」


    トリー「あいつ、見たところ頭は良くないわ。いや、壊滅的に弱い。多分、巨大化の代償として頭がやられたんでしょうね」


    トリー「あいつはまず、私達に「この山の者か」って聞いてきたわ。そして、私達の肯定を聞くと「なら潰す」と答えた。」


    トリー「これは私の仮定だけど、あいつは暗示か洗脳みたいなので幾つかの行動をプログラミングされてるんじゃないかしら。」


    トリー「それなら、あそこまでの力を持っててボスじゃないのも納得出来るわ。」


    ノーリ「…なるほど…」


    トリー「で、続きね。仮にあいつが「この山の住人なら殺せ」ってプログラミングされてるとするわ。そして、私たち5人を「この山の住人=殺すべき対象」と認識した」


    ノーリ「うんうん。」


    トリー「なら、誰か1人を狙ってる時に他の対象を見つけたら?…優先順位なんてプログラミングされてないから、戸惑う。少なくとも一瞬は隙が出来る。そう思わない?」


    ノーリ「確かに、やってみる価値はあるかも!!…トリー、あんた意外と賢いのね!!」


    トリー「トリーちゃん、伊達に世の中渡ってないわ☆」


    ーーーーーーーーーーーーーーーーー



    ノーリ「…っていうわけ。見事に決まって本当に良かったわ」


    メルナ「成る程な…。こいつに助けられるとは、夢にも思っていなかったな」


    トリー「……」


    エリオス「正直、何も考えてないと思ってた」


    トリー「……」


    アデス「こいつ「でも」色々考えてんだなぁ」


    トリー「……あんた達ねぇ…!!!」


    ノーリ「あ、起きてた」


    トリー「黙ってればボロカス言ってぇ…!!!」


    アデス「げっ…!」








    オマエライチレツニナラベェェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!


    タタッキッテヤラァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!







    土煙もまだ残る山に、怒声が木霊した…。























    end
  61. 65 : : 2015/01/04(日) 20:53:14

    あとがき?





    一つだけ、言わせてください。


    誤字が…多すぎる……


    こんなに誤字するなんて、僕は本当に弱いね…



    ✳︎無いとは思われますが、誤字訂正バージョンの需要があるようなら後日建てたいと思います。「訂正バージョン欲しい!」って方は容赦無くレスをどうぞ。
  62. 66 : : 2015/01/04(日) 20:55:54
    あ、それとこのssの続き(シリーズ)が読みたい!っていう方も居ましたらレスお願いします。無い頭を頑張ってひねってみます。
  63. 67 : : 2015/01/04(日) 21:00:40
    執筆お疲れさまでした。

    特殊な類人類の冒険活劇、楽しく読ませていただきました。
    文章が読みやすく、行間の使い方も効果的で読みやすかった(個人的には広めかなという印象ですが)と思います。展開にも、わくわくしました。


    隣人がなぜネーブルと呼ばれるのか(柑橘系で美味しそうで、つい)、彼らはこのまま山を守る生活で終わるのか気になります。
    続編あると良いなぁ♪と思いました。
  64. 68 : : 2015/01/04(日) 21:57:34
    >>67ありがとうございます!

    ネーブルの語源については作中で語る事でもない(語る技量がない←)のでここでお答えしておきます。


    英語で「隣人」を表すNeighborと「小さな」を表すSmallを合わせて言いやすくした形です。「小さな隣人」といった感じになります!そこまで小さくないですが←
  65. 69 : : 2015/01/05(月) 10:59:39


    次スレ、取り敢えず建てておきます。


    時間が出来次第更新して参ります。


    http://www.ssnote.net/archives/29864

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