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ベルトルト「二人が来ない」

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  1. 1 : : 2015/01/01(木) 01:08:44
    だらだら喋ってるだけです(੭´•_l•`)੭
    あとサシャが少しと、ミカサが大分出てきます
  2. 2 : : 2015/01/01(木) 01:09:30

    ライナー「悪い。遅れた」ガチャ

    ベルトルト「あ、来た」


    ライナー「途中でコニーに捕まっちまってな…危うくここまで尾けられるところだった」フ-

    ベルトルト「それって…彼、まだ追っかけて来てるんじゃ」

    ライナー「いいや完全に撒いた。誓ってもいい」

    ベルトルト「その溢れる自信の理由は」

    ライナー「それはな…奴と遭遇したあと、俺は軽い挨拶をして別れたんだ」


    ライナー「そしたらしばらく後ろを付いて来たから、悪いと思いつつ角を曲がった瞬間全力で疾走させてもらった」

    ベルトルト「鬼畜の所業」


  3. 3 : : 2015/01/01(木) 01:36:07

    ライナー「いやあ照れるぜ」

    ベルトルト「よっ、この人類の仇敵!」

    ライナー「黙れ」

    ベルトルト「ごめん、調子に乗った。ごめん。ごめんなさい」

    ライナー「…いや俺の方こそ悪かった。だから、そこまで謝らなくていい。なんだかこっちまで申し訳なくなる」


    ライナー「まあ、あながち間違いでもねえしな」

    ベルトルト「…ごめん」

    ライナー「やめろよ、辛気臭い話は無しだ。さっきの続きに戻ろうぜ」フッ

    ベルトルト「うん…」

  4. 4 : : 2015/01/01(木) 01:36:52

    ベルトルト「えっと…どこまで話したっけ」

    ライナー「俺が全力でコニーから逃げたところだ」

    ベルトルト「ああ、そうか」



    ベルトルト「今まで彼のこと気にも留めてなかったけど、今日だけは同情せずにいられないよ。コニーごめん」

    ライナー「さっきから謝ってばっかりだな、お前は」

    ベルトルト「懺悔のプロかも」

    ライナー「…お、おう」

    ベルトルト「なんで返事が引き気味なんだよ…」

    ライナー「すまん、良い返しが思いつかなかった。なんかコメントし辛くてな」

    ベルトルト「…確かに一理ある。許す」

    ライナー「ははー、有り難き幸せ」

  5. 5 : : 2015/01/01(木) 01:52:04

    ライナー「しかしあれだな。コニーの奴、成績上位なだけはある…」

    ベルトルト「というと?」

    ライナー「そのまま30分はあいつと鬼ごっこしてたんだ、俺」

    ベルトルト「…仮にその逃走劇へ題を付けるとしたら『コニー、驚きの執念』…かな」

    ライナー「秀逸だな。才能あるぜ、お前」

    ベルトルト「ありがとう…あんまり嬉しくないけど」

    ライナー「そこは外面だけでも喜ぶ素振りぐらいしてくれよ」ハハ

    ベルトルト「きゃー嬉しー(裏声」

    ライナー「話戻すか」

    ベルトルト「おいちょっと待て」

  6. 6 : : 2015/01/01(木) 02:29:20

    ライナー「なあ、人から延々と全力で追っかけられる様を想像してみろ」

    ベルトルト「え…面倒だな」

    ライナー「と、言いつつ目まで瞑ってやってくれる優しさ。思わず涙が零れそうだ」

    ベルトルト「拭う時はこれ使っていいよ」グイ

    ライナー「おう、それ俺の裾な。…で、」



    ライナー「俺はな、背後から幾度もなく浴びせられる『どこ行くんだ!?』『俺も行く!』という叫声に最後は恐怖すら抱いたんだ」

    ベルトルト「『コニー、驚きの執念』って、ジャンル:ホラーだったんだ」


    ベルトルト「むしろ彼の何がそうさせるのか、僕は小一時間コニーを問い詰めたい衝動に駆られて止まないよ」

    ライナー「そいつは大変だ。抑えるためにも縄で柱に括って縛り付けとくか?」

    ベルトルト「その冗談はあんまり面白くないなあ。第一、縄なんてないだろ?」

    ライナー「ここにある」パサ

    ベルトルト「あるのか!?」
  7. 7 : : 2015/01/01(木) 02:44:38

    ライナー「ところで、一匹姿が見当たらねえな」

    ベルトルト「急な話題の路線変更だね。ダイヤは大乱れ、駅員さんもびっくりだ」

    ライナー「あいつもコニーと逃◯中してんのか」

    ベルトルト「アニは動物じゃないぞ」

    ライナー「ツッコミが遅えよ」



    ベルトルト「どうしよう…逃げ切れるかな」

    ライナー「コニーの追跡を受けてる事は確定なんだな」

    ベルトルト「足は速い?奴に立ち向かった君なら程度が分かるだろう」

    ライナー「”立ち向かった”じゃなくて”背中を向けて逃げ出した”の間違いじゃねえの」


    ライナー「程度は分からん。無我夢中で走ってたんだ、優劣を計る暇もない」

    ベルトルト「そうか…残念」

    ライナー「ただ参考までに例を挙げるとするならば……そうだな、終始走馬灯が見えたくらいだ」

    ベルトルト「僕、少し様子を見に行ってくる」ガタッ

    ライナー「待て。それじゃわざわざここを集合場所にした意味がねえだろ」

    ベルトルト「…そうか」スッ


    ライナー「気持ちは分かる。だが、今は関係性が露見する事の方が怖い。察してくれ」

    ベルトルト「言われなくても分かってるよ…」

    ライナー「はは。そいつは悪かったな…なに、心配するな。時が経てば嫌でも来るさ」




    アニ「っああ!!」バンッ‼︎



    ライナー「ほらな」

    ベルトルト「!?」

  8. 8 : : 2015/01/01(木) 03:35:32

    ベルトルト「す、すごい。間髪入れずに来るなんて…驚きを隠せないよ」

    ライナー「ああ、俺もびっくりだ。おかげで小便漏らしちまった」

    ベルトルト「……」スス

    ライナー「引くな。冗談だ」



    アニ「はあ、っはあ……あの」

    ライナー「よう、奇遇だな。ちょうどお前の噂をしていたところなんだ」

    ベルトルト「う、うん」


    アニ「そんなの、いいから……っ早くそこの扉を塞ぎな!」ギンッ


    ベルトルト「ひっ…!」

    ライナー「うおっ…。分かった、分かったから声を荒げるなって…」スタスタ …ガチャッ バタン

  9. 9 : : 2015/01/01(木) 03:46:01

    ライナー「ったく、蹴り破った扉くらい自分で直せよ」

    アニ「フン…」


    ベルトルト「…直せ?言い回しがおかしくないか。そこは”閉めろ”だろ」

    ライナー「いや合ってるぞ。今ので扉にヒビが入ったから、軽く修繕したんだ」

    ベルトルト「アニの飛び蹴りの威力と、日曜大工でも始まりそうな君の器用さ…ああ。さっきから驚きっぱなしで、きっと負担がかかってる心臓に申し訳ないよ」

    ライナー「ちなみに修繕方法はヒビに芋を塗り込むだけだ」

    アニ「なにそのライナー式手抜き工事」

    ベルトルト「僕の心臓にとどめを刺さないでくれ」

  10. 10 : : 2015/01/01(木) 09:19:45

    ライナー「それで、どうしたお嬢さん」スッ

    アニ「…会って早々、バカにしてくるとはね。手を貸してもらわなくたって独りで立てるよ」ガタッ

    ライナー「手厳しいな…」ハハ



    ベルトルト「それで、どうかした?」ズイッ

    アニ「…」

    ライナー「…」



    ライナー「…なあ。俺とアニの僅かな隙間に割って入るなよ」

    ベルトルト「え、いけない?」

    ライナー「別に駄目とは言わんが…あ、駄目だ。この密着度は耐えらんねえ」ギュム


    ライナー「おい離れろ。それが叶わないんなら、せめてもっとそっちに詰めろ」

    ベルトルト「無理だ、そんなことをしたらアニと密着してしまうじゃないか。そんなの迷惑だろ?」

    ライナー「そうだな、だが俺の迷惑も考慮して欲しいぜ」

  11. 11 : : 2015/01/01(木) 09:24:02

    アニ「そんなにライナーに引っ付きたいんなら、ハグでもすればいいんじゃないの」

    ベルトルト「いや別にそういうわけじゃなくてね」

    アニ「私はあんたらの気持ち悪……気持ち悪い様を離れた所で見守ってるよ」

    ライナー「こいつ、一回漏れた本音に躊躇したあと、開き直って言い切りやがった」

    ベルトルト「自身の悪魔が唆してきて、それを天使が止めたけど結局悪魔の逆転勝ち…ってとこかな」

    ライナー「胸が熱くなるような展開だな」


    ベルトルト「アニったらひどいな…僕達のことをそんな目で見てたのか」

    ライナー「この状況じゃそう見ざるを得ないんだろ。俺も同感だ」

    ベルトルト「確かにライナーはあれかもしれないけど、僕はまともだぞ」

    ライナー「逆だろ」



    アニ「…あんたらさ、お喋りに熱中するのはいいけど私に何があったのか聞かないのかい」

    ライナー「ああ、すまん。すっかり忘れていた」

    ベルトルト「僕はおおおお覚えてたよよよよ」

    ライナー「それもう忘れてたって白状した方がマシだぞ」

  12. 12 : : 2015/01/01(木) 14:05:50

    ライナー「コホン…それで何があった。コニーに追われでもしたか?」

    アニ「は?コニー…?なんでそいつが出てくんの」

    ベルトルト「体験してないんだ、『コニー、驚きの執念』」

    アニ「なにそれ…」

    ライナー「どうやら奴の魔の手は及んでいないようだな」

    アニ「某洗剤メーカーのキャッチフレーズか何か?」

    ベルトルト「すっかり悪者扱いか…ますます彼がかわいそうになってきた」

    アニ「シカトかい」

    ライナー「じゃあ今すぐここを出てコニーに追われてみたらどうだ?そんな情、一瞬で吹き飛ぶぜ」

    ベルトルト「その言葉通りになりそうだから遠慮しておく」



    アニ「…」ムス

    ベルトルト「大変だ、アニがむくれてる…!」

    ライナー「そういう時は頬を突つくといいぞ」

    ベルトルト「こ、こう?」ツンツン

    ライナー「そうするとイライラ度がより増す」

    アニ「チッ!」ジロッ

    ベルトルト「なんてことしてくれたんだよ!!?」



    ライナー「まあ落ち着けって…で、誰に追われてたんだ?飛び蹴りかましながら入室するあたり、◯走中してたんだろ?」

    アニ「はあ……ミカサだよ」

    ベルトルト「ミ、ミカサ?」

    ライナー「もはやコニーの比じゃねえな。何やらかしたんだお前…」

    ベルトルト「彼女の逆鱗に触れたのなら…いや、彼女のエレンに触れたのなら、下手すると命まで奪われかねないぞ…」

    ライナー「うまいこと言ってる場合か、笑えねえよ」


    アニ「あれはどう見てもあいつに非があるけどね」フン

    ライナー「それは聞いてみないと分からんな。詳しく話せ」
  13. 13 : : 2015/01/01(木) 16:04:45

    アニ「常々感じてたけど…その横柄な口調はどうかと思うよ」

    ライナー「…」

    アニ「…無視?」

    ライナー「ん、今のは俺に言ってたのか」フッ


    ベルトルト「ラ、ライナー…他に言い方ってものがあるだろう」ヒソ

    ライナー「ああ…じゃ、その言葉、そっくりそのままお返しするぜ」

    ベルトルト「だから言い方ってものが

    ライナー「なら丁寧に包装して、花束にメッセージカードも付けて郵送する。これでどうだ」

    ベルトルト「そういう問題じゃないんだよ」


    アニ「…」

    ベルトルト「あ、ごめん……つ、続けて」

    アニ「はーあ…やれやれ」



    アニ「今夜は年越し…つまり、皆浮かれてるわけだ。あの教官共でさえ『あまり騒ぎすぎるな』と一度釘を刺しただけで、実質、消灯以降の訓練兵の寮内徘徊を認めてる」

    ライナー「それがどうかしたか」

    アニ「ゆっくり最後まで聞きな。そうすると

    ベルトルト「待った!い、今ってまだ年末なの?」

    ライナー「ああ。2014年、12月31日な」

    アニ「当然だろ。話の腰を折ってんじゃないよ」


    ライナー「……あっ違え、847年だ!」

    アニ「あっ」

    ベルトルト「…」


    ライナー「あっぶねえ…世界観がめちゃくちゃになるところだったぜ」フ-

    ベルトルト「危ない橋を渡りきったかのように語ってる途中悪いけど、すでに手遅れだよ」

  14. 14 : : 2015/01/01(木) 19:42:50

    ベルトルト「とにかく…”二千年後のなんたら”でも始まりそうな年号は置いといて」

    アニ「置いとくのかい」

    ベルトルト「うん」

    ライナー「まあ、二千年後まで正確にはまだ833年もあるしな」

    ベルトルト「君はちょっと黙っててくれないか?これ以上、時間軸のブレっぷりに拍車を掛けないでくれ」

    ライナー「なんだ流行りのツンデレか?」

    ベルトルト「ライナー。黙って」

    ライナー「ただの思い違いであってほしいが、アニと俺の対応に10度くらいの温度差が生じているのを感じるな」

    ベルトルト「ああ、それは君の思い違いだ。正解は100度だから」

    ライナー「そうか、ははは……えっ」

    ベルトルト「話を戻そう」

    ライナー「おいちょっと待て」

  15. 15 : : 2015/01/01(木) 19:44:10

    アニ「まったく、見てらんないね…二人だけでどこまで脱線してるのさ。そのままウォールマリアまで飛び出す勢いじゃないか」

    ベルトルト「どちらかといえば180度回って内地へ飛びたい」

    ライナー「使命も果たせて一石二鳥だな」

    ベルトルト「うん。あ、できれば往復切符で」

    アニ「なんだかんだ言って調子に乗ってんじゃないよ、おバカ」

    ベルトルト「ライナー…」チラッ

    ライナー「俺かよ」

    アニ「安心しな。バカってのは二人のことを指してるから」
  16. 16 : : 2015/01/01(木) 20:19:46

    アニ「面倒だから、勝手に私の話を続けさせてもらうよ。…合いの手にボケとツッコミは無しね」

    ライナー「まいったな、ちょうどボケを入れようとしたところに忠告が入っちまった」

    ベルトルト「さすがアニ」

    アニ「ちょうど1時間前…新年を目前に、寮の廊下が互いの部屋を行き来する訓練生でいっぱいになった頃…」

    ライナー「うわ…もうガン無視かよ。ベルトルトが泣くぞ」

    ベルトルト「…」グス

    ライナー「おいマジで泣いてるぞ」


    アニ「私の部屋にも、本来違う部屋のお友達を招き入れる奴がちらほらいた。そしてそれはミカサも例外じゃない」

    ライナー「友達を自分の班室に呼ぶ…微笑ましい光景じゃねえか。そんなことよりベルトルトが」

    アニ「それは別にいいんだよ。問題は、その先さ」

    ライナー「…何が言いたい?あと、ベルトルトが泣いてることについてはスルーか?」

    アニ「分かった、率直に言うよ」



    アニ「よりによってあいつ…エレンを女子寮に連れて来たんだ」

    ライナー「あのな…聞け、アニ。ベルトルトが泣いて

    ライナー「は!?女子寮に男を!?」

    アニ「もちろん、ミカサもエレンも非・男女共同スペースである寮に異性が行くのはご法度中のご法度だってことは存じあげてるよ」


    アニ「だけどミカサが『今日だけは無礼講』『大丈夫、教官から許可は得ている』とかなんとか言って、エレンを言いくるめたらしくてね」

    ライナー「な、なんてこった。エレンがそこまで愚直な奴だったとは……あ、それよりな、ベルトルトが泣


    ベルトルト「うるさいな!!泣いてなんかないよ!!」バンッ


    アニ「ベルトルト、うるさい!!!」ババンッ

    ベルトルト「あっはい…」ビク

    ライナー「なんかすまん」

  17. 17 : : 2015/01/02(金) 00:13:36

    アニ「あー、どこまで話したっけ…」

    ベルトルト「ミカサがゴニョゴニョ」

    アニ「ああ、そうか」

    ライナー「今ので通じるのか」

    アニ「そんなわけないだろ。自力で思い出したんだよ」

    ライナー「ベルトルト、何言ってんだお前」

    ベルトルト「ゴとニとョだけど」

    ライナー「…おう。そうだな」

  18. 18 : : 2015/01/02(金) 13:00:10

    アニ「えーと、ミカサがエレンを女子寮まで連れ出すのに成功したのはいいんだけど…」ポリポリ

    アニ「元々あいつと私は同じ班室なんだよ。…運の悪いことにね」

    ライナー「やべえ、嫌な予感しかしねえ」


    アニ「つまりミカサはエレンを、私のいる班室に連れて来た」


    アニ「私からすれば、何の前触れもなく奴らが部屋に現れたもんだから反射的に大技かましちゃってさ」

    ベルトルト「うわあ…」

    ライナー「…答えは予想できるが、念のため聞いておく。誰をやった」

    アニ「決まってるだろ?ミカサの逆鱗」

    ベルトルト「うわあぁ……」

    ライナー「げえ、せめてミカサに当たればよかったな…いやそれもそれで全然よくはないが」

  19. 19 : : 2015/01/02(金) 13:13:05

    アニ「気が付くとエレンは床に頭をめり込ませながら倒れてて…あの光景、二人にも見せてやりたかったよ。自分でも惚れ惚れするぐらいキマってたからね」

    ライナー「エレンとばっちりじゃねーか。早く助けてやれよ」

    アニ「当然助けようとはしたさ。けど助ける前にミカサがすごい顔して迫ってきたんだ」

    ベルトルト「僕ならそこで失神する」

    ライナー「巨人に追われた方がまだマシだな…ミカサより断然かわいい顔してやがるし」

    ベルトルト「えっ、ライナーああいうのが好みなの?」

    ライナー「んなわけあるか。あんなすっぽんぽんの肉食系露出狂女子、こっちからお断りだ」

  20. 20 : : 2015/01/02(金) 17:35:02

    ライナー「そうじゃなくて、激怒したミカサよりかは気迫が無くて怖くねえなって話だ」

    ベルトルト「なんだ…そういうことか。僕、今の一瞬で君が巨人を彼女にしてプロポーズを申し込んだあと微笑みながら二人でバージンロードを歩いてるとこまで想像しちゃったよ…」

    ライナー「ぷっ、そりゃどこの調査兵団奇行種…」

    アニ「…」

    ライナー「…」



    ライナー「……なんで…さりげなく涙ぐんでんだよ、お前…」

    ベルトルト「ご、ごめん…二人の笑顔が、っ眩しくて…」

    ライナー「何の話だ」


    ベルトルト「たとえ周りから非難されても、僕は君と彼女の仲を応援するよ」グス

    アニ「私は白い目で見とくよ」

    ライナー「おい、巨人と付き合ってる前提で話を進めるな」


    ライナー「アニもどうせノるんなら祝福しろ。それでも仲間か」

    アニ「仲間?はっ、私とあんたの間に絆なんか存在しないよ」

    ライナー「血も涙もねえな」

  21. 21 : : 2015/01/02(金) 19:41:16

    ベルトルト「巨人の彼女を怒らせないようにね。きっと食われるから」

    ライナー「はあ。お前さあ…疲れてんだよ」

    ベルトルト「ぶっ!…そ、その台詞は君が言うべきものじゃ

    アニ「…シッ!静かに」バッ

    ベルトルト「むぐっ」モゴ



    ライナー「どうした。ベルトルトの口臭でも気になったか?」

    ベルトルト「んんん!」モゴゴ

    ライナー「落ち着け、冗談だ」


    アニ「だから静かにしなって…分からない?耳を済ましてみなよ」

    ライナー「……!」ハッ

    アニ「な?音がするだろ」

    ライナー「ああ」

    アニ「誰かがここに近づいてきてる…」

    ライナー「…」


    ライナー「悪い、さっきのは適当に返事した」

    アニ「は?」

    ライナー「はっきり言って、俺の耳にはベルトルトの苦しそうな息遣い以外なんも聞こえねえ」

    ベルトルト「」フガフガ

    アニ「…」
  22. 22 : : 2015/01/02(金) 20:23:53
    ……
    ………


    ライナー「俺に何かを聞かせたいんならまず、ベルトルトの口を塞いでる手をどけろ。うるせえし、顔真っ赤だぞ…」

    アニ「はいはい…」

    ライナー「ついでに、俺の頬も誰かさんのせいで真っ赤だ」ヒリヒリ

    アニ「…」パッ

    ベルトルト「かはっ、はあ…はあ…」

    ライナー「大丈夫か?」

    ベルトルト「何かに目覚めそう…」

    ライナー「よし大丈夫じゃねえな」ペチン!


    ベルトルト「うっ…ビ、ビンタ?」

    ライナー「違う。往復ビンタだ」ペチペチ

    ベルトルト「痛い」

    ライナー「お前が正気に戻るまでの辛抱だ。耐えろ」ペチチチ

    ベルトルト「いっ、いたっ…ちょ、本気で痛いって!」


    アニ「そこらへんにしときなよ…そいつを顔面アンパン男にでもしたいわけ?今度はベルトルトの両頬が真っ赤じゃないか」

    ベルトルト「…」ヒリヒリ

    ライナー「すまん、予想以上に好感触でな。ふくふくしてた」

    アニ「あのさあ…もっと緊張感持ったらどう?今、結構緊急事態なんじゃないの?」
  23. 23 : : 2015/01/02(金) 21:15:04

    アニ「…それと、ベルトルトは後で私の所に来な」

    ベルトルト「えっ…?う、うん」

    ライナー「ベルトルト……今までありがとな」肩ポン

    ベルトルト「不吉な事言うなよ」


    アニ「…(その頬っぺたをふにふにしてやる)」ワクワク

    ライナー「アニ、目を輝かせながら両手を構えるな。お前がそのポージングでいると恐怖しかないぞ」




    コツ、コツ、コツ……



    ライナー「!」

    ベルトルト「い、今のって」

    アニ「さすがに聞こえたか。あれが件の足音だよ」

    ベルトルト「そんな、どうしよう…アニならまだしも僕とライナーじゃ隠れる場所が」

    アニ「は?今なんつった?」

    ベルトルト「あっ…いや、あの」ダラダラ

    アニ「回答次第では技決めてやるよ…しかもエレンにやった大技さ。感謝しな」スッ

    ベルトルト「ぜ、善処します!!」
  24. 24 : : 2015/01/02(金) 22:43:05

    ライナー「こら、揉めてる場合か!そこの…棚の後ろに、ちょうど2人入れそうな隙間がある。お前らはそこに身を潜めてろ!」

    アニ「あんたバカじゃないの?一人忘れてるよ」

    ライナー「俺は…なんとかする」

    ベルトルト「なんとかって…そ、そうだ、三人で詰めて入ろうよ」

    ライナー「馬鹿言え、俺1人で1.5人分はあるぞ」

    アニ「まったくもってその通りだね。そんな暑苦しいことになるくらいならいっそ見つかった方がマシさ」

    ライナー「言い出しっぺは俺だが、なんかムカつくな」

  25. 25 : : 2015/01/03(土) 00:16:10

    コツ、コツ……コンコン


    ベルトルト「うわっ!ノ、ノックしてきた…!」

    ライナー「まずい…時間が惜しい!おら、とっとと隠れろ!」グイグイ

    アニ「うっ」

    ベルトルト「ぐえっ」


    アニ「ねえ…知らないの?乙女に乱暴はするもんじゃないってことを」ジロッ

    ライナー「そうか。なら平気だな、今押し込んでる奴は乙女なんかじゃなゴフッ

    ベルトルト「ラ、ライナァァ!!」




    …ガチャッ 、 ギィィィ

    ???「…」


    ライナー「ぐっ…」

    ライナー「(アニのせいで隠れる暇がなくなっちまった…くそっ、あとで必ず高い高いの刑に処してやるからな)」フラッ

    ???「……ライナー…?」

  26. 26 : : 2015/01/03(土) 13:34:38

    …………
    ……


    ベルトルト「ああぁ大丈夫かな、ライナー…もし相手が教官なら、いくら彼でも営倉行きは免れないよ…」ヒソヒソ

    アニ「まあね。なんたってここ、食料庫だし…罪状は窃盗未遂かな」ヒソヒソ


    アニ「……思ったんだけどさ」ヒソ

    ベルトルト「え、うん」

    アニ「…」

    ベルトルト「…アニ?」



    アニ「というわけで、ここで問題です」ジャ-ジャン

    ベルトルト「えっ」

  27. 27 : : 2015/01/03(土) 18:31:28

    アニ「選択肢の中から正解に近いと思うものを、どれか1つ答えな」

    ベルトルト「えっ、あの…えっ?」

    アニ「第一問…

    ベルトルト「まっ待ってくれ!一体どういうわけで問題が出てくるんだ…?何の脈絡もなさすぎて僕びっくりだよ」ヒソヒソ

    アニ「第一問、食料庫から連想される人物は」ギュ-

    ベルトルト「痛い痛い!頬をつねらないへ!」


    アニ「選択肢は3つ…①サシャ、②サシャ、③サシャ。さあどれでしょう」

    ベルトルト「うう、選択肢がサシャ以外ないじゃないか…」ヒリヒリ

    アニ「で、どれ」ギュ-

    ベルトルト「はんはんへ(③番で」

    アニ「④番?お客さん、通だね」パッ

    ベルトルト「(違う…けど、もうツッコむのも億劫になってきた)」ヒリヒリ

    アニ「いかにも面倒くさそう、って顔してんじゃないよ」ギュギュ-

    ベルトルト「ほへんなはひ(ごめんなさい」

  28. 28 : : 2015/01/03(土) 19:37:02

    アニ「ふう…そう、今廊下で足音を響かせてるのはきっとサシャだ。よくよく考えてみると、この時間帯にここをうろつく奴ってそういないんだよ」

    ベルトルト「でも、教官の見回りとか…」ヒリヒリ

    アニ「それもないね。教官共なら今頃会議室で酔い潰れてるよ」

    ベルトルト「う、嘘だろ?」

    アニ「本当さ。今朝、暇だったからスパイごっこのミッション先に教官室を選んで忍び込んでみたら『今夜の酒盛りが楽しみだ』とか言う声が聞こえてね」

    ベルトルト「朝っぱらから何してるんだ君は」


    アニ「スパイごっこ…周囲に気付かれないよう細心の注意を払いながらミッション先へ

    ベルトルト「も、もっと簡潔に説明できない?」

    アニ「まあざっくり言えば普通入っちゃいけない場所に忍び込む遊び」

    ベルトルト「本当にざっくり言ったね」

  29. 29 : : 2015/01/03(土) 21:49:27

    アニ「やってみると結構楽しいもんだよ。隠密能力が鍛えられるし」

    ベルトルト「それを活かす場は限られそうだなあ…」

    アニ「いいや、日常生活でかなり役立つよ。例えば…相手の弱みを握る時とか」

    ベルトルト「あれ、アニは僕と同じ世界に生きてるんだよね?僕らの日常生活ってそんな殺伐としたものじゃないよね?」

    アニ「昨日は偶然ジャンの弱みを握ったんだ。ついでに脅してやったよ」

    ベルトルト「さらりとすごい事言ってのけるなあ。僕、さっきから震えが止まらないよ。主に恐怖で」

    アニ「あんたもやる?」

    ベルトルト「い、いい。多分隠密に向いてないだろうし…」

    アニ「それは身長がでかくて隠れられないから、という意味で捉えていい?」スッ

    ベルトルト「しまった、墓穴掘った」

  30. 30 : : 2015/01/04(日) 01:05:40

    ベルトルト「ここは話を逸らさないと」

    アニ「なんか言った?」

    ベルトルト「えーっと、あの…初めにやりだしたきっかけを…き、聞きたいなー」

    アニ「んー…私は常に単独行動を強いられてるからね。暇になった時、お喋りして時間を潰す相手もいないんだよ」

    ベルトルト「あっ(察し」

    アニ「だから遊んで暇を潰そうと思って…しっかし独りってのは不自由なもんだね。しりとりもジャンケンも鬼ごっこも出来ないんだから」

    ベルトルト「ごめん話題変えない?」

    アニ「それで思い付いたのがこの遊び…言うなれば、究極の独り遊びさ。話し相手もいないぼっちには最適の遊びだよ」

    ベルトルト「ごめん話題変えない!?」



    …ガチャッ 、 ギィィィ


    アニ「…誰か食料庫に入ってきた…まあ九割九分九里サシャだろうね。あいつならすぐ撒けるだろ」

    ベルトルト「ついさっきまで来ないでほしいと願ってたけど、今は兵食のパンでも分けてあげたい気分だ…サシャありがとう」

    アニ「…本当に明日のパンやるつもり?」

    ベルトルト「やらないよ。ただの”気分”だから」

    アニ「そういうとこ薄情だね」

    ベルトルト「割り切ってると言ってくれ」


  31. 31 : : 2015/01/04(日) 02:07:01

    ???「……ライナー…?」

    ライナー「ぐっ…」



    ベルトルト「ああサシャ…せっかく来てもらったところ心苦しいけど…」

    アニ「あんたに用はないのさ。ほらライナー、早くその芋女を追っ払って…」



    ユミル「おぉ、ライナーじゃねえか」ヒョコ



    ベルトルト「!?」

    アニ「えっ」

  32. 32 : : 2015/01/04(日) 12:11:32

    ユミル「その巨体でピンと来たぜ。どうした、今夜はここがお前の寝床か?」

    ライナー「ユミル…?な、なぜお前がこんな所に…」

    ユミル「そりゃこっちの台詞だ。質問を質問で返すんじゃねえよ」デコピン

    ライナー「うっ」

    ユミル「どうだ、目は覚めたか?」ダハハ



    ベルトルト「ユミル…!?な、なんで彼女がこんな所に…!」

    アニ「落ち着きな。ライナーの発言をリピートしてんじゃないよ」


    アニ「だけどまいったね…ユミル相手じゃ追っ払うのが厳しいのは明らかだ」

    ベルトルト「それどころか、下手したら食料庫に一人でいるライナーを怪しんでここに居座るかもしれない…」

    アニ「どちらにしろ私達はここで様子をうかがうしかないよ。あとはライナーの弁次第さ」

    ベルトルト「ライナー…が、がんばれ」

    アニ「頼むよ、本当…こんな事で私達の関係性がバレるなんてごめんだよ」


  33. 33 : : 2015/01/04(日) 12:59:15

    ライナー「…なんだろうな、 背後から熱い視線を感じる…」

    ユミル「あぁ?なんだって?」

    ライナー「いや、こっちの話だ。気にするな」

    ユミル「ふうん…私が来る前もそうやって独り言いってたのか」

    ライナー「独り言?…言うわけねえだろ。ノイローゼじゃあるまいし」

    ユミル「へえおっかしいなぁ、ここの近くを通った時に中から人の声が聞こえたはずなんだけどよお」チラ

    ライナー「知るか。残念だが、期待しても俺に心当たりはないぞ」

    ユミル「けっ…つれねえなあ。この強情めが」

    ライナー「なんとでも言え」フン

  34. 34 : : 2015/01/04(日) 13:20:51

    アニ「…これはライナーが優勢かな」ヒソヒソ

    ベルトルト「よ、よし。…それにしても、あのユミルに強く出るなんてすごいなあ」ヒソヒソ

    アニ「あの見た目は虚勢じゃなかったってわけだ。たまには役に立つじゃないか、たまには」

    ベルトルト「大事なことだから二回言ったのかな」

    アニ「ああ。普段は私にろくな事しないからね、あいつ」



    ライナー「は、へくちっ。…すまん」

    ユミル「…なんだ今の」

    ライナー「……くしゃみだが」

    ユミル「あー…聞かなかったことにしてやるよ」

    ライナー「そうしてもらえると助かる…」



    ベルトルト「…なんだかあっちに気まずい雰囲気が漂ってない?」

    アニ「そう?気のせいだろ」

  35. 35 : : 2015/01/04(日) 13:22:58

    ユミル「ったく、誰かに変な噂でも立てられてんじゃねえの?」

    ライナー「噂はともかく、”変な”ってなんだ…”変な”って」

    ユミル「だってよ、先ほどビジュアルとは真反対の、違和感の塊でしかないかわいらしーいくしゃみを……げえ、思い出すだけで吐きそウプッ」

    ライナー「っおい、吐くのが早すぎるだろ!大丈夫か?ああ失礼な奴め!」サスサス

    ユミル「へへ、悪いね。つい拒絶反応が…」

    ライナー「本当に失礼極まりねえな」



    ライナー「吐き気は治まったか?」サスサス

    ユミル「っはー…いや全然。あまりの気持ち悪さに途中でくたばるかと思ったぜ。この恨みは一生忘れねえからな」

    ライナー「そうか。元気そうだな」

  36. 36 : : 2015/01/04(日) 15:19:16

    ライナー「でだな…ここには俺以外いないんだ。さあ用は済んだろ、さっさと回れ右して帰れ」

    ユミル「病人になっても冷たい態度は相変わらずか。天下の優等生様が、聞いて呆れるぜ」

    ライナー「御託はたくさんだ。ほらそこ、足元に気を付けろよ」グイグイ

    ユミル「バカ、強引に押すんじゃねえよ!」



    アニ「ユミルがここを出るまで秒読みだね。カウントでも取る?」

    ベルトルト「よかった…これで僕達の秘密は無事守られ


    ユミル「あーっ!みーっけた」

    ライナー「は?」

    ユミル「おい…隠れてる奴がいるだろ。しかし惜しいがケツが丸見えだぞ?まるで頭隠して尻隠さずってのを体現してるみてえだ」ニヤリ



    ベルトルト「ひっ」ガタッ

    アニ「ちょっ、このおバカ…!」

  37. 37 : : 2015/01/04(日) 15:22:12

    ガンッ 、ガタン !…ズズ



    ライナー「…」

    ユミル「ふっ…今の音はネズミだ、とか言うなよ。ありゃネズミよりデカいもんが出す音だぜ」

    ライナー「……ベルトルト、出てこい」



    アニ「…形勢逆転だね」

    ベルトルト「いてて、しまった…」

    アニ「はあ…とりあえず行ってきなよ」

    ベルトルト「うん…アニ、そこから出れそう?」

    アニ「私はあっちにいかないよ。ユミルは人数まで指定してないし」

    ベルトルト「え」

    アニ「ライナーが名指しであんたを呼んだのも私を出ていかせないようにだろ。なにせライナーとの関わりが薄いはずの私が出てけば、余計事がこじれるからね」

    ベルトルト「あ、そっか……じ、じゃあくれぐれも見つからないようにね」

    アニ「あんたみたいなヘマはしないさ。せいぜい死ぬ気で隠れとくよ」

  38. 38 : : 2015/01/04(日) 17:52:17

    ユミル「おーいベルトルさん、愛しのライナーがお呼びだ。観念しろー」

    ベルトルト「…ごめん」ノソノソ

    ライナー「いや…やはりお前が隠れるには無理があったか。俺ほどまでとはいかなくとも、1.2人分はあるよな」



    ユミル「…ぶふっ、ダッハッハッハ!」

    ベルトルト「」ビク

    ライナー「…なんだ、一体何がおかしい」

    ユミル「いやこっちの話だ…くくっ。鎌をかけたら予想以上にうまくいったもんだからさあ」

    ベルトルト「なっ…」

    ライナー「仕組んでたのか」ハァ

    ユミル「そっちが自らはまってくれたってだけだよ」ニヤニヤ


    ユミル「それで、二人して何おっぱじめてたんだ?」

    ライナー「別に深い意図はねえよ。ただ楽しくお喋りしてただけだ」

    ユミル「こんな所でか?なあ、ベルトルさん」フッ

    ベルトルト「二人で年が越すのを…待ってたんだ。さっき静かな場所で越したいなっていう話になって、ここへ…」ダラダラ

    ユミル「へーえ…」

  39. 39 : : 2015/01/04(日) 18:39:22

    ユミル「建前はもう十分だ。本当の目的を教えろよ」

    ベルトルト「コニー並みにしつこいな…」

    ユミル「は?」

    ベルトルト「おっと」ゲフン


    ライナー「本当の目的もなにも、お前と同じ経緯だ。通りがかった時にふらっと寄って入った…それだけだ」

    ユミル「それだけじゃ動機としては薄いんだよなー。静かに過ごしたいんなら、寮の空いてる班室使えばいいだろ?わざわざここを選んだのには理由があったはずだ」

    ライナー「…」

    ユミル「しかも何故かベルトルさんを隠れさせて、独りを装うってところがまた…疑ってくださいつってるようなもんだぜ」

    ベルトルト「…」ダラダラダラダラ

    ユミル「えー、班室と食料庫の相違点…班室は人が出入りするが、食料庫は滅多に人が来ねえ…密会なんかには絶好のポイントだな」

    ライナー「…お前には特技があったんだな。事実無根の妄想を膨らませる、という意外な特技が」

    ユミル「妄言かどうかは最後まで聞いてからにしろって」ヘッ



    ユミル「ひと気のねえ場所…深夜のこの時間帯…こりゃあ…」

    ライナー「…くっ」





    ユミル「お前らデキてんだろ」
  40. 40 : : 2015/01/04(日) 18:45:27

    ベルトルト「えっ」

    ライナー「!?」

    アニ「ぶっ」


    ユミル「ん、なんだ?今誰かが噴き出す音が…」

    ライナー「あー!それよりもだな…お前は何を考えてやがる、頭でも腐ったか」

    ユミル「おいおい、この答えに行きつかない方がどうかしてるぜ。しょっちゅうくっついてて見苦しいとは思っていたが、まさかこんな事になってたとはなあ…」

    ベルトルト「し、心外だな…僕らだって好みの女性のタイプとかはあるよ」

    ユミル「じゃーお前、言ってみろ」

    ベルトルト「えっ…えっと、きれいな金髪に…透き通るような白い肌…」

    ユミル「ライナーじゃねえか」

    ベルトルト「ち、違うよ!…あと、目と口元が凛々しくて…対人格闘が強い」

    ユミル「ライナーじゃねえか」

    ベルトルト「だから違うって!!」

    ライナー「なんだか照れるな」

    ベルトルト「しばくぞ」

  41. 41 : : 2015/01/04(日) 18:55:17

    ユミル「ダッハッハッ!…まあ、ここでの事は内緒にしといてやる。じゃな」タッ

    ライナー「待て、腹黒い笑みを浮かべながら足早に去ろうとする奴をみすみす逃すか!」ガシッ

    ユミル「チッ、離せよ…抱擁するんなら隣に良いお相手がいるぜ?」チラ

    ベルトルト「僕、抱き枕とかじゃないんだけど…」

    ライナー「否定するとこが違うぞ天然。抱き枕どうこうじゃなく、俺達の関係性を否定しろ!」

    ベルトルト「あっ、僕とライナーはそういう関係じゃないんだけど…」

    ユミル「へえ、そういうってどういう?」ニヤ

    ベルトルト「え?あ、うーん……ライナー、どうしよう」

    ライナー「まんまとユミルのペースに乗せられてんじゃねえよ…」


    ユミル「じゃ、私はここらへんで…」タッ

    ライナー「逃がさねえからなこの野郎」ガシッ

  42. 42 : : 2015/01/04(日) 21:07:48

    ユミル「野郎じゃねーっつの。なんだよ、女一人に巨人二体がお相手か?」パシ

    ライナー「それはすまなかった。中身はどうだか知らねえが、お前も設定上は女だったな」

    ユミル「そういうの差別っていうんだぜ。あーこれ、クリスタに報告したら怒るだろうなー」ヘッ

    ベルトルト「ふ、二人とも…」アセ



    ヒュッ…ゴン!



    ユミル「ってえ!……なんだこりゃ」

    ベルトルト「…芋だ」

    ライナー「芋だな」


    ユミル「おい、誰だ私の頭に芋なんか投げつけた奴は」サスサス

    ベルトルト「ぼ、僕じゃないよ」

    ライナー「俺でもないぞ。…きっと神の思し召しだろう。天罰覿面だな」

    ユミル「ふざけんじゃねえ、お前らが投げたんだろ!特にライナー!」

    ライナー「俺かよ…なら聞くが、この至近距離でどこに芋を投げつける余裕があるんだ?」フン

    ベルトルト「ライナー、落ち着けって…ユミルも。犯人は僕らじゃないんだ」

    ユミル「だったら誰が……ん?頭のコブの位置からするに、芋はあっちの物陰から飛んできてるな…」

    ベルトルト「」ギクッ

  43. 43 : : 2015/01/04(日) 21:18:06

    ライナー「棚の上にあったのが転がってきたんじゃないか」

    ユミル「転がる芋にコブができるほどの威力があってたまるか。こりゃぜってー人為的なもんだぜ」

    ベルトルト「(アニ…!なんでユミルに芋なんかを…何か意味があるのか!?)」


    ライナー「人為ってお前、ここには俺達以外いねえんだぞ?」

    ベルトルト「(芋…ユミル…芋…ユミル…)」

    ユミル「ところがどっこい、それはどうかなあ」チラ

    ベルトルト「(……芋ユミル。ああ、違う)」


    ベルトルト「(うーん…芋をぶつけられたユミルと、ぶつけられなかった僕達の違いは…)」

    ライナー「なんだ、勿体ぶらずに早く言え」

    ユミル「へへ…なあ、実はもう一人ここに潜んでん



    ベルトルト「あっ、芋女!!」

    サシャ「はい!?」ガチャッ


    ライユミ「!?」ビクッ




    アニ「ったく…気付くのが遅いんだよ、バカ」ボソッ
  44. 44 : : 2015/01/04(日) 21:44:58

    サシャ「あの!芋女じゃなくて!!」

    ベルトルト「」ビクッ

    サシャ「サシャ・ブラウスです!!」

    ベルトルト「サ…サシャ?あれ、いつの間に…」

    サシャ「私は蒸かしてもおいしくないんですからね!もう…プンプン!」

    ベルトルト「えっ…あ、ごめん…」


    ライナー「サ、サシャか…突然現れたからびっくりしたぞ」

    ユミル「この…ビビらせんじゃねえアホ!」

    サシャ「あっすいません…でも、ベルトルトはすごいですね。私が中へ入ろうとした瞬間言い当てるなんて…超能力ですか?」

    ベルトルト「いや…えーと、廊下は足音がすごい響くんだ。それで、ここに用があるのは君ぐらいかなって…」

    サシャ「へー、あとでその超能力について教えてくださいね!」

    ユミル「駄目だこいつ、全然話聞いてねえ」


    ライナー「サシャは…あれか。お決まりの、盗み食いに来たんだな」

    サシャ「違いますよ、私は食べ物を頂戴しに来たんです」

    ベルトルト「それを盗み食いって言うんだよ」
  45. 45 : : 2015/01/04(日) 22:13:53

    サシャ「それにしても珍しい場所に、珍しい組み合わせですね。何かあったんですか?」

    ユミル「ああ、それがよ…」ニッ

    ライナー「黙れユミル」ガシッ

    ユミル「〜〜!」モゴモゴ

    サシャ「?…」

    ベルトルト「あの、なんでもないから気にしなくていいよ」

    サシャ「そうですか…あーーっ!!!」

    ライナー「いちいち叫ぶな!今度はなんだ!」

    サシャ「そういえばミカサが『アニとユミルを探している。見つけ次第すぐに報告して、絶対』と言っていたのを思い出しました!」

    ベルトルト「ミ、ミカサがアニと…ユミルを?」

    ライナー「何故ユミルまで…」

    ユミル「ん!!」ガブッ

    ライナー「いってえ!!こら、人の手を齧る奴があるか!」

    ユミル「ペッペッ…私は野暮用を思い出しちまった。っつーわけでまたな!ミカサには死んだって伝えといてくれ!」ダッ


    ユミル は にげだした ‼︎ ▼

  46. 46 : : 2015/01/05(月) 01:47:57

    ライナー「おい待て!…くそっ、逃げ足の早い…」

    サシャ「あららー、行っちゃいましたか。ミカサにはなんて報告しておきましょう…食料庫で逃げられた?いや、これじゃ怒られそうですね…」

    ベルトルト「…アニを…二人を見逃す気はない?」

    サシャ「え?なんでですか?」

    ベルトルト「うーんと…さっき鬼のような形相で歩くミカサを見たんだ。多分、その原因は二人にあるんだろうけど…このまま告げ口したら可哀想だなって」

    サシャ「ははあ。激怒しているミカサに居場所を伝えたら、二人の命が危ない…と」

    ライナー「確かにな。説教は頭を冷やした後でもできる」

    ベルトルト「だめかな、サシャ」

    サシャ「うーん…私はお二人に特に恨みはないですし、助けたいのは山々なんですが…うーんん」チラッ

    ライナー「んっ…?」

    サシャ「うーーんん…」チラッ チラッ

    ベルトルト「…?」

    ライナー「…あー、明日、朝食のパンを半分分けてやる。これでどうだ」

    サシャ「わあっ!さっすがライナーの…えっと、デブ!」

    ライナー「喧嘩売ってるのか?」

    ベルトルト「太っ腹って言いたいんだと思うよ」

  47. 47 : : 2015/01/05(月) 02:07:14

    サシャ「あっでも、助けるのが二人に対してパン半分じゃ割りに合わないですね…」チラッ

    ベルトルト「…僕のもあげるから」

    サシャ「ええっパン丸々一個くれるんですか!ありがとうございます!」

    ベルトルト「ああ、うん……なんかもう、どうでもいいや…」

    サシャ「ベルトルトもデ…太っ腹ですね!うーん、パン半分と一個ですかぁ」


    サシャ「……なんだかバランス悪いです」

    ライナー「…分かった、全部やる。これで満足か?」

    サシャ「あざーっす!」ニコォッ

    ライナー「くっ…良い顔しやがって…」

    ベルトルト「笑顔が眩しいな…まるで、キース教官の頭みたいだ」

    ライナー「その例えはどうかと思うぞ」


  48. 48 : : 2015/01/05(月) 18:30:09

    ライナー「とにかく…契約成立だな。記念に手打ちでもするか」スッ

    サシャ「はい!」パァン!

    ベルトルト「うーん、良い音」



    アニ「危険は排除されたみたいだね…」ノソノソ

    サシャ「ア、アニ!そんな所にいたんですか?」ギョッ

    ベルトルト「えっ」

    ライナー「おいバカ…!」


    ベルトルト「で、出てきちゃっていいの?」ヒソヒソ

    アニ「あそこで隠れてるの疲れたんだよ。寒いし」ヒソヒソ

    ライナー「寂しいの間違いじゃゴフッ」ガンッ

    アニ「それにサシャぐらいなら言いくるめられるだろ。…じゃ、がんばって」

    ライナー「げほっげほっ…この、人任せな」ヨロッ

    ベルトルト「ラ、ライナー…」

  49. 49 : : 2015/01/05(月) 18:47:19


    サシャ「どうしたんですか?一瞬、アニがライナーを殴ってるように見えましたが…」

    アニ「幻覚だよ」

    ライナー「はあ……サシャ、実はな、アニは俺達で匿ってたんだ。…な、ベルトルト」

    ベルトルト「う、うん。なんだか困ってたみたいだったから、つい…」

    サシャ「なるほど…さっきの珍しい組み合わせも、そういう事情があったんですね」ウンウン

    ベルトルト「勝手に納得してる…」

    アニ「やっぱりちょろいね。ユミルと大違いだ」

    サシャ「ん?何か言いましたか?」

    アニ「あんたがちょろいねって話」

    サシャ「そうですかー」


    サシャ「……ああーーーっ!!!?」

    アニ「うるさい!!」スパコ-ン


    サシャ「今、恐ろしい事に気がつきました…!」ヒリヒリ

    ベルトルト「すごい…叩かれたことにまったく動揺してない…」

    ライナー「たくましいのか、はたまた鈍感なだけのか」

    ベルトルト「賭けるなら僕は後者で」

    ライナー「俺も」

  50. 50 : : 2015/01/05(月) 18:56:31

    サシャ「あの、真面目に聞いてくださいよお…ミカサがこっちに近づいて来てるんです!」

    ライナー「な、なに?」

    ベルトルト「どうしてミカサだと分かるんだ…?」

    アニ「…嘘だったら承知しないよ」スッ

    サシャ「ほ、本当ですってば!ミカサは基本忍び足気味で、常人と違って足音が全くしないんです…その代わり、息遣いと衣擦れの音が目立つんですよ。それで分かりました」

    ライナー「ひゅう…すげえ聴力だ。それらしいことは言ってるな」

    ベルトルト「これだけの才能に恵まれながら、何故彼女は営倉常連なんだろう…」

    アニ「天は二物を与えない、ってね」

    ベルトルト「なるほど」


    ライナー「しかし妙だな…俺達には何も聞こえないぞ?微かな音なのは分かるが、少しぐらい聞こえたっておかしくはないだろう」

    サシャ「まあ、8割勘ですから」

    ライナー「勘かよ」

    サシャ「舐めないでください、私の勘はよく当たるんです!しかも悪い方のは特に!」

    アニ「ありがたいけどあんまり嬉しくないね、それ」

  51. 51 : : 2015/01/05(月) 19:06:56

    サシャ「今ならまだ間に合います!ここは私に任せて、皆さんは早く逃げてください!ほらほらっ」ドンッ

    ライナー「一体何をお前に任せるんだ…おわっ」フラァ

    ベルトルト「あっ…アニ、危ない!」バッ

    アニ「ん」スッ

    ベルトルト「え、そんな、バランスを崩したライナーを華麗に避けるなんてぐえあっ」


    ライナー「いてて…ん?ベルトルトはどこいった」

    アニ「答えはあんたのケツの下にあるよ」

    ベルトルト「」チ-ン


    …………
    ……
  52. 52 : : 2015/01/05(月) 19:35:27

    ………
    ……………



    アニ「食料庫には居られなくなったね」テクテク

    ライナー「盗み食いするのに邪魔だから、とサシャから厄介払いされた感じも否めないが」テクテク

    アニ「……なるほど、なんかムカついてきたな。あとでライナー・スペシャルでも喰らわせてやろうか」

    ライナー「なんだその技は」

    ベルトルト「アニ…もっとゆっくり歩いてくれ。ちゃんとライナーと僕の間に隠れておかないと」

    アニ「ん…前にエレンとあんたにやった技だよ。ほら対人格闘の時の」

    ライナー「あー、そんな事も……あったか?」

    アニ「しっかりしなよ…なんなら実演してやろうか?」スッ

    ライナー「いや思い出した思い出した。もうはっきりと、鮮明に思い出したぞ」

    アニ「へえ、そりゃ良かった。目が泳ぎすぎて焦点定まってないけどね」


    アニ「ちなみにエレン・スペシャルは床に頭をめり込ませるやつ。今さっき命名した」

    ライナー「エレンが不憫でならないな…」


    ベルトルト「……あの」

    ライナー「ん?」

    アニ「何?」

    ベルトルト「僕達はライナーを先頭にアニ、僕の順で歩いてるわけだけど…先頭はどこに向かってるんだ?」

    ライナー「安心しろ、当てならある。黙って俺について来い」

    ベルトルト「わー頼もしい」

    アニ「じゃ文字通りそうさせてもらうよ」

  53. 53 : : 2015/01/05(月) 19:54:21

    ライナー「ついたぞ」

    アニ「…」

    ベルトルト「ここって…」


    ライナー「更衣室だ。またの名を女子

    アニ「ふんっ」バッ


    ライナー「あぶねっ!おい、最後まで言わせろよ…変なところで区切ったせいで俺が”深夜に女子更衣室を覗きに来た”みたいだろ」

    アニ「それがどうかした?何一つ間違ってないじゃないか」

    ライナー「やめろ、誤解を生むな」

    ベルトルト「…女子・男子共同更衣室。兵舎に風呂の設備は一つしかない。故に時間制で切り替わるから、浴場も更衣室も一応男女共同スペースではあるんだよね」

    ライナー「ああ、つまり俺達が入ってもアニが入っても問題ないってわけだ…それに入浴時間はとっくに過ぎている。人が来る心配もない」

    アニ「でも今日の入浴時間割りって前半女子、後半男子だろ?男子が入った後のはちょっとね…」

    ベルトルト「僕が天窓開けてこようか?空気を入れ替えるだけで結構変わるんじゃないかな」

    ライナー「そこまでしなくとも、別に更衣室ぐらい構わんだろ。ほら入った入った」ガチャッ

    アニ「うわっ」グイ

    ベルトルト「ぐえっ」グイ


  54. 54 : : 2015/01/05(月) 20:45:08

    アニ「また乱暴に押してくるなんて…あんたは学習能力ってもんを持ち合わせてないわけ?」

    ライナー「どっかに落としちまったのかもな。悪い、見つけたら至急俺に届けてくれ」ニッ

    アニ「…心の底からすぐ見つかることを願うよ」

    ライナー「はは…ん?お前、身長伸びたか?」

    アニ「急に何言ってるのさ。…そんなお世辞じゃ私の機嫌は直らないよ」ソワソワ


    ベルトルト「ア、アニ…あの」ギュム

    ライナー「と思ったらベルトルトを踏んでるだけだった」

    アニ「ちくしょう」ガンッ

    ベルトルト「痛っ!?」

  55. 55 : : 2015/01/05(月) 20:47:21

    アニ「なんだか湿っぽいね…ここ」

    ライナー「隣は浴場だしなあ。窓開けるか?」

    アニ「いい。寒い方が我慢できないし」

    ベルトルト「いてて…じゃあ僕が浴場の換気してくるよ。そしたらこっちもマシになるかも」スッ

    ライナー「ああ、すまん」

    アニ「…ベルトルト」ギュッ

    ベルトルト「ぐえあっ…な、なに?」


    アニ「……悪いね」

    ベルトルト「うっううん。いいんだ、僕が勝手にやろうとしてるだけ…だか…ら」バタン


    アニ「ベルトルトが倒れた」

    ライナー「酸素不足だな。お前が服の裾をとんでもない力で引っ張るから、締まった襟で気道が狭窄したんだろ」


    ライナー「つうか、お前のせいでぶっ倒れたっていうのによくもまあ冷静に対応したな」

    アニ「まあね」フッ

    ライナー「褒めてねーよ」

  56. 56 : : 2015/01/05(月) 20:57:48

    ベルトルト「けほっ…じゃあ行ってくる…」ガラッ スタスタ

    アニ「逝ってらっしゃい」

    ライナー「それは誤字か?わざとなのか?」

    アニ「想像に任せるよ」

    ライナー「わざとだな」



    ライナー「ほんの少し前までしおらしく礼を言ってたのが…これだ。優しく接するなら一貫性を持たせろ。ベルトルトが泣くぞ」

    アニ「礼じゃなくて詫びだよ」

    ライナー「大して変わらんだろ」

    アニ「変わるさ。さっきあいつが、浴場へ向かおうと背中を見せた時…上着に私の踏んづけた跡がくっきりと残っててね。さすがに謝らずにはいられなくなったんだよ」

    ライナー「…マジだ。几帳面にきちんと二足揃ってついてやがる…」



    アニ「それよりベルトルトに言わなくていいの?」

    ライナー「何をだ」

    アニ「あんたが人工呼吸して蘇生させたこと」

    ライナー「堂々と嘘つくなあ、お前」

    アニ「今更隠さなくたっていいんだよ。やったもんは仕方ないんだから」

    ライナー「嘘八百を並べたてるな。もし…ベルトルトがこれを聞いていて、勘違いでもされたらどうする?俺達の友情が死活問題に発展しかねんぞ」


    \ …オエエッ!/


    アニ「その心配は今無くなったみたいだよ。よかったね」

    ライナー「」

  57. 57 : : 2015/01/05(月) 23:12:32

    ライナー「俺に恨みでもあるのか…」

    アニ「そんなことないよ。例えあったとしても…たった1つや2つ、1000のことだから」

    ライナー「桁3つも増えてんじゃねーか」

    アニ「やっぱり1万かも」

    ライナー「…」


    ライナー「俺は生きているだけで罪なんだな」

    アニ「そうかもね」

    ライナー「ぶっ…肯定するなよ」

    アニ「いいだろ別に。同じ罪を共有してる奴が他に二人もいるんだから…ライナー、トイレ」

    ライナー「お次は蔑称呼ばわりか」

    アニ「便所行ってくるって言っただけだよ。あんた、卑屈になりすぎじゃない?」

    ライナー「やれやれ…誰のせいだと思ってやがる」

    アニ「ベルトルト」

    ライナー「ちげえよ。お前しかいねえだろうが」

  58. 58 : : 2015/01/05(月) 23:28:34

    アニ「はいはい。…じゃ、行ってくるよ」

    ライナー「待て、一人じゃ危険だろう。俺も行く」

    アニ「こんな年にもなって、用を足すのにお供がいるのかい」

    ライナー「ミカサはお前に遭遇したら容赦なく殺ってくると思うぞ?それこそ…尿意を催してる関係無く、な」

    アニ「分かった分かった、そこまで言うんなら僕にしてやるよ。ほら、おいでポチ」

    ライナー「誰が犬だ…おーいベルトルト!アニと便所行ってくるから、ここで待ってろ!」

    アニ「さっさとしな、ポチ」ガチャッ

    ライナー「こら、先に行くなって…」スタスタ



    …ガラッ


    ベルトルト「はあ、はあ…聞いてくれよ二人とも…。さっき浴槽でその、茶色いモノが浮かんでてさ……僕、てっきりアレかと思って吐いちゃったんだけど、」

    ベルトルト「ってあれ…アニ?ライナー?…どこ行ったんだ?」キョロキョロ


    ベルトルト「…待ってれば戻ってくるかな」

    ベルトルト「ああ、部屋の隅に座ってくれと言わんばかりの木箱がある… あれに座って待とう」スッ

  59. 59 : : 2015/01/05(月) 23:35:03


    ベルトルト「…」

    ベルトルト「…」

    ベルトルト「…」

    ベルトルト「…」


    ベルトルト「……来ない」



    ベルトルト「おかしいな…少し辺りを探しに行くべきか」ガタッ

    ベルトルト「でも行き違いになったら面倒だな…」スッ

    ベルトルト「いや、これだけ待っても来ないっていうことは何かあったんじゃ」ガタッ

    ベルトルト「だけどもうすぐ帰ってくるかもしれない…」スッ



    ベルトルト は この「優柔不断スクワット」を 102かい くりかえしたところで 決断 した。 ▼




    ベルトルト「よ、よし…探しに行こう…!」ハアッ ハアッ…!

  60. 60 : : 2015/01/06(火) 00:04:07

    ベルトルト「はーっ…なんでこんなに息を切らしてるんだろう、僕は……」ガチャッ

    ユミル「よう」ヒョコ


    バタン!


    ベルトルト「…」

    ベルトルト「」ガチャッ

    ユミル「おい、いきなり閉めてんじゃねーよ」


    バタン!


    ベルトルト「…」

    ベルトルト「何か扉を固定する物を探すか…」スス

  61. 61 : : 2015/01/06(火) 11:29:43

    ユミル「おっと、それは聞き捨てならねえなあ!」バァンッ

    ベルトルト「うわっ!?」バッ、ガチャ…


    ベルトルト「!? し、閉まらない…っ!」ガチャガチャ

    ユミル「へっ…いくらやっても無駄だぜ?扉の隙間に私が足をねじ込んでるからな!」

    ベルトルト「くっ…!」


    ガチャ、バンッ!

    ガチャ、バンッ!

    ガチャ、バンッ!



    ユミル「……なあ、私の話聞いてたか?扉の隙間にな、私が足挟ん…ってえ!!待ってこれ、すげえ痛えんだけど!」

    ベルトルト「なんで閉まらないんだ…っ!?」バンッ!バンッ!バンッ!

    ユミル「だから痛えよ!落ち着け、私の左足が壊死してもいいのか?!」ガッ


    ベルトルト「…っ!離せ、よ…!」ググググ

    ユミル「そいつはお断り、だね…っ!」ギギギギ


    ベルトルト「いいから…っ離せって!」

    ユミル「…そうか。分かった」パッ

    ベルトルト「え?」



    バタ-ンッ!



    ユミル「今の押し問答で足抜けたわ。いやー助かった助かった」


    ユミル「ベルトルさーん、ものすげえ勢いで扉閉まったけど大丈夫かー」ガチャ

    ベルトルト「う、うーん…」

    ユミル「だめだ伸びてら」

  62. 62 : : 2015/01/06(火) 12:19:12

    ベルトルト「…ぐっ」

    ユミル「ん、起きたか。気分はどうだ」

    ベルトルト「最悪の気分…」

    ユミル「へー、よかったじゃねえか」ダハハ



    ベルトルト「…あれ、天井が…目の前にある」パチパチ

    ユミル「だろうな。今、お前はロッカーの上で寝てるんだから」

    ベルトルト「え?…いたっ!」ガタッ…ガンッ

    ユミル「頭ぶつけたか。天井との間隔が1mもねえのに起き上がるからだ」

    ベルトルト「うう…うわっ!」ズルッ

    ユミル「ああ、むやみに寝返りは打たない方がいいぞ。じゃねーと…」



    ガタッ…ガッ ドシン!



    ユミル「…床に墜落するからな。ダッハッハ」

  63. 63 : : 2015/01/06(火) 12:57:30

    ユミル「マジで大変だったんだぜー。ベルトルさん、扉を閉めた勢いで後ろに倒れたあと、木箱に頭ぶつけて気絶しちまうんだからさー」

    ベルトルト「…気絶した人間を、なんでロッカーの上なんかに寝かせてたんだ」

    ユミル「ん?ああ、理由?」


    ユミル「邪魔だったから」ケロッ

    ベルトルト「最低だな君は」


    ベルトルト「それをけろっとした顔で言ってのけるとこがまた…尊敬すら覚えるよ」

    ユミル「褒めても何も出ねえぞ?今出せるのは二酸化炭素ぐらいだ」フッ

    ベルトルト「大丈夫、これ皮肉だから」

    ユミル「ジョークを真面目に返すとは…つまんねえ奴だなあ」




    ユミル「…」

    ベルトルト「…」


    ベルトルト「(どうしよう…何話したらいいか分からないし、なにより気まずい…!)」


    ベルトルト「アニ、ライナー…早く戻って来てくれ」ボソッ

    ユミル「は?なんだって?」

    ベルトルト「…なんでもない」

    ユミル「ユミル様、この度は助けていただきありがとうございます?」

    ベルトルト「そんなこと一言もいってないよ」

  64. 64 : : 2015/01/06(火) 16:52:51

    ユミル「にしても、よくこんな穴場見つけたな。おかげで助かったぜ」ニヤ

    ベルトルト「ああ、うん…ライナーがここへ移動しようって」

    ユミル「ライナー?ああ、どうりでお前の存在感がより薄いわけだ。あいつはどこ行った?お前らは常に二人揃ってハッピーセットだろ?」

    ベルトルト「(最後の例え訳が分からないな…いいや、スルーしよう)」

    ベルトルト「…知らない。僕が目を離した隙にいなくなってたんだ」

    ユミル「ふーん…なんだよ、痴話喧嘩でもしたか?」プッ

    ベルトルト「…」



    ベルトルト「(そういえばアニとライナーを探しに行くんだった…けど、これだけ時間が経てば、そろそろ二人とも帰ってくる頃かもしれないな)」

    ベルトルト「(……あっまずい、ユミルを追い出さないと!)」ハッ


    ユミル「?」


    ベルトルト「(ライナーはともかく、彼女とアニが鉢合わせることだけは避けたい…僕達の関係がバレてしまう!)」チラ

  65. 65 : : 2015/01/06(火) 17:26:27

    ユミル「あぁ?どうした」

    ベルトルト「な、なんでもないよ…」

    ユミル「ふっ、なんでもないってことはねえだろ。顔に書いてあるぜ、隠し事してますってなあ?」ガシッ

    ベルトルト「うっ…えっと、そう!さっき浴場にいったら、ゆ、湯船に茶色い物が浮いててさ!」

    ユミル「……は?」

    ベルトルト「それ見て思わず吐いちゃったんだけど…そいつの正体、なんだったと思う?」

    ユミル「…そんなの決まってら。どうせ、う

    ベルトルト「あーーー!」


    ユミル「…」

    ベルトルト「…」


    ユミル「どうせ、うん

    ベルトルト「わーーーーっ!」

    ユミル「んだよ!うる

    ベルトルト「あーあーーっ!」


    ユミル「…せえな……」

    ベルトルト「…あっ」



    ユミル「ったく、なんなんだよ!人の発言を遮りやがって…元はと言えば、お前から振ってきたんだろうが!」

    ベルトルト「ご、ごめん…男子ならまだしも、女子にそういう事言わせるのは気が引けて…」

    ユミル「あー?なんだその無駄な気遣いは。うんこくらい言わせろよ」

    ベルトルト「よくも僕の苦労を水の泡にしてくれたな」

    ユミル「いっけね、ついうっかり☆」キャピ

    ベルトルト「語尾に☆を付けてる時点でうっかりどころじゃなく、故意にやってることがバレバレだよ」

  66. 66 : : 2015/01/06(火) 17:50:15

    ユミル「でもお前が悪いんだぜ?汚物を話題にあげるから…」


    ベルトルト「あ、その茶色いヤツの正体は溶けたチョコだったんだけどね」

    ユミル「それを先に言えバカ」ゴッ

    ベルトルト「かはっ!」


    ユミル「誰だよ、熱々の湯にチョコなんか持ち込んだ奴は。おかげで私の品性が損なわれたじゃねーか」ゴッ ゴッ

    ベルトルト「いっ…うぐ……で、でも、君の品性は最初から無いに等し

    ユミル「黙らっしゃい」バキィッ

    ベルトルト「うあぁっ!?…い、今のってしちゃいけない音じゃないか!骨でも折れてたらどうしてくれるんだよ!?」

    ユミル「そん時は…そん時だ」フワ-ァ

    ベルトルト「欠伸しながら言われても説得力に欠けるぞ!?」

    ユミル「わーったよ。そしたら責任持ってもう片方も折ってやるから…ほら、右腕出せ」

    ベルトルト「出すと思うか?左腕の骨折だけでも十分手痛いのに、「この際だから両腕折ってください!」って僕が素直に出すと思うか?」

    ユミル「だってよ、片方だけじゃバランス悪いだろ?だから…な?」

    ベルトルト「え、ええー…むしろその無茶苦茶な理論で僕に通じると思った君の真意を知りたい…」

    ユミル「なんとなく」

    ベルトルト「そっかー」

  67. 67 : : 2015/01/06(火) 18:24:08

    ベルトルト「はあ…この世界じゃこれから年を越すってのに、もう疲れたよパトラッシュ…」

    ユミル「パトラッシュってなんだ」

    ベルトルト「知らない。予測変換で勝手に出た」

    ユミル「そうか。それより越してるぞ、年」

    ベルトルト「え」

    ユミル「越してるぞ」

    ベルトルト「え」

    ユミル「とうの30分前に越してるぞ」

    ベルトルト「…フ、ファイナルアンサー?」

    ユミル「ファイナルアンサー」コク

    ベルトルト「…」



    ベルトルト「うぅ…っ!」ガクッ

    ユミル「ダッハッハッ!そんな、きれいに膝から崩れ落ちるなって!」バシバシ


    ベルトルト「僕には僕なりの、理想の年越しがあったんだ…。それを…それを無惨にも君の心ない一言が粉々にしたんだよ……」

    ユミル「ぷっ、なんだよ理想の年越しってのは…つうか、いくらなんでもショック受け過ぎじゃねえの?」ゲラゲラ

    ベルトルト「…君だってミカサに追われてなかったら、こんな奴よりクリスタと一緒に過ごしたかっただろ?」

    ユミル「ったりめえだ」

    ベルトルト「わー即答」

  68. 68 : : 2015/01/06(火) 19:02:16

    ユミル「ん?…なんでお前がミカサに追われてることを知ってるんだ?」

    ベルトルト「サシャが言ってたじゃないか。僕達、あの場に居たろ?」

    ユミル「ああ。けど…よくミカサに追われる事が危険であり、クリスタをその危険に巻き込まない為にも私が独りで逃げてることを推理できたなぁ」チラ

    ベルトルト「えっと…その、サシャがミカサの様子を事細かに教えてくれたんだ。ユミルに対して烈火の如く怒ってるっていうのを…」

    ユミル「げえ、マジかよ…まいったなー。まだ怒ってんのか」ポリポリ


    ベルトルト「…ちなみに君は何をやらかしたんだ?」

    ユミル「…君は?」

    ベルトルト「あっ」

    ユミル「まるでアニがミカサに何をしたのか、知ってる口振りだな」

    ベルトルト「そ、それはえーと……」


    ベルトルト「…あの、実を言うと…僕とライナーが食料庫にいたのは、アニを匿ってたからなんだ…」

    ユミル「ベルトルさん、一つ良い事を教えてやる…嘘ってのは少しでも綻びができるとダメなんだ。気を付けた方がいいぞ」

    ベルトルト「…うん」

    ユミル「ま、今の私にはそれがありがたいけどな……っはー、なんだそういう事かよ。あの兄貴風吹かしてるバカのことだ、あいつならやりかねん…」

  69. 69 : : 2015/01/06(火) 19:27:45

    ユミル「今も匿ってんのか?」

    ベルトルト「うん」

    ユミル「じゃあ、現在ライナーはアニと行動を共にしてるってわけだ」

    ベルトルト「うん」

    ユミル「…お前を置いて出てった理由、そういうことかもな」

    ベルトルト「は…?そういうことって?」

    ユミル「だから、二人で今頃あーんなことやこーんなことをだな…って、言わせんなよ恥ずかしい」ダハハ

    ベルトルト「…」



    ベルトルト「それはないよ」

    ユミル「うん?どこにそんな確証があるんだ?」ニヤ

    ベルトルト「君が納得できるような証拠を挙げることはできないけど…それはない」

    ユミル「へーえ…でもお前の理想のタイプだろ?もう少し危機感持ってもいいんじゃねえの」

    ベルトルト「まだそんなこと言ってたのか…あれは



    ユミル「一応解説しとくが、私が言ってるのはアニの方だ」

    ベルトルト「…っえ」

  70. 70 : : 2015/01/07(水) 00:26:44

    ユミル「あいつはお前の条件にがっちり当てはまる…ほら、いいのか?せっかくのチャンスをお友達にとられても」フッ

    ベルトルト「…勘違いしないでくれ。あの時は答えが特に思いつかなかったから、目に付いた人間の…ライナーの特徴を例に挙げただけだ」

    ベルトルト「それに…僕はそういった事へ首を突っ込む気はないよ」



    ベルトルト「…僕達には…そういうものに現を抜かす余裕はないんだ」

    ユミル「うへっ成績上位者め、一丁前に兵士面しやがって…。真面目なこって」

    ベルトルト「そういうつもりじゃ……僕が兵団に従順なのは、自分の意思がないからだ」

    ユミル「へえ、意思のない奴がどうしてここに?」

    ベルトルト「…なりゆきだよ。今は内地の憲兵団狙いでいる」


    ベルトルト「ユミルも…そうだろ?実力は十二分にある。君だって成績上位者だ」

    ユミル「…さあな。私に卒団までこの成績を維持する自信はねえよ」

    ベルトルト「そう…」


    ユミル「…何も言わねえんだな」

    ベルトルト「…?」
  71. 71 : : 2015/01/07(水) 06:31:17

    ユミル「普通…自信がないって言われたら、励ますなりフォロー入れるなりするだろ?」

    ユミル「まあ、これがジャンあたりだったら小躍りして喜ぶとこだろうけどよ」

    ベルトルト「ご、ごめん」


    ユミル「…なんで謝る?」

    ベルトルト「え?………それは君がそういった返事を求めていたのかと、思って…」

    ユミル「ほう、お前には私が根拠のない励ましや甘っちょろい言葉を欲しがってるように見えるんだな」

    ベルトルト「…ごめん」

    ユミル「だからなんで謝るんだよ」



    ベルトルト「……すまない」

    ユミル「もういいよ。めんどくせえ」

  72. 72 : : 2015/01/07(水) 16:57:18

    ベルトルト「…君は強い」

    ユミル「あ?」

    ベルトルト「強く、自分を持ってる」

    ユミル「フン…普段まともに関わったことのない私をそこまで買ってくれてるのか。ありがたいねえ、っと」

    ベルトルト「今日、話した感じから分かる。何も言わなくたって…自分で道を選んで歩いていくような人間だ」

    ユミル「まだ続ける気かよ…」

    ベルトルト「だから、何も言わなかった」



    ベルトルト「……僕が何も言えなかった理由…これじゃだめかな」

    ユミル「ひゅーひゅー、よくできました…私は謝る理由を聞いてたはずなんだがな」

  73. 73 : : 2015/01/07(水) 17:01:49

    ユミル「こうなったら当ててやるよ。えー、お前は常に心にもない事を言っている」

    ベルトルト「えっ、ユミル?何を言って…」


    ユミル「口から出るのはその場凌ぎの薄っぺらい言葉だ。そして発言の動機や内容の意味を問われると、答えられない」

    ユミル「なんてったって深い考えも無く発した言葉だもんな。所詮、やり過ごしたい一心でテキトーに述べたに過ぎない」


    ユミル「こうして答えに詰まった時。ここで出てくるのがお得意の謝罪だ」


    ユミル「どうやら謝る事がその場を治められる手段と考えてるらしいな…?え?お前の場合、謝罪とは言わば無責任な発言をしたツケだってのに」

    ユミル「こうした振る舞いの根源は…うーん、他者との関わりを極力避けることにある。…のかねえ」



    ベルトルト「…」

    ユミル「ざっとこんなもんだろ。そこから先はわかんねえや」


    ベルトルト「ユミルは…僕のことをよく見てるんだな」

    ユミル「はあ?んなわけあるか、私の視界はクリスタでいっぱいだよ。今のはお前の断片をただ読み取っただけだ」

    ベルトルト「そう……でも羨ましいよ。視界を覆う彼女のことが…」

  74. 74 : : 2015/01/07(水) 17:02:50

    ユミル「え、何気持ち悪いこと言ってんだベルトルさん…」



    …ガチャッ



    ベルトルト「あっ」

    ユミル「!」


    ベルトルト「(しまった、アニとライナーのことをすっかり忘れてた……けどユミルに一緒に行動している理由は説明してあるし、もう変に茶化すこともしないだろう)」


    ベルトルト「二人とも、事情が変わった。ユミルは…

    ミカサ「こんばんはー」ヒョコ

    ベルトルト「」

    ユミル「」



    ……
    …………
  75. 75 : : 2015/01/12(月) 02:03:11
    …………
    ……

    時は少し遡って



    ライナー「…おーいベルトルト!アニと便所行ってくるから、そこで待ってろ!」

    アニ「さっさとしな、ポチ」ガチャッ

    ライナー「こら、先に行くなって…」スタスタ




    アニ「便所、便所…」テクテク

    ライナー「…なあ、乙女自称してる奴がそんな言葉遣いでいいのか?」

    アニ「ならなんて言やいいのさ。お花摘みに行ってくる?」

    ライナー「いや、どちらかといえば巨人狩ってくるの方がお前にぴったり

    アニ「…」シュッ

    ライナー「いてっ!背後からとは卑怯な…」サスサス

    アニ「『俺の後ろに隠れてろ』とか言って、先頭きって歩き始めたのはどこのどいつだい。…次、余計な事喋ったらセンターに蹴り喰らわすからね」

    ライナー「センター?センターって…」

    アニ「股」

    ライナー「すみませんでした」

  76. 76 : : 2015/01/12(月) 02:03:59

    ライナー「はあ、容赦ねえな…これならまだミカサのが慈悲深いんじゃないかという希望が頭をよぎりっぱなしだ」

    アニ「フン、笑っちゃうね。あいつの恐ろしさを知らないからそんなこと言えるんだよ」


    ライナー「昔はしょっちゅう俺の後付いて来たのになぁ」

    アニ「あんたが暴走して先に行くから、自然と私達が追っかける羽目になっただけさ」

    ライナー「開拓地じゃ兄弟で通したこともあった」

    アニ「黒歴史だね」

    ライナー「…可愛いげのない妹だ」ハハ…

    アニ「これだけ立派に成長したんだ、兄を気取るならそれだけでもう十分なんじゃないの」

    ライナー「立派に…?あれから身長伸びてんのか、お前」

    アニ「センター…」ボソ

    ライナー「いや昔に比べて見違えるほど伸びたなうんすげえや」

  77. 77 : : 2015/01/12(月) 02:18:23

    アニ「本当、あんたといるとろくな事がないね」

    ライナー「それは気のせいだ」

    アニ「蹴られに来てるんじゃないかってぐらい、癪に障る冗談を言うし」

    ライナー「それは気のせいだ」

    アニ「この前なんか対人格闘の最中にエレンと一緒に絡んでくるし」

    ライナー「それはわざとだ」

    アニ「…」シュッ

    ライナー「痛え!」バシッ



    アニ「昔の私を褒めてやりたいぐらいだよ。でかい泣き虫とこんなの連れてたんだから…」

    ライナー「げほっ…おいおい、あの時引っ張ってたのは俺だろ…」フッ



    ライナー「…何かと三人でいた頃に比べて、今は淋しいんじゃないか?」

    アニ「別に…なんとも思わないね」

    ライナー「…そうか。ならいいんだ」

  78. 78 : : 2015/01/12(月) 02:41:45

    ライナー「だが、俺はたまに…この日々がふと虚しくなることがある」

    アニ「なんだい、ポエムでも発表する気?」


    ライナー「しかも独りで淋しく物思いに耽てる時なんかじゃねえ。見慣れた同期の顔に囲まれて、そいつらと馬鹿やって騒いでる時にだ」

    アニ「…」

    ライナー「外が喧騒に包まれている分、内が空虚なのを痛切に感じてな…この差が大きければ大きいほど、満たされない感情も比例して増していく。悲しいもんだ」



    アニ「…で、自慢?それとも独りでいる私への嫌味?」

    ライナー「……」


    ライナー「すまん…そうだよな、その通りだ…お前からすればそう聞こえるに決まってる。何を言っているんだ?俺は…はは」

    アニ「…」

    ライナー「悪い、話を変えよう」


  79. 79 : : 2015/01/12(月) 02:43:50

    ライナー「こんな事言った後でなんだが…お前はもう少し人付き合いをしたらどうだ。ベルトルトが気にかけてたぞ」

    アニ「あんたに言われたくない、って伝えといて」

    ライナー「ぶっ、そう言わずによ…そうだ、最近ミーナと仲良いよな?」

    アニ「なにそれ…座学で隣席なだけだろ」


    ライナー「あいつはおてんばのくせに、どこか腰が引けている節がある…しかし良い奴に変わりはない。華奢で可憐といった感じはしないが、ああいうのを女子っていうんだろうな」

    ライナー「…いや、女子にしてはやはり淑やかさに欠けるか?」ニッ

    アニ「…やめな」

    ライナー「お前とは違ったタイプだが、そこが合うと思うぞ。あとは…ああ、そういやエレンがもう一度対人格闘の相手をしたいって言ってたな。あの負けず嫌いに火が付くと大変だぜ?まあがんばれよ」

    アニ「やめなって」

    ライナー「それから…



    アニ「やめろ」グイ



  80. 80 : : 2015/01/12(月) 02:44:18

    アニ「……って言ってるのが、聞こえないわけ?」パッ

    ライナー「……」ガクッ



    アニ「ライナー…あんたは残酷だよ。これ以上ないくらい、酷い男だ」



    アニ「私達は一時的な馴れ合いを楽しむためにここへ来たんじゃない。…あんたの周りの人間がかわいそうでならないね」

    ライナー「………あ?…す、すまん」

    アニ「私に謝っても仕方ないだろ。ほら、立ちなよ」

    ライナー「…」

    アニ「みっともないから、早く」

    ライナー「…悪かった。これから発言には注意する…」スッ

    アニ「…ふうん、そいつはありがたいね」

  81. 81 : : 2015/01/12(月) 02:45:11

    アニ「まったく、とんだ道草食っちまった」

    ライナー「こりゃベルトルトに大と思われるな」

    アニ「…あのさ、ついさっき発言には注意するとか言っといて…」


    ライナー「着いたぞ女子トイレ」ピタッ

    アニ「むぶっ」ドンッ


    ライナー「ん、どうした。鼻が真っ赤だぜ」ニヤ

    アニ「…いってくる」ジロ

    ライナー「俺は少し離れた所で待ってるからな」

    アニ「入ってこないでよ」テクテク

    ライナー「間違っても入らねえよ」

  82. 82 : : 2015/01/12(月) 02:45:51

    ライナー「……はぁ」

    ミカサ「ため息をついてどうしたの?」

    ライナー「いやな、別にどうってことはないんだが…」


    ライナー「…」

    ミカサ「…」



    ライナー「ミカサ!!?」ビクッ

    ミカサ「ええ、私はミカサ。こんばんはライナー」

    ライナー「あ、ああ!こここんばんは良い天気だな!」

    ミカサ「…ここから天気の様子は見えない。何を言っているの?」

    ライナー「え?えーと…ほら、日中の話だ!」

    ミカサ「なるほど。何故ここで日中の天気を話題に出すのかは分からないけど、理解した」

    ライナー「そりゃよかった。…それで、何か用か?」

    ミカサ「アニとユミルを探している。二人の行方を知っているのなら教えてほしい」

    ライナー「ぶっ」



    ミカサ「?…どうかした?」

    ライナー「すまん、ちょっと咳き込んだだけだ」コホン


    ライナー「(ミカサめ、単刀直入にも程があるだろ…!)」

  83. 83 : : 2015/01/12(月) 02:48:31

    ライナー「アニとユミル、か…珍しい組み合わせだな。だが、あいにく俺は知らん。ついでにこっちには来てないぞ」

    ミカサ「そう…ありがとう」スタスタ

    ライナー「あ、おう」



    ライナー「別れの言葉も無しに行くとは…まあこっちとしては助かるけどな」


    ミカサ「何が助かるのだろうか」ヒョコ

    ライナー「は!?」



    ライナー「お、お前…!行ったんじゃなかったのか?」

    ミカサ「廊下で突っ立っているあなたを不審に思って戻ってきた。…ライナー、そこで独り何をしているの?」

    ライナー「なにをって……別になにもしてねえよ。ただ便所の帰りだ」

    ミカサ「でも、そこから動こうとしない。何故?」

    ライナー「それはあれだ…ベルトルトが便所から出てくるのを待ってんだよ」

    ミカサ「男子が一緒にお手洗いへ行くなんて珍しい」

    ライナー「あー、俺とベルトルトは一心同体だからな。用を足すタイミングもよく被る」

    ミカサ「…男子はお手洗いを出るのが早いと聞く。けれど、私が独りでいるあなたと出会ってから数分は経つ…やけに長い」

    ライナー「必ずしもそうとは限らねえぞ。…今頃個室で力んでんだろ。踏ん張り時ってやつだ」


    ミカサ「…」

    ライナー「…」

  84. 84 : : 2015/01/12(月) 02:50:11

    ライナー「…普段、エレンしか眼中にないあのミカサが根掘り葉掘り聞いてくるなんてな…まさか俺に惚れでもしたか?」ハハ…

    ミカサ「ところで先ほど…食料庫でサシャに会った」

    ライナー「いやツッコめよ」



    ミカサ「彼女に二人の行方を尋ねたらとても動揺して、何故かあなたとベルトルトの名前を口走った」

    ライナー「話進めんなって…このまま流すつもりか?これじゃ俺が本気で言ったみてえになっちまうぞ」

    ミカサ「サシャは私に何か隠している。そしてあなた達はそれに関係している…」

    ライナー「あーもうだめだ修正利かねえ、完全にナルシストへの道を一歩踏み出しちゃったわ俺」

  85. 85 : : 2015/01/12(月) 02:51:16

    ミカサ「ライナー、あなたは実のところアニとユミルについて何か知っているのでは」

    ライナー「はあ…何回聞いても無駄だぞ?知らんものは知らん。俺から言えるのは以上だ」

    ミカサ「…分かった」

    ライナー「ああ。ご理解感謝するぜ」



    ミカサ「ではベルトルトに聞こう」

    ライナー「…え”っ」



    ミカサ「あなたが駄目ならベルトルトに聞くまで。それでも良い回答が得られない場合は…諦めよう。他を当たる」

    ライナー「お、おい。ベルトルトはいつ出てくるか分かんねえんだぞ」

    ミカサ「平気。承知の上」

    ライナー「…あいつは最近便秘気味でな。下手したら30ぷ…いや、1時間かそこらかかるかもしれん。さすがにそんな長丁場を待つのは苦だろ?」

    ミカサ「いいえ、それは仕方のないこと。これも因果と受け入れる」

    ライナー「…(だめだこいつ、コニーを上回る執念を持ってやがる…!)」

  86. 86 : : 2015/01/12(月) 08:17:17

    ライナー「エレンがミカサを毛嫌いする理由も頷けるな」

    ミカサ「は?」

    ライナー「ゲフンゲフン…分かった、俺の負けだ。…ついて来い」スタスタ

    ミカサ「…それは教えてくれる、という意味?」

    ライナー「来りゃ分かる」スタスタ



    ライナー「(ここは一旦俺がミカサを連れ出すしかねえな…アニにはその隙に逃げてもらおう。少しでも時間を稼げればいいが)」


    ミカサ「ベルトルトは、いいの?」

    ライナー「おっとそうだった……あー、すまん!ちょっとミカサとデートしてくる!…だからといって急がなくていいからな、ゆっくりでいい。じゃ、後で合流しよう!」

    ミカサ「彼は置いていくのね…少しかわいそう」スタスタ

    ライナー「本当にツッコミ入れる気ないんだな、お前…おかげで俺のナルシスト度にますます磨きがかかったぜ」スタスタ




    ……キイ

    アニ「…あんたがミカサに捕まってどうすんだい」ヒョコ

  87. 87 : : 2015/01/12(月) 08:17:42

    ライナー「…」スタスタ

    ミカサ「…」スタスタ



    ミカサ「…これはどこへ行こうとしているの?」

    ライナー「ん…お前の求めている答えがある場所だ」

    ミカサ「…」


    ライナー「(まずいな…兵舎を歩き回って大分経った。そろそろ目的地に着かないと怪しまれる)」



    ライナー「あ」ピタッ

    ミカサ「?」



    ライナー「(やべえ、つい隠れ場所の更衣室の前まで来ちまった…引き返すか?)」


    ミカサ「…何故、立ち止まるのだろうか」

    ライナー「い、いや…なんでもねえ (結論。無理だ)」


    ライナー「(ここは何食わぬ顔で通り過ぎるしかない…)」スタスタ

    ミカサ「…?(この部屋…更衣室?中から声がするような…)」

  88. 88 : : 2015/01/12(月) 08:18:51

    ミカサ「(まさか、こんな夜更けの更衣室に人が…?怪しい。少し中を覗いてみよう)」スッ


    ライナー「(うーん、ミカサをこのままどこへ連れて行くべきか…)」スタスタ…




    ミカサ「…ライナーが行ってしまった」

    ミカサ「(いや、後で追いつけば問題ないはず。さっと中を確認して、さっとライナーを追いかける…これで完璧。さあ早く済ませてしまおう)」


    …ガチャッ


    ミカサ「(…一応、挨拶をしながら入室するべきだろうか。万が一相手が教官だった場合、入室時の挨拶は絶対)」コホン



    ???「二人とも、事情が変わった。ユミルは…」


    ミカサ「こんばんはー」ヒョコ

    ベルトルト「」

    ユミル「」



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  89. 89 : : 2015/01/15(木) 01:47:18

    ミカサ「……ベルトルト」

    ベルトルト「…」

    ミカサ「と、ユミル…」

    ユミル「…」



    ベルトルト「うわーっ!?」

    ユミル「逃げろ!!」ダッ


    ミカサ「逃がさない」ガシッ



    ユミル「くっ…いやだ、こんなとこで死にたくねえ!」ジタバタ

    ベルトルト「なんで僕まで…うぐっ」

    ミカサ「こんな場所にユミルといる時点で共犯。…それと、質問したいことがいくつかある」

  90. 90 : : 2015/01/15(木) 01:47:44

    ミカサ「ベルトルト、その…あなたはふんづまりのはずでは?」

    ベルトルト「?」

    ユミル「クソが中々出ねえ状態のことだよ。要は便秘だ、便秘」

    ベルトルト「ユミル、下品…」

    ユミル「お前の理解力が無いせいだろ。つか、ベルトルさん便秘なのか?」

    ミカサ「ええ。確かな線から聞いた」

    ユミル「ぶっ…嘘だろ、女子かよ!」ダハハ!

    ベルトルト「か、勝手なこと言わないでくれ。確かな線って…一体誰が


    ミカサ「ライナー」

    ベルトルト「え」



    ミカサ「ライナー・ブラウン。彼から聞いた」

    ベルトルト「えっ…」

    ユミル「っははは!そりゃ”確かな線”っていう表現も、もっともだ!」

    ベルトルト「今、腹心の友に裏切られた気分」

    ミカサ「ベルトルト、気を強く持って」

  91. 91 : : 2015/01/15(木) 01:48:08

    ミカサ「そして、現在あなたは男子トイレの個室でふんばっている最中…とも聞いた」

    ベルトルト「ライナー…何がしたいんだ君は…」

    ユミル「じゃあここにいる薄倖面のデカブツは誰なんだよ…っ!」プルプル

    ミカサ「…ドッペルゲンガー?」

    ユミル「ぶはっ!言うじゃねえか、ミカサ」ニイッ

    ベルトルト「ミカサは僕のことが嫌いなのかな…」

    ミカサ「いいえ、普通」

    ベルトルト「そ、そう」



    ミカサ「私にとってあなたは…そう、例えるなら道端に落ちている小石」

    ベルトルト「!?」


    ミカサ「ちょうど人が足を引っ掛けそうな位置にスタンバイしている、忌々しい小石」

    ユミル「ベルトルさん、心当たりがあるなら今のうちに謝っといた方がいいぞ」

    ベルトルト「その台詞、君が言うと重みがあるなあ」

    ユミル「髪の毛10本一気に抜いてやろうか?」

    ベルトルト「なにその嫌がらせ…」

    ミカサ「地味」

  92. 92 : : 2015/01/15(木) 01:49:56

    ミカサ「コホン、話が逸れた。……何故、ライナーはあなたが男子トイレにいる風を装ったのだろうか」

    ベルトルト「僕が聞きたいよ…」

    ミカサ「というより、何故あなたはここに存在してるの?」

    ユミル「なんかすげえ哲学的な問いになったなぁ」

    ベルトルト「さあ…なんでだろう?」チラ

    ユミル「私に聞くなよ」



    ミカサ「なるほど、惚けて白を切るつもり?」

    ベルトルト「えっ」

    ユミル「こいつを庇うつもりは毛頭ないが、私にはそこまで頭を働かせてるようには見えねえぞ」

    ミカサ「まあいい。それなら…ベルトルト」

    ベルトルト「は、はい」

    ユミル「あー今年の104期は話聞かねえやつが多くてまいるぜ、ほんと」

  93. 93 : : 2015/01/15(木) 01:51:54

    ミカサ「あなたは先ほど『二人とも、事情が変わった。ユミルは…』と言った。これは他に仲間が二人いる、ということ」

    ベルトルト「そんなこと、いっ、言ったっけなあ」ダラダラ

    ユミル「嘘つくの下手くそか」


    ミカサ「ベルトルトの仲間といえばライナー。あと一人は…特に思い付かない」

    ユミル「思わぬところで交友関係の希薄さが晒されちまったな」

    ベルトルト「うう…」

    ミカサ「…ので、今のところユミルと関連が強いクリスタかアニと仮定する」

    ユミル「異議あーり。クリスタはともかく、私とアニに関連性なんて1ミリもねえぞ」

    ミカサ「…エレンに何をしたか、忘れたとは言わせない」

    ユミル「はて?なんのことだかさっぱ


    ミカサ「…」ドンッ ‼︎


    ユミル「嘘です目を閉じれば脳裏にあの光景が蘇るぐらいしっかりと海馬に刻ませていただいております」

    ベルトルト「君も逆鱗を床にめり込またクチか…」
  94. 94 : : 2015/01/15(木) 01:53:22

    ミカサ「また脱線した……えー、私はここへ来る前、クリスタが寮の班室でミーナ達と就寝しているのを目撃した。とすると、彼女がこの更衣室へ訪ねてくることはない」

    ユミル「うわ、あいつもう寝ちまったのかよ。はえーなーこの、いい子ちゃんめ」

    ミカサ「よってベルトルトの言う『二人とも』とは、ライナーとアニを指している」

    ベルトルト「…」



    ミカサ「以下のことから推測するに、ベルトルトはライナーと二人でアニとユミルを匿っている…。これは、あなたがアニの居場所を知っているとも言える」

    ユミル「さっすがミカサだぜ!この調子で私を解放してくれ!」

    ミカサ「…ちょっと言ってる意味が分からない。その要望は却下する」

    ユミル「チッ、くそっ!」

    ベルトルト「君の…誰彼構わず、支離滅裂な理屈を意地でも押し付けるその逞しいチャレンジ精神には感服するよ…」

    ユミル「ベルトルさん好きにしていいから!な?」

    ベルトルト「前言撤回。見損なった」

  95. 95 : : 2015/01/15(木) 01:54:08

    ミカサ「ベルトルト自体に価値は……ゲフンゲフン、興味はない。却下」

    ベルトルト「あれ、価値はないって言いかけた?言いかけたよね?」

    ミカサ「そんなことはない。何故ならあなたは大事な同期…いえ、仲間。仲間というのはそばにいるだけで心強い。いわば私達からすればあなたの存在自体が価値そのもの、ということ」

    ベルトルト「…」

    ユミル「ヒュー、ミカサにしちゃ珍しく饒舌だな。その演説には満点をやりたいところだが…」


    ユミル「一つ残念なのは弁を振るってる最中、肝心のベルトルトと一度も目を合わせなかったってことだ。お前、心にもないこと言ってるだろ」

    ミカサ「そんなことはない」

    ベルトルト「…ミカサ、せめて目が合わないのはいいとして、僕に背を向けて話すのは失礼にあたるんじゃないかな…」

    ミカサ「そんなことはない」

    ユミル「いやあるだろ」

  96. 96 : : 2015/01/15(木) 01:55:12

    ミカサ「そんなことよりベルトルト、アニの居場所を教えて」

    ユミル「今の一連のやりとりを”そんなこと”で片付けちまうのか」


    ベルトルト「…あの」

    ミカサ「何?」

    ベルトルト「アニを…見逃してくれないか?ユミルは好きにしていいから」

    ユミル「あっ、てめ…」

    ベルトルト「(お返しだ)」ベ-



    ミカサ「…アニのことはもう怒っていない。むしろ…一言謝りたい」

    ベルトルト「え…ほ、本当に?」

    ユミル「いいっていいって!謝罪なんか、気にすんなよ!」

    ミカサ「あなたは別。全力で許さない」

    ユミル「チッ」

    ベルトルト「いい加減、観念したらどうなんだ…」

  97. 97 : : 2015/01/15(木) 01:56:30

    ミカサ「…あの時」

    ミカサ「三人で班室に入った途端、エレンだけ再起不能なまでにやられていたのは驚いた…けれど、後から聞いた話では彼は『自分で転んだだけだ』と主張したらしい」


    ベルトルト「(エレン…床に頭をめり込ませておきながら、それはいくらなんでも無理があるんじゃ…!)」

    ユミル「(アニに完膚無きまでにやられたのが相当応えたか。あいつ、ミカサの前だと変にプライド高えもんなあ)」


    ミカサ「私の早合点で、初めはアニを一時間ほど追い回してしまったこと…申し訳ない」

    ベルトルト「わーそんなずぼらな言い訳で納得しちゃうミカサちょろい……い、一時間!?」

    ミカサ「ええ」

    ユミル「一時間もの間”あの”ミカサから…うげえ、考えるだけで鳥肌がとまんねえ」

    ベルトルト「仕方ないよ。”あの”ミカサなんだから…」

    ユミル「アニの奴、政府から勲章授与されてもおかしくないんじゃねえの?」

    ベルトルト「うん」

    ミカサ「二人とも、話がある」ドンッ

    ベルユミ「ごめんなさい」

  98. 98 : : 2015/01/15(木) 01:57:19

    ベルトルト「……あれ、三人で班室?」

    ミカサ「うん?」

    ベルトルト「三人で班室って…エレンとミカサと、あと一人は誰だ?」

    ユミル「決まってるだろ。アルミンだよ」

    ベルトルト「おかしいな…アニの話では『エレンとミカサの二人が』って言ってたのに…」

    ミカサ「気が動転していてうっかり見間違えたのかもしれない。よくあること」


    ミカサ「教官でさえ、私達三人で許可を貰いに行った際に『許可を得に来た”男子”はエレン一名』と誤認し、うっかりアルミンを見落としていた」

    ユミル「そりゃ見落としたんじゃなく、アルミンを女子枠で入れてたんだって」

    ミカサ「?…アルミンは男子」

    ユミル「言われなくても存じてるっつの。だが、教官の目にはだな…」

  99. 99 : : 2015/01/15(木) 01:57:58

    ベルトルト「…許可…?」

    ユミル「は?そんなのも知らずにいたのかベルトルさん」

    ミカサ「許可とは、エレンとアルミンを女子寮へ入れる許可のこと。ちなみに私が常時同伴するという条件付きで許された」

    ユミル「ったく特例中の特例すぎるぜ…そんな申し出、普通なら門前払いもいいとこだ」

    ベルトルト「…なのに、なんで許可が下りたんだ?」

    ユミル「どうせあれだろ?ミカサほどの傑物なら男子の二人…いや、男子の一人ぐらい楽に扱えると見越して了承したんだろ」

    ミカサ「でもあの教官、酒臭かった」

    ユミル「職務怠慢じゃねえか。特例じゃなくて酒の勢いの間違いだったわ」

  100. 100 : : 2015/01/18(日) 19:22:02

    ベルトルト「う、うーん…」

    ユミル「何唸ってんだよ。あっ、まさかアルミンが男とは知らなかったか?」

    ベルトルト「…一応、彼とはルームメイトなんどけど」

    ユミル「分かるぜ。女子と同室か、って初めは驚くよな」

    ベルトルト「いやあの」

    ミカサ「ユミル」ドンッ

    ユミル「さーせん」



    ベルトルト「…そうじゃなくて、聞いた話と食い違ってるから混乱してきて…」

    ミカサ「なら、これだけは覚えるといい…私はアニを恨んでいない。彼女を捜しているのは謝罪するため」


    ユミル「」チラ

    ミカサ「…ただしユミルは別」

    ユミル「おいおい勘弁してくれよぉ、まだ天に召されるには早すぎるって」

  101. 101 : : 2015/01/18(日) 19:22:50

    ミカサ「そろそろ然るべき報いを下す時かもしれない」スッ

    ユミル「ん?どうしたアッカーマン訓練兵。物騒な面引っさげちゃってさ」スス

    ミカサ「ユミル…逃げなくていい。私は鉄拳制裁を加えようとしているだけ」ジリジリ

    ユミル「そうか、命の危険を感じるお誘いだな。せっかくだけどお断りしとくぜ」スススス

    ミカサ「いいえ遠慮はいらない…ベルトルト、ユミルを押さえて」

    ベルトルト「えっ」

    ミカサ「早く。でないと、あなたにも鉄拳をお見舞いしなければならない」

    ユミル「クソッ、二対一なんて卑怯な…いいかベルトルさん!私を捕まえたらただじゃおかねえからな、分かったらそこをどけっ」

    ベルトルト「う…あ、えっと」



    アニ「あけましておめでとう」ガチャッ



    ベルトルト「!?」

    ミカサ「あ」

    アニ「…げっ」


    ユミル「しめた、今だ!」ダッ

    ミカサ「ユ、ユミル!」

  102. 102 : : 2015/01/18(日) 19:23:29

    ユミル「愛してるぜアニ!おかげで命拾いした!じゃあなっ」ダダダッ

    ミカサ「くっ…待ちなさい!」ダッ



    バタバタバタ…


    ベルトルト「……行っちゃった」

    アニ「…私、なんかまずいことした?」

    ベルトルト「うーん…ちょっとまずい」

    アニ「あっそう。ちょっとならいいや」

  103. 103 : : 2015/01/18(日) 19:24:17

    ベルトルト「しばらく戻ってくる気配がなかったから心配したよ。どこにいってたんだ?」

    アニ「便所。行く前に伝えておいたじゃないか」

    ベルトルト「あ、あれ…そうだっけ、ごめん」

    アニ「それよりライナーは?姿が見えないけど…まさかかくれんぼでもしてる?」

    ベルトルト「えっ、一緒にいったんじゃ」

    アニ「それが私が女子トイレに入ってる間にあいつ、ミカサに捕まって…そのままどこかへ消えたんだよ」

    ベルトルト「…消えたライナーの謎」

    アニ「ミステリーっぽいね」

    ベルトルト「ね」ニヤ

    アニ「笑いごとじゃないよ」

    ベルトルト「ご、ごめん…」

  104. 104 : : 2015/01/18(日) 19:24:50

    アニ「…さっきから疑問に思ってたんだけどさ、なんでユミルとミカサをここへ招待したの?」

    ベルトルト「ま、招いたんじゃない。…その、強引に入ってきたんだ」

    アニ「ふーん…」



    アニ「本当のところは?」

    ベルトルト「ハーレムを味わいたくて」



    アニ「やっぱり」フウ

    ベルトルト「ち、違う!誤解だ!」

    アニ「自ら告白しといてその言い草はないんじゃない」

    ベルトルト「あれは…!アニがフッってくるから、ついノッちゃったというか…ちょっとした冗談で」



    アニ「じゃ、本当のところは?」

    ベルトルト「女の子をはべらせたかった」



    アニ「弁解の余地なし」フウ

    ベルトルト「冷酷!」

    アニ「二回目も似たような回答したんだ、あんたがクロなのは決定的だろ」

    ベルトルト「本心で言ったんじゃないよ!あれもノリであって…ほら、たまにあるだろ。その場の逆らえない流れとか雰囲気とかが…」

    アニ「…」

    ベルトルト「……あるだろ?」

    アニ「何が」

    ベルトルト「なんかこう……あるだろ!?」

    アニ「だから何が」

  105. 105 : : 2015/01/18(日) 19:25:20

    ベルトルト「そもそも二人を女子という枠に捉えていいのか?」

    アニ「あんたもなかなか冷酷だね」

    ベルトルト「だって…あの二人から”女の子”って感じする?」

    アニ「…」


    アニ「ごめん、私が間違ってた」

    ベルトルト「あ、うん」



    アニ「確かにあれは別枠だね」

    ベルトルト「そうだね…これ以上言ったら怒られそうだ」

    アニ「ライナー捜すか」

    ベルトルト「うん」

    アニ「じゃ、いってらっしゃい」

    ベルトルト「えっ」

    アニ「えっ、じゃないよ。私はミカサがいて下手に動けないの、分からない?」

    ベルトルト「ああ…その件だけど、ミカサは君に怒ってないみたい」

    アニ「は?…明日雪でも降らすつもり?」

    ベルトルト「エレンが『自分で転んだ』って言い張ったおかげで、あの惨事はアニのせいじゃないと納得したらしいよ」

    アニ「ミカサちょろいね」

    ベルトルト「シッ」

  106. 106 : : 2015/01/18(日) 19:26:08

    ……………
    ………



    アニ「ライナーを捜索して早5年…」テクテク

    ベルトルト「まだ5分しか経ってないよ」テクテク


    アニ「私にはそれぐらいに感じられるんだって。ライナーどころか誰とも遭遇しないんだから…まったく、暇でしょうがないよ」

    ベルトルト「うーん…」

    ベルトルト「あ、そういえばアニが更衣室に戻って来た時、第一声が『あけましておめでとう』だったのはなんで?」

    アニ「それは…私はライナーのせいでトイレの個室で新年迎える羽目になったからね。先に戻ってるであろうあいつに軽い皮肉を込めて言ったのさ」

    ベルトルト「そ、そう…」


    アニ「…なんか思い出すだけで腹立ってきた」

    ベルトルト「わ、話題変えようか!」

  107. 107 : : 2015/01/18(日) 19:26:36

    アニ「へえ。次のお題はなに?」

    ベルトルト「…」

    アニ「…考えてないのに提案したのかい」

    ベルトルト「いっいや……えっと」


    ベルトルト「それじゃあ今から僕が質問を受け付けるコーナーで」

    アニ「何言ってんのあんた」



    ベルトルト「ほら、質問ない?些細な事でも構わないから」

    アニ「宇宙の起源」

    ベルトルト「初っ端から壮大なテーマだね。だけどごめん、そういう専門的知識を要するモノは受け付けてないんだ」

    アニ「人は何故生きるのか」

    ベルトルト「ごめん、そういう哲学的なモノも受け付けてないんだ」

    アニ「ユミルの名字」

    ベルトルト「ごめん、そういう長年の謎も受け付けてないんだ」

    アニ「明日の天気」

    ベルトルト「ごめん、分からない」



    アニ「使えない…」

    ベルトルト「ごめんなさい…」

  108. 108 : : 2015/01/22(木) 00:27:23

    ベルトルト「もっと…明確な答えがあるもので…且つ、僕が回答できるものがいいな」

    アニ「注文が多いな……じゃあ、あの二人とどういう会話をしてたの?あんたがライナー以外と喋ってるの、まったく想像できないんだけど」

    ベルトルト「そ、そんな、僕だって喋る時は喋るよ…でも三人でいた時は特に深い話はせずに、専らユミルVSミカサみたいになってたかな」

    アニ「仲間はずれにされたんだ」

    ベルトルト「温かく見守ってたんだよ」


    アニ「…ぼっち」

    ベルトルト「…」

    アニ「ごめんって」



    ベルトルト「ユミルとはじっくり深ーい話をしたよ」

    アニ「無理に嘘つかなくてもいいから」

    ベルトルト「ほ、本当だってば…実は僕、最初はユミルと二人きりでいて、それからミカサがやって来たんだ」

    アニ「…」


    ベルトルト「今、変なこと考えた?」

    アニ「いや、別に。…だけどこれだけは言わせてもらうよ」



    アニ「たとえひと気のない更衣室に女を連れ込んで深ーい二人の時間を過ごしていたとしても、私はあんたが純粋であると信じてるからね」

    ベルトルト「うん、それ完全に疑ってるよね」

  109. 109 : : 2015/01/22(木) 00:59:00

    ベルトルト「よく考え直してほしい。ユミルは女子枠から外れた存在であり、君もそれを認めてたはずだ」

    アニ「あ、そうだった」

    ベルトルト「つまり”ユミルと二人きり”といっても、男と男が二人でいるのと同等なんだよ」

    アニ「あんた、普段からそんなに毒舌だったっけ?」

    ベルトルト「ユミルとは色んな話をしたなぁ…」

    アニ「話逸らすの下手すぎ」



    ベルトルト「ユミルとは、色んな話を…」

    アニ「分かった分かった、そこまで言うんなら聞いてやるよ……で、何について話したの」

    ベルトルト「あ、えーと…気絶させた僕をロッカーの上で寝かせたことについて、とか…」

    アニ「…」

    ベルトルト「あと、僕の腕をへし折ろうとしたこととか」

    アニ「…」

    ベルトルト「それから…」

    アニ「もういい。とりあえずこのハンカチで涙拭いたら?」スッ

    ベルトルト「えっ、僕泣いてないけど」

    アニ「遠慮しなくていいよ」グイ

    ベルトルト「う、うん…?」ゴシゴシ


    アニ「ついでにいいこと教えてやる。それは楽しいおしゃべりなんかじゃなくて”いじめ被害者の悲痛な訴え”っていうんだよ」

    ベルトルト「僕、いじめられてたの?」

    アニ「どう考えてもそうだろ」

    ベルトルト「そ、そうなんだ…」

  110. 110 : : 2015/01/22(木) 21:52:43

    ベルトルト「でも友達みたいな会話もしたよ」

    アニ「ふーん。内容は?」

    ベルトルト「…将来の話とか。それと君も…少し出てきたかな」

    アニ「は?私を話題に出したわけ?」

    ベルトルト「僕から振ったんじゃないんだ、ユミルが話してきたんだよ」

    アニ「ユミルが、ねえ…。変なの、あいつとは別段親しくもないのに」

    ベルトルト「め、珍しいよね。本当…」



    アニ「噂されるのはあんまりいい気がしないな。特にユミルが相手じゃ、余計ね」

    ベルトルト「どうして?」

    アニ「どうしてって…それは愚問じゃない?ユミルはどこか信用ならないだろ」

    ベルトルト「…確かに、自分のことを優先しようとするけど…根は優しいんじゃないかな」


    アニ「…何を吹き込まれたんだい」

    ベルトルト「そういうんじゃないよ。話した時の印象から、勝手にそう感じただけだから」

    アニ「へえ、どんな話をすれば称賛されるような人格者に成り上がるんだか」フン

    ベルトルト「…詳しくは言わないけど」

  111. 111 : : 2015/01/22(木) 21:53:30


    ベルトルト「彼女は僕を…見つけてくれた気がした」


    アニ「…」

    ベルトルト「ただ、それだけ」



    アニ「……ユミルとはもう話さない方かいいよ」

    ベルトルト「え、なんで?」

    アニ「なんでも。というか金輪際関わるのはやめな。それでこの話は終わり」スタスタ

    ベルトルト「ア、アニ?」スタスタ



    ベルトルト「あの…」

    アニ「…」

    ベルトルト「大丈夫だよ」

    アニ「…」

  112. 112 : : 2015/01/22(木) 21:54:36

    ベルトルト「…僕達が背負ってるものは、下手に人に打ち明けられないし、誰にも理解されないものだ」


    ベルトルト「その分周りが遠く見えて…なんでもかんでも他人事のように感じる」

    アニ「…まあ、どうせ皆いなくなるしね。群れたって仕方ないよ」

    ベルトルト「でもそうやって心底で客観してるのを、ユミルに見抜かれたんだ」

    アニ「…」

    ベルトルト「もしかしたら、そのうち彼女が僕達の秘密にも勘付く日が来るかもしれない…」

    アニ「大げさな。あるわけないだろ、そんなの」


    ベルトルト「だとしても僕は、彼女に何の感情も抱かないよ。…もちろん今も」

    アニ「ああ、そう…」

    ベルトルト「今が辛くて淋しいのは三人一緒だ。だからこそ、僕達は



    アニ「…二人じゃないの」

    ベルトルト「…え?」

  113. 113 : : 2015/01/22(木) 21:55:03

    アニ「あんたさ、ライナーと一度話し合ってみたら?」

    ベルトルト「?…それは、一体どういう…」

    アニ「私の言う事に従えばいずれ分かるよ」スタスタ

    ベルトルト「ま、待ってくれ。ちゃんと説明して欲しい」ガシッ

    アニ「…」



    アニ「二手に別れよう」

    ベルトルト「えっ」


    アニ「その方が捜すのに効率いいでしょ。あんたそっち、私こっち」

    ベルトルト「あっうん…っていやあの、流れぶった切りすぎじゃない?僕の質問は?」

    アニ「じゃ」スタスタ

    ベルトルト「僕の質問は!?」

  114. 114 : : 2015/01/25(日) 16:43:58

    アニ「やれやれ…なんて奴に毒されてんだか、あいつは」スタスタ

    ミカサ「ねー」スタスタ


    アニ「…」ピタッ

    ミカサ「こんばんは、アニ。…いえ、それともおはよう?」

    アニ「そんなのどっちだっていいよ」スタスタスタ

    ミカサ「待って。何故バックしながらすごい速さで私の元を離れるの」

    アニ「つい反射的にね」

    ミカサ「そう…」スタスタ

    アニ「ついてこないでよ」



    ミカサ「アニ、怖がらなくていい。私はミカサ」

    アニ「知ってる」

    ミカサ「あなたの友達。…多分」

    アニ「そこは無理にでも断言するべきじゃないの」

    ミカサ「ごめんなさい。あなたが友達と呼べる関係かどうか、ちょっと迷った」

    アニ「ずいぶんな理由だね」

    ミカサ「私は謝罪しに来たの」

    アニ「なんの前置きもなく本題に入る気?」

    ミカサ「あの時の惨劇を…エレンは自分で転んだせいだと言っていた。なので、アニは無関係」

    アニ「あー、うん」

    ミカサ「しかし私は早とちりをして、無関係のはずのアニを散々追い回してしまった」

    アニ「あの鬼ごっこか…醒めない悪夢を見るようだったよ」

    ミカサ「だから…sorry」

    アニ「急に他言語を持ち出してきたね。思いの外、発音も良くて怒る気も失せるよ」

  115. 115 : : 2015/01/25(日) 16:44:47

    アニ「あんたさ、一応東洋人の血を引いてる設定だろ」

    ミカサ「そしてもう一つ話がある」

    アニ「一方的に喋るのマイブームなの?」


    ミカサ「ユミルを捜すのを手伝ってほしい」

    アニ「…悪いけど断

    ミカサ「ありがとう。アニはとってもいい人」

    アニ「そんなあんたは都合のいい人だね」



    アニ「私は暇じゃないんだ。手を借りたいなら他の奴を当たりな」

    ミカサ「…」

    アニ「…何、まだなんかある?」


    ミカサ「とても忙しそうには見えない」

    アニ「…いいや、めちゃくちゃ忙しいよ。それこそ、こっちが猫の手も借りたいぐらいにね」


    ミカサ「では私が力になる。その代わり、私のことも手伝ってほしい」

    アニ「あー、そういうことじゃなくてさ、うん」

    ミカサ「まず、猫を誰かから借りてくればいいのね」ダッ

    アニ「そういうことじゃないんだよ」

  116. 116 : : 2015/01/25(日) 16:56:21

    ミカサ「借りてきた」ダッ

    アニ「あんた仕事早すぎ」


    アニ「ん?その猫、微動だにしないけど…生きてる?」

    ミカサ「ええ、生きて”た”」

    アニ「…た?」

    ミカサ「た」コクリ



    ミカサ「正確に言うと、6年ほど前までは生きてた」

    アニ「…そのこころは」


    ミカサ「剥製だから」ニャア

    アニ「きもちわるっ」バシッ



    ミカサ「ひ、ひどい…アルミンの私物をはたき落とすなんて」アワアワ

    アニ「だって気持ち悪いし……え?それがアルミンの私物?」

    ミカサ「うん。アルミンの元、飼い猫らしい」

    アニ「よくもとんでもない衝撃発言かましてくれたね」

  117. 117 : : 2015/01/26(月) 01:22:54

    ミカサ「とても大事にしていたので、死後も肌身離さず持ち歩いているらしい」

    アニ「幼いアルミンに剥製の技術があったなんてね。寒気がしてならないよ」

    ミカサ「アニ、冷え性?」

    アニ「そっちの寒さじゃなくてさ…」


    ミカサ「とにかく、これで私を手伝ってくれるのね」ニャア

    アニ「どうかな」

    ミカサ「ありがとう。では行こう」ガシッ

    アニ「あんた難聴なの?」ズルズル



    ミカサ「作戦はこう。あなたが前に立って歩き、ユミルを見つけ次第、後ろで潜んでいる私に知らせて…捕獲。いい?」

    アニ「それよりこの手を離してほしいね」ズルズル

    ミカサ「はい、GO」パッ

    アニ「…せめてドイツ語喋りなよ」

  118. 118 : : 2015/01/26(月) 01:28:00

    アニ「そういや、なんでミカサはユミルを追ってるわけ?」テクテク

    ミカサ「シッ、だめ。ユミルに気付かれる」ボソボソ

    アニ「少しぐらい平気でしょ。今のところ見当たらないし」



    ミカサ「……ユミルは、してはならないことをした」シュタッ

    アニ「ちょっと待って。あんた今どっから出てきたの」


    ミカサ「簡潔に言うと、気絶していたエレンのお腹に落書きをしていったの」

    アニ「あのさあ…今、天井から現れたように見えたんだけど……は?落書き?」

    ミカサ「ええ。それも油性ペンで」

    アニ「…油性ペン」

    ミカサ「ほら、持ち物に名前を書く時に使う…水では簡単に落ちない憎いヤツ」

    アニ「なんなのかは知ってるよ。けど、それって確実にこの世界にないよね」

    ミカサ「いやマッキーさんとか、ネームペンさんとかいう人が既に開発している可能性が無きにしも非ず」

    アニ「そんなことあってたまるか。というかマッキーは水性マーカーの名称だよ。油性マーカーを言うならハイマッキーだろ」

    ミカサ「アニはこの世界に存在しないはずのモノにやたら詳しいのね」

    アニ「くっ…!」


  119. 119 : : 2015/01/26(月) 22:58:28

    ミカサ「私の勝ち」

    アニ「これって勝ち負けがあるの」

    ミカサ「…」ドヤァ

    アニ「あ、なんだか今、ものすごくミカサに蹴りをいれたい気分」


    ミカサ「やりたいのなら殺ればいい…受けて立とう」スッ

    アニ「冗談だよ。頼むから血走った目でこっち見ないでくれる?」



    アニ「あんたといい、アルミンといい…エレンといい、個性の強い者同士で固まっちゃって。よく友達やってられるね」

    ミカサ「友達ではない」

    アニ「は?」

    ミカサ「彼らは幼馴染であり、家族であり…信頼できる仲間とも言える」

    アニ「…あっそう」



    アニ「しかしまあ、その濃い面子でいたらいつか飽きが回ってきそうだ」

    ミカサ「いいえ。2人とならいつまでも、楽しく過ごせる自信がある」

    アニ「…喧嘩したことはないの?」

    ミカサ「意見の相違は…ないとは言えない。けれど、それが原因で対立することはない」


    ミカサ「たとえ喧嘩したとしても、せいぜい一時間持てば良い方だと思う。すぐに仲直りするから」

    アニ「へえ、ずいぶん仲がよろしいようで」

    ミカサ「ありがとう」

    アニ「…どういたしまして?」

  120. 120 : : 2015/02/01(日) 15:18:32

    アニ「……そういえば私にも幼馴染がいるんだ。…ちょうど二人」

    ミカサ「すごい、偶然」

    アニ「昔はそいつらとよく一緒にいてさ…それこそ、今のあんた達みたいにね」

    ミカサ「…」

    アニ「私にそういったのは似合わないって言いんたいんだろ?分かってるよ」

    ミカサ「いいえ…とても、良いと思う」


    ミカサ「アニはいつも独りでいる…ので、人付き合いが嫌いなのかと勘違いしていた」

    アニ「そうかい。まあ、あいにくその幼馴染とは疎遠になってるけどね」

    ミカサ「それは残念…。二人は今どこへ?もしかして、兵団にいる?」

    アニ「…5年前、故郷に置いてきた」

    ミカサ「…そう」

  121. 121 : : 2015/02/01(日) 15:19:14

    アニ「あんたはさ」

    アニ「自分達三人の関係が、未来永劫続くと思う?」

    ミカサ「…うん?」

    アニ「いくら仲が良いと言えど、二人が何を考えてるのか分からない時くらいあるだろ」

    ミカサ「まあ…否定はしない」

    アニ「そういったわだかまりは、いつしか大きな壁になる」


    アニ「それにこのご時世だ。何かのはずみで三人ばらばらになることも、ないわけじゃない」

    ミカサ「…」

  122. 122 : : 2015/02/01(日) 15:22:07

    ミカサ「問題ない。そうなる前に私が阻止する」

    アニ「阻止って…」

    ミカサ「だいたい物事というのは悪い方に考えていると、本当に悪い方へ落ちていくもの…だと思う」


    ミカサ「”この関係に終わりがある”と考えながら行動すれば、壁ができ、ゆくゆくはばらばらになってしまうのも当然」

    アニ「…」

    ミカサ「けれど私達は終わらない。…それに、これから三人で過ごす時間に比べたら、そんな不安はすぐに吹き飛ぶ」

    アニ「…へえ」

    アニ「(これがあんたと私達の違い、か)」



    ミカサ「…そうだ、帰らないと」スタスタ

    アニ「え、どこ行く気?」

    ミカサ「あなたと話していたら思い出した。私は、エレンとアルミンに何も言わずここまで来ていたの」

    アニ「ひどいね」

    ミカサ「ユミルへの制裁は次にとっておくことにする。それじゃあおやすみなさい」スタスタ

    アニ「あー、はいはい…」


  123. 123 : : 2015/02/01(日) 15:24:22

    アニ「…嵐のように来ては去っていったな……はた迷惑な奴」


    ミカサ「アニ」ニュッ

    アニ「っえ」ビク


    ミカサ「今日、あなたの新しい一面が垣間見えた気がする。話していて楽しかった」

    アニ「びっくりさせないでよ…言いたいことはそれだけ?」

    ミカサ「これを機に、周りと打ち解けてみるのも良いと思う。きっと皆喜んで受け入れてくれる」

    アニ「…」

    ミカサ「言いたいことはそれだけ。…では、今度こそおやすみなさい」スタスタ



    アニ「……どうだろうね」
  124. 124 : : 2015/02/14(土) 07:50:57
    …………
    ……



    ユミル「はー…」

    ユミル「(なんとか逃げきったはいいが…問題は、ここからどうやって女子寮に帰るかだな)」

    ユミル「渡り廊下は一つしかねえし、そこで待ち伏せでもされてたら…ん?」


    ライナー「おかしい…なんでだ…」ウロウロ


    ユミル「…まさかとは思うけどよ、あそこでウロウロしてる筋骨隆々の不審者は」

    ライナー「あ?」

    ユミル「さーせーん人違いっしたー」スタスタスタ

    ライナー「こら待て!」ガシッ

    ユミル「ぐえ」

  125. 125 : : 2015/02/14(土) 07:51:43

    ユミル「けほっけほっ…なんだよ、離せって」

    ライナー「お前…まだミカサに捕まってなかったんだな…そうだ、ミカサを見なかったか?さっきまで一緒にいたんだが」


    ユミル「ふんっ!!」バチ-ン!!

    ライナー「うっ!?」


    ユミル「おお、きれいに決まった」

    ライナー「っ、何の前触れもなしに平手打ちを喰らわすとはどういう了見だ!?」

    ユミル「さっきまで一緒にいたっつーことは、ミカサの手先かと思って」

    ライナー「……それと平手にどういう関係が?」

    ユミル「いや、関係性はない。今のはなんか無性に引っ叩きたくなったからやっただけだ」

    ライナー「馬鹿じゃねえの」

  126. 126 : : 2015/02/14(土) 07:52:22

    ユミル「こっちはずっと追われる恐怖にさらされてんだよ。特に理由のない暴力ぐらい耐えろ」

    ライナー「それ完全に八つ当たりだろ」

    ユミル「つか、なんでミカサといたんだ?やっぱあいつとグルなんじゃ…」スッ

    ライナー「違う、むしろ逆だ。いいから構えを解け」

    ユミル「逆だあ?まさか、私みたいに何か仕出かしたのか」

    ライナー「……うーん…仕出かしたのは俺じゃないんだが」

    ユミル「あ、そういやアニを匿まってたんだっけ」

    ライナー「っえ」

    ユミル「ベルトルさんから聞いたぜ。ったく、正義漢ぶっちゃって」フン

    ライナー「…(よりによってユミルにバラしたのか…なにやってんだあいつ)」



    ユミル「だが残念だったな、ミカサの怒りの矛先はもうアニに向いてねえよ。今は私めがけて一直線だ」

    ライナー「は…?そ、そりゃ本当か?」

    ユミル「当然。アニの件はなんやかんやあって結果的にエレンが庇う形で落ち着いたのさ」

    ライナー「…ほう……エレン様々だな」

  127. 127 : : 2015/02/14(土) 07:52:54

    ユミル「あーあ。ミカサのやつ、ついでに私のことも許しゃいいのに…な、そうは思わねえか?」

    ライナー「…お前の罪状による」

    ユミル「罪?なあに、軽いもんさ。エレンの腹に落書きしたってだけの、茶目っ気溢れるかわいーい悪戯で…」

    ライナー「バカ、可愛げのかけらもねえよ。むしろミカサのエレン相手にそこまでやるとは、恐ろしくて敵わん」

    ユミル「なんでだよ。私はただ、奴の腹に『巨人のエサ 志願者』って書いただけだぞ?」

    ライナー「ぶっ!おま……エ、エレンに恨みでもあるのか?」

    ユミル「いんや…けど、そうさせた原因はあいつにあるんだ。私は何も悪くない」

    ライナー「本当かよ」

    ユミル「そう疑心を抱きなさんな。こればっかりは嘘じゃねえって…えーと、あの時…」



    ユミル「私が部屋のベッドで心地よーくウトウトしてると、それを邪魔するかの如く唐突に物音がしてさぁ」

    ライナー「…ああ、お前もアニやミカサと同室だったんだな」

    ユミル「見ればエレンが床に頭めり込ませながらブリッジしてたんだよ。…本当だぞ?」

    ライナー「分かってる、事情は把握済みだ」

    ユミル「ならいい。…すると途端にアニが部屋を飛び出していって、それから後を追うようにミカサが……」


    ユミル「これで部屋に残ったのは私とエレンの二人っきりだ」

    ライナー「二人きり、か…。普通なら恋の予感でもしそうな単語だが、お前の口からは嫌な予感しかしねえな」

  128. 128 : : 2015/02/14(土) 07:53:37

    ユミル「でさ、ブリッジするとさ、服がめくれて必然的に腹があらわになるじゃん?」

    ライナー「ん…まあな」

    ユミル「そうするとそこに落書きしたくなるじゃん?」

    ライナー「ん、まあ……いや、ならねえならねえ」


    ユミル「っつーわけで、私はその腹チラ誘惑に負けてついエレンを犯しちまったのさ」

    ライナー「語感が危険なにおいを醸し出してるぞ」

    ユミル「いやーミカサには悪いが、なかなか気持ち良かったよ。やった後の達成感といったらもう…」

    ライナー「あー、こりゃ怒られても仕方ねえわ」

    ユミル「ええ?落書きの文句に誤りはねえだろ。あいつマジで死に急いでるし」

    ライナー「ミカサが怒ってるのはそれ以前の問題だ…なあ、他人の腹に落書きしようなんざ考える時点で重大な誤りを犯してるんだぞ?」

    ユミル「固いこと言うなって。要はちょっとスパイスのきいた皮肉だよ、皮肉」

    ライナー「ちょっとどころじゃないけどな。むしろてんこ盛りに近い」

    ユミル「ひゅう、気前いいねえ」

    ライナー「出してんのお前だろが」

  129. 129 : : 2015/02/14(土) 07:54:22

    ユミル「あ、そーだそーだ。正義漢ぶってるあんたにもれなくいい仕事があるんだが…」

    ライナー「別にぶってねえよ…なんだ」

    ユミル「おら、耳貸せ」グイ

    ライナー「ぐえ」


    ユミル「な、ブラウンさんよ…ちょっくら女子寮まで来ないか?」コソ

    ライナー「…」


    ライナー「他を当たれ」プイ

    ユミル「は?なんでだ……あっ、夜這い頼んでるわけじゃねえぞ!」

    ライナー「俺にそんな趣味はない…それに、どうせならもっと可愛い子が」ハァ

    ユミル「夜這い頼んでるわけじゃねえぞー」グイ

    ライナー「やめほ、頬がちぎれふ」グイイ



    ユミル「チッ、早とちりしやがって…いいか?あれは私を女子寮まで護衛しろという指図でだな」

    ライナー「いてて…さっきので口が裂けた気がしてならねえ。なあ、俺の顔無事か?」

    ユミル「めでたいことに凶悪そうな面構えしてるよ」

    ライナー「ああ手遅れか…」ハァ

    ユミル「いつもと変わらないって意味だ喜べ」

  130. 130 : : 2015/02/14(土) 07:54:50

    ユミル「だから……もういいや、めんどくせえ。来い」グイ

    ライナー「っおい、俺にお前に従う義理はねえぞ?」

    ユミル「ああ、こっちも無理にとは言わないぜ。ただし、食料庫でベルトルさんとゲフンゲフンしてたって言いふらされてもいいんならな」フン

    ライナー「ゲフンゲフンって…なんだ」

    ユミル「知らね」

    ライナー「自分でも分からないものを言いふらそうってのか?」

    ユミル「人の想像力のたくましさを舐めんなよ。言葉を濁せば、みんな勝手に解釈してくれる…しかも悪い方向にな」

    ライナー「…」

  131. 131 : : 2015/02/14(土) 07:55:37

    ユミル「ミカサいたか?」

    ライナー「いないな。今のところは」スタスタ

    ユミル「はー…やれやれ。こうもまったく遭遇しないと、逆に不安になってくるわ」スタスタ

    ライナー「そんなに会いたいなら呼んでやろうか?」

    ユミル「バカいってんじゃねえよ。冗談が過ぎら…


    ライナー「ミカサー!ユミルがここに

    ユミル「…」スパ-ン!

    ライナー「いてえ」ヒリヒリ



    ライナー「しかしアニより断然マシだな…」ヒリヒリ

    ユミル「は?なんだって?」

    ライナー「痛みの具合が。あいつの蹴りはまずい」

    ユミル「思い起こして比較までできるってお前…それだけたくさん蹴られた経験があんのかよ…」

    ライナー「好きこのんで蹴られにいったわけじゃないぞ。この感想は、主に対人格闘から得たものだ…ほら、俺がエレンとまとめてやられた時とかあったろ」

    ユミル「そんなの覚えてねーよ。私の記憶の引き出しには余すところなくクリスタがギチギチに詰まってんだ。よって、お前らがいれる隙間なんて1ミリもないね」

    ライナー「なんかその例え気持ち悪いからやめろ」
  132. 132 : : 2015/02/14(土) 07:56:26

    ユミル「だが、ずいぶんアニと仲良くやってるみたいじゃねえか。あいつに拳で語り合えるお友達がいたなんて前代未聞…とんだビッグニュースだぜ」

    ライナー「仲良く?俺がか?……確かに同期の男子の中じゃ、まだ関わる方かもしれんが…普段は言葉を交わすことさえ滅多にないぞ」

    ユミル「ふーん、出身は?」

    ライナー「は?」

    ユミル「生まれだよ。どこの出かって聞いてんだ」

    ライナー「マリアの…南東にある、山奥の村だ。…それがどうかしたか?」


    ユミル「ベルトルトも同じか」

    ライナー「?…ああ」

    ユミル「じゃあアニも同じか」

    ライナー「アニ?」

    ユミル「あれ、あんたら三人とも同郷の出じゃないの?」

    ライナー「なんでそうなるんだよ…」

    ユミル「おっとこじつけなんかじゃないからな。この考察をするに至った理由ならもちろんあるぜ」



    ユミル「えー、コホン。……つい先日、私は見ちまったんだ。あのベルトルさんがアニに落ち着き払った態度で接しているのを…」

    ライナー「至極まともだろ」

    ユミル「空前絶後の大事件だよマヌケ」パ-ン


    ライナー「…(何故叩く必要があった)」ヒリヒリ


  133. 133 : : 2015/02/14(土) 07:57:02

    ユミル「あのな、ベルトルさんといえばキョドってなんぼだろ?」

    ライナー「…ユミル、口が過ぎるぞ」

    ユミル「さらに対象が異性ときたもんだ。あいつの性分からするに、話した経験なんかまずない種族だろう」

    ライナー「華麗にスルー決めてんじゃねえよ」

    ユミル「とどめは社交性ゼロ、孤高を持するあのアニ・レオンハートが相手なんだぜ?普通キョドらないわけがない!」バンッ

    ライナー「もう誰相手に喋ってんだ、おい」


    ユミル「まあ異性に興味のないライナー・ナンチャラとかいう醜男はともかく、こうしてベルトルさんが平常心を保てたのは…アニとの接触に慣れがあるってこった」

    ライナー「へー、ふーん……あ、ちょっと待て。異性に興味がないのはお前だろ?」


    ユミル「だから二人とついでに醜男は元々知り合いで、昔は交流があったのかと思ってな。これならなんとなく仲良さげなのも納得がいく…それで同郷と睨んだのさ」

    ライナー「よく考えてみるとさっきから長文ばっかで大変そうだな」

    ユミル「ちなみに私はクリスタにしか興味がない」

    ライナー「そんなしょうもねえ周知の事実で説明の最後を締めくくるなよ」

  134. 134 : : 2015/02/14(土) 07:58:19


    ユミル「で、同郷じゃないんだよな」

    ライナー「あいつと幼少期を共にした覚えはないからな」

    ユミル「うーん…即興でいい加減に仕立てた推理にしちゃ、理に適ってると思ったのに」

    ライナー「出任せに言ってたのか…」

    ユミル「だって暇だしよ。黙って歩くとか耐えらんねえ…お、」

    ライナー「ん?」



    ユミル「…ここでお別れだな。女子寮はすぐそこ、ついでにあんたにお迎えが来てる」

    ライナー「あー、ベルトルト…なんでこんなところに」


    ユミル「なにはともあれ、手ぇ振っとこうぜ」

    ライナー「なんでだよ」

    ユミル「感動の再会を演出」ガシ、グイッ

    ライナー「こら、勝手な真似をするな。…っ!」パシッ

    ユミル「いてっ!この…異性と生身の肌が触れて今更恥が回ってきたか?そんなの、男くせえ奴がやっても全然かわいくねーよ」サスサス

    ライナー「心配するな、俺がお前を異性と認識したことは一度もない…」サスサス

    ユミル「あ?引っ叩かれたのはこっちだぞ。なんでお前まで手をさすって……」


    ユミル「…」グイ

    ライナー「う、」

    ユミル「…手当しなかったのか」

    ライナー「いろいろあって忘れてたんだ…さっきので思い出した」

    ユミル「だろうな」

  135. 135 : : 2015/02/14(土) 07:58:54

    ベルトルト「ラ、ライナー…!やっと見つけた…」バタバタ

    ユミル「よう、さっきぶり」

    ベルトルト「…どうしたの?何かあった?」

    ライナー「食料庫でユミルに噛まれたところが意外に重症でな。まあ、大したことはない」

    ユミル「そこまで強く噛んだつもりなかったんだけどなあ」

    ライナー「じゃあこの傷はなんだ」


    ベルトルト「…」

    ライナー「見ろ、ベルトルトが絶句してるぞ」

    ユミル「そりゃお前、治りかけた傷口がぱっくり開いてコンニチハしてんだもん。絶句もするわな」

    ライナー「目のつけどころがおかしいだろ…実際は誰かさんの粗暴さに呆れ返って物も言えねえんだよ」

    ユミル「あー!こんなくだらねえ話してる場合じゃないんだったー!ヤツと出くわす前に避難しねーと」

    ライナー「おい」

  136. 136 : : 2015/02/14(土) 07:59:28

    ユミル「だが一応頼み聞いてくれた貸しだ。お望みなら手当てしてやろうか?」

    ライナー「…まあ、できるもんならな」

    ユミル「よし来た。待ってろ、今溜めっから」ムグムグ

    ライナー「溜める?溜めるって…っおい!まさかツバかけるつもりじゃねえだろうな!?」

    ユミル「ご名答。そういうのはツバつけて放置しときゃ治るんだよ」ムグ

    ライナー「さっきのは取り消すからもうお前は光の速さで回れ右して帰ってくれ頼む」

    ユミル「ああん?せっかくの人の好意を無下にすんなよ…じゃ、またな。おやすみ!」タッ



    ライナー「……やっと平穏が戻ったな」

  137. 137 : : 2015/02/14(土) 08:00:11

    ライナー「ところで、いつまで茫然自失を維持する気なんだ?ベルトルト」

    ベルトルト「……あ、うん…」

    ライナー「…いけね、そういやアニを置いてきたんだった……なあ、俺を迎えに来てもらったところ悪いが、今度はあいつを迎えに行かないか?ほったらかしにしてた詫びを言いたいんだ」


    ライナー「それにもう一緒に行動する理由がないとはいえ、このまま何も言わず帰るのもどうかと思ってな」

    ベルトルト「…」

    ライナー「まあこんな時間だし、待ちくたびれて先に帰った可能性も否定できんが……ともかく、嫌なら俺ひとりで行ってくる。どうする?」


    ベルトルト「…治したら?」

    ライナー「え?」


    ベルトルト「その手の傷。…見てるだけで痛々しいから」

    ライナー「…うーん」

    ベルトルト「大丈夫、しばらくは上に包帯を巻いておけばいい。そうしたらユミルにはバレない…ほら、早く」

    ライナー「…分かった。いくぞ」



    ライナー「ふっ!」

  138. 138 : : 2015/02/14(土) 08:00:56

    ベルトルト「…」

    ライナー「…」


    ライナー「はっ!」

    ベルトルト「…」

    ライナー「ふんっ」

    ベルトルト「…」

    ライナー「よっこらせ」

    ベルトルト「…」



    ベルトルト「………ふざけてるのか?」

    ライナー「いいや真面目も真面目、大真面目だぜ」

    ベルトルト「嘘吐くなよ、なんで治さないんだ」

    ライナー「さあな。十二分に力をこめてるはずなんだが、いかんせん調子が悪いらしい」

    ベルトルト「下手な茶番はやめてくれ」

    ライナー「…茶番を仕掛けてるのはそっちだろ?」


    ライナー「これ以上、よく分からないネタを振られても付き合いきれんぞ。で、お前は帰るのか?」

    ベルトルト「…」


    ライナー「ああ、待て…おかしいな。あの廊下の角にユミルが見えるんだが……ん?その隣にいるのはアニか…?」

  139. 139 : : 2015/02/19(木) 22:46:24

    ユミル「おいおい、女子寮はこっちだって」グイ

    アニ「知ってる。私は向こうに用があるんだよ」

    ユミル「ライナーとベルトルさんを捜してんのか」

    アニ「…別に。いいからその手を離しな」

    ユミル「二人ならさっきそこで別れたばっかだぜ。捜す手間が省けてよかったな」パッ

    アニ「いらない情報をどうも」スタスタ

    ユミル「あーあー、もっと素直になりゃいいのに。そういうつっけんどんな態度とってると逆に怪しいぞ、何隠してんだ」

    アニ「…何の話?」

    ユミル「とぼけちゃって…お前ら三人はなんかにおうんだよ。な、私の言い分、満更嘘でもないだろ?」



    ベルトルト「…ユミル!」


    ユミル「お、あっちの方からおいでなすったぜ…良かったな」

    ベルトルト「ライナーに何をした!!」ドンッ

    ユミル「う”っ」

  140. 140 : : 2015/02/19(木) 22:46:46

    ユミル「げほっげほっ…タンマ!こりゃどういう風の吹き回しで…

    ベルトルト「何をしたんだ!言え!」ドンッ ガッ

    ユミル「ぐ、おえっ」


    アニ「……ベルトルト?…なにやってんの?」

    ライナー「おい落ち着け!一体どうした!?」ガシッ

    ベルトルト「くっ…」

    アニ「ライナー、あんたまで…」


    ベルトルト「三人でいた時には…なんともなかったんだ!けど、今は…っ」

    ライナー「は、はあ…?何を言ってやがる…とりあえず頭を冷やせ!」

    ベルトルト「ユミル……なんで…」グググ

    ユミル「っ!バッカ…首絞まってんだよ!」バシッバシッ

    ライナー「だからやめろって!」グイ


    アニ「…」

    アニ「…新種の壁ドン?」

  141. 141 : : 2015/02/19(木) 22:49:16

    ベルトルト「えっ」

    ユミル「……男が女に迫る時にする、あれか?」

    ライナー「…ベルトルト、お前……」

    ベルトルト「ま、まさか!?ユミルなんかにするわけないじゃないか!」

    ユミル「んだとてめえ」ドンッ

    ベルトルト「あっ」


    アニ「逆転した…」

    ライナー「ほー、こりゃ見ものだな」

    ベルトルト「二人とも見てないで助けてくれ!」


    ユミル「おらおら、なんとか言えよ」

    ベルトルト「うぐ…な、なんか脅迫慣れしすぎじゃない?まるでチンピラ

    ユミル「ああん?」

    ベルトルト「ひっ」


    ライナー「…ユミル、それぐらいで勘弁してやってくれ。こいつは多分、眠気がさしてこんな暴挙に出ちまったんだろう」

    ユミル「そうかい、ところで私も眠くて眠くてたまんねえんだ。これなら暴挙に出ちまっても仕方がねえよなあ」ドンッ

    ベルトルト「おいなんて免罪符を与えてくれたんだ」

    ライナー「すまん」

  142. 142 : : 2015/02/19(木) 22:50:30

    ベルトルト「ああ、アニ…今ここで使える護身術ってないかな。あれば教えてほしいんだけど」

    アニ「んー」

    ユミル「お、浮気か?」グイ

    ベルトルト「なるべく早急に頼むよ僕の命がかかってるんだ」

    アニ「うーん」

    ユミル「いいから私とお喋りしようぜええ…」グイイ

    ベルトルト「あ、あんまり楽しくなさそうだからやめとく」

    ユミル「言い忘れたがお前に拒否権はねえ」

    ベルトルト「やだー!」

  143. 143 : : 2015/02/19(木) 22:51:21

    アニ「あ、ミカサだ」

    ユミル「え」

    ライナー「なに?…お、本当だ。こっちに向かって走ってきてるぞ」

    ユミル「チッ…!覚えてろよ、ベルトルさん!」ダッ



    ベルトルト「うう、助かった……あれ、ミカサは?なんだか見当たらないけど…」

    アニ「来ないよ。あれ嘘だから」

    ベルトルト「わあ大胆」

    ライナー「予想以上にうまくいったな」パンッ

    アニ「お互い、機転が利いたね」パンッ

    ベルトルト「(ハイタッチ…)」


    アニ「あんたもやる?」

    ベルトルト「う、うん」

    アニ「はい」パンッ

    ベルトルト「ありがとう」

    ライナー「さて…ここで俺は、異性に頬を叩かれて感謝の言葉を述べるという幼馴染の奇妙な片鱗を垣間見てしまったわけだが」

    ベルトルト「僕も驚いてるよ。不測の事態に直面して、咄嗟に出てきた言葉が”ありがとう”だったんだから」ヒリヒリ

    ライナー「…ああ、うん……アニは何故あの行為に至ったんだ?」

    アニ「嘘は言ってないだろ。ハイなタッチには変わりないんだから」

    ライナー「うん、ああ…うーーん……」

  144. 144 : : 2015/02/19(木) 22:54:07

    アニ「それより、さっきは何を言ってたの?」

    ベルトルト「えっ」

    アニ「ユミルにドンする前に何か喚いてたじゃないか。たしか、ライナーがどうとか…」

    ベルトルト「う…いや、あれは…」

    ライナー「夢の続きで言ってたんだろ。お前が他人にそこまで干渉するなんて、珍しいな」

    アニ「あんたらは別だよ」

    ライナー「…俺達、何かしたか?」

    アニ「そういう意味じゃないんだけど…まあ、恨みは数え切れないほどあるね」

    ライナー「な、なんだそりゃ?いつの話だ」

    アニ「時は遡って、開拓地時代…」

    ライナー「待て。その頃は知り合ってもないだろ」

    アニ「…は?」

    ライナー「だからな、お前とこうして面識をもったのは、訓練兵団に入ってからで…」



    ベルトルト「っ、ライナー!!!」ゴンッッ

    ライナー「ぐえっ」バタリ



    アニ「…」

    ベルトルト「はあっ、はあ…」
  145. 145 : : 2015/02/19(木) 22:55:22

    ベルトルト「っふー…危ないところだった」コホン

    アニ「…」


    アニ「……なにしてんの?」

    ベルトルト「え」

    アニ「なにしてんの」

    ベルトルト「……一息…ついてる?」

    アニ「なんでこんなことしたかって聞いてんの」チラ

    ベルトルト「あっ、その…虫が、虫がね?彼の頭に…止まってたから……」


    ベルトルト「その、ね?」

    アニ「他人の頭に止まった虫を断りもなく潰したわけ?」

    ベルトルト「うっ……はい、そうです…」

    アニ「ふーん。だとしても高速チョップで仕留める必要はなかったと思うけどね」

    ベルトルト「…」


    アニ「見な。ライナーのやつ、物の見事に気絶してるよ」

    ライナー「」

    ベルトルト「…」

    アニ「めちゃくちゃ鈍い音してたしね、あれ」

    ベルトルト「……ごめん」

  146. 146 : : 2015/02/19(木) 22:56:00

    ベルトルト「君の…言うとおりだった」

    ベルトルト「彼女は危険な存在だ」


    ベルトルト「ああ、もっと注意するんだったな…」

    アニ「え?その虫、女王蜂か何かなの?」

    ベルトルト「え?」


    アニ「今、ライナーの頭見てたんだけどさ…いくら探しても見つからないんだよ、あんたが潰した虫」

    ベルトルト「あー…」

    アニ「…もしかして耳から体内に入りこんだとか」

    ベルトルト「やめて気持ち悪い」
  147. 147 : : 2015/02/19(木) 22:56:30

    アニ「可能性としてはありえるよ。…まずいね、この時間医務室は開いてない…」スッ

    アニ「ほら起きな」ペチペチ

    ライナー「」

    ベルトルト「お、起こしちゃうの?」

    アニ「無事かどうか、本人に確認とった方が一番早いだろ。それに一刻を争う事態かもしれないし」ペチペチ

    ライナー「う、うーん…」ボソッ

    アニ「あ」


    ベルトルト「ももももういいよ!どうせ手遅れだから!無駄な足掻きはやめよう!?ほら!!」バッ

    アニ「いや、今にも目覚めそうだっ

    ベルトルト「じ、じゃあもう少し寝かせてあげようか!うん、そうしよう!!」

    アニ「…言ってることが支離滅裂だね……ちなみにどれくらい寝かせるつもり?」

    ベルトルト「え、うーんと…永遠かな」

    アニ「それ死を意味してるよ」

  148. 148 : : 2015/02/19(木) 22:57:26

    ライナー「うう、頭痛え…」ノソ

    アニ「あ、起きた」

    ベルトルト「くっ…」


    ライナー「…えーと、なんだ…おはよう?」

    アニ「おはよう」

    ベルトルト「おはよう。永遠に目覚めなければよかったのに」

    ライナー「!?」


    ベルトルト「これ以上、僕の弁じゃ持たないよ…」ガックリ

    ライナー「こいつどうしたんだ?」

    アニ「さあ。あんたに死んでほしいみたいだけど」

    ライナー「お、おう…それはちょっと難しいな」

  149. 149 : : 2015/02/19(木) 22:58:27

    ライナー「あー、何の話してたんだっけか。途中から記憶が……うっ」

    ベルトルト「?…ライナー?」

    ライナー「…」

    アニ「脳梗塞?それとも頭蓋骨骨折?」

    ベルトルト「物騒な単語ばかり出さないでくれ、怖いから」

    アニ「犯人あんただもんね」

    ベルトルト「シッ!」


    ライナー「…そうか。夢見心地でいたのは俺の方だったんだな」

    ベルトルト「え?な、なに?」

    アニ「妄言か。第一症状かな?」

    ベルトルト「シーッ!」

  150. 150 : : 2015/02/19(木) 22:59:11

    ライナー「すまん、何もかも思い出した。今までの俺はどうかしてたみてえだ」

    ベルトルト「…ライナー、まさか…」

    ライナー「ああ」スッ

    アニ「ん、いつの間に手の平に傷なんか作ってたの」

    ライナー「大分前にちょっとな…よし、治った」シュウウ

    ベルトルト「ライナー…!」

    ライナー「ははは…笑っちまうぜ、本当。まさか自分が睡魔にやられてたとは」


    ライナー「はは、笑うしかねえよ……もう…」ガックリ

    ベルトルト「…」

    アニ「…なんかよくわかんないけど」

  151. 151 : : 2015/02/19(木) 22:59:53

    アニ「えい」パ-ン‼︎

    ライナー「!?」


    ライナー「な、なんで俺の頬を…!」ヒリヒリ

    アニ「睡魔にやられてたっていうから。人と喋ってる時に眠くなるなんて失礼だろ」フン

    ベルトルト「今日のアニ、平手打ちが絶好調だね…」

    アニ「まあね」

    ライナー「くっ…頭も痛えし、頬も痛え…」ヒリヒリ

  152. 152 : : 2015/02/19(木) 23:01:00

    アニ「あんたがそうやって睡魔に負けて、また夢見心地に陥るようだったら、その都度私が引っ叩いてやるよ。ちょうど今みたいにね」

    ライナー「…」ヒリヒリ

    アニ「もし私もダメになった時は…ベルトルトが引っ叩く。だから安心しな、嫌でも夢から醒めるさ」

    ライナー「…アニ…」

    アニ「これで私達の前で眠気がさすことはないね」

    ライナー「……ありがとな」

  153. 153 : : 2015/02/19(木) 23:01:27

    ベルトルト「あ、異性に頰を叩かれてお礼を言う幼馴染の奇妙な片鱗を垣間見てしまった」

    ライナー「バカ、ここで俺の発言をパクるなよ」フッ

    アニ「…あれ、なんで涙ぐんでんの?」

    ライナー「えっ?……いや、これは汗だ」ゴシゴシ

    アニ「目が汗かくわけないだろ…よりによってこのタイミングに、なんで泣くわけ?」

    ベルトルト「はは…きっとアニの一撃が効いたんじゃないかな」

    アニ「ふうん、案外か弱いね」

    ライナー「うるせえ。そんなんじゃねえ」ニヤ

    アニ「ちょっと、泣きながら笑わないでよ。せめてどっちかにしな」

    ベルトルト「うん、今の君の顔、とってもひどいよ」

    ライナー「おいおいお前ら、あんまりだぞ…」ハハ…




    ユミル「…」ヒョコ

    ユミル「なんだ、やっぱり仲良いんじゃん」

  154. 154 : : 2015/02/19(木) 23:03:55
    おしまい!!!
    閲覧ありがとうございます。諸事情でやたらと期間が長くなってしまいました。シリアスとギャグを混ぜようと試みました。難しい
  155. 155 : : 2015/02/20(金) 09:02:39
    執筆お疲れ様でした。

    会話のテンポや言い回しが良く、とても楽しませていただきました。
    山奥3人+ユミルが仲良くしてるの好きです。

    時々シリアスが入り、山奥組の現実に引き戻されつつも、明るい会話にニヤニヤしていました。

    面白いお話ありがとうございました。
  156. 156 : : 2015/02/20(金) 17:13:47
    >>155
    み、身に余るお言葉…恐縮です
    こちらこそご丁寧なコメントありがとうございます。この四人いいですよね!またこのメンバーで書きたいと思いました。まる
  157. 157 : : 2020/10/10(土) 22:54:19
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986

    http://www.ssnote.net/categories/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA/populars?p=53

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燦々

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