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苗木「ボクが魔法少女!?」

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  1. 1 : : 2015/01/01(木) 15:03:21
    明けましておめでとうございます!

    たけのこまんじゅうです!

    今回は新年ということで、新しい試みとして異能系ダンガンロンパを執筆しようと思います!

    前から書きたいなぁって思っていた設定のものです!

    いやぁ…異能系っていいですよね

    憧れちゃいますよね…


    というわけで始めていきます!
  2. 2 : : 2015/01/01(木) 15:09:49
    ボクは苗木誠!

    希望ヶ峰学園に『超高校級の幸運』としてスカウトされた学生だよ!

    希望ヶ峰学園に在学しているって以外は、王道も裸足で逃げ出すぐらい平凡なんだけどね!

    そこで2年間、楽しいスクールライフを満喫していたんだけど…




    ある日事件が起きたんだ



    空から大量の江ノ島さんが降ってきて、世界中を破壊し尽くしたんだ…

    みんなはこれを『人類史上最大最悪の絶望的事件』と呼んでいる

    しかも、江ノ島さんは倒しても復活してしまい、どんどん増えていく一方だったんだ……


    希望ヶ峰学園は崩壊しなかったから、みんな無事だった…

    そして、今ボクは仲間たちと共に、江ノ島さん対策を練っているんだ!
  3. 3 : : 2015/01/01(木) 15:11:20
    期待です!
  4. 4 : : 2015/01/01(木) 15:14:30






    十神「苗木、コーヒーを淹れてくれないか?」

    苗木「あぁ、うんわかったよ!」


    十神クンに言われて、ボクはキッチンへと向かったんだけど…

    …あれ


    苗木「十神クンごめん!
    コーヒー切らしちゃってる!」

    十神「そうか…
    なら仕方ないな」

    苗木「あ、ボクがそこらへんのスーパーから買ってくるよ!」

    十神「しかし、街には大量の江ノ島が…」

    苗木「大丈夫だよ慣れたから!
    それじゃ、待ってて!」

    十神「おい、苗木!」


    そう言ってボクは意気揚揚と希望ヶ峰学園を後にした

    …これが間違った選択とも知らずに
  5. 5 : : 2015/01/01(木) 15:24:18
    >>3
    ミィさん、ご期待ありがとうございます!














    実際、ボクはもう何度も買い出しに行っている

    江ノ島さんがワラワラいることにも慣れてしまっていた

    だから、今回もさほど身の危険は感じていなかった…













    〜某デパート〜


    苗木「よし、このコーヒーでいいかな…」


    ボクはめぼしいコーヒーを手に取った

    棚の下段にあった、大手会社のインスタントコーヒーだ

    こんなご時世…

    十神クンもインスタントコーヒーで我慢してくれている

    もちろん、十神クンも最初の内はインスタントをあまり快くは思っていなかった

    けど、いつの間にか仕方ないと割り切ってくれるようになっていた

    やっぱり十神クンは根は優しいんだなぁ…

    苗木「さて…学園に戻るかな」


    と、かがんでいた腰を上げようとしたその時だった


    江ノ島「絶望的ぃぃぃい!」

    苗木「っ!」


    まずい!江ノ島さんもこのデパートの中にいたのか!


    江ノ島「絶望的ぃ…」


    幸い、棚で隠れててボクのことは見つけていないみたいだ…

    この隙に逃げないと!
  6. 6 : : 2015/01/01(木) 15:34:10

    そーっと…そーっと…

    音を立てないように…!


    江ノ島「絶望的ぃ…絶望的ぃ…」


    よし、こっちを向いていない…

    気づいていない!

    自動ドアまでの距離はおよそ10m…

    このまま外まで一気に走る!

    3…2…1…


    苗木「GO!…うぉっ!?」


    しまった!

    誰かが捨てた袋菓子のゴミを踏んでしまってたのか!

    ダメだ!体制を立て直せない!

    気づかれてしまう!










    ドサッ


    江ノ島「!」クルッ

    苗木「くっそ!」


    気づかれた!!!


    江ノ島「絶望的ぃぃぃぃい!!!!」


    ものすごいスピードでこっちに走ってくる!

    早く立ち上がらないと!

    手に力を入れて足を地面につけて…!


    苗木「っ!?」


    右足首に痛み…

    ひねったのか!

    くそっ!早くしないといけないのに!


    苗木「うぉぉぉぉぉお!!!!!」


    よし、何とか立ち上がった!

    後は走るだけ…


    江ノ島「…」

    苗木「!」ビクッ


    もう…ボクの隣に……!


    江ノ島「絶望的ぃ…」ニタァ…
  7. 7 : : 2015/01/01(木) 15:46:56

    …おしまいだ

    ボクはここで…コロされる…


    苗木「…」

    江ノ島「…」


    江ノ島さんは

    ゆっくりと右腕を上げた


    苗木「…ぁ」


    ダメだ…足がすくんで動けない…


    江ノ島「…」


    ニタニタと笑っている顔が気持ち悪い

    ボクはこんな奴にコロされるのか…


    そんなボクの心境を知ってか知らずか

    江ノ島さんは突然真顔に戻った




    瞬間


    上げていた右腕をボクに向かって振り下ろしてきた

    …鋭い爪

    こんな爪で八つ裂きにされたら…!


    ボクは反射的にインスタントコーヒーを持っていた右手に力を入れた












    …待てよ?

    もしかしたら、まだイキキルことができるかも…

    …このインスタントコーヒーの瓶を使って!


    苗木「…ごめん、十神クンッ!


    懺悔と共にボクは右手に持っていたコーヒー瓶を江ノ島さんに向けて全力で投げた!

    ボクの予想通りに動いてくれ…!


    ガシッ


    江ノ島「絶望的ぃ〜」


    よし、右手でキャッチした!

    今の内にッ!!!


    苗木「ぉぉぉぉお!!!!!」

    江ノ島「!」


    自動ドアまで全力で走る!


    あと8m…!


    江ノ島「絶望的ぃぃぃぃぃい!!!!!」


    追ってきた!


    苗木「おぉぉぉお!!!!!」


    右足首の痛みなんて今は知るか!

    イキキルために…!!!


    江ノ島「絶望ぉぉぉお!!!」
  8. 8 : : 2015/01/01(木) 15:59:02

    あと少し…!


    苗木「よしっ抜け……」


    この時ボクは

    これが本当の絶望なんだと思った


















    江ノ島「絶望…」

    江ノ島「絶望的ぃ!」

    江ノ島「ぜっつぼー!」

    江ノ島「絶望的ぃ…」

    江ノ島「絶望的ぃぃい!!!!!」


    …そこには

    デパートを囲う江ノ島さんの群れ

    どうして!?

    来た時はこんなにいなかった…


    苗木「…まさか!」


    隠れていた!?

    ボクを逃げ出せたという希望から絶望へと叩き落とすために…!?


    苗木「くそ…」


    ボクは地面にへたれこんだ

    本当の本当に…終わりだ


    江ノ島「…絶望的♡」


    後ろから声が聞こえる…

    さっきデパートにいた江ノ島さんか…

    もう諦めたよ…


    江ノ島「絶望ぉ…」


    あぁ…コロされるのか

    今度こそ


    目の前には大量の江ノ島さん

    そして後ろにも江ノ島さん

    逃げ道は…ない


    あぁ、ごめんねみんな…

    ごめんね十神クン…


    さようなら…


    江ノ島「絶望ッ!!!」


    後ろから風を切る音がした

    きっとさっきのように江ノ島さんがボクに爪を立てようと腕を振り下ろしたのだろう…
















    …あれ?

    だとしたらなぜボクは生きているんだ?


    ドサッ


    後ろから何かが地面に落ちる音がした


    苗木「!?」


    ボクは後ろをとっさに振り向いた

    そこには…


    「全く…
    心配だから後をつけていたらこんな面倒なことに巻き込まれるとはな…」


    江ノ島さんが倒れていた


    「感謝しろよ苗木?
    この俺が貴様をこの窮地から救ってやる」


    そして…


    十神「さあ…かかってこいよ…
    プランクトン共」


    十神クンが立っていた













    ただし、全身フリフリのスカートに可愛らしいステッキを所持して
  9. 9 : : 2015/01/01(木) 16:09:18


    そこからは凄まじいものだった


    全身フリフリで可愛らしいステッキを手に持った十神クンが次々に江ノ島さんを倒して行った

    倒し方もまた恐ろしく、ステッキ先端から黄金色のビームが出ていた

    それに当たった江ノ島さんは倒れ、いずれ消えていった

    そう、消えていったのだ

    いかなる武器でも倒すことができなかった江ノ島さんが

    このステッキから放たれるビームでは消えていったのだ


    …頭が追いつかない


    十神「ふぅ…片付いたか…
    …大丈夫か?怪我はないか?」

    苗木「」

    十神「おい、苗木?」

    苗木「」

    十神「しっかりしろ苗木!」

    苗木「」

    十神「苗木ぃぃぃぃい!!!!!!」
























    …ここは?

    見知らぬ天井…いや、知ってる

    これはボクの部屋の天井だ


    苗木「…っ!」


    起き上がろうとして右足に痛みを感じた

    …そうか

    ボクはデパートで江ノ島さんから逃げようとして囲まれて…


    十神「気がついたか…」


    全身フリフリの十神クンに助けられたんだっけ…
  10. 10 : : 2015/01/01(木) 16:23:23

    苗木「あの…十神クン…
    さっきのって…」


    ボクは聞かずにはいられなかった

    そりゃあそうだ

    男子の十神クンがスカート…しかもあんなフリフリのスカート履いていたのだ

    気になって仕方が無い


    十神「苗木…落ち着いて聞け」

    苗木「うん…」

    十神「俺は…」

    苗木「…」

    十神「俺は……」

    苗木「…」

    十神「………………魔法少女なんだ」

    苗木「は?」


    何言ってんだこのかませメガネ


    十神「ある日俺は妖精と契約し、江ノ島を倒す術を身につけた
    しかし、江ノ島を倒すためには魔法少女へと変身しなければならないのだ!」


    十神クンは頭がおかしくなったのかな?


    十神「お前も見ただろう!?
    俺がステッキからビームを放っている姿を!」


    あぁ、そう言えばそんなことをしていたな

    …え?


    苗木「あれ夢じゃないの!?」

    十神「夢だったらお前の足が負傷している理由に説明がつかないだろう…
    全て現実だ…」

    苗木「そ、そうなんだ…」


    それなら…


    苗木「と…十神クンは…
    ホントにあんな格好を…?」

    十神「不本意だがな…」

    苗木「ふぁー!」

    十神「!?」

















    とにかく、ボクは十神クンが魔法少女だという事実を何とか受け入れることができた


    苗木「ねえ、他に魔法少女はいないの?」

    十神「いたらとっくに江ノ島なぞ根絶やしにしている…
    …俺1人だ」

    苗木「そっか…
    大変なんだね…」

    十神「まあな…」
  11. 11 : : 2015/01/01(木) 16:38:03

    「そっかぁ!大変なのか!」


    十神「!?
    誰だ!?」

    「え、私?
    私はねぇ…まあ、今は名乗れないかな」


    誰だ?

    フードをかぶってて顔がよく見えない…


    十神「江ノ島を世界中にバラまいた人間か?」

    「だとしたらどうする?」

    十神「どうやってこの学園に入った!」

    「秘密〜」

    十神「一々癇に障るやつだ…」

    苗木「あっ…」


    さっきのステッキ…


    十神「苗木…逃げろ」

    苗木「え?」

    十神「聞こえなかったか!
    逃げろと言ったんだ!」

    苗木「う、うん…!」


    ボクは言われるがままに逃げた

    そして、なるべく遠くがいいだろうと思い、学園を後にした……


















    十神「…苗木にこんな姿は見せられないらな」

    「へぇ…君が魔法少女か」

    十神「不本意だがな…」

    「…」

    十神「ミラクルミラクル☆
    マジカルチェンジッ!」


    そして十神は光に包まれ…

    全身フリフリの魔法少女へと変身した


    十神「『魔法少女テンゴッド』
    貴様を消し去る者だ…覚えておけ!」

    「へぇ…」
  12. 12 : : 2015/01/01(木) 17:01:34
















    やっぱり心配だな…


    苗木「…学園に戻ろう」


    不思議と江ノ島さんはおらず、学園に戻るのもそこまで難しくなかった

    でも、学園に戻っても十神クンはいなかった…


    苗木「一体どこへ行ったんだろう…」


    外かな?

    と思い、ボクは正門を出た


    …すると

    江ノ島さんが目の前にいた


    江ノ島「絶望…」

    苗木「うわぁ…」


    逃げなきゃ

    そう思った時…


    「ちょーっと待ったぁぁあ!!!」


    苗木「!?」

    江ノ島「!」


    「苗木っち!詳しい話は後だ!
    オレと契約してくれ!」

    苗木「は、葉隠クン!?」


    そこには小さくて羽をパタパタさせている葉隠クンが…

    …んん?どゆこと?


    葉隠「なに言ってんだ!
    オレは妖精だ!
    とにかくオレと契約するんだ!
    じゃねぇと命がねぇぞ!」

    苗木「な、なに言ってんだよ!
    契約って…」


    契約…?

    確か十神クンが妖精と契約して魔法少女に…って言ってなかったか?


    葉隠「十神っちが負けた!
    んで敵に捕まったんだ!
    だから新しい契約者を探していた所に苗木っちがいた!」


    十神クンが負けた!?


    葉隠「単刀直入に言う!
    オレと契約して魔法少女になってくれ!!!」


    ウニ頭の妖精が叫んでいることは理解し難い物ではなかった

    実際、十神クンは魔法少女だったのだから

    …だったら

    ボクの答えは決まっている


    苗木「ボク…やるよ」

    葉隠「本当か!?」

    苗木「江ノ島さんを消さなきゃだし、十神クンも助けなきゃ…でしょ?」

    葉隠「よっしゃ!
    そうと決まればこれを使うべ!」


    すると、どこからかステッキが表れ、宙に浮いていた


    苗木「ステッキ…
    そうか、これは魔法のステッキだったのか!」

    葉隠「それを持って、変身の呪文を唱えるべ!」

    苗木「分かった!」


    ボクは言われるままステッキを手に取った

    そして変身の呪文を……


    苗木「ねえ、変身の呪文って?」

    江ノ島「絶望ぉおお!!!」

    苗木「うわ、江ノ島さん走ってきた!」

    葉隠「『ミラクルミラクル☆マジカルチェンジ』だべ!」


    江ノ島さんが目の前に…!

    ボクはギュッと目を閉じて無我夢中で呪文を唱えた!


    苗木「み、ミラクルミラクル☆マジカルチェーーーンジ!!!!」


    シャラララララン♪


    江ノ島「!?」


    体が光に包まれていく…

    …心地いい

    ずっと包まれていたいよ…

    …けど、今は

    目の前の敵を倒さなきゃ!


    そう決意した瞬間、包まれていた光は弾け飛んだ


    パンッ!












    さっきまで羽織っていたパーカーじゃない…

    フリフリの…衣装

    可愛らしいステッキ…

    そうかこれが……


    魔法少女


    苗木「『魔法少女マコピョン』が!
    お前の存在を消しちゃうゾ♡」

    葉隠(決め台詞がダサい!)
  13. 13 : : 2015/01/01(木) 17:21:59


    なるほど

    確かに動きやすくなっているみたいだ

    不思議と力が湧いてくるようだ


    江ノ島「ぜ、絶望的…」


    江ノ島さんも焦っているみたい

    …今が攻めどきだ!


    確か十神クンはビームを放っていた

    よしっ!

    ビーム出ろビーム出ろビーム出ろ…


    苗木「…あれ、何も出ない」

    江ノ島「?」

    葉隠「魔法の能力は人それぞれだ!
    ステッキを振ってみるべ!
    自分の魔法が発動すっから!」

    苗木「わかった!」


    ブンッ


    江ノ島「?」

    葉隠「あら?」

    苗木「…何も起きないけど?」


    ズァッ!


    〈 何 も 起 き な い け ど ? ]


    苗木「!?」

    江ノ島「!!!?」


    ボクが発した言葉が…具現化した!?


    苗木「ど、どういうこと!?」


    …あれ?

    今度は出てこない


    葉隠「…そうか分かったぞ!
    苗木っち!」

    苗木「なに!?」

    葉隠「ステッキをもう1度振ってみるべ!」

    苗木「わ、わかった!」


    ブンッ


    うわ、具現化した言葉が江ノ島さんの方にすごい速さで飛んでいってる!

    すげぇ!


    江ノ島「!?
    …?
    ……は?」


    あ、江ノ島さんに当たった


    BREAK!!!


    江ノ島「絶望的ぃぃぃい!!!!」


    パァンッ!!!


    …江ノ島さんが弾けた


    葉隠「やっぱり!すげぇ当たりだ!
    苗木っちの魔法は『ロンパ』だべ!」

    苗木「…ロンパ?」
  14. 14 : : 2015/01/01(木) 17:48:48
    苗木「ロンパって?」

    葉隠「伝説の魔法少女しか授かることができなかった魔法だべ!
    詳しくは分かんねぇけど、アンチ絶望の力を1番多く備えた魔法らしい!」

    苗木「アンチ絶望?」

    葉隠「絶望を消し去ることができる力…それが『アンチ絶望』だべ!」

    苗木「へぇ〜…」

    葉隠「魔法っつうのは、アンチ絶望の力を放出する現象のことを言うんだ!
    世界中にワラワラいる江ノ島っちは絶望で形成されているから、魔法でしか倒すことができねぇんだ!」

    苗木「なるほど…」

    葉隠「何にせよ、苗木っちが魔法少女になってくれてよかった!」

    苗木「どういたしまして
    …で、葉隠クンだよね?」

    葉隠「は?
    ちげぇぞ?オレは妖精だ」

    苗木「まあ、見た目はちびっこいから葉隠クンではないんだろうけどさ…
    …顔がもろ葉隠クンだよね」

    葉隠「んー…
    なら葉隠でもいいべ!」

    苗木「あ、なんかごめんね」

    葉隠「いいんだいいんだ!」

    苗木「そういえば、なんでボクのこと知ってるの?」

    葉隠「十神っちの胸ポケットにいつもいたからな!
    みんなのことはよく知ってんぞ!」

    苗木「なるほど」

    葉隠「今は十神っちとの契約を無理矢理解除されちまってんけどな…」

    苗木「そうだ!
    十神クンは今どこに?」

    葉隠「いや、それはオレにも分かんねぇ…
    だが、場所は2つ候補がある」

    苗木「そこって?」

    葉隠「ジャバウォック島と塔和シティだ」

    苗木「…塔和シティって近くない?」

    葉隠「でも、そこに敵のアジトがあるっつう情報はリークされてんのよ」

    苗木「へぇ〜」

    葉隠「まあ、何にせよこれからよろしくな!
    一緒に世界を救うべ!」

    苗木「あ、うん!」


    ボクは葉隠クンが差し出してきた右手に人差し指で応えた
  15. 15 : : 2015/01/01(木) 17:52:55



    こうして、ボクの魔法少女としての物語が幕を開けていく

    待っててね十神クン…

    絶対に助け出すから!









    【Chapter1 〜結局、女装男子〜】

  16. 16 : : 2015/01/01(木) 21:05:39


    〜希望ヶ峰学園 苗木の部屋〜


    苗木「…というわけで、ボクは旅に出ることにするよ」


    妖精である葉隠クンと契約を交わした後、ボクは学園にいるみんなに事情を説明した


    山田「魔法少女…ですか
    にわかに信じ難いですが……」

    不二咲「でも、苗木くん1人で大丈夫なのぉ?
    ボクたち不安だよぉ…」

    苗木「いやぁ…
    みんなを危険な目に遭わせるわけにはいかないし…
    それに…魔法少女の時の格好を見られたくないし……」

    舞園「私は見たいからついて行きたいんですけどねぇ…」ボソッ

    苗木「え、なんか言った?」

    舞園「いいえ、なんでも」ニコッ

    朝日奈「私たちは苗木の意見を尊重はするけど…
    やっぱり1人は心配だよ…」

    苗木「ありがと、朝日奈さん…
    だけど、いざとなった時にボクがみんなを守れる自信がないんだ…」

    朝日奈「そっか…
    私たちはついて行っても何もできないよね…」

    苗木「…ごめん」

    霧切「こればっかりは仕方ないわね…
    頑張って世界を救って頂戴」

    苗木「うん、分かったよ!」

    葉隠「何とか説得できたな!」ボソッ


    ボクは静かに頷いて、葉隠クンに応えた
  17. 17 : : 2015/01/01(木) 21:56:23

    今日、ボクは旅立つ

    この荒れた世界を救うために


    ちなみに、江ノ島さんは常時造られているらしい

    どうりで日に日に増えるわけだ

    と同時に、江ノ島さん製造機(仮)は日本のどこかにあるらしい

    これは葉隠クン情報だから真偽は分からないけど、見つけたらぶっ壊そうと思っている


    それと、江ノ島さんを造って世界をこんなにしたのは複数人だそうだ

    中々骨が折れる旅になるかもしれない

    気を引き締めないと!













    〜希望ヶ峰学園 正門〜


    苗木「それじゃ、行ってくるよ!」

    不二咲「気をつけてねぇ!」

    山田「苗木誠殿の魔法少女姿、見たかったですなぁ…」

    舞園「本当に行ってしまうんですね…」

    朝日奈「いってらっしゃーい!」

    霧切「無理は禁物よ?」

    苗木「うん、分かってるよ」


    …よし、行こう


    葉隠「よし、行くべ!」ボソッ

    苗木「じゃあね!」


    そうしてボクは希望ヶ峰学園を後にした
  18. 18 : : 2015/01/01(木) 22:35:46



    苗木「とりあえず、塔和シティに行かなきゃだね」

    葉隠「だな!」


    背中の羽をパタパタさせながら葉隠クンは同意した


    葉隠「普通に行くんならそんなにかかんねぇんだろうけど…
    行くとこ行くとこ江ノ島っちばっかだもんなぁ…」

    苗木「そうだね…」


    そう、ボクたちが歩いている周辺には常に江ノ島さんがいる

    堂々と歩いているのに、江ノ島さんたちは襲ってこない

    …おかしいな


    苗木「ここまで堂々としてるのに襲われないのは変じゃない?
    普通だったら襲われるよね?」

    葉隠「なんだ?
    苗木っちは襲われたいんか?」

    苗木「そういうわけじゃないけどさ…」

    葉隠「…ん!
    苗木っちがそんなこと言うから目の前に江ノ島っちが立ちはだかってんぞ!」

    苗木「え、マジか」

    江ノ島「絶望…」


    江ノ島さんのそのひとことを合図にしてかは分からないけど、さっきから周りにいた江ノ島さんもこっちに集まってきた

    …囲まれた


    苗木「これは…戦闘だよね?」

    葉隠「そりゃな」

    苗木「はぁ……
    まあ、まだ魔法に慣れてないし!
    いっちょやりますか!」


    ボクは高らかに宣言し、ステッキを出現させ、唱える


    苗木「ミラクルミラクル☆マジカルチェンジ!」
  19. 19 : : 2015/01/01(木) 23:23:34

    シャララララ♪




    こうして魔法少女に変身したボクは、全方位囲まれているこの状況をどう打開するかを考え始める


    苗木(…正面突破?
    いや、できれば江ノ島さんは全員倒しておきたいな)

    苗木(…考えてたことを試してみるか)

    苗木「『魔法少女まこぴょん』が!
    お前の存在を消しちゃうゾ♡」


    決めゼリフを言いながらステッキを振る


    ブンッ


    今度はさっきよりも大きな声で!


    苗木「どけ!!!」


    シュゥゥゥウ!!!


    〈 ど け ! ! ! ]


    苗木「やっぱり!」


    具現化する文字の大きさは声の大きさに比例するんだ!


    苗木「いっけぇぇえ!!!」


    ブンッ!!!


    そして具現化した文字が打ち出されるスピードは!


    バシュウッ!!!


    ステッキを振り下ろす速さに比例する!


    葉隠「なるほどなぁ…」


    江ノ島「!」


    ガスッ


    ボクの目の前にいた江ノ島さんにヒット!

    まず1人!


    …と思ったら


    江ノ島「絶望ッ」サッ


    あれ?消えない…

    左にステップした?

    …道をあけたのか?


    江ノ島「!?」ドクンッ


    パァンッ!


    消えた…

    消えるまでにタイムラグがあった…

    …考えろ

    どうして言葉が当たった江ノ島さんはしばらくして消えた?

    最初に倒した江ノ島さんとどう違う?

    なぜ道をあけた…?

    考えろ…





















    苗木「…そうか、分かったぞ!」
  20. 20 : : 2015/01/02(金) 00:43:53
    苗木「この仮説なら…いける!」


    ブンッ


    ステッキを振り下ろして!


    苗木「誘爆!!!」


    シュゥゥゥウッ


    〈 誘 爆 ! ! ! ]


    苗木(この仮説が合っているなら…!)

    苗木「いっけぇぇぇえ!!!!」


    ブンッ!!!


    バシュウッ!!!


    ボクの右斜め前の江ノ島さんを狙う!


    江ノ島「ぜ、絶望的ッ!」


    ガスッ


    苗木(よし、ヒットした!)

    江ノ島「!?」ドクンッ


    カッ


    パァンッ!!!


    そして、ここからだ!


    江ノ島「!!?」


    パァンッ!!!

    パァンッ!!!

    パァンッ!!!

    パァンッ!!!

    パァンッ!!!


    葉隠「何が起こってんだ!?
    最初に消滅した江ノ島っちから、伝染するように江ノ島っちたちが消え始めたぞ!」

    苗木「やっぱり!
    仮説は立証された!」

    葉隠「どういうことだ?」

    苗木「ほら、この戦闘で一番初めに消えた江ノ島さんのこと思い出せる?」

    葉隠「あー、謎に左ステップした奴か」

    苗木「なんで左にステップしたんだろうって考えてたんだ…
    そしてね、気づいたんだよ!」

    葉隠「何をだ?」

    苗木「左にステップした理由!」

    葉隠「ほー!
    苗木っちは頭がいいな!
    オレにはさっぱり分からんぞ!」

    苗木「この戦闘でボクが具現化させた言葉は『どけ』だったよね?」

    葉隠「おう」

    苗木「江ノ島さんは、どけって言われたからどいたんだ!」

    葉隠「…どういうことだ?」

    苗木「つまり、具現化した言葉によって相手に作用する場合もあるってこと!
    たった今江ノ島さんたちが『誘爆』してるようにね!」

    葉隠「なるほどな…」

    苗木「初めての戦闘の時の『何も起きないけど?』は相手に作用する系ではないからね…
    アンチ絶望が働いただけだったから分からなかったけど…」

    葉隠(苗木っち…もう自分の魔法を理解してきてやがる…
    こいつはとんでもない魔法少女になるかもしんねぇ…!)


    苗木「…っと
    話してる間に全員消滅しちゃったみたい」
  21. 21 : : 2015/01/02(金) 11:06:22

    江ノ島「…絶望ぉぉぁお!!!!」

    苗木「うわ、まだ一体残ってた!
    なんか怒ってるし!」

    葉隠「とりあえず倒すべ!」

    苗木「分かってる!」


    ブンッ


    苗木「消えろ!!!」


    ズァッ!


    〈 消 え ろ ! ! ! ]


    後はこれを当てるだけ!


    ブンッ!!!


    苗木「これがラストだよね!」

    葉隠「多分な!」


    バシュウッ!!!


    江ノ島「…」


    スッ


    苗木「!?」

    葉隠「よけただと!?」

    苗木「確かに…
    この魔法は当たれば終わりだけど、当たらなければ勝てない…」

    江ノ島「…絶望的ッ!」


    ダッ!


    葉隠「こっち来たぞ!」

    苗木「まずいっ!」

    江ノ島「絶望ぉぉぉお!!!!」


    ブォンッ


    苗木「え」

    葉隠「どういうことだ……」


    さっきまで目の前に江ノ島さんがいたはずなのに…


    苗木「…どうして江ノ島さんが消えた?」

  22. 22 : : 2015/01/02(金) 16:39:47

    「それは我の魔法によるものだ」

    苗木「その声は!」


    苗木「大神さん!!!」

    大神「久しいな、苗木よ…」

    苗木「誰!?」

    大神「いや、大神だが…」


    魔法という単語が出た時点でフリフリなのは察していたけど…

    誰だこのスタイル抜群の美少女!!!

    ボクの知ってる大神さんってもっとこう…たくましいっていうか…


    大神「あぁ…外見か…
    …そう言う苗木も……こう、あれだな
    …可愛らしい格好をしているな?」

    苗木「え?」


    ボクは本気でこの時意味が分かっていなかった


    大神「フリフリスカート…
    ま、まぁ…似合っておるぞ?」

    苗木「あ」


    ボクも大神さんと同じような格好をしていることをすっかり忘れていた

















    とりあえず変身を解除したボクは大神さんに事情を聞くことにした


    苗木「江ノ島さんを滅する旅に出るとか言ってずいぶん経つね…
    朝日奈さんすごく寂しそうだったよ?」

    大神「すまぬな…
    あれから我は世界各地を飛び回っていたんだが、今日久々に日本に戻ってきたのだ」

    苗木「そうだったんだ…
    …あと……何だか女性らしく?なったね???」

    大神「魔法少女になるために妖精と契約したら外見が昔の様に戻ってな…
    筋力などはそのままなのだぞ?」

    苗木「その細腕で?」

    大神「試してみるか?」

    苗木「遠慮しておきます」


    そんなことしたら、生きておけるかも疑わしいよ…


    苗木「で、大神さんはいつから魔法少女に?」

    大神「ひと月ほど前からだ。
    江ノ島を駆除しようとアフリカに向かったのだが、そこで偶然妖精に会ってな」

    苗木「へぇ〜
    ん?その妖精は?」

    「ここにいるぞ!」


    と声がする。

    しばらくして、大神さんの肩に何か乗っていることにようやく気づくことができた


    苗木「…石丸クン?」

    石丸「違う!僕は妖精だ!」

    葉隠「あぁ!お前!」

    石丸「ん!君は!」

    葉隠「久しぶりだなぁ〜!
    元気してたか!?」

    石丸「ハハハハハ!
    僕はいつでも元気だぞ!
    そういう君は?」

    葉隠「いやー、中々契約者が見つかんなくてよ…
    焦ったぜ全く…」


    どうやら知り合いだったようだ


    大神「む?
    それが苗木の妖精か?」

    苗木「うん、そうだよ」

    大神「むぅ…」


    大神さんは何か腑に落ちないっぽかった


    苗木「あ、そう言えば!
    大神さんの魔法って…?」

    大神「あぁ、説明せねばならぬな…
    我の魔法は『瞬間移動』だ」
  23. 23 : : 2015/01/02(金) 19:44:59
    苗木「瞬間移動…?」

    大神「瞬間移動をさせたい人物、どこへ飛ばすかをイメージし、ステッキを振るのだ」

    苗木「すごい!」

    大神「ただ、この魔法にも融通の効かない点はあってな…
    我、または我の視野にいる人物にしか魔法は使えない」

    苗木「それでも十分と思うけどなぁ…」

    大神「また、飛ばせる場所は我が1度でも見たことがある場所に限る…
    例えば、宇宙には飛ばせないな」

    苗木「それは欠点に入るかもね…」

    大神「ちなみに、さっきは江ノ島を溶岩に飛ばした」

    苗木「え!?
    大神さん溶岩見たことあんの!?」

    大神「まあな…」

    苗木「すげぇ……」

    大神「対したことではない…
    苗木の魔法はどの様なものなのだ?」

    苗木「あぁ、ボクの魔法は『ロンパ』って言うんだってさ」

    大神「ロンパ?」

    苗木「ステッキを振った後ボクが発した言葉が具現化するっていう魔法かな」

    大神「ほう…」

    苗木「具現化した言葉は、もう一回ステッキを振ったら飛んでいくんだ」

    大神「そしてそれを相手にぶつける…と」

    苗木「まあ、そういうことだね」

    大神「中々特殊な魔法だな」

    苗木「葉隠クン…ボクの妖精曰く『当たり』だそうだよ」

    大神「そうなのか…」

    苗木「ボクの魔法ってさ、戦うための魔法っていう印象を受けるんだよね…」

    大神「我はサポートの魔法だな」

    苗木「……あ、大神さん」

    大神「どうした?」

    苗木「塔和シティ…行ったことある?」
  24. 24 : : 2015/01/02(金) 20:45:13

    〜塔和シティ 前〜


    苗木「塔和シティ目前!
    近いとはいえあまり疲れたくなかったから良かったよ!」

    大神「この魔法を移動方法として考えたことがなかった…
    盲点だった…」


    そう、大神さんの魔法で塔和シティの前まで瞬間移動してきたんだ!

    …してきたんだけど


    苗木「ところで、何このハンパない数の江ノ島さん!!!」

    大神「確かにな…
    ここまで江ノ島が群がっているのを見るのは初めてだぞ…」

    苗木「だよね、ボクもだよ…」


    デパート前で囲まれたことがあったけど…

    これはその比じゃない

    江ノ島さんが道路だった場所に溢れかえっている

    うわ…気持ち悪くなってきた


    大神「となると、塔和シティに『クリエイトマシン』があるのは本当だったのか……」

    苗木「くりえいとましん???」

    石丸「江ノ島くんを造り出しているとされる装置のことだ!」

    苗木「あぁ!
    さっき葉隠クンが言ってた!」

    葉隠「となると、やっぱ十神っちがいんのはジャバウォック島か…」

    大神「む?
    どういうことだ?」

    苗木「あ、説明すんの忘れてた」


    ボクはボクが魔法少女になった経緯を、大神さんと石丸クンに説明した


    大神「なるほど…
    それで苗木は旅に…」

    苗木「そうなんだよ…」

    大神「ならば、はやくジャバウォック島に行かねばならぬな」

    苗木「うんっ!
    まずは塔和シティを制圧しよう!」

    大神「うむ、そうだな」


    そう言いながらボクと大神さんは塔和シティに歩を進めた…
  25. 25 : : 2015/01/02(金) 21:02:33

    苗木「あ、大神さんストップ」

    大神「む?何故だ?」


    ボクはステッキを取り出して…


    苗木「ミラクルミラクル☆マジカルチェンジ!」


    シャラララン♪


    苗木「よし、変身完了!」

    大神「で、どうするのだ?」

    大神(フリフリのスカートが普通に似合っている…)

    苗木「まあ、見ててよ!」


    さっきみたいにしたら江ノ島さんの殲滅は簡単だ!


    ブンッ


    苗木「誘爆ッ!!!」


    ズァッ!


    〈 誘 爆 ッ ! ! ! ]


    大神「おぉ…!
    本当に具現化した!」

    苗木「まあ、見ててよ!
    そしてステッキを…」


    振り下ろす!


    ブンッ!!!


    バシュウッ!!!


    江ノ島「絶望ッ!」ガスッ!

    苗木「よし、当たった!」

    大神「おぉ…」

    苗木「そして…」


    江ノ島「!!!」ドクンッ


    BREAK!!


    江ノ島「絶望ぉぉぉお!!!!」


    パァンッ!!!


    大神「破裂した…!」

    苗木「そしてその消滅は…
    伝染する!」


    パァンッ!!!

    パァンッ!!!

    パァンッ!!!

    パァンッ!!!

    パァンッ!!!

    パァンッ!!!

    パァンッ!!!

    パァンッ!!!

    パァンッ!!!


    石丸「どういうことだ!?
    江ノ島くんが次々に消えてゆく!」

    苗木「へへっ、ボクの魔法には色々な使い方があるみたいなんだ!」















    大神「なるほど…
    影響を与える魔法か…」

    苗木「具現化した言葉…
    これからは『コトダマ』と呼ばせてもらおうかな」

    大神「コトダマ…
    良いのではないか?」

    苗木「ありがと!
    …で、まあコトダマによって相手に与える影響が違うのは実証済みなんだ!」

    大神「中々素晴らしい魔法だな…」

    苗木「なんか照れくさいなぁ…」

    大神「すまぬ…
    正直話を聞いていた段階ではお主の魔法を侮っていた…」

    苗木「あはは…
    まあ、そりゃそうだよね…」

    大神「しかし…
    そうなるとその魔法は大きな可能性を秘めているな」

    苗木「そうなんだよね…
    まだまだボクも使い始めたばっかだから発展途上なんだよね…」

    大神「魔法というのは難しい物だな」

    苗木「そうだね…」
  26. 26 : : 2015/01/03(土) 14:40:48

    〜塔和シティ〜


    苗木「…さて、クリエイトマシンはどこにあるかな……」

    「俺知ってるぞ」

    苗木「え、本当?
    …って、誰!?」

    「んだよ…弱そうな奴らだな…」

    大神「姿を表したらどうだ?」

    「やだね…
    俺は遠距離からの攻撃が得意だからな…」

    苗木「…ってことは敵か」

    大神「面倒なことになったな…」

    「江ノ島だけが世界をこんな風にしたと思うなよバーカ!」

    大神「江ノ島の裏に潜む存在か…」

    苗木「だったら尚更話を聞かなきゃだね!」

    大神「敵は遠距離から攻撃を仕掛けてくる…
    十分気を付けろよ…」

    苗木「分かってる!」

    「おおっと…
    オレと戦うつもりか?
    んなら名乗っておこうかな…?
    の方がいいよな多分…」

    苗木「ボクは苗木誠!」

    大神「大神さくら…」

    「…!
    そうかお前ら…」

    苗木「?」


    桑田「オレは桑田怜恩!
    やるからには本気でいかせてもらうぞ!」

    苗木「望むところだ!」


    魔法をよく知らない状態での初めての対人戦…

    これがどれだけ不利な状況かを、まだボクは知らない
  27. 27 : : 2015/01/04(日) 12:42:45


    桑田「よっしゃまず一発目!」

    大神「…苗木!
    後ろから何か飛んでくるぞ!」

    苗木「え?」


    ボクは咄嗟に右にステップをしていた


    ビュンッ!!!


    苗木「……な、なんだ今の………!」

    大神「危なかったな…」

    桑田「チッ…
    まず苗木から殺ったと思ったんだけどなぁ…」


    速すぎて何が飛んできたのかも分からなかった!

    避けることができたのは大神さんのお陰だ…

    …もし避けることができていなかったら頭直撃だった

    あんな速度だ…確実に死んでいた!


    大神「だが…
    これで敵の場所は割れたな」

    苗木「…なるほど!」

    桑田「そんなヘマ俺がやらかすわけねぇだろが!」

    苗木「どういうこと?」

    大神「投げるだけが奴じゃないということだろう…」

    桑田「2投目行くぜ!!!」

    大神「…!
    右から来るぞ!」

    苗木「え、右!?」


    後ろにステップ!


    ビュンッ!!!


    やはり速い…

    けどそれより!!!


    苗木「どうして右から!?」

    大神「どういうことだ…?」

    桑田「教えるわけねぇだろアホが!」


    くそっ…

    敵の姿が見えなきゃボクの魔法は意味をなさない…

    それに大神さんの魔法も今の状況じゃ活用が難しい!


    苗木「どうすればいい…考えろ…!」
  28. 28 : : 2015/01/06(火) 23:30:23

    桑田「おいおい避けてばっかでどうにかなると思ってんのか………よッ!!!」


    ビュオッ!!!


    苗木「前から!?
    うおぁっ!」


    反射的にしゃがんでしまった…


    大神「苗木よ!
    左から来るぞ!!!」

    苗木「へっ!?」

    桑田「気づくのが遅ぇんだよぉ!!!」


    な…!

    あらかじめしゃがむことを予想して!

    違う方向から球が飛んできている!


    大神「くっ…!
    一か八か!」


    シュンッ!


    苗木「え…?」

    大神「我の瞬間移動だ…
    少しだけ場所を移動した」


    確かに…5cmほど右に移動している…


    苗木「ごめん…助かったよ…」

    大神「今のは仕方が無い…
    あまり気を落とすな」

    苗木「うん…」


    大神さんに頼ってばかりだ…

    ボクが解決策を考えないと……
  29. 29 : : 2015/01/10(土) 01:59:36


    大神「…答えを導くことを焦ってはならぬ。
    心を落ち着け、状況をもう一度確認してゆくのだ」

    苗木「うん…」


    桑田クンは人を殺せるレベルの豪速球を持っている…

    恐らくそういう魔法の類の何かだろう。

    …でも

    どうしてか全方位から球は飛んでくる…

    その理由を考えろ…



    桑田「どうしたよ苗木ぃ!
    前向きだけがお前の取り柄だろうが!
    もう諦めちまったのかァ!?」

    大神「…?」

    苗木「…!そうだ!
    大神さん!」

    大神「どうした?」

    苗木「ボクを真上に瞬間移動させて!」

    大神「…なるほどな。
    お主がやろうとしていることは理解できた…が。
    苗木よ…それではお主が無事では済まぬのではないか?」

    苗木「それについては考えがあるから!」

    大神「了解した…!」

    桑田「何話してるか知らねぇけど!
    お前らは何もできねぇっつーの!」

    大神「ヌゥッ!!!」ブンッ

    桑田「んだよステッキ振ってよ…
    それでどうにかなると…」


    シュンッ


    桑田「!?
    苗木が消えた!?」




























    苗木「うーわ高っ!!!」


    怖いよこれぇ!

    あ、でもバトってた周辺は上から見える!



    …!


    苗木「そういうことか…!」
  30. 30 : : 2015/01/14(水) 22:58:06

    苗木「おいっしょぉぉお!!!!」


    ブンッ!!!


    ステッキを振って…

    とびっきり大きな声で!!!




    苗木「ボクは頑丈だぁぁぁあ!!!!!!!」




    ズァッ!!!



    〈 ボクは頑丈だぁぁぁあ!!!!!!!]




    苗木「あとはコトダマに当たれば!」


    魔法の効果でボクは頑丈になる!


    はず!




    ガスッ



    当たった…!


    苗木「……うぉお!?」











































    ヒュゥ ウ ウ ウ ウ ウ ウ



    桑田「あん?
    なんか空から…?」

    大神「降りてきたか…」




    苗木「うわぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」





    桑田「な、苗木!?」





    ドォォオンッ!!!




    苗木「……おぉ…無傷だ…」

    大神「よく戻ってきた…
    しかし…あの高さから落ちてどうして無傷なのだ?」

    苗木「あぁ、ボクの魔法だよ!
    コトダマを自分自身に放てば、ボクにも効果があるんじゃないかと思ってさ!」

    大神「なるほどな…」



    苗木「さてと……
    桑田クンッ!!!」

    桑田「な!なんだよ!」

    苗木「キミの能力は見破った!」

    桑田「んなっ!!?」
  31. 31 : : 2015/01/14(水) 23:06:08

    苗木「ボクは勘違いしていたんだ…
    キミは『豪速球を投げることができる』能力だと思っていた…
    けどそれは違った!」

    苗木「上空からだと隠れていてもよく見えたよ!」



    苗木「9人の桑田クンがね!!!」



    大神「なんだと!?」

    苗木「つまり、桑田クンの能力は『分身』だったんだ!
    豪速球は能力でも何でもなく、桑田クンの身体能力だったんだよ!」

    大神「あの球が人間業…だと?
    にわかには信じ難い…」



    桑田「大正解!!!!」


    苗木「!?」




    ゾロゾロゾロ…





    苗木「…」

    大神「…」

    桑田「オレの魔法もバレちまった所で…」



    桑田×9「さあ!
    第2ラウンドといこうじゃねぇか!!!」



    苗木「…!」

    大神「…」


    ボクと大神さんは、警戒してステッキを構える…


    苗木(絵面が…ひどい…
    笑いを堪えるのに精一杯だ…!)

    大神(…笑うな…笑うな…笑うな…)
  32. 32 : : 2015/01/31(土) 16:48:40
    桑田「ちなみに!
    俺の魔法は正確には『分身』じゃあねぇ!」

    苗木「なんだって!?」

    桑田「この人数…
    何か連想することはできねぇか?」

    苗木「…9人?」

    大神「……!
    野球をする人数か!」

    桑田「当たり!
    俺の魔法は『野球』!」

    苗木「…それって能力なの?」

    桑田「自分に関わることに限り、野球をする上で足りない物は全て具象化できる!」

    桑田「例えばだなぁ…」



    パッ‼︎


    苗木「な!?」


    何もない所から金属バットが!


    桑田「な?
    分かってくれたか?」


    バットだけじゃない!

    いつの間にかヘルメットを被ってる!


    大神「なるほど…
    …中々手強い能力だな……」

    桑田「ま、解説もした所で!
    今度こそ第二ラウンドと行こうぜ!」

  33. 33 : : 2015/02/01(日) 17:34:49
    桑田「ほぉれ食らいやがれ!」



    ビュッ!!!



    苗木「こんな至近距離から投げたら避けられな…!」



    あれ?

    ボクを避けていったぞ?


    苗木「なーんだびっくりした…」

    桑田「あちゃ〜…
    外しちまったか……」















    桑田「なんてな」












    大神「苗木よ!
    すぐに避けろ!!!」

    苗木「え?」





    カキィィインッ!!!




    桑田「わざと外したんだよバァァァアカ!!!!!!!!」




    ゴスッ!!!



    苗木「ぅあッ!?」

    大神「!」



    頭を何か硬い物が直撃した

    そうか…

    桑田クンは9人いるんだった…


    ボクの後ろにいた桑田クンに投げた球を打たせたのか……!



    苗木「く………そ…!」


    脳が揺れる感覚。

    そして間も無く





    ドサッ





    ボクは地面に倒れこんだ。
















  34. 34 : : 2015/02/01(日) 17:43:40





























    ……あれ

    ボクは何をしていたんだっけ…



    「ったく…不甲斐ないなぁ…」



    苗木「え?」

    「不甲斐ないって言ったんだよ…」



    目の前には背の高いボクと同世代ぐらいの少年…


    苗木「…誰?」

    「ボクのことなんて別にどうだっていいんだよ…
    それよりもさぁ…
    超高校級の幸運が聞いて呆れるよ全く…」


    ダメだ…

    頭が混乱している…

    …夢なのかな?


    「確かに夢ではあるけど…
    ニュアンス的に少〜し違うんだよね…」

    苗木「え、ボク何も喋って…」

    「ほら、あれだよ…
    ボクは今キミの精神世界に介入してるから、キミの考えてることも筒抜けなんだよね」

    苗木「ナニソレイミワカンナイ」


    何を言っているんだこの人は…


    「とにかく、今の状況を説明するよ?」

    苗木「え、あ、はい」


    ボクは訳がわからないままに、少年の話を聞くことにした


    「目を覚ますと、キミは敵の本部に拘束されています」

    苗木「え」

    「そりゃあそうでしょ…
    大神さんの魔法は戦闘には不向きだし、なおかつ相手は複数人だったんだから…
    勝てるわけないじゃん」

    苗木「そっか…」


    確かにそうだ…

    不甲斐ないことこの上ない…


    「あー、やっと分かってくれた?
    まあ、そこでなんだけど…」

    苗木「?」

    「キミたちを助けてあげようと思ってさ」


  35. 35 : : 2015/02/15(日) 20:32:43

    苗木「助けるって…」

    「おっと、お目覚めの時間だ…
    間に合わないかな、うん間に合わない」

    苗木「え」

    「自力で頑張ってね」

    苗木「えー…」































    パチッ












    苗木「ん…」


    ここは…牢獄?



    ーーーてのは冗談なんだけどねーーー



    苗木「!?」


    頭の中に直接声が…!



    ーーーやだなぁ、これも魔法の一種だよーーー



    苗木「ま、魔法?」



    ーーーそ、魔法…キミが使用している物となんら変わりなく魔法ーーー



    苗木「あー…ってことはさ、とりあえずキミは今からボクのこと助けてくれるの?」


    ーーーそだよ〜、助けてあげなくもないねーーー



    苗木「ありがたいんだけどさ、大神さんってどこにいるの?」



    ーーーさあ?ーーー


    苗木「え?」



    ーーー大神さんのことは知らないなぁ?
    まあけど、キミは助けてあげるさーーー



    苗木「んな…」



    ーーー大神さんを救出するか否かは自分で考えてくれってことさーーー



    苗木「…」


    いや、本当なら助けすらなかったんだ…

    それを考えたらまだ状況は良い方…



    ーーーそうそう、そうだよね
    んじゃ、体貸してねーーー



    苗木「え」















    ドクンッ















    ???「…苗木クンの体
    中々しっくりくるなぁ…」


    さて、脱出してあげようかな…
  36. 36 : : 2015/02/21(土) 02:30:26












































    大神「…我はステッキ無しでも強いぞ?」

    ???「まあまあ、そうカッカしないでよ〜
    ちゃんと拘束も解いてあげるしステッキも返してあげるから………ね?」

    大神「………だったらせめて顔を見せてほしいものだな…
    そう深くフードを被られると顔の識別ができぬ…」

    ???「それしちゃったら全部おじゃんだからムリ!」


    大神「………
    …貴様とは敵同士だと言うのに初めて会った気がしない」

    ???「んー、それが私の魔法なんじゃない?」

    大神「ふっ…そうか…
    魔法とは便利な物だな…」

    ???「……
    まぁ、便利だとは思うよ?」



















































    苗木「…さぁ〜てと」


    まずはこの牢屋から出なきゃだなぁ…

    …あ、あとステッキも回収しないと苗木クンは戦えないかな?



    苗木「……やる事多いんだよなぁ」


    とりあえず…



    苗木「…アシストしてくれてるのかなぁ、あの人たちは」






























  37. 37 : : 2015/03/07(土) 21:02:43





























    「…あ、もしもし?
    十神ー?」

    十神「…誰かと思えば貴様か」

    「どんな感じ?」

    十神「ふんっ…
    俺を誰だと思っている…」

    「あ、じゃあ16人全員?」

    十神「…3人逃した」

    「えー!」

    十神「うるさいっ!
    少し黙れ!」

    「やだよ黙らないよ!」

    十神「………何の用だ」

    「え、進み具合の確認…」

    十神「貴様ではない…
    …目の前の奴に言ったんだ」









































    苗木「…お?
    結構簡単に牢屋から出れたや」


    あとはサーチした場所にあるステッキを…


    苗木「あれ?」

    桑田「…んぉ、苗木か?」

    苗木「えーっと……
    桑田クン…だっけ?」

    桑田「アポ?
    出たってことはそういう事じゃねぇのか?」

    苗木「……」

    桑田「………つーことはよ」

    苗木「…」






    桑田「おい誰だテメェ殺すぞ」



    苗木「…物騒だなぁ全く」


  38. 38 : : 2015/03/17(火) 15:11:44
    桑田「少なくともテメェは苗木じゃねぇ!
    だったらここで殺す!」


    苗木「やだなぁ…
    ボクは苗木誠だよ?」


    桑田「嘘つけ!だったら…!」





    苗木「だったら何?」





    桑田「っ!」


    苗木「なになに?
    ボクに何か秘密でもあるのかい?」


    桑田「…」


    苗木「…返事が無いねぇ
    ……なら」











    フォンッ


















    桑田「!?」



    消えた…?






















    苗木「何も情報をくれないキミとは」





    桑田「…!」



    後ろ……だと!?
























    苗木「ここでサヨナラだ」










































    桑田「ガハッ…!」






    オレは背中を貫かれた。


    そして、苗木に似た誰かは



    …オレの心臓を掴んだ。








    苗木「んー…
    キミの心臓は生き生きしてるねぇ…」



    桑田「て…めぇ……!」



    まだ大丈夫なはず…

    魔法を発動すれば勝機は…!


    苗木「はい、残念でした」






















    パァンッ!!!



















    桑田「…」


    すまねぇ…みんな…

    ま……



    バタッ





















    苗木「…まず1人……
    さて…ステッキ探さなきゃ…」
  39. 39 : : 2015/03/17(火) 15:28:04

    〜玉座的なのがある禍々しい部屋〜



    苗木「うへぇ禍々しい…
    …でもステッキここにあるはずなんだよなぁ」





















    〜1時間後〜



    苗木「…あれ、結構探してんだけどなぁ」






















    〜さらに2時間後〜




    苗木「絶対にここにないよ!
    というか、なんで3時間もここにいて誰にも見つからないんだよおかしいよ!」




    あ、分かったこれ罠だ。













    苗木「やっぱり!
    扉が開かなくなってるし!」


    ???「やっと気付きましたね…
    まさかこれが罠だと気づくのに3時間も消費するなんて…」



    苗木「……誰?」



    セレス「御機嫌よう、苗木くんではない誰かさん…
    わたくしはセレスティア・ルーデンベルク
    …セレスとでもお呼びください」


    苗木「よろしく、セレスさん…
    ボク一応苗木誠なんだけど」


    セレス「…」


    苗木「あー、キミも桑田クンみたいに信用しないんだね」


    セレス「信用などする訳がないでしょう…
    ……"敵"を」


    苗木「へぇ…」


    セレス「貴方は敵ですわ…
    …ですから滅んでくださいまし?」



    苗木「それは嫌かなぁ…
    …というか、3時間も探し物してて疲れてるからバトルとかやめとかない?」


    セレス「それに対しての答えは "No" ですわ」


    苗木「だよね…」



    セレス「一応、こんな集団でも仲間意識ぐらい
    はあるのです…
    …ですから、わたくしは貴方を許しません」


    苗木「……」






















    セレス「桑田くんの仇は取らせていただきますわ」


















  40. 40 : : 2015/05/16(土) 15:11:02
    苗木「なんだよカッコつけちゃってさ…」


    セレス「わたくしは本気です…」


    苗木「あはは…
    何言ってんだか…セレスさん?だっけ?」


    セレス「分かりますよ…」


    苗木・セレス「「本気で殺しにくるならなんで魔法を使っていないの?」」


    セレス「…」


    苗木「!?」


    セレス「わたくし、人の心を読むのが上手みたいでして」ニコッ


    苗木「……驚いちゃうなぁ全く」

    苗木(まあ、大して驚いてはいないけど)


    セレス「まあ、大して驚いてはいないけど」


    苗木「……流石に一言一句違わず当てられると気持ち悪いなあ」


    セレス「これが読心術というものです…」


    苗木「あぁ、そういえばボクの友達にもエスパーみたいに人の心を読んじゃう子がいてさ!」


    セレス「……」


    苗木「その子にセレスさん紹介してあげたかったなぁ…」


    セレス「………私が今どんな気持ちか分かってないですよね?」


    苗木「んー、平常心なんじゃないの?」


    セレス「はぁ…」


    苗木「…え、これバトルの流れ?」
































    セレス「ガッカリです!
    いい加減にしてくださいっ!!!」




    キィィィィィイン…



    苗木「なっ!!!?」



    耳にセレスさんの声が響く…!!!

    なんだ!?

    魔法の一種なのか!?


    …頭クラクラしちゃうなぁ

    というかフラフラだよ…



    苗木「っ…」


    セレス「耐えるんですね…
    …まあ、予想の範囲内ですけど」
  41. 41 : : 2015/07/12(日) 19:07:42


    苗木「……なんなんだよ全くさぁ…
    敵なのは分かるけどもっと優しくしてほしいよ…」


    セレス「これ以上苗木くんの口で喋らないでください…
    次はタダじゃ済ましませんよ?」


    苗木「怖いなぁ…」


    セレス「あなたのせいです…
    さっさと出て行ってくださいよ」


    苗木「それについては心外だよセレスさん?
    ボクは苗木誠そのものだよ?」



    セレス「…」


























    セレス「黙れ」


















    ズンッ…!




    苗木「ガハッ!?」





    腹に打撃!?

    いつの間に……


    ダメだ…一撃が重かった…


    …立ってられない!




    苗木「クッ…」



    セレス「あら?なぜプルプルしてるのですか?
    もしかして、立ってられませんか?」


    苗木「いいや、ごめんね…
    ちょっとお腹が痛くてさ…」


    セレス「へぇ…?」


    苗木「…そんな事よりさぁ
    ボクは分からないことが2つあるんだけど」



    セレス「…2つ」


    苗木「まず1つ目
    キミの魔法は音に関わるものだと思っていた…けれど違った」



    セレス「…」


    苗木「複数の魔法を扱える人間なんてこの世には存在できない…
    …例外を除いてね」


    セレス「…」


    苗木「声に作用し、なおかつ知らぬ間にボクに一撃を与えた…
    キミは一体どんな魔法を使ったんだい?」


    セレス「…」





    苗木「!?」












    …なんでボク吹っ飛んでんだ?












    ガンッ‼︎


    苗木「いっつ…!」


    柱に当たっちゃったよ…


    あー…全く見えなかった…


    いつの間にセレスさんはボクに一撃…













    セレス「……口ほどにもありませんわね」
  42. 42 : : 2015/07/25(土) 18:43:16
    続きまだかな~?
    期待です!
  43. 43 : : 2015/07/26(日) 14:57:18
    >>42
    期待ありです!


























    苗木(……やっぱり)


    セレス「どうしたのです?
    もう勝てないと思ったのですか?」







    苗木(セレスさん…さっきみたいにボクの思ってる事を読めていない)








    セレス「…あら、だんまりですか
    残念です…」


    苗木(おかしいと思ったんだ…
    思考を読めるならその事も交えて話してくるはず…
    少なくとも会った直後のセレスさん “は” そうだった…)


    苗木(とすると…どういうことだ?
    魔法を使ったら思考が読めなくなる?
    1つの魔法を使ったら直後に他の魔法は使えない…?)




    セレス「…」




    苗木(可能性としては…)






















    ドクンッ

















    苗木「…」




    え?




































    「なんで引き剥がされてんのかなぁボク」


    セレス「ふふふっ…
    何が起きたか分かっていない様子ですわねぇ」


    「ほんっとキミの魔法が分からないよ…!」


    セレス「まあ、これで偽物さんを苗木くんから引き離すことは完了しましたわ…」


    「作戦失敗かぁ…
    …じゃあ、ボクはさっさと退散させてもらうかな」






    セレス「そうはいきませんわよ?」







    「!?」



    …なんで…




    「「なんでこの一瞬で後ろに回りこんでるんだよ…!」」



    「!?」



    セレス「…良いところまで気づいてたから焦っちゃいましたよ」



    「そういう事ね…
    じゃあボクの予想は完全に外れてたってわけか…」



    セレス「?
    何か予想を立てていたのですか?」



    「キミの魔法についての考察だよ…」



    セレス「なるほど…
    …じゃあ、予想が外れて残念でしたわね」



    「ほんっと残念だよ…」


    セレス「そしてさようなら」


















    その時、ボクの意識は完全に闇に堕ちた


    理屈は分からないが、苗木クンとのリンクを無理矢理切られた



    いや、何となくは察せた



    そして思い知った。




    彼らには勝てない。




















  44. 44 : : 2015/08/12(水) 21:18:43
    セレスさん強すぎwww
  45. 45 : : 2015/08/27(木) 21:18:26






























    狛枝「…………ッハァ!!!」



    自分の身体に戻ってきた。


    狛枝「はぁ…はぁ…はぁ………」


    狛枝「…フゥ」



    息を整え、自分が本当に戻ってこられたのかを周囲を見て確認しようとする。


    すると、すぐ横に人影があるのが分かった。




    日向「…よう、狛枝
    お疲れ様」


    狛枝「っはは…本当参っちゃうよ…」


    日向「いや…狛枝が気を引いてくれたお陰で【魔導書】はあいつらから持ち出せた」


    狛枝「本当!?
    ……それはよかった」


    日向「ああ、本当に助かった」


    狛枝「…それで、ボクがあれほどまでに危険を冒して手に入れたモノなんだし」


    日向「ははっ…価値はお墨付きたぞ?」



    そう言って日向クンは【魔導書】を見せてきた。


    狛枝「へぇ…これが…
    見た目はただの本と変わんないけどなぁ…」


    日向「……」



    ボクの言うことなんて無視して、日向クンは【魔導書】を読みだした。


    あまりにも夢中になっているので、すこし不快になって文句を言う。



    狛枝「ちょっと日向クン…
    流石に読み込みすぎじゃない?」


    日向「…………コトネ…」


    狛枝「…?」


    日向「…『コトネ・マギア』」


    狛枝「なにそれ?」


    日向「天地を治めたっていう古の魔法使いの長のことだよ…
    この本に載ってた」


    狛枝「へぇ…
    するとそのコトネさん達が “ファースト” ってわけなんだね?」


    日向「ああ…そうなるな…
    ……お」


    狛枝「?」


    日向「…ははは……こいつは驚いたな」


    狛枝「どうしたんだい?」


    日向「古の魔法使い達の魔法が全て記載されている!
    これなら、さっき狛枝を瀕死に追い込んだやつの魔法も分かるぞ!」


    狛枝「あー……それについて
    …戦闘中に、ボク少し違和感を感じたんだよね」


    日向「…?」


    狛枝「…」
  46. 46 : : 2015/08/28(金) 20:37:54
    狛枝「日向クンみたいな例外を除いて、基本的に魔法ってものは1人につき1つ…だよね?」


    日向「ああ…まあそうだな」



    日向クンは【魔導書】を閉じ、こちらに視線を向けてきた。



    狛枝「それがセレスさん…
    ああ、敵側の1人なんだけどさ」


    日向「顔は分からないが…西洋人か?」


    狛枝「いや普通に日本人なんだけどね?
    で、そのセレスさんなんだけど…
    ボクには魔法を2種類以上扱ってるようにしか見えなかったんだよ…」


    日向「……というと?」


    狛枝「まず、セレスさんは2人いた」


    日向「…分身?」


    狛枝「次に、セレスさんは一瞬の内にボクに物理的な攻撃ができる」


    日向「…」


    狛枝「そして、セレスさんはどうやら読心ができる…
    それこそエスパーのように…ね」


    日向「なんだそれ…」


    狛枝「最後に、セレスさんは『音』に関係する魔法も扱えると考えてる」


    日向「…そんなこと、普通の人間にありえるか?」


    狛枝「だからボクも参ってるんだよ…
    全くトリックが掴めないっていうか…」





    七海「なにその子…チートキャラ?」




    日向「おお、七海!」


    狛枝「やあ、七海さん」


    七海「ただいま〜」


    日向「どうだ?
    何とかなったか?」


    七海「うん、手こずったけど…」


    日向「辛い仕事を任せてしまったな…」


    七海「……ううん、いいんだよ」


    狛枝「…」


    日向「……すまない、この話はやめよう」


    七海「そうだね…」


    狛枝「ははっ……うん…」


    日向「…それで、七海は今の聞いてどう思った?」


    七海「そうだね…
    とりあえず【魔導書】見れば何か分かるんじゃないかな?
    だってそれって攻略本みたいな物でしょ?」


    日向「それだ!
    よし、早速手がかりを探そう!」


    狛枝「って言っても、それ読めるの日向クンだけなんだけど」


    日向「……1人で頑張ります」


    七海「ふぁいとー」


    日向「おう……」












  47. 47 : : 2015/08/28(金) 20:45:47


    苗木をこちらの勢力に加える作戦は失敗に終わった。


    そして俺たちは仲間を多く失った。


    …こっちができた事と言えばそれはーーー











    【Chapter2 〜第3勢力?〜 】

  48. 48 : : 2015/08/29(土) 16:24:21
    苗木に入っていたのは、狛枝かよ(°д°)
  49. 49 : : 2015/08/29(土) 17:35:46
    期待です!!
  50. 50 : : 2015/08/30(日) 21:02:32
    >>48 狛枝でした!
    >>49 期待ありです!














    ーーーーーー











    苗木「っ……」



    頭が痛い…


    ボクなにしてたんだっけ…?


    確か捕まって…


    それで知らない男の子に……







    苗木「っつぅ…」


    とりあえず状況を把握しよう…


    ここは…牢屋……



    苗木「じゃない!」



    え、ここどこ!?


    何この禍々しい祭壇的な!


    え!?


    えええ!!?


    目が覚めたら知らない所にいました!



    苗木「えぇ…」



    どうしよ…


    ここどこかも分かんないし、ボク何しようとして…



    苗木「あっ!大神さん!」



    そうだ!


    大神さん助けなきゃ!






    苗木「……とりあえずここどこだろ
    …扉は………あ、あった」





    遠い所に扉があるのを確認し、ボクは立ち上がろうと…


    …したけど。



    主にお腹に痛みを感じて、立ち上がる事は叶わなかった。


    ボクは本当何をしていたんだろう…


    というか、何をされていたのか…


    あぁ、これはヤバい…


    ちょっと休んでからこの部屋を出よう…






















    「ーーーくー!」



    …ん?



    「なーーくん!」



    ……誰だ?




    「苗木くん!」



    苗木「んっ…?」


    舞園「どうしたんですか!
    すっごくボロボロじゃないですか!」


    苗木「ま、舞園さん!?」
  51. 51 : : 2015/10/19(月) 21:10:21
    期待(`∀´)ワクワク
  52. 52 : : 2015/10/29(木) 21:50:19
    魔法少女苗木ブチ犯したい。期待です!!
  53. 53 : : 2015/12/13(日) 08:24:47
    >>51
    >>52
    期待ありです!




















    苗木「ど、どうしてこんな所に…」


    舞園「…?」


    苗木「ここは危ないんだよ?
    早く逃げないと…」


    舞園「何を言っているかよく分かりませんが…
    とりあえず行きましょう?」


    苗木「え?行くってどこに…?」


    舞園「怪我をしたら行くところ、ですよ♪」


    苗木「ああ…」



    そっか病院か…


    確かに今のボクは相当ボロボロだし、病院に行くのも頷けるや…


    あ、でも大神さん助けなきゃ…



    苗木「ごめん、舞園さん…
    ボク大神さんを助けに行かなきゃ…」


    舞園「……」





    舞園「えっ?」




    と、急に素っ頓狂な声が目の前から聞こえて。

    明らかに舞園さんの顔から焦りが見えた。




    舞園「ど、どうしましょう…」


    苗木「…舞園さん?」


    舞園「うー…仕方ないです…!
    苗木くん!ごめんなさい!」


    ゴッ!!!


    鈍い音が後頭部から聞こえた気がした。



    苗木「ま、まいぞのさ……?」



    目の前にはボクの魔法の杖を大事そうに握りしめた舞園さん。


    今にも泣きそうな顔でこっちを見ていて、目を合わせようとすると優しく微笑んだ。


    涙の筋が頬を伝わるのまでは見えた。


    そしてボクの意識は、また闇へと沈むーーー。


    いや、気を失いすぎでしょ…


  54. 54 : : 2016/03/16(水) 17:11:37








    ーーーーー






    日向「なあ、七海」



    七海「ん?どうしたの?」


    日向「お前の魔法でさ、アイツを仲間にすることはできないのか?」


    七海「まあ…そうだね
    苗木くんほどではないけど、今の私たちには十分すぎるほどの戦力にはなると思う……よ」



    日向「あっ、悪い七海…
    思い出させてしまったよな…」


    七海「ううん、いいの…仕方ないから…」


    日向「……ごめんな」


    七海「日向くんが謝ることないよ…?
    それに、みんな謝られることを望んでなんてない…と思うし」


    日向「そうかな…だったらいいな…」


    七海「…私が保証するよ」


    日向「ありがとう、七海」


    七海「どういたしまして」






    狛枝「で、さっきの話の続きをしようか」





    日向「うわっ!?狛枝!?」


    七海「ビックリしたよ…」


    狛枝「だいぶ前からいたんだけどな…」


    日向「あ、すまん…
    …で、さっきの話の続きって?」


    狛枝「誰かさんを仲間にするとか何とかってやつ」


    日向「あぁ…それか…」


    狛枝「七海さんの魔法でなくても、普通に日向クンがやってしまえば早い気がするんだけど」


    日向「それだと『強制』になってしまう…
    それに俺の魔法は加減ができない仕様なの、お前も知ってるだろ?」


    狛枝「わお、ビックリ…
    敵に対して『強制』することに罪悪感なんていらなくない?」


    日向「だって…人間じゃないか、アイツだって」


    狛枝「全く…まあでも、そうだね」


    七海「私の魔法の方がその後もやりやすい…かな?」


    狛枝「うん、ボクもそう思ってた」


    日向「よしっ、なら決まりだ!
    アイツを仲間に引き入れよう!」


    狛枝「あ、日向クン待ってよ!」


    日向「『善は急げ』っていうだろ?
    先行ってるぞー!」


    狛枝「あ…行っちゃった…」


    七海「…ねえ、狛枝くん」


    狛枝「ん?」


    七海「優しいね、日向くん」


    狛枝「まあ…うん、そうだね」


    七海「…私たちも行こっか」


  55. 55 : : 2016/03/16(水) 17:25:21




    地下へと続く階段、その先には俺たちが作った地下牢がある。


    今そこには、1人の男を収容中だ。


    単騎で乗り込んで俺たちの仲間をあっさりと殺して回った男…


    許せるか否かで言うと、きっと許せない。


    けど、俺はもうそんな感情麻痺してしまった。


    だが、この麻痺はむしろ好機だった。


    その男を仲間に引き入れるという素晴らしいアイデアへと結びついたのだから。




    日向「…よう、十神白夜」


    十神「…」


    日向「少しお喋りしないか?」


    十神「…」


    日向「お前らなんだろ?
    江ノ島盾子を使って世界を滅ぼしたのって」


    十神「…」


    日向「黙秘権行使…ってか」


    十神「…」


    日向「だったら次の質問だ」


    十神「…」


    日向「お前ら、どうやって七海の魔法を解こうとした?」


    十神「…」


    日向「あの時中途半端に失敗して今の結果になったのは…まあ、俺たちの責任だ」


    日向「けど、お前らはどうして七海の魔法を解く術を知っている?どこで手に入れた?」


    十神「…」


    日向「大体、七海の魔法を解いて、そしてどうする?
    また同じようにするのか?また滅ぼそうとするのか?」


    十神「…」


    日向「そんな事間違ってる!
    お前らがどうしてそんな事をするのか、俺には微塵にも分かんねぇし分かりたくねぇけど!」


    十神「…」


    日向「けどッ!
    人を殺していい理由なんて、この世には存在しない!いや、俺が否定する!」


    十神「…」


    日向「…だんまり、か」


    十神「…」


    日向「何も言い返す気もないか?
    さっきからこっちを睨みつけちゃあいるクセに」


    十神「……」


    日向「…最後になんか言えよ
    お前が『十神白夜』である内にな」


    十神「…なに?」


    日向「おっ、やっと反応してくれたな」


    十神「ちっ…」


    日向「今狛枝と七海がここに向かってる」


    十神「なっ…!まさか貴様ら!」


    日向「なんだ、もう察したのか?
    お前頭良いな」


    十神「貴様らぁ…ッ!」


    日向「お前を仲間にすれば、とんでもない戦力になるんだ…」


    十神「なにが仲間だ!
    貴様らは俺の事を仲間などと思う事はないッ!」


    日向「…なに?」



    十神「いいやこちらから願い下げだ!
    希望ヶ峰の犬どもがッ!!!」



    日向「……なんだと?」
  56. 56 : : 2016/03/18(金) 14:57:25
    日向「ははっ!何を言い出すかと思ったら…
    希望ヶ峰の犬はお前たちの方だろう?」


    日向「お前たちが希望ヶ峰から言われるままに世界を滅していったんだろう!?
    だから俺たちが希望ヶ峰を壊そうとしてんだ!」


    十神「…は?」


    日向「つくならもっとマシな嘘つけよな…?
    頭いいと思ったけどお前実は馬鹿か?」


    十神「…」


    日向「なんだ?とたんに黙りやがって」


    十神「…」


    日向「まさか何も言い返せないわけないよな?」


    十神「…」


    日向「はっ…無様だな…
    【超高校級】とも言われた奴が俺なんかに言い負かされちまうなんてさ」


    十神「…」



    七海「日向くんお待たせ〜」


    狛枝「大丈夫?
    階段付近まで怒号が響いてきたけど…」


    十神「…!」


    七海「えーっと…十神白夜くん…だっけ?」


    十神「…そうか、そういうことか」


    狛枝「…なに?
    今からキミがされること分かっちゃったの?」


    十神「そんな事はもう理解しているし、こうやって拘束されている今、争うことはできん」


    狛枝「やけに潔いね…」


    十神「だがまあ、最後にこれだけは言わせてもらおうか」


    七海「…なに?」


    十神「そこのカッターシャツ」


    日向「なんだよ、 “ 元 ” 御曹司」


    十神「今から俺が言う言葉を忘れるな」


    日向「…」


    十神「貴様は哀れだな、ただ利用されるだけの人生を送って」


    日向「…は?」


    十神「さあ、はやく始めろ」


    七海「…ねえ、どういう意味?今の」


    十神「貴様に教える道理は無い」


    狛枝「ならボクが君に侵入(はい)って確かめてあげるよ」


    十神「ああ、構わんさ
    …その様子だと貴様はクロだからな」


    狛枝「……」


    七海「狛枝くん、時間が惜しい」


    狛枝「そうだね、始めよう」


    日向「え、おい待てよ!
    確かめてくれよ!」


    狛枝「だったら日向クンが魔法を使えばいい」


    日向「そんなっ…!
    だから俺の魔法はーーー」


    狛枝「大丈夫、こいつは日向クンのことを惑わせようとしてるだけだから」


    日向「…そう、なのかな」


    狛枝「だから安心して?
    大丈夫、彼の言動は全て妄言だから」


    日向「あ、ああ…わかった」



    狛枝のことを疑いたくなどなく、俺は渋々頷いた。


    心のどこかにわだかまりを感じながら、十神白夜は七海の魔法にかかる。


    次にこいつが目を開ける時はーーー。
  57. 57 : : 2016/03/18(金) 17:26:56





    ーーーーーー


    苗木「…ん」



    目を覚ました。


    見知らぬ天井……


    …ではなかった。



    苗木「ここは…希望ヶ峰学園の…」


    大神「気がついたか、苗木よ」


    苗木「え!?大神さん!?
    な、なんで!?」



    そこには超スタイルのいい大神さんがいた。


    囚われているはずの大神さんがいた。


    無傷で。



    大神「…やはりか」


    苗木「え?…何が?
    というかなんでここに?自分で脱出できたの?」



    というか、どうしてボクもここに…?



    大神「苗木よ…
    目覚めてすぐに申し訳ないのだが、1つ頼まれてくれぬか?」


    苗木「う、うん…
    別にいいけど?」


    大神「一緒にジャバウォック島へ向かってくれ”


    苗木「え、ジャバウォック島って確か…」


    大神「説明している時間が惜しい
    …奴らはもう動き始めている」


    苗木「奴ら?」


    大神「苗木よ、我と共に来てくれるか?」


    苗木「……友達の真剣な頼みだもん、断れるわけないよ」


    大神「…!
    ありがとう、感謝する」



    それに、ジャバウォック島に行けばもしかしたら江ノ島さんの繁殖を止められるかもしれないしね。



    大神「しかし苗木よ、大丈夫なのか?」


    苗木「ん?何が?」


    大神「いや、その…頭とか」


    苗木「頭…?」



    あ、そうか…


    ボクは舞園さんに殴られてそれで…



    苗木「うん、痛まないから大丈夫」


    大神「そうか…」


    苗木「ところでさ、ボクが倒れた理由を知ってるってことは、舞園さんの行方も知ってるってことだよね?」


    大神「ああ…
    舞園は今ジャバウォック島にいる」


    苗木「え!?」


    大神「いや、舞園だけではない…
    我らのクラスメイト全員、今はあの島にいる」


    苗木「そっか…」


    大神「…では行こうか」


    苗木「舞園さんには、殴った理由直接聞かなきゃね」


    大神「許してやってはくれぬか?」



    いつからか魔法のステッキを手に持った大神さんが、ボクに向けて言った。


    許す、か…。



    苗木「許すも何も、初めから怒ってなんてないよ」


    大神「…」


    苗木「だって、気絶する時に確かに見たから
    …舞園さんが泣いてるの」


    大神「……そうか」


    苗木「だから心配しなくても大丈夫!
    よしっ!行こうか!」


    大神「ああ」



    大神さんが目を閉じる。


    すると、ステッキから強烈な光が放たれて大神さんを覆った。



    苗木「うわっ!?」



    その目も眩むほどの閃光に、ボクは思わず顔を腕で隠し、さらに大神さんがいる方向と逆を向いた。


    やがて光が弱くなっていき、大神さんの姿がハッキリと捉えられるようになる。


    察していた通り…というか案の定、そこには魔法少女の姿となった大神さんがいた。


    苗木「あれ…?
    変身ってこんな感じだっけ?
    それに衣装も変わってるような…」


    大神「そこの辺りは気にするな…
    よし、行くぞ」


  58. 58 : : 2016/03/19(土) 17:24:48

    そう大神さんが呟くと、景色はもう変わっていた。


    一瞬の出来事すぎて頭が追いつかなかったけど、どうやらここはーーー



    苗木「ジャバウォック島…?」


    大神「そうだ、我の魔法を使ってここに来た」




    ボクたちが降り立ったのは砂浜だった。


    後ろからは波の音が聞こえてきて、太陽が容赦なく照りつけてくる。


    ああ、南国だなぁ…なんて呑気に考えてしまう。



    大神「そう呑気に構えておられぬようだぞ、苗木よ」


    苗木「え?」



    言われて大神さんの方へ向くと、大神さんはどこかを見つめていた。


    大神さんと同じようにして、ボクも視線をそちらへやると…



    苗木「…!
    あれって…煙?」


    大神「火の粉が立ってないところを見ると、恐らく家事の類ではないな」


    苗木「とりあえず行ってみよう!」
  59. 59 : : 2016/03/19(土) 17:30:50
    煙を目印に先へ進むと、そこは中央広場のようだった。


    いつか見たパンフレット同様、5つの島への道がここを中心に枝分かれしている…


    だけど異常だった。



    苗木「え……なにこれ…?」


    大神「…」



    まず真っ先に伝えなければならない事と言えば、黒く焦げつき、そして抉れた地面だろう。


    中央広場は綺麗に跡形も無く、黒焦げになっていた。


    そして黒ずんだ塊が…7つ。


    形や長さを見てある推察をしてしまった…。



    苗木「ねえ…大神さん…?
    あの黒い塊たちって…」


    大神「苗木よ、それ以上はダメだ」


    苗木「……じゃあやっぱり」


    大神「そう…だろうな」



    ボクと大神さんは同じことを考えていたようだった。


    つまりあの黒い塊たちは恐らく…


    ……人間の焼死体。
  60. 60 : : 2016/03/31(木) 12:35:32
    大神「む…?
    これは魔法だな…僅かに魔力の残滓が確認できる」


    苗木「ま、魔力のざんし…?」


    大神「ああ、そうか……
    何というか、魔法を放った者の魔力が若干この地に残っているのだ」




    え?大神さんそんな事できるようになったの?



    苗木「そんな事できたんだ大神さん…」


    大神「苗木も元より…ああ、今は無理なのか」


    苗木「ん?」



    んん?


    なんか今…?



    苗木「いや、そんな事よりこの黒い塊って一体…!」


    大神「…そろそろ目的を話すか」


    苗木「!」



    何だろう、大神さん何かを伏せてる…気がする。




    大神「今回この地に降り立ったのは、十神奪還を目的としている」


    苗木「え…!?
    こんな所に十神クンが?」


    大神「ここに十神が囚われているのはもう調査済みだ…
    よって、我らの総力をもって十神を奪還することが今回の目的となる」


    苗木「で、でも!
    ここって敵のアジトなんだよね!?
    そんな所に十神クンがいるってことは…それってつまり…」



    十神クンは安全ではない、ってことじゃ…


    それに、こんな死体まである島で…!



    大神「ああ、だから『奪還』だ」


    苗木「…っ!」


    大神「まずはみんなと合流するぞ、苗木よ
    …話はそれからだ」
  61. 61 : : 2016/04/02(土) 12:20:50
    苗木「…」



    大神さんが色々と伏せていることが妙に引っかかる…


    どうやって脱出したかも分からないし、ボクもどうしてあの場にいたのか分かってない。


    元よりボクはジャバウォック島(ここ)に『十神クンを助けるため』に来るつもりではあったけど…


    …大神さんを信じてもいいのか?


    ………いや待てよ?


    もしかしたらこの大神さんは偽物かもしれない。



    例えば、敵側にも魔法少女がいて、その魔法少女が変装できる魔法を使えるとしたら…


    …可能性はある。


    だけど今これを言及するのも考えるのも得策とは言えないな…


    まずは従ってみるか…。



    大神「む?
    苗木よ、どうした?」


    苗木「ああいや、何でもない何でもない」


    大神「そうか、では行くぞ
    霧切たちが待っておるからな」


    苗木「え!?」


    大神「…全員いると言ったではないか」


    苗木「あ、そっかゴメン…」



    こんな危険な島にボクのクラスメイトみんないるだなんて…


    ボクたちみたいに魔法が使えるわけないのに…


    …いや待って待って待って。


    『大神さんニセモノ説』を採用するなら、霧切さんたちがいるっていうのはボクに何かしらするための罠と考えるのが妥当だよね…


    ダメだ、一気に色んなことがありすぎて頭がこんがらがっちゃってるや…


    大人しく従おう…うん…。
  62. 62 : : 2016/08/03(水) 12:35:24


    大神さんに先導されるまま、ボクは来た道を戻ってゆく。



    ただ、今度は砂浜よりを通り過ぎていった。



    するとそこには、大きな建物と飛行機…




    苗木「ここ、空港…?」


    大神「そうだ」


    苗木「ここにみんながいるの?」


    大神「ターミナルに集まるよう伝えておいた…
    迷ってさえなければみなもう着いているだろう」


    苗木「そっか…」



    十神クンは捕まってるから、空港にいるのはボクたちを除いて13人…



    苗木「…」



    …は?


    霧切さん、舞園さん、朝日奈さん、不二咲クン、山田クンの5人だろ?


    なんで倍以上の13なんて数字が…



    大神「む?どうした」


    苗木「ああいや、何でもないよ…」


    大神「そうか…」


    苗木「…」



    やっぱり何かおかしい…


    ボクは何かされたんじゃないのか?


    だから記憶が混濁してるんじゃ…


    でも、だとしたらここにいる大神さんは…




    霧切「遅かったわね」


    苗木「…!」




    色々考えているうちにターミナルに着いてたようで、俯いたまま歩いていたボクは霧切さんの声で反射的に顔を上げた。


    そこには…



    朝日奈「あ!ちょっと!
    私のドーナツとらないでよ!」


    江ノ島「うまっ」



    江ノ島さんがいた。
  63. 63 : : 2016/08/03(水) 12:48:26

    江ノ島さん。


    突然世界中に大量発生し、世界を絶望に叩き落とした。


    それは「人類史上最大最悪の絶望的事件」として、ボクらの頭の奥深くに植え付けられた。


    そして、そもそもボクと大神さんは江ノ島さんの増殖を止めるためにこの旅を始めたはずだ。



    それがなんで朝日奈さんと仲よさげにいるんだ?


    どうして霧切さんたちは無事なんだ?


    そもそもなんで1人だけなんだ?


    わからない。わからない。わからない。



    苗木「……いや」



    やっぱりこいつらは敵なんだ!


    ボクの仲間に魔法で扮した敵!


    だったら!



    苗木「ミラクルミラクル☆マジカルチェンジッ!」



    ゴォッ!!!



    大神「な!?」


    霧切「…!」


    江ノ島「…」



    敵は7人…いけるか?


    いや、やるしかない!



    苗木「仲間のフリして騙したんだ…
    手酷くやられても文句言うなよ?」


    江ノ島「はぁーん?
    アタシとやろうっての?」


    苗木「!?
    …喋れるのか?」


    江ノ島「だーっはっはっはっ!!!
    喋れるのか…?
    だってよコイツ!」


    苗木「なっ!?
    何がおかしいんだよ!」


    江ノ島「いや、お菓子食って腹痛いわーって」


    朝日奈「食べたのお菓子じゃなくてドーナツじゃん!」


    江ノ島「お菓子じゃねぇかよ」


    朝日奈「え!?ドーナツでしょ!?」


    霧切「はぁ…
    そんなこと言い争ってる場合じゃないでしょ?」


    苗木「普通にお喋りしやがって…
    何なんだよお前ら…!」


    舞園「…」
  64. 64 : : 2016/08/03(水) 13:55:18

    苗木「…!」



    ペースが乱されまくって失念していた。


    今、至近距離に敵がいることに。




    苗木「…ッ!」



    咄嗟に跳躍で大神さんと距離をとり、改めて敵を確認する。



    不二咲「苗木君…」


    山田「ぐぬぬぬぬ…これはどうしたものですかな…」


    朝日奈「ねえ霧切ちゃん!
    ドーナツってお菓子なの!?」


    霧切「ええ」


    朝日奈「えぇ!?」


    江ノ島「ピーピーうるさいです…
    静かにしてください…」


    舞園「…」


    大神「苗木よ…手荒な真似はしたくない」


    苗木「は?」


    大神「はっきり言おう…
    今の貴様ではここにいる誰1人にも勝てぬぞ」


    苗木「そんなものやってみなくちゃ分からないだろ!」


    大神「分かった、では始めよう」


    苗木「…」


    大神「…」




    大神さんは押し黙り、殴り抜く構えをとる。


    ボクはステッキを振った。


    それにしても、何であの距離で構えを…




    大神「ゆくぞ」




    一瞬だった。


    さっきまで数メートル離れていた大神さんが、目の前にいた。



    苗木「なっ…!」


    大神「忘れたのか?
    我の魔法は【瞬間移動】だ」



    大神さんはボクに拳をふるい、そしてお腹に衝撃が伝わる。



    苗木「ぐぅっ…!?」



    けど。



    大神「…そうか、硬化させておいたのか」


    苗木「正解!
    そして『死ね』っ!!!」」
  65. 65 : : 2016/08/18(木) 19:34:44



    大神さんがボクの目前に瞬間移動をしてくる直前、ボクはボクの魔法(コトダマ)で全身を硬化させていた。


    そのため、大神さんの重すぎる一撃はボクの膝を地につけさせるほどのダメージを与えられず、そしてボクは今こうして立っている。


    だからこうして今、大神さんに『死ね』というコトダマを撃ちつけている。




    ズァッ‼︎



    〈 死ね ]




    苗木「さようなら」



    ボクはステッキを振った。


    思い切り、全身の力を腕に込めて、振った。




    ブンッ‼︎‼︎




    大神「…」



    苗木「……」



    大神「……先ほども言っただろう?」



    苗木「…」



    大神「我の魔法は瞬間移動だと」




    後ろから声が聞こえた。


    ゼロ距離からでも、こいつには魔法を食らわせることができなかった。


    けど。




    苗木「けど、キミが避けたことで1人減る」


    大神「む…!」




    そう、初めから大神さんにコトダマを撃つつもりなんてなかった。


    ボクは初めから、大神さんのその先にいる残りの連中に当てるつもりだった。


    大神さんが死角になってコトダマが放たれたことを残りの連中は知らない。


    しかも今コトダマは最高速度で放たれている。



    つまり。




    苗木「避けることは不可能なんだよ!
    まずは1人目!!!」




    コトダマが示す先には江ノ島盾子。


    すべてのキッカケ。


    すべての元凶。


    まずはお前だ…ッ!





    江ノ島「…はぁ」




    カンッ、という音が聞こえた。


    金属を叩いたような音が。




    苗木「…なんで?」



    江ノ島「は?なんで?」




    江ノ島盾子は。




    江ノ島「テメェが雑魚だからだよ?
    ねぇ、苗木ぃ?」




    ボクの放ったコトダマを叩き落とした(・・・・・・)
  66. 66 : : 2016/08/18(木) 21:27:40

    苗木「なッ…!?」



    なんで!?


    なんでコトダマに触れることが…ましてや叩き落とすなんてことができる!?


    コトダマは相手に当てると発動する魔法じゃないのか!?



    相手に当たれば、ボクの命令を強制的に実行させる魔法じゃ…!



    江ノ島「その顔…
    『なんで魔法が発動しないんだ!?』
    って顔ですね?」


    苗木「ッ!」


    江ノ島「いやいや、アンタ自分の魔法のことを勘違いしてるよ」


    苗木「…なに?」


    江ノ島「あんたの魔法は『弾丸を当てて発動する魔法』じゃなくて、『弾丸を撃ち込むことで発動する魔法』なわけ」


    苗木「……は?」



    つまり?つまりどういうことだ?


    さっきボクの魔法は『撃ち込まれることがなかった』から発動しなかった?


    確かに、撃ち込まれるもなにも叩き落とされたけど…


    …でも確かにそうだ。


    コトダマはつまり『言弾』…弾丸。


    弾丸は撃ち込まないと意味をなさない…!




    苗木「…ッ
    なんでお前がそんなこと知ってるんだよ…
    なんでお前がボクの魔法を知ってるんだよッ!」


    江ノ島「あー…あーあーあーあー」


    苗木「…なんだよ」


    江ノ島「分かってない…なーんにも分かってない」


    苗木「は?」


    江ノ島「アンタが理解できてないのは、アンタの魔法じゃなくてアンタ自身のことだよ」


    苗木「なに言ってるんだ?
    ボクのことだぞ?ボクが1番理解してるに決まってるじゃないか…!」


    江ノ島「はあ」


    苗木「少なくともお前よりは…!
    ボクはボクのことを知っている!
    苗木誠を知っているッ!」


    江ノ島「はあはあはあ」


    苗木「なんだよその反応…!」


    江ノ島「いやさ、ホントになんにも分かってないなって」


    苗木「だから…!」


    江ノ島「さて、質問をいくつか」


    苗木「…?」
  67. 67 : : 2016/08/19(金) 19:42:15

    江ノ島「質問その1」


    江ノ島「あなたは誰?」


    苗木「は?」



    なんでこんな事をわざわざ質問してくる?


    ボクをからかってるのか?腹が立つ…!



    江ノ島「だから、『あなたは誰?』」


    苗木「…っ」



    『大人しく答えろ』と、江ノ島盾子は目で訴ええくる。


    今は答えるのが得策か?



    苗木「苗木…誠」


    江ノ島「質問その2」


    苗木「…」


    江ノ島「あなたの魔法は?」


    苗木「ロンパ…
    コトダマを相手に撃ち込んで命令を強制、もしくは望む事象を引き起こす魔法…」



    だけど、これに関してはわけがわからなくなってきている。


    ボクよりも江ノ島盾子の方がこの魔法を理解していたという事実が、ボクの魔法に関しての情報が真実でないことを裏付けているようでたまらないからだ。


    端的に言うと、自信がない。



    江ノ島「質問その3」



    そんなボクの葛藤なんて御構い無しに、江ノ島盾子によるわけのわからない質問は続いてゆく。



    江ノ島「この世界を絶望に叩き落としたのは?」


    苗木「お前だッ!
    お前が世界を滅亡へと…絶望へと変えた!」


    江ノ島「つまり?」


    苗木「この世界を絶望に叩き落としたのは…
    …江ノ島盾子」


    江ノ島「質問その4」


    苗木「…」





    江ノ島「どーしてアンタさ、アタシの名前知ってんの?」





    苗木「え?」



    え?



    江ノ島「いやだってそうでしょ?
    確かに世界を絶望に追いやったのはアタシだけど、アタシが『江ノ島盾子』であることをアンタはどこで知った?」


    苗木「どこで?
    そんなの希望ヶ峰学園で…?あれ?え?」



    あれ?なんでだ?ハッキリと答えられない…


    ボクはどこで『江ノ島盾子』というワードを知った?


    ニュース?新聞?ネット?それとも学友?あれ?


    え?


    え???


    落ち着け…落ち着け落ち着け落ち着け…!



    江ノ島「うぷぷぷぷぷ…」


    苗木「な、なんだよ!」


    江ノ島「いや、相当焦ってんなぁって思って」


    苗木「そんなこと…」


    江ノ島「だったら早く答えろよ」


    苗木「っ!」



    なんでだ…思い出せよ…思い出せよ…!


    なんで思い出せないんだよ!!!
  68. 68 : : 2016/08/19(金) 20:00:00

    苗木「落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け…」


    江ノ島「ダメダメだね苗木クン?」


    苗木「江ノ島盾子、江ノ島盾子、きっと誰かが言ってたんだ僕のクラスメイトの誰かが言ってたんだ、言ってた、そうだそうに決まってる、そうに決まってる」


    江ノ島「こいつこのぐらいで取り乱してやがる!
    あーやべ、超ウケるんですけど!」


    苗木「江ノ島盾子江ノ島盾子江ノ島盾子江ノ」


    江ノ島「ねぇー、答えまだ?
    そろそろこの茶番飽きてきたんですけど」


    苗木「子江ノ島盾子江ノ島盾子はどこで知っ」


    江ノ島「あー、完全にパニックだなこれ」


    舞園「苗木君…」


    霧切「でも、いい傾向じゃないかしら?
    思い出しかけていることが顕著に見られるじゃない」


    舞園「そうでしょうか…」


    霧切「普通、何かを思い出せないぐらいでパニックに陥るなんてことありえないわよね?」


    舞園「はい…」


    霧切「無理やり閉ざされていた記憶に深く干渉するような事を質問されたから、矛盾に耐えきれなくなってあんな事になってるのでしょう」


    舞園「…」


    霧切「落ち着いたらきっと全部元どおり…
    きっと、ね?」


    舞園「…ありがとうございます、霧切さん」



    私は霧切さんの慰めを信じて、ただブツブツと何かを呟いている彼を遠くから見つめた。


    今にも倒れそうになっているけど、そうなっても大丈夫なように大神さんが後ろでスタンバイしてくれている。


    こうやって彼にショックを与えることに私はあまり気が進まないけど、頭殴ったりした私にそれを言う資格はない。


    黙って見ているしかないんだ。


    私は、見守ることしかできない。



    舞園「…ごめんなさい、苗木君」



    いつかの謝罪を、私はまた繰り返した。
  69. 69 : : 2016/08/26(金) 21:53:59
    期待です!
  70. 70 : : 2016/10/31(月) 01:25:54








    ーーーーー





    苗木「それで、世界を『絶望』で染めた後はどうするの?」


    江ノ島「世界が深刻な状態に陥れば、希望ヶ峰の上層部も重たい腰を上げなきゃならなくなる」


    苗木「…そこを叩きのめすってわけか」


    江ノ島「なんだけど、それはアタシだけじゃちょっとキツいんだよね」


    苗木「戦刃さんがいるのにキツいなんて冗談だよね?」


    江ノ島「お姉ちゃんは表に出てきたゴキブリ駆除は大得意だけど、隠れてるゴキブリ駆除はてんで苦手なわけ」


    苗木「…それで僕の魔法が必要なわけか」


    江ノ島「つーかこんなまどろこっしいことしなくてもアンタが本気出せば希望ヶ峰の上層部なんて今すぐにでも潰せるのにね〜」


    苗木「魔法は無意識にセーブしちゃってるし、それに分かってるでしょ?
    あいつらのせいでトリガーがないと発動できなくなってる」


    江ノ島「だからアタシたちでぶっ潰そうって言ってんの!
    ね?魅力的っしょ?」







    …あれ?

    ………。


    これは、いつの記憶だ?


    ボクは何を忘れて、そして何を思い出した?



    …。


    ……ボクはこの世界に何をした?












    【Chapter3 : シロクロの少年は過去を鮮明に馳せる】
    ー 完 ー
  71. 71 : : 2016/10/31(月) 15:33:44






    ーーーーー





    日向「…本当にここにいるのか?」


    狛枝「間違いないよ、彼らはここにいる」


    七海「その中に苗木君はいるの?」


    狛枝「うーん…?
    …僅かにだけど彼の魔力も感じるよ」


    七海「僅かに?どうして…」


    日向「そうだよな…」



    魔力が僅かにしか感じられない、それはつまりそいつの衰弱を表す。


    つまり今、苗木は衰弱している…?


    でもどうして?あいつらが苗木に対して攻撃するなんてありえない。



    日向「苗木の状態は直接確認するとして、俺たちだけであいつらから苗木を奪うことはできるのか?」


    狛枝「それは…何とかなるんじゃないかな?」


    日向「…」



    何とかなる、か…


    狛枝らしいと言えばそれまでだけど、何というか…



    日向「今回の作戦は運が絡みまくるって今のお前の発言で改めて感じさせられたよ」


    狛枝「ははっ、まあね
    …まあ確かに運が絡みまくりなんだけどボクが幸運だから大丈夫だよ」


    日向「だといいんだが…」





    ーーーーー






    霧切「さて、どうしましょうかね
    苗木君は気を失ったまま動かないし」


    苗木「…」


    舞園「そうですね…
    …って、あれ?」


    朝日奈「あれって!」




    十神「…」




    江ノ島「はぁーん、かませメガネ…」


    十神「…」


    江ノ島「…?コスチュームがなんっかフリフリしすぎじゃないですかね?」


    十神「…」


    不二咲「と、十神くん?
    どうしたのぉ?そんなに黙って…」


    山田「…む?これは…」



    十神「…見つけたぞ、希望ヶ峰学園の犬ども」


    大神「十神…!」


    朝日奈「え?十神?」


    十神「苗木を連れ去って何をするつもりだった?
    今正直に答えるなら、命だけは見逃してやらんこともない」


    山田「あー…戻ってきたと思ったら何を言い出すのですかな?」


    十神「聞こえなかったか犬どもが!
    この俺が貴様らを消すと言ったのだ!」


    江ノ島「…やっぱ記憶操作されちゃったか」



  72. 73 : : 2016/11/14(月) 12:17:32

    朝日奈「記憶操作って…!
    じゃあ十神は…」


    舞園「……いいえ、大丈夫です」


    朝日奈「さやかちゃん…?」


    舞園「あの頃とは違うんです!
    どうせどこかから見てるんでしょう七海千秋!」


    江ノ島「…」


    舞園「大丈夫です…大丈夫…
    『記憶を操作された』結果は残るけど、十神君にかかってる魔法を消去することはできます」


    江ノ島「なるほど?
    魔法を無効化することで記憶操作のロックをはずすわけだ」


    舞園「はい…
    そうすれば、きっと何かのキッカケで十神君も記憶を取り戻してくれるはずです」


    江ノ島「『結果の無効化』なら日向先輩の特権なのにねー?」



    ーーーーー



    日向「っ!」



    あいつ…こっちを見て…!


    俺たちがここに隠れてやり過ごしてることに気づいてる!


    気づいててわざと泳がせてるだと!?


    なんだよ…余裕なのかよ、俺たちを葬るのなんて…!



    狛枝「日向クン、落ち着いて」


    日向「……悪い、大丈夫だ」


    七海「日向君…」


    狛枝「それにしても、七海さんの魔法を無効化できるってホントかな?」


    七海「わからない…
    だけど、苗木君に施されてたはずの魔法が無効化されてる今、その方法があるっていうのは確かなはずだよ」


    狛枝「ふーん…?」



    ボクのリンクが強制的に切られたのも、同じ方法なのかな?


    だとしたら見ておかなくちゃね…

  73. 74 : : 2017/08/07(月) 20:03:52



    十神「何をウダウダと話している希望ヶ峰の犬どもが!
    この俺を置いて許可なく口を開くなど失礼とは思わんのか?」


    江ノ島「…」



    十神がアタシたちの方にステッキを向けて啖呵を切る。いやあ、迫力ないなあメガネ。


    いやでも実際普通にマズいんだよね。


    なんでかっていうと、ピンピカレーザービーム(とがみのまほう)は魔力を莫大に消費する故に威力が絶大。


    かませメガネのくせに内包魔力はアタシらの中でもケタ違いだからそれがバンバン撃てちゃうわけよ。


    で、アレをマトモに喰らえばアタシでも正直キツいんだよねー…



    江ノ島「…舞園、もう始めてる?」


    舞園「……」ブツブツブツブツ


    霧切「ええ、私がついさっき始めるよう促したわ」


    江ノ島「どんぐらいかかるんだろ」


    霧切「それは分からないけれど───
    ────ッ!江ノ島さん!」



    ドォォォオッ!!!!




    江ノ島「ありゃりゃ」



    前方から放たれるのは魔力の塊。


    アタシたちをすっぽり覆うぐらいの直径のソレは、コンクリートの地面を抉って、まっすぐこっちに向かってくる。


    はぁ…にしても十神って本当堪え性ないな…


    ……さて、後ろのみんなも守りつつこれを防がなきゃなんだけど




    江ノ島「とりあえず私様召喚!」パンッ‼︎


    某漫画のようにお手手のシワとシワを合わせる。


    アタシの手に黒い雷が走り、落書きみたいな錬成陣が前方の床に出現。


    まあ言った通り魔法陣から出てくるのは……




    江ノ島A「ぜつぼー」



    アタシだ。



    十神「はっ!
    そんな使い魔を1人召喚した所で何になる!?」


    江ノ島「いやいやいやいや!アタシを馬鹿にすんなよかませメガネ!」


    十神「……なんだと?」



    召喚されたアタシは深く息を吐く。


    そして。




    江ノ島A「スゥゥゥゥゥゥゥゥゥウッッッ」




    息を吸い込んだ。

  74. 75 : : 2017/08/07(月) 20:23:06


    ま、言うまでもなく吸い込んだのは空気じゃなくて─────。



    十神「ありえん!この俺の魔法が吸い込まれていくだと!?」


    江ノ島「やぁ〜ん、その反応ス・テ・キ♡」


    十神「貴様ァ…!」


    江ノ島A「ウプッ…」



    お、吸い込み終わったみたい。



    山田「召喚された方の江ノ島盾子殿、なんだか拙者みたな見た目になってますなwww」


    朝日奈「ちょっと山田!盾子ちゃんいなかったら死んでたんだよ!?
    まずはお礼を言わなきゃでしょ!人としてサイテーだよ!」


    山田「頭ではわかってますぞ?
    わかっておりますが……ンブフッwww」


    江ノ島「黙っとけ豚」


    山田「ヒェイッ」


    朝日奈「ああ、人じゃなかったんだね!」


    山田「あー、納得しないでほしいですな」


    江ノ島「よぉーし!
    江ノ島ちゃーん?お腹いっぱいだよね?」


    江ノ島A「ンプッ」コクコク


    江ノ島「吐き出しちゃいたいよねー?」


    江ノ島A「ンムンムンム」コクコクコクコク


    江ノ島「よしっ!じゃああのメガネ目掛けて〜…」


    十神「なっ!?
    貴様まさか!」



    江ノ島「発射!」


    江ノ島A 「んぱっ」






    ドォォォォォォオオオオオオオッ!!!!!





    十神(馬鹿な!?
    俺が撃ったものと比べ物にならん威力だぞ!?)


    江ノ島「折角なのでアタシの魔力を足してあげちゃいましたーって感じ?」


    十神「小癪な真似を…!」スッ




    バチイッ!!!!!



    江ノ島「ふぅーん、なるほど…」


    江ノ島A「オロロロロロ…」シュウウウウウ…



    あら、流石に十神の魔力量に耐えきれなかったか。


    さてさてさてさて…私様特製ビームを相殺できるぐらいのビームを1人で撃っちゃうか…


    まあ可能性としてはゼロに等しかったけど、これで十神が退場してくれるのが1番早かったんだけど。


    …ん?それじゃ十神死んでたのか?やっべやっべ。




    江ノ島「まあまあまあまあまあ?
    こんぐらいなら防ぐと思ってた思ってた」


    十神「この俺の魔法を俺以外の人間が使うなどあってはならない…!」


    江ノ島「ありゃ聞いてない…」


    十神「そこのギャル!貴様は特に入念に痛めつけて殺すから覚悟しておけ!」


    江ノ島「えーやだー、せめて殺されるならこの人っていうの決めてるからそいつになって出直してきて」



    ブチッ



    江ノ島「………あちゃー」



    十神「………………殺す」




    大気が震えた。騒音が聞こえた。天井が飛んだ。


    …まあ、言ってしまうと。


    今度はさっきの倍以上あるレーザーが、いつの間にかアタシの視界を埋め尽くしてた。

  75. 76 : : 2017/08/08(火) 10:22:22


    江ノ島「ふじさ────」


    不二咲「防御プログラム構築完了!
    江ノ島さん一歩下がって!」


    江ノ島「ナイス!」



    不二咲の指示通り一歩後ろに下がる。


    すると目の前には半透明の防御壁。


    アタシが指示するよりも先に不二咲の魔法が発動した。




    ドォンッ!!!



    レーザーと防御壁がぶつかって大きな音を立てる。


    空気がさっきよりも震えた。衝撃がこっちまで伝わってくる。



    江ノ島「不二咲!これ何秒もつ!?」


    不二咲「あと13秒ぐらいだよぉ!
    正直ギリギリだから早く何とかしてほしいなぁ!」


    江ノ島「オッケーサンキュー!」パンッ‼︎



    アタシは迅速に再びアタシを召喚する手順をとる。


    魔法陣が出現、アタシが召喚された。



    朝日奈「あ、わかった!
    また盾子ちゃんにビームを吸い込んでもらうんだ!」


    江ノ島「それじゃ間に合わねぇよ!
    山田!わかってんだろ!」


    山田「心得ておりますぞ!既に準備はできております!
    さあ、江ノ島盾子殿をこちらへ!」


    江ノ島「よぉーし!行ってこい盾子ちゃん!」


    江ノ島B「ぜつぼー」スタスタ


    霧切「あと8秒よ!山田君急いで!」


    不二咲「何とか持ち堪えてはみるけどぉ…!」


    山田「そんなに時間があるなら十分!
    二次創作(クリエイト)ッ!!!」



    召喚したアタシを大袈裟なぐらい強い光が包み込む。


    そして全く間を空けずに光は霧散。


    そこにいたのは─────。




    不二咲「だめ…もう限界だよぉ…!」



    ピシッ…ピシピシピシピシピシ…



    十神「おっと?壁に亀裂が入ったようだな?
    そのまま消し炭になれ!」


    江ノ島「ッ!」




    「そうはいきません」




    十神「なっ!?」



    フッ、と。今まで視界を埋め尽くしていたレーザーが消えた。


    少しだけ間を空けて防御壁が崩れてゆく。



    江ノ島「はぁ…サンキューみんな、助かった」


    山田「いやあ危なかったですな本当…」


    不二咲「ちょ、ちょっと休憩……はぁ…」


    朝日奈「あ!なるほどそういうことか!」


    十神「なぜ……?なぜだ?」



    十神「なぜ貴様2人もいる!?」


    舞園「ふふっ、さて何故でしょう?」


  76. 77 : : 2017/09/17(日) 20:49:58



    狛枝「…そういう事だったんだ」


    日向「俺も【魔道書】を読んでからこの仮説を立ててた…で、当たってた」


    狛枝「そして【魔道書】に記された魔法を行使できるってことは、山田クンは間違いなく古の魔法使いの正当な子孫ってことだね」


    日向「そういうことだな…まあ、確認するまでもない事ではあったけど」


    今十神と戦ってる奴ら…つまり78期生は、十神も含めて希望ヶ峰学園からスカウトされた連中。


    希望ヶ峰学園は正当な子孫を血眼で探してたって情報は既に入手していた。


    つまり、希望ヶ峰学園がスカウトしたはずのあいつらこそが古の魔法使いの正当な子孫で、そうであるなら、祖先の魔法を産まれながらに親から受け継いでいるはず。


    今俺たちが確認できているところで、十神と山田、そして不二咲…あと舞園もだな。


    この4人は間違いなく【魔道書】に記された魔法を行使していた。


    ここまで判断材料が揃えば、希望ヶ峰学園が子孫を探していたことは間違いなかったってことでいいだろう。



    七海「それで、山田くんの魔法はなに?
    変装させるとか、変装する魔法ってこと?」


    日向「いや、奴の魔法は平たく言えば『創作』だ」


    狛枝「創作…?
    ちょっと待ってよ日向クン、山田クンが江ノ島さんを媒体として変装させたのは間違いなく舞園さんだよ?
    彼女は実在してる人物だ、山田クンの空想から生まれたキャラクターじゃない」


    日向「そこなんだよ、あいつの魔法が厄介なのは」


    七海「創作じゃないのに創作…?
    日向くん、勿体ぶらないで教えてよ」


    日向「そうだな…
    言ってしまうと、山田一二三の使用する原初の魔法…それは創作は創作でも『二次創作』だ」


  77. 78 : : 2017/09/17(日) 21:19:08

    狛枝「……つまり?」


    日向「媒体を元に、実在してる人間にプラスアルファの力を加えたものを生み出す…
    簡単にいうと、山田の魔法によって生み出された江ノ島を元にした舞園…あいつは舞園(ほんにん)よりも大幅に能力が強化されてるはずだ」


    七海「つまりバフ掛けした状態のキャラをいきなり出せるってこと?すごすぎないそれ?」


    日向「ただ、そんなに長い時間維持することはできない…そして、一定以上山田から離れると魔法が解除される」


    狛枝「なるほど…」



    つまりあの時ボクの目の前にセレスさんが2人現れたのは、どちらかのセレスさんが山田クンの魔法を施された誰かだったからってことか。



    日向「多分狛枝はアレだろ?この前の戦闘の時のこと考えてるだろ?」


    狛枝「ご名答…それで、山田クンが誰に魔法を使ってたのかまでは日向クンはもう分かってるのかな?」


    日向「ああ、それはレーザーがいきなり消えたことで確信したよ…
    あの時狛枝を襲ったのは、セレス本人と、セレスに擬態してた舞園だ」


    狛枝「舞園さんだったのか…」


    七海「でもどうして?
    狛枝くんの前の話だけでそこまで分かるかな?」


    狛枝「ボクが前に話したのは…」


    セレスさんが2人いた

    音を用いた魔法を使ってきた

    心を読んできた

    気づかないうちに打撃を与えてきた

    苗木クンに対する憑依を無理やり引き剥がされた



    狛枝「…だったけど?」


    日向「『音を用いた魔法』と『憑依を無理やり引き剥がされた』っていうのが舞園だと確信した理由だ」


    日向「まず前提を覆そう。舞園の魔法は恐らく『音』じゃなくて『波長』に働きかける魔法だ」


    狛枝「波長?……ああ、分かった、あの時引き剥がされたのは魔力の波長を相殺されたからか」


    日向「そういう事だな」



    舞園の魔法の特徴、それはどんな魔法だろうと使用すれば現れてしまう『魔力の波長』を何らかの形で認識できる所にある。


    魔法っていうのは、発動者から放たれる一定の魔力を、瞬間的に、そして作為的に増幅させて発動させる。


    この時得られる波の形や大きさが、そのまま魔法の効果や結果に特徴付けられる。


    さて、波長が分かると何ができるか?


    まあ色々あるけど…今棚にあげるべきは『対象の魔法の波長と逆の波を相手にぶつけて、魔法を無効化する』という点だろう。


    この方法で狛枝を無理やり苗木から引き剥がして、そしてこの方法でたった今、どでかいレーザーを掻き消した。



    七海「じゃあひょっとすると、苗木くんの記憶のロックが外れてるのも…」


    日向「舞園が七海の魔法を無力化したせいだろうな…苗木が衰弱してるのも、もしかしたらその影響なのかもれしない」


    狛枝「……つくづく何でもアリみたいな連中だよね、ホント」


    日向「そうだな…
    例え原初の魔法だからとはいえ、他人の魔法を再現するなんて芸当、正直馬鹿げてるよ」


    最優先で消すべきは山田一二三……だな。


  78. 79 : : 2017/10/28(土) 15:44:30





    十神(なんだ……
    どうしてあの女は分身した?考えろ…)


    十神(まずあの女自身の魔法では断じて違う…
    あいつはただ座り込んでブツブツと何かを唱えているだけだ)


    十神(だとすると、あのチビかデブのどちらかの魔法と考えるのが妥当だろう…
    魔法を発動していたのはギャルを除いてあの2人だったからな)


    十神(防御壁を張ったのがチビだったから、必然この現象を引き起こしたのはデブということになる)


    十神(つまり優先して消すべきはあのデブだが…)



    十神の魔法…レーザーを照射する魔法だが。


    例えば先刻のようにさながら砲台から放ったかのような壮大な砲撃を実現することも可能だが、しかしそれだけではない。


    この魔法の強み、それは照射するレーザーの大きさを自在に操れる所にある。


    直径を広げれば、その一帯は溶解してしまうかのような傷跡を残す。


    しかし、こちらは破壊力故に対象へ到達するスピードが僅か遅くなる。


    ならば。



    十神(防御壁はもうない。つまり、殺すなら今…)



    思案後、十神の持つステッキから放たれたレーザーは先程のものと変わって破壊力など持ち合わせない。


    肉眼に捉えることも叶わないほどのその微小な線は、寸分の狂いなく山田の心臓を捉えていた。


    今放った一撃は、鋭利な槍でのひと突きよりも更に鋭い。


    放たれたことになど誰も気づくことはなく、心臓に焼け焦げた穴が空いたことなど気づくこともなく、対象は何も気づくことなどなく、息絶える。


    こうして十神は何人も殺してきた。


    多勢ならば砲撃を、単体ならば長すぎる針を用いて。


    そうすれば十神は、誰だって殺すことができた。


    ……相手が自分の魔法に心得などなければ。



    舞園?「………無駄です」



    フッ…



    十神「……ッ!」



    山田を捉えていた線は、掻き消される。


    何故なら舞園さやかは『魔法無力化』に対して異常なまでに特化した魔法を持っているから。



    舞園?「無駄ですよ十神君…
    貴方の魔法の波長はもう読み取れたましたから」


    十神「……デブより先に貴様から始末しなければならんな!」
  79. 80 : : 2023/06/24(土) 23:22:35
    あまり更新が進んでないみたいですね
    日向達がいったいどういうことなのか
    気になるところではありますが…

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donguri

たけのこまんじゅう

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